(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プライバシーモードバックライト、プライバシーディスプレイ、及び方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221215BHJP
G02B 27/42 20060101ALI20221215BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221215BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221215BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221215BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221215BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221215BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221215BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 431
G02B27/42
G02F1/13357
G02F1/1335
G09F9/00 324
G09F9/00 336J
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522623
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2019056402
(87)【国際公開番号】W WO2021076114
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
3K244
5G435
【Fターム(参考)】
2H291FA43Z
2H291FA48Z
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2H291FD04
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2H391AD36
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2H391FA05
3K244AA01
3K244BA08
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3K244ED30
3K244GA10
5G435AA01
5G435BB12
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5G435FF02
5G435FF03
5G435FF06
5G435FF08
(57)【要約】
プライバシーモードバックライトは、ライトガイドの長さに直交して所定のコリメーション係数を有する光を導くように構成されたライトガイドと、ライトガイドの長さに沿って配置された複数の散乱線素子とを含む。複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、直交方向にコリメーション係数によって決定される照明ビーム幅を有する放射光として、導波光の一部をライトガイドの放射面を通って散乱させるように構成される。プライバシーモードバックライトは、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光の指向性拡散を提供するように構成された指向性光拡散器をさらに備える。指向性拡散は、ライトガイドの長さ方向に均一な照明を提供することができる。プライバシーディスプレイは、放射光を変調してプライベート画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライバシーモードバックライトであって、
光をライトガイドの長さに沿って前記ライトガイドの長さに直交する方向に所定のコリメーション係数を有する導波光として導くように構成された前記ライトガイドと、
前記ライトガイドの長さに沿って互いに平行に離間して配置された複数の散乱線素子であって、前記複数の散乱線素子のうちの各散乱線素子は、前記導波光の一部を、前記ライトガイドの放射面を介して、前記直交方向に前記所定のコリメーション係数によって決定される照明ビーム幅を有する放射光として散乱させるように構成されている、複数の散乱線素子と、
前記ライトガイドの長さに一致する方向に前記放射光の指向性拡散を提供するように構成された指向性光拡散器と
を備える、プライバシーモードバックライト。
【請求項2】
前記指向性光拡散器によって提供される前記放射光の前記指向性拡散が、前記ライトガイドの長さに対応する前記方向における前記放射光の均一な照明パターンを提供するように構成される、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項3】
前記指向性光拡散器の拡散角は、前記散乱線素子の各々からの前記放射光を広げ、前記プライバシーモードバックライトの出力面において前記複数の散乱線素子の隣接する散乱線素子間の距離に等しい照明範囲を持たせるように構成される、請求項2に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項4】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、前記ライトガイドの前記放射面とは反対側の側面に位置し、前記ライトガイドの長さに一致する方向における前記指向性光拡散器の拡散角は、隣接する散乱線素子間の距離に前記ライトガイドの屈折率を掛け、前記ライトガイドの厚さで割ったものに比例する、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項5】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、前記導波光を前記放射面の方向に優先的に散乱させるように構成された一方向性散乱素子を備える、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項6】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、前記ライトガイドの表面に位置する回折格子を備え、前記回折格子は、前記ライトガイド表面の溝及び前記ライトガイド表面の隆起部の一方又は両方を備える回折特徴部を有する、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト光。
【請求項7】
前記回折格子が、前記回折特徴部に隣接して前記放射面に対向するように前記回折格子と位置合わせされた反射アイランドをさらに備え、前記回折格子及び前記反射アイランドは、組み合わせて反射モード回折格子を表す、請求項6に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項8】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子が、前記散乱線素子の長さに沿って一列に配置された個々の散乱素子のアレイを備える、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項9】
前記個々の散乱素子アレイのうちの隣接する個々の散乱素子は、間隙によって互いに分離されており、前記指向性光拡散器は、前記ライトガイドの幅方向に対応する前記直交方向における前記放射光の指向性拡散を提供するようにさらに構成され、前記幅方向における前記提供された指向性拡散は、前記幅方向における前記放射光の均一な照明パターンを提供するように構成される、請求項8に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項10】
前記ライトガイドに光学的に結合され、前記所定のコリメーション係数を有する前記導波光として導かれる光を前記ライトガイドに提供するように構成された光源をさらに備える、請求項1に記載のプライバシーモードバックライト。
【請求項11】
請求項1に記載のプライバシーモードバックライトを備えるモード切替可能ディスプレイであって、前記モード切替可能ディスプレイは、前記モード切替可能ディスプレイのプライバシーモード中に、前記プライバシーモードバックライトによって提供される前記放射光をプライベート画像として変調するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備え、前記プライベート画像は前記プライバシーモード中に前記プライバシーモードバックライトの前記照明ビーム幅内で選択可能に視認可能である、モード切替可能ディスプレイ。
【請求項12】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子のサイズは、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度である、請求項11に記載のモード切替可能ディスプレイ。
【請求項13】
前記ライトバルブアレイに隣接する側面とは反対側の前記ライトガイドの側面に隣接する広角バックライトをさらに備え、前記広角バックライトは、前記モード切替可能ディスプレイの共有モード中に広角光を提供するように構成され、前記ライトバルブアレイは、前記共有モード中に前記広角光を共有画像として変調するように構成され、
前記ライトガイド及び前記複数の線素子のうちの散乱線素子は、前記広角光に対して透明であるように構成され、前記モード切替可能ディスプレイは、前記プライバシーモード中に前記プライベート画像を選択的に表示し、前記共有モード中に前記共有画像を選択的に表示するように構成される、請求項11に記載のモード切替可能ディスプレイ。
【請求項14】
ライトガイドの長さに沿って分布する複数の散乱線素子であって、前記ライトガイドからの導波光を、前記ライトガイドの長さに直交する方向に所定の照明ビーム幅を有する放射光として散乱するように構成された、複数の散乱線素子と、
前記放射光を変調してプライベート画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、
前記ライトガイドと前記ライトバルブアレイとの間に位置する指向性光拡散器であって、前記ライトガイドの長さに一致する方向に前記放射光の指向性拡散を提供するように構成され、前記指向性拡散は、前記ライトガイドの長さ方向に前記ライトバルブアレイの均一な照明を提供する、指向性光拡散器と
