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特表2022-553033リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/136 20100101AFI20221214BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221214BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221214BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221214BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20221214BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01M4/136
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/62 Z
H01M4/58
H01M4/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523212
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2020019443
(87)【国際公開番号】W WO2021137635
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0000575
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スンボ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】センフン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ミョンソン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クォンナム・ソン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA16
5H050CA01
5H050CA11
5H050CA19
5H050CA20
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050DA02
5H050EA01
5H050HA01
5H050HA07
5H050HA17
(57)【要約】
本発明は、リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池に係り、より詳しくは、熱膨張された還元型酸化グラフェンを含む硫黄-炭素複合体を正極活物質で含み、添加剤でモンモリロナイトを含むリチウム二次電池用正極に関する。本発明のリチウム二次電池用正極は、電気化学的反応性に優れるだけでなく、リチウムポリスルフィドの溶出による問題を改善してリチウム二次電池の容量及び寿命特性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質及び添加剤を含み、
前記正極活物質は、熱膨張された還元型酸化グラフェン及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含み、
前記添加剤はモンモリロナイトを含む、リチウム二次電池用正極。
【請求項2】
前記硫黄-炭素複合体は、
前記熱膨張された還元型酸化グラフェン及び
前記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面の中で少なくとも一部に硫黄を含むものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項3】
前記熱膨張された還元型酸化グラフェンはしわくちゃのペーパー構造を持つものである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項4】
前記熱膨張された還元型酸化グラフェンは比表面積が500ないし1200m/gである、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項5】
前記熱膨張された還元型酸化グラフェンは気孔体積が3ないし7cm/gである、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項6】
前記熱膨張された還元型酸化グラフェンは電気伝導度が20ないし200S/cmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項7】
前記硫黄は、無機硫黄、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5ないし50、n≧2)からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項8】
前記モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項9】
前記添加剤は陽イオン交換によって改質されたモンモリロナイトを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項10】
前記改質されたモンモリロナイトは、モンモリロナイトの陽イオンが水素イオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン及びニッケルイオンの中で選択される1種以上のイオンに置換されたものである、請求項9に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項11】
前記添加剤は正極活物質層全体100重量%を基準にして1ないし10重量%で含まれる、請求項1から10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極と、
負極と、
電解質と、を含むリチウム二次電池。
【請求項13】
前記正極は硫黄のローディング量が2ないし15mg/cmである、請求項12に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年1月3日付韓国特許出願第10-2020-0000575号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池の活用範囲が携帯用電子機器及び通信機器のみならず電気自動車(electric vehicle;EV)、電力貯蔵装置(electric storage system;ESS)まで拡がって、これらの電源として使われるリチウム二次電池の高容量化に対する要求が高くなっている。
【0004】
いくつかのリチウム二次電池の中で、リチウム-硫黄電池は硫黄-硫黄結合(sulfur-sulfur bond)を含む硫黄系列物質を正極活物質で使用し、リチウム金属、リチウムイオンの挿入/脱挿入が起きる炭素系物質、またはリチウムと合金を形成するシリコンやスズなどを負極活物質で使用する電池システムである。
【0005】
リチウム-硫黄電池で正極活物質の主材料である硫黄は、単位原子当たり低い重量を持ち、資源が豊かで需給が容易であるため安価であり、毒性がなく、環境にやさしい物質という長所がある。
【0006】
また、リチウム-硫黄電池は、正極でリチウムイオンと硫黄の変換(conversion)反応(S+16Li+16e→8LiS)から出る理論放電容量が1,675mAh/gに至って、負極でリチウム金属(理論容量:3,860mAh/g)を使う場合、2,600Wh/kgの理論エネルギー密度を示す。これは現在研究されている他の電池システム(Ni-MH電池:450Wh/kg、Li-FeS電池:480Wh/kg、Li-MnO電池:1,000Wh/kg、Na-S電池:800Wh/kg)及びリチウムイオン電池(250Wh/kg)の理論エネルギー密度に比べて非常に高い数値を表すため、今まで開発されている二次電池の中で高容量、環境にやさしい、そして安価のリチウム二次電池として注目されていて、次世代電池システムとして多く研究されている。
【0007】
リチウム-硫黄電池は、放電時に正極(positive electrode)では硫黄が電子を受け入れて還元反応が、負極(negative electrode)ではリチウムがイオン化される酸化反応がそれぞれ行われる。
【0008】
このようなリチウム-硫黄電池において、正極活物質である硫黄は電気伝導度が5×10-30S/cmで電気伝導性のない不導体なので、電気化学反応によって生成された電子の移動が難しい問題がある。ここで、電気化学的反応サイトを提供することができる炭素のような伝導性物質と一緒に複合化して使われている。しかし、この場合、正極活物質に他の伝導性素材が一緒に含まれているため、正極の電気化学的反応性が十分ではなく、これによって電池全体のエネルギー密度が低下する問題がある。
【0009】
また、リチウム-硫黄電池の放電時、正極ではリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=2~8)が生成され、これらの中で一部は電解質に容易に溶解されるところ、正極から溶出されることによって正極の可逆容量が大きく減るだけでなく、溶解されたリチウムポリスルフィドは負極に拡散して様々な副反応(side reaction)を起こすようになる。これに加え、このようなリチウムポリスルフィドは充電過程でシャトル反応(shuttle reaction)を起こして充放電効率を大きく低下させる。
【0010】
前述した問題のため、リチウム-硫黄電池は実際駆動する際に初期容量は高いが、サイクルが進行されるにつれ容量及び充放電効率特性が急激に低下し、これによって寿命も縮まるので、性能及び駆動安定性を充分確保しにくくて常用化できない実情である。
【0011】
