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特表2022-553079患者の身体部分内の少なくとも1つのトレーサーの微細な位置の向上された決定のための装置及びそれぞれの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】患者の身体部分内の少なくとも1つのトレーサーの微細な位置の向上された決定のための装置及びそれぞれの方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
G01T1/161 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523863
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-19
(86)【国際出願番号】 IB2020059910
(87)【国際公開番号】W WO2021079295
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】115858
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522162716
【氏名又は名称】フィジボチックス,エルディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002561
【氏名又は名称】特許業務法人勝沼国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マガリェス マルティンス,パウロ ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C188
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG18
4C188JJ02
4C188JJ05
4C188JJ23
4C188KK01
4C188KK24
(57)【要約】
本発明は、トレーサーによって放出された放射線を検出する高分解能及び高感度検出技術によって、患者のいくつかの身体部分を同時に監視するための方法及び装置に関する。本発明の目的は、対向する検出器の第1対の高分解能検出器、及び可動で対向する検出器の第2対の高感度検出器を含み、患者の身体部分内の少なくとも1つのトレーサーの微細な位置の向上された決定をするための装置であって、該装置は、第1対の対向する検出器からの信号に基づいて大まかな位置を決定し、大まかな位置に基づいて第2対の対向する検出器の位置を決定し、第2対の対向する検出器からの信号に基づいてトレーサーの微細な位置を決定し、高い空間分解能と高感度でトレーサーの位置を決定することができるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(114)の身体部分(112)内の少なくとも1つのトレーサーの微細な位置の向上された決定のための装置(110)であって、前記装置(110)は:
高分解能検出器からなる、第1対の対向する検出器(116)と、
高感度検出器からなり移動可能である、第2対の対向する検出器(118)と、
を含み、
a)前記第1対の対向する検出器から、1つ以上の第1信号(120)を取得し、前記1つ以上の第1信号は前記トレーサーによって放出された放射線(123)に対応するスペクトル情報を含み、
b)前記1つ以上の第1信号(120)に基づいて、前記トレーサーの大まかな位置(121)を決定し、
c)前記決定された大まかな位置(121)に基づいて、前記第2対の対向する検出器(118)を配置し、
d)前記第2対の対向する検出器(118)から、1つ以上の第2信号(122)を取得し、前記1つ以上の第2信号(122)は、前記トレーサーによって放出された放射線(123)に対応する電磁スペクトル情報を含み、
e)前記1つ以上の第2信号(122)に基づいて、前記トレーサーの微細な位置を決定する、
ように構成されている、装置(110)。
【請求項2】
前記第1対の対向する検出器(116)は固定されている、請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
患者プラットフォーム(124)をさらに含み、前記患者プラットフォーム(124)は、寝かされた患者を受け入れるのに適しており、前記第1対の対向する検出器(116)と前記第2対の対向する検出器(118)は、前記患者プラットフォーム(124)に寝かされた患者(114)の身体部分(112)内のトレーサーによって放出された放射線(123)を検出できるように配置されている、請求項1又は2に記載の装置(110)。
【請求項4】
前記第2対の対向する検出器(118)は、少なくとも前記患者プラットフォームに平行な回転軸(126)の周りで、及び/又は前記患者プラットフォーム(124)に垂直な平面の周りで移動可能である、請求項3に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記第1対の対向する検出器(116)及び前記第2対の対向する検出器(118)は、前記患者プラットフォーム(124)に垂直な平面が、前記第1対の対向する検出器(116)及び前記第2対の対向する検出器(118)の両方に交差するように、配置されている、請求項3又は4に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記第1対の対向する検出器(116)及び前記第2対の対向する検出器(118)は、前記患者プラットフォーム(124)の全体をカバーし、それによって、前記患者(114)の全身内のトレーサーの位置を追跡することができるように、配置されている、請求項5に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記患者プラットフォーム(124)に沿って配置された複数対の第1対の対向する検出器(116)、及び/又は前記患者プラットフォーム(124)に沿って配置された複数対の第2対の対向する検出器(118)を含む、請求項5に記載の装置(110)。
