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特表2022-5531821,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゾール)の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゾール)の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/24 20060101AFI20221215BHJP
   C07C 323/09 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C07C319/24
C07C323/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522687
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020078703
(87)【国際公開番号】W WO2021074108
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19203479.1
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トマス
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC63
4H006BB17
4H006BC10
4H006BC19
4H006BE04
4H006BE61
4H006TA04
(57)【要約】
本発明は、殺虫活性、殺ダニ活性および殺線虫活性を有するフェニルスルホキシドの製造のための中間生成物として使用される1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)の調製方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)の調製方法であって、
【化1】
第1のプロセス工程(1)において、3-フルオロトルエンをクロロスルホン酸と反応させて、式(IX)の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび式(X)の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドを含む第1の混合物を得て、
【化2】
第2のプロセス工程(2)において、工程(1)からの第1の混合物を硝酸でニトロ化して、式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドおよび式(XII)の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドを含む第2の混合物を得て、
【化3】
第3のプロセス工程(3)において、工程(2)からの第2の混合物を、第2の混合物中の式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ベンゼンスルホニルクロリドの出発量に基づいて、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量を少なくとも50%減少させることによって第3の混合物に変換し、
第4のプロセス工程(4)において、工程(3)からの第3の混合物を還元して、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)、ならびに
式(XIII)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン)、
【化4】
式(XIV)の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)、
【化5】
式(XV)の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン、
【化6】
式(XVI)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン、
【化7】
および
式(XVII)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン
【化8】
から選択される少なくとも1つのさらなる化合物(A)を含む第4の混合物を得ることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
第1のプロセス工程(1)において、3-フルオロトルエンが、2~5モル当量のクロロスルホン酸の存在下で、溶媒なしでクロロスルホン化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のプロセス工程(1)が-5~40℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
3-フルオロトルエン1キログラム当たり3~30キログラムの水を、プロセス工程(1)の後の第1の混合物に添加し、好ましくは溶媒を添加せずに、相を分離し、有機相をプロセス工程(2)で使用することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
プロセス工程(2)が、溶媒としての硫酸中で行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
硫酸の量が、式(IX)および(X)のスルホニルクロリドの混合物に基づいて、1~20モル当量であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロセス工程(2)において、70~100%の硝酸を用いることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
硝酸の量が、式(IX)および(X)のスルホニルクロリドの混合物に基づいて、1~1.75モル当量であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2のプロセス工程(2)が-5~70℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
プロセス工程(2)の後の第2の混合物を、さらに、
a)式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの種を入れ、
b)水と混合し、
c)ろ過し、そして
d)水で洗浄する
ことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量が、溶媒中での結晶化によって第3のプロセス工程(3)において減少させられることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
