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特表2022-553112粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸及びその製造方法
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  • 特表-粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/04 20060101AFI20221214BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 5/32 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 5/22 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 4/02 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 10/02 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 5/253 20060101ALI20221214BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
D02G3/04
D01F8/14 B
D01D5/32
D01D5/22
D01D4/02
D01D10/02
D01D5/253
D01D5/08 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535676
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2020095508
(87)【国際公開番号】W WO2021128753
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911351589.9
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】陳 瑞
(72)【発明者】
【氏名】范 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
【テーマコード(参考)】
4L036
4L041
4L045
【Fターム(参考)】
4L036MA05
4L036MA17
4L036MA20
4L036PA01
4L036PA03
4L036PA10
4L036PA28
4L036PA42
4L036RA04
4L036RA13
4L036UA07
4L041AA07
4L041AA15
4L041AA20
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA09
4L041BA32
4L041BA33
4L041BA59
4L041BB05
4L041BB07
4L041BC05
4L041BC17
4L041BD13
4L041CA06
4L041DD01
4L041DD04
4L041DD10
4L041EE09
4L045AA05
4L045BA10
4L045BA17
4L045BA49
4L045CA29
4L045CA32
4L045DA09
4L045DA19
4L045DB01
(57)【要約】
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸を同一の紡糸口金において圧出する、粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法であって、高粘度PET融体を二つに枝分かれさせて、一方の流路は分配後に直接圧出し、他方の流路は低粘度PET融体と一緒に並列複合紡糸の方式で分配後に圧出し、圧出後、FDY工程によりFDYを製造し、緩和熱処理を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸を同一の紡糸口金において圧出する、粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法であって、
高粘度PET融体を二つの流路に枝分かれさせて、一方の流路は分配後に直接圧出し、他方の流路は低粘度PET融体と一緒に並列複合紡糸の方式で分配後に圧出し、
前記直接圧出した流路の吐出孔mと、前記並列複合紡糸の方式で分配後に圧出する流路の吐出孔nの数量比は1:6~8であり、
圧出後、FDY工程によりFDYを製造し、緩和熱処理を行い、粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸を得る、
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項2】
吐出孔nを経た前記高粘度PET融体の質量と前記低粘度PET融体の質量比は50:50であり、前記吐出孔mと前記吐出孔nとの等価直径の比が1:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項3】
前記吐出孔mは円形、楕円形、三角形、Y形、十字形、「8」形、長方形または一字形の吐出孔であり、前記吐出孔nは円形、楕円形または「8」形の吐出孔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項4】
すべての吐出孔は同心円を成すように位置し、同一円上の吐出孔はいずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり、最外周の円における吐出孔は、いずれも前記吐出孔nである、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項5】
前記FDY工程のパラメータは、冷却温度が20~25℃、インターレースノズル圧力が0.20~0.30MPa、第1ローラ速度が2200~2400m/min、第1ローラ温度が85~95℃、第2ローラ速度が3500~3700m/min、第2ローラ温度が150~160℃、巻取速度が3430~3610m/minであり、緩和熱処理の温度が90~120℃、処理時間が20~30minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項6】
