(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】神経学的障害の治療のための機能的ニューロンの再生
(51)【国際特許分類】
A61K 35/76 20150101AFI20221215BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221215BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221215BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221215BHJP
A61K 38/16 20060101ALN20221215BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20221215BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
A61K35/76 ZNA
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P25/28
A61K48/00
A61K38/16
C12N15/12
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522922
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020056059
(87)【国際公開番号】W WO2021076947
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】398071440
【氏名又は名称】ザ・ペン・ステイト・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】The Penn State Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100218268
【氏名又は名称】及川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゴン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DC50
4C084MA17
4C084MA56
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4C084NA14
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4C084ZB211
4C084ZC411
4C087AA01
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4C087BC83
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4C087MA56
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4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA16
4C087ZB21
4C087ZC41
(57)【要約】
本明細書は、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を有する哺乳動物の治療に関与する方法および材料を提供する。例えば、NeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む組成物を、脳における神経学的障害を有する哺乳動物に投与するための方法および材料が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳における神経学的障害を有する哺乳動物を治療するための方法であって、前記方法が、神経原性分化1(NeuroD1)ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、前記哺乳動物の前記脳に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記神経学的障害が、アルツハイマー病である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む発現ベクターを、前記脳に送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを、前記脳に送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを、前記脳に送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アデノ随伴ウイルスが、AAV.PHP.eBである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投与する工程が、NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み、前記NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記投与する工程が、定位頭蓋内注射を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記投与する工程が、2回以上の定位頭蓋内注射を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与する工程が、頭蓋外注射を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記投与する工程が、2回以上の頭蓋外注射を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記投与する工程が、後眼窩注射を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アルツハイマー病を有する哺乳動物を治療する方法であって、前記方法が、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする核酸を含むアデノ随伴ウイルス粒子を含有する薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を、前記哺乳動物の脳に投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記薬学的組成物が、10
10~10
14個のアデノ随伴ウイルス粒子/mLの担体の濃度でアデノ随伴ウイルス粒子を含有する約1μL~約500μLの薬学的に許容される担体を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的組成物が、約0.1μL/分~約5μL/分の制御された流速で前記哺乳動物の前記脳に注射される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
アルツハイマー病を有し、かつ(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化を低減させること、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集を低減させること、(3)神経炎症を低減させること、(4)インターロイキン1β(IL-1β)を低減させること、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンを生成すること、(6)GABA作動性ニューロンの生存を増加させること、(7)新たな非反応性星状細胞を生成すること、(8)反応性星状細胞の数を低減させること、または(9)記憶を改善することを必要とする哺乳動物内で、前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)を行うための方法であって、前記方法が、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含み、前記(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化が低減されるか、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集が低減されるか、(3)神経炎症が低減されるか、(4)インターロイキン1β(IL-1β)が低減されるか、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンが生成されるか、(6)GABA作動性ニューロンの生存が増加されるか、(7)新たな非反応性星状細胞が生成されるか、(8)反応性星状細胞の数が低減されるか、または(9)前記記憶が改善される、方法。
【請求項18】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを送達することを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを送達することを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを送達することを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターが、AAV.PHP.eB発現ベクターである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み、前記NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記投与する工程が、定位頭蓋内注射を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記投与する工程が、2回以上の定位頭蓋内注射を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与する工程が、頭蓋外注射を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記投与する工程が、2回以上の頭蓋外注射を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投与する工程が、後眼窩注射を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月17日に出願された米国特許出願第62/916,702号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部と見なされる(かつ、参照によりそれに組み込まれる)。
【0002】
政府の支援
本発明は、National Institutes of Healthによって授与された助成金番号AG045656の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本明細書は、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を有する哺乳動物の治療に関与する方法および材料に関する。例えば、本明細書は、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を含有する組成物を、脳における神経学的障害を有する哺乳動物に投与するための方法および材料を提供する。
【背景技術】
【0004】
アルツハイマー病(AD)を含む神経学的障害は、認知機能障害および記憶障害によって特徴付けられる(Querfurth and Laferla,New Engl.J.Med.,362:329-344(2010))。死後組織の研究は、AD患者の脳が、健康な脳と比較して軽く、かつ物理的に小さいことを発見し、AD進行における重度のニューロンおよび組織の損失を示した(Gomez-Isla et al.,J.Neuroscience,16:4491-4500(1996))。星状細胞は、神経栄養因子および代謝サイトカインを輸送し、ニューロンと他の型の細胞との間の相互作用を維持し、ニューロン回路を支持する役割を果たす(Burda and Sofroniew,Neuron,81:229-248(2014))。これらの機能の途絶は、神経炎症を促進し、より重度のADの病理学的進行をもたらす(Qin and Benveniste,Methods Mol.Biol.,814:235-249(2012))。細胞レベルおよび分子レベルでのこの漸進的で進行性の障害の下流影響は、学習および記憶系の障害ならびに行動異常である(Huang and Mucke,Cell,148:1204-1222(2012)、およびKunz et al.,Science,350:430-433(2015))。星状細胞は、脳および脊髄において分布する星の形状のグリア細胞である。正常な脳では、星状細胞は、正常な形態および最小限のGFAP免疫反応性で静止状態を維持している。ミクログリアは、脳において偏在的に分布する脳常在マクロファージである。これらは、他の組織常在マクロファージ集団とは発達的に異なる(Ginhoux et al.,Science,330:841-845(2010)、およびSheng et al.,Immunity,43:382-393(2015))。AD病理学におけるミクログリアの役割の重要性を強調する新たな証拠がある。実際、新規の見識は、細胞外刺激を検出すると、ミクログリアは、C末端カスパーゼ動員ドメイン(ASC)斑点を含有するアポトーシス関連斑点様タンパク質を形成して、分泌する可能性があり、かかるASC斑点は、ADの脳におけるアミロイド沈着の播種および進行を促進することを示唆した(Venegas et al.,Nature,552:355-361(2017))。現在、ADを患っている人々のための有効な治療アプローチは存在しない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を有する哺乳動物の治療に関与する方法および材料に関する。例えば、本明細書は、NeuroD11ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を含有する組成物を、脳における神経学的障害を有する哺乳動物に投与するための方法および材料を提供する。
【0006】
概して、本文書の一態様は、脳における神経学的障害を有する哺乳動物を治療するための方法を特徴とする。本方法は、神経原性分化1(NeuroD1)ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、哺乳動物の脳に投与することを含む(またはそれから本質的になるか、もしくはそれからなる)。哺乳動物はヒトであり得る。神経学的障害は、アルツハイマー病であり得る。投与する工程は、NeuroD1をコードする核酸を含む発現ベクターを脳に送達することを含み得る。投与する工程は、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを脳に送達することを含み得る。投与する工程は、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを脳に送達することを含み得る。アデノ随伴ウイルスは、AAV.PHP.eBであり得る。投与する工程は、NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み得、NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む。投与する工程は、定位頭蓋内注射を含み得る。投与する工程は、2回以上の定位頭蓋内注射を含み得る。投与する工程は、頭蓋外注射を含み得る。投与する工程は、2回以上の頭蓋外注射を含み得る。投与する工程は、後眼窩注射を含み得る。
【0007】
別の態様では、本明細書は、アルツハイマー病を有する哺乳動物を治療する方法を特徴とする。本方法は、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする核酸を含むアデノ随伴ウイルス粒子を含有する薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を、哺乳動物の脳に投与することを含む(またはそれから本質的になるか、もしくはそれからなる)。薬学的組成物は、1010~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mLの担体の濃度でアデノ随伴ウイルス粒子を含有する約1μL~約500μLの薬学的に許容される担体を含み得る。薬学的組成物は、約0.1μL/分~約5μL/分の制御された流速で哺乳動物の脳に注射され得る。
【0008】
別の態様では、本書は、アルツハイマー病を有し、かつ(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化を低減させること、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集を低減させること、(3)神経炎症を低減させること、(4)インターロイキン1β(IL-1β)を低減させること、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンを生成すること、(6)GABA作動性ニューロンの生存を増加させること、(7)新たな非反応性星状細胞を生成すること、(8)反応性星状細胞の数を低減させること、または(9)記憶を改善することを必要とする哺乳動物内で、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)を行うための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物に、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、哺乳動物に投与することを含み(またはそれから本質的になり)、(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化が低減されるか、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集が低減されるか、(3)神経炎症が低減されるか、(4)インターロイキン1β(IL-1β)が低減されるか、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンが生成されるか、(6)GABA作動性ニューロンの生存が増加されるか、(7)新たな非反応性星状細胞が生成されるか、(8)反応性星状細胞の数が低減されるか、または(9)記憶が改善される。哺乳動物はヒトであり得る。投与する工程は、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを送達することを含み得る。投与する工程は、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを送達することを含み得る。投与する工程は、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを送達することを含み得る。組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターは、AAV.PHP.eB発現ベクターであり得る。投与する工程は、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み得、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む。投与する工程は、定位頭蓋内注射を含み得る。投与する工程は、2回以上の定位頭蓋内注射を含み得る。投与する工程は、頭蓋外注射を含み得る。投与する工程は、2回以上の頭蓋外注射を含み得る。投与する工程は、後眼窩注射を含み得る。
【0009】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料を使用して本発明を実施または試験することはできるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は、単に例示であり、限定することを意図するものではない。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】NeuroD1の過剰発現は、5×FADの皮質における機能的ニューロンへの反応性星状細胞のインビボリプログラミングを可能にする。(
図1A)反応性星状細胞における10cre-loxP調節系の下で標的遺伝子を発現するAAV9ベクターの構築の概略図。(
図1B)マウスの皮質の内側への定位注射は、インビボでの標的遺伝子の正確な送達を可能にした。(
図1C)NeuroD1過剰発現は、注射後30日(days post-injection、DPI)までに、高効率で皮質における星状細胞からニューロンへの変換を達成した。右側パネルは、左側パネルの点線で囲まれた領域の拡大画像を示した。反応性星状細胞においてGFP過剰発現のみを有する対照群においては、依然として典型的なグリア細胞形態が残っていること、NeuroD1過剰発現細胞は、すでにニューロン様形態を有することに留意されたい。スケールバー=30μm(
図1D)。注射の30日後に、AAV9-GFAP-CreおよびAAV9-CAG-GFP感染細胞(カラーで見た場合、緑色に染色)は、反応性星状細胞マーカーのGFAP(カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)に対して免疫陽性であった。AAV9-GFAP-CreおよびAAV9-CAG-NeuroD1-P2A-GFP感染細胞(カラーで見た場合、緑色に染色)は、NeuroD1(カラーで見た場合、赤色に染色)に対して免疫陽性であったが、反応性星状細胞マーカーのGFAPに対しては免疫陰性であった。スケールバー=30μm。(
図1E)注射の30日後に、AAV9-GFAP-CreおよびAAV9-CAG-GFP感染細胞(カラーで見た場合、緑色に染色)は、成熟ニューロンマーカーのNeuN(カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)に対して免疫陰性であった。AAV9-GFAP-CreおよびAAV9-CAG-NeuroD1-P2A-GFP感染細胞(カラーで見た場合、緑色に染色)は、成熟ニューロンマーカーのNeuNに対して免疫陽性であり、これらの細胞は、高い発現レベルのNeuroD1(カラーで見た場合、赤色に染色)を有した。スケールバー=30μm。(
図1F)5×FADマウスの脳(26DPI)の皮質領域における変換されたニューロンの全細胞記録を示す典型的な位相差画像。スケールバー=10μm。(
図1G)NeuroD1変換されたニューロン(26DPI)における反復活動電位を示す皮質スライス記録からの代表的な追跡。(
図1H)皮質スライス記録におけるNeuroD1変換されたニューロン(26DPI)における自発的なシナプス事象を示す代表的な追跡。この図パネルの下部に、sEPSCおよびsIPSCの代表的な追跡を拡大した。
【
図2】NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの皮質における過活性反応性星状細胞を改善する。(
図2A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに免疫染色および分析のために解剖した。反応性星状細胞が、5×FADマウスの皮質においてNeuroD1媒介の変換後に低減したことを示す代表的な画像。GFP対照において、(白色に見えた)豊富な反応性星状細胞は、注射コアおよび周囲領域の両方に存在したことに留意されたい。しかしながら、(白色に見えた)反応性星状細胞は、NeuroD1群の注射コアにおいては低減し、インサイチュで再生された(黄色に見えた)多数のニューロン形態を伴った。(
図2B)GFP対照群およびNeuroD1媒介の細胞変換群における反応性星状細胞(GFAP、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)間の差異(形態および数)を示す拡大された代表的な画像。スケールバーは30μmを表す。(
図2C)5×FADの皮質における反応性星状細胞マーカーのGFAP(カラーで見た場合、赤色に染色)およびアミロイドプラーク(カラーで見た場合、青色、チオフラビン-S色素に染色)の共標識。スケールバーは30μmを表す。N=8のGFP処置された5×FADマウス、およびN=8のNeuroD1処置された5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図2D)反応性星状細胞数に対する定量分析。(
図2E)反応性星状細胞のカバー領域のパーセンテージに対する定量分析。(
図2F)反応性星状細胞マーカーのGFAP強度に対する定量分析。
【
図3】NeuroD1誘導の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの皮質におけるニューロン損失を回復することができる。(
図3A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに免疫染色および分析のために解剖した。ニューロン密度(NeuN、カラーで見た場合、赤色に染色)は、注射から60日後にNeuroD1変換群で増加したことを示す代表的な画像。(
図3B)NeuroD1群における成熟ニューロン(NeuN、カラーで見た場合、赤色に染色)の数の増加を示す拡大画像。GFP+(カラーで見た場合、緑色に染色)およびNeuN+(カラーで見た場合、赤色に染色)細胞は、NeuroD1によって新たに変換されたニューロン(黄色として統合)であった。スケールバーは30μmを表す。N=6のGFP処置された5×FADマウス、およびN=6のNeuroD1処置された5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図3C)定量的な結果は、NeuroD1群における成熟ニューロン(NeuN+細胞)の有意な増加を示した。(
図3D)ニューロンおよび星状細胞の比の定量化。
【
図4】GABA作動性ニューロンは、5×FADマウスの皮質において、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換を介して再生され得る。(
図4A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに分析のために解剖した。NeuroD1処置された5×FADマウスの皮質におけるGABA作動性ニューロン(GABA+およびNeuN+細胞)およびすべての変換されたニューロン(GFP+およびNeuN+細胞)の分布を示す代表的な画像。GFP+、NeuN+、およびGABA+トリプル免疫陽性細胞は、GABA作動性ニューロンに変換される。(
図4B)5×FADの皮質における現存のGABA+ニューロン(矢印、GABA+およびNeuN+細胞)および変換されたGABA+ニューロン(矢印の頭、GFP+、GABA+およびNeuN+細胞)を示す拡大画像。スケールバーは30μmを表す。N=8のNeuroD1処置された5×FADマウス(60DPI)。(
図4C)5×FADの皮質における現存のGAD67+ニューロン(矢印、GAD67+およびNeuN+細胞)および変換されたGAD67+ニューロン(矢印の頭、GFP+、GABA+およびNeuN+細胞)を示す拡大画像。スケールバーは30μmを表す。N=8のNeuroD1処置された5×FADマウス(60DPI)。
【
図5】NeuroD1群は、5×FADマウスの皮質における異常なGFP凝集体が少ない。5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに分析のために解剖した。GFP凝集体は、主にGFP対照群(上段)における処置された脳領域で観察され、この現象は、NeuroD1処置された群(下段)において大幅に低減される。スケールバーは30μmを表す。
【
図6】NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FAD皮質ニューロンにおける細胞内Aβレベルを緩和した。(
図6A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに免疫染色および分析のために解剖した。5×FADマウスの脳皮質領域におけるAβレベル(Aβ42、カラーで見た場合、サファイア色に染色)を示す代表的な共焦点顕微鏡写真。脳試料の感染コア由来のすべてのニューロンの細胞内Aβ42レベル(NeuN+領域におけるAβ42強度)を注意深く測定し、定量化した。矢印:既存のニューロン。矢印の頭:変換されたニューロン。スケールバーは30μmを表す。(
