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特表2022-553191担体タンパク質の標的化された分解のための化合物およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】担体タンパク質の標的化された分解のための化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20221215BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20221215BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/02
A61K31/4545
A61K47/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522838
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020079281
(87)【国際公開番号】W WO2021074429
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19203700.0
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515054000
【氏名又は名称】ツェーエムエム-フォルシュングスツェントルム フュア モレクラレ メディツィン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ベンシモン,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンター,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】スペルティ-フルガ,グリオ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC25
4C063DD10
4C063EE01
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076CC42
4C076DD60
4C076EE59
4C076FF34
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC22
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、SLCトランスポーターなどの膜貫通タンパク質が、化学物質によって誘発された分解を受けやすくする式(I)の化合物に関し、それによって多数の疾患に初めて対処することができる。特定には、本発明は、ユビキチン-プロテアソーム経路を介してSLCトランスポーターの分解を誘導する能力を有する化合物に関する。本発明はまた、特定には、例えばがんに関連するSLCトランスポーターの分解剤として使用するための、およびがんなどの様々な疾患の処置における使用のための、医薬として使用するための化合物および組成物、加えてこれらの化合物を含む医薬組成物にも関する。さらに、本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、疾患または状態、例えばがんを処置するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)を有する化合物:
【化1】
(式中、
TMPBMは、膜貫通タンパク質に結合する部分であり、
Lは、リンカー部分であり;
EBMは、E3リガーゼの機能を改変する部分および/またはE3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分であり、
式中、TMPBMは、以下の部分式(II):
【化2】
を有する部分、または立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグであり、
【化3】
は、部分式(II)のリンカー(L)への付着の位置を示し、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、-H、-ハロゲン、-NO、-CN、-C1~3アルキル、-OH、-O-C1~2アルキル、NH、-NH(C1~2アルキル)、-N(C1~2アルキル)、-CHO、-CO(C1~2アルキル)、COOH、COO(C1~2アルキル)、CONH、CONH(C1~2アルキル)、およびCON(-C1~2アルキル)から選択され、各C1~2アルキルは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよく、
環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい)。
【請求項2】
前記部分式(II)の部分において、以下:
、R、Rおよび各Rがそれぞれ水素であり、
がメチルであり、
がHまたはNHであり、
環AはいずれもFで置換されていないという定義が適用される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記部分式(II)の部分において、以下:
1つのRが、H、F、Cl、Me、CF、CFHおよびCHFから選択され、
その他のRがHであり、
が、FまたはClであるという定義が適用される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記部分式(II)の部分が、以下の式(IIa):
【化4】
を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Lが、C14~24アルキレン、C14~24アルケニレン、およびC14~24アルキニレンから選択され、前記アルキレン、前記アルケニレンおよび前記アルキニレンがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-OR21、-NR2121、-NR21OR21、-COR21、-COOR21、-OCOR21、-CONR2121、-NR21COR21、-NR21COOR21、-OCONR2121、-SR21、-SOR21、-SO21、-SONR2121、-NR21SO21、-SO21、および-NOから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに、前記アルキレン、前記アルケニレンまたは前記アルキニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、それぞれ任意選択で、-O-、-NR21-、-CO-、-S-、-SO-、および-SO-から独立して選択される基で置き換えられており;
各R21が、独立して、水素、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、カルボシクリル、およびヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、前記アルケニルおよび前記アルキニルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RAlkで置換されていてもよく、さらに、前記カルボシクリルおよび前記ヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RCycで置換されていてもよく;
いずれか2つのR21が、任意選択で、連結されて環を形成し;
各RAlkが、独立して、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく;
各RCycが、独立して、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよい、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
14~24アルキレン、C14~24アルケニレン、およびC14~24アルキニレンが、それぞれC15~22アルキレン、C15~22アルケニレン、およびC15~22アルキニレンであり、好ましくは、それぞれC16~20アルキレン、C16~20アルケニレン、およびC16~20アルキニレンであり、前記アルキレン、前記アルケニレンおよび前記アルケニレンのそれぞれは、請求項6に記載の通りに改変されていてもよい、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、C14~24アルキレンおよびC14~24アルケニレンから選択され、より好ましくはC15~22アルキレン、C15~22アルケニレンから選択され、さらにより好ましくはC16~20アルキレンであり、さらにより好ましくはC17~19アルキレンであり、最も好ましくはC17アルキレンであり、前記アルキレンおよびアルケニレンのそれぞれは、請求項6に記載の通りに改変されていてもよい、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Lが、以下の構造:
-O-L-NH-C(=O)-および-NH-L-NH-C(=O)-
(式中、Lは、C13~17アルキレンおよびC13~17アルケニレンから選択され、前記アルキレンおよび前記アルケニレンはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、C1~3アルキルおよびC1~3ハロアルキルから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに前記アルキレンまたは前記アルケニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、-O-、-NR21-、-CO-、-S-、-SO-、および-SO-から独立して選択される基で置き換えられている)
のうち一方を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
Lが、以下の構造:
-O-L-NH-C(=O)-および-NH-L-NH-C(=O)-
(式中、Lは、C13~17アルキレンから選択され、前記アルキレンは、任意選択で、ハロゲン、C1~3ハロアルキルおよびC1~3ハロアルキルから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに前記アルキレンまたは前記アルケニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、-O-、-NR21および-CO-から独立して選択される基で置き換えられている)
のうち一方を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
左側の-O-または-NH-が、前記項目のいずれかで定義されたEBMに結合しており、右側のNH-C(=O)-が、前記項目のいずれかで定義されたTMPBMに結合している、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】
EBMが、少なくとも10μMまたはそれ未満のKdでE3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分である、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
EBMが、部分式(III)の部分:
【化5】
(式中、
【化6】
は、部分式(III)のリンカー(L)への付着の位置を示し、
Gは、-C(=O)-およびCHから選択され、
環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい)
またはそのあらゆる立体異性体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
部分式(III)において、Gが-C(=O)-であり、環AはいずれもFで置換されていない、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記TMPBMが、膜輸送タンパク質に結合する部分から選択され、該膜輸送タンパク質は、好ましくは担体および/またはチャネルであり、より好ましくは担体である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記TMPBMが、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であり、好ましくは、SLC1(高親和性グルタミン酸および中性アミノ酸トランスポーター)、SLC2(促進型のGLUTトランスポーター)、SLC3(ヘテロ型のアミノ酸トランスポーターの重いサブユニット)、SLC4(炭酸水素塩トランスポーター)、SLC5(ナトリウムグルコースコトランスポーター)、SLC6(ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーター)、SLC7(カチオン性アミノ酸トランスポーター/糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター)、SLC8(Na+/Ca2+交換体)、SLC9(Na+/H+交換体)、SLC10(ナトリウム胆汁酸塩共輸送)、SLC11(プロトン共役金属イオントランスポーター)、SLC12(電気的中性のカチオン-Clコトランスポーター)、SLC13(ヒト硫酸ナトリウム/カルボン酸コトランスポーター)、SLC14(尿素トランスポーター)、SLC15(プロトンオリゴペプチドコトランスポーター)、SLC16(モノカルボン酸トランスポーター)、SLC17(小胞グルタミン酸トランスポーター)、SLC18(小胞アミントランスポーター)、SLC19(葉酸/チアミントランスポーター)、SLC20(III型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC21/SLCO(有機アニオントランスポーター)、SLC22(有機カチオン/アニオン/双性イオントランスポーター)、SLC23(Na+依存性アスコルビン酸トランスポーター)、SLC24(Na+/(Ca2+-K+)交換体)、SLC25(ミトコンドリア担体)、SLC26(多官能性アニオン交換体)、SLC27(脂肪酸輸送タンパク質)、SLC28(Na+共役ヌクレオシド輸送)、SLC29(促進型のヌクレオシドトランスポーター)、SLC30(亜鉛流出)、SLC31(銅トランスポーター)、SLC32(小胞阻害性アミノ酸トランスポーター)、SLC33(アセチル-CoAトランスポーター)、SLC34(II型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC35(ヌクレオシド-糖トランスポーター)、SLC36(プロトン共役アミノ酸トランスポーター)、SLC37(糖-リン酸/リン酸交換体)、SLC38(システムAおよびN、ナトリウム共役中性アミノ酸トランスポーター)、SLC39(金属イオントランスポーター)、SLC40(基底外側膜における鉄トランスポーター)、SLC41(MgtE様マグネシウムトランスポーター)、SLC42(Rhアンモニウムトランスポーターファミリー(未決定))、SLC43(Na+非依存性のシステムL様アミノ酸トランスポーター)、SLC44(コリン様トランスポーター)、SLC45(推定の糖トランスポーター)、SLC46(葉酸トランスポーター)、SLC47(多剤および毒素排出(MATE))、SLC48(ヘムトランスポーター)、SLC49(FLVCR関連トランスポーター)、SLC50(糖流出トランスポーター)、SLC51(ステロイドから誘導された分子のトランスポーター)、およびSLC52(リボフラビントランスポーター)、SLC53(リン酸担体)、SLC54(ミトコンドリアのピルビン酸担体)、SLC55(ミトコンドリアのカチオン/プロトン交換体)、SLC56(シデロフレキシン)、SLC57(NiPA様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC58(MagT様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC59(ナトリウム依存性リゾホスファチジルコリンシンポーターファミリー)、SLC60(グルコーストランスポーター)、SLC61(モリブデン酸トランスポーターファミリー)、SLC62(ピロリン酸トランスポーター)、SLC63(スフィンゴシン-リン酸トランスポーター)、SLC64(ゴルジCa2+/H+交換体)、SLC65(NPC型コレステロールトランスポーター)タンパク質からなるSLCファミリーから選択されるSLCに結合する部分であり、より好ましくは、SLC9(Na+/H+交換体)ファミリータンパク質から選択されるSLCに結合する部分であり、さらにより好ましくは、SLC9Aサブファミリータンパク質から選択されるSLCに結合する部分である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記TMPBMが、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であり;
(i)SLC(i)は、細胞表面、小胞体(ER)、ゴルジ装置、ミトコンドリア、細胞内小胞および/またはリソソーム上に配置されたSLCであり;
好ましくは、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4、SLC7A3、SLC1A5およびSLC2A1からなる群から選択され、ERに配置されたSLCは、SLC30A9およびSLC39A7からなる群から選択され、ゴルジ装置上のSLCは、SLC35B2およびSLC33A1からなる群から選択され、ミトコンドリア上のSLCは、SLC25A50(ミトコンドリア担体ホモログ2(MTCH2)とも表記される)からなる群から選択され、リソソーム中に配置されたSLCは、SLC38A9からなる群から選択され、
より好ましくは、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4およびSLC7A3からなる群から選択され;
および/または
(ii)SLCは、SLC9ファミリーのメンバーであり:
好ましくは、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、SLC9A9、SLC9B1、SLC9B2、SLC9C1およびSLC9C2からなる群から選択され、
より好ましくは、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A8、SLC9A9およびSLC9B2からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、SLCは、SLC9A1、SLC9A2およびSLC9A4からなる群から選択され、より好ましくは、SLCは、SLC9A1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記TMPBMが、SLC9A1に結合する部分である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記TMPBMが、3~17個の膜貫通ドメイン、好ましくは3~14個の膜貫通ドメイン、好ましくは3~13個の膜貫通ドメイン、好ましくは6~14個の膜貫通ドメイン、好ましくは8~14個の膜貫通ドメイン、さらにより好ましくは8~12個の膜貫通ドメインを有するSLCに結合する部分である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記TMPBMが、前記SLCの阻害性の部位またはアロステリックな結合部位に結合する部分である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項21】
医薬的に許容される希釈剤、賦形剤または担体をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物または請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
医薬として使用するための、請求項1~19または21のいずれか一項に記載の化合物または請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
疾患を処置することにおける使用のための方法であって、治療有効量の請求項1~19、21もしくは22のいずれか一項に記載の化合物または請求項20~22のいずれか一項に記載の医薬組成物を、このような処置が必要な対象に投与することを含む、上記方法。
【請求項24】
がん、特定には白血病、例えば慢性骨髄性白血病を処置または防止することにおける使用のための、請求項1~19、21~22のいずれか一項に記載の化合物、請求項20~22のいずれか一項に記載の組成物、または請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質、例えばSLC/溶質担体タンパク質のユビキチン化をモジュレートする、特定にはそのユビキチン化を誘導する能力を有する式(I)の化合物に関する。特定には、本発明は、ユビキチン-プロテアソーム経路を介してSLC/溶質担体タンパク質の分解を誘導する能力を有する化合物に関する。本発明はまた、医薬として使用するための化合物および組成物、加えて、これらの化合物を含む医薬組成物、特定には、膜貫通タンパク質、例えばSLC/溶質担体タンパク質の分解剤(degrader)として使用するための化合物および組成物にも関する。さらに、本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、疾患または状態、例えばがんを処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶質担体(SLC)タンパク質、イオンチャネル、水チャネルおよびATP駆動ポンプなどの膜透過トランスポーターのいくつかのファミリーが、細胞膜を通過する栄養素、イオンおよび代謝産物の交換を可能にする(Hediger, M. A.、Clemencon, B.、Burrier, R. E.およびBruford, E. A. The ABCs of membrane transporters in health and disease (SLC series):Introduction. Molecular Aspects of Medicine 34、95~107(2013))。450種を超える溶質担体(SLC)タンパク質が、ヒトゲノムにおいてコードされた膜透過トランスポーターの最も大きいクラスの代表である(Lin, L. Nature Publishing Group 14、543~560(2015))。多くのSLCのオーファン状態に寄与するそれらの数回貫通する膜貫通ドメイン構造および疎水性は、天然のカーゴと機能的な阻害剤のどちらもない。配列類似性に基づき、65種のファミリーが同定されている。例えば、アミノ酸の蓄積は、SLC1、SLC3/7、SLC6、SLC15、SLC16、SLC17、SLC32、SLC36、SLC38およびSLC43のメンバーによって媒介される。SLCスーパーファミリーのさらなるメンバー、例えばナトリウム/水素交換体のSLC9ファミリーは、原形質膜におけるイオン流量、または細胞オルガネラへの、および細胞オルガネラからの溶質輸送を調節する。特定には、ナトリウム/水素交換体またはナトリウム/プロトンのアンチポートは、1Na(イン):1H(アウト)の化学量論で代謝によって生産されたプロトンを押し出すために、膜、例えば原形質膜にわたってナトリウム濃度勾配を利用することにより細胞のpHを維持するトランスポーターのファミリーである。例えば、NHE1(SLC9A1としても公知)は、1個のNaイオンを1個のHイオンと交換する電気的中性であり可逆的なイオントランスポーターであり、細胞質内のアルカリ化と微環境の酸性化の両方に寄与する(Parksら、Nature Reviews Cancer 13、611~623(2013))。
【0003】
NHE3は、SLC9A3としても公知であり、これは、腸と腎臓で高度に発現され、それらの組織におけるナトリウムの動きを調節する。NHE1はまた、SLC9A1とも表記され、普遍的に発現されるトランスポーターであるとみなされている。NHE3は、腸と腎臓で高度に発現され、それらの組織におけるナトリウムの動きを調節する。
【0004】
近年、主要な腫瘍形成性プロセスにおける一部のSLCに関する直接の役割の証拠が集まりつつあり、SLCが、がんにおける標的化された医薬開発のために治療上魅力的な可能性があることが実証される(El-gebali, S.、Bentz, S.、Hediger、M. A.およびAnderle、P. Molecular Aspects of Medicine Solute carriers(SLCs) in cancer. Molecular Aspects of Medicine 34、719~734(2013);QingおよびShu、Mol Cell Ther. 2、15(2014))。さらに、SLC9A1は心臓血管疾患における有望な標的であったが、不良な応答と有害な副作用のために特異的な阻害剤の臨床開発は放棄された。さらに、SLC9A1は、様々ながんモデルで調査されてきたが、最も顕著には神経膠腫および乳がんで調査されてきた(Amith SR、Fong S、Baksh S、Fliegel L.Na (+)/H (+)exchange in the tumour microenvironment:does NHE1 drive breast cancer carcinogenesis?, Int J Dev Biol. 2015;59(7~9):367~77;Cong D、Zhu W、Kuo JS、Hu S、Sun D、Ion transporters in brain tumors、Curr Med Chem. 2015;22(10):1171~81)。
【0005】
SLCを標的化する小分子の開発のほとんどは、阻害を目指していた(Lin, L.、Yee, S. W.、Kim, R. B.およびGiacomini, K. M. SLC Transporters as Therapeutic Targets:Emerging Opportunities. Nat Rev Drug Discov 14, 543~560(2015))。しかしながら、このアプローチでは、輸送機能のみが調節され、SLCなどの膜貫通タンパク質のタンパク質恒常性(proteostatic)の調節(例えば分解)またはSLCなどの膜貫通タンパク質の輸送と無関係の機能の調節は不可能である。したがって、薬物設計における新規のパラダイムが強く求められている。
【0006】
新世代の小分子分解剤または「PROTAC(商標)」(タンパク質分解標的化キメラ)によって特異的なタンパク質の標的化された分解を制御するための近年開発された数々の技術は現在、標的タンパク質の選択的で即時の分解を誘導する小分子の設計を可能にしている(Winter, G. E.ら、DRUG DEVELOPMENT. Phthalimide conjugation as a strategy for in vivo target protein degradation. Science 348、1376~1381 (2015)、Bondeson、D. P.ら、Catalytic in vivo protein knockdown by small-molecule PROTACs. Nat. Chem. Biol. 11、611~617(2015))。用語「PROTAC(登録商標)」、「PROTAC(商標)」、「PROTAC」、「PROTAC(登録商標)」、「PROTAC(商標)」、「PROTAC」または「タンパク質分解標的化キメラ」は、同義的に使用され、特定には、式(I)で例示されるようなヘテロ二官能性化合物を指す。
【0007】
PROTACは、同時に両方のタンパク質に結合することによって、目的のタンパク質(POI)と細胞のE3リガーゼ基質受容体との間の分子の近接を誘導することにより作動する。このように誘導された近接は、POIのユビキチン化およびプロテアソーム分解を引き起こす。注目すべきことに、POIに結合する弾頭、フレキシブルなリンカー、および規定のE3リガーゼリガンドからなるモジュラー設計は、PROTAC開発を非常にフレキシブルにする。標的化された分解を許容するタンパク質の列挙は、現在、多数のプロテインキナーゼを含有し、その1つの例としては、単回貫通型の膜貫通受容体チロシンキナーゼが挙げられる。1つの膜貫通領域を有する一部のタンパク質、例えばEGFR、HER2、c-Met、ALKおよびFLT-3(Cell Chem Biol. 2018年1月18日;25(1):67~77. The Advantages of Targeted Protein Degradation Over Inhibition:An RTK Case Study. Burslem GM、Smith BE、Lai AC、Jaime-Figueroa S、McQuaid DC、Bondeson DP、Toure M、Dong H、Qian Y、Wang J、Crew AP、Hines J、Crews CM. / Eur J Med Chem. 2018年5月10日;151:304~314. Proteolysis Targeting Chimeras(PROTACs)of Anaplastic Lymphoma Kinase(ALK). Zhang C、Han XR、Yang X、Jiang B、Liu J、Xiong Y、Jin J. J Am Chem Soc. 2018年12月5日;140(48):16428~16432/Enhancing Antiproliferative Activity and Selectivity of a FLT-3Inhibitor by Proteolysis Targeting Chimera Conversion.Burslem GM、Song J、Chen X、Hines J、Crews CM)が、「PROTAC」により誘導される分解によって分解可能であることが示された。しかしながら、SLC/溶質担体トランスポーターなどの多くのタンパク質が、PROTACによるこれらのタンパク質の起こり得る分解に関して問題となる10個より多くの膜貫通領域を有している可能性がある。さらに、主要な薬物標的および疾患関連遺伝子のいくつかは、複数回貫通型の膜貫通ドメインの形態を有し、異なる細胞内の位置に配置されている。傑出した例は、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、ABCトランスポーター、例えば嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、および溶質担体トランスポータータンパク質(SLC)である。結果として、このような疾患関連膜貫通タンパク質を効果的に標的化することができる化合物は公知ではない。
【0008】
したがって、上記を考慮して、本発明の基礎となる技術的な問題は、膜貫通タンパク質、例えば複数回貫通型の膜貫通ドメインタンパク質の分解を誘導することができる化学物質の提供である。
【0009】
この技術的な問題の解決法は、本明細書の下記で定義され、特許請求の範囲で特徴付けられる実施態様によって提供される。本発明の観点から、カリンRING E3リガーゼファミリーのリガーゼなどのユビキチンE3リガーゼの機能またはそれへの結合を変更することによって、タンパク質の機能またはタンパク質の存在量を変更する(例えば誘導された標的化されたタンパク質の分解を介して)新規の化合物が提供される。
【0010】
この観点から、膜貫通タンパク質、特定には溶質担体は、それらは様々な疾患に関与し、いくつかの重要な薬物標的があることから、ますます化学生物学者と創薬研究者の興味を引き付けている。したがって、特定には、タンパク質分解、とりわけ、リガンドによって誘導されるタンパク質分解および/または化合物の一部が膜貫通タンパク質に結合することによって誘導されるタンパク質分解などに必要な分解機構は、溶質担体などの膜貫通タンパク質に接近可能であることが示されていることから、本明細書に記載される発明は、化学的戦略に関するブレークスルーを表す。
【0011】
本発明はまた、以下の項目にも関する:
1.以下の式(I)を有する化合物:
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、
TMPBMは、膜貫通タンパク質に結合する部分であり、
Lは、リンカー部分であり;
EBMは、E3リガーゼの機能を改変する部分および/またはE3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分であり、式中、TMPBMは、以下の部分式(II):
【0014】
【化2】
【0015】
を有する部分、または立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグであり、
【0016】
【化3】
【0017】
は、部分式(II)のリンカー(L)への付着の位置を示し、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、-H、-ハロゲン、-NO、-CN、-C1~3アルキル、-OH、-O-C1~2アルキル、NH、-NH(C1~2アルキル)、-N(C1~2アルキル)、-CHO、-CO(C1~2アルキル)、COOH、COO(C1~2アルキル)、CONH、CONH(C1~2アルキル)、およびCON(-C1~2アルキル)から選択され、各C1~2アルキルは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよく、
環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい)。
【0018】
2.前記部分式(II)の部分において、以下:
、R、Rおよび各Rがそれぞれ水素であり、
がメチルであり、
がHまたはNHであり、
環AはいずれもFで置換されていないという定義が適用される、項目1に記載の化合物。
【0019】
3.前記部分式(II)の部分において、以下:
1つのRが、H、F、Cl、Me、CF、CFHおよびCHFから選択され、
その他のRがHであり、
が、FまたはClであるという定義が適用される、項目1または2に記載の化合物。
【0020】
4.前記部分式(II)の部分が、以下の式(IIa):
【0021】
【化4】
【0022】
を有する、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【0023】
5.Lが、C14~24アルキレン、C14~24アルケニレン、およびC14~24アルキニレンから選択され、前記アルキレン、前記アルケニレンおよび前記アルキニレンはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-OR21、-NR2121、-NR21OR21、-COR21、-COOR21、-OCOR21、-CONR2121、-NR21COR21、-NR21COOR21、-OCONR2121、-SR21、-SOR21、-SO21、-SONR2121、-NR21SO21、-SO21、および-NOから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに、前記アルキレン、前記アルケニレンまたは前記アルキニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、それぞれ任意選択で、-O-、-NR21-、-CO-、-S-、-SO-、および-SO-から独立して選択される基で置き換えられており;
各R21は、独立して、水素、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、カルボシクリル、およびヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、前記アルケニルおよび前記アルキニルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RAlkで置換されていてもよく、さらに、前記カルボシクリルおよび前記ヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RCycで置換されていてもよく;
いずれか2つのR21は、任意選択で、連結されて環を形成し;
各RAlkは、独立して、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく;
各RCycは、独立して、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよい、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【0024】
6.EBMが、10μMまたはそれ未満のKdで前記E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分である、前記項目のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【0025】
7.EBMが、部分式(III)の部分:
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、
【0028】
【化6】
【0029】
は、部分式(III)のリンカー(L)への付着の位置を示し、
Gは、-C(=O)-およびCHから選択され、
環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい)または立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである、前記項目のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【0030】
