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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】イオントフォレーシス投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/30 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A61N1/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523866
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2020138100
(87)【国際公開番号】W WO2021078311
(87)【国際公開日】2021-04-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521486284
【氏名又は名称】上海▲フ▼泰科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI FUTAI TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room J2487,Building 4,Block B,No.925 Yecheng Road,Jiading Industrial Zone,Jiading District,Shanghai 201821,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 昂
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053HH02
(57)【要約】
イオントフォレーシス投与装置。当該イオントフォレーシス投与装置は、電源(110)、誘電体層(114)、および少なくとも二つの電極(112-1、112-2)を含み、前記電源(110)は、浸透される薬剤を生物体の投与される領域(122)に浸透させるために必要なパルス直流電流の生成に使用され、ここで、電源(110)は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、および第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成し、前記誘電体層(114)は、投与される領域(122)に接触され、ここで、誘電体層(114)には、活性剤が含まれるか、または付着され、活性剤は、パルス直流電流を介して投与される領域(122)の浸透に使用され、および前記少なくとも二つの電極(112-1、112-2)は、電源(110)から出力されたパルス直流電流を受信して、受信されたパルス直流電流を誘電体層(114)に提供するために使用される。当該イオントフォレーシス投与装置は、経皮効率を向上させるだけでなく、皮膚を刺激するか、または皮膚の損傷を引き起こす可能性が低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオントフォレーシス投与装置であって、
電源、誘電体層、および少なくとも二つの電極を含み、
前記電源は、浸透される薬剤を生物体の投与される領域に浸透させるために必要なパルス直流電流の生成に使用され、ここで、前記電源は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、および第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成し、
前記誘電体層は、前記投与される領域に接触されるために使用され、ここで、前記誘電体層は、活性剤が含まれるか、または付着され、前記活性剤は、前記パルス直流電流を介して前記投与される領域の浸透に使用され、および
前記少なくとも二つの電極は、前記電源から出力された前記パルス直流電流を受信して、受信された前記パルス直流電流を前記誘電体層に提供するために使用されることを特徴とする、イオントフォレーシス投与装置。
【請求項2】
前記順方向パルス直流電流および前記逆方向パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、事前設定または調節可能であることを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電源は、前記順方向パルス直流電流および前記逆方向パルス直流電流を交互に生成し、また前記第1の時間帯に前記電源によって生成された前記順方向パルス直流電流の電気量と、前記第2の時間帯に前記電源によって生成された前記逆方向パルス直流電流の電気量との間の差は、所定値より小さいか同じであることを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも二つの電極は、以下の少なくとも一つに適合し、
前記少なくとも二つの電極は、一体型誘電体層に電気的に接続され、
前記少なくとも二つの電極は、それぞれ独立した複数の誘電体層に電気的に接続され、
前記少なくとも二つの電極は、誘電体層に固定され、および
前記少なくとも二つの電極は、取り外し可能な方式で前記誘電体層に層電気的に接続されることを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記順方向パルス直流電流および前記逆方向パルス直流電流の少なくとも一つは、以下の少なくとも一つに適合し、
前記第1の時間帯および前記第2の時間帯の少なくとも一つは、1秒~30分間の間であり、
前記周波数は、100Hz~50kHzの間であり、および
