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特表2022-553072超臨界流体との接触による、使用済み吸い殻に由来する繊維の洗浄及び汚染除去、並びに汚染除去済み繊維のリサイクル
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  • 特表-超臨界流体との接触による、使用済み吸い殻に由来する繊維の洗浄及び汚染除去、並びに汚染除去済み繊維のリサイクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】超臨界流体との接触による、使用済み吸い殻に由来する繊維の洗浄及び汚染除去、並びに汚染除去済み繊維のリサイクル
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/45 20220101AFI20221214BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20221214BHJP
   B09B 3/80 20220101ALI20221214BHJP
【FI】
B09B3/45 ZAB
B01J3/00 A
B09B3/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523828
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 FR2020051880
(87)【国際公開番号】W WO2021079050
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1911822
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2000806
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522161546
【氏名又は名称】パック,ジュリアン
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】パック,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA50
4D004AC04
4D004CA39
4D004CB04
4D004CB05
4D004CC01
4D004CC03
4D004CC04
4D004CC11
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA07
4D004DA12
(57)【要約】
本発明は、吸い殻を洗浄するための設備(200)に関し、前記設備は、前記吸い殻を処理して、前記吸い殻から汚染除去対象の繊維を抽出するよう構成された処理槽;及び、前記繊維を、超臨界流体という超臨界状態の流体と接触させることによって、前記繊維を汚染除去するよう構成された汚染除去手段(100)を備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い殻を洗浄するための方法であって、以下のステップ:
‐前記吸い殻から汚染除去対象の繊維を抽出する、前記吸い殻の処理(S1_1、S1_2、S1_3、S1_4、S1_5);及び
‐前記繊維を加圧高密度流体と接触させること(S2_4)による、前記繊維の汚染除去(S2_0、S2_1、S2_2、S2_3、S2_4、S2_5、S2_6)
を含む、方法。
【請求項2】
前記流体が超臨界状態であり、ここで、前記流体はいわゆる超臨界流体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維が、洗浄チャンバに予め導入される(S2_0)、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体が、所定のいわゆる超臨界圧力(Psc)まで圧縮され(S2_1)、かつ、所定のいわゆる超臨界温度(Tsc)まで加熱され(S2_2)、前記超臨界圧力(Psc)及び前記超臨界温度(Tsc)は、前記流体に応じて決定される、少なくとも請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記超臨界温度(Tsc)が0℃~400℃であり、好ましくは15℃~80℃であり、かつ、前記超臨界圧力(Psc)が0~2,000バールであり、好ましくは50~350バールであり、好ましくは280~320バールである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体が:二酸化炭素;メタノール又はエタノールその他の有機液体;水;テトラフルオロエタン;メタン、プロパン、ブタン、イソブタン、及びペンタンその他の炭素原子数が1~5の低級アルカン;一酸化二水素;エチレン及びプロピレンその他のアルケンから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記流体が二酸化炭素であり、前記超臨界温度(Tsc)が31℃以上であり、かつ、前記超臨界圧力(Psc)が73.85バール以上である、請求項5と合わせた請求項6に記載の方法。
【請求項8】
共溶媒を前記流体に添加して(S2_5)、有機物質を前記繊維から抽出する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記共溶媒が、一酸化二水素;エタノール、メタノール、ブタノールその他の原子数1~5の脂肪族アルコールを含むアルコール;水性溶媒;テルペン;ベンゼン;シクロヘキサン及びその混合物:ケトン;ヒドロフルオロエーテルから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抽出剤を前記流体に添加して(S2_6)、重金属その他の無機物質を前記繊維から抽出する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出剤が、カリックスアレーンタイプの分子のファミリーに属する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記汚染除去が、接触させるステップ(S2_4)の前に、前記繊維の加湿(S2_3)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記接触させるステップ(S2_4)が、前記繊維の方向への前記流体のジェットの作用を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ジェットが、1~500メートル/秒の速度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ジェットが、1~4,000リットル/時間の流量を有する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記接触させるステップ(S2_4)が、1分~8時間に含まれる期間において実施される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記処理が、前記吸い殻の粉砕(S1_2)を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理が、前記粉砕ステップ(S1_2)の後にふるい分け(S1_4)を備えて、前記繊維を他の廃棄物から分離し、ここで、前記他の廃棄物が、葉、灰、及び/又はタバコを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記他の廃棄物が、コンポストの形態でリサイクルされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記繊維が、酢酸セルロース繊維を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記吸い殻を収集する初期ステップ(S0)を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載された洗浄方法の実施完了時に得られる、洗浄済み繊維。
【請求項23】
吸い殻を洗浄するための設備(200)であって:
‐前記吸い殻を処理して、前記吸い殻から汚染除去対象の繊維を抽出するように構成された、処理槽;及び
‐前記繊維を加圧高密度流体と接触させることによって、前記繊維を汚染除去するように構成された、汚染除去手段(100)
を備える、設備(200)。
【請求項24】
前記汚染除去手段(100)が、オートクレーブタイプの洗浄チャンバ(10)を備える、請求項23に記載の設備(200)。
【請求項25】
前記洗浄チャンバ(10)が、前記流体を内包するタンク(20)に接続される、請求項24に記載の設備(200)。
【請求項26】
前記洗浄チャンバ(10)が、中央ユニット(50)によって制御可能な加熱手段(40)及び圧縮手段(30)を備え、前記加熱手段(40)及び前記圧縮手段(30)はそれぞれ、前記流体を超臨界温度(Tsc)まで加熱するように、かつ、前記流体を超臨界圧力(Psc)まで圧縮するように構成され、前記中央ユニット(50)は、前記流体に応じて前記超臨界温度(Tsc)及び前記超臨界圧力(Psc)を決定する、請求項24又は25に記載の設備(200)。
【請求項27】
前記洗浄チャンバ(10)が、前記繊維が導入される回転ドラムを備える、請求項23~26のいずれか1項に記載の設備(200)。
【請求項28】
断熱材及び/又は遮音材、フィルタ及び/又は生分解性プラスチック物品の製造のための、請求項1~21のいずれか1項に記載の洗浄方法の実施によって汚染除去された吸い殻フィルタに由来する繊維の使用。
