(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】キャップされたアルコキシル化アルコール
(51)【国際特許分類】
C08G 65/28 20060101AFI20221214BHJP
C09K 23/42 20220101ALI20221214BHJP
【FI】
C08G65/28
C09K23/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522884
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 FR2020051856
(87)【国際公開番号】W WO2021074544
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジレ,ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブレ,カール
(72)【発明者】
【氏名】バルトリーニ,トニー
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA12
4J005BB01
4J005BB02
(57)【要約】
本発明は、狭い重量分布を有し、1~6個の間の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル、フェニル基、ベンジル基及びカルボキシ官能基-COO-を有する炭化水素基及び糖単位を有する基から選択される基により末端部分でキャップされているC3~C22アルコールアルコキシレートの混合物を含む組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を調製するための方法、及び界面活性剤、特に低発泡力の界面活性剤としてのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドキャップされたアルコールアルコキシレートの混合物を含む組成物であって、該組成物において、
- アルコールが、3~22個、好ましくは5~22個、より好ましくは5~20個、非常に特に好ましくは5~18個の炭素原子を含み、
- アルコキシレートの重量分布が、単峰性分布に従い、そのピーク幅値(2σ)が、7未満、好ましくは6未満、有利には5未満、より好ましくは4未満であり、
- 末端部分が、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキル、フェニル基、ベンジル基、カルボキシ-COO
-官能基を有する炭化水素基、及び糖単位を有する基から選択される基によってキャップされる、
組成物。
【請求項2】
前記アルコールアルコキシレートのエンドキャップが、スルホコハク酸基をはじめとする、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はベンジル基、カルボキシル-COOH基及びその塩、官能化されてもよいアルキレンカルボキシル基及びその塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルコールが、第一級アルコール又は第二級アルコールである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルコールが、8~14個の炭素原子を含む直鎖又は分枝の第一級アルコール、好ましくは1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール又は1-テトラデカノールから選択される第一級アルコールである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルコールが、任意に1つ以上の芳香族基を含む、3~22個の炭素原子を含む直鎖又は分枝の第二級アルコールである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコールが、3~14個の炭素原子、より好ましくは6~12個の炭素原子を含む第二級アルコールであり、好ましくは該第二級アルコールが、2-オクタノール及び4-メチル-2-ペンタノールから選択され、非常に好ましくは該第二級アルコールが2-オクタノールである、請求項3又は5に記載の組成物。
【請求項7】
キャップされたアルコールアルコキシレートが、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の単位を含む配列を含み、該単位が、ランダムに、交互に、又はブロック状に分布している、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキル、フェニル基、ベンジル基、カルボキシ-COO
-官能基を有する炭化水素基、及び糖単位を有する基から選択される基でキャップされた2-オクタノールアルコキシレートの混合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
以下を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
- エトキシル化された後、プロピレンオキシドでキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化された後、ブチレンオキシドでキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化及び/又はプロポキシル化された後、アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基から選択されるアルキル基又はベンジル基でキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化及び/又はプロポキシル化された後、カルボキシル(-(CH
2)
n-COOH、ここで、nは限界値含む1~5の間の整数であり、任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム、好ましくはNa
+、K
+又はNH
4
+の塩の形態である)によってキャップされた2-オクタノール。
【請求項10】
以下を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
- 2-オクタノール 2-15OE 1OP、
- ベンジルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- メチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- エチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- プロピルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- ブチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- CH