【請求項8】
前記第1対の対向する検出器(116)のそれぞれに、単一対の第2対の対向する検出器(118)が対応する、請求項7に記載の装置(110)。
【請求項9】
前記第1対の対向する検出器(118)のそれぞれに、複数対の第2対の対向する検出器(116)が対応し、各第1対(118)は、同一平面に沿って複数対の第2対の対向する検出器(116)に対応する前記患者プラットフォーム(124)の部分をカバーする長さを有している、請求項7に記載の装置(110)。
【請求項10】
前記第1対の対向する検出器(116)及び前記第2対の対向する検出器(118)は、陽電子放出断層撮影検出器からなる、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項11】
計算装置(129)からなる評価装置(128)をさらに含み、前記評価装置(128)は、ステップc)に従って前記大まかな位置(121)を決定し、ステップe)に従って前記微細な位置を決定するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項12】
機械ユニット(130)をさらに含み、前記機械ユニット(130)は軸(131)方向又は水平(133)又は垂直(140)の横断軸方向に移動し、それによって前記第2対の対向する検出器(118)を配置するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項13】
前記評価装置(128)は、前記大まかな位置(121)を前記機械的ユニット(130)に提供し、前記機械的ユニット(130)を軸(131)方向、又は水平(133)又は垂直(140)の横断軸方向に移動させ、それによって前記第2対の対向する検出器(118)を配置するようにさらに構成されている、請求項11又は12に記載の装置(110)。
【請求項14】
前記第1対の対向する検出器(116)に関連する第1通信モジュール(132)と前記第2対の対向する検出器(118)に関連する第2通信モジュール(134)をさらに含み、前記通信モジュールのそれぞれは、前記1つ以上の第1信号(120)と前記1つ以上の第2信号(122)を前記評価装置にそれぞれ送信するよう構成され、任意で前記通信モジュールはケーブル通信又は無線通信によって作動するよう構成されている、請求項11及び請求項12~13のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項15】
少なくとも一対の第1対の対向する検出器(116)、及び/又は少なくとも一対の第2対の対向する検出器(118)を含み、好ましくは、2対、4対、8対、12対、16対、20対又はそれ以上の第1対の対向する検出器(116)及び第2対の対向する検出器(118)を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項16】
前記第1対の対向する検出器(116)は連続検出器であり、前記第2対の対向する検出器(118)は離散検出器である、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項17】
患者(114)の身体部分(112)内のトレーサーの微細な位置の向上された決定のための方法であって、前記トレーサーは放射線(123)を放出し、前記方法は請求項1~16のいずれか1項に記載の装置(110)によって実装され、以下のステップ:
a)第1対の対向する検出器(116)から、順番に取得される1つ以上の第1信号(120)を取得し、前記1つ以上の第1信号(120)は前記トレーサーによって放出された放射線(123)に対応するスペクトル情報を含む、ステップと、
b)前記1つ以上の第1信号(120)に基づいて、前記トレーサーの大まかな位置(121)を決定するステップと、
c)前記決定された大まかな位置(121)に基づいて、第2対の対向する検出器(118)を配置するステップと、
d)前記第2対の対向する検出器(118)から、1つ以上の第2信号(122)を取得し、前記1つ以上の第2信号(122)は前記トレーサーによって放出される放射線(123)に対応する電磁スペクトル情報を含む、ステップと、
e)前記1つ以上の第2信号(122)に基づいて、前記トレーサーの微細な位置を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
ステップa)は、前記放射線(123)が前記第1対の対向する検出器(116)において検出された水平横断軸方向(133)の検出器ギャップ(136)を決定することを含み、それにより、ステップb)は、前記第1対の対向する検出器(116)に当たる前記トレーサーによって放出された放射線(123)の軸(131)方向と、水平(133)及び垂直(140)の横断軸方向の前記大まかな位置(121)を決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の検出器のステップc)の配置は、前記検出器が軸(131)方向と、水平(133)及び垂直(140)の横断軸方向に沿って移動できるようになっている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップe)は、前記第2対の対向する検出器(116)における前記トレーサーによって放出された放射線(123)の放射と放射線(123)の到着時間との時間差を決定することと、低統計飛行時間再構成ルーチンによって前記1つ以上の第1信号(116)を再構成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ステップc)の配置において、前記第2対の対向する検出器(118)は、前記トレーサーによって放出された前記放射線(123)が、前記第2対の対向する検出器に、そのような検出器の前面(135)に垂直に当たるように、前記トレーサーの前記大まかな位置(121)を横切る回転軸(126)に対して配置されるようになっている、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップc)の配置は、前記第2対の対向する検出器(118)が、前記第2対の対向する検出器(118)から前記トレーサーまでの距離が最小になり、前記第2対の対向する検出器(118)の感度が増加するように、前記トレーサーの前記大まかな位置(121)を横切る半径軸(146)に沿って、アクチュエータ(144)によって、配置されるようになっている、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ステップe)は、好ましくは最大事後確率(MAP)推定アルゴリズムを用いて、前記トレーサーの前記決定された大まかな位置(121)に基づいて前記1つ以上の第2信号(122)を再構成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
患者(114)の少なくとも2つの身体部分(112)におけるトレーサーの位置を関連付けることをさらに含み、前記関連付けは:
- 身体の1つの部位(112)内の、取り込み期間中の所定の時点におけるトレーサーの微細な位置を決定することと、
- 前記身体の別の部位(112)内の、取り込み期間中の同じ時点におけるトレーサーの微細な位置を決定することと、
- 予め定義された期間中の、両部位における標準的な取り込み値を測定し、及び、両部位における取り込みの時間の関連付けを抽出することと、
を含む、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
患者(114)の全身内のトレーサーの位置を関連付けることをさらに含み、前記関連付けは:
- 取り込み期間中の所定の時点における患者(114)の前記全身内の前記トレーサーの微細な位置を決定することと、
- 全身及び関心部位における取り込みを測定することと、
- 全身及び関心部位における標準的な取り込み値を関連付けることと、
を含む、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記トレーサーは、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を含み、好ましくはそれからなる、請求項18~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
請求項18~26のいずれか1項に記載の方法を実行するための実行可能な命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)によって、トレーサーによって放出される放射線を検出する高分解能及び高感度検出技術によって、患者のいくつかの身体部分を同時に監視するための方法及び装置に関する。
【0002】
本発明による装置と方法は、好ましくは、核医学の分野において、特に患者に投与された注射されたトレーサーの位置を決定するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
陽電子放射断層撮影法(PET)は、患者の身体の機能的な画像化様式として高い臨床的な可能性を有している。ここで、全身の同時画像は、臓器は互いに相互作用するため、特に有望である。ここで、放射性造影剤などの1つ以上のトレーサーは、患者の身体内に注射される。それらのトレーサーは、患者の身体の離れた部分に位置し得る特定の細胞に対してより親和性を有する。
【0004】
放射性トレーサーは、陽電子を放出し、陽電子は特定の範囲の後に患者の身体の電子とともに消滅する。消滅後、一対の連続した光子が放出され、最終的には患者の身体から出る。光子対は、対向する2つの検出器で検出される。シンチレータ結晶の場合、検出器の密度と原子数に依存する、検出器と光子の相互作用の可能性がある。高い光出力と短い減衰時間が、最適な信号のために望ましい。相互作用の可能性に加えて、抵抗性プレートチャンバ(RPC)などの気体検出器では、抵抗性材料から電子が抽出される可能性がある。最適な信号のためには、両者の妥協が望ましい。
【0005】
シンチレータベースのシステムは、光電子増倍管(PMT)に一対一で接続されたピクセル化された結晶の形態、又は複数のPMTによって読み出されるモノリシック結晶の形態のいずれかで、離散的である。RPCベースのシステムは、衝突位置が、読み出しチャンネルと衝突の相互作用深さの間の電荷重みから決定されるため、連続的である。後者の検出器は本質的にパララックスがないため、空間分解能に関してはより良好に作動する。前者の検出器は、感度に関してはより良好な性能を発揮する。
【0006】
