IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-553093オーディオリスニングデバイスを自己較正するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】オーディオリスニングデバイスを自己較正するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20221214BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20221214BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H04R29/00
H04R1/10 104Z
G10K11/178 120
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523965
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 US2020057425
(87)【国際公開番号】W WO2021081535
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】16/664,728
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カナン,ゴービンド
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンセン
(72)【発明者】
【氏名】ティモンズ,ジェイボン
【テーマコード(参考)】
5D005
5D061
【Fターム(参考)】
5D005BA13
5D061FF02
(57)【要約】
自己較正システムはハウジングを含み得る。ハウジングは第1の較正回路を含む。第1の較正回路は、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancelling:ANC)イヤホンのための較正シーケンスを実行するために第2の較正回路と協働するように構成されている。ハウジングはさらに、ANCイヤホンを収容するように構成された空隙を含む。空隙は、ユーザの耳内のANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成されている。ハウジングはさらに、第1の較正回路と結合されるとともにANCイヤホンからの較正音波を測定するように構成された較正マイクロホンと、較正音波をANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の較正回路を含むハウジングを備え、前記第1の較正回路は、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancelling:ANC)イヤホンのための較正シーケンスを実行するために第2の較正回路と協働するように構成されており、前記ハウジングはさらに、
前記ANCイヤホンを収容するように構成されるとともにユーザの耳の中で前記ANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成された空隙と、
前記第1の較正回路と結合されるとともに前記ANCイヤホンからの較正音波を測定するように構成された較正マイクロホンと、
較正音波を前記ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを含む、システム。
【請求項2】
前記ANCイヤホンを前記ハウジングの内部に音響的に封止するために前記ANCイヤホンを前記ハウジング内に封じ込めるように構成されたカバーをさらに備え、前記ハウジングの内部は、外部ノイズが前記ハウジングの内部に入り、前記較正シーケンスに干渉することを抑制するために音響的に制御された環境である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
システムはさらに、前記ハウジング内に収容された前記ANCイヤホンを備え、前記ANCイヤホンは、
前記ANCイヤホン内に内蔵されるとともに前記ANCイヤホンのための前記較正シーケンスを実行するように構成された前記第2の較正回路と、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホンスピーカ較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホンスピーカと、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホン外部マイクロホン較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホン外部マイクロホンと、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホン内部マイクロホン較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホン内部マイクロホンとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記イヤホンスピーカ較正シーケンス中、前記較正音波が前記イヤホンスピーカから発せられ、前記発せられた較正音波は前記較正マイクロホンによって取込まれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記イヤホンスピーカのパラメータは、前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて更新される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ANCイヤホンは、前記イヤホンスピーカから前記較正マイクロホンまでの前記較正音波のための封じ込められた伝搬経路をもたらすために前記イヤホンスピーカが前記較正マイクロホンに面するように、前記ハウジングの前記空隙に位置決めされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記ANCイヤホンは、前記較正スピーカから前記イヤホン外部マイクロホンまでの前記較正音波のための封じ込められた伝搬経路をもたらすために前記較正スピーカが前記イヤホン外部マイクロホンに面するように、前記ハウジングの前記空隙に位置決めされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記イヤホン外部マイクロホン較正シーケンス中、前記較正音波が前記較正スピーカから発せられ、前記発せられた較正音波は前記イヤホン外部マイクロホンによって取込まれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記イヤホン外部マイクロホンのパラメータは、前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて更新される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記ユーザの耳に嵌め込まれている前記ANCイヤホンをシミュレートするために前記ANCイヤホンと結合されるように構成されたカプラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の較正回路は、無線接続によって前記イヤホンの前記第2の較正回路と協働するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハウジングはさらに、前記ANCイヤホンのバッテリを充電するために前記ANCイヤホン上の充電接点と結合されるように構成された充電接点を備えたバッテリ充電器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の較正回路は、
前記第2の較正回路と通信するように構成された無線インターフェイスと、
前記較正音波を生成するように構成されたオーディオコーデックとを含み、前記較正音波は、前記較正スピーカによって発せられるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ANCイヤホンは、耳嵌め込み型(in-ear)ANCイヤホン、耳乗せ型(on-ear)ANCイヤホン、または耳覆い型(over-the-ear)ANCイヤホンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
アクティブノイズキャンセリング(ANC)イヤホンを較正するための方法であって、
前記ANCイヤホンの第2の較正回路をハウジングの第1の較正回路とペアリングするステップと、
前記第1の較正回路と通信する前記第2の較正回路によって、前記ANCイヤホン上で較正シーケンスを実行するステップとを含み、前記ハウジングは、
