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特表2022-553134人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置
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  • 特表-人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20221215BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519457
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020079743
(87)【国際公開番号】W WO2021078852
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】19205046.6
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エルショフ、セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ラトケ、トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】パウル、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、フランク
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC02
4C053JJ01
4C053JJ23
(57)【要約】
本発明は、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置に関する。操作において、以下のステップ、即ち、人間又は動物の心臓7を刺激するための植込み型医療装置1の少なくとも2つの電極リード構成のうちの1つを選択することを可能にするステップaであって、少なくとも2つの電極リード構成は、植込み型医療装置1の少なくとも1つの電極リード4が植込み型医療装置1の電極リード・ポート3へ接続される第2の電極リード構成を含み、電極リードポート3は、第2の心臓領域を刺激するため又は第2の心臓領域で電気信号を検出するための電極リード4を受けるように構成され、第2の心臓領域は、心臓7の心室伝導系の一部であり、少なくとも1つの電極リード4は、第2の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、ステップaと、第2の電極リード構成が選択される場合に通知信号を生成して出すステップbとが行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置であって、第1のプロセッサと第1のメモリ部とを備え、
前記第1のメモリ部は、第1のコンピュータ可読プログラムを備え、前記第1のコンピュータ可読プログラムが、前記第1のプロセッサ上で実行されるときに、前記第1のプロセッサに、
a)人間又は動物の心臓(7)を刺激するための植込み型医療装置(1)の少なくとも2つの電極リード構成のうちの1つを選択することを可能にするステップであって、前記少なくとも2つの電極リード構成は、
i)前記植込み型医療装置の各電極リードが前記植込み型医療装置(1)の電極リード・ポートへ接続される第1の電極リード構成であって、前記電極リード・ポートは、第1の心臓領域を刺激するため又は前記第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成され、前記第1の心臓領域は、心房、左心室及び右心室から選ばれる少なくとも1つであり、各電極リードは、前記電極リードが接続される前記電極リード・ポートの前記第1の心臓領域に対応する心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、第1の電極リード構成と、
ii)前記植込み型医療装置(1)の少なくとも1つの電極リード(4)が前記植込み型医療装置(1)の電極リード・ポート(3)ヘ接続される第2の電極リード構成であって、前記電極リード・ポート(3)は、第2の心臓領域を刺激するため又は前記第2の心臓領域で電気信号を検出するための電極リード(4)を受けるように構成され、前記第2の心臓領域は、前記心臓(7)の心室伝導系の一部であり、前記少なくとも1つの電極リード(4)は、前記第2の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、第2の電極リード構成と、を備える、ステップと、
b)前記第2の電極リード構成が選択される場合に通知信号を生成して出すステップと
を行わせることを特徴とする、プログラミング装置。
【請求項2】
前記第2の心臓領域は、ヒス束(6)及び左束枝から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載のプログラミング装置。
【請求項3】
前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1の電極リード構成が選択される場合に前記第1のプロセッサに通知信号を生成させないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプログラミング装置。
【請求項4】
前記第2の電極リード構成では、前記植込み型医療装置の少なくとも1つのさらなる電極リードが前記植込み型医療装置のさらなる電極リード・ポートへ接続され、前記さらなる電極リード・ポートは、前記第1の心臓領域を刺激するため又は前記第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成され、前記少なくとも1つのさらなる電極リードは、前記第1の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のプログラミング装置。
