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特表2022-553094スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法
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  • 特表-スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法 図1
  • 特表-スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/46 20060101AFI20221214BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20221214BHJP
   H02P 25/08 20160101ALI20221214BHJP
【FI】
B66D1/46 B
G05B11/36 Q
H02P25/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523969
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2021092975
(87)【国際公開番号】W WO2022012130
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202010672942.X
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521082684
【氏名又は名称】湖南科技大学
【氏名又は名称原語表記】Hunan University of Science and Technology
【住所又は居所原語表記】No.2, Shimatou, Yuhu District, Xiangtan City, Hunan Province, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 小平
(72)【発明者】
【氏名】厳 穎
(72)【発明者】
【氏名】趙 延明
(72)【発明者】
【氏名】黄 良沛
(72)【発明者】
【氏名】余 萍
【テーマコード(参考)】
5H004
5H501
【Fターム(参考)】
5H004GB20
5H004HB08
5H004HB10
5H004KA03
5H501DD09
5H501GG03
5H501JJ06
5H501JJ25
5H501LL01
5H501LL29
5H501LL32
(57)【要約】
本発明は、スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法を開示している。マリンウインチのヒーブ速度とスイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度に基づいて、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差を求め、得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御(GSSEC)アルゴリズムで処理して所定トルクを得て、実際のトルクに合わせて、トルク偏差を得て、スイッチトリラクタンスモータの所定磁束リンケージに基づいて、同時にその実際の磁束リンケージを測定して、磁束リンケージ偏差を得て、トルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、電力変換回路に制御信号を送り、電力変換回路内の電源スイッチのオン/オフを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マリンウインチのヒーブ速度とスイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度に基づいて、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差を求め、得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して所定トルクを得て、実際のトルクに合わせて、トルク偏差を得て、スイッチトリラクタンスモータの所定磁束リンケージに基づいて、同時にその実際の磁束リンケージを測定して、磁束リンケージ偏差を得て、トルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、電力変換回路に制御信号を送り、電力変換回路内の電源スイッチのオン/オフを制御する、
ことを特徴とするスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【請求項2】
(a)マリンウインチのヒーブ速度をリアルタイムに検出し、マリンウインチのアクティブヒーブ補償に対応するスイッチトリラクタンスモータの回転速度を求め、この回転速度をスイッチトリラクタンスモータの所定回転速度とするステップと、
(b)スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度を測定し、スイッチトリラクタンスモータの所定回転速度に合わせて、回転速度偏差を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して、スイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得るステップと、
(d)スイッチトリラクタンスモータの実際のトルクを測定して、ステップ(c)で得られた所定トルクに基づいて、トルク偏差を得るステップと、
