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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】熱面点火装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23Q 7/22 20060101AFI20221215BHJP
   F23Q 7/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F23Q7/22 610A
F23Q7/00 Z
F23Q7/22 A
F23Q7/22 605Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518168
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2020114726
(87)【国際公開番号】W WO2021073326
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】201910977529.1
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518060538
【氏名又は名称】チョンチン リ-マーク テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING LE-MARK TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】15-1,Fengsheng Road,Jiulongpo District,Chongqing 401329 China
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ピーター
(57)【要約】
熱面点火装置の制御方法を開示する。熱面点火装置のハードウェア回路およびソフトウェアアルゴリズムに基づいて、熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割する。各時間帯において、ハードウェア回路の出力電圧または出力電力をソフトウェアアルゴリズムで調節することにより、熱面点火装置を想定温度に到達させる。本開示による制御方法を利用することによって、熱面点火装置の点火時間を容易に制御することができる。これによって、短時間で点火したいという使用者の要求を満たすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱面点火装置の制御方法であって、熱面点火装置のハードウェア回路とソフトウェアアルゴリズムに基づいて、該熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割し、各時間帯において、前記ハードウェア回路の出力電圧または出力電力を前記ソフトウェアアルゴリズムで調節することにより、該熱面点火装置を想定温度に到達させることを含む制御方法。
【請求項2】
工程I:前記熱面点火装置の製品特性と使用状況に応じた要件を満たす作動時間-温度変化曲線を得る工程;
工程II:工程Iにおける前記熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割する工程;および
工程III:各時間帯において、前記ハードウェア回路の出力電圧または出力電力を前記ソフトウェアアルゴリズムで制御することにより、前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる工程
を含む、請求項1に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項3】
工程IIIにおいて、各時間帯の出力電圧を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる、請求項2に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項4】
工程IIIにおいて、各時間帯の出力電力を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる、請求項2に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項5】
工程IIIにおいて、任意の時間帯の出力電圧または出力電力を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる、請求項2に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項6】
工程IIIにおいて、定電圧を入力することにより、t1、t2および/またはtnの時間帯における前記熱面点火装置の温度値を制御し、この制御工程が、
S1:前記ソフトウェアアルゴリズムのシステム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:前記熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:サンプリングした電圧Urが想定電圧U0と等しいかどうかを判定し、電圧Urが想定電圧U0と等しい場合は工程S6に進み、電圧Urが想定電圧U0と等しくない場合は工程S7に進む工程;
