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特表2022-553154ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポート
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  • 特表-ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポート
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61M39/02 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521389
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020077511
(87)【国際公開番号】W WO2021078488
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019000019761
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092051
【氏名又は名称】ペーエフエム メディカル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アシャール ド ラ ヴァント、スタニスラス マリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルジョン、シリル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB05
(57)【要約】
本発明は、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポートを参照する。このデバイスは、ポート本体(2)と、針を受け入れるための少なくとも1つの入口開口部(14)および出口開口部(33)を有する針入口(3)と、針入口(3)の出口開口部に接続され、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)とを備える。針入口(3)はポート本体(2)に接続され、第1の非作動動作状態と第2の作動動作状態との間でポート本体(2)に対して移動可能である。デバイスは、第1の非作動動作状態にある少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)をクランプし、第2の作動動作状態にある少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)をアンクランプするためのクランプ手段(4)をさらに備える。そのため、クランプ手段(4)は、第1の非作動動作状態では、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)を通って流体が流れることを防止し、第2の作動動作状態では、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)を通って流体が流れることを許容する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス(1)、特に皮下埋込型アクセスポートであって、
ポート本体(2)と、
針を受け入れるための少なくとも1つの入口開口部(14)および出口開口部(33)を有する針入口(3)と、
前記針入口(3)の前記出口開口部(33)に接続された、前記ヒトまたは動物の体の前記血管系にアクセスするための少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)と
を備え、
前記針入口(3)は、前記ポート本体(2)に接続され、かつ第1の非作動動作状態と第2の作動動作状態との間で前記ポート本体(2)に対して移動可能であり、
前記埋込型アクセスデバイス(1)は、
前記第1の非作動動作状態にある前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)をクランプし、前記第2の作動動作状態にある前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)をアンクランプするためのクランプ手段(4)をさらに備え、
前記クランプ手段(4)は、前記第1の非作動動作状態では、前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)を通って流体が流れることを防止し、前記第2の作動動作状態では、前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)を通って流体が流れることを許容する、埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項2】
前記ポート本体(2)と前記針入口(3)との間の動きを案内するためのガイド手段(9)をさらに備える、請求項1に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項3】
前記ガイド手段(9)は、前記ポート本体(2)と前記針入口(3)との間に配置された別体の構成要素によって実装される、請求項2に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項4】
前記ガイド手段(9)は、前記第1の非作動動作状態および前記第2の作動動作状態で前記針入口(3)をロックするように設計されている、請求項2または3に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項5】