溶媒が、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、特殊沸点スピリット60/95、特殊沸点スピリット80/110、特殊沸点スピリット80/120、特殊沸点スピリット100/125、特殊沸点スピリット100/140、特殊沸点スピリット100/155またはこれらの溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
溶媒の量が、第2の混合物1キログラム当たり1~10キログラムであることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
結晶化が、-10~30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
プロセス工程(4)において、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム水和物またはアスコルビン酸を還元剤として使用することを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
プロセス工程(4)が、触媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
触媒が、ヨウ化物、好ましくはヨウ化カリウムであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プロセス工程(4)が、溶媒中で行われることを特徴とする、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
溶媒が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸またはこれらの溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの化合物(A)が、
式(XV)の化合物、および
式(XVI)の化合物
から選択されることを特徴とする、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第5のプロセス工程(5)において、プロセス工程(4)からの第4の混合物が、第4の混合物中の各化合物(A)の出発量に基づいて、1つ以上の化合物(A)の量をそれぞれ少なくとも50%減少させることによって第5の混合物に変換されることを特徴とする、請求項1~20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
2つ以上の化合物(A)の量が、請求項21に定義されるように減少させられることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの化合物(A)が、
式(XV)の化合物、および
式(XVI)の化合物
から選択されることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
1つ以上の化合物(A)の量が、第5のプロセス工程(5)において、溶媒中での結晶化によって減少させられることを特徴とする、請求項21~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
溶媒が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸またはこれらの溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
溶媒の量が、第4の混合物1キログラム当たり1~5キログラムであることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
結晶化が、0~100℃の温度で行われることを特徴とする、請求項24~26のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)を調製するための新規な方法に関する。
【化1】
【背景技術】
【0002】
式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)は、農業活性剤および医薬活性剤の調製のための重要な中間体である(例えば、WO2014/090913を参照のこと)。
【0003】
1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(式(I)、CAS番号1613615-87-4)の調製は既に知られている。例えば、3-フルオロトルエンをニトロ化して式(II)の2-フルオロ-4-メチルニトロベンゼン(CAS番号446-34-4)(例えば、US4,146,625)を得て、次いで、式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(CAS番号1158953-95-7)を得るために式(II)のニトロ化合物をクロロスルホン化し、最後に、式(III)のスルホニルクロリドを還元して、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)を得ることが可能である(スキーム1参照)。
【0004】
スキーム1
【化2】
【0005】
しかしながら、選択性が非常に低く、従ってニトロ化の収率も非常に低く(標的生成物(II)に対する選択性が約25%に過ぎず、主生成物は式(IV)の4-フルオロ-2-メチルニトロベンゼン(CAS番号446-33-3)である;例えばUS4,146,625;スキーム2参照)、この合成は不経済であり、大量の廃棄物を生成し、従って商業的工業プロセスには使用できない。
【0006】
スキーム2
【化3】
【0007】
中間体化合物(III)を調製するためのさらなる経路は、式(IV)のニトロ化合物を還元し、このようにして得られた式(V)の4-フルオロ-2-メチルアニリン(CAS番号452-71-1)をニトロ化し、場合により式(VI)のN-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)アセトアミド(CAS番号326-65-8)にアシル化した後にニトロ化して、式(VII)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロアニリン(CAS番号446-18-4)または式(VIII)のN-(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)アセトアミド(CAS番号273401-26-6)を得る。続いて、4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロアニリンを、ジアゾ化および次亜リン酸での還元によって、原理的に公知の方法で式(II)の2-フルオロ-4-メチルニトロベンゼンに変換することができる(スキーム3参照)。しかしながら、この経路は多くの工程を有し、(IV)へのニトロ化において最大で75%の収率しか有さないという欠点を有し、さらに、式(VII)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロアニリンが3300J/gを超える高いエネルギー含量を有するので、安全性の観点から批判的に判断されるべきである。
【0008】
スキーム3
【化4】
【0009】