S6:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S7:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む、請求項2、3または5に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項7】
工程IIIにおいて、定電力を出力することにより、t1、t2および/またはtnの時間帯における前記熱面点火装置の温度値を制御し、この制御工程が、
S1:システム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:前記熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:前記熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングする工程;
S6:式P=U2/Rまたは式P=UIにより電力を計算する工程;
S7:工程S6で求めた電圧Prが想定電圧P0と等しいかどうかを判定し、電圧Prが想定電圧P0と等しい場合は工程S8に進み、電圧Prが想定電圧P0と等しくない場合は工程S9に進む工程;
S8:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S9:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む、請求項2、4または5に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項8】
工程S5において前記熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングした後、工程S10に進み、この工程S10において、抵抗値または電流を測定し、抵抗値または電流が正常な場合は工程S6に進み、抵抗値または電流が異常な場合は前記制御工程を終了する、請求項7に記載の熱面点火装置の制御方法。
【請求項9】
前記作動時間-温度変化曲線の傾斜に応じて、前記熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割し、該作動時間-温度変化曲線の傾斜が連続して一定またはほぼ一定の区間に対応する時間を、1つの時間帯として設定する、請求項2、3、4、5、6、7または8に記載の熱面点火装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御方法に関し、より具体的には、作動プロセスにおいて熱面点火装置の温度変化を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国を含む国や地域では、一般に、燃焼装置に電気火花点火を採用している。しかし、電気火花点火は、点火の信頼性が低く、爆燃や電磁妨害といった問題も生じる。また、電気火花点火の信頼性が低い原因として、温度、湿度、点火ギャップ、アーク漏れ、汚染などの要因による影響を受けやすいことがある。このような理由から、様々な種類の燃焼装置や、さらに高度な燃焼装置応用技術を利用している北米諸国では、熱面点火技術が採用されている。熱面点火技術では、熱面点火装置が高温に達した後に、可燃性ガスまたは可燃性燃料が燃焼領域に導入されることによって点火が行われるため、電気火花点火で起こりうる問題を完全に回避することができる。
【0003】
熱面点火装置は、定格電圧および定格温度が工場で設定されている。既存の熱面点火装置は、定電圧を使用して制御されているため、熱面点火装置が最終温度に達するまでには、5秒、10秒またはそれ以上といった一定の時間がかかる。熱面点火装置を(通常、定格温度範囲内の)所望の温度により速く到達させようとする場合、熱面点火装置のハードウェア回路の電圧を増加させて、熱面点火装置の加熱を速めてもよい。しかし、このような方法では、熱面点火装置の耐用寿命が短くなるため、電源の交換が必要となることから、コストが増加する。さらに、使用時の電圧が熱面点火装置の定格電圧を超える場合、熱面点火装置の耐用寿命が急速に短縮するだけでなく、点火の瞬間に熱面点火装置が破損しやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、熱面点火装置の制御方法を提供することを目的とし、より具体的には、熱面点火装置の点火時間を制御する方法を提供することを目的とする。本開示による点火時間の制御方法を利用することによって、熱面点火装置の点火時間を制御することができ、これによって、使用者が熱面点火装置を短時間で点火しようとする際に、熱面点火装置の耐用寿命が短くなったり、熱面点火装置が破損したり、給電コストが増加するという問題を解決することができる。したがって、様々な使用状況において熱面点火装置を点火する際の要求を満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本開示は、熱面点火装置の制御方法であって、熱面点火装置のハードウェア回路とソフトウェアアルゴリズムに基づいて、該熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割し、各時間帯において、前記ハードウェア回路の出力電圧または出力電力を前記ソフトウェアアルゴリズムで調節することにより、該熱面点火装置を想定温度に到達させることを特徴とする制御方法を提案する。
