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特表2022-553063原油から軽質オレフィン、芳香族化合物、及び潤滑基油を生成するための統合水素化分解プロセス
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  • 特表-原油から軽質オレフィン、芳香族化合物、及び潤滑基油を生成するための統合水素化分解プロセス 図1A
  • 特表-原油から軽質オレフィン、芳香族化合物、及び潤滑基油を生成するための統合水素化分解プロセス 図1B
  • 特表-原油から軽質オレフィン、芳香族化合物、及び潤滑基油を生成するための統合水素化分解プロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】原油から軽質オレフィン、芳香族化合物、及び潤滑基油を生成するための統合水素化分解プロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 67/04 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
C10G67/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523663
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2020059864
(87)【国際公開番号】W WO2021079272
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,409
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(71)【出願人】
【識別番号】511304464
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー (サウジ アラムコ)
【氏名又は名称原語表記】SAUDI ARABIAN OIL COMPANY (SAUDI ARAMCO)
【住所又は居所原語表記】PO BOX 5000, DHAHRAN 31311, SAUDI ARABIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゴイエヌー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アルドッサリ,モハメッド
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA09
4H129CA10
4H129KA12
4H129KB03
4H129KB04
4H129KC03Y
4H129KC04Y
4H129KC10Y
4H129MA01
4H129MA13
4H129MB05B
4H129MB20A
4H129MB20C
4H129NA25
4H129NA26
4H129NA27
4H129NA32
4H129NA35
(57)【要約】
一つ以上のオレフィンと一つ以上の潤滑基油とを生成する方法を開示する。当該方法は、真空軽油を含む炭化水素供給流れの炭化水素を水素化分解して、水素化分解炭化水素を含む流れを生成することを含む。当該方法は、水素化分解炭化水素を含む流れを分画して、中間流れを形成することをさらに含む。当該方法は、一つ以上の中間流れを水蒸気分解して、少なくとも一つのオレフィンを生成し、一つ以上の中間体流れを処理して、少なくとも一つの潤滑基油を生成することをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法であって:
真空残油流れを水素化分解して、軽油を含む第一流れと、未変換重質油を含む第二流れとを生成することと;
前記第二流れを脱歴して、脱歴化油を含む第三流れを生成することと;
前記第三流れの少なくとも第一部分を処理して、一つ以上の潤滑基油を生成することであって、前記第三流れの前記第一部分の処理が、部分変換水素化分解ユニットにおいて、前記第三流れの前記第一部分を部分変換水素化分解条件に供することを含む、処理と;
前記第一流れの少なくとも一部を処理して、一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することであって、前記第一流れの前記一部の処理が、最大変換水素化分解ユニットにおいて、前記第一流れの前記一部を最大変換水素化分解条件に供することを含む、処理と、
を含む、方法。
【請求項2】
重質フラクションを含む第四流れを前記最大変換水素化分解ユニットから脱歴化ユニットへ流すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第四流れの前記重質フラクションが、主に多環芳香族炭化水素と、350℃を越える沸点範囲を有する他の炭化水素とをあわせて含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記脱歴化が、前記第二流れを、プロパン、ブタン、及びペンタンの一つ以上と接触させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記脱歴化油が、400℃を越える沸点を有する炭化水素を主に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記部分変換水素化分解条件が、300~450℃の反応温度と、80~200barの反応圧力とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記部分変換水素化分解条件が、0.05~10hr-1の単位時間当たりの重量空間速度を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記最大変換水素化分解条件が、300~450℃の反応温度と、80~200barの反応圧力とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記最大変換水素化分解条件が、0.05~10hr-1の単位時間当たりの重量空間速度を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記第三流れの前記第一部分を部分変換水素化分解条件へ供することで、ナフサを含む第七流れと、ディーゼルを含む第八流れと、白色未変換油を含む第九流れとを生成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記第三流れの前記第一部分の処理が、一つ以上の潤滑油を生成するために充分な水素化処理条件下で前記第九流れを処理することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水素化処理条件が、0.1%~15%の範囲の水素対供給質量比を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水素化処理条件が、200~450℃の水素化処理温度と、20~200barの水素化処理圧力とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第一流れの前記少なくとも一部を最大変換水素化分解条件に供するステップが、ナフサを含む第五流れと、ディーゼルを含む第六流れとを生成するように適合される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
最大変換水素化分解ユニットにおいて、前記第三流れの第二部分を前記最大変換水素化分解条件に供して、前記第五流れにおいてさらなるナフサと、前記第六流れにおいてさらなるディーゼルとを生成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第五流れの前記ナフサを水蒸気分解して、軽質オレフィン及び/又はBTXを生成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記脱歴化ステップが、ピッチを含む第十流れをさらに生成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記脱歴化ステップが、ピッチを含む第十流れをさらに生成する、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記脱歴化ステップが、ピッチを含む第十流れをさらに生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
前記脱歴化ステップが、ピッチを含む第十流れをさらに生成する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年10月22日に出願された米国特許仮出願第62/924,409号の利益を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、炭化水素流れから高価値化学物質を生成するためのシステム及び方法に関する。さらに具体的には、本発明は、原油を含む炭化水素流れから化学物質を生成するための統合水素化分解プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
軽質オレフィン(C~Cオレフィン)は、多くの化学プロセスの構成要素である。軽質オレフィンを使用して、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンオキシド、エチレンクロリド、プロピレンオキシド、及びアクリル酸を生成され、これらは次に、プラスチック加工、建築、織物、及び自動車産業などの様々な産業で使用される。BTX(ベンゼン、トルエン、及びキシレン)は、化学工業の様々な分野、特にプラスチック及びポリマー部門で使用される芳香族化合物の一群である。例えば、ベンゼンは、ポリスチレン、フェノール樹脂、ポリカーボネート、及びナイロンを生成するための前駆体である。トルエンは、ポリウレタンを生成するためや、ガソリン成分として使用される。キシレンは、ポリエステル繊維や無水フタル酸を生成するための原料である。潤滑基油(Lube base oil)は、潤滑油、モーターオイル及び金属加工液(metal processing fluid)を含む製品を製造するために使用される油の一群である。
【0004】
従来、軽質オレフィン及びBTXは、原油から得られる、軽質留分から生成される。一方、潤滑基油は、原油の特定のより重質の留分から生成される。さらに詳細には、従来の潤滑基油生成法は、概して、真空残油の水素化分解によって生成する直留真空軽油及び/又は真空軽油を水素化分解して、潤滑油生成のフィードとして未変換油を得る燃料生成プロセスと統合される。しかしながら、現在、軽質オレフィン及びBTXの生成と、潤滑基油の生成とは互いに分離されており、その結果、原油からの全体的な生成効率が制限され、軽質オレフィン及びBTXの潤滑基油に対する生成物比の制御が制限される。さらに、真空油を処理するための水素化分解ユニットは、輸送燃料の高い生成量のために設計され、高い過酷度で操作されるので、結果として得られる未変換油は、多くの場合、潤滑基油生成のために使用するには含まれる芳香族化合物が多すぎるので、低価値燃料油として使用せざるを得ない。
【0005】
全体として、潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXを生成する方法は存在するが、少なくとも前記方法の前記欠点に照らして、この分野における改善が引き続き必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軽質オレフィン及びBTX、並びに/又は潤滑基油の原油からの生成プロセスに関連する課題の少なくともいくつかに対する解決策が見出された。本解決策は、統合生成システムでオレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法にある。特に、真空油を水素化分解することから生成するナフサ及び/又はLPGを含む生成物は、軽質オレフィン及び/又はBTXを生成するためにさらに使用され、原油からの全体的な生成効率が増大する。さらに、この方法は、水素化分解過酷度(hydrocracking severity)が制限された部分変換水素化分解装置と、水素化分解過酷度が高い最大変換分解装置との両方を使用する。したがって、潤滑基油の原料として水素化分解することによって生成される未変換油の組成を最適化でき、その結果、潤滑油生成量が高くなり、低価値の燃料油の生成は最小限に抑えられる。