両概念とも、大きな軸方向視野(AFOV)を有するPETシステムのために提案されている。このようなシステムは、増大された感度で、1回のスキャンで全身の画像化を可能にする。これは、患者に注入される線量を低減し、総取得時間を減少させ、患者の身体内を移動するトレーサーをリアルタイムで追跡する可能性を開く。
【0007】
大きなAFOVを有するシンチレータベースのシステムは、総コストが検出器の数に比例して増加するため、かなり高価である。RPCベースのシステムは、広い面積をカバーすることを目的としているため、費用効率がより高い。しかし、シンチレータベースのシステムと比較すると、その感度は小さい。
【0008】
一方、シンチレータ結晶は、相互作用深さが検出器に対して斜めに当たる光子に対して強い役割を果たすため、大きな受入角では空間分解能がより劣る。しかし、それらはRPCよりも柔軟性があり、光子が垂直に当たるような異なる幾何学的形状を想定することができるため、パララックス効果を低減し空間分解能を向上させることができる。
【0009】
US9632187B2は、PETキットのためのシステム及び方法を開示している。検出器キットは、ガントリと、複数のPET検出器モジュールと、イベント処理装置とを含んでよい。PET検出器モジュールは、ハウジングを含んでよい。このようなハウジングは、PET検出器モジュールをガントリに取り外し可能かつ調整可能に結合するように構成された接続要素を含んでよい。検出器モジュールは、ハウジング内に配置された1つの結晶と、結晶によって光を検出するように構成された1つの光検出器とを含む。検出器モジュールは、受信したデータに基づいて同時発生イベントを決定するように、少なくとも1つの光検出器からイベント処理装置へデータオを通信させるように構成された通信コンポーネントをさらに含む。該開示は、接続要素を介して、第1ガントリに対するPET検出器モジュールの位置を調整し、第1ガントリに対するPET検出器モジュールの結合を解除するための方法にも関する。該方法は、PET検出器モジュールを第2ガントリに結合することをさらに含む。
【0010】
WO2012/087171A1は、単一ベッド位置での飛行時間および全身走査を伴うPETのための装置と、対応する読み出し方法とを開示している。該装置は、多角形を形成する装置軸の周りに配置された少なくとも4つの検出器モジュールを含む。モジュールは、ガンマ光子検出器として抵抗性プレートチャンバ(RPC)を含んでいる。このような装置は、モジュール内の装置の両端に結合された電子読み出しをさらに含む。該開示は、読み出し方法にも関する。
【0011】
Paulo Martinsによる「Imaging Techniques in RPC-PET」PhD Thesis,University of Coimbra,2014年は、小動物のPET画像化のための装置を記載している。このような装置は、RPC検出器及び読み出しシステムを含む。本論文はまた、検出器におけるガンマ線光子衝突の微細な位置を決定する方法についても記載している。図形処理ユニットを用いて全身画像を再構成する方法も示されている。本再構成方法は、人間の身体内の散乱イベントを除くための飛行時間ベースの方法を含む。臨床的に適切な再構成時間が実証された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、高い空間分解能と高い感度で患者の身体内のトレーサーの位置を決定することをなおも可能にする費用効果が高い解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
言及された問題は、患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置及び方法と、同様に、独立請求項の主題による方法を実行するための実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品と、によって解決される。本発明の好ましい実施形態(それらは、孤立した方法で、又は任意の組み合わせで実現され得る)が、従属請求項に開示されている。
【0014】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語又はその文法的変形は、述べられた特徴、完全体、ステップ、又は、構成要素もしくはそれらのグループの存在を明示するものと理解されるが、1以上の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素もしくはそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。同じことが、「含む(comprising)」という用語の同義語として使用される「有する(having)」という用語又はその文法的変形にも適用される。
【0015】
本発明の一態様によれば、患者の身体(特に身体部分)内の少なくとも1つのトレーサーの微細な位置の向上された決定のための装置が提供される。
【0016】
装置は、高分解能検出器からなる第1対の対向する検出器と、高感度検出器からなり移動可能である第2対の対向する検出器と、を含む。
【0017】
さらなる態様において、本装置は、
a)第1対の対向する検出器から、1つ以上の第1信号(1つ以上の第1信号はトレーサーによって放出された放射線に対応するスペクトル情報を含む)を取得し、
b)前記1つ以上の第1信号に基づいて、前記トレーサーの大まかな位置を決定し、
c)前記決定された大まかな位置に基づいて、第2対の対向する検出器を配置し、
d)前記第2対の対向する検出器から、1つ以上の第2信号(1つ以上の第2信号は前記トレーサーによって放出された放射線に対応する電磁スペクトル情報を含む)を取得し、