第1の較正回路を備え、前記第1の較正回路は、較正シーケンスを実行するために前記第2の較正回路と協働するように構成され、前記ハウジングはさらに、
前記第1の較正回路と結合されるとともに前記ANCイヤホンから較正音波を取込むように構成された較正マイクロホンと、
較正音波を前記ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを備える、方法。
【請求項16】
前記較正シーケンスは、
フィードフォワードANC較正シーケンス中に前記ANCイヤホンのフィードフォワードANC経路を較正するステップと、
フィードバックANC較正シーケンス中に前記ANCイヤホンのフィードバックANC経路を較正するステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記較正シーケンスはさらに、
前記較正スピーカによって、前記較正シーケンス中に有効にされた前記ANCで較正音波を発するステップと、
前記較正マイクロホンによって、前記発せられた較正音波を取込むステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記較正シーケンスはさらに、
前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて、フィードフォワード経路の利得および/またはフィードバック経路の利得を更新するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記較正シーケンスは、再生キャンセレーション較正シーケンス中に、有効にされた前記ANCと、無効にされた前記ANCとで、前記ANCイヤホンの再生キャンセレーション経路を較正するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ハウジングはさらに、
前記ANCイヤホンを収容するように構成されるとともにユーザの耳の中で前記ANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成された空隙と、
前記ハウジングの内部に前記ANCイヤホンを音響的に封止するために前記ANCイヤホンを前記ハウジング内に封じ込めるように構成されたカバーと備え、前記ハウジングの内部は、外部ノイズが前記ハウジングの内部に入り前記較正シーケンスに干渉することを抑制するために音響的に制御された環境である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2019年10月25日に出願された「オーディオリスニングデバイスを自己較正するためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR SELF-CALIBRATING AUDIO LISTENING DEVICES)」と題された米国特許出願第16/664,728号の利益および優先権を主張するものであって、その全体が引用により本明細書中に援用されている。
【0002】
技術分野
本開示は概してオーディオリスニングデバイスに関する。より特定的には、たとえば、本開示は、オーディオリスニングデバイスを自己較正するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ヘッドホン、イヤホン、およびヘッドセットなどの個人用のリスニングデバイスは、このようなデバイスが周波数応答、全高調波歪み、アップリンクおよびダウンリンクノイズ低減などの設計仕様を確実に満たすように、生産ラインでの製造中に較正される。ノイズキャンセリング能力を備えたオーディオデバイスは、高品質のノイズキャンセレーションをもたらすために、内蔵されたスピーカおよびマイクロホンの性能に依拠する。これらのオーディオデバイスは、それらの耐用期間中に変化を起こす可能性があるため、元の仕様が変化してしまい、時間が経つにつれてユーザの聴く体験に影響を及ぼす可能性がある。生産中に実行される1回限りの較正では、長期間にわたって音声品質が十分に保証されない。このため、オーディオデバイスの耐用期間にわたって音声品質を維持するための技術の改善が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書には、オーディオリスニングデバイスの耐用期間にわたって改善された較正を提供するシステムおよび方法が開示される。1つ以上の実施形態に従うと、システムは、第1の較正回路を含むハウジングを備え、当該第1の較正回路は、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancelling:ANC)イヤホンのための較正シーケンスを実行するために当該ANCイヤホンの第2の較正回路と協働するように構成されている。当該ハウジングはさらに、当該ANCイヤホンを収容するように構成されるとともにユーザの耳の中で当該ANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成された空隙と、当該第1の較正回路と結合されるとともに当該ANCイヤホンからの較正音波を測定するように構成された較正マイクロホンと、較正音波を当該ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを含み得る。
【0005】
さまざまな実施形態では、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancelling:ANC)イヤホンを較正するための方法は、当該ANCイヤホンの第2の較正回路をハウジングの第1の較正回路とペアリングするステップと、当該第1の較正回路と通信する当該第2の較正回路によって、当該ANCイヤホン上で較正シーケンスを実行するステップとを含む。当該ハウジングは第1の較正回路を備え得る。当該第1の較正回路は、較正シーケンスを実行するために当該第2の較正回路と協働するように構成されており、当該ハウジングはさらに、当該第1の較正回路と結合されるとともに当該ANCイヤホンから較正音波を取込むように構成された較正マイクロホンと、較正音波を当該ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを備え得る。
【0006】
本発明の範囲は、引用により本項に援用されている請求項によって定義される。以下の詳細な説明を考慮することによって、当業者には、さまざまな実施形態のより完全な理解だけでなく、それらの付加的な利点の実現も、もたらされるだろう。まず添付の図面を参照して簡潔に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に従った、アクティブノイズキャンセレーション付きの例示的なイヤホンを示す断面図である。
図2】本開示の一実施形態に従った例示的な自己較正ケースを示す図である。
図3】本開示の一実施形態に従った、例示的なイヤホンのいくつかの特徴を示すシステムブロック図である。
図4】本開示の一実施形態に従った、例示的なイヤホンおよび自己較正ケースを示すシステムブロック図である。
図5A】本開示の一実施形態に従った、例示的な自己較正システムを示す概略図である。
図5B】本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの一例を示すフローチャートである。
図6A】本開示の一実施形態に従った、別の例示的な自己較正システムを示す概略図である。
図6B】本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。
図7A】本開示の一実施形態に従った、ANC自己較正システムを示す概略図である。
図7B】本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。
図8A】本開示の一実施形態に従った、別の例示的な自己較正システムを示す概略図である。
図8B】本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。
図8C】本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。特段の記載がない限り、添付の図面および明細書全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を示しているため、それらの説明は繰返さない。添付の図面において、明確にするために要素、層、および領域の相対的な大きさが誇張されている場合もある。
【0009】
詳細な説明
本開示のさまざまな実施形態について、イヤホンを参照して説明する。本明細書で用いられる「イヤホン」という語は、単にイヤホンに限定されるよう意図されたものではなく、他のオーディオリスニングデバイスの中でも、少なくとも、耳乗せ型(スープラオーラル型)、耳覆い型(サーカムオーラル型)、および/または耳嵌め込み型で用いられるように構成されたスピーカを含む「ヘッドホン」または「内耳嵌め込み型イヤホン(earbud)」という語と置換え可能であり得る。
【0010】