前記電流振幅は、0.1mA~10mAの間であることを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記周波数、前記電流振幅および前記デューティ比の少なくとも一つの設定は、前記投与される領域の特徴に関連され、前記特徴は、測定によって決定されることを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の時間帯および前記第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、前記デューティ比は、第1のデューティ比の所定値であり、前記周波数は、第1の周波数の閾値と第2の周波数の閾値との間で変化することを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の時間帯および前記第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、前記周波数は、第1の周波数の所定値であり、前記デューティ比は、第1のデューティ比の閾値と第2のデューティ比の閾値との間で変化することを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の時間帯および前記第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、前記周波数は、第1の周波数の閾値と第2の周波数の閾値との間で変化し、および前記デューティ比は、第1のデューティ比の閾値と第2のデューティ比の閾値との間で変化することを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項10】
一つまたは複数の前記活性剤が含まれるか、または付着されるゲル体をさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、投与装置に関し、具体的には、イオントフォレーシス投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオントフォレーシス療法は、電気療法の一種であり、ここで、電流は、活性剤(薬物または他の治療剤)を起動および駆動して皮膚(通常、皮膚の角質層は障壁効果を有する)を通過させ、最終的に活性剤(薬物または他の治療剤)を患者の血液に輸送するために使用される。従来のイオントフォレーシス投与装置方案は、例えば、一定の電圧振幅を有する直流電流を連続的に提供して、生物体の投与される領域に浸透される薬剤を浸透させる。
【0003】
従来のイオントフォレーシス投与装置において、電流が一方向にしか流れないため、電荷が蓄積される。一方、過剰な電荷の蓄積は、投与領域の皮膚または組織に重度の火傷を引き起こす可能性がある。もう一方、連続的な直流電流は、皮膚を分極化し、時間の経過とともに輸送できる電流の量は、蓄積された電荷によって制限されることにより、投与効率を制限する。
【0004】
従って、従来のイオントフォレーシス療法は、少なくとも投与領域の皮膚損傷を容易に引き起こし、また投与効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の例示的な実施例によれば、浸透性投与効率を向上させることができ、投与される領域の皮膚損傷を最小化することができる、イオントフォレーシス投与装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様において、イオントフォレーシス投与装置を提供する。当該装置は、電源、誘電体層、および少なくとも二つの電極を含み、前記電源は、浸透される薬剤を生物体の投与される領域に浸透させるために必要なパルス直流電流の生成に使用され、ここで、電源は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、および第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成し、前記誘電体層は、投与される領域に接触されるために使用され、ここで、誘電体層には、活性剤が含まれるか、または活性剤が付着され、活性剤は、パルス直流電流を介して投与される領域の浸透に使用され、および前記少なくとも二つの電極は、電源から出力されたパルス直流電流を受信して、受信されたパルス直流電流を誘電体層に提供するために使用される。
【0007】
いくつかの実施例において、順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、事前設定または調節可能である。
いくつかの実施例において、電源は、順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流を交互に生成し、また第1の時間帯に電源によって生成された順方向パルス直流電流の電気量と、第2の時間帯に電源によって生成された逆方向パルス直流電流の電気量との間の差は、所定値より小さいか同じである。
【0008】
いくつかの実施例において、少なくとも二つの電極は、以下の少なくとも一つに適合し、少なくとも二つの電極は、一体型誘電体層に電気的に接続され、少なくとも二つの電極は、それぞれ独立した複数の誘電体層に電気的に接続され、少なくとも二つの電極は、誘電体層に固定され、および少なくとも二つの電極は、取り外し可能な方式で誘電体層に電気的に接続される。
【0009】
いくつかの実施例において、順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流の少なくとも一つは、以下の少なくとも一つに適合し、第1の時間帯および第2の時間帯の少なくとも一つは、1秒~30分間の間であり、周波数は、100Hz~50kHzの間であり、および電流振幅は、0.1mA~10mAの間である。
【0010】
いくつかの実施例において、周波数、電流振幅およびデューティ比の少なくとも一つの設定は、投与される領域の特徴に関連され、特徴は、測定によって決定される。
【0011】
いくつかの実施例において、第1の時間帯および第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、デューティ比は、第1のデューティ比の所定値であり、周波数は、第1の周波数の閾値と第2の周波数の閾値との間で変化する。