【0006】
さらに、熱面点火装置の制御方法であって、
工程I:熱面点火装置の製品特性と使用状況に応じた要件を満たす作動時間-温度変化曲線を得る工程;
工程II:工程Iにおける前記熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割する工程;および
工程III:各時間帯において、ハードウェア回路の出力電圧または出力電力をソフトウェアアルゴリズムで制御することにより、前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる工程
を含む制御方法を提供する。
【0007】
前記方法の工程IIIにおいて、各時間帯の出力電圧を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる。
【0008】
前記方法の工程IIIにおいて、各時間帯の出力電力を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる。
【0009】
前記方法の工程IIIにおいて、任意の時間帯の出力電圧または出力電力を制御することによって前記熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる。
【0010】
さらに、工程IIIにおいて、定電圧を入力することにより、t1、t2および/またはtnの時間帯における前記熱面点火装置の温度値を制御し、この制御工程は、
S1:前記ソフトウェアアルゴリズムのシステム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:前記熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:サンプリングした電圧Urが想定電圧U0と等しいかどうかを判定し、電圧Urが想定電圧U0と等しい場合は工程S6に進み、電圧Urが想定電圧U0と等しくない場合は工程S7に進む工程;
S6:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S7:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む。
【0011】
さらに、工程IIIにおいて、定電力を出力することにより、t1、t2および/またはtnの時間帯における前記熱面点火装置の温度値を制御し、この制御工程は、
S1:システム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:前記熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:前記熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングする工程;
S6:式P=U2/Rまたは式P=UIにより電力を計算する工程;
S7:工程S6で求めた電圧Prが想定電圧P0と等しいかどうかを判定し、電圧Prが想定電圧P0と等しい場合は工程S8に進み、電圧Prが想定電圧P0と等しくない場合は工程S9に進む工程;
S8:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S9:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む。
【0012】
工程S5において前記熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングした後、工程S10に進み、この工程S10において、抵抗値または電流を測定し、抵抗値または電流が正常な場合は工程S6に進み、抵抗値または電流が異常な場合は前記制御工程を終了することが好ましい。
【0013】
前記作動時間-温度変化曲線の傾斜に応じて、前記熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割し、該作動時間-温度変化曲線の傾斜が連続して一定またはほぼ一定の区間に対応する時間を、1つの時間帯として設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本開示により、熱面点火装置の制御方法が提供される。本開示による制御方法を利用することによって、熱面点火装置の点火時間を容易に制御することができる。これによって、短時間で点火したいという使用者の要求を満たすことができる。
【0015】
さらに、本開示による熱面点火装置の制御方法は、熱面点火装置の定格電圧内で実施されることから、熱面点火装置の耐用寿命に全く影響を与えない。さらに、熱面点火装置の電源を置き換える必要がないため、熱面点火装置の導入コストを削減することができ、顧客にとって許容しやすいものとなっている。
【0016】
