(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/121 20210101AFI20221215BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20221215BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20221215BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20221215BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20221215BHJP
【FI】
H01M50/121
H01M50/211
H01M50/105
H01M50/129
H01M50/119
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521393
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 KR2021009487
(87)【国際公開番号】W WO2022065653
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126067
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンキ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・オ・ムン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY10
5H040CC34
5H040LL01
5H040LL06
5H040LL10
(57)【要約】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、および前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、前記電池セルは、パウチケース、および前記パウチケース内に収納された電極組立体を含み、前記パウチケースの最外側にはセルスウェリング制御のためのフォーム(foam)パッド層が位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、および
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、
前記電池セルは、パウチケース、および前記パウチケース内に収納された電極組立体を含み、
前記パウチケースの最外側にはセルスウェリング制御のためのフォーム(foam)パッド層が位置する電池モジュール。
【請求項2】
前記パウチケースは、前記電極組立体と前記フォームパッド層で形成された最外層との間に、前記電極組立体から前記最外層に向かう方向に順に内側樹脂層および金属層が形成されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記金属層と前記最外層との間に位置する外側樹脂層をさらに含む、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記外側樹脂層と前記最外層との間に位置する包装シート層をさらに含む、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記包装シート層は、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成される、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記内側樹脂層、前記金属層、および前記外側樹脂層はそれぞれ、ポリプロピレン(polypropylene:PP)層、アルミニウム層およびナイロン層である、請求項3~5の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記フォームパッド層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリウレタンで形成される、請求項1~6の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち、前記電池セル積層体の最外側に位置する電池セルは、前記モジュールフレームの側面部と接触し、
前記モジュールフレームの前記側面部と接触する前記電池セルの部分は、前記フォームパッド層で形成された最外層である、請求項1~7の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電池セル積層体に含まれている前記電池セルのそれぞれのパウチケースの最外側には前記フォーム(foam)パッド層が形成されている、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2020年9月28日付韓国特許出願第10-2020-0126067号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的にセルスウェリングを制御する電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、モバイル機器および電気自動車などの多様な製品群においてエネルギー源として大きな関心を受けている。このような二次電池は、化石燃料を使用する既存製品の使用を代替できる有力なエネルギー資源であって、エネルギー使用による副産物が発生せず、環境にやさしいエネルギー源として脚光を浴びている。
【0004】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量の二次電池構造に対する必要性が高まり、多数の二次電池が直列/並列に連結された電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0005】
一方、複数個の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも一つの電池セルからなる電池モジュールを構成し、このような少なくとも一つの電池モジュールを利用してその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0006】
このような電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、前記モジュールフレームと電池セル積層体の最外側の電池セルとの間または複数の電池セルの間に形成された圧縮パッドを含む。