前記吐出孔mは、導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順に連接して構成され、前記吐出孔nは、導入孔D、過渡孔及びキャピラリーの順に連接して構成され、前記導入孔Eは分配孔Aと接続し、前記導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続し、前記分配孔A、前記分配孔B及び前記分配孔CはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、前記枝分かれは、前記高粘度PET融体を、スピニングビームIを経て前記分配孔Aと前記分配孔Bに送るとともに、前記低粘度PET融体を、スピニングビームIIを経て前記分配孔Cへ送る、
ことを特徴とする請求項5に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項7】
前記高粘度PET融体の固有粘度は0.70~0.75dL/g、前記スピニングビームIの温度は284~286℃、前記低粘度PET融体の固有粘度は0.50~0.55dL/g、前記スピニングビームIIの温度は270~275℃、前記スピニングビームIIIの温度は278~283℃である、
ことを特徴とする請求項6に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法により製造される粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸であって、高粘度PETモノフィラメントと、高粘度PET/低粘度PET並列複合モノフィラメントとからなり、前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸におけるモノフィラメントの巻縮方向が不規則に分布している、
ことを特徴とする粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸。
【請求項9】
巻縮収縮率が50~53%、巻縮安定度が85~87%、巻縮伸長率が93~98%、巻縮弾性回復率が95~96%である、
ことを特徴とする請求項8に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸。
【請求項10】
破断強度が2.9cN/dtex以上、破断伸長率が43.0±5.0%、総繊度が100~200dtexである、
ことを特徴とする請求項8に記載の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性繊維は生地において取って代わられない役割を担って、紡績業の中で非常に重要な地位を占める。そのうち、並列に複合して作ってあげる自発巻縮繊維は弾性繊維の重要な分岐点として、いつも活発な研究課題である。
【0003】
現在、二成分並列型複合繊維に関する開発と応用は多いが、大部分は性能の異なる二つのポリエステルまたは改質ポリエステルより溶融紡糸で作ってあげた複合繊維である。特に、PET及びPTTを原料とする複合繊維は最も広く応用されており、代表的な一つはDuPont社のT400である。そんな複合繊維は加熱によって収縮させるとコイル状の立体巻縮を生じて生地に優れた嵩高性、高い伸縮性及び良いカバー性を与えて、紡績や衣類などの分野に広く用いられている。しかしながら、原料のPTTの価格は比較的高いため、その複合繊維製品の量産がある程度で制限されてしまう。
【0004】
なお、環境配慮の循環経済は現在の世界経済発展の主流となっている。資源不足と環境問題の深刻化のため、生地のリサイクルもますます重視されている。ところが、生地から多様の高分子素材を選別・分離してくるのは困難で高コストである。
【0005】
中国特許出願のCN201420425923.7は、異なる粘度のPETペレットによりスピニングビーム温度の制御で並列型複合繊維を製造し、得られたPET複合繊維が良い弾性と強度を持ってポリエステル弾性糸製品に適用でき、生産コストが安く、さらに作った生地が優れた弾性と手触り、耐塩素漂白性、耐薬品性があることを掲載した。しかしながら、このPET複合繊維は織物しかに適用できなくて、さらに編物、特に平編物に応用されると、熱収縮に当った並列型二成分繊維に均一で位相にズレがない巻縮形態が生じやすいため、得られた編物の表面に不規則な帯状むらがある。
【0006】
それゆえ、編物に応用する際、不規則な帯状むらが出ない粘度の異なるPETに基づく二成分弾性繊維を開発することは意味深い課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の高粘度PET/低粘度PET並列型二成分繊維による編物の不規則な帯状むらに関する問題を克服し、一種の粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維の一部を、高粘度PET繊維に置き換える方式を用いる。高粘度PET繊維と高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維とは、収縮方式と形態が異なるため、純粋な高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維を破壊して、整った左右の螺旋形態を形成し、高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維により製造される編物に存在する「不規則な帯状むら」問題を解決する。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
【0010】
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸を同一の紡糸口金において圧出する、粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法であって、
高粘度PET融体を二つの流路に枝分かれさせて、一方の流路は分配後に直接圧出し、他方の流路は低粘度PET融体と一緒に並列複合紡糸の方式で分配後に圧出し、
前記直接圧出した流路の吐出孔mと、前記並列複合紡糸の方式で分配後に圧出する流路の吐出孔nの数量比は1:6~8であり、
圧出後、FDY工程によりFDYを製造し、緩和熱処理を行い、粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸を得る、
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法。
【0011】
