(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】安定発泡性共処理賦形剤組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/02 20060101AFI20221214BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221214BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221214BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221214BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20221214BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221214BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221214BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20221214BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20221214BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20221214BHJP
A61K 9/46 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/44
A61K47/26
A61K9/14
A23L5/00 C
A23L5/00 D
A23L5/00 A
A23L5/00 K
A23L5/00 E
A61K47/18
A61K47/22
A61K9/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522995
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020055400
(87)【国際公開番号】W WO2021076506
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596121138
【氏名又は名称】アイエスピー インヴェストメンツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュ デサイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マククリムリスク
(72)【発明者】
【氏名】クエン ヴォ シュウィング
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
【Fターム(参考)】
4B035LC05
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE11
4B035LG01
4B035LG04
4B035LG06
4B035LG07
4B035LG12
4B035LG17
4B035LG19
4B035LG31
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG34
4B035LK02
4B035LK03
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP36
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA48
4C076AA53
4C076BB01
4C076DD25
4C076DD38
4C076DD42
4C076DD52
4C076DD61
4C076DD67
4C076EE53
4C076FF01
4C076FF36
(57)【要約】
(i)アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類重炭酸塩およびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)約0.1~約50重量%の水溶性炭水化物糖アルコール;および(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸を含む、乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物。該組成物を調製する方法もまた開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
i.アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類重炭酸塩およびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;
ii.マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の水溶性炭水化物糖アルコール;および
iii.約0.001~約40重量%の1以上の有機酸
を含む、乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項2】
前記炭酸塩基が、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸水素カリウム(KHCO
3)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項3】
前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項4】