さらに、原則として、式(III)のスルホニルクロリドを、式(VII)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロアニリンを介して、メーヤワイン(Meerwein)反応の手段によって得ることもできる。しかしながら、この経路(スキーム4参照)は、前述の経路よりも1工程のみ短く、スキーム3による合成について述べた欠点を依然として有する。
【0010】
スキーム4
【化5】
【0011】
同様に、3-フルオロトルエンを最初にクロロスルホン化にかけて、式(IX)の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(CAS番号7079-48-3)を主生成物として得ることが既に開示されている(例えば、WO2000/66562参照)。その後のニトロ化(例えば、WO2011/123609参照)は、式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドをもたらし、これは、原則として公知の方法によって式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)に変換され得る(スキーム5参照)。
【0012】
スキーム5
【化6】
【0013】
スキーム5に対応する経路を介する式(I)の化合物の合成は短く、したがって、現在までに知られている合成のうちで最も経済的であるが、異性体生成物がそれぞれの場合に、第1工程(3-フルオロトルエンのクロロスルホン化)および第2工程(ニトロ化)の両方において形成されるという欠点を有する。例えば、3-フルオロトルエンのクロロスルホン化では、所望の生成物である式(IX)の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドに加えて、式(X)の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(CAS番号518070-29-6)も約10%の割合で得られ、この場合の第3の可能な異性体である2-フルオロ-6-メチルベンゼンスルホニルクロリド(CAS番号1092350-02-1)は約1%の出現率しか有さない。これらのスルホニルクロリドは、原則として蒸留によって互いに分離することができるが、これは時間およびエネルギーを消費する工程であり、さらに、収率の点で対価がある。さらに、合成の次の工程(ニトロ化)において、式(IX)の異性体的に純粋な4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドを使用する場合でさえ、2つの異性体ニトロスルホニルクロリドが形成される:式(III)の所望の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドに加えて、式(XI)の望ましくない4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(CAS番号1158963-96-8)も形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2014/090913
【特許文献2】US4,146,625
【特許文献3】US4,146,625
【特許文献4】WO2000/66562
【特許文献5】WO2011/123609
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、工業的規模で確実に実施することができ、上述の欠点の少なくともいくつかを克服することができる、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)を調製するための単純で経済的に有利な方法が引き続き必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は驚くべきことに、今や、以下のことを特徴とする、請求項1に記載の方法によって達成され、
第1のプロセス工程(1)において、3-フルオロトルエンをクロロスルホン酸と反応させて、式(IX)の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび式(X)の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドを含む第1の混合物を得て、
【化7】
【0017】
第2のプロセス工程(2)において、工程(1)からの第1の混合物を硝酸でニトロ化して、式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドおよび式(XII)の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドを含む第2の混合物を得て、
【化8】
【0018】
第3のプロセス工程(3)において、工程(2)からの第2の混合物を、第2の混合物中の式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ベンゼンスルホニルクロリドの出発量に基づいて、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量を少なくとも50%減少させることによって第3の混合物に変換し、そして、
第4のプロセス工程(4)において、工程(3)からの第3の混合物を還元して第4の混合物を得て、これは、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)、ならびに
式(XIII)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン)、
【化9】
【0019】
式(XIV)の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)、
【化10】
【0020】
式(XV)の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン、
【化11】
【0021】
式(XVI)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン、
【化12】
【0022】
および
式(XVII)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン
【化13】
から選択される少なくとも1つのさらなる化合物(A)を含む。
【0023】
