(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】身体接触装置の消毒および監視
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221214BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20221214BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/26
A61B5/00 102A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523923
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020054199
(87)【国際公開番号】W WO2021080763
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520378012
【氏名又は名称】ユーブイ パートナーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュ.バールマン
【テーマコード(参考)】
4C058
4C117
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB06
4C058DD02
4C058DD07
4C058DD11
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK42
4C117XB04
4C117XD29
4C117XE04
4C117XE23
4C117XE52
4C117XH12
4C117XJ42
(57)【要約】
均質な紫外線出力を提供する消毒システム。該システムは、適正な使用を検出し、安全性および機能的動作についてのユーザフィードバックを提供するためにセンサシステムを利用することができる。低エネルギUV-Cの累積照射量を追跡することにより、システムは、安全性曝露基準を侵害することなく消毒を行なうことができる。システムは、動作詳細を追跡しながら、消毒装置が組付けられている身体接触装置のタイプおよび長さにしたがって消毒照射量を自動的に提供することができる。システムは、動作パラメータのより安全な生態系およびHIPAAコンプライアントな統計的共有を可能にする暗号化によるセキュリティを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体接触装置を消毒するための消毒装置において:
前記身体接触装置に前記消毒装置を組付けるためのハウジングと;
前記ハウジング内に配置された紫外線源と;
前記身体接触装置と結び付けられたRFIDタグに問合せするように構成されたRFIDリーダと;
前記RFIDリーダからの出力に基づいて前記紫外線源の強度を制御するように構成されているコントローラと;
を含む消毒装置。
【請求項2】
前記コントローラが、前記紫外線源の強度およびオン時間を、8時間周期あたり6000マイクロワット未満に制御するように構成されている、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記身体接触装置を中に配索するための紫外線透過性通路を含み、前記紫外線源が前記紫外線透過性通路を中心として放射状に配置されており、前記消毒装置がさらに、紫外線エネルギを反射するべく前記紫外線源を中心として放射状に配置された紫外線反射器を含んでいる、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項4】
前記RFIDリーダからの前記出力が、前記身体接触装置に特異的な紫外線消毒情報を含み、前記紫外線消毒情報が、紫外線強度情報および身体接触装置のサイズ情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記身体接触装置に適用された紫外線照射量を追跡するように構成されている、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項6】
前記身体接触装置からの排液を追跡するための熱検知システムを含む、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項7】
前記コントローラが、8時間あたりの累積照射量を追跡し、前記累積照射量に基づいて前記紫外線源の強度および紫外線源オン時間を制御する、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項8】
前記コントローラが前記紫外線源の寿命を追跡する、請求項1に記載の消毒装置。
【請求項9】
RFIDタグと;
遠位端部および近位端部を有する紫外線透過性チューブと;
前記紫外線透過性チューブの前記遠位端部に向かって位置付けされ、消毒装置を取外し可能な形で取付けるように構成されている一体型取付け特徴部と;
前記紫外線透過性チューブに隣接して配置された紫外線遮断パターンと;
を含む身体接触装置。
【請求項10】
前記紫外線遮断パターンが勾配を含む、請求項9に記載の身体接触装置。
【請求項11】
前記紫外線遮断パターンが二酸化チタンを含み、前記紫外線透過性チューブ上に印刷されている、請求項9に記載の身体接触装置。
【請求項12】
前記RFIDタグが、紫外線強度情報および身体接触装置長さ情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の身体接触装置。
【請求項13】
紫外線を一様にかつ効果的に前記紫外線透過性チュービングの前記近位端部に提供するのを支援する、前記紫外線透過性チュービングの内部表面に沿って位置付けされている光導体を含む、請求項9に記載の身体接触装置。
【請求項14】
前記一体型取付け特徴部と前記紫外線透過性チューブの前記近位端部との間に終端点を有する前記紫外線透過性チュービングの内部表面に沿って位置付けされた光パイプを含み、前記光パイプの前記終端点が、回復した紫外線源を提供し、前記身体接触装置が、前記紫外線透過性チュービングの前記近位端部に向かって前記光パイプの終端点を退出する紫外線をマスキングするために前記光パイプの終端点に近接した前記紫外線透過性チューブに隣接した追加の紫外線遮断パターンをさらに含んでいる、
請求項9に記載の身体接触装置。
【請求項15】
RFIDタグと;
遠位端部および近位端部を有する紫外線透過性チューブと;
前記紫外線透過性チューブの前記遠位端部に向かって位置付けされ、消毒装置を取外し可能な形で取付けるように構成されている一体型取付け特徴部と;
前記紫外線透過性チューブに隣接して配置された紫外線遮断パターンと;
を含む身体接触装置、及び
前記身体接触装置を消毒するための消毒装置、を含む
消毒システムであって、
前記消毒装置は:
前記身体接触装置に前記消毒装置を組付けるためのハウジングと;
前記ハウジング内に配置された紫外線源と;
前記身体接触装置と結び付けられたRFIDタグに問合せするように構成されたRFIDリーダと;
前記RFIDリーダからの出力に基づいて前記紫外線源の強度を制御するように構成されているコントローラと;
を含む、
を含む消毒システム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記紫外線源の強度およびオン時間を、8時間周期あたり6000マイクロワット未満に制御するように構成されている、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記身体接触装置を中に配索するための紫外線透過性通路を含み、前記紫外線源が前記紫外線透過性通路を中心として放射状に配置されており、前記消毒装置がさらに、紫外線エネルギを反射するべく前記紫外線源を中心として放射状に配置された紫外線反射器を含んでいる、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項18】
前記RFIDリーダからの前記出力が、前記身体接触装置に特異的な紫外線消毒情報を含み、前記紫外線消毒情報が、紫外線強度情報および身体接触装置のサイズ情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、前記身体接触装置に適用された紫外線照射量を追跡するように構成されている、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項20】
前記身体接触装置からの排液を追跡するための熱検知システムを含む、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項21】
前記コントローラが、8時間あたりの累積照射量を追跡し、前記累積照射量に基づいて前記紫外線源の強度および紫外線源オン時間を制御する、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項22】