(i)前記組成物の安定性を向上させること;(ii)自由に流動し、かつ高度に圧縮可能な組成物を開発すること;および(iii)標準的な製品包装中でおよび標準的なすぐに混合できる飲料中で常温保存可能である発泡性製剤を開発することのために使用される、請求項1に記載の発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項5】
発泡性炭酸塩基の個々の粒子またはマンニトールでカプセル化された炭酸塩基の混合物を含む、微粉化された混合物を共処理する方法であって、前記方法が、共処理された塩基をマンニトールと溶液中で固形分20~30%で混合し、約8:2の重量比の増加で塩基または塩基混合物の表面に噴霧して、早期反応を防ぐバリアを提供する工程と、得られたカプセル剤を乾燥し、マンニトールと共処理したクエン酸と乾燥混合する工程とを含む、方法。
【請求項6】
錠剤、カプセル、ペレット、ミニ錠剤または小袋の調製に使用する、請求項1に記載の発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項7】
医薬品、食品、工業、殺生物剤、防腐剤または農薬製剤中で使用される、請求項1に記載の発泡性共処理賦形剤組成物。
【請求項8】
以下を含む経口固形剤形:
a)以下を含む、約10~約75重量%の乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物:(i)重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸水素カリウム(KHCO
3)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)およびこれらの組合せからなる群から選択される、約0.1~約50重量%1以上の炭酸塩基;(ii)約0.001~約50重量%のマンニトール;(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸;
b)ステビア、アスパルテーム、スクラロースおよびサッカリンからなる群から選択される、約1~約3重量%の1以上の甘味料;および
c)アボカド、ココナッツ、パーム、オリーブ、コーン、ヒマワリ、アーモンド、カノーラ、ベリー、チェリー、パッションフルーツ、オレンジ、ブルーアイス、トロピカルフルーツ、ラズベリー、レモンフレーバーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約1重量%の1以上の食品グレード油またはフレーバー。
【請求項9】
前記甘味料がステビアである、請求項8に記載の経口固形剤形。
【請求項10】
前記食品グレード油またはフレーバーがアボガドまたはベリーフレーバーである、請求項8に記載の経口固形剤形。
【請求項11】
前記経口固形剤形が錠剤、カプセル、ペレット、ミニ錠剤、顆粒または粉末の形態である、請求項8に記載の経口固形剤形。
【請求項12】
食品、医薬品または栄養補助食品成分を含む、請求項8に記載の経口固形剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下、すなわち、(i)約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)約0.1~約50重量%の水溶性炭水化物糖質アルコール;および(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸を含む、乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物に関する。この組成物は標準の製品包装で常温保存可能であり、標準的なすぐに混合できる飲料に有用である
【背景技術】
【0002】
発泡性剤形は、栄養補助食品および医薬品の患者および消費者を中心とした経口送達システムとしてよく知られ、受け入れられている。発泡させるために、重炭酸ナトリウムや炭酸水素カリウムなどの炭酸塩基と、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの適切な有機酸とを、水の存在下で、適切な化学量論的比率で組み合わせる。酸と塩基は激しく反応し、泡や発泡の形でCO2を放出し、これは一般に、消費者による感覚体験の向上と関連している。このような剤形は顆粒に処方することができ、小袋に包装して使用時にコップの水に分散させるか、または発泡性錠剤に圧縮し、これをコップの水に溶かして魅力的な炭酸飲料とすることができる。
【0003】
現在の発泡性製品は、市販品として極端に低い湿度での処理、および包装環境を必要とする。製剤の初期の望ましくない反応のため、故障率の高い高価な装置および包装部品が必要とされる。
【0004】
そのような剤形は望ましく、そして便利であるが、発泡反応は、環境の水分、すなわち空気中に存在する湿度によって誘発され得る。このため、工場は年間を通じて相対湿度を30%未満、理想的には25%未満に維持できる適切な暖房、換気および空調(HVAC)機器を装備する必要があるため、発泡性剤形の製造は高度に専門化され、コストがかかる。加えて、完成した剤形は、多層耐性ラミネート箔の小袋やアルミチューブ、および乾燥剤などの適切な耐湿性包装に入れ、乾燥剤を入れて錠剤を保持する必要がある。従って、発泡性を有し、特殊な包装を必要とせず、特殊な湿度制御HVACシステムではなく、季節や天候に応じて相対湿度を30~55%に維持する従来のHVACシステムを備えた製造工場で取り扱うことができる、剤形の製造に使用することのできる、すぐに使用できる安定共処理賦形剤組成物が必要とされている。
【0005】