驚くべきことに、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)は、本発明による方法で良好な収率および高純度で調製することができる。ニトロ化においても形成される化合物(XI)の量が、プロセス工程4による還元を実施する前に、引き続いて減少させられることを条件として、式(IX)および(X)のスルホニルクロリドは、本発明に従って一緒に変換することができ、すなわち、それらを複合分離することはないことが見出された。式(IX)および(X)のスルホニルクロリドを後処理しなければならない代わりに、式(I)の化合物の良好な収率および純度のために、代わりに式(XI)の化合物の量を減少させることで十分であり、これはプロセス工学の点で、例えば結晶化によって実施するのがより簡単である。さらに、本発明による方法は、いくつかのプロセス工程を溶媒なしで実施することができるので、溶媒を部分的に省略することを可能にする。このようにして、溶媒の必要性を全体として減少させることができる。さらに、本発明による方法は、工業規模に適した溶媒を、溶媒が提供されるかまたは有用であるプロセス工程において使用することを可能にする。さらなる利点は、本発明による方法が個々の合成工程の間に複雑な、したがって高価な精製方法を必要とすることなく、所望の標的化合物を得ることを可能にすることである。プロセス工程から得られた反応混合物は、場合によっては混合物のさらなる精製および分離なしに本発明による方法の次の工程において使用され得るか、または提供された精製工程は、比較的単純な精製方法を使用して実施され得る。その結果、本発明による方法は経済的に有利である。さらに、工業的規模で確実に実施することもできる。
【0024】
本発明による方法をスキーム6に示す。
【0025】
スキーム6
【化14】
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による方法の第1の工程(1)において、3-フルオロトルエンをクロロスルホン酸と反応させて、式(IX)の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび式(X)の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドの混合物を得る。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明による方法のこの第1の工程(1)は、3-フルオロトルエンが、溶媒なしで、2~5モル当量のクロロスルホン酸の存在下でクロロスルホン化されることをさらに特徴とする。2.5~4モル当量のクロロスルホン酸を使用することが特に好ましい。
【0028】
反応は、好ましくは-5~40℃、特に好ましくは0~25℃の温度で実施される。
【0029】
次いで、この第1の工程(1)からの反応混合物を、さらなる精製および異性体の分離なしに本発明による方法の第2の工程(2)において使用することができる。
【0030】
本発明による方法のさらなる実施形態において、第1の工程(1)からの反応混合物は、同様に、好ましくは溶媒を添加せずに、3-フルオロトルエンの1キログラム当たり3~30キログラムの水、好ましくは3-フルオロトルエンの1キログラム当たり4~25キログラムの水を添加することによって後処理され、相は続いて分離される。次いで、有機相は、好ましくはさらに精製することなく、本発明による方法の第2の工程(2)において使用される。
【0031】
本発明による方法の第2の工程(2)において、プロセス工程1の後に得られ、スルホニルクロリド(IX)および(X)を含む混合物(「第1の混合物」)をニトロ化する。このニトロ化は、好ましくは溶媒としての硫酸中で行われる。
【0032】
硫酸の量は、スルホニルクロリド(IX)および(X)の混合物に基づいて、1~20モル当量である。スルホニルクロリド(IX)および(X)の混合物に基づいて、1~10モル当量を使用することが好ましい。
【0033】
本発明によれば、ニトロ化は、硝酸、好ましくは70~100%の硝酸を用いて行われる。特に好ましくは、90~100%の硝酸を使用する。
【0034】
硝酸の量は、スルホニルクロリド(IX)および(X)の混合物に基づいて、1~1.75モル当量である。スルホニルクロリド(IX)および(X)の混合物に基づいて、1.2~1.5モル当量を使用することが好ましい。
【0035】
反応は、好ましくは-5~70℃、特に好ましくは0~40℃の温度で実施される。
【0036】
この第2のプロセス工程は、式(III)の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、および式(XII)の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドを含む反応混合物(「第2の混合物」)を得る。
【0037】
本発明による方法の任意の実施形態において、第2のプロセス工程は、さらに得られた反応混合物の後処理、好ましくは結晶化による後処理を含む(工程(2a))。ここで、反応混合物は、最初に4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)の種を入れ、続いて水と混合され、粗生成物(第2の混合物)1キログラム当たり1~10キログラムの水(好ましくは水と氷の混合物)、好ましくは粗生成物(第2の混合物)1キログラム当たり4~5キログラムの水(好ましくは水と氷の混合物)が典型的に使用される。次いで、得られた生成物を濾過によって単離し、水で洗浄し、次いで、この第2のプロセス工程の結果を、すなわち、得られた第2の混合物を提供する。粗生成物の濾過およびその後の洗浄は原則として公知であり、当業者によく知られている方法によって行われる。例えば、洗浄は、濾過生成物1キログラム当たり1~3キログラムの水、または濾過生成物1キログラム当たり1.5~2キログラムの水で、それぞれ1回または2回行われる。水の量は、典型的には所望に応じて変化させることができる。
【0038】
工程(2a)の任意の代替手段として、結晶化の代わりに、溶媒がこれに適しているならば、プロセス工程(2)で形成された反応混合物を溶媒で抽出することも可能である(工程(2b))。溶媒は、ニトロ化されず、酸安定性である場合、この文脈において好適である。したがって、得られた生成物は、この第2のプロセス工程の結果を、すなわち、得られた第2の混合物を提供する。
【0039】
本発明による方法の第3の工程(3)において、プロセス工程2の後に得られ、ニトロスルホニルクロリド(III)、(XI)および(XII)を含む混合物は、第2の混合物中のその出発量に基づいて、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量を少なくとも50%減少させることによって精製される。
【0040】
このため、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドを大幅に除去することが望ましい。従って、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量は、好ましさが高くになるにつれて、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%減少し、および非常に特に好ましくは少なくとも95%減少する。
【0041】
