(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイル
(51)【国際特許分類】
A61C 5/48 20170101AFI20221215BHJP
A61C 5/42 20170101ALI20221215BHJP
【FI】
A61C5/48
A61C5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521591
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2020011311
(87)【国際公開番号】W WO2021085824
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0134844
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522142350
【氏名又は名称】ジャン,チョン ソク
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チョン ソク
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA01
4C052AA16
(57)【要約】
本発明による歯牙神経治療用エンドファイルは破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部とを含むことを特徴とする。本発明による歯牙神経治療用エンドファイルによれば、エンドファイルの連結部部分を細くするなど、厚さ及び形状を調節して、ファイルの作用の際に発生する応力がブレードではない連結部に集中するように形成することにより、エンドファイルが破切されなければならない場合には、歯根の内部ではない歯牙の外部で破切されるので、破切された切れの発見及び除去を容易に遂行することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、
歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、
回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、
前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部と、を含み、
前記連結部は、表面に硫化亜鉛(zinc sulfi)粉末を含むコーティング溶液を塗布した後、1~10分間紫外線を照射することにより、コーティング層が形成されていることを特徴とする、歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項2】
前記連結部は、表面にネジ山が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項3】
前記連結部は、表面に複数の傾斜溝が前記連結部の外周面に沿ってスクリュー形に陥入して形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項4】
前記連結部は、長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した複数のスリットが形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項5】
前記スリットの断面は、
陥入開始部位から前記スリットの中心側に第1曲率半径でラウンド形に突出して延びた第1ラウンドセクションと、
前記第1ラウンドセクションの端部から前記第1曲率半径より大きい第2曲率半径で前記スリットの底面に向けて陥入して延びた第2ラウンドセクションと、
前記第2ラウンドセクションが互いに会う端部から前記第1及び第2曲率半径より小さな第3曲率半径で前記陥入開始部位に向けて突出した第3ラウンドセクションと、を備えたことを特徴とする、請求項4に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項6】
前記連結部は、前記長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って前記ヘッド側に向けて陥入した傾斜スリットを備えることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項7】
前記連結部は、長手方向の基準に中央部位の太さが最も大きくなるように左右対称状の構造に凹形に形成された凹部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項8】
前記凹部には、中央部位周辺に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した2個~4個の陥入溝が形成されたことを特徴とする、請求項7に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項9】
前記凹部の断面は、
前記ヘッド及びブレードのそれぞれの境界部位から前記連結部の中央部位に向けてラウンド形に凹形に延びた第1延長部と、
前記第1延長部の端部から前記連結部の中央部位に向けて傾くように延びた第2延長部と、
前記2延長部の端部から前記連結部の中央部位まで平行に延びた第3延長部と、を備えたことを特徴とする、請求項7に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項10】
前記コーティング溶液は、
1次溶液の総重量に対して、ポリウレタンアクリレート30~60重量%、ヘキサンジオールジアクリレート15~50重量%、及びトリメチロールプロパントリアクリレート15~40重量%を混合して1次溶液を製造する、1次溶液製造段階と、
2次溶液の総重量に対して、前記1次溶液40~60重量%、硫化亜鉛(zinc sulfi)粉末を含む複合体30~50重量%、及びHCPK(Hydroxy cyclohexyl phenyl ketone)1~10重量%を混合した後、5~10時間撹拌して2次溶液を製造する、2次溶液製造段階と、
前記2次溶液を40~60℃で10~60分間超音波洗浄した後、20~30℃で10~60分間放置して気泡を除去する、気泡除去段階と、
気泡の除去された前記2次溶液をメタノールで超音波洗浄する段階と、によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項11】
前記複合体は、混合レジンの総重量に対して、ポリプロピレンレジン55~85重量%、及びナノクレー15~45重量%を混合及び圧縮した後、200~300℃に加熱して溶融させた後、糸状に紡糸して混合レジンを製造する、混合レジン製造段階と、
前記混合レジンを10~25℃で1~10時間冷却して硬化させる、冷却段階と、
硬化した前記混合レジンを100~200℃に再加熱して溶融させる、再加熱段階と、
溶融前記混合レジンを引張する、引張段階と、
引張された前記混合レジンを粉末状に粉砕して複合体を完成する段階と、によって製造されることを特徴とする、請求項10に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルに関し、より詳しくは歯根内でエンドファイルの末端が破切されて発生する安全上の問題点を解決するために、破切される部位を改善したエンドファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドファイル(Endo File)とは神経治療の際に歯牙根管内の歯髄を除去し根管を拡大するのに使われる道具であり、一般的に歯科用回転電動道具に装着されるヘッド、歯根内に挿入されて歯髄を除去するブレード、及びヘッドとブレードを連結する連結部からなる。エンドファイルは歯科で広く使われており、損傷された歯髄を効果的に除去するために多様なエンドファイルの開発が行われている。このようなエンドファイルが根管内で回転すれば、削除する力に対する抵抗力によってエンドファイルのブレード部分に応力が発生して破切される問題が頻繁に発生するが、このように破切されたファイル切れはサイズが小さく根管にめりこんでいるので、収去することが容易でないという問題点が存在する。
【0003】
このような問題点を解決するために、韓国公開特許第10-201800106967号公報の‘歯牙神経治療用エンドファイル’は、回転電動工具に挿入されて着脱式で結合されるヘッド部と、患者の歯根管内に挿入されて病気になった歯牙神経を除去する組織除去刃部と、前記ヘッド部と組織除去刃部との間に長手方向の同一区間内に同じ内径及び同じ中心軸を有する複数のヘリカル形コイルスプリング部からなる応力分散部とを含む。また、公知の技術は、このような複数のヘリカル形のコイルスプリング部はエンドファイルの長手方向にエンドファイルの回転中心軸に沿って螺旋形に貫通されるように切開されて形成されることが好ましいと開示している。このような技術によれば、エンドファイルが回転すれば、エンドファイルの組織除去刃部に過度な応力が発生し、エンドファイルに備えられた複数のコイルスプリング部が一定の応力を吸収して、組織除去刃部に発生する応力のサイズを減らす効果を有することができるだけでなく、複数のコイルスプリング部が組織除去刃部に応力がすぐ発生することを遅延させることにより、組織除去刃部が長時間の間に相対的に遅い速度で歯牙組職を押しながら回転することができる時間を確保し、その結果として、組織除去刃部に加わる衝撃を緩衝させてエンドファイルの破断可能性を著しく減少させる効果を有することができると開示している。
【0004】
しかし、この技術はエンドファイルの破断可能性を減少させる効果を有するが、エンドファイルの直径が非常に小さいから、破断されることを現実的に防ぐことができない。したがって、公知の技術はエンドファイルが破切されたときに生成された微細な切れの除去に対する何らの解決手段を提示することができないという問題がある。
【0005】