【請求項5】
前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1のプロセッサに、前記通知信号を前記プログラミング装置のユーザにとって恒久的に利用可能にさせることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のプログラミング装置。
【請求項6】
前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1のプロセッサに、前記通知信号を前記プログラミング装置から離れた器具へ転送させ、前記器具は、プリントアウト、データベース、及び家庭監視システムからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のプログラミング装置。
【請求項7】
前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1のプロセッサに、前記第1の電極リード構成が選択される場合に第1のセットのプログラミング機能を有効にさせ、前記第2の電極リード構成が選択される場合に第2のセットのプログラミング機能を有効にさせることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載のプログラミング装置。
【請求項8】
前記第2の電極リード構成では、前記植込み型医療装置(1)の少なくとも1つのさらなる電極リードは、前記植込み型医療装置(1)のさらなる電極リード・ポートへ接続され、前記さらなる電極リード・ポートは、前記第1の心臓領域を刺激するため又は前記第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成され、前記少なくとも1つのさらなる電極リードは、前記第1の心臓領域に植え込まれる又は植え込まれることが意図されることを特徴とし、前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1のプロセッサに、前記第1の心臓領域を選ぶことに応じて、前記第2のセットのプログラミング機能を調節させることを特徴とする、請求項7に記載のプログラミング装置。
【請求項9】
コンピュータ可読コードを備えるコンピュータ・プログラム製品であって、前記コンピュータ可読コードが、プロセッサ上で実行されるときに、前記プロセッサに、
a)人間又は動物の心臓(7)を刺激するための植込み型医療装置(1)の少なくとも2つの電極リード構成のうちの1つを選択することを可能にするステップであって、前記少なくとも2つの電極リード構成は、
i)前記植込み型医療装置の各電極リードが前記植込み型医療装置(1)の電極リード・ポートへ接続される第1の電極リード構成であって、前記電極リード・ポートは、第1の心臓領域を刺激するため又は前記第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成され、前記第1の心臓領域は、心房、左心室及び右心室から選ばれる少なくとも1つであり、各電極リードは、前記電極リードが接続される前記電極リード・ポートの前記第1の心臓領域に対応する心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、第1の電極リード構成と、
ii)前記植込み型医療装置(1)の少なくとも1つの電極リード(4)が前記植込み型医療装置(1)の電極リード・ポート(3)へ接続される第2の電極リード構成であって、前記電極リード・ポート(3)は、第2の心臓領域を刺激するため又は前記第2の心臓領域で電気信号を検出するための電極リード(4)を受けるように構成され、前記第2の心臓領域は、前記心臓(7)の心室伝導系の一部であり、前記少なくとも1つの電極リード(4)は、前記第2の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、第2の電極リード構成と、を備える、ステップと、
b)前記第2の電極リード構成が選択される場合に通知信号を生成して出す、ステップとを行わせる、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のプログラミング装置(2)と人間又は動物の心臓(7)を刺激するための植込み型医療装置(1)とを備える設備であって、前記プログラミング装置(2)は、第1のデータ通信部を備え、前記植込み型医療装置(1)は、第2のプロセッサと、第2のメモリ部と、第2のデータ通信部と、人間又は動物の心臓(7)の心臓領域を刺激するように構成される刺激部と、同じ心臓(7)の前記心臓領域で電気信号を検出するように構成される検出部とを備え、前記刺激部及び前記検出部は、電極リード(4)を備える、設備。
【請求項11】
前記第1のデータ通信部及び前記第2のデータ通信部は、前記プログラミング装置(2)から前記植込み型医療装置(1)へデータを転送する及び/又は前記植込み型医療装置(1)から前記プログラミング装置(2)へデータを転送する役割を果たすことを特徴とする、請求項10に記載の設備。
【請求項12】
前記第2のメモリ部は、第2のコンピュータ可読プログラムを備え、前記第2のコンピュータ可読プログラムが、前記第2のプロセッサ上で実行されるときに、前記第2のプロセッサに、
a)前記第2のデータ通信部で、前記プログラミング装置(2)上で選択された電極リード構成のための適切な感知パラメータ及び/又は刺激パラメータを備えるデータセットを受信するステップと、
b)前記受信したデータセットを使用することによって前記検出部の感知パラメータ及び/又は前記刺激部の刺激パラメータを設定するステップと
行わせることを特徴とする、請求項10又は11に記載の設備。