前記クランプ手段(4)は、前記第1の非作動動作状態および前記第2の作動動作状態の少なくとも一方において、特に前記クランプ手段(4)をロックするために、前記ポート本体(2)と前記クランプ手段(4)との間に配置されたばね(10)をさらに備える、請求項4に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項6】
前記第1の非作動動作状態から前記第2の作動動作状態への前記ポート本体(2)に対する前記針入口(3)の移動は、最初に前記針入口(3)への針の挿入方向における並進運動と、その後の該並進運動に対する旋回運動とを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項7】
前記クランプ手段(4)は、該クランプ手段(4)を前記針入口(3)または別体のガイド手段(9)に回転して接続するための回転駆動部(43,44)をさらに含む、請求項6に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項8】
前記針入口(3)は、前記針を前記針入口(3)に導くための漏斗を有する入口開口部(34)を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項9】
前記ポート本体(2)と可動の前記針入口(3)との間に可撓性ソケット(8)をさらに備える請求項1乃至8のいずれか一項に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項10】
前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)用のストレインリリーフ(5)をさらに含み、該ストレインリリーフ(5)は、好ましくは前記ポート本体(2)に取り付けられる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項11】
前記クランプ手段(4)は、前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)をクランプするための少なくとも2つのジョー(41,42)を含み、前記2つのジョーは、好ましくは前記カテーテル(6)の互いに対向する側に配置される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【請求項12】
前記クランプ手段(4)は、前記ポート本体(2)、特に前記ポート本体(2)のカム斜面(25,26)と協働して、前記第1の非作動動作状態において前記ジョー(41,42)を前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)に向けて押し、前記第2の作動動作状態において前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテル(6)から前記ジョー(41,42)を解放するように設計されたカムフォロア(45,46)をさらに含む、請求項11に記載の埋込型アクセスデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポートに関する。
【背景技術】
【0002】
治療中、例えば、治療薬、薬物などの注入、体液の除去、体液の処置、造影剤の注入、および/またはカメラ、超音波プローブ、ブラシ、カテーテル、捕捉装置、または同様の装置などの医療機器の挿入のために、ヒトまたは動物の体の血管系に繰り返しアクセスしなければならない場合がある。例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血漿交換、限外濾過、水濾過、n脂質フェレーシス、血液灌流、腹膜透析などのような流体交換療法の場合、大量の流体の流れを可能にする、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための装置が好ましい。
【0003】
従来技術から、例えば、直接血管カニューレ挿入、短期および長期のカテーテル法、および皮下ポートシステムの移植など、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための様々な手段が知られている。
【0004】
ヒトまたは動物の体の血管系への一時的なアクセスは、ヒトまたは動物の体の皮膚を通してヒトまたは動物の体の血管系の血管に針を直接経皮的に導入することによって容易に行うことができる。そのような手法は、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスする最も安価で最も単純な形態であり、例えば、静脈内薬物送達、脱血などのような短期間の用途に特に適している。しかしながら、ヒトまたは動物の体の皮膚を通してヒトまたは動物の体の血管系の血管に針を繰り返し導入することは、血管血栓症、狭窄および仮性動脈瘤の形成、ならびに感染症を生じさせることがある。
【0005】
例えば、短期カテーテルや長期カテーテルのような経皮デバイスは、ヒトまたは動物の体の皮膚を通してヒトまたは動物の体の血管系の血管に針を繰り返し直接経皮的に導入するという問題に対処するために使用される。そのような経皮デバイスは、柔軟なカニューレであってもよく、ヒトまたは動物の体の血管または体腔などの関心のある領域に経皮的に挿入される。しかしながら、経皮デバイスは、ヒトまたは動物の体の皮膚を通してヒトまたは動物の体の血管系の血管に針を繰り返し直接経皮的に導入するという問題に対処するが、しばしば感染による合併症を引き起こす。感染症は通常、機器がヒトや動物の体の皮膚、さらにはヒトや動物の体そのものの血管系を通過する部位に感染する。よって、そのような経皮デバイスは、局所的または全身的な感染を引き起こす可能性がある。