したがって、エンドファイルの破切可能性を減少させることができるだけでなく、エンドファイルの破切される部位を改善して、エンドファイルが破切されたとき、生成された切れを容易に除去することができる新規の進歩した歯牙神経治療用エンドファイルの開発が至急な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-201800106967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記技術の問題点を克服するために案出されたものであり、歯根内に挿入されたエンドファイルの回転の際にエンドファイルが破切される領域を改善する構造を提示するとともにエンドファイルの太さを多様なサイズに形成することにより、状況に応じて選択的に使えるエンドファイルを提供することを主目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、エンドファイルの表面に複数のスリットを形成して、エンドファイルの破切領域をスリットに特定するとともに複数のスリットを特別に形成することによってエンドファイルの破切可能性を最小化することができる機能を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、エンドファイルの一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、エンドファイルの破切領域を特定することができ、これを特定の形状に形成することにより、エンドファイルの安定的な回転作動を保障することができる機能を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、エンドファイルの一部にコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明による歯牙神経治療用エンドファイルは破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記連結部は、長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した複数のスリットが形成されたことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記スリットの断面は、陥入開始部位から前記スリットの中心側に第1曲率半径でラウンド形に突出して延びた第1ラウンドセクションと、前記第1ラウンドセクションの端部から前記第1曲率半径より大きい第2曲率半径で前記スリットの底面に向けて陥入して延びた第2ラウンドセクションと、前記第2ラウンドセクションが互いに会う端部から前記第1及び第2曲率半径より小さな第3曲率半径で前記陥入開始部位に向けて突出した第3ラウンドセクションとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による歯牙神経治療用エンドファイルによれば、
1)エンドファイルの連結部を、歯根内に挿入される部分より多くのストレスを受けるように細く形成することにより、エンドファイルが歯根の内部ではない歯牙の外部で破切されるようにして、破切された切れの発見及び除去を容易に遂行することができる。
【0015】
2)エンドファイルの表面の一部に複数のスリットを形成し、このスリットを特別に形成することにより、全体的にエンドファイルがやすく破切されないように応力を分散させるとともにエンドファイルが破切されてもスリット形成部位の直径が他の部位より小さくてスリット形成部位が破切されることができる。
【0016】
3)エンドファイルの表面の一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、凹形部位に応力が集中して破切されるようにするとともに、凹形に陥入した部位を改善して、応力が過度に集中することを防止することができる効果を有する。
【0017】
4)エンドファイルの一部に特定の成分及び製造方法によって形成されたコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化することにより、エンドファイルがやすく破切されることを防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるエンドファイルの構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明によるエンドファイルの連結部の多様な直径を例示する断面図である。
【
図3】公知のエンドファイルと本発明によるエンドファイルの破切された状態を例示する斜視図である。
【
図4】本発明によるエンドファイルの連結部の変形構造を例示する断面図である。
【
図5】本発明によるエンドファイルの連結部にスリットが形成された構造を例示する断面図である。
【
図6】本発明によるエンドファイルの連結部に傾斜スリットが形成された構造を例示する断面図である。
【
図7】本発明によるエンドファイルの連結部に凹部が形成された構造を例示する断面図である。
【
図8】本発明によるエンドファイルの連結部に形成された凹部の変形形態を例示する断面図である。
【
図9】本発明によるエンドファイルの連結部に形成されたコーティング層を製造する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部と、を含み、前記連結部は、表面に硫化亜鉛(zinc sulfi)粉末を含むコーティング溶液を塗布した後、1~10分間紫外線を照射することにより、コーティング層が形成されることを特徴とする。
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。添付図面は一定の縮尺によって示されていなく、各図で同じ参照番号は同じ構成要素を指称する。
【0021】
図1は本発明によるエンドファイルの構造を示す斜視図、
図2はエンドファイルの連結部の多様な直径を例示する断面図である。
【0022】
本発明のエンドファイル1は歯牙の神経治療に使われる医療道具であり、全体的な外観は錐の形状と類似しており、公知のエンドファイルと同様に、歯冠に挿入されるブレード100、これから延びた連結部300、及び連結部300と連結され、歯科用回転電動工具に装着されるヘッド200からなる。
【0023】
具体的には、本発明のブレード100は歯牙の内側にある神経に挿入される部分であり、円錐状を有し、その表面にヘリカル形、言い換えれば螺旋形の溝を有し、ねじれた形態を有することによって回転力をブレード100の先端に集中させるだけでなく、歯牙の内部にスムーズに挿入されることができる。このようなブレード100は多様な素材から形成されることができるが、一般的に柔軟性が高く、生体適合性が卓越し、耐食性が高いNi-Ti合金から形成されることができる。
【0024】
また、本発明のヘッド200はブレード100を回転させるために歯科用回転電動工具と連結されることができる部分であり、一定の直径をもって延びた断面円形の構造を有する。このように、ヘッド200が円筒形に形成されることにより、全体的に短い長さを有するエンドファイル1を容易に把持することができるだけでなく、歯科用回転電動工具と容易に結合されることができるので、回転力を損失なしにブレード100に伝達することができる。
【0025】
本発明の連結部300はブレード100とヘッド200との間に一定の長さに延びたものであり、ヘッド200で発生した回転力をブレード100に伝達する役割を果たす。
【0026】
さらに、連結部300はブレード100と同じ素材から形成されることができるが、あまりやすく破切されないように高強度の合金素材から形成されることもできる。
【0027】
また、連結部300は、
図2に示すように、多様な直径を有するように形成することができる。曲がっている根管ではブレード100に加わる応力がもっと大きくなるしかないので、連結部300をより弱く設計することにより、連結部300に応力が集中して先に破切されるようにする。
【0028】
図2(a)はエンドファイル1の連結部300が最小の直径を有する形状を例示する図、
図2(b)はエンドファイル1の連結部300が中間サイズの直径を有する形状を例示する図、
図2(c)はエンドファイル1の連結部300が比較的大きな直径を有する形状を例示する図である。本発明のエンドファイル1が挿入される歯根は主に歯根の中央部位または端部で曲がっている形態を有する。このために、連結部300の直径を多様に形成することにより、歯根の曲がっている形態に対応して選択的にエンドファイル1を使うことができる。一例として、歯根の端部に挿入するために、
図2(a)のような連結部300の太さが小さいエンドファイル1を使うことができ、歯牙の上部に位置する歯根に挿入するとき、
図2(c)のような連結部300の太さが大きいエンドファイル1を使うことができる。
【0029】
このような連結部300を備えたエンドファイル1を
図3に基づいて説明すれば次のようである。
【0030】
図3は公知のエンドファイルと本発明によるエンドファイルの破切状態を例示する斜視図である。具体的には、
図3(a)は公知のエンドファイルの破切状態を、
図3(b)は本発明によるエンドファイル1の破切状態を例示する斜視図である。
【0031】
上述した背景技術で言及した先行技術によれば、応力によって組織除去刃部が破切されることを防止するために、連結部に応力を分散させるための手段(応力分散部)を備えていると開示するが、エンドファイルの直径はおよそ1mm~2mmと非常に小さいので、現実的に組織除去刃部が破切されないことは不可能である。したがって、
図3(a)に示すように、先行技術のエンドファイルが根管内で回転するとき、むしろ応力分散部より小さい太さを有する組織除去刃部が破切されることがある。このように、組織除去刃部が破切されて発生した切れはサイズが小さいだけでなく根管内にめりこむから、除去することがとても難しいという問題がある。
【0032】
これに対し、本発明のエンドファイル1は、
図3(b)に示すように、連結部300がブレード100より応力によって破切されやすくなるように小さい太さに形成されることができる。
【0033】
したがって、連結部300の断面積が減少し、相対的にこの部位に圧力が増加するか応力が集中することにより、ブレード100より連結部300が先に破切されることがある。このように、連結部300が破切されて生成された破切された切れは、先行技術の組織除去刃部が破切されて発生した切れよりサイズが比較的大きいから、容易に発見することができるだけでなく、歯冠の外で破切されるので、容易に除去することができる。