基本的なイヤホンは、概して、音波を生成して発する(たとえば、再生する)ための1つ以上のスピーカ(たとえば、マイクロスピーカ)を含む。アクティブノイズキャンセレーション(active noise cancellation:ANC)特徴などのノイズキャンセリング特徴を有するイヤホンは、ノイズを取込んでノイズキャンセレーションを可能にするために、1つ以上のスピーカと1つ以上の内蔵マイクロホン(たとえば、外部マイクロホンおよび内部マイクロホン)とを含む。良質なリスニング体験を実現するために、スピーカおよびマイクロホンはいくつかの動作仕様に従って機能するように設計されている。
【0011】
品質を確保するために、イヤホンは、生産中に製造業者によって較正される可能性がある。イヤホンは、製造設備から出荷されて消費者の手に入った後、通常、再び較正されることはない。なぜなら、ほとんどのユーザがこのような較正を実行する能力または機能を持たないからである。たとえば、ユーザがイヤホンを彼/彼女のポケットもしくはバッグに入れること、これらイヤホンが落下することもしくは投げられること、スピーカおよびマイクロホン上に破片(たとえば、粉塵、汗、油、水分など)が蓄積すること、ならびに/または、ゴム/シリコーン製のイヤパッドおよび翼部/先端の疲労によって結合部が劣化することによって、イヤホンが摩耗したり断裂したりすると、イヤホンのさまざまなパラメータが影響を受ける可能性がある(たとえば、特に、より低い周波数での感度/利得の低下)。時間が経つにつれて、摩耗および断裂は、最終的に、周波数応答、全高調波歪み、ならびに/またはアップリンクおよびダウンリンクノイズ低減などのイヤホン特性を変化させる。イヤホンが良質な音声とノイズキャンセレーションのために適切な反ノイズとをもたらし続けることを確実にするために再較正することが望ましい。場合によっては、イヤホンのソフトウェアまたはファームウェア更新版は新たに較正されたパラメータを含み得るが、このようなパラメータは、更新を受取るすべてのイヤホンの間では一般的なものであり、必ずしも個々のイヤホンに特有のものではない。さらに、使用済みイヤホンを再較正のために製造業者に送り返すことは面倒で法外な費用がかかる可能性がある。
【0012】
本開示の実施形態は、イヤホンを製造業者に送り返す必要なく、かつ標準化されたファームウェア更新版よりも性能を向上させる技術によって、たとえば、消費者による自己較正によってイヤホンの仕様パラメータを維持するためのシステムおよび方法を提供する。当該実施形態に従うと、イヤホンを封じ込めて較正を実行するために、制御された環境が提供され得る。この較正は、ユーザが所望する頻度および/またはユーザが必要とする頻度で繰り返され得る。一実施形態では、封じ込める筐体は、たとえば、イヤホンバッテリを充電するために用いられ得る充電ケースなどの収納ケースであってもよい。このようなケースは、内蔵型較正スピーカ、内蔵型較正マイクロホン、およびプロセッサを含み得る。当該プロセッサは、プログラムされた較正命令を実行するためのものであって、イヤホンの較正プロセッサとともにイヤホンを自己較正することができる。
【0013】
図1は、アクティブノイズキャンセレーション(ANC)特徴が組込まれた例示的なイヤホン100の断面図である。ある実施形態に従うと、イヤホン100は、ユーザの耳に音波(たとえば音声または再生音楽)を伝達するように構成された耳嵌め込み型オーディオデバイスである。イヤホン100は、ユーザの外耳道の上またはちょうど内側に嵌まり込むように構成されたイヤチップ108を有し得る。イヤチップ108は、ユーザの外耳道を実質的に封止して、周囲の外部ノイズがユーザの外耳道に直接入るのを軽減するように構成され得る。イヤホン100は、イヤホン内のチャネル110を通りユーザの鼓膜に向かって伝搬する音波を発するためのスピーカ102(たとえば、マイクロスピーカ)を含む。イヤホン100は、ANC回路によって利用される外部マイクロホン104を含む。当該外部マイクロホン104は、ユーザがイヤホン100を装着したときにイヤホン100の外部に存在するノイズに晒されるように配置される。このため、外部マイクロホン104は、外部ノイズを捕らえるように構成されており、イヤホンの(たとえば、イヤホンの内部に埋込まれている)ANC回路は、イヤホン100外にある検出されたノイズのうち少なくともいくらかのノイズまたはかなりのノイズを打ち消すために用いられる反ノイズ波を生成する。
【0014】
内部マイクロホン106はイヤホンの内部に配置されており、いくつかの実施形態では、スピーカ102に近接して位置決めされる。内部マイクロホン106によって測定される音波は、ノイズキャンセレーションの性能を測定するために用いられる。イヤチップ108は、ユーザの外耳道を実質的に封止するように構成されているが、完全には封止しておらず、いくらかの外部ノイズが、一次経路112などの1つ以上の経路を通って外耳道に進入し得る。一方、外部ノイズが外部マイクロホン104によって取込まれると、対応する反ノイズが生成されて、第2の経路114を通ってスピーカ102から出力される。ANC回路は、検出された外部ノイズ(たとえば、一次経路112を通ってユーザの外耳道に入るノイズに対応し得る)を実質的に打ち消すために反ノイズを生成するように構成される。内部マイクロホン106は、スピーカ102によって生成された反ノイズ、内部マイクロホン106で受信された外部ノイズ、および/またはスピーカ102によって生成された再生信号(たとえば、スピーカ102を通じて再生される音楽または音声)を取込み、反ノイズ信号を調整する際に用いられるフィードバック/エラー信号をANC回路に提供して性能を向上させる。本開示の実施形態では、スピーカ性能およびノイズキャンセレーション品質を最適化するために図1に示されるような例示的なイヤホンを較正するための技術を説明する。
【0015】
図2は、本開示の一実施形態に従った例示的な自己較正ケース200の図である。自己較正ケース200(「ケース」)は音響的に制御された環境であって、イヤホン214、212を内部に収容してこれらイヤホン214、212を外部環境から音響的に隔離し、較正プロセスを実行する。ケース200は、イヤホン214、212を完全に内部に封じ込んで較正プロセス中の干渉を低減するために、音響的に封止可能なカバー204を含んでもよい。カバー204は、当該カバー204が閉じられたときに消音密閉するために、たとえば、ガスケットまたは他の同様の材料を有してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、ケース200は、少なくとも1つの空隙222を有するハウジング202を含む。当該少なくとも1つの空隙222は、イヤホン214、212を適所に収容して保持するためにイヤホン214、212の形状に合わせて実質的に輪郭形成されたものである。いくつかの実施形態では、空隙222の輪郭は、イヤホンユーザの耳に嵌め込まれているイヤホン214、212をシミュレートするように、標準カプラ264、248(たとえば、IEC711などの業界標準カプラ)の形状を有していてもよい。このような態様で、イヤホンスピーカ228、226はカプラに向けられるかまたはカプラに面している。ケース200は、自己較正プロセスを容易にするためにイヤホン214、212の各々の中に埋込まれたイヤホンANC/較正回路216、218と無線(たとえば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、他の無線接続)で通信するように構成された内蔵型ケース較正回路220を含む。このような態様で、イヤホン214、212は、(たとえば、使用の合間にバッテリを充電するためにケースに入れられたときに)ケース200の内部で較正され得る。
【0017】
自己較正を実行するために、ケースは、較正ノイズを発するように構成されたケース較正スピーカ206を含む。ケース較正スピーカ206は、発せられたノイズがイヤホン214、212に向けられるように、ケース200上に、たとえば、イヤホン214、212に面するカバー204内に、位置決めされてもよい。イヤホン214、212は、実行されている較正プロセスに応じて、ケース較正スピーカ206から伝搬する較正ノイズを測定する外部マイクロホン230、232および内部マイクロホン236、234を含む。このため、ケース200の筐体は、較正ノイズを伝搬させるためのノイズ伝搬空間246、262を囲んでいる。ノイズ伝搬空間246、262は、イヤホン214、212のための外部ノイズ環境をシミュレートしたものである。外部マイクロホン230、232は、ケース較正スピーカ206からの較正ノイズを測定し、内部マイクロホン236、234は、較正ノイズとANCイヤホンによって生成された反ノイズとに基づいてイヤホン内部のエラーを測定する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ケース200はさらに、ユーザの耳の内部にあるイヤホン214、212をそれぞれシミュレートする左側イヤホンスピーカ228および右側イヤホンスピーカ226によって発せられる較正ノイズを測定するための較正マイクロホン(たとえば、左側較正マイクロホン208および右側較正マイクロホン210)を含み得る。より具体的には、イヤホン214、212は、それぞれ、(たとえば、ユーザの左鼓膜および右鼓膜がそれぞれ受ける音をシミュレートするように位置決めされ得る)左側の較正マイクロホンおよび右側の較正マイクロホンに向かって当該イヤホンスピーカ228、226が面するように位置決めされる。したがって、イヤホン214、212がケース200内のそれぞれのスロット内に置かれ、カバー204が閉じられると、較正音響環境が作り出される。当該較正音響環境は、較正ノイズを伝搬させてそれに応じて較正手順を実行するために、一次経路および二次経路に沿って人の耳に嵌め込まれているイヤホン214、212をシミュレートするものである。
