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特表2022-553168二次電池及び該二次電池を備える装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】二次電池及び該二次電池を備える装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20221215BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20221215BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20221215BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/0567
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/48
H01M4/36 E
H01M4/587
H01M4/131
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M4/58
H01M4/134
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522058
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2019127980
(87)【国際公開番号】W WO2021127999
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】呉則利
(72)【発明者】
【氏名】韓昌隆
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029DJ16
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ10
5H029HJ14
5H029HJ20
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA10
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050FA17
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
5H050HA14
5H050HA17
(57)【要約】
本願は、二次電池及び該二次電池を備える装置を提供し、前記二次電池は、負極シート及び電解液を有し、前記負極シートは、負極集電体と負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと備え、前記電解液は、電解質塩及び有機溶媒を有し、ここで、前記負極活性材料は、ケイ素系材料を含み、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦10%であり、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、70%~95%である。本願の二次電池及び該二次電池を備える装置は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温貯蔵性能と高温サイクル性能を両立できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極シート及び電解液を有し、前記負極シートが負極集電体と負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムとを備え、前記電解液が電解質塩及び有機溶媒を有する二次電池であって、
前記負極活性材料は、ケイ素系材料を含み、
前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦10%であり、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率が70%~95%である、
ことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦5%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、75%~95%であり、
好ましくは、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、85%~95%である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)を含み、且つ、前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の濃度は、0.8mol/L~1.3mol/Lであり、好ましくは、0.9mol/L~1.1mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含み、
好ましくは、前記有機溶媒における前記ジメチルカーボネート(DMC)及び/又はジエチルカーボネート(DEC)の質量占有率が≦10%である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記電解液は、添加剤をさらに含み、前記添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)、ビニレンカーボネート(VC)、無水コハク酸(SA)、トリス(トリメチルシラン)ボレート(TMSB)、トリス(トリメチルシラン)ホスフェート(TMSP)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiDFOP)のうちの1種類又は複数種類を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電解液の25℃での導電率は、7mS/cm~9.5mS/cmであり、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、7.5mS/cm~9.0mS/cmであり、及び/又は、
前記電解液の25℃での粘度は、3.5mPa.s~5.5mPa.sであり、好ましくは、前記電解液の25℃での粘度は、4mPa.s~5mPa.sである、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記ケイ素系材料は、単体ケイ素、ケイ素炭素複合体、ケイ素酸素化合物、ケイ素窒素化合物、ケイ素合金のうちの1種類又は複数種類を含み、好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素酸素化合物を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記負極活性材料は、炭素材料をさらに含み、前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンのうちの1種類又は複数種類を含み、好ましくは、前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛のうちの1種類又は複数種類を含む、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率が≧15%であり、好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率は、20%~40%である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体と正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ正極活性材料を含有する正極フィルムとを備え、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含み、
