(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】腸内徐放性糖アルコール添加剤及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20221214BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20221214BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221214BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20221214BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20221214BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20221214BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20221214BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20221214BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20221214BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20221214BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20221214BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20221214BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A61K9/24
A61K47/36
A61K31/047
A61K35/745
A61K31/714
A61P1/00
A61K31/7004
A61K35/747
A23L29/256
A23L29/269
A23L29/238
A23L5/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523974
(86)(22)【出願日】2021-02-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2021075696
(87)【国際公開番号】W WO2021160054
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202010087312.6
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向 沙沙
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲シュアン▼
(72)【発明者】
【氏名】石 ▲麗▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】叶 昆
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
4C076
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、腸内徐放性糖アルコール添加剤に関し、この腸内徐放性糖アルコール添加剤は、2層構造を含み、内層構造にはキシリトールと寒天の成分が含まれ、外層構造には、カラギーナン又はゲランガム又はキサンタンガム又はグアーガム、ビタミンB12、L-アラビノース及び発酵したビフィドバクテリウム又は発酵したプロピオニバクテリウム又は発酵したラクトバチルスの成分が含まれる。本発明は、腸内徐放性糖アルコール添加剤を製造する方法及びその応用をさらに開示する。本発明は、複合されたキシリトール、L-アラビノース及びビタミンB12を使用することによって、腸管微生物の指向性制御を実現し、腸内のプロピオン酸の高濃度合成を実現する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層構造を備え、内層構造にはキシリトールと寒天の成分が含まれ、外層構造には、カラギーナン又はゲランガム又はキサンタンガム又はグアーガムと、ビタミンB12と、L-アラビノースと、発酵したビフィドバクテリウム又は発酵したプロピオニバクテリウム又は発酵したラクトバチルスの成分が含まれる、ことを特徴とする腸内徐放性糖アルコール添加剤。
【請求項2】
前記糖アルコール添加剤において、含まれたキシリトールと、L-アラビノースと、ビタミンB12との成分比は、1~33:1:0.005である、ことを特徴とする請求項1に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法であって、
キシリトールと寒天を混合し、滅菌し、ボールミルに入れて放冷してキシリトール寒天ビーズを製造するステップ1と、
カラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液を調製し、ビタミンB12とL-アラビノースをカラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液に加えて均一に混合して混合液を得、該混合液によってステップ1のキシリトール寒天ビーズを包み、混合液により包まれたキシリトール寒天の2層のガムビーズを得るステップ2と、
ステップ2で製造された2層のガムビーズを、発酵したビフィドバクテリウム培養液又は発酵したプロピオニバクテリウム培養液又は発酵したラクトバチルス培養液に入れて培養し、培養後に取り出し、冷凍するか又は熱風で乾燥させ、糖アルコール添加剤完成品を得るステップ3とを含む、ことを特徴とする腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法。