を備える、プライバシーディスプレイ。
【請求項15】
前記導波光はコリメーション係数に従ってコリメートされ、前記所定の照明ビーム幅は前記導波光の前記コリメーション係数によって決定される、請求項14に記載のプライバシーディスプレイ。
【請求項16】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、前記導波光を前記指向性光拡散器に隣接する前記ライトガイドの放射面の方向に優先的に散乱させるように構成された散乱素子を備える、請求項14に記載のプライバシーディスプレイ。
【請求項17】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子のサイズは、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度である、請求項14に記載のプライバシーディスプレイ。
【請求項18】
前記ライトバルブアレイに隣接する側とは反対側の前記ライトガイドの側に隣接し、共有モード中に広角光を提供するように構成された広角バックライトをさらに備え、前記ライトバルブアレイは、前記共有モード中に前記広角光を共有画像として変調するように構成され、
前記ライトガイド及び前記複数の線素子のうちの散乱線素子は、前記広角光に対して透明であるように構成され、前記プライバシーディスプレイは、前記共有画像を提供するための前記共有モードと前記プライベート画像を提供するためのプライバシーモードとの間でモード切替可能である、請求項14に記載のプライバシーディスプレイ。
【請求項19】
所定のコリメーション係数を有するコリメートされた導波光としてライトガイド内の光を導くステップと、
前記コリメートされた導波光の一部を、前記ライトガイドの長さに沿って互いに離間した複数の散乱線素子を使用して、照明ビーム幅を有する放射光として前記ライトガイドから散乱させるステップと、
指向性光拡散器を使用して前記ライトガイドの長さに一致する方向に前記放射光を拡散させるステップと
を含み、
前記複数の散乱線素子によって散乱された前記放射光の前記照明ビーム幅は、前記所定のコリメーション係数によって決定され、前記照明ビーム幅は、前記ライトガイドの長さに直交する幅方向である、
プライバシーモードバックライト動作の方法。
【請求項20】
前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、前記指向性光拡散器に向かう方向に、前記コリメートされた導波光を優先的に散乱させる一方向性散乱素子を備える、請求項19に記載のプライバシーモードバックライト動作の方法。
【請求項21】
前記指向性光拡散器の拡散角が、前記複数の散乱線素子のうちの隣接する散乱線素子間の距離に等しい照明範囲を提供するために、前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子からの前記放射光を拡散させること、及び前記複数の散乱線素子のうちの散乱線素子のサイズが、プライバシーディスプレイによって表示されるプライベート画像として前記放射光を変調するために使用されるライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度であることの一方又は両方である、請求項19に記載のプライバシーモードバックライト動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当せず
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
該当せず
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。最も一般的に採用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械的又は電気流体的光変調を採用する様々なディスプレイ(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)が含まれる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類することができる。アクティブディスプレイの最も明白な例は、CRT、PDP及びOLED/AMOLEDである。放射光を考慮するときに典型的にパッシブとして分類されるディスプレイは、LCD及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、魅力的な性能特性、例えば、以下に限定されないが、本質的な低消費電力を示すことが多いが、発光能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途では幾分使用が限定的になる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができ、ここで、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における特定の主角度方向を有する指向性光ビームの角度成分の図形表示を示す。
【0006】
【
図2】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0007】
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトの断面図を示す。
【0008】
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトの別の断面図を示す。
【0009】
【
図3C】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトの上面図を示す。
【0010】
【
図4】本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における散乱線素子の画像に対する指向性光拡散器の効果の側面図を示す。
【0011】
【
図5A】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトの断面図を示す。
【0012】
【
図5B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトの上面図を示す。
【0013】
【
図6A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライトを含むモード切替可能ディスプレイの断面図を示す。
【0014】
【
図6B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、別の例におけるプライバシーモードバックライトを含むモード切替可能ディスプレイの断面図を示す。
【0015】
【
図7】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーディスプレイのブロック図を示す。
【0016】
【
図8】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト動作の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特定の例及び実施形態は、上記参照図面に示された特徴に加えて、又はその代わりに他の特徴を有する。これら及び他の特徴は、上記参照図面を参照して以下に詳述される。
【0018】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、プライバシーモードバックライトを提供する。プライバシーモードバックライトは、ライトガイドの長さに沿って導波光として光を導くライトガイドを含み、導波光は所定のコリメーション係数を有する。さらに、プライバシーモードバックライトは、ライトガイドの長さに沿って平行に、かつ互いに離間して配置された複数の散乱線素子(scattering line elements)を含む。散乱線素子の各々は、ライトガイドの放射面を介して導波光の一部を放射光として散乱させるように構成され、放射光は、ライトガイドの長さと直交する方向において、コリメーション係数によって決定される照明ビーム幅を有する。さらに、プライバシーモードバックライトは、ライトガイドの長さに一致する方向に(in a direction corresponding to the light guide length)放射光の指向性拡散(directional diffusion)を提供するように構成された指向性光拡散器(directional optical diffuser)を含む。指向性光拡散器は、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光の均一な照明パターンを提供するように構成されてもよい。例えば、指向性光拡散器の拡散角は、プライバシーモードバックライトの出力面において、複数の光散乱素子の隣接する散乱線素子間の距離(例えば、中心間の間隔)に等しい照明範囲を有するように、各散乱線素子からの放射光を広げるように構成されてもよい。その結果、画像化された散乱線素子は、集合的に、画像化された散乱線素子間の間隔でライトガイドの長さを完全に満たすように見える場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、プライバシーモードバックライトは、ディスプレイ、例えばプライベート画像をユーザに提供するように構成されたプライバシーディスプレイに含まれ、プライベート画像は、プライバシーモードバックライトのプライバシー軸に沿った(ライトガイドの長さに沿った)照明ビーム幅内でのみ視認可能である。他の実施形態では、プライバシーモードバックライトはモード切替可能ディスプレイの一部であってもよく、モード切替可能ディスプレイは、モード切替可能ディスプレイのプライバシーモード中にプライベート画像を提供し、モード切替可能ディスプレイのパブリックモード中に共有画像を提供するように構成される。特に、モード切替可能ディスプレイは、共有モード中に広角光を提供するように構成された広角バックライトを含んでもよく、広角光は、ユーザがプライベート画像の角度範囲よりもはるかに広い角度範囲にわたって共有画像を視認することを可能にする広角照明ビーム幅を有する。したがって、モード切替可能ディスプレイは、プライベートモード中にプライベート画像を選択的に表示し、共有モード中に共有画像を選択的に表示するように構成されてもよい。
【0020】