8.前記TMPBMが、膜輸送タンパク質に結合する部分から選択され、該膜輸送タンパク質は、好ましくは担体および/またはチャネルであり、より好ましくは担体である、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【0031】
9.前記TMPBMが、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であり、好ましくは、SLC1(高親和性グルタミン酸および中性アミノ酸トランスポーター)、SLC2(促進型のGLUTトランスポーター(facilitative GLUT transporter))、SLC3(ヘテロ型のアミノ酸トランスポーターの重いサブユニット)、SLC4(炭酸水素塩トランスポーター)、SLC5(ナトリウムグルコースコトランスポーター)、SLC6(ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーター)、SLC7(カチオン性アミノ酸トランスポーター/糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター)、SLC8(Na+/Ca2+交換体)、SLC9(Na+/H+交換体)、SLC10(ナトリウム胆汁酸塩共輸送)、SLC11(プロトン共役金属イオントランスポーター)、SLC12(電気的中性のカチオン-Clコトランスポーター(electroneutral cation-Cl cotransporter))、SLC13(ヒト硫酸ナトリウム/カルボン酸コトランスポーター)、SLC14(尿素トランスポーター)、SLC15(プロトンオリゴペプチドコトランスポーター)、SLC16(モノカルボン酸トランスポーター)、SLC17(小胞グルタミン酸トランスポーター)、SLC18(小胞アミントランスポーター)、SLC19(葉酸/チアミントランスポーター)、SLC20(III型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC21/SLCO(有機アニオントランスポーター)、SLC22(有機カチオン/アニオン/双性イオントランスポーター)、SLC23(Na+依存性アスコルビン酸トランスポーター)、SLC24(Na+/(Ca2+-K+)交換体)、SLC25(ミトコンドリア担体)、SLC26(多官能性アニオン交換体(multifunctional anion exchanger))、SLC27(脂肪酸輸送タンパク質)、SLC28(Na+共役ヌクレオシド輸送)、SLC29(促進型のヌクレオシドトランスポーター)、SLC30(亜鉛流出)、SLC31(銅トランスポーター)、SLC32(小胞阻害性アミノ酸トランスポーター)、SLC33(アセチル-CoAトランスポーター)、SLC34(II型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC35(ヌクレオシド-糖トランスポーター)、SLC36(プロトン共役アミノ酸トランスポーター)、SLC37(糖-リン酸/リン酸交換体)、SLC38(システムAおよびN、ナトリウム共役中性アミノ酸トランスポーター)、SLC39(金属イオントランスポーター)、SLC40(基底外側膜における鉄トランスポーター)、SLC41(MgtE様マグネシウムトランスポーター)、SLC42(Rhアンモニウムトランスポーターファミリー(未決定))、SLC43(Na+非依存性のシステムL様アミノ酸トランスポーター)、SLC44(コリン様トランスポーター)、SLC45(推定の糖トランスポーター)、SLC46(葉酸トランスポーター)、SLC47(多剤および毒素排出(MATE))、SLC48(ヘムトランスポーター)、SLC49(FLVCR関連トランスポーター)、SLC50(糖流出トランスポーター)、SLC51(ステロイドから誘導された分子のトランスポーター)、およびSLC52(リボフラビントランスポーター)、SLC53(リン酸担体)、SLC54(ミトコンドリアのピルビン酸担体)、SLC55(ミトコンドリアのカチオン/プロトン交換体)、SLC56(シデロフレキシン(Sideroflexin))、SLC57(NiPA様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC58(MagT様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC59(ナトリウム依存性リゾホスファチジルコリンシンポーターファミリー)、SLC60(グルコーストランスポーター)、SLC61(モリブデン酸トランスポーターファミリー)、SLC62(ピロリン酸トランスポーター)、SLC63(スフィンゴシン-リン酸トランスポーター)、SLC64(ゴルジCa2+/H+交換体)、SLC65(NPC型コレステロールトランスポーター)タンパク質からなるSLCファミリーから選択されるSLCに結合する部分、CLN3、DIRC2、FLVCR1、FLVCR2、MFSD1、MFSD10、MFSD11、MFSD12、MFSD13A、MFSD14A、MFSD14B、MFSD2A、MFSD2B、MFSD3、MFSD4A、MFSD4B、MFSD5、MFSD6、MFSD6L、MFSD8、MFSD9、MPC1、MPC1L、MPC2、MTCH1、MTCH2、OCA2、RHAG、RHBG、RHCG、SPNS1、SPNS2、SPNS3、SV2A、SV2B、SV2C、SVOP、SVOPL、TMEM104、UCP1、UCP2、UCP3、UNC93A、UNC93B1、XPR1からなる主要ファシリテーターファミリーから選択される;より好ましくは、SLC9(Na+/H+交換体)ファミリータンパク質から選択される、さらにより好ましくは、SLC9Aサブファミリータンパク質から選択される非定型溶質担体である、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【0032】
10.前記TMPBMが、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であり、好ましくは、SLC1(高親和性グルタミン酸および中性アミノ酸トランスポーター)、SLC2(促進型のGLUTトランスポーター)、SLC3(ヘテロ型のアミノ酸トランスポーターの重いサブユニット)、SLC4(炭酸水素塩トランスポーター)、SLC5(ナトリウムグルコースコトランスポーター)、SLC6(ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーター)、SLC7(カチオン性アミノ酸トランスポーター/糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター)、SLC8(Na+/Ca2+交換体)、SLC9(Na+/H+交換体)、SLC10(ナトリウム胆汁酸塩共輸送)、SLC11(プロトン共役金属イオントランスポーター)、SLC12(電気的中性のカチオン-Clコトランスポーター)、SLC13(ヒト硫酸ナトリウム/カルボン酸コトランスポーター)、SLC14(尿素トランスポーター)、SLC15(プロトンオリゴペプチドコトランスポーター)、SLC16(モノカルボン酸トランスポーター)、SLC17(小胞グルタミン酸トランスポーター)、SLC18(小胞アミントランスポーター)、SLC19(葉酸/チアミントランスポーター)、SLC20(III型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC21/SLCO(有機アニオントランスポーター)、SLC22(有機カチオン/アニオン/双性イオントランスポーター)、SLC23(Na+依存性アスコルビン酸トランスポーター)、SLC24(Na+/(Ca2+-K+)交換体)、SLC25(ミトコンドリア担体)、SLC26(多官能性アニオン交換体)、SLC27(脂肪酸輸送タンパク質)、SLC28(Na+共役ヌクレオシド輸送)、SLC29(促進型のヌクレオシドトランスポーター)、SLC30(亜鉛流出)、SLC31(銅トランスポーター)、SLC32(小胞阻害性アミノ酸トランスポーター)、SLC33(アセチル-CoAトランスポーター)、SLC34(II型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC35(ヌクレオシド-糖トランスポーター)、SLC36(プロトン共役アミノ酸トランスポーター)、SLC37(糖-リン酸/リン酸交換体)、SLC38(システムAおよびN、ナトリウム共役中性アミノ酸トランスポーター)、SLC39(金属イオントランスポーター)、SLC40(基底外側膜における鉄トランスポーター)、SLC41(MgtE様マグネシウムトランスポーター)、SLC42(Rhアンモニウムトランスポーターファミリー(未決定))、SLC43(Na+非依存性のシステムL様アミノ酸トランスポーター)、SLC44(コリン様トランスポーター)、SLC45(推定の糖トランスポーター)、SLC46(葉酸トランスポーター)、SLC47(多剤および毒素排出(MATE))、SLC48(ヘムトランスポーター)、SLC49(FLVCR関連トランスポーター)、SLC50(糖流出トランスポーター)、SLC51(ステロイドから誘導された分子のトランスポーター)、およびSLC52(リボフラビントランスポーター)、SLC53(リン酸担体)、SLC54(ミトコンドリアのピルビン酸担体)、SLC55(ミトコンドリアのカチオン/プロトン交換体)、SLC56(シデロフレキシン)、SLC57(NiPA様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC58(MagT様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC59(ナトリウム依存性リゾホスファチジルコリンシンポーターファミリー)、SLC60(グルコーストランスポーター)、SLC61(モリブデン酸トランスポーターファミリー)、SLC62(ピロリン酸トランスポーター)、SLC63(スフィンゴシン-リン酸トランスポーター)、SLC64(ゴルジCa2+/H+交換体)、SLC65(NPC型コレステロールトランスポーター)タンパク質から選択されるSLCタンパク質に結合する部分であり、より好ましくは、SLC9(Na+/H+交換体)ファミリータンパク質から選択される、さらにより好ましくは、SLC9Aサブファミリータンパク質から選択されるSLCタンパク質に結合する部分である、項目1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【0033】
11.前記TMPBMが、SLC9A1に結合する部分である、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物。
12.前記TMPBMが、3~17個の膜貫通ドメイン、好ましくは3~14個の膜貫通ドメイン、好ましくは3~13個の膜貫通ドメイン、好ましくは6~14個の膜貫通ドメイン、好ましくは8~14個の膜貫通ドメイン、さらにより好ましくは8~12個の膜貫通ドメインを有するSLCに結合する部分である、項目1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【0034】
13.項目1~12のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物。
14.医薬として使用するための、項目1~12のいずれか一項に記載の化合物または項目13に記載の組成物。
【0035】
15.がん、特定には白血病、例えば慢性骨髄性白血病を処置または防止することにおける使用のための、項目1~12または14のいずれか一項に記載の化合物、または項目13もしくは14に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の式(I)を有する化合物が本明細書に記載される:
【0037】
【化7】
【0038】
式(I)において、TMPBMは、膜貫通タンパク質に、特定には溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であり、Lは、リンカー部分であり;EBMは、E3リガーゼの機能を改変する部分および/またはE3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分である。
【0039】
式(I)の化合物および本明細書で開示される他の化合物は、膜貫通タンパク質、例えばSLCの分解のための非常に有力なPROTACである。これらの化合物の使用によって、特定には、異なる形態および構造的な折り畳みの複数回貫通型膜貫通タンパク質は、近接することにより誘導されるタンパク質分解に対応することができる。これは、様々な疾患の処置のために多岐にわたる機会をもたらす重要なブレークスルーである。
【0040】
以下に、式(I)の化合物の例を提示する。これらはまた、マーカッシュ式または特定の式として提示される化合物のあらゆる立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ(特定には、立体異性体、医薬的に許容される塩および溶媒和物)も包含することが理解されるであろう。これはまた、式(I)の化合物のあらゆる部分構造、例えば部分式(II)、および部分式(III)にも適用されることが理解されるものとする。
【0041】
TMPBMは、好ましくは、以下の部分式(II):
【0042】
【化8】
【0043】
を有する部分を表し、それらのあらゆる立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグを含む。
式(II)において、
【0044】
【化9】
【0045】
は、部分式(II)のリンカー(L)への付着の位置を示す。
式(II)におけるR、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、-H、-ハロゲン、-NO、-CN、-C1~3アルキル、-OH、-O-C1~2アルキル、NH、-NH(C1~2アルキル)、-N(C1~2アルキル)、-CHO、-CO(C1~2アルキル)、COOH、COO(C1~2アルキル)、CONH、CONH(C1~2アルキル)、およびCON(-C1~2アルキル)から選択され、各アルキルは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい。
【0046】
加えて、式(II)中の環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい。
より好ましくは、部分式(II)の部分において、R、R、Rおよび各Rがそれぞれ水素であり、Rがメチルであり、RがHまたはNHであり、環AはいずれもFで置換されていない。
【0047】
加えて、好ましくは、部分式(II)の部分において、1つのRが、H、F、Cl、Me、CF、CFHおよびCHFから選択され;一方でその他のRが、Hであり、Rが、FまたはClである。
【0048】
部分式(II)の部分の特に好ましい例は、以下の式(IIa)を有する:
【0049】
【化10】
【0050】
本発明者らは、特定には、リンカーが、特定の長さ、例えば約14~約24個の原子の長さを有する式(I)の化合物は、膜貫通タンパク質、例えばSLCの分解のためのPROTACとして非常に驚くほど優れた適性を示すことを見出した。
【0051】
本発明に係る化合物において、Lは、好ましくは、C14~24アルキレン、C14~24アルケニレン、およびC14~24アルキニレンから選択され、前記アルキレン、前記アルケニレンおよび前記アルキニレンがそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-OR21、-NR2121、-NR21OR21、-COR21、-COOR21、-OCOR21、-CONR2121、-NR21COR21、-NR21COOR21、-OCONR2121、-SR21、-SOR21、-SO21、-SONR2121、-NR21SO21、-SO21、および-NOから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに、前記アルキレン、前記アルケニレンまたは前記アルキニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、それぞれ任意選択で、-O-、-NR21-、-CO-、-S-、-SO-、および-SO-から独立して選択される基で置き換えられており;
各R21は、独立して、水素、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、カルボシクリル、およびヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、前記アルケニルおよび前記アルキニルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RAlkで置換されていてもよく、さらに、前記カルボシクリルおよび前記ヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択で、1つまたはそれより多くの基RCycで置換されていてもよく;
いずれか2つのR21は、任意選択で、連結されて環を形成し;
各RAlkは、独立して、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく;
各RCycは、独立して、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、-OH、-O(C1~5アルキル)、-O(C1~5アルキレン)-OH、-O(C1~5アルキレン)-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-S(C1~5アルキレン)-SH、-S(C1~5アルキレン)-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-OH、-N(C1~5アルキル)-OH、-NH-O(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-O(C1~5アルキル)、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-O(C1~5ハロアルキル)、-CN、-NO、-CHO、-CO(C1~5アルキル)、-COOH、-COO(C1~5アルキル)、-O-CO(C1~5アルキル)、-CO-NH、-CO-NH(C1~5アルキル)、-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-CO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-CO(C1~5アルキル)、-NH-COO(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-COO(C1~5アルキル)、-O-CO-NH(C1~5アルキル)、-O-CO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-SO-NH、-SO-NH(C1~5アルキル)、-SO-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)、-NH-SO-(C1~5アルキル)、-N(C1~5アルキル)-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、-SO-(C1~5アルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル、および前記ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、任意選択で、C1~5アルキル、C2~5アルケニル、C2~5アルキニル、ハロゲン、C1~5ハロアルキル、-CN、-OH、-O(C1~5アルキル)、-SH、-S(C1~5アルキル)、-NH、-NH(C1~5アルキル)、および-N(C1~5アルキル)(C1~5アルキル)から独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよい。
【0052】
Lにおいて、C14~24アルキレン、C14~24アルケニレン、およびC14~24アルキニレンは、それぞれ好ましくはC15~22アルキレン、C15~22アルケニレン、およびC15~22アルキニレンであり、好ましくは、それぞれC16~20アルキレン、C16~20アルケニレン、およびC16~20アルキニレンであり、アルキレン、アルケニレンおよびアルケニレンのそれぞれは、上記で詳述した通りに改変されていてもよい。Lが、C14~24アルキレンおよびC14~24アルケニレンから選択され、より好ましくはC15~22アルキレン、C15~22アルケニレンから選択され、さらにより好ましくはC16~20アルキレンであり、さらにより好ましくはC17~19アルキレンであり、最も好ましくはC17アルキレンであり、アルキレンおよびアルケニレンのそれぞれは、上記で詳述したように改変されていてもよいことがさらに好ましい。
【0053】
Lの特に好ましい例は、以下の構造:
-O-L-NH-C(=O)-および-NH-L-NH-C(=O)-
のうち一方を含み、
好ましくは、-NH-L-NH-C(=O)-
を含み、
式中、Lは、C13~17アルキレンおよびC13~17アルケニレンから選択され、前記アルキレンおよび前記アルケニレンはそれぞれ、任意選択で、ハロゲン、C1~3アルキルおよびC1~3ハロアルキルから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに前記アルキレンまたは前記アルケニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、-O-、-NR21-、-CO-、-S-、-SO-、および-SO-から独立して選択される基で置き換えられている。
【0054】
は、C13~17アルキレンから選択され、前記アルキレンは、任意選択で、ハロゲン、C1~3ハロアルキルおよびC1~3ハロアルキルから独立して選択される1つまたはそれより多くの基で置換されていてもよく、さらに前記アルキレンまたは前記アルケニレンに含まれる1つまたはそれより多くの-CH-単位は、-O-、-NR21-および-CO-から独立して選択される基で置き換えられていることが好ましい。
【0055】
の具体的な例としては、-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-、および
-CH-C(=O)-NH-CH-CH-O-CH-CH-CH-O-CH-CH-CH-O-CH-CH-が挙げられる。
【0056】
Lの具体的な例としては、
-NH-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-NH-C(=O)-、および
-O-CH-C(=O)-NH-CH-CH-O-CH-CH-CH-O-CH-CH-CH-O-CH-CH-NH-C(=O)-が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、Lの上記の例の左側の-O-または-NH-が、本明細書で定義されるEBMに結合しており、右側のNH-C(=O)-は、本明細書で定義されるTMPBMに結合している。
【0058】
EBMは、好ましくは、E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分である。式(I)の化合物中のEBMは、より好ましくは、本出願で設定されるアッセイによって決定される場合、10μMまたはそれ未満のKdでE3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバーに結合する部分である。
【0059】
特定には、本明細書で開示され、本発明に関連して使用されるEBMの、E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバー、例えば基質受容体CRBNへの結合は、製造元のプロトコールおよび推奨(プロメガ(Promega);NanoBRET(商標)アッセイ)に従って、NanoBRET(商標)技術をベースとしたアッセイを使用することによって測定することができる。
【0060】
同様に、本明細書で開示され、本発明に関連して使用される膜貫通タンパク質、例えばSLC9A1と、E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバー、例えば基質受容体CRBNとの相互作用は、製造元のプロトコールおよび推奨(プロメガ;NanoBRET(商標)アッセイ)に従って、NanoBRET(商標)技術をベースとしたアッセイを使用することによって測定することができる。
【0061】
同様に、本明細書で開示され、本発明に関連して使用されるPROTACなどの化合物と、E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバー、例えば基質受容体CRBNとの相互作用は、製造元のプロトコールおよび推奨(プロメガ;NanoBRET(商標)アッセイ)に従って、NanoBRET(商標)技術をベースとしたアッセイを使用することによって測定することができる。
【0062】
それによって、NanoBRET(商標)アッセイは、EBM、化合物、例えばPROTACまたは膜貫通タンパク質の、E3リガーゼ複合体の少なくとも1つのメンバー、例えばCRBNまたはVHLのような基質受容体への近接を、発光ドナーから蛍光性アクセプターへのエネルギー移動を決定することによって測定することを可能にする(例えば、Richingら、ACS Chem. Biol. 2018、13、2758~2770を参照)。この観点から、EBM、例えばPROTAC、E3リガーゼメンバー、例えば基質受容体、および標的タンパク質、例えば膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質を含む化合物の三元複合体形成を測定することができる。
【0063】
HEK293細胞におけるドナーの発現のために、膜貫通タンパク質は、ルシフェラーゼ、例えばNanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼを含むプラスミドにクローニングしてもよい。例えば、膜貫通タンパク質、例えばSLC9A1は、NanoLucドナープラスミド(プロメガ;NanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ)にC末端でクローニングしてもよい。代替として、このアッセイでドナーとして使用される膜貫通タンパク質はまた、別の位置および/または部位に、例えば細胞質に向けられる膜貫通タンパク質のN末端またはループ上にタグを有していてもよい。当業者は、どの位置および部位が、膜貫通タンパク質のタグ付けに使用できるかわかっており、どの膜貫通タンパク質が特定の位置または部位でのタグ付けに適しているかを認識している。代替として、例えばHiBiTで、CRISPR-Cas9を使用して、ドナーにタグ付けしてもよい。別の代替法として、このアッセイは、フルオロフォア(例えば、これらに限定されないが、SNAPタグ、それに続いてTb3+クリプテート標識)での標識付けを可能にするタグに合わせてNanoLucを変化させることによってTR-FRETアッセイになるように適合させてもよい。それゆえに、nanoBRETアッセイはTR-FRETにも移行できるということは、一般的であり得る。ドナーはまた、本明細書で開示され、本発明に関連して使用されるPROTACなどのEBMを含む化合物を含んでいてもよい。
【0064】
HEK293細胞におけるアクセプターの発現のために、E3リガーゼメンバー、例えば基質受容体CRBNに付着されるHaloTag(プロメガ;HaloTag(登録商標))を採用してもよい。代替として、アクセプターフルオロフォアでの標識付けを可能にする他のあらゆるタグを使用することができる。このようなタグの例としては、これらに限定されないが、SNAPtag、CLIPtag、ビオチンおよびストレプトアビジンが挙げられる。ドナーおよび/またはアクセプターは、これらの細胞において、一時的に、または安定して発現させることができる。
【0065】
例えば、製造元のプロトコールおよび推奨(プロメガ;NanoBRET(商標)アッセイ)に従って、HEK293細胞を、6ウェルプレートに、ウェル当たり800k個の細胞でシーディングする。アクセプターおよびドナーを発現する2つのプラスミドを、HEK293において、1:1の比率で、フージーン(Fugene)を使用して一時的にトランスフェクトする。次の日、トランスフェクトされた細胞をトリプシン処理し、洗浄し、nanoBRET618リガンドと混合し、96ウェルの白色プレートに再びシーディングする。次の日、細胞を、10uMのMG132で1時間処理し、次いで7用量の化合物、例えばPROTAC d9A1-2(以下のuMで:0.000256、0.00128、0.0064、0.032、0.16、0.8、4、20)と表される化合物で6時間処理する。NanoBRET Nano-Glo基質をOpti-MEM中で調製し、各ウェルに分配し(50ul)、続いてプレートリーダー(モレキュラーデバイス(Molecular Devices))で30秒振盪する。基質添加の10分以内にドナー放出(460nm)およびアクセプター放出(618nm)を、プレートリーダー(モレキュラーデバイス)で測定する。BRET比率を、アクセプター放出とドナー放出との比率として計算する。測定したままのBRET比率を最大値に正規化し、それからKd値を得る。
【0066】
上記を考慮して、NanoBRET(商標)技術をベースとしたアッセイを使用して、本明細書で開示された、本発明に関連する膜貫通タンパク質、例えばSLC、またはEBMを含む化合物、例えばPROTACと、E3リガーゼのメンバー、例えばE3リガーゼの基質受容体、例えばCRBNまたはVHLとの相互作用を測定することができる。この観点から、この技術を適用することによって決定できるKd値は、本明細書で開示された、本発明に関連する膜貫通タンパク質、例えば本明細書で提供されるSLC、またはEBMを含む化合物、例えばPROTAC、およびE3リガーゼの少なくとも1つのメンバー、例えば基質受容体のKd値を含む。このアッセイを使用することによるKdの決定はまた、SLC9ファミリーまたは他のファミリーからのSLCにも採用することができる。
【0067】
好ましくは、EBMは、部分式(III)の部分:
【0068】
【化11】
【0069】
ならびにそれらのあらゆる立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ、特定にはその立体異性体、医薬的に許容される塩および溶媒和物であり、式中、
【0070】
【化12】
【0071】
は、部分式(III)のリンカー(L)への付着の位置を示す。
Gは、-C(=O)-およびCHから選択される。好ましくは、Gは、-C(=O)-である。
【0072】
環Aは、任意選択で、1個またはそれより多くのFで置換されていてもよい。より好ましくは、環Aは、1個またはそれより多くのFで置換されていない。
式(III)の部分的な化合物は、以下の2つの鏡像異性体の形態で存在し得ることが理解されるであろう:
【0073】
【化13】
【0074】
式(III)の部分的な化合物が式(III-I)の部分的な化合物から選択されることが好ましく、言い換えれば、(S)鏡像異性体が好ましい。
式(I)の化合物の特に好ましい例としては、以下が挙げられる:
【0075】
【化14】
【0076】
これらのそれぞれにおいて、分子の左側の部分は、好ましくは式(III)の部分的な化合物に対応する部分において(S)立体化学を有する。これらもまた、上記で提示した化合物のあらゆる立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグを包含することが理解されるであろう。
【0077】
これまで、プロテアソーム系による分解を介していくつかの膜貫通領域を有する膜タンパク質を分解することが可能な化合物は、利用可能ではなかった。本発明者らは、プロテアソーム媒介分解によっていくつかの膜貫通領域を有する膜タンパク質を分解する能力を有する化合物を同定した。それによって、添付の実施例で、SLC、特定には、12個の膜貫通領域を有するSLC9A1などのSLC9ファミリーからのSLCが、プロテアソーム媒介分解を受けることができることが示された。添付の実施例で示されるように、SLCは、突然変異したFKBPドメインでタグ付けされたタンパク質として異所的に発現されたことから、SLCは、これらを近年公開された特異的な分解剤分子(例えばdTAG7/dTAG13)による分解を受けることができるようになった(Nabet, B.ら、Nat Chem Biol 14、431~441(2018)。内因性SLCの標的化された分解を試験するために、目的のSLCと結合する弾頭およびこの弾頭をサリドマイド誘導体に接続するリンカーの化学構造を変更したPROTACとも表記されるヘテロ二官能性分子を設計した。このような化合物、例えばSLC9A1と結合するものは、標的の効率的な分解をもたらしたことが見出された。
【0078】
さらに、添付の実施例で示されるように、さらに概念の証明として、様々なヒトSLCが、異なる細胞内の膜の位置(細胞表面、小胞体、ゴルジおよびリソソーム)に局在しており、これらは、適切な分解ドメインに融合している場合、例えば染色体の遺伝子座が、分解媒介タグを有するSLCの融合タンパク質を発現するように操作されている場合、ヘテロ二官能性リガンドによる分解を受けることができる。
【0079】
それでもなお、本発明の化合物は、追加の分解タグの開発/設計が必ずしも分解のために必要ではないため(添付の実施例で例示されるように)、療法および/または医薬分野において特に有用である。したがって、本発明の化合物によりモジュレート/誘導された内因性SLCの分解は、dTAG7またはdTAG13などの上述した公知の化合物のようにタグを介して間接的にしかSLCに結合しないのではなく、SLCそれ自体に結合することができる。添付の実施例で例示されるように、本発明の化合物は、前記細胞に、例えばSLCへのタグの挿入などによるいかなる修飾および/または操作を適用する必要なく、細胞中でSLCを分解することができるため、これは治療剤に使用される化合物にとって特に有利である。
【0080】
本発明の化合物は、SLCタンパク質の分解をもたらすことができることがさらに示される。さらに、添付の実施例で立証したように、本発明の化合物は、効率的に、SLC9ファミリー、ナトリウム/プロトン交換体のファミリーの内因性成分と結合し分解することができる。
【0081】
いくつかの膜貫通ドメインを有する膜貫通タンパク質、例えばSLCは科学コミュニティーの注目を集めているが、それらの機能を研究ためのツールはわずかしかない。特定には、SLCは、様々な疾患に関与し、いくつかの重要な薬物標的(SSRI、グリフォジン(glifozin))があるため、ますます化学生物学者と創薬研究者の興味を引き付けている。
【0082】
したがって、本発明者らは、最初に選択される化合物として、複数回貫通型の膜貫通ドメインタンパク質を標的化する新しい分子実体を見出した。本発明者らは、複数回貫通型膜貫通タンパク質を分解する能力を有する化合物を同定し、いくつかの薬物標的が、複数回貫通型膜貫通タンパク質、例えばSLCであることから、本明細書で開示される新たに同定された化合物は、がん、代謝性、炎症性または心臓疾患を処置するための薬物などの標的にとって有用な候補薬物の一つである。このような化合物はさらに、1つより多くの膜貫通タンパク質、特定には1つより多くの複数回貫通型の膜貫通ドメインタンパク質に結合することができる。例えば、本明細書で開示された、本発明に関連する化合物は、SLC9Aファミリーの1つまたはそれより多くの膜貫通タンパク質に結合することができる。例えば、本明細書で開示された、本発明に関連する化合物は、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10種の膜貫通タンパク質、例えばSLC9Aファミリーからの膜貫通タンパク質に結合することができる。
【0083】
さらに、本明細書で開示された、本発明に関連する化合物は、特異的な組織または細胞の特異的な位置内で、例えば細胞表面、リソソームもしくは小胞体、または途中のあらゆる小胞内で、膜貫通タンパク質を標的化することができる。したがって、実施例で記載したように、本発明は、膜貫通タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに補充するように機能し、それによって組織特異的、細胞特異的および/または細胞内特異的な方式で膜貫通タンパク質を分解する化合物を提供する。これは順に、治療剤および/または医薬分野において特に有用であり、それにおいて、疾患関連組織、細胞の膜貫通タンパク質を、および/または本発明の化合物によって特異的に分解することができる。
【0084】