【請求項29】
前記繊維が酢酸セルロース繊維である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記断熱材が、建造物及び/又はエネルギに関する断熱及び/又は遮音プレートの製造を目的としたものである、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項31】
前記断熱材が、テキスタイル物品の作製のための、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項32】
空気フィルタ、気体フィルタ、液体フィルタの作製のための、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項33】
プラスチック材料、特に生分解性プラスチック材料の作製のための、請求項28又は29に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸い殻の洗浄の分野に関し、更に詳細には、喫煙済みの吸い殻のフィルタに由来する繊維の洗浄及び汚染除去の分野に関する。
【0002】
本発明の目標の1つは、吸い殻に由来する繊維を洗浄/汚染除去し、かつ、これらの繊維を、エコデザイン製品を製造することでリサイクルすることによって、環境に対する喫煙済みの吸い殻の影響を低減することにある。
【0003】
従って、本発明の目的は、超臨界流体技術を用いて、喫煙済みの吸い殻のフィルタに由来する繊維を汚染除去するための、洗浄方法及び設備に関する。目標は、酢酸セルロースフィルタの繊維を浄化してこれをリサイクルするために、燃焼中に蓄積されて吸い殻を危険なものにする有毒物質を抽出することにある。
【0004】
本発明の目的は、また、上記洗浄の完了時に得られる汚染除去済み繊維のリサイクル及び再使用に関する。
【0005】
本発明は、実施が簡単で環境に優しい、吸い殻を汚染除去するための技術を、製造業者及びコミュニティの両方に提供することによって、多くの有利な用途を見出すものである。
【背景技術】
【0006】
喫煙後、吸い殻は、計算による特性HP6(急性毒性)、及び生態学的毒性試験による特性HP14(生態学的毒性)に基づいて、危険な廃棄物に分類されることが知られている。
【0007】
吸い殻中のニコチン濃度が、この分類の原因の主要な要素である。
【0008】
このような毒性に加えて、吸い殻は世界で最も重要な廃棄物の1つであり、毎年4兆3000億個を超える吸い殻が自然界に廃棄されており、これは例えば、海洋に存在する廃棄物の略40%に相当する。
【0009】
ここで、吸い殻は自然界では約15年後に分解され、この期間の間、吸い殻は1個で最大500リットルの水を汚染することに留意するべきである。
【0010】
これらの理由から、吸い殻のリサイクルは、生態学上及び環境上の大きな問題となっている。
【0011】
しかしながら、このように証明されている毒性、及び驚くべき数にもかかわらず、技術的、財政的、及び/又は生態学的/環境的理由から、吸い殻のリサイクルの実施のための手段はこれまでほとんど展開されていないことを、本出願人は確認している。
【0012】
とりわけ、吸い殻のリサイクルに関連する特許文献1が公知である。この文献では、リサイクルは本質的に水をベースとした洗浄ステップで構成される。
【0013】
タバコの製造に由来する廃棄物のリサイクルに関連する特許文献2も公知であり、この文献でもまた、水をベースとした洗浄ステップが使用されている。
【0014】
(浸漬、噴霧、拭き取り等による)水をベースとした洗浄を伴う吸い殻汚染除去技法は、洗浄に使用した汚染水を処理して濾過する追加のステージを必然的に必要とする。
【0015】
これにより、プロセスは高コストで面倒なものとなる。
【0016】
更に本出願人は、吸い殻中に存在する一部の有毒物質は水中に溶解できず、このタイプの技術に関連する性能は満足できるものではないと考えている。
【0017】
吸い殻のリサイクルに関して、例えば、特許文献3で提案されている技術のような他の技術も提案されており、上記文献は、土壌等の天然の吸収材を用いて吸い殻の繊維を洗浄し、生理用タンポンを製造する、吸い殻のリサイクルを提案している。この文献は主に、恵まれない国々の健康状態の改善を目的としている。
【0018】
ただし、この文献の技術的教示は、吸い殻の洗浄及び汚染除去には適用されない。
【0019】
この主題に関して広範な調査を行った後、本出願人は、吸い殻を洗浄及び汚染除去して、繊維、特に酢酸セルロース繊維をリサイクルするための、大規模かつ比較的低コストでの洗浄及び汚染除去を保証する信頼できる効率的な解決策は、存在しないと考えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】仏国特許出願公開第1754267号明細書
【特許文献2】米国特許第5504119号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/167054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上述のような状況を改善することを目的とする。
【0022】
より詳細には、本発明は、吸い殻を、加圧高密度流体、特に超臨界状態の流体と接触させることを伴う、革新的な洗浄及び汚染除去技法を提供することによって、上述のような様々な欠点のうちの少なくとも1つを克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この目的のために、第1の態様によると、本発明の目的は、吸い殻を洗浄するための方法に関し、上記方法は以下のステップ、即ち、
‐前記吸い殻から、汚染除去対象の繊維を抽出する、前記吸い殻の処理;及び
‐前記汚染除去対象の繊維を、加圧高密度流体、好ましくは、超臨界流体と呼ばれる超臨界状態の流体と接触させることによる、前記汚染除去対象の繊維の汚染除去
を含む。
【0024】
ここで、本発明による洗浄は、使用済みの吸い殻を洗浄することからなること;換言すれば、洗浄は、喫煙後の吸い殻のフィルタに関するものであることを理解されたい。
【0025】
前書きで示したように、喫煙済みのタバコの吸い殻は高いニコチン濃度を有し、本明細書において主な有毒成分を意味するのはこのニコチンであり、従って、繊維を汚染除去してこれを再使用するために洗浄するべきなのは、このニコチンである。
【0026】
加圧高密度流体、好ましくは超臨界流体を、汚染除去対象の繊維と接触させることにより、上記繊維から、この繊維を有毒として分類する、タバコフィルタ内に蓄積された有毒物質及び悪臭のほとんど、更には全てを抽出できる。
【0027】
加圧高密度流体(好ましくは超臨界状態にされた流体)は、特に汚染物質及び汚染因子を含む有機化合物に対する、強力な溶媒として作用する。
【0028】
加圧高密度流体技術(特に超臨界流体)による、タバコフィルタ内に蓄積された有毒物質及び悪臭の上述のような抽出により、繊維の汚染除去が可能であり、汚染除去後、これらの繊維は清浄になり、新たな材料及び/又は他の用途のために再使用できる。
【0029】
このような汚染除去済み繊維は、特にその熱特性及び/又は音響特性、そのろ過性能及び/又はその機械的特性に関して評価される。
【0030】
加圧高密度流体又は超臨界流体の使用は、汚染された洗浄水の処理を必要とする水ベースの洗浄技法とは対照的に、汚染除去後のいずれの後処理も必要としない点で有利である。
【0031】
その後、流体を加圧高密度状態、好ましくは超臨界状態から気体状態に切り替えることにより、流体が汚染物質を自動的に放出することができるため、流体は再び使用可能となり、継続的にリサイクルできる。従って、洗浄は排出物をごくわずかしか生成せず、閉回路で実施される。例えば、30リットルの繊維の汚染除去によって生成される、処理が必要な排出物は、わずか0.1リットルであり、これは抽出された有毒物質の濃縮物を表している。この比率は極めて興味深いものであり、本方法の大規模適用を可能にするものである。
【0032】
その後、このようにして汚染除去された吸い殻の繊維を、様々な形態の半製品又は完成品に変換して、複数の分野で使用可能なエコデザイン材料とすることができる。繊維の洗浄及び浄化のレベルは応用分野によって、その分野に適用される要件及び基準に応じて変化し得ることを理解されたい。
【0033】
ある有利な実施形態では、本発明による方法は、初期吸い殻収集段階を含み、その間に吸い殻が収集される。
【0034】
上記収集は、個人、協会、コミュニティ、企業及び/又は製造業者、特にタバコ製造の分野で活動する製造業者が実施してよい。
【0035】
従って上記収集は、地方レベル及び全国レベルの両方で編成できる。
【0036】
有利には、吸い殻の繊維は酢酸セルロース繊維を含む。これらの酢酸セルロース繊維の汚染除去後の再使用は、以下のような用途に関して価値がある。即ち、
‐テキスタイル製衣料物品(テキスタイルベースの衣類又は物品の作成に使用される、断熱性コート用詰め物、断熱性クッション材、縫い糸、布地、ウール:マットレス、クッション、羽根布団、ハット、帽子、ハンドバッグ等);
‐断熱及び/又は遮音材料(建造物、電子機器、自動車:電気自動車のためのリチウム電池絶縁体、航空、造船等);
‐ろ材(液体、気体等);
‐屋外のマルチング/ジオテキスタイルのための材料:布地、プレート等(汚染除去済み材料は、自然界で(例えば樹木の根元等で)使用できる生分解性天然繊維となる))
である。
【0037】
これらの材料は、考慮対象の分野の基準に従って、繊維板又はバルク繊維の形態で作製される。