2-COOHでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- 2-オクタノール 2-15OE 1-15OB、
- 2-オクタノール 2-15OE 1-15OP、
- 2-オクタノール 1-6OE 1-15OP。
【請求項11】
以下の連続する段階を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の調製のための方法。
a) 狭域型、好ましくはDMC型の少なくとも1種のアルコキシル化触媒の存在下で、アルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物から選択される1種以上のアルキレンオキシドとを反応させる段階、
b) 段階(a)から生じた生成物とエンドキャップを行うことができる1つ以上の化合物とを反応させる段階。
【請求項12】
界面活性剤、特に低い発泡力を有する界面活性剤としての、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
洗剤用、化粧品用、鉱石の浮選用、潤滑剤として、乳化剤として、瀝青用途のアジュバントとして、湿潤剤として、溶媒として、融合剤として、加工助剤として、ガス水和物凝集防止剤として、脱インキ用、石油増進回収法で、腐食保護で、水圧破砕で、土壌バイオレメディエーションで、農薬で、ヒドロトロープ剤、帯電防止剤、塗料アジュバント、繊維アジュバントとして、ポリオール用、電池用電極及び電解質の製造のため、の請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載の少なくとも1種の組成物と、単独で、又は全ての割合の2種以上の混合物としての、水、アルコール、グリコール、ポリオール、鉱油、植物油、ワックス及び他のものから選択される1種以上の水性の、有機の又は水性/有機の溶媒とを含む、配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシル化アルコールの一般的分野に関するものであり、より具体的にはキャップされたアルコキシル化アルコール、その調製方法及び界面活性剤としてのその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、アルコールアルコキシレートは、溶媒、ヒドロトロープ剤又は界面活性剤などの複数の用途を有する、広範囲の特性を提供する化合物の群を代表することが知られている。このように、アルコールアルコキシレートは、非常に多くの分野の適用のために、実際の産業上の利点を示す化合物の種類を構成する。
【0003】
従来、アルコールアルコキシレートは、塩基性触媒の助けを借りて合成され、例えば、「水酸化カリウム触媒作用」又は「KOH触媒作用」とも呼ばれる水酸化カリウムを使用する。しかし、約10年間、アルコキシレートを得るために、特定の反応物と特定の条件下で用いることができる別種の触媒が提示されてきた。これはDMC触媒とも呼ばれる二重金属シアン化物の種類の触媒である。
【0004】
すでに1960年代には特許US3359331号がスズとアンチモンをベースとする触媒を用いたアルコールのエトキシル化を扱っていた。この触媒は70℃未満の温度及び大気圧に近い圧力で反応媒体中に比較的大量に使用された。この種の触媒は非常に不安定であるため、触媒を失活させるリスクのある従来の反応器では正常に機能することができなかった。
【0005】
何年も後、名声のある研究者らは、KOH触媒作用による1-オクタノール及び2-オクタノールのエトキシル化及びプロポキシ化の比較動態に関する研究(di Serio M.ら、Ind.Eng.Chem.Res.、(1996)35、3848-3853)を発表した。著者らは、KOH触媒作用は満足できるものではなないと結論づけ、より効率的な触媒の開発を奨励した。
【0006】
さらに最近、国際出願WO2009000852号は、DMC触媒作用による、アルコールをはじめとする可動性Hを有する種々の化合物のアルコキシル化の方法を記載した。この文献は、DMC触媒作用によりオキシエチレン(OE)ブロックをグラフト化できるようになる前に、出発基質にオキシプロピレン(OP)及び/又はオキシブチレン(OB)ブロックを追加する必要性を教えている。基質の大部分はNeodol型のアルコール(Fischer-Tropsch方法で得られる多分枝アルコール)及び第一級型のアルコールである。さらに、使用される触媒濃度は高く、出発生成物に対して約3重量%である。
【0007】
同様に、国際出願WO2012005897号は、最初にOPブロックの添加、続いて、OEブロックの添加のみを含む、DMC触媒作用によるアルコールのアルコキシル化を開示する。
【0008】
現在、市販されているアルコールアルコキシレートが大量に存在しないことから、DMCの触媒作用は、特にアルコール型基質に関し、今日、工業的に実施することは困難であると思われることが示差されるが、この種の触媒作用により、完全に注目に値する特性を有するアルコキシレート、特に、末端位置でキャップされた(又はエンドキャップされた)アルコールアルコキシレートを得ることが可能になるかもしれない。
【0009】
エンドキャップされたアルコキシレートの中には、例えば、特許EP2205711号にベンジル端部を有するもの、又は国際出願WO2004037960号に記載されているカルボン酸末端を有するものなど、すでに記載されているものもある。
【0010】
アルコキシル化反応により、様々な数のアルコキシル基を含むアルコキシル化生成物の混合物が生じることはよく知られており、アルコキシル化生成物の混合物中のアルコキシル単位の数は、2σ値によって一般に統計的に定量化される、ガウス曲線の半値全幅によって一般に特徴付けられる、多少とも幅が広いか、多少とも狭いガウス分布に従うことが最も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3359331号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/000852号
【特許文献3】国際公開第2012/005897号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2205711号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/037960号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】di Serio M.ら、Ind.Eng.Chem.Res.、(1996)35、3848-3853
【発明の概要】
【0013】