図6B)GFP対照群およびNeuroD1群の感染コアにおけるニューロンの数の定量的な結果。N=3のGFP処置された5×FADマウス、およびN=3のNeuroD1処置された5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図6C)GFP対照群の感染コアにおける既存のニューロンの数、NeuroD1群の感染コアにおける既存のニューロンの数、およびNeuroD1群の感染コアにおける変換されたニューロンの数のそれぞれの定量的な結果。GFP対照群における既存のニューロン数とNeuroD1群との間で差異は観察されなかったことに留意されたい。N=3のGFP処置された5×FADマウス、およびN=3のNeuroD1処置された5×FADマウス。データは、複数の群と比較する場合、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、Tukeyの事後検定を伴う一元配置ANOVAとして提示される。(
図6D)GFP群およびNeuroD1群における感染コアの内側のすべてのニューロンにおける細胞内Aβ42の強度の定量的な結果。GFP対照で処置された3匹の5×FADマウスの感染コア由来のニューロンの数=662、NeuroD1で処置された3匹の5×FADマウスの感染コア由来のニューロンの数=1357。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図6E)GFP群およびNeuroD1群の感染コアにおけるすべてのニューロンにおける細胞内Aβ42の強度を示す定量的なデータ。黒色のバー:GFP対照群の3匹の5×FADマウスの感染コア由来の既存のニューロンの数=662、白色のバー:NeuroD1群の3匹の5×FADマウスの感染コア由来の既存のニューロンの数=714、灰色の:NeuroD1群の3匹の5×FADマウスの感染コア由来の変換されたニューロンの数=643。データは、複数の群と比較する場合、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、Tukeyの事後検定を伴う一元配置ANOVAとして提示される。
【
図7】NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、炎症促進性ミクログリアの緩和を可能にする。(
図7A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに免疫染色および分析のために解剖した。一般的なミクログリア(Iba1、カラーで見た場合、灰色に染色)および炎症促進性ミクログリア亜型(iNOS、カラーで見た場合、赤色に染色)の変化を示す代表的な共焦点画像。スケールバーは30μmを表す。(
図7B)GFP対照群とNeuroD1群との間のIba1強度に有意差がないことを示す定量化データ。N=8のGFP群の5×FADマウス、およびN=8のNeuroD1群の5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、スチューデントのt検定として提示される。(
図7C)GFPとNeuroD1群との間のIba1+ミクログリアのカバー区域のパーセンテージに有意差がないことを示す定量的な結果。N=8のGFP群の5×FADマウス、およびN=8のNeuroD1群の5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、スチューデントのt検定として提示される。(
図7D)炎症促進性ミクログリア亜型(iNOS+ミクログリア)の強度は、NeuroD1群において大きく緩和される。N=8のGFP群の5×FADマウス、およびN=8のNeuroD1群の5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。
【
図8】5×FADの皮質におけるNeuroD1媒介の細胞変換後に炎症促進性サイトカインIL-1βが低減した。(
図8A)5×FADマウスを、4ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに60DPIに免疫染色および分析のために解剖した。NeuroD1処置後の反応性星状細胞(カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)およびインターロイキン-1β(カラーで見た場合、赤色に染色)の低減を示す代表的な共焦点画像。スケールバーは30μmを表す。(
図8B)NeuroD1誘導細胞変換後のIL-1βの強度の有意な減少を示す定量化分析。N=8のGFP群の5×FADマウス、およびN=8のNeuroD1群の5×FADマウス。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。
【
図9】NeuroD1変換されたニューロンは、5×FADの脳において良好な形態で8ヶ月超生存することができる。(
図9A)5×FADマウスを、6ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに注射の8ヶ月後に免疫染色および分析のために解剖した。GFP対照群およびNeuroD1群における感染した細胞を示す代表的な画像。NeuroD1群においては、変換されたニューロン(GFP+、カラーで見た場合、緑色に染色)は、5×FADマウスの皮質領域全体に均等に分布したことに留意されたい。(
図9B~
図9D)皮質領域における感染コアにおける星状細胞、変換されたニューロン、およびNeuroD1発現レベルを示す典型的な顕微鏡写真。GFP対照群においては、星状細胞(GFAP+、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)は依然として過活性であり、豊富な異常なGFP凝集体(カラーで見た場合、緑色に染色)が観察された。NeuroD1群においては、感染した星状細胞は、高い発現レベルのNeuroD1を有する成熟ニューロン(NeuN+、カラーで見た場合、赤色に染色)、および強い神経突起を有する健康な形態(カラーで見た場合、緑色に染色)へ、成功裏に変換された。スケールバーは30μmを表す。
【
図10】軸索、樹状突起、およびシナプスは、長期的な後の5×FADの皮質におけるNeuroD1媒介の細胞変換後に増加する。(
図10A)5×FADマウスを、6ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに注射の8ヶ月後に免疫染色および分析のために解剖した。代表的な画像は、感染した皮質におけるNeuroD1誘導変換後の軸索(NF200、カラーで見た場合、サファイア色に染色)およびシナプス(シナプトフィシン、カラーで見た場合、赤色に染色)の増加を明らかにした。スケールバーは30μmを表す。N=3。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図10B)軸索マーカーのNF200の強度の定量分析。(
図10C)シナプスマーカーのシナプトフィシンの強度の定量分析。(
図10D)代表的な画像は、注射の8ヶ月後(months after injection、mpi)でのNeuroD1処置後の樹状突起(MAP2、カラーで見た場合、サファイア色に染色)および興奮性シナプス(vGlut1、カラーで見た場合、赤色に染色)の増加を明らかにした。スケールバーは30μmを表す。(
図10E)樹状突起マーカーのMAP2の強度の定量分析。(
図10F)興奮性シナプスマーカーのvGlut1の強度の定量分析。
【
図11】NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADの脳皮質における血管の完全性を保護する。(
図11A)5×FADの脳における血管上の血管セグメント(Ly6C、カラーで見た場合、赤色に染色)および星状細胞エンドフィート(AQP4、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)を示す典型的な画像。5×FADマウスを、6ヶ月齢でAAV9ウイルス送達系を介してGFPまたはNeuroD1のいずれかによって処置し、さらに注射の8ヶ月後に免疫染色および分析のために解剖した。(
図11B)NeuroD1またはGFPの介入の8ヶ月後の5×FADマウスの皮質における血管セグメント(Ly6C、カラーで見た場合、赤色に染色)および星状細胞エンドフィート(AQP4、カラーで見た場合、サファイア色に染色)の代表的な画像。スケールバーは30μmを表す。(
図11C)AQP4+セグメントの長さの定量分析。N=3の完全なままのWTマウス、N=3のGFP対照群の5×FADマウス、N=3のNeuroD1群の5×FADマウス、年齢および性別を一致させた。データは、平均±s.e.m.、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、スチューデントのt検定として提示される。(
図11D)Ly6C+血管セグメントの長さの定量分析。
【
図12】全体的な感染のための複数回の頭蓋内マイクロインジェクション。(
図12Aおよび
図12B)GFPまたはNeuroD1発現を活性化するために使用されるAAV Cre-FLEX系のマップ。(
図12Cおよび
図12D)マウスの脳における複数の頭蓋内注射部位を示す概略図。4つの注射窓をマウス頭蓋骨上の4つの点によって標識し(
図12C)、注射部位を矢印および十字によって示した(
図12D)。(
図12Eおよび
図12F)GFPウイルス注射の15DPIのGFAP::Creトランスジェニックマウスの脳の矢状図および冠状図。(
図12Gおよび
図12H)NeuroD1-P2A-GFPウイルス注射の15DPIのGFAP::Creトランスジェニックマウスの脳の矢状図および冠状図。星状細胞は、S100βによって標識され(カラーで見た場合、赤色に染色)、ニューロンは、NeuNによって標識(カラーで見た場合、シアン色に染色)された。(
図12F)および(
図12H)の破線1および2は、下部パネルに示される相対的な冠状切片位置を示す。
【
図13】GFAP::Creトランスジェニックマウスの脳におけるNeuroD1媒介の全体的な変換。(
図13A)GFAP::Creトランスジェニックマウスの脳におけるGFP対照ウイルス注射(15DPI)の概要、種々の区域の高倍率画像を、番号1~9のパネルに示した。ほぼすべてのGFP陽性細胞は、星状細胞マーカーのS100β(カラーで見た場合、赤色に染色)で共標識されたことに留意されたい。(
図13B)GFAP::Creトランスジェニックマウスの脳におけるNeuroD1-P2A-GFPウイルス注射(15DPI)の概要、種々の区域の高倍率画像を、番号1~9のパネルに示した。皮質区域(1、3)、海馬(4~6)、鉤状回(7)、および中脳(9)におけるGFP陽性細胞の大部分は、ニューロンマーカーのNeuN(カラーで見た場合、シアン色に染色)で共標識されたことに留意されたい。番号1~9のパネルの相対領域は、低倍率矢状画像に示されている。
【
図14】対照マウスとNeuroD1処置されたマウスとの間の形態学的差異の直接比較。(
図14A)種々の区域における対照マウスおよびNeuroD1処置されたマウスのGFP陽性細胞。15DPIでは、対照群におけるGFP陽性細胞のほぼすべてが、依然として典型的な星状細胞の形態を示している。しかしながら、NeuroD1処置されたマウスではGFP陽性細胞の大部分が典型的なニューロン形態を示した。(
図14B)強力なNeuroD1発現(カラーで見た場合、赤色に染色、矢印)は、ND1-P2A-GFP処置されたマウスの脳におけるGFP陽性細胞における免疫染色によって明らかにされ、NeuroD1陽性細胞もまたNeuN(カラーで見た場合、シアン色に染色、矢印)で共局在化された。対照群において、GFP陽性細胞はいずれもNeuroD1を含有しなかったか、またはNeuNと共局在化しなかった(上部)。
【
図15】5×FADマウスの脳における全体的な星状細胞からニューロンへの変換。(
図15A)研究の作業フロー。(
図15B)広範な感染区域が、5×FADマウスの脳において観察された。Aβプラークは、チオフラビン-S染色(カラーで見た場合、青色に染色)によって明らかにされた。(
図15C)GFP陽性細胞のほとんどすべては、種々の脳区域において、ニューロンマーカーのNeuN(カラーで見た場合、赤色に染色)で共標識された。
【
図16】5×FAD大脳皮質においてNeuroD1変換されたニューロンの特徴付け。(
図16A)NeuroD1処置された5×FADマウスの脳の矢状図。(
図16B)いくつかのNeuroD1変換されたニューロンは、前頭皮質(FCX)および頭頂皮質(PCX)においてTbr1シグナル(カラーで見た場合、赤色に染色)を有することを示す高倍率画像。
【
図17】AAV.PHP.eB-pGFAP::GFPの後眼窩注射。(
図17A)脳全体への効率的な感染を示す注射後17日目の矢状画像。(
図17B)星状細胞におけるGFPの特定の発現を示す、脳の種々の領域の高倍率画像。スケールバー:100μm。
【
図18】AAV.PHP.eB-pGFAP::Cre+FLEX-GFPの後眼窩注射。(
図18A)脳全体への効率的な感染を示す注射後14日目の矢状画像。(
図18B)星状細胞およびニューロンの両方におけるGFPの発現を示す、脳の種々の領域の高倍率画像。スケールバー:100μm。
【
図19】AAV.PHP.eB-pGFAP::Cre+FLEX-NeuroD1-GFPの後眼窩注射。(
図19A)脳全体への効率的な感染を示す注射後14日目の矢状画像。(
図19B)ニューロンマーカーのNeuNとの共局在化を示す脳の種々の領域でのGFPおよびNeuroD1シグナルの高倍率画像。スケールバー:100μm。
【
図20】星状細胞の全体的な標的化のためのウイルス(例えば、AAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFP)の後眼窩(r.o.)注射、およびバイジェニックマウス(5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウス)を作製するためのCre77.6マウスと5×FADマウスとの間の交差の図。
【
図21】バイジェニック(5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-)マウスにおける星状細胞の全体的な標的化の実証。(
図21A)星状細胞の標的化に使用される方法の図。(
図21B)11DPIでの2.0×10
10~3.0×10
10ゲノムコピー/マウスのAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPの後眼窩(r.o.)注射後のマウスの脳の画像。
【
図22】顕微鏡画像は、2.0×10
10~3.0×10
10ゲノムコピー/マウスの後眼窩(r.o.)注射後、11DPIでのAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPによる脊髄細胞のウイルス感染を実証している。
【
図23】顕微鏡画像は、AAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFP(2.0x10
10~3.0x10
10ゲノムコピー/マウス)の後眼窩注射後、11DPIに他の臓器において明らかにGFPシグナルが検出されないことを実証している。
【
図24】顕微鏡画像は、AAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFP(2.0×10
10~3.0×10
10ゲノムコピー/マウス)の後眼窩(r.o.)注射後、11DPIでのAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPによる脳の種々の領域における星状細胞の全体的な標的化を実証している。OB=嗅球、PiF=梨状皮質、MO=運動皮質、Str=線条体、SS=体性感覚皮質、VIS=視覚皮質、Sub=鉤状回、Hip=海馬、TH=視床、MB=中脳、CB=小脳、およびBS=脳幹。
【
図25】
図25A。顕微鏡画像は、後眼窩注射(約2.0×10
10ゲノムコピー/マウス)を介したAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFPの30DPIでの大脳内における星状細胞のニューロンへの転換を実証している。
図25B。顕微鏡画像は、後眼窩注射(約2.0×10
10ゲノムコピー/マウス)を介したAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFPの30DPIに脊髄内に変換されたニューロンがないことを実証している。
【
図26】顕微鏡画像は、AAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP(約2.0×10
10ゲノムコピー/マウス)の後眼窩(r.o.)注射後、30DPIでのAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFPによる脳の種々の領域における星状細胞からニューロンへの全体的な変換を実証している。OB=嗅球、PiF=梨状皮質、MO=運動皮質、Str=線条体、SS=体性感覚皮質、VIS=視覚皮質、Sub=鉤状回、Hip=海馬、TH=視床、MB=中脳、CB=小脳、およびBS=脳幹。
【
図27】顕微鏡画像は、後眼窩(r.o.)注射後、30DPIに、GFP対照(上部)と指定された対照ウイルス(AAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFP、約2.0x10
10ゲノムコピー/マウス)を受けたか、またはNeuroD1(下部)と指定されたNeuroD1発現ウイルス(AAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP、約2.0x10
10ゲノムコピー/マウス)を受けたマウス(5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウス)についての種々の脳領域の直接比較を示す。対照ウイルスは明らかに星状細胞に感染するが、NeuroD1発現を駆動するウイルスは星状細胞に感染し、それらを独特のニューロンに変換する。OB=嗅球、PiF=梨状皮質、MO=運動皮質、Str=線条体、SS=体性感覚皮質、VIS=視覚皮質、Sub=鉤状回、Hip=海馬、TH=視床、MB=中脳、CB=小脳、およびBS=脳幹。
【
図28】ADにおける記憶を改善するためにNeuroD1を発現するように設計されたウイルスの能力を確認するための実験設計の概略図である。
【
図29】ADのマウスモデルにおいて記憶を評価するためのY迷路の写真を提供する。
図29Aは、対照群のためのY迷路である。
図29Bは、NeuroD1群のためのY迷路である。
【
図30】約2.0×10
10ゲノムコピー/マウスの後眼窩注射を介して、対照ウイルス(GFPと指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPウイルス)またはNeuroD1発現ウイルス(NeuroD1と指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP)を受けた雄および雌の5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウスについてのマウスのアーム進入(上部)および変化率(下部)の棒グラフ。
【
図31】線グラフは、臭気1、2、3、および4の正規化された臭気調査時間を提供する。約2.0×10
10ゲノムコピー/マウスの後眼窩注射を介して、対照ウイルス(GFPと指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPウイルス)またはNeuroD1発現ウイルス(NeuroD1と指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP)を受けた5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウスを使用した、他で(Wesson et al.,J.Neurosci.,30(2):505-514(2010))説明されるように実施された臭気習慣化アッセイから生成された結果。
【
図32】棒グラフは、約2.0×10
10ゲノムコピー/マウスの後眼窩注射を介して、対照ウイルス(GFPと指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPウイルス)またはNeuroD1発現ウイルス(NeuroD1と指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP)を受けた5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウスを使用した、他で(Choi et al.,Mol.Brain,9:72(2016))説明されるように実施された恐怖条件付け記憶試験からの凍結パーセンテージを実証している。
【
図33】空間学習および記憶を評価するためのモリス水迷路の図。
【
図34】約2.0×10
10ゲノムコピー/マウスの後眼窩注射を介して、対照ウイルス(GFPと指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-GFPウイルス)またはNeuroD1発現ウイルス(NeuroD1と指定されたAAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP)を受けた5×FAD
+/-/GFAP::Cre77.6
+/-マウスを使用して実施されたモリス水迷路評価の結果。移動経路の図(
図34A)。NeuroD1マウスと比較した、対照マウス(GFP)の目標象限における時間の棒グラフ(
図34B)。NeuroD1マウスと比較した、対照マウス(GFP)の1、2、3、4、および5日間にわたる潜時の線グラフ(
図34C)。対照マウス(GFP)とNeuroD1マウスとの間で実施された交差の数の棒グラフ(
図34D)。
【
図35】NeuroD1変換されたニューロンは、ADマウスにおける記憶改善に寄与する。(
図35A)変換されたニューロンが恐怖記憶の回復に直接的に関与しているかどうかを試験するための化学遺伝学的戦略の概略図である。(
図35B)DREADD受容体(hM4Di)が変換されたニューロン(NeuroD1列の矢印)において特異的に発現されることを示す免疫染色結果。スケールバー:20μm。(
図35C)恐怖条件付け記憶試験のパラダイム。AAV注射の2ヶ月後に記憶試験を実施する。下部図は、変換されたニューロンがクロザピンN-オキシド(CNO)の注射によって急速に阻害されることを示す。(
図35D)NeuroD1処置された5×FADマウス(NeuroD1、生理食塩水群)における恐怖条件付け記憶増強が、CNO投与(NeuroD1、CNO群)によって廃止されることを示す要約グラフ。データを平均±SEMとして示される。***p<0.001、Turkey事後検定を伴う一元配置ANOVA。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を有する哺乳動物の治療に関与する方法および材料を提供する。例えば、本明細書は、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を含有する組成物を、脳における神経学的障害を有する哺乳動物に投与するための方法および材料を提供する。
【0013】
任意の適切な哺乳動物も、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を有すると同定され得る。例えば、ヒトおよびサルなどの他の霊長類は、アルツハイマー病を有していると同定することができる。
【0014】
いくつかの場合では、治療有効量のNeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)によって影響を受けた対象へ投与することは、反応性星状細胞をグルタミン酸作動性ニューロンに変換することによる新たなグルタミン酸作動性ニューロンの生成、反応性星状細胞の数の低減、GABA作動性およびグルタミン酸作動性ニューロンを含む損傷したニューロンの生存、新たな非反応性星状細胞の生成、変換されていない反応性星状細胞の反応性の低減、ならびに損傷した領域内への血管の再結合を媒介する。いくつかの実施形態では、治療有効量のNeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)によって影響を受けた対象へ投与することは、以下を媒介する。(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化の低減、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集の低減、(3)神経炎症の低減、(4)インターロイキン1β(IL-1β)レベルの低減、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンの生成、(6)GABA作動性ニューロンの生存の増加、(7)新たな非反応性星状細胞の生成、(8)反応性星状細胞の数の低減、および(9)記憶の改善。
【0015】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化を約1%~100%低減させる。いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で組成物が提供した後に、高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%低減させる。
【0016】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、細胞外アミロイドプラークの凝集を約1%~100%低減させる。いくつかの場合では、本発明で提供する方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、細胞外アミロイドプラークの凝集を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%低減させる。
【0017】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、神経炎症を約1%~100%低減させる。いくつかの場合では、本発明で提供する方法または組成物は、ここで提供される組成物の投与後に、神経炎症を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%低減させる。
【0018】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、脳におけるインターロイキン1β(IL-1β)を約1%~100%低減させる。いくつかの場合では、本発明で提供する方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、脳におけるインターロイキン1β(IL-1β)を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%低減させる。
【0019】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、新たなグルタミン酸作動性ニューロンを生成し、本明細書で提供される組成物の投与後に、グルタミン酸作動性ニューロンの数をベースラインレベルから約1%~500%増加させる。いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、新たなグルタミン酸作動性ニューロンを生成し、本明細書で提供される組成物の投与後に、グルタミン酸作動性ニューロンの数をベースラインレベルから約1%~50%、約1%~100%、約1%~150%、約50%~100%、約50%~150%、約50%~200%、約100%~150%、約100%~200%、100%~250%、約150%~200%、約150%~250%、約150%~300%、200%~250%、200%~300%、200%~350%、250%~300%、250%~350%、約250%~400%、約300%~350%、約300%~400%、約300%~450%、約350%~400%、約350%~450%、約350%~500%、約400%~450%、約400%~500%、または約450%~500%増加させる。
【0020】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、投与なしと比較して、本明細書で提供される組成物の投与後に、GABA作動性ニューロンの生存を約1%~100%増加させる。いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、投与なしと比較して、本明細書で提供される組成物の投与後に、GABA作動性ニューロンの生存を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%増加させる。任意の適切な方法を使用して、GABA作動性ニューロンの生存率の増加を評価し得る。例えば、γ-アミノ酪酸(GABA)、GABA合成酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼ67(GAD67)、および/またはパルバルブミン(PV)に対する免疫染色を行って、GABA作動性ニューロンの数を測定し得る。GABA作動性ニューロンの数の減少は、GABA作動性ニューロン損失を示し得る。数が変わらない場合、GABA作動性ニューロンが生存することを示し得る。GABA作動性ニューロンの数の増加は、GABA作動性再生の発生を示し得る。