e)前記1つ以上の第2信号に基づいて、前記トレーサーの微細な位置を決定する、ように構成され得る。
【0018】
したがって、患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置は、好ましくは、患者の身体部分の機能を画像化するために使用され得、そこでは、患者の身体部分は、腫瘍組織を含む。ここで、腫瘍組織は、癌によって患者の組織内に導入された可能性のある腫瘍性変異を含み得る。
【0019】
大まかな位置を決定するために第1対の対向する検出器を使用し、そのような大まかな位置に基づいて、第2対の対向する検出器を配置し、そこから微細な位置を決定することは、従来技術の解決策と比較して、検出器(特に高感度を提供する検出器)の数を減少させることを可能にする。
【0020】
代替的に又は追加的に、患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置は、同時に2つの身体部分から取得された画像(対向する検出器の対から取得された信号に対応する画像)を関連付けるためにも使用され得る。
【0021】
上記に示したように、本装置は、トレーサーの注入に続いて患者の身体が走査を受ける状況で使用される。本明細書で使用される場合、「トレーサー」という用語は、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)などの放射性造影剤を指す。
【0022】
本発明によれば、本装置は、少なくとも2対の対向する検出器を有している。「対向する検出器」という用語は、患者の身体をその間に挟んで互いに向き合っている検出器を指す。
【0023】
本発明によれば、装置は、高い空間分解能を有する検出器と高い感度を有する検出器とを含む。本明細書で使用される場合、検出器は、患者の身体内での陽電子の消滅によって発生するガンマ放射線を決定するために割り当てられる。本明細書で使用される場合、「検出器」という用語は、入射ガンマ線から測定可能な信号を生成するために割り当てられる装置を指す。この目的のために、測定可能な信号は、好ましくは、電気信号、具体的には、電圧又は電流から選択され得る。特に、検出器要素は、抵抗性プレートチャンバ(RPC)、マイクロパターンガス検出器(MPGD)、高速タイミングMPGD(FTM)、ガス電子増幅器(GEM)、光電子増倍管(PMT)、固体単一光子感度装置(シリコン光電子増倍管;SiPM)、位置検出光電子増倍管(PSPMT)、アバランシェ光ダイオード(APD)、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、又は量子画像センサ(QIS)チップ、のうちの少なくとも2つから選択され得る。しかし、他の種類の検出器要素も可能であり得る。特に、個々の検出器間で測定される信号の比較可能性を高めるために、対向する検出器は同じタイプ及び同じ種類であることが特に好ましい。
【0024】
好ましくは、第1対の対向する検出器は連続検出器であり、第2対の対向する検出器は離散検出器である。
【0025】
好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1対の第1対の対向する検出器及び/又は少なくとも1対の第2対の対向する検出器を含んでいてよい。より好ましくは、2対、4対、8対、12対、16対、20対又はそれ以上の第1対の対向する検出器及び第2対の対向する検出器である。ここで、各対の検出器は、互いに対して間隔を空けて配置され、したがって、患者の身体に近いほど、増大された空間分解能で決定することができる。
【0026】
さらに、本装置は、評価装置をさらに含んでいてよい。一般的に使用されるように、「評価装置」という用語は、第1対及び第2対の対向する検出器によって取得され、具体的には第1対及び第2対の対向する検出器によって評価装置に提供される測定可能な信号に基づくことができるガンマ線に関する情報を含む得られた第1及び第2の信号を決定するために割り当てられた装置に関する。この目的のために、第1対及び第2対の対向する検出器と評価装置との間の有線ベースの接続、又は、代替的にもしくは追加的に、無線接続が提供され得る。
【0027】
本発明による評価装置は、特に、患者の身体内のトレーサーの位置を決定するために設計されてよく、そこでは、この種の情報は、少なくとも2つの検出器によって評価装置に提供される測定可能な信号に基づいてよい。この目的のために、評価装置は、好ましくは10ns、より好ましくは4ns、より好ましくは1ns以下のサンプリングレートを有する高速アナログ-デジタル変換器を含んでいてよい。ここで、高速アナログ-デジタル変換器は、好ましくは、フラッシュアナログ-デジタル変換器(FADC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、versa module eurocard (VME)デジタイザ、タイム読み出しボード(TRB)、又はオシロスコープのうちの少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、他のタイプの高速アナログ-デジタル変換器も考えられる。
【0028】
さらに、評価装置は、各検出器信号にタイムスタンプを割り当て、好ましくはナノ秒レベル又はピコ秒レベルの精度、より好ましくは100ps以下の精度を有する検出信号の時間同期を提供する時計をさらに含んでよい。
【0029】
さらに、評価装置は、対象の動きなどの動きを監視するための動きセンサをさらに含んでよい。動きセンサは、心臓の動き及び呼吸の動きなどの生理学的パラメータの監視を含んでよい。