具体的に、本発明においては、高粘度PET融体を二つの流路に枝分かれさせて、一方の流路は分配後に直接圧出し、他方の流路は低粘度PET融体と一緒に並列複合紡糸の方式で分配後に圧出することで「置き換え」を実現する。これに対応させて、分配孔と導入孔の数量及び位置関係を合理的に設置することで分流が順調に行われるよう保証する。また、本発明においては、直接圧出する流路の吐出孔mと、前記並列複合紡糸の方式で分配後に圧出する流路の吐出孔nの数量比を制御し、置き換え部分が全体に占める比率を適度に保証し、不規則な帯状むらの問題を有効に解決するだけでなく、高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維の良い性能を保持する。また、本発明においては、吐出孔mと吐出孔nとを同心円状に配列し、さらに吐出孔mを同心円の内側円にできるだけ多く位置するようにし、高粘度PET繊維が高粘度PET/低粘度並列型複合繊維群中に充分混在するよう保証し、純粋な高粘度PET/低粘度PETによる並列型複合繊維を破壊して、整った左右の螺旋形態を形成するという作用を発揮させる。また、本発明においては、スピニングビームI、II及びIIIの温度を合理的に設定し、高粘度PET融体の固有粘度(0.70~0.75dL/g)と低粘度PET融体の固有粘度(0.50~0.55dL/g)を相互に調製し、との両方に応じて制御してそれらの見かけ粘度を接近させて、吐出孔から圧出される高粘度PET成分と低粘度PET成分の見かけ粘度を近づけて、順調な紡糸を保証する。また、本発明においては、吐出孔の形状を調整する必要がなく、汎用の一成分口金孔と複合紡糸口金孔を適用すればよい。また、本発明においては、FDY工程を用い、FDY工程のパラメータを合理的に設定して、巻縮性や弾性が良好な、総合性能が良い製品を得る。
【0012】
発明原理は以下の通りである。
【0013】
従来技術による高粘度PET/低粘度PET二成分並列型複合繊維のコイル状の立体巻縮は、力を加えるとまっすぐに伸びるが、除荷すればもとに戻ることがある。実に、一束の高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維においては、位相均一のコイルと不規則な巻縮とのセグメントが同時に混在し、それらの長さまたは立地がランダム分布する。異なる巻縮形態のセグメントは一致しない配列方向と違う力学的応答挙動があるため、高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維は編物に応用されると、光の反射する効果と応力挙動が不均一だから、突起または陥没が編物表面に生じ明暗のランダムに変化する不均一な縞模様が見出される。これは「不規則な帯状むら」ということである。
【0014】
本発明は、緩和熱処理に当たるとコイル状の立体巻縮が生じる高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維と、緩和熱処理に当たると巻縮しない高粘度PETモノフィラメントとを混在させて、モノフィラメントによって複合繊維の巻縮均整性を破壊する。その上、複合繊維が混繊糸に弾性を与えモノフィラメントが複合繊維の巻縮均整性を破壊する。高粘度PETモノフィラメントの数量が多すぎると弾性が見出されず、少なすぎると巻縮均整性が破壊できないから、本発明においては高粘度PETモノフィラメントの吐出孔mと高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維の吐出孔nとの数量比率が1:6~8とする。したがって、混繊糸の弾性を保証しながら複合繊維の巻縮をそれぞれ異なった形態にして、その編物の不規則な帯状むらを消除する。
【0015】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0016】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、吐出孔nを経た前記高粘度PET融体の質量と前記低粘度PET融体の質量比は50:50であり、前記吐出孔mと前記吐出孔nとの等価直径の比は1:1である。
【0017】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、吐出孔mは円形、楕円形、三角形、Y形、十字形、「8」形、長方形または一字形の吐出孔であり、前記吐出孔nは円形、楕円形または「8」形の吐出孔である。本発明において、吐出孔m及び吐出孔nの形状は、特別な調整をする必要がなく、汎用の一成分口金孔と複合紡糸口金孔を適用すれば要求を満たすことができる。
【0018】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、すべての吐出孔は同心円を成すように位置し、同一円上の吐出孔はいずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり、最外周の円における吐出孔は、いずれも前記吐出孔nである。これにより、高粘度PETモノフィラメントの高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維へのよく混在することを保証する。さもないと、より多くの高粘度PETモノフィラメントは混繊糸の外周側に位置して高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維の均整な巻縮形態に影響を及ぼさない。
【0019】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、FDY工程のパラメータは、冷却温度が20~25℃、インターレースノズル圧力が0.20~0.30MPa、第1ローラ速度が2200~2400m/min、第1ローラ温度が85~95℃、第2ローラ速度が3500~3700m/min、第2ローラ温度が150~160℃、巻取速度が3430~3610m/minであり、緩和熱処理の温度が90~120℃、処理時間が20~30minである。
【0020】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、吐出孔mは、導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順に連接して構成され、前記吐出孔nは、導入孔D、過渡孔及びキャピラリーの順に連接して構成され、前記導入孔Eは分配孔Aと接続し、前記導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続し、前記分配孔A、前記分配孔B及び前記分配孔CはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、前記枝分かれは、前記高粘度PET融体を、スピニングビームIを経て前記分配孔Aと前記分配孔Bに送るとともに、前記低粘度PET融体を、スピニングビームIIを経て前記分配孔Cへ送る。
【0021】