【0038】
これらの繊維は、混合して又は混合せずに新しいエコデザイン固体材料を生み出すために、プラスチック業界でも評価される。
【0039】
ある有利な実施形態では、洗浄対象の繊維は洗浄チャンバに導入される。好ましくは、これは、汚染除去段階中に、接触前に実施される。
【0040】
好ましくは、上記チャンバは、オートクレーブ等のエンクロージャの形態である。
【0041】
有利には、汚染除去段階中、流体は所定のいわゆる超臨界圧力まで圧縮され、かつ、いわゆる超臨界温度まで加熱される。上記超臨界圧力及び上記超臨界温度は、流体に応じて決定される。
【0042】
好ましくは、上記超臨界圧力は、0~2,000バール、好ましくは50~350バール、好ましくは280~320バールである。
【0043】
好ましくは、上記超臨界温度は、0℃~400℃、好ましくは15℃~80℃である。
【0044】
よって、本発明の態様のうちの1つは、流体を、タバコの燃焼後にタバコ繊維中に存在する有毒物質及び悪臭を排除(抽出)するために十分に強力かつ溶解力のある超臨界状態にするために、特に圧力及び温度パラメータを設定することによって、有効な汚染除去を提供することである。
【0045】
物質の抽出性能は、繊維の再生のために想定される応用分野に依存する。圧力及び温度に関連するパラメータは、必要な繊維の純度の結果に従って変化させてよいことを理解されたい。
【0046】
有利には、流体は以下から選択される。即ち、二酸化炭素;いくつかの有機液体、例えば、メタノール又はエタノール等;水;テトラフルオロエタン;例えば、炭素原子数が1~5の低級アルカン、例えば、メタン、プロパン、ブタン、イソブタン、及びペンタン等;一酸化二水素;エチレン及びプロピレン等のアルケンである。
【0047】
これらの流体は全て、亜臨界(湿式酸化)又は超臨界状態で加圧高密度流体として使用できる。
【0048】
本発明のある有利な実施形態では、汚染除去段階用に選択される流体は、二酸化炭素である。この実施形態では、超臨界温度は31℃以上であり、超臨界圧力は73.85バール以上であることが好ましい。
【0049】
流体として二酸化炭素を使用すると、吸い殻等の廃棄物を、産業界で極めて多量に放出されている別の廃棄物(二酸化炭素)を用いて汚染除去できるという点で、有利である。
【0050】
二酸化炭素を超臨界状態にするための上記温度(31℃以上の温度)及び圧力(73.85バール以上の圧力)条件は、十分なものであり、かつ、オートクレーブ等のエンクロージャ内で問題なく到達できるものである。
【0051】
当然のことながら、当業者は、この汚染除去操作のために、他の流体、並びに/又は他の圧力及び/若しくは温度パラメータを選択することもできる。
【0052】
ここで、流体の抽出の程度及び輸送能力は、これらの温度及び圧力パラメータに働きかけることによって変化させることができることを理解されたい。この技術によって、パワーの調整が可能な可溶化流体、特にフィルタ由来の繊維から抽出される汚染物質が得られる。
【0053】
有利には、共溶媒を上記流体に添加することにより、繊維の品質及び技術的特性を維持したまま、望ましくない有機物質を繊維から抽出する。
【0054】
上記共溶媒の添加により、繊維中に存在するいくつかの有機物質を繊維から除去して、この洗浄方法を改良できる。
【0055】
このような共溶媒の添加は、流体を汚染除去対象の繊維と接触させる前、接触させている間、及び/又は接触させた後に実施できることを理解されたい。
【0056】
有利には、上記共溶媒は以下から選択される。即ち、一酸化二水素;アルコール、例えばエタノール、メタノール、ブタノール等の原子数1~5の脂肪族アルコール;水性溶媒(例えば水);テルペン;ベンゼン;シクロヘキサン及びその混合物:ケトン;ヒドロフルオロエーテル;並びに繊維中に存在する望ましくない物質を汚染除去できる他の全ての共溶媒である。
【0057】
有利には、抽出剤を上記流体に添加して、繊維から重金属等の無機物質を抽出する。
【0058】
上記抽出剤の添加により、繊維中に存在するいくつかの無機物質を繊維から除去して、上記汚染除去段階の性能を改善できる。
【0059】
このような抽出剤の添加は、流体を汚染除去対象の繊維と接触させる前、接触させている間、及び/又は接触させた後に実施できることを理解されたい。
【0060】
好ましくは、上記抽出剤は、カリックスアレーンタイプの一連の分子、及び/又は無機物質(錯化剤、キレート剤、抗酸化剤、緩衝液)を抽出できる剤の溶液を含む。
【0061】
1つ以上の共溶媒の添加は無機分子にも影響し得、そして反対に、1つ以上の抽出剤の添加はまた有機分子にも影響し得る。
【0062】
サイクル中の1つ以上の共溶媒及び/又は1つ以上の抽出剤の添加は、好ましくは好適なポンプを用いて注入される。共溶媒及び抽出剤は、抽出対象となる望ましくない物質に応じて、生産物に対応する基準に従って選択されることを理解されたい。
【0063】
実際には、生産物に応じて、所望の繊維の純度に関連する結果を変化させることができる。
【0064】
従って、パラメータ(圧力、温度、流量、洗浄時間等)、並びに共溶媒及び/又は抽出剤の使用又は不使用は、所望の結果に応じて変化させることができる。
【0065】
有利には、汚染除去ステップは、接触させる前に、繊維の加湿を含む。
【0066】
加圧高密度流体(例えば超臨界流体)の接触に関連する他のパラメータ、即ち、流体の流量及び/又は流速、接触時間等を考慮してよい。
【0067】
有利には、接触させるステップは、繊維の方向への流体のジェットの作用を含む。このジェットによって、流体はオートクレーブ内に存在する材料全体に浸透する。
【0068】
好ましくは、上記ジェットは、1~500メートル/秒の速度を有する。
【0069】
好ましくは、上記ジェットは、1~4,000リットル/時間の流量を有する。
【0070】
好ましくは、接触させるステップは、1分~8時間、好ましくは15~120分に含まれる期間において実施される。
【0071】
従って、流量及び洗浄時間は、特に処理対象の材料の量、パラメータ、及び標的物質に応じて変化させることができる。
【0072】
例えば、洗浄チャンバ内の回転ドラム内で繊維を回転させることもできる。
【0073】
また、圧縮‐減圧サイクルによって圧力変動を提供することもできる。
【0074】
より一般的には、洗浄サイクル中、流体の圧力、温度、及び流量は一定のままであってもよく、変化させてもよい。
【0075】
有利には、処理段階は、吸い殻の粉砕を含む。
【0076】
好ましくは、上記粉砕は、例えば、グラインダ又はいわゆる処理槽内で、収集段階の後、及び場合によっては選別作業の後で実施される。
【0077】
次に、粉砕済み吸い殻は生産ライン上で搬送され、複数の処理操作(摩擦、及び/又はふるい分け、及び/又はサイクロン処理、及び/又は二次粉砕)に供される。
【0078】
有利には、処理段階は特にふるい分けを含む。
【0079】
この操作、又はこれらの様々な操作は、繊維を他の廃棄物から分離することを主な目的とし、上記他の廃棄物としては、葉、灰、及び/又はタバコが挙げられる。
【0080】
一部が酢酸セルロースからなる繊維のみを回収する。好ましくは、他の廃棄物(葉、タバコ、灰)は、コンポストの形態でリサイクルされる。
【0081】
これらの処理操作は、この目的に適合された処理槽内で実施してよく、この槽は、オートクレーブから独立していても、場合によってはオートクレーブに直接組み込まれていてもよい。
【0082】
第2の態様によると、本発明の目的は、上述の洗浄プロセスの実施完了後に得られる、洗浄済み(又は汚染除去済み)繊維に関する。
【0083】
このようにして汚染除去された上記繊維は、特に建築、衣料品分野、及びこの繊維を利用できる任意の他の分野において、多くの用途のために再利用できる。
【0084】
第3の態様によると、本発明の目的は、吸い殻洗浄設備に関し、上記吸い殻洗浄設備は:
‐吸い殻を処理して、汚染除去対象の繊維を抽出するように構成された、処理槽;及び
‐上記繊維を加圧高密度流体(好ましくは、超臨界流体と呼ばれる超臨界状態の流体)と接触させることによって、上記繊維を汚染除去するように構成された、汚染除去手段
を備える。
【0085】
ある好ましい実施形態では、上記汚染除去手段は、1つ又はいくつかのオートクレーブタイプの洗浄チャンバを備える。
【0086】
好ましくは、上記オートクレーブは、高圧、更には相当な高圧にも耐えることができる。
【0087】
例えば、上記チャンバの容量は0.2Lから1,500Lまで様々であってよく、制限はない。
【0088】
加圧流体をある槽から別の槽に移すために、複数のオートクレーブを接続して(直列又は並列に)連続的に設置してよく、これによって流体を保持でき、従って流体をこの状態に再変換するのを回避できる。これにより、流れを最適化して、エネルギ及び流体を節約できる。従って、槽を交互に空にしたり使用したりすることができ、これによって生産時間も節約できる。
【0089】
有利には、上記設備は、超臨界流体を1つ以上のチャンバに注入するための、ノズル、配管、及び/又はバルブ等の手段を含む。
【0090】
有利には、上記チャンバは垂直方向又は水平方向に延在してよい。
【0091】
チャンバの垂直方向の傾斜は、装入/排出を容易にし、汚染除去対象の繊維内での流体(二酸化炭素)の良好な伝播を保証することに留意されたい。
【0092】
好ましくは、密閉扉が各洗浄チャンバをロックする。
【0093】