【0006】
したがって、ヒトまたは動物の体の皮膚を通してヒトまたは動物の体の血管系の血管に針を直接経皮的に導入すること、または、経皮カテーテルを使用することは、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血漿交換、限外濾過、水濾過、n脂質フェレーシス、血液灌流、腹膜透析などのように、定期的に繰り返さなければならない長期の用途や体外処置にはあまり適していない。
【0007】
上記の問題に対処するために、皮下に埋め込まれた様々なポートが、ヒトまたは動物の体の血管系への長期および/または定期的に繰り返されるアクセスのために長年にわたって提案されてきた。典型的な皮下に埋め込まれたポートは、針またはアクセスカテーテルを受け入れるためのアクセス領域、ポートを通る流体流路、およびヒトまたは動物の体の血管系の血管に取り付けられた皮下カテーテルを有する。したがって、流体流路が、アクセスカテーテルから皮下に埋め込まれたポートおよび皮下カテーテルを通ってヒトまたは動物の体の血管系まで形成される。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されているような最も一般的なタイプの皮下に埋め込まれたポートは、導入された針を受け入れるためのポートチャンバを有するハウジングを備えている。ヒトまたは動物の体の皮膚に隣接するポートチャンバの表面は、通常はシリコーンゴムでできている高密度の自己封止隔壁(high-density self-sealing septum)で囲まれている。皮下に埋め込まれたカテーテルは、ヒトまたは動物の体内の静脈または他の部位と連通しており、ポートチャンバに対して接続されて流体接続されている。そのような装置の埋め込みは、一般に、局所麻酔下でヒトまたは動物の体の適切な領域に小さな皮下ポケットを作ることによって行われる。皮下に埋め込まれたカテーテルは、所望の注入部位にトンネル状に留置される。
【0009】
隔壁はヒトまたは動物の体の皮膚に面しており、皮下に埋め込まれたカテーテルはヒトまたは動物の体の皮膚と実質的に平行に延びているため、導入された針からの流路には90°の屈曲部があり、この屈曲部は、ヒトまたは動物の皮膚に対して垂直、皮下に埋め込まれたカテーテルに対して垂直である。特に高流量の場合、これは血液への損傷、いわゆる溶血を引き起こす可能性がある。
【0010】
隔壁の損傷またはコアリング(coring)を回避するために、いわゆるポートまたはフーバー針(Huber needle)のような特別な針が、ヒトまたは動物の体の皮膚および隔壁を通してポートチャンバに導入される。隔壁の損傷やコアリングは、針を特別に切断することで回避できる。治療が終了した後、針はポートチャンバから引き抜かれる。
【0011】
大口径の針は、ポートチャンバを密閉するために使用されるゴム製の隔壁を損傷することがあるため、これらの周知の皮下に埋め込まれるポートデバイスの流体流量が制限される。さらに、視覚的理由およびヒトまたは動物の体の皮膚に課せられる局所的な圧迫(stress)のために、皮下に埋め込まれるポートの高さを制限することが望ましい。ただし、これにより、ポートチャンバの高さが制限され、ポート隔壁が薄くなる。したがって、導入された針のわずかな変位は、より薄い隔壁による摩擦の減少のために、ポートチャンバから針をより容易に引き抜くことができるようになる。化学療法中のように有毒物質が注入されている場合、ポートチャンバから針を引き抜くと局所的な組織損傷を引き起こす可能性があり、矯正手術や組織の除去などのさらなる外科的治療につながることがある。
【0012】
さらに、流体流路の少なくとも1つの90°の屈曲部のために、例えば血栓症が発生すると、皮下に埋め込まれたポートを清潔にする(clear)ことが困難であるか、または不可能でさえある。血栓は、例えば肺塞栓症または肺閉塞症といった、深刻な傷害を患者に引き起こすことがある。皮下に埋め込まれたポートを清潔にするには、皮下注射針を介してポートチャンバに、さらに皮下に埋め込まれたカテーテルを介して洗浄ワイヤを送る必要がある。しかしながら、少なくとも1つの90°の屈曲部のために、ポートチャンバから皮下に埋め込まれたポートに洗浄ワイヤを送ることは非常に困難である。皮下に埋め込まれたポートを洗浄できない場合は、患者への深刻な傷害というリスクを回避するためにポートを交換する必要がある。
【0013】
ポートチャンバへの針の垂直導入に関連する課題を克服するために、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6または特許文献7において、管状の皮下に埋め込まれたポートを使用することが提案されており、針がヒトまたは動物の体の皮膚に実質的に平行に導入されるように隔壁を配置する。これは、皮下に埋め込まれたポートを通る実質的に真っ直ぐな流体の流路をもたらす。実質的に真っ直ぐな流体流路のために、洗浄ワイヤまたは別のデバイスを、ポートチャンバを通して皮下に埋め込まれたカテーテルに容易に導入することができる。さらに、カテーテルハウジングの長さは、埋込み部位の領域の皮膚により多くの圧迫を引き起こすことなく延長することができる。したがって、ポートチャンバの長さを延ばすことができ、針をポートチャンバにさらに導入することができ、それにより、ポートチャンバから針が偶発的に引っ込められるリスクを大幅に低減することができる。
【0014】