前記コントローラが前記紫外線源の寿命の終りを追跡する、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項23】
前記紫外線遮断パターンが勾配を含む、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項24】
前記紫外線遮断パターンが二酸化チタンを含み、前記紫外線透過性チューブ上に印刷されている、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項25】
前記RFIDタグが、紫外線強度情報および身体接触装置長さ情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項26】
紫外線を一様にかつ効果的に前記紫外線透過性チュービングの前記近位端部に提供するのを支援する前記紫外線透過性チュービングの内部表面に沿って位置付けされている光導体を含む、請求項15に記載の消毒システム。
【請求項27】
前記一体型取付け特徴部と前記紫外線透過性チューブの前記近位端部との間に終端点を有する前記紫外線透過性チュービングの内部表面に沿って位置付けされた光パイプを含み、前記光パイプの前記終端点が、回復した紫外線源を提供し、前記身体接触装置が、前記紫外線透過性チュービングの前記近位端部に向かって前記光パイプの終端点を退出する紫外線をマスキングするために前記光パイプの終端点に近接した前記紫外線透過性チューブに隣接した追加の紫外線遮断パターンをさらに含んでいる、
請求項15に記載の消毒システム。
【請求項28】
紫外線透過性の流体吸収性材料と;
前記流体吸収性材料を消毒するための消毒装置であって、ハウジング、前記ハウジング内に配置された紫外線源および紫外線源を制御するように構成されたコントローラを含む消毒装置と;
前記流体吸収性材料および前記消毒装置を表面に固定するためのオーバラップと;
を含む身体接触装置。
【請求項29】
前記コントローラが、前記紫外線源の強度およびオン時間を、8時間周期あたり6000マイクロワット未満に制御するように構成されている、請求項28に記載の身体接触装置。
【請求項30】
前記紫外線透過性の流体吸収性材料が紫外線透過性繊維を含む、請求項28に記載の身体接触装置。
【請求項31】
前記流体吸収性材料の温度を監視するように構成された温度センサを含む、請求項28に記載の身体接触装置。
【請求項32】
前記流体吸収性材料の水分レベルを監視するように構成された水分センサを含む、請求項28に記載の身体接触装置。
【請求項33】
前記コントローラが、前記紫外線透過性の流体吸収性材料に適用された紫外線照射量を追跡するように構成されている、請求項28に記載の身体接触装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の部分と接触する装置によってひき起こされる感染を削減または除去するためのさまざまな方法に関する。
【背景技術】
【0002】
身体に接触し、潜在的に感染をひき起こし得るさまざまな異なる装置が存在する。例えば、カテーテルは、体内に挿入可能である、多くの場合軟質プラスチック材料でできた細いチューブである。尿を排出するための導尿カテーテルおよび静脈内療法のための末梢静脈カテーテルなど、さまざまな異なるカテーテルが存在する。
【0003】
カテーテルに共通する1つの特徴は、例えばバクテリアまたは酵母などの細菌がカテーテルを介して拡散し、身体接触点またはその近くでの感染をひき起こす可能性があるということにある。例えば、導尿カテーテルは、カテーテル関連尿路感染症(つまり「CA-UTI」)をひき起こし得る。カテーテルが膀胱に挿入されているとき、または、膀胱内に留まっている間に、細菌が尿路内に入る可能性がある。
【0004】
カテーテルは、留置式または間欠式カテーテルであり得る。
図1は、多くの場合、「フォーリー」カテーテルと呼ばれる留置カテーテルの先行技術の実施形態を例示している。カテーテルは、バルーンポート1、排尿ポート2、カテーテルシャフト3、バルーン4および開口部またはアイレット(eyelet)5を含む。バルーン4は、カテーテルを膀胱内に保つためにバルーンポート1を介して膨張され得る。アイレット5は、カテーテルシャフト3を通って、排液チューブおよび収集バッグに連結可能な排尿ポート2まで尿を排出できる。
【0005】
カテーテル関連感染を削減するための公知の実践法としては、カテーテルが載置状態におかれる時間を制限すること、カテーテル設置の訓練を受けた専門家による無菌技術を利用すること、挿入前にカテーテルが挿入されることになる部域を清浄すること、が含まれる。しかしながら、衛生的なカテーテル設置およびメンテナンスのための最良の実践法を順守しても、カテーテル関連感染は発生する可能性があり、まさになおも発生している。
【0006】
カテーテルの表面に抗微生物性コーティングを塗布することによってカテーテル関連感染を削減する試みもいくつかなされてきた。抗微生物性コーティングは、防汚性または殺生物性、またはその両方を有することができる。防汚性コーティングは、直接微生物を殺さず、むしろ、バイオフィルムの形成を可能にする表面上のバクテリアの付着を防ぐ。殺生物性カテーテル材料は、微生物の被着を最小限に抑える代りに微生物を殺すように設計されている。実際には、抗微生物性コーティングの材料は、その抗微生物剤を浸出させ、微生物をカテーテルと接触させない。これは皮膜形成および生物膜形成を防止する一助となり得るものの、これらの抗微生物性コーティングによる解決法は、患者の健康問題および他の潜在的副作用のため、大部分が却下されてきた。
【0007】
消毒のために高照射量の紫外線(UV)をカテーテルなどの医療装置に瞬間的に照射する試みも同様に、いくつか行なわれてきた。いくつかの公知の解決法では、紫外線が投光されている封止された滅菌チャンバ内に医療装置を置くことが求められる。これは装置を消毒する上で有効であり得るものの、身体接触装置全体を滅菌チャンバ内に置くのは、面倒で時間がかかる。さらに、患者の体内に装置が設置されている間、紫外線を照射することができない。そして、患者に使用するために医療装置をチャンバから取出さなければならず、こうして装置は潜在的に使用前にバクテリアに再度曝露される。滅菌チャンバを使用しない他の紫外線による解決法は、紫外線による患者の皮膚または組織の損傷の可能性に関連する問題のため、大部分が却下されてきた。
【発明の概要】
【0008】
前述の課題は、本発明の器具、システムおよび方法によって克服される。本発明の実施形態は、身体接触装置の簡単かつ有効な消毒の利用分野における実用的な解決法を提供する。本発明は、身体接触装置による感染に関して認識されてきた過去の問題点に対する解決法を提供する。具体的には、提案されている実施形態は、身体接触装置に対してインタフェース、接合または取付けするように構成された消毒装置を提供する。消毒装置は、身体接触装置を消毒するために、紫外線源から身体接触装置に向かって紫外線を照射するように構成されている。
【0009】
身体接触装置に沿って、適切な紫外線照射量が提供され得る。身体接触装置は、身体接触装置の消毒のための適切な紫外線照射量および紫外光の分布を支援する紫外線透過性材料を含むことができる。一実施形態においては、身体接触装置の外周または表面の一部分または実質的にその全体に沿って均質な紫外線照射量が提供される。
【0010】
紫外光のより強度の高い部域をマスキングしそのエネルギを有効に反射するために、例えば身体接触装置の表面の一部分に沿って、紫外線源と身体接触装置の間に、紫外線遮断パターンを設けることができる。遮断パターンは、身体接触装置の長さに沿って均質のまたは適切な紫外光照射量を提供する上で支援するために勾配を有することができる。紫外線源の強度は、近位端部に向かうものを含め身体接触装置の長さに沿った紫外線照明が消毒に充分なものとなるように構成され得る。
【0011】
消毒装置は、さまざまな要因に基づいて、紫外線源を制御することができる。例えば、消毒装置は、それがインタフェースしている特定の身体接触装置からの情報またはこの身体接触装置の特性に基づいて、紫外線強度を構成することができる。一実施形態において、消毒装置は、RFIDリーダまたはRFIDタグと通信する他の通信システム、または身体接触装置と結び付けられた他の通信システムを含む。通信システムは、身体接触装置と結び付けられた通信システムとの通信に代って、またはこの通信システムとの通信に加えて、遠隔サーバとの通信のためのトランシーバを含み得る。身体接触装置の長さおよび/または材料タイプを利用して、安全規格および/またはプロトコルを満たしながら有効かつ適切な消毒を提供することになる紫外線強度を決定することが可能である。
【0012】
消毒装置は、経時的な累積紫外線照射量に基づいて紫外線源を監視し制御することができる。消毒装置は、紫外線照射量が公知の安全プロトコルまたは規格と結び付けられた既定の強度閾値を超えることなく消毒に充分なものであるような形で、経時的に低い紫外線照射量を提供することができる。例えば、消毒装置は、身体接触装置に提供される累積紫外線照射量が一定の時間にわたり許容可能なレベルより低く維持されることを保証するために、紫外線源を監視し制御することができる。
