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特表2022-553224(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを製造するための光化学法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを製造するための光化学法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20221215BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALN20221215BHJP
   A61P 5/42 20060101ALN20221215BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20221215BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20221215BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
C07D471/04 113
A61K31/4375
A61P5/42
A61P9/00
A61P9/04
A61P13/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522985
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020078614
(87)【国際公開番号】W WO2021074079
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19203824.8
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・プラツェク
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ロヴィス
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065JJ01
4C065KK02
4C065LL03
4C065PP03
4C065QQ07
4C086AA01
4C086AA04
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA36
4C086ZA81
4C086ZC08
(57)【要約】
本発明は、エナンチオマー(Ia)または(Ib)から式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法;式(Ia)の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法;式(II)のピリジンから式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法に関する。本発明の目的には、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物に光を照射するという共通点がある。式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物は、フィネレノン(式(Ia)による化合物)の合成における中間体、副生成物、または標的化合物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、
式(Ia)および/または(Ib)
【化2】
のエナンチオマーから調製する方法であって、
ステップ(i):
(i)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)および/または(Ib)の前記エナンチオマーに光を照射するステップ
を含み、ステップ(i)における前記照射は、場合により0℃~100℃の温度で行われる、方法。
【請求項2】
ステップ(i)における光の前記照射が、30℃~70℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)における前記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(i)で前記溶媒または溶媒混合物中で使用される前記エナンチオマーの濃度範囲が、前記溶媒または溶媒混合物の体積に基づいて0.05%~10%(m/v)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(i)における前記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)における前記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(Ia)
【化3】
の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法であって、
ステップ(ii)、(iii)、および(iv):
(ii)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ib)
【化4】
の化合物に光を照射するステップであって、式(Ib)の前記化合物は、式(I)
【化5】
のラセミ化合物に変換される、ステップ、
(iii)式(III)
【化6】
のキラル酒石酸エステルを用いた、ステップ(ii)からのラセミ化合物(I)のスピリッツ/水混合物中での光学分割ステップであって、ジアステレオマー塩(IVa)
【化7】
が形成される、ステップ、および
(iv)ステップ(iii)からの前記ジアステレオマー塩(IVa)を塩基で処理するステップであって、式(Ia)の前記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法。
【請求項8】
ステップ(ii)における前記照射が、0℃~100℃の温度で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(ii)における前記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)で前記溶媒または溶媒混合物中で使用される前記エナンチオマーの濃度範囲が、前記溶媒または溶媒混合物の体積に基づいて0.05%~10%(m/v)である、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii)における前記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(ii)における前記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(I)
【化8】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、
式(II)
【化9】
のピリジンから調製する方法であって、
ステップ(vi):
(vi)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(II)の前記化合物に光を照射するステップであって、式(I)による前記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法。
【請求項14】
ステップ(vi)における前記照射が、0℃~100℃の温度で行われ、かつ/またはステップ(vi)における前記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(vi)における前記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/またはステップ(vi)における前記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【化1】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIbから調製する方法であって、
ステップ(i):
(i)適切な溶媒または溶媒混合物中で、また塩基の存在下で、式(Ia)および/または(Ib)
【化2】
のエナンチオマーを照射するステップ