さらに、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11の例のように、隔壁を弁アセンブリで置き換えることが先行技術から知られている。弁アセンブリにより、瘻孔針は、隔壁を損傷することなく、皮下に埋め込まれたポートに導入することができる。通常、弁は、導入された針によって弁の一部を動かすことによって、または、導入された針を例えばリーフレット弁アセンブリのような弁を介して前進させることによって作動させられる。これにより、より大きな直径の針を使用することもでき、達成可能な最大流体流量が増加する。特許文献12はさらに、第1および第2のアクセスポートを含む二重ポート血管アクセスアセンブリを開示している。この血管アクセスアセンブリは、第1のアクセスポートにアクセスチューブがない場合に、第2のアクセスポートを閉じるように設計されている。したがって、第1のアクセスポートに戻りアクセスチューブがないために戻された血液が停止すると、採血は自動的に終了する。しかしながら、前述の先行技術文献によれば、針はヒトまたは動物の体の皮膚に対して垂直に導入され、したがって、依然として、ポートチャンバへの針の垂直導入に関連する上記の課題を抱えている。
【0015】
特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16および特許文献17はそれぞれ、減少した直径の案内通路につながる漏斗形状の入口オリフィスを有するハウジングを備えた皮下埋込型アクセスポートを開示している。リーフレットタイプの弁または自己収縮型管状弁を含む様々な形態をとることができる関節式弁が、アクセスポートハウジングに沿って配置される。針、ガイドワイヤ、光ファイバ、または外部カテーテルなどの外部フィラメントをアクセスデバイスに導入し、ハウジングを通して送って関節式弁を貫通させることができる。
【0016】
特許文献18および特許文献19はそれぞれ、ヒトまたは動物の体内の血管に繰り返しアクセスするための埋込型の単一または二重ルーメンデバイスを開示している。そのようなデバイスは、弾力性材料を使用してシールを形成し、流れの不連続性のない滑らかで流線形の流路を備えている。このデバイスは、皮下に埋め込まれたカテーテルに結合されているため、アクセスする血管から流体を抽出したり、アクセスする血管に注入したりすることができる。このデバイスは、流体交換療法に関連する、毎分150ミリリットル以上の高流量用に設計されている。血液への損傷を最小限に抑えるには、滑らかな流れのストリーミングが重要である。対応する直針装置は、アクセスデバイスと嵌合およびロックするように設計されており、位置合わせと開放流路が保証される。弁シールには、シール自体と密接に接触して保持される、対向する非常に硬い表面のガイド要素が組み込まれている。針アセンブリは、針先がシール材料に到達する前にシールを開くガイド要素を押し開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6056717号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19624320号明細書
【特許文献3】欧州特許第033294381号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1629862号明細書
【特許文献5】欧州特許第176545681号明細書
【特許文献6】米国特許第5848989号明細書
【特許文献7】米国特許第4861341号明細書
【特許文献8】米国特許第6007516号明細書
【特許文献9】米国特許第6120492号明細書
【特許文献10】米国特許第6193684号明細書
【特許文献11】米国特許第7056316号明細書
【特許文献12】米国特許第6565525号明細書
【特許文献13】米国特許第5350360号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第1016431号明細書
【特許文献15】米国特許第5741228号明細書
【特許文献16】米国特許第5356381号明細書
【特許文献17】米国特許第5352204号明細書
【特許文献18】米国特許第5911706号明細書
【特許文献19】米国特許第6506182号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特に、例えば、大量の流体を必要とする、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血漿交換、限外濾過、水濾過、n脂質フェレーシス、血液灌流、腹膜透析などのような流体交換療法の場合、最大流量が達成されることを保証する、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための装置が必要とされている。さらに、流体交換療法は通常1時間以上の時間を要するため、挿入された針と一緒に血管系にアクセスするためのデバイスは、患者にとって可能な限り快適、つまり、薄型で、患者の皮膚にできるだけ近くになければならない。
【0019】
これらの目的は、本発明による、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポートによって達成され、このデバイスは、
ポート本体と、
針を受容するための少なくとも1つの入口開口部および出口開口部を有する針入口と、
前記針入口の前記出口開口部に接続された、前記ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための少なくとも部分的に可撓性のカテーテルと
を備え、
前記針入口は、前記ポート本体に接続され、かつ第1の非作動動作状態と第2の作動動作状態との間で前記ポート本体に対して移動可能であり、