今日では全く驚くべきことに、物理化学的特性並びに適用特性の観点から、完全に有利な特性を示すエンドキャップされたアルコキシレートを特に容易な方法で工業的に調製することが可能であることが発見された。
【0014】
したがって、第一の態様によれば、本発明は、エンドキャップされたアルコールアルコキシレートの混合物を含む組成物に関し、その組成物において、
- アルコールが、3~22個、好ましくは5~22個、より好ましくは5~20個、非常に特に好ましくは5~18個の炭素原子を含み、
- アルコキシレートの重量分布が、単峰性分布に従い、そのピーク幅値(2σ)が、7未満、好ましくは6未満、有利には5未満、より好ましくは4未満であり、
- 末端部分が、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキル、フェニル基、ベンジル基、カルボキシ-COO-官能基を有する炭化水素基、及び糖単位を有する基から選択される基によってキャップされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましくは、アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びベンジル基、並びにアルキルカルボキシル-COOH基及びその塩から選択される。予想できるカルボキシル官能基の塩の中で、その中の主要なものだけを挙げると、当業者に周知の塩、特に金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩を挙げることができる。ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩は、特に好ましい塩である。
【0016】
別の実施形態によれば、アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、官能化されていてもよいアルキレンカルボキシル及びその塩から選択される。典型的で非限定的な例は、スルホコハク酸基、特にナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウムスルホコハク酸塩によって代表される。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、例えば、グルコース(モノグルコシドの場合)などの1つの糖単位、又は2つ以上の糖単位(アルキルポリグルコシドの場合、別名「APG」)を有する基から選択される。
【0018】
上記のように、アルコキシル化反応のための出発基質として使用されるアルコールは、3~22個、好ましくは5~22個、より好ましくは5~20個、非常に特に好ましくは5~18個の炭素原子を含む。炭素原子は、直鎖状、分枝状、又は部分的又は完全に環状の鎖であり得る。好ましい実施形態によれば、アルコールは、45g.mol-1~300g.mol-1、好ましくは70g.mol-1~250g.mol-1、より好ましくは80g.mol-1~200g.mol-1の範囲の重量-平均モル質量を有する。
【0019】
出発基質として使用されるアルコールは、任意の種類及び任意の起源のものであり得る。一般に、アルコールは第一級アルコール又は第二級アルコールである。アルコールは石油起源のものであっても、生物を原料としたものであっても、例えば、植物又は動物起源のものであってもよい。環境保護の明らかな理由から、生物を原料としたアルコールが好ましい。また、本発明の要件には、第二級アルコールを使用することが好ましい。
【0020】
アルコールが第一級アルコールである場合、それは、直鎖状又は分枝状の第一級アルコール、例えば、8~14個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の第一級アルコール、例えば、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール又は1-テトラデカノール、特にExxal(商標)10のような10個の炭素原子を有するアルコール又はExxal(商標)13のような13個の炭素原子を有するアルコール(Exxon Mobileから販売されている)から選択することができる。
【0021】
アルコールが第二級アルコールである場合には、3~22個の炭素原子を含み、1つ以上の芳香族基を含んでいてもよい直鎖状又は分枝状の第二級アルコールから選択することができ、その代表例としてカルダノールなどのフェノール系アルコールが挙げられる。非常に特に好ましい態様によれば、第二級アルコールは、3~22個の炭素原子、完全に有利には3~14個の炭素原子、より好ましくは6~12個の炭素原子を含む。より好ましくは、該第二級アルコールは、2-オクタノール及び4-メチル-2-ペンタノールから選択され、非常に特に好ましくは、該第二級アルコールは、2-オクタノールである。
【0022】
アルコキシル化反復単位は、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0023】
本発明の意味において、用語「エチレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後にエチレンオキシドから生じる単位を意味すると理解される。本発明の意味において、用語「プロピレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後にプロピレンオキシドから生じる単位を意味すると理解される。本発明の意味において、用語「ブチレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後のブチレンオキシドから生じる単位を意味すると理解される。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、キャップされたアルコールアルコキシレートは、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の単位を含む配列を含み、該単位はランダムに、交互に、又はブロックで分布している。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、キャップされたアルコールアルコキシレートは、エチレンオキシド単位と、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の単位を含む配列とを含み、該単位がランダム、交互に、又はブロック状に分布することが可能であり、少なくとも1つのプロピレンオキシド単位又はブチレンオキシド単位が該配列中に存在する。
【0026】
別の好ましい実施形態によれば、キャップされたアルコールアルコキシレートは、交互に、ランダムに、又はブロック状に分布する少なくとも1つのエチレンオキシド単位及び少なくとも1つのプロピレンオキシド単位を含む。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態によれば、キャップされたアルコールアルコキシレートは、交互に、ランダムに、又はブロック状に分布する少なくとも1つのエチレンオキシド単位及び少なくとも1つのブチレンオキシド単位を含む。