を含む、方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、式(Ia)の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法であって、
ステップ(ii)、(iii)、および(iv):
(ii)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ib)
【化3】
の化合物に光を照射するステップであって、式(Ib)の上記化合物は、式(I)
【化4】
のラセミ化合物に変換される、ステップ、
(iii)式(III)
【化5】
のキラル酒石酸エステルを用いた、ステップ(ii)からのこのラセミ化合物(I)のスピリッツ/水混合物中での光学分割ステップであって、ジアステレオマー塩(IVa)
【化6】
が形成される、ステップ、および
(iv)ステップ(iii)からの上記ジアステレオマー塩(IVa)を塩基で処理するステップであって、式(Ia)の上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法に関する。
【0003】
本発明はまた、式(I)
【化7】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、
式(II)
【化8】
のピリジンから調製する方法であって、
ステップ(vi):
(vi)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(II)の上記化合物に光を照射するステップであって、式(I)による上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法に関する。
【0004】
したがって、本発明の目的には、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物に光を照射するという共通点がある(ステップ(i)、(ii)、または(vi)参照)。式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物は、フィネレノン(式(Ia)による化合物)の合成における中間体、副生成物、または標的化合物である。ここで、式(I)による化合物に言及する場合、これは、ラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド、または以下に示す式(I)
【化9】
によるラセミ化合物を意味する。
【0005】
ここで、「フィネレノン」、「式(Ia)による化合物」、「対掌体(Ia)」、または「エナンチオマー(Ia)」に言及する場合、これは、(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド、または式(Ia)
【化10】
による化合物を意味する。
【0006】
「エナンチオマー化合物(Ib)」、「エナンチオマー(Ib)」、「対掌体(Ib)」、「間違ったエナンチオマー」、または「間違ったエナンチオマー(Ib)」に言及する場合、これは、rac-(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド、または以下に示す式(Ib)
【化11】
による化合物を意味する。
【0007】
「式(I)による化合物の対掌体」に言及する場合、これは、先に定義した式(Ia)および(Ib)の化合物を意味する。
【0008】
「スピリッツ」に言及する場合、これは、変性エタノールを意味する。
【0009】
略語「h」は「時間」を表す。
フィネレノン(Ia)は、ミネラルコルチコイド受容体の非ステロイドアンタゴニストとして作用し、心血管障害および腎障害、例えば心不全および糖尿病性腎症を予防および/または治療するための薬剤として使用することができる。
【背景技術】
【0010】
式(Ia)の化合物およびその調製方法は、国際公開第2008/104306号パンフレットおよびChemMedChem 2012、7、1385、また国際公開第2016/016287号パンフレットにも記載されている。式(Ia)および(Ib)の化合物に到達するためには、アミドのラセミ混合物(I)
【化12】
を式(Ia)および(Ib)の対掌体に分離しなければならない。これは、式(Ia)の対掌体のみが薬理学的に活性であるためである。
【化13】
【0011】
公開された研究規模の合成では、キラル選択剤としてN-(ジシクロプロピルメチル)-N2-メタクリロイル-D-ロイシンアミドを含む、特別に合成されたキラル相がこの目的のために使用された(自社で調製)。容易に商業的に入手可能な相でも分離を行うことができることが分かった。これは、Chiralpak(登録商標)AS-V相、20μmである。使用された溶離液は、メタノール/アセトニトリル60:40の混合物であった。この場合、クロマトグラフィーを慣用的なクロマトグラフィーカラムで行うことができるが、好ましくは当業者に知られた技法、例えばSMBまたはVaricol(登録商標)(Computers and Chemical Engineering 27(2003)1883~1901)が使用される。
【0012】
式(Ia)の化合物およびその調製方法は、国際公開第2008/104306号パンフレットおよびChemMedChem 2012、7、1385、また国際公開第2016/016287号パンフレットにも記載されており、両公報は研究合成の詳細な考察を開示している。
【0013】
式(Ia)の化合物の研究規模の合成を開示する刊行物ChemMedChem 2012、7、1385において、式(Ia)の化合物はバニリンから出発して10段階で調製され、全収率は理論値の3.76%である。
【0014】
式(Ia)の化合物に到達するためには、アミドのラセミ混合物rac-(I)を式(Ia)および(Ib)の対掌体に分離しなければならない。公開された研究規模の合成では、キラル選択剤としてN-(ジシクロプロピルメチル)-N2-メタクリロイル-D-ロイシンアミドを含む、特別に合成されたキラル相がこの目的のために使用された(自社で調製)。この選択剤は、多段階プロセスで調製され、次いで、特別なシリカゲルで重合された。メタノール/酢酸エチルが溶離液の役割を果たした。この方法の大きな欠点は、500*63mmクロマトグラフィーカラムで1回の分離につき30mgの非常に低い充填量であった。したがって、対掌体の分離をマルチトン範囲で行うことを可能にする、可能な限り有効な分離方法を見出す必要性が高かった。容易に商業的に入手可能な相でも分離を行うことができることが国際公開第2008/104306号パンフレットに記載されている。これは、Chiralpak AS-V相、20μmである。使用された溶離液は、メタノール/アセトニトリル60:40の混合物であった。この混合物は、蒸留後処理の後に同一の組成(60:40、共沸混合物に相当する)を有する溶離液として回収することができるという大きな利点を有する。このようにして、分離の収率が理論値の47%超である(理論的には50%が可能である)非常に効率的なプロセスが達成される。ここでの光学純度は93%e.e.超であるが、好ましくは98.5%e.e.超である。この場合、クロマトグラフィーを慣用的なクロマトグラフィーカラムで行うことができるが、好ましくは当業者に知られた技法、例えばSMBまたはVaricol(Computers and Chemical Engineering 27(2003)1883~1901)が使用される。例えば、SMBシステムを使用してラセミ体アミドrac-(I)約500kgが分離され、48%の収率が達成された。生成物は、メタノール/アセトニトリル30:70の混合物中3~8%、好ましくは5~7%の溶液として得られ、「最終処理」に直接使用することができる。
【0015】
ここで、例えば、3%溶液に言及する場合、これは、3gの化合物が100mLの溶媒に溶解していることを意味する。
【0016】
溶媒比の図において、比は体積対体積(v/v)を意味する。例えば、メタノール/アセトニトリル30:70からなる溶媒混合物は、30mlのメタノールと70mlのアセトニトリルとを含む。したがって、体積は溶媒の総体積に基づく。
【0017】
アセトニトリルとメタノールとの他の溶媒混合比もまた考えられる(90:10~10:90)。あるいは、SMB分離のために、他の溶媒混合物、例えば10:90~90:10の混合比のアセトニトリル/エタノールを使用することもできる。具体的な溶媒比は、SMBシステムの技術的特性に部分的に依存し、適宜調節しなければならない(例えば、流速の変更、薄膜蒸発器での溶媒の再利用)。