好ましくは、洗浄チャンバに対して流体を流入及び流出させるためのノズル及び配管は、望ましくない物質を輸送する流体の排出中に繊維の微粒子を保持するために、フィルタグリッドと呼ばれる、微細なグリッドパターンを有するグリッドを備える。上記グリッドによって、洗浄中に微細な繊維が輸送されて、最終的に出口において、抽出済みの望ましくない残留物となってしまうのが回避される。
【0094】
好ましくは、上記設備は、(液体状態の)流体を内包するタンクを備え、上記タンクは上記洗浄チャンバに接続されている。
【0095】
好ましくは、上記流体は、超臨界状態にされることが意図されている。
【0096】
有利には、上記設備は、中央ユニットによって制御可能な加熱手段及び加圧手段を備え、これらはそれぞれ、流体を所定の超臨界温度まで加熱するように、及び流体を所定の超臨界圧力まで圧縮するように構成され、上記中央ユニットは、流体に応じて超臨界温度及び圧力を決定する。
【0097】
上記設備は更に、上記流体をリサイクルするために、上記流体を膨張させることによって、サイクル全体を通して、輸送される固体状及び液体状汚染物質から流体を継続的に分離するように構成された、膨張手段を備える。
【0098】
好ましくは、上記膨張手段は、上記設備内において上記洗浄チャンバの上流、即ちチャンバの出口に位置する。
【0099】
これらのセパレータによって、圧力降下によって流体の状態を変化させることにより、汚染物質から流体を分離できる。
【0100】
上記設備は、圧力が異なっており低下してゆく、複数の連続したセパレータを含んでよく、これにより、流体による輸送中に蓄積された全ての有毒物質及び悪臭を分離する。
【0101】
上記セパレータは、流体が壁を可能な限り「なめて(lick)」、かつ、こすることによって、可能な限り多くの有毒物質及び悪臭を流体から分離するように、設計される。
【0102】
好ましくは、上記セパレータはサイクロン式であってよい。有毒物質及び芳香(悪臭)は、これらのセパレータの出口において、バイアル又はボトルといった好適な容器内に回収される。
【0103】
セパレータの出口において流体は再び捕捉され、サイクルへと閉回路で連続的に再注入される。
【0104】
これらの物質及び芳香は、好ましくは重力によって排出され、これによって危険物質の噴出の可能性が回避される。
【0105】
換気/抽出装置及び安全プレートシステムを有毒物質回収エリアに設置してよく、これによって有毒濃縮物を確実に回収する。
【0106】
上記設備は、選択されたパラメータに比例してサイズ設定され、定義されたパラメータ(圧力、温度、流量、ろ過等)に対応できる。上記設備は、ノズル、ホース、配管、槽、セパレータ、タンク、ポンプ、コンデンサ、ヒータ抵抗、ヒータバンド、ボイラー、クーラー、センサ、並びに空気圧、油圧、及び機械式レギュレータ(流量計等)といった、構成部品を備える。
【0107】
有利には、洗浄チャンバは回転ドラムを備え、その中に繊維が導入される。ここでは、上記ドラムを(例えば磁気的又は機械的)回転軸上に設置でき、これにより上記ドラムを上記回転軸上で回転できるようにする。
【0108】
第4の態様によると、本発明の目的は、断熱材及び/又は遮音材、フィルタ及び/又は生分解性プラスチック物品の製造のための、吸い殻フィルタに由来する繊維の使用に関する。
【0109】
よって、吸い殻に由来する繊維をベースとした、エコデザイン材料の製造が可能となる。
【0110】
好ましくは、上記繊維は酢酸セルロース繊維である。
【0111】
ある特定の実施形態では、上記繊維を汚染除去するために上記方法の実施がなされる。
【0112】
第1の変形例によると、上記方法は、(熱又は音響)遮断プレートを製造するために使用され、このような使用は、建築及び/又はエネルギ分野において特に有利である。
【0113】
一実施形態では、これらのプレートは、フィルタ由来の汚染除去済み繊維を、2成分材料又は他の化合物と混合することによって作製される。
【0114】
好ましくは、これらの繊維は、接着剤、結合材料、又は繊維を一体に固定できる他のいずれの材料を添加することによって、結合できる。
【0115】
遮断プレートの製造のためのこのような使用は、HEQ(High Environmental Quality(高環境品質)の略)又はVHEQ(Very High Environmental Quality(超高環境品質)の略)タイプの建造物の分野だけでなく、自動車産業、農業、航空、電子、電気等といった他の分野でも評価される。
【0116】
第2の変形例によると、上記方法は、テキスタイル製衣料物品を作製するために使用され、このような物品は、特にその熱及び/又は音響特性に関して評価される。
【0117】
ある特定の実施形態では、繊維及び遮断プレートを詰め物として衣服の内側に縫い付ける及び/又は挿入することによって、環境に優しい遮断を作り出す。
【0118】
第3の変形例によると、繊維を調質して、再びろ過用、主に液体又は気体ろ過用のフィルタにする。
【0119】
第4の変形例によると、繊維は、純粋な状態又は混合された状態で、新たな固体材料を形成するための塑性プロセス及び塑性変形に使用される。
【0120】
このように、本発明は、吸い殻のリサイクルに関与する全ての関係者に、超臨界流体の特性を用いて、特に酢酸セルロース繊維である繊維を汚染除去する、革新的な技術を提供する。
【0121】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の2つの非限定的な実施形態を図示した添付の図面を参照した以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1図1は、二酸化炭素の状態図を示す。
図2図2は、吸い殻フィルタからの繊維を洗浄するための超臨界流体技術を実装する洗浄設備の概略図を示す。
図3図3は、吸い殻フィルタからの繊維を洗浄するための方法のフローチャートを示す。
図4図4は、時間の経過に伴う複数の試料の質量の変化を表すグラフである。
図5図5は、第1の試験試料の吸音係数の変化を、周波数の関数として表すグラフである。
図6図6は、第2の試験試料の吸音係数の変化を、周波数の関数として表すグラフである。
図7図7は、周波数の関数として吸音係数を分類することを可能にするグラフ表現である。
図8図8は、バルク製品の減衰指数の変化を、周波数の関数として表すグラフである。
図9図9は、裏地付きプレートに関する減衰指数の変化を、周波数の関数として表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0123】
これより、本発明の一実施形態による、吸い殻を洗浄するための方法、及び、これに関連する設備について、図1~9を参照して説明する。
【0124】
前書きで注意喚起したように、吸い殻の洗浄は、現時点で有効な技術がほとんど存在しない、生態学上/環境上の理由及び経済的理由の両方からの問題である。
【0125】
本発明の目標のうちの1つは、上述のような生態学上/環境上の制約及び経済的制約を考慮した上で、吸い殻内、より具体的にはタバコフィルタ内に存在する繊維を回収して汚染除去することからなる。
【0126】
本文書の他の目標のうちの1つは、汚染除去済み繊維のリサイクル及び/又は再使用のための代替的な解決策を提案することからなる。
【0127】
これは、以下に記載される例において可能となる。
【0128】
吸い殻に由来する繊維は、燃焼中に有毒物質及び悪臭を吸着することが知られている。
【0129】
これらの物質は有機及び無機物質を含み、特に以下を含む。即ち、
‐ニコチン、
‐重金属、
‐有機酸(酢酸及び/又は酒石酸)、
‐ニトロソアミン、
‐フルメトラリン、ペンジメタリン及び/又はトリフルラリン、
‐フェノール、
‐多環式芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon:PAH)、
‐ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド、
‐ダイオキシン及び/又はフラン、
‐アニオン(塩化物、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、及び/又はアンモニウム)
である。
【0130】
これらの繊維の洗浄及び汚染除去は、(HP14:生態学的毒性、及び、HP6:急性毒性に分類される)危険な廃棄物である吸い殻を、分類されない有用な原材料に変換するために、燃焼中に繊維中に吸着されたこれらの有毒物質を抽出することからなる。
【0131】
本発明の根底にある概念は、汚染されたフィルタの繊維を効果的に洗浄するためにこれらの物質を除去する際に、加圧高密度流体、特に超臨界流体の技術を活用するというものである。
【0132】
加圧高密度流体、特に超臨界流体の使用は、繊維から毒性を抽出できる極めて興味深い輸送特性を有する、効果的な新興技術である。
【0133】
本出願人は、超臨界流体技術が従来、芳香(例えばコーヒー又はエッセンシャルオイル)の抽出に使用されていることを観察している。
【0134】
この技術は、水を用いずにテキスタイルを染色するためにも使用されている。
【0135】
しかしながら現在まで、このような超臨界流体の使用は、喫煙済みの吸い殻、特に吸い殻繊維の洗浄及び汚染除去に関して考慮されたことはない。
【0136】
本明細書に記載の例では、流体として二酸化炭素を使用する。
【0137】
本出願人は、二酸化炭素の使用が、これが多量に生成される産業廃棄物であるという点で、利点を有すると考えている。従って、この廃棄物の再使用は非常に興味深いものであることがわかる。即ち、二酸化炭素は高純度かつ低コストで入手可能である。
【0138】
産業界で生成された二酸化炭素廃棄物を使用することで、このプロセスを通して炭素中立性を果たすことができる。有用な原材料の生成のために2つの廃棄物が使用される。