【0028】
本発明の別の実施形態は、交互に、ランダムに、又はブロック状に分布する少なくとも1つのプロピレンオキサイド単位及び少なくとも1つのブチレンオキサイド単位を含むキャップされたアルコールアルコキシレートに関する。
【0029】
反復単位の数は一般に、1~100の間、好ましくは2~100の間、より好ましくは3~100の間、特に3~80の間、より具体的に3~75の間、好ましくは3~50の間(限界値を含む)である。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、反復単位の数は、1~75の間、好ましくは2~75の間、より好ましくは3~75の間、特に4~75の間、より具体的に5~75の間、好ましくは6~75の間、より好ましくは7~75の間、好ましくは8~75の間、より好ましくは9~75の間、非常に好ましくは10~75の間(限界値を含む)である。
【0031】
別の好ましい実施形態によれば、反復単位の数は、1~50の間、好ましくは2~50の間、より好ましくは3~50の間、特に4~50の間、より具体的には5~50の間、好ましくは6~50の間、より好ましくは7~50の間、好ましくは8~50の間、より好ましいは9~50の間、非常に好ましくは10~50の間(限界値を含む)である。
【0032】
さらに別の好ましい実施形態によれば、反復単位の数は、1~30の間、好ましくは2~20の間、より好ましくは3~20の間、有利には3~15の間(限界値を含む)である。
【0033】
本発明の組成物において、キャップされたアルコールアルコキシレートは、統計的分布の正規の法則に従って、単峰性重量分布に従って存在する。本発明の非常に具体的な態様によれば、第二級アルコキシレートの組成物は、狭い単峰性重量分布を示す。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲において、重量分布は、当業者に周知の標準カラム上のガスクロマトグラフィーによる分析及び水素炎イオン化検出(FID)によって決定され、ここで、分析される組成物の種々の成分は、沸点を上昇させることによって、そして、アルキレンオキシド単位を添加する度にモル質量を増加させることによって分離される。重量分布は、生成物が同じ化学的性質であるため、同じ応答係数を持つと仮定すると、重量による百分率に相当すると見なされる表面積百分率に相当する。
【0035】
全く驚くべきことに、本発明による組成物中に存在するキャップされたアルコールアルコキシレートのこの非常に特に狭い単峰性分布は、アルコキシル化反応の非常に良好な制御を可能にする特定の触媒の存在下で、特に二重金属シアン化物(DMC)型の触媒の存在下で、アルコキシル化反応を使用して得ることができることが発見された。狭域分布を有するアルコキシレラートの混合物への接近を可能にする他の知られた触媒も使用することができ、そのようなものとして、BF3誘導体型の酸触媒、カルシウムベースの塩基性触媒、ヒドロタルサイト型触媒などを非限定的な方法で挙げることができる。しかし、本発明の必要条件については、上記のようなDMC型の触媒が好ましい。
【0036】
これは、このような特異的な「狭域」触媒の存在下では、アルコキシレートの重量分布が狭く、水酸化カリウム触媒型の塩基性触媒を用いた場合よりも非常に狭いことが観察できたからである。
【0037】
非常に広い重量分布を有する組成物を得ることに加えて、従来の経路(塩基性触媒作用)によって、特に基質がアルコールである場合、非常に具体的にはアルコールが第二級アルコールである場合には、基質のアルコキシル化のための反応は、非常に多い残留量の未反応の基質をもたらすことが知られている。
【0038】
広い分布及びかなりの残留量を有するこのような組成物に対して行われるキャッピング反応は、実施の難点(粘性であり、取り扱いが難しく、収率が不十分であるなどを生じる可能性がある反応媒体)を提示する可能性があり、したがって、特定の場合には、あまり受け入れられない、実際あまり良くないことすらある適用特性を有するキャップされたアルコキシレート組成物を導く可能性がある。また、そのことが、おそらく、これまでこのようなキャップされたアルコキシレートが現在のところ工業的に開発されていない理由を説明するものである。
【0039】
一方、これは本発明の非常に特別な利点の1つであり、キャップされたアルコールアルコキシレート、非常に具体的には本明細書に記載されたキャップされた第二級アルコキシレートは、狭い分布を示し、まったく意外にも、適用性能品質の大幅な改善を示す。特に、本発明による組成物を界面活性剤として用いると、今日市販されている既知の組成物と比較して、発泡効果の低下及びより良好な洗浄性能特性を観察することができる。
【0040】
また、既に市販されている狭域アルコキシレートに対して上記のキャッピング反応を直接行うことにより、本発明による組成物を得ることもできる。これらの狭域アルコキシレートの中でも、例えば、Nouryonが販売するBerol(R)を挙げることができる。
【0041】
本発明に記載されているキャップされたアルコールアルコキシレートの一部は新規であり、そのようなものとして本発明の範囲内にある。
【0042】
したがって、別の態様によると、本発明は、ピーク幅値(2σ)が7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満、完全に好ましくは4未満の、狭い重量分布を有するキャップされた2-オクタノールアルコキシレートの混合物を含む組成物に関する。
【0043】
より具体的には、本発明は、上記のような1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル、フェニル基、ベンジル基、カルボキシ-COO-官能基を有する炭化水素基、及び糖単位を有する基から選択される基によってキャップされた2-オクタノールアルコキシレートを含む組成物に関する。
【0044】
さらにより具体的には、本発明は、以下を含む組成物に関する。
- エトキシル化された後、プロピレンオキシドでキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化された後、ブチレンオキシドでキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化及び/又はプロポキシル化された後、アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基から選択されるアルキル基又はベンジル基でキャップされた2-オクタノール、