【0012】
いくつかの実施例において、第1の時間帯および第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、周波数は、第1の周波数の所定値であり、デューティ比は、第1のデューティ比の閾値と第2のデューティ比の閾値との間で変化する。
【0013】
いくつかの実施例において、第1の時間帯および第2の時間帯の少なくとも一つにおいて、周波数は、第1の周波数の閾値と第2の周波数の閾値との間で変化し、およびデューティ比は、第1のデューティ比の閾値と第2のデューティ比の閾値との間で変化する。
【0014】
いくつかの実施例において、当該装置は、一つまたは複数の活性剤が含まれるか、または付着されるゲル体をさらに含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の内容部分に記載される内容は、本開示の実施例の核心的なまたは重要な特徴を限定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものでもないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の説明によって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の各実施例の上記および他の特徴、利点および態様は、添付の図面を参照し、かつ以下の詳細な説明を参照することによってより明らかになるであろう。図面において、同じまたは類似な符号は、同じまたは類似の構成要素を表し、ここで、
【0017】
図1】本開示のいくつかの実施例によるイオントフォレーシス投与装置100の模式図を示す。
図2】本開示の実施例によるパルス直流電流200の模式図を示す。
図3】本開示の実施例によるパルス直流電流300の模式図を示す。
図4】本開示の実施例によるパルス直流電流400の模式図を示す。
図5】本開示の実施例によるパルス直流電流500の模式図を示す。
図6】本開示の実施例によるパルス直流電流600の模式図を示す。
【0018】
各図面において、同じまたは対応する参照番号は、同じまたは対応する部分を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施例をより詳細に説明する。図面には本開示のいくつかの実施例が示されているが、本開示は、様々な形態で実施することができ、本明細書に記載される実施例に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例の提供は、本開示をより徹底的かつ完全に理解するためのものであることを理解すべきである。本開示の図面および実施例は、例示的な目的のためにのみ使用され、本開示の保護範囲を限定することを意図していないことを理解すべきである。
【0020】
本開示の実施例の説明において、「含む」およびその類似な用語は、「含むがこれらに限定されない」の開放型包含として理解されるべきである。「に基づいて」という用語は、「少なくとも部分的に基づいて」として理解されるべきである。「一実施例」または「当該実施例」という用語は、「少なくとも一つの実施例」として理解されるべきである。「第1」、「第2」等の用語は、異なるまたは同じ対象を代わりに指すことができる。以下は、他の明示的および暗黙の定義を含むことができる。
【0021】
上述のように、従来のイオントフォレーシス投与装置において、投与装置によって提供される一定の振幅の電流は、一方向にのみ連続的に流れるため、電荷の蓄積を引き起こしやすい。一方、過剰な電荷の蓄積は、投与領域の皮膚または組織に重度の火傷を引き起こす可能性があり、他方、連続的な直流電流は、皮膚に分極作用を引き起こし、時間の経過とともに輸送できる電流の量を制限し、投与効率が低下される。
【0022】
上記問題のうちの少なくとも一つ、および他の潜在的な問題のうちの一つまたは複数を解決するために、本開示の例示的な実施例は、イオントフォレーシス投与装置を提供する。当該イオントフォレーシス投与装置は、電源、誘電体層、および少なくとも二つの電極を含み、前記電源は、浸透される薬剤を生物体の投与される領域に浸透させるために必要なパルス直流電流の生成に使用され、ここで、電源は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、および第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成し、前記誘電体層は、投与される領域に接触されるために使用され、ここで、誘電体層は、活性剤が含まれるか、または付着され、活性剤は、パルス直流電流を介して投与される領域の浸透に使用され、前記少なくとも二つの電極は、電源から出力されたパルス直流電流を受信して、受信されたパルス直流電流を誘電体層に提供するために使用される。
【0023】
上記の解決策において、電源を使用して第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成することにより、イオントフォレーシス投与装置は、異なる時間帯で方向が変化するパルス直流電流を介して、電荷の蓄積および皮膚の分極の問題を回避できるようにし、またパルス直流電流の電流強度(電流振幅)、周波数、およびデューティ比の変化を通じて、異なる被験者間の個体の特性の違いを適応することにより、不十分な薬物浸透または皮膚分極によって引き起こされる皮膚の刺激または損傷の問題を回避することができる。従って、本開示のイオントフォレーシス投与装置は、浸透性投与効率を改善するだけでなく、投与される領域の皮膚に損傷を与える可能性が低い。
【0024】