したがって、本発明の方法は、上述の潤滑基油及び/又は軽質オレフィン並びにBTXを生成するための現在利用可能な方法に関連する課題の少なくともいくつかに対する技術的解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、オレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法を含む。当該方法は、真空残油流れを水素化分解して、軽油を含む第一流れと、未変換重質油を含む第二流れとを生成することを含む。当該方法は、前記第二流れを脱歴して、脱歴化油を含む第三流れを生成することを含む。当該方法は、第三流れの第一部分を処理して、一つ以上の潤滑基油を生成することを含む。第三流れの第一部分の処理は、第三流れの第一部分を、部分変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、第一流れの少なくとも一部を処理して、一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することを含む。第一流れの少なくとも一部の処理は、第一流れの少なくとも一部を最大変換水素化分解条件に供することを含む。
【0008】
本発明の実施形態は、オレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法を含む。当該方法は、真空残油流れを水素化分解して、軽油を含む第一流れと、未変換重質油を含む第二流れとを生成することを含む。当該方法は、脱歴化ユニットで第二流れを脱歴して、脱歴化油を含む第三流れを生成することを含む。当該方法は、第三流れの第一部分を処理して、一つ以上の潤滑基油を生成することを含む。第三流れの第一部分の処理は、第三流れの第一部分を、第一水素化分解装置において部分変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、第三流れの第二部分を処理して、一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することを含む。第三流れの第二部分の処理は、第三流れの第二部分を、第二水素化分解装置において、最大変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、重質フラクションを含む第四流れを第二水素化分解装置から脱歴化ユニットへ流すことを含む。
【0009】
本発明の実施形態は、オレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法を含む。当該方法は、真空残油流れを水素化分解して、軽油を含む第一流れと、未変換重質油を含む第二流れとを生成することを含む。当該方法は、脱歴化ユニットで第二流れを脱歴して、脱歴化油を含む第三流れを生成することを含む。脱歴化は、第二流れを、プロパン、ブタン、及びペンタンの一つ以上と接触させることを含む。当該方法は、第一水素化分解装置において、第三流れの第一部分を処理して、一つ以上の潤滑基油を生成することを含む。第三流れの第一部分の処理は、第三流れの第一部分を、部分変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、第一流れの少なくとも一部を処理して、一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することを含む。第一流れの少なくとも一部の処理は、第一流れの少なくとも一部を最大変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、第三流れの第二部分を処理して、一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することを含む。第三流れの第二部分の処理は、第三流れの第二部分を、最大変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法は、重質フラクションを含む第四流れを第二水素化分解装置から脱歴化ユニットへ流すことを含む。
【0010】
以下には、本明細書全体に亘って使用される様々な語句の定義が含まれる。
【0011】
「約」又は「およそ」という語は、当業者には理解されるように、近いと状態であることと定義される。非限定的な一実施形態において、この語は、10%以内、好ましくは5%以内、さらに好ましくは1%以内、そして最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0012】
「wt.%」、「vol.%」又は「mol.%」という語は、それぞれ、当該成分を含む材料の総重量、総体積、又は総モル量に基づいた、成分の重量パーセンテージ、体積パーセンテージ、又はモルパーセンテージを指す。非限定例において、100モルの当該材料中の10モルの成分は、10mol.%の成分である。
【0013】
「実質的に」という語及びその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0014】
「阻害する」若しくは「低減する」若しくは「防止する」若しくは「回避する」又はこれらの語の任意の変形は、請求項及び/又は明細書中で使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0015】
明細書及び/又は請求項で使用される「有効な」という語は、所望の、期待される、又は意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0016】
請求項又は明細書において「comprising(含む)」、「including(包含する)」、「containing(含有する)」、又は「having(有する)」という語と組み合わせて使用される場合、「a」又は「an」という語の使用は、「一つ」を意味し得るが「一つ以上」、「少なくとも一つ」、及び「一つ又は一つより大」の意味とも一致する。
【0017】
「comprising」という語(並びに「comprise」及び「comprises」などのcomprisingの任意の形態)、「having」という語(並びに「have」及び「has」などのhavingの任意の形態)、「including」という語(並びに「includes」及び「include」などのincludingの任意の形態)又は「containing」(並びに「contains」及び「contain」などのcontainingの任意の形態)は、包括的又は非限定的であり、追加の、記載されていない要素又は方法工程を排除しない。