【請求項13】
前記第2のメモリ部は、第2のコンピュータ可読プログラムを備え、前記第2のコンピュータ可読プログラムが、前記第2のプロセッサ上で実行されるときに、前記第2のプロセッサに、
a)第2の心臓領域を刺激するように又は前記第2の心臓領域で電気信号を検出するように構成された第2の心臓領域電極リード(4)の存在を自動的に検出するステップであって、前記第2の心臓領域は前記心臓(7)の心室伝導系の一部であり、前記第2の心臓領域電極リードは、前記第2の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる、ステップと、
b)前記第2のデータ通信部に、前記第2の心臓領域電極リード(4)の存在を示すデータセットを前記第1のデータ通信部へ転送させるステップと
行わせることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか一項に記載の設備。
【請求項14】
前記第1のコンピュータ可読プログラムは、前記第1のプロセッサに、
a)前記第1のデータ通信部で、前記第2の心臓領域電極リード(4)の存在を示す前記データセットを受信するステップと、
b)前記データセットを受信することに応じて前記第2の電極リード構成を自動的に選択するステップと
を行わせることを特徴とする、請求項13に記載の設備。
【請求項15】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のプログラミング装置(2)で人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするための方法であって、前記プログラミング装置(2)は、第1のデータ通信部を備え、前記植込み型医療装置(1)は、第2のプロセッサと、第2のメモリ部と、第2のデータ通信部と、人間又は動物の心臓(7)の心臓領域を刺激するように構成された刺激部と、同じ心臓(7)の前記心臓領域で電気信号を検出するように構成された検出部とを備え、前記刺激部及び前記検出部は、電極リードを備え、前記方法は、
a)前記プログラミング装置(2)で、前記プログラミング装置(2)上で選択された電極リード構成のための適切な感知パラメータ及び/又は刺激パラメータを備えるデータセットを生成するステップと、
b)前記第1のデータ通信部で、前記データセットを前記植込み型医療装置(1)へ送信するステップと、
c)前記第2のデータ通信部で、前記データセットを受信するステップと、
d)前記受信したデータセットを使用することによって、前記検出部の感知パラメータ及び/又は前記刺激部の刺激パラメータを設定するステップと、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるプログラミング装置、請求項9のプリアンブルによるコンピュータ・プログラム製品、請求項10のプリアンブルによる、このようなプログラミング装置と植込み型医療装置とを備える設備、及び請求項15のプリアンブルによる、このようなプログラミング装置で植込み型医療装置をプログラムするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカーなどの、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置が、長い間知られていた。それらは様々な機能を行うことができる。治療された心臓を正常な状態に回復させるために適切なペースメーカーによって様々な刺激プログラムを実施することができる。ヒス束を刺激するためのペースメーカーも知られている。
【0003】
ヒス束は、心臓伝導系の一部である特定の心筋細胞の束である。ヒス束は、房室結節の遠位で心尖に向かって位置する。ヒス束は心室伝導系の一部を形成する。
【0004】
ヒス束ペーシングに対して適応された特定の装置が存在し、この装置において、検出(感知)及び刺激電極が、治療される人間又は動物の心臓の心室内へ植え込まれるのではなく、むしろ心臓のヒス束又はその近くに植え込まれる。ヒス束電極をこのように使用することは、人間又は動物の心臓の特に生理学的刺激を可能にする。
【0005】
多くの場合、従来のペースメーカーがヒス束ペーシングのために使用される。このような場合、ヒス束電極が接続されるポートは、ヒス束ペーシングが適用される場合にヒス束での電気信号の適切な感知を達成し且つヒス束の十分で生理学的な刺激を可能にするために、特定の刺激/感知パラメータが設けられている。刺激パラメータが後の段階(例えば、フォローアップケア時)で調節された場合、従来の刺激/感知パラメータが、ヒス束ペーシングに対して特に適応された刺激/感知パラメータの代わりに、(例えば、担当医師はペースメーカーがヒス束ペーシングのために植え込まれたことを認識していないため)選ばれる危険がある。このような場合、刺激の効率は失われ、患者は深刻な危険にさらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ヒス束ペーシングに適している電極リード構成などの非定型電極リード構成が適用された場合でも、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の安全な操作を可能にする可能性を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置で達成される。このようなプログラミング装置は、第1のプロセッサと第1のメモリ部とを備える。第1のメモリ部は、第1のプロセッサ上で実行されるときに第1のプロセッサに以下に説明するステップを行わせる第1のコンピュータ可読プログラムを備える。
【0008】
第1のステップでは、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の少なくとも2つの電極リード構成のうちの1つの選択が可能にされる。この文脈において、少なくとも2つの電極リード構成は、第1の電極リード構成と第2の電極リード構成とを備える。