したがって、本明細書で開示される通り、本化合物は、E3リガーゼ結合部分/EBM、リンカー/Lおよび膜貫通タンパク質結合部分/TMPBMを含み、例えばユビキチン化系による膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の分解を介して、標的タンパク質/標的タンパク質のユビキチン化を刺激/誘導することができる。用語「E3リガーゼ結合部分」および「EBM」は同義的に使用され、E3リガーゼ結合部分/EBMが、E3リガーゼの機能を改変する、および/または少なくとも1つのレギュレーターに結合する部分であるか、またはE3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体のメンバーであることを意味する。「E3リガーゼの機能を改変する」は、本発明に関連して使用される場合、カリン-RINGユビキチンリガーゼ活性/CRL活性が、E3リガーゼ結合部分/EBMによって、例えばE3リガーゼ/カリン-RINGユビキチンリガーゼ/CRLへのE3リガーゼ結合部分/EBMの結合によって、またはE3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体の機能を改変することによって強化されることを意味する。用語「カリンRINGユビキチンE3リガーゼ」または「CRL」は、同義的に使用され、触媒コアがカリンファミリーのメンバーおよびRINGドメインタンパク質からなる複合体の形態のユビキチンリガーゼを指し、コアは、基質特異性を付与する1つまたはそれより多くの追加のタンパク質に関連する。CRLのRINGドメインタンパク質は、E2からE3が結合した基質へのユビキチンの移動を媒介する。特定には、カリンRINGユビキチンE3リガーゼ(CRL)は、全てのカリンサブユニットおよび亜鉛結合RINGドメインサブユニットを含む共通のコアを含有するモジュラーマルチサブユニット複合体である。特定には、カリンサブユニットは、CRLの主鎖を形成する長い構造にフォールディングされる。カリンサブユニットのC末端領域は、それ自身RINGタンパク質の周りに巻き付く球状ドメインを形成し、これが順にE2がコンジュゲートする酵素に補充されて、酵素コアを形成する。カリンサブユニットのN末端領域は、伸長したカリン構造の逆の末端に存在し、アダプタータンパク質を介して基質受容体を補充する。
【0085】
本発明に関連して、本化合物は、カリン-RINGユビキチンリガーゼ活性/CRL活性を強化することによって膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を刺激/誘導する能力を有する。本明細書で開示される通り、本発明に関連して、E3リガーゼ結合部分/EBMは、ポマリドマイド、サリドマイドおよびレナリドマイドであり得る。例えば、EBMは、ポマリドマイドまたはサリドマイドであり得る。別の例として、E3リガーゼ結合部分/EBMは、ポマリドマイドであり得る。特定には、E3リガーゼ結合部分/EBMは、ポマリドマイドであり得る(例えば、Winter, G. E.ら、DRUG DEVELOPMENT.. Science 348、1376~1381(2015)を参照)。
【0086】
前記「強化されたカリン-RINGユビキチンリガーゼ活性」/「強化されたCRL活性」は、前記カリン-RINGユビキチンリガーゼ活性/CRL活性が、前記化合物の非存在下におけるカリン-RINGユビキチンリガーゼ活性/CRL活性と比較して本発明の化合物の存在下で強化されることを意味する。したがって、本発明は、CRL活性を強化することを介して膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を誘導および/または刺激する能力を有する化合物に関する。本明細書で開示されたように、さらに添付の実施例で例示されるように、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体の前記強化された活性は、化合物の存在下で膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質を発現する細胞における、前記化合物の非存在下におけるレベルと比較した膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のレベル/量の測定によって決定することができ、この場合、前記化合物の非存在下におけるレベルと比較して、前記化合物の存在下における膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のレベルが減少していることは、例えばCRL活性を強化することを介して、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を誘導および/または刺激する前記化合物の能力を示す。
【0087】
強化されたCRL活性は、前記化合物の存在により誘導することができる。前記化合物は、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体の構成要素と、化合物に結合し得る、またはE3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体、標的タンパク質/標的タンパク質および本化合物を含む三元複合体の一部であり得る膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質との分子の近接を誘導することができる。E3リガーゼ結合部分/EBMの、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体へのへの結合を決定するための当業界において公知の手段および方法は、とりわけ、イムノアッセイ(例えばウェスタンブロット、ELISA試験など)および/またはレポーターアッセイ(例えばルシフェラーゼアッセイなど)を含む。このような化合物のE3ユビキチンリガーゼへの結合を決定するための手段および方法は、例えば、イムノアッセイによって決定することができ、その例としては、例えば、これらに限定されないが、ラジオイムノアッセイ、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素結合免疫検査法(ELISA)、ルミネックス(Luminex)ベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、ポイントオブケア試験や迅速な試験フォーマット、例えば例えば免疫クロマトグラフストリップ試験に好適なアッセイが挙げられる。好適なイムノアッセイは、免疫沈降、酵素免疫検査法(EIA))、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、凝集アッセイ、比濁アッセイ、混濁度アッセイ、ウェスタンブロット、競合イムノアッセイ、非競合的イムノアッセイ、均一系イムノアッセイ、不均一系イムノアッセイ、バイオアッセイ、およびレポーターアッセイ、例えばルシフェラーゼアッセイまたはルミネックス(Luminex)(登録商標)アッセイの群から選択される。イムノアッセイは、結合剤として抗体または免疫グロブリンの使用を介した溶液中の巨大分子/ポリペプチドの存在または濃度を測定する生化学的な試験である。原則的に、前記タイプのアッセイに適用され得る全ての標識付け技術を使用することができ、その例としては、放射性同位体、酵素、蛍光、化学発光または生物発光標識、ならびに光学的に直接検出可能な色素標識、例えば金原子および色素粒子での標識付けが挙げられる。
【0088】
E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体の強化された活性はまた、表面プラズモン共鳴分光法(SPR)またはフェルスター(Forster)共鳴エネルギー移動(FRET)、ならびに本明細書に記載される、および添付の実施例で例示される方法などの当業界において公知の方法で決定することもできる。例えば、このような方法としては、これらに限定されないが、FRET(フェルスター共鳴エネルギー移動)分析が挙げられる。FRET(フェルスター共鳴エネルギー移動)の理論は、励起されたドナー(D)から受容体分子(A)への、距離依存性、非放射性のエネルギー移動を定義する。容易に入手可能な分光データと理論上の方程式との相関を得ることが、テオドール・フェルスターの功績であり、それによってあらゆる種類の自然科学における多くのFRET用途の可能性を実現させた。FRETは、1~10nmスケール以内の生化学的な用途において使用されている(K. E. Sapsfordら、Angew. Chem. Int.編、45、4562、2006)(例えばタンパク質-タンパク質結合、タンパク質フォールディング、細胞膜での、および細胞膜中での分子相互作用、DNAハイブリダイゼーションおよびシーケンシング、抗原と抗体との免疫反応)。FRETの理論の詳細は周知である。さらなる例としては、タンパク質相補性アッセイ(PCA)が挙げられる。タンパク質相補性アッセイ(PCA)は、2つの生体分子、例えばポリペプチドの相互作用を検出するための手段を提供する。PCAは、互いに近接したときに、機能的な活性なタンパク質に再構成できる、同じタンパク質、例えば酵素の2つの断片を利用する。
【0089】
さらに、化合物のE3ユビキチンリガーゼへの結合は、例えばウェスタンブロットで検出することができる。ウェスタンブロッティングは、ポリアクリルアミドゲル上へのタンパク質サンプル(溶解産物)の適用、それに続く電気泳動による前記複合体混合物の分離、および分離したタンパク質の、第2のマトリックス上への、一般的にニトロセルロースまたはポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上への転写または「エレクトロブロッティング」を含む。移動後、膜を「ブロッキング」して、抗体の膜表面への非特異的な結合を防止する。多くの抗体の標識付けまたはタグ付け戦略が当業者公知である。最も簡単なプロトコールにおいて、移動したタンパク質は、プローブとして役立つ一次酵素で標識した抗体と共にインキュベートされるか、またはそれと複合体化される。非特異的な結合部位をブロッキングした後、好適な基質を酵素と共に複合体に添加し、それらを一緒に反応させて、それぞれ視覚的な検出、化学発光検出、または蛍光検出を可能にするクロモジェニックな、化学発光の、または蛍光原性の検出可能な生成物を形成する。この手順は、1984年6月15日に発行されたGordonら、米国特許第4,452,901号によって記載される。
【0090】
添付の実施例から明らかなように、本発明の化合物は、化合物の膜貫通タンパク質結合部分/TMPBMを介して膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質と結合することができ、例えば、本化合物の膜貫通タンパク質結合部分/TMPBMに結合した膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質を、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体に補充することによって、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体と結合するかまたはその機能を改変することができる。別の例として、本発明に関連する化合物は、例えば膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の翻訳後の変化を改変することによって、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の機能、を変更することができる。翻訳後修飾としては、これらに限定されないが、膜貫通タンパク質のリン酸化状態、例えば膜貫通タンパク質をリン酸化するチロシンキナーゼを挙げることができる。したがって、本化合物は、例えば、標的タンパク質が、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体にとって接近可能になるという点で膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質を改変することによって膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を誘導することができ、それによって本化合物は、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質および/またはE3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体と会合しなくてもよい。
【0091】
本明細書に記載される場合、さらに本発明に関連して、TMPBMは、膜貫通タンパク質に結合する部分/膜貫通タンパク質であり得る。一実施態様において、TMPBMは、3~17個の膜貫通ドメイン、例えば3~14個の膜貫通ドメインまたは3~13個の膜貫通ドメイン、特定には6~14個の膜貫通ドメイン、より特定には8~14個の膜貫通ドメイン、さらにより特定には8~12個の膜貫通ドメインを有するSLCに結合する部分であり得る。本明細書で使用される場合、用語「膜貫通タンパク質」または「膜貫通タンパク質」は、本明細書で使用される場合、細胞またはオルガネラの膜に付着するかまたはそれに会合するタンパク質を指す。それらはしばしば、内在性膜タンパク質、末梢の膜タンパク質および脂質に固定されたタンパク質を含むいくつかのカテゴリーにさらに分類される。例えば、膜タンパク質は、脂質二重層に永続的に結合した内在性膜タンパク質であり、これは、除去するのに界面活性剤または別の非極性溶媒を必要とする。内在性膜タンパク質としては、脂質膜に永続的に付着しており、膜を1回または数回横切る膜貫通タンパク質が挙げられる。好適な膜タンパク質の例としては、なかでも、GPCRおよび増殖因子受容体などの受容体;リガンド依存性および電圧依存性イオンチャネルなどの膜貫通イオンチャネル;神経伝達物質トランスポーターなどの膜透過トランスポーター;酵素;担体タンパク質;イオンポンプ;ウイルス膜タンパク質およびその超分子複合体が挙げられる。
【0092】
膜貫通タンパク質の具体的な非限定的な例は、本明細書で使用される場合、明細書でさらに提供される。例えば、膜貫通タンパク質は、膜を通過する特異的な物質の輸送を許容するための入口として機能し得る。それらは、膜を介して物質を移動するためにコンフォメーション変化を受ける可能性がある。典型的には、膜または膜貫通ドメインにわたるペプチド配列は主として疎水性である。膜タンパク質は、細胞膜におけるシグナル伝達、物質輸送機関、エネルギー生産、細胞骨格の形成などに関与する。加えて、膜タンパク質は、可能性のある薬物標的として非常に重要である。このような膜輸送タンパク質の非限定的な例は、担体および/またはチャネルであり得る。特定には、このような膜輸送タンパク質の非限定的な例は、担体であり得る。用語「膜輸送タンパク質」、「担体」または「トランスポーター」は、本明細書で使用される場合、細胞膜中に埋め込まれた(単独で、または複合体の形態で)膜貫通タンパク質を指す(OhおよびAmidon(1999)により、Membrane Transporters as Drug Targets編、AmidonおよびSadee、Kluwer Academic/Plenum Publishers、ニューヨーク、第1章で総論されている)。担体/膜輸送タンパク質:チャネルまたは孔、およびトランスポーター(担体または透過酵素としても公知)の2つの一般的なクラスがある。チャネルおよびトランスポーターは、それらの転移メカニズムの点で異なる。チャネルは、親水性基を内層に有するタンパク質トンネルであり、調節事象によってそれが開くと、それらの電荷、サイズ、および幾何学的配置によって選択された小さいイオンの、それらの濃度勾配に沿った自由で迅速な通過を可能にする。トランスポーターは、分子と特異的および選択的に結合し、それらは膜を通じて、一部はその濃度勾配に応じて、一部はその濃度勾配に逆らって移動する。
【0093】
担体/膜トランスポーターは、薬物の取り込み(例えば溶質担体ファミリー(SLC)トランスポーター)および輸出(例えばABCトランスポーター)の重要なファシリテーターである。このような担体/膜トランスポーターは、いくつかの重要な方法で薬物動態および分布を変更することができる。これらの担体/膜トランスポーターの多くは、薬理学において主要な役割を果たす。そのようなものとして、これらの担体/膜トランスポーターは、がん化学療法剤に対するがん細胞の化学療法感受性と化学療法抵抗性の両方を媒介することにおいて重要な役割を果たす。ABCトランスポーターは、化学療法剤の細胞内濃度の減少および腫瘍細胞の多剤耐性の獲得にたびたび関連する。SLCトランスポーターは、アニオン、カチオン、ヌクレオシドおよびアミノ酸トランスポーターを含めて、これらのトランスポーターは親水性化合物の細胞内取り込みを容易にするため、化学療法剤への腫瘍細胞の感受性の増加に関連する。担体/膜トランスポーターは、受動または能動トランスポーターのどちらかに分類することができる。能動トランスポーターは、エネルギー共役および促進される輸送のプロセスに基づいて、さらに一次または二次能動トランスポーターに分類することができる。ABCトランスポーターは、ATPおよび固有のATPアーゼ活性によって駆動する化学的勾配に対して化合物を輸出する一次能動トランスポーターである。濃度勾配に沿った化合物の平衡化を許容する受動トランスポーターの大半、イオンポンプ、二次能動トランスポーターおよび交換体は、SLCトランスポーターファミリーに属する。トランスポーターは、2つのタイプのプロセスによって分子を移動させることができる。1つのプロセスにおいて、「促進拡散」トランスポーターは、それらの濃度勾配に沿って分子を移動させる。他のプロセスにおいて、「能動輸送」トランスポーターは、それらの濃度勾配に逆らって分子を移動させる。その勾配に逆らって分子を移動させるための能動輸送は、エネルギーを必要とする。一次能動トランスポーター、例えばNa/KATPアーゼまたはABCトランスポーターは、ATP加水分解または光からのエネルギーを使用し、イオン勾配および膜電位エネルギーを確立する。二次能動トランスポーター、例えばH/ペプチドトランスポーターは、他の分子を輸送するために一次能動トランスポーターによって確立されたpHまたはイオン勾配を使用する。二次能動輸送において、トランスポーターは、2つの別個の結合部位を使用して、一次イオンをその濃度勾配に沿って移動させて、二次溶質をその勾配に逆らって移動させるためのエネルギーを生産する。共役した溶質は、一次溶質(シンポート)と同じ方向に動くか、または逆の方向に動くか(アンチポート)のいずれかである。
【0094】
用語「輸送タンパク質」および「輸送分子」は、同義的に使用され、特定の標的溶質または溶質のクラスに特異的であり、1つまたはそれより多くの特異的な膜にも存在する輸送タンパク質を指す。原形質膜に局所する輸送分子は、周囲の環境との溶質の交換を許容するが、細胞内膜に局所する輸送分子(例えば、ゴルジ装置、小胞、ミトコンドリアの膜、ペルオキシソーム、リソソーム、小胞体、核、または空胞)は、オルガネラからオルガネラまたは細胞質への分子の移入および排出を許容する。例えば、ミトコンドリアの場合、内部および外部ミトコンドリア膜におけるトランスポーターは、糖分子、カルシウムイオン、および水(他の分子のなかでも特に)のオルガネラへの移入、ならびに新たに合成されたATPのサイトゾルへの排出を許容する。
【0095】
トランスポーターは、ホメオスタシスを調節する、成長および分裂する、ならびに他の細胞と伝達する、例えば、シグナル伝達分子、例えばホルモン、活性酸素種、イオン、神経伝達物質またはビタミンを輸送する細胞の能力において重要な役割を果たす。様々なヒト疾患および障害、例えば特定のタイプの肝臓障害(例えば、長鎖脂肪酸の輸送における欠陥に起因する(Al Odaibら(1998)New Eng. J. Med. 339:1752~1757)、高リジン血症(ミトコンドリアのリシン輸送欠陥(Oyanagiら(1986) Inherit. Metab. Dis.9:313~316))、および白内障(Wintour(1997)Clin. Exp. Pharmacol. Physiol.24(1):1~9)などが、トランスポーターまたは他の膜輸送分子における欠陥に関連がある。
【0096】
本明細書に記載される場合、さらに本発明に関連して、TMPBMは、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であってもよく、例えば、これらに限定されないが、SLC1(高親和性グルタミン酸および中性アミノ酸トランスポーター)、SLC2(促進型のGLUTトランスポーター)、SLC3(ヘテロ型のアミノ酸トランスポーターの重いサブユニット)、SLC4(炭酸水素塩トランスポーター)、SLC5(ナトリウムグルコースコトランスポーター)、SLC6(ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーター)、SLC7(カチオン性アミノ酸トランスポーター/糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター)、SLC8(Na+/Ca2+交換体)、SLC9(Na+/H+交換体)、SLC10(ナトリウム胆汁酸塩共輸送)、SLC11(プロトン共役金属イオントランスポーター)、SLC12(電気的中性のカチオン-Clコトランスポーター)、SLC13(ヒト硫酸ナトリウム/カルボン酸コトランスポーター)、SLC14(尿素トランスポーター)、SLC15(プロトンオリゴペプチドコトランスポーター)、SLC16(モノカルボン酸トランスポーター)、SLC17(小胞グルタミン酸トランスポーター)、SLC18(小胞アミントランスポーター)、SLC19(葉酸/チアミントランスポーター)、SLC20(III型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC21/SLCO(有機アニオントランスポーター)、SLC22(有機カチオン/アニオン/双性イオントランスポーター)、SLC23(Na+依存性アスコルビン酸トランスポーター)、SLC24(Na+/(Ca2+-K+)交換体)、SLC25(ミトコンドリア担体)、SLC26(多官能性アニオン交換体)、SLC27(脂肪酸輸送タンパク質)、SLC28(Na+共役ヌクレオシド輸送)、SLC29(促進型のヌクレオシドトランスポーター)、SLC30(亜鉛流出)、SLC31(銅トランスポーター)、SLC32(小胞阻害性アミノ酸トランスポーター)、SLC33(アセチル-CoAトランスポーター)、SLC34(II型リン酸ナトリウムコトランスポーター)、SLC35(ヌクレオシド-糖トランスポーター)、SLC36(プロトン共役アミノ酸トランスポーター)、SLC37(糖-リン酸/リン酸交換体)、SLC38(システムAおよびN、ナトリウム共役中性アミノ酸トランスポーター)、SLC39(金属イオントランスポーター)、SLC40(基底外側膜における鉄トランスポーター)、SLC41(MgtE様マグネシウムトランスポーター)、SLC42(Rhアンモニウムトランスポーターファミリー(未決定))、SLC43(Na+非依存性のシステムL様アミノ酸トランスポーター)、SLC44(コリン様トランスポーター)、SLC45(推定の糖トランスポーター)、SLC46(葉酸トランスポーター)、SLC47(多剤および毒素排出(MATE))、SLC48(ヘムトランスポーター)、SLC49(FLVCR関連トランスポーター)、SLC50(糖流出トランスポーター)、SLC51(ステロイドから誘導された分子のトランスポーター)、およびSLC52(リボフラビントランスポーター)、SLC53(リン酸担体)、SLC54(ミトコンドリアのピルビン酸担体)、SLC55(ミトコンドリアのカチオン/プロトン交換体)、SLC56(シデロフレキシン)、SLC57(NiPA様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC58(MagT様マグネシウムトランスポーターファミリー)、SLC59(ナトリウム依存性リゾホスファチジルコリンシンポーターファミリー)、SLC60(グルコーストランスポーター)、SLC61(モリブデン酸トランスポーターファミリー)、SLC62(ピロリン酸トランスポーター)、SLC63(スフィンゴシン-リン酸トランスポーター)、SLC64(ゴルジCa2+/H+交換体)、SLC65(NPC型コレステロールトランスポーター)タンパク質からなる群から選択されるSLCファミリーのSLCから選択されるSLCに結合するTMPBMであってもよい。
【0097】
さらに、TMPBMは、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であってもよく、例えば、これらに限定されないが、CLN3、DIRC2、FLVCR1、FLVCR2、MFSD1、MFSD10、MFSD11、MFSD12、MFSD13A、MFSD14A、MFSD14B、MFSD2A、MFSD2B、MFSD3、MFSD4A、MFSD4B、MFSD5、MFSD6、MFSD6L、MFSD8、MFSD9、MPC1、MPC1L、MPC2、MTCH1、MTCH2、OCA2、RHAG、RHBG、RHCG、SPNS1、SPNS2、SPNS3、SV2A、SV2B、SV2C、SVOP、SVOPL、TMEM104、UCP1、UCP2、UCP3、UNC93A、UNC93B1、XPR1からなる群から選択される主要ファシリテーターファミリーのメンバーに結合するTMPBMであってもよい;例えば、Perlandら、Open Biol.2017年9月;7(9):1701422;PMID:28878041を参照されたい。
【0098】
特定には、非限定的な例として、TMPBMは、SLC9(Na+/H+交換体)ファミリータンパク質、さらにより好ましくはSLC9Aサブファミリータンパク質から選択されるものに結合することができる。
【0099】
二次トランスポーターの30を超えるファミリーがあり、これはまた、溶質担体またはSLCとしても公知である(Bergerら(2000)によって、The Kidney: Physiology and Pathophysiology、Seldin DWおよびGiebisch編、Lippincott, WilliamsおよびWilkins、Philadelphia 1:107~138で総論されている;HUGO遺伝子命名法委員会(HUGO gene nomenclature committee)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)、英国;特定には遺伝子命名法委員会(HGNC)によって維持されるウェブサイトを参照されたい;また、(http://slc.bioparadigms.org/;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3853582;https://salilab.org/pdf/Schlessinger_ClinPharmacolTher_2013.pdf;https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/09687688.2018.1448123;Perlandら、Open Biol. 2017年9月;7(9):1701422;PMID:28878041;https://re-solute.eu/knowledgebaseも参照されたい)。
【0100】
例えば、SLC9ファミリーの配列は、https://www.uniprot.orgによって提供される配列を含んでいてもよい。このようなSLC9ファミリーの配列としては、これらに限定されないが、P19634とも表記され、配列番号1を有するSLC9A1;Q9UBYOとも表記され、配列番号2を有するSLC9A2;P48764とも表記され、配列番号3を有するSLC9A3;Q6AI14とも表記され、配列番号4を有するSLC9A4;Q6AI14とも表記され、配列番号4を有するSLC9A4;Q14940とも表記され、配列番号5を有するSLC9A5;Q92581とも表記され、配列番号6を有するSLC9A6;Q96T83とも表記されるSLC9A7;Q9Y2E8とも表記され、配列番号7を有するSLC9A8;Q8IVB4とも表記され、配列番号8を有するSLC9A9;Q4ZJI4とも表記されるSLC9B1;Q86UD5とも表記され、配列番号9を有するSLC9B2;Q4G0N8とも表記されるSLC9C1;およびQ5TAH2とも表記されるSLC9C2が挙げられる。
【0101】
用語「SLC」、「溶質担体」または「SLCトランスポーター」は、本明細書で使用される場合、同義的に使用され、対応するSLC遺伝子によってコードされたタンパク質を指し、例えば用語「SLC9A1ポリペプチド」は、SLC9A1遺伝子によってコードされたポリペプチドを意味する。SLCはまた、当業者によって認識される他の名称によっても当業界において公知であり、例えばSLC9A1はNHE-1としても当業界において公知である。
【0102】
「SLC」、「溶質担体」または「SLCトランスポーター」は、本明細書で使用される場合、異なるメンバーに属することもあり、例えば、これに限定されないが、アミノ酸トランスポーターなどが挙げられる。以下の溶質担体ファミリーのメンバーが挙げられる:
(A)高親和性グルタミン酸および中性アミノ酸トランスポーター、例えば、SLClAl、SLC1A2、SLC1A3、SLC1A4、SLC1A5、SLC1A6、SLC1A7など;
(B)促進型のGLUTトランスポーター、例えば、SLC2A1、SLC2A2、SLC2A3、SLC2A4、SLC2A5、SLC2A6、SLC2A7、SLC2A8、SLC2A9、SLC2A10、SLC2A11、SLC2A12、SLC2A13、SLC2A14など;
(C)ヘテロ型のアミノ酸トランスポーターの重いサブユニット、例えば、SLC3A1、SLC3A2など;
(D)炭酸水素塩トランスポーター、例えば、SLC4A1、SLC4A1、SLC4A2、SLC4A3、SLC4A4、SLC4A5、SLC4A6、SLC4A7、SLC4A8、SLC4A9、SLC4A10、SLC4A11など;
(E)ナトリウムグルコースコトランスポーター、SLC5A1、SLC5A2、SLC5A3、SLC5A4、SLC5A5、SLC5A6、SLC5A7、SLC5A8、SLC5A9、SLC5A10、SLC5A11、SLC5A12;
(F)ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーター、例えば、SLC6A1、SLC6A2、SLC6A3、SLC6A4、SLC6A5、SLC6A6、SLC6A7、SLC6A8、SLC6A9、SLC6A10、SLC6A11、SLC6A12、SLC6A13、SLC6A14、SLC6A15、SLC6A16、SLC6A17、SLC6A18、SLC6A19、SLC6A20など;
(G)カチオン性アミノ酸トランスポーター/糖タンパク質関連、例えば、SLC7A1、SLC7A2、SLC7A3、SLC7A4、SLC7A5、SLC7A6、SLC7A7、SLC7A8、SLC7A9、SLC7A10、SLC7A11、SLC7A13、SLC7A14など;
(H)Na+/Ca2+交換体、例えば、SLC8A1、SLC8A2、SLC8A3など;
(I)Na+/H+交換体、例えば、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、SLC9A9、SLC9A10、SLC9A11など;
(J)有機カチオン/アニオン/双性イオントランスポーター、例えば、SLC22A1、SLC22A2、SLC22A3、SLC22A4、SLC22A5、SLC22A6、SLC22A7、SLC22A8、SLC22A9、SLC22A10、SLC22A11、SLC22A12、SLC22A13、SLC22A14、SLC22A15、SLC22A16、SLC22A17、SLC22A18、SLC22A19、SLC22A20など;
(K)Na+/(Ca2+-K+)交換体、例えば、SLC24A1、SLC24A2、SLC24A3、SLC24A4、SLC24A5、SLC24A6など;
(L)多官能性アニオン交換体、例えば、SLC26A1、SLC26A2、SLC26A3、SLC26A4、SLC26A5、SLC26A6、SLC26A7、SLC26A8、SLC26A9、SLC26A10、SLC26A11など;
(M)H+/アミノ酸シンポーター、例えば、SLC36A1、SLC36A2、SLC36A3、SLC36A4など;
(N)システムAおよびN、ナトリウム共役中性アミノ酸トランスポーター、例えば、SLC38A1、SLC38A2、SLC38A3、SLC38A4、SLC38A5、SLC38A6など;および
(O)Na+非依存性システムL様アミノ酸トランスポーター、例えば、SLC43A1、SLC43A2、SLC43A3など;
(O)Na+非依存性のシステムL様アミノ酸トランスポーター、例えば、SLC43A1、SLC43A2、SLC43A3など。
【0103】
膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質は、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体によってユビキチン化され得る。特定には、本発明者らは、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質は、本発明の化合物によって認識できることを見出した。このような膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質はさらに、本発明の化合物の非存在下で、E3リガーゼ複合体/カリン-RINGユビキチンリガーゼ複合体/CRL複合体によって認識されないタンパク質を含む場合がある。したがって、驚くべきことに、本発明の化合物は、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を誘導する、すなわちユビキチン化/プロテアソーム系による膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の分解をもたらすことができることが見出された。
【0104】
1つの特定の実施態様において、TMPBMは、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であってもよく;
(i)SLC(i)は、細胞表面、小胞体(ER)、ゴルジ装置、ミトコンドリア、細胞内小胞および/またはリソソーム上に配置されたSLCであってもよく;例えば、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A1、SLC2A3、SLC16A1;SLC1A5;SLC4A4およびSLC7A3からなる群から選択されてもよく;ERに配置されたSLCは、SLC30A9およびSLC39A7からなる群から選択することができ、ゴルジ装置上のSLCは、SLC35B2およびSLC33A1であってもよく、ミトコンドリア上のSLCは、SLC25A50(ミトコンドリア担体ホモログ2(MTCH2)とも表記される)であってもよく、リソソーム中に配置されたSLCは、SLC38A9であってもよい。より特定には、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4、SLC7A3、SLC1A5およびSLC2A1であってもよく、さらにより特定にはSLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4およびSLC7A3であってもよく;および/または
(ii)SLCは、SLC9ファミリーのメンバーであってもよく:例えば、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、SLC9A9、SLC9B1、SLC9B2、SLC9C1およびSLC9C2であってもよい。特定には、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A8、SLC9A9およびSLC9B2であってもよい。さらにより特定には、SLCは、SLC9A1、SLC9A2およびSLC9A4であってもよく、さらにより特定には、SLCは、SLC9A1であってもよい。一実施態様において、TMPBMは、SLC9A1に結合する部分であってもよい。
【0105】
他の特定の実施態様において、TMPBMは、溶質担体(SLC)タンパク質に結合する部分であってもよく;
(i)SLC(i)は、細胞表面、小胞体(ER)、ゴルジ装置、ミトコンドリア、細胞内小胞および/またはリソソーム上に配置されたSLCであってもよく;例えば、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A1、SLC2A3、SLC16A1;SLC4A4およびSLC7A3からなる群から選択されてもよく;ERに配置されたSLCは、SLC30A9およびSLC39A7からなる群から選択することができ、ゴルジ装置上のSLCは、SLC35B2およびSLC33A1であってもよく、ミトコンドリア上のSLCは、SLC25A50(ミトコンドリア担体ホモログ2(MTCH2)とも表記される)であってもよく、リソソーム中に配置されたSLCは、SLC38A9であってもよい。より特定には、細胞表面上に配置されたSLCは、SLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4、SLC7A3、SLC1A5およびSLC2A1であってもよく、さらにより特定にはSLC38A1、SLC38A2、SLC2A3、SLC1A5、SLC16A1、SLC4A4およびSLC7A3であってもよく;
および/または
(ii)SLCは、SLC9ファミリーのメンバーであってもよく:例えば、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、SLC9A9、SLC9B1、SLC9B2、SLC9C1およびSLC9C2であってもよい。特定には、SLCは、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、SLC9A9、SLC9B1およびSLC9B2であってもよい。さらにより特定には、SLCは、SLC9A1、SLC9A2およびSLC9A4であってもよく、さらにより特定には、SLCは、SLC9A1であってもよい。一実施態様において、TMPBMは、SLC9A1に結合する部分であってもよい。