精製、すなわち式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量の減少は、好ましくは結晶化によって行われる。結晶化は溶媒中で行われる。このプロセス工程での結晶化に使用される溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、特殊沸点スピリット60/95(special boiling point spirit 60/95)、特殊沸点スピリット80/110、特殊沸点スピリット80/120、特殊沸点スピリット100/125、特殊沸点スピリット100/140、特殊沸点スピリット100/155またはこれらの溶媒の混合物である。ヘプタン、オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、特殊沸点スピリット100/125、特殊沸点スピリット100/140、特殊沸点スピリット100/155またはこれらの溶媒の混合物を使用することが好ましい。より好ましくは、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、特殊沸点スピリット100/125、特殊沸点スピリット100/140、特殊沸点スピリット100/155またはこれらの溶媒の混合物を使用する。特に好ましいのは、ヘプタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、特殊沸点スピリット100/155またはこれらの溶媒の混合物を使用することである。
【0042】
結晶化に使用される溶媒の量は、粗生成物(第2の混合物)1キログラム当たり1~10キログラム、好ましくは粗生成物(第2の混合物)1キログラム当たり1~5kgである。
【0043】
結晶化は、-10~30℃、好ましくは0~25℃の温度で行われる。
【0044】
この第3のプロセス工程は、式(XI)の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの量が、上記のようにそれに応じて減少した反応混合物(「第3の混合物」)を得ることになる。
【0045】
本発明による方法の第4の工程(4)において、プロセス工程3の後に得られるニトロスルホニルクロリドの混合物(「第3の混合物」)を還元する。これにより、式(I)の所望の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)と、式(XIII)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン)(CAS番号1613615-92-1)、式(XIV)の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)(CAS番号1613615-90-9)、式(XV)の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(CAS番号1613615-95-4)、式(XVI)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(CAS番号1613615-93-2)、および式(XVII)の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼンから選択される少なくとも1つのさらなる化合物(A)を含む第4の混合物が得られる。1つ以上の化合物(A)は、異性体反応生成物である。本発明による第4のプロセス工程において、式(I)の所望の化合物に加えて、化合物(A)の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ全てが形成される。
【0046】
本発明による方法の第4の工程における還元は、原則として公知の方法によって実施することができる。例として、それは次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム水和物またはアスコルビン酸を使用して行うことができ、これが好ましく、および好ましくは、触媒、特に触媒量のヨウ化物の存在下で行われる。還元は、特に好ましくは次亜リン酸ナトリウムおよび触媒量のヨウ化物、例えばヨウ化カリウムを用いて行われる。還元に使用される次亜リン酸ナトリウムの量は、例えば、粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり0.25~2キログラムであり、好ましくは粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり0.5~1キログラムである。還元に使用されるアスコルビン酸の量は、例えば、粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり0.25~2キログラムであり、好ましくは粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり0.5~1キログラムである。
【0047】
代替の還元剤および/または触媒は当業者に公知であり、同様に意図される。
【0048】
本発明による方法の第4工程に有用な溶媒は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸またはこれらの溶媒の混合物である。酢酸を使用することが好ましい。使用される溶媒の量は、粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり1~10キログラムであり、好ましくは粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり2~7キログラムであり、より好ましくは粗生成物(第3の混合物)1キログラム当たり3~4キログラムである。このプロセス工程における溶媒の量は、典型的には所望に応じて変化させることができる。
【0049】
この第4のプロセス工程は、式(I)の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)および上記の少なくとも1つのさらなる化合物(A)を含む反応混合物(「第4の混合物」)を得る。もちろん、この第4の混合物は、上記で特定した化合物(A)の複数または全てを含有する可能性がある。
【0050】
本発明による方法は、形成される混合物中の式(I)の化合物の量をさらに増加させるために、第5のプロセス工程によって補足することができる。
【0051】
本発明による方法のさらなる実施形態は、第5のプロセス工程(5)において、プロセス工程(4)からの第4の混合物を、第4の混合物中の各化合物(A)の出発量に基づいて、1つ以上の化合物(A)の量を、それぞれ少なくとも50%減少させることによって、および好ましさが高くになるにつれて、それぞれ少なくとも60%、それぞれ少なくとも70%、それぞれ少なくとも80%、それぞれ少なくとも85%、それぞれ少なくとも90%、それぞれ少なくとも93%減少させ、および非常に特に好ましくはそれぞれ少なくとも95%減少させることによって、第5の混合物に変換されることを特徴とする。したがって、プロセス工程(4)からの第4の混合物は、1つ以上の化合物(A)、すなわち1つ以上の異性体反応生成物が第4の混合物から可能な限り包括的に除去されることにより精製される。
【0052】
本発明による方法のさらなる実施形態において、2つ以上の化合物(A)の量は、それに応じて(すなわち、上記のように)減少させられる。
【0053】