【0018】
本発明のプロセスは、明細書を通して開示された、特定の含有物(ingredient)、成分、組成物等を「含む」、特定の含有物、成分、組成物等「から本質的になる」又は特定の含有物、成分、組成物等「からなる」可能性がある。
【0019】
「中間留分」という語句は、ケロシン、ジェット燃料、及びディーゼルのいずれかを指す。ケロシンは、180~260℃の沸点範囲を有する炭化水素液体である。ジェット燃料は、180~260℃の沸点範囲を有する炭化水素液体である。ジェット燃料は、ケロシンカットを使用した最終製品の名称である。ディーゼルは、260~340℃の沸点範囲を有する炭化水素液体である。軽質軽油は、260~340℃の沸点範囲を有する炭化水素液体である。重質軽油は、340~365℃の沸点範囲を有する炭化水素液体である。
【0020】
「原油」という語句は、天然に存在する炭化水素及び他の有機物質を有する未精製の石油製品を指す。この文脈での「未精製の石油製品」とは、ガソリン、ナフサ、ケロシン、軽油、及び残留物などの製品を生成するための蒸留プロセスに供されていない石油製品を意味する。この文脈での精製には、そのような製品を作製しない原油の前処理は含まれない。したがって、本明細書中で用いられる場合、原油には、水-油分離、ガス-油分離、脱塩、安定化、及びそれらの組み合わせに供された石油製品が含まれる。
【0021】
「主に」という語は、当該語が明細書及び/又は請求項で使用される場合、50wt.%、50mol.%、及び50vol.%のいずれかよりも多いことを意味する。例えば、「主に」には、50.1wt.%~100wt.%並びにその間のすべての値及び範囲、50.1mol.%~100mol.%並びにその間のすべての値及び範囲、又は50.1vol.%~100vol.%並びにその間のすべての値及び範囲が含まれ得る。
【0022】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の図、詳細な説明、及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図、詳細な説明、及び実施例は、本発明の特定の実施形態を示すが、例示のためだけに提示され、限定することを意味するものではないと理解されたい。さらに、本発明の主旨及び範囲内の変更及び修飾は、この詳細な説明から当業者には明らかになることが企図される。さらなる実施形態において、特定の実施形態からの特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。例えば、一実施形態からの特徴は、他の実施形態のいずれかからの特徴と組み合わせることができる。さらなる実施形態において、さらなる特徴が、本明細書中で記載する特定の実施形態に追加され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
より完全に理解するために、添付の図面とあわせて以下の説明が参照される。
図1A図1Aは、本発明の実施形態にしたがって真空軽油及び真空残油から潤滑基油、軽質オレフィン及びBTXを生成するためのシステムの概略図を示す。
図1B図1Bは、潤滑基油及び軽質オレフィン、並びにBTXを、真空軽油及び真空残油から生成するためのシステムであって、真空軽油及び真空残油を原油蒸留ユニットから生成するシステムの概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、潤滑基油、軽質オレフィン及びBTXを生成する方法の概略的フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
現在、軽質オレフィン、BTX、及び潤滑基油は、原油のフラクションから生成することができる。しかしながら、軽質オレフィン、BTX、及び潤滑基油の生成プロセスは効率的に統合されておらず、その結果、原油からの全体的な生成効率が制限され、軽質オレフィン及びBTXの潤滑基油に対する生成物比の制御が制限される。さらに、従来型水素化分解ユニットは、輸送燃料の高い生成量のために設計され、高過酷度で運転される。したがって、これらの従来型水素化分解ユニットから生成される未変換油は、多くの場合、高い芳香族化合物含有量を有し、このために、潤滑油生成のために使用することができなくなる。本発明は、これらの課題に対する解決策を提供する。前記解決策は、原油フラクションを処理するための統合システムにおいて軽質オレフィン、BTX、及び潤滑基油を生成するための方法を前提とする。これは、原油からの潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXの全体的な生成効率を改善するのに有用であり得る。さらに、この方法は、真空軽油及び/又は脱歴化油を処理するために部分変換水素化分解ユニットを使用し、したがって、高い芳香族含有量を有するため潤滑基油を生成するために使用できない未変換油の生成を防止する。さらに、前記発見された方法では、部分変換水素化分解ユニット(partial conversion hydrocracking unit)及び/又は最大変換水素化分解ユニット(maximum conversion hydrocracking unit)に供給される、生成された脱歴化油の量を変化させて、潤滑基油の軽質オレフィン及びBTXに対する生成物比を調節することができ、それにより、生成物の柔軟性が増加する。本発明のこれらや他の非限定的な態様は、以下のセクションでさらに詳細に論じられる。
【0025】
A.潤滑基油、軽質オレフィン及び/又はBTXを生成するためのシステム
【0026】
本発明の実施形態において、潤滑基油、軽質オレフィン、及び/又はBTXを生成するためのシステムには、残留物水素化分解ユニット、脱歴化ユニット、部分変換水素化分解ユニット、最大変換水素化分解ユニット、潤滑基油処理ユニット、及び水蒸気分解ユニットが含まれ得る。図1Aを参照すると、システム100の概略図が示されており、これは、従来法と比較して、生成効率が改善され、潤滑基油の軽質オレフィン及びBTXに対する生成物比が調節可能で、潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXを生成することができる。
【0027】