【0013】
消毒装置は、例えば、一体型取付け特徴部またはオーバラップを介して、身体接触装置に対し接合、取付けまたは組付けされ得る。身体接触装置および消毒装置上の一体型取付け特徴部は、協働して、身体接触装置上の同じ位置に消毒装置を一貫して組付けることができ、こうして、身体接触装置の長さまたは他の特性の基準となり得る固定された出発点またはデータムを得ることができる。オーバラップが利用される場合、それは消毒装置および身体接触装置を互いにしっかり固定することができ、同様に消毒装置および身体接触装置を、例えば患者が創傷を有する体表面、ポート、IV、チューブ入口、針入口、排出口などにしっかり固定することもできる。
【0014】
いくつかの実施形態において、身体接触装置は、カテーテルまたはチュービング(tubing)を含む他の医療装置である。身体接触装置には、光透過システムが取付けられてよい。一実施形態において、光透過システムには、身体接触装置のチュービングに沿って位置付けされた1つ以上の光導体が含まれる。光導体は、身体接触装置のチュービングの長さ全体にわたって一様にかつ効率良く紫外線源からの紫外光を提供するのを支援する。別の実施形態において、光透過システムは、身体接触装置の紫外線透過性チュービングに沿って位置付けされた1つ以上の光パイプを含む。光パイプは、身体接触装置の近位端部に向かって、回復した紫外線源を提供することができる。光パイプの終端点近くでより高い強度の紫外光をマスキングし、そのエネルギを身体接触装置に有効に反射し戻すために、光パイプの終端点に紫外線反射、吸収または遮断パターンを設けることができる。いくつかの身体接触装置において、光透過システムは、光導体と光パイプの組合せを含んでいてよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、身体接触装置は、患者の創傷を覆うかまたは包帯するための創傷/包帯装置または感染を受けやすい患者の体表面の部域に接してしっかり固定される別の医療装置である。身体接触装置は、紫外線透過性の流体吸収性材料を体表面の創傷部域に対してしっかり固定するかまたは創傷に包帯を施すためのオーバラップと共に、紫外線透過性の流体吸収性材料を含むことができる。消毒装置は、紫外線のモノのインターネット(「IOT」)であってよい。紫外線透過性の流体吸収性材料をしっかり固定するためのオーバラップを利用して、紫外線IOT創傷装置(UV IOT wound device)を流体吸収性材料にしっかり固定することができ、同様に、体表面の創傷部域に組合せをしっかり固定することもできる。紫外線IOT創傷消毒装置は、身体接触装置を消毒するために紫外線透過性の流体吸収性材料に向かって紫外光パターンを出力する。紫外線IOT装置は、流体吸収性材料の水分レベルおよびあらゆる付随する漏出を検知するための水分センサおよび流体吸収性材料の温度を検知するための温度センサなどの、身体接触装置に関係するさまざまな特性を検知できる1つ以上のセンサを伴うセンサシステムを含むことができる。紫外線IOT装置は同様に、身体接触装置を消毒し、身体接触装置のさまざまな状態、例えば包帯条件、動き、温度、静電容量、水分に関連するものおよび身体接触装置に結び付けられたあらゆる他の状態または状態変化を追跡することもできる。
【0016】
消毒装置は、ハウジング、紫外線源、紫外線ドライバ、センサシステムおよびコントローラを含むことができる。消毒装置は、消毒装置内のさまざまな電子機器に電力供給するバッテリを含んでいてよい。ハウジングは、例えばオーバラップまたはスナップフィットまたは他の一体型取付け特徴部を介して身体接触装置に取付け可能であり得る。消毒装置は同様に、身体接触装置の近位端部に向かってUV-C照明を誘導するための紫外線反射器を含むこともできる。消毒装置は同様に、1つ以上のセンサを伴うセンサシステムを含んでいてもよい。さらに、消毒装置は、身体接触装置に埋込まれたまたは他の形で取付けられたRFIDタグと通信可能なRFIDリーダを含んでいてよい。RFIDは、身体接触装置の寿命、用途、製造年月日、およびタイプの追跡を可能にし得る。RFIDタグは、紫外線源を制御するためにコントローラが使用できる情報を含むことができる。例えばRFIDタグは、1つ以上の適切な制御設定値を計算するためにコントローラが利用できる身体接触装置の適切な特性またはUV-C強度設定値を含んでいてよい。
【0017】
消毒装置は、安全曝露要件を満たしながら病原体を除去するために経時的に低照射量UV-C光を提供することができる。さらに、消毒装置は、均質な光出力を提供することができ、診断を支援し他の潜在的問題点を追跡するために使用可能である患者の動き、排液、温度、時間および他の貴重なデータを追跡する。本発明の実施形態は、カテーテル、創傷処置または他の身体接触装置を、消毒および追跡能力を伴うスマート装置へと効果的に変える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、フォーリーカテーテルの先行技術の実施形態を例示する。
【0019】
【
図2】
図2は、本発明のUV-C消毒システムの一実施形態の平面図を例示する。
【0020】
【
図3】
図3は、本発明のUV-C消毒システムの一実施形態の斜視図を例示する。
【0021】
【
図4】
図4は、本発明のUV-C取付けシステムの一実施形態の平面図を例示する。
【0022】
【
図5A-5B】
図5Aおよび
図5Bは、本発明のUV-C分布システムの2つの異なる実施形態を例示する。
【0023】
【
図6】
図6は、本発明のUV-C取付け装置の一実施形態の断面平面図を例示する。
【0024】
【
図7A-7B】
図7Aおよび
図7Bは、インラインUV-C取付け装置の一実施形態の断面図および上面図を例示する。
【0025】
【
図8A-8B】
図8Aおよび
図8Bは、サイドプロファイルUV-C取付け装置の一実施形態の断面図および上面図を例示する。
【0026】
【
図9】
図9は、身体接触装置のさまざまな長さ全体にわたる本発明の一実施形態でのUV-C照射量と遮断パターン百分率を示すグラフを例示する。
【0027】
【
図10】
図10は、電子機器モジュールを含む消毒装置の一実施形態を示す。
【0028】
【
図11】
図11は、身体接触装置および紫外線消毒装置の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は概して、カテーテルまたは包帯などの身体接触装置の紫外線消毒に使用するための器具、システムおよび方法に関する。
図2および
図3は、身体接触装置100および消毒装置102を含む消毒システムの一実施形態を例示する。
【0030】
説明を容易にするためおよび明確さを提供する一助となるように、
図2~
図8Bで例示され大部分で論述されている身体接触装置はフォーリー導尿カテーテルに関する。しかしながら、当業者であれば、本発明のさまざまな特徴および態様が他の身体接触装置、例えば静脈内カテーテル、他のタイプの導尿カテーテル、チューブ用の一般的創傷消毒装置、ポート(透析など)点滴、切開術、胸腔チューブおよび感染を広げるかまたはひき起こし得る本質的にあらゆる他の身体接触装置に適用可能であることを認識するものである。
【0031】
恐らくは、
図3に最も良く示されているように、一体型取付け特徴部14、紫外線遮断パターン10(20、22、24)およびRFIDタグ40を除いて、カテーテル100は、バルーンポート1、排尿ポート2、カテーテルシャフト3、バルーン4および開口部またはアイレット5を含む標準的なフォーリーカテーテルである。カテーテルを膀胱内に保つためにバルーンポート1を介してバルーン4を膨張させることができる。アイレット5は、カテーテルシャフト3を通って、排液チューブおよび収集バッグに連結可能な排液ポート2へと、尿を排出することができる。排液ポートに連結された排液チューブは、一般的には、紫外線透過性を有さずしたがって紫外光の透過を妨げるポリ塩化ビニルでできている。
【0032】
カテーテルシャフトまたはチューブ3は一般的に、ラテックス、シリコーン、テフロン(登録商標)または、体内に挿入されて流体通過または医療装置の進入用のチャネルを創出し得る熱可塑性材料でできた可撓性チューブまたは細長い中空構造である。チュービング3は、消毒装置がカテーテルチュービングの遠位端部に向かって取付けられ近位端部に向かって紫外線照明を透過させるとき、紫外光がチュービングに沿ってかつチュービングを通って外部表面まで透過するような紫外線透過性の材料である。充分な強度の紫外光が表面に到達したならば、紫外光は、そこに常在するあらゆる病原体を破壊することによって表面を消毒することになる。しかしながら、身体と接触する外部表面に過度に多い紫外光が到達した場合には、問題が生じ得る。本発明の最終目的の1つは、カテーテルの表面の長さに沿って一貫して、表面を消毒するのに充分大きいものの表面に過剰照射するほど大きくない紫外光照射量を提供することにある。
【0033】