【0139】
本明細書中で上述されている他の流体を、本発明の文脈において再使用してよいことは、当業者には理解されるはずである。
【0140】
従って、図1は二酸化炭素の状態図を示す。
【0141】
このような状態図は、流体の圧力及び温度に関連する異なる複数のパラメータに応じた、物質の異なる複数の状態を明らかにするものであることが知られている。
【0142】
通常の温度及び圧力条件下では、二酸化炭素は、気体、液体、又は固体状態であり得る。しかしながら、二酸化炭素は臨界点Pを有し、これはP及びTで示される臨界圧力及び臨界温度に対応する。二酸化炭素は、その臨界点Pの圧力及び温度より高い圧力及び温度を受けると、超臨界状態へと切り替わる。
【0143】
臨界圧力Pを超えると、液体に加えられる温度のいずれの上昇は、気体状態ではなく密度がより低い液体の形成をもたらす。
【0144】
臨界温度Tを超えると、気体に施与される圧力のなんらかの上昇は、液体状態を経ることのない(より凝縮された)超臨界流体の形成をもたらす。
【0145】
超臨界状態では、二酸化炭素は液体状態と気体状態との間の中間的な挙動を特徴とし、以下の特定の特性を有する。即ち、
‐体積質量がより高く、従って液体の体積質量と類似している;
‐拡散係数は液体の拡散係数と気体の拡散係数との間にある;
‐粘度は低く、気体の粘度と類似している。
【0146】
これらの様々な状態、形成、及びパラメータは興味深いものであり、これらによって、抽出対象の多様な物質に影響を及ぼすための、用途の広い溶媒を得ることができる。
【0147】
従って、流体がその臨界圧力Pを超えて圧縮されたときに、その流体がその臨界温度Tを超えて加熱された場合の、超臨界流体について説明する。
【0148】
これらの温度及び圧力パラメータの設定により、気体に近い興味深い輸送特性と共に、液体溶媒に匹敵する溶媒力を有する、超臨界流体を得ることができる。
【0149】
ここで、出願人が、二酸化炭素のような超臨界流体を繊維、例えば、酢酸セルロースと組み合わせることによって、酢酸セルロース繊維の特性が改善されることも観察したことに留意されたい。この接触は、実際にはポリマーの固有の特性の改変をもたらす。これにより粘度(ガラス転移)を低下させることができる。
【0150】
超臨界状態の二酸化炭素の粘度の低さ及び拡散係数の高さにより、溶媒が繊維のコアに非常によく浸透するため、効果的な洗浄が可能となる。二酸化炭素の輸送特性及び効率的な抽出の組み合わせにより、材料の完全な洗浄が可能となる。
【0151】
本発明の概念によると、二酸化炭素は、ヘキサン、ジクロロメタン、パークロロエチレン、トリクロロエチレン及びクロロホルムといった効果的な(ただし汚染性が高い)有機溶媒の使用、又は水のような水性溶媒の使用に取って代わる。
【0152】
従って、二酸化炭素の超臨界状態が、繊維、特にタバコフィルタ内に存在する酢酸セルロース繊維を損傷なく汚染除去するために、極めて効果的な輸送特性をもたらすことを理解されたい。
【0153】
二酸化炭素に関して、図1の状態図は、臨界点Pが、31℃以上の臨界温度T及び73.85バール以上の臨界圧力Pに対応することを示している。
【0154】
これらのパラメータを、これらの臨界値(31℃及び73.85バール)を超えて適切に変化させることによって、二酸化炭素を超臨界状態にし、極めて効果的な、標的を絞った洗浄を実施できる。
【0155】
実際の洗浄自体を進める前に、本発明による方法は、収集ステップS0を含む。
【0156】
この収集ステップS0には、個人、並びに、協会、コミュニティ、企業、及び、他の全ての収集当事者が関与できる。
【0157】
これは環境へのアプローチのための市民活動である。上述の全ての当事者を、このようなアプローチにおいて検討できる。
【0158】
本明細書に記載の例では、特に吸い殻を他のいずれの廃棄物から分離するための選別ステップS1_1、粉砕ステップS1_2、及び、ふるい分けステップS1_3を含む、段階P1の間の一連の吸い殻処理操作が更に提供され、これらは、タバコ、灰、及び葉を可能な限り多く抽出するために、複数回繰り返すことができる。
【0159】
受け取るバッチに応じて、摩擦ステップS1_3、ふるい分けステップS1_4、及びサイクロン処理ステップS1_5も追加される場合があり、又は追加されない場合もある。
【0160】
段階P1のこれらの一連の様々なステップは、主に、汚染除去対象のタバコ繊維を、タバコ葉、灰、刻みタバコといった他の廃棄物から分離することを目的とする。
【0161】
本明細書に記載の例では、特に酢酸セルロースを含有するフィルタの繊維だけが汚染除去段階P2のために保持され、他の廃棄物はコンポストの製造のための段階で使用されることに留意されたい。このようなコンポストは、例えば別のプロセスに従って作製される。
【0162】
しかしながら、灰、葉及びタバコを同一の超臨界処理に供することによって、より純粋なコンポストを得ることもできる。
【0163】
本明細書に記載の実施形態では、これらの様々な処理ステップは、特にグラインダ、ふるい、並びに/又は(本明細書では図示されない)サイクロン及び/若しくは摩擦手段を実装する(本明細書では図示されない)処理槽を備える製造ラインを備えた設備によって実施される。
【0164】
設備200はこの製造ラインを必ずしも備えなくてよく、離れて別の場所にある場合もある(例えば下請けによって実施される処理)ことを理解されたい。
【0165】
設備200は更に、オートクレーブの形態の洗浄チャンバ10を備え、上記チャンバ10は、タバコフィルタに由来する繊維を、これらの繊維を超臨界状態の流体と接触させることによって、洗浄するように構成される。
【0166】
よってチャンバ10は、超臨界状態の流体を内包するように、従って高温及び高圧に耐えられるように、構成される。
【0167】
本明細書に記載の例では、このチャンバ10は、好ましくはステンレス鋼製の、気密性エンクロージャである。
【0168】
よって、この汚染除去段階P2の第1のステップS2_0は、洗浄チャンバ10内への汚染除去対象の繊維の導入及び位置決めを含む。
【0169】
ここでは、固定された容器に繊維が導入される。
【0170】
しかしながら、洗浄チャンバ内で使用されるパラメータを最適化及び低減するために、洗浄中、複数の選択肢を考慮できる。実際には、超臨界技術を他の機械的、電気的又は化学的手段と組み合わせることによって、洗浄に必要な要素を削減できる。本方法を最適化するために、即ち、時間、流体の量、圧力及び/又は温度を低減するために、洗浄は、以下の要素のうちのいずれかを用いて完了できる。即ち、
‐超臨界流体の拡散を促進するために材料を動かすことができる、磁気トルク若しくは機械的トルクによって駆動される、タンク内に配置された回転ドラム(スクリーン若しくはコンクリートミキサーのような);及び/又は
‐超音波の利点と超臨界二酸化炭素の利点とを組み合わせることによって、標的とする物質をより容易に抽出できるようにする、振動及び超音波システム;及び/又は
‐繊維を圧縮して抽出対象の分子を強制的に抽出するための、特に空気圧若しくは油圧シリンダ、若しくはウォームギヤによる、機械的圧縮手段;及び/又は
‐洗浄を均質化するために内部に配置された、ミキサー;及び/又は
‐抽出された全ての物質を外側へと振り向けることによって、繊維の別の位置においてそれらが再吸着されるのを回避するための、遠心分離システム;及び/又は
‐繊維を電気切断して抽出を促進するための、タンク内部の通電手段;及び/又は
‐洗浄サイクル中の水性溶媒中での浸漬(超臨界流体‐液体構成)
である。
【0171】
これらの改良は全て、単独又は組み合わせて使用できる。撹拌、振動、圧縮、張力印加、又は、他の運動及び作用を加えることによって、いかなる量の材料に対しても、洗浄条件を改善するか、又は有利に最適化できる。
【0172】
当然のことながら、これらの適用は任意のままであり、いかなる様式でも限定的なものではない。
【0173】
本発明の根底にある概念は、これらの繊維をチャンバ10内で、ここでは二酸化炭素である超臨界状態の流体と接触させることにある。
【0174】
従ってこの例では、洗浄チャンバ10を、二酸化炭素を内包したタンク20に接続することが提供される。
【0175】
この目的のために、洗浄チャンバ10とタンク20とを接続するよう構成された、(本明細書では図示されない)バルブ、ノズル、並びに流入及び流出配管のセットが提供される。
【0176】
好ましくは、これらの要素は、望ましくない物質を輸送する流体の排出中に同伴する可能性のある繊維の微粒子を保持及びろ過するために、微細なグリッドパターンを有するグリッドを備える。
【0177】
上記グリッドによって、洗浄中にこれらの微細な繊維がチャンバの外へと輸送されて、最終的に出口において、抽出済みの望ましくない残留物となってしまうことが回避される。
【0178】
流体を汚染除去対象の繊維と接触させる前に、上記流体を超臨界状態にすることが望ましい。
【0179】
この例では、圧縮手段30及び加熱手段40を備える洗浄チャンバ10が提供され、圧縮手段30及び加熱手段40はそれぞれ、ステップS2_1中に上記流体を超臨界標的圧力Pscまで圧縮するように、かつ、ステップS2_2中に上記流体を超臨界標的温度Tscまで加熱するように、構成される。
【0180】
この例では、圧縮手段30及び加熱手段40は中央ユニット50によって制御可能である。
【0181】
よってこの中央ユニット50は、使用する流体に応じた超臨界温度Tsc及び超臨界圧力Psc等の超臨界洗浄に関連する設定に関する情報を記憶する、(本明細書では図示されない)電子記憶手段を備える。