ここで、リチウム-硫黄電池と係る主な問題点を解決して電池の容量及び寿命を改善するために様々な技術が提案された。
【0012】
一例として、特許文献1は、窒素がドーピングされた炭素物質を含む正極活物質層及び保護層を備え、正極活物層にバインダーとしてキトサンを含むことでリチウムポリスルフィドの溶出を引き延ばして電池の容量及び寿命を改善できることを開示している。
【0013】
また、特許文献2は、硫黄-炭素複合体を含む正極活性部の一部の表面に両親媒性高分子からなる正極コーティング層を備え、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制するとともにリチウムイオンの移動を容易にして電池のサイクル特性を向上させることができることを開示している。
【0014】
また、特許文献3は、硫黄を含むカーボンナノチューブ凝集体にグラフェンをコーティングすることでリチウムポリスルフィドが溶けて出ることを遮断し、硫黄-カーボンナノチューブ複合体の導電性及び硫黄のローディング量を増加させることができることを開示している。
【0015】
これらの特許は、リチウムポリスルフィド吸着能力がある物質を正極に添加剤またはコーティング層の形態で導入したり、正極の素材や構造を変更することでリチウムポリスルフィドの溶出と、これによる硫黄の損失を防いでリチウム-硫黄電池の性能または寿命低下問題をある程度改善したが、その効果が十分ではない。また、これらの特許で提示する方法は、多少複雑なだけでなく硫黄を入れられる量(すなわち、ローディング量)が制限されるという問題がある。したがって、正極内で硫黄のローディング量を高めながらもリチウムポリスルフィドの溶出問題を解決して優れる性能を持つリチウム-硫黄電池の開発がもっと必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国公開特許第2017-0139761号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2016-0046775号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2016-0037084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここで、本発明者らは上記問題を解決するために多角的に研究した結果、正極が熱膨張された還元型酸化グラフェンを含む正極活物質及びモンモリロナイトを含む添加剤を含む場合、正極の硫黄ローディング量が向上するだけでなく正極の電気化学的反応性及びリチウムポリスルフィド溶出問題が改善されてリチウム二次電池の容量及び寿命を向上させることができることを確認して本発明を完成した。
【0018】
したがって、本発明の目的は硫黄を高い含量で含みながら電気化学的反応性に優れ、リチウムポリスルフィドによる問題が改善されたリチウム二次電池用正極を提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、上記正極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は正極活物質及び添加剤を含み、上記正極活物質は熱膨張された還元型酸化グラフェン及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含み、上記添加剤はモンモリロナイトを含むリチウム二次電池用正極を提供する。
【0021】
上記硫黄-炭素複合体は、上記熱膨張された還元型酸化グラフェン及び上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面の中で少なくとも一部に硫黄を含むものであってもよい。
【0022】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンはしわくちゃのペーパー構造を持つものであってもよい。
【0023】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは比表面積が500ないし1200m/gであってもよい。
【0024】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは気孔体積が3ないし7cm/gであってもよい。
【0025】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは電気伝導度が20ないし200S/cmであってもよい。
【0026】
上記硫黄は無機硫黄、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5ないし50、n≧2)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0027】
上記モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0028】
上記添加剤は陽イオン交換によって改質されたモンモリロナイトを含むことができる。
【0029】
上記改質されたモンモリロナイトはモンモリロナイトの陽イオンが水素イオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン及びニッケルイオンの中で選択される1種以上のイオンに置換されたものであってもよい。
【0030】
上記添加剤は正極活物質層全体100重量%を基準にして1ないし10重量%で含まれることができる。
【0031】
また、本発明は、上記リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるリチウム二次電池用正極は硫黄の担持体で高い比表面積と気孔体積を持つ熱膨張された還元型酸化グラフェンを含むことによって多量の硫黄を均一に担持することができてリチウム二次電池用正極で硫黄ローディング量を向上させることができるし、添加剤でモンモリロナイトを含むことによって正極でのリチウムイオンの移動特性を改善するだけでなくリチウムポリスルフィドの溶出を抑制して正極の電気化学的反応性を改善させ、高率区間での電池の放電容量を向上させることができる。
【0033】
したがって、本発明による正極を含むリチウム二次電池は、初期放電容量に優れ、高率区間で容量低下が発生しないため、高容量及び長い寿命の電池を具現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】製造例1による熱膨張された還元型酸化グラフェンの走査電子顕微鏡(SEM)イメージである。
図2】還元型酸化グラフェンの走査電子顕微鏡(SEM)イメージである。
図3】製造例2によるモンモリロナイトの走査電子顕微鏡(SEM)イメージである。
図4】製造例3によるモンモリロナイトの走査電子顕微鏡(SEM)イメージである。
図5】製造例2及び3によるモンモリロナイトのX線回折分析結果を示すグラフである。
図6】実験例3によるリチウム二次電池の初期放電容量評価結果を示すグラフである。
図7】実験例3によるリチウム二次電池の寿命特性評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0037】
本発明で使用した用語は、単に特定実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに違うことを意味しない限り複数の表現を含む。本発明において「含む」または「持つ」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0038】
本明細書で使われている用語「複合体(composite)」とは、2つ以上の材料が組み合わせられて物理的・化学的に異なる相(phase)を形成しながら、より有効な機能を発現する物質を意味する。
【0039】
本明細書で使われている用語「ポリスルフィド」は「ポリスルフィドイオン(S 2-、x=8、6、4、2))」及び「リチウムポリスルフィド(LiまたはLiS 、x=8、6、4、2)」を全て含む概念である。
【0040】
リチウム-硫黄電池はいくつかの二次電池の中で高い理論放電容量及び理論エネルギー密度を持ち、正極活物質の主材料で使われる硫黄は埋蔵量が豊かで安価であり、環境にやさしいという利点で次世代二次電池として脚光を浴びている。
【0041】
リチウム-硫黄電池で正極活物質として使われる硫黄は不導体なので、低い電気伝導度を補うために伝導性物質の炭素材と複合化した形態が必須である。しかし、このように正極活物質として硫黄のみ使うことはできないし、硫黄以外の伝導性物質のような他の素材が一緒に含まれるため、正極で硫黄の酸化・還元反応に対する十分な反応性確保が難しく、高エネルギー密度のリチウム-硫黄電池を具現することができなかった。
【0042】
また、リチウム-硫黄電池で放電されることによって硫黄はリチウムイオンと連続的に反応して環状のSから線状構造のリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=8、6、4、2)に連続的に変換されるようになるし、このようなリチウムポリスルフィドが完全に還元されれば最終的にリチウムスルフィド(lithium sulfide、LiS)が生成されるようになる。このような硫黄の還元反応(放電)の中間生成物であるリチウムポリスルフィドの中で、硫黄の酸化数が高いリチウムポリスルフィド(Li、普通x>4)は極性が強い物質で、親水性有機溶媒を含む電解質に容易に溶けて正極の反応領域の外に溶出されることによって、これ以上電気化学反応に参加できなくなる硫黄損失が発生する。
【0043】
このようなリチウムポリスルフィドの溶出によって電気化学反応に参加する硫黄の量が急激に減って、リチウム-硫黄電池は前述した長所にもかかわらず実際駆動においては理論容量及びエネルギー密度を全部具現することができない。また、溶出されたリチウムポリスルフィドは負極のリチウムと反応して負極表面に固体相のリチウムスルフィドを形成し、これは充電する時も分解されないため、非可逆容量で作用するだけでなく、負極表面での電気化学反応を防いで容量及び寿命特性の低下が加速化する問題がある。これに加え、リチウムポリスルフィドは正極と負極の間を行き来しながら(shuttle)完全に還元されずに電子を消耗する循環反応をするようになって充電及び放電効率を落とす問題がある。