図1は、本開示の実施例によるイオントフォレーシス投与装置100の模式図を示す。当該例示的なイオントフォレーシス投与装置100において、それは、少なくとも、一つまたは複数の電源110、誘電体層114、ならびに少なくとも二つの電極112-1および112-2を含む。いくつかの実施例において、イオントフォレーシス投与装置100は、電源110を制御するための電力制御装置150、通信装置160をさらに含む。ここで、電力制御装置150は、電源110および通信装置160に電気的に接続される。電力制御装置150は、電源110を制御するために使用される。通信装置160は、イオントフォレーシス投与の発送に関連するデータを受信するために使用される。イオントフォレーシス投与装置100は、示されていない構成要素および/または省略して示される構成要素をさらに含むことができ、本開示の範囲は、この点に関しては限定されないことを理解されたい。
【0025】
電源110に関しては、生物体の投与される領域に浸透される薬剤を浸透させるために必要なパルス直流電流を生成するために使用され、例えば、電源110は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成する。いくつかの実施例において、電源110は、第1の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成し、第2の時間帯に順方向パルス直流電流を生成する。いくつかの実施例において、イオントフォレーシス投与装置100は、一つの電源を含む。いくつかの実施例において、イオントフォレーシス投与装置100は、複数の電源を含む。当該複数の電源は、互いに直列および/または並列に接続され、投与される領域に浸透される薬剤を浸透させるための適切な電圧および電流を提供することができる。
【0026】
誘電体層114に関しては、投与される領域に接触するために使用され、ここで、誘電体層は、活性剤が含まれるか、または付着され、当該活性剤は、パルス直流電流を介して投与される領域に浸透される。誘電体層114は、通常、生物体120の投与される領域122に覆われ、与投与される領域122の輪郭に一致する。誘電体層114は、例えば、マスクの輪郭に提供される。いくつかの実施例において、誘電体層114は、多孔質構造(図示せず)およびゲル体118を含む。ゲル体118は、ゲル体118の骨格構造に分散され、極性を有し、自由状態の浸透される薬剤130を含む。誘電体層114は、所定の抵抗値を有することができる。いくつかの実施例において、誘電体層114は、一体型誘電体層であり、当該一体型誘電体層は、上記の少なくとも二つの電極に電気的に接続される。いくつかの実施例において、誘電体層114は、複数のそれぞれ独立した誘電体層であり、当該複数のそれぞれ独立した誘電体層は、上記の少なくとも二つの電極にそれぞれ電気的に接続される。いくつかの実施例において、複数のそれぞれ独立した誘電体層は、例えば、同じ身体領域と接触され、すべて顔面の投与に使用される。いくつかの実施例において、複数のそれぞれ独立した誘電体層は、それぞれ異なる身体領域と相接し、例えば、一つの誘電体層が顔面投与に使用され、別の誘電体層が手首または首の投与に使用される。
【0027】
少なくとも二つの電極112-1および112-2に関しては、電源から出力されたパルス直流電流を受信して、受信されたパルス直流電流を誘電体層に提供する。いくつかの実施例において、電極は、第1の電極112-1および第2の電極112-2を含み、ここで、第1の電極112-1は、接続部材111-1および導線113-1を介して電源110の第1の端部に電気的に接続され、第2の電極112-2は、接続部材111-2および導線113-2を介して電源110の第2の端部に電気的に接続される。第1の電極112-1および第2の電極112-2では、裏打ち層116が覆われる。
【0028】
電極112-1および112-2と誘電体層114との接続方式に関しては、いくつかの実施例において、少なくとも二つの電極112-1および112-2は、誘電体層に固定され(例えば、取り外し可能な方式で設定される)、誘電体層114に電気的に接続される。例えば、電極112-1および112-2は、誘電体層114に貼り付けられ、誘電体層114に電気的に接続され、誘電体層114上に張り付けられた電極112-1および112-2は、誘電体層114ならびに電極112-1および112-2に影響を与えることなく剥離されることができる。例えば、電極112-1および112-2は、互いにカップリングするスナップ構造を介して取り外し可能な方式で誘電体層114上に固定されることができる。電極112-1および112-2は、磁気引力構造を介してり外し可能な方式で誘電体層114に固定されることができる。電極112-1および112-2は、クランプ構造を有することができ、誘電体層114上にクランプされることによって、電極112-1および112-2が誘電体層114に電気的に接続されることができる。
【0029】
投与される領域122に関しては、いくつかの実施例において、それは、例えば、顔面皮膚、首の皮膚などの人体の局所皮膚である。誘電体層114は、例えば、マスクの輪郭に提供されるように設定される。個体の皮膚の違いにより(例えば、水と油の比率、乾燥の程度、毛穴の状態等の違い)、個体の皮膚の特性には一定の違いがある。従って、投与される領域におけるこのような特性の違いを考慮して、本開示のイオントフォレーシス投与装置に含まれる電源は、生物体の投与される領域に浸透される薬剤を浸透させるのに必要なパルス直流電流を生成し、また当該電源は、第1の時間帯に順方向パルス直流電流を生成し、第2の時間帯に逆方向パルス直流電流を生成する。
【0030】
浸透される薬剤130に関しては、それは、例えば、疼痛の緩和、関節の炎症または喘息の治療、ホルモンの調節、美容等を目的とする薬剤であるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、浸透される薬剤130は、例えば、ビタミンCおよびアルブチン、またはビタミンCおよびトラネキサム酸を含む。