【0182】
この例では、これらの超臨界温度Tsc及び超臨界圧力Pscはそれぞれ、31℃以上の温度及び73.85バール以上の圧力に相当する。これらのパラメータは、ここでは上述のように、二酸化炭素に関連するものである。
【0183】
ここでは、これらのパラメータに到達するためのエネルギリソースは極めて低く、エネルギ効率が高いことに留意されたい。
【0184】
本明細書に記載の例では、流体を超臨界状態にするために圧縮手段30及び加熱手段40を制御するのは、中央ユニット50である。
【0185】
この例では、繊維を湿潤させる追加のステップS2_3を提供することもできる。
【0186】
このステップS2_3は任意のままである。
【0187】
流体が超臨界状態になった後、汚染除去段階P2は、オートクレーブ10内において超臨界流体を汚染除去対象の繊維と接触させるステップS2_4を含む。上述のように、超臨界状態の二酸化炭素は、強力な溶媒であることが分かっている:このような超臨界流体を、汚染除去対象の吸い殻の繊維と接触させるステップS2_4により、無極性有機分子を繊維から抽出でき、上記分子は主に、低いモル質量を有する長い炭素鎖(脂質及び脂肪物質)で形成される。
【0188】
接触させるステップS2_4は、互いに組み合わせることができる、以下の複数の形態、即ち、高圧気化、浸漬、ジェットノズル、噴霧等で行うことができる。
【0189】
本明細書に記載の例では、浸漬をジェットの作用と組み合わせることが提供される。
【0190】
従って、洗浄チャンバ10又はオートクレーブは、超臨界状態の二酸化炭素のジェットを放出するよう適合された(本明細書では図示されていない)噴霧手段を備える。
【0191】
この例では、電子記憶手段は、接触時間(浸漬時間)、ジェットの流量、及び/又はジェットの速度といった、洗浄に関する他のパラメータを記憶する。
【0192】
この例では、繊維の方向に推進されるジェットを、1~500メートル/秒の可変速度、及び1~4,000リットル/時間の流量を有するものとすることが提供される。
【0193】
この例では、接触させるステップS2_4を、1分~8時間に含まれる期間で実施することが提供され、この期間は、所望の清浄特性、及び処理対象の材料の量に応じて変動する。
【0194】
この例では、電子記憶手段は、接触に関連する他のパラメータも記憶する。
【0195】
圧縮‐減圧サイクルに従った圧力及び温度変化を提供することができ、上記サイクルは汚染除去の性能を改善する。
【0196】
回転ドラムの回転速度に関するパラメータを提供することもまたできる。
【0197】
これは、不規則な運動によって、又は回転以外の運動(振り子等)によって動作することもできる。
【0198】
汚染除去P2に関連する性能を改善するために、ステップS2_5中に共溶媒を流体に添加することも提供できる。
【0199】
汚染除去段階中の共溶媒(メタノール、エタノール等)の添加S2_5は、洗浄の極性及び選択性を向上させ、これにより、より短い鎖を有する極性有機分子(糖、イオン等)も抽出できる。
【0200】
本明細書に記載の例では、この添加S2_5は、好適なポンプによって、圧縮ステップS2_1と加熱ステップS2_2との間に提供される。上記共溶媒は、洗浄の上流又は下流にも添加できる。これらのいわゆる共溶媒の選択及び使用は、様々な出力の基準に対応するように、標的となる抽出対象の物質に依存する。
【0201】
高圧(350バール超)で操作するチャンバの開発によって、共溶媒を添加することなく、極性がますます強い分子を抽出できることに留意されたい。
【0202】
例えば、重金属のような無機材料を抽出するために、設備200は更に、ステップS2_6中に、カリックスアレーンタイプの抽出性分子、又は無機物質(錯化剤、キレート剤、抗酸化剤等)を抽出できる剤の溶液を、超臨界流体に添加するよう構成できる。
【0203】
この補足的な添加S2_6により、無機化合物との複合体の形成が可能になり、これにより、無機化合物を同時に輸送できるようになる。
【0204】
本明細書に記載の例では、ステップS2_5に関してと同様、この添加S2_6を、適切なポンプによって、圧縮ステップS2_1と加熱ステップS2_2との間に実施することが提供される。上記抽出剤は、洗浄の上流又は下流にも添加できる。これらのいわゆる抽出剤の選択及び使用は、様々な出力の基準に対応するように、標的となる抽出対象の物質に依存する。
【0205】
共溶媒及び/又は抽出剤の添加は、ポンプによって共溶媒及び/又は抽出剤を上記流体中へと注入するよう適合された手段60を制御する、中央ユニット50によって実施される。
【0206】
チャンバの出口では、気体状態への遷移(即ち膨張)のためのステップS3中に、膨張手段70によって流体を冷却及び減圧する。これらの膨張手段70によって流体を膨張させることにより、輸送される固体及び液体汚染物質から流体を連続的に分離できる。
【0207】
その後、二酸化炭素は、流体と汚染物質とのセパレータとして役立つ回収システム80によって、気体形態で放出される。
【0208】
複数のセパレータを、圧力を逐次低下させながら連続させることによって、流体と汚染物質との分離を最適化できる。悪臭及び有毒物質は、様々な圧力の下で、流体から分離する。従って分離を、圧力が異なる様々なセパレータ内で実施することが重要である。この分離の間、流体は、壁を可能な限り「なめて(lick)」壁すれすれを通過することによって、可能な限り多くの有毒物質及び芳香を流体から引き離す。これらのステップは、洗浄サイクル中に連続して実施され、ステップS4中にこのセパレータ80は気体状態の二酸化炭素をコンデンサ90に向かって排出し、コンデンサ90はステップS5中に、二酸化炭素を液体状態に変換して、その再使用のために貯蔵タンク20に戻す。二酸化炭素は閉回路で連続的にリサイクルされて使用される。
【0209】
このセパレータ80は、汚染物質を、好適な、別個の、隔離された容器内に排出する。
【0210】
サイクルの最後に、場合によっては、サイクル中又はサイクル後の、液体、気体、又は超臨界状態の流体に対する追加のステップにおいて、複数回のろ過又は粒子/分子吸収ステップを(洗浄中、超臨界状態から気体状態への切り替え中に実施される連続的な分離に加えて)実施でき、これにより、流体中に溶解したままとなっている可能性がある望ましくない液体及び/又は固体粒子の完全な分離を保証することで、純粋な超臨界流体を回収して、次のサイクルに再注入できる。
【0211】
この流体を活性炭に通すことにより、可能性のある悪臭性の分子及びVOCを捕捉できる。活性炭は必要に応じて、出口に、又は洗浄チャンバ内に追加できる。
【0212】
この流体は必要な回数だけ洗浄チャンバ10に戻ることができることに留意されたい。その後、汚染された流れの残りを排出して処理する。というのは、二酸化炭素は、放出されて気体状態に変化することによって汚染物質から分離されるためである。
【0213】
これらの汚染物質は、有機及び無機物質(炭化水素、重金属、農薬、糖等)を再生する段階中に使用される。例えば、このような再生は、別のプロセスに従って実施される。
【0214】
その後、汚染除去済み繊維が回収される。
【0215】
従って、超臨界流体を用いた繊維洗浄技術は、状態を変化させることによる流体の自動的な連続リサイクルを可能にする。上記流体は、チャンバから出ると、膨張(体積質量の喪失)中に超臨界状態から気体状態に切り替わり、強力な溶媒としての効力を喪失して、超臨界状態の間に輸送された(液体又は固体形態の)望ましくない物質を放出する。これらの望ましくない物質は、専用の容器に回収されて、処理及び再生される。
【0216】
物理化学的分離が完了すると、流体を超臨界状態でチャンバ内へと再び注入できる。ろ過/吸収による分離のステップを追加することによって、(洗浄中又は洗浄後に、気体、液体、又は超臨界状態の)流体中に溶解した残部の回収を促進でき、また流体の抽出の効力を完全に回復させるために流体を浄化できる。
【0217】
流体は、全ての汚染物質を捕捉及び収集することによって、流体を浄化して再使用可能なものとすることができる、(膨張バルブを伴う)1つ以上のエンクロージャ及び1つ以上のセパレータを通過する。
【0218】
本明細書に記載の例では、流体は更に、悪臭性の分子及び揮発性有機化合物を捕捉するための活性炭フィルタを通過する。活性炭はチャンバ内にも追加できる。このステップは必須ではない。
【0219】
大気条件下での流体の高い揮発性により、流体は乾燥溶媒として分類され、従って乾燥ステップは必要ない。
【0220】
不活性で無毒の、危険性がない溶媒流体は、ユーザの作業条件を損なうリスクを有さない。
【0221】
本発明により、従来技術の欠点を有さない技術を得ることができる。
【0222】
超臨界流体の技術を適合させ、特に圧力、温度、流量、接触時間、共溶媒、及び抽出剤に関するパラメータを設定することによって、本発明は、吸い殻が望ましくない廃棄物として分類される要因である悪臭、有機物質及び無機物質を抽出することによる、吸い殻のフィルタに由来する繊維の汚染除去を可能とする。
【0223】
この抽出は、繊維質材料からこれらの有毒物質及び悪臭を分離することによって実施される。このような技術は、水及び/又は化学的溶媒をごくわずかしか必要としない、生態学的に好ましい洗浄を提供する。
【0224】
このような技術によって、処理しなければならない排出物をほとんど伴わずに、極めて多くの量を容易に管理できる。
【0225】
このような洗浄により、環境にとって完全に有毒な廃棄物となった吸い殻を再生できる。
【0226】
これらの吸い殻の再生は、本発明から直接生じる他の有利な側面のひとつである。
【0227】