前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、高粘度PET融体の固有粘度は0.70~0.75dL/g、前記スピニングビームIの温度は284~286℃、前記低粘度PET融体の固有粘度は0.50~0.55dL/g、前記スピニングビームIIの温度は270~275℃、前記スピニングビームIIIの温度は278~283℃である。紡糸順調を保証するために、なるべく同じ吐出孔より圧出した二つの成分の流動挙動を一致することが必要であり、すなわちそれらの見かけ粘度(同類のポリマーには見かけ粘度が高いほど悪い流動挙動になる)を接近させなければならない。高粘度PETまたは低粘度PETの見かけ粘度は温度によって調整できるので、本発明は高粘度PETと低粘度PETとの固有粘度に応じるスピニングビームI、II及びIIIの温度制御によって、紡糸順調を保証する。具体的に、高粘度PETを高温で融解し低粘度PETを低温で融解し(これで低粘度PETの熱分解も低減できる)、異なるスピニングビームからの温度差がある二つの成分は同じパックに輸送し熱交換が生じ、高粘度PETの(紡糸)温度が低くなり低粘度PETの(紡糸)温度が高くなり、それで二つの成分の見かけ粘度を接近させる。
【0022】
本発明は前記製造方法による異なるPETに基づく二成分弾性糸も提供する。それは高粘度PETモノフィラメントと、高粘度PET/低粘度PET並列複合モノフィラメントとからなり、前記粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸におけるモノフィラメントの巻縮方向が不規則に分布している。不規則に分布とは、数学の概念であり、各繊維の巻縮形態がその他の繊維と異なり、これにより、不規則な帯状むらが存在しない編物が得られる。
【0023】
前記の好適態様による異なるPETに基づく二成分弾性糸は、
巻縮収縮率が50~53%、巻縮安定度が85~87%、巻縮伸長率が93~98%、巻縮弾性回復率が95~96%である。
【0024】
前記の好適態様による異なるPETに基づく二成分弾性糸は、
破断強度が2.9cN/dtex以上、破断伸長率が43.0±5.0%、総繊度が100~200dtexである。
【0025】
前記異なるPETに基づく二成分弾性糸を編物にしさらに編物の不規則な帯状むらを試験することができる。該試験方法は以下の通りである:まず編物の表面写真を撮影しさらにそれをグレースケール画像(黒の0から白の255まで256段階と示す)に変換し、次にグレースケール画像を1回目と2回目の処理を行ってパラメータDを計算し、パラメータDで不規則な帯状むらの程度を表記する。そのうちに、グレースケール画像は帯状むらによる低いグレースケール区域、むらない地方によるより高いグレースケール区域とより低いグレースケール区域を含み、1回目と2回目の処理は別々にむらない地方によるより高いグレースケール区域及びより低いグレースケール区域に含まれた画素点を白点に変換させ(グレースケールを255にする)、そして帯状むらによる低いグレースケール区域に含まれた画素点を黒点に変換させ(グレースケールを0にする)、パラメータDの計算式はD=ΣB/A(ここにΣBはグレースケールが0とする画素点の数、Aは画像のすべての画素点の総数である。)とする。
【0026】
Dは3%以上になれば帯状むらが生じることが判定でき、10%になれば帯状むらの「深刻な状態」に達することが言える。本発明における粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸より作ってあげる編物のDはただ1%以下だから、帯状むらの問題を克服するのが結論できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法において、高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維の中に高粘度PETモノフィラメントを混在させて、緩和熱処理に当たると複合繊維の各フィラメントは巻縮挙動が変化でき互いに違った巻縮形態がする;
(2)本発明に提出した粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法によれば、高粘度PET/低粘度PET並列型複合繊維より作ってあげる編物の不規則帯状むらの問題が克服できる;
(3)本発明に提出した粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、巻縮形態の異なるフィラメントを含むのに同類の原料に基づくため、リサイクルがしやすい一方、総合的な性能も優れたから、広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明における紡糸融体の分配する装置の概念図であり、そのうちにA、B及びCは互いに独立の分配孔で、DとEは互いに独立の導入孔である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。なお、実施例における種々の物性および特性の測定方法は下記のとおりである。
本発明における巻縮収縮率と巻縮安定度は中国国家標準規格GB6506-2001の「合成繊維変形糸巻縮性能の試験方法」によって測定する。
巻縮伸長率(変形糸の弾性と巻縮程度を示すことで、変形糸に標準初荷重を与えるときの糸長と、さらに(より高い)伸長荷重を与えるときの糸長の差の、標準初荷重下の糸長に対する百分率である)及び巻縮弾性回復率の測定方法としては、
まず約50cmの繊維サンプルを100℃の水で30minかけて熱処理して自然乾燥し、次に約30cmの部分を切り取って、一端を固定して、そこから20cmの位置を表記して、他の端に0.0018cN/dtexの標準初荷重を与えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を初期長l1と記録し、さらに荷重を0.09cN/dtexと変換して、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を荷重長l2と記録し、最後に荷重を除いて、2minの回復を経た後、0.0018cN/dtexの標準初荷重を再び加えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を回復長l3と記録し、そして以下の式
CE = (l2-l1)/l1
SR = (l2-l3)/(l2-l1)
で巻縮伸長率CEと巻縮弾性回復率SRを計算する。
【0030】
実施例1