特許文献1には、重炭酸ナトリウムとクエン酸の微粉化された混合物をマイクロカプセル化し、それぞれがエチルセルロースでカプセル化された重炭酸ナトリウムおよびクエン酸の発泡性混合物を含む個々のマイクロカプセルを含む、味マスクされた発泡性材料を生成する方法が記載されている。この方法は、重炭酸ナトリウムとクエン酸の粒状混合物を形成することと、重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合物を、溶媒としてのシクロヘキサン、カプセル化ポリマーとしてのエチルセルロース、および相誘導ポリマーを含むコアセルベート媒体に充填することと、マイクロカプセルを分離することとを含む。
【0006】
特許文献2には、発泡系と活性医薬物質とを含む粒状製品または錠剤、およびその調製方法が記載されている。
【0007】
重炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとを水溶性炭水化物糖質アルコールであるマンニトールで造粒し、水溶性マンニトールで共処理したクエン酸と混合することで、オープンディッシュ条件下の大気雰囲気、および40℃、相対湿度75%の簡易ポリエチレンバッグ内で長期間安定する、共処理賦形剤組成物を生成できることを偶然にも発見した。
【0008】
本出願は、2ヶ月後でも安定しており、発泡性混合物において問題となる指標であるケーキングまたはクランピングのない、乾燥安定発泡性造粒物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公開第5709886A号
【特許文献2】国際公開第1995/023594A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願の目的は、(i)アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類重炭酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の水溶性炭水化物糖アルコール;および(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸を含む、乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願の一態様によれば、(i)組成物の安定性を向上させること;(ii)自由に流動し、かつ高度に圧縮可能な組成物を開発すること;および(iii)標準的な製品包装中で常温保存可能である発泡性製剤を開発することのために使用される発泡性共処理賦形剤組成物が提供される。組成物および製剤は、標準的なすぐに混合できる飲料に使用することができる。
【0012】
本出願の別の態様は、発泡性炭酸塩基の個々の粒子またはマンニトールでカプセル化された炭酸塩基の混合物を含む、共処理され、微粉化された混合物を調製するための方法を開示し、この方法は、共処理された1以上の塩基を固形分20~30%の溶液中でマンニトールと混合し、約8:2の重量比の増加を達成するために十分な量で塩基または塩基混合物の表面に噴霧し、早期反応を防ぐバリアを提供することと、得られたカプセル剤を乾燥させ、マンニトールと共処理したクエン酸と乾燥混合することとを含む。
【0013】
本出願のさらに別の態様は、錠剤、カプセル、ペレット、顆粒または分包の形態の経口固形剤形を提供するものであり、以下を含む;(i)重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)およびこれらの組合せからなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)約0.1~約50重量%のマンニトール;(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸;(iv)ステビア、アスパルテーム、スクラロースおよびサッカリンからなる群から選択される、約1~約3重量%の1以上の甘味料(v)アボカド、ココナッツ、パーム、オリーブ、コーン、ヒマワリ、アーモンド、カノーラ、ベリー、チェリー、パッションフルーツ、オレンジ、ブルーアイス、トロピカルフルーツ、ラズベリー、レモンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約1重量%の1以上の食品グレードの油またはフレーバー。
【0014】
本出願のさらなる実施形態は、添付の図面を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】Malvern Mastersizer 3000を使用し、レーザ出力71.35%、ビーム長10mmで測定した、安定発泡性共処理賦形剤の非常に均一な粒度分布を示す図である。
【
図2】ブルックフィールドパウダーフローテスタを使用して流れ関数パラメータによって測定された、パウダーフローを示す図である。流れ関数が大きいほど、フローが良好であることを示している。
【
図3】TGA Q5000装置を使用して得られた、安定発泡性共処理賦形剤の吸湿等温線を示す図であり、メソッドログは次のとおり:湿度は25℃で0%から70%に増加する。
【
図4】安定発泡性共処理賦形剤が、オープンディッシュで5日間常温保管した場合安定しており、25℃,60%RHおよび40℃,75%RHで5日間保管した場合、簡易ポリエチレン袋に包装されても安定したままであることを示している。
【
図5】Natoli自動錠剤硬度テスタを使用して試験した、各電解質発泡性錠製剤の錠剤硬度を示す図である。
【
図6】サクランボ抽出物発泡性錠剤が同様の錠剤硬度18kpおよび崩壊時間120秒を有することを示す図であり、安定発泡性共処理賦形剤を用いた発泡性錠剤の製剤が非常に安定しており、崩壊時間が短いことが確認された。
【
図7】走査型電子顕微鏡(SEM)は、安定発泡性造粒物の形態が、水分保護バリアで十分にコーティングされた粒子であることを示している。
【
図8】安定性試料のpHの変化が最小限であることを示しており、これは、安定発泡性造粒物がUSP791方法を使用してその化学的性質を維持していることを示している。