好ましくは、前記正極活性材料は、一般式 LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が設けられたLiNiCoM’のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は複数種類であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clから選択される1種類又は複数種類である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記正極活性材料は、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、コバルト酸リチウム及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の二次電池を備える、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、二次電池及び該二次電池を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの日増しな枯渇及び環境汚染の圧力がますます大きくなるに連れて、自動車産業ではそれを駆動するための新エネルギーが緊急に求められており、二次電池はエネルギー密度が高く、メモリ効果がなく、動作電圧が高いなどの特徴を有するため注目され、現在の新エネルギー自動車の動力電源の好ましい考案になる。新エネルギー自動車業界では、一般的に、高いエネルギー密度、長いサイクル寿命などの性能を有する動力電源を求めているが、これは従来の二次電池に対して大きな挑戦である。
【0003】
現在、高い比容量のケイ素系材料を二次電池の負極活性材料として使用すると、二次電池のエネルギー密度を効果的に向上できるが、ケイ素系材料は、充放電サイクル過程において体積膨張が深刻であり、二次電池の電気化学的性能の急激な低下をもたらす。
【0004】
したがって、二次電池性能に対する電気自動車の需要を満たすために、良好な総合性能を有する二次電池を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
背景技術に存在する課題に鑑み、本願は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温貯蔵性能と高温サイクル性能を両立できる二次電池及び該二次電池を備える装置を提供する。
【0006】
上記目的を達するために、本願の第1の態様に係る二次電池は、負極シート及び電解液を有し、前記負極シートは、負極集電体と負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと備え、前記電解液は、電解質塩及び有機溶媒を有し、ここで、前記負極活性材料は、ケイ素系材料を含み、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦10%であり、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、70%~95%である。
【0007】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に係る二次電池を備える装置を提供する。
【0008】
本願は、少なくとも以下の有益な効果を含む。
本願の二次電池において、負極がケイ素系材料を含み、電解液中の有機溶媒が特定の含有量のエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、上記物質の相乗作用により、二次電池は、良好な高温貯蔵性能及び高温サイクル性能を有する。本願の装置は、前記二次電池を備えるため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】二次電池の一実施形態の模式図である。
図2】電池モジュールの一実施形態の模式図である。
図3】電池パックの一実施形態の模式図である。
図4図3の分解図である。
図5】二次電池が電源として用いられる装置の一実施形態の模式図である。
【0010】
ここで、図面の符号の説明は、以下の通りである。
1 電池パック、
2 上部筐体、
3 下部筐体、
4 電池モジュール、
5 二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願に係る二次電池及びそれを備える装置を詳細に説明する。
【0012】
本願に係る二次電池は、負極シート及び電解液を有し、前記負極シートは、負極集電体と負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと備え、前記電解液は、電解質塩及び有機溶媒を有し、ここで、前記負極活性材料は、ケイ素系材料を含み、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦10%であり、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、70%~95%である。
【0013】
二次電池のエネルギー密度を向上させるために、本願の負極活性材料はケイ素系材料を用いるが、電池のサイクル過程において、ケイ素系負極活性材料には深刻な体積効果が存在するため、その実際の応用を制限する。本願の発明者らは、大量の研究により、電解液に特定の含有量の有機溶媒 エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を同時に添加する場合、負極活性材料としてケイ素系材料を用いる二次電池の高温貯蔵及び高温サイクル性能を効果的に改善できることを見出した。本発明者らは、電解液に特定の含有量のECとEMC溶媒を同時に添加する場合、電解質塩をよく解離することができるだけでなく、その相乗作用により、電池のサイクル過程でのガス発生を効果的に低減できるため、二次電池がエネルギー密度を向上させると同時に良好な高温サイクル性能及び高温貯蔵性能を両立できると推定している。
【0014】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が≦5%である。
【0015】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、75%~95%であり、より好ましくは、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、85%~95%である。
【0016】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)を含み、且つ、前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の濃度は、0.8mol/L~1.3mol/Lである。電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)が同時に含まれ、且つ、前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の濃度が所定の範囲内にある場合、二次電池の高温貯蔵及び高温サイクル性能をさらに改善することができる。より好ましくは、前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の濃度は、0.9mol/L~1.1mol/Lである。
【0017】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含んでもよく、より好ましくは、前記有機溶媒における前記ジメチルカーボネート(DMC)及び/又はジエチルカーボネート(DEC)の重量占有率が≦10%である。
【0018】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液は、添加剤をさらに含み、前記添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)、無水コハク酸(SA)、トリス(トリメチルシラン)ボレート(TMSB)、トリス(トリメチルシラン)ホスフェート(TMSP)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiDFOP)のうちの1種類又は複数種類を含む。