【0034】
まとめると、先行技術によれば、歯冠内に存在する組織除去刃部の破切された切れは適時に除去しなければ歯根に炎症を引き起こすことがあり、さらに歯牙に深刻な問題を発生させることがあるのに対し、本発明は、連結部300が破切されるように破切可能な範囲を改善することにより、耐久性よりも人体安全性を優先視するという特性を有する。
【0035】
また、連結部300は本発明の特性をより強化するために特別に構成した構造に形成されることができる。これについては
図4~
図8を参照して説明する。
【0036】
図4は本発明によるエンドファイルの連結部の変形構造を例示する断面図である。
【0037】
図4(a)を参照すると、連結部300の表面にはネジ山310のような形態に螺旋形に陥入した溝が形成されたことが分かる。このように、連結部300にネジ山310を形成することにより、ヘッド200の回転の際に求心力が発生して使用中にもしエンドファイル1が破切される場合、ブレード100より連結部300が先に破切されるように連結部300に外力を集中させることができるだけでなく、歯牙に連結部300が挿入されるとき、歯牙とぶつかる面積を減らして摩擦力を最小化することができるので、不必要な刺激なしにスムーズに歯牙の内部に挿入されることができる。ここで、ネジ山310が形成された連結部300の直径も多様なサイズに形成されることができるので、使用目的及び状況に応じて使うことができる。
【0038】
図4(b)に示すように、連結部の表面にはスクリュー形に形成された傾斜溝350が形成されることができる。
【0039】
傾斜溝350は連結部300の底面の周囲で一定の間隔で形成された複数の溝が連結部の上部に向けて連結部300の外周面に沿って平行にねじれた形態に陥入して形成されたものである。このように、連結部300に傾斜溝350を形成することにより、上述したネジ山310と同等な機能を提供することができる。傾斜溝350はネジ山310より広い面積を有する溝を提供することにより、ヘッドの回転の際に発生する求心力を傾斜溝350が分散させることができるので、連結部300があまりやすく破切されることを防止する機能を提供することができる。
【0040】
図5は本発明によるエンドファイルの連結部にスリットが形成された構造を例示する断面図である。
【0041】
図5を参照すると、本発明の連結部300の表面にはその周囲に沿って陥入したスリット320が形成されていることが分かる。このようなスリット320は連結部300の直径をより小さく形成することができるように連結部300に備えられたものであり、スリット320を備えた連結部300の部位はスリット320のない連結部300の他の部位より相対的に太さが小さいので、応力が集中してよりやすく破切されることができる。ここで、スリット320を連結部300の長手方向に一定の間隔で複数形成して、結果的に応力が集中することができる範囲を拡張させることにより、連結部300が破切される可能性を高めることができる。
【0042】
また、スリット320が形成された連結部300は不必要に破切される可能性があり、これを防止するために、スリット320の陥入した形態を特別に処理することができる。
【0043】
スリット320の陥入した形態は、
図5に示すように、全体的にラウンド形に形成されることができる。
【0044】
具体的には、スリット320の陥入した形態の断面は、第1ラウンドセクション321、第2ラウンドセクション322、及び第3ラウンドセクション323からなっている。
【0045】
第1ラウンドセクション321はスリット320の陥入した導入部、すなわち陥入が始まる部位からスリット320の中心側に向けて第1曲率半径で丸くなるように突出した部分であり、第2ラウンドセクション322は第1ラウンドセクション321の端部からスリット320の底面側に第2曲率半径で陥入した部分である。ここで、第2曲率半径を第1曲率半径より大きく形成することにより、第2ラウンドセクション322の陥入した形態が第1ラウンドセクション321より緩やかな形態を成して第2ラウンドセクション322がより広い面積を有することができる。
【0046】
このような第1及び第2ラウンドセクション321、322は、連結部300の直径の中心点を通るようにスリット320の導入部からスリット320の底面まで連結した仮想線Nを基準に対称構造に形成されることができる。ここで、対称状に形成された第2ラウンドセクション322が互いに会う仮想線Nの一部に第3ラウンドセクション323が形成されることができる。
【0047】
第3ラウンドセクション323は第3曲率半径でスリット320の導入部に向けて突出した形態に形成されることができる。ここで、第3曲率半径は第1及び第2曲率半径より小さなサイズを有する。よって、曲率半径は、第2曲率半径が最も大きく、次は第1曲率半径、第3曲率半径の順に大きい。
【0048】
上述したスリット320の陥入した形態による機能及び作用を説明すれば次のようである。
【0049】
第1ラウンドセクション321はスリット320の陥入開始部位の直径を減らすことにより、外力によってやすく破切されることを防止することができるだけでなく、外力が第3ラウンドセクション323に瞬間的に集中することを防ぐ外力分散の役割を果たす。具体的には、第1ラウンドセクション321の端部と第2ラウンドセクション322の端部とがスムーズにラウンド形に連結されて第1ラウンドセクション321及びその周辺部位により自然に外力を分散させることができるので、本発明のエンドファイル1の使用時に発生する外力によって連結部300があまりたやすく破切されることを防止することができる。
【0050】
第2ラウンドセクション322は一字形ではなくラウンド処理された形態、特に第1ラウンドセクションより小さい曲率半径を有するようにスリット320の陥入範囲を拡張させることにより、第1ラウンドセクション321によってその周辺に分散された外力によって第3ラウンドセクション323の方向ではない傾斜方向に破切されることを防止しながら第3ラウンドセクション323に外力が集中するように外力の伝達をガイドする役割を果たす。ここで、第2ラウンドセクション322は直線形ではないラウンド形になっているので、連結部300の中心軸ではない連結部300の中心軸からずれた方向に外力を一部分散することにより、あまりたやすく第3ラウンドセクション323の方向に外力をガイドすることを調節する機能も兼備する。すなわち、第2ラウンドセクション322は連結部300において破切部位を特定する役割を果たすだけでなく、第1ラウンドセクション321から受けた応力を分散しながら第3ラウンドセクション323の方向に伝達する機能を果たすことにより、連結部300が斜めに破切されるかあまりやすく破切されることを防止する機能を提供する。
【0051】
第3ラウンドセクション323は、連結部300の中心軸からスリット320の導入部に向けて突出した形態に形成されて連結部300の中心軸の直径を補強する、すなわち、連結部300の太さを大きく維持させることにより、連結部300があまりやすく破切されることを防止する役割を果たす。また、第3ラウンドセクション323はラウンド形に突出して尖っている形態に形成された場合より大きい体積を有することができるので、第3ラウンドセクション323に外力が瞬間的に集中してあまりたやすく破切されることを防止する役割を果たす。
【0052】
まとめると、上述した形態に陥入したスリット320は連結部300を破切可能領域に設定しながら連結部300があまりやすく破切されないように外力を分散させるとともに連結部の中心軸の方向にガイドする機能を兼備する特性を提供する。
【0053】
図6は本発明によるエンドファイルの連結部に傾斜スリットが形成された構造を例示する断面図である。
【0054】
図6に示すように、連結部300の表面には、上述したスリット320と同様に、連結部300の長手方向に一定の間隔で複数の陥入した溝が形成されることができる。このような陥入した溝は上述したスリット320とは違う陥入した形状を有する。これを本発明では傾斜スリット330という。
【0055】
傾斜スリット330は連結部300の表面周囲に沿ってヘッド200に向けて傾いた形態に陥入した溝である。このような傾斜スリット330もエンドファイル1に伝達された外力を連結部300に集中させて、すなわち応力を発生させて連結部300が破切されることができる可能性を高めるだけでなく、傾斜スリット330がヘッド200に向けて陥入することにより、連結部に集中した応力をヘッド200に向けてガイドすることができるので、連結部300のうちヘッド200側に偏った部位が破切されるようにして、破切部位が相対的に長くかつ大きく形成されるようにする役割を果たす。
【0056】
図7は本発明によるエンドファイルの連結部に凹部が形成された構造を例示する断面図である。
【0057】
図7(a)に示すように、連結部300の表面には
図5のスリット320と同様な機能を果たす凹部340が形成されている。
【0058】
凹部340は連結部300の長手方向に沿って一定の深さに凹形に陥入した形態を有し、連結部300の長手方向を基準に中央部位に左右対称の構造に形成されることにより、連結部300の中央部位の太さが他の連結部300の部位より小さい形態を有することができる。このように、凹部340を連結部300の表面に備えることにより、もしエンドファイル1が破切されても、凹部340の直径が小さいので他の部位より破切される可能性が高くて凹部340が破切される、すなわち連結部300が破切されることができる。
【0059】
また、図面に示されていないが、凹部340を中央部位だけではなくヘッド200側に偏った部位に備えることができる。具体的には、ヘッド200側に偏った部位は細く、ブレード100側に偏った部位は太くなるように連結部300の直径を補正することができる。これにより、ヘッド200側に偏った部位が破切されることによってより大きく破切された切れを得ることができるので、破切された切れを容易に収去することができる。
【0060】
図7(b)を参照すると、このような凹部340の周辺には連結部300の表面周囲に沿って陥入した陥入溝341が形成されることができることが分かる。
【0061】