【0021】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、新たな非反応性星状細胞を生成し、本明細書で提供される組成物の投与後に、新たな非反応性星状細胞の数をベースラインレベルから約1%~100%増加させる。いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、新たな非反応性星状細胞を生成し、本明細書で提供される組成物の投与後に、新たな非反応性星状細胞の数をベースラインレベルから約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%増加させる。
【0022】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、反応性星状細胞の数を約1%~100%低減させる。いくつかの場合では、本発明で提供する方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、反応性星状細胞の数を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%低減させる。
【0023】
いくつかの場合では、本明細書で提供される方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、哺乳動物の記憶評価の特徴を約1%~100%改善する。いくつかの場合では、本発明で提供する方法または組成物は、本明細書で提供される組成物の投与後に、哺乳動物の記憶評価の特徴を約1%~約10%、1%~約20%、1%~約30%、10%~約20%、10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約100%、約80%~約90%、約80%~約100%、または約90%~約100%改善する。
【0024】
いくつかの場合では、治療有効量のNeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)によって影響を受けた対象へ投与することは、恒常性を再導入し、プラークの除去に寄与し、かつ/または脳血管形成および血流を改善することができる。
【0025】
いくつかの場合では、治療有効量のNeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を、脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)によって影響を受けた対象へ投与することは、損傷部位での炎症の低減、損傷部位での神経阻害の低減、損傷部位での正常なミクログリア形態の再建、損傷部位での神経回路の再建、損傷部位での血管の増加、損傷部位での血液脳関門の再建、損傷部位での正常な組織構造の再建、および正常な血流の途絶による運動欠乏の改善を媒介する。
【0026】
いくつかの場合では、治療有効量のNeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸を投与して、それを必要とする個々の対象における脳における神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)の影響を改善することは、静止状態の星状細胞へ投与するよりも、反応性星状細胞へ投与した場合に、より大きな有益な効果を有する。
【0027】
NeuroD1治療は、MRIによって診断される損傷の領域に施され得る。電気生理学は、神経細胞死または損傷によって引き起こされる神経発火の機能的変化を評価することができる。神経損傷をアッセイするための非侵襲的な方法には、脳波図(EEG)が含まれる。損傷の点への血流の途絶は、近赤外線分光法および機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を介して非侵襲的にアッセイされ得る。領域内の血流は、動脈瘤に見られるように増加するか、または虚血に見られるように減少するかのいずれかであり得る。血流の途絶によって引き起こされるCNSへの損傷は、さらに、損傷の点の診断に使用され得る組織構造の短期および長期的な変化を引き起こす。短期的には、損傷は局所的な腫れを引き起こす。長期的には、細胞死は組織損失の点を引き起こす。組織死によって引き起こされる構造変化をアッセイするための非侵襲的な方法には、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、コンピュータ軸断層撮影(CAT)スキャン、または超音波検査が含まれる。これらの方法を単独で、または任意の組み合わせで使用して、損傷の病巣の位置を正確に示すことができる。
【0028】
上述のように、組織死によって引き起こされる構造変化をアッセイするための非侵襲的方法には、MRI、CATスキャン、または超音波が含まれる。機能的アッセイは、EEG記録を含み得る。
【0029】
本明細書に記載の神経学的障害を治療するための方法のいくつかの実施形態では、NeuroD1は、NeuroD1をコードするDNA配列を含有する発現ベクターとして投与される。
【0030】
本明細書に記載の神経学的障害を治療するための方法のいくつかの実施形態では、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクター(例えば、AAV)は、定位性頭蓋内注射または後眼窩注射などの対象の脳内への注射によって送達される。いくつかの場合では、NeuroD1をコードするアデノ随伴ウイルスを含有する組成物は、脳における同じ位置で2回以上の頭蓋内注射を使用して脳に投与される。いくつかの場合では、NeuroD1をコードするアデノ随伴ウイルスを含有する組成物は、脳における2つ以上の異なる位置での2回以上の頭蓋内注射を使用して脳に投与される。
【0031】
「発現ベクター」という用語は、NeuroD1をコードする核酸を、インビトロまたはインビボで宿主細胞に導入するための組換えビヒクルを指し、核酸は発現され、NeuroD1を産生する。特定の実施形態では、配列番号1もしくは3、または実質的に同一の核酸配列を含む発現ベクターを発現して、発現ベクターを含有する細胞においてNeuroD1を産生する。「組換え」という用語は、2つ以上の核酸が連結されており、かつ自然界では連結して見出されない核酸構築物を示すために使用される。発現ベクターには、プラスミド、ウイルス、BACおよびYACが含まれるが、これらに限定されない。特定のウイルス発現ベクターとしては、例示的に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、およびレンチウイルスに由来するものが挙げられる。
【0032】
本明細書は、記載の方法による神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)の治療を必要とする対象において神経学的障害(例えば、アルツハイマー病)を治療するための材料および方法を記載し、それは、NeuroD1をコードする核酸を含むウイルスベクターを提供すること、ならびにウイルスベクターを対象の脳に送達し、それによって、ウイルスベクターは中枢神経系のグリア細胞にそれぞれ感染し、感染したグリア細胞を産生し、それによって、外因性NeuroD1ポリペプチド(例えば、NeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸)が、感染したグリア細胞において治療的に有効なレベルで発現されることを含み、感染した細胞におけるNeuroD1の発現が、同じ神経学的状態を有する未治療の対象と比較して、対象において多い数のニューロンをもたらし、それによって神経学的障害が治療される。新たなニューロンの生成に加えて、反応性グリア細胞の数も低減し、放出される神経阻害因子の減少、神経炎症の減少、および均一に分布するより多くの血管がもたらされ、それによって局所環境がニューロン成長または軸索浸透に対してより寛容になり、したがって、神経学的状態を緩和する。
【0033】
いくつかの場合では、アデノ随伴ベクターは、本明細書に記載の方法において特に有用であり、注射部位で分裂細胞および非分裂細胞の両方に感染する。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科ファミリーのssDNA動物ウイルスの遍在的で、非細胞障害性で、複製能のないメンバーである。いくつかの態様によれば、血清型1~9などの様々な組換えアデノ随伴ウイルスのうちのいずれかを、本明細書に記載されるように使用することができる。いくつかの場合では、AAV-PHP.ebを使用して、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を投与する。
【0034】
「FLEX」スイッチアプローチは、本明細書に記載のいくつかの態様による感染した細胞においてNeuroD1を発現するために使用される。「FLEX」および「フリップ切除(Flip-excision)」という用語は、2対の異型で反平行loxP型の組換え部位が、逆向きNeuroD1コード配列のいずれかの側に配置され、それは最初にコード配列の反転を受け、続いて2つの部位の切除を受け、各直交組換え部位のうちの1つが反対方向に向けられ、さらなる組換えを行うことができず、安定した反転を達成する方法を示すために互換的に使用され、例えば、Schnutgen et al.,Nature Biotechnology,21:562-565(2003)、およびAtasoy et al,J.Neurosci.,28:7025-7030(2008)を参照されたい。グリア細胞特異的プロモーターの制御下にある部位特異的組換え酵素は、反応性星状細胞を含むグリア細胞において強力に発現されるため、NeuroD1は、反応性星状細胞を含むグリア細胞においても発現される。次いで、NeuroD1の前の終止コドンが組換えから除去されるとき、構成的またはニューロン特異的プロモーターは、NeuroD1の高発現を駆動し、反応性星状細胞を機能的ニューロンに変換できるようにする。
【0035】
特定の態様によれば、NeuroD1を、(1)GFAPまたはS100bまたはAldh1L1などの星状細胞特異的プロモーターの転写制御下にある部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列を含むアデノ随伴ウイルス発現ベクター、および(2)遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下であるNeuroD1をコードするDNA配列を含むアデノ随伴ウイルス発現ベクターを投与することによって、NeuroD1を必要とする対象へ投与し、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向である。
【0036】
部位特異的組換え酵素およびそれらの認識部位は、例えば、認識部位loxPおよびlox2272部位、もしくはFLP-FRT組換え、またはそれらの組み合わせとともに、Cre組換え酵素が挙げられる。
【0037】
NeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸配列(例えば、NeuroD1ポリペプチドをコードするAAV)を含む組成物を、哺乳動物に1回または複数回(例えば、2、3、4、5回、またはそれ以上)投与し得る。
【0038】
NeuroD1ポリペプチドをコードする外因性核酸配列(例えば、NeuroD1ポリペプチドをコードするAAV)を含む組成物を、哺乳動物への投与のための薬学的組成物に製剤化し得る。例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を、含む治療有効量の組成物を、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤とともに製剤化し得る。外因性NeuroD1(例えば、NeuroD1をコードするAAV)を含む薬学的組成物を、様々な投与経路、例えば、カプセル、液体などとしての経口投与のために製剤化し得る。いくつかの場合では、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を有するウイルスベクター(例えば、AAV)は、非経口的に、好ましくは静脈内注射または静脈内注入によって投与される。投与は、例えば、静脈内注入によって、例えば、60分間、30分間、または15分間であり得る。いくつかの場合では、投与は、1分~60分であり得る。いくつかの場合では、投与は、1分~5分、1分~10分、1分~15分、5分~10分、5分~15分、5分~20分、10分~15分、10分~20分、10分~25分、15分~20分、15分~25分、15分~30分、20分~25分、20分~30分、20分~35分、25分~30分、25分~35分、25分~40分、30分~35分、30分~40分、30分~45分、35分~40分、35分~45分、35分~50分、40分~45分、40分~50分、40分~55分、45分~50分、45分~55分、45分~60分、50分~55分、50分~60分、または55分~60分であり得る。いくつかの場合では、ウイルスベクター(例えば、NeuroD1をコードするAAV)は、手術中に脳への注射によって局所的に投与される。注射および/または注入による投与に好適な組成物には、溶液および分散液、ならびに対応する溶液および分散液を調製することができる粉末が含まれる。かかる組成物は、ウイルスベクターおよび少なくとも1つの好適な薬学的に許容される担体を含む。静脈内投与のための好適な薬学的に許容される担体には、バクテリア静止水、リンガー溶液、生理学的生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、およびCremophor EL(商標)が含まれるが、これらに限定されない。注射および/または注入のための滅菌組成物は、必要な量のウイルスベクター(例えば、NeuroD1をコードするAAV)を適切な担体内に導入し、次いで濾過によって滅菌することによって調製され得る。注射または注入による投与のための組成物は、それらの調製後、長期間にわたって保管条件下で安定した状態を維持する必要がある。組成物は、この目的のための防腐剤を含有し得る。好適な保存剤には、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
薬学的組成物は、滅菌溶液、懸濁液、徐放性製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、および顆粒剤を非限定的に含む、固体または液体形態での投与のために製剤化され得る。製剤は、単位用量または複数回用量の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで提示することができ、使用の直前に、滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥された(freeze dried)(凍結乾燥された(lyophilized))状態で保管され得る。即時注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0040】
本明細書に記載の薬学的組成物に使用され得る追加の薬学的に許容される担体、充填剤、およびビヒクルとしては、非限定的に、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸、水、塩、または電解質の部分グリセリド混合物、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス粒子」という用語は、その核酸ゲノムを細胞に伝達するAAVウイルスのパッケージ化されたキャプシド形態を指す。
【0042】
NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を含有する組成物の有効量は、哺乳動物(例えば、ヒト)内の神経学的障害の症状を改善し、哺乳動物に対して重度の毒性を産生しない任意の量であり得る。例えば、NeuroD1ポリペプチドをコードするアデノ随伴ウイルスの有効量は、約1010~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mLの濃度であり得る。いくつかの場合では、NeuroD1ポリペプチドをコードするアデノ随伴ウイルスの有効量は、1010個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1011個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1010個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1012個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1010個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1013個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1011個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1012個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1011個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1013個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1011個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1012個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1013個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、1012個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL、または1013個のアデノ随伴ウイルス粒子/mL~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mLであり得る。特定の哺乳動物が特定の量に応答しない場合、NeuroD1ポリペプチドをコードするAAVの量を増加させ得る。投与されるウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を有するAAV)の量に関連する因子は、例えば、ウイルスベクターの投与経路、疾患の性質および重症度、治療される患者の疾患歴、ならびに治療される患者の年齢、体重、身長および健康である。いくつかの場合では、治療効果、患者の免疫応答、および遺伝子産物の安定性を達成するために必要とされる導入遺伝子の発現レベルは、投与される量に関連する。いくつかの場合では、ウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を有するAAV)の投与は、脳の機能障害または疾患の完全または実質的に完全な治癒をもたらす量で生じる。
【0043】
いくつかの場合では、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を含有する組成物の有効量は、約0.1μL/分~約5μL/分の制御された流速で投与される任意の量であり得る。
【0044】
いくつかの場合では、制御された流速は、0.1μL/分~0.2μL/分、0.1μL/分~0.3μL/分、0.1μL/分~0.4μL/分、0.2μL/分~0.3μL/分、0.2μL/分~0.4μL/分、0.2μL/分~0.5μL/分、0.3μL/分~0.4μL/分、0.3μL/分~0.5μL/分、0.3μL/分~0.6μL/分、0.4μL/分~0.5μL/分、0.4μL/分~0.6μL/分、0.4μL/分~0.7μL/分、0.5μL/分~0.6μL/分、0.5μL/分~0.7μL/分、0.5μL/分~0.8μL/分、0.6μL/分~0.7μL/分、0.6μL/分~0.8μL/分、0.6μL/分~0.9μL/分、0.7μL/分~0.8μL/分、0.7μL/分~0.9μL/分、0.7μL/分~1.0μL/分、0.8μL/分~0.9μL/分、0.8μL/分~1.0μL/分、0.8μL/分~1.1μL/分、0.9μL/分~1.0μL/分、0.9μL/分~1.1μL/分、0.9μL/分~1.2μL/分、1.0μL/分~1.1μL/分、1.0μL/分~1.2μL/分、1.0μL/分~1.3μL/分、1.1μL/分~1.2μL/分、1.1μL/分~1.3μL/分、1.1μL/分~1.4μL/分、1.2μL/分~1.3μL/分、1.2μL/分~1.4μL/分、1.2μL/分~1.5μL/分、1.3μL/分~1.4μL/分、1.3μL/分~1.5μL/分、1.3μL/分~1.6μL/分、1.4μL/分~1.5μL/分、1.4μL/分~1.6μL/分、1.4μL/分~1.7μL/分、1.5μL/分~1.6μL/分、1.5μL/分~1.7μL/分、1.5μL/分~1.8μL/分、1.6μL/分~1.7μL/分、1.6μL/分~1.8μL/分、1.6μL/分~1.9μL/分、1.7μL/分~1.8μL/分、1.7μL/分~1.9μL/分、1.7μL/分~2.0μL/分、1.8μL/分~1.9μL/分、1.8μL/分~2.0μL/分、1.8μL/分~2.1μL/分、1.9μL/分~2.0μL/分、1.9μL/分~2.1μL/分、1.9μL/分~2.2μL/分、2.0μL/分~2.1μL/分、2.0μL/分~2.2μL/分、2.0μL/分~2.3μL/分、2.1μL/分~2.2μL/分、2.1μL/分~2.3μL/分、2.1μL/分~2.4μL/分、2.2μL/分~2.3μL/分、2.2μL/分~2.4μL/分、2.2μL/分~2.5μL/分、2.3μL/分~2.4μL/分、2.3μL/分~2.5μL/分、2.3μL/分~2.6μL/分、2.4μL/分~2.5μL/分、2.4μL/分~2.6μL/分、2.4μL/分~2.7μL/分、2.5μL/分~2.6μL/分、2.5μL/分~2.7μL/分、2.5μL/分~2.8μL/分、2.6μL/分~2.7μL/分、2.6μL/分~2.8μL/分、2.6μL/分~2.9μL/分、2.7μL/分~2.8μL/分、2.7μL/分~2.9μL/分、2.7μL/分~3.0μL/分、2.8μL/分~2.9μL/分、2.8μL/分~3.0μL/分、2.8μL/分~3.1μL/分、2.9μL/分~3.0μL/分、2.9μL/分~3.1μL/分、2.9μL/分~3.2μL/分、3.0μL/分~3.1μL/分、3.0μL/分~3.2μL/分、3.0μL/分~3.3μL/分、3.1μL/分~3.2μL/分、3.1μL/分~3.3μL/分、3.1μL/分~3.4μL/分、3.2μL/分~3.3μL/分、3.2μL/分~3.4μL/分、3.2μL/分~3.5μL/分、3.3μL/分~3.4μL/分、3.3μL/分~3.5μL/分、3.3μL/分~3.6μL/分、3.4μL/分~3.5μL/分、3.4μL/分~3.6μL/分、3.4μL/分~3.7μL/分、3.5μL/分~3.6μL/分、3.5μL/分~3.7μL/分、3.5μL/分~3.8μL/分、3.6μL/分~3.7μL/分、3.6μL/分~3.8μL/分、3.6μL/分~3.9μL/分、3.7μL/分~3.8μL/分、3.7μL/分~3.9μL/分、3.7μL/分~4.0μL/分、3.8μL/分~3.9μL/分、3.8μL/分~4.0μL/分、3.8μL/分~4.1μL/分、3.9μL/分~4.0μL/分、3.9μL/分~4.1μL/分、3.9μL/分~4.2μL/分、4.0μL/分~4.1μL/分、4.0μL/分~4.2μL/分、4.0μL/分~4.3μL/分、4.1μL/分~4.2μL/分、4.1μL/分~4.3μL/分、4.1μL/分~4.4μL/分、4.2μL/分~4.3μL/分、4.2μL/分~4.4μL/分、4.2μL/分~4.5μL/分、4.3μL/分~4.4μL/分、4.3μL/分~4.5μL/分、4.3μL/分~4.6μL/分、4.4μL/分~4.5μL/分、4.4μL/分~4.6μL/分、4.4μL/分~4.7μL/分、4.5μL/分~4.6μL/分、4.5μL/分~4.7μL/分、4.5μL/分~4.8μL/分、4.6μL/分~4.7μL/分、4.6μL/分~4.8μL/分、4.6μL/分~4.9μL/分、4.7μL/分~4.8μL/分、4.7μL/分~4.9μL/分、4.7μL/分~5.0μL/分、4.8μL/分および4.9μL/分、4.8μL/分~5.0μL/分、または4.9μL/分~5.0μL/分である。
【0045】
ウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする核酸を含有するAAV)は、約1.0×1010~約1.0×1014vg/kg(kg体重当たりのウイルスゲノム)の範囲のウイルスの用量に対応する量で投与され得る。いくつかの場合では、ウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする核酸を有するAAV)は、約1.0×1011~約1.0×1012vg/kgの範囲、約5.0×1011~約5.0×1012vg/kgの範囲、または約1.0×1012~約5.0×1011の範囲のウイルス用量に対応する量で投与され得る。いくつかの場合では、ウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする核酸を有するAAV)は、約2.5×1012vg/kgの用量に対応する量で投与される。いくつかの場合では、ウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする核酸を有するAAV)の有効量は、本明細書に記載のvg/kg(kg体重当たりのウイルスゲノム)用量の体積に対応する約1μL~約500μLの体積であり得る。
【0046】
いくつかの場合では、ウイルスベクターの有効投与体積は、1μL~25μL、1μL~50μL、1μL~75μL、25μL~50μL、25μL~75μL、25μL~100μL、50μL~75μL、50μL~100μL、50μL~125μL、75μL~100μL、75μL~125μL、75μL~150μL、100μL~125μL、100μL~150μL、100μL~175μL、125μL~150μL、125μL~175μL、125μL~200μL、150μL~175μL、150μL~200μL、150μL~225μL、175μL~200μL、175μL~225μL、175μL~250μL、200μL~225μL、200μL~250μL、200μL~275μL、225μL~250μL、225μL~275μL、225μL~300μL、250μL~275μL、250μL~300μL、250μL~325μL、275μL~300μL、275μL~325μL、275μL~350μL、300μL~325μL、300μL~350μL、300μL~375μL、325μL~350μL、325μL~375μL、325μL~400μL、350μL~375μL、350μL~400μL、350μL~425μL、375μL~400μL、375μL~425μL、375μL~450μL、400μL~425μL、400μL~450μL、400μL~475μL、425μL~450μL、425μL~475μL、425μL~500μL、450μL~475μL、450μL~500μL、または475μL~500μLである。
【0047】
いくつかの場合では、投与されるウイルスベクター(例えば、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸を有するAAV)の量は、1つ以上の導入遺伝子(例えば、NeuroD1)の発現の強度に従って調整される。
【0048】
いくつかの場合では、遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下にあるNeuroD1をコードする核酸を含むアデノ随伴ウイルスベクターであって、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は、逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向であり、さらに部位特異的組換え酵素による組換え酵素活性のための部位を含む、アデノ随伴ウイルスベクターは、部位特異的組換え酵素をコードするアデノ随伴ウイルスとともに、対象の脳内へ定位注射によって送達される。
【0049】