同じ熱面点火装置を、様々な温度要件および様々な時間要件を伴う使用状況(例えば、コンロ、給湯器、エンジンなど)において使用できるように、熱面点火装置の適用範囲が改善される。さらに、このようなタイプの熱面点火装置は、様々な会社によって個別に研究開発が行われているが、現在まで、このようなタイプの熱面点火装置の使用や開示に成功を収めている会社は世界中に存在しない。様々な会社の競争力が向上しており、顧客に対する貢献度も高まっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】任意の時間帯における電圧制御の流れ図である。
図2】任意の時間帯における電力制御の流れ図である。
図3】実施形態1における家庭用または市販のガスコンロまたは給湯器の熱面点火装置の作動時間-温度変化曲線である。
図4-6】ハードウェア回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に示す実施形態を参照することにより、本開示について説明するが、本開示は、記載されている実装形態に限定されない。以下の実施形態の要旨の範囲内の改良または置換も、請求項により請求される保護範囲に含まれる。
【0019】
実施形態:
図1~6に示すように、本実施形態では、作動時間中に熱面点火装置の点火温度を制御する方法を提供する。本実施形態の制御方法は、定電圧制御、定電力制御、可変電圧制御、可変電力制御、および可変電圧制御と可変電力制御の併用に分けられる。
【0020】
ここで、作動時間内に温度が直線的に変化することが要求される使用状況において、熱面点火装置の作動温度は、作動時間全体を通して定電力モードまたは定電圧モードで制御してもよい。
【0021】
また、作動時間内に温度が非直線的に変化することが要求される使用状況では、熱面点火装置の作動温度は、可変電圧制御モード、可変電力制御モード、または可変電圧制御モードと可変電力制御モードの併用で制御してもよい。より具体的には、この制御方法は、
工程I:熱面点火装置の製品特性と使用状況に応じた要件を満たす作動時間-温度変化曲線を得る工程;
工程II:工程Iにおける熱面点火装置の作動時間を、t1、t2、...、tnの時間帯に分割する工程;および
工程III:各時間帯において、ハードウェア回路の出力電圧または出力電力をソフトウェアアルゴリズムで制御することにより、熱面点火装置をその時間帯の温度値に到達させる工程
を含む。
【0022】
本明細書において、作動時間-温度変化曲線は、熱面点火装置自体の製品特性、入力電力、使用状況、顧客の要求などの関連する要因に応じて設定され、実験的検証を繰り返し、これらの関連要因に応じて関連する計算を行うことによって得られる。t1、t2、...、tnという時間尺度の長さも、実験的検証および関連する計算を行うことによって得られる。
【0023】
工程IIIにおいて可変電圧制御を行う場合、熱面点火装置の作動時間を、t1、t2...、tnの時間帯に分割し、任意の時間帯の温度を同じ電圧で制御してもよく、異なる時間帯の温度を異なる電圧で制御してもよい。熱面点火装置の各作動時間帯における温度曲線から特定の時間帯の想定電圧U0が得られ、ソフトウェアアルゴリズムでハードウェア回路を制御することにより、その時間帯での電圧がUr=U0となるように制御されて、熱面点火装置を想定温度に到達させることができる。別の作動時間帯では、ソフトウェアアルゴリズムでハードウェア回路を制御することにより、その時間帯の想定電圧と等しくなるように電圧が制御されて、熱面点火装置をその時間帯での想定温度に到達させることができる。
【0024】
図1に示すように、任意の時間帯における電圧制御方法は、
S1:ソフトウェアアルゴリズムのシステム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:サンプリングした電圧Urが想定電圧U0と等しいかどうかを判定し、電圧Urが想定電圧U0と等しい場合は工程S6に進み、電圧Urが想定電圧U0と等しくない場合は工程S7に進む工程;
S6:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S7:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む。
【0025】
工程IIIにおいて可変電力制御を行う場合、熱面点火装置の作動時間を、t1、t2...、tnの時間帯に分割し、任意の時間帯の温度を同じ電力で制御してもよく、異なる時間帯の温度を異なる電力で制御してもよい。熱面点火装置の各作動時間帯における温度曲線から特定の時間帯の想定電力P0が得られ、ソフトウェアアルゴリズムでハードウェア回路を制御することにより、その時間帯での電力がPr=P0となるように制御されて、熱面点火装置を想定温度に到達させることができる。別の作動時間帯では、ソフトウェアアルゴリズムでハードウェア回路を制御することにより、その時間帯の想定電力と等しくなるように電力が制御されて、熱面点火装置をその時間帯での想定温度に到達させることができる。
【0026】
図2に示すように、任意の時間帯における電力制御方法は、
S1:システム初期化を行う工程;
S2:最初のPWMを入力する工程;
S3:PWM出力を調節して電圧制御を行う工程;
S4:熱面点火装置のハードウェア回路の出力電圧をサンプリングする工程;