【0030】
本発明のさらなる態様では、患者の身体部分内の、放射線を放出するトレーサーの微細な位置の向上された決定のための方法が提供される。
【0031】
本発明による方法は、少なくとも以下のステップを含んでいるが、追加のステップをさらに実行することができる。好ましい実施形態において、示されたステップは、連続的なアプローチで実行されてよく、しかしながら、後続のステップは、少なくとも部分的に、前のステップと同時に実行されてもよい。代替的に好ましい実施形態では、言及されるステップは、特に、本方法を実行するために必要な時間及び/又は記憶スペースを最小化するために、順次的なアプローチ及び統合的なアプローチを組み合わせることによる、統合的なアプローチ又は混合なアプローチで実行されてよい。さらに、ここに示されていないさらなるステップも実行されてよい。
【0032】
本発明の方法は、その実施形態のいずれかにおいて、本発明の装置によって実施されることが理解され、前記方法は、以下のステップ:
a)第1対の対向する検出器から、順番に取得される1つ以上の第1信号を取得し、前記1つ以上の第1信号はトレーサーによって放出される放射線に対応するスペクトル情報を含む、ステップと、
b)前記1つ以上の第1信号に基づいて、前記トレーサーの大まかな位置を決定するステップと、
c)前記決定された大まかな位置に基づいて、第2対の対向する検出器を配置するステップと、
d)前記第2対の対向する検出器から、1つ以上の第2信号を取得し、前記1つ以上の第2信号は前記トレーサーによって放出される放射線に対応する電磁スペクトル情報を含む、ステップと、
e)前記1つ以上の第2信号に基づいて、前記トレーサーの微細な位置を決定するステップと、
を含む。
【0033】
そのような方法は、大まかな位置が第1対の対向する検出器から得られた信号に基づいて決定され、第2対の対向する検出器がそのような大まかな位置に基づいて配置され、そこから微細な位置が決定され、したがって、従来技術の解決策と比較して、検出器(特に高感度を提供する検出器)の数を減少させることを可能にする。
【0034】
さらに、その実施形態のいずれかにおいて、本発明の方法を実行するための実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品が、本発明の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、好ましくは従属請求項と組み合わせて、好ましい実施形態の以下の説明から導き出すことができる。その中で、それぞれの特徴は、孤立した方法で、又は任意の組み合わせで、実現され得る。本発明は、好ましい実施形態に限定されるものではない。図中の同一の参照番号は、同一の要素、又は同一もしくは類似の機能を有する要素、又はそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
図1】本発明による患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置の好ましい実施形態を側面図で示ており、該装置は、高い空間分解能を有する2つの対向する平面検出器と、高い感度を有する2つの適応可能な対向する検出器を含むことを示す図である。
図2】患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置の好ましい実施形態を斜視図でさらに示しており、並列高分解能検出器は固定され、高感度検出器は機械ユニットによって関心部位に対して軸方向及び水平と垂直の横断軸方向に移動し、ガンマ線がそれらの前面に対して垂直に当たるようにトレーサーを横切る軸の周りに配置されることができることを示す図である。装置は、トレーサーの大まかな位置に対する第2対の対向する検出器の距離が最小になるように、トレーサーの大まかな位置を横切る半径方向の軸に沿ったアクチュエータをさらに含む。装置はさらに、装置全体が±90度回転し、高分解能検出器が患者プラットフォームの下方及び上方にあり、高感度検出器が患者に対して横方向に移動する、構成を想定することができる。
図3】患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置のさらに好ましい実施形態を斜視図で示しており、該装置は、身体の部位(例えば、脳)を画像化するために使用され得る一対の検出器と、身体の別の部位(例えば、骨盤)を画像化するために使用される別の一対の検出器とを含むことを示す図である。
図4】患者の身体内のトレーサーの位置を決定するための装置のさらに好ましい実施形態を斜視図で示しており、該装置は、全身をカバーし、身体内のトレーサーの位置を追跡することができる一対の検出器を含むことを示す図である。関心部位が決定されると、高感度検出器は、大きな統計値を取得するためにそれらの部位へ移動する。
図5図5A及び5Bは、図2の患者の身体内のトレーサーの位置を決定する方法の好ましい実施形態を側面図でさらに示ており、高感度検出器が、並列高分解能検出器によって提供される関心部位に従って空間分解能を調整するために、図5Aと5Bとの間で移動することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施形態の詳細説明:
本発明の装置(110)の実施形態では、第1対の対向する検出器(116)が固定されている。
【0037】
本発明の装置のさらなる態様では、装置は、患者プラットフォーム(124)をさらに含み、該患者プラットフォーム(124)は、寝かされた患者を受け入れるのに適しており、第1対の対向する検出器と第2対の対向する検出器は、患者プラットフォーム(124)に寝かされた患者(114)の身体部分(112)内のトレーサーによって放出される放射線(123)を検出できるように配置されている。