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.75dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.5dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の円形吐出孔mと複合圧出の円形吐出孔nとの数量比率が1:8とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
図1によって、吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に286℃、275℃、283℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は25℃、インターレースノズル圧力は0.2MPa、第1ローラ速度は2300m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は3560m/min、第2ローラ温度は150℃、巻取速度は3460m/minとして、上記の圧出したPETをFDYになさせて、さらに、104℃と30minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が53%、巻縮安定度が87%、巻縮伸長率が98%、巻縮弾性回復率が96%、破断強度が3.1cN/dtex、破断伸長率が45%、総繊度が130dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.51のパラメータDを得る。
【0031】
実施例2
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.73dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.54dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の楕円形吐出孔mと複合圧出の円形吐出孔nとの数量比率が1:6とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に282℃、271℃、278℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は20℃、インターレースノズル圧力は0.25MPa、第1ローラ速度は2350m/min、第1ローラ温度は95℃、第2ローラ速度は3660m/min、第2ローラ温度は160℃、巻取速度は3530m/minとして、上記の圧出したPETをFDYになさせて、さらに、103℃と28minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が52.8%、巻縮安定度が85%、巻縮伸長率が95%、巻縮弾性回復率が95.4%、破断強度が3.1cN/dtex、破断伸長率が44.2%、総繊度が115dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.39のパラメータDを得る。
【0032】
実施例3
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.73dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.55dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の三角形吐出孔mと複合圧出の円形吐出孔nとの数量比率が1:8とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に283℃、275℃、279℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は21℃、インターレースノズル圧力は0.23MPa、第1ローラ速度は2300m/min、第1ローラ温度は86℃、第2ローラ速度は3500m/min、第2ローラ温度は151℃、巻取速度は3430m/minとして、上記の圧出したPETをFDYにして、さらに、120℃と29minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が52%、巻縮安定度が85.5%、巻縮伸長率が96%、巻縮弾性回復率が95.1%、破断強度が3cN/dtex、破断伸長率が46%、総繊度が125dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.68のパラメータDを得る。
【0033】
実施例4
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.7dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.53dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出のY形吐出孔mと複合圧出の円形吐出孔nとの数量比率が1:6とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に285℃、270℃、280℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は23℃、インターレースノズル圧力は0.24MPa、第1ローラ速度は2250m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は3700m/min、第2ローラ温度は152℃、巻取速度は3610m/minとして、上記の圧出したPETをFDYになさせて、さらに、90℃と24minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が52.5%、巻縮安定度が85.3%、巻縮伸長率が97.7%、巻縮弾性回復率が95.5%、破断強度が3.3cN/dtex、破断伸長率が40.5%、総繊度が105dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.72のパラメータDを得る。
【0034】
実施例5