【
図9】包装された安定性試料の水分活性を示す図であり、40℃/75%RHの試料の水分活性が最も高く、安定発泡性造粒物は、USP922水分活性法を用いると、室温(倉庫)または25℃/60%RHの条件で最も安定していることを示している。
【
図10】安定発泡性造粒物を用いた錠剤が硬度と崩壊時間を維持している錠剤特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか、または図面に例示される構成の詳細および構成要素の配置、ステップまたは方法の詳細に限定されるものではないと理解されたい。本開示は、他の実施形態、または多くの方法で実施または実施することができる。また、本明細書で使用される言い回し及び用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0017】
本明細書において定義されていない限り、開示され、および/または、特許請求される発明のコンセプトに関連して使用される技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって特に要求されない限り、単数形の用語は複数の意を含み、複数形の用語は単数の意を含むものとする。
【0018】
本出願のいずれかの部分で言及されているすべての特許公報、出願公開広報および非特許刊行物は、個々の広報または刊行物が具体的かつ個別に参照によって本明細書に組み込まれるように、その全体が本明細書に明示的に援用されるものとする。
【0019】
本明細書に開示される物品および/または方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験をすることなく製作および実行することが可能である。また、本開示の物品および方法は、好適な実施形態の観点から記載されているが、当業者であれば、開示され、および/または、特許請求される本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される物品および/または方法、並びに、ステップまたはステップの順序に変更を加えられることが理解されよう。当業者に明らかであるそのような類似の代替物や改変は、開示され、および/または、特許請求される発明の、精神、範囲および概念内のものであるとみなされる。
【0020】
開示に従って使用される場合、以下の用語は、特に断りがない限り、以下の意味を有するものと理解されたい。
【0021】
「a」または「an」という用語が「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1(one)」を意味することがあるが、「1以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」および「1または1より多い(one or more than one)」も意味する。「または」という用語は、代替案が相互に排他的である場合にだけ代替案を指すよう明示的に示されていない限り、「および/または」の意味で使用されるが、本開示では、代替案だけをいう定義、並びに、「および/または」をいう定義を支持している。本明細書を通して、「約(about)」という用語は、定量装置、値の測定に用いられる方法の誤差の固有の変動、または、試験対象の間に存在する変動を含む値をいう。例えば、限定するものではないが、「約(about)」という用語が使用される場合、その指定値は、プラスまたはマイナス12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%変動することがある。「少なくとも1つ(at least one)」または「少なくとも2つ(at least two)」という用語は、1および1より多い任意の量を指し、これらに限定されないが、1,2,3,4,5,10,15,20,30,40,50,100などを含む。「少なくとも1つ(at least one)」または「少なくとも2つ(at least two)」という用語は、この用語が付随する用語に応じて、100以下であっても100を超えていてもよい。また、100/1000の量は、より少ないまたはより多い限界値で満足のいく結果が得られる場合があるため、限定的であるとみなされるべきではない。さらに、「X,YおよびZの少なくとも1つ(at least one of X, Y, and Z)」という用語は、Xのみ、YのみおよびZのみ、並びに、X,YおよびZの任意の組合せを含むものと理解されたい。序数の用語の使用(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)は、2つ以上の項目を区別することのみを目的としており、特に断りがない限り、ある項目の他の項目に対する任意の配列もしくは順序もしくは重要性、または、任意の他の順序を意味するものではない。
【0022】
「含む(comprising)」(「含む(comprise)」および「含む(comprises)」等のcomprisingの任意の形態)という用語、「有する(having)」(「有する(have)」および「有する(has)」等のhavingの任意の形態)という用語、「含む(including)」(「含む(includes)」および「含む(include)」等のincludingの任意の形態)という用語、または、「含有する(containing)」(「含有する(contains)」および「含有する(contain)」等のcontainingの任意の形態)という用語は、包括的または開放的であり、追加の、規定されていない要素または方法工程を排除しない。本明細書で使用される「またはそれらの組合せ」をいう用語は、その用語に先行して列挙された項目のすべての順序と組合せをいう。例えば、「A,B,Cまたはそれらの組合せ」はA,B,C,AB,AC,BCまたはABCの少なくとも1つを含むことを意図しており、特定の状況において順序が重要である場合、BA,CA,CB,CBA,BCA,ACB,BACまたはCABの少なくとも1つを含むことを意図している。この例示を続けると、BB,AAA,AAB,BBC,AAABCCCC,CBBAAA,CABABBなどの、1以上の項目もしくは用語の反復を含む組合せが明示的に含まれる。当業者であれば、文脈から明らかでない限り、いかなる組合せにおいても、典型的には、項目または用語の数に制限がないことが理解されよう。