【0019】
イヤホンANC/較正回路216、218およびケース較正回路220は、ともに、較正プロセスに従ってイヤホン214および212で較正ノイズを聞き取り(およびこれにより測定し)ながら、たとえば、ケース較正スピーカ206から較正ノイズ(たとえば、ある周波数のトーン、さまざまな周波数のトーンの掃引範囲、またはピンクノイズ)を発することによって較正プロセスを実行するように協働する。別の較正プロセスに従うと、左側イヤホンスピーカ228および右側イヤホンスピーカ226は較正ノイズを発し得るとともに、左側較正マイクロホン208および右側較正マイクロホン210は較正ノイズを聞き取り得る。測定された較正情報は、イヤホン較正パラメータ(たとえば、スピーカ較正利得、マイクロホン較正利得など)を更新するために、ケース較正回路220および/またはイヤホンANC/較正回路216、218によって処理され得る。したがって、イヤホンを自己較正ケース200に挿入することによって、イヤホンに対して自己較正プロセスが実行され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、自己較正ケース200はまた、充電接点256を含み得る。充電接点256は、イヤホン214、212のバッテリが空隙222に挿入されたときにそれらバッテリを充電するために対応するイヤホン充電接点250と接触するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、ハウジング202およびカバー204の壁は、自己較正ケース200の内部と外部との間の音漏れをさらに低減するように、吸音材料または防音材料または他の技術で遮音されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング202およびカバー204は、その意図される使用中に、または圧縮されたときでも、または繰返し使用された後でも、その形状を維持して変形しない硬質プラスチックまたは硬質ポリマーなどの硬質シェルケースであってもよい。
【0022】
図3は、本開示の一実施形態に従った、例示的なANCイヤホンのいくつかの特徴を示すシステムブロック図である。当該システムは、内蔵型左側スピーカ228、左側内部マイクロホン236、左側外部マイクロホン230、および左側イヤホンANC/較正回路216を含む左側イヤホン214と、内蔵型右側スピーカ226、右側内部マイクロホン234、右側外部マイクロホン232、および右側イヤホンANC/較正回路218を含む右側イヤホン212とを含み得る。左側イヤホンANC/較正回路216および右側イヤホンANC/較正回路218の各々は、それぞれ左側イヤホン214および右側イヤホン212の動作中のアクティブノイズキャンセレーションを容易にするとともに本明細書で説明するANCシステムの較正を容易にするように構成された論理デバイスおよび/または回路を含む。いくつかの実施形態では、左側イヤホンANC/較正回路216および右側イヤホンANC/較正回路218の各々は、少なくともプロセッサ324、325と、メモリ326、327と、無線インターフェイス328、329と、オーディオコーデック330、331とを含む。ANCイヤホンが有線ANCイヤホンであるいくつかの実施形態では、左側イヤホン較正回路216および右側イヤホンANC/較正回路218は、単一の回路に組合わされ得るとともに、左側イヤホン214または右側イヤホン212のいずれか1つのみに内蔵され得る。すなわち、単一の回路で、有線接続を介して左右両方のイヤホンのための較正プロセスを制御することができる。以下では、左側イヤホン214および左側イヤホン較正回路216について説明するが、右側イヤホン212についてもこの説明が適用可能である。
【0023】
プロセッサ324は、本開示の実施形態について本明細書に記載するさまざまな動作を実行するために、プロセッサ、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device:PLD)(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA))、デジタル信号処理(digital signal processing:DSP)デバイス、または、配線接続によって、ソフトウェア命令を実行することによって、もしくはこれら両方の組合せによって構成され得る他の論理デバイス、のうちの1つ以上を備え得る。左側イヤホンANC/較正回路216は、無線インターフェイス328を介して、または、物理的接続を介して、たとえば、接点もしくは他の電子通信インターフェイスなどを介して、自己較正ケース200とインターフェイス接続して通信するように動作可能である。
【0024】
イヤホンANC/較正回路216およびイヤホン214は、ハードウェア構成要素と回路とソフトウェアとの組合せを組込んだものとして示されているが、いくつかの実施形態では、ハードウェア構成要素および回路が実行するように動作可能である機能のうち少なくともいくつかまたはすべてが、メモリ326またはイヤホンANC/較正回路216のファームウェアに格納されたソフトウェア命令および/または構成データに応じて、プロセッサ324によって実行されるソフトウェアモジュールとして実現され得ることが認識されるだろう。
【0025】
メモリ326は、オペレーティングシステムと、音声データおよびプログラム命令などの他のデータおよび情報とを格納するように動作可能な1つ以上のメモリデバイスとして実現され得る。メモリ326は、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読取り専用メモリ(read-only memory:ROM)、電気的消去可能読取り専用メモリ(Electrically-Erasable Read-Only Memory:EEPROM)、フラッシュメモリ、および/または他のタイプの非一時的メモリなどの揮発性および不揮発性のメモリデバイスを含む1つ以上のさまざまなタイプのメモリデバイスを備え得る。
【0026】
プロセッサ324は、メモリ326に格納されたソフトウェア命令を実行するように動作可能であり得る。メモリ326に格納されたアプリケーションは、ユーザインターフェイスからのユーザ入力の有無にかかわらず動作を実行するためにプロセッサ324によって実行可能なソフトウェアアプリケーションであり得る。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、ユーザがユーザインターフェイスを介して開始し得る較正処理アプリケーションであってもよい。ユーザインターフェイスは、イヤホン214上に配置されたボタンもしくはスイッチ、ケースに組込まれたインターフェイスであってもよく、ならびに/または、イヤホンおよび/もしくは自己較正ケースと通信するスマートフォン、タブレット、もしくはコンピュータなどのリモートデバイス上のインターフェイスであってもよい。
【0027】
無線インターフェイス328は、左側イヤホンANC/較正回路216と、自己較正ケース200および/または他の外部デバイス、たとえばスマートフォン、タブレットもしくはコンピュータなど、との間の通信を容易にする。たとえば、無線インターフェイス328は、自己較正ケース200と、スマートフォン、タブレット、またはラップトップコンピュータなどの他のローカルデバイスとの間のWi-Fi(登録商標)(たとえば、802.11)接続またはBluetooth(登録商標)接続を可能にし得る。さまざまな実施形態では、無線インターフェイス328は、ケース較正回路220とイヤホン214との間の直接的通信または間接的通信を容易にする他の有線および無線の通信構成要素を含んでもよい。
【0028】
オーディオコーデック330は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号処理(DSP)デバイス、または、配線接続によって、ソフトウェア命令を実行することによって、もしくはこれら両方の組合せによって、アナログ音声をデジタル音声に変換する処理、またはデジタル音声をアナログ音声に変換する処理を含むがこれらに限定されない音声信号の処理を実行するように構成され得る他の論理デバイス、のうちの1つ以上を備え得る。したがって、オーディオコーデック330は、メモリ326に格納された音声データを取得し、デジタルからアナログに変換し、そのアナログ音声情報をスピーカ228に送信し得る。同様に、オーディオコーデック330は、外部マイクロホン230または内部マイクロホン236によって取込まれたアナログ音声を取得し、アナログ音声信号をデジタルに変換して、較正するかまたはメモリ326に格納するなどの処理を行ない得る。
