IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルケマ フランスの特許一覧

特表2022-552998改善されたヒドロトロープ力を有するアルコキシレート
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】改善されたヒドロトロープ力を有するアルコキシレート
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/72 20060101AFI20221214BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20221214BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20221214BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20221214BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/40
C11D3/50
C11D3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522885
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 FR2020051859
(87)【国際公開番号】W WO2021074547
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】1911678
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレ,カール
(72)【発明者】
【氏名】ジレ,ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】バルトリーニ,トニー
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AA01
4H003AC09
4H003AC23
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA11
4H003DA17
4H003DA19
4H003EB04
4H003ED02
4H003FA12
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートを含む洗剤調合物に関し、及び、洗剤調合物における、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートの、増強されたヒドロトロープ力を有する界面活性剤としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートを含む洗剤調合物であって、前記第二級アルコールが、端点を含めて、3~22の炭素原子、好ましくは5~22の炭素原子、より好ましくは5~20の炭素原子、非常に好ましくは5~18の炭素原子を含み、前記第二級アルコールが、オキシエチレン(OE)、オキシプロピレン(OP)及びオキシブチレン(OB)から選択されるオキシアルキレン単位によってアルコキシル化され、オキシアルキレン単位の総数が、端点を含めて、2~100、好ましくは3~100、より好ましくは3~50、さらに好ましくは3~40、そして非常に詳細には3~30である、洗剤調合物。
【請求項2】
前記第二級アルコールが、端点を含めて、45g mol-1~300g mol-1、好ましくは70g mol-1~250g mol-1、より好ましくは80g mol-1~200g mol-1の重量平均モル質量を有する、請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
前記第二級アルコールが、3~14の炭素原子、より好ましくは6~12の炭素原子を含み、そして、非常に好ましくは、第二級アルコールが、2-オクタノール及び4-メチル-2-ペンタノールから選択され、そして有利には、第二級アルコールは、2-オクタノールである、請求項1又は2に記載の調合物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、狭域第二級アルコールアルコキシレート、とりわけ、狭域触媒作用による、より好ましくはシアン化二金属(DiMetallic Cyanide又はDMC)触媒作用による第二級アルコールのアルコキシル化によって得られる狭域第二級アルコールアルコキシレートから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、少なくともエチレンオキシド単位(EO)を含み、そして好ましくは少なくともエチレンオキシド単位(EO)と少なくともプロピレンオキシド単位(PO)とを含み、前記単位が、ランダムに、交互に又はブロックで配置されていてよく、そして好ましくはブロックで配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、エトキシ単位を有する2-オクタノール、エトキシ単位とプロポキシ単位とを有する2オクタノール、エトキシ単位とブトキシ単位とを有する2-オクタノール、プロポキシ単位を有する2-オクタノール、プロポキシ単位とブトキシ単位とを有する2-オクタノール、及びブトキシ単位を有する2-オクタノールから選択され、そして好ましくはエトキシ単位を有する2-オクタノール及びエトキシ単位とプロポキシ単位とを有する2-オクタノールから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、2-オクタノール 