【0019】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、7mS/cm~9.5mS/cmであり、より好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、7.5mS/cm~9.0mS/cmである。
【0020】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液の25℃での粘度は、3.5mPa.s~5.5mPa.sであり、より好ましくは、前記電解液の25℃での粘度は、4mPa.s~5mPa.sである。
【0021】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記ケイ素系材料は、単体ケイ素、ケイ素炭素複合体、ケイ素酸素化合物、ケイ素窒素化合物、ケイ素合金のうちの1種類又は複数種類を含み、より好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素酸素化合物を含む。
【0022】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記負極活性材料は、炭素材料をさらに含み、より好ましくは、前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンのうちの1種類又は複数種類を含み、さらに好ましくは、前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛のうちの1種類又は複数種類を含む。
【0023】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率が≧15%であり、より好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率は、20%~40%である。
【0024】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記負極集電体の種類は特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記負極集電体は、金属箔、例えば銅箔から選択することができる。
【0025】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体と正極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ正極活性材料を含有する正極フィルムとを備える。
【0026】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含む。リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物は、二次電池の正極活性材料として、比容量が高く、サイクル寿命が長いなどの利点を有し、ケイ素系材料含有の負極活性材料と組み合わせて使用すると、電池の電気化学的性能をさらに改善する。
【0027】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が設けられたLiNiCoM’のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は二種であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clから選択される1種類又は複数種類である。
【0028】
上記正極活性材料の被覆層は、炭素層、酸化物層、無機塩層又は導電性高分子層であってもよい。正極活性材料の表面を被覆改質することにより、二次電池のサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0029】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに、前記正極活性材料は、リチウムマンガン酸化物(例えば、スピネル型マンガン酸リチウム、層状構造マンガン酸リチウムなど)及びその改質化合物、リン酸鉄リチウム及びその改質化合物、コバルト酸リチウム及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含んでもよい。
【0030】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記正極集電体の種類は特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記正極集電体は、金属箔、例えばアルミニウム箔から選択することができる。
【0031】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、セパレータをさらに含む。前記セパレータの種類は特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的には、前記セパレータは、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、ポリフッ化ビニリデン膜及びそれらの多層複合膜のうちの1種類又は複数種類から選択することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、二次電池は、正極シート、負極シート及び電解液を封入するのに用いられる外装を含んでもよい。一例として、正極シート、負極シート及びセパレータを積層又は巻回して積層構造の電極アセンブリ又は巻回構造の電極アセンブリを形成し、電極アセンブリは、外装内に封止され、電解液は、電極アセンブリ内に浸潤される。二次電池における電極アセンブリの個数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調整することができる。
【0033】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、ソフトパッケージであってもよく、例えば袋状ソフトパッケージである。ソフトパッケージの材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレン PP、ポリブチレンテレフタレート PBT、ポリブチレンサクシネート PBSなどのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。二次電池の外装は、ハードケースであってもよく、例えばアルミニウムケースなどであってもよい。
【0034】
本願は、二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、角形又は他の任意の形状であってもよい。図1は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0035】
いくつかの実施例において、二次電池は、電池モジュールとして組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の個数は複数であってもよく、具体的な個数は、電池モジュールの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0036】
図2は、一例としての電池モジュール4である。図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長さ方向に沿って順次に配列されてもよい。当然のことながら、他の任意の方式で配列されてもよい。この複数の二次電池5は、さらに締結具によって固定されていてもよい。
【0037】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含み、複数の二次電池5は、該収容空間に収容される。