- エトキシル化及び/又はプロポキシル化された後、カルボキシル(-(CH2)n-COOH、ここでnは限界値含む1~5の間の整数であり、任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム、好ましくはNa+、K+又はNH4
+の塩の形態である)によってキャップされた2-オクタノール
【0045】
非常に特に好ましい態様によれば、本発明は、以下を含む組成物に関する。
- 2-オクタノール 2-15OE 1OP、
- ベンジルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- メチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- エチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- プロピルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- ブチルでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- CH2-COOHでキャップされた2-オクタノール 2-15OE、
- 2-オクタノール 2-15OE 1-15OB、
- 2-オクタノール 2-15OE 1-15OP、
- 2-オクタノール 1-6OE 1-15OP。
【0046】
本発明の別の主題は、以下の連続する段階を含む、上で定義される本発明による組成物の調製の方法である。
a) 狭域型、好ましくはDMC型の少なくとも1種のアルコキシル化触媒の存在下で、アルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物から選択される1つ以上のアルキレンオキシドとを反応させる段階、
b) 段階(a)から生じた生成物とエンドキャップを行うことができる1種以上の化合物とを反応させる段階。
【0047】
段階a)のアルコキシル化は、最終組成で望まれるアルコキシル化単位の順序に応じて、1種以上のアルキレンオキシドを同時に、連続的に、又は交互に用いて行うことができる。
【0048】
本発明の方法で使用されるアルキレンオキシドは、多様な起源、特に「物質収支」アルキレンオキシド、特に生物を原料とした「物質収支」エチレンオキシド、「物質収支」アルキレンオキシドであり得る。有利には、使用されるエチレンオキシドは生物を原料としたものであり、例えば、エチレンオキシドは、トウモロコシデンプン、リグノセルロース材料、例えば、サトウキビバガスなどの農業廃棄物などにそれ自体由来するバイオエタノールの脱水に由来する生物を原料としたエチレンの酸化によって得ることができる。
【0049】
上に示したように、アルコキシル化反応は、得られるアルコキシレートの狭い重量分布をもたらし、好ましくは可能な限り最少の残留量のアルコールを伴う触媒の存在下で実施される。完全に適した触媒は二重金属シアン化物(DMC)型の触媒の群に属する。
【0050】
任意に、段階(a)から生じる生成物を単離することができるが、これは必要ではなく、特に、発アルコールの残留含有量が極めて少なく、無視できるためである。
【0051】
本発明の方法の段階a)で使用されるアルコールは、当業者に知られた任意のアルコールであり得、特に上記の通りであり、アルコールは、第一級及び第二級アルコール、好ましくは第二級アルコール、好ましくは2-オクタノール及びメチルイソブチルカルビノールから選択され、好ましいアルコールは2-オクタノールである。
【0052】
何故なら2-オクタノールはいくつかの点で非常に特別な利点を示すからであり、特にヒト又は動物の食品と競合しない生物を原料とする生成物に由来するからである。さらに、2-オクタノールは、沸点が高く、生分解性であり、良好な生態毒性学的プロファイルを示す。
【0053】
好ましい実施形態によれば、アルコールは、当業者に周知の従来技術に従って、乾燥後の段階a)で使用され、その結果、前記第二級アルコール中の水分含量は200ppm以下、好ましくは100ppm以下である。
【0054】
好ましくは、本発明の方法の段階a)のアルコキシル化反応に使用することができる触媒は、当業者に知られた任意の狭域触媒、特に二重金属シアン化物(DMC)型の触媒であることができる。触媒が二重金属シアン化物型の場合、それは当業者に周知の任意の性質のものでよく、例えば、特許US6429342号、US6977236号及びPL398518号に記載されている。特に、使用する触媒は、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛及び1種以上のリガンドを含み、例えば、Arcol(R)という名称でCovestroが販売する触媒又はMEO-DMC(R)という名称でMexeoが販売する触媒を含む。
【0055】
有利には、二重金属シアン化物型の触媒の含有量は、出発アルコールの含有量に対して1ppm~1000ppm、好ましくは1ppm~500ppm、好ましくは2ppm~300ppm、より好ましくは5ppm~200ppmの範囲である。
【0056】
反応は、当業者に周知の全ての温度及び圧力条件下で行うことができ、好ましい実施形態によれば、アルコキシル化段階(a)中の反応温度は、一般に80℃~200℃の間、好ましくは100℃~180℃の間である。段階(a)中の反応圧力は、0.01MPa~3MPa、好ましくは0.02MPa~2MPaの範囲であり得る。
【0057】
好ましくは、本発明による方法は、アルコキシル化及び/又はキャッピング段階で使用される残留酸化物、より具体的には、本発明による方法中に使用されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物の除去の段階を含む。したがって、この段階は、段階(a)の後及び/又は段階(b)の後、好ましくは段階a)の後に行われ得る。
【0058】
本発明の意味において、用語「残留酸化物」は、未反応の酸化物を意味すると理解される。好ましくは、残留酸化物の除去の前記段階は、加熱調理によって、すなわち、残留酸化物を消費するために70℃~170℃、好ましくは100℃~160℃の範囲の温度を維持することによって、及び/又は不活性ガスの流れの下でのストリッピングの段階によって行われる。あるいは、前記ストリッピング段階は、減圧下で行うことができる。
【0059】
好ましくは、除去段階後、残留酸化物の重量による含量は、この除去段階が段階b)の前又は後に実施されるかに応じて、一般に、キャップされているか又はキャップされていないアルコキシレートの総重量に対して0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下である。
【0060】