【0106】
本明細書で開示された、本発明に関連する細胞内小胞は、例えば、シナプス小胞、インスリン顆粒またはファゴソームであり得る。当業者は、明確に、膜貫通タンパク質、例えばSLCタンパク質を有する細胞内小胞を明確に同定することができ、さらに、例えばこのような細胞内小胞上のSLCファミリーから膜貫通タンパク質のサブタイプを同定することができる。
【0107】
一実施態様において、TMPBMは、膜貫通タンパク質のあらゆる結合部位上の結合部位の部分であってもよい。例えば、膜貫通タンパク質の結合部位は、機能的な作用がないものでもよく、例えば阻害性、アロステリックおよび/または活性化作用がないものでもよい。一実施態様において、TMPBMは、SLCなどの膜貫通タンパク質の、阻害性の部位、アロステリックな結合部位に結合する部分であってもよい。
【0108】
結合部位の非限定的な例は、SLCなどの膜貫通タンパク質の、活性化に関する部位、阻害性の部位またはアロステリックな結合部位である。用語「オルソステリックな結合部位」は、本明細書で使用される場合、内因性化合物と結合する膜貫通タンパク質内の部位を指す。それに対して、用語「アロステリックな結合部位」は、化合物が結合するオルソステリックな結合部位以外の部位を指す。したがって、アロステリック化合物は、オルソステリックな結合部位とは空間的に異なる部位を介して膜貫通タンパク質に結合する。例えば、本明細書で開示され、本発明に関連して使用される化合物のアロステリックな結合部位への、膜貫通タンパク質の結合は、前記膜貫通タンパク質の機能を維持する可能性がある。別の例として、本明細書で開示され、本発明に関連して使用される化合物のアロステリックな結合部位への、膜貫通タンパク質の結合は、前記膜貫通タンパク質の機能を変更する可能性がある前記膜貫通タンパク質のコンフォメーション変化をもたらす可能性がある。用語「阻害性結合部位」は、阻害性化合物と結合する膜貫通タンパク質内の部位を指す。言い換えれば、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の阻害性結合部位に結合した本明細書で開示され、本発明に関連して使用される化合物は、前記膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の機能を減少および/または枯渇させる可能性がある。
【0109】
一実施態様において、本発明は、カリンRING E3リガーゼによって、標的タンパク質/標的タンパク質のユビキチン化、すなわち膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質/膜貫通の分解を刺激/誘導する化合物を提供し、この場合、本化合物は、本明細書で開示され、添付の実施例で例示される1種または複数の式(I)の化合物である。この発明の方法で同定される化合物が、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を刺激/誘導することができる、および/またはその可能性があるかどうかの対応する読み出しは、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のレベルの測定であり得る。標的膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質の前記「レベル」が、本化合物の非存在下で決定された「レベル」と比較して、本化合物の存在下で減少している場合、前記化合物は、E3ユビキチンリガーゼの活性を刺激/誘導することができる。例えば、化合物が膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質を、特定には膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のユビキチン化を誘導することによって分解できるかどうかの予測は、例えば、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質レベルにおける変化倍率の決定によって評価することができる。このため、化合物がタンパク質を分解するかを同定するためのそれぞれの変化倍率値は、膜貫通タンパク質/膜貫通タンパク質のレベルの測定値を指す。変化倍率値は、当業界において公知のこれまでに記載された方法によって決定することができる。例えば、変化倍率値を確立するために定量的なアッセイのばらつきの程度を評価することにおいて変動係数を使用するための方法は当業者公知である(Reedら、Clin Diagn Lab Immunol.2002;9(6):1235~1239)。
【0110】
一実施態様において、本発明は、薬における使用のための化合物に関する。用語「薬」は、本明細書で使用される場合、処方薬および処方箋不要な医薬品を含む一般名称であることが意図される。薬における使用のための化合物は、健康状態を維持すること、または疾患、好ましくはがんからの回復を促進することにおいて有用であるとして理解されるものとする。さらに、用語「薬」は、あらゆる形態の薬を含み、その例としては、これらに限定されないが、例えば、丸剤、軟膏、クリーム剤、散剤、軟膏剤、カプセル剤、注射可能な薬剤、ドロップ、ビタミンおよび坐剤が挙げられる。この発明の範囲は、薬のタイプ、形態または投薬量によって限定されない。本発明の一形態において、化学物質または薬剤は、がんの処置における使用のためである。
【0111】
本発明に関連して、本化合物は、例えばユビキチン化を介して標的タンパク質/標的タンパク質を分解することが望ましい疾患および/または障害の処置において、特に医薬として有用である。したがって、一実施態様において、本発明は、本明細書で開示された、本発明に関連する化合物を含む組成物を指す。用語「組成物」、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、そこに含有される活性成分の生物学的活性が有効になることを許容するような形態であり、医薬組成物が投与されると予想される対象にとって容認し難い程の毒性を有する追加の成分を含有しない調製物を指す。「処置」(およびその文法上の変化形、例えば「処置する」または「処置すること」)は、本明細書で使用される場合、処置されている個体における疾患の自然な経過を変更するための試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理学的状態の経過中のいずれかに実行することができる。処置の望ましい作用としては、これらに限定されないが、疾患の出現または再発の防止、症状の軽減、疾患のあらゆる直接または間接的な病理学的な結果の減弱、疾患の進行速度の減少、疾患の状態の緩和または一時的緩和、および寛解または改善された予後が挙げられる。「軽減」、「軽減」、またはそれらに等しい表現は、治療的処置と予防的または防止措置の両方を指し、この場合、目的は、疾患または状態、例えばアテローム斑の形成を、緩和する、防止する、スローダウンさせる(小さくする)、減少させる、または抑制することである。処置が必要なものとしては、すでに疾患または状態を有するもの、加えて、疾患または状態を生じさせる傾向があるもの、または疾患または状態を防止しようとするものが挙げられる。
【0112】
本発明はまた、このような疾患または障害を処置する方法であって、このような処置を必要とする個体に、本発明の化合物、すなわち標的タンパク質/標的タンパク質のユビキチン化を刺激/誘導することができる化合物を投与することを含む、前記方法も提供する。「障害」、「疾患」、または「状態」は、本明細書において同義的に使用され、本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)での処置によって利益を得ると予想されるあらゆる状態である。この例としては、慢性および急性の障害または疾患が挙げられ、哺乳動物を問題の障害に罹りやすくする病的な状態なども含む。
【0113】
多数の疾患が、本発明の化合物によって処置または防止することができる。これらの例としては、2p21微小欠失症候群、異常な協調、角膜の異常、欠神発作、痛み、ib型(障害)軟骨無発生症、アシドーシス、先端皮膚炎、腸性先端皮膚炎、急性脳血管発作、急性錯乱性老年痴呆、急性腎損傷、急性腎機能不全、急性肺損傷、肺腺癌(障害)、腺様嚢胞癌、腺腫、基底細胞腺腫、小嚢胞性腺腫、単形性腺腫、索状腺腫、成人のファンコーニ症候群、成人の学習障害、成人の神経セロイドリポフスチン症、成人期発症の2型シトルリン血症、薬物に対する有害反応、精神病性の情動障害、加齢性黄斑変性症、加齢性記憶障害、ハンチントン病の寡動型(akinetic-rigid variant)、眼白子症、アルコール乱用、アルコール感受性、アルコール使用障害、アルコール離脱発作、アルコール離脱によって誘発された大運動発作、アルコール中毒、慢性アルコール中毒、アラン-ハーンドン-ダドリー症候群(ahds)、異痛症、アロキサン糖尿、小児の交代性片麻痺、早期発症型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、アルツハイマー病、焦点起始性の(focal onset)アルツハイマー病、エナメル質形成不全、エナメル質形成不全未成熟型、iia5未成熟型エナメル質形成不全、iii型エナメル質形成不全、先天性アミノ酸代謝異常、先天性アミノ酸代謝異常障害、アンフェタミン乱用、アンフェタミン中毒、アンフェタミン関連障害、筋萎縮性側索硬化症、認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症、グアム型筋萎縮性側索硬化症、未分化癌、全身水腫、貧血、溶血性貧血、後天性溶血性貧血、特発性後天性溶血性貧血、遺伝性球状赤血球性溶血性貧血、鉄過剰を伴う低色素性小赤血球性貧血、鉄過剰を伴う低色素性小赤血球性貧血1、微小血管症性貧血、ピリドキシン不応性の鉄芽球性貧血2、ピリドキシン不応性の常染色体劣性鉄芽球性貧血、性快感消失、動物乳房新生物、不安障害、不安神経症(所見)、神経症性の不安状態、胸部大動脈瘤、大動脈弁石灰化、無呼吸、韻律障害、動脈蛇行、動脈蛇行症候群、関節拘縮、関節拘縮、精神遅滞および発作、かのようなパーソナリティ(as if personality)、アスペルガー症候群、失調、四肢失調、運動失調、感覚性運動失調、体幹運動失調、遺伝性運動失調、成長不全性骨形成症(atelosteogenesis)2型、アテローム発生、アテローム性動脈硬化症、無緊張性の欠神発作、萎縮性、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、異型乳管過形成、喘息前兆、自閉症スペクトラム障害、自閉性障害、自己免疫性溶血性貧血、常染色体優性若年性パーキンソン病、常染色体優性パーキンソン症候群、常染色体劣性パーキンソン症候群、常染色体劣性多発性嚢胞腎、常染色体劣性一次性小頭症、常染色体劣性鉄芽球性貧血、回避性人格障害、覚醒時てんかん、非閉塞性無精子症、バレット上皮、バレット食道、バレット病、出生前の1型バーター症候群、基底細胞癌、特発性基底核石灰化症6、ビオチン応答性基底核疾患、基底核疾患、良性新生物、両側性難聴、胆汁酸coaリガーゼ欠損および欠陥のあるアミド化、一次胆汁酸吸収不良、胆汁性肝硬変、二次胆汁性肝硬変、双極性障害、双極I型障害、Birk-Landau-Perez症候群、膀胱新生物、胚盤胞の崩壊、肥満指数の量的形質遺伝子座11、肥満指数の量的形質遺伝子座4(障害)、骨疾患、発達性骨疾患、脳疾患、脳ドーパミン-セロトニン小胞輸送疾患、脳出血、脳傷害、局所性脳損傷、脳虚血、脳裂傷、乳がん、家族性乳がん、乳癌、ブリトル糖尿病、細気管支肺胞腺癌、茶色の眼皮膚白皮症(brown oculocutaneous albinism)、Brown-Vialetto-van Laere症候群、Brown-Vialetto-van Laere症候群2、ブルセラ症、ブルセラ肺炎、球麻痺、やけどによって誘発された多臓器損傷、ブルーリ潰瘍、石灰沈着、ピロリン酸カルシウム関節症、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、胎児性がん、胎児性および混合性がん、大麻の使用、炭水化物欠乏糖タンパク質症候群2k型、癌腫、肺癌、紡錘細胞癌、癌腫症、心不整脈、心臓肥大症、心臓虚血再灌流、心臓肥大、拡張型心筋症、家族性特発性心筋症、心臓血管疾患、心臓炎、カルニチン-アシルカルニチントランスロカーゼ欠損症、白内障、白内障47、白内障および心筋症、小角膜および糖尿を伴う若年性白内障、セリアック病、中枢性甲状腺機能低下症、脳傷害、脳虚血、脳血管発作、脳血管障害、神経セロイドリポフスチン症7、parry型神経セロイドリポフスチン症、セルロプラスミン欠損症、子宮頸がん、シャルコー-マリー-ツース病、ia型(障害)シャルコー-マリー-ツース病、ib型シャルコー-マリー-ツース病、化学物質および薬物によって誘発された肝臓傷害、化学物質によって誘発された肝臓毒性、子供の発達偏差、特定の子供の発達障害、小児急性リンパ芽球性白血病、小児進行性球麻痺、小児チック障害、胆管細胞癌、総胆管嚢胞、i型総胆管嚢胞、ii型総胆管嚢胞、iii型総胆管嚢胞、iv型総胆管嚢胞、v型総胆管嚢胞、胆汁欝滞、新生児における胆汁欝滞、エピソード性舞踏病アテトーゼ/痙直、嫌色素性腎細胞癌、慢性うつ病、慢性運動または音声チック症障害、硬変症、新生児発症ii型シトルリン血症、口蓋裂、分離した口蓋裂、上唇裂、早口症、コカイン乱用、コカイン依存症、コカインによって誘発された気分障害、コカイン関連障害、認知障害、認知機能障害、寒冷血球凝集素病、腎臓の集合管癌、コロジオン児、結腸がん、結腸新生物、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸新生物、複合d-2-およびl-2-ヒドロキシグルタル酸尿症、複合酸化的リン酸化欠損症18、複合酸化的リン酸化欠損症28、完全な聴力損失、複雑部分発作、複雑部分発作重積状態、前腫瘍状態、心臓の伝導障害、先天性非進行性錐体-桿体シナプス障害(cone-rod synaptic disorder)、先天性異常、先天性貧血、上行大動脈の先天性動脈瘤、先天性白内障、聴力損失および神経変性、先天性クロール下痢症、2型c先天性グリコシル化異常症、iif型先天性グリコシル化異常症、iim型先天性グリコシル化異常症、iin型先天性グリコシル化異常症、先天性グリコシル化異常症、先天性グルコース-ガラクトース吸収不良、先天性心臓欠陥、先天性甲状腺機能低下症、先天性魚鱗癬、後シナプス性先天性筋無力症候群、前シナプス性先天性筋無力症候群(presynaptic congenital myasthenic syndrome)、先天性ミオパチー(障害)、先天性非水泡性魚鱗癬様紅皮症、ナトリウム型(障害)先天性分泌性下痢、うっ血性心不全、結合組織疾患、便秘、便秘型過敏性腸症候群、接触皮膚炎、接触過敏症、従来の(明細胞)腎細胞癌、痙攣、痙攣発作、角膜ジストロフィーおよび感音難聴、フックス角膜内皮ジストロフィー4、角膜内皮ジストロフィー2、角膜混濁、脳梁の非形成性神経細胞障害(agenesis neuronopathy)、皮質異形成、コクサッキーウイルス感染、頭蓋顔面の異常、常染色体優性頭蓋骨骨幹端異形成症、頭蓋骨骨関節症(cranioosteoarthropathy)、頭蓋骨癒合症、X連鎖性クレアチン欠乏症、クローン病、大腸のクローン病、回腸のクローン病、精神遅滞を伴うストマチン欠乏性クリオハイドロサイトーシス(cryohydrocytosis)、発作、白内障、および巨大肝脾腫大(massive hepatosplenomegaly)、嚢胞性線維症、嚢胞性線維症モディファイヤー(cystic fibrosis modifier)1、シスチン尿症、a型シスチン尿症、a-b型シスチン尿症、b型シスチン尿症、血球減少症、デラシャペル異形成、デトーニ-ドゥブレ-ファンコーニ症候群、聾唖症、聴覚消失症、後天性聴覚消失症、常染色体優性25(障害)聴覚消失症、常染色体優性72聴覚消失症、前庭水管拡大を伴う常染色体劣性4聴覚消失症、常染色体劣性61聴覚消失症、グルタミン酸デカルボキシラーゼ欠乏、変性性多発関節炎、譫妄、認知症、抑うつ気分、うつ病、双極性うつ病、神経症性抑うつ、産後うつ病、抑うつ障害、治療抵抗性うつ病性障害、抑うつ性症状、抑うつ症候群、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、発達性学習障害、発達障害、糖尿病、実験的糖尿病、インスリン依存性糖尿病、ケトーシスになりやすい糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、2型糖尿病、自己免疫性糖尿病、糖尿病性心筋症、糖尿病白内障、下痢、変形性異形成、ジカルボキシルアミノ酸尿症、疾患増悪、遠位尿細管性アシドーシス、ダウン症候群、部分的トリソミー21ダウン症候群、薬物乱用、薬物依存症、薬物嗜癖、薬物毒性、薬物使用による障害、薬物禁断症状、薬物誘発性急性肝臓傷害、薬物誘発性抑うつ状態、薬物誘発性肝疾患、腺管癌、構音障害、弛緩性構音障害、喉音性構音障害(guttural dysarthria)、複合性構音障害、韻律構音障害(scanning dysarthria)、痙性構音障害、器質性構音障害(dysglossia)、発語障害、異骨性骨硬化症(dysosteosclerosis)、不快な気分、気分変調性障害、ジストニア、ジストニア18(障害)、日中のジストニア、四肢ジストニア、発作性ジストニア、耳疾患、サプレッションバーストを伴う早期乳児てんかん性脳症、早期ミオクローヌス脳症、乳児湿疹、浮腫、エーラース-ダンロス症候群、iv型エーラース-ダンロス症候群、楕円赤血球症4、遺伝性楕円赤血球症、胚喪失、胎芽喪失、胎児性新生物、胎児性横紋筋肉腫、脳破壊性増殖性血管障害、脳症、内因性うつ病、子宮内膜腫、子宮内膜症、エンテロウイルス感染、てんかん、前頭葉極性てんかん(anterior fronto-polar epilepsy)、良性精神運動小児てんかん、小児欠神てんかん、帯状回てんかん、潜在性てんかん、前頭葉てんかん、特発性全般てんかん12に対する感受性、特発性全般てんかん14に対する感受性、外側側頭葉てんかん、弁蓋部てんかん(opercular epilepsy)、眼窩前頭てんかん(orbito-frontal epilepsy)、ピリドキシン依存性てんかん、補足運動野てんかん、側頭葉てんかん、てんかん性転倒発作、てんかん性脳症、早期乳児てんかん性脳症25、早期乳児てんかん性脳症34、早期乳児てんかん性脳症41、てんかん発作、多発性骨端異形成症4、6型(障害)発作性運動失調症、赤血球乳酸トランスポーター欠損、赤血球増加症、食道新生物、大理石状態、リボフラビン応答性運動不耐性、実験的肝癌、外眼筋麻痺、肝外胆管細胞癌、錐体外路障害、血管外溶血、ファール症候群(障害)、家族性アルツハイマー病(fad)、家族性無セルロプラスミン欠損症、家族性認知症、家族性若年性パーキンソン症候群、家族性メニエール病、家族性腎性糖尿、ファンコーニ症候群、ファンコーニ-ビッケル症候群、脂肪肝、ファチオーロンド症候群、線維症、肝線維症、弛緩性筋緊張、弛緩した筋肉、遺伝性葉酸吸収障害、濾胞性腺腫、食物アレルギー、中心窩の形成不全2、中心窩の形成不全および前上葉区の形成不全、ファウラー症候群、骨折、らせん骨折、良性の小児前頭葉てんかん、fuchs内皮ジストロフィー、胃がん、胃腸の機能不全、胃腸新生物、消化管間質性肉腫、消化管間質腫瘍、全身性欠神発作、全身性膿疱性乾癬、全身性発作、生殖細胞がん、胚細胞腫瘍、ジャノッティ-クロスティ症候群、ギテルマン症候群、緑内障、神経膠腫、糸球体ろ過率、糸球体硬化症、グルコース-6-リン酸輸送欠損、glut1欠損症候群、常染色体劣性glut1欠損症候群1、正常な血清グリシンを伴うグリシン脳症、グリコーゲン蓄積症ic型、グリコーゲン蓄積症id型、腎性糖尿、甲状腺腫、ゴーリン-ショードリー-モス症候群、痛風、痛風感受性2、大発作のてんかん重積状態、味覚発作、道化胎児、ハートナップ病、頭頸部扁平上皮癌、聴覚障害、極端な聴力損失、心代償不全、心疾患、心不全、右心不全、血液病、ヘモクロマトーシス、4型ヘモクロマトーシス、溶血(障害)、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝臓脂肪症、B型肝炎、薬物誘発性肝炎、中毒性肝炎、モーリス肝癌、ノビコフ肝癌、肝腫大、遺伝性明細胞腎細胞癌、遺伝性ばち指形成、遺伝性びまん性胃がん、遺伝性ヘモクロマトーシス、遺伝性びっくり病、遺伝性運動および感覚ニューロパチーi型、視神経萎縮症(障害)を伴う遺伝性運動および感覚ニューロパチー、
遺伝性運動および感覚の-ニューロパチーii型、遺伝性球状赤血球症、ヘルペス脳炎、ヘルペス性急性壊死性脳炎、ヘルペス髄膜脳炎、HHH症候群、組織球症、関節拘縮および感音性難聴を伴う組織球症、HIV重感染、HIV感染、ハンチントン病、遅発性ハンチントン病、水頭症、胎児水腫、過活動の挙動、痛覚過敏、一次痛覚過敏、二次痛覚過敏、温熱性痛覚過敏、高アンモニア血症(hyperammonaemia)、高アンモニア血症(hyperammonemia)、高カルシウム血症、乳児特発性高カルシウム血症、乳児高カルシウム血症、乳児高カルシウム血症1、乳児高カルシウム血症2、高カルシウム尿症、家族性高コレステロール血症、びっくり病3、グリシン過剰尿(障害)、高ホモシステイン血症、家族性高インスリン性低血糖症7、脱共役タンパク質2欠損による高インスリン血症、全身性運動亢進、ジストニアを伴う高マンガン血症2、ジストニア、赤血球増多症および硬変症を伴う高マンガン血症、高シュウ酸尿、高リン酸塩血、色素沈着過度、高血圧疾患、多毛症、肥大性心筋症、原発性常染色体優性肥大性骨関節症、原発性常染色体劣性肥大性骨関節症2、高尿酸血症、性機能低下症、孤立性低ゴナドトロピン性性機能低下症、低ゴナドトロピン性性機能低下症、広汎性大脳ミエリン形成不全(global cerebral hypomyelination)、低リン酸血症、高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病、低血圧、甲状腺機能低下症、筋緊張低下-シスチン尿症症候群、腎性低尿酸血症2、先天性魚鱗癬ii、魚鱗癬未熟児症候群、先天性常染色体劣性魚鱗癬6、特発性自己免疫性溶血性貧血、特発性全般てんかん、特発性低ゴナドトロピン性性機能低下症、IgA糸球体腎炎、回結腸炎(iieocolitis)、イミノグリシン尿症、入浴に関連するてんかん、耐糖能障害、衝撃に悩まされる人格(impulse-ridden personality)、不適性人格、先天性代謝異常症、乳児遊離シアル酸蓄積症、乳児神経セロイドリポフスチン症、乳児眼振、乳児シアル酸蓄積症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性腸疾患、脳虚血および外傷性脳傷害における炎症性応答、インフルエンザ、急性脳傷害、インスリン耐性、インスリン耐性に対する感受性、インスリン感受性、神経精神病学的な特徴を有する知的発達障害、知的発達障害、内眼筋麻痺、腸閉塞、頭蓋内出血、頭蓋内高血圧、肝内胆管細胞癌、血管内溶血、退行期うつ病、退行期パラフレニー、鉄欠乏性貧血、鉄過剰、興奮心、ジャクソン型発作、若年性関節炎、若年性ハンチントン病、若年性神経セロイドリポフスチン症、若年性乾癬性関節炎、若年発症性スティル病、ケトン性低血糖症、腎結石、腎疾患、急性腎不全、腎損傷、腎臓新生物、kohlschutter tonz症候群、脊柱後彎症(kohlschutter tonz syndrome)、乳酸アシドーシスによって誘発された肺静脈催不整脈、乳酸アシドーシスによって誘発された敗血症、遅発型小児性神経セロイドリポフスチン症(lipfuscinosis)、学習障害(learning disabilities)、学習障害(learning disorder)、学習障害(learning disturbance)、左心不全、内臓リーシュマニア症、水晶体混濁、レンズ核線条体の障害、ハンセン病、白血病、急性リンパ性白血病l2、白質ジストロフィー、リブマン-サックス心内膜炎病、lichtenstein-knorr症候群、リポイドーシス、肝臓がん、肝臓癌、肝硬変、実験的肝硬変、肝疾患、肝機能障害、肝新生物、実験的肝新生物、ロングスリーパー症候群(long sleeper syndrome)、低眼圧緑内障、肺がん、肺新生物、全身性エリテマトーデス、リジン尿性蛋白不耐症、中心錐体病変を伴う黄斑ジストロフィー(macular dystrophy with central cone involvement)、大うつ病性障害、吸収不良症候群、マラリア、大脳皮質形成異常、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、乳房の悪性新生物、食道の悪性新生物、腎臓の悪性新生物、肝臓の悪性新生物、肺の悪性新生物、卵巣の悪性新生物、膵臓の悪性新生物、前立腺の悪性新生物、唾液腺の悪性新生物、胃の悪性新生物、膀胱の悪性新生物、悪性新生物、結腸の悪性腫瘍、動物乳癌、乳房新生物、実験的乳房新生物、ヒト乳房新生物、マンガン中毒、躁病、躁病性障害、マルファン症候群、マリファナ乱用、機械的アロディニア、嚢胞性線維症における胎便性イレウスに対する感受性、巨大結腸、メランコリー、黒色腫、意味記憶障害(semantic memory disorder)、空間記憶障害(spatial memory disorder)、記憶障害(memory disorder)、記憶障害(memory impairment)、記憶喪失、血清型aの髄膜炎菌性髄膜炎、血清型bの髄膜炎菌性髄膜炎、血清型cの髄膜炎菌性髄膜炎、血清型w-135の髄膜炎菌性髄膜炎、血清型yの髄膜炎菌性髄膜炎、髄膜炎菌性髄膜炎、精神薄弱、気欝、南アフリカ型のX連鎖性精神遅滞、常染色体劣性48精神遅滞、常染色体劣性7精神遅滞、心理社会的な精神遅滞、X染色体性精神遅滞、X連鎖性症候性クリスチャンソン型精神遅滞(x-linked syndromic christianson type mental retardation)、中皮腫、代謝性アシドーシス、代謝性骨障害、微小血管症性溶血性貧血、微小石灰化、小頭症、原発性常染色体劣性小頭症15、アーミッシュ型(障害)小頭症、小脳滑脳症(microlissencephaly)、ミルク・アルカリ症候群、微細脳機能障害、ミトコンドリア病、常染色体優性ミトコンドリアDNA枯渇症候群12a(心筋症型)、常染色体劣性ミトコンドリアDNA枯渇症候群12b(心筋症型)、ミトコンドリアリン酸輸送体欠損症、ミトコンドリアピルビン酸輸送体欠損症、僧帽弁逸脱症候群、混合膠腫、モノカルボン酸トランスポーター1欠損、気分障害、運動性チック障害、運動障害、多発性骨端異形成症、多発性硬化症、急性劇症性多発性硬化症、筋緊張低下、筋緊張弛緩(muscle tone atonic)、シナプス前性先天性筋無力症症候群20、シナプス前性先天性筋無力症症候群21、先天性筋無力症症候群、先天性スローチャネル型筋無力症症候群、ヒト型結核菌からの防御、(所見)ヒト型結核菌に対する感受性、心筋不全、心筋梗塞(myocardial infraction)、心筋虚血、心筋再灌流傷害、心筋炎、ミオクロニー欠神てんかん(myoclonic astatic epilepsy)、ミオクローヌス発作、ミオクロニー脱力てんかん、ミオパチー、常染色体優性近視24、n-アセチルノイラミン酸蓄積症、自己愛性人格障害、壊死、新生児筋緊張低下、新生物侵入、新生物転移、新生物、胎児性および複合新生物(mixed neoplasm)、生殖細胞および胎児性新生物、新生細胞形質転換、腎石灰化症、シュウ酸カルシウム腎石症、低リン血症性の腎石症-骨粗しょう症1、神経変性、神経系障害、神経循環無気力、神経発達障害、神経セロイドリポフスチン症、神経因性疼痛、遠位遺伝性運動viia型ニューロパチー、遺伝性運動および感覚性型vibニューロパチー(vibneuropathy)、ノバスコシア型ニーマンピック病、c型ニーマンピック病、c1型ニーマンピック病、d型ニーマンピック病、先天停止性夜盲、先天停止性1型夜盲、先天停止性1a型夜盲、先天停止性1b型夜盲、先天停止性2a型夜盲、先天停止性2b型(障害)夜盲、非痙攣性のてんかん重積状態、非てんかん性痙攣、非てんかん性発作、非浸潤性腺管内癌、非器質性精神病、非小細胞肺癌、肥満症、強迫性障害、眼皮膚白皮症2型、眼皮膚白皮症6型、眼皮膚白皮症iv型、歯牙腫(odontome)、嗅覚発作、眼麻痺、眼筋麻痺、視神経萎縮症、物質によって誘発された器質性精神障害、起立耐性失調、原発性肥大性骨関節症、変形性骨関節症、骨形成不全症、オステオペニア、マレーシア-メラネシア-フィリピン型の楕円赤血球症(malaysian-melanesian-filipino type ovalocytosis)、卵巣がん、卵巣新生物、シュウ酸症、疼痛、灼熱痛、激しい疼痛(crushing pain)、放散痛(migratory pain)、割れるような疼痛、膵臓がん、膵臓新生物、汎血球減少、乳頭状腺腫、乳頭状腎細胞癌、偏執症、パーキンソン病、常染色体劣性若年性パーキンソン病2、パーキンソン様症状、実験的パーキンソニズム、若年性パーキンソン症候群、乳児パーキンソン症候群-ジストニア、乳児自己免疫疾患、ペンドレッド症候群、糖尿病性末梢性ニューロパチー、末梢性ニューロパチー、腹膜新生物、腹膜表面悪性腫瘍、人格障害、小発作状態、petty laxova wiedemann症候群、生理学的な創傷治癒、色素基底細胞癌、pitt-rogers-danks症候群、中毒、多発性嚢胞腎、赤血球増多症、播種状表在性光線性型の汗孔角化症8、播種状表在性光線性汗孔角化症、網膜色素変性症を伴う脊髄後索型運動失調、後頭蓋窩出血、外傷後チック障害、前がん状態、前駆リンパ芽球性白血病リンパ腫、言語修得前難聴、出生前外傷、処方薬乱用、初老期認知症、原発性胆汁性肝硬変症、原発性性腺機能低下症、原発性甲状腺機能低下症、原発性小頭症、最重度精神遅滞、進行性球麻痺、ミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性進行性外眼筋麻痺1、ミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性進行性外眼筋麻痺2、前立腺がん、前立腺新生物、偽性無水晶体症(pseudoaphakia)、偽性高カリウム血症カーディフ、薬物による精神病、物質によって誘発された精神病、退行期精神病、精神病性障害、肺胞微石症、肺高血圧症、放散痛(radiating pain)、ramsay hunt麻痺症候群、反復性うつ病、限局性腸炎、腎臓カルニチン輸送欠損、腎細胞癌、腎性低尿酸血症、腎尿細管性アシドーシス、溶血性貧血を伴う遠位尿細管性アシドーシス(障害)、正常な赤血球形態を伴う遠位尿細管性アシドーシス、眼の異常および精神遅滞を伴う近位腎尿細管性アシドーシス、ii型腎尿細管性アシドーシス、再灌流傷害、呼吸抑制、成人呼吸窮迫症候群、呼吸不全、呼吸器系過敏症、呼吸不全、網膜変性、網膜色素変性症、網膜色素変性症68、rh不全症候群、横紋筋融解症、横紋筋肉腫、横紋筋肉腫1、リウマチ様関節炎、鼻声、レギュレータータイプのRh陰性、リボフラビン欠損症、ローター症候群、ルシー-レビー症候群(障害)、唾液腺新生物、サルコイドーシス、肉腫様腎細胞癌、統合失調症、緊張型統合失調症、蝸牛様骨盤異形成症(schneckenbecken dysplasia)、schwartz-lelek症候群、季節性情動障害、続発性甲状腺機能低下症、発作、聴覚性発作、間代発作、焦点発作、感覚発作、体性感覚発作、妄想性老年痴呆、感覚神経難聴(障害)、感覚性難聴、重症先天性小頭症、重度のうつ病、精神病性の特徴を有する重度の大うつ病、出血性ショック、ショートスリーパー症候群、フィンランド型(障害)シアル酸蓄積症、シアル酸尿症、鉄芽球性貧血、単純部分てんかん重積状態、単発作、洞組織球症、皮膚、毛髪、目の色素沈着のバリエーション(variation in skin-hair-eye pigmentation)4、睡眠障害、睡眠の質、睡眠覚醒障害、睡眠関連の神経性頻呼吸、東南アジアの楕円赤血球症、常染色体優性痙性対麻痺42、常染色体優性(障害)痙性対麻痺6、遺伝性痙性対麻痺、脳梁菲薄化を伴う痙性四肢麻痺および進行性小頭症、言語障害、4型球状赤血球症、常染色体劣性3脊髄小脳変性症、エーラース-ダンロス症候群様脊椎手掌異形成(spondylocheirodysplasia)、扁平上皮癌、食道の扁平上皮癌、てんかん重積状態、アルコール離脱によって誘発されたてんかん重積状態、潜在性てんかん重積状態、脂肪性肝炎、胃癌、胃新生物、口唇状赤血球症i、ストレプトゾトシン糖尿病、卒中、物質乱用問題、物質依存症、物質使用障害、物質離脱症候群、物質関連障害、半不眠症候群(subwakefullness syndrome)、乳児突然死症候群、身体の苦痛、接触性アロディニア、精巣微石症、チアミン代謝機能不全症候群4(両側性線条体変性および進行性ポリニューロパチー型)、チアミン応答性巨赤芽球性貧血症候群、痩身、甲状腺無形成、甲状腺癌、甲状腺ホルモン合成障害1、甲状腺濾胞性腺腫、甲状腺ホルモン不応症候群、甲状腺低形成、甲状腺新生物、チック障害、音声チック症障害、組織線維症、タバコ嗜癖に対する感受性(所見)、強直間代発作、強直発作、歯の異常、一過性チック障害、赤核性振戦(rubral tremor)、減数分裂性不分離トリソミー21、有糸分裂性不分離トリソミー21、結核、腫瘍性石灰沈着症、潰瘍性大腸炎、
鉤状回てんかん、未分化癌、片側だけの筋緊張低下、単極性うつ病、血清量的形質遺伝子座尿酸濃度2、血清量的形質遺伝子座尿酸濃度4、尿路結石、血管疾患、血管肥大、発話流暢性障害、めまい発作、視覚発作、禁断症状、ウォルフ-ヒルショルン症候群、乾赤血球症、X連鎖csnb、エプスタイン-バーウイルス感染および腫瘍形成、マグネシウム欠損を伴うX連鎖免疫不全および母乳中の低亜鉛濃度に起因する新生児亜鉛欠損症が挙げられる。
【0114】
好ましい疾患としては、異常な協調、角膜の異常、欠神発作、痛み、ib型(障害)軟骨無発生症、アシドーシス、急性肺損傷、肺腺癌(障害)、加齢性黄斑変性症、アラン-ハーンドン-ダドリー症候群(ahds)、アロキサン糖尿、アルツハイマー病、全身水腫、溶血性貧血、後天性溶血性貧血、遺伝性球状赤血球性溶血性貧血、微小血管症性貧血、関節拘縮、失調、四肢失調、運動失調、感覚性運動失調、体幹運動失調、遺伝性運動失調、成長不全性骨形成症2型、アテローム性動脈硬化症、無緊張性の欠神発作、注意欠陥多動性障害(ADHD)、異型乳管過形成、喘息前兆、自閉症スペクトラム障害、自閉性障害、常染色体劣性多発性嚢胞腎、覚醒時てんかん、非閉塞性無精子症、バレット上皮、バレット食道、両側性難聴、胆汁性肝硬変、二次胆汁性肝硬変、Birk-Landau-Perez症候群、発達性骨疾患、乳がん、乳癌、やけどによって誘発された多臓器損傷、胎児性がん、胎児性および混合性がん、心不整脈、心臓虚血再灌流、心臓肥大、白内障、白内障47、小角膜および糖尿を伴う若年性白内障、セリアック病、脳傷害、子宮頸がん、子供の発達偏差、特定の子供の発達障害、総胆管嚢胞、i型総胆管嚢胞、ii型総胆管嚢胞、iii型総胆管嚢胞、iv型総胆管嚢胞、v型総胆管嚢胞、胆汁欝滞、エピソード性舞踏病アテトーゼ/痙直、嫌色素性腎細胞癌、認知障害、認知機能障害、腎臓の集合管癌、結腸がん、結腸新生物、結腸直腸がん、完全な聴力損失、複雑部分発作、先天性貧血、聴力損失および神経変性先天性白内障、先天性クロール下痢症、先天性甲状腺機能低下症、ナトリウム型(障害)先天性分泌性下痢、うっ血性心不全、便秘、便秘型過敏性腸症候群、従来の(明細胞)腎細胞癌、痙攣、痙攣発作、角膜ジストロフィーおよび感音難聴、フックス角膜内皮ジストロフィー4、角膜内皮ジストロフィー2、角膜混濁、頭蓋顔面の異常、ストマチン欠乏性クリオハイドロサイトーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維症モディファイヤー1、血球減少症、デラシャペル異形成、聾唖症、聴覚消失症、後天性聴覚消失症、前庭水管拡大を伴う常染色体劣性聴覚消失症4、常染色体劣性61聴覚消失症、変性性多発関節炎、認知症、うつ病、アレルギー性接触皮膚炎、発達障害、糖尿病、実験的糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、糖尿病白内障、下痢、変形性異形成、遠位尿細管性アシドーシス、腺管癌、ジストニア、ジストニア18(障害)、耳疾患、浮腫、楕円赤血球症4、遺伝性の楕円赤血球症、胎児性新生物、子宮内膜腫、子宮内膜症、てんかん、前頭葉極性てんかん、小児欠神てんかん1、帯状回てんかん、潜在性てんかん、前頭葉てんかん、特発性全般てんかん12に対する感受性、弁蓋部てんかん、眼窩前頭てんかん、補足運動野てんかん、てんかん性転倒発作、てんかん性脳症、てんかん発作、多発性骨端異形成症4、赤血球乳酸トランスポーター欠損、家族性認知症、家族性メニエール病、良性の小児前頭葉てんかん、fuchs内皮ジストロフィー、胃がん、胃腸の機能不全、胃腸新生物、全身性欠神発作、全身性発作、生殖細胞がん、胚細胞腫瘍、緑内障、神経膠腫、糸球体ろ過率、糸球体硬化症、glut1欠損症候群、常染色体劣性glut1欠損症候群1、甲状腺腫、味覚発作、頭頸部扁平上皮癌、聴覚障害、極端な聴力損失、心代償不全、心疾患、心不全、右心不全、血液病、非アルコール性脂肪性肝疾患肝臓脂肪症、遺伝性球状赤血球症、ハンチントン病、高アンモニア血症、家族性高インスリン性低血糖症7、高シュウ酸尿、高リン酸塩血、肥大性心筋症、低血圧、先天性代謝異常症、炎症性腸疾患、脳虚血および外傷性脳傷害における炎症性応答、知的発達障害、腸閉塞、頭蓋内高血圧、ジャクソン型発作、若年性関節炎、若年性乾癬性関節炎、若年発症性スティル病、腎結石、腎損傷、脊柱後彎症、乳酸アシドーシスによって誘発された肺静脈催不整脈、乳酸アシドーシスによって誘発された敗血症、左心不全、水晶体混濁、白血病、白質ジストロフィー、lichtenstein-knorr症候群、リポイドーシス、肝臓がん、肝臓癌、実験的肝硬変、肝新生物、肺がん、マラリア、悪性中皮腫、乳房の悪性新生物、肝臓の悪性新生物、卵巣の悪性新生物、前立腺の悪性新生物、結腸の悪性腫瘍、乳房新生物、ヒト乳房新生物、嚢胞性線維症における胎便性イレウスに対する感受性、黒色腫、精神薄弱、南アフリカ型のX連鎖性精神遅滞、心理社会的な精神遅滞、X連鎖性症候性クリスチャンソン型の精神遅滞、代謝性アシドーシス、微小血管症性溶血性貧血、小頭症、小脳滑脳症、モノカルボン酸トランスポーター1欠損、多発性骨端異形成症、多発性硬化症、心筋不全、心筋梗塞、ミオクローヌス発作、na、新生物転移、胎児性および複合新生物、生殖細胞および胎児性新生物、新生細胞形質転換、腎石灰化症、シュウ酸カルシウム腎石症、神経系障害、神経因性疼痛、非てんかん性痙攣、非てんかん性発作、非浸潤性腺管内癌、肥満症、嗅覚発作、変形性骨関節症、骨形成不全症、マレーシア-メラネシア-フィリピン型の楕円赤血球症、卵巣がん、卵巣新生物、シュウ酸症、疼痛、灼熱痛、激しい疼痛、放散痛、割れるような疼痛、膵臓がん、乳頭状腎細胞癌、乳児自己免疫疾患、ペンドレッド症候群、糖尿病性末梢性ニューロパチー、腹膜新生物、腹膜表面悪性腫瘍、生理学的な創傷治癒、多発性嚢胞腎、言語修得前難聴、原発性胆汁性肝硬変症、原発性小頭症、最重度精神遅滞、前立腺がん、前立腺新生物、偽性無水晶体症、偽性高カリウム血症カーディフ、放散痛、腎細胞癌、腎尿細管性アシドーシス、溶血性貧血を伴う遠位尿細管性アシドーシス、正常な赤血球形態を伴う遠位尿細管性アシドーシス、眼の異常および精神遅滞を伴う近位腎尿細管性アシドーシス、ii型腎尿細管性アシドーシス、再灌流傷害、肉腫様腎細胞癌、統合失調症、発作、聴覚性発作、間代発作、焦点発作、感覚発作、体性感覚発作、妄想性老年痴呆、感覚神経難聴(障害)、感覚性難聴、重症先天性小頭症、出血性ショック、単発作、睡眠の質、東南アジアの楕円赤血球症、常染色体優性痙性対麻痺42、遺伝性痙性対麻痺、4型球状赤血球症、胃癌、ストレプトゾトシン糖尿病、卒中、身体の苦痛、甲状腺無形成、甲状腺ホルモン不応症候群、甲状腺低形成、組織線維症、強直間代発作、強直発作、赤核性振戦、潰瘍性大腸炎、尿路結石、血管肥大、めまい発作、視覚発作および乾赤血球症が挙げられる。