カテーテルの表面における消毒の強度は、カテーテルの長さの帰結である。カテーテルが長くなればなるほど、紫外線エネルギがカテーテルの端部に達する時までに強度が充分な照射量となるように線源においてより高い強度が必要とされる。しかしながら、線源近くでの高い強度は、問題を発生させる可能性がある。これは、カテーテル上に印刷された外部パターンで対処し得るものである。ハーフトーンパターンは、UVC透過性材料製のチューブの長さ全体にわたりUV-Cエネルギを均質化させるため許容可能な強度百分率に設定される。均質化された光出力を提供することによって、カテーテルの表面における過剰照射が防止される。
【0034】
図3は、印刷されたエネルギ削減パターンの一表現を例示している。
図9において言及されている通り、本明細書中でより詳細に論述される逆二乗の法則は、紫外線強度をカテーテルの長さ全体にわたり低下させる。
図3は同様にRFIDタグ40および消毒装置を組付け/場所設定するためのスナップ細部14も示している。
【0035】
いくつかの実施形態において、カテーテル100の一体型取付け特徴部14Aは、カテーテル100に消毒装置102を取外し可能な形で接合または組付けするため、消毒装置102のハウジング12の一体型取付け特徴部15Aと対を成す。一体型取付け特徴部は協働して、カテーテル100との関係において所定の場所に消毒装置102を一貫して位置付けし固定する。一実施形態において、一体型取付け特徴部14A、15Bは、カテーテルとの関係において消毒装置を適切に設置するスナップフィット(snap-fit)を備えることができる。描かれた実施形態において、消毒装置102のハウジング12は、通路42に通じるアパーチャ12を含む。環状アパーチャは、膨出部15Aを含み、カテーテルチューブ3は、溝または流路14Aを含む一体型または別個のカラー14を含む。消毒装置102をカテーテル100上に設置するために、カテーテルチューブ3の近位端部を、消毒装置102のハウジング12内で通路42を通り開口部15を通って送り込むことができる。チュービング3は、一体型取付け特徴部15Aがハウジングの環状アパーチャ15上に位置設定されている状態で、カラー14の一体型取付け特徴部14Aが所定の場所でスナップフィットするまで、消毒装置を通って配索され得る。描かれている実施形態では、一体型取付け特徴部14Aの一方がカテーテルチュービング3のカラー上のチャネルであり、一体型取付け特徴部15Aの他方がハウジング12の環状アパーチャ15内部に位置設定された尾根部または膨出部であるものの、他の構成を実装することも可能である。例えば、膨出部およびチャネルを逆にすることができ、アパーチャ15およびカラー14は、環状以外の形状であり得る。現行の実施形態においては、カラー14は、チュービング3を作っている材料と同じ材料でできた盛り上げられた部分であってもよい。代替的には、カラー14は、スナップフィットを容易にするより剛性の高い材料などの異なる材料で製造され得る。別の変形実施形態においては、カラー14は、例えば接着剤または摩擦嵌めを用いて、チュービングと接合されている別個の構成要素であり得る。消毒装置12は、設置を支援するため、任意には壁15Bを含んでいてよい。例えば、壁は、カラー14が一体型取付け特徴部15Aを越えて摺動するのを防ぐことができる。これらの図は、単一の一体型取付け特徴部セットを描いているものの、変形実施形態においては、別個の2つの一体型取付け特徴部セットを設けることができる。例えば、よりセキュアな連結を創出するために、カラー14およびアパーチャ15上に多数の一体型取付け特徴部セットを設けることができる。代替的にまたは付加的に、通路42の各端部に1つずつの、2つ以上の一体型取付け特徴部セットを具備することができる。
【0036】
別の変形実施形態においては、通路42の内部にカテーテルチュービング3を捕捉するように、消毒装置上の一体型取付け特徴部を構成することができる。カテーテルチュービングは、消毒装置の所望の載置を標示するために、マーキングまたは物理的ノッチを含んでいてよい。
【0037】
消毒装置は、排液ポートおよびバルーンポートの接合部近くに一貫して位置付け/組付けされ得る。既定の相対的載置は、消毒装置の制御システムが、紫外線透過性カテーテルシャフト3の長さを進みこれを消毒して開口部5近くの近位端部にまで到達することのできる適量のUV-C強度を提供するようにUV-C線源を構成することを可能にする。換言すると、連結点は、UV-C強度が、有効な消毒にとって過度に低いレベルまで消散する前にカテーテルシャフト3の近位端部に達するのに充分高いと同時に、過度に多くの余剰のUV-C放射が存在しないよう保証するのに充分低いものであることを保証する範囲内に、UV-C強度を設定できるように、照射量送達データを提供する。例えば、いくつかの実施形態において、消毒装置は、約60マイクロワットの初期強度を有するようにUV-C線源にエネルギを与えるように構成されている。長さ18cmのカテーテルについては、約2.97マイクロワットのUV-Cエネルギがカテーテルシャフト3の近位端部に到達することになる。精確な値は、例えば紫外線透過性材料、カテーテルチュービングの正確且つ精密な形状/構成またはカテーテル100の他の特性に応じて変動し得る。
【0038】
紫外線遮断パターン10は、身体接触装置の紫外線透過性チュービング3の長さに沿ってUV-Cエネルギを反射する。いくつかの実施形態において、遮断パターン10は、遠位端部から近位端部への勾配に対応する。すなわち、遮断パターンは、強度が比較的高い紫外線源近くのカテーテルの遠位端部に向かう高い量から、強度が比較的低い紫外線源から遠いカテーテルの近位端部に向かう低い量の遮断まで、どれほどのUV-Cエネルギを遮断させるかスケーリングすることができる。簡略化するために、
図3は、紫外線遮断パターン10の3つのゾーンを例示している。第1のゾーン20は、大部分のUV-C光を遮断し、第2のゾーン22はより少ないUV-C光を遮断し、第3のゾーン24は最も少ないUV-C光を遮断する。これらのゾーンは、消毒装置内の紫外線源からカテーテルの近位端部に向かって、紫外線透過性チュービング3に沿って光が進むにつれてパターンにより遮断される紫外光の量が減少することを例示する一助となる。紫外線遮断パターン10は、
図3に描かれているような区分化された勾配、または紫外線透過性チュービング3の長さ全体にわたって変化するより漸進的な勾配(gradual gradient)を提供することができる。例えば、遮断パターン10の勾配は、遮断パターン10がUV-C線源から1cmのところでUV-C強度のほぼ98%を遮断しUV-C線源から18cmのところで遮断が0%である
図9のグラフに描かれた遮断パターン百分率をモデルとすることができる。
【0039】
紫外線遮断パターン10は、カテーテルに紫外光を反射し戻すことができる。カテーテルチューブ上の特定の位置における遮断パターンの反射量は、多数の要因、恐らく最も顕著にはパターンのメッシュの密度ならびにパターンの材料含有量に左右される。パターンの特性は、紫外線透過性材料に沿って進むにつれて消散する紫外光に起因する損失に対抗するように調整可能である。すなわち、紫外線遮断パターンは、所望の照射量レベルが紫外線遮断パターン内を通るような百分率の紫外光を反射するべく、チュービングの長さに沿って変動し得る。このようにして、カテーテルチュービングの全長に沿って、一貫した均一な照射量レベルを提供することができる。
【0040】
逆二乗の法則は、紫外線源における開始強度が、カテーテルの端部近くの終了強度よりもはるかに高いことを保証する。例えば、紫外光強度は、
図9に描かれた通り線源から離れるように進むにつれて、60マイクロワット強度だけ消散し、約18cmで3マイクロワット近くまで降下する。したがって、所与の強度および所望される紫外線照射量について逆二乗の法則を計算することによって、遮断パターンの特性を定義することができる。例えばメッシュパターンの密度および/または遮断パターンの内容は、より高い強度の部域をマスキングしエネルギをチュービング内に反射し戻すように構成され得る。これによって、遭遇すべき曝露についての上限基準値が得られる。
【0041】
特定の距離における具体的な強度値は、逆二乗の法則に適合するが、紫外線透過性チュービングの長さに沿って実際に観察される強度は、さまざまな理由から、より複雑なものであり得る。例えば、紫外線透過性チュービングはある程度、紫外光を伝搬させながらエネルギの希釈を防ぐ光導体として作用することができる。したがって、遮断パターンの特性は同様に、紫外線透過性チュービングに沿った複数の点における強度を測定することによって実験的に、または紫外線透過性材料の効果を考慮した計算によって、決定可能である。遮断パターンの特性は、カテーテルの表面での過剰照射を防止する均質化された光出力を生成するため、計算値および/または実験値に基づいて定義可能である。
【0042】