本発明の実施形態によると、システム100は、真空残油流れ10の炭化水素を水素化分解して、軽油を含む第一流れ11と未変換重質油を含む第二流れ12とを生成するように構成された残留物水素化分解ユニット101を含む。本発明の実施形態において、残留物水素化分解ユニット101は、固定床反応器、沸騰床反応器、スラリー反応器、又はそれらの組み合わせを含む。残留物水素化分解ユニット101は、一つ以上の様々な、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカ、マグネシア、ゼオライト、若しくはそれらの組み合わせを含む固体支持体を有する金属硫化物、又は遷移金属を含む触媒を含み得る。本発明の実施形態において、第一流れ11の軽油は、240~550℃の沸点範囲を有する。未変換重質油は、550~800℃の沸点範囲を有し得る。
【0028】
本発明の実施形態によると、残留物水素化分解ユニット101の出口は、未変換重質油を含む第二流れ12が残留物水素化分解ユニット101から脱歴化ユニット102へ流れるように、脱歴化ユニット102の入口と流体連通している。脱歴化ユニット102は、第二流れ12の未変換油を分離して、脱歴化油を含む第三流れ13とピッチを含む第十流れ20とを生成するように構成されていてもよい。本発明の実施形態において、脱歴化ユニット102は、溶媒脱歴化ユニットを含む。溶媒脱歴化ユニットで使用される例示的な溶媒には、プロパン、ブタン、ペンタン、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。第三流れ13の脱歴化油は、主に、400℃を越える沸点を有する炭化水素を含み得る。
【0029】
本発明の実施形態によると、残留物水素化分解ユニット101の第二出口は、第一流れ11の軽油が残留物水素化分解ユニット101から最大変換水素化分解ユニット103へ流れるように、最大変換水素化分解ユニット103の入口と流体連通している。脱歴化ユニット102の出口は、第三流れ13の少なくとも一部が脱歴化ユニット102から最大変換水素化分解ユニット103へ流れるように、最大変換水素化分解ユニット103と流体連通していてもよい。本発明の実施形態において、最大変換水素化分解ユニット103は、水素及び第二触媒の存在下で、第一流れ11の軽油及び/又は第三流れ13の未変換油の一部を水素化分解して、ナフサを含む第五流れ15とディーゼルを含む第六流れ16とを生成するように構成される。第二触媒は、一つ以上の様々な、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカ、マグネシア、ゼオライト、若しくはそれらの組み合わせを含む固体支持体を有する金属硫化物、又は遷移金属を含み得る。本発明の実施形態において、最大変換水素化分解ユニット103は、最大変換水素化分解ユニット103を出る残りの重質炭化水素が、10wt.%未満の、400℃を越える沸点範囲を有する重質炭化水素を含むように、炭化水素を水素化分解するように構成されている。最大変換水素化分解ユニット103は、550℃を越える沸点範囲を有する重質炭化水素の、より軽質の炭化水素への変換率を最大化するように、複数の反応段階を含んでもよい。本発明の実施形態において、最大変換水素化分解ユニット103の出口は、重質の水素化分解装置ブリードを含む第四流れ14が最大変換水素化分解ユニット103から脱歴化ユニット102へ流れるように、脱歴化ユニット102と流体連通していてもよい。第四流れ14の重質の水素化分解装置ブリードは、主に多環芳香族炭化水素と、350℃を越える沸点範囲を有する他の炭化水素とをあわせて含むことができる。
【0030】
本発明の実施形態によると、脱歴化ユニット102の出口は、第三流れ13の第一部分の脱歴化油が、脱歴化ユニット102から部分変換水素化分解ユニット104へ流れるように、部分変換水素化分解ユニット104の入口と流体連通していてもよい。本発明の実施形態において、軽質及び重質真空軽油を含む真空軽油供給流れ22は、部分変換水素化分解ユニット104へ供給される。部分変換水素化分解ユニット104は、水素及び第三触媒の存在下で第三流れ13及び/又は真空軽油供給流れ22の炭化水素を処理して、ナフサを含む第七流れ17と、ディーゼルを含む第八流れ18と、白色未変換油を含む第九流れ19とを生成するように構成されていてもよい。例示的な第三触媒は、一つ以上の様々な、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカ、マグネシア、及びゼオライト、並びにそれらの組み合わせを含む固体支持体を有する金属硫化物、又は遷移金属を含み得る。本発明の実施形態において、部分変換水素化分解ユニット104を出る炭化水素が、10~40wt.%の、400℃を越える沸点範囲を有する重質炭化水素を含むように重質炭化水素を処理するように、部分変換水素化分解ユニット104を適合させる。本発明の実施形態において、部分変換水素化分解ユニット104は、単一の反応段階と、それに続く分離ユニットを含む。本発明の実施形態において、ナフサとディーゼルとを生成するために、真空軽油供給流れ22の少なくとも一部を最大変換水素化分解ユニット103に供給できる。
【0031】
本発明の実施形態によると、部分変換水素化分解ユニット104の出口は、第九流れ19の白色未変換油が部分変換水素化分解ユニット104から潤滑油処理ユニット105へ流れるように、潤滑油処理ユニット105の入口と流体連通している。本発明の実施形態において、潤滑油処理ユニット105は、潤滑基油を生成するために充分な水素化処理条件下で第九流れ19の白色未変換油を処理するように構成されている。潤滑油処理ユニット105は、水素化処理装置又は水素化仕上げ装置(hydrofinisher)を含み得る。本発明の実施形態によると、システム100は、第七流れ17及び/又は第五流れ15のナフサを水蒸気分解して、軽質オレフィン、BTX、C炭化水素、及び/又は熱分解ガソリンを生成するように構成されている水蒸気分解複合装置(complex)106を含む。本発明の実施形態において、システム100は、潤滑基油の、軽質オレフィン及びBTXに対する比を制御するように構成されている。本発明の実施形態において、潤滑基油は、いくつかのパラフィン系炭化水素を含む。部分変換水素化分解ユニット104に流入する第三流れ13の脱歴化油の量を増やすことによって、重質潤滑基油の生成を増やすことができる。最大変換水素化分解ユニット103に流入する第三流れ13の脱歴化油の量を増やすことによって、軽質オレフィン及びBTXの生成を増やすことができる。