【0044】
このために従来の技術では、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制することができる物質を添加剤または保護層の形態で正極や分離膜に導入、正極活物質の構造や素材変更などの方法が提案されたが、リチウムポリスルフィドの溶出改善効果が微々たるだけでなく硫黄のローディング量に制限があるし、電池安定性に深刻な問題を引き起こしたり工程側面で非効率的という短所がある。
【0045】
ここで、本発明では前述した従来のリチウム二次電池用正極の問題点を補完して硫黄のローディング量を高め、リチウムポリスルフィドの溶出及びシャトル現象による正極の電気化学的反応性低下、電池の放電容量及びエネルギー密度減少問題などが改善されたリチウム二次電池用正極を提供する。
【0046】
具体的に、本発明によるリチウム二次電池用正極は、正極活物質及び添加剤を含み、硫黄の担持体として熱膨張された還元型酸化グラフェン(Thermally expanded-reduced graphene oxide、TE-rGO)を含む硫黄-炭素複合体を正極活物質で含み、上記添加剤として粘土鉱物(clay mineral)の一種であるモンモリロナイトを含むことを特徴とする。
【0047】
本発明のリチウム二次電池用正極は正極活物質として熱膨張された還元型酸化グラフェン及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含む。
【0048】
具体的に、上記硫黄-炭素複合体は熱膨張された還元型酸化グラフェン及び上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面のうちの少なくとも一部に硫黄を含むものであってもよい。
【0049】
本発明の硫黄-炭素複合体は硫黄が均一で安定的に固定されることができる担持体で利用される炭素材として熱膨張された還元型酸化グラフェン(Thermally expanded-reduced graphene oxide、TE-rGO)を含む。
【0050】
本発明において、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは、熱膨張及び還元段階を経て製造されたもので、後述する物性を持つ酸化グラフェンを熱膨張された還元型酸化グラフェン(Thermally expanded-reduced graphene oxide、TE-rGO)として定義する。
【0051】
酸化グラフェン(graphene oxide、GO)はグラファイトを酸化させて酸化物を形成したもので、グラファイトオキサイドを含む。このような酸化グラフェンはヒドロキシ基、エポキシド基、カルボキシル基、ケトン基などの酸素を含む官能基を炭素層に含んでいる形態であり、これを還元させる場合、薄膜化が可能である。還元型酸化グラフェン(reduced graphene oxide、rGO)の場合、酸化グラフェンに比べて比表面積が高いため、これを硫黄の担持体で適用する事例は従来技術として知られている。ただし、従来技術で使う還元型酸化グラフェンの場合は2次元構造であるため、これを正極活物質の硫黄の担持体で使用する時、リチウムイオンの移動が限定的であり、満足できる電池性能改善効果を確保することができなかった。ここで、本発明では酸化グラフェンを熱膨張して薄膜化させた後、これを熱処理して還元させることで得られた熱膨張された還元型酸化グラフェンの場合、シート形状の一種であるしわくちゃの(crumpled)ペーパー構造を持つことによって一般的な酸化グラフェン、還元型酸化グラフェンより向上された比表面積、気孔体積及び電気伝導度を示すことができることに着目して、これを硫黄の担持体で取り入れた。それによって、より多量の硫黄を内部及び外部表面に均一に担持させられるだけでなく、硫黄の電気化学的反応性を向上させて優れる容量及び寿命特性を持つリチウム二次電池を具現することができる。
【0052】
また、一般的な酸化グラフェンの場合、モル比を基準にして炭素と酸素の割合は約1:1であり、別の熱膨張過程を経ることなく従来技術で還元させた還元型酸化グラフェンの場合、モル比を基準にして炭素と酸素の割合は約9:1に変わる。しかし、上記還元型酸化グラフェンは熱膨張されないため、しわくちゃの構造を持たないし、前述したように2次元のスタッキング(stacking)構造を持つ。
【0053】
本願発明による熱膨張された還元型酸化グラフェンも還元されることによって炭素と酸素の割合は約9:1であるが、酸化グラフェンの表面の酸素官能基が熱膨張によって除去され、前述したように、しわくちゃのペーパー構造を持つ。具体的に、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは熱膨張によって酸化グラフェンに含まれた酸素官能基が熱によって除去され、酸素官能基(oxygen functional group)の含量が約10重量%以下に減少することによってしわくちゃのペーパー構造を示すので、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェンに比べて高い比表面積と気孔体積を示し、改善された電気伝導度を持つことができる。
【0054】
具体的に、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは、比表面積が500ないし1200m/g、好ましくは700ないし1000m/gであってもよい。上記比表面積は通常のBET(Brunauer & Emmett & Teller)法で測定することができる。酸化グラフェンの場合、比表面積が約100m/g水準であり、従来技術で硫黄の担持体として使われた還元型酸化グラフェンの場合、比表面積が約900m/g水準であることに対し、本願発明による熱膨張された還元型酸化グラフェンの場合、前述した範囲のように増加した比表面積を示して多量の硫黄を均一に担持させることができる。
【0055】
また、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは、気孔体積が3ないし7cm/g、好ましくは4ないし6cm/gであってもよい。従来硫黄-炭素複合体に使われた還元型酸化グラフェンの場合、気孔体積が約1ないし2cm/g水準であることに比べて、本願発明の熱膨張された還元型酸化グラフェンは、前述した範囲のように気孔体積が高いので、硫黄を効果的に担持させることができるし、硫黄の電気化学的反応性改善にも効果的である。
【0056】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの比表面積と気孔体積が前述した範囲未満の場合、硫黄の含量及び反応性改善効果を確保することができず、これと逆に上記範囲を超える場合、表面積の過度な増加によって副反応発生及び正極スラリー製造の際にバインダー含量増加問題が発生することがある。
【0057】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは電気伝導度が20ないし200S/cm、好ましくは80ないし140S/cmであってもよい。本願発明による熱膨張された還元型酸化グラフェンの場合、従来の方法で製造された還元型酸化グラフェンに比べて高い電気伝導度を示すことがある。
【0058】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは内部及び外部表面に一定しない気孔を含み、上記気孔の平均直径は1ないし200nm範囲で、気孔度または孔隙率は全体体積の10ないし90%範囲であってもよい。もし、上記気孔の平均直径が上記範囲未満の場合、気孔の大きさが分子レベルに過ぎないため硫黄の含浸が不可能であり、これと逆に上記範囲を超える場合、熱膨張された還元型酸化グラフェンの機械的強度が弱化されて電極の製造工程に適用するに好ましくない。
【0059】
本発明の熱膨張された還元型酸化グラフェンは、酸化グラフェンを熱処理して熱膨張された酸化グラフェンを製造した後、上記熱膨張された酸化グラフェンを再び熱処理して還元させることで製造されたものであってもよい。
【0060】
一例として、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの製造方法は、
(a)酸化グラフェンを300ないし500℃の温度に熱処理して熱膨張させる段階、及び
(b)上記熱膨張された酸化グラフェンを700ないし1200℃の温度で熱処理して還元させる段階を含む。
【0061】
先ず、上記(a)段階は酸化グラフェンを熱処理して熱膨張させる段階である。
【0062】
上記熱処理を行うことによって酸化グラフェンの酸素官能基が容易に取り除かれ、酸化グラフェンの熱膨張が容易に起きることがある。このように、酸化グラフェンの熱膨張が起きれば酸化グラフェンの酸素官能基が熱(thermal shock)によって取り除かれ、膨張されたしわくちゃの(crumpled)ペーパー構造を持つことがある。
【0063】
上記(a)段階における酸化グラフェンはパウダー形態であってもよい。フィルム形態の酸化グラフェンは積層構造(stacked structure)を持つため、目的とする比表面積を持つ熱膨張された還元型酸化グラフェンを得ることができない。よって、本発明ではパウダー形態の酸化グラフェンを使うことが好ましい。
【0064】
また、上記熱処理は300ないし500℃の温度で5ないし30分間行われてもよく、好ましくは350ないし450℃の温度で5ないし15分間行われてもよい。上記熱処理温度及び時間が上記範囲未満であれば酸化グラフェンの熱膨張が充分に起きなくて高い比表面積を得ることができず、上記範囲を超えれば収率(yield)が低下することがある。
【0065】