【0023】
以下の詳細な説明のために、任意の操作例または他に示された場合を除き、例えば、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表す数字は、すべての場合において「約」という用語によって変更されるものと理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明を実施する上で得られるべき所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0024】
本出願の一実施形態によれば、(i)アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類重炭酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の水溶性炭水化物糖アルコール;および(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸を含む、乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物を提供する。
【0025】
本出願の一実施形態において、炭酸塩基は、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類重炭酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0026】
本出願の別の実施形態において、1以上の炭酸塩基は、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)およびこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、炭酸塩基は、本出願の組成物の総重量に基づき、約0.1重量%~約1重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、または約40重量%~約50重量%の範囲の適切な量で存在する。
【0028】
本出願のさらに別の実施形態において、水溶性炭水化物糖質アルコールは、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。非限定的な実施形態において、水溶性炭水化物糖質アルコールはマンニトールである。
【0029】
いくつかの実施形態において、水溶性炭水化物糖質アルコールは、本出願の組成物の総重量に基づき、約0.1重量%~約1重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、または約40重量%~約50重量%の範囲の適切な量で存在するマンニトールである。
【0030】
本出願の一実施形態において、有機酸は食用であり、クエン酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、有機酸は、本出願の組成物の総重量に基づき、約0.001重量%~約0.01重量%、約0.01重量%~約0.1重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約1重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%または約30重量%~約40重量%の範囲の適切な量で存在する。
【0032】
別の実施形態において、本出願の組成物は、ステビア、スクロース、グルコース、サッカリン、レブロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、シクラメート塩、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない群から選択される1以上の甘味剤を含む。非限定的な実施形態において、組成物は、全組成物の重量に対して約1重量%~約3重量%の1以上の甘味剤を含む。
【0033】
別の実施形態において、本出願の組成物は、ステビア、スクロース、グルコース、サッカリン、レブロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、シクラメート塩、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、およびこれらの混合物を含むがこれらに限定されない群から選択される1以上の甘味剤を含む。非限定的な実施形態において、組成物は、全組成物の重量に対して約0.1重量%~約1重量%の1以上の甘味剤を含む。
【0034】
別の実施形態において、本出願の組成物は、アボカド油、ココナッツ油、パーム油、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、アーモンド油、カノーラ油、アニス油、クローブ油、ササフラス油、スペアミント油、ペパーミント油、ウィンターグリーン油およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない群から選択される潤滑剤および香味油を含む。非限定的な実施形態において、組成物は、約1重量%~約3重量%の潤滑剤および香料を含む。別の非限定的な実施形態によれば、組成物は、全組成物の重量に対して約0.1重量%~約 1 重量%の1以上の食品グレード油またはフレーバーを含む。