【0032】
図1Bに示すように、システム100′は、システム100のすべてのユニット及び流れを含んでもよい。システム100′は、原油を処理して、真空軽油供給流れ22、及び真空残油流れ10、並びに直留ナフサ流れ24を生成するように構成された蒸留ユニット107をさらに含んでもよい。本発明の実施形態において、蒸留ユニット107は、常圧蒸留塔及び/又は真空蒸留塔を含む。蒸留ユニット107の出口は、直留ナフサ流れ24が蒸留ユニット107から水蒸気分解ユニット106へ流れるように、水蒸気分解ユニット106と流体連通していてもよい。本発明の実施形態によると、システム100′の残留物水素化分解ユニット103はナフサを生成するようにさらに構成されている。システム100′の水蒸気分解ユニット106は、熱分解油を含む熱分解油流れ23をさらに生成するように構成されていてもよい。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106の出口は、熱分解油流れ23が水蒸気分解ユニット106から残留物水素化分解ユニット101へ流れるように、残留物水素化分解ユニット101の入口と流体連通している。
【0033】
B.潤滑油、軽質オレフィン、及びBTXを生成する方法
【0034】
原油フラクションから潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXを生成する方法が見出された。当該方法は、残留物水素化分解ユニット、部分変換水素化分解ユニット、及び最大水素化分解ユニットを含む統合システムにおいて、真空残油及び真空軽油を処理して、真空残油及び真空軽油からの潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXの生成効率を最大にすることを含み得る。図2に示すように、本発明の実施形態は、潤滑基油、軽質オレフィン、及びBTXを生成するための方法200を含む。方法200は、図1Aに示すようにシステム100によって、及び/又は図1Bに示すようにシステム100′によって、そして前述のように、実施することができる。
【0035】
本発明の実施形態によると、ブロック201に示すように、方法200は、残留物水素化分解ユニット101において、真空残油流れ10を水素化分解して、軽油を含む第一流れ11と未変換重質油を含む第二流れ12とを生成することを含む。ブロック201における残留物水素化分解ユニット101での水素化分解は、ナフサをさらに生成し得る。本発明の実施形態において、真空残油流れ10は、原油の常圧残油フラクションを真空蒸留することによって得られる。常圧残油は、350~800℃の沸点範囲を有し得る。ブロック201における水素化分解は、200~450℃の水素化分解温度と20~220barの水素化分解圧力とを含む第一水素化分解条件下で実施することができる。ブロック201における第一水素化分解条件は、0.1~20hr-1の範囲と、0.1~0.2hr-1、0.2~0.4hr-1、0.4~0.6hr-1、0.6~0.8hr-1、0.8~1.0hr-1、1.0~2.0hr-1、2.0~4.0hr-1、4.0~6.0hr-1、6.0~8.0hr-1、8.0~10.0hr-1、10.0~12.0hr-1、12.0~14.0hr-1、14.0~16.0hr-1、16.0~18.0hr-1、及び18.0~20.0hr-1の範囲などの、その間のすべての範囲とその間のすべての値の単位時間当たりの重量空間速度をさらに含み得る。ブロック201における第一水素化分解条件は、0.1%~15%の、並びに0.1~0.2%、0.2~0.4%、0.4~0.6%、0.6~0.8%、0.8~1.0%、1.0~3.0%、3.0~6.0%、6.0~9.0%、9.0~12.0%、及び12.0~15.0%の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の水素対供給質量比をさらに含み得る。
【0036】
本発明の実施形態によると、ブロック202に示すように、方法200は、脱歴化ユニット102において、第二流れ12を脱歴して、脱歴化油を含む第三流れ13を生成することを含む。本発明の実施形態において、ブロック202での脱歴は、脱歴化ユニット102において、第二流れ12を溶媒と接触させることを含む。例示的溶媒には、プロパン、ブタン、ペンタン、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。本発明の実施形態において、ブロック202での脱歴は、0.5~20の範囲、並びに0.5~1.0、1.0~2.0、2.0~4.0、4.0~6.0、6.0~8.0、8.0~10、10~12、12~14、14~16、16~18、及び18~20の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の炭化水素(第二流れ12)対溶媒比で実施することができる。ブロック202での脱歴は、ピッチを含む第十流れ20を生成することをさらに含み得る。
【0037】
本発明の実施形態によると、ブロック203に示すように、方法200は、部分変換水素化分解ユニット104において、第三流れ13の少なくとも第一部分を処理して、白色未変換油を含む第九流れ19を生成することを含む。ブロック203での処理は、ディーゼルを含む第八流れ18と、主にナフサを含む第七流れ17とをさらに生成することができる。ブロック203での処理は、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、又はそれらの組み合わせをさらに生成することができる。本発明の実施形態において、ブロック203での処理は、第三流れ13の第一部分を部分変換水素化分解条件に供することを含む。ブロック203での部分変換水素化分解条件は、300~450℃、並びに300~310℃、310~320℃、320~330℃、330~340℃、340~350℃、350~360℃、360~370℃、370~380℃、380~390℃、390~400℃、400~410℃、410~420℃、420~430℃、430~440℃、及び440~450℃の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の水素化分解温度を含み得る。