次に、上記(b)段階は上記(a)段階で製造された熱膨張された酸化グラフェンを熱処理して還元させる段階である。
【0066】
上記(b)段階でさらに熱処理することによって熱膨張された酸化グラフェンの還元過程が起きるし、それによって最終的にしわくちゃの(crumpled)ペーパー構造の熱膨張された還元型酸化グラフェンを得ることができる。
【0067】
また、上記(b)段階における熱処理は700ないし1200℃の温度で1ないし5時間行われてもよく、好ましくは800ないし1000℃の温度で2ないし4時間行われてもよい。上記熱処理温度及び時間が上記範囲未満であれば熱膨張された酸化グラフェンの熱膨張が充分に起きなくて高い比表面積を得ることができず、上記範囲を超えれば収率(yield)が低下することがある。
【0068】
上記熱膨張された還元型酸化グラフェンは、熱膨張及び還元段階を経てしわくちゃのペーパー構造を持つようになって、それによって高い比表面積及び気孔体積を示すことができる。
【0069】
前述した製造方法で製造された本発明の熱膨張された還元型酸化グラフェンはしわくちゃのペーパー構造を持つようになり、それによって高い比表面積及び気孔体積で多量の硫黄を均一に担持することができる。よって、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面の中で少なくとも一部に硫黄が担持された硫黄-炭素複合体は多量の硫黄を均一に担持させることができるし、それによってこれを正極活物質で使用するリチウム二次電池の反応性を向上させて優れる初期放電容量及び寿命特性を具現することができる。
【0070】
本発明の硫黄-炭素複合体は前述の熱膨張された還元型酸化グラフェンとともに硫黄を含む。
【0071】
上記硫黄は、無機硫黄(S)、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5ないし50、n≧2)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、上記硫黄は無機硫黄であってもよい。
【0072】
本発明による硫黄-炭素複合体において、上記硫黄は上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面の中で少なくともどの1ヶ所に位置し、一例として上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部全体表面の100%未満、好ましくは1ないし95%、より好ましくは60ないし90%の領域に存在することができる。上記硫黄が上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面に上記範囲内に存在する時、電子伝達面積及び電解質との濡れ性の面で最大効果を示すことができる。具体的に、上記範囲の領域で硫黄が熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部表面に薄くて均一に含浸されるので、充放電過程で電子伝達接触面積を増加させることができる。もし、上記硫黄が上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの内部及び外部全体表面の100%領域に位置する場合、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンが完全に硫黄で覆われて電解質に対する濡れ性が落ちて電極内で含まれる導電材と接触性が低下されて電子伝達を受けることができず、電気化学反応に参加することができなくなる。
【0073】
上記硫黄-炭素複合体は、硫黄-炭素複合体100重量部を基準にして硫黄を60ないし90重量部、好ましくは65ないし85重量部、より好ましくは70ないし80重量部で含むことができる。上記硫黄の含量が前述した範囲の未満である場合、硫黄-炭素複合体内で上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの含量が相対的に多くなるにつれ、比表面積が過度に増加し、正極製造の際にバインダーの含量が増加する。このようなバインダー使用量の増加は、結局正極の面抵抗を増加させ、電子移動(electron pass)を防ぐ絶縁体の役目をするようになって電池の性能を低下させることがある。これと逆に、上記硫黄の含量が前述した範囲を超える場合、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンと結合できなかった硫黄どうしが一塊となったり、上記熱膨張された還元型酸化グラフェンの表面に再溶出されることによって電子を受けにくくなって、電気化学的反応に参加できなくなって電池容量損失が発生することがある。
【0074】
本発明の硫黄-炭素複合体の製造方法は、本発明で特に限定せずに、当業界で通常利用される方法が用いられることができる。一例として、本発明の熱膨張された還元型酸化グラフェンと硫黄を単純混合した後、熱処理して複合化する方法が使われることができる。
【0075】
上記正極活物質は、前述した組成以外に遷移金属元素、IIIA族元素、IVA族元素、これらの元素の硫黄化合物、及びこれらの元素と硫黄の合金の中で選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0076】
上記遷移金属元素では、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、AuまたはHgなどが含まれ、上記IIIA族元素ではAl、Ga、In、Tlなどが含まれ、上記IVA族元素ではGe、Sn、Pbなどが含まれることができる。
【0077】
本発明のリチウム二次電池用正極において、上記正極活物質はリチウム二次電池用正極を構成する正極活物質層全体100重量%を基準にして50ないし95重量%、好ましくは70ないし90重量%、より好ましくは85ないし90重量%で含むことができる。上記正極活物質の含量が上記範囲未満の場合、電極の電気化学的反応を十分に発揮しにくいし、これと逆に、上記範囲を超える場合、後述する導電材とバインダーの含量が相対的に不足して電極の抵抗が上昇し、電極の物理的性質が低下する問題がある。
【0078】
本発明のリチウム二次電池用正極は添加剤でモンモリロナイトを含む。
【0079】
上記モンモリロナイトは粘土鉱物であるスメクタイト(smectite)の一種で、(Na、Ca)0.33(Al、Mg)(Si10)(OH)・nHOで表される化学式を持っている。上記純粋モンモリロナイトはシリカ四面体(silica tetrahedral)シートとアルミナ八面体(alumina octahedral)シートの組み合わせからなっていて、2つのシリカ四面体シートと一つのアルミナ八面体シートが水酸化基縮合反応を経て層状構造(layered structure)を成す。上記純粋モントモリルロナイトはアルミナ八面体シートでアルミニウムイオン(Al3+)の代りにマグネシウムイオン(Mg2+)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)が、シリケート四面体シートにシリコンイオン(Si4+)の代りにアルミニウムイオン(Al3+)が置換された構造であって、全体的に負電荷を帯びるようになる。また、それによって、全体的に電荷の平衡を合わせるために、層間交換可能な陽イオンと水分子を含有している。
【0080】
前述したように、モンモリロナイトは負電荷を示すことによってリチウム二次電池の添加剤で使用する時、リチウムイオン及び電子の輸送特性を向上させて高率区間で向上された放電容量を得られる。また、上記モンモリロナイトの表面には、水酸基(OHラジカル)または酸素基(Oラジカル)が主に分布されていて、これを介してリチウムポリスルフィドを吸着することができるので、従来のリチウム-硫黄電池でリチウムポリスルフィドの溶出によって発生する硫黄の遺失及びこれによる容量減少(capacity loss)及び副反応発生問題を解決してリチウム-硫黄電池の容量及び寿命を向上させることができるし、硫黄の高ローディングの時も安定的に駆動可能である。
【0081】
上記モンモリロナイトは層間に存在する陽イオンの種類によって区分され、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群から選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、ナトリウムモンモリロナイトを含むことができる。
【0082】
上記モンモリロナイトの平均粒径(D50)は1ないし15μmであってもよい。上記モンモリロナイトの平均粒径が上記範囲に含まれる場合、上記モンモリロナイトを正極の添加剤で使うことによる効果をより効果的に得ることができる。本発明で別に定義しない限り、平均粒径(D50)は粒度分布で累積体積が50体積%の粒径を意味する。
【0083】
上記モンモリロナイトにおいて、層構造の間に含まれた陽イオンをイオン交換反応で特定陽イオンに置換する改質処理をする場合、層間隔が拡張されて最終的に層状を層別分離して剥離(exfoliation)させることができる。このように、モンモリロナイトの多層(multi-layer)層状構造が剥離され、ナノシートの形態で形成された改質されたモンモリロナイトを正極添加剤で使う場合、リチウムイオンの移動特性及びリチウムポリスルフィドの拘束効果がより向上されることができる。よって、好ましくは、上記添加剤は陽イオン交換によって改質されたモンモリロナイトを含むことができる。
【0084】
上記改質されたモンモリロナイトは上記モンモリロナイトの層間に存在するナトリウムイオン(Na)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)などの陽イオンを改質剤を通じて水素イオン(H)、リチウムイオン(Li)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、鉄イオン(Fe2+)、マンガンイオン(Mn2+)及びニッケルイオン(Ni2+)の中で選択される1種以上のイオンに置換されたものであってもよい。リチウムイオンの伝導性などを考慮するとき、上記改質されたモンモリロナイトは、好ましくは水素イオン及びリチウムイオンの中で選択される1種以上のイオンに置換されたものであってもよい。より好ましくは、上記改質されたモンモリロナイトはリチウムイオンに置換されたものであってもよい。