S5:熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングする工程;
S6:式P=U2/Rまたは式P=UIにより電力を計算する工程;
S7:工程S6で求めた電圧Prが想定電圧P0と等しいかどうかを判定し、電圧Prが想定電圧P0と等しい場合は工程S8に進み、電圧Prが想定電圧P0と等しくない場合は工程S9に進む工程;
S8:MCUのPWM制御信号が送信されたかどうかを判定し、PWM制御信号が送信された場合は、工程S3に戻り、PWM制御信号が送信されなかった場合は、この制御工程を終了する工程;および
S9:PID計算を行って制御変数を求め、工程S3に戻る工程
を含む。
【0027】
本実施形態の別の一実装形態として、工程S5において熱面点火装置の抵抗値または電流をサンプリングした後、工程S10に進み、この工程S10において、抵抗値または電流を測定し、抵抗値または電流が正常な場合は工程S6に進み、抵抗値または電流が異常な場合は制御工程を終了する。
【0028】
工程IIIにおいて可変電圧制御と可変電力制御を併用する場合、熱面点火装置の作動時間を、t1、t2...、tnの時間帯に分割し、電圧制御と電力制御をそれぞれ異なる時間帯で行う。ここで、制御方法は効率に基づいて選択され、すなわち、より短い時間で想定温度に到達することができる制御モードが選択される。電圧制御と電力制御がそれぞれに対応する作動時間帯において行われ、制御の流れは前記と同様である。
【0029】
選択肢の1つとして、作動時間-温度変化曲線の傾斜に応じて作動時間帯を分割してもよい。例えば、傾斜が連続して一定の区間または傾斜が急激に変化していない区間に対応する時間を作動時間帯tnとして設定する。
【0030】
本実施形態による制御方法を、熱面点火装置を実際に使用したプロセスに適用した一例を以下に示す。以下の2つの分野における適用例は、本開示の実装方法を例示することのみを目的して示されており、本開示の実装方法は、これら2つの分野における適用に限定されない。
【0031】
実施例1:家庭用または市販のガスコンロまたは給湯器における適用
ガスコンロまたは給湯器を使用する場合、点火操作を行ってから実際に点火するまでに長い時間がかかると、使用者が不安を感じることがある。点火操作を行ってから実際に点火するまでの時間は、通常、5秒以内に制御することが最も好適である。
【0032】
しかし、時間的要件がない使用状況では、熱面点火装置の温度が過上昇せず、その耐用寿命を保証できるように、通常、定電圧制御モードまたは定電力制御モードを使用して熱面点火装置の温度を徐々に上げる。
【0033】
ガスコンロまたは給湯器において熱面点火装置を良好に使用しようとする場合、前述の2つの相反する事項のバランスをうまく取らなければならない。したがって、本実施形態では、可変電圧制御、可変電力制御、および可変電圧制御と可変電力制御の併用という3種類の制御方法を使用することにより、熱面点火装置の耐用寿命を保証するとともに、ガスコンロまたは給湯器の点火時間を短縮してもよい。
【0034】
図3は、家庭用または市販のガスコンロまたは給湯器の作動時間-温度変化曲線である。専用の温度測定室において、高精度な温度測定装置とコンピュータを使用して、熱面点火装置の作動曲線をリアルタイムで観察する。様々な使用要件に応じて技術的パラメーターを調節することにより、最適な時間尺度を得る。
【0035】
図3に示した熱面点火装置の作動曲線を一例として挙げると、本実施形態による制御方法を採用した場合、熱面点火装置は温度曲線Aを示してもよく、t3とt4の間で最高温度に達し、可燃性ガスが着火する。一般的な電圧制御または電力制御を使用した場合、熱面点火装置は温度曲線Bを示してもよく、可燃性ガスはt10の時点で着火すると考えられる。あるいは、一般的な電圧制御または電力制御を使用した場合、熱面点火装置は温度曲線Cを示してもよく、温度の過上昇によりt5~t6の時点で破損する。
【0036】
本実施形態による点火方法を使用することによって、短時間で点火できるだけでなく、熱面点火装置の使用安全性と耐用寿命を保証することができる。
【0037】
エンジンの予熱装置での使用では、時間的要件は高くないが、電力または温度の要件は高い。これらの要件を満たすため、実際の適用に応じて定電圧制御または定電力制御を使用してもよい。
【0038】
図4~6は、本実施形態による熱面点火装置のハードウェア制御回路図を示す。これらの回路図は、本開示を詳しく説明することのみを目的としたものであり、本開示を限定するものではない。
【0039】
図4は、MCU(マイクロコントローラ)を備えた回路図を示す。このMCUは、2つの出力経路を有し、一方の経路は制御信号出力であり、もう一方の経路は電圧取得出力である。
【0040】