【0029】
図4は、本開示の一実施形態に従った、自己較正ケース200の例示的なブロック図とともに図3の例示的なANCイヤホンのブロック図を示すシステムブロック図である。自己較正ケース200は、少なくともプロセッサ424と、メモリ426と、無線インターフェイス428と、オーディオコーデック430とを含むケース較正回路220を含む。いくつかの実施形態では、自己較正ケース200は、図3の左側イヤホンANC/較正回路216を参照して上述したものと同様のハードウェア構成要素を用い得る。
【0030】
プロセッサ424は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号処理(DSP)デバイス、または、配線接続によって、ソフトウェア命令を実行することによって、もしくはこれら両方の組合せによって、本開示の実施形態について本明細書に記載するさまざまな動作を実行するように構成され得る他の論理デバイス、のうちの1つ以上を備え得る。ケース較正回路220は、無線インターフェイス428を介して、または物理的接続を介して、たとえば、接点もしくは他の電子通信インターフェイスなどを介して、イヤホン214、212とインターフェイス接続して通信するように動作可能である。
【0031】
ケース較正回路220は、ハードウェア構成要素と回路とソフトウェアとの組合せを組込んだものとして示されているが、いくつかの実施形態では、ハードウェア構成要素および回路が実行するように動作可能である機能のうち少なくともいくつかまたはすべてが、メモリ426またはケース較正回路220のファームウェアに格納されたソフトウェア命令および/または構成データに応じて、プロセッサ424によって実行されるソフトウェアモジュールとして実現され得ることが認識されるだろう。
【0032】
メモリ426は、オペレーティングシステムと、音声データおよびプログラム命令などの他のデータおよび情報とを格納するように動作可能な1つ以上のメモリデバイスとして実現され得る。メモリ426は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、および/または他のタイプの非一時的メモリなどの揮発性および不揮発性のメモリデバイスを含む1つ以上のさまざまなタイプのメモリデバイスを備え得る。
【0033】
プロセッサ424は、メモリ426に格納されたソフトウェア命令を実行するように動作可能であり得る。メモリ426に格納されたアプリケーションは、ユーザとの動作を実行するようにプロセッサ424によって実行可能なソフトウェアアプリケーションであり得る。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、ユーザがユーザインターフェイスを通じて開始させ得る較正処理アプリケーションであってもよい。ユーザインターフェイスは、自己較正ケース200上に配置されたボタンもしくはスイッチであってもよく、または、ケース較正回路220に無線接続されるスマートフォン、タブレット、またはコンピュータなどのリモートデバイスへのインターフェイスであってもよい。
【0034】
無線インターフェイス428は、ケース較正回路220と、左側イヤホンANC/較正回路216、右側イヤホンANC/較正回路218、および、外部デバイス、たとえばスマートフォン、タブレット、またはコンピュータなど、との間の通信を容易にする。たとえば、無線インターフェイス428は、ケース較正回路220、および/または他のローカルデバイス、たとえばスマートフォン、タブレット、もしくはラップトップコンピュータなどとの間のWi-Fi(登録商標)(たとえば、802.11)接続またはBluetooth(登録商標)接続を可能に得る。さまざまな実施形態では、無線インターフェイス428は、左側イヤホンANC/較正回路216および右側イヤホンANC/較正回路218とケース較正回路220との間の直接的または間接的な通信を容易にする他の有線および無線の通信構成要素を含み得る。
【0035】
オーディオコーデック430は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号処理(DSP)デバイス、または、配線接続によって、ソフトウェア命令を実行することによって、もしくはこれら両方の組合せによって、アナログ音声をデジタル音声に変換する処理、またはデジタル音声をアナログ音声に変換する処理を含むがこれらに限定されない音声信号の処理を実行するように構成され得る他の論理デバイス、のうちの1つ以上を備え得る。したがって、オーディオコーデック430は、メモリ426に格納された音声データを取得し、デジタルからアナログに変換し、そのアナログ音声情報をケース較正スピーカ206に送信し得る。同様に、オーディオコーデック430は、較正マイクロホン208、210によって取込まれたアナログ音声を取得し、アナログ音声信号をデジタルに変換して、較正するかまたはメモリ426に格納するなどの処理を行ない得る。
【0036】
図5A図8Cは、本開示のさまざまな実施形態に従った、自己較正ケース200を用いてイヤホン100上で実施および実行され得る例示的な較正プロセスを例示および説明する。さまざまな例が、1つのイヤホンのみ、たとえば、左側イヤホンのみまたは右側イヤホンのみを参照して説明され得る。しかしながら、これら実施形態は左側イヤホンおよび右側イヤホンの両方にも適用可能であり得る。
【0037】
図5Aは、本開示の一実施形態に従った例示的な自己較正システムの概略図である。一実施形態に従うと、感度552、554は、それぞれスピーカ228およびマイクロホン208の固定された公称値であってもよく、イヤホンスピーカ228の利得550はスピーカ較正プロセスによって最適な性能となるように設定されてもよい。いくつかの実施形態では、利得550は、製造中に設定されるフィルタであり得るが、本開示で説明されるさまざまな較正プロセスに従ってユーザによって製造後に更新可能であってもよい。このため、ケース200において自己較正手順を実行することによって、イヤホンスピーカ228による最適な性能を向上させるように利得550を調整するために更新済みフィルタ値が決定され得る。
【0038】
図5Bは、本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの一例を示すフローチャートである。この実施形態に従って、イヤホンスピーカ228の自己較正を実行するための技術を説明する。まず、イヤホンANCをオフにする(502)。次に、イヤホン214を空隙222に挿入し、カバー204を閉じて、自己較正ケース200の内部でイヤホン214を隔離する(504)。イヤホン214がケース200に挿入されると、ペアリングプロセスが実行されて、ケース較正回路220が左側イヤホンANC/較正回路216に、たとえばBluetooth(登録商標)接続によって無線接続され得る(506)。いくつかの実施形態では、左側イヤホンANC/較正回路216は、周囲ノイズが較正プロセスに干渉しないほど十分に静かである、十分に制御された環境にイヤホン214があることを確認し得る(508)。たとえば、ユーザが大型飛行機内で自己較正システムを実行させようと試みた場合、周囲ノイズが大きすぎて較正を適切に実行することができない可能性がある。このため、環境がより静かになるまで較正プロセスが実行されないだろう。さまざまな実施形態では、マイクロホン230、236および208のうちの1つ以上から受信された音声信号は、当該受信された信号の強度が、較正を実行するための許容可能な無音閾値(たとえば、0デシベルに近い)を下回っていることを確認するために監視され得る。イヤホンが較正を実行するのに適した環境にあることが確認された後、ユーザは、較正ケースおよび/または外部デバイス上のユーザインターフェイス(たとえば、電話、タブレット、パーソナルコンピュータなど)を介して較正を手動で開始することによって較正プロセスを開始させ得る。いくつかの実施形態では、較正プロセスは、イヤホン214がケースに挿入されてカバー204が閉じられた後に自動的に開始してもよい(510)。たとえば、較正開始プロセスは、各イヤホンが充電中であるとともにイヤホンが十分静かな環境にあると判断された後に、較正プロセスを開始してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、較正プロセスは、無線インターフェイス構成要素328、329、および428を通じて、左側イヤホン214および右側イヤホン212と自己較正ケース200との間で同期されるかまたは調整される。たとえば、ケース較正回路220は、較正プロセスを開始したり、較正モードを設定したり、較正結果を伝達したりするために、左側イヤホン214および右側イヤホン212との通信を容易にし得る。いくつかの実施形態では、ANC/較正回路は、イヤホンオーディオコーデック330を介して、較正ノイズ(たとえば、特定の周波数のトーン、さまざまな周波数の掃引範囲、またはピンクノイズ)をイヤホンスピーカに再生させ(512)、ケース較正マイクロホン208は較正トーンを聞き取る(514)。ケース較正回路220は、ケースマイクロホン208で取込まれる較正トーンを測定し、基準ノイズに基づいてイヤホンスピーカ228の応答を(もしあれば)計算する(516)。情報は、イヤホンスピーカ228の利得を計算するために用いられてもよく、この情報は、イヤホンスピーカの利得を更新するためにメモリに書込まれてもよく(518)、これにより、スピーカ性能が最適化され得る。このプロセスは、要望に応じて繰返されもよく、または、較正プロセスはここで終了してもよい(520)。