(e)スイッチトリラクタンスモータの磁束リンケージを測定して、同時にその所定磁束リンケージに基づいて、その磁束リンケージ偏差を得るステップと、
(f)ステップ(d)と(e)で得られたトルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、ダイレクトトルク制御処理を行い、スイッチトリラクタンスモータの電力変換回路における対応する電源スイッチの制御信号を得るステップと、
(g)ステップ(f)で得られた制御信号に基づいて、電力変換回路における対応する電源スイッチのオン/オフを制御するステップと、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)におけるマリンウインチのヒーブ速度は、式(1)
【数1】
により、スイッチトリラクタンスモータの所定速度を求め、ここでは、nrefはスイッチトリラクタンスモータの所定速度で、vはマリンウインチのヒーブ速度で、Rはマリンウインチのリールの半径で、kはリールとスイッチトリラクタンスモータの変速比である、
ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、漸進的定常誤差制御(GSSEC)アルゴリズムを用いてスイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得るステップは、
現在のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k)、前回のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k-1)とし、非線形誤差アルゴリズムを用いて、式(2)
【数2】
により、現在のサンプリング時刻の制御出力u(k)を得て、ここでは、K、K1p、K2p(p=1,2,3,4)は、GSSEC制御パラメータで、且つ、K2p≧K1p>0で、vs(k)は、回転速度偏差△n(k)に基づいて、u(k)を調整する制御変数である、ステップc-1と、
前回のサンプリング時刻の所定トルクT (k-1)を収集し、式(3)
【数3】
により、今回のサンプリング時刻の制御出力u(k)を補正し、今回のサンプリング時刻の所定トルクT (k)を得る、ステップc-2と、
を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)の式(2)において、GSSEC制御パラメータK、K1p、K2p(p=1、2、3、4)を最適値にする、
ことを特徴とする請求項4に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【請求項6】
制御パラメータをK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)を最適化対象として、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化目標として、多目的最適化の満足度関数と適応度関数を構築して、フルーツフライ最適化アルゴリズムを用いて回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化して、制御パラメータK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)の最適値を決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マリンウインチのアクティブヒーブ補償(コンペンセーション)制御分野に関し、特にスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マリンウインチは、海洋科学の考察や海洋資源の探査・開発において重要な吊上げ・吊下げ装置である。海上風や波浪の強い非線形外乱が通常の海上作業に与える影響を克服するために、マリンウインチにアクティブヒーブ補償機能が求められるのは普通である。AC可変周波数ドライブは、現在、リンウインチアクティブヒーブ補償動力駆動の発展方向として、単純な構造、高い信頼性、簡単な調整などの利点があるが、ドライブ用AC可変周波数モータは、まだ大きな起動電流、低過負荷容量、低い力率などの不足があり、マリンウインチのアクティブヒーブ補償のために、頻繁な起動・制動、加速・減速、及び往復運動が要求され、このような運転状況にとって、全体的な運行効率が低く、エネルギー消費量が大きいため、アクティブヒーブ補償機能の普及に大きく影響している。
【0003】
スイッチトリラクタンスモータは、低い起動電流、高い起動トルク、単純で堅牢な構造、高い効率、高い耐障害性、広い調速範囲などの利点があり、マリンウインチ電気駆動システムへの応用に非常に適している。特に、マリンウインチのアクティブヒーブ補償のために、頻繁な起動・制動、加速・減速、及び往復運動が要求されるという運転状況にとって、スイッチトリラクタンスモータは効率の面で、AC可変周波数モータとは比べ物にならない優位性があるため、スイッチトリラクタンスモータをマリンウインチ電気駆動システムに応用することは重要な意義がある。しかし、マリンウインチのアクティブヒーブ補償制御では、マリンウインチが母船のヒーブ運動と同期して運転することを実現するために、その駆動モータは頻繁に正転・逆転し、その回転速度はリアルタイムに変化する運転状況にあり、モータの実際の回転速度がその時間変化による所定回転速度を正確に追跡することができないと、マリンウインチのアクティブヒーブ補償の同期制御要件を満たせないため、スイッチトリラクタンスモータの高性能回転速度制御方法の研究は、非常に重要な意義がある。
【0004】