本発明による方法のさらなる実施形態において、3つ以上の化合物(A)の量は、それに応じて(すなわち、上記のように)減少させられる。
【0054】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの化合物(A)は、式(XV)の化合物または式(XVI)の化合物である。言及された化合物(XV)および(XVI)の両方が、精製される第4の混合物中に存在し、その結果、両方の化合物がそれぞれの化合物(A)として存在することは、当然のように同様に可能であり、好ましい。
【0055】
精製、すなわち、1つ以上の化合物(A)の量の減少は、好ましくは結晶化によって行われる。結晶化は溶媒中で行われる。このプロセス工程において結晶化に使用される溶媒は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸またはこれらの溶媒の混合物である。酢酸を使用することが好ましい。
【0056】
結晶化のための溶媒の量は、粗生成物(第4の混合物)1キログラム当たり1~5キログラムである。粗生成物(第4の混合物)1キログラム当たり1~2キログラムを使用することが好ましい。
【0057】
結晶化は、0~100℃、好ましくは10~50℃の温度で行われる。
【実施例
【0058】
本発明による方法は、以下の実施例によって説明されるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
実施例1
4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(IX)
90g(0.749mol)のクロロスルホン酸(純度97%)を最初に充填し、0~5℃に冷却した。27.8g(0.25mol)の3-フルオロトルエン(純度99%)を、この温度で80分以内に計量供給した。続いて、混合物を0~5℃でさらに4時間撹拌し、室温になるまで一晩放置し、次いで反応混合物を700gの氷水に入れて撹拌したが、温度は10℃を超えて上昇しなかった。次いで、得られたエマルジョンを、毎回塩化メチレン100mlで3回抽出した。合わせた有機相を穏やかな真空下で濃縮した。これにより、44.4gの黄色がかった油を得た。
【0060】
組成:
HPLC:86.1面積%の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(IX)(理論値の73%に相当)
8.1面積%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(X)。
【0061】
実施例2
4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(IX)
72.1g(0.6mol)のクロロスルホン酸(純度97%)を最初に充填し、0~5℃に冷却した。22.25g(0.2mol)の3-フルオロトルエン(純度99%)を、この温度で120分以内に計量供給した。続いて、混合物を10~12℃でさらに2時間撹拌した。続いて、反応混合物を45~50℃で100gの水に計量供給し、相を分離した。これにより33.3gの濁った油を得た。
【0062】
組成:
HPLC:87.3面積%の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(IX)(理論値の70%に相当)
9.0面積%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(X)。
【0063】
実施例3
4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)
35.7mlの濃硫酸(65.38g;異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて12.8モル当量)を最初に充填し、これに、5℃の内部温度で、90%の純度を有する4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド10.61g(0.05mol)(さらに8.3%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドを含有する)を計量供給した。次に、0~5℃の内部温度で、5.85g(0.065mol)の70%硝酸(異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて1.3モル当量)を10分以内に計量供給した。硝酸の計量添加終了後、混合物をさらに10~15℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物(懸濁液)を200mlの氷水に入れて撹拌した。抽出を塩化メチレン50mlで2回行い、合わせた有機相を水30mlで1回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。これにより、12.7gの黄色がかった油が得られ、これは、しばらくすると結晶形態で固化した。
【0064】
組成:
HPLC:87.5面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
9.2面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)
19F NMR:83.0%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
8.6%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
8.3%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0065】
実施例4
4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)
22.3mlの濃硫酸(40.87g;異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて、4モル当量)を最初に投入し、これに、20℃の内部温度で、21.22g(0.1mol)の90%の純度を有する4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(8.3%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドをさらに含有する)を計量供給した。次いで、20~23℃の内部温度で、7.88g(0.125mol)の100%硝酸(異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて1.25モル当量)を15分以内に計量供給した。硝酸の計量添加の終了後、混合物を20~22℃で2時間さらに撹拌した。次いで、反応混合物(懸濁液)を300mlの氷水に入れ撹拌した。抽出を塩化メチレン50mlで2回行い、合わせた有機相を水30mlで1回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。これにより、25.7gの黄色がかった油が得られ、これは、しばらくすると結晶形態で固化した。