いくつかの場合では、遍在的(構成的)プロモーターまたはニューロン特異的プロモーターの転写制御下にあるNeuroD1をコードする核酸を含むアデノ随伴ウイルスベクターであって、部位特異的組換え酵素がNeuroD1をコードする逆向きDNA配列を逆向きにすることによってNeuroD1の発現が可能になるまで、NeuroD1をコードするDNA配列は、逆向きであり、NeuroD1の発現に対して誤った方向であり、さらに部位特異的組換え酵素による組換え酵素活性のための部位を含む、アデノ随伴ウイルスベクターは、いくつかの態様による、CNSの正常な血流の途絶の領域またはその部位において、部位特異的組換え酵素をコードするアデノ随伴ウイルスとともに、対象の脳内へ定位注射によって送達される。任意選択で、定位注射の部位は、CNSにおける正常な血流の途絶によって引き起こされるグリア瘢痕内またはその近くである。
【0050】
いくつかの場合では、部位特異的組換え酵素は、Cre組換え酵素であり、組換え酵素活性のための部位は、認識部位loxPおよびlox2272部位である。
【0051】
いくつかの場合では、対象のNeuroD1治療が、治療中または治療後に監視され、治療の進行および/または最終転帰を監視する。ニューロン細胞の統合および組織微小環境の回復の成功についての治療後のアッセイは、正常な電気生理学、血流、組織構造、および機能の回復またはほぼ回復によって診断され得る。神経機能をアッセイするための非侵襲的な方法には、EEGが含まれる。血流は、近赤外線分光法およびfMRIを介して非侵襲的にアッセイされ得る。組織構造をアッセイするための非侵襲的方法には、MRI、CATスキャン、PETスキャン、または超音波が含まれる。行動アッセイは、脳機能の回復のための非侵襲的アッセイに使用され得る。行動アッセイは、元の脳損傷によって引き起こされる機能の喪失と一致する必要がある。例えば、損傷が麻痺を引き起こした場合、患者の可動性および四肢の器用さをテストする必要がある。損傷が発話の喪失または遅延を引き起こした場合、話し言葉を介した患者のコミュニケーション能力をアッセイする必要がある。NeuroD1治療後の正常な行動の回復は、効果的なニューロン回路の作製および統合に成功したことを示す。神経機能および組織の健康についてアッセイするために、これらの方法を単独で、または任意の組み合わせで使用し得る。治療を評価するためのアッセイは、NeuroD1治療の1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後、またはそれ以降などの任意の時点で実施され得る。かかるアッセイは、必要に応じてベースライン比較を確立するために、NeuroD1治療の前に実施され得る。
【0052】
本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有することを意図している。かかる用語は、例示的に、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、F.M.Asubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002、B.Alberts et al.,Molecular Biology of the Cell,4th Ed.,Garland,2002、D.L.Nelson and M.M.Cox,Lehninger Principles of Biochemistry,4th Ed.,W.H.Freeman&Company,2004、Engelke,D.R.,RNA Interference(RNAi):Nuts and Bolts of RNAi Technology,DNA Press LLC,Eagleville,PA,2003、Herdewijn,p.(Ed.),Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications,Methods in Molecular Biology,Humana Press,2004、A.Nagy,M.Gertsenstein,K.Vintersten,R.Behringer,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd Ed.;December 15,2002,ISBN-10:0879695919、Kursad Turksen(Ed.),Embryonic Stem Cells:Methods and Protocols in Methods in Molecular Biology,2002、185,Human Press:Current Protocols in Stem Cell Biology,ISBN:9780470151808を含む様々な標準的な参考文献の文脈で定義され使用されていることが見出される。
【0053】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」という用語は、明確に別途示されない限り、または文脈が明確に別途示さない限り、限定することを意図せず、複数の指示対象を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「NeuroD1タンパク質」という用語は、胎児の脳発達および成人の神経新生に関与するbHLH前神経転写因子を指し、Cho et al.,Mol.Neurobiol.,30:35-47(2004)、Kuwabara et al.,Nature Neurosci.,12:1097-1105(2009)、およびGao et al.,Nature Neurosci.,12:1090-1092(2009)を参照されたい。NeuroD1は、主に神経系において発生の後期に発現し、ニューロンの分化、成熟、および生存に関与する。
【0055】
「NeuroD1核酸」または「外因性NeuroD1核酸」という用語は、NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする核酸、配列番号2として本明細書で同定されるヒトNeuroD1タンパク質をコードする核酸、および配列番号4として本明細書で同定されるマウスNeuroD1タンパク質をコードする核酸を包含する。配列番号2および配列番号4のNeuroD1タンパク質に加えて、「NeuroD1タンパク質」という用語は、本明細書に記載の方法に含まれ得る配列番号2および配列番号4のバリアントなどのNeuroD1タンパク質のバリアントを包含する。本明細書で使用する場合、「バリアント」という用語は、天然に生じる遺伝的バリエーションおよび組換え調製されたバリエーションを指し、その各々は、配列番号2または配列番号4などの参照NeuroD1タンパク質と比較して、そのアミノ酸配列の1つ以上の変化を含む。かかる変化には、1つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸置換、付加、または欠失によって修飾されているものが含まれる。「バリアント」という用語は、例えば、これらに限定されないが非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、トリ、家禽、ならびにマウスおよびラットを含むがこれらに限定されないげっ歯類由来のNeuroD1オーソログなど、哺乳動物およびトリNeuroD1を含むヒトNeuroD1オーソログを包含する。非限定的な実施例では、配列番号4のアミノ酸として本明細書に例示されるマウスNeuroD1は、ヒトNeuroD1のオーソログである。
【0056】
いくつかの場合では、好ましいバリアントは、配列番号2または配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。
【0057】
変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発などの標準の分子生物学の技法を使用して導入され得る。当業者は、NeuroD1タンパク質の機能的特性を変化させることなく、1つ以上のアミノ酸変異が導入され得ることを認識するであろう。例えば、配列番号2または4のNeuroD1タンパク質の機能的特性を変化させることなく、1つ以上のアミノ酸置換、付加、または欠失を行うことができる。
【0058】
NeuroD1タンパク質バリアントを産生するために保存的アミノ酸置換がNeuroD1タンパク質において行われ得る。保存的アミノ酸置換は、類似の特徴を有する別のアミノ酸に対する1つのアミノ酸の技術分野で認められた置換である。例えば、各アミノ酸は、以下の特徴、正電荷、負電荷、脂肪族、芳香族、極性、疎水性、および親水性のうちの1つ以上を有すると説明され得る。保存的置換は、同じ特徴を有する別のアミノ酸に対する特定の構造的または機能的特徴を有する1つのアミノ酸の置換である。酸性アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、塩基性アミノ酸には、ヒスチジン、リジン、およびアルギニンが含まれ、脂肪族アミノ酸には、イソロイシン、ロイシン、およびバリンが含まれ、芳香族アミノ酸には、フェニルアラニン、グリシン、チロシン、およびトリプトファンが含まれ、極性アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、およびチロシンが含まれ、疎水性アミノ酸には、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、およびトリプトファンが含まれ、保存的置換には、各群内のアミノ酸間の置換が含まれる。アミノ酸はまた、相対サイズの観点から記載されてもよく、アラニン、システイン、アスパラギン酸塩、グリシン、アスパラギン、プロリン、スレオニン、セリン、およびバリンは各々、通常は小さいと考えられる。
【0059】
NeuroD1バリアントは、合成アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、および/または非標準アミノ酸を含み得、例示的に、α-アミノ酪酸、シトルリン、カナバニン、シアノアラニン、ジアミノ酪酸、ジアミノピメリン酸、ジヒドロキシ-フェニルアラニン、ジエンコル酸、ホモアルギニン、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、3-ホスホセリン、ホモセリン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、およびオルニチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性のパーセントを決定するために、配列が最適な比較の目的のためにアライメントされる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適アライメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列にギャップが導入され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性のパーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性の%=同一の重複した位置の数/位置の総数X100%)。一実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。
【0061】
2つの配列間の同一性のパーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用しても達成され得る。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul,PNAS,90:5873-5877(1993)のように修正されたKarlin and Altschul,PNAS,87:2264-2268(1990)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403(1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本明細書に記載の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、例えば、スコア=100、ワード長=12にセットされたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて、BLASTヌクレオチド検索が実施される。
【0062】
本明細書に記載のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、例えば、スコア=50、ワード長=3にセットされたXBLASTプログラムパラメータを用いて、BLASTタンパク質検索が実施される。比較の目的ためのギャップ付きのアライメントを得るために、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402(1997)に記載のギャップ付きBLASTを利用する。あるいは、PSI BLASTを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施する。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLASTの)の既定値パラメータが使用される(例えば、NCBIウェブサイトを参照されたい)。
【0063】
配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS,4:11-17(1988)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティが使用される。
【0064】
2つの配列間の同一性のパーセントは、ギャップを許容してまたはギャップを許容することなく、上述の技法と同様の技法を使用して決定される。同一性のパーセントを計算する際、典型的には、正確な一致のみが計数される。
【0065】
「NeuroD1タンパク質」という用語は、本明細書に記載の方法および組成物で作動可能な、配列番号2および4の断片などのNeuroD1タンパク質の断片、ならびにそれらのバリアントを包含する。
【0066】
NeuroD1タンパク質および核酸は、NeuroD1を発現する生物の脳または細胞株の細胞などの天然供給源から単離され得る。あるいは、NeuroD1タンパク質または核酸は、発現構築物を使用した発現などによって、インビトロまたはインビボで組み換えて生成され得る。NeuroD1タンパク質および核酸はまた、周知の方法によって合成され得る。
【0067】
方法および組成物に含まれるNeuroD1は、組換え核酸技術を使用して産生され得る。組換えNeuroD1の産生は、NeuroD1をコードするDNA配列を包含する組換え発現ベクターを宿主細胞内に導入することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態によるNeuroD1を産生するために宿主細胞内に導入されるNeuroD1をコードする核酸配列は、配列番号2、配列番号4、またはそれらのバリアントをコードする。
【0069】
いくつかの場合では、配列番号1として本明細書で同定される核酸配列は、配列番号2をコードし、発現ベクターに含まれ、発現してNeuroD1を産生する。いくつかの態様によると、配列番号3として本明細書で同定される核酸配列は、配列番号4をコードし、発現ベクターに含まれ、発現してNeuroD1を産生する。
【0070】
遺伝子コードの縮重性質により、配列番号1および3と実質的に同一の核酸配列は、NeuroD1およびNeuroD1のバリアントをコードし、かかる代替の核酸は、発現ベクターに含まれ得、発現してNeuroD1およびNeuroD1のバリアントを産生し得ることが理解される。当業者は、NeuroD1タンパク質をコードする核酸の断片を使用して、NeuroD1タンパク質の断片を産生し得ることを理解するであろう。
【0071】
発現ベクターは、目的のポリペプチドをコードするセグメントの転写を提供する1つ以上の調節要素に作動可能に連結された目的のポリペプチドをコードするセグメントを含む核酸を含有し得る。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、第2の核酸との機能的関係にある核酸を指す。「作動可能に連結された」という用語は、転写される核酸および調節要素などの2つ以上の核酸分子の機能的連結を包含する。本明細書で使用される場合、「調節要素」という用語は、作動可能に連結された核酸の発現のいくつかの態様を制御するヌクレオチド配列を指す。例示的な調節要素としては、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)、内部リボソーム進入部位(IRES)または2Aドメインなどであるがこれらに限定されないエンハンサー、イントロン、複製起点、ポリアデニル化シグナル(pA)、プロモーター、転写終結配列、および上流調節ドメインが挙げられ、これらは、作動可能に連結された核酸配列の複製、転写、転写後プロセシングに寄与する。当業者であれば、日常的な実験のみで発現ベクターにおいて、これらおよび他の調節要素を選択および使用することができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、NeuroD1をコードする核酸配列などの転写される核酸配列に作動可能に連結されたDNA配列を指す。プロモーターは、概して、転写される核酸配列の上流に位置付けられ、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。具体的な実施形態では、プロモーターは、概して、所望の分子を産生するために転写される核酸配列の上流に配置され、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。
【0073】
当業者によって認識されるように、遺伝子の5’非コード領域を単離し、作動可能に連結された核酸の発現を駆動するために、その全体をプロモーターとして使用することができる。あるいは、5’非コード領域の一部分を単離し、作動可能に連結された核酸の発現を駆動するために使用することができる。概して、作動可能に連結された核酸の発現を駆動するために、遺伝子の5’非コード領域の約500~6000bpを使用する。任意選択で、作動可能に連結された核酸の発現を駆動するのに必要な最小量の5’非コード領域を含有する遺伝子の5’非コード領域の一部分を使用する。遺伝子の5’非コード領域の指定された部分の作動可能に連結された核酸の発現を駆動する能力を決定するためのアッセイは、当技術分野で周知である。
【0074】
本明細書に記載の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、発現ベクターが移入される生物の多くの、ほとんどの、またはすべての細胞型における発現を駆動する「遍在的」または「構成的」プロモーターである。NeuroD1の発現に使用され得る遍在的プロモーターの非限定的な例としては、サイトメガロウイルスプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、ベータアクチンプロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコース調節タンパク質78プロモーター、グルコース調節タンパク質94プロモーター、熱ショックタンパク質70プロモーター、ベータキネシンプロモーター、ROSAプロモーター、ユビキチンBプロモーター、真核生物開始因子4A1プロモーター、および伸長因子Iプロモーターであり、これらはすべて当技術分野で周知であり、日常的な方法論を使用して一次供給源から単離することができるか、または商業的供給源から得られる。プロモーターは、単一の遺伝子に完全に由来し得るか、または1つより多い遺伝子に由来する部分を有するキメラであり得る。
【0075】
調節配列の組み合わせは、発現ベクターに含まれ得、NeuroD1の発現を駆動するために使用され得る。NeuroD1の発現を駆動するための発現ベクターに含まれる非限定的な例は、サイトメガロウイルスCMV初期エンハンサー要素およびニワトリベータアクチンプロモーターを組み合わせたCAGプロモーターである。
【0076】
本明細書に記載の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、グリア細胞、特に星状細胞および/またはNG2細胞において優先的に発現を駆動するものである。かかるプロモーターは、「星状細胞特異的」および/または「NG2細胞特異的」プロモーターと称される。
【0077】
星状細胞特異的プロモーターの非限定的な例は、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーL1(Aldh1L1)プロモーターである。ヒトGFAPプロモーターは、配列番号6として本明細書に示されている。マウスAldh1L1プロモーターは、配列番号7として本明細書に示されている。
【0078】
NG2細胞特異的プロモーターの非限定的な例としては、ニューロングリア抗原2(NG2)としても知られているコンドロイチン硫酸プロテオグリカン4遺伝子のプロモーターである。ヒトNG2プロモーターは、配列番号8として本明細書に示されている。
【0079】
本明細書に記載の方法によるNeuroD1の発現を駆動するために使用される特定のプロモーターは、反応性グリア細胞、特に反応性星状細胞および/または反応性NG2細胞において優先的に発現を駆動するものである。かかるプロモーターは、「反応性星状細胞特異的」および/または「反応性NG2細胞特異的」プロモーターと称される。
【0080】
「反応性星状細胞特異的」プロモーターの非限定的な例は、リポカリン2(lcn2)遺伝子のプロモーターである。マウスlcn2プロモーターは、配列番号5として本明細書に示されている。
【0081】
遍在的および細胞型特異的プロモーターの相同体およびバリアントを、NeuroD1の発現に使用し得る。
【0082】
いくつかの場合では、プロモーター相同体およびプロモーターバリアントは、NeuroD1を発現するための発現ベクターに含まれ得る。「プロモーター相同体」および「プロモーターバリアント」という用語は、本明細書に開示されるものと比較して、NeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸上でNeuroD1の細胞型特異的発現、またはNeuroD1の遍在的発現など、所望の型の発現を付与するために実質的に類似した機能的特性を有するプロモーターを指す。例えば、プロモーター相同体またはバリアントは、GFAP、S100b、Aldh1L1、NG2、lcn2およびCAGプロモーターと比較して、NeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸に対して細胞型特異的発現を付与するための実質的に類似した機能的特性を有する。
【0083】
当業者は、所与のプロモーターの機能的特性を変更することなく、1つ以上の核酸変異を導入することができることを認識するであろう。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発などの標準の分子生物学の技法を使用して導入され、プロモーターバリアントを産生し得る。本明細書で使用される場合、「プロモーターバリアント」という用語は、単離された天然に生じるか、またはGFAP、S100b、Aldh1L1、NG2、lcn2、およびpCAGプロモーターなどであるがこれらに限定されない、参照プロモーターの組換え調製されたバリアントのいずれかを指す。
【0084】
他の種由来のプロモーターが機能的であることが当技術分野で既知であり、例えば、マウスAldh1L1プロモーターは、ヒト細胞において機能的である。他の種由来の相同体および相同プロモーターは、当技術分野で既知のバイオインフォマティクスツールを使用して同定することができ、例えば、Xuan et al.,Genome Biol.,6:R72(2005)、Zhao et al.,Nucl.Acid Res.,33:D103-107(2005)、およびHalees et al.,Nucl.Acids.Res.,31:3554-3559(2003)を参照されたい。
【0085】
構造的に、NeuroD1の細胞型特異的プロモーターまたはおよび/または遍在的プロモーターの相同体およびバリアントは、参照の発達的に調節された、および/または遍在的プロモーターと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の核酸配列同一性を有し、RNAポリメラーゼの結合部位、および任意選択で、転写因子のための1つ以上の結合部位を含む。
【0086】
配列番号1または配列番号3と実質的に同一である核酸配列は、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1または配列番号3にハイブリダイゼーション可能な相補的な核酸配列を有するとして特徴付けられる。
【0087】
NeuroD1をコードする1つ以上の核酸に加えて、追加のタンパク質をコードする1つ以上の核酸配列が、発現ベクターに含まれ得る。例えば、かかる追加のタンパク質には、ベータガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、および抗生物質耐性レポーターを含むが、これらに限定されない、レポーターなどの非NeuroD1タンパク質が含まれる。
【0088】
特定の実施形態では、組換え発現ベクターは、少なくとも配列番号2のNeuroD1、配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、または配列番号1と実質的に同一の核酸配列によってコードされるタンパク質をコードする。
【0089】
特定の実施形態では、組換え発現ベクターは、少なくとも配列番号4のNeuroD1、配列番号4と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、または配列番号2と実質的に同一の核酸配列によってコードされるタンパク質をコードする。
【0090】
配列番号9は、NeuroD1をコードする核酸に作動可能に連結されたCAGプロモーターを含む核酸の例であり、EGFPをコードする核酸配列およびエンハンサーWPREをさらに含む。IRESは、NeuroD1をコードする核酸およびEGFPをコードする核酸を分離する。配列番号9は、NeuroD1およびレポーター遺伝子EGFPの発現のための発現ベクター内に挿入される。任意選択で、IRESおよびEGFPをコードする核酸を除去し、残りのCAGプロモーターおよびNeuroD1をコードする作動可能に連結した核酸を、NeuroD1の発現のための発現ベクター内に挿入する。WPREまたは別のエンハンサーは、任意選択で含まれる。
【0091】
任意選択で、レポーター遺伝子は、NeuroD1をコードする組換え発現ベクターに含まれる。レポーター遺伝子は、組換え発現ベクターからのNeuroD1の発現のための代理マーカーとして機能するペプチドまたはタンパク質を産生するために含まれ得る。本明細書で使用される場合、「レポーター遺伝子」という用語は、発現した場合、例えば、化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導性マーカー、および/またはリガンド結合アッセイによって容易に検出可能な遺伝子を指す。例示的なレポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、増強黄色蛍光タンパク質(eYFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、増強シアン蛍光タンパク質(eCFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、増強青色蛍光タンパク質(eBFP)、MmGFP(Zernicka-Goetz et al.,Development,124:1133-1137(1997))、dsRed、ルシフェラーゼ、およびベータガラクトシダーゼ(lacZ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
宿主細胞における遺伝物質によってコードされる所望のタンパク質の一過性または安定的な発現などの遺伝物質をレシピエント宿主細胞内に導入するプロセスは、「トランスフェクション」と称される。トランスフェクション技法は、当技術分野で周知であり、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」技術としても知られる粒子加速形質転換、リポソーム媒介トランスフェクション、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿媒介トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、マイクロインジェクション、ポリエチレングリコール媒介トランスフェクション、熱ショック媒介トランスフェクション、およびウイルス媒介トランスフェクションが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、ウイルス媒介トランスフェクションは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびレンチウイルスに由来するものなどのウイルスベクターを使用して達成され得る。
【0093】
任意選択で、宿主細胞は、エクスビボでトランスフェクションされ、次いで宿主生物内に再導入される。例えば、細胞または組織を対象から取り出し、NeuroD1をコードする発現ベクターでトランスフェクションし、次いで対象に戻すことができる。