【0040】
図6Aは、本開示の別の実施形態に従った例示的な自己較正システムの概略図である。一実施形態に従うと、イヤホン外部マイクロホン230およびイヤホン内部マイクロホン236の利得654および656は最適な性能が得られるように設定され得る。感度650、652は生産中に設定される固定値であってもよい。いくつかの実施形態では、利得654、656は、製造中に設定されるフィルタであってもよく、本開示に記載されるさまざまな較正プロセスに従って、ユーザによって製造後に更新可能であってもよい。このため、ケース200において自己較正手順を実行することによって、イヤホンマイクロホンによる最適な性能を達成するように利得654、656を調整するために、更新済みのフィルタ値が決定され得る。
【0041】
図6Bは、本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。この実施形態に従って、イヤホンマイクロホン230の自己較正を実行するための技術を説明する。いくつかの実施形態では、自己較正は、左側イヤホン外部マイクロホン230および左側イヤホン内部マイクロホン236の各々に対して実行される。一実施形態に従うと、イヤホンANCをオフにする(602)。次いで、イヤホン214、212を空隙222に挿入し、カバー204を閉じて、自己較正ケース200の内部でイヤホン214、212を隔離する(604)。イヤホン214、212がケース200に挿入されると、ペアリングプロセスが実行されて、ケース較正回路がイヤホンANC/較正回路216、218に、たとえばBluetooth(登録商標)接続によって無線接続され得る(606)。いくつかの実施形態では、ANC/イヤホン較正回路216、218は、周囲ノイズが較正プロセスに干渉しないほど十分に静かである、十分に制御された環境にイヤホン214、212があることを確認し得る(608)。
【0042】
いくつかの実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェイスを介して較正を手動で開始することによって較正プロセスを開始させてもよい。いくつかの実施形態では、較正プロセスは、イヤホン214、212がケース200内に挿入されてカバー204が閉じられた後に較正プロセスを自動的に開始してもよい(610)。いくつかの実施形態では、較正プロセスは、無線インターフェイス構成要素328、329および428を通じて、左側イヤホン214および右側イヤホン212と、自己較正ケース200との間で同期されるかまたは調整される。いくつかの実施形態では、ケース較正回路220は、ケースオーディオコーデック430を介して、ケース較正スピーカ206に較正ノイズ(たとえば、基準トーン)を出力させ(612)、イヤホンマイクロホン230、236は較正ノイズを聞き取って測定する(614)。イヤホンANC/較正回路216、218は、イヤホンマイクロホン230、236で取込まれた較正音を測定し、基準トーンに基づいてマイクロホンの応答を(もしあれば)計算する(616)。情報は、イヤホンマイクロホンの利得を計算するために用いられ得る。この情報をメモリに書込んでマイクロホンの利得を更新する(618)ことにより、最適な動作(たとえば、ノイズキャンセレーション)となるようにイヤホンマイクロホンパラメータを改善させ得る。このプロセスは、要望および/もしくは必要に応じて繰返されてもよく、または較正プロセスはここで終了してもよい(620)。
【0043】
図7Aは、本開示の一実施形態に従ったANCシステムの概略図である。いくつかの実施形態では、ANCは、図示のようにフィードフォワードモードで実行され得る。フィードフォワードモードでは、イヤホン外部マイクロホン230を用いて外部ノイズを検出し、さらに、検出されたノイズをANCフィードフォワードフィルタBff(z)およびWff(z)を介して処理して、ユーザが体験するノイズレベルを打ち消す目的で反ノイズを生成し得る。外部マイクロホン230およびスピーカ228の感度752、756は固定値であってもよい。いくつかの実施形態では、反ノイズの較正利得754はまた、さまざまなフィルタを通じて製造中に設定されてもよいが、ANC性能を最適化するために本開示のさまざまな実施形態に従って説明される較正ケース200を用いることによって時間の経過に応じてユーザによって更新されてもよい。
【0044】
他の実施形態では、ANCは、図示のようにフィードバックモードで実行され得る。フィードバックモードでは、イヤホン内部マイクロホン236を用いてエラーノイズを検出する。このエラーをANCフィードバックフィルタBfb(z)を介して処理して反ノイズを生成することでエラーを低減させる。このエラーをより正確に低減させるために較正利得760が調整されてもよい。このような利得は、本開示の実施形態に従った自己較正プロセスを実行することによって決定されてもよい。
【0045】
図7Bは、本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。アクティブノイズキャンセレーションは、良質なノイズキャンセレーションのためにイヤホンスピーカ228およびイヤホンマイクロホン(たとえば、内部マイクロホン236および外部マイクロホン230)の性能に依拠する。このため、較正は、ANCをオフにした状態で実行され、次いで、ANCをオンにした状態で再び実行され、それら結果同士が比較されてANC性能が測定される。当該実施形態に従うと、最初に、イヤホンANCをオフにする(702)。次に、イヤホン214を空隙222に挿入し、カバー204を閉じて、自己較正ケース200の内部でイヤホン214を隔離する(704)。イヤホン214がケース200に挿入されると、ペアリングプロセスが実行されて、ケース較正回路220がイヤホンANC/較正回路216に、たとえばBluetooth(登録商標)接続で無線接続され得る(706)。いくつかの実施形態では、イヤホンANC/較正回路216は、周囲ノイズが較正プロセスに干渉しないほど十分に静かである、十分に制御された環境にイヤホン214があることを確認し得る(708)。ユーザは、ユーザインターフェイスを介して較正を手動で開始することによって較正プロセスを開始させてもよく、または、較正回路は、イヤホン214がケースに挿入されてカバー204が閉じられた後に較正プロセスを自動的に開始させるように構成されてもよい(710)。
【0046】
いくつかの実施形態では、ケース較正回路220は、オーディオコーデック430を介して、ケーススピーカ206に広帯域較正ノイズ(たとえば、ピンクノイズ)を掃引させ(712)、ケース較正マイクロホン208は、周波数応答を測定し、この情報をイヤホンメモリ326に格納する(714)。次に、ANCをオンにし(718)、広帯域較正ノイズを再び掃引し(720)、さらに、ケース較正マイクロホン208が周波数応答を測定し、この情報をイヤホンメモリ326に格納し(722)、ANCがオフにされた状態でメモリ326に前もって格納された較正情報と比較して、ノイズキャンセレーションの性能を判断する(726)。この判断に基づいて、フィードフォワード利得754およびフィードバック利得760が調整され得ることで、ANCの全体的な品質が改善され得る(728)。
【0047】
図8Aは、本開示の一実施形態に従ったANCシステムの概略図である。場合によっては、ユーザは、ノイズの多い環境で音声(たとえば、音楽再生)を聴くときにANCをオンにして、バックグラウンドノイズを低減させてもよい。この場合、イヤホンスピーカ228は、音楽再生だけでなく、二次経路における反ノイズの生成にも用いられる。これにより、ユーザは、バックグラウンドノイズが実質的に打ち消された音楽を聴くことができる。内部イヤホンマイクロホン236は、ノイズキャンセルされた音楽再生を測定してエラーを判定するために、イヤホン214上でイヤホンスピーカ228付近に位置決めされる。いくつかの実施形態では、再生キャンセレーション較正フィルタ852が用いられてもよい。この場合、再生キャンセレーションアルゴリズム