エンドキャッピング又はキャッピング反応(段階b)は、触媒の有無にかかわらず、例えば、文献EP2205711号及びWO2004037960号に記載されているように、当業者に知られた任意の方法に従って従来の方法で行われる。一般に、このキャッピング反応は、塩基性媒体(例えば、KOH又はNaOH)、又は前記の狭域型の触媒、特にDMC型の触媒の存在下で、特にキャッピングがアルキレンオキシドを用いて行われる場合、アルコキシドの形成後に行われる。典型的には、アルコキシレート又はアルコキシレートの混合物は、アルコキシドの形態で、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、ω-ハロゲン化カルボン酸ハロゲン化物など)と、又はアルキレンオキシドと反応させる。続いて、反応媒体を中和し、形成された塩を濾別し、予測された生成物を回収する。狭域型の触媒、特にDMC型の触媒の存在下でキャッピング反応を行うことを選択すると、段階a)で用いたものと同じ触媒を用い(実際、新鮮な触媒を添加しないことすらある)、段階a)で用いた触媒を用いることが有利である。
【0061】
本発明による方法は、バッチ状、半連続的又は連続的に行うことができる。当業者は、所望されるアルコキシレートの配列の分布、ランダム、交互又はブロックに従って、本発明による組成物の製造方法を適応させる方法を知っているものである。
【0062】
さらに、本発明による方法は、良好な安全性条件下でキャップされたアルコールアルコキシレートを合成する利点を示すので、工業規模で実施することができる。これは、温度及び圧力に関する操作条件が、本発明による方法のおかげで制御されるからである。特に、反応の発熱性を非常に容易に制御できる。
【0063】
キャップされたアルコールアルコキシレートの組成物は、精製、蒸留などの他の段階を提供する必要なく、反応器から離れる際に、ほとんどの場合、そのまま使用することができる。必要に応じて、濾過、乾燥、精製などの従来の操作を行うことができる。
【0064】
最後に、本発明の主題は、本発明によるキャップされたアルコールアルコキシレートの組成物の界面活性剤としての、特に、低い発泡力を有する界面活性剤(低発泡性界面活性剤)としての使用である。
【0065】
これは、特に狭い重量分布を特徴とする本発明の組成物が、性能の点で非常に有利な適用特性を示すためである。さらに、本発明の組成物は、特に低レベルのアルコキシル化(<8単位)に対して、完全に有利な生分解性プロファイルを示す。
【0066】
狭い重量分布を有するキャップされたアルコールアルコキシレートは、それらの組成物を、例えば、非常に多くの用途分野、例えば、主な用途分野のみに言及すると、非限定的に、洗剤用、化粧品用、鉱石の浮選用、潤滑剤として、特に金属加工流体用、乳化剤として、瀝青用途のアジュバントとして、湿潤剤として、溶媒として、融合剤として、加工助剤として、脱インキ用、ガス水和物凝集防止剤として、石油増進回収法で、腐食保護で、水圧破砕で、土壌バイオレメディエーションで、農薬(例えば、粒状製品、特に肥料及び植物保護製品のコーティング)で、さらには、ヒドロトロープ剤、帯電防止剤、塗料アジュバント、繊維アジュバントとして、ポリオール用、電池用電極及び電解質の製造のために、完全に適した組成物にする。
【0067】
本発明の別の主題は、上で定義されるキャップされたアルコールアルコキシレートの少なくとも1つの組成物と、単独で、又は全ての割合の下記の2種以上の混合物としての、水、アルコール、グリコール、ポリオール、鉱油、植物油、ワックスなどから選択される1種以上の水性の、有機の又は水性/有機の溶媒とを含む配合物である。
【0068】
本発明による配合物はまた、例えば、非限定的に、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤、レオロジー改質剤、脱乳化剤、堆積阻止剤、消泡剤、分散剤、pH制御剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、腐食阻害剤、殺生物剤及び他の添加剤、例えば、硫黄、ホウ素、窒素又はリン生成物などの、当業者に周知の1種以上の添加剤及び充填剤を含むことができる。添加剤及び充填剤の性質及び量は、想定される用途の性質に応じて広い割合内で変化することができ、当業者によって容易に調節することができる。
【0069】
本発明は、以後、限定的ではない以下の実施例によって説明される。
【実施例】
【0070】
使用した2-オクタノール(CAS RN123-96-6)は、Arkema Franceが販売している「精製」グレードの2-オクタノールであるOleris(R)(純度>99%)である。
【0071】
[実施例A:KOH触媒作用とDMC触媒作用との間の比較]
DMC触媒作用で得られた狭い分布効果を説明するために、塩基性水酸化カリウム触媒との比較において、プロピレンオキシド2mol当たり2-オクタノール1molの割合での2-オクタノールのアルコキシル化の試験を、一方はKOH触媒を用いて、他方はDMC触媒を用いて、同じ操作条件下で実施する。
【0072】
いずれも予め2-オクタノールを乾燥させておく(KOHでは1000ppm未満、DMCでは200ppm未満)。触媒量は一方では2500ppmのKOHに、他方では100ppmのDMCに等しい。反応は130~170℃の間の温度で0.15~0.6MPaの間の圧力下のオートクレーブで行う。ガスクロマトグラフィーにより測定し、各アルコキシレートのピークの表面積の%で表したアルコキシレート化合物の重量分布の結果を以下の表1に示す。
【0073】
【0074】
この実施例において、DMCの触媒作用では、分布は全体として2に等しい数多くのOP単位を中心にしていることがわかる。また、アルコール(OPの数=0)の残留量は、KOH触媒作用の場合よりもDMC触媒作用の場合の方が著しく低いことにも注目される。
【0075】
さらに、塩基性触媒作用から生じる値で計算した2σ値は5.0であるが、DMC触媒作用から生じる値で計算したこの2σ値は2.9である。
【0076】
[実施例1:DMC触媒反応における2-オクタノール 6OE 4OPの合成]
水分を200ppm未満に乾燥させた750g(5.76mol)の2-オクタノール及び0.11g(150ppm)のDMC触媒Arcol(R)を清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。30gのエチレンオキシドを120℃で導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち全部で1520g(34.56mol)を約140℃の温度で2時間50分間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで、残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、予想される生成物、すなわち、2-オクタノール 6OE(IOH:138mg KOH/g、77Hzの着色)1000gを取り出す。
【0077】