【0115】
より一層好ましい疾患としては、異常な協調、欠神発作、痛み、アシドーシス、急性肺損傷、肺腺癌(障害)、アロキサン糖尿、アルツハイマー病、全身水腫、関節拘縮、失調、四肢失調、運動失調、感覚性運動失調、体幹運動失調、遺伝性運動失調、アテローム性動脈硬化症、無緊張性の欠神発作、注意欠陥多動性障害(ADHD)、異型乳管過形成、自閉性障害、バレット食道、Birk-Landau-Perez症候群、乳がん、やけどによって誘発された多臓器損傷、胎児性がん、胎児性および混合性がん、心不整脈、心臓虚血再灌流、心臓肥大、白内障、セリアック病、脳傷害、子宮頸がん、子供の発達偏差、特定の子供の発達障害、嫌色素性腎細胞癌、認知機能障害、腎臓の集合管癌、結腸がん、結腸新生物、複雑部分発作、先天性貧血、先天性白内障、聴力損失、および神経変性、ナトリウム型(障害)先天性分泌性下痢、うっ血性心不全、便秘、便秘型過敏性腸症候群、従来の(明細胞)腎細胞癌、痙攣、痙攣発作、角膜混濁、クリオハイドロサイトーシス、精神遅滞を伴うストマチン欠乏性、発作、白内障、および巨大肝脾腫大、嚢胞性線維症、血球減少症、変性性多発関節炎、認知症、うつ病、アレルギー性接触皮膚炎、発達障害、糖尿病、糖尿病白内障、下痢、遠位尿細管性アシドーシス、腺管癌、ジストニア、浮腫、胎児性新生物、てんかん、てんかん性転倒発作、てんかん性脳症、てんかん発作、赤血球乳酸トランスポーター欠損、家族性認知症、胃がん、胃腸の機能不全、全身性欠神発作、全身性発作、生殖細胞がん、胚細胞腫瘍、緑内障、神経膠腫、糸球体ろ過率、糸球体硬化症、glut1欠損症候群、味覚発作、頭頸部扁平上皮癌、聴覚障害、心代償不全、心不全、右心不全、非アルコール性脂肪性肝疾患肝臓脂肪症、ハンチントン病、高アンモニア血症、家族性高インスリン性低血糖症7、高リン酸塩血、肥大性心筋症、低血圧、先天性代謝異常症、炎症性腸疾患、脳虚血および外傷性脳傷害における炎症性応答、知的発達障害、腸閉塞、ジャクソン型発作、若年性関節炎、若年性乾癬性関節炎、若年発症性スティル病、腎損傷、乳酸アシドーシスによって誘発された肺静脈催不整脈、乳酸アシドーシスによって誘発された敗血症、左心不全、水晶体混濁、白血病、lichtenstein-knorr症候群、リポイドーシス、肝臓がん、実験的肝硬変、肝新生物、肺がん、悪性中皮腫、乳房の悪性新生物、肝臓の悪性新生物、卵巣の悪性新生物、結腸の悪性腫瘍、乳房新生物、ヒト乳房新生物、嚢胞性線維症における胎便性イレウスに対する感受性、黒色腫、精神薄弱、南アフリカ型のX連鎖性精神遅滞、心理社会的な精神遅滞、精神遅滞、X連鎖性症候性クリスチャンソン型、代謝性アシドーシス、小頭症、小脳滑脳症、モノカルボン酸トランスポーター1欠損、多発性硬化症、心筋不全、心筋梗塞、ミオクローヌス発作、新生物転移、胎児性および複合新生物、生殖細胞および胎児性新生物、新生細胞形質転換、神経系障害、神経因性疼痛、非てんかん性痙攣、非てんかん性発作、非浸潤性腺管内癌、肥満症、嗅覚発作、変形性骨関節症、卵巣がん、卵巣新生物、疼痛、灼熱痛、激しい疼痛、放散痛、割れるような疼痛、膵臓がん、乳頭状腎細胞癌、乳児自己免疫疾患、糖尿病性末梢性ニューロパチー、腹膜新生物、腹膜表面悪性腫瘍、生理学的な創傷治癒、多発性嚢胞腎、原発性小頭症、最重度精神遅滞、前立腺がん、偽性無水晶体症、放散痛、腎細胞癌、腎細胞癌、腎尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシス、眼の異常および精神遅滞を伴う近位、ii型腎尿細管性アシドーシス、再灌流傷害、肉腫様腎細胞癌、統合失調症、発作、聴覚性発作、間代発作、焦点発作、感覚発作、体性感覚発作、妄想性老年痴呆、重症先天性小頭症、出血性ショック、単発作、睡眠の質、常染色体優性痙性対麻痺42、遺伝性痙性対麻痺、胃癌、ストレプトゾトシン糖尿病、卒中、身体の苦痛、組織線維症、強直間代発作、強直発作、赤核性振戦、血管肥大、めまい発作および視覚発作が挙げられる。
【0116】
SLC9タンパク質に関連する疾患としては、特定には、注意欠陥多動性障害(ADHD)、急性肺損傷、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自閉症、バレット食道、脳がん(例えば神経膠腫)、乳がん、やけどによって誘発された多臓器損傷、心不整脈、心臓虚血再灌流、心臓肥大、セリアック病、脳傷害、子宮頸がん、認知機能障害、結腸がん、便秘、便秘型過敏性腸症候群、嚢胞性線維症、うつ病、糖尿病、糖尿病白内障、てんかん、胃がん、胃腸の機能不全、糸球体ろ過率、糸球体硬化症、頭頸部扁平上皮癌、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝臓脂肪症、高アンモニア血症、高リン酸塩血、炎症性腸疾患、脳虚血および外傷性脳傷害における炎症性応答、腎損傷、乳酸アシドーシスによって誘発された肺静脈催不整脈、乳酸アシドーシスによって誘発された敗血症、白血病、肝臓がん、黒色腫、多発性硬化症、心筋梗塞、新生物転移、神経因性疼痛、卵巣がん、乳児自己免疫疾患、糖尿病性末梢性ニューロパチー、生理学的な創傷治癒、多発性嚢胞腎、前立腺がん、発作、睡眠の質、胃癌、卒中、組織線維症、血管肥大、知的発達障害、失調、小頭症、肺がん、腎細胞癌および膵臓がんが挙げられる。
【0117】
SLC9タンパク質に関する疾患の好ましい例としては、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自閉症、脳がん(例えば神経膠腫)、乳がん、心不整脈、心臓虚血再灌流、セリアック病、子宮頸がん、結腸がん、糖尿病、てんかん、胃がん、胃腸の機能不全、頭頸部扁平上皮癌、非アルコール性脂肪性肝疾患肝臓脂肪症、炎症性腸疾患、知的発達障害、乳酸アシドーシス、白血病、肝臓がん、肺がん、黒色腫、心筋梗塞、新生物転移、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、発作、胃癌、卒中、組織線維症および血管肥大が挙げられる。
【0118】
SLC9タンパク質に関する疾患のより好ましい例としては、アテローム性動脈硬化症、乳がん、心不整脈、心臓虚血再灌流、子宮頸がん、結腸がん、胃がん、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、白血病、肝臓がん、肺がん、黒色腫、心筋梗塞、新生物転移、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、胃癌、卒中、組織線維症および血管肥大が挙げられる。
【0119】
本発明に関連して、本組成物は、医薬的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含んでいてもよい。用語「医薬的に許容される」は、本発明の組成物と関連して使用される場合、このような組成物の、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されるとき、生理学的に許容され、典型的には好ましくない反応を生じない分子実体および他の成分を指す。用語「医薬的に許容される」はまた、哺乳動物、より特定にはヒトにおける使用に関して、連邦もしくは州政府の監督官庁によって承認された、または米国薬局方もしくは他の一般的に認識された薬局方で列挙された意味を有する場合もある。「医薬的に許容される担体」は、対象にとって非毒性である活性成分以外の医薬組成物または調合物中の成分を指す。医薬的に許容される担体としては、これらに限定されないが、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられる。このような医薬的に許容される担体は、滅菌された液体、例えば水、食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、および油、例えば石油、動物性、植物性または合成の油など、例えば落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであり得る。好適な製剤用担体は、A.R.Gennaroによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第20版に記載されている。
【0120】
一実施態様において、組成物は、がんを処置または防止することにおける使用のためであり得る。用語「がん」は、本明細書で使用される場合、前述の組織および細胞型におけるあらゆる悪性腫瘍を指す。がんの例としては、異常な接着細胞によって引き起こされる可能性があるがん、または異常な血液細胞によって引き起こされる可能性があるがん(例えば、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫)を挙げることができる。具体的には、異常な接着細胞によって引き起こされる可能性があるがんの例としては、肺がん(例えば扁平上皮癌、非小細胞癌、例えば腺癌および大細胞癌、ならびに小細胞癌)、消化器がん(例えば、胃がん、小腸がん、大腸がん、直腸がん)、膵臓がん、腎臓がん、肝がん、胸腺がん、脾臓がん、甲状腺がん、副腎がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、子宮がん(例えば、子宮内膜癌、子宮頸がん)、骨がん、皮膚がん、脳腫瘍、肉腫、黒色腫、芽細胞腫(例えば、神経芽細胞腫)、腺癌、扁平細胞がん、固形がん、上皮がん、および中皮腫を挙げることができる。特定には、がんは、白血病、特定には急性骨髄性白血病(AML)およびB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、慢性白血病、例えば慢性骨髄性白血病;腺様嚢胞癌;骨肉腫;卵巣がん;ユーイング肉腫;肺腺癌および前立腺がん;リンパ腫、神経芽細胞腫、消化器がん、子宮内膜がん、髄芽細胞腫、前立腺がん、食道がん、乳がん、甲状腺がん、髄膜腫、肝臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、軟骨肉腫、骨肉腫、腎臓がんであってもよく、特定には、がんは、白血病であってもよい。一実施態様において、組成物は、がん、特定には白血病、例えば慢性骨髄性白血病を処置または防止することにおける使用のためであり得る。一実施態様において、本発明はさらに、がんを有する患者に化学物質または薬剤を投与することを含む、がんを処置する方法に関するものであり得る。
【0121】
本発明の化合物または組成物は、がんを処置または防止するために使用してもよい。例えば、本発明の組成物または化合物は、がんの処置のために、(これらに限定されないが)特定には、リンパ腫、特定にはホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、例えばB細胞リンパ腫;白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)または慢性リンパ球性白血病(CLL);および/または骨髄腫、例えば多発性骨髄腫の処置において使用することができる。これは、添付の実施例でも例示される。
【0122】
「患者」または「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、これらに限定されないが、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が挙げられる。特定の形態において、患者、個体、または対象は、ヒトである。一実施態様において、患者は、「がん患者」であってもよく、すなわち、がんの1種またはそれより多くの症状に罹っているかまたはそれに罹るリスクがある患者であってもよい。
【0123】
いずれか特定の患者のための具体的な用量レベルは、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食物、投与時間、投与経路、排泄の頻度、薬物の組合せ、ならびに療法を受けている特定の疾患の原因となるメカニズムおよび重症度などの様々な要因によって決まることが理解されるであろう。
【0124】
式(I)の化合物は、合成化学の分野において公知の方法によって、本出願の実験例で記載されたように調製してもよい。
本発明の範囲は、いずれかの溶媒和の形態で、例えば、水との溶媒和物(すなわち、水和物として)、もしくは例えば、メタノール、エタノールもしくはアセトニトリルなどの有機溶媒との溶媒和物(すなわち、メタノール付加物、エタノール付加物またはアセトニトリルとして)などの形態で、またはいずれかの結晶形態で(すなわち、いずれかの多形として)、または無定形の形態での、本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物を含む。このような本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物の溶媒和物としてはまた、対応する化合物の医薬的に許容される塩の溶媒和物も挙げられることが理解されるであろう。
【0125】
さらに、本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物は、異なる異性体、特定には立体異性体(例えば、幾何異性体(またはシス/トランス異性体)、鏡像異性体およびジアステレオマーなどを含む)または互変異性体の形態で存在していてもよい。このような本明細書で提供される化合物の全ての異性体は、混合物の形態、または純粋な、または実質的に純粋な形態のいずれかで、本発明の一部であるとことが予期される。立体異性体の場合、本発明は、本発明に係る化合物の単離された光学異性体、加えて、あらゆるそれらの混合物(特定には、ラセミ混合物/ラセミ化合物などを含む)を包含する。ラセミ化合物は、物理的な方法によって、例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶化、分離もしくは結晶化などによって、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離によって分割してもよい。個々の光学異性体はまた、光学的に活性な酸との塩形成、それに続く結晶化を介して、ラセミ化合物から得てもよい。本発明はさらに、本明細書で提供される化合物のあらゆる互変異性体を包含する。
【0126】
本発明の範囲はまた、1個またはそれより多くの原子が、対応する原子の特定の同位体で置き換えられている、本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物も包含する。例えば、本発明は、1個またはそれより多くの水素原子(または例えば全ての水素原子)が重水素原子(すなわちH;「D」とも称される)で置き換えられている式(I)の化合物を包含する。したがって、本発明はまた、重水素が豊富な式(I)の化合物も包含する。天然に存在する水素は、約99.98mol%の水素-1(H)および約0.0156mol%の重水素(HまたはD)を含む同位体の混合物である。式(I)の化合物中の1つまたはそれより多くの水素位置における重水素の含量は、当業界において公知の重水素化技術を使用して増加させることができる。例えば、式(I)の化合物または式(I)の化合物の合成で使用される反応物もしくは前駆体は、例えば、重水(DO)を使用するH/D交換反応に供することができる。さらに好適な重水素化技術は、Atzrodt Jら、Bioorg Med Chem、20(18)、5658~5667、2012;William JSら、Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals、53(11~12)、635~644、2010;またはModvig Aら、J Org Chem 、79、5861~5868、2014に記載されている。重水素の含量は、例えば、質量分析またはNMR分光法を使用して決定することができる。特に別段の指定がない限り、式(I)の化合物は重水素が豊富ではないことが好ましい。したがって、式(I)の化合物における天然に存在する水素原子またはH水素原子の存在が好ましい。
【0127】
本発明はまた、1個またはそれより多くの原子が、対応する原子の陽電子放出同位体、例えば、18F、11C、13N、15O、76Br、77Br、120Iおよび/または124Iなどで置き換えられている、本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物も包含する。このような化合物は、陽電子放射断層撮像(PET)におけるトレーサーまたはイメージングプローブとして使用することができる。したがって本発明は、(i)1個またはそれより多くのフッ素原子(または例えば全てのフッ素原子)が18F原子で置き換えられている式(I)の化合物、(ii)1個またはそれより多くの炭素原子(または例えば全ての炭素原子)が11C原子で置き換えられている式(I)の化合物、(iii)1個またはそれより多くの窒素原子(または例えば全ての窒素原子)が13N原子で置き換えられている式(I)の化合物、(iv)1個またはそれより多くの酸素原子(または例えば全ての酸素原子)が15O原子で置き換えられている式(I)の化合物、(v)1個またはそれより多くの臭素原子(または例えば全ての臭素原子)が76Br原子で置き換えられている式(I)の化合物、(vi)1個またはそれより多くの臭素原子(または例えば全ての臭素原子)が77Br原子で置き換えられている式(I)の化合物、(vii)1個またはそれより多くのヨウ素原子(または例えば全てのヨウ素原子)が120I原子で置き換えられている式(I)の化合物、および(viii)1個またはそれより多くのヨウ素原子(または例えば全てのヨウ素原子)が124I原子で置き換えられている式(I)の化合物を含む。一般的に、式(I)の化合物中の原子のがいずれも特定の同位体で置き換えられていないことが好ましい。
【0128】
用語「炭化水素基」は、炭素原子および水素原子からなる基を指す。
用語「脂環式」は、環式基に関連して使用され、対応する環式基が非芳香族であることを意味する。
【0129】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、1価の飽和非環式(すなわち、環状ではない)炭化水素基を指し、これは直鎖状であってもよいし、または分岐していてもよい。したがって、「アルキル」基は、炭素と炭素との二重結合または炭素と炭素との三重結合を全く含まない。「C1~5アルキル」は、1~5個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。好ましい例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピルまたはイソプロピル)、またはブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチル)である。別段の指定がない限り、用語「アルキル」は、好ましくはC1~4アルキル、より好ましくはメチルまたはエチル、さらにより好ましくはメチルを指す。
【0130】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、1価不飽和環状炭化水素基を指し、これは、直鎖状であってもよいし、または分岐していてもよく、1個またはそれより多くの(例えば、1または2個の)炭素と炭素との二重結合を含むが、炭素と炭素との三重結合をまったく含まない。用語「C2~5アルケニル」は、2~5個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。好ましい例示的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル(例えば、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、またはプロパ-2-エン-1-イル)、ブテニル、ブタジエニル(例えば、ブタ-1,3-ジエン-1-イルまたはブタ-1,3-ジエン-2-イル)、ペンテニル、またはペンタジエニル(例えば、イソプレニル)である。別段の指定がない限り、用語「アルケニル」は、好ましくは、C2~4アルケニルを指す。
【0131】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、1価不飽和環状炭化水素基を指し、これは直鎖状であってもよいし、または分岐していてもよく、1個またはそれより多くの(例えば、1または2個の)炭素と炭素との三重結合、および任意選択で1個またはそれより多くの炭素と炭素との二重結合を含む。用語「C2~5アルキニル」は、2~5個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。好ましい例示的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル(例えば、プロパルギル)、またはブチニルである。別段の指定がない限り、用語「アルキニル」は、好ましくは、C2~4アルキニルを指す。
【0132】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用される場合、アルカンジイル基、すなわち2価飽和環状炭化水素基を指し、これは直鎖状であってもよいし、または分岐していてもよい。「C1~5アルキレン」は、1~5個の炭素原子を有するアルキレン基を意味し、用語「C0~3アルキレン」は、共有結合(選択肢「Cアルキレン」に相当)またはC1~3アルキレンが存在することを示す。好ましい例示的なアルキレン基は、メチレン(-CH-)、エチレン(例えば、-CH-CH-または-CH(-CH)-)、プロピレン(例えば、-CH-CH-CH-、-CH(-CH-CH)-、-CH-CH(-CH)-、または-CH(-CH)-CH-)、またはブチレン(例えば、-CH-CH-CH-CH-)である。別段の指定がない限り、用語「アルキレン」は、好ましくは、C1~4アルキレン(具体的には、直鎖状C1~4アルキレンを含む)、より好ましくは、メチレンまたはエチレン、さらにより好ましくはメチレンを指す。
【0133】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、-O-アルキル基を指し、この基に含まれるアルキル部分は、上記で定義した通りである。
用語「カルボシクリル」は、本明細書で使用される場合、炭化水素環基を指し、その例としては、単環式環、加えて、架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよい)が挙げられ、前記環基は、飽和した、部分的に不飽和の(すなわち、不飽和であるが芳香族ではない)または芳香族であってもよい。別段の指定がない限り、「カルボシクリル」は、好ましくは、アリール、シクロアルキルまたはシクロアルケニルを指す。
【0134】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用される場合、単環式環、加えて架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよい)を含む環基を指し、前記環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個などの)環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく(すなわちそれによりオキソ基が形成される)、さらに前記環基は、飽和した、部分的に不飽和の(すなわち、不飽和であるが芳香族ではない)または芳香族であってもよい。例えば、前記環基に含まれる各ヘテロ原子を含有する環は、1もしくは2個のO原子および/または1もしくは2個のS原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)および/または1、2、3もしくは4個のN原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)を含有していてもよく、ただし、対応するヘテロ原子を含有する環におけるヘテロ原子の総数は1~4であり、対応するヘテロ原子を含有する環中に少なくとも1個の炭素環原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)が存在する。別段の指定がない限り、「ヘテロシクリル」は、好ましくは、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニルを指す。
【0135】
用語「シクリル」は、本明細書で使用される場合、本明細書の上記で定義した通り、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを指す。
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、芳香族炭化水素環基を指し、その例としては、単環式芳香環、加えて、少なくとも1個の芳香環を含有する架橋された環および/または融合環系(例えば、2または3つの縮合環で構成され、縮合環のうち少なくとも1個は芳香族である、環系;または2または3個の環で構成され、これらの架橋された環の少なくとも1つが芳香族である、架橋された環系)が挙げられる。「アリール」は、は、例えば、フェニル、ナフチル、ジアリニル(dialinyl)(すなわち、1,2-ジヒドロナフチル)、テトラリニル(すなわち、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル)、インダニル、インデニル(例えば、1H-インデニル)、アントラセニル、フェナントレニル、9H-フルオレニル、またはアズレニルを指す場合もある。別段の指定がない限り、「アリール」は、好ましくは6~14個の環原子、より好ましくは6~10個の環原子を有し、さらにより好ましくはフェニルまたはナフチルを指し、最も好ましくはフェニルを指す。
【0136】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、芳香環基を指し、その例としては、単環式芳香環、加えて、少なくとも1個の芳香環を含有する架橋された環および/または融合環系(例えば、縮合環のうち少なくとも1個は芳香族である、2または3つの縮合環で構成される環系;または2または3個の環で構成され、これらの架橋された環の少なくとも1つが芳香族である、架橋された環系)が挙げられ、前記芳香環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個などの)環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、さらに、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよい(すなわちそれによりオキソ基が形成される)。例えば、前記芳香環基に含まれる各ヘテロ原子を含有する環は、1もしくは2個のO原子および/または1もしくは2個のS原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)および/または1、2、3もしくは4個のN原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)を含有していてもよく、ただし、対応するヘテロ原子を含有する環におけるヘテロ原子の総数は1~4であり、対応するヘテロ原子を含有する環中に少なくとも1個の炭素環原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)が存在する。「ヘテロアリール」は、例えば、チエニル(すなわち、チオフェニル)、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアンスレニル(チアントレニル)、フリル(すなわち、フラニル)、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロマニル、クロメニル(例えば、2H-1-ベンゾピラニルまたは4H-1-ベンゾピラニル)、イソクロメニル(例えば、1H-2-ベンゾピラニル)、クロモニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、ピロリル(例えば、1H-ピロリル)、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル(すなわち、ピリジニル;例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、または4-ピリジル)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル(例えば、3H-インドリル)、イソインドリル、インタゾリル、インドリジニル、プリニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル(例えば、[1,10]フェナントロリニル、[1,7]フェナントロリニル、または[4,7]フェナントロリニル)、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル(すなわち、フラザニル)、または1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、または1,3,4-チアジアゾリル)、フェノキサジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)、1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル(すなわち、ベンゾチエニル)、トリアゾリル(例えば、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル、または4H-1,2,4-トリアゾリル)、ベンゾトリアゾリル、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリル、トリアジニル(例えば、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、または1,3,5-トリアジニル)、フロ[2,3-c]ピリジニル、ジヒドロフロピリジニル(例えば、2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジニルまたは1,3-ジヒドロフロ[3,4-c]ピリジニル)、イミダゾピリジニル(例えば、イミダゾ[1,2-a]ピリジニルまたはイミダゾ[3,2-a]ピリジニル)、キナゾリニル、チエノピリジニル、テトラヒドロチエノピリジニル(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル)、ジベンゾフラニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル(例えば、1,3-ベンゾジオキサニルまたは1,4-ベンゾジオキサニル)、またはクマリニルを指す場合もある。別段の指定がない限り、用語「ヘテロアリール」は、好ましくは、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3または4個の)環ヘテロ原子を含む5~14員の(より好ましくは5~10員の)単環式環または融合環系を指し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく;さらにより好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2または3個の)環ヘテロ原子を含む5または6員の単環式環を指し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよい。さらに、別段の指定がない限り、用語「ヘテロアリール」は、特定には、好ましくは、ピリジニル(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、または4-ピリジル)、イミダゾリル、チアゾリル、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリル、チエニル(すなわち、チオフェニル)、またはピリミジニルを指す。
【0137】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、飽和炭化水素環基を指し、その例としては、単環式環、加えて、架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよく;例えば、2または3つの縮合環で構成される融合環系など)が挙げられる。「シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル(decalinyl)(すなわち、デカヒドロナフチル)、またはアダマンチルを指す場合もある。別段の指定がない限り、「シクロアルキル」は、好ましくはC3~11シクロアルキルを指し、より好ましくはC3~7シクロアルキルを指す。特に好ましい「シクロアルキル」は、3~7環員を有する単環式飽和炭化水素環である。さらに、別段の指定がない限り、用語「シクロアルキル」は、さらにより好ましくはシクロヘキシルまたはシクロプロピルを指し、さらにより一層好ましくはシクロヘキシルを指す。
【0138】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、飽和環基を指し、その例としては、単環式環、加えて、架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよく;例えば、2または3つの縮合環で構成される融合環系など)が挙げられ、前記環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個などの)環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素原子であり、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、さらに、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよい(すなわちそれによりオキソ基が形成される)。例えば、前記飽和環基に含まれる各ヘテロ原子を含有する環は、1もしくは2個のO原子および/または1もしくは2個のS原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)および/または1、2、3もしくは4個のN原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)を含有していてもよく、ただし、対応するヘテロ原子を含有する環におけるヘテロ原子の総数は1~4であり、対応するヘテロ原子を含有する環中に少なくとも1個の炭素環原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)が存在する。「ヘテロシクロアルキル」は、例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル(例えば、1,4-ジアゼパニル)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル(例えば、モルホリン-4-イル)、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリン-4-イル)、オキサゼパニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、1,4-ジオキサニル、オキセパニル、チイラニル(thiiranyl)、チエタニル、テトラヒドロチオフェニル(すなわち、チオラニル)、1,3-ジチオラニル、チアニル、チエパニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、または2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-イルを指す場合もある。別段の指定がない限り、「ヘテロシクロアルキル」は、好ましくは、単環式環または融合環系(例えば、2つの縮合環で構成される融合環系)である3~11員の飽和環基を指し、前記環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個の)環ヘテロ原子を含有し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく;より好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、または3個の)環ヘテロ原子を含有する5~7員の飽和単環式環基を指し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよい。さらに、別段の指定がない限り、「ヘテロシクロアルキル」は、さらにより好ましくは、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、またはテトラヒドロフラニルを指す。