本明細書では、方向を有する光ビームは、「指向性光ビーム」と呼ばれ、本明細書の定義により、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有することができる。角度成分θは、本明細書では指向性光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、指向性光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは垂直面内の角度(例えば、ディスプレイのスクリーンの平面に垂直な角度であり、一方、方位角φは水平面内の角度(例えば、ディスプレイのスクリーンの平面に平行)である。
図1は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における特定の主角度方向を有する指向性光ビーム20の角度成分{θ,φ}の図形表示を示す。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義により、特定の点から放射又は発散する。すなわち、定義により、指向性光ビーム20は、図示のように、特定の原点Oに関連付けられた中心光線を有する。
【0021】
本明細書では、「ライトガイド」は、内部全反射を使用して構造内に光を導く構造として定義される。特に、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透過性のコアを含んでもよい。様々な例では、「ライトガイド」という用語は、一般に、全内部反射を利用して、ライトガイドの誘電体材料とそのライトガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面に光を導く誘電体光導波路を指す。定義により、全内部反射の条件は、ライトガイドの屈折率がライトガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含んでもよい。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。ライトガイドは、いくつかのライトガイドのいずれか、例えば、以下に限定されないが、プレートガイド若しくはスラブガイド及びストリップガイドの一方又は両方であってもよい。
【0022】
さらに本明細書では、「プレートライトガイド」のようにライトガイドに適用される場合の「プレート」という用語は、区分的又は微分的に平坦な層又はシートとして定義され、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある。特に、プレートライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面(すなわち、対向面)によって囲まれた2つの実質的に直交する方向に光を導くように構成されたライトガイドとして定義される。さらに、本明細書の定義により、上面及び底面は両方とも互いに分離されており、少なくとも微分の意味で互いに実質的に平行であってもよい。すなわち、プレートライトガイドの任意の微分小区画内で、上面及び底面は実質的に平行又は同一平面上にある。
【0023】
いくつかの実施形態では、プレートライトガイドは実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であってもよく、したがって、プレートライトガイドは平面状ライトガイドである。他の実施形態では、プレートライトガイドは、1つ又は2つの直交する寸法で湾曲していてもよい。例えば、プレートライトガイドは、円筒形のプレートライトガイドを形成するために単一の次元において湾曲していてもよい。しかしながら、いかなる曲率も、光を導くためにプレートライトガイド内で全内部反射が維持されることを確実にするのに十分に大きな曲率半径を有する。
【0024】
本明細書では、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折を提供するように配置された複数の特徴部(すなわち、回折特徴部)として広義に定義される。いくつかの例では、複数の特徴部は、周期的に又は準周期的に配置されてもよい。他の例では、回折格子は、複数の回折格子を含む混合周期回折格子であってもよく、複数の回折格子の各回折格子は、周期的に異なる特徴部の配置を有する。いくつかの例では、回折格子は、第1の方向又は寸法において実質的に周期的であり、回折格子を横切る又は回折格子に沿った別の方向において実質的に非周期的(例えば、一定、ランダムなど)であってもよい。
【0025】
したがって、本明細書の定義により、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折を提供する構造である。光がライトガイドから回折格子に入射する場合、提供される回折又は回折散乱は、回折格子が回折によってライトガイドからの光を結合出力することができるという点で、「回折結合」をもたらすことができ、したがって「回折結合」と呼ばれる場合がある。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角において)光の角度を方向転換又は変化させる。特に、回折の結果として、回折格子から出る光は、一般に、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化は、本明細書では「回折方向転換」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折的に方向転換させる回折特徴部を含む構造であると理解することができ、光がライトガイドから入射する場合、回折格子はまた、ライトガイドからの光を回折的に結合出力することができる。
【0026】
さらに、本明細書の定義により、回折格子の特徴部は、「回折特徴部」と呼ばれ、材料表面、材料表面内、及び材料表面上(すなわち、2つの材料間の境界)にある1つ又はそれ以上とすることができる。表面は、例えば、ライトガイドの上面より下にあってもよい。回折特徴部は、光を回折する様々な構造のいずれか、例えば、以下に限定されないが、表面、表面内又は表面上の溝、隆起部、穴、及びバンプのうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含んでもよい。別の例では、回折格子は、材料表面から立ち上がる複数の平行な隆起部を含んでもよい。回折特徴部(例えば、溝、隆起部、穴、バンプなど)は、回折を提供する様々な断面形状又はプロファイルのいずれか、例えば、以下に限定されないが、正弦波プロファイル、矩形プロファイル(例えば、二元回折格子)、三角形プロファイル及び鋸歯プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1つ又はそれ以上を有してもよい。
【0027】
本明細書に記載の様々な例によれば、回折格子(例えば、以下に説明するような、複数の回折格子からなる回折格子)を採用して、ライトガイド(例えば、プレートライトガイド)からの光を光ビームとして回折的に散乱又は結合出力することができる。特に、局所的に周期的な回折格子の回折角θ
m又は局所的に周期的な回折格子によって与えられる回折角θ
mは、以下の式(1)によって与えることができ、
【数1】
式中、λは光の波長であり、mは回折次数であり、nはライトガイドの屈折率であり、dは回折格子の特徴部間の距離又は間隔であり、θ
iは回折格子への光の入射角である。簡単にするために、式(1)は、回折格子がライトガイドの表面に隣接し、ライトガイドの外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、n
out=1である)と仮定している。一般に、回折次数mは整数(すなわち、m=±1、±2、…)によって与えられる。回折格子によって生成される光ビームの回折角θ
mは、式(1)によって与えることができる。一次回折、より具体的には一次回折角θ
mは、回折次数mが1に等しい(すなわち、m=1である)ときに与えられる。
【0028】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、ライトガイド40の表面に位置してもよい。さらに、
図2は、入射角θ
iで回折格子30に入射する光ビーム50を示す。光ビーム50は、ライトガイド40内の導波光ビームである。
図2にはまた、入射光ビーム50の回折の結果として、回折格子30によって回折的に生成されて、結合出力又は散乱された指向性光ビーム60が示されている。指向性光ビーム60は、式(1)によって与えられるような回折角θ
m(すなわち、本明細書では「主角度方向」)を有する。指向性光ビーム60は、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応することができる。
【0029】
さらに、いくつかの実施形態によれば、回折特徴部は、湾曲していてもよく、また、光の伝播方向に対して所定の配向(例えば、傾斜又は回転)を有してもよい。回折特徴部の湾曲及び回折特徴部の配向の一方又は両方は、例えば、回折格子によって結合出力される光の方向を制御するように構成されてもよい。例えば、指向性光の主角度方向は、光が回折格子に入射する点における、入射光の伝播方向に対する回折特徴部の角度の関数であってもよい。
【0030】
以下の説明では、例示的な例として複数の回折格子が使用されるが、いくつかの実施形態では、他の構成素子、例えばマイクロ反射素子及びマイクロ屈折素子の少なくとも一方が使用されてもよい。例えば、マイクロ反射素子は、三角形ミラー、台形ミラー、ピラミッド形ミラー、長方形ミラー、半球形ミラー、凹面ミラー及び/又は凸面ミラーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ屈折素子は、三角形屈折素子、台形屈折素子、ピラミッド形屈折素子、長方形屈折素子、半球形屈折素子、凹面屈折素子及び/又は凸面屈折素子を含んでもよい。
【0031】
様々な実施形態によれば、回折格子30を出る指向性光ビーム60の主角度方向及び角度広がりの一方又は両方は、「格子ピッチ」、すなわち回折特徴部間隔、及び回折格子の配向と共に、回折格子30の特性、例えば、以下に限定されないが、回折格子30のサイズ(例えば、長さ、幅、面積などのうちの1つ又はそれ以上)によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子30又はより一般的には散乱素子は、本明細書の定義により、「拡張点光源」、すなわち、回折格子30又は散乱素子の範囲にわたって分布する複数の点光源と考えることができる。さらに、回折格子又は散乱素子によって生成された指向性光ビームは、本明細書の定義により、かつ