ブロック203での部分変換水素化分解条件は、80~200bar、並びに80~100bar、100~120bar、120~140bar、140~160bar、160~180bar、及び180~200barの範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の水素化分解圧力を含み得る。ブロック203での部分変換水素化分解条件は、0.05~10hr-1、並びに0.05~0.06hr-1、0.06~0.07hr-1、0.07~0.08hr-1、0.08~0.09hr-1、0.09~0.10hr-1、0.10~0.20hr-1、0.20~0.30hr-1、0.30~0.40hr-1、0.40~0.50hr-1、0.50~0.60hr-1、0.60~0.70hr-1、0.70~0.80hr-1、0.80~0.90hr-1、0.90~1.0hr-1、1.0~2.0hr-1、2.0~3.0hr-1、3.0~4.0hr-1、4.0~5.0hr-1、5.0~6.0hr-1、6.0~7.0hr-1、7.0~8.0hr-1、8.0~9.0hr-1、及び9.0~10.0hr-1の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の単位時間当たりの重量空間速度をさらに含み得る。ブロック203での部分変換水素化分解条件は、0.1%~15%の範囲、並びに0.1~0.2%、0.2~0.4%、0.4~0.6%、0.6~0.8%、0.8~1.0%、1.0~3.0%、3.0~6.0%、6.0~9.0%、9.0~12.0%、及び12.0~15.0%の範囲など、その間のすべての値の範囲の水素対水素質量比をさらに含み得る。本発明の実施形態において、真空軽油供給流れ22の少なくとも一部は、さらなるナフサ、ディーゼル、白色未変換油、又はそれらの組み合わせを生成するための部分変換水素化分解装置104に供給することができる。
【0038】
本発明の実施形態によると、ブロック204に示すように、方法200は、一つ以上の潤滑基油を生成するために充分な水素化処理条件下で第九流れ19を処理することを含む。この一つ以上の潤滑油はパラフィン系炭化水素を含み得る。本発明の実施形態において、水素化処理条件は、200~450℃の水素化処理温度と、20~220barの水素化処理圧力と、0.1~20hr-1の単位時間当たりの重量空間速度と、0.1%~15%の範囲の水素対炭化水素の質量比とを含む。ブロック204での処理は、LPG、ナフサ、又はそれらの組み合わせをさらに生成することができる。
【0039】
本発明の実施形態によると、ブロック205に示すように、方法200は、最大変換水素化分解ユニット103において、第一流れ11の少なくとも一部を処理して、主にナフサを含む第五流れ15と、ディーゼルを含む第六流れ16とを生成することを含む。本発明の実施形態において、第五流れ15においてさらなるナフサと、第六流れ16においてさらなるディーゼルとを生成するために、第三流れ13の少なくとも第二部分を最大変換水素化分解ユニット103で処理する。ブロック205での第一流れ11の少なくとも一部の処理は、第三流れ13の第二部分を最大変換水素化分解条件に供することを含み得る。ブロック205での最大変換水素化分解ユニット103の最大変換水素化分解条件は、300~450℃、並びに300~310℃、310~320℃、320~330℃、330~340℃、340~350℃、350~360℃、360~370℃、370~380℃、380~390℃、390~400℃、400~410℃、410~420℃、420~430℃、430~440℃、及び440~450℃の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の水素化分解温度を含み得る。ブロック205での最大変換水素化分解条件は、80~200bar、並びに80~100bar、100~120bar、120~140bar、140~160bar、160~180bar、及び180~200barの範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の水素化分解圧力を含み得る。ブロック205での前記最大変換水素化分解条件は、0.05~10hr-1、並びに0.05~0.06hr-1、0.06~0.07hr-1、0.07~0.08hr-1、0.08~0.09hr-1、0.09~0.10hr-1、0.10~0.20hr-1、0.20~0.30hr-1、0.30~0.40hr-1、0.40~0.50hr-1、0.50~0.60hr-1、0.60~0.70hr-1、0.70~0.80hr-1、0.80~0.90hr-1、0.90~1.0hr-1、1.0~2.0hr-1、2.0~3.0hr-1、3.0~4.0hr-1、4.0~5.0hr-1、5.0~6.0hr-1、6.0~7.0hr-1、7.0~8.0hr-1、8.0~9.0hr-1、9.0~10.0hr-1の範囲などの、その間のすべての範囲及びすべての値の単位時間当たりの重量空間速度をさらに含み得る。ブロック205での最大変換水素化分解条件は、0.1%~15%の範囲、並びに0.1~0.2%、0.2~0.4%、0.4~0.6%、0.6~0.8%、0.8~1.0%、1.0~3.0%、3.0~6.0%、6.0~9.0%、9.0~12.0%、及び12.0~15.0%の範囲など、その間のすべての値の範囲の水素対炭化水素質量比をさらに含み得る。本発明の実施形態によると、ブロック206に示すように、方法200は、重質フラクションを含む第四流れ14(重質水素化分解装置ブリード)を最大変換水素化分解ユニット103から脱歴化ユニット102へ流すことを含む。
【0040】
本発明の実施形態によると、ブロック207に示すように、方法200は、水蒸気分解ユニット106においてナフサを水蒸気分解して、軽質オレフィン及び/又はBTXを生成することをさらに含み得る。本発明の実施形態において、ブロック207でのナフサは、第七流れ17からのナフサ、第五流れ15からのナフサ、残留物水素化分解ユニット101からのナフサを含み得る。ブロック207で処理されるナフサは、図1Bに示すように、蒸留ユニット107によって原油を蒸留することから生成される直留ナフサをさらに含み得る。原油の蒸留は、図1Bに示すように、真空軽油流れ22及び/又は真空残油流れ10を生成することができる。