【0009】
第1の電極リード構成では、植込み型医療装置の各電極リードは、植込み型医療装置の電極リード・ポートへ接続される。この文脈において、電極リード・ポートは、第1の心臓領域を刺激するため又は第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。第1の心臓領域は、刺激される又は電気信号が検出される心臓の、心房、左心室及び右心室(心室伝導系を除く)から選ばれる少なくとも1つの領域である。各電極リードは、電極リードが接続される電極リード・ポートの第1の心臓領域に対応する心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。一つの実例を挙げると、電極リード・ポートが心臓の右心房に植え込まれる電極リードを受けることが意図される場合、次いで電極リードは、実際には右心房に植え込まれることが意図される又は右心房に植え込まれる、この電極リード・ポートへ接続される。したがって、各電極リードは、電極リードの植込みの(意図された)部位を考慮して、各電極を受けることが本来意図されているその電極リード・ポートへ接続される。したがって、第1の電極リード構成は、典型的な電極リード構成と表記されることもできる。
【0010】
第2の電極リード構成では、植込み型医療装置の少なくとも1つの電極リードは、植込み型医療装置の電極リード・ポートへ接続される。しかしながら、この場合は、電極リード・ポートは、第2の心臓領域を刺激するため又は第2の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。第2の心臓領域は、心臓の心室伝導系の一部である(しかしながら、心房、右心室若しくは左心室自体でもない)。さらに、少なくとも1つの電極リードは、第2の心臓領域に植え込まれることが意図される。典型的には、心臓の心室伝導系は、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の電極リードによって直接、接触されるわけではない。したがって、この第2の電極リード構成は、非定型電極リード構成と表記されることもできる。植込み型医療装置が、心臓の心房、右心室若しくは左心室を刺激するための電極を受けることが又はこれらの心臓領域から電気信号を受信することが本来意図されている電極リード・ポートを備える場合にも適用されることができる。このような場合、それにもかかわらず、電極リードをこの電極リード・ポートへ接続することが可能であり、ここで、電極リードは、第2の心臓領域、即ち心臓の心室伝導系の一部に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。次に、電極リード・ポートを介して電極リードへ適用される感知/刺激パラメータは、電極リードの植込みの、特にこの非定型部位に対して適応されるので、それぞれの電極リード・ポートの特定の構成をもたらす。
【0011】
第2の電極リード構成は、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置において典型的には予想されない電極リード構成である。むしろ、ほとんどの場合、第1の電極リード構成、即ち、典型的な電極リード構成は、このような植込み型医療装置に存在する可能性がある。
【0012】
第2の電極リード構成が選択される場合、通知信号が生成され出される。このような通知信号は、プログラミング装置で行われる後続のプログラミング操作が選択された電極リード構成を考慮してなされることができるように、第2の電極リード構成に関してプログラミング装置及び/又は関連する植込み型医療装置のユーザに知らせることを容易にする。
【0013】
結果として、(第1の電極リード構成のような)典型的な電極リード構成に適しているが(第2の電極リード構成のような)非定型電極リード構成には適していない感知/刺激パラメータを、非定型電極リード構成を備える植込み型医療装置へ不注意で適用する危険は大幅に削減される。その結果、プログラミング装置は、非定型電極リード構成の下で操作され得る植込み型医療装置、即ち心臓の心室伝導系の一部を刺激するための植込み型医療装置の安全な動作を可能にする。
【0014】
実施例では、通知信号は、選択された電極リード構成の通知、選択された電極リード構成の情報、警告、特定の色、及び特定の音のうちの少なくとも1つを備える。したがって、プログラミング装置の人間のユーザが生成され出された通知信号に、より気付きやすくさせるために、視覚又は音響の補助を適用することが可能である。グラフィック通知と、このグラフィック通知の特定の色との組み合わせは、通知信号を表すための特に適切な視覚補助である。
【0015】
実施例では、第2の心臓領域は、ヒス束及び左束枝から選ばれる少なくとも1つである。左束枝はヒス束の一部であるので、心室伝導系の一部を形成する。電極リードがヒス束又はその近くに植え込まれる場合、ヒス束ペーシングが可能とされる。電極リードが左束枝又はその近くに植え込まれる場合、左束枝ペーシングが可能とされる。心室伝導系のペーシングのこれら2つの種類は、心臓を刺激する特に生理学的な形態である。
【0016】
実施例では、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1の電極リード構成が選択される場合に第1のプロセッサに通知信号を生成させない。したがって、通知信号は、第2の電極リード構成が選択される場合に設定され、第1の電極リード構成が選択される場合に設定されないフラグとして考えられることができる。
【0017】