いくつかの実施例において、本開示のイオントフォレーシス投与装置100は、ゲル体118をさらに含み、ゲル体118には、一つまたは複数の活性剤が含まれるか、または付着される。
【0031】
ゲル体118に関しては、それは、マトリックス、活性薬剤および添加剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、ゲル体118は、例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(polyhydroxyethyl methacrylate)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリメタクリル酸(polymethacrylic acid)、ゼラチン(gelatin)、アルギン酸(alginic acid)の成分のうちの少なくとも一つまたは複数を含む。
【0032】
以下、図2を参照して、電流振幅、周波数およびデューティ比に関するパルス直流電流の特性を説明する。図2は、本開示の実施例によるパルス直流電流200の模式図を示す。本開示のイオントフォレーシス投与装置100の電源110によれば、提供されるパルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、事前に設定された値であり得る。例えば、第1の時間帯中に電源110によって提供される順方向パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、第2の時間帯中に電源110によって提供される逆方向パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比と等しいか、または基本的にに等しい。
【0033】
いくつかの実施例において、順方向パルスの時間帯または逆方向パルスの時間帯で、パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、調節可能である。例えば、第1の時間帯中に電源110によって提供される順方向パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、事前に設定された値とは異なる他の値に調節されることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、電源110は、順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流を交互に生成し、また第1の時間帯に電源110によって生成された順方向パルス直流電流の電気量と、第2の時間帯に電源110によって生成された逆方向パルス直流電流の電気量との間の差は、所定値未満であるか、または所定値に等しい。例えば、所定値は、セロである。例えば、所定値は、0.01、0.02、0.03、…、または0.1クーロンである。
【0035】
いくつかの実施例において、電源110によって生成された順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流のうちの少なくとも一つの周波数は、100Hz~50kHzの間である。いくつかの実施例において、電源110によって生成された順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流のうちの少なくとも一つの電流振幅は、0.1mA~10mAの間である。いくつかの実施例において、電源110によって生成された順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流のうちの少なくとも一つは、第1の時間帯および第2の時間帯のうちの少なくとも一つが1秒~30分間の間であるのに対応する。順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流の周波数、電流振幅ならびに正逆方向パルス直流電流の持続時間帯を制御することにより、本開示の投与装置は、投与装置が、水と油の比率、乾燥程度、毛穴状態等の違いによって引き起こされる個々の皮膚間の特性の違いに一致することを可能にするだけでないことが保証される。さらに、研究によると、異なる投与される成分が、異なる順方向パルス直流電流および逆方向パルス直流電流の周波数、電流振幅および時間帯の持続時間下で異なる経皮効率を有することを示す。通常、異なる投与目的のために、誘電体層は、異なる活性剤または投与成分が含まれるか、または付着されることができる。順方向および逆方向パルス直流電流の上記の電気的パラメーターを制御することにより、経皮効率を目的的に改善することが有益である。
【0036】
図2に示されるパルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比は、単なる例示であり、順方向パルスの第1の時間帯中の電流振幅、周波数およびデューティ比が、逆方向パルスの第2の時間帯中の電流振幅、周波数およびデューティ比に必ずしも等しいか、または基本的に等しいことを意味するものではないことを理解されたい。
【0037】
図3は、本開示の実施例によるパルス直流電流300の模式図を示す。イオントフォレーシス投与装置100の電源110によって提供されるパルス直流電流の周波数、電流振幅およびデューティ比のうちの少なくとも一つの種の設定は、投与される領域の特徴に関連付けられ、当該特徴は、測定によって決定される。これは、パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比の選択が、活性剤とビヒクル処方、ユーザーの皮膚状況等のいくつかの要因に大きく依存するためである。従って、ユーザーの皮膚状況が変化すると、固定された周波数およびデューティ比が、すべての活性剤の皮膚浸透に最適または十分でない場合がある。例えば、異なる被験者は、動電学的駆動力の抵抗が最小化されるように皮膚を脱分極するために異なる時間を必要とすることができることにより、皮膚への活性剤のより良い浸透を可能にする。