図1に関して上述したように、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0032】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。例えば、コリメータは、以下に限定されないが、コリメートミラー若しくは反射器、コリメート回折格子、コリメートレンズ、又はそれらの様々な組み合わせを含んでもよい。様々な実施形態によれば、コリメータによって提供されるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度又は量で変動する場合がある。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、垂直方向及び水平方向)の一方又は両方においてコリメーションを提供するように構成されてもよい。すなわち、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、2つの直交方向の一方又は両方に、光コリメーションを提供する形状又は関連する特性を含んでもよい。
【0033】
本明細書では、「コリメーション係数」は、σで表され、光がコリメートされる程度として定義される。特に、コリメーション係数は、本明細書の定義により、コリメート光ビーム内の光線の角度広がりを定義する。例えば、コリメーション係数σは、コリメート光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり内(例えば、コリメート光ビームの中心又は主角度方向の周りに+/-σ度)にあることを規定することができる。いくつかの例によれば、コリメート光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有する場合があり、角度広がりは、コリメート光ビームのピーク強度の半分で決定される角度とすることができる。
【0034】
本明細書では、「光源」は、光の発生源(例えば、光を生成して放射するように構成された光エミッタ)として定義される。例えば、光源は、起動又はオンになると光を放射する発光ダイオード(LED)などの光エミッタを備えてもよい。特に、本明細書では、光源は、以下に限定されないが、発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び事実上任意の他の光の発生源のうちの1つ又はそれ以上を含む、実質的に任意の光の発生源であるか、又は実質的に任意の光エミッタを備えてもよい。光源によって生成された光は、色(すなわち、特定の波長の光を含み得る)を有してもよく、又はある波長の範囲(例えば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光エミッタを備えてもよい。例えば、光源は、光エミッタのうちの少なくとも1つが、セット又はグループの少なくとも1つの他の光エミッタによって生成される光の色又は波長とは異なる色、言い換えれば異なる波長を有する光を生成する、光エミッタの集合又はグループを含んでもよい。異なる色は、例えば原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含んでもよい。
【0035】
本明細書では、「角度保存散乱特徴部」、言い換えると「角度保存散乱素子」は、特徴部、素子、又は散乱体に入射する光の角度の広がりを散乱光において実質的に保存するように光を散乱するように構成された任意の特徴部、素子、又は散乱体である。特に、定義により、角度保存散乱特徴部によって散乱される光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσの関数である(すなわち、σs=f(σ))。いくつかの実施形態では、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σの一次関数である(例えば、σs=a・σであり、ここでaは正の倍率である)。すなわち、角度保存散乱特徴部によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σに実質的に比例してもよい。例えば、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσと実質的に等しくてもよい(例えば、σs≒σである)。均一な回折格子(すなわち、実質的に均一又は一定の回折特徴部間隔又は格子ピッチを有する回折格子)は、角度保存散乱特徴部の一例である。
【0036】
定義により、「広角」放射光は、プライベート画像を提供するために使用される、又はプライバシーディスプレイにおいて使用される放射光の円錐角よりも大きい円錐角を有する光として定義される。特に、いくつかの実施形態では、広角放射光は、約20度より大きい(例えば、>±20°)円錐角を有してもよい。他の実施形態では、広角放射光の円錐角は、約30度より大きくてもよく(例えば、>±30°)、又は約40度より大きくてもよく(例えば、>±40°)、又は約50度より大きくてもよい(例えば、>±50°)。例えば、広角放射光の円錐角は、約60度より大きくてもよい(例えば、>±60°)。
【0037】
いくつかの実施形態では、広角放射光の円錐角は、LCDコンピュータモニタ、LCDタブレット、LCDテレビ、又は広角視野(例えば、約±40~65°)を意図した同様のデジタルディスプレイデバイスの視野角とほぼ同じになるように定義されてもよい。他の実施形態では、広角放射光は、拡散光、実質的に拡散光、無指向性光(すなわち、特定の又は定義された方向性を欠いている)として、又は単一若しくは実質的に均一な方向を有する光として特徴付け又は説明することもできる。
【0038】
さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上」という意味を有することが意図されている。例えば、「素子(an element)」は1つ又はそれ以上の素子を意味し、したがって、本明細書では「素子(the element)」は「素子(複数可)(the element(s))」を意味する。また、本明細書における「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「上(up)」、「下(down)」、「前部(front)」、「後部(back)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「左(left)」又は「右(right)」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、一般に、値を生成するために使用される機器の許容範囲内を意味するか、又は特に明記しない限り、プラスマイナス10%、若しくはプラスマイナス5%、若しくはプラスマイナス1%を意味することができる。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほとんど全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを意図しており、限定ではなく説明の目的で提示されている。
【0039】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、プライバシーモードバックライトが提供される。
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100の断面図を示す。
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100の別の断面図を示す。
図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100の上面図を示す。様々な実施形態において、プライバシーモードバックライト100は、所定の照明ビーム幅を有する放射光102として光を放射するように構成される。
【0040】
図示のように、プライバシーモードバックライト100は、ライトガイド110を備える。ライトガイド110は、導波光104(すなわち、導波光ビーム104)としてライトガイド110の長さに沿って光を導くように構成される。例えば、ライトガイド110は、光導波路として機能するように構成された材料(誘電体材料など)を含んでもよい。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有してもよい。屈折率の差は、例えば、ライトガイド110の1つ又はそれ以上の導波モードに従って、導波光104の全内部反射を促進するように構成される。
【0041】
特に、ライトガイド110は、光透過性誘電体材料の、延長された実質的に平坦なシートを備えるスラブ又はプレート光導波路(すなわち、プレートライトガイド)であってもよい。誘電体材料の実質的に平坦なシートは、全内部反射を使用して導波光104を導くように構成される。様々な例によれば、ライトガイド110の光透過性材料は、様々な誘電体材料のいずれか、例えば、以下に限定されないが、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)及び実質的に光透過性であるプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又はそれ以上を含んでもよく、又はそれらから作られてもよい。いくつかの例では、ライトガイド110は、ライトガイド110の表面(例えば、上面及び底面の一方又は両方)の少なくとも一部上にクラッド層(図示せず)をさらに含んでもよい。いくつかの例によれば、クラッド層は、全内部反射をさらに促進するために使用されてもよい。
【0042】
様々な実施形態によれば、ライトガイド110は、ライトガイド110の第1の表面110’(例えば、「前部」又は「上部」の表面又は側面)と第2の表面110’’(例えば、「後部」の表面又は側面)との間において、非ゼロ伝播角度での全内部反射に従って導波光104を導くように構成される。特に、導波光104は、ライトガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で、非ゼロ伝播角度で反射又は「跳ね返る」ことによって伝播する。いくつかの実施形態では、異なる色の光を含む複数の導波光ビームは、異なる色固有の非ゼロ伝播角度のそれぞれにおいて、導波光104としてライトガイド110によって導かれてもよい。
【0043】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、ライトガイド110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角度は、ゼロよりも大きく、ライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度(10°)と約50度(50°)との間、又はいくつかの例では、約20度(20°)と約40度(40°)との間、又は約25度(25°)と約35度(35°)との間であってもよい。例えば、非ゼロ伝播角度は、約30度(30°)であってもよい。他の例では、非ゼロ伝播角度は、約20°、又は約25°、又は約35°であってもよい。さらに、特定の非ゼロ伝播角度がライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝播角度を(例えば、任意に)選択することができる。