2-15 EO、2-オクタノール 2-15 EO 1 PO、2-オクタノール 2-15 EO 1-15 BO、2-オクタノール 2-15 EO 1-15 PO、及び2 オクタノール 1-6 EO 1-15 POから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項8】
第二級アルコールアルコキシレートの量が、調合物の総重量に対して、1重量%~99重量%、より一般的には1重量%~50重量%、有利には1重量%~25重量%のアルコキシレートである、請求項1~7のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項9】
洗浄剤、界面活性剤、香料、染料、不活性フィラー、注入剤、ならびに、水、アルコール、グリコール及びポリオールから選択される水性溶媒、有機溶媒及び水性有機溶媒、鉱物油、植物油、蝋などから選択される、添加剤及びフィラーの1つ以上を、単独で、又はこれらの2以上を任意の割合で混合してさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項10】
洗剤調合物における、ヒドロトロープ力を有する界面活性剤としての、請求項1~7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートの使用。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、請求項1~7のいずれか1項に記載されている、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、狭域触媒作用によって得られる、請求項10又は11に記載の使用。
【請求項13】
食器洗いのため、多目的洗浄のため、硬質表面洗浄のため、衣類洗濯のため、化粧品のため、衛生陶器洗浄のため、一般的な自動車洗浄のため、及び定置洗浄(CIP)のための洗剤調合物における、請求項10、11、又は12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤を含有する調合物の一般的分野、より詳細には、非イオン性界面活性剤を含有する調合物の分野、そして特に、アルコキシル化非イオン性界面活性剤を含有する調合物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシル化化合物は、今日、多数の用途(それらの用途をいくつかのみ挙げると、溶媒、ヒドロトロープ剤又は他の界面活性薬剤など)を有する広範な性質をもたらす化合物のクラスを表すことが公知である。したがって、アルコキシル化化合物は、非常に多数の用途分野において真の産業的な利益を示す、界面活性剤性質を有する化合物のクラスを構成する。
【0003】
アルコキシル化化合物の界面活性剤としての使用は、非常に多くかつ多様な使用、例えば、洗剤又は洗濯もしくは洗浄のための調合物の形態でのための、今日実質的である界面活性剤の容量での1つの非常に好ましい用途を構成しており、少ないがその例を提示する。
【0004】
洗剤調合物の中で、界面活性剤の固有の性質は、通常は有機性かつ親油性である汚損と、親水性媒体、一般的には水性媒体との間を適合性にさせることにより、親油性の汚損を親水性の媒体で除去することを可能にする。
【0005】
しかし、このような界面活性剤は、これらが使用される媒体に対する可溶性の問題を示すことがあり、それゆえにしばしば、界面活性剤に1つ以上の可溶化剤を加える必要がある。特に好適な可溶化剤の中でもとりわけ、一般に、ヒドロトロープ剤が使用される。
【0006】
実際に,ヒドロトロープ剤は、疎水性化合物を水溶液中に可溶化する化合物である。現在、ヒドロトロープ剤は、洗剤の調合物において、特に、より高濃度の界面活性剤を含ませることを可能にするために、産業的に一般的に使用されている。
【0007】
さらに、特定の界面活性剤は、それ自体がヒドロトロープ力を有するため、別のヒドロトロープ剤の添加を任意選択にするか又は不要にすらすることが公知である。したがって、他のヒドロトロープ剤の添加を避け、洗剤調合物の調合を複雑にしないようにし、その製造コストを低減させることができるだけでなく、また、特に、環境保護の明らかな理由から、調合物をさらに投入することを避けるという、増強されたヒドロトロープ力又は高いヒドロトロープ力を有する界面活性剤を含むことの利点を証明することができる。
【0008】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤を含むそれらの洗剤調合物、換言すると、少なくとも1つのアルコキシ単位及び好ましくは少なくとも2つのアルコキシ単位を有する界面活性剤についての需要は、特に喫緊である。これらの調合物としては、説明の目的であって限定はしないが、多目的洗浄剤、化粧品、硬質表面洗浄のための調合物、衣料の洗濯、衛生器具の洗浄、一般的な自動車の洗浄、定置洗浄(CIP)、その他が挙げられる。