このような陥入溝341は凹部340が形成された連結部300の中央部位に形成されることができ、あるいは連結部の中央部位の周辺に一定の間隔で2~4個が形成されることができ、この陥入溝341に応力が集中することができるので、連結部300が破切されるように凹部340を補助する機能を提供することができる。
【0062】
図8は本発明によるエンドファイルの連結部に形成された凹部の変形形態を例示する断面図である。
【0063】
上述した連結部300に形成された凹部340の断面は、
図8に示すように、第1延長部342、第2延長部343及び第3延長部344からなっている。
【0064】
まず、第1延長部342は、ヘッド200の境界部位、すなわち連結部300とヘッド200とが連結された部位から連結部300の中央部位に向けて凹んでいるラウンド形に陥入した部分であり、連結部300とブレード100とが連結された部位も同様に中央部位に向けて凹形に陥入した第1延長部342が形成される。
【0065】
このような第1延長部342のそれぞれの端部には連結部300の中央部位に向けて傾くように延びた第2延長部343が備えられ、第2延長部343のそれぞれの端部には連結部300の中央部位に向けてヘッド200の長手方向に平行に延びた部分である第3延長部344が備えられる。
【0066】
上述した凹部340の構造による機能及び作用を説明すれば次のようである。
【0067】
第1延長部342は、ヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位が連結部300の他の部位より大きい直径を有するように形成されることにより、ヘッド200及びブレード100と連結部300とを安定的に連結してヘッド200の回転力をブレード100に効果的に伝達するとともにヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位がやすく破切されることを防止することができる。また、第1延長部342は、ヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位をラウンド形に形成することにより、外力によって不必要に破切されることを防止することができる。
【0068】
第2延長部343は連結部300の直径を補正する、つまり第1延長部342から第3延長部344に行くほど減少する連結部300の直径の一部がより大きい直径を有するように補正する補正部Mを形成することができる。
【0069】
具体的には、第2延長部343が形成されなければ、第3延長部344の開始部位、つまり第1延長部342と第3延長部344とが連結された部位は直径が小さくなるから、瞬間的に外力が集中して連結部300がやすく破切される可能性があるが、第2延長部343の形成によって連結部300の直径を拡張させる補正部Mが形成されるので、第3延長部344に向けて集中する外力を分散させる緩衝機能を提供することができる。ここで、第2延長部343は凹形に陥入した第1延長部342の端部から連結部300の中央部位に向けて延びるから曲線形に形成しにくいので、直線形に形成されることが好ましい。
【0070】
第3延長部344はもしエンドファイル1の破切が発生するときに連結部300が破切されるように外力を集中させる部位であり、第3延長部344が形成された連結部300は他の部位より直径が小さいので、よりやすく破切されることができる。ここで、第3延長部344は連結部300の中心軸に向けて凹形に陥入した形態ではない、ヘッド200の長手方向に平行な状態に形成されることにより、連結部300の中心部位の直径を大きく補正することができるので、あまりやすく連結部300が破切されることを防止することができる。
【0071】
図9は本発明によるエンドファイルの連結部に形成されたコーティング層を製造する過程を示すフローチャートである。
【0072】
連結部300は、表面にシリコンを含むコーティング溶液を塗布した後、1分~10分間紫外線を照射することによってコーティング層を形成することができる。これにより、連結部300の表面を保護するとともに堅固性及び安全性を向上させることができるので、連結部300が折れるか切断されるなどの現象を防止することができる。
【0073】
このような特性を有するコーティング溶液は、1次溶液製造段階、2次溶液製造段階、気泡除去段階、及び洗浄段階によって製造することができる。
【0074】
まず、1次溶液製造段階は、1次溶液の総重量に対して、ポリウレタンアクリレート30~60重量%、ヘキサンジオールジアクリレート15~50重量%、及びトリメチロールプロパントリアクリレート15~40重量%を混合して1次溶液を製造する過程であり、紫外線硬化型オリゴマーと多官能モノマーであるポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートとを混合してコーティング溶液に含有される有機物材料を製造する過程である。ここで、上述したように、本発明のコーティング溶液は無機物であるシリコンを含む。これに加えて、有機物を含む1次溶液を混合してコーティング溶液を製造することにより、無機物の物性と有機物の物性とを互いに補うコーティング溶液を製造することができる。
【0075】
次いで、2次溶液製造段階は、2次溶液の総重量に対して、1次溶液40~60重量%、硫化亜鉛(zinc sulfi)粉末を含む複合体30~50重量%、及びHCPK(Hydroxy cyclohexyl phenyl ketone)1~10重量%を混合した後、5~10時間撹拌して2次溶液を製造する過程である。
【0076】
ここで、HCPKは光開始剤としての役割を果たし、複合体は硫化亜鉛(zinc sulfi)粉末を主材料として製造されるもので、コーティング層の強度を向上させることができ、本発明の折曲部をより効果的に保護する機能を果たすことができる。このような複合体についての詳細な説明は後述する。
【0077】
その後、気泡除去段階は、2次溶液を40~60℃で10~60分間超音波洗浄した後、20~30℃で10~60分間放置して気泡を除去する過程であり、2次溶液内の気泡を除去することにより、気泡によってコーティング層の付着力及び保護能力が低下する現象を防止することができる。
【0078】
最後に、洗浄段階は、気泡の除去された2次溶液をメタノールで超音波洗浄する過程であり、超音波洗浄によって気泡が除去された2次溶液に残存する不純物を効果的に除去することができるので、高品質のコーティング溶液を完成することができる。
【0079】
これによって完成されたコーティング溶液は有機物と無機物とを混合することによって製造されたものであり、両者の物性を補って本発明の折曲部の表面に高耐久性のコーティング層を形成することができる。
【0080】
ここで、上述した複合体は、混合レジン製造段階、冷却段階、再加熱段階、引張段階、及び複合体完成段階によって製造することができる。
【0081】
まず、混合レジン製造段階は、混合レジンの総重量に対して、ポリプロピレンレジン55~85重量%、及びナノクレー15~45重量%を混合及び圧縮した後、200~300℃に加熱して溶融させた後、糸状に紡糸して混合レジンを製造する過程である。ここで、ポリプロピレンレジンは剛性、耐熱性及び結晶性が高くて機械的性質に優れた材料であり、ナノクレー(Cloisite Na+)は引張強度及び熱安全性に優れ、機械的物性に優れた材料である。
【0082】
ここで、圧縮過程の前のポリプロピレンレジン及びナノクレーは圧縮及び加熱の過程によってエマルジョン状になり、このようなエマルジョン状の混合レジンを高温のスクリューによって溶融させることができ、これと同時にノズルを通して複合レジンを押し出して糸状に紡糸することができる。また、加熱の際、温度があまり高い場合、混合レジンを炭化させてスクリューの動きを妨げることがあるので、200~300℃の温度範囲で加熱することが好ましい。
【0083】
次いで、冷却段階は、混合レジンを10~25℃で1~10時間冷却して硬化させる過程である。この冷却過程は10~25℃の冷却水槽に紡糸された混合レジンを担持して冷却させることができる。上述した温度範囲より低い温度で冷却する場合、次に遂行する過程で再加熱するときに問題が発生することがあるので、上述した温度範囲で冷却することが好ましい。
【0084】
その後、再加熱段階は、硬化した混合レジンを100~200℃に再加熱して溶融させる過程であり、引張段階は、溶融した混合レジンを引張する過程である。ここで、混合レジンを再加熱する過程を遂行することによって引張強度及び弾性を向上させることができ、再加熱された混合レジンはローラーによって引張過程を遂行することができ、この過程によって弾性及び強度を一層高めることができる。
【0085】
最後に、複合体完成段階は、引張された混合レジンを粉末状に粉砕して複合体を完成する過程である。
【0086】
このような過程によって製造された粉末状の複合体は上述したコーティング溶液と混合してコーティング層の強度及び弾性などの機械的物性を向上させることができ、これにより連結部300の表面を効果的に保護することができ、切断、折れなどの現象を防止するのに役立つことができる。
【0087】
これまで説明したように、本発明による歯牙神経治療用エンドファイルを前記説明及び図面で表現したが、これは例として説明したものに過ぎなく、本発明の思想が前記説明及び図面に限定されないし、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変化及び変更が可能であるというのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
上述したように、本発明による破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルは、エンドファイルの連結部を、歯根内に挿入される部分より多くのストレスを受けるように細く形成することにより、エンドファイルが歯根の内部ではない歯牙の外部で破切されるようにして、破切された切れの発見及び除去を容易に遂行することができ、エンドファイルの表面の一部に複数のスリットを形成し、このスリットを特別に形成することにより、全体的にエンドファイルがやすく破切されないように応力を分散させるとともにエンドファイルが破切されてもスリット形成部位の直径が他の部位より小さくてスリット形成部位が破切されることができ、エンドファイルの表面の一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、凹形部位に応力が集中して破切されるようにするとともに、凹形に陥入した部位を改善して、応力が過度に集中することを防止することができ、エンドファイルの一部に特定の成分及び製造方法によって形成されたコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化することにより、エンドファイルがやすく破切されることを防止する効果を有するので、産業上利用可能性が非常に高い発明である。