前記第1の非作動動作状態にある前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをクランプし、前記第2の作動動作状態にある前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをアンクランプするためのクランプ手段をさらに備え、前記クランプ手段は、前記第1の非作動動作状態では、前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテルを通って流体が流れることを防止し、前記第2の作動動作状態では、前記少なくとも部分的に可撓性のカテーテルを通って流体が流れることを許容する。
【0020】
本発明によれば、埋込型アクセスデバイスを通る、すなわち挿入された針から、針入口と該針入口の出口開口部に取り付けられたカテーテルとを通る通路は、第1の非作動動作状態において完全に閉じられ、第2の作動動作状態において完全に開かれる。したがって、例えば、埋込型アクセスデバイスは、ポート本体に対する針入口の相対的な動きによって作動される、すなわち開閉されるクランプ手段を備える。
【0021】
埋込型アクセスデバイスを通る通路は、クランプ手段によってそれぞれ完全に閉じられたり、完全に開かれたりする。クランプ手段は、第1の非作動動作状態においてクランプ手段がカテーテルの可撓性部分をクランプしてカテーテルを通る通路が閉じられるように設計および配置されている。第2の作動動作状態では、クランプ手段はカテーテルの可撓性部分をクランプせず、カテーテルを通る通路は完全に開いている。したがって、埋込型アクセスデバイスは、ポート本体に対して針入口を移動することによって作動する。これは、針を針入口に挿入することによって実行可能である。本発明の変形例では、埋込型アクセスデバイスは、ポート本体と針入口との間の動きを案内するためのガイド手段をさらに備える。ガイド手段は、針入口とポートとの間の可能な相対的な動きを規定する。したがって、針入口はポート本体に対して自由に動くことはできず、規定された範囲内でのみ動くことができる。ガイド手段は、埋込型アクセスデバイスを作動/非作動にするために必要な動きを規定する。例えば、ガイド手段は、カムのような突起と、針入口にそれぞれ配置された対応するくぼみまたは表面とである。くぼみまたは表面は移動経路を規定し、突起はくぼみにロックされるか、または移動経路を規定すべく表面に沿って動く。本発明の変形例によれば、ガイド手段は、ポート本体と針入口との間に配置された別体の構成要素によって実装される。例えば、別体のガイド手段は、例えばスナップフィット接続によって可動の針入口に接続され、針入口に対して固定されている。針入口と取り付けられたガイド手段はポート本体に挿入される。別体のガイド手段は、ポート本体に配置された突起用のくぼみまたはガイド面を提供する。埋込型アクセスポートの組み立て中に、可動の針入口が別体のガイド手段に挿入される。別体のガイド手段は、ポート本体に配置された突起用のくぼみまたはガイド面を製造するよりも簡単である。さらに、このような埋込型アクセスポートは組み立てが簡単である。
【0022】
本発明の好ましい変形例では、ガイド手段は、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態で針入口をロックするように設計される。これは、例えば、くぼみまたは表面経路にポケットまたは同様の切り欠きを設け、突起が、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態においてこれらポケット内にそれぞれ配置され、ポート本体に対する針入口の移動によって埋込型アクセスデバイスを作動または非作動にするためには、突起をポケットから移動するための特別な動きが必要となるようにすることで達成される。ガイド手段のロック手段は、第1の非作動動作状態、第2の作動動作状態でそれぞれロックされるので、本発明の埋込型アクセスデバイスを通る通路が完全に閉じているかまたは完全に開いていることが保証される。したがって、ロック手段は、いわゆる双安定機構という2つの安定した動作状態を提供する。
【0023】
本発明の好ましい変形例では、クランプ手段は、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態の少なくとも一方において、特にクランプ手段をロックするために、ポート本体とクランプ手段との間に配置されたばねをさらに備える。したがって、クランプ手段は、ポート本体に対してばねで付勢されることによって、例えば、第1の非作動動作状態および/または第2の作動動作状態でクランプ手段をロックする。ばねによって一定の操作力が必要となるため、埋込型アクセスデバイスの偶発的な操作がさらに回避される。
【0024】
本発明の変形例によれば、第1の非作動動作状態から第2の作動動作状態へのポート本体に対する針入口の移動は、最初に針入口への針の挿入方向における並進運動と、その後の該並進運動に対する旋回運動とを含む。埋込型アクセスデバイスを作動させるために必要な2つの独立した動きには、埋込型アクセスデバイスが偶発的に作動されないという利点がある。最初の並進運動は、針を針入口に挿入する際の運動の方向に対応する。したがって、埋込型アクセスデバイスの通常の操作、つまり針入口への針の挿入中に、最初に必要な動きが多かれ少なかれ自動的に実行される。第2の独立した動き、すなわち旋回運動は、第2の作動動作状態で針入口をロックするために特に使用される。これとは対照的に、第2の作動動作状態から第1の非作動動作状態へのポート本体に対する針入口の動きは、一方向への動き、特に旋回運動のみを含む。このようにして、埋込型アクセスデバイスを通る通路を簡単に閉じることができる。
【0025】
本発明の変形例によれば、クランプ手段は、クランプ手段を針入口または別体のガイド手段に回転して接続するための回転駆動部をさらに含む。クランプ手段は、ポート本体の内側に配置され、同じ並進運動でのポート本体に対する針入口の並進運動によってばね力に抗して移動することができる。ポート本体に対する針入口のさらなる旋回運動を可能にするために、クランプ手段は、ポート本体に対する針入口または別体のガイド手段の回転運動を可能にする回転駆動部をさらに含む。