【0009】
これらの種類のアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、例えば、国際特許出願WO2009000852に記載され、この界面活性剤は、第一級Neodolアルコール(Fischer-Tropschプロセスによって得られる分枝鎖状ポリアルコール)のアルコキシレートである。
【0010】
さらなるポリアルコキシレートは、国際特許出願WO2012005897に記載され、これは、広範な用途における界面活性剤としての使用のための、アルコールのアルコキシル化を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2009/000852号
【特許文献2】国際公開第2012/005897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば上で挙げた文献に記載されるもののようなアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、しかし、しばしば不十分なヒドロトロープ力を示すので、結果として、さらに増強された、又はまたは相当なヒドロトロープ力を有する、非イオン性界面活性剤ベースの洗剤調合物についての需要が、今日でも存在している。
【0013】
本発明の別の目的は、バイオベース製品(biobased product)から、より詳細にはヒト又は動物の食物連鎖と競合しないバイオベース製品から得られる、増強されたヒドロトロープ力を有する界面活性剤ベースの洗剤調合物を提供することである。
【0014】
これらの目的は、本明細書中以後の記載で示される本発明によって、完全に又は少なくとも部分的に、達成され得る。なおさらなる利点は、本発明の上記記載において明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここで、驚くべきことに、出願人は、いくつかのアルコキシレートが、先行技術で公知のアルコキシレートによって観察された場合と比較して増強されたヒドロトロープ力を示すことを見出しており、そして好都合にも、これらのアルコキシレートが、洗剤調合物の組成物の界面活性剤としての部分を形成し得る。
【0016】
したがって、第1の態様にしたがって、本発明は、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートを含む洗剤調合物に関し、この第二級アルコールは、端点を含めて、3~22の炭素原子、好ましくは5~22の炭素原子、より好ましくは5~20の炭素原子、非常に好ましくは5~18の炭素原子を含み、この第二級アルコールは、オキシエチレン(OE)、オキシプロピレン(OP)及びオキシブチレン(OB)から選択されるオキシアルキレン単位によってアルコキシル化され、オキシアルキレン単位の総数が、端点を含めて、2~100、好ましくは3~100、より好ましくは3~50、さらに好ましくは3~40、そして非常に詳細には3~30である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第二級アルコールアルコキシレートのオキシアルキレン単位は、同じであっても異なっていてもよく、そして、異なっている場合、どのように(例えば、ランダムに、ブロックで、交互に又は順々に、など)並べられていてもよい。本発明の目的のためには、ブロックで並べられたオキシアルキレン単位を有すると上で定義された第二級アルコールアルコキシレートの使用が、特に好ましい。
【0018】
本発明の別の好ましい態様にしたがって、アルコキシル化反応(単数又は複数)のための開始基質として使用されるアルコールは、0、1又は2、より好ましくは1又は2の枝分かれ度を有する。
【0019】
本発明の意味において、表現「枝分かれ度」は、アルコキシル化反応(単数又は複数)のための開始基質として使用されるアルコール上に存在する末端メチル(-CH)基、メチレン(=CH)基及びメチン(≡CH)基(「末端基」と呼ぶ)の総数を示す(この総数から1の値が減算されている)。換言すると、枝分かれ度Dは、アルコキシル化反応(単数又は複数)のための開始基質として使用されるアルコール上に存在する末端基の合計総数と1との間の相違と等しい整数である。この等式は、以下のように表し得る:
D=Σ(末端基)-1
【0020】
したがって、開始アルコールが2末端メチル基を含む場合、枝分かれ度は、1(D=Σ(末端基)-1=2-1=1)となる。例えば、カルダノール(1末端メチレン基)の枝分かれ度は0であり、2-オクタノールの枝分かれ度は1であり、そして4-メチル-2-ペンタノールの枝分かれ度は2である。
【0021】
上で示したとおり、アルコキシル化反応(単数又は複数)のための開始基質として使用されるアルコールは、3~22、好ましくは5~22、の炭素原子、より好ましくは5~20、及び非常に好ましくは5~18の炭素原子を含む。炭素原子は、直鎖状であっても、分枝鎖状であっても、又は、完全にもしくは部分的に環状の鎖であってもよい。1つの好ましい実施形態にしたがって、本発明にしたがう調合物において、第二級アルコールは、端点を含めて、45g mol-1~300g mol-1、好ましくは70g mol-1~250g mol-1、より好ましくは80g mol-1~200g mol-1の重量平均モル質量を有する。