【符号の説明】
【0089】
1 エンドファイル
100 ブレード
200 ヘッド
300 連結部
310 ネジ山
320 スリット
321 第1ラウンドセクション
322 第2ラウンドセクション
323 第3ラウンドセクション
330 傾斜スリット
340 凹部
341 陥入溝
342 第1延長部
343 第2延長部
344 第3延長部
350 傾斜溝
【手続補正書】
【提出日】2022-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルに関し、より詳しくは歯根内でエンドファイルの末端が破切されて発生する安全上の問題点を解決するために、破切される部位を改善したエンドファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドファイル(Endo File)とは神経治療の際に歯牙根管内の歯髄を除去し根管を拡大するのに使われる道具であり、一般的に歯科用回転電動道具に装着されるヘッド、歯根内に挿入されて歯髄を除去するブレード、及びヘッドとブレードを連結する連結部からなる。エンドファイルは歯科で広く使われており、損傷された歯髄を効果的に除去するために多様なエンドファイルの開発が行われている。このようなエンドファイルが根管内で回転すれば、削除する力に対する抵抗力によってエンドファイルのブレード部分に応力が発生して破切される問題が頻繁に発生するが、このように破切されたファイル切れはサイズが小さく根管にめりこんでいるので、収去することが容易でないという問題点が存在する。
【0003】
このような問題点を解決するために、韓国公開特許第10-201800106967号公報の‘歯牙神経治療用エンドファイル’は、回転電動工具に挿入されて着脱式で結合されるヘッド部と、患者の歯根管内に挿入されて病気になった歯牙神経を除去する組織除去刃部と、前記ヘッド部と組織除去刃部との間に長手方向の同一区間内に同じ内径及び同じ中心軸を有する複数のヘリカル形コイルスプリング部からなる応力分散部とを含む。また、公知の技術は、このような複数のヘリカル形のコイルスプリング部はエンドファイルの長手方向にエンドファイルの回転中心軸に沿って螺旋形に貫通されるように切開されて形成されることが好ましいと開示している。このような技術によれば、エンドファイルが回転すれば、エンドファイルの組織除去刃部に過度な応力が発生し、エンドファイルに備えられた複数のコイルスプリング部が一定の応力を吸収して、組織除去刃部に発生する応力のサイズを減らす効果を有することができるだけでなく、複数のコイルスプリング部が組織除去刃部に応力がすぐ発生することを遅延させることにより、組織除去刃部が長時間の間に相対的に遅い速度で歯牙組職を押しながら回転することができる時間を確保し、その結果として、組織除去刃部に加わる衝撃を緩衝させてエンドファイルの破断可能性を著しく減少させる効果を有することができると開示している。
【0004】
しかし、この技術はエンドファイルの破断可能性を減少させる効果を有するが、エンドファイルの直径が非常に小さいから、破断されることを現実的に防ぐことができない。したがって、公知の技術はエンドファイルが破切されたときに生成された微細な切れの除去に対する何らの解決手段を提示することができないという問題がある。
【0005】
したがって、エンドファイルの破切可能性を減少させることができるだけでなく、エンドファイルの破切される部位を改善して、エンドファイルが破切されたとき、生成された切れを容易に除去することができる新規の進歩した歯牙神経治療用エンドファイルの開発が至急な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-201800106967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記技術の問題点を克服するために案出されたものであり、歯根内に挿入されたエンドファイルの回転の際にエンドファイルが破切される領域を改善する構造を提示するとともにエンドファイルの太さを多様なサイズに形成することにより、状況に応じて選択的に使えるエンドファイルを提供することを主目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、エンドファイルの表面に複数のスリットを形成して、エンドファイルの破切領域をスリットに特定するとともに複数のスリットを特別に形成することによってエンドファイルの破切可能性を最小化することができる機能を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、エンドファイルの一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、エンドファイルの破切領域を特定することができ、これを特定の形状に形成することにより、エンドファイルの安定的な回転作動を保障することができる機能を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、エンドファイルの一部にコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明による歯牙神経治療用エンドファイルは破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記連結部は、長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した複数のスリットが形成されたことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記スリットの断面は、陥入開始部位から前記スリットの中心側に第1曲率半径でラウンド形に突出して延びた第1ラウンドセクションと、前記第1ラウンドセクションの端部から前記第1曲率半径より大きい第2曲率半径で前記スリットの底面に向けて陥入して延びた第2ラウンドセクションと、前記第2ラウンドセクションが互いに会う端部から前記第1及び第2曲率半径より小さな第3曲率半径で前記陥入開始部位に向けて突出した第3ラウンドセクションとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による歯牙神経治療用エンドファイルによれば、
1)エンドファイルの連結部を、歯根内に挿入される部分より多くのストレスを受けるように細く形成することにより、エンドファイルが歯根の内部ではない歯牙の外部で破切されるようにして、破切された切れの発見及び除去を容易に遂行することができる。
【0015】
2)エンドファイルの表面の一部に複数のスリットを形成し、このスリットを特別に形成することにより、全体的にエンドファイルがやすく破切されないように応力を分散させるとともにエンドファイルが破切されてもスリット形成部位の直径が他の部位より小さくてスリット形成部位が破切されることができる。
【0016】
3)エンドファイルの表面の一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、凹形部位に応力が集中して破切されるようにするとともに、凹形に陥入した部位を改善して、応力が過度に集中することを防止することができる効果を有する。
【0017】
4)エンドファイルの一部に特定の成分及び製造方法によって形成されたコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化することにより、エンドファイルがやすく破切されることを防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるエンドファイルの構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明によるエンドファイルの連結部の多様な直径を例示する断面図である。
【
図3】公知のエンドファイルと本発明によるエンドファイルの破切された状態を例示する斜視図である。
【
図4】本発明によるエンドファイルの連結部の変形構造を例示する断面図である。
【
図5】本発明によるエンドファイルの連結部にスリットが形成された構造を例示する断面図である。
【
図6】本発明によるエンドファイルの連結部に傾斜スリットが形成された構造を例示する断面図である。
【
図7】本発明によるエンドファイルの連結部に凹部が形成された構造を例示する断面図である。
【
図8】本発明によるエンドファイルの連結部に形成された凹部の変形形態を例示する断面図である。
【
図9】本発明によるエンドファイルの連結部に形成されたコーティング層を製造する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部と、を含み、前記連結部は、表面に硫化亜鉛(zinc sulfide)粉末を含むコーティング溶液を塗布した後、1~10分間紫外線を照射することにより、コーティング層が形成されることを特徴とする。
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。添付図面は一定の縮尺によって示されていなく、各図で同じ参照番号は同じ構成要素を指称する。
【0021】
図1は本発明によるエンドファイルの構造を示す斜視図、
図2はエンドファイルの連結部の多様な直径を例示する断面図である。
【0022】
本発明のエンドファイル1は歯牙の神経治療に使われる医療道具であり、全体的な外観は錐の形状と類似しており、公知のエンドファイルと同様に、歯冠に挿入されるブレード100、これから延びた連結部300、及び連結部300と連結され、歯科用回転電動工具に装着されるヘッド200からなる。
【0023】