20gのプロピレンオキシドgを130℃の温度で、反応器に残った1270g(3.22mol)の2-オクタノール 6OE導入する。反応の開始が観察されると、残りのプロピレンオキシド、すなわち、全部で747g(12.9mol)を約140℃の温度で55分間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留プロピレンオキシドを窒素で除去する。
【0078】
反応終了時、2015gの透明な2-オクタノール 6OE 4OPを50℃で回収する(IOH:86mg KOH/g、10Hzの着色)。
【0079】
[実施例2:DMC触媒作用による2-オクタノール 6OE 4OBの合成]
水分を200ppm未満に乾燥させた500g(3.84mol)の2-オクタノール及び0.075g(150ppm)のDMC触媒Arcol(R)を清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。120℃の温度で25gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で1015g(23mol)を約140℃の温度で2時間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで、残留ブチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、生成物、すなわち、2-オクタノール 6OE(IOH:140mg KOH/g及び50Hzの着色)1000gを取り出す。反応器に残った513g(1.3mol)の2-オクタノール 6OEに130℃の温度で20gのブチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されると、残りのブチレンオキシド、すなわち、合計で375g(5.2mol)を約140℃の温度で45分間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留ブチレンオキシドを窒素で除去する。
【0080】
反応終了時、50℃で880gの透明な2-オクタノール 6OE 4OBを回収する(IOH:81mg KOH/g及び20Hzの着色)。
【0081】
[実施例3:DMC触媒作用における2-オクタノール 13OEベンジルエーテルの合成]
水分を200ppm未満に乾燥させた500g(3.84mol)の2-オクタノール及び0.075g(150ppm)のDMC触媒Arcol(R)を、清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。30gのエチレンオキシドを120℃で導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で2200g(50mol)を約140℃の温度で3時間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、2700gの生成物、すなわち、2-オクタノール 13OE(IOH:78mg KOH/g及び20Hzの着色)を取り出す。生成物は周囲温度で白色の固体である。
【0082】
2106g(3mol)の上記で得た2-オクタノール 13OE及び水10gを、機械的撹拌機、加熱手段、固体導入用の滴下漏斗及び窒素による不活性化システムを備えた4Lガラス反応器に仕込む。反応媒体を脱酸素するために窒素を散布しながら、反応媒体を90℃にする。その後、窒素を反応器のヘッドスペースに入れ、132g(3.3mol)の水酸化ナトリウムビーズ、すなわち、15%過剰を加える。続いて、媒体を100℃~105℃にし、圧力を約300mbarに低下させて、水を蒸留除去する。停止の基準は、水分含有率が1.5%未満であることである。続いて、反応媒体を70℃に戻し、次いで342g(2.7モル)の塩化ベンジルを約60分かけて添加する。温度を120℃で5時間維持する。70℃に戻した後、pH7になるまで反応媒体を37%塩酸で中和する。水を減圧で蒸留除去して、生成した塩化ナトリウムを沈殿させる。後者を濾過し、2300gのベンジルでキャップされた2-オクタノール 13OEを回収する。
【0083】
[実施例4:DMC触媒作用における2-オクタノール 9OEエーテルカルボン酸の合成]
水分を200ppm未満に乾燥させた500g(3.84mol)の2-オクタノール及び0.075g(150ppm)のDMC触媒Arcol(R)を、清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。120℃の温度で25gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で1520g(34.56mol)を約140℃の温度で2時間30分かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、2010gの生成物、すなわち、2-オクタノール 9OE(IOH:105mg KOH/g、着色35Hz)を取り出す。
【0084】
1578g(3mol)の上記で得た2-オクタノール 9OEを、機械的撹拌機、加熱手段、固体導入用の滴下漏斗及び窒素による不活性化システムを備えた3Lガラス反応器に仕込む。反応媒体を脱酸素するために窒素を散布しながら、反応媒体を50℃にする。その後、窒素を反応器のヘッドスペースに入れ、126g(3.15mol)の水酸化ナトリウムビーズを加える。減圧下で水を蒸留除去する。次に367g(3.15mol)のモノクロロ酢酸ナトリウムを50℃で加える。反応終了時に反応媒体を37%塩酸で中和する。1610gの2-オクタノール 9OEエーテルカルボン酸を回収する。
【0085】
[実施例5:塩基性KOH触媒作用による1-デカノール 5OEの合成]
水分を1000ppm未満に乾燥させた500g(3.16mol)の生物を原料とする1-デカノール(Ecogreen販売)及びペレットとして1.5g(3000ppm)の水酸化カリウム(KOH)触媒を清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。30gのエチレンオキシドを120℃で導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で695g(15.8mol)を約140℃の温度で1時間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、1180gの粗生成物1-デカノール 5OEを取り出し、酢酸で中和する(IOH:153mg KOH/g、385Hzの着色)。
【0086】
[実施例6:DMC触媒作用による1-デカノール 5OEの合成]