実際には、繊維の汚染除去によって、繊維を再使用して、これらの繊維、特にこれらの酢酸セルロース繊維の技術的特性を利用できるようになり、これらの繊維は興味深い音響的及び/又は熱的特性を有する。
【0228】
従って、汚染除去済み繊維を、バルク形態で、又はこれらの繊維を例えばプレート状に配置及び変形して遮断ロールを作成できるような方法で、遮断の分野のために使用できる。
【0229】
この目的のために、リサイクルされた酢酸セルロース繊維を一体に結合して固化することが好ましい。次いで2成分材料を繊維に添加して混合する。Trevira 255 2.2 dtex/6mm:PESコポリエチレンタイプの、上記2成分材料は、コア及びその外縁で構成される。その外縁は熱感受性が高く、コア及び他の成分よりも低い温度で溶融し、これによって全ての繊維を一つにすることができる。従ってこれらの2成分材料は、リサイクルされた繊維の特性に従って選択されている。このプロセスは、いずれのタイプの2成分材料(多分有機材料)でも機能する。
【0230】
繊維の結合は、接着剤又は結合材料のようなあらゆるタイプの材料を用いて実施することもできる。
【0231】
プレートの良好な固化及び調和のための、材料の良好な分散を得るために、酢酸セルロース繊維と初期2成分材料との(例えば15%の2成分材料と85%の酢酸セルロース繊維との)混合及び均質な一体化を実施することが望ましい。
【0232】
2成分材料及び酢酸セルロース繊維の分散は、材料の所望の特性(硬度、柔軟性、耐久性等をより高くするか又はより低くするか)に応じて変化させることができる。
【0233】
2成分材料の添加により、材料の耐久性及び剛性を高めることができることを理解されたい。これらのプレートは接着、織り、梳綿、紡績、圧縮等といった他のプロセスで成形してもよい。得られた遮断性材料は、建築分野だけでなく、衣料の分野、及び遮断性繊維が必要な他のいずれの分野において、遮断のために使用できる。
【0234】
この汚染除去済み繊維は、フィルタ、及び/又は空気、水、液体、若しくは気体のろ過システム(都市、自動車、航空、炭化水素分野等)を形成するためにも使用できる。
【0235】
酢酸セルロース繊維を、あらゆるタイプのプラスチックプロセス(特に成型)で使用できる材料へと変形して、このリサイクルされた材料を物品に変換することは、依然として可能である。生分解性製品を作成するために、酢酸セルロース繊維を他の材料と混合することもできる。更に酢酸セルロース繊維は、他の材料(接着剤、結合剤、2成分材料等)と混合することによって、複合材料の分野でも使用できる。また酢酸セルロース繊維は、あらゆるタイプの材料に使用される。
【0236】
この用途のために、繊維を粉末に変形する、又は繊維を、プラスチックプロセスで使用できる状態にすることが提案される。これにより、上記繊維を、押出成形、射出成形、モールディング、熱圧着、又は更に熱成形機といった機械に挿入できる。このような材料は、これらの様々なプロセスにおいて、80℃~300℃の温度で変換されることに留意されたい。
【0237】
従って本発明は、吸い殻のフィルタに由来する繊維の洗浄及び汚染除去のための、超臨界流体技術の実施を提供することが、理解されるはずである。このような洗浄及び汚染除去は、上記繊維を、超臨界状態の二酸化炭素タイプの流体と接触させることによって得られる。
【0238】
吸い殻繊維が導入されるオートクレーブのパラメータを設定することによって、上記流体を、繊維が含有する有毒物質の良好な抽出を可能にするいわゆる超臨界標的温度及び超臨界標的圧力にすることができる。また、実施されるプロセスは環境に優しく、産業レベルで許容可能な経済的コストを有する。
【0239】
本発明の方法に従って汚染除去された繊維に対して実施された分析によって、ニコチン濃度の有意な低下を確認できる。即ち、汚染除去済みの吸い殻中のニコチンの残留濃度は、処理前の試料の場合のような、危険特性に関するHP6「急性毒性」及びHP14「生態学的毒性」という分類をもはやもたらさない。
【0240】
このような汚染除去の結果により、汚染除去済み繊維が危険性のない廃棄物として分類されるという結論を得ることができる。
【0241】
汚染除去水を用いずに汚染除去すると、これらの繊維を、以下のような複数の分野でバルク形態で及び/又は変形して使用される新たなエコデザイン材料の形態で、考慮対象の分野の基準に従った繊維板又はバルク繊維の形態で再使用できる。即ち、
‐テキスタイル製衣料物品(テキスタイルベースの衣類又は物品の作成に使用される、断熱性コート用詰め物、断熱性クッション材、縫い糸、布地、ウール:マットレス、クッション、羽根布団、ハット、帽子、ハンドバッグ等);
‐断熱及び/又は遮音材料(建造物、電子機器、自動車:電気自動車のためのリチウム電池絶縁体、航空、造船、並びに断熱及び/又は遮音が必要な他の全ての分野等);
‐屋外のマルチング/ジオテキスタイルのための材料:キャンバス、プレート、バルク等(汚染除去済み材料は、自然界で(例えば樹木の根元等で)使用できる生分解性天然繊維となる));
‐ろ材(液体、気体等)
である。
【0242】
これらの繊維は、混合して又は混合せずに新しいエコデザイン固体材料を生み出すために、プラスチック業界でも評価される。
【0243】
これらの新規の材料は、原材料、半製品、又は完成品からなることを理解されたい。
【0244】
本発明の範囲内において他の用途も考えられる。
【0245】
このような超臨界流体を用いた洗浄の技術は、これまで使用されてきた汚染性溶媒、洗剤、及び水性溶媒よりもはるかに効果的な、極めて興味深い抽出及び洗浄特性を有する。このような超臨界流体を用いた洗浄は、排出量の少なさ(洗浄後の残留排出物がほとんどなく、二次処理がほとんど必要ない故、経済的に興味深い)と共に、環境に完璧に配慮でき、中性であり、生態学的に好ましいという利点があり、これにより、多くの量を容易に管理できる。
【0246】
本発明の方法によって提供される重要な利点を強調するために、以下の試料に対して分析を実施した。即ち、
‐20AJ404:未処理の吸い殻のバッチ;
‐20AJ405:処理済みの吸い殻のバッチ‐試験1;
‐20AJ406:処理済みの吸い殻のバッチ‐試験2
である。
【0247】
より詳細には、この分析は、汚染性物質の抽出を目的とした処理を受けている場合も受けていない場合もある、粉砕した吸い殻の試料の3つのバッチからなる。
【0248】
各バッチについて、約100gの試料を5mLのメタノールで抽出した。
【0249】
‐ニコチン及びフェノールの分析結果:
ニコチンの分析を、水素炎イオン化検出を伴うガスクロマトグラフィ(gas chromatography with flame ionisation detection:GC‐FID)によって実施した。
【0250】
フェノールの分析を、高速液体クロマトグラフィ(high‐performance liquid chromatography:HPLC)によって実施した。以下の表1は、mg/kgを単位とする、吸い殻中のニコチン及びフェノール含有量の定量分析の結果を示す。
【0251】
【表1】
【0252】
‐有機酸及びシアン化合物の分析結果:
有機酸の分析を、約1gでの水抽出後の導電率検出を伴うイオン交換クロマトグラフィによって実施した。
【0253】
シアン化合物の分析は、約1gでの抽出、及び30mLの1M水酸化ナトリウム溶液中での捕捉の後、電流測定値検出を伴うイオン交換クロマトグラフィによって実施した。
【0254】
以下の表2は、mg/kgを単位とする、吸い殻中の有機酸及びシアン化合物の含有量の定量分析の結果を示す。
【0255】
【表2】
【0256】
‐金属の分析結果:
以下の24種の金属及びメタロイド、即ち、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、水銀(Hg)、カリウム(K)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)、リン(P)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、及び亜鉛(Zn)の分析を、密閉型マイクロ波オーブン内での約300mgの試料の酸消化(HNO3)後に、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry:ICP‐OES)によって、又は誘導結合プラズマ質量分光分析装置(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry(ICP‐MS)によって、実施した。
【0257】
ICP‐OESを:(Al、Ba、Ca、Cu、Fe、Hg、K、Mg、Mn、Na、P、Si、Ti、及びZn)に対して使用した。
【0258】
ICP‐MSを:(As、B、Cd、Cr、Li、Mo、Ni、Pb、Sb、及びSe)に対して使用した。以下の表3は、mg/kgを単位とする、吸い殻中の金属含有量の定量分析の結果を示す。
【0259】
【表3】
【0260】
‐補完的な分析の結果:
試料の含水率を、一定質量までのオーブンにより乾燥(105℃)して測定した(以下の表4)。
【0261】
以下の表4は、吸い殻試料の含水率に関する分析の結果を示す。
【0262】
【表4】
【0263】
含水率の値が小さいため、これらは計算において考慮しなかった。
【0264】
更に、一部の金属の種形成を特定できるようにするために、試料と接触する水溶液のpHを決定した。試験試料の質量と水の体積との比は、1/10である。
【0265】
以下の表5は、試料のpHに関する分析の結果を示す。
【0266】
【表5】
【0267】