【0007】
図1は従来の圧縮パッドが形成された電池モジュールを示す図面である。
図2は、
図1の電池セル積層体の積層方向に沿って切断した断面図である。
【0008】
図1および
図2を参照すると、電池セル積層体10の最外側の電池セルとモジュールフレーム20との間に形成された圧縮パッド30が形成されている。図示していないが、電池セル積層体10の電池セル11の間の一部にも圧縮パッド30が追加的に形成され得る。
【0009】
圧縮パッド30は、電池セル11と対応するモジュールフレーム20の側面の大部分を覆うことができるように形成され得る。この時、電池セル11のスウェリング現象の発生時、電池セル11が
図2に示されているように膨らむことがあるが、従来は圧縮パッド30が加圧されて圧縮されても、それ以上圧縮パッド30の圧縮が行われない最小圧縮厚さwが存在するため、電池セル11のスウェリング現象に対する弾力的な対処が難しいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、セルスウェリングを制御する電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することにある。
【0011】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、および前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、前記電池セルは、パウチケース、および前記パウチケース内に収納された電極組立体を含み、前記パウチケースの最外側にはセルスウェリング制御のためのフォーム(foam)パッド層が位置する。
【0013】
前記パウチケースは、前記電極組立体と前記フォームパッド層で形成された最外層との間に、前記電極組立体から前記最外層に向かう方向に順に内側樹脂層および金属層が形成されていることができる。
【0014】
前記電池モジュールは、前記金属層と前記最外層との間に位置する外側樹脂層をさらに含むことができる。
【0015】
前記電池モジュールは、前記外側樹脂層と前記最外層との間に位置する包装シート層をさらに含むことができる。
【0016】
前記包装シート層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)で形成され得る。
【0017】
前記内側樹脂層、前記金属層、および前記外側樹脂層はそれぞれ、ポリプロピレン(polypropylene:PP)層、アルミニウム層およびナイロン層であり得る。
【0018】
前記フォームパッド層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリウレタンで形成され得る。
【0019】
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち、前記電池セル積層体の最外側に位置する電池セルは、前記モジュールフレームの側面部と接触し、前記モジュールフレームの側面部と接触する前記電池セルの部分は、前記フォームパッド層で形成された最外層であり得る。
【0020】
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのそれぞれのパウチケースの最外側にはフォーム(foam)パッド層が形成され得る。
【0021】
本発明の他の一実施形態による電池パックは、上記の電池モジュールを含む。
【発明の効果】
【0022】
実施形態によると、パウチケースの最外側にフォームパッド層を形成することによって、パウチ電池セルそれ自体でスウェリングを制御することができる。
【0023】
また、電池セル毎にスウェリング吸収構造が形成されるため、電池セル積層体を全体的に見る時、圧力の分配および変形量が均一化され得る。
【0024】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来の圧縮パッドが形成された電池モジュールを示す図面である。
【
図2】
図1の電池セル積層体の積層方向に沿って切断した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるパウチ型電池セルを示す分解斜視図である。
【
図4】
図3のパウチ型電池セルが組み立てられた様子を示す斜視図である。
【
図5】
図4の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。
【
図7】
図4のパウチ型電池セルを含む電池モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0027】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0028】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ず図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0029】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ず重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0030】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0032】
図3は本発明の一実施形態によるパウチ型電池セルを示す分解斜視図である。
図4は
図3のパウチ型電池セルが組み立てられた様子を示す斜視図である。
図5は
図4の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。
図6は
図5のP領域を拡大して示す断面図である。
【0033】
図3乃至
図6を参照すると、本実施形態によるパウチ型電池セル100は、パウチケース300内部に電極組立体200を収納した後、密封して製造され得る。電極組立体200は、正極、負極および正極と負極の間に配置される分離膜を含むことができる。電極組立体200は、スタック型電極組立体、ジェリーロール型電極組立体またはスタック/フォルディング型電極組立体であり得る。
【0034】
正極および負極のそれぞれは、電極タブ210tを含み、電極タブ210tとそれぞれ連結される電極リード210、220がパウチケース300外部に露出され得る。また、密封性と絶縁性のために電極リード210、220は、それぞれリードフィルム600で覆われた状態でシーリング部300Sに位置することができる。