【0048】
【数1】
【0049】
はオンのままであり、イヤホンスピーカ228のパラメータは、ANCがオフにされた場合と、ANCがオンにされた場合とで比較される。次いで、その差がそれらの所望のマスクに対して較正され、較正利得852がメモリ内で更新される。
【0050】
いくつかの実施形態では、ANCはオフのまま維持されてもよく、イヤホンスピーカ再生102のパラメータは、再生キャンセレーションアルゴリズム
【0051】
【数2】
【0052】
がオフにされた場合とオンにされた場合とで比較されてもよい。その差はそれらの所望のマスクに対して較正されてもよく、較正利得852がメモリ内で更新される。
【0053】
図8Bは、本開示の一実施形態に従った、自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。したがって、最初にイヤホンANCをオフにする(802)。次に、イヤホン214を空隙222に挿入し、カバー204を閉じて、自己較正ケース200の内部でイヤホン100を完全に封止する(804)。イヤホン214がケース200に挿入されると、ペアリングプロセスが実行されて、ケース較正回路がイヤホン較正回路に、たとえばBluetooth(登録商標)接続で無線接続され得る(806)。いくつかの実施形態では、左側イヤホンANC/較正回路216は、周囲ノイズが較正プロセスに干渉しないほど十分に静かであり十分に制御された環境に、イヤホン214があることを確認し得る(808)。ユーザは、ユーザインターフェイスを通じて較正を手動で開始することによって較正プロセスを開始させてもよく、または、較正回路は、イヤホン214がケースに挿入されてカバー204が閉じられると較正プロセスを自動的に開始させるように構成されてもよい(810)。本開示の一実施形態に従うと、イヤホンスピーカ228から音声、たとえば音楽、を再生することによって再生経路が再生キャンセレーション較正のためにオンにされると、その再生がケースマイクロホン208によって測定される(812)。次に、ANCがオンにされ(814)、音声が、イヤホンスピーカ228から再び再生されるとともにケースマイクロホン208によって再び測定される(816)。ANCがオン(たとえば、有効)にされた場合とオフ(たとえば、無効)にされた場合とで測定された再生の差が計算され、次いで、それらの所望のマスクと比較され、それらの較正利得がメモリに格納される(818)。このプロセスは必要に応じて繰返されてもよく、または、較正プロセスは完了してもよい(820)。
【0054】
図8Cは、本開示の一実施形態に従った自己較正プロセスの別の例を示すフローチャートである。これに従って、イヤホンANCをオフする(902)。次に、イヤホン214を空隙222に挿入し、カバー204を閉じて、自己較正ケース200の内部でイヤホン100を完全に封止する(904)。イヤホン214がケース200に挿入されると、ペアリングプロセスが実行されて、ケース較正回路がイヤホン較正回路に、たとえばBluetooth(登録商標)接続によって無線接続され得る(906)。いくつかの実施形態では、左側イヤホンANC/較正回路216は、周囲ノイズが較正プロセスに干渉しないほど十分に静かであり十分に制御された環境に、イヤホン214があることを確認し得る(908)。ユーザは、ユーザインターフェイスを通じて較正を手動で開始することによって較正プロセスを開始させてもよく、または、較正回路は、イヤホン214がケースに挿入されてカバー204が閉じられると較正プロセスを自動的に開始するように構成されてもよい(910)。本開示の一実施形態に従うと、イヤホンスピーカ228から音声、たとえば音楽、を再生することによって、再生キャンセレーション経路がオフにされると、その再生がケースマイクロホン208によって測定される(912)。次に、ANCをオフのままにして、イヤホンスピーカ228から音声、たとえば音楽、を再生することによって再生キャンセレーション経路がオンにされると、その再生がケースマイクロホン208によって測定される(914)。再生経路をオフにした状態で測定された再生とオンにした状態で測定された再生との間の差が計算され、次いで、それらの所望のマスクに対して比較され、それらの較正利得がメモリに格納される(918)。このプロセスは必要に応じて繰返されてもよく、または、較正プロセスは完了してもよい(920)。
【0055】
このようにして、イヤホンは、消費者によって、家庭で、またはイヤホンの耐用年数のために消費者らが選択するところであればどこでも、較正および再較正され得ることで、良質な音声再生および良質なノイズキャンセレーションを保証し、これにより、イヤホンの全体的な耐用年数を延ばし得る。上述の較正プロセスは、較正の例としてのみ提供されるものであって、記載した較正のみに限定されるよう意図されたものではない。むしろ、記載した較正ケース200を用いる他の音声較正が想定され得る。
【0056】
本開示のシステムおよび方法は、さまざまな形態で具現化され得るものであって、例示された実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は本開示の局面および特徴を当業者に伝えるための例として提供されている。したがって、本開示の局面および特徴を完全に理解するために当業者にとって不要なプロセス、要素、および技術は説明されない場合がある。
【0057】
本明細書で用いられる用語は特定の実施形態を説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。或る要素が別の要素「の上にある」、「に接続されている」、または「に結合されている」ものとして言及される場合、当該或る要素がその他の要素の直に上にあり得ること、その他の要素に接続され得ること、もしくはその他の要素と結合され得ること、または1つ以上の介在要素が存在し得ることが理解されるだろう。加えて、或る要素が2つの要素の「間に」あるものとして言及される場合、当該或る要素が2つの要素または層の間における唯一の要素もしくは層であり得ること、または1つ以上の介在要素もしくは層が存在し得ることも理解されるだろう。
【0058】
本明細書で用いられる場合、「実質的に」、「約」といった語および同様の語は、程度を示す語ではなく近似度を示す語として用いられており、当業者によって認識されるであろう測定値または計算値における固有のずれを説明するよう意図されたものである。さらに、本開示の実施形態を説明する際に「し得る(may)」を用いる場合、それは「本開示の1つ以上の実施形態」について言及している。「用いる」、「用いて」、および「用いられる」といった語は、本明細書で用いられる場合、それぞれ「利用する」、「利用して」、および「利用された」と同義であると見なされてもよい。
【0059】
本明細書に記載された本開示の実施形態に従った電子デバイスもしくは電気デバイスおよび/または他の任意の関連するデバイスもしくは構成要素は、任意の好適なハードウェア、ファームウェア(たとえば、特定用途向け集積回路)、ソフトウェア、またはソフトウェア、ファームウェア、および/もしくはハードウェアの組合わせを利用して実現され得る。たとえば、これらのデバイスのさまざまな構成要素は1つの集積回路(integrated circuit:IC)チップ上に、または別個のICチップ上に形成され得る。さらに、これらのデバイスのさまざまな構成要素は、フレキシブルプリント回路フィルム、テープキャリアパッケージ(tape carrier package:TCP)、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)上に実現され得るか、または1つの基板上に形成され得る。さらに、これらのデバイスのさまざまな構成要素は、1つ以上のプロセッサ上で、1つ以上のコンピューティングデバイスにおいて実行されるとともに本明細書に記載のさまざまな機能を実行するためにコンピュータプログラム命令を実行して他のシステム構成要素と対話する、プロセスまたはスレッドであってもよい。コンピュータプログラム命令は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの標準的なメモリデバイスを用いてコンピューティングデバイスにおいて実現され得るメモリに格納される。コンピュータプログラム命令はまた、たとえば、CD-ROM、フラッシュドライブなどの他の非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。また、当業者であれば、例示的な実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまなコンピューティングデバイスの機能が単一のコンピューティングデバイスに集約もしくは統合され得るか、または、特定のコンピューティングデバイスの機能が1つ以上の他のコンピューティングデバイスにわたって分散させられ得ることを認識するはずである。
【0060】