【0094】
宿主グリア細胞において外因性NeuroD1ポリペプチドを発現してグリア細胞をニューロンに変換するための、NeuroD1またはその機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターのインビトロまたはインビボでの宿主グリア細胞内への導入は、様々なトランスフェクション方法論のうちのいずれかによって達成される。
【0095】
グリア細胞をニューロンに変換するための宿主グリア細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸の発現は、任意選択で、インビトロまたはインビボで宿主グリア細胞にNeuroD1またはその機能的断片をコードするmRNAを導入することによって達成される。
【0096】
グリア細胞をニューロンに変換するための宿主グリア細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸の発現は、任意選択で、インビトロまたはインビボで宿主グリア細胞にNeuroD1タンパク質を導入することによって達成される。これらおよび他の技法の詳細は、例えば、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、F.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002、およびEngelke,D.R.,RNA Interference(RNAi):Nuts and Bolts of RNAi Technology,DNA Press LLC,Eagleville,PA,2003に記載されているように、当技術分野で既知である。
【0097】
NeuroD1もしくはその機能的断片をコードする核酸、NeuroD1もしくはその機能的断片をコードするmRNA、および/またはNeuroD1タンパク質、その全長、もしくはその機能的断片を含む発現ベクターは、任意選択で、インビトロまたはインビボで宿主細胞内に導入するための担体と会合する。
【0098】
特定の態様では、担体は、リポソーム、ミセル、単層、または多層小胞を含む脂質粒子、ヒドロゲル粒子、ポリグリコール酸粒子、またはポリ乳酸粒子などのポリマー粒子、例えば、米国特許第5,648,097号に記載されるようなリン酸カルシウム粒子などの無機粒子、および例えば、米国特許第6,630,486号に記載されるような無機/有機粒子状担体などの粒子状担体である。
【0099】
粒子状担体は、脂質粒子、ポリマー粒子、無機粒子、および無機/有機粒子の中から選択され得る。粒子の種類の混合物はまた、粒子状の薬学的に許容される担体として含まれ得る。
【0100】
粒子状担体は、典型的には、粒子が約1nm~10ミクロンの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。特定の態様では、粒子状担体は、粒子が約1nm~100nmの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。
【0101】
リポソームのさらなる説明ならびにそれらの調製および使用に関連する方法は、Liposomes:A Practical Approach(The Practical Approach Series,264),V.P.Torchilin and V.Weissig(Eds.),Oxford University Press;2nd ed.,2003に見出され得る。ナノ粒子のさらなる態様は、Moghimi et al.,FASEB J.,19:311-30(2005)に記載されている。
【0102】
組換え発現ベクターを使用したNeuroD1の発現は、当技術分野で認識される昆虫細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、または任意の他の単一もしくは多細胞生物などの真核または原核宿主細胞発現系に発現ベクターを導入することによって達成される。宿主細胞は、任意選択で、初代細胞または不死化誘導体細胞である。不死化細胞は、少なくとも5回の複製継代の間、インビトロで維持することができるものである。
【0103】
組換え発現ベクターを含有する宿主細胞は、NeuroD1が産生される条件下で維持される。宿主細胞は、Celis,Julio,ed.,1994,Cell Biology Laboratory Handbook,Academic Press,N.Y.に記載されているような既知の細胞培養技法を使用して培養および維持され得る。特定の栄養素、酸素、張力、二酸化炭素、および低減した血清レベルに関する培地製剤を含む、これらの細胞の様々な培養条件を、当業者によって選択および最適化することができる。
【0104】
いくつかの場合では、NeuroD1をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを、対象のグリア細胞内に導入する。グリア細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸の発現は、グリア細胞をニューロンに「変換する」。
【0105】
いくつかの場合では、NeuroD1またはそれらの機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを、対象の星状細胞内に導入する。グリア細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸の発現は、星状細胞をニューロンに「変換する」。
【0106】
いくつかの場合では、NeuroD1またはそれらの機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを、対象の反応性星状細胞内に導入する。反応性星状細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(もしくはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸、またはそれらの機能的断片の発現は、反応性星状細胞をニューロンに「変換」する。
【0107】
いくつかの場合では、NeuroD1またはそれらの機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを、対象のNG2細胞内に導入する。NG2細胞におけるNeuroD1ポリペプチド(もしくはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸、またはそれらの機能的断片の発現は、NG2細胞をニューロンに「変換する」。
【0108】
外因性NeuroD1ポリペプチドまたはその機能的断片をコードする核酸を含む組換え発現ベクターの導入後の外因性NeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)の発現の検出は、NeuroD1を検出するためのイムノアッセイ、NeuroD1核酸を検出するための核酸アッセイ、およびNeuroD1ポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)をコードする外因性核酸と共発現するレポーター遺伝子の検出を含むが、これらに限定されない、様々な標準的な方法論のうちのいずれかを使用して達成される。
【0109】
「変換する」および「変換された」という用語は、本明細書では、グリア細胞、星状細胞または反応性星状細胞の表現型のニューロン表現型への変化をもたらす、NeuroD1またはその機能的断片の発現の効果を説明するために使用される。同様に、「NeuroD1変換されたニューロン」、および「変換されたニューロン」という語句は、本明細書では、結果として生じるニューロン表現型を有する外因性NeuroD1タンパク質またはその機能的断片を含む細胞を指定するために使用される。
【0110】
「表現型」という用語は、本明細書で言及される細胞の周知の検出可能な特徴を指す。ニューロン表現型は、ニューロンの形態、1つ以上のニューロンマーカーの発現、ニューロンの電気生理学的特徴、シナプス形成、および神経伝達物質の放出のうちの1つ以上であり得るが、これらに限定されない。例えば、ニューロン表現型は、樹状突起、軸索および樹状突起棘の存在などのニューロンの特徴的な形態学的態様、シナプス点におけるシナプスタンパク質の存在、および樹状突起におけるMAP2の存在などの特徴的なニューロンタンパク質の発現および分布、ならびに自発的および誘発されるシナプス事象などの特徴的な電気生理学的徴候を包含するが、これらに限定されない。
【0111】
さらなる例では、星状細胞表現型および反応性星状細胞表現型などのグリア表現型は、概して「星の形状」の形態などの星状細胞および反応性星状細胞の特徴的な形態学的態様、ならびにグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の存在などの特徴的な星状細胞および反応性星状細胞のタンパク質発現を包含するが、これらに限定されない。
【0112】
「核酸」という用語は、一本鎖、二本鎖、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含む任意の形態で2つ以上のヌクレオチドを有するRNAまたはDNA分子を指す。「ヌクレオチド配列」という用語は、核酸の一本鎖形態におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序を指す。
【0113】
「NeuroD1核酸」という用語は、単離されたNeuroD1核酸分子を指し、配列番号1もしくは配列番号3に記載のDNA配列、もしくはその相補体、もしくはその断片と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する単離されたNeuroD1核酸、または高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは配列番号3に記載の核酸、もしくはその相補体、もしくはその断片とハイブリダイゼーションする配列を有する単離されたDNA分子を包含する。
【0114】
配列番号3の核酸は、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1に記載の核酸にハイブリダイゼーションする配列を有する単離されたDNA分子の例である。NeuroD1核酸の断片は、NeuroD1核酸を含む、本明細書に記載の1つ以上の態様において作動可能なNeuroD1核酸の任意の断片である。
【0115】
標的NeuroD1 mRNAまたはcDNAにハイブリダイゼーションすることができる核酸プローブまたはプライマーは、NeuroD1タンパク質をコードするmRNAまたはcDNAの検出および/または定量化に使用され得る。核酸プローブは、少なくとも10、15、30、50、または100ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下で、NeuroD1 mRNAもしくはcDNAまたはその相補配列に特異的にハイブリダイゼーションするのに十分であり得る。核酸プローブは、少なくとも、10、15、または20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下で、mRNAもしくはcDNAまたはその相補配列に特異的にハイブリダイゼーションするのに十分であり得る。
【0116】
「相補体」および「相補的」という用語は、ヌクレオチド間のワトソン-クリック塩基対合を指し、具体的には、2つの水素結合によるアデニン残基に連結されたチミンまたはウラシル残基、ならびに3つの水素結合によって連結されたシトシンおよびグアニン残基での互いに水素結合されたヌクレオチドを指す。概して、核酸は、特定の第2のヌクレオチド配列に対して、ある「パーセントの相補性」を有すると記載されるヌクレオチド配列を含む。例えば、ヌクレオチド配列は、特定の第2のヌクレオチド配列に対して80%、90%、または100%の相補性を有し得、これは、配列の10個のヌクレオチドのうち8個、10個のヌクレオチドのうち9個、または10個のヌクレオチドのうち10個が、特定の第2のヌクレオチド配列に対して相補的であることを示す。例えば、ヌクレオチド配列3’-TCGA-5’は、ヌクレオチド配列5’-AGCT-3’に100%相補的である。さらに、ヌクレオチド配列3’-TCGA-は、ヌクレオチド配列5’-TTAGCTGG-3’の領域に100%相補的である。
【0117】
「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイゼーションする」という用語は、相補的核酸の対合および結合を指す。ハイブリダイゼーションは、当技術分野で周知であるように、核酸の相補性の程度、核酸の融解温度、Tm、およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさなどの要因に応じて、2つの核酸間で様々な程度に生じる。「ハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさ」という用語は、ホルムアミドおよびデンハルト溶液などの特定の一般的な添加剤に関する、ハイブリダイゼーション媒体の温度、イオン強度、および組成の条件を指す。
【0118】
特定の核酸に関する特定のハイブリダイゼーション条件の決定は、日常的であり、例えば、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001、およびF.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002に記載されているように、当技術分野で周知である。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、実質的に相補的な核酸のハイブリダイゼーションのみを可能にする条件である。典型的には、約85~100%の相補性を有する核酸は、高度に相補的であると考えられ、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションする。中間ストリンジェントな条件は、中間の相補性である、約50~84%の相補性、および高い相補性を有する核酸がハイブリダイゼーションする条件によって例示される。対照的に、低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、相補性の程度が低い核酸がハイブリダイゼーションする条件である。
【0119】
「特異的ハイブリダイゼーション」および「特異的にハイブリダイゼーションする」という用語は、試料中の標的核酸以外の核酸への実質的なハイブリダイゼーションを伴わない、特定の核酸の標的核酸へのハイブリダイゼーションを指す。
【0120】
ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件のストリンジェントさは、当業者に周知のように、プローブおよび標的のTmならびにハイブリダイゼーションおよび洗浄条件のイオン強度を含むいくつかの要因に依存する。所望のハイブリダイゼーションのストリンジェントさを達成するためのハイブリダイゼーションおよび条件は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001、およびAusubel,F.et al.,(Eds.),Short Protocols in Molecular Biology,Wiley,2002に記載されている。
【0121】
高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、37℃で終夜にわたる、6×SSC、5×デンハルト溶液、30%ホルムアミド、および100マイクログラム/mLの変性サーモン精子を含有する溶液中での約100ヌクレオチド長にわたる核酸のハイブリダイゼーション、それに続く60℃で15分間、0.1×SSCおよび0.1%SDSの溶液中の洗浄である。SSCは、0.15MのNaCl/0.015Mのクエン酸ナトリウムである。デンハルト溶液は、0.02%のウシ血清アルブミン/0.02%のフィコール/0.02%のポリビニルピロリドンである。高ストリンジェントな条件下で、配列番号1および配列番号3は、実質的に同一の標的の相補体にハイブリダイゼーションし、無関係な配列にはハイブリダイゼーションしない。
【0122】
神経学的状態の治療を必要とする対象において神経学的状態を治療する方法が提供され、それは、治療有効量のNeuroD1を対象の中枢神経系または末梢神経系のグリア細胞に送達することを含み得、グリア細胞における治療有効量のNeuroD1は、同じ神経学的状態を有する未治療の対象と比較して対象において多い数のニューロンをもたらし、それによって神経学的状態が治療される。
【0123】
また、反応性グリア細胞のニューロンへの変換は、反応性グリア細胞に関連する神経炎症および神経阻害因子を低減し、それによって、神経学的状態が緩和されるように、グリア瘢痕組織をニューロン成長に対してより寛容にする。
【0124】
本明細書で使用される場合、「神経学的状態」または「神経学的障害」という用語は、追加のニューロンによって緩和、改善、または予防される対象の中枢神経系の任意の状態を指す。ニューロンの喪失もしくは阻害、および/またはニューロン機能の喪失もしくは阻害をもたらす損傷または疾患は、本明細書に記載の方法による治療のための神経学的状態である。
【0125】
グルタミン酸作動性ニューロンの損失もしくは阻害、および/またはグルタミン酸作動性ニューロン機能の損失もしくは阻害をもたらす損傷または疾患は、本明細書に記載されるように治療され得る神経学的状態である。GABA作動性、コリン作動性、ドーパミン作動性、ノルエピネフリン作動性、またはセロトニン作動性ニューロンなどの他の型のニューロンの喪失または阻害は、同様の方法で治療され得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、治療される神経学的状態の症状または徴候を緩和、改善、または予防するのに有効な本発明の組成物の量を意味することを意図している。特定の実施形態では、治療有効量は、神経学的状態の徴候および/または症状を有する対象において有益な効果を有する量である。
【0127】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、「治療すること」、および「NeuroD1治療」という用語、または文法的同等物は、神経学的状態、神経学的状態の症状または徴候を緩和、阻害または改善すること、および神経学的状態の症状または徴候を予防することを指し、治療的処置および/または予防的処置を含むが、これらに限定されない。
【0128】
神経学的状態の徴候および症状は、かかる徴候および症状の検出および評価方法とともに当技術分野で周知である。
【0129】
いくつかの場合では、対象の神経学的状態のための療法の組み合わせを施すことができる。
【0130】
特定の態様によれば、それを必要とする個々の対象におけるCNSにおける正常な血流の途絶の影響を治療するために、対象に投与される追加の薬剤または治療的処置には、血栓の除去、血流の促進、1つ以上の抗炎症剤の投与、1つ以上の抗酸化剤の投与、および興奮毒性を低減するのに有効な1つ以上の薬剤の投与などの治療が含まれるが、これらに限定されない。
【0131】
「対象」という用語は、ヒトを指し、非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタならびにマウスおよびラットを含むがこれらに限定されないげっ歯類などであるがこれらに限定されない非ヒト哺乳動物、ならびに鳥類、家禽、爬虫類、および両生類などであるがこれらに限定されない非哺乳類動物も指す。
【0132】
本発明の組成物および方法の実施形態は、以下の実施例において例示される。これらの実施例は、例示目的で提供されており、本発明の組成物および方法の範囲に対する限定とは見なされない。
【実施例】
【0133】
材料および方法
実験動物
5×FADマウスは、ヒトAPPに3つの変異[スウェーデン(K670N/M671L)、ロンドン(V717I)およびフロリダ(I716V)]を有し、ヒトPS1タンパク質に2つの変異(M146LおよびL286V)を有する。これらの5×FADトランスジェニックマウスは、アミロイド病理学、神経変性、ならびに学習および記憶障害を含むADの主要な特徴を再現し、したがって、古典的なAD動物モデルとして機能する(Oakley et al.,J.Neurosci.,26:10129-10140(2006))。
【0134】
ウイルスベクター構築物および産生
GFAP発現細胞を特異的に標的とするために、Cre-組換え酵素依存性AAVベクターを構築した。変換因子は、これらのフリップ切除(FLEX)ベクターにおいてアンチセンス方向に挿入され、2対の反平行な異型loxP部位に隣接する(Atasoy et al.,J.Neurosci.,28:7025-7030(2008))。Cre遺伝子をグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)のプロモーターの下に配置し、変換因子またはGFP対照遺伝子を各個々のベクターのCAGプロモーターの下に配置した。まず、pAAV-MCS(Cell Biolab)のMlul部位とSacll部位との間のCMVプロモーターを置き換えるために、pDRIVE-hGFAPプラスミド(InvivoGen,inc)からのhGFAPプロモーターを挿入した。PCRを適用して、hGFAP-Cre(Addgene、プラスミド#40591、Dr.Albee Messingからの贈与)からのCre遺伝子をクローニングし、次いでpAAV-hGFAP::Creベクターを生成するために、CreをpAAV MCSのEcoRIとSal1部位との間に挿入した。NeuroD1,GFPをコードするcDNAを、前の研究(Guo et al.,Cell Stem Cell,14:188-202(2014))に記載のレトロウイルス構築物からPCRによってクローニングし、pAAV-FLEX-GFPおよびpAAV-FLEX-NeuroD1-P2A-GFPベクターを構築した。NeuroD1遺伝子をP2A-GFPと融合させ、さらにサブクローニングし、pAAV-FLEX-GFPベクター(Addgeneプラスミド#28304、Dr.Edward Boydenからの贈与)のKpn1部位とXho1部位との間に挿入した。すべてのプラスミド構築物を、検証のために配列決定した。組換えAAV9の産生のために、293AAV細胞(Cell Biolabs)を培養した。すなわち、293AAV9を、三重プラスミド、pAAV発現ベクター、pAAV9-RC(Cell Biolab)、およびpHelper(Cell Biolab)でトランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を培養培地から採取し、遠心分離し、続いて、それをドライアイス/エタノールまたは37℃の水浴中に交互に保つことによって、4回の凍結融解を行った。次に、生のAAV溶解物を、Beckman SW55Tiロータを用いて、不連続なイオジキサノール勾配で1時間、54,000rpmで遠心分離することによって精製した。遠心分離後、ウイルスを含有する上清をMillipore Amicon Ultra Centrifugal Filtersによって濾過し、純粋なウイルスを得た。hGFAP::Creについてのウイルス力価は、CAG::FLEX-NeuroD1-P2A-GFPについては1.2x1012GC/mL、1.4x1012GC/mL、およびCAG::FLEX-GFPについては1.4x1012GC/mLであり、QuickTiterTM AAV Quantitation Kit(Cell Biolabs)によって測定された。
【0135】
定位頭蓋内ウイルス注射
ウイルスの頭蓋内注射のためにマウスに対して手術を行った。マウスを、2.5%のアベチン(10mL/kg)を用いた腹腔内注射によって麻酔し、次いで定位的設定に配置した。次いで、人工眼軟膏を、眼のカバーおよび保護のために塗布した。マウスを、前頭皮質領域の上の頭蓋骨上の49個の中間線の頭皮切開およびドリル穴を手術した。各注射部位に、ウイルスの直接頭蓋内注射(5μLシリンジおよび34G針を介して)を適用した(AP:+1.3mm、ML:1.4mm、DV:-1.0mm)。各部位について、総注射体積は2μLであり、流速は、0.2μL/分で制御した。注射後、針を所定の位置にさらに10分間保持し、次いで、部位からゆっくりと引き抜いた。
【0136】
免疫組織化学および定量化
マウスを10mL/kgの2.5%のアベルチンを用いて腹膜に注入することによって麻酔し、次いで氷冷した人工脳脊髄液(ACSF)で灌流して脳内の血液を洗い流し、続いてリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH=7.4)中の4%のパラホルムアルデヒド(PFA)固定した。脳組織を解剖し、次いで4%のPFAを用いて4℃で一晩固定した。試料をさらに、Leicaビブラトームにより45μmで矢状方向にスライスし、4℃で0.1MのPB中に保存した。免疫染色について、脳スライス試料を、PBSで3回、各10分間すすぎ、次いで、ブロッキング溶液(0.1MのPBS中、0.3%のTriton-X、5%の正常ロバ血清、5%正常ヤギ血清の混合物)で、室温で2時間インキュベーションした。脳スライスを、以下の一次抗体とともに、4℃で、一晩[0.1MのPBS中、5%の正常ロバ血清(NDS)および正常ヤギ血清(NGS)中で]さらにインキュベーションした。モノクローナル抗GAD67(マウス、1:500、Millipore、MAB5406)、ポリクローナル抗GABA(ウサギ、1:1000、Sigma、A2052)、モノクローナル抗パルブアルブミン(マウス、1:2000、Sigma、P3088)、ウサギモノクローナル抗βアミロイド1-42(ウサギ、1:2000、Invitrogen、700254)、ポリクローナル抗グリア線維性酸性タンパク質(ニワトリ、1:1000、Millipore、AB5541)、ポリクローナル抗Iba1(ウサギ、1:500、Wako、019-19741)、モノクローナル抗iNOS(マウス、1:500、BD、610328)、ポリクローナル抗GFP(ニワトリ、1:1000、Abcam、ab13970)、モノクローナル抗NeuroD1(マウス、1:500、Abcam、ab60704)、ポリクローナル抗IL1β(ウサギ、1:1000、Abcam、Ab9722)、ポリクローナル抗MAP2(ニワトリ、1:500、Abcam、ab5392)、モノクローナル抗シナプトフィシン(マウス、1:500、Millipore、MAB368)、ポリクローナル抗小胞性グルタミン酸トランスポーター1(モルモット、1:3000、Millipore、ab5905)、モノクローナル抗ニューロフィラメント200(マウス、1:500、Sigma、N0142)、モノクローナル抗Ly6c(ラット、1:1000、Abcam、ab15627)、ポリクローナル抗AQP4(ウサギ、1:1000、Santa Cruz、sc-20812)、ポリクローナル抗ダブルコルチン(ヤギ、1:500、Santa Cruz、sc-8066)、抗ネスチン(マウス、1:500、Neuromics、MO15056)、およびポリクローナル抗Ki67(ウサギ、1:1000、Abcam、ab15580)。試料をPBSで3回洗浄した後、次いで脳切片を、Alexa Fluor488(1:1000、Jackson ImmunoResearch)またはAlexa Fluor647(1:1000、Jackson ImmunoResearch)にコンジュゲートした適切な二次抗体で、室温で2時間インキュベーションした。スライスをPBSで3回洗浄した後、脳切片を、DAPI(Thermo Fisher Scientific、P36931によるInvitrogen)を有する退色防止封入剤を用いてスライド上に封入した。チオフラビン-s染色については、上記の免疫組織化学プロトコルに従って、脳試料に対して共通の手順を実施した。組織切片を二次抗体中でインキュベーションした後、まず、試料をPBS(2μg/mL)中に希釈したチオフラビンsによって、シェーカー上で10分間洗浄した。次に、PBSを使用して脳試料を2回、各10分間洗浄する。次いで、試料を、ProLong Gold Antifade Mountant(Life Technologies、P36934)でスライド上に封入した。蛍光画像を、Keyence顕微鏡(BIOREVO BZ9000ビューアおよびアナライザ)、Olympus共焦点顕微鏡(FV1000)、またはZeiss共焦点顕微鏡(ZEISS ZEN顕微鏡ソフトウェアによって取得および処理された画像)で取得した。共焦点取得パラメータ設定は、各個々の標的タンパク質免疫染色について同じままであった。第2章では、各試料について、(多くの変換されたニューロンが観察された)注射コアの1000μm内の類似した皮質層での3つのランダムな位置で画像を撮影した。次いで、定量的なデータを平均化して、試料を表した。ImageJソフトウェアによって同じ設定(ImageJ 1.46r、Wayne Rasband、National Institutes of Health、USA)で画像をさらに分析し、GraphPad Prism6によってグラフ化した。