紫外線遮断パターン10は、カテーテルシャフト3上に直接印刷可能である。遮断パターン10は、カテーテルチューブ3内に戻る反射のためTiO2を伴う、UV-C半透明の80~90%遮断白色シリコーンベースの材料で構成され得る。印刷材料がチュービングに接着できるようにするため、プロセス中に、高温の押出し後の材料上で、印刷を行なうことができる。さらに、UVCを通さないまたはUVCに対して実質的に不透明である別の材料のメッシュを同時押出しすることによって、メッシュパターンを刷り込むことができる。このプロセスでは、平滑な仕上げのため押出しプロセス中に材料が同時ボンディングされる。所望される場合、外側層を挿入のために平滑にする薄いシースを加えることができる。すなわち、身体接触装置内に反射し戻されるか、吸収されるかまたは、その他、パターンにより遮断された紫外光の量が、紫外光強度が最大である紫外線源に近い遠位端部に向かって最大であるように、身体接触装置の長さに沿ってパターンを適用することができ、反射、吸収または遮断された紫外光の量は、紫外光の強度が紫外線源の分散に起因して比較的低いものである身体接触装置の近位端部に向かう勾配を伴って減少し得る。
【0043】
遮断パターンを印刷するためには、紫外光を遮断、吸収または反射できる本質的にあらゆる材料を利用することができる。材料の反射特性は、利用分野およびどの程度の紫外光反射が所望されるかに応じて選択され得る。さらに、全体的反射特性を改変するために使用中の遮断パターンの構造に対する調整と共に、異なる材料を利用することができる。さらに、紫外線遮断パターン材料は、200nm~280nmのUV-C光を反射するように選択され得る。カテーテルチュービングに適用されるパターンの構造および勾配は変動し得る。紫外線遮断パターンはメッシュ構造で適用され得る。メッシュ構造は、チュービングの長さ全体にわたるUVCエネルギの遮断パターン%を示し約98%の遮断パターンで開始する、
図9中に示された遮断パターン%曲線にしたがって形成され得る。パターンは、説明されたパターンを表わす有孔材料のプレデザインメッシュまたはハーフトーンであってよい。パターンは、同じ距離にわたって必要とされる照射量を表わす、示された距離にわたる98%の遮断から0%の遮断まで段階的であり得る。紫外線遮断パターンのメッシュ密度は、カテーテル内に反射し戻されるUV-C強度がチュービングの長さに沿って
図9に示されているものと同じ程度に均質な照射量を生成するように選択され設計され得る。例えば実行可能なUVC反射器としてPTFEを使用することが可能であり、またはTiO2を材料に加えることが可能である。代替的には、カテーテルシャフト3上に直接印刷する代りに、別個の基板上に紫外線遮断パターン10を具備し、カテーテルチュービング3に対して接着接合することができる。
【0044】
図9を参照すると、描かれたグラフは、異なるカテーテル長にわたる照射量を例示している。グラフ中の距離は、カテーテルの近位端部に最も近い設置済み消毒装置の縁部から、カテーテルの近位端部までの距離を意味する。グラフは、逆二乗の法則損失および均質化された照射量の送達のための所要遮断百分率または曝露スクリーンを示す。8時間あたりの限界は、UV-C曝露についてのNIOSHまたはISO規格に基づいている。
【0045】
カテーテル100は、メモリ内にカテーテルと結び付けられた情報を記憶するRFIDタグ40を含む。RFIDタグ40は、カテーテル100から消毒装置102にカテーテル特異的情報と通信するべく、消毒装置中のRFIDリーダによってデータが読み取られ得る。例えば、RFIDタグは、カテーテルのサイズ、形状または長さに関する情報を含み得る。消毒装置は、この情報を用いて、例えばカテーテルを消毒するための適切なUV-C強度などの消毒装置設定値を決定することができる。代替的には、RFIDは、カテーテル100のための適切なUV-C強度値についてのメモリ内に記憶された情報を含むことができ、その情報は、UV-C強度を制御するために消毒装置に使用できる。
【0046】
消毒装置またはモニタは、カテーテルRFIDを読みとり、カテーテルの長さを理解し、既定の強度要件ならびに安全性試験に基づいて消毒装置の特性を調整することができる。消毒装置コントローラは、ランプドライバ内に強度をプログラミングすることができ、かつ送達された紫外線照射量が8時間周期についてISO規格より低いことを保証することができる。消毒装置は、実時間クロックを用いて8時間タイマを起動することができる。8時間経過後、許容可能レベルより低い別の照射量を照射することができる。最初の8時間周期の間に送達された照射量は、標的病原体を殺すのに充分でないかもしれないが、16~24時間の周期にわたり提供された累積的な低い照射量は、消毒プロセスを開始するのに充分であると同時に皮膚と接触しても安全であり得る。
【0047】
カテーテル100には、1つ以上の光導体60および/または光パイプ61を含む光チューブシステムが備わっていてよい。
図5Aおよび5Bは、石英ファイバを用いて増強された光学的特性を提供する光チューブシステムまたは他の光チューブシステムを伴う、押出し加工されたカテーテルチュービングを描いている。カテーテルチューブ3は、
図5Aに描かれているように、光チューブのために摩擦嵌めを生じる紫外線透過性材料62を伴うチャネル62を含むことができる。代替的には、カテーテルチューブ3は、
図5Bに描かれているように、光チューブを中に配索できる紫外線透過性材料64により形成された通路を内部に含み得る。光チューブシステムのための保持構造は、カテーテルチュービングの押出しまたは射出成形によって形成され得る。描かれている実施形態は各々、カテーテルチュービングの長さに及ぶ単一の光チューブを含んでいるものの、変形実施形態においては、カテーテルチュービング3に沿って追加の光チューブを延ばすことも可能である。さらに、描かれている実施形態においては、光チューブは、カテーテルチュービングの特殊な構造により所定の場所に保持される。変形実施形態では、光チューブシステムを、接着剤などの他の手段によってカテーテルチュービングの内部表面に対し固定することができる。
【0048】
図5Aを参照すると、光導体60を伴うカテーテルの一実施形態が描かれている。光導体60は、消毒装置から光を受け取り、それをその長さに沿って分散させるように構成され得る。具体的には、光導体60は、カテーテル100の紫外線透過性チュービング3の長さ全体にわたり一様にかつ効率良く紫外線源からの紫外光を提供するのを支援することができる。光導体は、ナノ粒子を利用してファイバ側面から光を抽出し、より長いチュービングについて照明距離および損失を向上させることのできる石英ファイバまたは他のファイバケーブルであり得る。さらに、紫外線遮断パターン10の構成および組成は、光導体の特性を考慮して選択され得る。すなわち、紫外線強度の減退は、光導体に起因して、より微細なものとなる。例えば
図9に描かれているように、60マイクロワットから約3マイクロワットへの強度の下落はより緩慢である。
【0049】
別の実施形態においては、光チューブシステムは、カテーテル100の紫外線透過性チュービング3に沿って位置付けされた1つ以上の光パイプ61を含む。照明距離および損失を向上させる代りに、光パイプは、回復した紫外線源を身体接触装置の近位端部に向かって送達する結果となる反射表面を提供することができる。紫外線反射、吸収または遮断パターンを、光パイプの終端点に具備して、光パイプの終端点近くでより高い強度の紫外光をマスキングし、そのエネルギを身体接触装置内に効果的に反射し戻すことができる。多数の光パイプおよび反復する紫外線遮断パターンの使用を通して、より長いカテーテルチュービングの長さに沿って効率の良い一貫した紫外線照射量を提供することができる。
図3を参照すると、カテーテルの長さを伸ばす1つの紫外線遮断パターンの勾配の異なる区分を表わす紫外線遮断ゾーン22、24の代りに、各区分が、遮断パターンが始まるところで終結する光パイプの紫外線強度に対応する別個の紫外線遮断パターンを表わすことができる。光パイプは消毒装置から一定の距離のところに回復した紫外線源を提供できるものの、光パイプに結び付けられる幾分かの損失が存在することになるため、遮断パターンは互いに異なるものであり、かつ遮断パターン20と異なるものであってよい。紫外線遮断パターンは、各光パイプによって送達される紫外光の長さ全体にわたり、計算されたまたは経験的な紫外線強度に基づいて均一のまたは均質の照射量を提供するように選択可能である。
【0050】
消毒装置102についてここでさらに詳細に説明する。恐らくは
図4を見ると最も良く分かるように、消毒装置102は概して、ハウジング12、反射器18、消毒回路30、RFIDリーダ(
図4では消毒回路とは別個に示されていない)およびRFIDコイル80、紫外線電源またはバラスト(ballast)17および紫外線ランプ16を含む。流体は、カテーテルの近位端部から排液ポートを介して連結された遠位端部に位置設定された貯蔵装置まで流れる。貫通マウントスナップ細部およびこのカテーテル長に必要とされる強度を位置特定し識別するためのRFIDタグ40は、
図4に描かれている。
【0051】