【0139】
用語「シクロアルケニル」は、本明細書で使用される場合、不飽和脂環式(非芳香族)炭化水素環基を指し、その例としては、単環式環、加えて、架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよい;例えば、2または3つの縮合環で構成される融合環系など)が挙げられ、前記炭化水素環基は、1個またはそれより多くの(例えば、1または2個の)炭素と炭素との二重結合を含み、炭素と炭素との三重結合をまったく含まない。「シクロアルケニル」は、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、またはシクロヘプタジエニルを指す場合もある。別段の指定がない限り、「シクロアルケニル」は、好ましくは、C3~11シクロアルケニルを指し、より好ましくはは、C3~7シクロアルケニルを指す。特に好ましい「シクロアルケニル」は、3~7環員を有し、1個またはそれより多くの(例えば、1または2個の;好ましくは1個の)炭素と炭素との二重結合を含有する単環式不飽和脂環式炭化水素環である。
【0140】
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、本明細書で使用される場合、不飽和脂環式(非芳香族)環基を指し、その例としては、単環式環、加えて、架橋された環、スピロ環および/または融合環系(これは、例えば2または3個の環で構成されていてもよい;例えば、2または3つの縮合環で構成される融合環系など)が挙げられ、前記環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個などの)環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素原子であり、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく(すなわちそれによりオキソ基が形成される)、さらに前記環基は、隣接する環原子間に少なくとも1つの二重結合を含み、隣接する環原子間に三重結合をまったく含まない。例えば、前記不飽和脂環式の環基に含まれる各ヘテロ原子を含有する環は、1もしくは2個のO原子および/または1もしくは2個のS原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)および/または1、2、3もしくは4個のN原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)を含有していてもよく、ただし、対応するヘテロ原子を含有する環におけるヘテロ原子の総数は1~4であり、対応するヘテロ原子を含有する環中に少なくとも1個の炭素環原子(これは、任意選択で酸化されていてもよい)が存在する。「ヘテロシクロアルケニル」は、例えば、イミダゾリニル(例えば、2-イミダゾリニル(すなわち、4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾリル)、3-イミダゾリニル、または4-イミダゾリニル)、テトラヒドロピリジニル(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル)、ジヒドロピリジニル(例えば、1,2-ジヒドロピリジニルまたは2,3-ジヒドロピリジニル)、ピラニル(例えば、2H-ピラニルまたは4H-ピラニル)、チオピラニル(例えば、2H-チオピラニルまたは4H-チオピラニル)、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロイソインドリル、オクタヒドロキノリニル(例えば、1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロキノリニル)、またはオクタヒドロイソキノリニル(例えば、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロイソキノリニル)を指す場合もある。別段の指定がない限り、「ヘテロシクロアルケニル」は、好ましくは、単環式環または融合環系(例えば、2個の縮合環で構成される融合環系)である3~11員の不飽和脂環式の環基を指し、前記環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、3、または4個の)環ヘテロ原子を含有し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく、前記環基は、隣接する環原子間に少なくとも1つの二重結合を含み、隣接する環原子間に三重結合をまったく含まず;より好ましくは、「ヘテロシクロアルケニル」は、O、SおよびNから独立して選択される1個またはそれより多くの(例えば、1、2、または3個の)環ヘテロ原子を含有する5~7員の単環式不飽和非芳香環基を指し、1個またはそれより多くのS環原子(存在する場合)および/または1個またはそれより多くのN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、1個またはそれより多くの炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよく、前記環基は、隣接する環原子間に少なくとも1つの二重結合を含み、隣接する環原子間に三重結合をまったく含まない。
【0141】
用語「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、またはヨード(-I)を指す。
用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1個またはそれより多くの(好ましくは1~6、より好ましくは1~3個の)ハロゲン原子で置換されたアルキル基を指し、ハロゲン原子は、独立してフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され、好ましくは全てフルオロ原子である。ことが理解されるであろうハロゲン原子の最大数は、利用可能な結合部位の数によって限定され、したがって、ハロアルキル基のアルキル部分に含まれる炭素原子の数によって決まる。「ハロアルキル」は、例えば、-CF、-CHF、-CHF、-CF-CH、-CH-CF、-CH-CHF、-CH-CF-CH、-CH-CF-CF、または-CH(CFを指す場合もある。特に好ましい「ハロアルキル」基は、-CFである。
【0142】
用語「任意選択の」、「任意選択で」および「~であり得る」は、本明細書で使用される場合、示された構造が存在していてもよいが、存在していなくてもよいことを意味する。用語「任意選択の」、「任意選択で」または「~であり得る」が使用される場合はいつでも、本発明は、具体的に言えば、両方の可能性、すなわち、対応する構造が存在する、またはその代わりに対応する構造が存在しないという可能性に関する。例えば、表現「Xは、任意選択で、Yで置換されていてもよい」(または「Xは、Yで置換されていてもよい」)は、Xが、Yで置換されているかまたは非置換であるかのいずれかであることを意味する。同様に、組成物の構成要素が「任意選択」であると示される場合、本発明は、具体的に言えば、両方の可能性、すなわち、対応する構成要素が存在する(組成物に含有される)、または対応する構成要素が組成物に存在しないという可能性に関する。
【0143】
様々な基が、本明細書において「任意選択で置換されていてもよい」と述べられる。一般的に、これらの基は、1つまたはそれより多くの基、例えば、1、2、3または4個の置換基などを有していてもよい。置換基の最大数は、置換された部分において利用可能な結合部位の数によって限定されることが理解されるであろう。別段の指定がない限り、本明細書において述べられる「任意選択で置換されていてもよい」基は、好ましくは2個以下の置換基を有し、特定には、1個のみの置換基を有していてもよい。さらに、別段の指定がない限り、任意選択の置換基が存在しないこと、すなわち対応する基が非置換であることが好ましい。
【0144】
当業者は、式(I)の化合物に含まれる置換基が、それぞれの化合物の残部に、対応する具体的な置換基の多数の異なる位置を介して付着していてもよいことを理解しているであろう。別段の指定がない限り、様々な具体的な置換基にとって好ましい付着位置は、実施例で例示した通りである。
【0145】
医薬組成物は、1種またはそれより多くの溶解促進剤、例えば、ポリ(エチレングリコール)、例えば約200~約5,000Daの範囲の分子量を有するポリ(エチレングリコール)(例えば、PEG200、PEG300、PEG400、またはPEG600)など、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、非イオン界面活性剤、チロキサポール、ポリソルベート80、マクロゴール-15-ヒドロキシステアリン酸(例えば、Kolliphor(登録商標)HS15、CAS70142-34-6)、リン脂質、レシチン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリン、グルコシル-α-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、ジグルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-α-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-γ-シクロデキストリン、マルトトリオシル-β-シクロデキストリン、マルトトリオシル-γ-シクロデキストリン、ジマルトシル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、カルボキシアルキルチオエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、またはそれらのあらゆる組合せなどを含んでいてもよい。
【0146】
ヒト(およそ70kg体重の)への経口投与のための本発明に係る化合物の提唱されたさらなる非限定的な用量は、単位用量当たり、0.05~8000mg、好ましくは0.1mg~4000mgの活性成分であり得る。単位用量は、例えば、1~3回/日投与されてもよい。単位用量はまた、1~7回/週投与されてもよく、例えば、1日当たり最大1回の投与である。ヒトへの経口投与のための式(I)の化合物のさらなる例示的な用量は、50~200mg/kg体重/日、特定には100mg/kg/日である。患者/対象の年齢および体重、加えて処置しようとする状態の重症度に応じて、投薬量を慣例的に変動させることが必要な場合があることが理解されるであろう。正確な用量およびさらには投与経路は、最終的には、担当する医師または獣医師の裁量になる。
【0147】
本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物、またはこのような化合物を含む医薬組成物は、単独療法で(例えば、式(I)の化合物で処置または防止しようとする同じ疾患に対して、何らかのさらなる治療剤を併存して投与せずに、または何らかのさらなる治療剤を併存して投与せずに)投与することができる。しかしながら、式(I)の化合物または式(I)の化合物を含む医薬組成物は、1種またはそれより多くのさらなる治療剤と組み合わせて投与してもよい。式(I)の化合物が、同じ疾患または状態に対して活性な第2の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の用量は、対応する化合物が単独で使用される場合と異なっていてもよく、特定には、より低い用量の各化合物を使用してもよい。式(I)の化合物と、1種またはそれより多くのさらなる治療剤(例えば、BRD4阻害剤、好ましくは直接的BRD4阻害剤など)との組合せは、式(I)の化合物およびさらなる治療剤の同時の/併存的な投与(単一の医薬製剤または別々の医薬製剤のいずれかで)、または式(I)の化合物およびさらなる治療剤の逐次的な/別々の投与を含んでいてもよい。投与が逐次的である場合、本発明に係る式(I)の化合物または1種またはそれより多くのさらなる治療剤のどちらが最初に投与されてもよい。投与が同時である場合、1種またはそれより多くのさらなる治療剤が、式(I)の化合物と同じ医薬製剤中に含まれていてもよいし、またはそれらは、1種またはそれより多くの異なる(別々の)医薬製剤で投与されてもよい。
【0148】
好ましくは、本発明の化合物と組み合わせて投与され得る1種またはそれより多くのさらなる治療剤は、抗がん薬である。本発明に係る式(I)の化合物と組み合わせて投与され得る抗がん薬は、例えば、腫瘍血管新生抑制剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、上皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、または血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤);細胞傷害性薬剤(例えば、代謝拮抗物質、例えばプリンおよびピリミジンアナログ代謝拮抗物質);抗有糸分裂剤(例えば、微小管安定化薬または抗有糸分裂性アルカロイド);白金配位錯体;抗腫瘍性抗生物質;アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレア);内分泌性物質(例えば、副腎皮質ステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、またはソマトスタチンアナログ);または腫瘍細胞において過剰発現されている、および/またはそれ以外の方法で誤って調節されている特異的な代謝経路に関与する酵素または受容体を標的化する化合物(例えば、ATPおよびGTPホスホジエステラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤(例えばセリン、スレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、エーベルソンタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤)および様々な増殖因子、それらの受容体および対応するキナーゼ阻害剤(例えば上皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子阻害剤、インスリン様増殖因子受容体阻害剤および血小板由来増殖因子受容体キナーゼ阻害剤));メチオニン、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ-1またはシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤)、ポリADPリボースポリメラーゼ阻害剤(PARP阻害剤)、および上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤/アンタゴニストから選択することができる。
【0149】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができるアルキル化剤は、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えばシクロホスファミド、メクロレタミン(クロルメチン)、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、またはトロホスファミド)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ストレプトゾシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、またはセムスチン)、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン、マンノスルファン、またはトレオスルファン)、アジリジン(例えばヘキサメチルメラミン(アルトレタミン)、トリエチレンメラミン、チオテパ(N,N’N’-トリエチレンチオホスホルアミド)、カルボコン、またはトリアジクオン)、ヒドラジン(例えばプロカルバジン)、トリアゼン(例えばダカルバジン)、またはイミダゾテトラジン(例えばテモゾロミド)であり得る。
【0150】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができる白金配位錯体は、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、または四硝酸トリプラチンであり得る。
【0151】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができる細胞傷害性薬剤は、例えば、代謝拮抗物質、例えば、葉酸アナログ代謝拮抗物質(例えばアミノプテリン、メトトレキセート、ペメトレキセド、またはラルチトレキセド)、プリンアナログ代謝拮抗物質(例えばクラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、6-メルカプトプリン(そのプロドラッグ形態であるアザチオプリンを含む)、ペントスタチン、または6-チオグアニン)、およびピリミジンアナログ代謝拮抗物質(例えばシタラビン、デシタビン、5-フルオロウラシル(そのプロドラッグ形態であるカペシタビンおよびテガフールを含む)、フロクシウリジン、ゲムシタビン、エノシタビン、またはサパシタビン)などであり得る。
【0152】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができる抗有糸分裂剤は、例えば、タキサン(例えばドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル/タキソール、タセタキセル(tesetaxel)、またはナブパクリタキセル(例えば、アブラキサン(Abraxane)(登録商標)))、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、またはビノレルビン)、エポチロン(例えばエポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、またはエポチロンF)またはエポチロンBアナログ(例えばイキサベピロン/アザエポチロンB)であり得る。
【0153】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができる抗腫瘍性抗生物質は、例えば、アントラサイクリン(例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、またはゾルビシン)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン、またはピクサントロン)またはストレプトマイセス属から単離した抗腫瘍性抗生物質(例えばアクチノマイシン(アクチノマイシンDを含む)、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンCを含む)、またはプリカマイシン)であり得る。
【0154】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができるチロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、アキシチニブ、ボスチニブ、セディラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、アキシチニブ、ニンテダニブ、ポナチニブ、またはバンデタニブであり得る。
【0155】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができるトポイソメラーゼ阻害剤は、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤(例えばイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカン、またはラメラリンD)またはトポイソメラーゼII阻害剤(例えばアムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、またはドキソルビシン)であり得る。
【0156】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができるPARP阻害剤は、例えば、BMN-673、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、CEP9722、MK4827、BGB-290、または3-アミノベンズアミドであり得る。
【0157】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん薬として使用することができるEGFR阻害剤/アンタゴニストは、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、アファチニブ、ネラチニブ、ABT-414、ダコミチニブ、AV-412、PD153035、バンデタニブ、PKI-166、ペリチニブ、カネルチニブ、イコチニブ、ポジオチニブ、BMS-690514、CUDC-101、AP26113、XL647、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、またはマツズマブであり得る。
【0158】
さらに抗がん薬も、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。抗がん薬は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、タモキシフェン、アムサクリン、ベキサロテン、エストラムスチン、イロフルベン、トラベクテジン、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、アルボシジブ、セリシクリブ、アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィン、ベルテポルフィン、アリトレチノイン、トレチノイン、アナグレライド、三酸化ヒ素、アトラセンタン、ボルテゾミブ、カルモフール、セレコキシブ、デメコルシン、エレスクロモル、エルサミトルシン、エトグルシド、ロニダミン、ルカントン、マソプロコール、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、オマセタキシン、シティマジーン(sitimagene)、セラデノベック(ceradenovec)、テガフール、テストラクトン、チアゾフリン、チピファルニブ(tipifarnib)、ボリノスタット、またはイニパリブのような生物学的または化学的な分子を含み得る。
【0159】
また、生物学的な薬物、例えば、増殖性疾患に関与するがんまたは腫瘍マーカー/因子/サイトカインに対して向けられた、抗体、抗体断片、抗体構築物(例えば、単鎖構築物)、および/または修飾抗体(例えばCDRグラフト化抗体、ヒト化抗体、「完全ヒト化」抗体など)も、本発明の化合物との併用療法アプローチに採用することができる。このような生体分子の例は、である抗HER2抗体(例えばトラスツズマブ、Herceptin(登録商標))、抗CD20抗体(例えばリツキシマブ、Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標)、Reditux(登録商標))、抗CD19/CD3構築物(例えばEP1071752を参照)および抗TNF抗体(例えば、Taylor PC. Antibody therapy for rheumatoid arthritis. Curr Opin Pharmacol. 2003.3(3):323~328を参照)。さらに、本発明の化合物との併用療法アプローチで使用され得る抗体、抗体断片、抗体構築物および/または修飾抗体は、例えば、Taylor PC. Curr Opin Pharmacol. 2003. 3(3):323~328;またはRoxana A. Maedica. 2006. 1(1):63~65に見出すことができる。
【0160】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる抗がん薬は、特定には、がん免疫療法剤(例えばCTLA-4、PD-1/PD-L1、TIM3、LAG3、OX4、CSF1R、IDO、またはCD40のいずれか1つを標的化する、抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)、抗体断片、抗体構築物(例えば、単鎖構築物)、または修飾抗体(例えば、CDRグラフト化抗体、ヒト化抗体、または「完全ヒト化」抗体)であり得る。このようながん免疫療法剤としては、例えば、抗CTLA-4抗体(特定にはアンタゴニストまたは経路をブロックする抗CTLA-4抗体;例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブ)、抗PD-1抗体(特定にはアンタゴニストまたは経路をブロックする抗PD-1抗体;例えば、ニボルマブ(BMS-936558)、ペンブロリズマブ(MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、またはAPE02058)、抗PD-L1抗体(特定には経路をブロックする抗PD-L1抗体;例えば、BMS-936559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446)、MDX-1105、またはMEDI6469)、抗TIM3抗体(特定には経路をブロックする抗TIM3抗体)、抗LAG3抗体(特定にはアンタゴニストまたは経路をブロックする抗LAG3抗体;例えば、BMS-986016、IMP701、またはIMP731)、抗OX4抗体(特定にはアゴニスト抗OX4抗体;例えば、MEDI0562)、抗CSF1R抗体(特定には経路をブロックする抗CSF1R抗体;例えば、IMC-CS4またはRG7155)、抗IDO抗体(特定には経路をブロックする抗IDO抗体)、または抗CD40抗体(特定にはアゴニスト抗CD40抗体;例えば、CP-870,893またはChi Lob7/4)が挙げられる。さらなるがん免疫療法剤は当業界において公知であり、例えば、Kyi Cら、FEBS Lett、2014、588(2):368~76;Intlekofer AMら、J Leukoc Biol、2013、94(1):25~39;Callahan MKら、J Leukoc Biol、2013、94(1):41~53;Ngiow SFら、Cancer Res、2011、71(21):6567~71;and Blattman JNら、Science、2004、305(5681):200~5に記載される。
【0161】
BRD4阻害剤(好ましくは直接的BRD4阻害剤)、例えばCeMMEC2も、式(I)の化合物と組み合わせてさらなる治療剤として使用することができる。
上述した組合せは、都合のよい形態として、医薬製剤の形態で使用するために提供することができる。このような組合せの個々の構成要素は、逐次的に、または同時に/併存的にのいずれかで、別々のまたは組み合わされた医薬製剤で、あらゆる便利な経路によって投与することができる。投与が逐次的である場合、本発明の化合物(特定には式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ)またはさらなる治療剤のどちらが最初に投与されてもよい。投与が同時である場合、組合せは、同じ医薬組成物または異なる医薬組成物のいずれかで投与されてもよい。同じ配合物中に組み合わされる場合、2種またはそれより多くの化合物が、安定であり、互いに、さらには配合物の他方の構成要素と適合性であることが必要であることが理解されるであろう。別々に製剤化される場合、それらは、あらゆる便利な配合物で提供されてもよい。
【0162】
本明細書で提供される化合物、特定には式(I)の化合物はまた、理学療法、例えば放射線療法と組み合わせて投与してもよい。放射線療法は、本発明の化合物の投与の前に、その後に、またはそれと同時に始めることができる。例えば、放射線療法は、本化合物の投与の後の、1~10分、1~10時間または24~72時間に始めることができる。しかしこれらの時間枠は、限定として解釈されないものとする。対象は、放射線、好ましくはガンマ線に曝露され、ここで放射線は、単回線量で、または数時間、数日および/または数週間にわたり投与される複数回線量で提供することができる。ガンマ線は、標準的な放射線療法プロトコールに従って、標準的な投薬量およびレジメンを使用して、送達することができる。
【0163】
したがって本発明は、がんの処置または防止における使用のための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または前述の実体のいずれかを医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物に関し、該化合物または該医薬組成物は、1種またはそれより多くの抗がん薬と組み合わせて、および/または放射線療法と組み合わせて投与することができる。
【0164】
さらに、式(I)の化合物は、単独療法において、特定には、がんの単独療法的な処置または防止において(すなわち、式(I)の化合物での処置が終わるまで他のいかなる抗がん剤も投与せずに)使用することもできる。したがって、本発明はまた、がんの単独療法的な処置または防止における使用のための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または前述の実体のいずれかを医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物にも関する。
【0165】
本発明に従って処置しようとする対象または患者は、動物(例えば、非ヒト動物)、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、またはマウス)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、ネコ科動物(例えば、ネコ)、ブタ(porcine)(例えば、ブタ(pig))、ウマ科動物(例えば、ウマ)、霊長類または類人猿(例えば、サルまたは無尾猿、例えばマーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、またはテナガザル)、またはヒトであり得る。本発明に従って、経済的、農学的または科学的に重要な動物が処置されることになると想定される。科学的に重要な生物としては、これらに限定されないが、マウス、ラット、およびウサギが挙げられる。科学的なアプローチでは、下等動物、例えば、キイロショウジョウバエ(Drosophila melagonaster)のようなミバエ、およびカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)のような線虫なども使用することができる。農学的に重要な動物の非限定的な例は、ヒツジ、ウシおよびブタであり、一方で、例えば、ネコおよびイヌは、経済的に重要な動物とみなされる場合がある。好ましくは、対象/患者は、哺乳動物である。より好ましくは、対象/患者は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、無尾猿、マーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル、ヒツジ、ウシ、またはブタ)である。最も好ましくは、対象/患者は、ヒトである。
【0166】
開示された、および本明細書において定義された発明は、本文または図面で述べられた、またはそれらから明白な個々の特徴の2種またはそれより多くの全ての代替の組合せに及ぶことが理解されるであろう。これらの異なる組合せの全てが、本発明の様々な代替の形態を構成する。本明細書で言及される全ての特許および公報は、参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0167】
本明細書では、特許出願、科学文献および製造元のマニュアルを含む多数の文書が引用される。これらの文書の開示は、この発明の特許性に関連するとみなされることはないが、本明細書にその全体が参照により組み入れられる。より具体的には、全ての参照された文書は、それぞれ個々の文書が具体的かつ個々に参照により組み入れられることが示されたのと同じ程度に、参照により組み入れられる。
【0168】
本明細書で使用される場合、明示的に別段の指示がない限り、または文脈と矛盾しない限り、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、「1つまたはそれより多くの」および「少なくとも1つの」と同義的に使用される。したがって、例えば、「1種の(a)」式(I)の化合物を含む組成物は、「1種またはそれより多くの」式(I)の化合物を含む組成物への言及として解釈することができる。
【0169】
用語「含む(comprising)」(または「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、または「含有する(containing)」)は、本明細書で使用される場合、明示的に別段の指示がない限り、または文脈と矛盾しない限り、は、「とりわけ、~を含有する」、すなわち、「さらなる任意選択の要素のなかでも特に、~を含有する」の意味を有する。それに加えて、この用語はまた、「から本質的になる」および「からなる」のより狭い意味も含む。例えば、用語「Aは、BおよびCを含む」は、「Aは、とりわけ、BおよびCを含有する」の意味を有し、この場合、Aは、さらなる任意選択の要素を含有していてもよく(例えば、「Aは、B、CおよびDを含有する」も包含される)、ただしこの用語はまた、「AがBおよびCから本質的になる」の意味および「AがBおよびCからなる」の意味(すなわち、BおよびC以外の他の構成要素がAに含まれない)も含む。
【0170】
さらに、別段の指定がない限り、業界標準、薬局方、または製造元のマニュアルへの全ての参照は、本明細書の優先権日(すなわち、出願日)に入手可能であった対応する最新バージョンを指す。
【0171】
以下の図面および実施例はさらに本発明を例示するが、それらの範囲の限定と解釈されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0172】
図1A】SLCの標的化された分解への従順性。FKBP12F36V(「dTAG」)によってタグ付けされた溶質担体(SLC)の外因性発現は、異なる細胞区画における標的化された分解への従順性を実証する:(A)上のグラフ-異なる細胞内の配置(原形質膜、リソソーム、ミトコンドリア、ゴルジ、小胞体)からのSLCタンパク質が、標的化された分解へのそれらの従順性を試験するために選択されたことを表す図解。下のグラフ-FKBP12F36V(「dTAG」)によってタグ付けされた溶質担体(SLC)(実施例で記載され、右に示す通り、タグ付けされたSLC)の内因性発現(例えば、左に示す通り生理学的に発現された)。生理学的に発現されたSLCを標的化する本発明の化合物による異なる細胞区画中のタグ付けされていないSLCの分解(典型例として、原形質膜におけるSLCの分解に関して示される)。
図1B】SLCの標的化された分解への従順性。FKBP12F36V(「dTAG」)によってタグ付けされた溶質担体(SLC)の外因性発現は、異なる細胞区画における標的化された分解への従順性を実証する:(B)示されたdTAG-HA SLCの免疫蛍光法(αHA)イメージングを行って、細胞内局在を確認した。
図1C】SLCの標的化された分解への従順性。FKBP12F36V(「dTAG」)によってタグ付けされた溶質担体(SLC)の外因性発現は、異なる細胞区画における標的化された分解への従順性を実証する:(C)dTAG-HA SLC1A5、2A3、30A9、35B2、MTCH2、および33A1を発現するHAP1細胞を、示された通り、0.5μMのdTAG7またはdTAG13で24時間処理した。を発現するHAP1細胞dTAG-HA SLC2A1および16A1を、0.5μMのdTAG7で24時間処理した。dTAG-HA SLC39A7、dTAG-HA SLC4A4、およびSLC7A3-dTAG-HAを発現するHAP1細胞株を、0.5μMのdTAG13で48時間処理した。
図2A】dTAG系によるSLCの標的化された分解の特徴。(A)様々な分解剤分子濃度を、dTAG-HA SLC38A2または38A9のみを発現するように再構成された細胞株で試験した。これらの実施例のSLCに関して、ほぼ完全な分解は、低いナノモル濃度範囲で達成することができる。
図2B】dTAG系によるSLCの標的化された分解の特徴。(B)dTAGによって促進されるSLC分解の時間経過。dTAGHA SLC38A2を発現するHAP1細胞株を、0.5μMのdTAG7またはdTAG13で処理し、サンプルをいくつかのタイムポイントで回収した。グリコシル化された形態(上のバンド)は、5時間以内に、グリコシル化されていない形態より速く分解されたようであった。