【0038】
いくつかの実施例において、順方向パルス直流電流に対応する第1の時間帯は、例えば、少なくとも一つのスキャンセグメントを含み、ここで、各順方向スキャンセグメントは、例えば、一つまたは複数の正のスキャンレートセグメントを含む。例えば、第1の順方向スキャンセグメントは、例えば、第1のスキャンレートセグメント、第2のスキャンレートセグメント、第3の正のスキャンレートセグメントを含む。第1のスキャンレートセグメント、第2のスキャンレートセグメント、第3のスキャンレートセグメントのうちのそれぞれのスキャンレートセグメントは、異なる電流振幅、周波数、およびデューティ比を有するものとして図3に示される。例えば、第1の順方向スキャンセグメントの第1のスキャンレートセグメントに示される順方向パルス直流電流は、第1の電流振幅を有する電流振幅、第1の周波数値を有する周波数、および第1のデューティ比値を有するデューティ比を有し、第2のスキャンレートセグメントに示される順方向パルス直流電流は、第2の電流振幅を有する電流振幅、第2の周波数値を有する周波数、および第2のデューティ比値を有するデューティ比を有し、第3のスキャンレートセグメントに示される順方向パルス直流電流は、第3の電流振幅を有する電流振幅、第3の周波数値を有する周波数、および第3のデューティ比値を有するデューティ比を有する。例えば、第1の順方向スキャンセグメントの第1のスキャンレートセグメントは、同じ電流振幅、周波数およびデューティ比を有する二つの順方向パルスを含む。第1の順方向スキャンセグメントの第2のスキャンレートセグメントは、同じ電流振幅、周波数およびデューティ比を有する四つの順方向パルスを含む。第1の順方向スキャンセグメントの第3のスキャンレートセグメントは、同じ電流振幅、周波数およびデューティ比を有する三つの順方向パルスを含む。いくつかの実施例において、各セグメントの事前設定または調節された電流振幅、周波数およびデューティ比の値は、それぞれ異なる。例えば、順方向パルスに対応する第1の時間帯において、第1の順方向スキャンセグメントのパルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比の順方向パルスを経験した後、第1の順方向スキャンセグメントのパルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比と同じ順方向パルスが再び経験する。第1の時間帯における第2の順方向スキャンセグメント(図示せず)の対応する順方向パルスは、電流振幅、周波数およびデューティ比が第1の順方向スキャンセグメントの順方向パルスと異なる可能性があることを理解されたい。
【0039】
いくつかの実施例において、逆方向パルスに対応する第2の時間帯は、一つまたは複数の逆方向スキャンセグメントを含む。例えば、図3に示される第1の逆方向スキャンセグメントは、異なる電流振幅、周波数およびデューティ比設定値を有する複数のスキャンレートセグメントを含む。第1の逆方向スキャンセグメントの第2のスキャンレートセグメントは、同じ電流振幅、周波数およびデューティ比を有する五つの逆方向パルスを含む。第1の逆方向スキャンセグメントの第3のスキャンレートセグメントは、同じ電流振幅、周波数およびデューティ比を有する三つの逆方向パルスを含む。いくつかの実施例において、第1の逆方向スキャンセグメントの各スキャンレートセグメントの事前設定または調節された電流振幅、周波数およびデューティ比の値は、それぞれ異なる。例えば、逆方向パルスに対応する第2の時間帯において、第1の逆方向スキャンセグメントのパルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比の逆方向パルスを経験した後、第1の逆方向スキャンセグメントのパルス直流電流と同じ電流振幅、周波数およびデューティ比の逆方向パルスを再び経験する。
【0040】
いくつかの実施例において、順方向スキャンセグメントまたは逆方向スキャンセグメント中の各スキャンレートセグメントのパルス直流電流の電流振幅は、事前設定または調節可能であり、即ち、各スキャンレートセグメントのパルスに備えられた電流振幅は、異なってもよく、同じであってもよい。第1の順方向スキャンセグメントの第1のスキャンレートセグメントのパルス直流電流の電流振幅は、第2のスキャンレートセグメントのパルス直流電流の電流振幅より小さく、第3のスキャンレートセグメントのパルス直流電流の電流振幅よりも小さい。言い換えれば、第1のスキャンレートセグメントにおいて、パルス直流電流の電流振幅は、比較的小さい値に保たれ、第2のスキャンレートセグメントにおいて、パルス直流電流の電流振幅は、比較的中程度の値に保たれ、第3のスキャンレートセグメントにおいて、パルス直流電流の電流振幅は、比較的高い値に保たれる。パルス直流電流の電流振幅は、スキャンレートセグメントごとにスキャンレートセグメントを増加させるか、スキャンレートセグメントごとにスキャンレートセグメントを減少させるか、あるいは交互に増加または減少させるか、または他の方式で調節されることができることを理解されたい。
【0041】
いくつかの実施例において、順方向スキャンセグメントまたは逆方向スキャンセグメント中の各スキャンレートセグメントのパルス直流電流の周波数は、事前設定または調節可能であり、即ち、各スキャンレートセグメントのパルス直流電流の周波数は、異なってもよく、同じであってもよい。各スキャンレートセグメントのパルス直流電流のデューティ比値も、事前設定または調節可能である。パルス直流電流の周波数またはデューティ比は、スキャンレートセグメントごとにスキャンレートセグメントを増加させるか、スキャンレートセグメントごとにスキャンレートセグメントを減少させるか、あるいは交互に増加または減少させるか、または他の方式で調節されることができる。いくつかの実施例において、第1の順方向スキャンセグメント中の様々なパラメーターの絶対値は、第1の逆方向スキャンセグメント中の様々なパラメーターの絶対値と基本的に同じであってもよく、例えば、±20%の偏差範囲等の差が存在してもよい。順方向パルスおよび逆方向パルスの総電気量が基本的に同じであること、好ましくは±20%の偏差範囲内であることを保証する必要があることを理解されたい。