【0044】
さらに、様々な実施形態によれば、光をライトガイド110に結合入力することによって提供される導波光104、言い換えると導波光ビーム104は、コリメート光ビームであってもよい。本明細書では、「コリメート光」又は「コリメート光ビーム」は、一般に、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光ビーム104)内で互いに実質的に平行である光ビームとして定義される。また、本明細書の定義により、コリメート光ビームから発散又は散乱される光線は、コリメート光ビームの一部とは見なされない。いくつかの実施形態(図示せず)では、例えば光源からの光をコリメートするために、コリメータ、例えば上述のようなレンズ、回折格子、反射器又はミラーが含まれてもよい。他の実施形態では、光源自体がコリメータを備えてもよい。ライトガイド110に提供され、ライトガイド110によって導波光104として導かれるコリメート光は、コリメートされた導波光ビームとすることができる。特に、様々な実施形態において、導波光104は、コリメーション係数σに従って、又はコリメーション係数σを有するようにコリメートされてもよい。いくつかの実施形態では、導波光104は、ライトガイドの長さに直交する幅方向に所定のコリメーション係数を有する。図示のように、プライバシーモードバックライト100の幅方向はy方向に対応し、ライトガイドの長さ又は長さ方向はx方向に対応する。
【0045】
図3A~
図3Cに示すプライバシーモードバックライト100は、複数の散乱線素子120をさらに備える。様々な実施形態によれば、複数の散乱線素子のうちの個々の散乱線素子120は、ライトガイド110の長さ方向(すなわち、x方向)に沿って互いに平行に離間して配置される。特に、本明細書の定義により、複数の散乱線素子120は、有限(すなわち、非ゼロ)の素子間距離又は空間によって互いに分離され、ライトガイドの長さ(すなわち、図示されるように、x方向)に沿った個々の別個の素子を表す。さらに、様々な実施形態によれば、複数の散乱線素子120は、一般に、互いに交差したり、重なり合ったり、その他の方法で接触したりしない。したがって、複数の散乱線素子のうちの各散乱線素子120は、一般に別個であり、少なくとも長さ又はx方向において散乱線素子120の他の素子から分離される。
【0046】
様々な実施形態によれば、複数の散乱線素子のうちの各散乱線素子120は、ライトガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’など)を介して、導波光104の一部を放射光102として散乱するように構成される。さらに、様々な実施形態によれば、散乱線素子120は、長さ方向に直交する方向において、導波光104のコリメーション係数σによって決定される照明ビーム幅γを有する放射光102を提供するように構成される。
図3Bでは、直交方向(又は幅方向)の照明ビーム幅γは、y方向に平行な平面内の角度として描写されている。いくつかの実施形態では、散乱線素子120は、ライトガイド110の放射面の方向に、又はライトガイド110の放射面に向かって、導波光104を優先的に散乱させるように構成された実質的に一方向の散乱素子であってもよい。例えば、放射面に優先的に向けられた散乱は、限定ではなく例として、ライトガイド110の第1の表面110’に向かう矢印によって
図3Aには示されている。さらに、散乱線素子120は、角度保存散乱体であってもよく、直交又は幅方向の放射光102の照明ビーム幅γは、導波光104のコリメーション係数σの一次関数である(例えば、γ=k・σであり、kは一定の倍率である)。
【0047】
様々な実施形態によれば、プライバシーモードバックライト100は、指向性光拡散器130をさらに備える。指向性光拡散器は、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光の指向性拡散を提供するように構成される。特に、指向性光拡散器は、ライトガイド110の長さ方向、すなわち図示のようにx方向に沿った拡散器軸を有してもよい。長さ方向に沿って配向された拡散器軸を有する指向性光拡散器130は、図示のように、ライトガイドの長さに一致する方向、すなわちx方向に放射光102の指向性拡散を提供するように構成される。様々な実施形態では、指向性光拡散器130によって提供される放射光102の指向性拡散は、散乱線素子120の見かけのサイズを効果的に拡大して、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光102の均一又は実質的に均一な照明パターンを提供するように構成されてもよい。さらに、指向性光拡散器130は、いくつかの実施形態では、幅方向又はy方向の拡散を実質的にほとんど又はまったく提供しない場合がある。例えば、指向性光拡散器130は、一次元(1D)光拡散器であってもよい。このように、指向性光拡散器130は、プライバシーモードバックライト100の視認時のプライバシーを確実にすると同時に、長さ方向において又は長さ方向に沿って均一な照明を提供するために、直交方向(すなわち、幅又はy方向)の放射光102の照明ビーム幅を実質的に保存するように構成される。
【0048】
例えば、放射光102は、直交方向又はy方向の照明ビーム幅γを有してもよく、x方向の放射光102による照明は、実質的に均一な照明パターンを含む。ディスプレイの各画素又はライトバルブを実質的に均一に照明することができるので、均一な照明パターンにより、プライバシーモードバックライト100を採用するディスプレイの高解像度を容易することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、指向性光拡散器130の拡散角は、複数の散乱線素子120の各々からの放射光102を効果的に広げて、プライバシーモードバックライト100の出力面において、複数の散乱線素子のうちの隣接する散乱線素子120間の距離に等しい照明範囲を持たせるように構成される。例えば、指向性光拡散器130の拡散角によって提供される散乱線素子120の画像の範囲は、隣接する散乱線素子120のピッチ以上であってもよい。別の言い方をすれば、出力面において複数の散乱線素子120がx方向の均一で連続的な散乱素子に見えるような範囲を、散乱線素子120の画像が有するように指向性光拡散器の拡散角を選択してもよい。このように、x方向に沿ってプライバシーモードバックライト100によって提供される有効光源は、ライトガイド110の長さにわたって(すなわち、x方向に沿って)均一に見える場合がある。いくつかの実施形態では、有効光源は、指向性光拡散器130の拡散角とライトガイド110の厚さtとの積をライトガイド110の屈折率で割ったものに等しくてもよい。
【0050】
例えば、散乱線素子120の画像における有効光源LSの大きさは、式(2)によって厚さtに関して与えられ、
【数2】
ここで、δn
xは指向性光拡散器130の拡散角であり、nはライトガイド110の屈折率である。いくつかの実施形態では、有効光源サイズは、長さ方向の均一な照明を保証するために、散乱線素子120間のピッチ又は間隔と等しい、又はさらにはより大きくてもよい。
【0051】
図4は、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における散乱線素子120の画像に対する指向性光拡散器130の効果の側面図を示す。特に、
図4は、各々がサイズΔ、及び間隔又はピッチpを有するいくつかの散乱線素子120を示す。散乱線素子120によってライトガイド110から散乱された光106は、放射光102としてプライバシーモードバックライト100の指向性光拡散器130を通過する。指向性光拡散器130を通過する放射光102は、図示のように、プライバシーモードバックライト100の出力面100’において、散乱線素子120の散乱線素子画像120’を生成する。さらに、図示のように、指向性光拡散器130の拡散角は、散乱線素子画像120’の範囲を効果的に拡大する。いくつかの実施形態では、拡散角は、例えば図示のように、散乱線素子120が出力面100’で実質的にx方向に連続するように見えるのに十分なように、散乱線素子画像120’の範囲を拡大するように選択又は予め決定されてもよい。
【0052】
指向性光拡散器130を使用して散乱線素子120の画像の範囲を拡大する、言い換えると複数の散乱線素子120の各々からの放射光102を広げることにより、均一な照明を依然として提供しながら、散乱線素子120の密度を低減することができる。例えば、散乱線素子120の密度は、プライバシーモードバックライト100を採用するディスプレイの画素あたり1つの散乱線素子120よりも小さくする(画素あたり整数分の1など)ことができ、いくつかの例でははるかに小さくすることができる。これにより、いくつかの実施形態によれば、プライバシーモードバックライト100の複雑さを低減することができ、これにより製造歩留まりを向上させることができ、したがって、プライバシーモードバックライト100又はプライバシーモードバックライト100を含むディスプレイのコストを低減することができる。いくつかの実施形態によれば、指向性光拡散器130は、異方性光拡散層又はフィルム、例えば、以下に限定されないが、異方性光拡散を提供するように構成されたホログラフィック拡散器を備えてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、散乱線素子120は、散乱線素子120の長さに沿った連続的又は実質的に連続的な散乱構造であってもよい(すなわち、
図3B~
図3Cに図示するように、幅又はy方向に連続している)。他の実施形態では、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子120は、散乱線素子120の長さに沿って一列に配置された個々の散乱素子のアレイを備えてもよい(すなわち、図示のような、幅又はy方向に延びる線形アレイ)。特に、いくつかの実施形態では、個々の散乱素子アレイの隣接する個々の散乱素子は、間隙によって互いに分離されてもよい。
【0054】
図5Aは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100の断面図を示す。