【請求項4】
ステップ1において、寒天の濃度は、2%であり、滅菌条件は、121℃で15min滅菌することである、ことを特徴とする請求項3に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法。
【請求項5】
ステップ2において、カラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液を調製する方法は、2gのカラギーナン又はゲランガム又はキサンタンガム又はグアーガムを秤取し、100mLの蒸留水に溶解し、121℃で15min滅菌し、温度50℃~60℃に冷却するステップを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法。
【請求項6】
ステップ3において、発酵したビフィドバクテリウム培養液又は発酵したプロピオニバクテリウム培養液又は発酵したラクトバチルス培養液におけるビフィドバクテリウム又はプロピオニバクテリウム又はラクトバチルスの濃度は、10
9CFU/mLであり、2層のガムビーズを発酵したビフィドバクテリウム培養液又は発酵したプロピオニバクテリウム培養液又は発酵したラクトバチルス培養液に入れて24h培養し、冷凍又は熱風乾燥の条件は、1h~24h凍結乾燥するか又は30min熱風乾燥することである、ことを特徴とする請求項3に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法。
【請求項7】
前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用。
【請求項8】
前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される、ことを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法で製造された腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸内徐放性製品の製造の技術分野に属し、特に腸内徐放性糖アルコール添加剤及びその製造方法並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピオン酸は吸収された後、主に肝臓で代謝されて糖新生に関与し、コレステロール合成を阻害するが、さまざまな研究により、外因性の摂取と自体の生じたプロピオン酸の作用は同じではないことが示されている。外因性のプロピオン酸は、個人の多くの代謝プロセスに重要な影響を及ぼす。プロピオン酸(propionate)は、短鎖脂肪酸であり、通常の状況では、人体中の微生物は、結腸で不完全に消化されていない炭水化物を発酵させてプロピオン酸を生成することができる。これらのプロピオン酸は人体に有益である一方、外因性のプロピオン酸は、短期的には高血糖と高インスリンを引き起こす可能性があり、長期摂取は肥満やインスリン抵抗性などのより深刻な症状を引き起こす。
【0003】
フルクトオリゴ糖、多糖類は、腸管でプロピオン酸を生成する機能がある。しかし、オリゴフルクトースも多糖類も、定点かつ高濃度でプロピオン酸を合成することはできない。多糖類は、腸内利用率が高くなく、鼓腸などの問題を起こしやすい。フルクトースオリゴ糖はまた、過剰なガス生成や不安定な酸生成などの問題を引き起こし、さらに、フルクトースの過剰な生成のため、肝臓代謝障害を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術課題は、体の健康を促進するとともに、プロピオン酸による代謝副作用を除去し、糖アルコール添加剤の腸管内での緩慢放出と結腸内の定点放出を実現するために、腸内徐放性糖アルコール添加剤及びその製造方法並びに応用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のように実現される。腸内徐放性糖アルコール添加剤を提供し、腸内徐放性糖アルコール添加剤は、2層構造を含み、内層構造にはキシリトールと寒天の成分が含まれ、外層構造には、カラギーナン又はゲラン又はキサンタンガム又はグアーガム、ビタミンB12、L-アラビノース及び発酵したビフィドバクテリウム又は発酵したプロピオニバクテリウム又は発酵したラクトバチルスの成分が含まれる。
【0006】
本発明は、以下のように実現される。以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法をさらに提供し、この方法は、
キシリトールと寒天を混合し、滅菌し、ボールミルに入れて放冷してキシリトール寒天ビーズを製造するステップ1と、
カラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液を調製し、ビタミンB12、L-アラビノースをカラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液に加えて均一に混合して混合液を得、そして、該混合液によってステップ1のキシリトール寒天ビーズを包み、混合液により包まれたキシリトール寒天の2層のガムビーズを得るステップ2と、
ステップ2で製造された2層のガムビーズを発酵したビフィドバクテリウム培養液又は発酵したプロピオニバクテリウム培養液又は発酵したラクトバチルス培養液に入れて培養し、培養後に取り出し、冷凍するか又は熱風で乾燥させ、糖アルコール添加剤完成品を得るステップ3とを含む。
【0007】
本発明は、以下のように実現される。以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用をさらに提供し、前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される。