【0026】
本発明の変形例において、針入口は、針を針入口に導くための漏斗を有する入口開口部を含む。漏斗は、針を針入口に挿入するのに有用である。さらに、針が漏斗によって針入口に導かれるため、漏斗は、患者の皮膚に針を挿入するために僅かに異なる場所を使用することを可能にする。
【0027】
本発明の好ましい変形例によれば、埋込型アクセスデバイスは、ポート本体と可動の針入口との間に可撓性ソケットを備える。埋込型アクセスポートは、ヒトまたは動物の体に皮下移植され、針入口はポート本体に対して可動であるため、組織はポート本体と可動の入口との間の領域で成長する可能性が高い。組織がこの領域で成長し、針入口がポート本体に対して移動する場合、この組織がクランプされたり、挟まれたり、ポート本体への針入口の相対的な動きによって影響を受けたりする可能性があり、これは患者にとって不快となり得る。針入口とポート本体との間に組織が成長するのを防止するために、ポート本体と針入口との間に可撓性ソケットが配置される。ソケットは、相対的な動きを可能にすべく可撓性を有するが、それでもこの領域での組織の成長を防止する。
【0028】
本発明の変形例によれば、埋込型アクセスデバイス、特にポート本体は、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル用のストレインリリーフを含む。ストレインリリーフは、ポート本体の出口に取り付けられることが好ましい。ストレインリリーフは、カテーテルの内径を減少させる可能性のある、少なくとも部分的に可撓性のカテーテルのいかなる捩じれをも防止する。
【0029】
本発明の好ましい変形例によれば、クランプ手段は、少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをクランプするための少なくとも2つのジョーを含み、2つのジョーは、好ましくはカテーテルの互いに対向する側に配置される。
【0030】
本発明の有利な変形例では、クランプ手段は、ポート本体、特にポート本体のカム斜面と協働して、第1の非作動動作状態においてジョーを少なくとも部分的に可撓性のカテーテルに向けて押し、第2の作動動作状態において少なくとも部分的に可撓性のカテーテルからジョーを解放するように設計されたカムフォロアをさらに含む。これは、第1の非作動動作状態で少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをクランプし、第2の作動動作状態で少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをアンクランプするためのクランプ手段を実施するための簡単かつ安価な方法である。クランプ手段のカムフォロアおよびポート本体のカム斜面は、クランプ手段を作動させるために、すなわち、第1の非作動動作状態において少なくとも2つのジョーを一緒に押して少なくとも部分的に可撓性のカテーテルをクランプし、第2の作動動作状態においてジョーを少なくとも部分的に可撓性のカテーテルから解放するために協働するクランプ手段およびポート本体の表面である。
【0031】
以下、添付図面に示される実施形態に関して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による埋込型アクセスデバイスの第1の実施形態の断面図である。
図2】本発明による埋込型アクセスデバイスの可動の入口の斜視図である。
図3】本発明による埋込型アクセスデバイスのポート本体の上面図および側面図である。
図4】本発明による埋込型アクセスデバイスのクランプ手段の斜視図である。
図5】本発明による埋込型アクセスデバイス用の別体のガイド手段の視点図である。
図6】本発明による埋込型アクセスデバイス用の可撓性ソケットの視点図である。
図7】可撓性ソケットの固定リングの斜視図である。
図8】本発明による非作動および作動状態の埋込型アクセスデバイスの断面図である。
図9】ポート本体に対する可動の針入口の動きを示す、本発明による埋込型アクセスデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための埋込型アクセスデバイス、特に皮下埋込型アクセスポートの第1の実施形態の断面図を示す。
埋込型アクセスデバイス1は、ポート本体2と、針入口3とを備えており、針入口3はポート本体2に接続され、第1の非作動動作状態と第2の作動動作状態との間でポート本体2に対して移動可能である。
【0034】
針入口3は、針を受容するための少なくとも1つの入口開口部34および出口開口部33を有する。針入口3の入口開口部34は、例えば、流体交換療法のための15G針を受容するように設計されている。さらに、入口開口部34は、漏斗を備えるか、または針を針入口3の入口に案内するように漏斗形状である。
【0035】
埋込型アクセスデバイス1は、ヒトまたは動物の体の血管系にアクセスするための少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6を備える。カテーテル6は、一端が針入口3の出口開口部33に接続され、他端がヒトまたは動物の体の血管系に接続されている。したがって、カテーテル6は、埋込型アクセスデバイス1、特に針入口3からヒトまたは動物の体の血管系への流路を提供することができる。
【0036】