【0041】
本発明の実施形態において、ブロック207での水蒸気分解は、750~950℃の温度にて、50~1000msの滞留時間実施される。本発明の実施形態において、ブロック207での水蒸気分解は、0.1~1の範囲並びにその間のすべての範囲及び値の蒸気対炭化水素比で実施される。本発明の実施形態において、ブロック207での水蒸気分解は、n-ブタン、イソブタン、イソブテン、1-ブテン、2-ブテン、ブタジエン、又はそれらの組み合わせを含むC炭化水素をさらに生成する。ブロック206での水蒸気分解は、BTXを含む熱分解ガソリンをさらに生成し得る。本発明の実施形態において、図1Bに示すように、ブロック207での水蒸気分解は、主に熱分解油を含む熱分解油流れ23をさらに生成し得る。熱分解油は、200~700℃の沸点範囲を有する炭化水素を含み得る。本発明の実施形態において、熱分解油流れ23は、残留物水素化分解ユニット101に供給される。
【0042】
本発明の実施形態を、図2のブロックを参照して説明してきたが、本発明の動作は、図2に示す特定のブロック及び/又はブロックの特定の順序に限定されないことを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、図2のものとは異なるシーケンスで様々なブロックを使用して本明細書中に記載するような機能を提供することができる。
【0043】
本明細書中で説明するシステム及びプロセスはまた、示されていないが、化学処理の当業者には公知の様々な装置も含み得る。例えば、一部のコントローラ、パイプ、コンピュータ、バルブ、ポンプ、ヒータ、熱電対、圧力インジケータ、ミキサー、熱交換器などは図示されていない場合がある。
【0044】
本発明に関連して、少なくとも以下の17の実施形態を説明する。実施形態1は、オレフィン及び/又は芳香族化合物並びに潤滑基油を生成する方法である。当該方法は、真空残油流れを水素化分解して、軽油を含む第一流れと、未変換重質油を含む第二流れとを生成することを含む。当該方法は、第二流れを脱歴して、脱歴化油を含む第三流れを生成することをさらに含む。当該方法は、第三流れの少なくとも第一部分を処理して一つ以上の潤滑基油を生成することをさらに含み、第三流れの第一部分の処理は、部分変換水素化分解ユニットにおいて、第三流れの第一部分を部分変換水素化分解条件に供することを含む。当該方法はまた、第一流れの少なくとも一部を処理して一つ以上のオレフィン及び/又は一つ以上の芳香族化合物を生成することを含み、第一流れの一部の処理は、最大変換水素化分解ユニットにおいて、第一流れの一部を最大変換水素化分解条件に供することを含む。実施形態2は、重質フラクションを含む第四流れを最大変換水素化分解ユニットから脱歴化ユニットへ流すことをさらに含む、実施形態1の方法である。実施形態3は、第四流れの重質フラクションが、主に多環芳香族炭化水素と、350℃を越える沸点範囲を有する他の炭化水素とをあわせて含む、実施形態2の方法である。実施形態4は、脱歴化が、第二流れを、プロパン、ブタン、及びペンタンの一つ以上と接触させることを含む、実施形態1~3のいずれかの方法である。実施形態5は、脱歴化油が、400℃を越える沸点を有する炭化水素を主に含む、実施形態1~4のいずれかの方法である。実施形態6は、部分変換水素化分解条件が、300~450℃の反応温度と、80~200barの反応圧力とを含む、実施形態1~5のいずれかの方法である。実施形態7は、部分変換水素化分解条件が、0.05~10hr-1の単位時間当たりの重量空間速度を含む、実施形態1~6のいずれかの方法である。実施形態8は、最大変換水素化分解条件が、300~450℃の反応温度と、80~200barの反応圧力とを含む、実施形態1~7のいずれかの方法である。実施形態9は、最大変換水素化分解条件が、0.05~10hr-1の単位時間当たりの重量空間速度を含む、実施形態1~8のいずれかの方法である。実施形態10は、第三流れの第一部分を部分変換水素化分解条件へ供することにより、ナフサを含む第七流れと、ディーゼルを含む第八流れと、白色未変換油を含む第九流れとを生成する、実施形態1~9のいずれかの方法である。実施形態11は、第三流れの第一部分の処理が、一つ以上の潤滑油を生成するために充分な水素化処理条件下で第九流れを処理することをさらに含む実施形態10の方法である。実施形態12は、水素化処理条件が、0.1%~15%の範囲の水素対供給質量比を含む、実施形態11の方法である。実施形態13は、水素化処理条件が、200~450℃の水素化処理温度と、20~200barの水素化処理圧力とを含む、実施形態11又は12のいずれかの方法である。実施形態14は、ナフサを含む第五流れと、ディーゼルを含む第六流れとを生成するように第一流れの少なくとも一部を最大変換水素化分解条件に供するステップを適合させる、実施形態1~13のいずれかの方法である。実施形態15は、最大変換水素化分解ユニットにおいて、第三流れの第二部分を、最大変換水素化分解条件に供して、第五流れにおいてさらなるナフサと、第六流れにおいてさらなるディーゼルとを生成することをさらに含む、実施形態14の方法である。実施形態16は、第五流れのナフサを水蒸気分解して、軽質オレフィン及び/又はBTXを生成することをさらに含む、実施形態15の方法である。実施形態17は、脱歴化ステップが、ピッチを含む第十流れをさらに生成する、実施形態1~16のいずれかの方法である。
【0045】
本願の実施形態とその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される実施形態の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び改変を本明細書中で行うことができることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、明細書に記載するプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者であれば開示から容易に理解できるように、本明細書中で記載する対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在しているか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】