【0008】
本発明は、以下のように実現される。以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法で製造された腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用をさらに提供し、前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される。
【発明の効果】
【0009】
従来技術に比べて、本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤及びその製造方法並びに応用は、以下の特徴を有する。
1.キシリトール、L-アラビノース及びビタミンB12を使用することによって、腸管微生物の指向性調節を実現し、腸内のプロピオン酸の高濃度合成を実現する。
2.多層包埋技術を用いて、腸管内の糖アルコールの徐放および多層放出を実現する。
3.本方法のビーズ技術は、ビフィドバクテリウム類又はプロピオニバクテリウム類又はラクトバチルス類製品の安定性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤中のキシリトール成分の胃、小腸及び結腸消化をシミュレートする過程における含有量の変化の模式図である。
【
図2】本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤中のアラビノース成分の胃、小腸及び結腸消化をシミュレートする過程における含有量の変化の模式図である。
【
図3】本発明の2層のガムビーズ製品と腸内徐放性糖アルコール添加剤完成品の結腸をシミュレートする実験におけるにおけるビフィドバクテリウム属の相対的存在量の比較模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明が解決しようとする技術課題、技術的解決手段および有益な効果をより明確にするために、以下は、添付の図面および実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0012】
本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤は、2層構造を含み、内層構造にはキシリトールと寒天の成分が含まれ、外層構造には、カラギーナン又はゲランガム又はキサンタンガム又はグアーガム、ビタミンB12、L-アラビノース及び発酵したビフィドバクテリウム又は発酵したプロピオニバクテリウム又は発酵したラクトバチルスの成分が含まれる。
【0013】
具体的には、前記糖アルコール添加剤において、含まれたキシリトールと、L-アラビノースと、ビタミンB12との成分比は、1~33:1:0.005である。
【0014】
本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤は、キシリトールと、L-アラビノースと、ビタミンB12とによって配合され、L-アラビノースは、キシルロースのアラビノースアルコールへの代謝を遅くし、代謝の流れを抑制する。ビタミンB12でプロピオン酸の代謝経路を増加させることによって、先ず、腸内細菌科とラクノスピラ科の、キシリトール関連の遺伝子発現増加を誘発し、それにより、キシリトールのPPP pathway経路への代謝を増加させ、キシルロースのアラビノースアルコール経路への代謝を弱め、プロピオン酸の合成量を増加させる。
【0015】
本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤は、2層構造を用い、キシリトールをコアとし、カラギーナンなどの食用ガムを使用してL-アラビノースとビタミンB12の2層のガムを製造し、キシリトールとL-アラビノースの腸管内での徐放と結腸内での定点放出を実現する。
【0016】
本発明は、以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法をさらに開示し、ステップ1~ステップ3を含む。
【0017】
ステップ1において、キシリトールと寒天を混合し、滅菌し、ボールミルに入れて放冷してキシリトール寒天ビーズを製造する。
【0018】
ステップ2において、カラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液を調製し、ビタミンB12、L-アラビノースをカラギーナン溶液又はゲランガム溶液又はキサンタンガム溶液又はグアーガム溶液に加えて均一に混合して混合液を得、そして、該混合液をステップ1のキシリトール寒天ビーズを包み、混合液により包まれたキシリトール寒天の2層のガムビーズを得る。
【0019】
ステップ3において、ステップ2で製造された2層のガムビーズを発酵したビフィドバクテリウム培養液又は発酵したプロピオニバクテリウム培養液又は発酵したラクトバチルス培養液に入れて培養し、培養後に取り出し、冷凍するか又は熱風で乾燥させ、糖アルコール添加剤完成品を得る。
【0020】
本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法については、特定の実施例を併せて以下にさらに説明する。
【0021】
(実施例1)
本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法の実施例1は、ステップ1~ステップ3を含む。
【0022】
ステップ1において、所定量のキシリトールを秤取して2%の寒天と混合し、121℃で15min滅菌し、55℃に冷却するとき、使い捨ての滅菌プラスチックスポイトボトルを使用してボールミルに移し、放冷してキシリトール寒天ビーズを製造した。
【0023】