本発明によれば、埋込型アクセスデバイス1は、第1の非作動動作状態にある少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6をクランプし、第2の作動動作状態にある少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6をアンクランプするためのクランプ手段4をさらに備え、クランプ手段4は、第1の非作動動作状態では、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6を通って流体が流れることを防止し、第2の作動動作状態では、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6を通って流体が流れることを許容する。
【0037】
図1に示される埋込型アクセスデバイス1は、ポート本体2と針入口3との間に配置された別体の構成要素によって実装される、ポート本体2と針入口3との間の動きを案内するためのガイド手段9をさらに備える。ガイド手段は、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態で針入口3をロックするように設計されている。
【0038】
クランプ手段4は、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態の少なくとも一方において、特にクランプ手段4をロックするために、ポート本体2とクランプ手段4との間に配置されたばね10をさらに備える。
【0039】
図1の実施形態によれば、第1の非作動動作状態から第2の作動動作状態へのポート本体2に対する針入口3の移動は、最初に針入口3への針の挿入方向における並進運動と、その後の該並進運動に対する旋回運動、特に上方又は下方への旋回運動とを含む。
【0040】
ポート本体2と可動の針入口3との間に、可撓性ソケット8が配置されている。可撓性ソケット8は、固定リング7によってポート本体2に取り付けられ、可動の針入口3のくぼみ/溝35に可撓性ソケット8の一部を配置することによって可動針入口3に取り付けられる。埋込型アクセスデバイス1は、可動の針入口3の反対側のポート本体2に取り付けられた、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6のためのストレインリリーフ5をさらに含む。
【0041】
図2は、本発明による埋込型アクセスデバイス1用の可動の入口3の斜視図を示す。針入口3は、針入口3をポート本体2にそれぞれ別体のガイド手段9に接続するためのスナップフィット接続31,32を備える。針入口3は、カテーテル6を針入口3に接続するための出力部(output)33を有する。出力33とカテーテル6との間の接続は、針入口3を別体のガイド手段9に接続して改善され得、ガイド手段9は、針入口3の出力部33とカテーテル6との間の接続を改善するように配置される。図2から分かるように入口開口部34は、漏斗を備えるか、または針を針入口3の入口に案内するように漏斗形状である。さらに、針入口3は、可撓性ソケット8を受け入れるとともに、その移動中に可撓性ソケット8を可動の針入口3に固定するための溝35を備える。
【0042】
図3は、本発明による埋込型アクセスデバイス1用のポート本体2の上面図および側面図を示す。ポート本体2は、可動の針入口3とポート本体2との間の相対運動を規定するために別体のガイド手段9と協働するためのカム歯21,27を備える。特に、カム歯21,27は、別体のガイド手段9のガイド面93,97と一緒に作動する。ポート本体2は、クランプ手段4のカムフォロア45,46と協働すべく、第1の非作動動作状態および第2の作動動作状態でクランプ手段4を作動させるためのカム斜面25,26をさらに備える。さらに、ポート本体2は、ストレインリリーフ5をポート本体2に接続するためのストレインリリーフ5の一部を受け入れるためのスロットを有する。可撓性ソケット8をポート本体2に固定するために使用される固定リング7を受け入れるために、追加のスロット24が提供される。さらに、ポート本体2は、別体のガイド手段9のスナップフィット91を受け入れるためのスナップフィットポケット28,29を有する。ポート本体2と別体のガイド手段9との間のスナップフィット接続は、例えば、長尺状のスナップフィットポケット28,29を設けることによって、ポート本体2と別体のガイド手段9との間の相対的な移動を可能にする。
【0043】
図4は、本発明による埋込型アクセスデバイス1用のクランプ手段4の斜視図を示す。図4のクランプ手段4は、2つのジョー41,42を含み、これらはジョー41,42、少なくとも部分的に可撓性のカテーテル6を互いに反対側からクランプすることができる。カテーテル6の可撓性部分は、2つのジョー41,42を一緒に押すことによって変形され、それにより、可撓性のカテーテル6をクランプする。2つのジョー41,42は、ポート本体2のカムスロープ25,26と協働するカムフォロア45,46によって互いに向かい合って押される。クランプ手段4は、ばね10をクランプ手段4に接続するための接続突起47をさらに備える。ばね10の他端はポート本体2の内面に接しているため、ばね10はクランプ手段4に力を付与し、ガイド手段9と協働することによってクランプ手段4を第1の非作動動作状態または第2の作動動作状態に維持する。ポート本体2およびクランプ手段4に対する針入口3の旋回運動を可能にするために、クランプ手段4は、回転駆動部43,44をさらに備える。
【0044】