【0085】
上記改質されたモンモリロナイトは剥離された(exfoliated)層状構造であってもよい。これは複数の層が積層された層状構造のモンモリロナイトが前述した陽イオンを置換する改質処理によって複数層の間が分離されることによって剥離され、ナノシート形態に形成されたことを意味する。この時、上記ナノシートは厚さ3ないし100nm、好ましくは10ないし20nmであってもよい。また、上記ナノシートの最も長い辺の長さは1ないし15μm、好ましくは1ないし5μmであってもよい。
【0086】
上記改質されたモンモリロナイトの改質可否はX線回折(XRD)測定によって確認することができる。X線回折(XRD)分析で有効(significantまたはeffective)ピークとは、XRDデータで分析条件や分析遂行者によってさほど影響を受けずに実質的に同一なパターンで繰り返して検出されるピークを意味し、これを他に表現すれば、バックグラウンドレベル(backgound level)に対して1.5倍以上であってもよく、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上の高さ、強さ、強度などを持つピークを意味する。
【0087】
上記改質されたモンモリロナイトは、Cu-Kα X線波長を利用したX線回折(XRD)分析結果、回折角度(2θ)7.0±1.0゜、9.0±1.0゜、20.0±1.0゜、26.5±1.0゜及び28.0±0.5゜の範囲でそれぞれ示される有効ピークを含み、この時回折角度7.0±1.0゜で示される有効ピークの有無を通じて改質可否を確認することができる。
【0088】
本発明で上記改質されたモンモリロナイトの製造方法は、本発明で特に限定せずに、当業界で通常利用される方法が用いられることができる。具体的に、上記特定陽イオンに置換されたモンモリロナイト、すなわち改質されたモンモリロナイトの製造は、モンモリロナイトと改質剤の反応によって行われることができる。
【0089】
一例として、上記改質モンモリロナイトが水素イオンに置換された改質モンモリロナイトの場合、モンモリロナイトを水素改質剤で酸処理することで製造することができる。この時、酸処理は通常の方法を利用することができる。
【0090】
上記モンモリロナイトは前述したとおりである。
【0091】
上記水素改質剤は無機酸及び有機酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。例えば、上記無機酸では塩酸、硝酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸及びスルホン酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。上記有機酸ではアセト酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、ギ酸、プロパン酸、酪酸、プロパンジオ酸、ブタンジオ酸、ピルビン酸、グルタミン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、イタコン酸、アスコルビン酸、フマル酸及びα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、上記水素改質剤では硫酸を使うことができる。
【0092】
上記水素改質剤の濃度は0.1ないし10M、好ましくは0.5ないし8M、より好ましくは0.8ないし5Mであってもよい。
【0093】
上記モンモリロナイトと水素改質剤を脱イオン水(deionized water)などの水系溶媒に投入し、12ないし24時間撹拌して反応させて酸処理する。
【0094】
この時、上記モンモリロナイトと水素改質剤の質量比は1.0:1.0ないし1.0:8.0、好ましくは1.0:2.0ないし1.0:5.0であってもよい。上記モンモリロナイトと酸の質量比が上記範囲未満の場合、不完全な陽イオン交換反応の問題がありえるし、これと逆に、上記範囲を超える場合、モンモリロナイト結晶構造が崩壊する問題が発生することがある。
【0095】
上記酸処理は数回行われてもよく、好ましくは1ないし10回、より好ましくは2ないし8回行われてもよい。
【0096】
上記酸処理後、上記水素改質剤は遠心分離またはろ過によって取り除くことができる。
【0097】
また、上記酸処理後、水とエタノールを利用して数回洗浄する過程を経ることができる。
【0098】
次に、上記酸処理の最終生成物を60ないし90℃で乾燥して改質されたモンモリロナイト、具体的には水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を収得する。上記乾燥は12ないし24時間真空条件で行うことが好ましい。
【0099】
別の一例として、上記改質されたモンモリロナイトがリチウムイオンに置換された改質モンモリロナイトの場合、この製造方法はモンモリロナイトを水素改質剤で酸処理する段階、及び上記酸処理を通じて得られた水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を含む溶液にリチウム改質剤を添加する段階を含むことができる。
【0100】
上記モンモリロナイトを水素改質剤で酸処里する段階は前述したことにしたがう。
【0101】
上記リチウム改質剤は、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム及び硫酸リチウムなど、その種類が様々であるが、反応条件を考慮するとき、好ましくは水酸化リチウムを使うことができる。
【0102】
上記リチウム改質剤の濃度は0.1ないし10M、好ましくは0.5ないし8M、より好ましくは0.8ないし5Mであってもよい。
【0103】
上記水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を含む溶液にリチウム改質剤を投入し、12ないし24時間撹拌して反応させる。
【0104】
上記リチウム改質剤を添加する段階で上記水素改質モンモリロナイト(H-MMT)とリチウム改質剤の質量比は1.0:1.0ないし1.0:8.0、好ましくは1.0:2.0ないし1.0:5.0であってもよい。上記水素改質モンモリロナイトとリチウム改質剤の質量比が上記範囲未満の場合、陽イオン交換反応が不完全という問題がありえるし、これと逆に、上記範囲を超える場合、モンモリロナイトの結晶構造が崩壊する問題が発生することがある。
【0105】
上記リチウム改質剤との反応後、上記リチウム改質剤は遠心分離またはろ過によって取り除くことができる。
【0106】
また、上記リチウム改質剤との反応後、水とエタノールを利用して数回洗浄する過程を経ることができる。
【0107】
次に、上記リチウム改質剤との反応から得られた最終生成物を60ないし90℃で乾燥して改質されたモンモリロナイト、具体的にはリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を収得する。上記乾燥は12ないし24時間真空条件で行うことが好ましい。
【0108】
本発明のリチウム二次電池用正極において、モンモリロナイトまたは改質されたモンモリロナイトを含む上記添加剤は、リチウム二次電池用正極を構成する正極活物質層の全体100重量%を基準にして1ないし10重量%、好ましくは3ないし7重量%、より好ましくは3ないし5重量%で含むことができる。上記添加剤の含量が上記範囲未満の場合、リチウムイオンの移動特性を改善する効果及びリチウムポリスルフィドの溶出を抑制する効果が低下され、正極活物質の電気化学的反応性の改善効果を確保することができない。これと逆に、上記範囲を超える場合、後述するリチウムイオン伝導度が低くなるか、または電池内部の抵抗が増加する問題が発生することがあるので、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0109】
本発明のリチウム二次電池用正極は選択的に電子が正極内で円滑に移動できるようにするための導電材、及び正極活物質を集電体によく付着させるためのバインダーをさらに含むことができる。
【0110】
上記導電材は電解質と正極活物質を電気的に連結させて集電体(current collector)から電子が正極活物質まで移動する経路の役目をする物質であって、導電性を持つものであれば制限されずに使用することができる。
【0111】
例えば、上記導電材ではスーパーP(Super-P)、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンブラックなどのカーボンブラック;カーボンナノチューブやフラーレンなどの炭素誘導体;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0112】
上記導電材の含量は、リチウム二次電池用正極を構成する正極活物質層の全体100重量%を基準にして1ないし10重量%であってもよい。上記導電材の含量が上記範囲未満であれば正極活物質と集電体との間で電子伝達が容易ではないため、電圧及び容量が減少する。これと逆に、上記範囲を超えれば、相対的に正極活物質の割合が減少して電池の総エネルギー(電荷量)が減少することがあるので、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0113】
上記バインダーは正極活物質を正極集電体に維持させ、正極活物質の間を有機的に連結させてこれらの間の結着力をより高めるものであって、当業界で公知された全てのバインダーを使うことができる。
【0114】