わずかに塩基性の溶液に相当するpH値により、多量(>g/kg)に存在するカリ(KOH)、ソーダ(NaOH)、又は石灰(Ca(OH))といったアルカリ性物質を排除できる。
【0268】
上述の結果に基づいて、危険特性の評価を実施した。この評価は、XP X 30‐489規格に従って実施された。
【0269】
処理の前には、吸い殻中にニコチンが5,580±51mg/kgの濃度で存在することによって、試料がHP6特性「急性毒性」に基づいて危険な廃棄物として分類されることが分かっている。
【0270】
処理後には、満足できる結果、更には非常に満足できる結果が得られる。
【0271】
2つの試料20 AJ 405(試験1)及び20 AJ 406(試験2)に対する反復アプローチは、処理後の第1の試料を、計算による評価によって、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP10、HP11、HP13及びHP14特性に基づいて危険性のない廃棄物として分類できるという結論をもたらすことができる。
【0272】
2つの試料それぞれに関して、(初めは約5,580mg/kgである)ニコチン濃度は、処理後には870mg/kg及び418mg/kgに低下する。HP6特性「急性毒性」に分類されなくなる程度に十分に(1/7~1/13に)低減されている。
【0273】
従って、分析を完了すると、処理後のニコチンの残留濃度が、処理前の試料の場合のようなHP6危険特性「急性毒性」への分類につながらないものとなっているため、実装された方法による吸い殻中のニコチン濃度の低下を確認できる。
【0274】
HP14特性に関しては、処理によってHP14による危険性のない廃棄物としての分類に到達できることも、試験によって示されている。
【0275】
汚染除去済み繊維の興味深い技術的特性を強調するために、遮音材及び技術的インシュレータとしての効力を証明するための分析を実施した。
【0276】
この目的のために、試料の異なる技術的特性を決定するために分析できるように異なる番号を付した、複数の試料を準備した。繊維の特性に対する粉砕の影響の分析も目的である。
「繊維/混合物/プレート.1」は、材料が1回だけ粉砕されていることを意味する。
「繊維/混合物/プレート.2」:2回の粉砕
「繊維/混合物/プレート.3」:3回の粉砕
「繊維/混合物/プレート.粉末」:粉末状になるまで粉砕
【0277】
‐熱伝導率特性:
この試験は、材料の熱伝導率及び熱容量の測定を目的とする。
【0278】
装置は、背面が断熱されている2つの熱交換体プレートからなり、これらは一方が固定され、他方が可動である。各熱交換体プレート内には、サーモスタット付きの浴によって温度が調節される熱伝達流体が循環している。上記浴は、時間の経過に伴う変動を保証するようにプログラムできる。この設備によって、試料の2つの主要な面のそれぞれに対して、いかなる温度を加えることもできる。断熱の温度を測定するために、2つの熱電対が使用され、これらは特性決定の対象の材料の外側に位置決めされる。試料を横断する熱流束を測定するために、2つの流束計が各面に配置される。
【0279】
実験は以下の3つのステージで行われる。即ち、
ステップ1:各プレートの温度は20℃である
ステップ2:各プレートの温度は25℃である
ステップ3:一方のプレートは20℃であり、他方のプレートは25℃である
【0280】
試料の寸法は30.5×30.5cmであり、体積質量として以下の密度値を有する。即ち、プレートNo.3.4:0.16g/cm、プレートNo.2.1:0.13g/cm、プレートNo.1.1:0.15g/cm
【0281】
‐比熱の測定
時点t=0において、温度T=20℃をプレートの各側に加える。この温度は、熱平衡が得られるまで維持される。次いで、このステップをT=25℃で繰り返す。最後に、T1=20℃及びT2=25℃に設定することによって温度差を確立し、これによって、システムを別の平衡状態に進める。これら2つの時点の間に、ポリスチレンは所定量の熱エネルギを貯蔵している。貯蔵された総エネルギ(Q)は、以下の関係式を用いて計算される。
【0282】
【数1】
m*Cp*ΔT
ここで:
ΔT=T2-T1、
Φ1+Φ2=プレートの累計熱流束
Cfluxmetres=流束計の熱容量
Cp=比熱、及び
m=プレートの質量
【0283】
‐熱伝導率の測定:
熱伝導率を測定するために、温度T=25℃を、平衡状態が得られるまで材料に加える。この平衡状態への切り替えの間に、以下の関係式によって、本発明によるリサイクルされた材料の導電率を得ることができる:
【0284】
【数2】
λ=eΣΦ/4ΔT
ここで:
e=プレートの厚さ
ΣΦ=プレートの境界において測定された流束の合計
ΔT=温度差
【0285】
熱抵抗試験から得られた結果:
【表6】
【0286】
実験中に得られた結果により、汚染除去済み繊維は、0.06W/m・K未満の伝導率値を有するため、実際に断熱性であることを確認できる(CF規格NF EN 13162+A1)。実際には、この材料は0.045W/m・Kの平均伝導率値を有する。この値は、材料を断熱材とみなすための限界である。従って、汚染除去済み繊維に由来する全ての試料は、断熱材であるとみなされる。これらの伝導率値及び抵抗値は、ミネラルウールの特性に近い。また、上記試験により、粉砕の程度が低いほど材料の断熱性が高いと考えることもできる。これは、体積質量と熱伝導率との間に関係があることを意味する。従って、本発明による材料に関して、後で最適な体積質量/熱伝導率を見出すことを考えることができる。
【0287】
‐水蒸気透過特性:
材料の湿度測定機能は、温度及び湿度の大きな変動を受ける材料の挙動を表す。これは、住居の熱的快適性を維持するためにエネルギを吸収又は排除する、材料の能力である。この操作は、リサイクルされた材料の透過性を測定及び特性決定することを目的としたものである。
【0288】
プロトコル:試験対象の試料をジャーに入れる。湿気を生成するために、少量の水がジャーの底部に存在する。試料を持ち上げて水と製品との間に空気領域(1.2cm)を形成するために、リングが配置される。この体積は、全ての試験について同一とする。気候室(climatic enclosure)と捕捉されている空気との間の直接の移動を回避するために、蜜蝋とパラフィンとの混合物(60/40%)を用いたシールを形成して、ジャーと試料との間に適用する。その後、装置を、湿度レベル50%に設定された気候室内に入れる。質量の計量を24時間毎に実施して、蒸発した水の量を測定する。
【0289】
以下は、時間及び失われた質量のパーセンテージの関数としての、質量の変化である。
【0290】
【表7】
【0291】
図4は、時間の経過に伴う様々な製品の質量の上記変化のグラフを提供する。
【0292】
得られた透過性の結果(及び様々な材料の透過性の比較)は、以下の通りである。

【0293】
【表8】
【0294】
NF EN ISO 10456規格に従って、以下の表にまとめられているデータが得られる。
【0295】
リサイクルされる材料は、上記混合物と同一範囲内である。
【0296】
この材料は高い吸収能力を有する。
【0297】
‐音響特性:
材料の音響抵抗は、製品の特性決定における重要なデータである。
【0298】
実験室で実施された実験により、リサイクルされる材料の吸音係数及び減衰指数を得ることができた。
【0299】
吸音係数:吸音係数は、吸収されたノイズと入ってくるノイズとの比率を定義する。これは音の周波数によって変動する。吸音係数は0~1である。材料の吸音係数が1に近いほど、その材料の吸音性が高くなる。
【0300】
音響実験室でのクント管試験後に得られた結果:
図5及び6に示されているように、2つの製品は、0.9を超える吸音係数で、400~800ヘルツ(Hz)の周波数を極めて良好に吸収することが理解されるはずである。
【0301】
従って、図7に示されているように、周波数の関数として製品の吸音性の分類を確立できる。
【0302】
500Hzからは、係数は0.85を超えたままとなる。即ち最高クラスの遮音であるAクラスとなる。これらのクラスは、EN ISO 354規格によって定義されている。この吸音性材料により、残響の低減、従ってノイズの伝播の防止が可能となる。
【0303】
減衰指数:デシベル(dB)で表され、これは建造物材料又は製品の減衰指数を特徴付ける標準化された測定値である。これは、この材料又は製品によって抑えられたノイズの量を表す。材料の指数(Rw)が高いほど、その材料の遮音性が高くなる。
【0304】
音響実験室でのクント管試験後に得られた結果は、図8及び9に示されている。
【0305】
周波数及び使用された材料による、吸音係数の変化:
【表9】
【0306】
使用された材料及び周波数による、減衰指数の変化:
【表10】
【0307】
以上の情報により、バルク及び裏地付きプレートが極めて効果的であり、無響室(音又は電磁波を吸収する壁を有する実験室)に使用されるメラミンフォームの特性に近いと結論付けることができる。
【0308】
このリサイクルされる材料の特性の有効性を結論づけるために、本発明者らは、本発明者らが研究した、リサイクルされた吸い殻に由来する材料が、多数の分野で特に遮断のために活用される興味深い特性を有することを確認した。
【0309】
以上の詳細な説明は、本発明の複数の特定の実施形態を包含するものであるが、この説明は本発明の主題を限定するものではなく、反対に、以下の特許請求の範囲の、発生し得る不正確さ又は誤解を取り除くことを目的としたものであることを、指摘しておく必要がある。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】