【0042】
図3は、例示的に、順方向パルスにある第1の時間帯で第1の順方向スキャンセグメントを分割し、第1の順方向スキャンセグメントで第1のスキャンレートセグメント、第2のスキャンレートセグメントおよび第3のスキャンレートセグメントをさらに分割するのに過ぎない。このような例示的な分割は、第1の順方向スキャンセグメントが三つのスキャンレートセグメント(即ち、第1のスキャンレートセグメント、第2のスキャンレートセグメント、第3のスキャンレートセグメント)のみを含むことができることを必ずしも意味しない。第1の時間帯は、より多くのまたはより少ない順方向スキャンセグメントを含むことができ、各順方向スキャンセグメントも、より多くのまたはより少ないスキャンレートセグメントを含むことができる。同様に、第2の時間帯も、より多くの逆方向スキャンセグメントを含むことができ、各逆方向スキャンセグメントも、より多くのまたはより少ないスキャンレートセグメントを含むことができる。
【0043】
以下、図4を参照して、イオントフォレーシス投与装置100の電源110の第1の時間帯および前記第2の時間帯のうちの少なくとも一つにおいて、提供されるパルス直流電流の電気デューティ比は、所定値であり(例えば、第1のデューティ比の所定値である)、パルス直流電流の周波数は、変化する(例えば、第1の周波数閾値と第2の周波数閾値との間の変化)。図4は、本開示の実施例によるパルス直流電流400の模式図を示す。
【0044】
図4に示されるように、順方向パルスに対応する第1の時間帯において、パルス直流電流の周波数は、ますます大きくなり、デューティ比は、事前設定された値であり、電源が逆方向直流電流パルスを提供する第2の時間帯において、パルス直流電流の周波数は、小さいものから大きいものへと増加し、デューティ比は、依然として事前に設定された値である。このように、パルス直流電流の周波数がより大きく(より高く)なると、単位時間内あたりの投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の電気浸透のパルスの回数が、ますます大きくなることを意味し、デューティ比が変化しないまま周波数が大きくなると、投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の単一パルスの電気浸透の持続時間が短くなることを意味する。
【0045】
図4に示されるパルス直流電流の周波数の変化は、単なる例示にすぎない。いくつかの実施例において、パルス直流電流の周波数の変化は、必ずしも小さいものから大きいものへ、または大きいものから小さいものへの規則な変化でなく、他の変化方式でもあり得、例えば、大きいものから小さいものへ、次に小さいものから大きいものへであってもよく、小さいものから大きいものへ、次に大きいものから小さいものへであってもよい。いくつかの実施例において、第1の周波数閾値および第2の周波数閾値を設定することにより、周波数変化の範囲を事前設定することができ、当該変化範囲は、測定された個体の皮膚特性または投与される成分によって決定されることができる。いくつかの実施例において、第2の時間帯の逆方向パルス直流電流の周波数変化およびデューティ比の固定値設定は、必ずしも第1の時間帯の順方向パルス直流電流の周波数変化およびデューティ比の固定値設定を参照する(例えば、等しい)とは限らず、その原則は、イオントフォレーシス投与装置100の電源110によって提供される第1の時間帯の順方向パルス直流電流の電気量が第2の時間帯の逆方向パルス直流電流の電気量と基本的に同じであるか、または所定の偏差範囲を超えないことが保証される限りである(例えば、±20%)。
【0046】
以下、図5を参照して、イオントフォレーシス投与装置100の電源110の第1の時間帯および前記第2の時間帯のうちの少なくとも一つにおいて、提供されるパルス直流電流の周波数は、所定値であり(例えば、第1の周波数所定値である)、提供されるパルス直流電流のデューティ比は、変化する(例えば、第1のデューティ比閾値と第2のデューティ比閾値との間の変化)。図5は、本開示の実施例によるパルス直流電流500の模式図を示す。
【0047】
図5に示されるように、第1の時間帯において、順方向パルス直流電流の周波数は、事前に設定された値であり、順方向パルス直流電流のデューティ比は、小さいものから大きいものへ、次に大きいものから小さいものへと変化し、第2の時間帯において、逆方向パルス直流電流の周波数も、事前に設定された値であり、逆方向パルス直流電流のデューティ比は、小さいものから大きいものへ、次に大きいものから小さいものへと変化する。このように、パルス直流電流の周波数が変化しないと、単位時間あたりの投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の電気浸透のパルスの回数が、変化しないことを意味し、周波数が変化しないままデューティ比が変化すると、投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の単一パルスの電気浸透持続時間が長くなるか(デューティ比の増加に対応する)または短くなる(応デューティ比の減少に対応する)ことを意味する。
【0048】