具体的には、本発明のブレード100は歯牙の内側にある神経に挿入される部分であり、円錐状を有し、その表面にヘリカル形、言い換えれば螺旋形の溝を有し、ねじれた形態を有することによって回転力をブレード100の先端に集中させるだけでなく、歯牙の内部にスムーズに挿入されることができる。このようなブレード100は多様な素材から形成されることができるが、一般的に柔軟性が高く、生体適合性が卓越し、耐食性が高いNi-Ti合金から形成されることができる。
【0024】
また、本発明のヘッド200はブレード100を回転させるために歯科用回転電動工具と連結されることができる部分であり、一定の直径をもって延びた断面円形の構造を有する。このように、ヘッド200が円筒形に形成されることにより、全体的に短い長さを有するエンドファイル1を容易に把持することができるだけでなく、歯科用回転電動工具と容易に結合されることができるので、回転力を損失なしにブレード100に伝達することができる。
【0025】
本発明の連結部300はブレード100とヘッド200との間に一定の長さに延びたものであり、ヘッド200で発生した回転力をブレード100に伝達する役割を果たす。
【0026】
さらに、連結部300はブレード100と同じ素材から形成されることができるが、あまりやすく破切されないように高強度の合金素材から形成されることもできる。
【0027】
また、連結部300は、
図2に示すように、多様な直径を有するように形成することができる。曲がっている根管ではブレード100に加わる応力がもっと大きくなるしかないので、連結部300をより弱く設計することにより、連結部300に応力が集中して先に破切されるようにする。
【0028】
図2(a)はエンドファイル1の連結部300が最小の直径を有する形状を例示する図、
図2(b)はエンドファイル1の連結部300が中間サイズの直径を有する形状を例示する図、
図2(c)はエンドファイル1の連結部300が比較的大きな直径を有する形状を例示する図である。本発明のエンドファイル1が挿入される歯根は主に歯根の中央部位または端部で曲がっている形態を有する。このために、連結部300の直径を多様に形成することにより、歯根の曲がっている形態に対応して選択的にエンドファイル1を使うことができる。一例として、歯根の端部に挿入するために、
図2(a)のような連結部300の太さが小さいエンドファイル1を使うことができ、歯牙の上部に位置する歯根に挿入するとき、
図2(c)のような連結部300の太さが大きいエンドファイル1を使うことができる。
【0029】
このような連結部300を備えたエンドファイル1を
図3に基づいて説明すれば次のようである。
【0030】
図3は公知のエンドファイルと本発明によるエンドファイルの破切状態を例示する斜視図である。具体的には、
図3(a)は公知のエンドファイルの破切状態を、
図3(b)は本発明によるエンドファイル1の破切状態を例示する斜視図である。
【0031】
上述した背景技術で言及した先行技術によれば、応力によって組織除去刃部が破切されることを防止するために、連結部に応力を分散させるための手段(応力分散部)を備えていると開示するが、エンドファイルの直径はおよそ1mm~2mmと非常に小さいので、現実的に組織除去刃部が破切されないことは不可能である。したがって、
図3(a)に示すように、先行技術のエンドファイルが根管内で回転するとき、むしろ応力分散部より小さい太さを有する組織除去刃部が破切されることがある。このように、組織除去刃部が破切されて発生した切れはサイズが小さいだけでなく根管内にめりこむから、除去することがとても難しいという問題がある。
【0032】
これに対し、本発明のエンドファイル1は、
図3(b)に示すように、連結部300がブレード100より応力によって破切されやすくなるように小さい太さに形成されることができる。
【0033】
したがって、連結部300の断面積が減少し、相対的にこの部位に圧力が増加するか応力が集中することにより、ブレード100より連結部300が先に破切されることがある。このように、連結部300が破切されて生成された破切された切れは、先行技術の組織除去刃部が破切されて発生した切れよりサイズが比較的大きいから、容易に発見することができるだけでなく、歯冠の外で破切されるので、容易に除去することができる。
【0034】
まとめると、先行技術によれば、歯冠内に存在する組織除去刃部の破切された切れは適時に除去しなければ歯根に炎症を引き起こすことがあり、さらに歯牙に深刻な問題を発生させることがあるのに対し、本発明は、連結部300が破切されるように破切可能な範囲を改善することにより、耐久性よりも人体安全性を優先視するという特性を有する。
【0035】
また、連結部300は本発明の特性をより強化するために特別に構成した構造に形成されることができる。これについては
図4~
図8を参照して説明する。
【0036】
図4は本発明によるエンドファイルの連結部の変形構造を例示する断面図である。
【0037】
図4(a)を参照すると、連結部300の表面にはネジ山310のような形態に螺旋形に陥入した溝が形成されたことが分かる。このように、連結部300にネジ山310を形成することにより、ヘッド200の回転の際に求心力が発生して使用中にもしエンドファイル1が破切される場合、ブレード100より連結部300が先に破切されるように連結部300に外力を集中させることができるだけでなく、歯牙に連結部300が挿入されるとき、歯牙とぶつかる面積を減らして摩擦力を最小化することができるので、不必要な刺激なしにスムーズに歯牙の内部に挿入されることができる。ここで、ネジ山310が形成された連結部300の直径も多様なサイズに形成されることができるので、使用目的及び状況に応じて使うことができる。
【0038】
図4(b)に示すように、連結部の表面にはスクリュー形に形成された傾斜溝350が形成されることができる。
【0039】
傾斜溝350は連結部300の底面の周囲で一定の間隔で形成された複数の溝が連結部の上部に向けて連結部300の外周面に沿って平行にねじれた形態に陥入して形成されたものである。このように、連結部300に傾斜溝350を形成することにより、上述したネジ山310と同等な機能を提供することができる。傾斜溝350はネジ山310より広い面積を有する溝を提供することにより、ヘッドの回転の際に発生する求心力を傾斜溝350が分散させることができるので、連結部300があまりやすく破切されることを防止する機能を提供することができる。
【0040】
図5は本発明によるエンドファイルの連結部にスリットが形成された構造を例示する断面図である。
【0041】
図5を参照すると、本発明の連結部300の表面にはその周囲に沿って陥入したスリット320が形成されていることが分かる。このようなスリット320は連結部300の直径をより小さく形成することができるように連結部300に備えられたものであり、スリット320を備えた連結部300の部位はスリット320のない連結部300の他の部位より相対的に太さが小さいので、応力が集中してよりやすく破切されることができる。ここで、スリット320を連結部300の長手方向に一定の間隔で複数形成して、結果的に応力が集中することができる範囲を拡張させることにより、連結部300が破切される可能性を高めることができる。
【0042】
また、スリット320が形成された連結部300は不必要に破切される可能性があり、これを防止するために、スリット320の陥入した形態を特別に処理することができる。
【0043】
スリット320の陥入した形態は、
図5に示すように、全体的にラウンド形に形成されることができる。
【0044】
具体的には、スリット320の陥入した形態の断面は、第1ラウンドセクション321、第2ラウンドセクション322、及び第3ラウンドセクション323からなっている。
【0045】
第1ラウンドセクション321はスリット320の陥入した導入部、すなわち陥入が始まる部位からスリット320の中心側に向けて第1曲率半径で丸くなるように突出した部分であり、第2ラウンドセクション322は第1ラウンドセクション321の端部からスリット320の底面側に第2曲率半径で陥入した部分である。ここで、第2曲率半径を第1曲率半径より大きく形成することにより、第2ラウンドセクション322の陥入した形態が第1ラウンドセクション321より緩やかな形態を成して第2ラウンドセクション322がより広い面積を有することができる。
【0046】
このような第1及び第2ラウンドセクション321、322は、連結部300の直径の中心点を通るようにスリット320の導入部からスリット320の底面まで連結した仮想線Nを基準に対称構造に形成されることができる。ここで、対称状に形成された第2ラウンドセクション322が互いに会う仮想線Nの一部に第3ラウンドセクション323が形成されることができる。
【0047】
第3ラウンドセクション323は第3曲率半径でスリット320の導入部に向けて突出した形態に形成されることができる。ここで、第3曲率半径は第1及び第2曲率半径より小さなサイズを有する。よって、曲率半径は、第2曲率半径が最も大きく、次は第1曲率半径、第3曲率半径の順に大きい。
【0048】
上述したスリット320の陥入した形態による機能及び作用を説明すれば次のようである。
【0049】
第1ラウンドセクション321はスリット320の陥入開始部位の直径を減らすことにより、外力によってやすく破切されることを防止することができるだけでなく、外力が第3ラウンドセクション323に瞬間的に集中することを防ぐ外力分散の役割を果たす。具体的には、第1ラウンドセクション321の端部と第2ラウンドセクション322の端部とがスムーズにラウンド形に連結されて第1ラウンドセクション321及びその周辺部位により自然に外力を分散させることができるので、本発明のエンドファイル1の使用時に発生する外力によって連結部300があまりたやすく破切されることを防止することができる。
【0050】