【0038】
本発明の装置の有利な実施形態では、第2対の対向する検出器は、少なくとも患者プラットフォーム(124)に平行な回転軸(126)及び/又は患者プラットフォーム(124)に垂直な平面の周りで移動可能である。
【0039】
本発明の装置の別の有利な態様では、第1対の対向する検出器(116)及び第2対の対向する検出器(118)は、患者プラットフォーム(124)に垂直な平面が、第1対の対向する検出器(116)及び第2対の対向する検出器(118)の両方に交差するように配置され、それによって検出器間の向上された調整を可能にする。
【0040】
本発明の装置のさらなる態様では、第1対の対向する検出器(116)及び第2対の対向する検出器(118)は、患者プラットフォーム(124)の全体をカバーし、それによって、患者(114)の全身内のトレーサーの位置を追跡することができるように配置されている。
好ましい実施形態では、本発明の装置は、患者プラットフォーム(124)に沿って配置された複数対の第1対の対向する検出器(116)及び/又は患者プラットフォーム(124)に沿って配置された複数対の第2対の対向する検出器(118)を含み、これにより、患者プラットフォーム(124)、好ましくは患者プラットフォーム(124)全体に沿って配置されることによって、患者(114)の全身をカバーすることができる。
【0041】
本発明の装置の一実施形態では、第1対の対向する検出器(116)のそれぞれに、単一対の第2対の対向する検出器(118)が対応する。
【0042】
本発明の装置の有利な実施形態では、第1対の対向する検出器(116)のそれぞれに、複数対の第2対の対向する検出器(118)が対応し、各第1対(116)は、患者プラットフォーム(124)のセクション(該セクションは、複数対の第2対の対向する検出器(118)が同一平面に沿って対応する)をカバーするような長さを有している。このような解決策は、このような高分解能検出器の連続的な状態を利用して、第1対の対向する検出器(116)の数を減らすことを可能にする。
【0043】
本発明の装置の実施形態において、第1対の対向する検出器(116)及び第2対の対向する検出器(118)は陽電子放出断層撮影検出器からなる。
【0044】
本発明の装置の有利な態様では、計算装置(129)からなる評価装置(128)をさらに含み、該評価装置(128)は、ステップc)に従って大まかな位置(121)を決定し、ステップe)に従って微細な位置を決定するように構成されている。
【0045】
本発明の装置の一態様では、機械ユニット(130)をさらに含み、該機械ユニット(130)は、移動し、それによって第2対の対向する検出器(118)を配置するように構成されている。評価装置(128)は、好ましくは、第2対の対向する検出器(118)を移動させ、それによって配置するように、大まかな位置(121)を機械的ユニット(130)に提供するように、さらに構成されている。評価装置(128)は、さらに、動きセンサを含んでよく、そのようなセンサは、機械ユニット(130)に患者の動きを提供し、それによって、患者の動きと同期する態様で第2対の対向する検出器(118)を移動させるようにさらに構成されている。
【0046】
本発明の装置のさらに別の有利な態様では、第1対の対向する検出器(116)に関連する第1通信モジュール(132)、及び第2対の対向する検出器(118)に関連する第2通信モジュール(134)をさらに含み、通信モジュールのそれぞれは、1つ以上の第1信号(120)と1つ以上の第2信号(122)を評価装置(128)にそれぞれ送信するよう構成され、任意で通信モジュールはケーブル通信又は無線通信によって作動するよう構成されている。
【0047】
本発明の方法の発明的態様では、ステップa)は、放射線が第1対の対向する検出器(116)において検出された水平横断軸方向(133)の検出器ギャップ(136)を決定することを含み、それによりステップb)は、第1対の対向する検出器(116)に当たるトレーサーによって放出された放射線の軸(131)方向と、水平(133)及び垂直(140)の横断軸方向の大まかな位置(121)を決定することを含む。シンチレータ検出器の欠点は、相互作用の深さ(DOI)がないことである。2層又は3層に組織化された多結晶体に基づく複雑な解決策と、モノリシックシンチレータにおいて横断軸方向における衝突の大まかな位置を測定できるアルゴリズムとは別に、シンチレータ検出器は横断方向に関する情報を提供することができない。さらに、入射光子が斜めになればなるほど、複数の検出器にエネルギーが蓄積される可能性が高くなる。これがいわゆるパララックス効果である。多くの検出器はピッチが小さく(0.25mm~6mm)、厚みが大きい(1mm~30mm)ため、光子がいくつかの結晶を横切る確率が高くなり、検出器への光子の入射角が大きくなる。
【0048】
本発明の方法の追加の発明的態様では、第2の検出器のステップc)の配置は、検出器が軸(131)方向、及び水平(133)及び垂直(140)の横断軸方向に沿って移動できるようになっている。
【0049】
本発明の方法の別の発明的態様では、ステップe)は、第1対(116)の各検出器における、トレーサーによって放出された放射線の放射と放射線の到着時間との時間差を決定することと、低統計飛行時間再構成ルーチンによって1つ以上の第2信号を再構成することを含む。対向する検出器への光子の到着時間における時間差は、飛行時間(TOF)とも呼ばれ、2つの検出器の間のいわゆる応答線(LOR)を線セグメントに制限する。TOFは、それによって、再構成ルーチンを加速し、信号対雑音比を増加させることに関連する。