ステップ2において、2gのカラギーナンを秤取し、100mLの蒸留水に溶解し、121℃で15min滅菌し、50℃~60℃に冷却し、温度が60℃以下であると、ビタミンB12の安定化に有利であり、遮光下で、滅菌L-アラビノースとビタミンB12を混合処方の比率の1:0.005に従ってカラギーナン溶液に加えて均一に混合し、滅菌クリーンベンチにおいてキシリトール寒天ビーズに包んで処方比率が1~33:1:0.005の2層のガムビーズを製造した。
【0024】
ステップ3において、ステップ2で製造された2層のガムビーズを総体積の1:3に従ってビフィドバクテリウム発酵(109CFU/mL)液に添加し、24時間静止培養し、培養後に菌付きビーズを取り出して1h~24h凍結乾燥するか又は30min熱風乾燥し、糖アルコール添加剤完成品を得た。
【0025】
上記実施例において、ビフィドバクテリウムをプロピオニバクテリウム又はラクトバチルスに置き換えると、新しい実施例を得た。
【0026】
本実施例で製造された腸内徐放性糖アルコール添加剤を選択して、胃消化、小腸消化及び結腸消化をシミュレートする実験を行って認証した。実験方法は、以下のとおりであった。
【0027】
1)シミュレートされた胃液の用意:0.62gのNaCl、0.22gのKCl、0.05gのCaCl2、0.12gのNaHCO3を200mLの蒸留水に溶解し、0.1MのHCl溶液でpHを2.0に調節し、胃液培地を得た。次に、1.0mLのCH3COONa(1.0mol/L、pH5)、23.6gのペプシン及び25.0gの胃リパーゼのそれぞれを100mLの胃培地に添加し、次に培地のpH値を0.1MのHCl溶液で2.0に調整した。
【0028】
2)シミュレートされた胃液の消化:キシリトールの1%~5%の用量に応じて、実施例1の糖アルコール添加剤完成品のビーズをシミュレートされた胃液の体積と1:1で混合し、37℃で0.5h、1h、2h、4h、6h水浴し、消化後のサンプルをそれぞれ取り出した。
【0029】
3)シミュレートされた小腸消化液の製造:0.54gのNaCl、0.065gのKCl、0.033gのCaCl2を100mLの蒸留水に溶解し、0.1MのNaOH溶液でpHを7.0に調節し、小腸培地を製造した。小腸培地に6.5mgのトリプシン、200.0gのコール酸塩(4%、w/w)及び50.0gのパンクレアチン液(7%、w/w)をそれぞれ添加した。0.1MのNaOH溶液を用い、室温で連続的に撹拌し、溶液pHを7.5に調節し、小腸消化液をシミュレートした。
【0030】
4)シミュレートされた小腸消化:シミュレートされた胃液で消化された後のサンプルを小腸液と体積比3:7でそれぞれ混合し、37℃で0.5h、1h、2h、4h、6h水浴し、消化後のサンプルをそれぞれ取り出した。
【0031】
5)実施例1の2層のガムビーズサンプル(ビフィドバクテリウム菌が包埋されていない)と糖アルコール添加剤完成品のビーズサンプル(ビフィドバクテリウム菌が包埋されている)をキシリトールの1%~5%の用量で、CDMN(Chang Dao Mo Ni)結腸インビトロシミュレーションシステムに補充し、結腸消化をシミュレートした24h、48h後のビーズサンプルを収集した。
【0032】
6)HPLCを用いてそれぞれ胃消化をシミュレート、小腸消化をシミュレート、結腸消化をシミュレートした後に、ビーズに残されるキシリトール、アラビノースの含有量、及びビフィドバクテリウム属の存在量を測定し、
図1~
図3に示す比較曲線を得た。
【0033】
図1及び
図2に示すように、キシリトール:アラビノース=25:1のビーズを例とすると、各ビーズ中のキシリトール含有量は、1g、アラビノース含有量は、0.04gであった。前の6時間は、胃消化、6~12時間は、小腸消化、12~60時間は、大腸微生物で消化された後のビーズ中のキシリトールとアラビノースの含有量であった。従来の実験データ(キシリトールの小腸吸収率は、60%、アラビノースの吸収率は、70%)に比べて、本発明のビーズ中のキシリトールの吸収率は、15%だけであり、アラビノースの吸収率は、25%だけであり、結腸での累積放出率はそれぞれ、95%ほどであった。本発明のビーズは、アラビノースとキシリトールに対して緩慢放出と定点放出の効果を果たすことができることを示した。
【0034】
図3に示すように、本発明のビーズ内のビフィドバクテリウム包埋(糖アルコール添加剤完成品)は、非包埋(2層のガムビーズ製品)に比べて、ビーズ中のビフィドバクテリウムの相対的存在量を有意に促進することができ、それにより、結腸中のビフィドバクテリウムの相対的な存在量を促進した。
【0035】
従って、本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤は、多層包埋技術を使用し、腸管内の糖アルコール徐放および多層放出を実現し、結腸中のビフィドバクテリウムの相対的な存在量を促進した。
【0036】
本発明は、以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用をさらに開示し、前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される。
【0037】
本発明は、以上に記載の腸内徐放性糖アルコール添加剤の製造方法で製造された腸内徐放性糖アルコール添加剤の使用をさらに開示し、前記糖アルコール添加剤は、食品に適用される。
【0038】
たとえば、本発明の腸内徐放性糖アルコール添加剤は、人体結腸内のプロピオン酸の生成を促進し、腸管の健康を調節するために、飲料およびケーキに使用される。
【0039】
以上の説明は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則において行われるいかなる修正、均等置換や改善なども、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】