図5Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100の上面図を示す。
図5A~
図5Bに示すように、プライバシーモードバックライト100は、
図3A~
図3Cに示すプライバシーモードバックライト100と実質的に同様である。特に、
図5A~
図5Bは、ライトガイド110、散乱線素子120、及び指向性光拡散器130を備えるプライバシーモードバックライト100を示している。しかしながら、
図5A~
図5Bに示す実施形態では、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子120はそれぞれ、個々の散乱素子122のアレイを備える。さらに、個々の散乱素子122のアレイは、ライトガイド110内の散乱線素子120の長さに沿って線形アレイとして配置され、個々の散乱素子122はそれぞれ、間隙によって隣接する個々の散乱素子から分離されている。個々の散乱素子122が互いに間隙によって分離されているこれらの実施形態では、指向性光拡散器130は、ライトガイド110の幅方向に対応する直交方向に放射光202の指向性拡散を提供するようにさらに構成されてもよい。
【0055】
したがって、様々な実施形態において、幅方向に提供される指向性拡散は、長さ方向に加えて幅方向における、放射光202の均一な照明パターンを提供するように構成されてもよい。指向性光拡散器130の幅方向の拡散角は、長さ方向の拡散角と異なっていてもよいことに留意されたい。しかしながら、様々な実施形態によれば、幅方向の拡散角は、依然として、視認時のプライバシーを保証するために散乱線素子120の個々の散乱素子122の長さ及びそれらの間の間隙と共に選択されてもよい。
【0056】
上述したように、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子120は、ライトガイド110の放射面の方向に導波光104を優先的に散乱させるように構成された一方向性散乱素子を備えてもよい。例えば、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子120は、回折格子を備えてもよい。回折格子は、ライトガイド110からの導波光104の一部を、回折散乱による放射光102として回折的に散乱させるように構成されてもよい。とりわけ、回折格子120は、第2の表面110’’内の溝及び第2の表面110’’上の隆起部の一方又は両方を備える回折特徴部を備えてもよい。さらに、溝又は隆起部は、例えば、一方向性散乱を提供するように傾斜していてもよい。
【0057】
他の実施形態では、散乱線素子120は、放射面(すなわち、第1の表面110’)の反対側に、散乱線素子120に隣接する回折格子120と位置合わせされた反射アイランド(island)(局所反射器)を含んでもよい。例えば、反射アイランドは、散乱線素子120の回折格子と位置合わせされ、散乱線素子120の回折格子の範囲又はサイズに対応する範囲又はサイズを有してもよい。より一般的には、反射アイランドは、散乱線素子120に対応する方法でパターニングされてもよい。反射アイランドは、散乱線素子120によって誤った方向(すなわち、放射面から離れる)に散乱された光を、放射光102の方向に一致する方向に反射的に方向転換させるように構成された反射材料を含んでもよい。これらの実施形態では、回折格子を備える散乱線素子120及び反射アイランドは、反射モード回折格子を表してもよい。反射アイランドが採用されない場合などの他の実施形態では、散乱線素子120は、ライトガイド110の表面又は内部に画定又は実装された透過モード回折格子を備えてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、散乱線素子120の反射アイランドは、金属(例えば、金、アルミニウム、銀など)又はポリマー-金属の組み合わせ(例えば、アルミニウムポリマーフィルム)、又はさらには反射体として構成された誘電体層(例えば、窒化ケイ素又は酸化チタン)を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、反射アイランドは、例えば空隙、又は誘電体材料で充填された間隙によって、散乱線素子120から分離されてもよい。
【0059】
散乱線素子120が回折格子を備えるいくつかの実施形態では、回折格子は、回折特徴部間隔(「格子間隔」と呼ばれることもある)だけ互いに離間した複数の回折特徴部、又は導波光部分の回折結合出力を提供するように構成された回折特徴部若しくは格子ピッチを含んでもよい。様々な実施形態によれば、回折格子内の回折特徴部の間隔又は格子ピッチは、サブ波長(すなわち、導波光の波長未満)であってもよい。回折格子は、導波光部分を回折的に散乱させるために、複数の異なる格子間隔(例えば、2つ又はそれ以上の格子間隔)又は可変格子間隔又はピッチを含んでもよいことに留意されたい。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、回折格子の回折特徴部は、互いに離間した溝及び隆起部の一方又は両方を備えてもよい。溝又は隆起部は、ライトガイド110の材料を含んでもよく、例えば、ライトガイド110の表面に形成されてもよい。別の例では、溝又は隆起部は、ライトガイド材料以外の材料、例えば、ライトガイド110の表面上の別の材料のフィルム又は層から形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、格子特性(例えば、格子ピッチ、溝深さ、隆起部高さなど)及び/又はx方向に沿った回折格子の密度を使用して、伝播距離の関数としてライトガイド110内の導波光104の光強度の変化を補償することができることに留意されたい。
【0061】
いくつかの実施形態では、散乱線素子120の回折格子は、回折特徴部間隔が回折格子全体にわたって実質的に一定又は不変である均一な回折格子であってもよい。他の実施形態では、回折格子は、可変又はチャープ回折格子を備えてもよい。定義により、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の範囲又は長さにわたって変動する、回折特徴部の回折間隔(すなわち、格子ピッチ)を示す又は有する回折格子である。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、距離と共に線形的に変動する回折特徴部間隔のチャープを有する又は示すことができる。そのようなチャープ回折格子は、定義により、「線形チャープ」回折格子である。他の実施形態では、チャープ回折格子は、回折特徴部間隔の非線形チャープを示してもよい。様々な非線形チャープ、例えば、以下に限定されないが、指数チャープ、対数チャープ、又は別の実質的に不均一若しくはランダムであるが依然として単調な方法で変動するチャープが使用されてもよい。非単調チャープ、例えば、以下に限定されないが、正弦波チャープ又は三角形若しくは鋸歯状チャープを採用することもできる。これらのタイプのチャープのいずれかの組み合わせを採用することもできる。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、放射光102は、第1の表面110’でライトガイド110を出る導波光104の一部による屈折の効果を含む場合があることに留意されたい。
【0062】
前述の説明は、複数の散乱線素子120を回折格子120として、又は回折格子120を備えるものとして説明したが、他の実施形態では、多種多様な光学部品を散乱線素子120として使用して、放射光102を散乱させてもよい。例えば、散乱線素子120は、導波光104の一部を反射的に散乱させるように構成されたマイクロ反射素子を備えてもよい。別の例では、散乱線素子120は、導波光104の一部を、放射光102として屈折的に散乱させるように構成されたマイクロ屈折素子を備えてもよい。例えば、マイクロ反射素子は、三角形ミラー、台形ミラー、ピラミッド形ミラー、長方形ミラー、半球形ミラー、凹面ミラー及び/又は凸面ミラーを含んでもよい。様々な実施形態によれば、これらのマイクロ反射及びマイクロ屈折素子は、ライトガイド110の第2の表面110’’上、第1の表面110’上、又は第1の表面110’と第2の表面110’’との間に位置してもよいことに留意されたい。さらに、散乱線素子120の光学的特徴部は、表面から突出する「正の特徴部」であってもよく、又は表面に陥凹する「負の特徴部」であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、プライバシーモードバックライト100は、モード切替可能ディスプレイ100a内でバックライトとして使用することができる。
図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト100を含むモード切替可能ディスプレイ100aの断面図を示す。
図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、別の例におけるプライバシーモードバックライト100を含むモード切替可能ディスプレイ100aの断面図を示す。特に、
図6Aは、プライバシーモードにおける、又はプライバシーモード中のモード切替可能ディスプレイ100aを示し、
図6Bは、広角モード若しくは共有モードにおける、又は広角モード若しくは共有モード中のモード切替可能ディスプレイ100aを示す。様々な実施形態によれば、モード切替可能ディスプレイ100aは、プライバシーモード中にプライベート画像を選択的に表示し、共有モード中に共有画像を選択的に表示するように構成される。
【0064】
図示のように、モード切替可能ディスプレイ100aは、放射光102を提供するように構成されたプライバシーモードバックライト100を備え、放射光102は、モード切替可能ディスプレイ100aのプライバシーモードにおいて、又はプライバシーモード中に狭い照明ビーム幅、言い換えると狭い視野角を有する画像を提供するように変調されてもよい。特に、プライバシーモードでは、プライバシーモードバックライト100のライトガイド110内で提供された導波光は、散乱線素子120によって散乱され、モード切替可能ディスプレイ100aから離れるように向けることができる。次に、散乱線素子120からの放射光102は、狭い照明ビーム幅又は狭い視野角(例えば、γ)を有するプライベート画像の表示を容易にするために、モード切替可能ディスプレイ100aのライトバルブのアレイ140(後述)を使用して変調することができる。様々な実施形態によれば、プライベート画像は、より狭い照明ビーム幅又は狭い視野角内でのみ視認することができ、したがって、モード切替可能ディスプレイ100aのユーザがプライベート画像をより安全に視認することを可能にすることができる。