本明細書に記載される実施形態は単なる例示に過ぎない。当業者であれば、具体的に開示された実施形態からさまざまな代替的な実施形態を認識し得る。これらの代替的な実施形態もまた、本開示の範囲内に収まるよう意図されている。したがって、これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等例によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の較正回路を含むハウジングを備え、前記第1の較正回路は、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancelling:ANC)イヤホンのための較正シーケンスを実行するために第2の較正回路と協働するように構成されており、前記ハウジングはさらに、
前記ANCイヤホンを収容するように構成されるとともにユーザの耳の中で前記ANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成された空隙と、
前記第1の較正回路と結合されるとともに前記ANCイヤホンからの較正音波を測定するように構成された較正マイクロホンと、
較正音波を前記ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを含む、システム。
【請求項2】
前記ANCイヤホンを前記ハウジングの内部に音響的に封止するために前記ANCイヤホンを前記ハウジング内に封じ込めるように構成されたカバーをさらに備え、前記ハウジングの内部は、外部ノイズが前記ハウジングの内部に入り、前記較正シーケンスに干渉することを抑制するために音響的に制御された環境である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムはさらに、前記ハウジング内に収容された前記ANCイヤホンを備え、前記ANCイヤホンは、
前記ANCイヤホン内に内蔵されるとともに前記ANCイヤホンのための前記較正シーケンスを実行するように構成された前記第2の較正回路と、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホンスピーカ較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホンスピーカと、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホン外部マイクロホン較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホン外部マイクロホンと、
前記第2の較正回路によって処理されるイヤホン内部マイクロホン較正シーケンス中に較正されるように構成されたイヤホン内部マイクロホンとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記イヤホンスピーカ較正シーケンス中、前記較正音波が前記イヤホンスピーカから発せられ、前記発せられた較正音波は前記較正マイクロホンによって取込まれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記イヤホンスピーカのパラメータは、前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて更新される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ANCイヤホンは、前記イヤホンスピーカから前記較正マイクロホンまでの前記較正音波のための封じ込められた伝搬経路をもたらすために前記イヤホンスピーカが前記較正マイクロホンに面するように、前記ハウジングの前記空隙に位置決めされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記ANCイヤホンは、前記較正スピーカから前記イヤホン外部マイクロホンまでの前記較正音波のための封じ込められた伝搬経路をもたらすために前記較正スピーカが前記イヤホン外部マイクロホンに面するように、前記ハウジングの前記空隙に位置決めされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記イヤホン外部マイクロホン較正シーケンス中、前記較正音波が前記較正スピーカから発せられ、前記発せられた較正音波は前記イヤホン外部マイクロホンによって取込まれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記イヤホン外部マイクロホンのパラメータは、前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて更新される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記ユーザの耳に嵌め込まれている前記ANCイヤホンをシミュレートするために前記ANCイヤホンと結合されるように構成されたカプラを備える、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の較正回路は、無線接続によって前記イヤホンの前記第2の較正回路と協働するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記ハウジングはさらに、前記ANCイヤホンのバッテリを充電するために前記ANCイヤホン上の充電接点と結合されるように構成された充電接点を備えたバッテリ充電器を備える、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の較正回路は、
前記第2の較正回路と通信するように構成された無線インターフェイスと、
前記較正音波を生成するように構成されたオーディオコーデックとを含み、前記較正音波は、前記較正スピーカによって発せられるように構成される、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記ANCイヤホンは、耳嵌め込み型(in-ear)ANCイヤホン、耳乗せ型(on-ear)ANCイヤホン、または耳覆い型(over-the-ear)ANCイヤホンである、請求項1~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
アクティブノイズキャンセリング(ANC)イヤホンを較正するための方法であって、
前記ANCイヤホンの第2の較正回路をハウジングの第1の較正回路とペアリングするステップと、
前記第1の較正回路と通信する前記第2の較正回路によって、前記ANCイヤホン上で較正シーケンスを実行するステップとを含み、前記ハウジングは、
第1の較正回路を備え、前記第1の較正回路は、較正シーケンスを実行するために前記第2の較正回路と協働するように構成され、前記ハウジングはさらに、
前記第1の較正回路と結合されるとともに前記ANCイヤホンから較正音波を取込むように構成された較正マイクロホンと、
較正音波を前記ANCイヤホンに発するように構成された較正スピーカとを備える、方法。
【請求項16】
前記較正シーケンスは、
フィードフォワードANC較正シーケンス中に前記ANCイヤホンのフィードフォワードANC経路を較正するステップと、
フィードバックANC較正シーケンス中に前記ANCイヤホンのフィードバックANC経路を較正するステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記較正シーケンスはさらに、
前記較正スピーカによって、前記較正シーケンス中に有効にされた前記ANCで較正音波を発するステップと、
前記較正マイクロホンによって、前記発せられた較正音波を取込むステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記較正シーケンスはさらに、
前記発せられた較正音波を基準にして、前記取込まれた較正音波に基づいて、フィードフォワード経路の利得および/またはフィードバック経路の利得を更新するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記較正シーケンスは、再生キャンセレーション較正シーケンス中に、有効にされた前記ANCと、無効にされた前記ANCとで、前記ANCイヤホンの再生キャンセレーション経路を較正するステップを含む、請求項15~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ハウジングはさらに、
前記ANCイヤホンを収容するように構成されるとともにユーザの耳の中で前記ANCイヤホンをシミュレートするように輪郭形成された空隙と、
前記ハウジングの内部に前記ANCイヤホンを音響的に封止するために前記ANCイヤホンを前記ハウジング内に封じ込めるように構成されたカバーと備え、前記ハウジングの内部は、外部ノイズが前記ハウジングの内部に入り前記較正シーケンスに干渉することを抑制するために音響的に制御された環境である、請求項15~19のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】