例えば、上記バインダーはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVdF)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル-ブチジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;及びシラン系バインダー;からなる群から選択された1種、2種以上の混合物または共重合剤を使用することができる。
【0115】
上記バインダーの含量はリチウム二次電池用正極を構成する正極活物質層全体100重量%を基準にして1ないし10重量%であってもよい。上記バインダーの含量が上記範囲未満であれば正極の物理的性質が低下して正極活物質と導電材が脱落することがあるし、上記範囲を超えれば、正極で正極活物質と導電材の割合が相対的に減少して電池容量が減少することがあるので、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0116】
また、本発明は、上記リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0117】
上記リチウム二次電池は、正極と負極とこれらの間に介在される電解質とを含み、上記正極として本発明によるリチウム二次電池用正極を含む。
【0118】
上記正極は、正極集電体と上記正極集電体の一面または両面に塗布された正極活物質層を含むことができる。
【0119】
上記正極集電体は、正極活物質を支持し、当該電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使われることができる。
【0120】
上記正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質との結合力を強化させることができるし、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態を使うことができる。
【0121】
上記正極活物質層は、正極活物質、添加剤、導電材及びバインダーを含むことができるし、この時上記正極活物質、添加剤、導電材及びバインダーは前述した内容にしたがう。
【0122】
本発明において、上記リチウム二次電池用正極の製造方法は特に限定されないし、通常の技術者によって公知の方法またはこれを変形する多様な方法を使用可能である。
【0123】
一例として、上記リチウム二次電池用正極は上述した組成を含む正極スラリー組成物を製造した後、これを上記正極集電体の少なくとも一面に塗布することで製造されたものであってもよい。
【0124】
上記正極スラリー組成物は、前述した正極活物質及び添加剤を含み、他にも導電材、バインダー及び溶媒をさらに含むことができる。
【0125】
上記溶媒では、正極活物質、添加剤、導電材及びバインダーを均一に分散させることができるものを使用する。このような溶媒では、水系溶媒として水が一番好ましく、この時水は蒸留水(distilled water)、脱イオン水(deionzied water)であってもよい。ただし、必ずこれに限定するものではなく、必要な場合、水と容易に混合可能な低級アルコールが使われることができる。上記低級アルコールでは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールなどがあり、好ましくはこれらは水と一緒に混合して使われてもよい。
【0126】
上記溶媒の含量は容易にコーティングできる程度の濃度を持つ水準で含有されてもよく、具体的な含量は塗布方法及び装置によって変わる。
【0127】
上記正極スラリー組成物は、必要に応じて該当技術分野でその機能の向上などを目的として通常使われる物質を必要に応じてさらに含むことができる。例えば、粘度調整剤、流動化剤、充填剤などを挙げることができる。
【0128】
上記正極スラリー組成物の塗布方法は、本発明で特に限定せずに、例えば、ドクターブレード(doctor blade)、ダイキャスティング(die casting)、コンマコーティング(comma coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)などの方法を挙げることができる。また、別途基材(substrate)の上に成形した後、プレッシング(pressing)またはラミネーション(lamination)方法によって正極スラリーを正極集電体上に塗布することもできる。
【0129】
上記塗布後、溶媒を除去するための乾燥工程を行うことができる。上記乾燥工程は溶媒を充分に取り除くことができる水準の温度及び時間で行い、その条件は溶媒の種類によって変わることがあるので、本発明で特に制限されない。一例として、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線及び電子線などの照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥速度は通常応力集中によって正極活物質層に亀裂が生じたり、正極活物質層が正極集電体から剥離されない程度の速度範囲内で、できるだけ早く溶媒を取り除くことができるように調整する。
【0130】
さらに、上記乾燥後、集電体をプレスすることで正極内で正極活物質の密度を高めることもできる。プレス方法では、金型プレス及びロールプレスなどの方法を挙げることができる。
【0131】
前述した組成及び製造方法で製造された上記正極、具体的に正極活物質層の気孔率は50ないし80%、好ましくは60ないし75%であってもよい。上記正極の気孔率が50%に及ばない場合は、正極活物質、添加剤、導電材及びバインダーを含む正極スラリー組成物の充填度が高すぎて正極活物質の間にイオン伝導及び/または電気伝導を示すことができる十分な電解質が維持されなくなって電池の出力特性やサイクル特性が低下することがあるし、電池の過電圧及び放電容量減少がひどくなる問題がある。これと逆に、上記正極の気孔率が80%を超えて高すぎる気孔率を持つ場合、集電体と物理的及び電気的連結が低くなって接着力が低下し、反応が難しくなる問題があり、高くなった気孔率を電解質が充填されて電池のエネルギー密度が低くなる問題があるので、上記範囲で適切に調節する。
【0132】
特に、本発明の正極の場合、正極活物質で高い比表面積及び気孔体積を持つ熱膨張された還元型酸化グラフェンを含み、これによってより多量の硫黄を均一に担持することができる。よって、本発明で正極の硫黄ローディング量、すなわち正極内で正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量は2ないし15mg/cm、好ましくは6ないし10mg/cmであってもよい。このように高い硫黄ローディング量を持つことによって、本発明による正極を含むリチウム二次電池は優れる放電容量及び寿命特性を示すことができる。
【0133】
上記負極は負極集電体及び上記負極集電体の一面または両面に塗布された負極活物質層を含むことができる。または上記負極はリチウム板金であってもよい。
【0134】
上記負極集電体は負極活物質層を支持するためのもので、正極集電体で説明したとおりである。
【0135】
上記負極活物質層は負極活物質以外に導電材、バインダーなどを含むことができる。この時、上記導電材及びバインダーは前述した内容にしたがう。
【0136】
上記負極活物質は、リチウム(Li)を可逆的に挿入(intercalation)または脱挿入(deintercalation)できる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属またはリチウム合金を含むことができる。
【0137】
上記リチウムイオン(Li)を可逆的に挿入または脱挿入することができる物質は、例えば結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの混合物であってもよい。上記リチウムイオン(Li)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ、窒化チタンまたはシリコンであってもよい。上記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群から選択される金属の合金であってもよい。
【0138】
好ましくは、上記負極活物質はリチウム金属であってもよく、具体的にリチウム金属薄膜またはリチウム金属粉末の形態であってもよい。
【0139】
上記正極と負極の間には、さらに分離膜が含まれることができる。
【0140】
上記分離膜は、上記正極と負極を互いに分離または絶縁させ、正極と負極の間にリチウムイオンを輸送できるようにすることで多孔性非伝導性または絶縁性物質からなることができるし、通常リチウム二次電池で分離膜として使われるものであれば特に制限されずに使用可能である。このような分離膜は、フィルムのような独立部材であってもよく、正極及び/または負極に付加されたコーティング層であってもよい。
【0141】
上記分離膜では電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解質に対する含湿能力に優れるものが好ましい。
【0142】
上記分離膜は多孔性基材からなってもよいが、上記多孔性基材は通常二次電池に使われる多孔性基材であればいずれも使用可能で、多孔性高分子フィルムを単独で、またはこれらを積層して使うことができるし、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布またはポリオレフィン系多孔性膜を使うことができるが、これに限定されるものではない。
【0143】