現在、国内外ではスイッチトリラクタンスモータの高性能回転速度制御に関する一連の研究が行われており、自己補正Takagi-Sugeno-Kangファジィ制御(ATSKFC)やスーパートルクアルゴリズムに基づく2次スライディングモード制御(SOSMC)など多くの制御方法が提案され、一定の制御効果を得たが、時間変化による所定回転速度の運転状況にとって、その回転速度の追跡制御精度は依然として制御要件を満たすことが困難である。そのため、マリンウインチのアクティブヒーブ補償の同期制御要件を満たすために、スイッチトリラクタンスモータのより効果的な高性能追跡制御方法の研究は、重要な意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、スイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法を提供しており、前記方法は、マリンウインチのヒーブ速度とスイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度に基づいて、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差を求め、前記回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して、所定トルクを得て、実際のトルクに合わせて、トルク偏差を得て、スイッチトリラクタンスモータの所定磁束リンケージに基づいて、同時にその実際の磁束リンケージを測定して、磁束リンケージ偏差を得て、トルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、電力変換回路に制御信号を送り、電力変換回路内の電源スイッチのオン/オフを制御する。
【0007】
上記の技術的解決策のさらなる改善として、以下である。
好ましくは、上記方法は、
(a)マリンウインチのヒーブ速度をリアルタイムに検出し、マリンウインチのアクティブヒーブ補償に対応するスイッチトリラクタンスモータの回転速度を求め、この回転速度をスイッチトリラクタンスモータの所定回転速度とするステップと、
(b)スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度を測定し、スイッチトリラクタンスモータの所定回転速度に合わせて、回転速度偏差を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して、スイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得るステップと、
(d)スイッチトリラクタンスモータの実際のトルクを測定して、ステップ(c)で得られた所定トルクに基づいて、トルク偏差を得るステップと、
(e)スイッチトリラクタンスモータの磁束リンケージを測定して、同時にその所定磁束リンケージに基づいて、その磁束リンケージ偏差を得るステップと、
(f)ステップ(d)と(e)で得られたトルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、ダイレクトトルク制御処理を行い、スイッチトリラクタンスモータの電力変換回路における対応する電源スイッチの制御信号を得るステップと、
(g)ステップ(f)で得られた制御信号に基づいて、電力変換回路における対応する電源スイッチのオン/オフを制御するステップと、
を備える。
【0008】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(a)におけるマリンウインチのヒーブ速度は、式(1)
【数1】
により、スイッチトリラクタンスモータの所定速度を求め、ここで、nrefはスイッチトリラクタンスモータの所定速度で、vはマリンウインチのヒーブ速度で、Rはマリンウインチのリールの半径で、kはリールとスイッチトリラクタンスモータの変速比である。
【0009】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(c)では漸進的定常誤差制御(GSSEC)アルゴリズムを用いてスイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得て、具体的なステップは、以下である。
ステップc-1:現在のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k)とし、前回のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k-1)とし、非線形誤差アルゴリズムを用いて、式(2)
【数2】
により、現在のサンプリング時刻の制御出力u(k)を得て、ここで、K、K1p、K2p(p=1,2,3,4)は、GSSEC制御パラメータで、且つ、K2p≧K1p>0で、vs(k)は、回転速度偏差△n(k)に基づいて、u(k)を調整する制御変数である。
ステップc-2:前回のサンプリング時刻の所定トルクT (k-1)を収集し、式(3)
【数3】
により、今回のサンプリング時刻の制御出力u(k)を補正し、今回のサンプリング時刻の所定トルクT (k)を得る。
【0010】
好ましくは、上記方法において、前記ステップ(c)の式(2)において、GSSEC制御パラメータK、K1p、K2p(p=1、2、3、4)を最適値にする。
【0011】
好ましくは、上記方法において、制御パラメータをK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)を最適化対象として、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化目標として、多目的最適化の満足度関数と適応度関数を構築して、フルーツフライ(ショウジョウバエ、Drosophila)最適化アルゴリズムを用いて回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化して、制御パラメータK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)の最適値を決定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明におけるスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法は、従来技術と比較して以下のような利点がある。