実施例では、植込み型医療装置の少なくとも1つのさらなる電極リードは、第2の電極リード構成において植込み型医療装置のさらなる電極リード・ポートへ接続される。この文脈において、さらなる電極リード・ポートは、第1の心臓領域を刺激するため又は第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。さらに、少なくとも1つのさらなる電極リードは、第1の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。上記で説明したように、第1の心臓領域は、それぞれの心臓の心房、右心室(心室伝導系を除く)及び左心室から選ばれる領域である。したがって、心室伝導系を刺激するための電極リードが第2の電極リード構成に存在するだけでなく、さらなる電極リードが右心房、右心室及び/又は左心室などの典型的な植込み部位で植え込まれることも可能である。
【0018】
実施例では、第2の電極リード構成は、心房電極リードとヒス束電極リードとを備える。心房電極リードは、刺激される心臓の右心房に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。さらに、心房電極リードは、植込み型医療装置の心房電極リード・ポートへ接続される。ヒス束電極リードは、同じ心臓のヒス束又はその近くに植え込まれることが意図され又は植え込まれ、右心室電極リード・ポート又はヒス束電極リード・ポートへ接続される。右心室電極リード・ポートがヒス束電極リードを受けるために使用される場合、このポートは、適用された感知/刺激パラメータがヒス束で電気信号を感知すること又は心臓のヒス束を刺激することに特に適するように、ヒス束ペーシングに対して特に構成される。
【0019】
実施例では、第2の電極リード構成は、心房電極リードと、左心室電極リードと、ヒス束電極リードとを備える。心房電極リードは、植込み型医療装置の心房電極リード・ポートへ接続される。ヒス束電極リードは、右心室電極リード・ポート又はヒス束電極リード・ポートへ接続される。左心室電極リードは、左心室の心尖領域に植え込まれ、植込み型医療装置の左心室電極リード・ポートへ接続される。このような電極リード構成は、心臓再同期療法を適用することに特に適切である。
【0020】
実施例では、第2の電極リード構成は、心房電極リードと、ヒス束電極リードと、右心室電極リードとを備える。心房電極リードは、植込み型医療装置の心房電極リード・ポートへ接続される。ヒス束電極リードは、右心室電極リード・ポート又はヒス束電極リード・ポートへ接続される。右心室電極リードは、その心尖領域において右心室に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。さらに、このリードは、右心室電極ポートへ接続される(そのような右心室電極ポートがまだ利用可能であり、ヒス束電極リードによって占有されていない場合)。そうでなければ、右心室電極リードは、植込み型医療装置の左心室電極ポートへ接続される。このような場合、感知/刺激パラメータは、接続された右心室電極リードを操作することに適している左心室電極リード・ポートへ適用される。この電極リード構成は、右心室バックアップ刺激を可能にする。このようなバックアップ刺激は、例えば、意図されたヒス束ペーシングが、典型的な心臓収縮を達成するには不十分であることが判明した場合に有用であり得る。
【0021】
実施例では、第2の電極リード構成は、以下に説明する設定を備える。一方では、プログラムされる植込み型医療装置は、単一の電極リード・ポート、即ち、第1の電極リード・ポートのみを備える。他方では、ヒス束電極リードは、第1の電極リード・ポートへ接続される。この第2の電極リード構成は、ヒス束ペーシング用のシングルチャンバ植込み型医療装置を構成することに適切である。
【0022】
実施例では、第2の電極リード構成は、以下に説明する設定を備える。一方では、プログラムされる植込み型医療装置は、正確に2つの電極ポート、即ち、第1の電極リード・ポート及び第2の電極リード・ポートを備える。他方では、ヒス束電極リードが第1の電極リード・ポートへ接続され、右心房電極が第2の電極リード・ポートへ接続される。この第2の電極リード構成は、ヒス束ペーシングに対して特に適応されたデュアルチャンバ植込み型医療装置に特に適している。
【0023】
実施例では、第2の電極リード構成は、以下に説明する設定を備える。一方では、プログラムされる植込み型医療装置は、正確に3つの電極リード・ポート、即ち、第1の電極リード・ポート、第2の電極リード・ポート、及び第3の電極リード・ポートを備える。他方では、3つの異なる具体的な電極構成が、本実施例において可能である。
【0024】
第1の構成では、ヒス束電極が第1の電極リード・ポートへ接続され、ここで、電極は第2の電極リード・ポートへ接続されていない。さらに、右心室電極リードが、第3の電極リード・ポートへ接続される。この構成は、ヒス束ペーシングに対して特に適応されたトリプルチャンバ植込み型医療装置に特に適しているが、右心室電極はヒス束電極バックアップ・リードとして役割を果たす。このような構成は、適切な心房感知/ペーシングがもはや可能ではない房室結節切除シナリオの場合に使用されることができる。
【0025】
第2の構成では、ヒス束電極が第1の電極リード・ポートへ接続され、右心房電極リードが第2の電極リード・ポートへ接続され、右心室電極リードが第3の電極リード・ポートへ接続される。このような設定は、ヒス束電極バックアップ・リードとして右心室電極を用いる生理学的ヒス束ペーシングに適している。
【0026】
第3の構成では、ヒス束電極リードが第1の電極リード・ポートへ接続され、右心房電極リードが第2の電極リード・ポートへ接続され、左心室電極リードが第3の電極リード・ポートへ接続される。このような構成は、心臓再同期療法に特に適している。
【0027】
先に説明した第2の電極リード構成のそれぞれでは、ヒス束電極リードが存在する。他の実施例では、ヒス束電極リードは、上記で説明したように他の電極を維持しながら、左束枝電極リード又は別の心室伝導系電極リードによって置き換えられる。実施例では、ヒス束電極リード及び左束枝電極リードの両方が存在し、ここで、他の電極リードも上記で説明したように存在する。