【0022】
開始基質として使用されそしてアルコキシル化を企図される第二級アルコールは、任意の種類及び任意の起源であってよく、そしてより詳細には、石油起源のもの、又は、バイオベース起源、例えば動物起源もしくは植物起源などであってもよい。しかし、明白な環境保護の理由により、バイオベース起源の第二級アルコールが、好ましい。
【0023】
さらに、3~14の炭素原子、より好ましくは6~12の炭素原子を含有する第二級アルコールが好ましく、そして、詳細な好ましい実施形態にしたがって、第二級アルコールは、2-オクタノール及び4-メチル-2-ペンタノールから選択され、そして非常に有利には、第二級アルコールは、2-オクタノールである。
【0024】
多くの観点において、2-オクタノールに特に関心を寄せる理由は、詳細には、ヒト又は動物の食物と競合しないバイオベース製品に由来するからである。さらに、高い沸点を有する2-オクタノールは、生分解性でありかつ良好な生体毒性プロファイルを示す。
【0025】
上で示されるとおり、反復するアルコキシ単位は、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位、ならびにこれらの混合物から選択される。用語「エチレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後にエチレンオキシドから得られる単位をいい、「プロピレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後にプロピレンオキシドから得られる単位をいい、そして「ブチレンオキシド単位」は、オキシラン環の開環後にブチレンオキシドから得られる単位をいう。
【0026】
上述のアルキレンオキシドは、広範な起源のものであってよく、そしてより詳細には「マスバランス」アルキレンオキシドであってよく、より詳細には「マスバランスエチレンオキシド」であってよく、そしてバイオベース起源のアルキレンオキシドであってよい。エチレンオキシドは、有利には、起源においてバイオベースである;例えば、エチレンオキシドは、バイオエタノールの脱水に由来するバイオベースのエチレンの酸化によって得られてもよく、このバイオエタノールは、トウモロコシデンプン、リグノセルロース物質、ならびに例えばサトウキビバガスなどの農業廃棄物に由来する。
【0027】
ここで定義されておりそして本発明にしたがう増強されたヒドロトロープ力を有する洗剤調合物の調製において有用である第二級アルコールアルコキシレートは、当業者に公知である任意の手段によって、そしてより詳細には、アルコールアルコキシル化の任意の公知の方法によって、調製され得る。
【0028】
アルコールアルコキシル化は、従来的には、そして好都合には、触媒の存在下で実施され、アルコキシル化は、好都合には、塩基性触媒又はアルカリ性触媒によって、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)(それぞれ、ナトリウム触媒又はカリウム触媒と呼ばれる)を用いて、実施される。
【0029】
他の種類の触媒が使用されてもよく、そして詳細には、アルコキシレート単位の、狭いか又は非常に狭い数分布を有するアルコキシレートを生じる、アルコキシル化の専門の当業者に現在公知であるものが、使用されてもよい。この種の触媒は、「狭域」(狭い分布)触媒として公知であり、例えば、カルシウムベースの触媒又はホウ素誘導体ベースの触媒(例えば酸性BF誘導体触媒)、ヒドロタルサイト触媒、及びシアン化二金属(DiMetallic Cyanide又はDMC)触媒から選択される。
【0030】
本発明の目的のために、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが狭域第二級アルコールアルコキシレート、とりわけ、狭域触媒作用による、より好ましくはDMC触媒作用による第二級アルコールのアルコキシル化によって得られる狭域第二級アルコールアルコキシレートから選択される、調合物が好ましい。
【0031】
1つの実施形態にしたがって、本発明にしたがう洗剤調合物において増強されたヒドロトロープ力を有する界面活性剤として使用される第二級アルコールアルコキシレートは、キャップされた第二級アルコールアルコキシレートであり、これは、例えば文献EP2205711において、又は他に国際特許出願WO2004037960において記載されるように、末端-OH部分が置換されているアルコキシレートである。
【0032】
好ましい態様にしたがうと、末端部分のキャップ又はより単純にエンドキャップとも呼ばれる末端部分の置換基は、1~6の炭素原子を含む直鎖状又は分枝鎖状のアルキル、フェニル基、ベンジル基、カルボキシル官能基-COO-を有する炭化水素基、及び糖単位を有する基から選択される基である。
【0033】