【0137】
ヒトAβElisa
AD+GG-およびAD+GG+同腹仔の脳由来の前頭皮質領域を単離し、1mMのPMSFプロテアーゼ阻害剤(Thermo Scientific、36978)およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma-Aldrich、P2714)を有するNP40細胞溶解緩衝液(Invitrogen、FNN0021)で溶解し、続いて4℃で、13,000rpmで遠心分離した。ELISA試験によるAβ負荷の定量分析のために上清を収集した。ヒトAβ42ELISAキット(Invitrogen、KHB3441)およびヒトAβ40ELISAキット(Invitrogen、KHB3481)を、Aβレベルの測定に適用した。ELISAキットのプロトコルは厳密に従った。まず、抗原結合の目的で、Aβ抗体(ELISAキットに含まれる)でコーティングされたプレート中の対応するウェルに標準物質および試料を充填した。第2に、ヒトAβ42検出器抗体(または、対応してヒトAβ40抗体)をウェルに添加し、プレートをタップして溶液を完全に混合し、続いて室温でシェーカー上で3時間インキュベーションした。次いで、溶液を廃棄し、ウェルを1x洗浄緩衝液で4回洗浄する。HRPコンジュゲート抗体を、室温で試料とともに30分間インキュベーションし、続いて、ウェルを1x洗浄緩衝液で4回洗浄した。次いで、安定化させた色原体を各ウェルに適用し、暗い場所で30分間さらにインキュベーションした。各ウェル中の試料を停止溶液で処理した後、30分以内にプレートを読み取って450nmの吸光度を得、標準曲線を生成する(SpectraMax Plus 384 Microplate Reader)。未知の試料のAβ42およびAβ40レベルを分析し、450nmでの光学密度の値および標準物質ラダーの既知の濃度を用いて定量化した。各試料を2回繰り返し、平均値を分析した。
【0138】
脳スライス電気生理学
注射の約1ヶ月後、脳皮質領域を解剖し、脳スライス記録のためにLeicaビブラトームで300μmにスライスした。低温切断溶液は、(mMで)75スクロース、87NaCl、2.5KCl、0.5CaCl2、7MgCl2、25NaHCO3、1.25NaH2PO4、および20グルコースを含有した。(mMで)119NaCl、2.5KCl、1.25NaH2PO4、26NAHCO3、1.3MgCl2、2.5CaCl2、10グルコースを含有する人工脳脊髄液(ACSF)中に脳スライスを維持し、95%のO2および5%のCO2でバブリングした。脳スライスをACSF中でインキュベーションし、次いで、(mMで)135K-グルコネート、10KCl、5Na-ホスホクレアチン、10HEPES、EGTA、MgATP、および0.5Na2GTPを含有するピペット溶液(pH7.3、KOHで290mOsm/Lに調節)で、これらの試料上で全細胞記録を実施した。ピペット抵抗を3~5MΩ、直列抵抗を20~40MΩに設定し、電圧クランプの電位を-70mVに保持した。pClamp9ソフトウェア(Molecular Devices、Palo Alto,CA)をデータ収集に利用し、Clampfit、およびSynaptosoftソフトウェアを分析に使用した。成人脳スライスを、先のプロトコル(Ting et al.,Methods Mol.Biol.,1183:221-242(2014))に従って調製した。要するに、12~14ヶ月齢の成人トランスジェニックマウスに、(mMで)93NMDG、93HCl、30NaHCO3、20HEPES、15グルコース、12N-アセチル-L-システイン、7MgSO4、2.5KCl、1.25NaH2PO4、5アスコルビン酸ナトリウム、3ピルビン酸ナトリウム、2チオウレア、0.5CaCl2、pH範囲7.3~7.4、300mOsmoであり、95%のO2/5%のCO2でバブリングした、切断溶液を経心臓灌流した。マウスの脳をさらに解剖し、切断溶液中で300μmに切断し、室温でインキュベーションした。脳スライスを切断溶液中で収集し、12~15分間、32~34℃でインキュベーションした。連続して95%のO2/5%CO2バブリングしながら、(mMで)92NaCl、30NaHCO3、20HEPES、15グルコース、12N-アセチル-L-システイン、2.5KCl、1.25NaH2PO4、5アスコルビン酸ナトリウム、2チオウレア、3ピルビン酸ナトリウム、2MgSO4、および2CaCl2の保持溶液中でスライスを保持した。保持溶液中で試料を0.5時間回復した後、パッチクランプ記録を、(mMで)124NaCl、26NaHCO3、10グルコース、2.5KCl、1.25NaH2PO4、1.3MgSO4、および2.5CaCl2の標準aCSF中で行った。
【0139】
cDNA合成および定量的リアルタイムPCR
cDNA合成にはQuanta Biosciences qScriptTM cDNA SuperMixを使用した。cDNAを合成するために、各試料について20μLの総反応体積で1μgのRNAを使用した。cDNAを合成するためのプログラム設定は、25℃で5分間、42℃で30分間、85℃で5分間、4℃で保持であった。cDNA産物を、RNase/DNaseを含まないH2Oを使用してさらに5回希釈した。定量的リアルタイムPCRに使用されるプライマーは、Applied Biosystems Primer Expressソフトウェアによって設計された。Quanta Biosciences PerfeCTaTM SYBR(登録商標)Green SuperMix、ROXTMを含む試薬をこの実験に使用した。1μgの全RNAに対応する5μLのcDNAを、25μLの総反応体積で使用した。プログラムパラメータは、95℃で15秒間、増幅のための65℃で45秒間の40回のPCRサイクルであった。PCRサイクル後、溶融曲線をチェックし、各標的遺伝子の比較Ct値を測定した。内部対照遺伝子としてGAPDHを使用し、DMSO処理された対照群における遺伝子発現に関して相対遺伝子発現を分析した。定量的リアルタイムPCRデータは、各試料について2回のPCR反応の複製を有した。
【0140】
データ分析
データを平均値±s.e.m.として表した。2群比較における統計分析に、スチューデントのt検定を用いた。一元配置ANOVAまたは二元配置ANOVA分析を、複数の群間の比較に適用した。統計的有意性は、p<0.05で設定した。嗅覚行動試験では、交差馴化指数のF値およびP値の計算のために、SPSSソフトウェアを介して、LSD事後検定を伴う二元配置ANOVAを使用してデータを分析した。統計学的有意性は、*とラベル付けしたp<0.05、**とラベル付けしたp<0.01、***とラベル付けした.p<0.001で設定した。すべての行動試験および分析は、盲検的に実施された。
【0141】
実施例1-アルツハイマー病マウスモデルにおけるNeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の有益な効果
反応性グリアにおけるNeuroD1の過剰発現は、5×FADマウスの脳における星状細胞からニューロンへの変換を高効率で可能にする
ADの脳において、典型的な特徴には、神経膠症、ニューロン損失、アミロイドプラーク、および細胞内神経原線維変化が含まれる。神経膠症は、ヒトAD皮質(Castillo et al.,Scientific Reports,7:17762(2017))および5×FADマウスおよびTg2576 ADマウスなどのADトランスジェニックマウスモデル(Games et al.,Nature,373:523-527(1995)、Nussbaum et al.,Nature,485:651-655(2012)、およびOakley et al.,J.Neurosci.,26:10129-10140(2006))において高度に増強されることが報告されている。特に、5×FADマウスの脳におけるアミロイド沈着および神経膠症は、2ヶ月齢で始まり、大部分は、より深い皮質層および鉤状回領域に蓄積される。さらに、ニューロンの数は、病理学的進行中に5×FADの脳において年齢とともに減少する(Oakley et al.,J.Neurosci.,26:10129-10140(2006))。異常に増加した星状細胞の数および低減したニューロンの数は、脳の内側のニューロンと星状細胞との間の不均衡な比率をもたらし、これはさらに脳回路の機能障害を説明する。したがって、反応性星状細胞のニューロンへの直接インビボ変換によって、過剰な反応性星状細胞が低減し、5×FADの脳におけるニューロンの損失の補充に利用されると仮定した。
【0142】
この目標を達成するために、CAGプロモーター下でNeuroD1-GFPまたはGFP偽対照を発現するAAV9ベクター(それぞれAAV9-CAG-loxP-NeuroD1-P2A-GFP-loxPまたはAAV9-CAG-loxP-GFP-loxP)とともに反応性星状細胞GFAPプロモーター(AAV9-GFAP-Cre)の制御下でCreを発現するアデノ随伴ウイルス血清型9(AAV9)ベクターを設計し、構築した。したがって、GFP対照群では、GFPのみが反応性星状細胞において過剰発現される(GFAP+細胞)が、NeuroD1およびGFPは、NeuroD1群における反応性星状細胞において共発現される(
図1A)。定位注射は、マウスの脳皮質領域で行われた(座標:L/R:±1.4、A/P:+1.3、DV:-1.0mm)(
図1B)。5×FADの皮質のこのサブ領域では、アミロイドプラークの重い負荷がすでに蓄積しており、星状細胞は、かかる病理学的状態における星状細胞の過活性状態を示す、細長く、より厚い突起を有する拡大した細胞体の非定型的な形態を示した。次に、注射の30日後に、脳組織試料を解剖し、免疫染色を行い、5×FADマウスの脳における注射領域におけるNeuroD1発現レベルを検査した。以前のデータ(Guo et al.,Cell Stem Cell,14:188-202(2014))で裏付けられたように、反応性星状細胞は、30dpiでNeuroD1過剰発現によって効率的にニューロン形態様細胞に変換されている。特に、GFP過剰発現を有する星状細胞は、GFP対照群においてグリア形態のままである(
図1C)。感染した細胞および変換された細胞をさらに同定するために、それぞれ、GFPを有する反応性星状細胞マーカーのGFAP、GFPを有する成熟ニューロンマーカーのNeuN(ニューロン核)の共免疫染色を行った。代表的な画像は、感染した細胞の大部分がGFAP+(反応性星状細胞マーカー、マゼンタ色)であるという観察に基づいて、AAV9-GFAP-Cre系が星状細胞において高い特異性を有することを示している(
図1D)。興味深いことに、NeuroD1過剰発現(カラーで見た場合、赤色に染色)を有する感染した反応性星状細胞は、30dpiまでに5×FADの皮質において、成熟ニューロン(NeuN+、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)へ成功裏に変換されている(
図1E)。変換されたニューロン(明視野位相画像、25dpi)(
図1F)上の電気生理学的研究において、活動電位の代表的な追跡(
図1G)、sEPSCおよびsIPSC(
図1H)を記録した。まとめると、上記のデータは、NeuroD1の過剰発現が、1ヶ月以内に5×FADの皮質において、高効率で、反応性星状細胞から成熟および完全な機能的ニューロンへの直接インビボ変換を可能にすることを確認している。
【0143】
NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの脳における星状細胞の過活性状態を改善した
脳において、健康な星状細胞は、正常なニューロン伝達、シナプス生理学、およびエネルギー代謝を維持および制御する上で重要な役割を果たす(Freeman,Science,330:774-778(2010))。しかしながら、ADの脳の病理学的背景において、異常な過活性星状細胞およびアストログリオーシスが広く報告されている(Burda and Sofroniew,Neuron,81:229-248(2014))。星状細胞に対するこれらの異常な変化は、グルタミン酸塩およびGABAのリサイクル、カリウム緩衝、ならびにさらにコリン作動性調節およびカルシウム調節を変化させることを含む、正常な脳機能およびシグナル伝達経路にも干渉する(Osborn et al.,Prog.Neurobiol.,144:121-141(2016))。反応性星状細胞の機能的ニューロンへの変換は、5×FADマウスの脳において反応性星状細胞の数および星状細胞の過活性状態を低減させることによって、脳に利益をもたらすことができると仮定した。ここでsは、発明者らの研究が、反応性星状細胞におけるNeuroD1の過剰発現が、5×FADの脳における反応性星状細胞を機能的成熟ニューロンに効率的に変換することができることを示している。この大発見で先端の技術が、ADの潜在的な治療方法として適用され得るかどうかを調査するために、NeuroD1によって誘導されるインビボ直接細胞変換後の有益な効果をさらに検査する。際だったことに、注射コア領域付近の反応性星状細胞に対するいくつかの有益な効果が、注射の60日後に観察された(ここでは、早い時点(約60DPI)で観察することができる有益な効果を、短期的な有益な効果として定義した)(
図2Aおよび
図2B)。まず、NeuroD1の過剰発現によって過剰な反応性星状細胞が成熟ニューロンに変換されたため、反応性星状細胞の数は、NeuroD1群において減少した(
図2Cおよび2D:GFP対照群におけるGFAP+細胞数:45.5±1.0、NeuroD1群におけるGFAP+細胞数:30.3±1.1、N=8、p<0.001)。次に、NeuroD1群における残りの反応性星状細胞は、細胞体の拡大が少なく、より薄い突起の形態を示し、GFP対照群と比較した場合、反応性星状細胞の過活性状態が改善されたことを示した(
図2C~
図2F:GFP対照群におけるGFAP+のカバー区域のパーセンテージ:21.0±1.9、NeuroD1群におけるGFAP+がカバー区域のパーセンテージ:6.4±1.1、N=8、p<0.001。GFP対照群におけるGFAP+強度:57.2±4.8、NeuroD1群におけるGFAP+強度:18.3±3.2、N=8、p<0.001)。
【0144】
NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの脳におけるニューロンプールを補充することができる
過剰な反応性星状細胞が劇的に低減したという知見とともに、NeuroD1媒介の細胞変換群におけるニューロンの有意な増加も観察した。ここでは、NeuroD1介入後のいくつかの異なる時点(30dpi、60dpi、90dpi、データは示さず)を慎重に検査し、60dpiまで、広いニューロン誘導が観察され得ることを見出した。5×FADマウスは、早ければ1.5ヶ月に細胞内β-アミロイド産生を開始し、2ヶ月齢で細胞外アミロイドプラークを形成し始めた。6ヶ月齢までに、アミロイドプラークの重い負荷が5×FADマウスの脳の皮質全体に沈着し、徐々にニューロン損失をもたらした。NeuroD1群は、GFP対照群と比較した場合に、処置された脳領域におけるニューロンの数の有意な増加を示す(
図3Bおよび
図3C)。したがって、病理学的状態における異常なニューロンおよび星状細胞比は、NeuroD1介入後に逆転した(
図3D)。発明者らの戦略は、過剰な反応性星状細胞を変換することによってニューロンプールを補充し、これは、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の別の有益な特徴である。
【0145】
GABA作動性ニューロンは、5×FADの皮質においてのNeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換によって生成され得る
複数の証拠は、ADの発症の間のGABA作動性ニューロンの損失(Schmid et al.,Neuron,92:114-125(2016)、およびVerret et al.,Cell,149:708-721(2012))、ならびにGABAの合成(Limon et al.,PNAS,109:10071-10076(2012))および輸送(Wu et al.,Nature Comm.,5:4159(2014))の変化を含む、ADの脳においてGABA作動性系が激しく変化することを示唆している。したがって、発明者らの戦略がADマウスの脳において適正なGABA作動性ニューロンも再生することができるかどうかを疑問視した。この懸念に対処するために、成熟ニューロンマーカーのNeuNおよびGABA作動性マーカーのGABAの共免疫染色を実施した(
図4A)。興味深いことに、現存のGABA作動性ニューロン(
図4B、矢印、GABA+およびNeuN+細胞)に加えて、変換されたニューロンの群(
図4B、矢印ヘッド、GFP+、GABA+およびNeuN+細胞)も、残りのGABA作動性ニューロンの細胞体におけるGABAレベルと比較して、細胞体における同様のレベルのGABAを発現する(GABA免疫蛍光によって示される)。変換されたニューロンのうちのいくつかがGABA作動性であることをさらに検証するために、GABA作動性マーカーのGAD67を適用し、いくつかの変換されたニューロンがGAD67免疫陽性であることを見出した。この観察は、NeuroD1が、5×FADマウスの皮質における星状細胞をGABA作動性ニューロンに変換することができることを示している。変換されたニューロンのうち、18.5%±2.1%がGABA+ニューロンであり、これは、非病理学的マウスの脳における総皮質ニューロンにおけるGABA作動性ニューロンの割合と同様である。したがって、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADの皮質領域における適正な数のGABA作動性ニューロンを再生して、GABA作動性ニューロンプールを補充することができる。
【0146】
NeuroD1処置された5×FADは、脳における異常な凝集が少ない
GFP対照群とNeuroD1媒介の変換群との間の星状細胞およびニューロンの変化の比較中に、5×FADマウスの皮質における定位注射の60日後に、GFP対照群の内側に大量の異常なGFP標識大凝集体(カラーで見た場合、緑色に染色)を予期せず発見した(
図5)。しかしながら、この現象は、NeuroD1群において大幅に低減された。この新規の知見は、NeuroD1処置されたADの脳におけるより健康な局所環境を示唆する。異常なGFP凝集体の供給源は、ADの病理学的状態においてGFP感染細胞の破片、またはADの病理学の進行中にGFP破片を取り込む他の細胞である可能性があり、さらなる同定が必要である。
【0147】
新たに変換されたニューロンは、5×FADの皮質における細胞内Aβ負荷が少ない
上記の興味深い観察によれば、NeuroD1によって媒介される細胞変換は、異常な反応性星状細胞を低減させ、ニューロンを補充し、したがって、星状細胞とニューロン細胞との間の正常な通信を再構築することによって、より健康な環境を脳に提供し得るとさらに仮定する。以前の研究では、反応性星状細胞(Gonzalez-Reyes et al.,Front.Molec.Neurosci.,10:427(2017))および活性化ミクログリア(Venegas et al.,Nature,552:355-361(2017))は、AD、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および多発性硬化症を含む多くの神経変性疾患におけるアミロイド毒性の進行において重要な役割を果たしていることも報告されている(Liddelow et al.,Nature,541:481-487(2017))。一方で、アミロイドβの存在は、細胞内シグナル伝達経路および星状細胞の正常な機能を妨げる。一方、反応性星状細胞は、アミロイド前駆体タンパク質、βセクレターゼ(BACE1)、およびγセクレターゼを含む、Aβ産生に必要な3つの成分のレベルが増加している(Frost and Li,Open Biol.,7(2017))。次に、反応性星状細胞をニューロンにリプログラミングする発明者らの戦略が、5×FADマウスの脳におけるアミロイド産生および進行に影響を及ぼし得るかどうかを調査した。Aβが細胞外に沈着していることはよく認識されており、このペプチドがニューロン内にも蓄積する可能性があり(LaFerla et al.,Nature Rev.Neurosci.,8:499-509(2007))、かつシナプス機能障害およびニューロン損失を含む疾患進行を促進する可能性がある(Bayer and Wirths,Front.Aging Neurosci.,2:8(2010))ことを示す証拠が増えてきている。この質問に答えるために、さらに、ニューロンマーカーのNeuNおよびβ-アミロイド(Aβ42)の共免疫染色によって細胞内Aβ負荷を検査した。各脳試料の感染コアにおけるすべてのニューロンの細胞内Aβレベルを注意深く測定し、分析した。驚くべきことに、NeuroD1変換された新規ニューロンにおいては、最小レベルの細胞内Aβ42のみが検出され、一方、GFP対照群における既存のニューロンは、大量の細胞内Aβ42を含有する(
図6Aおよび
図6D、GFP対照群における3匹の5×FADマウス由来のニューロンの数=662、NeuroD1群における3匹の5×FADマウス由来のニューロンの数=1357、60DPI)。さらに、NeuroD1処置された群において、既存のニューロンにおける細胞内Aβ42レベルも低減された(
図6Aおよび
図6E、GFP群の感染コアにおけるすべての既存のニューロンにおける細胞内Aβ42強度:43.1±0.7、GFP対照群における3匹の5×FADマウス由来の分析された既存のニューロンの数=662)。NeuroD1群の感染コアにおけるすべての既存のニューロンにおける細胞内Aβ42強度:24.2±0.1、NeuroD1群における3匹の5×FADマウス由来の分析された既存のニューロンの数=714。NeuroD1群の感染コアにおいてすべての変換されたニューロンの細胞内Aβ42強度:27.0±0.2、NeuroD1群における3匹の5×FADマウス由来の分析された変換されたニューロンの数=643)、反応性星状細胞を減少させることは、β-アミロイドの病理学的進行を逆転させるか、または少なくとも遅延させることができることを示唆している。
【0148】
NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの皮質における炎症促進性ミクログリアを低減する
豊富なアミロイド沈着物および過剰な反応性星状細胞に加えて、アルツハイマー病の脳はまた、炎症応答によって特徴付けられる。この免疫応答は、ADの病理学的進行に密接に関与する脳の固有の骨髄細胞(ミクログリア)によって主に駆動される。アミロイドβは、二次刺激に対してより感受性にすることによってミクログリアをプライミングし、それらの活性化を促進することができる。ミクログリアに対するそのようなプライミング効果は、これらの細胞を介して炎症促進性ケモカインおよびサイトカインの一定の産生をもたらし、これはさらに、病因の加速および疾患の進行の悪化をもたらす。さらに、これらの増加したサイトカインは、ADの病理学的進行中のプライミングされたミクログリアの反応状態の維持に寄与する(Heppner et al.,Nature Rev.Neurosci.,16:358-372(2015))。したがって、まず、一般的なミクログリアマーカーのIba1(
図7A、カラーで見た場合、灰色に染色)および炎症促進性ミクログリア亜型マーカーのiNOS(
図7A、カラーで見た場合、赤色に染色)を共免疫染色することによって、NeuroD1媒介の直接細胞変換が、5×FADの皮質における免疫応答に対して任意の有益な効果を有するかどうかを試験した。ミクログリア(
図7A、Iba1+細胞、カラーで見た場合、灰色に染色)は、両群において同様の強度のままであり、一方で、NeuroD1群においては、ミクログリアの活性状態(活性化されたミクログリアは、典型的には、細胞体の異常な拡大およびより厚い突起を示す)は、有意な統計学的差異ではないと結論付けられ得るが、僅かに低減された。しかしながら、炎症促進性ミクログリア亜型マーカーであるiNOSの免疫蛍光は、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換後にほぼ低減され、ADマウスの脳におけるNeuroD1処置下で炎症促進性応答が緩和されることを示唆している。
【0149】
炎症促進性サイトカインIL-1βは、5×FADの皮質におけるNeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換後に下方調節された
近年、インビトロ(van Gijsel-Bonnello et al.,PloS One,12:e0175369(2017))およびインビボ(Medeiros and LaFerla,Exp.Neurol.,239:133-138(2013)、Stamouli and Politis,Psychiatrike Psychiatriki,27:264-275(2016))の証拠の蓄積は、インターロイキン1β(IL-1β)、インターロイキン6(IL-6)、インターフェロンγ(IFN-γ)、および腫瘍壊死因子(TNF)を含む炎症促進性サイトカインのレベルの増加が、ADの病理学的進行において役割を果たしているという概念を支持した。かかる炎症促進性サイトカインのレベルの増加は、アミロイドベータの食作用を一時停止させることによってADの脳を妨げる(Stamouli and Politis,Psychiatrike Psychiatriki,27:264-275(2016))。複数の炎症促進性サイトカインの中でも、インターロイキンがADにおける星状細胞、ニューロンおよびミクログリア間の複雑な細胞間相互作用に密接に関与しているため、特にIL-1βに興味があった。増強されたインターロイキンレベルは、ミクログリアによるアミロイドプラークの除去の有効性に影響を与え、アストログリオーシスおよび神経死を増加させる。さらに、インターロイキンは、ADの病理学の炎症性カスケードの特徴の促進に必要な細胞内シグナル伝達事象を調節する(Stamouli and Politis,Psychiatrike Psychiatriki,27:264-275(2016))。5×FADマウスの脳におけるNeuroD1媒介の変換後の炎症促進性応答に関する有益な効果を研究するために、注射の60日後に反応性星状細胞マーカー(GFAP)およびインターロイキン-1β(IL-1β)の共免疫染色を行うことによって、炎症促進性変化を検査する。驚くべきことに、反応性星状細胞(GFAP+細胞、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)がほとんど低減したという以前の知見と並行して(
図8Aおよび
図8B)、インターロイキン-1βレベルの顕著な減少(カラーで見た場合、赤色に染色、GFP対照群におけるIL-1β強度:62.7±5.0、NeuroD1群におけるIL-1β強度:24.3±2.8)はまた、5×FADマウスの皮質の処置領域において、NeuroD1媒介の細胞変換後の反応性星状細胞の内側でも観察された。まとめると、NeuroD1媒介の細胞変換は、5×FADマウスの脳におけるAβ負荷の低減の基礎にある潜在的なメカニズムであり得る炎症促進性サイトカインIL-1βを低減することによって、ADの脳に利益をもたらす。
【0150】
NeuroD1変換されたニューロンは、5×FADマウスの脳において8ヶ月超生存した
本明細書に記載されるように、反応性星状細胞におけるNeuroD1過剰発現は、機能的ニューロンへの効率的な変換を達成し、細胞内Aβ負荷を減少させ、注射の2ヶ月後までに5×FADの脳における炎症促進性応答を改善し得る。さらに、変換されたニューロンが長期間後に5×FADマウスの脳で生存できるかどうか、および長期間にどのような対応する有益な効果が観察され得るかを疑問視した。質問に答えるために、AAV9-CAG-GFPと混合したAAV9-GFAP-Creまたは24AAV9-CAG-NeuroD1-P2A-GFPと混合したAAV9-GFAP-Creのいずれかの皮質領域(座標:L/R:±1.4、A/P:1.3、DV:-1.0)へのインサイチュ送達を、定位注射を介して適用した。脳試料は、さらなる調査のために約8ヶ月後に収集された。免疫蛍光分析により、NeuroD1変換されたニューロンは、注射の8ヶ月後で依然として生存し得ることが示された。変換されたニューロンは、複数の神経突起を有する健康なニューロン形態を有し(
図9Cおよび
図9D、カラーで見た場合、緑色に染色)、NeuroD1の高い発現レベルを維持した(
図9C、カラーで見た場合、赤色に染色)(