【0028】
実施例では、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1のプロセッサに、通知信号をプログラミング装置のユーザにとって恒久的に利用可能にさせる。このような恒久的な利用可能性は、関連する植込み型医療装置へ不適切な電極構成を適用するプログラミング装置を使用する危険が著しく低減されることを特に信頼できる方法で保証する。このような通知信号の恒久的な利用可能性は、例えば、生成された通知信号に関する情報をプログラミング装置のグラフィカル・ユーザ・インタフェース上に表示することによって実現されることができる。このような情報は、例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェースの開始画面上、又はグラフィカル・ユーザ・インタフェースの1つ又は複数の(特に全ての)サブページ上に表示することができる。生成された通知信号に関するそのような情報が、植込み型医療装置へ特定の電極構成を割り当てるために使用されるグラフィカル・ユーザ・インタフェースの一部に表示される場合、特に適している。
【0029】
実施例では、生成された通知信号は、第2の電極リード構成以外の電極リード構成を選択する可能性を制限する。実施例では、生成された通知信号は、第2の電極リード構成以外の電極リード構成を選択できるようになる前に、通知信号のリセットを必要とする。
【0030】
実施例では、さらなる通知信号は、(第1の)通知信号が以前に生成された場合に、植込み型医療装置の電極リード構成が第2の電極リード構成と異なる電極リード構成へ変更されると、生成され出される。このような場合、ユーザは、一般に、植込み型医療装置の電極リード構成を変更することができるが、元の通知信号が過去に設定された場合には、さらなる通知信号に直面することになる。
【0031】
実施例では、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1のプロセッサに、通知信号をプログラミング装置から離れた器具へ転送させる。そうすることで、通知信号は、器具又は器具のユーザによって考えられるデータ形態に変換されることができる。しかしながら、変換せずに通知信号を器具へ転送することも可能である。器具は、プリントアウト(又はプリントアウトを作るためのプリンタ)、データベース、及び家庭監視システムからなる群から選ばれる。特に適切なデータベースは、電子健康記録(EHR:Electronic health records)を備えるデータベースである。一つの実例を挙げると、臨床情報システムは適切なデータベースであり得る。通知信号を、このような器具へ転送すると、通知信号は後の時点で器具において利用可能になる。次に、特定の植込み型医療装置の電極リード構成を識別することは、プログラミング装置が、その時点で手元にないかもしれないとしても、特に容易である。
【0032】
実施例では、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1のプロセッサに、第1の電極リード構成が選択される場合に第1のセットのプログラミング機能を有効にさせ、第2の電極リード構成が選択される場合に第2のセットのプログラミング機能を有効にさせる。したがって、プログラミング装置は、選択された電極リード構成に応じて異なるセットのプログラミング機能を有効にする。そうすることで、特に適切な感知/刺激パラメータは、選択された電極リード構成に対して、選ばれ又は調節されることができる。したがって、第1の電極リード構成が選択される場合は特定のパラメータを、第2の電極リード構成が選択される場合は異なるパラメータを調節することが可能であってもよい。
【0033】
実施例では、植込み型医療装置の少なくとも1つのさらなる電極リードは、第2の電極リード構成において植込み型医療装置のさらなる電極リード・ポートへ接続される。この実施例では、さらなる電極リード・ポートは、第1の心臓領域(即ち、心臓の心房、右心室若しくは左心室)を刺激するため又は第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。さらに、少なくとも1つのさらなる電極リードは、第1の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。さらに、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1のプロセッサに、第1の心臓領域を選ぶことに応じて、即ち、少なくとも1つのさらなる電極リードが心臓の心房、右心室若しくは左心室に植え込まれる(又は植え込まれることが意図される)場合、第2のセットのプログラミング機能を調節させる。したがって、この実施例は、ユーザによる植込み型医療装置のプログラミングを容易にするためにプログラミング表面の非常に具体的な調節を可能にする。不要な機能は停止状態にされることができる一方で、植込み型医療装置のために選択された特定の電極リード構成に対して必要な又は任意の機能が起動される。次に、感知/刺激パラメータの非常に具体的な修正が、プログラミング装置でプログラムされる植込み型医療装置の特定の電極リード構成を考慮に入れて行われることができる。
【0034】
態様では、本発明は、プロセッサ上で実行されるときに、プロセッサに以下に説明するステップを行わせるコンピュータ可読コードを備えるコンピュータ・プログラム製品に関する。
【0035】
第1のステップでは、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の少なくとも2つの電極リード構成のうちの1つを選択することが可能にされる。この文脈において、少なくとも2つの電極リード構成は、第1の電極リード構成及び第2の電極リード構成を備える。