上記多孔性基材の材質は本発明で特に限定せずに、通常電気化学素子に使われる多孔性基材であればいずれも使用可能である。例えば、上記多孔性基材は、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)などのポリオレフィン(polyolefin)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)などのポリエステル(polyester)、ポリアミド(polyamide)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalate)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、セルロース(cellulose)、ナイロン(nylon)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ―ル(poly(p-phenylene benzobisoxazole)及びポリアリレート(polyarylate)からなる群から選択された1種以上の材質を含むことができる。
【0144】
上記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1ないし100μm、好ましくは5ないし50μmであってもよい。上記多孔性基材の厚さの範囲が前述した範囲に限定されるものではないが、厚さが前述した下限より薄すぎる場合は、機械的物性が低下して電池使用中に分離膜が損傷されやすいことがある。
【0145】
上記多孔性基材に存在する気孔の平均直径及び気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.001ないし50μm及び10ないし95%であってもよい。
【0146】
上記電解質はリチウムイオンを含み、これを媒介にして正極と負極で電気化学的酸化または還元反応を起こすためのものである。
【0147】
上記電解質はリチウム金属と反応しない非水電解液または固体電解質が可能であるが、好ましくは非水電解質で、電解質塩及び有機溶媒を含む。
【0148】
上記非水電解液に含まれる電解質塩はリチウム塩である。上記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常使われるものであれば、制限されずに使われてもよい。例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、LiN(SOF)、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルホン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドなどが使われることができる。
【0149】
上記リチウム塩の濃度は、電解質溶媒混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解された塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウムバッテリー分野に公知された他の要因のような幾つかの要因によって0.2ないし2M、具体的に0.4ないし2M、より具体的に0.4ないし1.7Mであってもよい。上記リチウム塩の濃度が0.2M未満で使えば、電解質の伝導度が低くなって電解質の性能が低下することがあるし、2Mを超えて使えば、電解質の粘度が増加してリチウムイオンの移動性が減少することがある。
【0150】
上記非水電解液に含まれる有機溶媒では、リチウム二次電池用電解液に通常使われるものなどを制限されずに使うことができるし、例えば、エーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独で、または2種以上混合して使うことができる。その中で代表的にはエーテル系化合物を含むことができる。
【0151】
上記エーテル系化合物は非環状エーテル及び環状エーテルを含むことができる。
【0152】
例えば、上記非環状エーテルでは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテルからなる群から選択される1種以上が使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0153】
一例として、上記環状エーテルは、1,3-ジオキソラン、4,5-ジメチル-ジオキソラン、4,5-ジエチル-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、4-エチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン、2-エトキシテトラヒドロフラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-ビニル-1,3-ジオキソラン、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、2-メトキシ-1,3-ジオキソラン、2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン、イソソルビドジメチルエーテル(isosorbide dimethyl ether)からなる群から選択される1種以上が使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0154】
上記有機溶媒の中で、エステルではメチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネイト、エチルプロピオネイト、プロピルプロピオネイト、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、σ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンからなる群から選択される、いずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物を使うことができるが、これに限定されるものではない。
【0155】
上記線状カーボネート化合物の具体的な例では、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選択される、いずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物などが代表的に使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0156】
また、上記環状カーボネート化合物の具体的な例では、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びこれらのハロゲン化物からなる群から選択される、いずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物がある。これらのハロゲン化物では、例えば、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)などがあり、これに限定されるものではない。
【0157】
上記電解質は前述した電解質塩と有機溶媒以外に添加剤として硝酸または亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。上記硝酸または亜硝酸系化合物は、負極であるリチウム金属電極に安定的な被膜を形成して充放電効率を向上させる効果がある。
【0158】
このような硝酸または亜硝酸系化合物では、本発明で特に限定しないが、硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸セシウム(CsNO)、硝酸バリウム(Ba(NO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸セシウム(CsNO)、亜硝酸アンモニウム(NHNO)などの無機系硝酸または亜硝酸化合物;メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラートなどの有機系硝酸または亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種が可能であり、好ましくは硝酸リチウムを使用する。
【0159】
上記電解質の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電気化学素子の製造工程中、適切な段階で行われてもよい。すなわち、電気化学素子の組立前または電気化学素子の組立最終段階などで適用されてもよい。
【0160】
本発明によるリチウム二次電池は、一般工程である巻取(winding)以外にもセパレーターと電極の積層(lamination、stack)及びフォールディング(folding)工程が可能である。
【0161】
上記リチウム二次電池の形状は特に制限されないし、円筒状、積層型、コイン型など様々な形状にすることができる。
【0162】
また、本発明は、上記リチウム二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0163】
上記電池モジュールは、高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源で使われることができる。
【0164】
上記中大型デバイスの例では、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などを含む電気自動車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0165】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0166】
製造例
[製造例1]
酸化グラフェン(SE2430、sixth element社製品)を非活性雰囲気で400℃の温度で10分間熱処理し、熱膨張された酸化グラフェンを製造した。
【0167】
上記熱膨張された酸化グラフェンを非活性雰囲気で900℃の温度で3時間熱処理し、熱膨張された還元型酸化グラフェン(Thermally expanded-reduced graphene oxide、TE-rGO)を製造した。
【0168】
[製造例2]
ナトリウムモンモリロナイト(K10、シグマアルドリッチ(sigma aldrich)社製品)50gを155℃オーブンで1時間乾燥して改質処理されていないモンモリロナイトを得た。