第2ラウンドセクション322は一字形ではなくラウンド処理された形態、特に第1ラウンドセクションより小さい曲率半径を有するようにスリット320の陥入範囲を拡張させることにより、第1ラウンドセクション321によってその周辺に分散された外力によって第3ラウンドセクション323の方向ではない傾斜方向に破切されることを防止しながら第3ラウンドセクション323に外力が集中するように外力の伝達をガイドする役割を果たす。ここで、第2ラウンドセクション322は直線形ではないラウンド形になっているので、連結部300の中心軸ではない連結部300の中心軸からずれた方向に外力を一部分散することにより、あまりたやすく第3ラウンドセクション323の方向に外力をガイドすることを調節する機能も兼備する。すなわち、第2ラウンドセクション322は連結部300において破切部位を特定する役割を果たすだけでなく、第1ラウンドセクション321から受けた応力を分散しながら第3ラウンドセクション323の方向に伝達する機能を果たすことにより、連結部300が斜めに破切されるかあまりやすく破切されることを防止する機能を提供する。
【0051】
第3ラウンドセクション323は、連結部300の中心軸からスリット320の導入部に向けて突出した形態に形成されて連結部300の中心軸の直径を補強する、すなわち、連結部300の太さを大きく維持させることにより、連結部300があまりやすく破切されることを防止する役割を果たす。また、第3ラウンドセクション323はラウンド形に突出して尖っている形態に形成された場合より大きい体積を有することができるので、第3ラウンドセクション323に外力が瞬間的に集中してあまりたやすく破切されることを防止する役割を果たす。
【0052】
まとめると、上述した形態に陥入したスリット320は連結部300を破切可能領域に設定しながら連結部300があまりやすく破切されないように外力を分散させるとともに連結部の中心軸の方向にガイドする機能を兼備する特性を提供する。
【0053】
図6は本発明によるエンドファイルの連結部に傾斜スリットが形成された構造を例示する断面図である。
【0054】
図6に示すように、連結部300の表面には、上述したスリット320と同様に、連結部300の長手方向に一定の間隔で複数の陥入した溝が形成されることができる。このような陥入した溝は上述したスリット320とは違う陥入した形状を有する。これを本発明では傾斜スリット330という。
【0055】
傾斜スリット330は連結部300の表面周囲に沿ってヘッド200に向けて傾いた形態に陥入した溝である。このような傾斜スリット330もエンドファイル1に伝達された外力を連結部300に集中させて、すなわち応力を発生させて連結部300が破切されることができる可能性を高めるだけでなく、傾斜スリット330がヘッド200に向けて陥入することにより、連結部に集中した応力をヘッド200に向けてガイドすることができるので、連結部300のうちヘッド200側に偏った部位が破切されるようにして、破切部位が相対的に長くかつ大きく形成されるようにする役割を果たす。
【0056】
図7は本発明によるエンドファイルの連結部に凹部が形成された構造を例示する断面図である。
【0057】
図7(a)に示すように、連結部300の表面には
図5のスリット320と同様な機能を果たす凹部340が形成されている。
【0058】
凹部340は連結部300の長手方向に沿って一定の深さに凹形に陥入した形態を有し、連結部300の長手方向を基準に中央部位に左右対称の構造に形成されることにより、連結部300の中央部位の太さが他の連結部300の部位より小さい形態を有することができる。このように、凹部340を連結部300の表面に備えることにより、もしエンドファイル1が破切されても、凹部340の直径が小さいので他の部位より破切される可能性が高くて凹部340が破切される、すなわち連結部300が破切されることができる。
【0059】
また、図面に示されていないが、凹部340を中央部位だけではなくヘッド200側に偏った部位に備えることができる。具体的には、ヘッド200側に偏った部位は細く、ブレード100側に偏った部位は太くなるように連結部300の直径を補正することができる。これにより、ヘッド200側に偏った部位が破切されることによってより大きく破切された切れを得ることができるので、破切された切れを容易に収去することができる。
【0060】
図7(b)を参照すると、このような凹部340の周辺には連結部300の表面周囲に沿って陥入した陥入溝341が形成されることができることが分かる。
【0061】
このような陥入溝341は凹部340が形成された連結部300の中央部位に形成されることができ、あるいは連結部の中央部位の周辺に一定の間隔で2~4個が形成されることができ、この陥入溝341に応力が集中することができるので、連結部300が破切されるように凹部340を補助する機能を提供することができる。
【0062】
図8は本発明によるエンドファイルの連結部に形成された凹部の変形形態を例示する断面図である。
【0063】
上述した連結部300に形成された凹部340の断面は、
図8に示すように、第1延長部342、第2延長部343及び第3延長部344からなっている。
【0064】
まず、第1延長部342は、ヘッド200の境界部位、すなわち連結部300とヘッド200とが連結された部位から連結部300の中央部位に向けて凹んでいるラウンド形に陥入した部分であり、連結部300とブレード100とが連結された部位も同様に中央部位に向けて凹形に陥入した第1延長部342が形成される。
【0065】
このような第1延長部342のそれぞれの端部には連結部300の中央部位に向けて傾くように延びた第2延長部343が備えられ、第2延長部343のそれぞれの端部には連結部300の中央部位に向けてヘッド200の長手方向に平行に延びた部分である第3延長部344が備えられる。
【0066】
上述した凹部340の構造による機能及び作用を説明すれば次のようである。
【0067】
第1延長部342は、ヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位が連結部300の他の部位より大きい直径を有するように形成されることにより、ヘッド200及びブレード100と連結部300とを安定的に連結してヘッド200の回転力をブレード100に効果的に伝達するとともにヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位がやすく破切されることを防止することができる。また、第1延長部342は、ヘッド200及びブレード100と連結部300との間の境界部位をラウンド形に形成することにより、外力によって不必要に破切されることを防止することができる。
【0068】
第2延長部343は連結部300の直径を補正する、つまり第1延長部342から第3延長部344に行くほど減少する連結部300の直径の一部がより大きい直径を有するように補正する補正部Mを形成することができる。
【0069】
具体的には、第2延長部343が形成されなければ、第3延長部344の開始部位、つまり第1延長部342と第3延長部344とが連結された部位は直径が小さくなるから、瞬間的に外力が集中して連結部300がやすく破切される可能性があるが、第2延長部343の形成によって連結部300の直径を拡張させる補正部Mが形成されるので、第3延長部344に向けて集中する外力を分散させる緩衝機能を提供することができる。ここで、第2延長部343は凹形に陥入した第1延長部342の端部から連結部300の中央部位に向けて延びるから曲線形に形成しにくいので、直線形に形成されることが好ましい。
【0070】
第3延長部344はもしエンドファイル1の破切が発生するときに連結部300が破切されるように外力を集中させる部位であり、第3延長部344が形成された連結部300は他の部位より直径が小さいので、よりやすく破切されることができる。ここで、第3延長部344は連結部300の中心軸に向けて凹形に陥入した形態ではない、ヘッド200の長手方向に平行な状態に形成されることにより、連結部300の中心部位の直径を大きく補正することができるので、あまりやすく連結部300が破切されることを防止することができる。
【0071】
図9は本発明によるエンドファイルの連結部に形成されたコーティング層を製造する過程を示すフローチャートである。
【0072】
連結部300は、表面にシリコンを含むコーティング溶液を塗布した後、1分~10分間紫外線を照射することによってコーティング層を形成することができる。これにより、連結部300の表面を保護するとともに堅固性及び安全性を向上させることができるので、連結部300が折れるか切断されるなどの現象を防止することができる。
【0073】
このような特性を有するコーティング溶液は、1次溶液製造段階、2次溶液製造段階、気泡除去段階、及び洗浄段階によって製造することができる。
【0074】
まず、1次溶液製造段階は、1次溶液の総重量に対して、ポリウレタンアクリレート30~60重量%、ヘキサンジオールジアクリレート15~50重量%、及びトリメチロールプロパントリアクリレート15~40重量%を混合して1次溶液を製造する過程であり、紫外線硬化型オリゴマーと多官能モノマーであるポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートとを混合してコーティング溶液に含有される有機物材料を製造する過程である。ここで、上述したように、本発明のコーティング溶液は無機物であるシリコンを含む。これに加えて、有機物を含む1次溶液を混合してコーティング溶液を製造することにより、無機物の物性と有機物の物性とを互いに補うコーティング溶液を製造することができる。
【0075】
次いで、2次溶液製造段階は、2次溶液の総重量に対して、1次溶液40~60重量%、硫化亜鉛(zinc sulfide)粉末を含む複合体30~50重量%、及びHCPK(Hydroxy cyclohexyl phenyl ketone)1~10重量%を混合した後、5~10時間撹拌して2次溶液を製造する過程である。
【0076】
ここで、HCPKは光開始剤としての役割を果たし、複合体は硫化亜鉛(zinc sulfide)粉末を主材料として製造されるもので、コーティング層の強度を向上させることができ、本発明の折曲部をより効果的に保護する機能を果たすことができる。このような複合体についての詳細な説明は後述する。
【0077】
その後、気泡除去段階は、2次溶液を40~60℃で10~60分間超音波洗浄した後、20~30℃で10~60分間放置して気泡を除去する過程であり、2次溶液内の気泡を除去することにより、気泡によってコーティング層の付着力及び保護能力が低下する現象を防止することができる。
【0078】