【0036】
第1の電極リード構成では、植込み型医療装置の各電極リードは、植込み型医療装置の電極リード・ポートへ接続される。この文脈において、電極リード・ポートは、第1の心臓領域を刺激するため又は第1の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。第1の心臓領域は、刺激される又は電気信号が検出される心臓の心房、左心室及び右心室(心室伝導系を除く)から選ばれる少なくとも1つの領域である。各電極リードは、電極リードが接続される電極リード・ポートの第1の心臓領域に対応する心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。
【0037】
第2の電極リード構成では、植込み型医療装置の少なくとも1つの電極リードは、植込み型医療装置の電極リード・ポートへ接続される。しかしながら、この場合、電極リード・ポートは、第2の心臓領域を刺激するため又は第2の心臓領域で電気信号を検出するための電極リードを受けるように構成される。第2の心臓領域は、心臓の心室伝導系の一部である(しかしながら、心房、右心室、若しくは左心室自体でもない)。さらに、少なくとも1つの電極リードは、第2の心臓領域に植え込まれることが意図される。典型的には、心臓の心室伝導系は、人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の電極リードによって直接、接触されるわけではない。したがって、この第2の電極リード構成は非定型電極リード構成と表記されることもできる。
【0038】
第2の電極リード構成が選択される場合、通知信号が生成され出される。
【0039】
態様において、本発明は、前の説明によるプログラミング装置及び人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置の設備に関する。上記で説明した構成要素に加えて、プログラミング装置は、第1のデータ通信部も備える。さらに、植込み型医療装置は、第2のプロセッサと、第2のメモリ部と、第2のデータ通信部と、刺激部と、検出部とを備える。刺激部は、人間又は動物の心臓の心臓領域を刺激するように構成される。検出部は、同じ心臓の心臓領域で電気信号を検出するように構成される。刺激部及び検出部は、電極リードを備える。この電極リードは、刺激部と検出部とに対して同一でも異なっていてもよい。このような設備によって、例えば、特定の刺激/感知パラメータを設定するために、植込み型医療装置をプログラムするためのプログラミング装置を使用することが可能である。
【0040】
実施例では、能動植込み型医療装置は、植込み型パルス発生器(IPG:implantable pulse generator)、植込み型除細動器(ICD:implantable cardioverter-defibrillator)又は心臓再同期療法(CRT:cardiac resynchronization therapy)用の装置である。
【0041】
実施例では、第1のデータ通信部及び第2のデータ通信部は、プログラミング装置から植込み型医療装置へ及び/又は反対方向に、即ち、植込み型医療装置からプログラミング装置へデータを転送する役割を果たす。したがって、プログラミング装置は、植込み型医療装置をプログラムするだけでなく、植込み型医療装置の特定の設定を読み出すためにも使用されることができる。
【0042】
実施例では、データ通信部は、無線方式でデータを転送する役割を果たす。全ての標準的なデータ送信プロトコル又は仕様は、このような無線データ通信に適している。標準的なデータ送信プロトコル又は仕様の実例は、医療装置無線通信サービス(MICS:Medical Device Radiocommunication Service)、ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE:Bluetooth Low Energy)プロトコル、及びジグビー仕様である。
【0043】
実施例では、第2のメモリ部は、第2のプロセッサ上で実行されるときに第2のプロセッサに以下に説明するステップを行わせる第2のコンピュータ可読プログラムを備える。
【0044】
まず、データセットが第2のデータ通信部で受信される。このデータセットは、プログラミング装置上で選択された植込み型医療装置の電極リード構成のための適切な感知パラメータ及び/又は刺激パラメータを備える。
【0045】
その後、検出部の感知パラメータが、(データセットが適切な感知パラメータを備える場合)受信したデータセットを使用することによって設定される。付加的に又は代替的に、(受信したデータセットが適切な刺激パラメータを備える場合)刺激部の刺激パラメータは、受信データセットを使用することによって設定される。
【0046】
実施例では、第2のメモリ部は、第2のプロセッサ上で実行されるときに第2のプロセッサに以下に説明するステップを行わせる第2のコンピュータ可読プログラムを備える。
【0047】
第1のステップでは、第2の心臓領域電極リードの存在が自動的に検出される。このような第2の心臓領域電極リードは、第2の心臓領域を刺激するように及び/又は第2の心臓領域で電気信号を検出するように構成される。上で概説したように、第2の心臓領域は、心臓の心室伝導系の一部である。さらに、第2の心臓領域電極は、第2の心臓領域に植え込まれることが意図される又は植え込まれる。
【0048】
或いは、このような第2の心臓領域電極の存在を示すデータセットが、第2のメモリ部から受信される。このようなデータセットは、プログラミング装置において適切な電極リード構成の選択をした後に、プログラミング装置によって生成されることができ、植込み型医療装置へ転送されることができる。その後、第2のメモリ部に記憶される。
【0049】