消毒装置102は、カテーテル100に対して消毒装置を組付けるための一体型取付け特徴部14を含んでいてよい。消毒装置102の描かれた実施形態には、カテーテルチュービング3が中を配索させられる通路42が含まれる。すなわち、カテーテルは、消毒装置の中心または本体を通って滑入する可能性がある。通路42は紫外線透過性材料製であり得る。代替的には、通路42は、紫外線不透明または半透明材料製であり得、通路42の一部分には、紫外線透過性ウィンドウが含まれていてよく、これを通って紫外光は消毒装置からカテーテルチュービング3まで進むことができる。紫外線ランプは、カテーテルチューブ3が通過する通路42を取り囲んでいる。消毒装置102は、紫外線ランプから半径方向外向きに位置付けされて紫外線ランプ16からのUV-C放射線をカテーテルの近位端部および/または遠位端部に向かって導く反射器18を含んでいてよい。UV-C放射線は、カテーテルチュービングの紫外線透過性材料によってその長さに沿って誘導される傾向を有する。他の光が、反射器18によって反射され、最終的にはチュービング3内に戻るようにそして最終的には消毒装置から外へと反射する傾向を有することになる。反射器18は、紫外光をカテーテルチュービングの近位端部に向かって促すように構成されていてよいが、光は同様に遠位端部に向かって進んでその表面に沿った消毒も提供できるようになっていてもよい。
図6は、消毒装置102の代表的断面図を例示しており、恐らくは、RFIDコイル80、紫外線反射壁18、紫外線ランプ16、通路42およびチュービング3の同心的配設がより良く示されている。すなわち、
図6は、カテーテルが消毒装置を通過している消毒装置キャビティを示す。バッテリ90、紫外線バラスト17、およびRFIDリーダ回路82を含む電子機器30は、封止された消毒装置ハウジング12の内部に位置設定されている。
【0052】
消毒装置自体は、紫外線透過性材料製であり得、紫外線ランプは、消毒装置の表面に向かって紫外光を発出して消毒装置を自浄するように構成され得る。消毒装置ハウジングの内部表面は、消毒装置の外部表面を消毒するために適切なレベルに曝露を制限するための遮断パターンを含むことができる。
【0053】
消毒装置は、カテーテルにUV-Cエネルギを効率良く有効に伝達するためのさまざまな異なる構成で提供され得る。
図7A~Bおよび
図8A~Bはカテーテル通過型消毒装置構成のインラインおよびサイドプロファイルバージョンを例示している。例えば、
図7A~7Bに描かれている消毒装置の一実施形態は、インライン構成で身体接触装置に付着している。
図8A~8Bには、代替的なサイドプロファイル構成が描かれている。両方の実施形態において、消毒装置の紫外線ランプは通路42を取り囲んでいる。変形実施形態において、消毒装置は、紫外線IOT創傷装置をユーザの皮膚208にしっかり固定するためにオーバラップ206を用いて、包帯204と共にしっかり固定されるように構成されている、
図11に描かれた紫外線創傷装置として提供され得る。
【0054】
消毒装置は、カテーテルを定期的にまたはトリガに基づいて、例えば温度上昇を測定することなどによりカテーテル内で流体が検知されたことに応答してか、または局所的または遠隔のユーザ入力に応答して、消毒するようにプログラミングされ得る。すなわち、消毒装置は、手動式起動ボタンを伴うユーザインタフェースによってか、または、例えば消毒装置と通信状態にあるスマートフォンなどの仮想ユーザインタフェースを経由して、活動化され得る。ひとたび活動化されたならば、消毒装置は、紫外線源の制御を通してカテーテルの消毒を開始することができる。消毒装置は同様に、センサシステムを介して消毒プロセスを監視することもできる。
【0055】
消毒装置102は、制御システムを含んでおり、ここでこの制御システムについて
図10の代表的ブロック図と関連付けて説明する。制御システムは、封止された電子機器パッケージの形をとることができる。制御システムは、さまざまな構成要素の動作を制御するコントローラ94またはプロセッサを含む消毒装置回路を含む。描かれた実施形態内の消毒装置回路は、プリント回路板アセンブリ上に設置された複数の構成要素を含む。
【0056】
消毒装置は、消毒装置内の物理的な貫通の入力ポートを削除するために、バッテリおよびワイヤレス充電を含むことができる。システムは、RFIDリーダおよびコイル80ならびにUVC源用のランプドライバを含むことができる。RFIDコイル80は、カテーテル100が消毒装置内に設置された時点でRFIDタグ40がRFIDコイル80に近接しておりRFIDリーダによって読み取られ得るように、通路42を取り囲むことができる。上述の通り、RFIDリーダは、適切な全体的強度を有効化するのに必要とされる強度を決定する目的で身体接触装置上のRFIDタグ40とインタフェースすることができる。コントローラは、加速度、温度、水分、UVC強度および接触の形でのセンサ入力を受容することができる。ユニットは、保証された暗号通信および監視のための能力を有するモノのインターネット(Internet of Things)であり、このためにBTLE、携帯電話およびWiFiを利用することができる。システムは、動作ステータスおよびエラーコードを通信するためのRGBLEDディスプレイを含むことができる。制御システムは、全体的アキュムレータ、排液量数、カテーテルあたりの排液、照射量および曝露、使用されるカテーテル、カテーテルのタイプ、使用年月日、持続時間およびランプ時間数およびランプスタート回数、寿命データおよび、バッテリおよびランプの寿命終了計数器、を追跡するための不揮発性メモリを含み得る。
【0057】
すなわち、消毒システムによる使用のためのカテーテルについての情報、例えばカテーテルの長さおよびタイプ、ならびにUV-C強度および他の動作パラメータを決定するために消毒装置が利用できる他の特性についての情報を通信することに加えて、RFIDシステムは、寿命終了を追跡するためにも同様に利用可能である。RFIDタグは、身体接触装置がなおも現場で使用するのに適していることのメーカによる認証を可能にする。それは同様に、消毒装置が設置されているもののRFIDタグが整合しないかまたは読取り不可である場合にエラーを与えることなどによって、カテーテルおよび電子機器の不整合を防止することもできる。
【0058】
通信回路に関して、消毒装置回路は、1つ以上のトランシーバおよびアンテナ整合回路、例えばMesh/Wifiアンテナ106、Bluetooth(登録商標) LEアンテナ108および/またはモジュール104および随伴するセルラアンテナ110を含むことのできる通信回路102を含み得る。例えば、トランシーバはWiFi、BTLE、BTLE Industrial、400または900Mhzトランシーバであり得る。LTEまたは5G+モジュールが、これを費用効果が高く極めて可動性の高いものにする。IoTソリューションは、将来においてこれらの技術とのペアリングおよびセットアップを必要としなくてもよい可能性がある。消毒装置の近くで装置を監視するためにBTLEを使用することができる。セルラーモジュールは、高度なハブ使用のために具備され得る。アンテナは全て、任意には消毒装置ハウジング12の外側に配索され得る。代替的には、アンテナは、プリント回路板アセンブリ上に位置設定されているかまたは他の形で消毒装置のハウジング12の内部に位置付けされているチップタイプのアンテナであり得る。
【0059】
消毒回路は、暗号ID回路96、フィードバックディスプレイ98、および外部照明ドライバ100を含むことができる。制御システムは同様に、物理的または仮想ユーザインタフェースをも含んでいてよい。コントローラは同様に、トランシーバ102を介した外部通信およびインタフェースをも可能にすることができる。コントローラは同様に、フィードバックディスプレイおよび外部照明ドライバを動作させて、ユーザフィードバックを提供することもできる。
【0060】
消毒装置回路は、コントローラ94に対してまたは消毒装置回路内の他の場所にセンサ出力を提供する1つ以上のセンサを伴うセンサシステム84、92の一部として、1つ以上のセンサを含むことができる。センサシステム84、92は、さまざまな異なるセンサを含むことができる。描かれた実施形態においては、結び付けられたRFIDタグからカテーテル100についての情報を受信するために、RFIDリーダ82が設けられる。さらに、例えば容量センサ、水分センサまたは温度センサなどの他のセンサを提供することが可能である。これらのセンサのうちの1つ以上を利用して、照射のためのカテーテルの使用および頻度を識別することができる。消毒装置およびそのセンサシステムは、身体接触装置からおよび/または身体接触装置についての情報を収集することができる。このデータは、患者の医療記録の中に入力するため第3者データベースに通信され得る。例えば、カテーテルのタイプ、設置時間、用途および排液の量および時間または、センサシステムまたはRFIDリーダにより検知された他のあらゆるデータは、全て患者の医療記録の中に入力され得る。情報は全て、暗号セキュリティを介して共有可能である。
【0061】