図5は、本発明による埋込型アクセスデバイス1用の別体のガイド手段9の斜視図を示す。ガイド手段9は、針入口3とポート本体2との間の相対運動を案内するように設計されている。針入口3は、スナップフィット31,32によって別体のガイド手段9に接続されている。ガイド手段9は、ポート本体2の長尺状のスナップフィットポケット28,29と係合するスナップフィット91,92によってポート本体2に接続されているため、ガイド手段9は針入口3とともにポート本体2に対して相対的に移動可能である。ガイド手段9は、クランプ手段4の回転駆動部43,44と協働するスロット96,98によってクランプ手段4を駆動する。ガイド手段9は、ポート本体2のカム歯21,27と協働するガイド面93,97を備える。ばね10の力により、ポート本体2のカム歯21,27は、ガイド手段9のガイド面93,97に沿って移動する。ガイド面93,97は、埋込型アクセスデバイス1を第1の非作動動作状態から第2の作動動作状態に移行させるために、ポート本体2に対する針入口3の必要な相対移動を規定する。ガイド手段9のガイド面93,97によって、第1の非作動動作状態から第2の作動動作状態へのポート本体2に対する針入口3の移動には、最初に針入口3への針の挿入方向における並進運動が必要となり、かつその後の該並進運動に対する旋回運動が必要となる。第2の作動状態から第1の非作動動作状態に戻るためには、好ましくは、ポート本体2に対する針入口3の旋回運動のみが必要である。ガイド面93,97は、ポート本体2に対する針入口3の必要な相対移動が行われるまで、埋込型アクセスデバイス1を第1の非作動動作状態、第2の作動動作状態にそれぞれ維持するためのポケットを含む。したがって、埋込型アクセスデバイス1は、2つの安定した動作状態を有する、すなわち、それは双安定システムである。ガイド手段9は、針入口のスナップフィット31用のスナップフィットポケット94をさらに含む。スナップフィットポケット94の反対側に、別のスナップフィットポケット(図示せず)が、針入口3のスナップフィット32のために配置されている。また、ガイド手段9は、カテーテル6を出力部33に放射状に押すことにより、カテーテル6に半径方向の力を加えることによって、針入口3の出口部33へのカテーテル6の固定をサポートする。
【0045】
図6は、本発明による埋込型アクセスデバイス1用の可撓性ソケット8の斜視図を示す。可撓性ソケット8は、可動の針入口3とポート本体2との間でいかなる組織の成長をも防止する。可撓性ソケット8は、フランジ81によってポート本体2に固定され、フランジ81は、固定リング7によってポート本体2に圧縮され、フランジ82を針入口3のソケット溝35に配置することによって可動の針入口3に対して圧縮される。固定リング7は、図7の斜視図に示されている。固定リング7は、スナップフィット71によってポート本体2に接続されている。
【0046】
図8は、本発明による、非作動動作状態の埋込型アクセスデバイス1の断面図を示す。図8の左側の部分は、第1の非作動動作状態にある埋込型アクセスデバイス1を示す。この第1の非作動動作状態では、クランプ手段4は、ばね10によって図8の左方向に押されて、ガイド手段9によってそこに保持される。このばね力により、クランプデバイス4のジョー41,42は、可撓性のカテーテル6を変形させることにより、カテーテル6を流体的に閉じる。クランプ手段4のカムフォロア45,46がポート本体2のカム斜面25,26と協働するため、ジョー41,42はカテーテル6を変形させる。図8の右の図では、第2の作動動作状態にある埋込型アクセスデバイスが示されている。キャンプデバイス4は、ポート本体2への針入口3の相対的な動きによって、図8の右側のばね力に抗して押されている。埋込型アクセスデバイス1は、ガイド手段9の構成によって、図示されている第2の作動動作状態で安定している。この第2の作動動作状態では、カムフォロア41,42は、カム斜面25,26によってカテーテル6に向かって押し付けられなくなり、カテーテル6は変形しない、すなわち流体的に開いている。
【0047】
図9は、ポート本体2に対する可動の針入口3の動きを示す、本発明による埋込型アクセスデバイス1の断面図を示す。図9に示す埋込型アクセスデバイスは、図1に示す埋込型アクセスデバイス1に対応しているため、上記の埋込型アクセスデバイス1の詳細な説明を参照されたい。図9の上の図では、埋込型アクセスデバイス1は、第1の非作動動作状態にあり、これも図8の左側の図に対応している。埋込型アクセスデバイス1を第1の非作動動作状態から第2の作動動作状態に移行させるために、最初にポート本体2に対する針入口3の相対移動が針の挿入方向に行われる。図9の2番目の図は、この並進運動が実行された後の埋込型アクセスデバイス1を示す。並進運動は、図9の線11,12で示されており、図9の上の図から2番目の図にシフトした並進である。次に、針入口3は、ポート本体2に対して旋回される。この旋回運動は、線12に対して傾斜した線13で示されている。これは、第2の作動動作状態に対応している。針入口3がポート本体2に対してさらに旋回運動した後、埋込型アクセスデバイス1は、ばね10の力により、第1の非作動動作状態に戻る。
【符号の説明】
【0048】
1…埋込型アクセスデバイス
2…ポート本体
3…針入口
4…クランプ手段
5…ストレインリリーフ
6…カテーテル
7…リング
8…可撓性ソケット
9…ガイド手段
10…ばね
11…第1の非作動動作状態を示す線
12…並進運動を示す線
13…旋回運動および第2の作動動作状態を示す線
21…カム歯
23…スロット(ストレインリリーフ)
24…スロット(リング)
25…カム斜面
26…カム斜面
27…カム歯
28…スナップフィットポケット
29…スナップフィットポケット
31…スナップフィット
32…スナップフィット
33…出口開口部
34…入口開口部
35…ソケット溝
41…ジョー
42…ジョー
43…回転駆動部
44…回転駆動部
45…カムフォロア
46…カムフォロア
47…接続突起(ばね)
71…スナップフィット
81…フランジ
82…フランジ
91…スナップフィット
93…ガイド面(位置ロック)
94…スナップフィットポケット
96…クランプ手段用スロット
97…ガイド面(位置ロック)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】