【0050】
本発明の方法の一態様では、ステップc)の配置において、第2対の対向する検出器(118)の検出器は、トレーサーによって放出された放射線が、第2対の対向する検出器の検出器に、そのような検出器の前面(135)に垂直に当たるように、トレーサーの大まかな位置(121)を横切る回転軸(126)に対して配置されるようになっている。高分解能と高感度で検出器に垂直に当たる事象は、トレーサーから放出されたものだけが検出されるため、トレーサーにおける実際の活動を測定するためのより信頼性の高い手段を提供する。
【0051】
本方法の別の態様では、ステップc)の配置は、第2対の対向する検出器(118)が、第2対の対向する検出器(118)からトレーサーの大まかな位置(121)までの距離が最小になり、第2対の対向する検出器(118)の感度が増加するように、トレーサーの大まかな位置(121)を横切る半径軸(146)に沿って、アクチュエータ(144)によって、配置されるようになっている。
【0052】
一実施形態において、ステップe)は、最大事後確率(MAP)推定アルゴリズムを用いて、トレーサーの決定された大まかな位置(121)に基づいて、1つ以上の第2信号を再構成することを含む。PET-MRの使用は、MRIによって提供される解剖学的構造の微細な位置の事前知識を使用し、PET画像の再構成においてそれをモデル化することである。それがいわゆる最大事後確率(MAP)推定である。MAPは、経験的データに基づいて、観測された量のポイント推定値を得るために使用されることができる。それは、最大尤度(MLEM)と似ているが、推定したい量に対する事前分布を組み込んだ最適化目標を採用している。これはMLEMの正規化と見なされる。これまでのところ、MAPは事前PET分布に基づくPETデータには使用されていない。それは、ほとんどの場合、事前MRI分布で使用される。その利点は、事前知識が高分解能検出器によって既に提供されているため、MRIを必要としないことである。このプロセスは、高分解能検出器と高感度検出器の両方からのPET分布を交互に供給しながら、反復的に発生することができる。
【0053】
本発明の方法のさらに別の発明的態様では、患者(114)の少なくとも2つの身体部分(112)から得られた信号を相関させることを可能にして、患者(114)の少なくとも2つの身体部分(112)におけるトレーサーの位置を関連付けることをさらに含み、前記関連付けは:
- 身体の1つの部位内の、取り込み期間中の所定の時点におけるトレーサーの微細な位置を決定することと、
- 身体の別の部位内の、取り込み期間中の同じ時点におけるトレーサーの微細な位置を決定することと、
- 予め定義された期間中の、両部位における標準的な取り込み値を測定し、及び、両部位における取り込みの時間の関連付けを抽出することと、
を含む。
【0054】
関連する利点は、トレーサーの同時の空間的追跡と、その身体のさまざまな部分で動態(時間に沿った活動)である。定量化技術は、脳、心臓、腫瘍などの活動を関連付けるための入力として、血液サンプリングを必要とする。したがって、本発明の目的は、身体のさまざまな部分におけるトレーサーの位置と動態を同時に評価することである。1つ以上のトレーサーは、他の器官に比べていくつかの器官で取り込み時間がより長く、異なる動態を示す可能性がある。これは、患者を動かすことなく、また身体内の真の活動を推定するために血液を採取することなく、1回の走査で定量化され得る。腫瘍の代謝はFDGで、心臓の心筋灌流は82ルビジウムで画像化することができる。これはいわゆるパラメトリックイメージングであり、複数の臓器を同時にモニターし、それらの取り込みを相互に相関させる。
【0055】
本発明の方法の有利な態様では、患者(114)の全身内のトレーサーの位置を関連付けることをさらに含み、前記関連付けは:
- 取り込み期間中の所定の時点における患者(114)の全身内のトレーサーの微細な位置を決定することと、
- 全身及び関心部位における取り込みを測定することと、
- 全身及び関心部位における標準的な取り込み値を関連付けることと、
を含む。
【0056】
通常の手順は、走査時間を短縮するために、目から大腿部までの身体を画像化するため、一部の腫瘍は検出されない。脳、足、脚は通常走査されないままである。しかし、このような部位での腫瘍の検出は、疾患進行の評価を提供する。メラノーマから脚に転移した腫瘍は、病期分類及び治療方針を変えるであろう。支払い可能な全身走査で予期しない部位の腫瘍を見つけることができれば、第2対の検出器でその腫瘍の微細な位置を確認し、向上させることが可能である。
【0057】
さらに、身体の特定の部分における予期しない活動は、第2対の検出器をその部位に移動させるトリガーとなり得る。例えば、個人の性的反応を評価したい場合、他の部分の中で、例えば、心臓、脳、骨盤部位などの身体のさまざまな部分が、より高い取り込みを得る可能性がある。全身走査は、関心部位を決定し、その部位に親和性を有する特定のトレーサーと、FDGのような全身代謝に親和性を有するトレーサーとを関連付けることができる。
【0058】
一実施形態では、患者は、自分の身体の機能をリアルタイムで見ることができ、したがって、他のニューロフィードバック療法を模擬することができる。
【0059】
他の修正及び変形もまた、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】