図9D、カラーで見た場合、マゼンタ色に染色)。対照的に、注射の8ヶ月後にGFP凝集体の大きな負荷が、GFP対照群において観察された。この長期的な処置群において、異常なGFP凝集体が2つの潜在的な供給源:(1)細胞の内側でのCre毒性の一定の蓄積に起因する、死んだ感染した星状細胞の破片、および/または(2)GFP対照群における漏出したニューロンの萎縮神経突起からくるものか疑った。Creは、GFAPプロモーターの下(反応性星状細胞の内側)でのみ過剰発現されると考えられている。しかしながら、注射後の長期間に、Creは、死んだ星状細胞から周囲領域に放出され、結果として周囲のニューロンに取り込まれる可能性がある。したがって、GFP対照群における既存のニューロンのうちのいくつかは、GFP発現も有する可能性がある。しかしながら、それらは、免疫染色データによって支持されるNeuroD1の過剰発現を得られない(
図9Cおよび
図9D)。ADの病理学的状態におけるNeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の長期的な有益な効果に興味があるため、このCre-loxP系における微妙に漏出した標識化問題の代わりに、ニューロンおよび病理学的マーカーの変化の検査および比較に焦点を当てた。
【0151】
5×FADの皮質における軸索、樹状突起およびシナプスに対するNeuroD1媒介の細胞変換の長期的な効果
ADの脳において、シナプスは尊いものであり、ADの病理学的進行中に徐々に低減した。ニューロン神経突起およびシナプスの喪失は、ADおよび認知症における学習および記憶の障害をもたらす(Mitew et al.,Neurobiol.Aging,34:2341-2351(2013)、およびPalop and Mucke,Nat.Neurosci.,13:812-818(2010))。ADにおけるこの症状は、3つの主な原因で説明され得る。(1)正常な星状細胞は、ニューロンの生存および増殖を促進し、シナプスの形成および機能を促進し、シナプスおよびミエリン破片の除去を助ける(Liddelow et al.,Nature,541:481-487(2017))。しかしながら、ADの背景にある機能障害の反応性星状細胞は、この細胞間調節を中断し、シナプスの形成および維持を妨げる可能性がある。(2)ミクログリアは、ほとんどの組織マクロファージのように、シナプスを保護および再構築することによって、CNSの恒常性および可塑性を支持することができる。さらに、正常な機能的ミクログリアによって合成される脳由来神経栄養因子(BDNF)は、学習関連のシナプス形成を促進するためにも重要である(Prinz and Priller,Nature Rev.Neurosci.,15:300-312(2014))。以前の研究では、BDNFなどの神経栄養因子の欠乏は、シナプス喪失をもたらし、シナプス機能を途絶するニューロンの完全性を著しく損なう可能性があることを報告している(Parkhurst et al.,Cell,155:1596-1609(2013))。(3)他のカスケード分子またはタンパク質、例えば、シナプスに局在するC1qおよびC3は、シナプス排除を調節し得る(Hong et al.,Science,352:712-716(2016))。しかしながら、この機能はADの状態において中断される。NeuroD1媒介の変換が、5×FADの脳における適正なニューロンの神経突起およびシナプスを維持するために長期的に有益な効果を有するかどうかを研究するために、ここで、インビボ介入の8ヶ月後に免疫染色によって軸索、樹状突起、およびシナプス密度の変化を検査した。特に、シナプス変化の検査のために、全体的なシナプスマーカーとしてシナプトフィシン、および興奮性シナプスマーカーとしてvGluT1を試験した。軸索は、ニューロフィラメント200(NF200、
図10A、カラーで見た場合、サファイア色に染色)によって標識されるが、樹状突起は、微小管関連タンパク質2(MAP2、
図10B、カラーで見た場合、サファイア色に染色)免疫陽性である。Aβ凝集体を、チオフラビン-s染色によって明らかにした(
図10Aおよび
図10B、カラーで見た場合、青色に染色)。全体的なシナプスマーカーのシナプトフィシンの強度の有意な増加が観察された(
図10A、カラーで見た場合、赤色に染色)。シナプトフィシンの増加した強度に従って、興奮性シナプスマーカーのvGluT1(
図10B、カラーで見た場合、赤色に染色)はまた、NeuroD1処置後にかなり増強された強度を示した。また、5×FADマウスが6ヶ月齢のとき(注射の2ヶ月後)、軸索、樹状突起、およびシナプスの変化を調査した。しかしながら、GFP対照群とNeuroD1群との間に有意差は観察されなかった。考えられる理由の1つは、神経変性およびシナプス損失が、5×FADマウスがまだADの病理学的進行の初期段階または中間段階である場合はそれほど重度ではないことである。これらの有益な効果は、5×FADマウスを大幅により長い時間処置した場合に拡大され、それらがより多くのニューロンおよびシナプスの損失を含む重度な症状を発症するADの病理学的進行の後期段階で検査された。まとめると、これらのデータは、NeuroD1媒介の細胞変換が、(1)より健康な脳環境に起因する既存のニューロンのシナプスを維持および保存すること、ならびに(2)変換によってより多くの新たなニューロンが生成されるときに新たなシナプスを増加させることによって、シナプス密度を増加させることを示している。NF200およびMAP2の強度もまた、NeuroD1群において増強され、これは、軸索および樹状突起の両方が、NeuroD1処置後に増加したことを示唆している。したがって、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の発明者らの治療戦略は、脳におけるニューロンの完全性をより良好に維持するための適正な軸索、樹状突起、およびシナプスの維持、保護、および生成において有益で支持的な役割を果たし、AD患者の潜在的な療法として役立ち得る。
【0152】
本明細書で実証されるように、本明細書に記載の方法および材料を使用して作製された新たなニューロンは、神経学的状態の破壊的CNS環境(例えば、ADの脳の破壊的環境)に耐える特性を有するニューロンであり得る。さらに、本明細書に記載の方法および材料を使用して、神経学的状態(例えば、AD)を有する哺乳動物の脳内のニューロンおよび/または星状細胞の恒常性を再建し得る。
【0153】
NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換は、5×FADマウスの皮質における血管形態を保護する
初期の研究は、ADの病因が、Aβの蓄積および沈着、神経変性、ミクログリアおよび星状細胞の活性化、ならびに重要なことに、血管の退縮および変性で特徴付けられることを明らかにした。血管壁におけるAβ沈着は、脳アミロイド血管障害としても知られている(Jaunmuktane et al.,Nature,525:247-250(2015))。血管の周りを囲む蓄積されたアミロイド-βの毒性は、神経血管ユニットに対して有害な影響を示し、内皮細胞および周皮細胞の変性を介して血管の完全性および機能障害をもたらした(Busch et al.,Cell.Physiol.Biochem.Int.J.Exp.Cell.Physiol.Biochem.Pharmacol.,30:1436-1443(2012))。さらに、別の研究は、正常な星状細胞は、血管平滑筋細胞および周皮細胞とともに、血管の直径、血流、および神経血管の可塑性の調節に重要な役割を果たすものであることを報告した(Kimbrough et al.,J.Neurol.,138:3716-3733(2015))。したがって、ADの脳においては、肥大した反応性星状細胞およびアミロイドプラークの蓄積が血管周囲を囲み、酸化誘導性炎症が血管の形態的途絶および血管応答不良をもたらす(Marchesi,FASEB J.,25:5-13(2011))。NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換による反応性星状細胞の低減が、血管の完全性に対する障害を緩和し得るかどうかを調査するために、NeuroD1またはGFP対照介入の8ヶ月後で、5×FADの脳試料上での血管マーカーのリンパ球抗原6複合体(Ly6C)および反応性星状細胞末端足マーカーのアクアポリン4(AQP4)の共免疫染色によって血管の完全性を検査した(
図11)。驚くべきことに、GFP対照群におけるより短いLy6c+およびAQP4+セグメントとは対照的に、NeuroD1群は、大幅により長いLy6c+およびAQP4+セグメントを示し、血管の完全性がNeuroD1群においてより良好に保存されることを示唆した(
図11)。まとめると、本明細書で提供される結果は、血管完全性におけるNeuroD1媒介の細胞変換の保護的役割を実証している。野生型の完全なままのマウスの脳も対照として検査した。
【0154】
実施例2-NeuroD1 AAV-PHP.eBの複数回の頭蓋内注射によるADマウスの脳の全体的な感染
マウスの脳におけるニューロン変換のために星状細胞を全体的に標的化するために、AAV-GFAP::Cre FLEX系(
図12Aおよび
図12B)および複数回の頭蓋内注射(
図12Cおよび
図12D)をこの研究において適用した。マウスの脳においてNeuroD1およびGFP(対照)を異所的に発現させるためにAAV-PHP.eBを選択した。FLEX GFPおよびNeuroD1 AAV-PHP.eBをGFAP::Creトランスジェニックマウスの脳内に注射した。注射の15日後(dpi)、マウスの脳を組織学的分析のためにスライスした。注射された領域の周囲の矢状切片および冠状切片の免疫組織化学的分析は、GFP陽性細胞が、GFPおよびNeuroD1-GFP注射されたマウスの脳の両方において広い区域で検出可能であることを示した。これらの結果は、AAV-PHP.eBの複数回の頭蓋内注射が、マウスの脳を介して広範な感染を達成することを示す。
【0155】
GFAP::Creトランスジェニックマウスの脳における全体的な星状細胞からニューロンへの変換
NeuroD1が全体的に星状細胞をニューロンに変換できるかどうかを試験するために、免疫染色によってマウスの脳の種々の区域を検査した。GFP陽性細胞のほぼすべてが、GFP処置されたマウスにおいて星状細胞マーカーのS100βを用いて共標識されたことを見出した(
図13A)。興味深いことに、皮質区域、海馬、鉤状回、および中脳を含む、NeuroD1処置されたマウスの脳において、ニューロンマーカーのNeuNを用いて共標識された多数のGFP陽性細胞を観察した(
図13B)。
【0156】
対照の脳とNeuroD1処置マウスの脳との間のGFP陽性細胞の異なる形態を直接示すために、高倍率画像を1枚ずつ示した。NeuroD1群におけるGFP陽性細胞の大部分は典型的なニューロン形態を示したが、対照群におけるGFP陽性細胞は典型的な星状細胞形態を示した(
図14A)。さらに、変換されたニューロンにおいてNeuroD1が過剰発現されていることも検出した(
図14B)。これらの結果は、GFAP::Cre FLEX系が星状細胞を特異的に標的化し、AAV-PHP.eB NeuroD1の複数回の頭蓋内注射は、マウスの脳にわたる広範な星状細胞からニューロンへの変換を達成することを示す。
【0157】
5×FADトランスジェニックマウスの脳における全体的な星状細胞からニューロンへの変換
ADマウスの脳における全体的な変換を達成するために、全体的な変換系を5×FADマウスの脳に適用した。AAV-PHP.eB GFAP::CreウイルスをFLEX NeuroD1-P2A-GFPとともに13ヶ月齢の5×FADマウスの脳に共注入し、変換分析のために1ヶ月後にマウスを屠殺した(
図15A)。広範なAβプラークを、チオフラビン-S染色(カラーで見た場合、青色に染色、
図15B)によって検出した。興味深いことに、脳のほぼ全区域がGFPによってカバーされ(
図15B)、これは、5×FADマウスの脳において、AAV-PHP.eBの感染効率がかなり高かったことを示す。5×FADマウスの脳における星状細胞からニューロンへの変換を検査するために、GFPおよびNeuN免疫染色を用いた。多くのGFP陽性細胞を、種々の脳区域を介してNeuNと共局在化した(
図15C)。これらのデータは、全体的な星状細胞からニューロンへの変換が、5×FADマウスモデルの脳においても機能することを実証している。加えて、本明細書で提示される結果は、新たなニューロンおよび新たな星状細胞が恒常性に達していることを実証している。
【0158】
脳は非常に複雑でありながら組織化された臓器であり、ニューロンの異なる亜型は、脳におけるその特定の位置を有している。例えば、層およびニューロン亜型特異性は、大脳皮質内で同定されている。全体的な変換が大脳皮質における正しい場所において正しいニューロンを生成できるかどうかを検査するために、全体的な変換後に典型的な皮質マーカーのTbr1発現パターンを調査した。Tbr1は、皮質層II/IIIおよびVIニューロンで高度に発現される。興味深いことに、Tbr1が、大脳皮質の深い層に位置するNeuroD1変換されたニューロンで発現していたことも見出された(
図16Aおよび
図16B)。これらの結果は、全体的な変換が、正しい位置において皮質ニューロンの特異的亜型を生成することができることを示唆している。
【0159】
実施例3-NeuroD1 AAVの後眼窩注射による星状細胞のニューロンへの全体的な変換
最近発見されたAAVの血清型であるAAV.PHP.eB(Chan et al.,Nat.Neurosci.,20(8):1172-1179(2017))を使用することによって、静脈内注射によって、血液脳関門(BBB)を横断してマウスの脳を効率的に形質導入することができる。まず、GFAPプロモーター駆動型GFPプラスミドでAAV.PHP.eBをパッケージ化した。後眼窩注射の17日後に、マウスの脳をGFP蛍光によって広く標識化した(
図17A)。星状細胞マーカーであるS100βでの共免疫染色は、皮質、線条体、および海馬領域において、GFPの非常に特異的な発現を示した。
【0160】
次に、Cre-FLEX系でAAV.PHP.eBウイルスをパッケージ化し、目的の遺伝子のより高い発現を達成しようとした。まず、GFAP::CreおよびFLEX-GFPウイルスを用いてAAV.PHP.eBを作製した。この組み合わせの後眼窩注射もまた、脳における広範囲の感染および強力な発現を示した(
図18A)。種々の脳領域における多くのGFP陽性細胞は、星状細胞形態およびGFAPシグナルを示したが、それらのうちのいくつかはまた、ニューロン形態およびNeuNとの共局在化を示した(
図18B)。
【0161】
また、Cre-FLEX-NeuroD1系をAAV.PHP.eBウイルスに組み込んだ。GFAP::CreおよびFLEX-NeuroD1-GFPウイルスとともにAAV.PHP.eBを後眼窩注射した後、GFPおよびNeuroD1シグナルの両方が、脳の種々の領域において検出された(
図19)。興味深いことに、GFPおよびNeuroD1シグナルの多くは、ニューロンマーカーのNeuNと共局在化され、AAV.PHP.eBウイルスの静脈内注射を介して全身的な感染および星状細胞からニューロンへの変換を達成することができることを示唆している。これらの結果は、NeuroD1を星状細胞に送達する非侵襲的療法を使用して、ADおよび大規模脳卒中などの多くの神経変性疾患においてニューロンを全球的に再生することができることを実証している。
【0162】
図20は、脳内(
図21A~21B)、脳の種々の領域(
図24)、および脊髄(
図22)のGFP染色によって確認されるように、星状細胞の全体的な標的化のためのウイルス(例えば、AAV.PHP.eB-CAG::Flex-GFP)の後眼窩(r.o.)注射を実証している。他の臓器においては、明らかなGFPシグナルは検出されなかった(
図23)。
【0163】
NeuroD1を発現するように設計されたウイルス(AAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP、約2.0×10
10ゲノムコピー/マウス)を後眼窩注射を介して注射した場合、星状細胞は大脳内でニューロンに変換されたが、脊髄においては、変換が生じるのにより長い時間がかかるようである(
図25Aおよび
図25B)。この星状細胞のニューロンへの全体的な変換は、脳の種々の領域において種々の効率でも観察された(
図26および27)。
【0164】
ADの動物モデルにおいて、NeuroD1を発現するように設計されたウイルス(AAV.PHP.eb-CAG::Flex-ND1-P2A-GFP、約2.0×10
10ゲノムコピー/マウス)の後眼窩注射は、成功裏に記憶を改善した(
図28)。特に、NeuroD1を発現するように設計されたウイルスの後眼窩注射は、Y迷路記憶評価アッセイを使用して評価されるように(
図29A、
図29Bおよび
図30)、臭気習慣化アッセイを使用して評価されるように(
図31)、恐怖条件付け記憶試験を使用して評価されるように(
図32)、ならびに空間学習および記憶を評価するためにモリス水迷路を使用して評価されるように(
図33および
図34A~
図34D)、記憶の改善をもたらした。
【0165】
これらの結果は、AAV PHP.eb後眼窩注射が、ニューロンへの変換のために全体的に星状細胞を標的とするための良い方法であることを実証している。これらの結果はまた、NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の効率が、種々の脳領域において異なること、ならびに皮質および海馬の星状細胞が、NeuroD1によって高効率でニューロンに変換され得ることを実証している。さらに、これらの結果は、星状細胞のニューロンへの全体的な変換が、ADのマウスモデル(すなわち、5×FADマウス)における学習および記憶性能を改善することができることを実証している。
【0166】
神経幹細胞の移植によってアルツハイマーの脳全体において数十億の新たなニューロンを産生するのは非常に困難であり、それはアルツハイマーの脳の内側で数十億のニューロンを全体的に再生する代替的な方法を発明することを促した。本明細書に記載されるように、AAV PHP.ebウイルスの後眼窩注射によって5×FADマウスの脳におけるインサイチュニューロン変換のために星状細胞を全体的に標的化することができる遺伝子治療戦略を開発した。NeuroD1がこれらの星状細胞で過剰発現された場合、種々の脳領域において、特に皮質および海馬において多数の変換されたニューロンを発見した。これまで、5×FADマウスの脳における全体的な星状細胞からニューロンへの変換を通じて、いくつかの興味深い知見を結論付けた。5×FAD+/-/Cre77.6+/-バイジェニックマウスにAAV PHP.ebウイルスを後眼窩注射した後、レポーター遺伝子のGFPが種々の脳および脊髄領域全体にわたる星状細胞において広く発現されていることを見出した。AAV PHP.eb-CAG::Flex-NeuroD1-P2A-GFP注射の30日後、5×FADマウスの脳において多くのGFP陽性の変換されたニューロンを観察した。NeuroD1媒介の星状細胞からニューロンへの変換の効率は、5×FADマウスの脳における大脳皮質、梨状皮質、および海馬において約70~90パーセントである。
【0167】
5×FAD+/-/Cre77.6+/-バイジェニックマウスを、6ヶ月齢でGFPまたはNeuroD1-GFPで処置した。次いで、8ヶ月齢(AAV PHP.eb注射の2ヶ月後)に一連の行動試験を実施し、Y迷路アッセイ、恐怖条件付け記憶、臭気習慣化、およびMorris水迷路によって評価されるように、全体的な星状細胞からニューロンへの変換が5×FADマウスにおける学習および記憶性能を有意に改善することを見出した。
【0168】
NeuroD1処置がADマウスにおける認知機能の改善を示した後、さらに、NeuroD1変換されたニューロンを阻害する実験を設計し、記憶の増強がそれに応じて低減するかどうかを検査した。この目的のために、変換されたニューロンがhM4Diを発現するように、NeuroD1とともに阻害性受容体のhM4Diを発現することによる化学遺伝学的方法を用いた。NeuroD1処置がADマウスにおける恐怖条件付け記憶を増強したことを確認した後、NeuroD1変換されたニューロンが発火活動電位から阻害されるように、CNOを適用して、hM4Di受容体を活性化させた。興味深いことに、CNOがNeuroD1変換されたニューロンを沈黙させた後、記憶増強が廃止されたことを見出した(
図35A~
図35D)。これらの結果は、さらにNeuroD1変換されたニューロンがADマウスにおける記憶増強に寄与したことがさらに実証している。
【0169】
実施例4-追加の実施形態
実施形態1.脳における神経学的障害を有する哺乳動物を治療するための方法であって、上述の方法が、神経原性分化1(NeuroD1)ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、上述の哺乳動物の脳に投与することを含む、方法。
【0170】
実施形態2.上述の哺乳動物が、ヒトである、実施形態1に記載の方法。
【0171】
実施形態3.上述の神経学的障害が、アルツハイマー病である、実施形態1に記載の方法。
【0172】
実施形態4.上述の投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む発現ベクターを、脳に送達することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0173】
実施形態5.上述の投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを、脳に送達することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0174】
実施形態6.上述の投与する工程が、NeuroD1をコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを、脳に送達することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0175】
実施形態7.アデノ随伴ウイルスが、AAV.PHP.eBである、実施形態6に記載の方法。
【0176】
実施形態8.上述の投与する工程が、NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み、NeuroD1タンパク質をコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態9.上述の投与する工程が、定位頭蓋内注射を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態10.上述の投与する工程が、2回以上の定位頭蓋内注射を含む、実施形態9に記載の方法。
【0179】
実施形態11.上述の投与する工程が、頭蓋外注射を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
実施形態12.上述の投与する工程が、2回以上の頭蓋外注射を含む、実施形態11に記載の方法。
【0181】
実施形態13.上述の投与する工程が、後眼窩注射を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
実施形態14.アルツハイマー病を有する哺乳動物を治療する方法であって、上述の方法が、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする核酸を含むアデノ随伴ウイルス粒子を含有する薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を、上述の哺乳動物の脳に投与することを含む、方法。
【0183】
実施形態15.薬学的組成物が、1010~1014個のアデノ随伴ウイルス粒子/mLの担体の濃度でアデノ随伴ウイルス粒子を含有する約1μL~約500μLの薬学的に許容される担体を含む、実施形態14に記載の方法。
【0184】
実施形態16.薬学的組成物が、約0.1μL/分~約5μL/分の制御された流速で上述の哺乳動物の脳に注射される、実施形態14または15に記載の方法。
【0185】
実施形態17.アルツハイマー病を有し、かつ(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化を低減させること、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集を低減させること、(3)神経炎症を低減させること、(4)インターロイキン1β(IL-1β)を低減させること、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンを生成すること、(6)GABA作動性ニューロンの生存を増加させること、(7)新たな非反応性星状細胞を生成すること、(8)反応性星状細胞の数を低減させること、または(9)記憶を改善することを必要とする哺乳動物内で、上述の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)を行うための方法であって、上述の方法が、NeuroD1ポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片をコードする外因性核酸を含む組成物を、上述の哺乳動物に投与することを含み、上述の(1)高リン酸化タウタンパク質の神経原線維変化が低減されるか、(2)細胞外アミロイドプラークの凝集が低減されるか、(3)神経炎症が低減されるか、(4)インターロイキン1β(IL-1β)が低減されるか、(5)新たなグルタミン酸作動性ニューロンが生成されるか、(6)GABA作動性ニューロンの生存が増加されるか、(7)新たな非反応性星状細胞が生成されるか、(8)反応性星状細胞の数が低減されるか、または(9)上述の記憶が改善される、方法。
【0186】
実施形態18.上述の哺乳動物が、ヒトである、実施形態17に記載の方法。
【0187】
実施形態19.上述の投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを送達することを含む、実施形態17または18に記載の方法。
【0188】
実施形態20.上述の投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えウイルス発現ベクターを送達することを含む、実施形態17~19のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態21.上述の投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターを送達することを含む、実施形態17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態22.上述の組換えアデノ随伴ウイルス発現ベクターが、AAV.PHP.eB発現ベクターである、実施形態21に記載の方法。
【0191】
実施形態23.上述の投与する工程が、NeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを投与することを含み、上述のNeuroD1ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号2またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号4またはその機能的断片をコードする核酸配列、配列番号1またはその機能的断片、配列番号3またはその機能的断片、および配列番号2もしくは配列番号4またはそれらの機能的断片と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む、実施形態17~22のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
実施形態24.上述の投与する工程が、定位頭蓋内注射を含む、実施形態17~23のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
実施形態25.上述の投与する工程が、2回以上の定位頭蓋内注射を含む、実施形態24に記載の方法。
【0194】
実施形態26.上述の投与する工程が、頭蓋外注射を含む、実施形態17~23のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
実施形態27.上述の投与する工程が、2回以上の頭蓋外注射を含む、実施形態26に記載の方法。
【0196】
実施形態28.上述の投与する工程が、後眼窩注射を含む、実施形態17~23のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
配列
配列番号1-ヒトNeuroD1タンパク質をコードするヒトNeuroD1核酸配列-1071ヌクレオチド、終止コドンを含む