コントローラ94は、センサシステム84、92の一部であり得る搭載型または外部の温度センサからの温度読取り値を監視することができる。例えば、消毒装置は、周囲温度センサ、紫外線ランプセンサ、マイクロプロセッサ温度センサおよび、通路42に隣接するチュービングを通る流体の温度を測定するための通路温度センサを含んでいてよい。
図11で描かれているものなどの紫外線IOTの実施形態においては、センサシステム84、92の一部として追加の、より少ない数の、または異なるセンサを含み入れることができる。例えば、紫外線IOT装置は、水分または包帯からの漏出について試験するように構成された1つ以上の異なるセンサを含むことができる。さらに、紫外線IOT装置は、温度、静電容量および水分センサなどの、状態および状態変化を検出するためのセンサを含むことができる。センサシステム84、92は同様に、1つ以上の運動センサ、例えば加速度計を含むこともできる。他の実施形態において、コントローラ94は同様に、装置の加速度を測定することのできる加速度計も含むことができる。加速度計は、患者の動きを追跡するために利用可能である。例えば、コントローラは、第3者アプリケーションによる分析のために未加工加速度データを記録することができ、あるいは、コントローラは、患者の動きを標示するものである特定の閾値を超える一定の試料数の測定に応答して患者の動きを決定するように構成され得る。コントローラは同様に、消毒装置センサシステム84、92内の他の場所に内含されているこのようなセンサの代りに、またはこれらのセンサに加えて、容量センサおよび電圧センサを含むこともできる。タッチセンサは、患者が問題を有している場合に追跡を可能にし、アラームをトリガするようにプログラミングされ得る。UI/UXのセットアップおよび構成のために、同じタッチセンサを使用することができる。電圧センサは、適切なバッテリ電圧およびワイヤレス充電のステータスを保証するために使用可能である。センサは、装置の適切な動作およびメンテナンスのための電力管理を支援することができる。
【0062】
消毒装置は、排液計量のための熱監視を提供できる。いくつかの実施形態においては、カテーテルチュービングが、消毒装置内の通路を通って挿入され配索される。消毒装置は、カテーテルチュービング3を通って進む流体の経時的温度変化を検知できるセンサシステム84の一部としての温度センサを含む。紫外線IOT装置の実施形態において、消毒装置は、紫外線IOT装置に隣接する流体吸収性材料の経時的な変化を検知できる温度センサを含んでいてよい。消毒装置は、特定の時間における流れおよび量に関連する時間と温度を記録することができる。消毒装置は、アラートシステムを含み得る。センサ出力を用いて、消毒装置は、収集装置が満杯に近づいたとき、漏出が存在するとき、またはセンサシステム84、92が追跡できる他の本質的にあらゆるステータス変化が存在するときに、アラートを発するように構成され得る。
【0063】
消毒装置は、典型的な使用の照射量および間隔のためにサイズ決定されたバッテリまたは他の電源90を含んでいてよい。すなわち、バッテリは、1つのまたは一定数のカテーテル装置の使用に特有の持続時間にわたり消毒装置を動作させるのに充分な電力を提供するようにサイズ決定され得る。
【0064】
消毒装置は同様に、ワイヤレス充電器からワイヤレス電力を受け取ることのできる誘導コイルなどのワイヤレス受電器96を含むワイヤレス充電システム94をも含んでいてよい。バッテリのワイヤレス充電を提供することによって、ハウジング12を、防水性保護筐体として提供することができる。
【0065】
消毒回路は、電力管理システム88を含み得る。電力管理システムまたは電力供給装置は、バッテリからの電圧が存在する場合に、調節された電源を作り出す。
【0066】
バラストを伴う紫外線源または電力およびUV-Cフィードバックを伴う電源。UV-Cランプは、冷陰極、低圧Hgまたは1つ以上のUV-C LEDであり得る。ランプリアクタは、恐らく
図4中で最も良く描かれているように、カテーテルチュービング3を取り囲むことができる。以上で詳しく論述された通り、ランプエネルギをカテーテルに向けることができる。RFIDリーダ82はカテーテル上のRFIDタグを読み取って、カテーテルのタイプおよび/または適切な紫外線消毒強度情報を決定することができる。温度センサは、カテーテルの使用および頻度を標示する出力を提供することができ、この方法は同様に制御システムによってUV-Cの強度およびタイミングを調整するためにも利用され得る。紫外線IOT装置については、紫外線源を異なる形で構成することができる。例えば、紫外線IOT装置は、紫外線IOT装置に隣接する流体吸収性材料に紫外光を向けるためのウィンドウを含み得る。
【0067】
紫外線取付け装置コントローラ94が、8時間周期にわたりISO規格の下で照射量を送達できる特定の強度を提供するように紫外線ランプドライバまたは紫外線電源86を構成することができる。本明細書中でより詳細に論述されているように、紫外線エネルギが線源から離れるように進むにつれて強度が減退するにもかかわらず、身体接触装置の長さに沿って適用可能な遮断パターンが、装置の長さに沿って均一な照射量レベルを創出することができる。
【0068】
コントローラ94は、例えばコントローラに搭載された実時間クロックを用いて、例えば8時間周期または他の時間的周期にわたり、照射量レベルを監視することができる。コントローラは、
図10にアイテム84として示されたUVCセンサを伴って示されており、これは、実時間クロックおよびUVCセンサを用いて経時的に、非常に効果的に追跡可能である。このデータは、不揮発性アキュムレータ内に蓄積され、患者によって経時的に報告され得る。このようにして、紫外線取付け装置は、コンプライアンスを保証するため、あらゆる紫外線照射量の要件または安全規格とのコンプライアンスを監視し追跡することができる。強度設定値を身体接触装置の長さに基づかせ、遮断パターンを利用することにより、安全規格内にある一貫したUV-C照射量を提供することができ、例えば国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、1つの8時間周期についてのNIOSH安全性限界が強度設定値であることを表明している。
【0069】
下表1は、8時間周期内の経時的な照射量についてのISO15858規格を提供している。具体的には、表1は、2016年のISO15858による254nmでの放射についての最大許容UV-C曝露時間を列挙している。紫外線照射量は、紫外光強度と時間の積によって計算可能であり得る。チャートによると、8時間の時間周期内で6000マイクロワット未満の曝露を維持するために、8時間の時間周期内で、3.3マイクロワットの照射量を8時間周期外の30分間にわたり提供することができる。
【表1】
【0070】
下表2は、許容された安全性レベルを超えない経時的な漸進的照射を示す。照射量レベルを許容曝露時間より低く維持するために、制御システムは、強度および各々の8時間周期内での紫外線ランプのオン時間を制御する。しかしながら、最初の8時間周期(または一連の8時間周期)内で提供される照射量は、標的病原体を殺すのに充分ではない可能性があるものの、例えば数日といった時間を経て、累積照射量は、この最終目標を達成するために最小照射量および時間を使用しながら求められるサロゲート(surrogate)を連続して破壊するのに充分なものである。こうして、身体接触装置から感染をひき起こし得る病原体にとって致死的でありながら安全な接触が可能となる。
【表2】
【0071】
いくつかの実施形態は、一定の要因に基づいて漸進的な照射を調整することができる。漸進的な紫外線照射量は、経時的に累積紫外線照射量を結果としてもたらす。この累積紫外線照射量の有効性は、さまざまな要因に左右され得る。消毒装置は、漸進的トリガを監視し、相応して紫外線の漸進的照射をリセットすることができる。例えば、モデルまたは試験結果に基づいて、無感染の身体接触装置を得るために必要とされる最小限の漸進的な照射量を決定することができる。紫外線消毒装置は、間欠的な低い紫外線照射を通しておよび提供された累積紫外線照射量を監視することによって、この最小限の漸進的照射量を維持するように構成され得る。カテーテルを通過する流体または別の漸進的トリガを消毒装置センサシステムが検出したのに応答して、累積紫外線照射量をリセットまたは調整することができ、紫外線消毒装置は、紫外線累積照射目標に達するために、相応して漸進的な紫外線照射を制御することができる。
【0072】
本発明の実施形態は、以下の特徴を提供することができる:
・ 経時的な、ただしNIOSH規格に基づく照射。NIOSH規定を維持しながらの累積的照射。
・ 適切な位置設定および再使用のためのスナップ細部(snap detail)を用いた消毒装置によるカテーテルの組付け。
・ より良い照射量分布のためのUV-Cおよび透過性カテーテル材料の組合せ。
・ 温度監視および製品寿命および使用追跡を伴う紫外線IOT装置。
・ 距離全体にわたり照射量を削減し一様にし、かつ逆二乗の法則計算を追跡して距離全体にわたる曝露のための出力を一様にするための、UVC均質化パターン。