図2C】dTAG系によるSLCの標的化された分解の特徴。(C)dTAG-HA SLC2A3は、HAP1、LS180およびHCT15細胞で安定して発現された。0.5μMでの処理の72時間後、dTAG13 SLC2A3は完全に分解された。
図2D】dTAG系によるSLCの標的化された分解の特徴。(D)SLCのdTAGによって促進される分解の化学的な「レスキュー」。dTAG-HA SLC1A5またはdTAG-HA SLC38A9を発現するHAP1細胞株を、0.5μMのdTAG7で、それぞれ12または18時間処理した。これらの細胞を、クロロキン(CQ、50μM)、ボルテゾミブ(bort.、1μM)、MG-132(MG、1μM)、MLN4924(MLN、1μM)、ポマリドマイド(poma.、10μM)、またはバフィロマイシンA1(bafi.、2.5μM)でも処理した。SLC分解は、CRL活性またはプロテアソームを阻害することによってレスキューされたが、リソソーム機構の阻害によってはレスキューされなかった。
図3A】dTAGノックインは、標的化された分解に等しく適している。(A)dTAGノックイン:SLC38A2を、N末端においてdTAG-HAでタグ付けした。ブラストサイジン(Blasticidn)を、選択マーカーとして使用した。単一細胞クローンをこれまでに記載されたようにして得て、特徴付けた。ここでは2つの代表的なクローンであるB7およびC9を提示する。
図3B】dTAGノックインは、標的化された分解に等しく適している。(B)dTAG-HA SLC38A2の発現を、通常の培養培地をアミノ酸およびFBSが欠乏した培地で置き換えることにより誘導した。内因性SLCの発現が迅速に誘導され、これを免疫蛍光イメージングによってモニターし、自動画像分析によって定量化した。代表的な画像を示す。
図3C】dTAGノックインは、標的化された分解に等しく適している。(C)HAP1細胞におけるdTAG-HA SLC38A2発現へのアミノ酸欠乏の作用。細胞を、0.5μMのdTAG13および/またはアミノ酸/FBSが欠乏した培地で、6または10時間のいずれかで処理し、その後、発現および分解をウェスタンブロットを介してモニターした。ほぼ完全な分解が、併用処置によって達成することができる。
図3D】dTAGノックインは、標的化された分解に等しく適している。(D)dTAG-HA SLC38A2を発現する2種の異なるHAP1クローンの免疫蛍光イメージング。細胞を、アミノ酸/FBSが欠乏した培地中で8時間インキュベートし、0.5μMのdTAG13で、8または10時間のいずれかで処理した。内因性SLCの発現が迅速に誘導され、これを免疫蛍光法によってモニターし、自動画像分析によって定量化した。代表的な画像が提示される。dTAG13での2時間の前処理が、全てのSLC発現を完全に止めるのに十分である。
図4A】新しい一連のSLC9A分解剤。(A)SLC分解剤「d9A1-2」の化学構造。
図4B】新しい一連のSLC9A分解剤。(B)HAP1およびKBM7細胞を、異なる濃度のd9A1-2で処理した。8時間以内に、SLC9A1の分解が両方の細胞株で観察された。
図4C】新しい一連のSLC9A分解剤。(C)WTおよびCRBNノックアウトKBM7細胞株の両方を、1μMのd9A1-2で、16時間処理した。SLC9A1分解はWTで観察されるが、CRBNノックアウトでは観察されない。
図4D】新しい一連のSLC9A分解剤。(D)d9A1-2によって促進される分解の化学的な「レスキュー」。WT KBM7細胞株を、0.5μMのd9A1-2で、16時間処理した。これらの細胞を、ボルテゾミブ(bort.0.25μM)、MG-132(MG、1μM)、MLN4924(MLN、1μM)、ポマリドマイド(poma.、1μM)、またはバフィロマイシンA1(bafi.、10μM)でも処理した。バフィロマイシン除いて全ての分子が、分解からSLC9A1をレスキューすることができた。
図4E】新しい一連のSLC9A分解剤。(E)d9A1-2の選択性を、Strep/HASLC9A1、9A4、9A5、9A8、9A2、9B2、9A6、9A9、および9A3を発現するHAP1細胞株にわたり試験した。細胞を、様々な濃度のd9A1-2で、16時間処理し、その後、外因性SLCの分解をモニターした。
図5A】タグ付けされたSLCの分解。(A)dTAG-HA SLC38A9、38A2、または38A1を発現するHAP1細胞を、0.5μMのdTAG13で、16、24または48時間処理した。標的SLCのほぼ完全な分解が観察され、維持された。
図5B】タグ付けされたSLCの分解。(B)SLC2A3を、NまたはC末端においてdTAG-HAでタグ付けした。2種のHAP1細胞株をdTAG13で24時間処理したところ、両方でSLC2A3が分解された。
図5C】タグ付けされたSLCの分解。(C)dTAG-HA SLC25A1および25A26を発現するHAP1細胞株は、0.5μMのdTAGでの処理の24時間後に有意な分解を実証しなかった。
図5D】タグ付けされたSLCの分解。(D)それぞれのSLCが遺伝学的に排除された293TまたはHAP1 WTまたはHAP1クローンのいずれかにおけるdTAG-HA SLC38A2または38A9の発現。発現レベルの不一致により、分解は、最初の安定な発現レベルに関わりなく、内因性SLCの存在に依存することもなく達成されることが示された。
図5E】タグ付けされたSLCの分解。(E)HAP1または293Tで発現されたdTAG-HA SLC38A1は、dTAG13での処理によって分解された。示されたタンパク質抽出物をPNGアーゼでの処理によって脱グリコシル化した。HAタグに対する抗体および総タンパク質を用いたウェスタンブロッティングによって、タグ付けされたタンパク質が全体として完全に分解されることが確認された。
図5F】タグ付けされたSLCの分解。(F)dTAG-HA SLC39A7、35B2、16A1、38A9または2A1を発現するHAP1細胞を、0.5μMのdTAG7で24、48または72時間処理した。dTAG7は、標的SLCの可逆的な分解をもたらし、タンパク質レベルに対する正確な一時的な制御を可能にする。HAタグに対する抗体および総タンパク質を用いたウェスタンブロッティングは、観察されたパターンを反映した。
図6A】タグ付けされたSLCの分解。(A)様々な分解剤分子dTAG13濃度を、dTAG-HA SLC38A2、16A1および2A1を発現するHAP1細胞株で試験した。細胞を48時間処理した。完全な、またはほぼ完全な分解を達成するのに必要な濃度は、SLCによって決まる。
図6B】タグ付けされたSLCの分解。(B)dTAGによって促進されるSLC分解の時間経過は、6時間以内の分解の開始を実証する。dTAG-HA SLC33A1、2A3、30A9または1A5を発現するHAP1細胞株を、0.5μMのdTAG7で処理した。
図6C】タグ付けされたSLCの分解。(C)dTAG-HA SLC1A5を、LOVO、SW620、CAKIおよびSW480細胞株で発現させた。細胞を0.5μMのdTAG13で処理したところ、分解が48時間後に観察された。
図6D】タグ付けされたSLCの分解。(D)dTAGによって促進される分解の化学的な「レスキュー」。dTAGHA SLC2A3、39A7、38A2、およびMTCH2を発現するHAP1細胞株を、0.5μMのdTAG7で、12時間処理した。を発現する細胞株 dTAG-HA SLC38A2を、0.5μMのdTAG7で、18時間処理した。これらの細胞を、MLN4924(MLN、1μM)、ポマリドマイド(poma.、10μM)、またはバフィロマイシンA1(bafi.、2.5μM)で処理して、分解の阻害をモニターした。
図7A】化学構造。(A)弾頭およびd9A1シリーズの誘導された化合物の化学構造。
図7B】化学構造。(B)HAP1細胞を、弾頭、d9A1-1、d9A1-2、d9A1-3、d9A1-4の用量曲線で24時間処理した。SLC9A1分解は、d9A1-2で最も有効であったが、d9A1-3でも達成することができた。
図7C】化学構造。(C)KBM7細胞を、様々な濃度のd9A1-2で処理した。SLC9A1発現の低減が5、7、9または12時間で観察された。
図8-1】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図8-2】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図8-3】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図8-4】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図8-5】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図8-6】合成に関するワークフロー。HNMRデータを含む、PROTAC d9A1弾頭およびそれに続く分解剤の合成に関するワークフロー。
図9】生存率アッセイ。d9A1-2分子での処理の後の末梢血単核細胞(PBMC)の相対的な生存率。PBMCを、健康なドナーと、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫およびホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病(leukeumia)を有する患者とから単離し、d9A1-2の用量曲線で処理した。CellTiter-Gloアッセイを使用して、処理後72時間に生存率をアッセイした。
図10】生存率アッセイ。d9A1-2分子またはエチルイソプロピルアミロライド(EIPA)での処理での単回用量後の末梢血単核細胞(PBMC)の相対的な生存率。PBMCを、健康なドナーと、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫およびホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病を有する患者とから単離した。CellTiter-Gloアッセイを使用して処理後72時間に生存率をアッセイした。
【実施例
【0173】
実施例1
SLCが、その複雑な膜結合形態および不均一な細胞内局在にもかかわらず、化学分解を受けやすいかどうかを評価した。第1のSLC-dTAG融合タンパク質は異所的に発現された。次いで、その天然染色体の遺伝子座から発現され、それゆえにより高度な生理学的な調節に晒されたSLCタンパク質を、それらがdTAGノックインを介して分解可能になり得るかどうかに関して試験した。最終的に、タグ付けされていない内因性SLCタンパク質を分解可能な新しい化学実体の開発を評価して、SLCの機能を解明した。
【0174】
材料および方法
d9A1-1~d9A1-4の合成
中間体3を、塩基として2.5当量のKOtBuを使用して、1-ベンジルオキシカルボニル-4-ピペリドンを4-メチル-1H-イミダゾールと140℃で反応させることによって、4.3%収量で合成した(図8)。中間体3を、EtOH中におけるPd/Cでの15psiで12時間の水素化に供し、それによって、テトラヒドロピリジン環の還元とCBz基のピペリジン4への脱保護の両方を定量的な収量で行った(図8)。化合物4は容易に、20℃で、塩基としてiPrNEtを使用して、MeCN中の3-フルオロ-4-ニトロ安息香酸エチルとの求核性芳香族置換を受けた(図8)。得られたニトロアレーン7を、鉄および酢酸を用いて還元して、芳香族アミン7Gを63%収量で得た(図8)。このアミンをMeCN中の2当量のt-BuONOでジアゾ化し、ジアゾ中間体を、20℃で12時間、CuBrと反応させて、28%のブロモアレーン7Hを得た(図8)。臭化物7Hは、触媒として10モル%のPd(dppf)Cl、基質のその場での保護のために2当量のBocO、および2当量を使用して、4-フルオロ-3-メチルフェニルボロン酸との鈴木カップリングを受けた(図8)。ジオキサン中の塩基としてKCO、10%HOと共に、MW放射線照射下で、140℃で1.5時間(図8)。鈴木カップリングの生成物である中間体7Fを37%の収量で得て、Boc基はその場での脱保護を受けた(図8)。次いでこれを、THF/EtOH/HO中のLiOHを用いて加水分解して、カルボン酸、d9A1弾頭を得た。化合物d9A1-1~d9A1-4を、d9A1弾頭と、DMF中のHATUおよびiPrNEtを使用したアミドカップリングによってアミノアルキルで置換されたセレブロンリガンド(Zhangら、Eur J Med Chem、151、304~314(2018)に記載されたように合成された)とから合成した(図8)。
【0175】
【表1】
【0176】
【化15】
【0177】
【化16】
【0178】
テトラヒドロフラン(50mL)中の5-ブロモ-4-メチル-1H-イミダゾール(5g、24.0mmol)の溶液に、氷槽でNaH(1.25g、31.2mmol、油中の60%)冷却を添加した。反応混合物を氷槽中で1時間撹拌した。次いで(2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチルクロリド(5.2g、31.2mmol)を溶液に滴加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。LCMSは出発材料をモニターしなかった。混合物を飽和NHCl溶液でクエンチし、混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)によって精製して、生成物5-ブロモ-4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール(6.7g、93%の収量)を茶色の油として得た。
【0179】
LC純度:97.00%(214nm);質量:1.76分で339.0[M+H]+
【0180】
【化17】
【0181】
ジオキサン(50mL)および水(10mL)中の5-ブロモ-4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール(5.3g、15.9mmol)の溶液に、ベンジル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(6g、17.5mmol)、KCO(4.3g、31.4mmol)およびPd(dppf)Cl(1.2g、1.6mmol)を添加した。反応混合物を、90℃、N下で4時間撹拌した。LCMSは出発材料をモニターしなかった。混合物を水で希釈し、水層を酢酸エチル(120mL×3)で抽出した。合わせた有機層を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1:2)によって精製して、生成物4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸ベンジル(4.5g、57.8%の収量)を茶色の油として得た。
LC純度:92.88%(214nm);質量:1.57分で428.1[M+H]
【0182】
【化18】
【0183】
MeOH(300mL)中の4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸ベンジル(3.8g、8.9mmol)の溶液に、Pd/C(1g)を添加した。反応混合物を、H下で、60℃で一晩撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。反応混合物をろ過し、母液を真空中で濃縮して、4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(1.09g、22.2%の収量)を黄色の固体として得た。
LC純度:100%(214nm);質量:1.23分で296.1[M+H]
【0184】
h NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.58 (s, 1H), 5.25 (s, 2H), 3.48 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.02 (s, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.62 (dt, J = 54.0, 12.0 Hz, 4H), 0.86 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H)。
【0185】
【化19】
【0186】
アセトニトリル(20mL)中の3-フルオロ-4-ニトロ安息香酸メチル(1.5g、7.5mmol)の溶液に、4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(1.8g、6.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.4g、18.8mmol)を室温で添加し、反応物を65℃で12時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~100%アセトン、v/v)で精製して、3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-4-ニトロ安息香酸メチル(1.5g、43%の収量)を黄色の油として得た。
LC純度:100%(214nm);質量:1.58分で475.1[M+H]
【0187】
【化20】
【0188】
MeOH(20mL)中の3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-4-ニトロ安息香酸メチル(1.5g、3.2mmol)の溶液に、10%Pd/C(300mg)を室温で添加し、反応物を、H下で、室温で12時間撹拌した。反応混合物をろ過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~100%アセトン、v/v)で精製して、4-アミノ-3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)安息香酸メチル(1.23g、87%の収量)を黄色の油として得た。
LC純度:100%(214nm);質量:1.53分で445.1[M+H]
【0189】
【化21】
【0190】
アセトニトリル(20mL)中の4-アミノ-3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)安息香酸メチル(1.23g、2.77mmol)の溶液に、t-BuNO(0.57g、5.53mmol)、CuBr(0.62g、2.77mmol)を0℃で添加し、反応物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル中の0~10%MeOH、v/v)で精製して、4-ブロモ-3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)安息香酸メチル(750mg、53%の収量)を無色の油として得た。
LC純度:74.29%(214nm);質量:1.23分で508.2[M+H]
【0191】
【化22】
【0192】
ジオキサン(5mL)および水(1mL)中の4-ブロモ-3-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)安息香酸メチル(750mg、1.47mmol)の溶液に、KCO(610mg、4.41mmol)およびPd(dppf)Cl(108mg、0.147mmol)を室温で添加し、反応物を100℃で5時間撹拌した。混合物を分取用HPLCで精製して、4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸メチルを茶色の油として得た(370mg、46%の収量)。
LC純度:100%(214nm);質量:1.37分で538.3[M+H]
【0193】
【化23】
【0194】
MeOH/テトラヒドロフラン/水(21mL)中の4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸メチル(470mg、0.87mmol)の溶液に、LiOH(74mg、1.75mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。混合物を水で希釈し、濃縮して、溶媒を除去し、水層のpHを1NのHCl水溶液で4~5に調整した。混合物を酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮して、4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸(400mg、87.4%の収量)を茶色の固体として得た。
LC純度:100%(214nm);質量:1.63分で524.1[M+H]
【0195】
【化24】
【0196】
CHCl(9mL)中の4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸(400mg、0.76mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(872mg、7.6mmol)を、氷槽で冷却しながら添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。混合物を分取用HPLCで精製して、生成物(200mg、66.5%の収量、トリフルオロ酢酸塩)を白色の固体として得た。
LC純度:100%(214nm);質量:1.46分で394.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.16 (s, 1H), 7.66 - 7.56 (m, 4H), 7.45 (s, 1H), 7.32 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.21 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.10 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 2.62 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 1.65 (dd, J = 24.0, 12.0 Hz, 2H), 1.55 (d, J = 10.4 Hz, 2H)。
【0197】
【化25】
【0198】
【化26】
【0199】
CHCN(15mL)中の1-フルオロ-2-ニトロベンゼン(0.6g、4.25mmol)および4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(1.01g、3.40mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(1.1g、8.5mmol)を添加した。混合物を60℃で12時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残留物を、シリカでのシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、v/v)によって精製して、4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-1-(2-ニトロフェニル)ピペリジン(1.3g、91.3%)を黄色の油として得た。
【0200】
LC-質量分析方法:移動相:A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:5%Bを0.2分、1.3分以内に95%Bに増加、95%Bを1.7分、0.01分以内に戻す。流速:1.8ml/分;カラム:Xbridge C18、3.5μm、4.6×50mm;カラム温度:50℃。LC純度:100%(254nm)、質量:1.59分で417.1[M+H]
【0201】
【化27】
【0202】
MeOH(20mL)中の4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-1-(2-ニトロフェニル)ピペリジン(1.3g、3.12mmol)の溶液に、Pd/C(0.5 g)を添加した。混合物を、H(15psi)下で、20~25℃で12時間撹拌した。混合物をろ過し、母液を真空中で濃縮して、望ましい生成物2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)アニリン(1.1g、85.4%の収量)を黄色の油として得た。
【0203】
LC-質量分析方法:移動相:A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:5%Bを0.2分、1.3分以内に95%Bに増加、95%Bを1.5分、0.01分以内に戻す。流速:2ml/分;カラム:Sunfire、50×4.6mm、3.5μm;カラム温度:50℃。LC純度:94%(254nm)、質量:1.505分で387.1[M+1]
【0204】
【化28】
【0205】
CHCN(20mL)中の2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)アニリン(1.1g、2.85mmol)の溶液に、t-BuNO(0.59g、5.70mmol)およびCuBr(0.64g、2.85mmol)を氷槽中で添加した。混合物を20~25℃で6時間撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮した。残留物を、クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、v/v)によって精製して、1-(2-ブロモフェニル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(0.6g、46.8%)を黄色の固体として得た。
【0206】
LC-質量分析方法:移動相:A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:5%Bを0.2分、1.3分以内に95%Bに増加、95%Bを1.5分、0.01分以内に戻す。流速:2ml/分;カラム:Sunfire、50×4.6mm、3.5μm;カラム温度:50℃。LC純度:95%(214nm)、質量:1.679分で450.0[M+1]
【0207】
【化29】
【0208】
ジオキサン/HO(6mL/2mL)中の1-(2-ブロモフェニル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(0.6g、1.33mmol)および(4-フルオロ-3-メチルフェニル)ボロン酸(0.25g、1.60mmol)の溶液に、KCO(0.37g、2.66mmol)およびPd(dppf)Cl(95mg、0.13mmol)を添加した。混合物を、N下で、100℃で5時間撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。混合物を真空中で濃縮した。残留物を、クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、v/v)によって精製して、1-(4’-フルオロ-3’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(0.35g、54.8%)を黄色の固体として得た。
【0209】
LC-質量分析方法:移動相:A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:5%Bを0.2分、1.3分以内に95%Bに増加、95%Bを1.5分、0.01分以内に戻す。流速:2ml/分;カラム:Sunfire、50×4.6mm、3.5μm;カラム温度:50℃。LC純度:80%(214nm)、質量:1.76分で480.1[M+1]
【0210】
【化30】
【0211】
テトラヒドロフラン(6mL)中の1-(4’-フルオロ-3’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(0.6g、0.42mmol)の溶液に、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(2.1mL、2.1mmol、テトラヒドロフラン中の1N)を添加した。混合物を60℃で12時間撹拌した。LCMSは、残存する出発材料を示さなかった。混合物を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮した。残留物を分取用HPLCで精製して、1-(4’-フルオロ-3’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4-(4-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(50mg、34.3%)を白色の固体として得た。
【0212】
LC-質量分析方法:移動相:A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:5%Bを0.2分、1.3分以内に95%Bに増加、95%Bを1.5分、0.01分以内に戻す。流速:2ml/分;カラム:Sunfire、50×4.6mm、3.5μm;カラム温度:50℃。LC純度:96%(214nm)、質量:1.537分で350.2[M+1]
H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.60 - 7.44 (m, 2H), 7.32 - 7.24 (m, 1H), 7.20 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.16 - 6.96 (m, 3H), 3.20 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 2.64 (t, J = 12.0 Hz, 3H), 2.34 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 2.17 (s, 3H), 1.82 - 1.68 (m, 2H), 1.63 (d, J = 10.5 Hz, 2H)。
【0213】
【化31】
【0214】
【化32】
【0215】
無水テトラヒドロフラン(10mL)中の4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸メチル(370mg、0.69mmol)の混合物を、氷槽中で無水テトラヒドロフラン(10mL)中のLiAlH(33mg、0.86mmol)に滴加した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いでHO(0.033mL)、NaOH溶液(0.033mL、水中の15%)およびHO(0.099mL)を添加し、酢酸エチル:ジクロロメタン=1:1(100mL)で希釈し、ろ過した。固体に、酢酸エチル:ジクロロメタン=1:1(100mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)を添加し、15分撹拌し、ろ過した。合わせたろ液を濃縮し、残留物を、酢酸エチル-石油エーテル(0~100%)で溶出させるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)メタノール(350mg、0.68mmol、収量:98%)を黄色の油として得た。
【0216】
LC-質量分析方法:A:HO(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:1.3分で5%~95%B;流速:1.8ml/分;カラム:Zorbox SB-C18、4.6×30mm、1.8um;温度過上昇:40℃;LC純度:99.30%(214nm);質量:1.24分で518.3[M+H]
【0217】
【化33】
【0218】
ジクロロメタン(10mL)中の(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)メタノール (350mg、0.09mmol)の溶液に、SOCl(250mg、2.08mmol)を0℃で添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、1-(4-(クロロメチル)-4’-フルオロ-3’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(360mg、0.68mmol、収量:98%、HCl塩)を黄色の油として得た。
【0219】
LC-質量分析方法:A:HO(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:1.3分で5%~95%B;流速:1.8ml/分;カラム:Zorbox SB-C18、4.6×30mm、1.8um;温度過上昇:40℃;LC純度:93.49%(214nm);質量:1.41分で528.3[M+H]
【0220】
【化34】
【0221】
アセトニトリル:HO=5:1(5mL)中の1-(4-(クロロメチル)-4’-フルオロ-3’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン(424mg、0.80mmol)の溶液に、NaOH(水溶液、0.1mL)、NaI(12mg、0.08mmol)およびNaCN(196mg、4.0mmol)を室温で添加し、反応物を40℃で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~100%アセトン、v/v)で精製して、2-(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)アセトニトリル(150mg、0.29mmol、収量:36%)を無色の油として得た。
【0222】
LC-質量分析方法:A:HO(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:1.3分で5%~95%B;流速:2.0ml/分;カラム:Sunfire C18、4.6×50mm、3.5μm;温度過上昇:50℃;LC純度:91.83%(214nm);質量:1.73分で519.2[M+H]
【0223】
【化35】
【0224】
MeOH(8mL)およびNHOH(1mL)中の2-(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)アセトニトリル(150mg、0.29mmol)の溶液に、ラネーNi(15mg)を室温で添加し、反応物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をろ過し、母液を真空中で濃縮して、2-(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)エタン-1-アミン(150mg、0.28mmol、収量:96%)を無色の油として得た。
【0225】
LC-質量分析方法:A:HO(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:1.3分で5%~95%B;流速:2.0ml/分;カラム:Sunfire C18、4.6×50mm、3.5μm;温度過上昇:50℃;LC純度:96.30%(214nm);質量:1.60分で523.2[M+H]
【0226】
【化36】
【0227】
MeOH(5mL)中の2-(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)エタン-1-アミン(150mg、0.28mmol)の溶液に、HCl/酢酸エチル(5mL)を0℃で添加し、反応物を室温で16時間撹拌した。反応物を分取用HPLCで精製して、2-(4’-フルオロ-3’-メチル-2-(4-(4-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)エタン-1-アミン(20mg、0.05mmol、収量:18%)を白色の固体として得た。
【0228】
LC-質量分析方法:A:HO(0.01%トリフルオロ酢酸)B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)勾配:1.3分で5%~95%B;流速:2.0ml/分;カラム:Sunfire C18、4.6×50mm、3.5μm;温度過上昇:50℃;LC純度:100%(214nm);質量:1.37分で393.1[M+H]
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.57 - 7.52 (m, 1H), 7.49 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.18 (d, J = 7.5Hz, 1H), 7.09 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.96 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.23 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 3.03 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 2.85 (dd, J = 11.5, 7.5 Hz, 2H), 2.66 (t, J = 11.5 Hz, 2H), 2.64 - 2.59 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.77 (dd, J = 23.0, 12.0 Hz, 2H), 1.64 (d, J = 11.5 Hz, 2H).