ATGACCAAATCGTACAGCGAGAGTGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCTCCAAGCTGGACAGACGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAGCACGAGGCAGACAAGAAGGAGGACGACCTCGAAGCCATGAACGCAGAGGAGGACTCACTGAGGAACGGGGGAGAGGAGGAGGACGAAGATGAGGACCTGGAAGAGGAGGAAGAAGAGGAAGAGGAGGATGACGATCAAAAGCCCAAGAGACGCGGCCCCAAAAAGAAGAAGATGACTAAGGCTCGCCTGGAGCGTTTTAAATTGAGACGCATGAAGGCTAACGCCCGGGAGCGGAACCGCATGCACGGACTGAACGCGGCGCTAGACAACCTGCGCAAGGTGGTGCCTTGCTATTCTAAGACGCAGAAGCTGTCCAAAATCGAGACTCTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCGGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCAGACCTGGTCTCCTTCGTTCAGACGCTTTGCAAGGGCTTATCCCAACCCACCACCAACCTGGTTGCGGGCTGCCTGCAACTCAATCCTCGGACTTTTCTGCCTGAGCAGAACCAGGACATGCCCCCCCACCTGCCGACGGCCAGCGCTTCCTTCCCTGTACACCCCTACTCCTACCAGTCGCCTGGGCTGCCCAGTCCGCCTTACGGTACCATGGACAGCTCCCATGTCTTCCACGTTAAGCCTCCGCCGCACGCCTACAGCGCAGCGCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCTCTGACTGATTGCACCAGCCCTTCCTTTGATGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCGTCCGCCGAGTTTGAGAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTATCCTGCAGCGACACTGGCAGGGGCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCAGGCACCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAATATTATGTCCTTCGATAGCCATTCACATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTCAATGCCATATTTCATGATTAG
配列番号2-配列番号1によってコードされるヒトNeuroD1アミノ酸配列-356アミノ酸
MTKSYSESGLMGEPQPQGPPSWTDECLSSQDEEHEADKKEDDLEAMNAEEDSLRNGGEEEDEDEDLEEEEEEEEEDDDQKPKRRGPKKKKMTKARLERFKLRRMKANARERNRMHGLNAALDNLRKVVPCYSKTQKLSKIETLRLAKNYIWALSEILRSGKSPDLVSFVQTLCKGLSQPTTNLVAGCLQLNPRTFLPEQNQDMPPHLPTASASFPVHPYSYQSPGLPSPPYGTMDSSHVFHVKPPPHAYSAALEPFFESPLTDCTSPSFDGPLSPPLSINGNFSFKHEPSAEFEKNYAFTMHYPAATLAGAQSHGSIFSGTAAPRCEIPIDNIMSFDSHSHHERVMSAQLNAIFHD
配列番号3-マウスNeuroD1タンパク質をコードするマウスNeuroD1核酸配列-1074ヌクレオチド、終止コドンを含む
ATGACCAAATCATACAGCGAGAGCGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCCCCAAGCTGGACAGATGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAACACGAGGCAGACAAGAAAGAGGACGAGCTTGAAGCCATGAATGCAGAGGAGGACTCTCTGAGAAACGGGGGAGAGGAGGAGGAGGAAGATGAGGATCTAGAGGAAGAGGAGGAAGAAGAAGAGGAGGAGGAGGATCAAAAGCCCAAGAGACGGGGTCCCAAAAAGAAAAAGATGACCAAGGCGCGCCTAGAACGTTTTAAATTAAGGCGCATGAAGGCCAACGCCCGCGAGCGGAACCGCATGCACGGGCTGAACGCGGCGCTGGACAACCTGCGCAAGGTGGTACCTTGCTACTCCAAGACCCAGAAACTGTCTAAAATAGAGACACTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCAGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCTGATCTGGTCTCCTTCGTACAGACGCTCTGCAAAGGTTTGTCCCAGCCCACTACCAATTTGGTCGCCGGCTGCCTGCAGCTCAACCCTCGGACTTTCTTGCCTGAGCAGAACCCGGACATGCCCCCGCATCTGCCAACCGCCAGCGCTTCCTTCCCGGTGCATCCCTACTCCTACCAGTCCCCTGGACTGCCCAGCCCGCCCTACGGCACCATGGACAGCTCCCACGTCTTCCACGTCAAGCCGCCGCCACACGCCTACAGCGCAGCTCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCCCTAACTGACTGCACCAGCCCTTCCTTTGACGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCATCCGCCGAGTTTGAAAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTACCCTGCAGCGACGCTGGCAGGGCCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCTTCCGGTGCCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAACATTATGTCTTTCGATAGCCATTCGCATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTTAATGCCATCTTTCACGATTAG
配列番号4:配列番号3によってコードされるマウスNeuroD1アミノ酸配列-357アミノ酸
MTKSYSESGLMGEPQPQGPPSWTDECLSSQDEEHEADKKEDELEAMNAEEDSLRNGGEEEEEDEDLEEEEEEEEEEEDQKPKRRGPKKKKMTKARLERFKLRRMKANARERNRMHGLNAALDNLRKVVPCYSKTQKLSKIETLRLAKNYIWALSEILRSGKSPDLVSFVQTLCKGLSQPTTNLVAGCLQLNPRTFLPEQNPDMPPHLPTASASFPVHPYSYQSPGLPSPPYGTMDSSHVFHVKPPPHAYSAALEPFFESPLTDCTSPSFDGPLSPPLSINGNFSFKHEPSAEFEKNYAFTMHYPAATLAGPQSHGSIFSSGAAAPRCEIPIDNIMSFDSHSHHERVMSAQLNAIFHD
マウスLCN2プロモーター-配列番号5
GCAGTGTGGAGACACACCCACTTTCCCCAAGGGCTCCTGCTCCCCCAAGTGATCCCCTTATCCTCCGTGCTAAGATGACACCGAGGTTGCAGTCCTTACCTTTGAAAGCAGCCACAAGGGCGTGGGGGTGCACACCTTTAATCCCAGCACTCGGGAGGCAGAGGCAGGCAGATTTCTGAGTTCGAGACCAGCCTGGTCTACAAAGTGAATTCCAGGACAGCCAGGGCTATACAGAGAAACCCTGTCTTGAAAAAAAAAGAGAAAGAAAAAAGAAAAAAAAAAATGAAAGCAGCCACATCTAAGGACTACGTGGCACAGGAGAGGGTGAGTCCCTGAGAGTTCAGCTGCTGCCCTGTCTGTTCCTGTAAATGGCAGTGGGGTCATGGGAAAGTGAAGGGGCTCAAGGTATTGGACACTTCCAGGATAATCTTTTGGACGCCTCACCCTGTGCCAGGACCAAGGCTGAGCTTGGCAGGCTCAGAACAGGGTGTCCTGTTCTTCCCTGTCTAAAACATTCACTCTCAGCTTGCTCACCCTTCCCCAGACAAGGAAGCTGCACAGGGTCTGGTGTTCAGATGGCTTTGGCTTACAGCAGGTGTGGGTGTGGGGTAGGAGGCAGGGGGTAGGGGTGGGGGAAGCCTGTACTATACTCACTATCCTGTTTCTGACCCTCTAGGACTCCTACAGGGTTATGGGAGTGGACAGGCAGTCCAGATCTGAGCTGCTGACCCACAAGCAGTGCCCTGTGCCTGCCAGAATCCAAAGCCCTGGGAATGTCCCTCTGGTCCCCCTCTGTCCCCTGCAGCCCTTCCTGTTGCTCAACCTTGCACAGTTCCGACCTGGGGGAGAGAGGGACAGAAATCTTGCCAAGTATTTCAACAGAATGTACTGGCAATTACTTCATGGCTTCCTGGACTTGGTAAAGGATGGACTACCCCGCCCAACAGGGGGGCTGGCAGCCAGGTAGGCCCATAAAAAGCCCGCTGGGGAGTCCTCCTCACTCTCTGCTCTTCCTCCTCCAGCACACATCAGACCTAGTAGCTGTGGAAACCA
ヒトGFAPプロモーター-配列番号6
GTCTGCAAGCAGACCTGGCAGCATTGGGCTGGCCGCCCCCCAGGGCCTCCTCTTCATGCCCAGTGAATGACTCACCTTGGCACAGACACAATGTTCGGGGTGGGCACAGTGCCTGCTTCCCGCCGCACCCCAGCCCCCCTCAAATGCCTTCCGAGAAGCCCATTGAGTAGGGGGCTTGCATTGCACCCCAGCCTGACAGCCTGGCATCTTGGGATAAAAGCAGCACAGCCCCCTAGGGGCTGCCCTTGCTGTGTGGCGCCACCGGCGGTGGAGAACAAGGCTCTATTCAGCCTGTGCCCAGGAAAGGGGATCAGGGGATGCCCAGGCATGGACAGTGGGTGGCAGGGGGGGAGAGGAGGGCTGTCTGCTTCCCAGAAGTCCAAGGACACAAATGGGTGAGGGGACTGGGCAGGGTTCTGACCCTGTGGGACCAGAGTGGAGGGCGTAGATGGACCTGAAGTCTCCAGGGACAACAGGGCCCAGGTCTCAGGCTCCTAGTTGGGCCCAGTGGCTCCAGCGTTTCCAAACCCATCCATCCCCAGAGGTTCTTCCCATCTCTCCAGGCTGATGTGTGGGAACTCGAGGAAATAAATCTCCAGTGGGAGACGGAGGGGTGGCCAGGGAAACGGGGCGCTGCAGGAATAAAGACGAGCCAGCACAGCCAGCTCATGCGTAACGGCTTTGTGGAGCTGTCAAGGCCTGGTCTCTGGGAGAGAGGCACAGGGAGGCCAGACAAGGAAGGGGTGACCTGGAGGGACAGATCCAGGGGCTAAAGTCCTGATAAGGCAAGAGAGTGCCGGCCCCCTCTTGCCCTATCAGGACCTCCACTGCCACATAGAGGCCATGATTGACCCTTAGACAAAGGGCTGGTGTCCAATCCCAGCCCCCAGCCCCAGAACTCCAGGGAATGAATGGGCAGAGAGCAGGAATGTGGGACATCTGTGTTCAAGGGAAGGACTCCAGGAGTCTGCTGGGAATGAGGCCTAGTAGGAAATGAGGTGGCCCTTGAGGGTACAGAACAGGTTCATTCTTCGCCAAATTCCCAGCACCTTGCAGGCACTTACAGCTGAGTGAGATAATGCCTGGGTTATGAAATCAAAAAGTTGGAAAGCAGGTCAGAGGTCATCTGGTACAGCCCTTCCTTCCCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGTGAGACAAGGTCTCTCTCTGTTGCCCAGGCTGGAGTGGCGCAAACACAGCTCACTGCAGCCTCAACCTACTGGGCTCAAGCAATCCTCCAGCCTCAGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAAGCATGAGCCACCCCACTCAGCCCTTTCCTTCCTTTTTAATTGATGCATAATAATTGTAAGTATTCATCATGGTCCAACCAACCCTTTCTTGACCCACCTTCCTAGAGAGAGGGTCCTCTTGATTCAGCGGTCAGGGCCCCAGACCCATGGTCTGGCTCCAGGTACCACCTGCCTCATGCAGGAGTTGGCGTGCCCAGGAAGCTCTGCCTCTGGGCACAGTGACCTCAGTGGGGTGAGGGGAGCTCTCCCCATAGCTGGGCTGCGGCCCAACCCCACCCCCTCAGGCTATGCCAGGGGGTGTTGCCAGGGGCACCCGGGCATCGCCAGTCTAGCCCACTCCTTCATAAAGCCCTCGCATCCCAGGAGCGAGCAGAGCCAGAGCAT
マウスAldh1L1プロモーター-配列番号7
AACTGAGAGTGGAGGGGCACAGAAGAGCCCAAGAGGCTCCTTAGGTTGTGTGGAGGGTACAATATGTTTGGGCTGAGCAACCCAGAGCCAGACTTTGTCTGGCTGGTAAGAGACAGAGGTGCCTGCTATCACAATCCAAGGGTCTGCTTGAGGCAGAGCCAGTGCAAAGGATGTGGTTAGAGCCAGCCTGGTGTACTGAAGAGGGGCGAAGAGCTTGAGTAAGGAGTCTCAGCGGTGGTTTGAGAGGCAGGGTGGTTAATGGAGTAGCTGCAGGGGAGAATCCTTGGGAGGGAGCCTGCAGGACAGAGCTTTGGTCAGGAAGTGATGGGCATGTCACTGGACCCTGTATTGTCTCTGACTTTTCTCAAGTAGGACAATGACTCTGCCCAGGGAGGGGGTCTGTGACAAGGTGGAAGGGCCAGAGGAGAACTTCTGAGAAGAAAACCAGAGGCCGTGAAGAGGTGGGAAGGGCATGGGATTCAGAACCTCAGGCCCACCAGGACACAACCCCAGGTCCACAGCAGATGGGTGACCTTGCATGTCTCAGTCACCAGCATTGTGCTCCTTGCTTATCACGCTTGGGTGAAGGAAATGACCCAAATAGCATAAAGCCTGAAGGCCGGGACTAGGCCAGCTAGGGCTTGCCCTTCCCTTCCCAGCTGCACTTTCCATAGGTCCCACCTTCAGCAGATTAGACCCGCCTCCTGCTTCCTGCCTCCTTGCCTCCTCACTCATGGGTCTATGCCCACCTCCAGTCTCGGGACTGAGGCTCACTGAAGTCCCATCGAGGTCTGGTCTGGTGAATCAGCGGCTGGCTCTGGGCCCTGGGCGACCAGTTAGGTTCCGGGCATGCTAGGCAATGAACTCTACCCGGAATTGGGGGTGCGGGGAGGCGGGGAGGTCTCCAACCCAGCCTTTTGAGGACGTGCCTGTCGCTGCACGGTGCTTTTTATAGACGATGGTGGCCCATTTTGCAGAAGGGAAAGCCGGAGCCCTCTGGGGAGCAAGGTCCCCGCAAATGGACGGATGACCTGAGCTTGGTTCTGCCAGTCCACTTCCCAAATCCCTCACCCCATTCTAGGGACTAGGGAAAGATCTCCTGATTGGTCATATCTGGGGGCCTGGCCGGAGGGCCTCCTATGATTGGAGAGATCTAGGCTGGGCGGGCCCTAGAGCCCGCCTCTTCTCTGCCTGGAGGAGGAGCACTGACCCTAACCCTCTCTGCACAAGACCCGAGCTTGTGCGCCCTTCTGGGAGCTTGCTGCCCCTGTGCTGACTGCTGACAGCTGACTGACGCTCGCAGCTAGCAGGTACTTCTGGGTTGCTAGCCCAGAGCCCTGGGCCGGTGACCCTGTTTTCCCTACTTCCCGTCTTTGACCTTGGGTAAGTTTCTTTTTCTTTTGTTTTTGAGAGAGGCACCCAGATCCTCTCCACTACAGGCAGCCGCTGAACCTTGGATCCTCAGCTCCTGCCCTGGGAACTACAGTTCCTGCCCTTTTTTTCCCACCTTGAGGGAGGTTTTCCCTGAGTAGCTTCGACTATCCTGGAACAAGCTTTGTAGACCAGCCTGGGTCTCCGGAGAGTTGGGATTAAAGGCGTGCACCACCACC
ヒトNG2プロモーター-配列番号8
CTCTGGTTTCAAGACCAATACTCATAACCCCCACATGGACCAGGCACCATCACACCTGAGCACTGCACTTAGGGTCAAAGACCTGGCCCCACATCTCAGCAGCTATGTAGACTAGCTCCAGTCCCTTAATCTCTCTCAGCCTCAGTTTCTTCATCTGCAAAACAGGTCTCAGTTTCGTTGCAAAGTATGAAGTGCTGGGCTGTTACTGGTCAAAGGGAAGAGCTGGGAAGAGGGTGCAAGGTGGGGTTGGGCTGGAGATGGGCTGGAGCAGATAGATGGAGGGACCTGAATGGAGGAAGTAAACCAAGGCCCGGTAACATTGGGACTGGACAGAGAACACGCAGATCCTCTAGGCACCGGAAGCTAAGTAACATTGCCCTTTCTCCTCCTGTTTGGGACTAGGCTGATGTTGCTGCCTGGAAGGGAGCCAGCAGAAGGGCCCCAGCCTGAAGCTGTTAGGTAGAAGCCAAATCCAGGGCCAGATTTCCAGGAGGCAGCCTCGGGAAGTTGAAACACCCGGATTCAGGGGTCAGGAGGCCTGGGCTTCTGGCACCAAACGGCCAGGGACCTACTTTCCACCTGGAGTCTTGTAAGAGCCACTTTCAGCTTGAGCTGCACTTTCGTCCTCCATGAAATGGGGGAGGGGATGCTCCTCACCCACCTTGCAAGGTTATTTTGAGGCAAATGTCATGGCGGGACTGAGAATTCTTCTGCCCTGCGAGGAAATCCAGACATCTCTCCCTTACAGACAGGGAGACTGAGGTGAGGCCCTTCCAGGCAGAGAAGGTCACTGTTGCAGCCATGGGCAGTGCCCCACAGGACCTCGGGTGGTGCCTCTGGAGTCTGGAGAAGTTCCTAGGGGACCTCCGAGGCAAAGCAGCCCAAAAGCCGCCTGTGAGGGTGGCTGGTGTCTGTCCTTCCTCCTAAGGCTGGAGTGTGCCTGTGGAGGGGTCTCCTGAACTCCCGCAAAGGCAGAAAGGAGGGAAGTAGGGGCTGGGACAGTTCATGCCTCCTCCCTGAGGGGGTCTCCCGGGCTCGGCTCTTGGGGCCAGAGTTCAGGGTGTCTGGGCCTCTCTATGACTTTGTTCTAAGTCTTTAGGGTGGGGCTGGGGTCTGGCCCAGCTGCAAGGGCCCCCTCACCCCTGCCCCAGAGAGGAACAGCCCCGCACGGGCCCTTTAAGAAGGTTGAGGGTGGGGGCAGGTGGGGGAGTCCAAGCCTGAAACCCGAGCGGGCGCGCGGGTCTGCGCCTGCCCCGCCCCCGGAGTTAAGTGCGCGGACACCCGGAGCCGGCCCGCGCCCAGGAGCAGAGCCGCGCTCGCTCCACTCAGCTCCCAGCTCCCAGGACTCCGCTGGCTCCTCGCAAGTCCTGCCGCCCAGCCCGCCGGG
CAG::NeuroD1-IRES-GFP-配列番号9
GATCCGGCCATTAGCCATATTATTCATTGGTTATATAGCATAAATCAATATTGGCTATTGGCCATTGCATACGTTGTATCCATATCATAATATGTACATTTATATTGGCTCATGTCCAACATTACCGCCATGTTGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCATGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTATTCCCAATAAAGCCTCTTGCTGTTTGCATCCGAATCGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCACGACGGGGGTCTTTCATTTGGGGGCTCGTCCGGGATTTGGAGACCCCTGCCCAGGGACCACCGACCCACCACCGGGAGGTAAGCTGGCCAGCAACTTATCTGTGTCTGTCCGATTGTCTAGTGTCTATGTTTGATGTTATGCGCCTGCGTCTGTACTAGTTAGCTAACTAGCTCTGTATCTGGCGGACCCGTGGTGGAACTGACGAGTTCTGAACACCCGGCCGCAACCCTGGGAGACGTCCCAGGGACTTTGGGGGCCGTTTTTGTGGCCCGACCTGAGGAAGGGAGTCGATGTGGAATCCGACCCCGTCAGGATATGTGGTTCTGGTAGGAGACGAGAACCTAAAACAGTTCCCGCCTCCGTCTGAATTTTTGCTTTCGGTTTGGAACCGAAGCCGCGCGTCTTGTCTGCTGCAGCGCTGCAGCATCGTTCTGTGTTGTCTCTGTCTGACTGTGTTTCTGTATTTGTCTGAAAATTAGGGCCAGACTGTTACCACTCCCTTAAGTTTGACCTTAGGTCACTGGAAAGATGTCGAGCGGATCGCTCACAACCAGTCGGTAGATGTCAAGAAGAGACGTTGGGTTACCTTCTGCTCTGCAGAATGGCCAACCTTTAACGTCGGATGGCCGCGAGACGGCACCTTTAACCGAGACCTCATCACCCAGGTTAAGATCAAGGTCTTTTCACCTGGCCCGCATGGACACCCAGACCAGGTCCCCTACATCGTGACCTGGGAAGCCTTGGCTTTTGACCCCCCTCCCTGGGTCAAGCCCTTTGTACACCCTAAGCCTCCGCCTCCTCTTCCTCCATCCGCCCCGTCTCTCCCCCTTGAACCTCCTCGTTCGACCCCGCCTCGATCCTCCCTTTATCCAGCCCTCACTCCTTCTCTAGGCGCCGGAATTCGATGTCGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTAT
TTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGAGTCGCTGCGTTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCGCTTGGTTTAATGACGGCTCGTTTCTTTTCTGTGGCTGCGTGAAAGCCTTAAAGGGCTCCGGGAGGGCCCTTTGTGCGGGGGGGAGCGGCTCGGGGGGTGCGTGCGTGTGTGTGTGCGTGGGGAGCGCCGCGTGCGGCCCGCGCTGCCCGGCGGCTGTGAGCGCTGCGGGCGCGGCGCGGGGCTTTGTGCGCTCCGCGTGTGCGCGAGGGGAGCGCGGCCGGGGGCGGTGCCCCGCGGTGCGGGGGGGCTGCGAGGGGAACAAAGGCTGCGTGCGGGGTGTGTGCGTGGGGGGGTGAGCAGGGGGTGTGGGCGCGGCGGTCGGGCTGTAACCCCCCCCTGCACCCCCCTCCCCGAGTTGCTGAGCACGGCCCGGCTTCGGGTGCGGGGCTCCGTGCGGGGCGTGGCGCGGGGCTCGCCGTGCCGGGCGGGGGGTGGCGGCAGGTGGGGGTGCCGGGCGGGGCGGGGCCGCCTCGGGCCGGGGAGGGCTCGGGGGAGGGGCGCGGCGGCCCCGGAGCGCCGGCGGCTGTCGAGGCGCGGCGAGCCGCAGCCATTGCCTTTTATGGTAATCGTGCGAGAGGGCGCAGGGACTTCCTTTGTCCCAAATCTGGCGGAGCCGAAATCTGGGAGGCGCCGCCGCACCCCCTCTAGCGGGCGCGGGCGAAGCGGTGCGGCGCCGGCAGGAAGGAAATGGGCGGGGAGGGCCTTCGTGCGTCGCCGCGCCGCCGTCCCCTTCTCCATCTCCAGCCTCGGGGCTGCCGCAGGGGGACGGCTGCCTTCGGGGGGGACGGGGCAGGGCGGGGTTCGGCTTCTGGCGTGTGACCGGCGGCTCTAGAGCCTCTGCTAACCATGTTCATGCCTTCTTCTTTTTCCTACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTTGTTGTGCTGTCTCATCATTTTGGCAAAGAATTCGCTAGCGGATCCGGCCGCCTCGGCCACCGGTCGCCACCATCGCCACCATGACCAAATCATACAGCGAGAGCGGGCTGATGGGCGAGCCTCAGCCCCAAGGTCCCCCAAGCTGGACAGATGAGTGTCTCAGTTCTCAGGACGAGGAACACGAGGCAGACAAGAAAGAGGACGAGCTTGAAGCCATGAATGCAGAGGAGGACTCTCTGAGAAACGGGGGAGAGGAGGAGGAGGAAGATGAGGATCTAGAGGAAGAGGAGGAAGAAGAAGAGGAGGAGGAGGATCAAAAGCCCAAGAGACGGGGTCCCAAAAAGAAAAAGATGACCAAGGCGCGCCTAGAACGTTTTAAATTAAGGCGCATGAAGGCCAACGCCCGCGAGCGGAACCGCATGCACGGGCTGAACGCGGCGCTGGACAACCTGCGCAAGGTGGTACCTTGCTACTCCAAGACCCAGAAACTGTCTAAAATAGAGACACTGCGCTTGGCCAAGAACTACATCTGGGCTCTGTCAGAGATCCTGCGCTCAGGCAAAAGCCCTGATCTGGTCTCCTTCGTACAGACGCTCTGCAAAGGTTTGTCCCAGCCCACTACCAATTTGGTCGCCGGCTGCCTGCAGCTCAACCCTCGGACTTTCTTGCCTGAGCAGAACCCGGACATGCCCCCGCATCTGCCAACCGCCAGCGCTTCCTTCCCGGTGCATCCCTACTCCTACCAGTCCCCTGGACTGCCCAGCCC
GCCCTACGGCACCATGGACAGCTCCCACGTCTTCCACGTCAAGCCGCCGCCACACGCCTACAGCGCAGCTCTGGAGCCCTTCTTTGAAAGCCCCCTAACTGACTGCACCAGCCCTTCCTTTGACGGACCCCTCAGCCCGCCGCTCAGCATCAATGGCAACTTCTCTTTCAAACACGAACCATCCGCCGAGTTTGAAAAAAATTATGCCTTTACCATGCACTACCCTGCAGCGACGCTGGCAGGGCCCCAAAGCCACGGATCAATCTTCTCTTCCGGTGCCGCTGCCCCTCGCTGCGAGATCCCCATAGACAACATTATGTCTTTCGATAGCCATTCGCATCATGAGCGAGTCATGAGTGCCCAGCTTAATGCCATCTTTCACGATTAGGTTTAAACGCGGCCGCGCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATATGGCCACAACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAAGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACT
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【0198】
その他の実施形態
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するものであり、それを限定することは意図していないことを理解されたい。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
【配列表】
【国際調査報告】