(1)本発明のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法は、スイッチトリラクタンスモータをマリンウインチのアクティブヒーブ補償電気伝動システムに応用することを提案し、現在の最も先進的なのAC可変周波数電気伝動システムに比べて、その運行効率を大幅に改善し、さらにそのアクティブヒーブ補償制御システムの制御性能とシステム信頼性を効果的に向上させることができる。
(2)本発明のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法は、GSSEC制御法を用いて、スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度が時間変化による所定回転速度を正確的に追跡することを提案し、マリンウインチのアクティブヒーブ補償の同期制御要件を満たすことができる。この制御法は、被制御対象の正確な数学モデルに依存せず、シンプルなアルゴリズムと高精度な速度追跡制御などの特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明におけるスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法のフローチャートである。
図2】本発明におけるGSSEC制御原理のブロック図である。
図3】本発明におけるGSSEC制御パラメータ最適化のフローチャートである。
図4】本発明におけるフルーツフライ最適化アルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面に関し、本発明の実施形態をより具体的に説明する。本明細書に記載された実施形態は、本発明を例示し説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0015】
(a)マリンウインチのヒーブ速度vをリアルタイムに検出し、式(1)
【数4】
により、マリンウインチのアクティブヒーブ補償に対応するスイッチトリラクタンスモータの回転速度を求め、この回転速度をスイッチトリラクタンスモータの所定回転速度nrefとする。
ここで、Rはマリンウインチのリールの半径で、kはリールとスイッチトリラクタンスモータの変速比である。
【0016】
(b)スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度nを測定し、スイッチトリラクタンスモータの所定回転速度nrefに合わせて、回転速度偏差△nを得る。
【0017】
(c)ステップ(b)で得られた回転速度偏差△nを漸進的定常誤差制御(GSSEC)アルゴリズムで処理して、スイッチトリラクタンスモータの所定トルクT を得る。前記(GSSEC)処理は、以下のステップである。
【0018】
ステップc-1:現在のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k)とし、前回のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k-1)とし、非線形誤差アルゴリズムを用いて、式(2)
【数5】
により、現在のサンプリング時刻の制御出力u(k)を得て、ここで、K、K1p、K2p(p=1,2,3,4)は、GSSEC制御パラメータで、且つ、K2p≧K1p>0で、vs(k)は、回転速度偏差△n(k)に基づいて、u(k)を調整する制御変数である。
【0019】
ステップc-2:前回のサンプリング時刻の所定トルクT (k-1)を収集し、式(3)
【数6】
により、今回のサンプリング時刻の制御出力u(k)を補正し、今回のサンプリング時刻の所定トルクT (k)を得る。
【0020】
(d)多目的最適化満足度関数を構築するステップは、以下である。
【0021】
ステップd-1:前記最適化目標に対する△nと△Ψの満足度関数をそれぞれ構築する。
ここで、△nの満足度関数式は、以下である。
【0022】
【数7】
【0023】
△Ψの満足度関数式は、以下である。
【0024】
【数8】
【0025】
ステップd-2:多目的最適化満足度関数fを構築し、次式である。
f=k△n+k△Ψ (6)
ここで、kとkはそれぞれ最適化目標のウェイト係数であり、且つk+k=1である。
【0026】
(e)前記多目的最適化満足度関数fに基づいて、フルーツフライアルゴリズムの適応度関数を構築するステップは、以下である。
【0027】
ステップe-1:前記最適化目標のいずれかの満足度が対応する満足度閾値未満である場合は、対応する動的ペナルティ係数を設定する。
満足度f△nまたはf△Ψが対応する満足度閾値M△nまたはM△Ψ未満である場合は、対応する動的ペナルティ係数b△nまたはb△Ψを配置する。
【0028】
ここで、前記満足度閾値はそれぞれ、
【数9】
である。
【0029】
前記動的ペナルティ係数はそれぞれ、
【数10】
である。
【0030】
満足度f△n、f△Ψが対応する満足度閾値M△n、M△Ψ以上である場合は、その動的ペナルティ係数がb△n=1、b△Ψ=1である。
【0031】
ステップe-2:前記動的ペナルティ係数を設定した後、次式で多目的最適化適応度関数f(S(i))を設定する。
【0032】
【数11】
【0033】