水分を200ppm未満に乾燥させた500g(3.16mol)の生物を原料とする1-デカノール(Ecogreen社販売)及び0.075g(150ppm)のDMC触媒(Mexeo販売)を清潔で乾燥した4Lのオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。120℃の温度で35gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で695g(15.8mol)を約140℃の温度で1時間かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、1185gの生成物、すなわち、1-デカノール 5OE(IOH:145mg KOH/g及び23Hzの着色)を取り出す。
【0087】
ガスクロマトグラフィーにより測定し、各アルコキシレートのピークの表面積の%で表したアルコキシレート化合物の重量分布の結果を以下の表2に示す。
【0088】
【0089】
塩基性触媒作用から得られた値で計算した2σ値は7.3であるが、DMC触媒作用から得られた値で計算したこの2σ値は3.7である。
【0090】
[実施例7:水酸化カリウム(KOH)触媒作用のベンジル化1-デカノール 13OEの合成]
段階a):エトキシル化
水分を1000ppm未満に乾燥させた500g(3.16mol)の生物を原料とする1-デカノール(Ecogreen販売)及び1.5g(3000ppm)の固体KOHを清潔で乾燥した4Lのオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。30gのエチレンオキシドを120℃で導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で1807g(41mol)を約140℃の温度で2時間40分かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、2281gの生成物、すなわち、1-デカノール 13OE(IOH:77mg KOH/g、溶融生成物上の480Hzの着色)を取り出す。この生成物は周囲温度で白色の固体である。
【0091】
段階b):キャッピング
前段階で得られた2000g(2.74mol)の1-デカノール 13OE及び水10gを、機械的撹拌機、加熱手段、固体導入用の滴下漏斗及び窒素による不活性化システムを備えた4Lガラス反応器に仕込む。反応媒体を脱酸素するために窒素でパージしながら、反応媒体を90℃にする。続いて、窒素を反応器のヘッドスペースに入れ、次いで120g(3mol)の水酸化ナトリウムビードを加える。続いて、媒体を100℃~105℃にして、約30kPaまで減圧し、水分を蒸留除去する。停止の基準は水分含量1.5%未満である。反応媒体をその後70℃に戻す。次に329g(2.6mol)の塩化ベンジルを約60分かけて加える。温度を120℃で5時間維持する。70℃に戻した後、pH7になるまで反応媒体を37%塩酸で中和する。水を減圧で蒸留除去して、生成した塩化ナトリウムを沈殿させる。後者を濾別し、2195gのベンジルでキャップされた1-デカノール 13OEを回収する。
【0092】
[実施例8:DMC触媒作用のベンジル化1-デカノール 13OEの合成]
段階a):エトキシル化
水分を200ppm未満に乾燥させた500g(3.16mol)の生物を原料とする1-デカノール及び0.075g(150ppm)のDMC触媒であるArcol(R)を、清潔で乾燥した4Lオートクレーブに仕込む。反応器を閉じ、窒素でパージし、圧力下で漏れ気密性をチェックする。反応器を窒素で加圧する。反応媒体を、撹拌しながら90℃にすることから始める。120℃の温度で35gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されると、残りのエチレンオキシド、すなわち、全部で1807g(41mol)を約140℃の温度で2時間40分かけて導入する。添加の終了時に、温度を30分間維持し、次いで残留エチレンオキシドを窒素で除去する。反応器を80℃まで冷却し、2290gの生成物、すなわち、1-デカノール 13OE(IOH:75mg KOH/g、溶融生成物上の30Hzの着色)を取り出す。この生成物は周囲温度で白色の固体である。
【0093】
段階b):キャッピング
2190g(3mol)の上記で得られた1-デカノール 13OE及び水10gを、機械的撹拌機、加熱手段、固体導入用の滴下漏斗及び窒素による不活性化システムを備えた4Lガラス反応器に仕込む。反応媒体を脱酸素するために窒素を散布しながら、反応媒体を90℃にする。その後、窒素を反応器のヘッドスペースに入れ、132g(3.3mol)の水酸化ナトリウムビーズを加える。続いて、媒体を100℃~105℃にして、約30kPaまで減圧し、水分を蒸留除去する。停止の基準は水分含量1.5%未満である。続いて、反応媒体を70℃に戻し、366g(2.9モル)の塩化ベンジルを約60分かけて添加する。温度を120℃で5時間維持する。70℃に戻した後、pH7になるまで反応媒体を37%塩酸で中和する。水を減圧で蒸留除去して、生成した塩化ナトリウムを沈殿させる。後者を濾別し、2390gのベンジルでキャップされた1-デカノール 13OEを回収する。
【0094】
[実施例9:2-オクタノール 3OEスルホコハク酸二ナトリウムモノエステルの合成]
393g(1.5mol)のWO2019092366号に記載されたDMC触媒により調製された2-オクタノール 3OEを、撹拌機及び固体導入用システムを備えた2Lガラス反応器に仕込む。
【0095】
反応媒体を60~70℃の間の温度にし、次に154g(1.57mol)の無水マレイン酸をこの温度を維持し、撹拌しながら徐々に導入する。添加後、70℃で1時間この温度を維持する。次に、定量によってエステル化の程度をチェックする。次に20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(すなわち、1.57mol)816gを75~90℃の間の温度で撹拌しながら流す。添加後、反応媒体を90℃に維持する。反応が完了したら反応媒体を冷却し、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを調整し、反応器を空にする。
【0096】
[実施例10:2オクタノール 3OEモノグルコシドの合成]
WO2019092366号に記載されたDMC触媒により調製された655g(2.5mol)の2-オクタノール 3OE、90g(0.5mol)のグルコース及び7.45g、すなわち反応媒体の1%のパラ-トルエンスルホン酸を、撹拌器、滴下漏斗、電気加熱システム及び減圧配置システムを備えた1Lガラス反応器に仕込む。
【0097】
媒体を攪拌しながら不活性雰囲気下で115℃にする。次に、30mmHg(すなわち、4kPa)の値までの減圧下でこのアセンブリを徐々に置く。生成した水を蒸留除去し、コールドトラップで回収する。反応を約7時間続け、グルコースをすべて変換する。
【0098】
冷却を行い、触媒を水酸化ナトリウムで中和する。過剰のエトキシル化アルコールはWFSP(一掃フィルム短経路)技術を用いた減圧蒸留により回収できる。
【国際調査報告】