【0035】
パウチケース300は、ラミネートシートからなり、熱融着のための樹脂層と、物質浸透防止のための金属層を含むことができる。
【0036】
具体的に、
図6を参照すると、上部ケース310は、密封のための内側樹脂層310a、物質の貫通を防止する金属層310b、外側樹脂層310c、およびセルスウェリング制御のためのフォーム(foam)パッド層310dを含むことができる。本実施形態によるフォームパッド層310dは、パウチケース300の最外層に位置する。フォームパッド層310dは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリウレタンで形成され得る。この時、フォームパッド層310dは、スウェリングを制御するためにある程度の圧縮率を有する発泡体(foam)で作ったパッドであり得る。言い換えると、フォームパッド層310dは、過度に硬くなく、スウェリングを吸収することができるようにフレキシブル(Flexible)な特徴を有することができる。
【0037】
必要に応じてフォームパッド層310dと外側樹脂層310cとの間に包装シート層(図示せず)をさらに含むことができる。
【0038】
以上で説明した上部ケース310に関する層構造は、下部ケース320にも同一に適用され得る。言い換えると、電極組立体200から遠くなる方向に沿って下部ケース320は内側樹脂層、金属層、外側樹脂層、およびセルスウェリング制御のためのフォーム(foam)パッド層を含むことができる。
【0039】
外側樹脂層310cおよび前記包装シート層は、外部からパウチ型二次電池100を保護するために厚さに比べて優れた引張強度と耐候性を有し、電気的絶縁性を帯びることができる。このような外側樹脂層310cおよび前記包装シート層は、それぞれポリエチレンテレフタレート(PolyEthylene Terephthalate、PET)樹脂またはナイロン(nylon)樹脂を含むことができる。金属層310bは、空気、湿気などがパウチ型電池層100内部に流入することを防止することができる。このような金属層310bは、アルミニウム(Al)を含むことができる。内側樹脂層310aは、電極組立体200を内蔵した状態で印加された熱と圧力により互いに熱融着され得る。このような内側樹脂層310aは、無延伸ポリプロピレン(Casted PolyPropylene、CPP)またはポリプロピレン(PolyPropylene、PP)を含むことができる。
【0040】
図3乃至
図5を再び参照すると、上部ケース310と下部ケース320のそれぞれに電極組立体200が安着できる凹形状の収納部300STが形成され得る。上部ケース310と下部ケース320のそれぞれに対して収納部300STの外周に沿ってシーリング部300S1、300S2が設けられ得る。上部ケース310のシーリング部300S1と下部ケース320のシーリング部300S2とが互いに熱融着されてシーリング部300Sを形成し、パウチケース300が密封され得る。
【0041】
本発明の他の実施形態として、上部ケースの一辺と下部ケースの一辺が互いに一体として連結され、残りの三辺が熱融着される形態であり得る。
【0042】
一方、電極組立体200に含まれている多数の正極および多数の負極のそれぞれは、正極タブおよび負極タブを含むことができ、電極リード210、220が連結される。具体的に、電極リード210、220のうちの一方は正極リードであり、他方は負極リードであり得る。上記のように電極組立体200と連結された電極リード210、220は、パウチケース300の一端部から突出し、パウチケース300外部に露出する。
【0043】
図7は
図4のパウチ型電池セルを含む電池モジュールを示す断面図である。
【0044】
図7を参照すると、本実施形態による電池モジュールは、複数の電池セル100が一方向に積層されて形成された電池セル積層体110、および電池セル積層体110を収容するモジュールフレーム500を含む。電池セル100が積層される方向は、電極リード210、220が突出する方向と垂直であり得る。本実施形態によると、電池セル積層体110に含まれている電池セル100のうち、電池セル積層体110の最外側に位置する電池セル100は、モジュールフレーム500の側面部と接触することができる。
【0045】
モジュールフレーム500の側面部と接触する電池セル100部分は、
図5および
図6で説明した上部ケース310または下部ケース320であり得る。この時、モジュールフレーム500の側面部と最も隣接した層は、上部ケース310のフォームパッド層310dであることが好ましい。フォームパッド層310dが最外層に形成されることによって、パウチ型電池セルそれ自体でスウェリングを制御することができ、そのため、電池モジュールにおいて
図2で説明した別途の圧縮パッドを適用することが不要になる。
【0046】
電池セル積層体110に含まれている電池セル100のそれぞれのパウチケース300最外側にフォーム(foam)パッド層310dが形成され得る。この時、上部ケース310および下部ケース320のそれぞれの最外層にフォームパッド層が形成され得る。従来はモジュールフレームと最外側電池セルとの間および/または電池セルの間に圧縮パッドが適用され、多数個の電池セル当たり一つずつ圧縮パッドが適用される構造であったため、圧力の分配および変形量が電池セル当たり異なっていた。しかし、本実施形態により、電池セル毎にスウェリング吸収構造を形成するようになると、電池セル積層体110を全体的に見る時、圧力の分配および変形量が均一化され得る。
【0047】
一方、本発明の実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することができる。
【0048】
前述した電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用され得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0049】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0050】
10:電池セル積層体
11:電池セル
20:モジュールフレーム
30:圧縮パッド
100:電池セル
110:電池セル積層体
200:電極組立体
300:パウチケース
310a:内側樹脂層
310b:金属層
310c:外側樹脂層
310d:フォームパッド層
500:モジュールフレーム
【国際調査報告】