【0066】
組成:
HPLC:86.3面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニル(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
10.6面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)
19F NMR:81.9%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
8.7%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
9.4%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0067】
実施例5
4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)
51mlの濃硫酸(57.2g;異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて、4モル当量)を最初に投入し、これに、90.0%の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび6.3%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドの組成を有する混合物30.33g(0.14mol)を、20~25℃の内部温度で計量供給した。次いで、20~25℃の内部温度で、11.03g(0.175mol)の100%硝酸(異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて、1.25モル当量)を190分以内に計量供給した。硝酸の計量添加終了後、混合物を30~35℃でさらに2時間撹拌した。次いで、相をこの温度で分離した。上相を140mlの水に入れて撹拌した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下40℃で乾燥させた。これにより、31.84gの黄色がかった固体を得た。
【0068】
組成:
HPLC:84.9面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
11.0面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)
19F NMR:81.9%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
8.0%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
10.2%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0069】
31.05gのこの固体を100mlのメチルシクロヘキサン(MCH)に入れて室温で1時間撹拌した。次いで、残った固体を吸引濾過し、20mlのMCHで洗浄し、減圧下45℃で乾燥させた。これにより、25.77gの無色固体を得た。
【0070】
組成:
HPLC:94.8面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
1.8面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)
19F NMR:91.0%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
6.5%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
1.7%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0071】
実施例6
4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)
最初に、反応容器に418.7ml(766.2g;3モル当量)の濃硫酸を充填し、10℃に冷却した。続いて、最初に、92.4%の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび4%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドの組成を有する混合物330g(1.525mol)および91.1%の4-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリドおよび5.7%の2-フルオロ-4-メチルベンゼンスルホニルクロリドの組成を有する混合物211g(0.979mol)を計量供給し、その後、196.9g(3.125mol)の100%硝酸(異性体フルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドの合計に基づいて、1.25モル当量)を120分以内に計量供給した。硝酸の計量添加の終了後、混合物を20~25℃で7日間さらに撹拌した。次いで、反応混合物を800mlの塩化メチレンに溶解した。溶液を1000mlの氷水に入れ撹拌し、相を分離し、水相を200mlの塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を、毎回750mlの水で2回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、644.8gの黄色がかった油状物を得て、それは後に固化した。
【0072】
組成:
HPLC:85面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
10.4面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)
19F NMR:83.1%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
6.5%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
8.5%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0073】
このようにして調製した25gの生成物を、最初に115.5gのメチルシクロヘキサン中に投入し、そして混合物を83℃に撹拌しながら、透明な溶液が形成されるまで加熱した。次いで、この溶液を20℃に徐冷し、この温度でさらに3時間撹拌した。固体を吸引濾過し、少量のMCHで洗浄し、乾燥した。これにより、19.2gの淡黄色固体を得た。
【0074】
組成:
HPLC:94.0面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計
1.1面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニル(XI)