【0035】
本出願の別の実施形態は、(i)組成物の安定性を向上させること;(ii)自由に流動し、かつ高度に圧縮可能な組成物を開発すること;および(iii)標準的な製品包装中で常温保存可能である発泡性製剤を開発することのために使用される発泡性共処理賦形剤組成物を開示する。
【0036】
本出願のさらに別の実施形態は、発泡性炭酸塩基の個々の粒子またはマンニトールもしくは任意の他の水溶性炭水化物糖アルコールでカプセル化された炭酸塩基の混合物を含む、微粉化された混合物を共処理するための方法を開示し、この方法は、共処理された1以上の塩基を固形分20~30%の溶液中でマンニトールまたは他の水溶性炭水化物糖アルコールと混合し、約8:2の重量比の増加を達成するために十分な量で塩基または塩基混合物の表面に噴霧し、早期反応を防ぐバリアを提供することと、得られたカプセル剤を乾燥して、マンニトールと共処理したクエン酸と乾燥混合することとを含む。
【0037】
本出願の別の非限定的な実施形態によれば、発泡性共処理賦形剤組成物は、医薬品、食品、工業、殺生物剤、防腐剤、栄養補助食品又は農薬の製剤又は組成物において使用することができる。本出願の非限定的な実施形態において、発泡性共処理賦形剤組成物は、医薬品、食品、および栄養補助食品の製剤または組成物に使用することができる。
【0038】
本出願の異なる態様は、経口固形剤形を開示し、これは以下を含む;(i)重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)およびこれらの組合せからなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基;(ii)約0.001~約50重量%のマンニトール;(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸を含む(a) 乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物;(b)ステビア、アスパルテーム、スクラロースおよびサッカリンからなる群から選択される、約1~約3重量%の1以上の甘味料(c)アボカド、ココナッツ、パーム、オリーブ、コーン、ヒマワリ、アーモンド、カノーラ、ベリー、チェリー、パッションフルーツ、オレンジ、ブルーアイス、トロピカルフルーツ、ラズベリー、レモンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1~約1重量%の1以上の食品グレードの油またはフレーバー。
【0039】
いくつかの実施形態において、経口固形剤形は、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約70重量%または約70重量%~約75重量%の範囲の適切な量で存在し、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)およびこれらの組合せからなる群から選択される、約0.1~約50重量%の1以上の炭酸塩基、(ii)0.001~約50重量%のマンニトール;および(iii)約0.001~約40重量%の1以上の有機酸からなる乾燥安定発泡性共処理賦形剤組成物を含む。
【0040】
本出願の別の実施形態によれば、経口固形剤形は、錠剤、カプセル、ペレット、ミニ錠剤、顆粒または分包の形態である。いくつかの非限定的な実施形態において、本出願は、経口固形製剤が、食品、医薬品、または栄養補助食品成分を含むことを開示している。
【0041】
別の実施形態において、本出願の組成物は、経口固形剤形において好適には、アボカド油、アニス油、クローブ油、サッサフラス油、スペアミント油、ベリーフレーバーおよびそれらの混合物を含むことができるがこれらに限定されない香味料を含む。組成物は、好適には、このような香味料を、組成物の重量に対して約0.1%~約1%の量で含む。
【0042】
以下の実施例は、ポリマーの調製および使用を示すことを目的として提示するが、限定するものではない。実施例においては以下の略語を使用する。
【0043】
【0044】
さらに、本出願の特定の態様を以下の例によって詳細に示す。本明細書において実施例は用途を説明するためのものであり、それを限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0045】
(実施例1:パートA共処理炭酸塩基の製造手順)
ナトリウムおよび炭酸水素カリウムを、表1および表2に示すように等比率で炭酸カリウムと組合せ、マンニトールで造粒し、これを流体床システムにおいて水溶液からトップスプレー造粒によって添加した。別途、クエン酸(Jungbunzlauer社のCitrocoat-Nグレード)を、水分散マンニトール懸濁液とトップスプレー湿式造粒物によって同様に共処理した。造粒物を乾燥および分級した後、表1および表2を一緒に乾式混合して、60.9:39.6の比率で安定共処理発泡性賦形剤を生成した(表3)。得られた共処理賦形剤は、オープンディッシュに5日間保存した室温条件において安定しており、25℃、60%RHおよび40℃、75%RHで保存した場合、簡易的なPE袋に安定して包装されたままだった。
【0046】
【0047】
【0048】
安定発泡性共処理賦形剤造粒物の組成物は、以下の反応による、重炭酸塩、炭酸塩、およびクエン酸塩の化学量論比に基づいていた。
1H3C6H5O7(クエン酸)+3アルカリHCO3=アルカリ炭酸塩+3CO2+H2O
2H3C6H5O7(クエン酸)+3アルカリCO3=2アルカリ炭酸塩+3CO2+3H2O
【0049】
3モルのアルカリ重炭酸塩には1モルのクエン酸が必要であり、2モルの炭酸アルカリには2モルのクエン酸が必要である。その結果、安定発泡性共処理賦形剤造粒物の最終組成物は、50~75%の共処理炭酸塩基および25~40%の共処理クエン酸塩基を含む。表3は、安定発泡性共処理賦形剤の発泡性造粒物の一例を示している。