ここで、iはフルーツフライ個体番号を示し、値の範囲が1、2...sizepopである。sizepopはフルーツフライの個体数で、Kは前記最適化対象K、K1p、K2p(p=1、2、3、4)で、S(i)は前記最適化対象Kのi番目のフルーツフライ個体に対応する味濃度判定値を示す。
【0034】
ステップe-3:多目的最適化の適応度値を味濃度Smellで示し、前記味濃度Smellの範囲は、0~1であり、前記味濃度Smellは、次式を満たす。
【0035】
【数12】
【0036】
(f)前記フルーツフライアルゴリズムの適応度関数に基づいて、最適化対象K、K1p、K2p(p=1、2、3、4)を繰り返し最適化し、最高な最適化対象を一組得るステップは、以下である。
【0037】
ステップf-1:初期化パラメータ(個体群N、最大繰り返し回数Maxgen、初期フルーツフライ群位置を含む)。
【0038】
ステップf-2:最適化対象のKとK2pのフルーツフライ個体を配置し、方向と距離をランダムに探し、i番目のフルーツフライ個体位置を得る。ここで、K2pのフルーツフライ個体位置
【数13】
は、式(9)に示すように、初期化フルーツフライ群の位置に基づいて求められる。
【0039】
【数14】
【0040】
ここで、
【数15】
はK2pのフルーツフライの個体位置の横座標を表し、
【数16】
はK2pのフルーツフライの個体位置の縦座標を表し、X′は初期化フルーツフライ群位置の横座標を表し、Y′は初期化フルーツフライ群位置の縦座標を表し、rand()はランダム値である。
【0041】
ステップf-3:ステップf-2で得られた最適化対象K2pのフルーツフライ個体位置に基づいて、同時に最適化対象K1pとK2pがK2p≧K1p>0を満たす条件に基づいて、最適化対象K1pのフルーツフライ個体位置を設定する。K1pのフルーツフライ個体位置
【数17】
は式(10)である。
【0042】
【数18】
【0043】
ここで、
【数19】
はK1pのフルーツフライ個体位置の横座標を表し、
【数20】
はK1pのフルーツフライ個体位置の縦座標を表し、aは0より大きい係数である。
【0044】
ステップf-4:前記最適化対象Kのi番目のフルーツフライ個体に対応する味濃度判定値S(i)を下式のように求める。
【0045】
【数21】
【0046】
ここで、X(i)は前記最適化対象Kのフルーツフライ個体位置の横座標を表し、Y(i)は前記最適化対象Kのフルーツフラの個体位置の縦座標を表す。
【0047】
ステップf-5:味濃度判定値S(i)に基づいて、前記最適化対象K、K1p、K2p(p=1,2、3,4)を一組得て、最適化対象に基づいて対応する△nと△Ψを求める。ここで、味濃度判定値と前記最適化対象は、以下の関係を満たす。
【0048】
【数22】
【0049】
ステップf-6:式(8)により、i番目の前記フルーツフライ個体の味濃度Smell(i)を求める。
【0050】
ステップf-7:i番目の前記フルーツフライ個体がフルーツフライ群の上限に達したかどうかを判断し、達した場合はステップf-8を実行し、そうでない場合はステップf-2を実行する。
【0051】
ステップf-8:味濃度が最も高いフルーツフライ個体をフルーツフライ群の最適個体として求め、最適フルーツフライ個体の味濃度と位置を保留する。
【0052】
ステップf-9:最大繰り返し回数Maxgenに達したかどうかを判断し、達した場合は、最適フルーツフライ個体の味濃度判定値、すなわち最適化対象K、K1p、K2p(p=1、2、3、4)の最適解を出力し、そうでない場合は繰り返し回数に1を加え、ステップf-2へ戻る。
【0053】
(g)スイッチトリラクタンスモータの実際のトルクTを測定して、ステップ(c)で得られた所定トルクT (k)に基づいて、トルク偏差△Tを得る。
【0054】
(h)スイッチトリラクタンスモータの磁束リンケージΨを測定して、同時にその所定磁束リンケージΨに基づいて、その磁束リンケージ偏差△Ψを得る。
【0055】
(i)ステップ(g)と(h)で得られたトルク偏差△Tと磁束リンケージ偏差△Ψに基づいて、ダイレクトトルク制御処理を行い、スイッチトリラクタンスモータの電力変換回路における対応する電源スイッチの制御信号を得る。
【0056】
(j)ステップ(i)で得られた制御信号に基づいて、電力変換回路における対応する電源スイッチのオン/オフを制御することで、スイッチトリラクタンスモータの実際のトルクとその所定トルクをほぼ一致させることができ、スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度がその所定回転速度を正確に追跡することを実現し、マリンウインチのアクティブヒーブ補償制御の目的を達成する。
【0057】
本発明によるGSSEC制御法について、その制御パラメータK、K1p、K2p(p=1、2、3、4)をフルーツフライアルゴリズムで最適化し、表1に示すような最適制御パラメータを一組得る。さらに、本発明によるGSSEC制御方法の有効性を説明するために、現在使用されている自己補正Takagi-Sugeno-Kangファジー制御(ATSKFC)とスーパートルクアルゴリズムに基づく2次スライディングモード制御(SOSMC)と比較・分析し、その関連結果を表2に示しており、ATSKFCとSOSMCの制御方法に対して、本発明によるGSSEC制御方法の回転速度の制御精度が高いことがわかる。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
なお、上記は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。本発明は、好ましい実施形態として記載されているが、本発明を限定することを意図するものではない。したがって、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明の技術的実体に従ってなされるあらゆる上記実施形態の単純な修正、均等な変更、及び修正が本発明の技術的解決策の保護範囲に含まれるものとする。