制御信号の出力端子は、抵抗器R4に接続された後、トランジスタQ1のベースに接続されている。トランジスタQ1のエミッタは接地され、コレクタは抵抗器R2に接続されている。トランジスタQ1のベースとエミッタの間には、抵抗器R5が接続されている。抵抗器R2の他端は電界効果トランジスタS1のゲートに接続されている。電界効果トランジスタS1のソースは電源DCと接続されている。電界効果トランジスタS1のドレインは、熱面点火装置の正極と接続されており、熱面点火装置の負極は接地されている。電界効果トランジスタS1のゲートとソースの間には、定電圧ダイオードD1も接続されている。定電圧ダイオードD1の正極は、電界効果トランジスタS1のソースと接続されており、定電圧ダイオードD1の負極は、電界効果トランジスタS1のゲートと接続されている。電界効果トランジスタS1のゲートとソースの間には、抵抗器R1も接続されている。電圧取得用の出力端子は、抵抗器R7に接続された後、抵抗器R3に接続されており、抵抗器R3は、熱面点火装置の負極に接続されている。さらに、抵抗器R7と抵抗器R3の間には分岐接続された抵抗器R6が設けられており、この抵抗器R6は接地されている。また、MCUと抵抗器R7の間には分岐接続されたコンデンサC1が設けられており、このコンデンサC1は接地されている。図4に示したこのハードウェア回路を使用して、熱面点火装置の電圧取得および信号制御を行ってもよい。可変電圧制御または定電圧制御を行ってもよい。
【0041】
図5は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を備えた別の回路図を示す。このPLCは、3つの出力経路を有し、1つ目の経路は制御信号出力であり、2つ目の経路は電圧取得出力であり、3つ目の経路は電流取得出力である。
【0042】
制御信号の出力端子は、抵抗器R3に接続された後、トランジスタQ1のベースに接続されている。トランジスタQ1のエミッタは接地されている。トランジスタQ1のベースとエミッタの間には、抵抗器R5が接続されている。トランジスタQ1のコレクタはダイオードD1の負極に接続されており、ダイオードD1の正極は電源VCCに接続されている。ダイオードD1の正極と負極の間には、電磁スイッチK1が接続されており、電磁スイッチK1の一端は熱面点火装置の正極に接続され、電磁スイッチK1の他端は熱面点火装置の負極に接続されている。熱面点火装置の負極は、コンスタンタン線を介して接地されている。電圧取得用の出力端子は、抵抗器R6に接続された後、抵抗器R1に接続されており、抵抗器R1は、熱面点火装置の正極に接続されている。抵抗器R6と抵抗器R1の間には分岐接続された抵抗器R2が設けられており、抵抗器R2は、熱面点火装置の負極に接続されている。また、PLCと抵抗器R6の間には分岐接続されたコンデンサC1が設けられており、このコンデンサC1は接地されている。電流取得用の出力端子は、抵抗器R4に接続された後、熱面点火装置の負極に接続されている。図5に示したこのハードウェア回路を使用して、熱面点火装置の信号制御、電圧取得および電流取得を行ってもよい。電圧および電流を取得することにより、電力を取得してもよい。さらに、熱面点火装置の定電圧制御、定電力制御、可変電圧制御、可変電力制御、または可変電圧制御と可変電力制御を併用した制御を行う。
【0043】
図6は、工業用制御モジュールに接続されたコンピュータを備えた別の回路図を示す。この工業用制御モジュールは、3つの出力経路を有し、1つ目の経路は制御信号出力であり、2つ目の経路は電圧取得出力であり、3つ目の経路は抵抗取得出力である。
【0044】
制御信号の出力端子は、抵抗器R7に接続された後、トランジスタQ2のベースに接続されている。トランジスタQ2のエミッタは接地されており、コレクタは抵抗器R5に接続されている。トランジスタQ2のベースとエミッタの間には、抵抗器R8が接続されている。抵抗器R5の他端はトランジスタQ1のベースに接続されている。トランジスタQ1のエミッタは電源DCと接続されており、コレクタは熱面点火装置の正極と接続されており、熱面点火装置の負極は接地されている。トランジスタQ1のエミッタとベースの間には、抵抗器R4も接続されている。トランジスタQ1のコレクタは、ダイオードD3を介して接地されている。電圧取得用の出力端子は、抵抗器R10に接続された後、抵抗器R6に接続されており、抵抗器R6は、熱面点火装置の正極に接続されている。さらに、抵抗器R10と抵抗器R6の間には分岐接続された抵抗器R9が設けられており、この抵抗器R9は接地されている。また、工業用制御モジュールと抵抗器R10の間には分岐接続されたコンデンサC2が設けられており、このコンデンサC2は接地されている。抵抗値取得用の出力端子は、抵抗器R1と抵抗器R3に直列に接続された後、熱面点火装置の正極に接続されている。工業用制御モジュールと抵抗器R1の間には分岐接続されたコンデンサC1が設けられており、このコンデンサC1は接地されている。また、工業用制御モジュールと抵抗器R1の間には分岐接続されたダイオードD1が設けられており、このダイオードD1は接地されている。抵抗器R1と抵抗器R3の間には、分岐接続された抵抗器R2とダイオードD2が設けられており、この抵抗器R2とダイオードD2は、電源VCCと接続されている。図6に示したこのハードウェア回路を使用して、熱面点火装置の信号制御、電圧取得および抵抗値の取得を行ってもよい。電圧および抵抗を取得することにより、電力を取得してもよい。さらに、熱面点火装置の定電圧制御、定電力制御、可変電圧制御、可変電力制御、または可変電圧制御と可変電力制御を併用した制御を行う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】