【0050】
【0051】
【0052】
(実施例2:安定発泡性共処理賦形剤およびコーティングされていない発泡性混合物の5日後の水分活性)
いくつかの安定発泡性共処理賦形剤試料およびコーティングされていない発泡性混合物を、以下の種々の条件で保管した:室温のオープンディッシュ、および25℃,60%RHと40℃,75%RHとで簡易ポリ袋に5日間保管。
【0053】
コーティングされていない各発泡性混合物および安定発泡性共処理賦形剤試料の水分活性を、試料中の水のエネルギー状態を測定するAquaLab機器を用いて測定した(
図9)。
【0054】
表5は、種々の困難な保管条件で、5日後、コーティングされていない成分と同じく水分活性の変化がない、独自の安定発泡性共処理賦形剤を示している。これは、安定発泡性賦形剤が、自由表面水の影響を受けることなく、意図された使用時まで酸と炭酸塩との間の自己増殖を防ぐことができることを示している。
【0055】
【0056】
(実施例3:電解質代替錠剤製剤)
安定発泡性共処理賦形剤を電解質代替混合物および他の成分(表6)と混合し、発泡性電解質代替錠剤製剤を作製した。
【0057】
【0058】
圧縮力50kNでの錠剤特性および発泡性造粒物を用いた錠剤は、
図10に示す硬度と圧縮強度(表6a)、および錠剤の使用レベル(表6b,表6c)を維持する。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
電解質代替発泡性錠剤の硬度を、Natoli自動錠剤硬度テスタを用いてテストした。各錠剤の崩壊時間も37℃の脱イオン水で測定した(表7)。
【0063】
【0064】
(実施例4:タルトチェリーエキス錠剤製剤)
電解質代替発泡性錠剤製剤と同様に、安定発泡性共処理賦形剤をタルトチェリーエキスおよび他の成分と混合してタルトチェリーエキス発泡性錠剤製剤(表8)を作製した。
【0065】
【0066】
タルトチェリーエキス発泡性錠剤の硬度を、Natoli自動錠剤硬度テスタを用いてテストした。各錠剤の崩壊時間も37℃の脱イオン水で測定した(表9)。
【0067】
【0068】
(実施例5:安定発泡性共処理賦形剤粉末)
安定発泡性共処理賦形剤の粒度分布を、Malvern Mastersizer 3000を用いて、(470nm)レーザ出力71.35%、ビーム長10.0nmで測定した。
図1は、安定発泡性共処理賦形剤が非常に均一な粒度分布であることを示している。安定発泡性共処理賦形剤の粉末流動性を、Brookfield Engineering Lab Instrumentを用いて、最大応力13.252kPa,軸方向速度1.0mm/秒および回転速度1.0rev/時間で測定した。
【0069】
安定発泡性共処理賦形剤は、直接圧縮錠剤化方法中、変動の少ない優れた粉末流動性を備えている(
図2)。安定発泡性共処理賦形剤の蒸気吸収を、TGA Q5000装置を用いて、さまざまな湿度条件で測定した。メソッドログは次のとおり:60.00℃で平衡化:湿度0.00%:重量(%)<0.0100,15.00分間の場合のAbort next iso;1440.00分間の等温;マークデータ;25.00℃で平衡化;湿度10.00%;重量(%)<0.0100,15.00分間の場合のAbort next iso; 1440.00分間の等温;マークデータ;重量(%)<0.0100,15.00分間の場合のAbort next iso;ステップ湿度1440.00分毎に10.00%から90.00%。
【0070】
安定発泡性共処理賦形剤は、湿気の多い環境では吸湿性が低い(60%RHで0.3%未満)(
図3)。
【0071】
安定発泡性共処理賦形剤は視覚的に良好な安定性を示している(
図4)。
【0072】
安定発泡性共処理エキスを使った電解質代替混合物およびタルトチェリーエキス発泡性錠剤製剤は、種々の安定性条件において同様の錠剤硬度および崩壊時間を示した。各錠剤の崩壊時間を37℃の脱イオン水で測定した。すべての錠剤製剤の錠剤硬度はおよそ14kp,崩壊時間は120~150秒であり、これは、異なる応力条件にさらされた異なる安定発泡性共処理賦形剤試料を使った電解質錠剤製剤が良好な錠剤製剤の安定性を備えることを示している(表5,表6)。
【0073】
試料を試料台に取り付け、Au/Pdの薄層でコーティングして試料表面を導電性にし、次にSEI(二次電子撮像)モードで検査した。SEIは、試料表面の地形的特徴を記録する。代表的な顕微鏡写真は、2048x1594ピクセルの解像度でデジタル撮影した。試料は複数の倍率と領域で検査した。その画像を
図7に示す。
【0074】
USP 791メソッドを使用すると、安定発泡性試料のpHは最小限の変化であり、安定造粒物がその化学的性質を維持していることを示している(
図8)。
【0075】
USP 922水分活性法を用いて、包装された安定性試料の水分活性を検査し、40℃/75%RHにおいて試料は
図9に示すような最も高い水分活性を示し、このことから、安定発泡性造粒物は室温(倉庫)または25℃/60%RHの条件で最も安定していることがわかった。
【0076】
開示された、および/または特許請求された発明の概念の組成物および方法を、特定の態様に関して説明してきたが、開示された、および/または発明の概念、精神ならびに範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法の組成物および/または方法ならびにステップまたはステップのシーケンスに変形形態を適用できることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代替および改変はすべて、開示されたおよび/または主張された発明の概念の精神、範囲ならびに概念の範囲内であるとみなされる。
【国際調査報告】