さらなるステップでは、第2のデータ通信部は、第2の心臓領域電極リードの存在を示すデータセットを第1のデータ通信部へ転送するようにされる。したがって、植込み型医療装置は、プログラミング装置上でなされる電極リード構成の選択が、このような転送されたデータセットに基づいて自動的に行われることができるように、第2の心臓領域電極リードの存在に関してプログラミング装置に積極的に知らせることができる。
【0050】
より正確には、実施例では、第1のコンピュータ可読プログラムは、第1のプロセッサに以下に説明するステップを行わせる。まず、第2の心臓領域電極リードの存在を示すデータセットは、第1のデータ通信部で受信される。その後、第2の電極リード構成は、このデータセットを受信することに応じて自動的に選択される。
【0051】
この実施例は、適切な電極リード構成の選択が、より早い時点で既に行われ植込み型医療装置に記憶された場合に特に適している。データ接続が後の段階で植込み型医療装置とプログラミング装置との間に確立されると、プログラミング装置は、第2の心臓領域電極リードの存在に関する情報を自動的に受信することができるので、後続のプログラミング目的のために第2の電極構成を自動的に選択することができる。このような場合、正しい電極リード構成の選択が特に容易且つ信頼性のあるものとされる。これは、それぞれの植込み型医療装置の全体的な操作安全性を向上させる。
【0052】
態様において、本発明は、前の説明によるプログラミング装置で人間又は動物の心臓を刺激するための植込み型医療装置をプログラムするための方法に関する。上記で説明した構成要素に加えて、プログラミング装置はまた、第1のデータ通信部を備える。さらに、植込み型医療装置は、第2のプロセッサと、第2のメモリ部と、第2のデータ通信部と、刺激部と、検出部とを備える。刺激部は、人間又は動物の心臓の心臓領域を刺激するように構成される。検出部は、同じ心臓の心臓領域で電気信号を検出するように構成される。刺激部及び検出部は、電極リードを備える。この電極リードは、刺激部と検出部とに対して同一でも異なっていてもよい。この方法は、以下に説明するステップを備える。
【0053】
まず、データセットがプログラミング装置で生成される。このデータセットは、プログラミング装置上で選択された電極リード構成のための適切な感知パラメータ及び/又は刺激パラメータを備える。
【0054】
その後、第1のデータ通信部は、データセットを植込み型医療装置へ送信するために使用される。
【0055】
次に、植込み型医療装置は、第2のデータ通信部でデータセットを受信する。
【0056】
その後、検出部の感知パラメータ及び/又は刺激部の刺激パラメータが、受信したデータセットを使用することによって設定される。
【0057】
記載されたプログラミング装置の全ての実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、個々に又はあらゆる任意の組み合わせ、のどちらかで、設備へ、コンピュータ・プログラム製品へ、及び方法へ転送することができる。さらに、設備に関して記載された全ての実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、個々に又はあらゆる任意の組み合わせ、のどちらかで、記載されたプログラミング装置へ、記載されたコンピュータ・プログラム製品へ、及び記載された方法へ転送させることができる。同様に、コンピュータ・プログラム製品に関して記載された全ての実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、個々に又はあらゆる任意の組み合わせ、のどちらかで、記載されたプログラミング装置へ、記載された設備へ、及び記載された方法へ転送することができる。最後に、方法に関して記載された全ての実施例は、任意の所望の方法で組み合わせることができ、個々に又はあらゆる任意の組み合わせ、のどちらかで、記載されたプログラミング装置へ、設備へ、及びコンピュータ・プログラム製品へ転送することができる。
【0058】
本発明の態様のさらなる詳細は、例示的な実施例及び添付の図を参照して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】ペースメーカー及びプログラミング装置の設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、植込み型医療装置として役割を果たすペースメーカー1及びプログラミング装置2の設備を示す。ペースメーカー1は、ヒス束電極リード4が挿入される電極リード・ポートとして役割を果たすポート3を備える。ヒス束電極リード4は、人間の心臓7のヒス束6に植え込まれたその遠位端に電極5を備える。
【0061】
プログラミング装置2は、プログラミング装置2のユーザとの相互作用を可能にするための表示装置8を備える。プログラミング装置2及びペースメーカー1は、無線通信9によって互いに操作可能に結合される。この無線通信9は、プログラミング装置2における第1のデータ通信部及びペースメーカー1における第2のデータ通信部によって確立される。この無線通信9により、プログラミング装置2の助けでペースメーカー1をプログラムすることが可能である。
【0062】
このようなプログラミングを実施するために、プログラミング装置2は、まず、2つの電極リード構成間の選択を要求する。第1の電極リード構成は、心房電極リードと右心室電極リードとを有する標準電極リード構成である。第2の電極リード構成は、ヒス束電極リードが存在する電極リード構成である。本実施例では、ヒス束電極4は、第2の電極リード構成が選択されるようにペースメーカー1へ接続される。これにより、自動的に、プログラミング装置2のソフトウェアに記憶される通知信号が生成される。さらに、この通知信号に関する情報は、プログラミング装置2の表示装置8に表示される。
図1
【国際調査報告】