19F NMR:92.2%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)(-106.2ppm)
6.9%の2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)(-100.2ppm)
<0.1%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)(-111.3ppm)。
【0075】
実施例7
1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
a)合成
84.3面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計および10.8面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)のHPLCによる組成を有する4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの粗生成物63.0g(MCHからの結晶化により精製されていない)(約95.1%、0.236molに相当する異性体の合計)を、最初に酢酸250g中に投入し、ヨウ化カリウム3.92g(23.6mmol)を加え、次いで次亜リン酸ナトリウム一水和物37.56g(0.354mol)を、100分以内に60℃で計量投入した。混合物を60℃で5時間撹拌し、次いで40℃に冷却し、水100mlを加え、混合物を30℃で30分間撹拌し、固体を濾別し、水60mlで洗浄し、乾燥した。これにより41.65gの固体を得た。
【0076】
組成:
HPLC:64.2面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
13.3面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(XVI)
18.1面積%の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XV)
1.8面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XVII)
1.2面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン)(XIII)。
【0077】
b)精製
a)からの固体を、酢酸84gに約80℃で溶解した。溶液を攪拌しながら20℃に冷却し、析出した結晶を濾別し、少量の石油エーテルで洗浄し、乾燥した。32.5gの固体が得られた。
【0078】
組成:
HPLC:79.7面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
4.3面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(XVI)
14.8面積%の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XV)
0.4面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XVII)
0.7面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン)(XIII)。
【0079】
実施例8
1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
a)合成
93.3面積%の4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(III)および2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XII)の合計および2.3面積%の4-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(XI)のHPLCによる組成を有する4.1kgの4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(約95.6%、異性体の合計、15.45molに相当)を、最初に30.5kgの酢酸に入れ、0.25kg(1.51mol)のヨウ化カリウムを加え、次に2.388kg(27.1mol)の次亜リン酸ナトリウムを40℃で100分以内に計量供給した。混合物を40℃で16時間撹拌し、約20lの酢酸を蒸留により除去し、残渣を20lの水の中に計量供給し、この混合物を40℃で1時間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、合計30リットルの水で洗浄した。乾燥後、これは2.86kgの黄色固体を与えた。
【0080】
組成:
HPLC:81.8面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
10.2面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(XVI)
3.4面積%の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XV)
1.6面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)(XIV)。
【0081】
b)精製
実施例8a)と同様に調製し、以下の組成を有する4.4kgの固体:
HPLC:80.4面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
13.1面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(XVI)
4.6面積%の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XV)
0.3面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)(XIV):
を、8.5lの酢酸に100℃で溶解した。この溶液をゆっくりと30℃に冷却し、約60℃から結晶化を開始した。沈殿した固体を吸引濾過し、酢酸および水で洗浄し、乾燥した。これにより、3.52kgの固体を得た。
【0082】
組成:(合計97%)
HPLC:96.9面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロベンゼン)(I)
2.7面積%の1-フルオロ-4-[(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-5-メチル-2-ニトロベンゼン(XVI)
0.3面積%の1-フルオロ-4-[(4-フルオロ-2-メチル-5-ニトロフェニル)ジスルファニル]-3-メチル-2-ニトロベンゼン(XV)
<0.1面積%の1,1’-ジスルファンジイルビス(2-フルオロ-4-メチル-5-ニトロベンゼン)(XIV)。
【0083】
式(XI)の化合物の量は、例えば実施例7と比較して減少させられており、式(I)の化合物のより良好な純度をもたらすことは明らかである。
【国際調査報告】