【0061】
(付記)
(付記1)
マリンウインチのヒーブ速度とスイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度に基づいて、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差を求め、得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して所定トルクを得て、実際のトルクに合わせて、トルク偏差を得て、スイッチトリラクタンスモータの所定磁束リンケージに基づいて、同時にその実際の磁束リンケージを測定して、磁束リンケージ偏差を得て、トルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、電力変換回路に制御信号を送り、電力変換回路内の電源スイッチのオン/オフを制御する、
ことを特徴とするスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【0062】
(付記2)
(a)マリンウインチのヒーブ速度をリアルタイムに検出し、マリンウインチのアクティブヒーブ補償に対応するスイッチトリラクタンスモータの回転速度を求め、この回転速度をスイッチトリラクタンスモータの所定回転速度とするステップと、
(b)スイッチトリラクタンスモータの実際の回転速度を測定し、スイッチトリラクタンスモータの所定回転速度に合わせて、回転速度偏差を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた回転速度偏差を漸進的定常誤差制御アルゴリズムで処理して、スイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得るステップと、
(d)スイッチトリラクタンスモータの実際のトルクを測定して、ステップ(c)で得られた所定トルクに基づいて、トルク偏差を得るステップと、
(e)スイッチトリラクタンスモータの磁束リンケージを測定して、同時にその所定磁束リンケージに基づいて、その磁束リンケージ偏差を得るステップと、
(f)ステップ(d)と(e)で得られたトルク偏差と磁束リンケージ偏差に基づいて、ダイレクトトルク制御処理を行い、スイッチトリラクタンスモータの電力変換回路における対応する電源スイッチの制御信号を得るステップと、
(g)ステップ(f)で得られた制御信号に基づいて、電力変換回路における対応する電源スイッチのオン/オフを制御するステップと、
を備える、
ことを特徴とする付記1に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【0063】
(付記3)
前記ステップ(a)におけるマリンウインチのヒーブ速度は、式(1)
【数23】
により、スイッチトリラクタンスモータの所定速度を求め、ここでは、nrefはスイッチトリラクタンスモータの所定速度で、vはマリンウインチのヒーブ速度で、Rはマリンウインチのリールの半径で、kはリールとスイッチトリラクタンスモータの変速比である、
ことを特徴とする付記2に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【0064】
(付記4)
前記ステップ(c)において、漸進的定常誤差制御(GSSEC)アルゴリズムを用いてスイッチトリラクタンスモータの所定トルクを得るステップは、
現在のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k)、前回のサンプリング時刻の回転速度偏差を△n(k-1)とし、非線形誤差アルゴリズムを用いて、式(2)
【数24】
により、現在のサンプリング時刻の制御出力u(k)を得て、ここでは、K、K1p、K2p(p=1,2,3,4)は、GSSEC制御パラメータで、且つ、K2p≧K1p>0で、vs(k)は、回転速度偏差△n(k)に基づいて、u(k)を調整する制御変数である、ステップc-1と、
前回のサンプリング時刻の所定トルクT (k-1)を収集し、式(3)
【数25】
により、今回のサンプリング時刻の制御出力u(k)を補正し、今回のサンプリング時刻の所定トルクT (k)を得る、ステップc-2と、
を備える、
ことを特徴とする付記3に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【0065】
(付記5)
前記ステップ(c)の式(2)において、GSSEC制御パラメータK、K1p、K2p(p=1、2、3、4)を最適値にする、
ことを特徴とする付記4に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
【0066】
(付記6)
制御パラメータをK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)を最適化対象として、スイッチトリラクタンスモータの回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化目標として、多目的最適化の満足度関数と適応度関数を構築して、フルーツフライ最適化アルゴリズムを用いて回転速度偏差△nと磁束リンケージ偏差△Ψを最適化して、制御パラメータK、K1p、K2p(p=1,2,3,4)の最適値を決定する、
ことを特徴とする付記5に記載のスイッチトリラクタンスモータ駆動のマリンウインチのアクティブヒーブ補償制御方法。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】