最後に、洗浄段階は、気泡の除去された2次溶液をメタノールで超音波洗浄する過程であり、超音波洗浄によって気泡が除去された2次溶液に残存する不純物を効果的に除去することができるので、高品質のコーティング溶液を完成することができる。
【0079】
これによって完成されたコーティング溶液は有機物と無機物とを混合することによって製造されたものであり、両者の物性を補って本発明の折曲部の表面に高耐久性のコーティング層を形成することができる。
【0080】
ここで、上述した複合体は、混合レジン製造段階、冷却段階、再加熱段階、引張段階、及び複合体完成段階によって製造することができる。
【0081】
まず、混合レジン製造段階は、混合レジンの総重量に対して、ポリプロピレンレジン55~85重量%、及びナノクレー15~45重量%を混合及び圧縮した後、200~300℃に加熱して溶融させた後、糸状に紡糸して混合レジンを製造する過程である。ここで、ポリプロピレンレジンは剛性、耐熱性及び結晶性が高くて機械的性質に優れた材料であり、ナノクレー(Cloisite Na+)は引張強度及び熱安全性に優れ、機械的物性に優れた材料である。
【0082】
ここで、圧縮過程の前のポリプロピレンレジン及びナノクレーは圧縮及び加熱の過程によってエマルジョン状になり、このようなエマルジョン状の混合レジンを高温のスクリューによって溶融させることができ、これと同時にノズルを通して複合レジンを押し出して糸状に紡糸することができる。また、加熱の際、温度があまり高い場合、混合レジンを炭化させてスクリューの動きを妨げることがあるので、200~300℃の温度範囲で加熱することが好ましい。
【0083】
次いで、冷却段階は、混合レジンを10~25℃で1~10時間冷却して硬化させる過程である。この冷却過程は10~25℃の冷却水槽に紡糸された混合レジンを担持して冷却させることができる。上述した温度範囲より低い温度で冷却する場合、次に遂行する過程で再加熱するときに問題が発生することがあるので、上述した温度範囲で冷却することが好ましい。
【0084】
その後、再加熱段階は、硬化した混合レジンを100~200℃に再加熱して溶融させる過程であり、引張段階は、溶融した混合レジンを引張する過程である。ここで、混合レジンを再加熱する過程を遂行することによって引張強度及び弾性を向上させることができ、再加熱された混合レジンはローラーによって引張過程を遂行することができ、この過程によって弾性及び強度を一層高めることができる。
【0085】
最後に、複合体完成段階は、引張された混合レジンを粉末状に粉砕して複合体を完成する過程である。
【0086】
このような過程によって製造された粉末状の複合体は上述したコーティング溶液と混合してコーティング層の強度及び弾性などの機械的物性を向上させることができ、これにより連結部300の表面を効果的に保護することができ、切断、折れなどの現象を防止するのに役立つことができる。
【0087】
これまで説明したように、本発明による歯牙神経治療用エンドファイルを前記説明及び図面で表現したが、これは例として説明したものに過ぎなく、本発明の思想が前記説明及び図面に限定されないし、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変化及び変更が可能であるというのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
上述したように、本発明による破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルは、エンドファイルの連結部を、歯根内に挿入される部分より多くのストレスを受けるように細く形成することにより、エンドファイルが歯根の内部ではない歯牙の外部で破切されるようにして、破切された切れの発見及び除去を容易に遂行することができ、エンドファイルの表面の一部に複数のスリットを形成し、このスリットを特別に形成することにより、全体的にエンドファイルがやすく破切されないように応力を分散させるとともにエンドファイルが破切されてもスリット形成部位の直径が他の部位より小さくてスリット形成部位が破切されることができ、エンドファイルの表面の一部を凹形に陥入した形態に形成することにより、凹形部位に応力が集中して破切されるようにするとともに、凹形に陥入した部位を改善して、応力が過度に集中することを防止することができ、エンドファイルの一部に特定の成分及び製造方法によって形成されたコーティング層を備えてエンドファイルの耐久性を強化することにより、エンドファイルがやすく破切されることを防止する効果を有するので、産業上利用可能性が非常に高い発明である。
【符号の説明】
【0089】
1 エンドファイル
100 ブレード
200 ヘッド
300 連結部
310 ネジ山
320 スリット
321 第1ラウンドセクション
322 第2ラウンドセクション
323 第3ラウンドセクション
330 傾斜スリット
340 凹部
341 陥入溝
342 第1延長部
343 第2延長部
344 第3延長部
350 傾斜溝
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破切可能領域を改善した歯牙神経治療用エンドファイルであって、
歯根管内に挿入され、歯牙神経を除去し、根管を拡大するヘリカル形ブレードと、
回転電動工具に着脱可能に挿入されるヘッドと、
前記ヘッド及びブレードの間で一定の長さに延びたものであって、前記ブレードの接触端と前記ヘッドより小さな直径を有する連結部と、を含み、
前記連結部は、表面に硫化亜鉛(
zinc sulfide)粉末を含むコーティング溶液を塗布した後、1~10分間紫外線を照射することにより、コーティング層が形成されていることを特徴とする、歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項2】
前記連結部は、表面にネジ山が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項3】
前記連結部は、表面に複数の傾斜溝が前記連結部の外周面に沿ってスクリュー形に陥入して形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項4】
前記連結部は、長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した複数のスリットが形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項5】
前記スリットの断面は、
陥入開始部位から前記スリットの中心側に第1曲率半径でラウンド形に突出して延びた第1ラウンドセクションと、
前記第1ラウンドセクションの端部から前記第1曲率半径より大きい第2曲率半径で前記スリットの底面に向けて陥入して延びた第2ラウンドセクションと、
前記第2ラウンドセクションが互いに会う端部から前記第1及び第2曲率半径より小さな第3曲率半径で前記陥入開始部位に向けて突出した第3ラウンドセクションと、を備えたことを特徴とする、請求項4に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項6】
前記連結部は、前記長手方向に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って前記ヘッド側に向けて陥入した傾斜スリットを備えることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項7】
前記連結部は、長手方向の基準に中央部位の太さが最も大きくなるように左右対称状の構造に凹形に形成された凹部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項8】
前記凹部には、中央部位周辺に一定の間隔で前記連結部の表面周囲に沿って陥入した2個~4個の陥入溝が形成されたことを特徴とする、請求項7に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項9】
前記凹部の断面は、
前記ヘッド及びブレードのそれぞれの境界部位から前記連結部の中央部位に向けてラウンド形に凹形に延びた第1延長部と、
前記第1延長部の端部から前記連結部の中央部位に向けて傾くように延びた第2延長部と、
前記2延長部の端部から前記連結部の中央部位まで平行に延びた第3延長部と、を備えたことを特徴とする、請求項7に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項10】
前記コーティング溶液は、
1次溶液の総重量に対して、ポリウレタンアクリレート30~60重量%、ヘキサンジオールジアクリレート15~50重量%、及びトリメチロールプロパントリアクリレート15~40重量%を混合して1次溶液を製造する、1次溶液製造段階と、
2次溶液の総重量に対して、前記1次溶液40~60重量%、硫化亜鉛(
zinc sulfide)粉末を含む複合体30~50重量%、及びHCPK(Hydroxy cyclohexyl phenyl ketone)1~10重量%を混合した後、5~10時間撹拌して2次溶液を製造する、2次溶液製造段階と、
前記2次溶液を40~60℃で10~60分間超音波洗浄した後、20~30℃で10~60分間放置して気泡を除去する、気泡除去段階と、
気泡の除去された前記2次溶液をメタノールで超音波洗浄する段階と、によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【請求項11】
前記複合体は、混合レジンの総重量に対して、ポリプロピレンレジン55~85重量%、及びナノクレー15~45重量%を混合及び圧縮した後、200~300℃に加熱して溶融させた後、糸状に紡糸して混合レジンを製造する、混合レジン製造段階と、
前記混合レジンを10~25℃で1~10時間冷却して硬化させる、冷却段階と、
硬化した前記混合レジンを100~200℃に再加熱して溶融させる、再加熱段階と、
溶融前記混合レジンを引張する、引張段階と、
引張された前記混合レジンを粉末状に粉砕して複合体を完成する段階と、によって製造されることを特徴とする、請求項10に記載の歯牙神経治療用エンドファイル。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】