【0065】
あるいは、共有モードでは、モード切替可能ディスプレイ100aは、広いか若しくは広角の照明ビーム幅、言い換えると広角視野角(例えば、φ)を有する共有画像を提供するように動的に切り替えられてもよい(例えば、要求に応じて切り替えられてもよい)。特に、共有モード中の広角照明ビーム幅は、プライバシーモードの狭い照明ビーム幅よりも大きく、いくつかの実施形態では実質的に大きい。例えば、共有モードの広角照明ビーム幅は約20度より大きくてもよく(例えば、>±20°)、プライバシーモードの狭い照明ビーム幅は例えば約20度より小さくてもよい(例えば、<±20°)。別の例では、共有モードの広角照明ビーム幅は、約60度より大きい(例えば、>±60°)、又は約40度より大きい(例えば、>±40°)、又は約30度より大きくてもよく(例えば、>±30°)、プライバシーモードの狭い照明ビーム幅は、それぞれ約30度より小さい(例えば、<±30°)、又は約20度より小さい(例えば、<±20°)、又は約10度より小さくてもよい(例えば、<±10°)。いくつかの実施形態では、狭い照明ビーム幅又は視野角は、広角照明ビーム幅の約半分(1/2)未満、又は1/4未満、又はさらにはそれ未満であってもよい。
【0066】
広角照明ビーム幅又は視野角を提供するために、モード切替可能ディスプレイ100aは、
図6A~
図6Bに示すように、広角バックライト150をさらに備える。様々な実施形態によれば、広角バックライト150は、共有モード中に広角光152、すなわち、共有モード中にモード切替可能ディスプレイ100aの広角照明ビーム幅又は視野角に対応する照明ビーム幅を有する放射光を提供するように構成される。図示のように、広角バックライト150は、ライトバルブアレイに隣接する側面とは反対側の、プライバシーモードバックライト100の側面(すなわち、第2の表面110’’)に隣接していてもよい。様々な実施形態によれば、ライトガイド110及び散乱線素子120は、共有モード中に広角バックライト150によって提供される広角光152に対して透明であるように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、広角バックライト150は、ライトガイド及び広角散乱素子を含むバックライトを含む広角照明を提供するように構成された、実質的に任意の平面光源を備えてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、共有画像は、プライベート画像と実質的に同じ輝度及び解像度を有してもよい。
【0067】
図6A~
図6Bに示すように、モード切替可能ディスプレイ100aは、ライトバルブのアレイ140をさらに備える。ライトバルブのアレイ140は、光を変調して、モード切替可能ディスプレイ100aによって表示される画像を提供するように構成される。特に、ライトバルブアレイは、図示のように、モード切替可能ディスプレイ100aの共有モード中に広角光152を変調して、共有画像を提供するように構成される。さらに、上述したように、ライトバルブのアレイ140は、プライバシーモードバックライト100によって提供される放射光102を、モード切替可能ディスプレイ100aのプライバシーモード中にプライベート画像として変調するように構成される。様々な実施形態では、ライトバルブアレイのライトバルブ140として、様々な異なるタイプのライトバルブ、例えば、以下に限定されないが、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上が採用されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、ライトガイド110の長さ又はx方向における散乱線素子120のサイズは、ライトバルブ140のサイズと同程度である。本明細書では、「サイズ」は、長さ、幅、又は面積を含むがこれらに限定はされない様々な方式のいずれかで定義することができる。例えば、ライトバルブ140のサイズはその長さであってもよく、散乱線素子120の同程度のサイズもまた、散乱線素子120の長さであってもよい。別の例では、サイズは、散乱線素子120の面積がライトバルブ140の面積と同程度であるような、面積を指してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、散乱線素子120のサイズは、ライトバルブのサイズと同程度であり、回折格子サイズはライトバルブのサイズの約50パーセント(50%)~約200パーセント(200%)である。他の例では、散乱線素子のサイズは、ライトバルブのサイズの約60パーセント(60%)より大きい、又はライトバルブのサイズの約70パーセント(70%)より大きい、又はライトバルブのサイズの約80パーセント(80%)より大きい、又はライトバルブのサイズの約90パーセント(90%)より大きく、かつライトバルブのサイズの約180パーセント(180%)より小さい、又はライトバルブのサイズの約160パーセント(160%)より小さい、又はライトバルブのサイズの約140パーセント(140%)より小さい、又はライトバルブのサイズの約120パーセント(120%)より小さい範囲内にある。例えば、「同程度のサイズ」では、散乱線素子のサイズは、ライトバルブのサイズの約75パーセント(75%)~約150パーセント(150%)であってもよい。別の例では、散乱線素子は、ライトバルブのサイズと同程度のサイズであってもよく、散乱線素子のサイズは、ライトバルブのサイズの約125パーセント(125%)~約85パーセント(85%)である。いくつかの実施形態によれば、散乱線素子120及びライトバルブ140の同程度のサイズは、モード切替可能ディスプレイ100aの散乱線素子120間の暗いゾーンを低減するように、又はいくつかの例では最小化するように選択されてもよい。さらに、散乱線素子120及びライトバルブ140の同程度のサイズは、モード切替可能ディスプレイ100aに関連するモアレを低減し、いくつかの例では最小化するように選択されてもよく、例えば、散乱線素子のサイズは、ライトバルブのサイズにほぼ等しくてもよい。
【0070】
再び
図3A及び
図3Cを参照すると、プライバシーモードバックライト100は、光源160をさらに備えてもよい。様々な実施形態によれば、光源160は、ライトガイド110内で導かれる光を提供するように構成される。特に、光源160は、ライトガイド110の入射面又は端部(入力端)に隣接して位置してもよい。様々な実施形態では、光源160は、実質的に任意の光の発生源(例えば、光エミッタ)、例えば、以下に限定されないが、LED、レーザ(例えば、レーザダイオード)、又はこれらの組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、光源160は、特定の色で示される狭帯域スペクトルを有する実質的に単色の光を生成するように構成された光エミッタを備えてもよい。特に、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、赤-緑-青(RGB)カラーモデル)の原色であってもよい。他の例では、光源160は、実質的に広帯域又は多色の光を提供するように構成された実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源160は、白色光を提供してもよい。いくつかの実施形態では、光源160は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる光エミッタを備えてもよい。異なる光エミッタは、異なる色の光のそれぞれに対応する導波光の、異なる色固有の非ゼロ伝播角度を有する光を提供するように構成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、光源160はコリメータをさらに備えてもよい。コリメータは、光源160の光エミッタのうちの1つ又はそれ以上から、実質的にコリメートされていない光を受け取るように構成されてもよい。コリメータは、実質的にコリメートされていない光をコリメート光に変換するようにさらに構成される。特に、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされたコリメート光を提供することができる。さらに、異なる色の光エミッタが採用される場合、コリメータは、異なる色固有の非ゼロ伝播角度の一方又は両方を有し、異なる色固有のコリメーション係数を有するコリメート光を提供するように構成されてもよい。コリメータは、コリメート光ビームをライトガイド110に伝達して、上述の導波光104として伝播するようにさらに構成される。
【0072】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、プライバシーディスプレイが提供される。
図7は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーディスプレイ200のブロック図を示す。様々な実施形態によれば、プライバシーディスプレイ200は、狭い視野角を有するプライベート画像を表示するように構成される。特に、プライバシーディスプレイ200からの変調放射光202は、ユーザ200aは視認することができるが、例えば、制限された角度範囲又はプライベート視野領域の外にある他の人は視認することができない制限された角度範囲(すなわち、狭い視野角)でプライベート画像を提供する。変調放射光202は、限定ではなく例としてその変調を強調するために、
図7ではプライバシーディスプレイ200から発する破線矢印として示されている。
【0073】
図示のように、プライバシーディスプレイ200は、ライトガイド210の長さに沿って分布した複数の散乱線素子220を備える。複数の散乱線素子は、ライトガイド210からの導波光を、ライトガイドの長さと直交する方向に所定の照明ビーム幅を有する放射光として散乱するように構成される。いくつかの実施形態では、ライトガイド210は、プライバシーモードバックライト100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様であってもよい。例えば、ライトガイドは、様々な実施形態において、全内部反射に従って、導波光ビームとして光を導くように構成されてもよい。さらに、ライトガイド210は、その入光端部からの光を導くプレートライトガイドであってもよい。さらに、複数の散乱線素子220は、上述のプライバシーモードバックライト100の散乱線素子120と実質的に同様であってもよい。
【0074】