【0169】
[製造例3]
ナトリウムモンモリロナイト(K10、シグマアルドリッチ(sigma aldrich)社製品)50gを1.0Mの硫酸溶液1Lに投入し、常温(25℃)で24時間撹拌した。
【0170】
上記撹拌して得られた溶液を遠心分離を通じて溶媒を取り除いて、80℃オーブンで12時間乾燥して水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を製造した。
【0171】
上記水素改質モンモリロナイト(H-MMT)50gを1.0Mの水酸化リチウム溶液1Lに投入し、常温(25℃)で24時間撹拌した。
【0172】
上記撹拌して得られた溶液を遠心分離を通じて溶媒を取り除いて、80℃オーブンで12時間乾燥してリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を製造した。
【0173】
実験例1.熱膨張された還元型酸化グラフェンの物性分析
製造例1で製造された熱膨張された還元型酸化グラフェン及び還元型酸化グラフェン(SE1231,sixth element社製品)の形状、比表面積、気孔体積及び平均気孔サイズを測定した。
【0174】
具体的に、形状は走査電子顕微鏡(scanning electron microscope;SEM)で観察し、この時、走査電子顕微鏡では日立(hitachi)社のS-4800を利用した。また、比表面積、気孔体積及び平均気孔サイズは気孔分布測定機(Porosimetry analyzer;Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を使って窒素ガス吸着流通法によってBET 6点法で測定した。この時、得られた結果は図1図2及び下記表1に示す。
【0175】
【表1】
【0176】
図1及び図2を参照すれば、上記製造例1の熱膨張された還元型酸化グラフェン(TE-rGO)の場合、しわくちゃの(crumple)ペーパー構造を持っていることに対し、還元型酸化グラフェンの場合、2次元の積層構造を示すことを確認することができる。
【0177】
また、上記表1を通じて上記製造例1の熱膨張された還元型酸化グラフェン(TE-rGO)は還元型酸化グラフェンに比べて高い比表面積、気孔体積及び平均気孔サイズを持つことが分かる。これは上記製造例1の熱膨張された還元型酸化グラフェン(TE-rGO)の場合、熱膨張及び還元段階を行うことによって、しわくちゃのペーパー構造を持ち、それによって還元型酸化グラフェンに比べて高い比表面積、気孔体積及び平均気孔サイズを持つものであることが分かる。また、上記比表面積及び気孔体積を示すことで、上記製造例1の熱膨張された還元型酸化グラフェン(TE-rGO)は還元型酸化グラフェンより多量の硫黄を均一に担持することができることが分かる。
【0178】
実験例2.モンモリロナイトの物性分析
製造例2及び3によるモンモリロナイトに対して走査電子顕微鏡(scanning electron microscope;SEM)で形状を観察し、この時、走査電子顕微鏡では日立(hitachi)社のS-4800を利用した。
【0179】
また、製造例2及び3のモンモリロナイト、水素改質モンモリロナイト(H-MMT)及びリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)に対してX線回折(X-ray diffraction、XRD)分析を実施した。分析に利用されたXRD装置は固体相検出機で1.5418Å Cu-Kα X線波長を使用するRigaku MiniFlex 600 X線回折分析装備だった。この時得られた結果を図3ないし図5に示す。
【0180】
図3及び図4を参照すれば、製造例2によるモンモリロナイトの場合(図3参照)、全然剥離されていないことに対し、製造例3によって製造された改質されたモンモリロナイトの場合(図4参照)、層間構造が剥離されて薄いナノシート(sheet)形態を持つことを確認することができる。
【0181】
図5を通じて製造例3の場合、回折角度(2θ)7.0±1.0゜で有効ピークが観察され、本発明の改質されたモンモリロナイトが製造されたことを確認することができる。
【0182】
実施例及び比較例
[実施例1]
製造例1で得られた熱膨張された酸化グラフェン(TE-rGO)及び硫黄を3:7の重量比で混合した後、155℃の温度で35分間反応させ、上記TE-rGOの内部(気孔)及び外部表面に硫黄が担持された硫黄-炭素複合体を製造した。
【0183】
正極活物質として上記で製造された硫黄-炭素複合体(S:CNT=75:25)86重量%、導電材としてデンカブラック4.5重量%、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR:CMC=7:3)4.5重量%及び添加剤として製造例2で得られたモンモリロナイト5重量%を添加し、混合して正極スラリー組成物を製造した。
【0184】
20μm厚さのアルミニウム集電体上に上記製造された正極スラリー組成物を塗布し、50℃で12時間乾燥してロールプレス(roll press)機器で圧搾して正極を製造した。この時、正極活物質のローディング量は5mAh/cm以下で、硫黄ローディング量は6.7mg/cmであった。
【0185】
[実施例2]
正極スラリー組成物の製造時、添加剤で製造例1のモンモリロナイトの代わりに同一含量の製造例3のリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を使ったことを除いては、上記実施例1と同様に行って正極を製造した。
【0186】
[実施例3]
実施例1で製造した正極と負極を対面するように位置させ、その間に厚さ20μm、気孔率45%のポリエチレン分離膜を介在した後、電解質70μlを注入してリチウム二次電池を製造した。
【0187】
この時、負極で35μm厚さのリチウム金属薄膜を使用し、電解質で1,3-ジオキソランとジエチレングリコールジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液を使用した。
【0188】
[実施例4]
正極で実施例1の正極の代わりに実施例2の正極を使ったことを除いては、上記実施例3と同様に行ってリチウム二次電池を製造した。
【0189】
[比較例1]
添加剤を使わずに、正極活物質で硫黄-炭素複合体90重量%、導電材でデンカブラック5重量%、バインダーでスチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR:CMC=7:3)5重量%を含む正極スラリー組成物を使ったことを除いては、上記実施例1と同様に行って正極を製造した。
【0190】
[比較例2]
正極で実施例1の正極の代わりに比較例1の正極を使ったことを除いては、上記実施例3と同様に行ってリチウム二次電池を製造した。
【0191】
実験例3.リチウム二次電池の性能評価
(1)初期放電容量測定
実施例3、実施例4及び比較例2で製造した電池に対して、充放電測定装置(LAND CT-2001A、武漢(Wuhan)社製品)を使って充放電特性変化を試験した。得られた電池は0.1C/0.1Cの充電/放電条件で初期放電容量を調べて、その結果を図6に示す。
【0192】
(2)寿命特性測定
実施例3、実施例4及び比較例2で製造した電池に対して、充放電測定装置(LAND CT-2001A、武漢(Wuhan)社製品)を使って初期3サイクルの間0.1C/0.1C充電/放電、その後3サイクルの間0.2C/0.2C充電/放電し、以後0.3C/0.5Cで充電/放電して40サイクルの充放電を繰り返して寿命特性を測定し、その結果を図7に示す。
【0193】
図6及び図7に示すように、実施例による電池の場合、初期放電容量及び寿命特性が比較例に比べて優れることを確認することができる。
【0194】
具体的に、図6を見れば、実施例による電池の初期放電容量は1170mAh/g以上であることに対し、比較例の場合、電池の初期放電容量が約1120ないし1140mAh/g水準であることが分かる。
【0195】
実施例3及び4のリチウム二次電池は、正極活物質である硫黄-炭素複合体の炭素材が製造例1の熱膨張された酸化グラフェン(TE-rGO)であり、添加剤としてそれぞれモンモリロナイト及び改質されたモンモリロナイトを含み、上記熱膨張された酸化グラフェン(TE-rGO)は実験例1で測定したように高い比表面積及び気孔体積を持つことによって多量の硫黄を均一に担持することができるので、硫黄の反応性向上に寄与し、上記添加剤はリチウムイオンの移動特性とリチウムポリスルフィドの拘束効果の改善を図って初期放電容量がとても高いことが分かる。
【0196】
一方、比較例2のリチウム二次電池は、添加剤を含まない正極を含むことによってリチウムイオンの移動が制限的であるため、初期放電容量が実施例より低いことが分かる。
【0197】
したがって、本発明のリチウム二次電池は、正極活物質である硫黄-炭素複合体の炭素材で比表面積及び気孔体積がとても高い熱膨張された酸化グラフェン(TE-rGO)を使うことによって、多量の硫黄を均一に担持することができて硫黄の反応性を増大させ、添加剤を含むことによって正極でのリチウムイオン移動特性を改善して高い初期放電容量を示すことができる。
【0198】
また、図7を見れば、実施例4のリチウム二次電池は0.5Cの高率区間で放電容量が約800mAh/gと測定され、40サイクルの間容量を維持した。実施例3のリチウム二次電池の場合、0.5Cの高率区間で放電容量が600mAh/g以上であるが、これを一定水準に維持することができなかった。一方、比較例2のリチウム二次電池は0.5Cの高率区間で放電容量は600mAh/g未満だった。
【0199】
このような結果からみて、本発明のリチウム二次電池は添加剤で改質されたモンモリロナイトを使う場合、リチウム二次電池の寿命特性が最も優れることを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】