【0038】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールはさらに電池パックとして組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの個数は、電池パックの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0039】
図3及び図4は、一例としての電池パック1である。図3及び図4を参照すると、電池パック1は、電池ボックスと、電池ボックス内に配置される複数の電池モジュール4と、を含んでもよい。電池ボックスは、上部筐体2及び下部筐体3を備え、上部筐体2は、下部筐体3を覆うように配置されて、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、電池ボックス内に任意に配置されてもよい。
【0040】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に係る二次電池を備える装置を提供する。前記二次電池は、前記装置の電源として用いられてもよく、前記装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電気自動車(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
前記装置は、その使用の必要に応じて、二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0042】
図5は、一例としての装置である。当該装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。二次電池の高電力及び高エネルギー密度に対する当該装置の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを使用してもよい。
【0043】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコンなどであってもよい。当該装置は、一般的に軽量化及び薄型化を必要とし、電源として二次電池を用いることができる。
【0044】
以下、実施例と組み合わせて、本願をさらに説明する。理解すべきことは、これらの実施例は本願を説明するためのものであって本願の範囲を限定するものではない。
【0045】
実施例1~11及び比較例1~3の二次電池は、いずれも以下の方法で製造される。
(1)正極シートの製造
【0046】
正極活性材料 NCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、結着剤 ポリフッ化ビニリデン、及び導電剤 Super Pを、重量比 98:1:1で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空撹拌機の作用下で系が均一な透明状になるまで撹拌して、正極スラリーを得る。正極スラリーをアルミニウム箔に均一に塗布する。室温で乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、正極シートを得る。
(2)負極シートの製造
【0047】
負極活性材料 一酸化ケイ素と人造黒鉛を質量比 2:8で混合し、さらに、それと導電剤 Super P、増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、及び結着剤 スチレンブタジエンゴム(SBR)を、質量比 92:2:2:4で混合し、脱イオン水を添加し、真空撹拌機の作用下で負極スラリーを得る。負極スラリーを負極集電体 銅箔に均一に塗布する。室温で乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、負極シートを得る。
(3)電解液の調製
【0048】
含水量<10ppmのアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、有機溶媒を重量比で混合して混合溶媒を取得し、次に十分に乾燥された電解質塩を上記混合溶媒で溶解させた後、添加剤(8% FEC、0.5% SA、0.5% TMSP)を添加し、均一に混合させた後に電解液を取得し、各添加剤の含有量は、電解液の総重量に基づいて計算して得られた重量百分率である。ここで、有機溶媒の組成、電解質塩の具体的な種類及び含有量は、表1に示す通りである。表1において、各有機溶媒の含有量は、有機溶媒の総質量に基づいて計算して得られた重量百分率であり、各電解質塩の濃度は、電解液の総濃度に基づいて計算して得られた濃度である。
(4)セパレータの製造
【0049】
ポリエチレン(PE)膜をセパレータとする。
(5)二次電池の製造
【0050】
セパレータが正極シートと負極シートの間に位置して隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順次に積層した後、巻回により電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装内に置き、上記調製された電解液を乾燥後の二次電池に注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得る。
【0051】
【表1】
【0052】
次に、二次電池の測定手順を説明する。
(1)高温貯蔵性能測定
【0053】
60℃で、二次電池を0.5Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、排水法でこの時のリチウムイオン電池の体積を測定して、Vと記す。その後、二次電池を60℃の恒温箱に入れ、30日間貯蔵した後に取り出し、この時の二次電池の体積を測定して、Vと記す。
二次電池の60℃で30日間貯蔵後の体積膨張率(%)=[(V?V)/V]×100%。
(2)高温サイクル性能測定
【0054】
45℃で、二次電池を1Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、5min静置し、さらに1Cの定電流で2.5Vまで放電し、これが二次電池の初回充放電サイクルであり、今回の放電容量を二次電池の初回サイクルの放電容量と記し、上記方法に応じて、二次電池に対して、800回の充放電サイクルを行い、二次電池の800回サイクル後の放電容量を記す。
二次電池の45℃で800回サイクル後の容量維持率(%)=(二次電池の800回サイクル後の放電容量/二次電池の初回サイクルの放電容量)×100%。
【0055】
【表2】
【0056】
表2の測定結果分析から分かるように、実施例1~11の二次電池の有機溶媒は、特定の含有量のエチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含み、良好な高温貯蔵性能及び高温サイクル性能を両立でき、特に、二次電池の電解質塩にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びジフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)が同時に含まれ、且つ前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)が特定の濃度を満たす場合、実施例7~11に示すように、二次電池の高温貯蔵性能及び高温サイクル性能がさらに良好であった。
【0057】
比較例1において、電解液におけるエチレンカーボネート(EC)の含有量が>10%であり、得られた二次電池の高温貯蔵性能及び高温サイクル性能がいずれも悪かった。
【0058】
比較例2及び比較例3において、電解液におけるエチレンカーボネート(EC)の含有量が>10%であり、且つエチルメチルカーボネート(EMC)の含有量が70%~95%を満たさず、得られた二次電池の高温貯蔵性能及び高温サイクル性能がいずれも悪かった。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】