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.74dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.53dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の十字形吐出孔mと複合圧出の楕円形吐出孔nとの数量比率が1:7とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に286℃、272℃、280℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は24℃、インターレースノズル圧力は0.28MPa、第1ローラ速度は2265m/min、第1ローラ温度は87℃、第2ローラ速度は3580m/min、第2ローラ温度は152℃、巻取速度は3460m/minとして、上記の圧出したPETをFDYにして、さらに、105℃と25minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が51.6%、巻縮安定度が85.2%、巻縮伸長率が94%、巻縮弾性回復率が95.8%、破断強度が3.4cN/dtex、破断伸長率が38%、総繊度が100dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.33のパラメータDを得る。
【0035】
実施例6
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.72dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.54dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の「8」形吐出孔mと複合圧出の楕円形吐出孔nとの数量比率が1:6とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に284℃、271℃、279℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は25℃、インターレースノズル圧力は0.3MPa、第1ローラ速度は2200m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は3700m/min、第2ローラ温度は150℃、巻取速度は3610m/minとして、上記の圧出したPETをFDYにして、さらに、104℃と20minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が50%、巻縮安定度が85%、巻縮伸長率が93%、巻縮弾性回復率が95%、破断強度が3.3cN/dtex、破断伸長率が41%、総繊度が105dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.52のパラメータDを得る。
【0036】
実施例7
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.72dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.5dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の長方形吐出孔mと複合圧出の「8」形吐出孔nとの数量比率が1:6とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に285℃、271℃、278℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は24℃、インターレースノズル圧力は0.22MPa、第1ローラ速度は2400m/min、第1ローラ温度は88℃、第2ローラ速度は3550m/min、第2ローラ温度は154℃、巻取速度は3480m/minとして、上記の圧出したPETをFDYにして、さらに、114℃と23minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が52%、巻縮安定度が86%、巻縮伸長率が96%、巻縮弾性回復率が95.3%、破断強度が2.9cN/dtex、破断伸長率が48%、総繊度が116dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.25のパラメータDを得る。
【0037】
実施例8
粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸の製造方法は、
固有粘度の0.75dL/gの高粘度PET融体を、分配板で二つに枝分かれさせて、一部を単独で圧出し他の部を固有粘度の0.51dL/gの低粘度PET融体と並列複合の方式で圧出し、
圧出における紡糸口金には、単独圧出の一字形吐出孔mと複合圧出の「8」形吐出孔nとの数量比率が1:6とし、吐出孔nを経る高粘度PET融体と低粘度PET融体の質量比が50:50とし、吐出孔mと吐出孔nとの当量直径比が1:1とし、
すべての吐出孔は同心円によって位置し、そのうち、いずれの円にあるのは全部吐出孔mそれとも全部吐出孔nとし、最外周の円に全部吐出孔nと設置し、
吐出孔mは順番に並べた導入孔E、過渡孔及びキャピラリーで構成され、吐出孔nは順番に並べた導入孔D、過渡孔及びキャピラリーで構成され、導入孔Eは分配孔Aと接続させ、導入孔Dは分配孔B及び分配孔Cと同時に接続させ、分配孔A、B及びCはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、高粘度PET融体はスピニングビームIを経て分配孔Aと分配孔Bへ分かれて輸送させ、同時に低粘度PET融体はスピニングビームIIを経て分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度は別々に286℃、273℃、278℃と制御する
ことにより同じ紡糸口金で粘度の異なるPET融体を圧出して、
冷却温度は20℃、インターレースノズル圧力は0.27MPa、第1ローラ速度は2380m/min、第1ローラ温度は89℃、第2ローラ速度は3600m/min、第2ローラ温度は156℃、巻取速度は3520m/minとして、上記の圧出したPETをFDYにして、さらに、101℃と29minの緩和熱処理工程でFDYを粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸にする。
得られた粘度の異なるPETに基づく二成分弾性糸は、高粘度PETモノフィラメントが高粘度PET/低粘度PET二成分複合繊維に混在して構成するもので個々のフィラメントが不規則な巻縮形態がし、巻縮収縮率が52.7%、巻縮安定度が85.8%、巻縮伸長率が94%、巻縮弾性回復率が95.1%、破断強度が3.2cN/dtex、破断伸長率が43.5%、総繊度が200dtexとする。なお、該弾性糸より編物を作ってあげ、その不規則帯状むらを測定するとき、0.67のパラメータDを得る。
図1
【国際調査報告】