図5に示されるパルス直流電流のデューティ比の変化は、単なる例示にすぎないことを理解されたい。いくつかの実施例において、デューティ比の変化は、必ずしも小さいものから大きいものへ、または大きいものから小さいものへの規則な変化でなく、他の不規則な方式で変化することもできる。第1のデューティ比閾値および第2のデューティ比閾値を設定することにより、即ち、デューティ比閾値の上限および下限を設定することにより、デューティ比の変化範囲を事前に設定することができ、当該変化範囲は、測定された個体の皮膚特性(例えば、皮膚感受性)または投与される成分によって決定されることができる。いくつかの実施例において、第2の時間帯の逆方向パルス直流電流の周波数の所定値およびデューティ比の変化閾値の設置は、必ずしも第1の時間帯の順方向パルス直流電流の周波数の設定値およびデューティ比変化閾値の設定を参照する(例えば、等しい)とは限らず、その原則は、順方向パルスの第1の時間帯の電気量が逆方向パルスの第2の時間帯の電気量と基本的に同じであるか、または所定の偏差範囲を超えないことが保証される限りである(例えば、±20%)。
【0049】
以下、図6を参照して、イオントフォレーシス投与装置100の電源110の第1の時間帯および前記第2の時間帯のうちの少なくとも一つにおいて、提供されるパルス直流電流の周波数は、変化し(例えば、第1の周波数閾値と第2の周波数閾値と間の変化)、パルス直流電流のデューティ比も変化する(例えば、第1のデューティ比閾値と第2のデューティ比閾値との間の変化)。図6は、本開示の実施例によるパルス直流電流600の模式図を示す。
【0050】
図6に示されるように、第1の時間帯において、順方向パルス直流電流の周波数は、大きいものから小さいものへ、次に小さいものから大きいものへと変化し、デューティ比も、小さいものから大きいものへ、次に大きいものから小さいものへと変化し、同様に、第2の時間帯に入った後、逆方向パルス直流の周波数は、大きいものから小さいものへ、次に小さいものから大きいものへと変化し、デューティ比も、小さいものから大きいものへ、次に大きいものから小さいものへと変化する。このように、パルス直流電流の周波数が変化すると、単位時間あたりの投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の電気浸透のパルスの回数が、変化することを意味し、この時、デューティ比も変化すると、投与される領域へのイオントフォレーシス投与装置100の単一パルスの電気浸透持続時間も変化することを意味する。
【0051】
図6に示されるパルス直流電流の周波数およびデューティ比の同時変化は、単なる例示にすぎないことを理解されたい。いくつかの実施例において、パルス直流電流の周波数およびデューティ比の変化は、必ずしも小さいものから大きいものへ、または大きいものから小さいものへの規則な変化でなく、他の不規則な方式で変化することもできる。第1の周波数閾値および第2の周波数閾値、ならびに第1のデューティ比閾値および第2のデューティ比閾値を設定することにより、周波数およびデューティ比の変化範囲を事前に設定することができ、当該変化範囲は、測定された個体の皮膚特性(例えば、皮膚感受性)または投与される成分によって決定されることができる。いくつかの実施例において、第2の時間帯の逆方向パルス直流電流の周波数の変化およびデューティ比の変化は、必ずしも第1の時間帯の順方向パルス直流電流の周波数の変化およびデューティ比の変化を参照する(例えば、等しい)とは限らず、その原則は、電源110によって提供される第1の時間帯の順方向パルス電気量が第2の時間帯の逆方向パルスの電気量と基本的に同じであるか、または所定の偏差範囲を超えないことが保証される限りである(例えば、±20%)。
【0052】
いくつかの実施例において、イオントフォレーシス投与装置100中の一つまたは複数の電極は、単一の連続誘電体層を共有することができる。複数の個別の誘電体層をそれぞれ電気的に接続することもできる。電源110は、第1の時間帯中に、順方向パルス直流電流を提供し、第2の時間帯中に、提供された電流を逆方向パルス直流電流に切り替える、等の双極性パルス直流電流を提供するように構成することができる。電荷総量のバランスを確保するために、第1の時間帯中に送達される電荷総量は、第2の時間帯中に送達される電荷総量と基本的に同じであるか、または所定の偏差範囲を越えなければならない(例えば、±20%)。いくつかの実施例において、順方向または逆方向パルス直流電流の持続時間は、数秒または数分であり得、1秒~1分間の間でもあり得、1分間~30分間の間でもあり得る。いくつかの実施例において、パルス直流電流のデューティ比は、1%~100%であり得る。
【0053】
いくつかの実施例において、経皮投与効率および効果をさらに向上させ、所望の数の様々な異なる活性を提供するために、対応的に、パルス直流電流の電流振幅、周波数およびデューティ比を動的に変更することができ、誘電体層に含まれるか、または付着される様々な異なる活性剤は、電気浸透パラメーターが一致する双方向パルス直流電流の駆動下で、投与される領域の皮膚に効率的に浸透されることができる。
【0054】
本開示に記載のパルス直流電流によって形成されるスキャンは、線形、三角形、正弦波、指数関数的または疑似ランダムな特性をゆすることができ、スキャン周期は、10ミリ秒~10分間の間に設定または変化することができることを理解されたい。
【0055】
上記で本開示の各実施例について説明したが、上記の説明は、例示的なものであって、非限定的なものではなく、また、開示された各実施例にも限定されない。説明された各実施例の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとって、多くの修正および変更は明らかである。本明細書で使用される用語の選択は、各実施例の原理、実際の用途、または市場における技術の改善をよりよく解釈するか、または他の当業者が本明細書に開示される各実施例をよりよく理解できるようにするためのものである。
【0056】
以上の説明は、本開示の選択可能な実施例にすぎず、本開示を限定するために使用されず、当業者にとって、本開示は、様々な修正および変更を有することができる。本開示の精神および減速の範囲内で行われた修正、同等の交換、改善等は、すべて本開示の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】