第二級アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基及びアルキルカルボキシル基、ならびに後者の塩から選択される。カルボキシル官能基の可能性のある塩としては、当業者に周知の塩を含み、より詳細には、主な代表例のみを述べると、金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。詳細には、好ましい塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩である。
【0034】
別の実施形態にしたがい、第二級アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、アルキレンカルボキシル及びその塩から選択され、任意選択的に官能性付与される。1つの代表的な非限定の例は、スルホサクシネート基によって表され、より詳細には、スルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸カリウム、スルホコハク酸カルシウム及びスルホコハク酸アンモニウムによって表される。
【0035】
なお別の実施形態にしたがい、第二級アルコールアルコキシレートのエンドキャップは、糖単位、例えばグルコース(単糖類の場合)を担う基、又は2以上の糖単位(APGとも呼ばれるアルキル多糖類の場合)から選択される。
【0036】
本発明のなお別の実施形態にしたがい、上記少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートが、少なくともエチレンオキシド(EO)単位を含む洗剤調合物が、好ましい。本発明の別の好ましい実施形態にしたがい、洗剤調合物は、少なくともエチレンオキシド(EO)単位及び少なくともプロピレンオキシド(PO)単位を有する少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートを含み、ここで、単位は、ランダムに、交互に又はブロックで配置されていてよく、そして好ましくはブロックで配置されている。
【0037】
なお別の好ましい実施形態にしたがい、本発明にしたがう洗剤調合物における第二級アルコールアルコキシレートが担う繰り返し単位の総数は、端点を含めて、1~30、好ましくは2~20、より好ましくは3~20、有利には3~15である。
【0038】
1つのとりわけ好ましい実施形態において、本発明にしたがう洗剤調合物は、少なくとも1つの2-オクタノールアルコキシレートを含む。特に好都合には、このアルコキシレートは、エトキシ単位を有する2-オクタノール、エトキシ単位とプロポキシ単位とを有する2オクタノール、エトキシ単位とブトキシ単位とを有する2-オクタノール、プロポキシ単位を有する2-オクタノール、プロポキシ単位とブトキシ単位とを有する2-オクタノール、及びブトキシ単位を有する2-オクタノールから選択される。しかし、少なくともエトキシ単位を有する2-オクタノール又は少なくともエトキシ単位とプロポキシ単位とを有する2-オクタノールを含む洗剤調合物が、好ましい。
【0039】
本発明にしたがう調合物にとりわけ好適な第二級アルコールアルコキシレートの例は、2-オクタノール 2-15 EO、2-オクタノール 2-15 EO 1 PO、2-オクタノール 2-15 EO 1-15 BO、2-オクタノール 2-15 EO 1-15 PO、及び2 オクタノール 1-6 EO 1-15 POから選択されるものである。
【0040】
本発明にしたがう洗剤調合物における第二級アルコールアルコキシレート(単数又は複数)の量は、1つ以上のアルコキシレートの性質、ならびに調合物の性質及び意図される用途にしたがって、広い割合で変動し得る。原則として、第二級アルコールアルコキシレート(単数又は複数)の量は、調合物の総重量に対して、1%~99重量%、より一般的には1重量%~50重量%、有利には1重量%~25重量%のアルコキシレート(単数又は複数)である。
【0041】
本発明にしたがう調合物は、調合物の専門家、詳細には洗剤調合物の専門家である当業者に公知の、任意の種類の添加剤又はフィラーを含み得る。
【0042】
したがって、非限定の例として、本発明にしたがう洗剤調合物は、洗浄剤、とりわけ塩基性洗剤、例えば水酸化ナトリウム、例えば、界面活性剤、香料、染料、不活性フィラー、注入剤、ならびに、水、アルコール、グリコール及びポリオールから選択される水性溶媒、有機溶媒及び水性有機溶媒、鉱物油、植物油、蝋などから選択される、添加剤及びフィラーの1つ以上を、単独で、又はこれらの2以上を任意の割合で混合して含んでもよい。
【0043】
本発明にしたがう調合物は、より詳細には、当業者に周知の1つ以上の添加剤及びフィラー、例えば、非限定で、陰イオン性、陽イオン性、両性及び非イオン性の界面活性剤、レオロジー改質剤、粘滑剤、発泡剤、消泡剤、ヒドロトロープ剤、沈殿防止剤、分散剤、pH調節剤、染料、抗酸化剤、保存料、腐食防止剤、殺生物剤、ならびに例えば硫黄、ホウ素、窒素及びリンなどを含有する製品などを、含んでもよい。添加剤及びフィラーの性質及び量は、意図する用途の性質に依存して、広い割合で変動し得、そして当業者によって容易に適応させられ得る。
【0044】
上記したとおり、本発明にしたがう洗剤調合物は、定義したとおりの増強されたヒドロトロープ力を有する第二級アルコールアルコキシレートを含み、それにより、それを含む調合物に、とりわけ可溶化の点で、しかしさらに洗浄力の点でも、完全に有利な特性を付与する。本発明の調合物、より詳細には、2-オクタノールアルコキシレートを含む本発明の調合物は、詳細には第二級アルコールアルコキシレートの高いヒドロトロープ力に起因して、増強された洗浄力を示すことが観察されている。