・ 使用および使用回数を追跡するための適切なカテーテルおよびカテーテル製造の詳細についてのRFID識別。
【0073】
Baarmanに対する「紫外線処理のための光学的特性および方法」という名称の米国特許出願第62/924,324号は、2019年10月22日に出願されており、その全体が参照により本明細書に組込まれている。この参考文献には、全体的に均一な紫外光パターンなどの所望される紫外光パターンを提供するために紫外線消毒装置によって生成される紫外光パターンを向上させるまたは修正するための方法および技術に関係する開示が含まれている。対象の参照文献中に詳述され説明されている技術は、本明細書中で説明されている身体接触装置のさまざまな実施形態に対して適用可能である。例えば、紫外光パターンを修正するためのさまざまな方法および技術は、本明細書中で論述されている紫外線遮断パターンを補足または置換することができる。紫外線消毒装置のさまざまな様相を開示する他の参照文献が、以下の参照文献中に記載されている:2016年1月26日発行の「携帯式ライト締結アセンブリ」なる名称の、Coleらに対する米国特許第9,242,018号;2018年5月22日発行の「紫外線殺菌システム、方法およびその装置」なる名称の、Coleらに対する米国特許第9,974,873号;2019年6月10日出願の、「消毒挙動の追跡および評定」なる名称の、Baarmanらに対する国際出願第PCT/US2019/023842号;および2019年6月10日出願の「モバイル装置の消毒」なる名称の、Baarmanらに対する国際出願第PCT/US2019/036298号。これらは全て、全体が参照により本明細書に組込まれている。
【0074】
図11は、患者の創傷を覆うかまたは包帯を施すための創傷/包帯装置または感染を受けやすい患者の体表面の一部域に接してしっかり固定される別の医療装置の形態の身体接触装置を示す。描かれている身体接触装置には、体表面208の創傷部域210に対して紫外線透過性の流体吸収性材料204をしっかり固定するためのオーバラップ206と共に紫外線透過性の流体吸収性材料204が含まれている。消毒装置200は、紫外線モノのインターネット(「IOT」)創傷装置202であってよい。紫外線透過性の流体吸収性材料204をしっかり固定するためのオーバラップ206を利用して、紫外線IOT創傷装置202を流体吸収性材料204にしっかり固定することができると同様に、これを利用して体表面208の創傷部域210に対して組合せをしっかり固定することもできる。紫外線IOT創傷消毒装置は、身体接触装置を消毒するために紫外線透過性の流体吸収性材料に向かって紫外光パターンを出力する。紫外線IOT装置は、
図10に描かれているカテーテル実施形態に関連して説明された消毒装置と同じ一般的機能性を有することができる。例えば、紫外線IOT装置は、流体吸収性材料の水分レベルおよびあらゆる付随した漏出を検知するための水分センサおよび流体吸収性材料204の温度を検知するための温度センサなどの、身体接触装置に関係するさまざまな特性を検知できる1つ以上のセンサを伴うセンサシステムを含むことができる。紫外線IOT装置208は、同様に、消毒を行ない、身体接触装置200のさまざまな状態、例えば包帯条件、運動、温度、静電容量、水分に関連する状態、および身体接触装置に結び付けられた他のあらゆる状態または状態変化を追跡することもできる。
【0075】
流体吸収性材料は、包帯、例えば無菌パッドまたは圧定帯などであり得る。例えば、紫外線の流体吸収性材料は、加熱を促進し、創傷をさらなる危害から保護するため、創傷に対して適用可能であり得る。紫外線の流体吸収性材料は、静脈内カテーテル、ポート、点滴、切開、または感染を広げるかまたはひき起こすことのできる患者の体の本質的にあらゆる他の部域に関連して利用可能である。流体吸収性材料は、紫外線IOT装置からの紫外光が少なくとも患者の体と接触する表面内を通過してこれを消毒することができるようにする、紫外線透過性の材料で製造され得る。流体吸収性材料は、流体吸収性材料へと製織された紫外線透過性繊維から構成されていてよい。紫外線透過性材料、例えばPFA、FEPおよびPTFEを一般的な織物材料と共に利用して、流体吸収性材料内の紫外線分布の向上を提供する、これらの紫外線透過性材料を伴う増強された繊維またはフィラメントを提供することができる。一般的な包帯または流体吸収性材料の内部において一定の百分率でこれらの繊維を使用することは、材料全体を通って紫外光を分布させ近位表面に到達して、材料の内部ならびに表面に捕捉されたあらゆる生物学的活性をより良く処理する助けとなる。例えば、紫外線透過性繊維またはフィラメントを綿などの他の材料と混合して、UVC光を受けた場合の製品の消毒を増強する高い紫外線透過性特性を有するファブリックを創出することができる。増強された繊維は、可撓性、拡散性および摩耗特性のため、さまざまなサイズで製造され得る。
【0076】
オーバラップ206は、包帯または流体吸収性材料を体表面にしっかり固定する粘着テープまたは帯具であり得る。オーバラップ206はそれ自体、紫外線透過性材料であってよく、紫外線IOT装置は、紫外光をオーバラップに向けて外部表面を消毒することができる。代替的には、オーバラップ206は、紫外線反射性または吸収性材料であるか、または紫外線IOT装置からオーバラップ206の内側面に到達する紫外光を反射または吸収するために紫外線反射性または吸収性コーティングで覆われた内側面を有することができる。
【0077】
図11の身体接触装置200は、紫外線透過性の流体吸収性材料204、この流体吸収性材料204を消毒するための消毒装置202を含む。消毒装置202は、
図10に関連して論述したように、ハウジング、前記ハウジング内に配置された紫外線源および紫外線源を制御するように構成されたコントローラを含む。身体接触装置は同様に、流体吸収性材料および消毒装置を表面208にしっかり固定するためのオーバラップ206を含む。コントローラは、8時間周期毎に6000マイクロワット未満のエネルギで紫外光を与えるために、紫外線源の強度およびオン時間を制御するように構成され得る。流体吸収性材料の紫外線透過性は、紫外線透過性繊維の量を変動させること、紫外線透過性コーティングで覆うこと、材料の厚みを変動させること、材料に紫外光の改変特性を有する添加剤を添加すること、または流体吸収性材料の紫外線透過性を変動させる本質的にあらゆる方法によって選択可能である。紫外線消毒装置は、流体吸収性材料の温度を監視するように構成された温度センサ、流体吸収性材料の水分レベルを監視するように構成された水分センサ、紫外線吸収性材料と結び付けられた静電容量を測定するための容量センサ、または消毒装置の動作を追跡および監視するためにコントローラに対してセンサの読取り値を提供するための本質的にあらゆる他のセンサを含めた、多種多様な異なるセンサを含むことができる。コントローラは、紫外線透過性の流体吸収性材料に対して適用された紫外線照射量を追跡し、センサ読取り値のいずれかを含めた消毒動作の状態または状態変化についての情報を遠隔の装置に提供するように構成され得る。
【0078】
「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「内側」、「内向き」、「外側」および「外向き」などの方向用語は、図中に示された実施形態の配向に基づいて本発明を説明するのを支援するために使用される。方向用語の使用は、いずれかの具体的配向に本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0079】
以上の説明は、本発明の現行の実施形態の説明である。均等論を含めた特許法の原則にしたがって解釈されるべきである添付のクレーム中で定義されている本発明の精神およびより広い態様から逸脱することなく、さまざまな改変および変更を加えることが可能である。本開示は、例示目的で提示されており、本発明の全ての実施形態の網羅的説明として、またはこれらの実施形態に関連して例示または説明された具体的要素にクレームの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、非限定的に、説明されている発明のいずれの個別の要素も、実質的に類似の機能性を提供するか他の形で適切な動作を提供する代替的要素によって置換され得る。これには例えば、現在公知の代替的要素、例えば当業者にとって現在公知であり得ると思われるもの、および将来開発され得る代替的要素、例えば当業者が開発時点で一代替案として認識し得ると思われるもの、が含まれる。さらに、開示された実施形態には、同時に説明され一群のメリットを協働して提供し得ると思われる複数の特徴が含まれる。本発明は、発行されたクレーム中に別途明示的に記された場合を除き、これらの特徴の全てを含むかまたは記載されたメリットの全てを提供する実施形態のみに限定されるものではない。例えば冠詞「a」、「an」、「the」または「said(前記)」を用いた単数でのクレーム要素に対するいずれの言及も、当該要素を単数に限定するものとしてみなされてはならない。
【国際調査報告】