19F NMR (376 MHz 、 MeOD) δ -122.84 (d 、 J = 6.0 Hz).
13C NMR (101 MHz, MeOD) δ 161.40 (s), 158.99 (s), 151.25 (s), 138.97 (s), 137.11 (d, J = 3.7 Hz), 132.41 (s), 131.46 (d, J = 4.9 Hz), 131.05 (s), 127.61 (d, J = 7.8 Hz), 124.03 (d, J = 17.1 Hz), 122.45 (s), 118.78 (s), 114.20 (d, J = 22.3 Hz), 52.05 (s), 48.24 (s), 48.03 (s), 47.81 (s), 47.60 (s), 47.39 (s), 47.17 (s), 46.96 (s), 42.26 (s), 37.39 (s), 33.61 (s), 31.86 (s), 13.21 (d, J = 3.6 Hz), 9.27 (s)。
【0229】
細胞株およびウイルス
HEK293T、LS180を、ATCC(米国バージニア州マナサス)、HAP1WT、HAP1-/-SLC38A2(HZGHC001975c003)から得て、HAP1-/-SLC38A9(HZGHC000777c011)を、ホライゾン・ゲノミクス(Horizon Genomics)から得た。ここで利用された他の細胞株:CAKI(Georg Winterの研究室からの贈呈)、SW620、SW480(両方ともWalter Bergerの研究室、ウィーン医科大学(Medical University Vienna)からの贈呈)、LOVO、HCT15(両方ともChris Gascheからの贈呈)、KBM7(Thijn Brummelkampの研究室からの贈呈)、KBM7-/-CRBNは、Mayor-Ruizらにおいて記載された通りであった。細胞を、ATCCの推奨に従って、10%(v/v)FBSおよび抗生物質(100U/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシン)が補充された、DMEM、RPMIまたはIMDM培地(ギブコ(Gibco))中で培養した。dTAG-HA SLC38A2 HAP1細胞株のノックイン単一細胞クローンを、これまでに記載されたようにして生成した。欠乏のために、培養培地を、アミノ酸またはFBSを含まない培地で交換した。
【0230】
プラスミドおよび安定な細胞株の生成
SLC1A5、SLC2A1、SLC2A3、SLC16A1、SLC38A1、SLC38A2を、ハーバードPlasmIDリポジトリ(Harvard PlasmID Repository)からのゲートウェイ適合性pENTR/pDONRベクターとして得た。SLC39A7を、ダーマコン(Dharmacon)、GEヘルスケア(GE Healthcare)から得た。以下のベクターを、Genescriptによって合成した:SLC4A4、SLC7A3、SLC38A9、SLC25A1、SLC9A1、SLC9A2、SLC9A3、SLC9A4、SLC9A5、SLC9A6、SLC9A7、SLC9A8、およびSLC9B2。SLC30A9、SLC33A1、SLC35B2、SLC25A26、およびMTCH2は、RESOLUTE協会からの贈呈であった。cDNAを、ゲートウェイ適合性レンチウイルス発現ベクター:pLX305dTAGベクター(Addgene番号91797/8)またはpRRL Strep-HA(以前に記載された43、EF1aプロモーターによって促進される発現)に、LR組換え(サーモフィッシャー・サイエンティフィック(ThermoFisher Scientific))を使用して移行した。
レンチウイルスを安定して過剰発現する細胞の生成のために、HEK293T細胞を、ポリエチレンイミン(PEI)を使用してpsPAX2(Addgene番号12260)およびpMD2.G(Addgene番号12259)および発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクションから12時間後、培地を新しい培地で交換した。48時間後にウイルスを含有する培地を回収し、ろ過し(0.45μm)、5μg/mlポリブレン(臭化ヘキサジメトリン、シグマ(Sigma))を補充し、標的細胞に添加した。形質導入の48時間後、培地にそれぞれの選択抗生物質(ピューロマイシン、ブラスチシジン)を補充して、安定して発現する細胞集団を誘導した。dTAG SLC38A2ノックイン細胞株を、これまでに説明されたようにして(14、42)、ベクターpCRIS-PITCHv2-dTAG-BSD(Addgene番号91792)およびpX330Aを使用して、以下のプライマーを使用して生成した。
【0231】
【化37】
【0232】
抗体および免疫ブロッティング
免疫ブロッティングのために、全細胞抽出物を、RIPA溶解緩衝液(25mMトリス/HCl pH7.6、150mMのNaCl、1%NP-40、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、EDTA非含有プロテアーゼ阻害剤(ロシュ(Roche))およびホスファターゼ阻害剤2+3(シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich)))を使用して調製した。細胞抽出物を、50μLのRIPA緩衝液中で、氷上で15分インキュベートした。溶解産物を、遠心分離(20,000g、10分、4℃)によって清澄化した。タンパク質抽出物を定量化し、BCAアッセイ(サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific))を使用して正規化した。示される場合、清澄化した溶解産物を酵素PNGアーゼ(NEB)で処理して、タンパク質を脱グリコシル化した。Lammliサンプル緩衝液4×を、タンパク質抽出物サンプルに、沸騰させずに添加した。細胞溶解産物を、標準的な方法に従って、トリス-グリシン泳動緩衝液中のSDS-ポリアクリルアミドゲルで泳動し、ニトロセルロース膜のアマシャム(Amersham)のProtran 0.45μm(GEヘルスケア)に移した。膜を、以下に示す抗体と共にインキュベートし、ECLウェスタンブロッティングシステム(サーモ・サイエンティフィック)を使用して、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体(後述する)で可視化した。以下の抗体を使用した:GAPDH(サンタクルーズ(Santa Cruz)、sc-365062)、アクチン(サイトスケルトン社(Cyoskeleton Inc.)、番号AAN01)、HA(コーヴァンス(Covance)、カタログ番号MMS-101R)、HA(セルシグナリング(Cell Signaling)、番号3724)、HA7-HRP(シグマ、H6533)、HA(ロシュ、番号11867423001)、SLC9A1(サンタクルーズ、sc-136239)、SLC2A1(セルシグナリング、番号12939)、SLC38A1(セルシグナリング、番号36057)。ヤギ抗ラットIgG Alexa Fluor 488(サーモフィッシャー(ThermoFisher)、A11006)をイメージングするための二次抗体。免疫ブロッティングのために以下の二次抗体を使用した:ヤギ抗マウスHRP(115-035-003、ジャクソン・イムノリサーチ(Jackson ImmunoResearch))およびヤギ抗ウサギHRP(111-035-003、ジャクソン・イムノリサーチ)。
【0233】
免疫蛍光染色およびイメージング
HAP1細胞において発現されたSLCの免疫蛍光検出のために、細胞を、ポリ-L-リシン臭化水素酸塩(P6282、シグマ-アルドリッチ)でコーティングされた96ウェルのセルキャリアーウルトラ(CellCarrier Ultra)プレート(パーキンエルマー(PerkinElmer))上に、または13mmのNo.1.5Hカバーガラス(PaulMarienfeld)上にシーディングした。細胞をインキュベートし、その後1×PBS中の4%ホルムアルデヒドで固定した。固定後、細胞を、ブロッキング緩衝液(0.3%サポニン(47036、シグマ-アルドリッチ)、1×PBS中の10%FCS)中で室温(RT)で1時間、揺らしながらインキュベートした。一次抗体染色を、ブロッキング溶液中で、室温で2時間実行し、フルオロフォア結合二次抗体染色を、ブロッキング溶液で3回洗浄した後に、1時間適用した。最後の洗浄を3回実行し、対比染色を、核のためにDAPI(1×PBS中の1:1000)およびHCSセルマークディープレッドステイン(HCS CellMask Deep Red Stain)(1×PBS中の1:20000)を用いて、室温で15分行った。プロロングゴールド(ProLong Gold)褪色防止試薬(サーモ・サイエンティフィック)を使用してカバーガラスをマウントし、ツァイス(Zeiss)LSM-780共焦点顕微鏡を使用して画像化した。セルキャリアーウルトラプレートのイメージングをオペラ・フェニックス・ハイコンテント(Opera Phenix High Content)スクリーニングシステム(パーキンエルマー)で実行した。
【0234】
自動画像分析
細胞HAタグ強度の定量化のために、セルプロファイラー(CellProfiler)v3.1.8を使用した。簡単に言えば、核を、DAPI染色から同定し、さらにセルマーク(CellMask)イメージから二次対象物として細胞から同定した。HAタグ強度を単一細胞レベルで定量化し、データの連続したプロットをR3.4.4で実行した。
【0235】
化学物質
MG132、ボルテゾミブ、ポマリドマイドを、セレックケム(Selleckchem)から得た。MLN4924を、メドケムエクスプレス(MedchemExpress)から得た。バフィロマイシンを、エンゾライフサイエンス(Enzo Life Sciences)から得た。dTAG13は、Nathanael Gray研究室、ダナ・ファーバー癌研究所(Dana Farber Cancer Institute)からの親切な贈呈であった。一連のd9A1分解剤(弾頭、d9A1-1~d9A1-4)を、ウーシーアップテック(WuXi AppTec)によって合成した。図8に、合成経路およびNMRデータが提供される。全ての化学物質をDMSO(シグマ-アルドリッチ)中に溶解し、それぞれの図面に記載の濃度で利用した。
【0236】
結果
SLCは、dTAG系としても公知の突然変異したFKBPドメインへの融合体として異所的に発現された。簡単に言えば、dTAGedタンパク質は、dTAGおよびCRL4CRBN E3リガーゼに同時に結合して、分子の近接とそれに続くプロテアソームによる分解を誘導する特異的なキメラ分解剤分子(例えばdTAG7/dTAG13)による分解を受けやすい。SLCは全ての細胞区画で発現されたことを考慮して、異なって配置されたSLCの標的化されたタンパク質分解への従順性を試験した(図1A、上のグラフ)。試験したSLCのそれぞれは、HAP1細胞で安定して発現され、細胞内局在は、蛍光顕微鏡法によって評価された(図1B)。詳細に言えば、細胞表面(SLC1A5、SLC38A1、SLC2A1、SLC2A3、SLC16A1、SLC4A4、SLC7A3)、細胞表面および小胞(SLC38A2)、リソソーム(SLC38A9)、ゴルジ(SLC35B2、SLC33A1)、ミトコンドリア(SLC25A26、SLC25A1、およびMTCH2)ならびに小胞体(SLC39A7、SLC30A9)に配置されたSLCをアッセイした。特異的な分解剤分子(dTAG7またはdTAG13)での細胞処理によって、標的化された分解を受けやすい細胞表面、小胞体およびリソソームで発現されたSLCが同定された(図1C、5A)。dTAGは、SLC2A3によって例示されるように、どちらも細胞質に向かっている場合(図5B)、SLCのNまたはC末端のいずれかに設置され得る。外部ミトコンドリアタンパク質MTCH2(SLC25A50)は分解を受けやすいが(図1B)、試験された内部ミトコンドリアSLCは、アッセイした時間枠内で分解することができなかった(図5C)。一部のSLC、例えばSLC38A2またはSLC2A3は、処理後に完全に分解できたが、他のSLC、例えばSLC35B2またはSLC39A7は最後まで分解されなかった(表1を参照)。
【0237】
【表2】
【0238】
完全な分解は、dTAGタンパク質の安定な発現レベルとも内因性タンパク質の発現とも相関がないようであった(図5D)。標的化された分解もタンパク質特異的な抗体を介して検証したところ、全般的にdTAGのHAエピトープを介した検出と優れた一貫性を示した(図5EおよびF)。注目すべきことに、標的化されたSLC分解の一時的な制御は、それぞれのヘテロ二官能性分子の選択の影響を受ける場合があった:PROTAC dTAG7での分解は可逆的な分解に至ったが、dTAG13は、少なくとも72時間標的分解を維持した(図5EおよびF)。まとめると、これらのデータから、細胞内標的の結合は、CRLCRBNE3リガーゼ複合体を補充し、SLC分解を促進するのに十分であることが確認される。一部のSLC、例えばSLC38A2で、ほぼ完全な分解を低いナノモル濃度範囲で達成することができたが、最大の標的分解に必要な分解剤の用量は研究されるSLCに基づき様々であった(図2A、6A)。SLCの標的化された分解は、典型的には、少なくともSLCに応じて3~6時間以内に開始した(図2B、6B)。異所的に発現されたdTAG-SLCの分解は、HAP1細胞株に固有ではなかったが、他のがん細胞株、例えばHCT15、LS180などでも達成できた(図2C、6C)。観察されたSLCの不安定化が活性なCRL4CRBN複合体に依存することを検証するために、化学的な競合実験を計画した。dTAG7媒介分解を、NAE1阻害剤MLN4924との併用処理によって、カリンのネジル化(neddylation)、したがってCRL活性を阻害することによってブロッキングした(図2D、6D)。同様に、過剰濃度のポマリドマイドでの処理によってCRBN結合部位を飽和させたところ、測定可能なSLC分解が妨害された。最後に、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブまたはMG132)での処理は、SLC分解をレスキューした。注目すべきことに、分解は、リソソームモジュレーターであるバフィロマイシンA1との併用処理の影響を受けなかったようである(図2D)。したがって、SLCの標的化された分解は、プロテアソームを利用するがリソソーム機構は利用しないと考えられる。次に、内因性SLCタンパク質の化学的な制御の実行可能性を実証するために、ゲノム遺伝子座でdTAGドメインをノックインすることを実行した。N末端での内因性のタグ付けのために、SLC38A2を選択した(図3A)。SLC38A2タンパク質レベルは、正常な培養条件下で低く維持され、アミノ酸欠乏後に強く誘発されることが示された(Nardi, F.ら、Proteasomal modulation of cellular SNAT2 (SLC38A2)abundance and function by unsaturated fatty acid availability. J. Biol. Chem. 290、8173~8184 (2015))。実際に、使用された細胞株モデルにおいて、内因的にタグ付けされたSLC38A2タンパク質は、数時間以内に迅速に発現され、欠乏時に細胞膜に局在することができた(図3B)。発現の強い誘導にもかかわらず、トランスポーターは、標的化された分解を受けやすいままであった(図3C)。この強い刺激下でさえも、SLC38A2発現は、dTAG13での前処理から2時間で完全になくなり、一方で併用処理は、SLC38A2発現を50%より多く低減したことが見出された(図3D)。全体として、dTAGed SLCの外因性および内因性発現に関するデータから、複数回貫通型膜貫通タンパク質、例えばSLCは、採用されたタンパク質分解機構の適用範囲内であり、プロテアソーム媒介標的化分解を受けやすいことが示された。しかしながら、遺伝学的にコードされた分解系、例えばdTAGアプローチの使用は、その使用を確立された、遺伝学的に扱いやすい細胞培養系に限定する。クラス中で直接的に作用する第1のものであるCRL4CRBNE3リガーゼ複合体を化学的に再プログラミングすることによってSLCを分解できるかどうかを調査するために、SLC分解剤を設計した。SLC9A1は、NHE1としても公知であり、1つのNa+イオンを1つのH+イオンと交換する電気的中性および可逆的なイオントランスポーターである。これは、細胞質内のアルカリ化(pHi)と微環境の酸性化の両方に寄与する(Parks, S. K.、Chiche, J.およびPouyssegur, J. Disrupting proton dynamics and energy metabolism for cancer therapy. Nature Reviews Cancer 13、611~623 (2013)) 。これは、がんに関与することがこれまでに示されており、それゆえに、本発明者らの目的にとって魅力的なモデル標的である(Stock, C. およびPedersen, S. F. Roles of pH and the Na+/H+ exchanger NHE1 in cancer: From cell biology and animal models to an emerging translational perspective、Seminars in Cancer Biology 43、5~16 (2017))。推定上のSLC9A1分解剤のフォーカスされたライブラリーを、系統的に様々な長さのリンカー、組成物およびポマリドマイドベースのCRBN結合剤への付着の化学によって合成した(図4A、7A)。SLC9A1の分解を、2種の細胞株、HAP1およびKBM7で評価した。最も有力な分解剤は、ここではd9A1-2と表記され、これは、処理後8時間以内にマイクロモル濃度未満で内因性SLC9A1の分解をもたらした(図4B、7B)。同じシリーズの1つの追加の分解剤は、d9A1-3と表記され、これもまた、より低い効力ではあるものの標的の分解をもたらす可能性があり(図7A)、したがって効率的な分解剤の生成におけるリンカー設計の重要性を強調する。予想通りに、E3リガーゼアダプターCRBNの遺伝学的枯渇は、SLC9A1の分解を排除した(図4C、7C)。ここでも制御されたタンパク質分解のメカニズムと一致して、SLC9A1不安定化が、MLN4924によるNAE1の薬理学的阻害を介してCRL活性をブロックすることによってなくなった。同様に、過量のポマリドマイドとの競合は、d9A1-2によって誘発されたSLC9A1の分解をブロックした(図4D、7C)。バフィロマイシンA1ではなくプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブまたはMG132)での処理が、SLC分解をレスキューした(図4D)。次に、他のSLC9ファミリーメンバーに対するSLC9A1の分解の選択性を評価した。この調査をHAP1細胞における内因性トランスポーターの発現レベルから独立させるために、SLC9ファミリーの9種のメンバー(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A8、A9、B2)に対応するタグ付けされたタンパク質を異所的に過剰発現させた。250または750nMのd9A1-2での処理後の16時間に、SLC9A1は、最も効率的な分解を実証した。加えて、d9A1-2も、密接に関連するSLC9A2およびSLC9A4の分解を促進した(図4E)。比較的に、他のアッセイされたSLCの存在量は、これらの実験条件で有意に影響を受けなかった。したがって、d9A1-2は、SLC9A1に選択的であることに限らず、ファミリー内の選択性のある一定のレベルを特徴とする。これらの実験はさらに、ヘテロ二官能性分解剤によるSLCの分解性を立証する。まとめると、このデータは、化学的に誘発された分解への複数回貫通型膜貫通タンパク質の従順性を実証し、最初のSLCに向けられたPROTACをもたらす。
【0239】
実施例2
図9で示される細胞生存率アッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、健康なドナーおよび急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病を有する患者からのリンホプレップ(Lymphoprep)(幹細胞技術)を使用して単離した。異なるサンプルの比較のために、化合物を、アコースティックリキッドハンドラー(エコー(Echo)、ラボサイト(Labcyte))を使用して黒色の384ウェルプレート上に移した。これらのプレートに、細胞を、10%ウシ胎児血清(ギブコ)が補充されたRPMI培地(ギブコ)中、1ウェル当たり細胞20,000個の密度でシーディングした。72時間後、CellTiter-Gloアッセイ(プロメガ)を使用して、プレートリーダー(SpectraMax i3x、モレキュラープローブス(Molecular Probes))で生存率を測定した。全ての測定を、技術的な4つの複製物で行った。d9A1-2での処理によって達成された毒性を参照対照に正規化した。用量応答フィッティング曲線を得て、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)V8を使用してプロットした。データを平均±SDとして提示する。
データは、d9A1-2が、患者サンプル中において、健康なドナーサンプル中より高い毒性を有することを実証する。
【0240】
図10で示される細胞生存率アッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、健康なドナーおよび急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病を有する患者からのリンホプレップ(幹細胞技術)を使用して単離した。異なるサンプルの比較のために、化合物を、アコースティックリキッドハンドラー(エコー、ラボサイト)を使用して黒色の384ウェルプレートに移した。
【0241】
これらのプレートに、細胞を、10%ウシ胎児血清(ギブコ)が補充されたRPMI培地(ギブコ)中、1ウェル当たり細胞20,000個の密度でシーディングした。72時間後、CellTiter-Gloアッセイ(プロメガ)を使用して、プレートリーダー(SpectraMax i3x、モレキュラープローブス)で生存率を測定した。全ての測定を、技術的な4つの複製物で行った。d9A1-2またはエチルイソプロピルアミロライド(EIPA)(シグマ)での処理によってによって達成された毒性を参照対照に正規化した。用量応答フィッティング曲線を得て、グラフパッド・プリズムV8を使用してプロットした。データを平均±SDとして提示する。
【0242】
75nMのd9A1-2での処理は、患者サンプルにおいて、7.5μMのEIPAより顕著に高い毒性を有することから、毒性に関してd9A-12の作用が改善されたことを実証する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図8-6】
図9
図10
【国際調査報告】