【0045】
最後に、本発明は、洗剤調合物における、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートの、増強されたヒドロトロープ力を有する界面活性剤としての使用に関する。実際に、ここで定義された種類の第二級アルコールアルコキシレート、より詳細には狭域触媒によって得られたアルコキシレートが、増強されたヒドロトロープ力を示し、そのヒドロトロープ力が、より詳細には、同じ数のアルコキシ単位を有するが異なる基質(例えば第一級アルコールなど)を有する他のアルコキシレートに対して増強されていることが、観察されている。
【0046】
定義したとおりの第二級アルコールアルコキシレート、とりわけ、狭域触媒によって得られた第二級アルコールアルコキシレートは、とりわけ、低レベルのアルコキシル化(8単位以下、好ましくは8単位未満、より好ましくは6単位以下、及びより好ましくはさらに4単位以下である)について、性能の点で非常に興味深い適用特性を有し、そして非常に好都合な生分解性プロファイルを有する。
【0047】
したがって、定義したとおりの第二級アルコールアルコキシレート、とりわけ、狭域触媒によって得られた第二級アルコールアルコキシレートは、食器洗いのための洗剤調合物において使用される場合に、その非常に良好な脱脂特性、可溶特性及び乳化特性、より詳細にはその増強されたヒドロトロープ力のおかげで、完全に適した適用を見出し、好適な界面活性剤となる。その理由は、増強されたヒドロトロープ力が、食器、より詳細にはグラスにしみを残す「スポッティング」の点において、よりよい結果をもたらすからである。
【0048】
したがって、定義したとおりの第二級アルコールアルコキシレートは、洗剤調合物において、より詳細には、食器洗いのため、多目的洗浄(クリーナー)のため、硬質表面洗浄のため、衣類洗濯(洗濯機)のため、化粧品のため、衛生陶器洗浄のため、一般的な自動車洗浄、ならびに、定置洗浄(CIP)のため、その他の洗剤調合物において、完全に有益な適用を見出す。
【0049】
上で定義した種類の第二級アルコールアルコキシレートは、乳化剤、湿潤剤、溶媒又は助剤として、このような界面活性剤が必要であるか又は所望される種々の調合物においてさらに使用され得、このような調合物は、より詳細には、適用の主な分野のみを述べると、浮遊選鉱のため、金属加工液のため、瀝青適用のため、インク抜きのため、油及び気体回収適用の増強のため、腐食からの保護のため、水圧破砕のため、汚損浄化のため、農芸化学において(例えば、粒状製品、とりわけ肥料及びプラントヘルス製品におけるコーティング)だけでなく、また、消泡剤、帯電防止剤、塗料助剤、織物助剤、ポリオールのため、バッテリー用の電極及び電解物の製品のための、調合物である。
【0050】
ここで、本発明は、以下の実施例によって説明されるが、これは、決して限定ではない。
【実施例
【0051】
数の変動するアルコキシ単位を有する第二級アルコールアルコキシレートを、そのヒドロトロープ力について試験し、そして数の変動するアルコキシ単位を有する第一級アルコールアルコキシレートと比較する。アルコキシレートを、当業者に公知の技術によって調製する。他に示さない限り、アルコキシレートを、例えばWO2019092366A1に記載される手順にしたがう狭域触媒によって、調製する。
【0052】
試験生成物のヒドロトロープ力を、参照生成物を含む溶液を加熱し、そして溶液中の参照生成物の不溶化(desolubilization)に起因して起こる濁りが消えた温度を記録することによって、性質決定する。ヒドロトロープ力は、この温度(℃で表す)に相当する。この温度が高いほど、生成物はよりヒドロトロープ性である。
【0053】
溶液を、しつこい濁りが現れるまでビーカー内で加熱する。この溶液は、以下を含む(他に示さない限り、重量百分率):
15重量%の水で希釈した5%のSurfaline(R) OX1308L(8 EO含有エトキシル化イソトリデカノール)(Arkemaにより販売される)、
2%の水酸化ナトリウム、
1%の試験生成物、
q.s. 100%の硬質除去水。
【0054】
これを、自然に冷まし、濁りが消えた温度を記録する。ヒドロトロープ力は、この温度(℃で表す)に相当する。この結果を、以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
*Oleris(R) 「精製」等級(純度99%超)の2-オクタノール(Arkema Franceにより販売される)。
【0056】
これらの結果は、同じ数のアルコキシ単位について、第二級アルコールアルコキシレートは、常により高いヒドロトロープ力を有することを示す。これは、通常は塩基性水性調合物である水性洗剤調合物の場合に、特に有利である。
【0057】
したがって、本発明は、詳細には、洗剤調合物の濃度の上昇を可能にすると同時に透明かつ完全に均一な外観を保つ、単純かつ有効な解決法を提供し、この解決法は、少なくとも1つの第二級アルコールアルコキシレートを、この洗剤調合物に加えることである。
【国際調査報告】