特に、導波光は、コリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、所定の照明ビーム幅は、導波光のコリメーション係数によって決定されてもよい。より具体的には、導波光のコリメーション係数は、所定の照明ビーム幅を達成するように特に選択されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子220は、ライトガイド210の放射面の方向に導波光を優先的に散乱させるように構成された散乱素子を備えてもよい。したがって、散乱線素子は、一方向性散乱線素子であってもよい。例えば、散乱線素子は、上述したように、反射体又は反射アイランドを備えてもよい。
【0075】
様々な実施形態では、散乱線素子220は、放射光202を提供するように構成された回折格子又は複数の回折格子を備えてもよい。特に、回折格子は、ライトガイド210からの導波光の一部を、放射光202として回折的に散乱させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子は、上述の散乱線素子120の回折格子と実質的に同様であってもよい。他の実施形態では、散乱線素子220は、プライバシーモードバックライト100の散乱線素子120に関して上述したように、他の散乱素子、例えば、以下に限定されないが、マイクロ反射素子及びマイクロ屈折素子を備えてもよい。
【0076】
図7に示されるプライバシーディスプレイ200は、ライトバルブのアレイ230をさらに備える。ライトバルブのアレイ230は、プライベート画像を提供するために放射光202を変調するように構成される。いくつかの実施形態では、ライトバルブのアレイ230は、プライバシーモードバックライト100に関して上述したように、ライトバルブのアレイ140と実質的に同様であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、ライトガイド210に沿った長さ方向における複数の散乱線素子のうちの散乱線素子220のサイズは、ライトバルブ230のアレイのうちのライトバルブのサイズと同程度である。例えば、いくつかの実施形態では、散乱線素子のサイズは、ライトバルブのサイズの半分より大きく、かつライトバルブのサイズの2倍未満であってもよい。
【0078】
様々な実施形態によれば、プライバシーディスプレイ200は、
図7に示すように、指向性光拡散器240をさらに備える。指向性光拡散器は、
図7に示すように、ライトガイド210とライトバルブのアレイ230との間に位置する。様々な実施形態では、指向性光拡散器は、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光202の指向性拡散を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、指向性光拡散器240は、上述のプライバシーモードバックライト100の指向性光拡散器130と実質的に同様であってもよい。特に、様々な実施形態によれば、指向性光拡散器240の指向性拡散は、ライトガイドの長さ方向にライトバルブアレイの均一な照明を提供することができる。
【0079】
これらの実施形態のいくつか(
図7には図示せず)では、プライバシーディスプレイ200は、光源をさらに備えてもよい。光源は、例えば、ライトガイド210内の導波光の所定の角度広がりを提供するために、コリメーション係数に従ってコリメートされた光をライトガイド210に提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、光源は、上述の光源160と実質的に同様であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態(例えば、
図7に示すように)では、プライバシーディスプレイ200は、ライトバルブアレイに隣接する側面とは反対側の、ライトガイド210の側面に隣接して位置する広角バックライト250をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、広角バックライト250は、上述のモード選択可能ディスプレイ100aの広角バックライト150と実質的に同様であってもよく、プライバシーディスプレイ200は、モード選択可能ディスプレイであってもよく、又はモード選択可能ディスプレイとして動作してもよい。特に、広角バックライト250は、プライバシーディスプレイ200の共有モード中に広角光252を提供するように構成されてもよい。さらに、ライトバルブアレイは、共有モード中に広角光252を変調して、共有画像を提供するように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、共有画像は、限定ではなく例として
図7に示すように、広角又は比較的制限されていない角度範囲を有する共有視野領域内の様々な異なる位置で複数のユーザ200bによって視認されてもよい。モード選択可能ディスプレイとして動作する場合、プライバシーディスプレイ200のライトガイド210及び散乱線素子220は、広角光252に対して透明であるように構成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、プライバシーディスプレイ200は、共有画像を提供するための共有モードとプライベート画像を提供するためのプライバシーモードとの間でモード切替可能であってもよい。
【0081】
本明細書に記載の原理の他の実施形態によれば、プライバシーモードバックライト動作の方法が提供される。
図8は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるプライバシーモードバックライト動作の方法300のフローチャートを示す。
図8に示すように、プライバシーモードバックライト動作の方法300は、ライトガイド内の光を、所定のコリメーション係数を有するコリメートされた導波光として導くステップ310を含む。いくつかの実施形態によると、ライトガイドは、プライバシーモードバックライト100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様であってもよい。特に、様々な実施形態によれば、光は、ライトガイド内の全内部反射によって導かれてもよい。
【0082】
様々な実施形態によれば、プライバシーモードバックライト動作の方法300は、ライトガイドからコリメートされた導波光の一部を、照明ビーム幅を有する放射光として散乱させるステップ320をさらに含む。コリメートされた導波光部分を散乱するステップは、様々な実施形態において、ライトガイドの長さに沿って互いに離間した複数の散乱線素子を使用する。いくつかの実施形態では、ライトガイド及び散乱線素子は、プライバシーモードバックライト100に関して上述したライトガイド110及び散乱線素子120とそれぞれ実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子は、コリメートされた導波光を、ライトガイドからの放射光の方向に優先的に散乱させる一方向性散乱素子を備えてもよい。さらに、様々な実施形態によれば、複数の散乱線素子によって散乱された放射光の照明ビーム幅は、コリメーション係数によって決定され、照明ビーム幅は、ライトガイドの長さに直交する方向である。
【0083】
図8に示すプライバシーモードバックライト動作の方法300は、指向性光拡散器を使用して、ライトガイドの長さに一致する方向に放射光を拡散するステップ330をさらに含む。いくつかの実施形態では、指向性光拡散器は、上述のように、プライバシーモードバックライト100の指向性光拡散器130と実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、指向性光拡散器の拡散角は、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子からの放射光を広げて、複数の散乱線素子のうちの隣接する散乱線素子間の距離と同等の照明範囲を提供する。いくつかの実施形態では、複数の散乱線素子のうちの散乱線素子のサイズは、プライバシーディスプレイによって表示されるプライベート画像として放射光を変調するために使用されるライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態(図示せず)では、プライバシーモードバックライト動作の方法300は、プライベート画像を表示するために、ライトバルブのアレイを使用して放射光を変調するステップをさらに含む。複数のライトバルブは、プライバシーモードバックライト100に関して上述したライトバルブ140のアレイと実質的に同様であってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態(図示せず)では、プライバシーモードバックライト動作の方法300は、光源を使用してライトガイドに光を提供するステップをさらに含んでもよい。提供された光は、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。いくつかの実施形態によれば、光源は、上述の光源160と実質的に同様であってもよい。
【0086】
したがって、線散乱素子及び指向性拡散器を採用するプライバシーモードバックライト、プライバシーディスプレイ、及びプライバシーモードバックライト動作の方法の例及び実施形態を説明してきた。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の例のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、他の多数の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0087】
20 光ビーム
30 回折格子
40 ライトガイド
50 光ビーム
60 指向性光ビーム
100 プライバシーモードバックライト
100’ 出力面
100a モード切替可能ディスプレイ、モード選択可能ディスプレイ
102 放射光
104 導波光、導波光ビーム
106 光
110 ライトガイド
110’ 第1の表面
110’’ 第2の表面
120 散乱線素子、回折格子
120’ 散乱線素子の画像
122 個々の散乱素子
130 指向性光拡散器
140 ライトバルブのアレイ、ライトバルブ
150 広角バックライト
152 広角光
160 光源
200 プライバシーディスプレイ
200a ユーザ
200b ユーザ
202 放射光
210 ライトガイド
220 散乱線素子
230 ライトバルブのアレイ、ライトバルブ
240 指向性光拡散器
250 広角バックライト
252 広角光
300 プライバシーモードバックライト動作の方法
310 ステップ
320 ステップ
330 ステップ
【国際調査報告】