【化14】
【0018】
標的化合物フィネレノン(Ia)と同様に、エナンチオマー化合物(Ib)も事実上同じ収率で得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2008/104306号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/016287号パンフレット
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】ChemMedChem 2012、7、1385
【非特許文献2】Computers and Chemical Engineering 27(2003)1883~1901
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
要約すると、本発明は、以下に関する;
(1)式(I)
【化15】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIbから調製する方法であって、
ステップ(i):
(i)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)および/または(Ib)の上記エナンチオマーを照射するステップ
を含む、方法;
(2)式(Ia)の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法であって、
ステップ(ii)、(iii)、および(iv):
(ii)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ib)の化合物に光を照射するステップであって、式(Ib)の上記化合物は、式(I)のラセミ化合物に変換される、ステップ、
(iii)式(III)のキラル酒石酸エステルを用いた、ステップ(ii)からのこのラセミ化合物(I)のスピリッツ/水混合物中での光学分割ステップであって、ジアステレオマー塩(IVa)が形成される、ステップ、および
(iv)ステップ(iii)からの上記ジアステレオマー塩(IVa)を塩基で処理するステップであって、式(Ia)の上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法;
(3)式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式(II)のピリジンから調製する方法であって、
ステップ(vi):
(vi)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(II)の上記化合物に光を照射するステップであって、式(I)による上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法。
【0022】
したがって、本発明の目的には、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物に光を照射するという共通点がある(ステップ(i)、(ii)、または(vi)参照)。式(Ia)、(Ib)、および/または(II)の化合物は、フィネレノン(式(Ia)による化合物)の合成における中間体、副生成物、または標的化合物である。
要約すると、本発明による方法は、とりわけ、以下の利点および技術的効果を提供する。
【0023】
-間違ったエナンチオマー(Ib)が、簡単な方法で標的化合物フィネレノン(Ia)に変換され得る。これは費用対効果が高い。なぜなら、ラセミ混合物を上記のようにSMBによるエナンチオマー分離、または例えば(+)-ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割に再び供するために、間違ったエナンチオマー(Ib)を破壊する必要はなく、むしろ式(Ib)の化合物を式(I)の上記ラセミ混合物に変換することによって、この望ましくない副生成物をフィネレノン合成に使用することが可能になるからである。
【0024】
-先行技術に記載されるような、いくつかの複雑な段階を実施する必要はもはやない。3つの処理ステップ(例えば、国際公開第2017032678号パンフレットに記載されている電気化学法の場合における処理ステップ)ではなく、単純化された手順に到達しており、この手順では、穏やかな条件下(光)で間違ったエナンチオマー(Ib)のラセミ化が直接もたらされ、したがって、ラセミ体(I)が得られる。
【0025】
-バッチサイズによっては、反応(ステップ(i)、(ii)、または(vi)参照)は、バッチ形式で、またはフロー処理として行われてよい。したがって、反応は、簡単な方法で適切な工業的条件に難なく調整され得る。
【0026】
-間違ったエナンチオマー(Ib)から出発して、理論値の50%~75%のラセミ体(I)の収率が達成され、化学純度が非常に高く、最大99.1%(HPLC、面積)の純度を得ることが可能である。エナンチオマー過剰率は、1%未満~2%である。このようにして得られたラセミ体(I)は、SMBであっても、ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割であっても、その後のラセミ体分割法でうまく使用することができ、純度およびエナンチオマー過剰率に関して求められる仕様の要求に対応する。
【0027】
ピリジン誘導体(II)から出発して、理論値の60%~90%のラセミ体(I)の収率が達成される。化学純度は非常に高く、最大95%超(HPLC、面積)の純度を得ることが可能である。エナンチオマー過剰率は、1%未満~2%である。このようにして得られた材料は、SMBであっても、ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割であっても、その後のラセミ体分割法でうまく使用することができ、純度およびエナンチオマー過剰率に関して求められる仕様の要求に対応する。
【0028】
-本発明による新規な方法は、収率および化学純度に関して高い効率を特徴とする。実質的な「試薬」として光が使用されるため、この方法は環境に優しい。フロー処理における光反応器は産業界で長い間使用されてきたため、この方法は工業規模まで拡張可能であり、すなわち、上述の電気化学法とは対照的に特別な装置は必要ない。したがって、この新規な本発明の方法は、先行技術と比較して莫大な経済的利点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、式(I)
【化16】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化17】
から、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、0℃~100℃の温度での光の照射によって調製する新規な方法に関する。
【0030】
本発明との関連において、式(I)
【化18】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化19】
から、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびホスファゼンを含む群から選択される塩基の存在下で、0℃~100℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、1~20当量の有機塩基が使用される、方法が好ましい。
【0031】
本発明との関連において、式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIbから、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを含む群から選択される塩基の存在下で、30℃~70℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、2~15当量の有機塩基が使用される、方法が好ましい。
【0032】
本発明との関連において、式(I)
【化20】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化21】
から、アセトン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンの存在下で、40℃~60℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、5~12当量の有機塩基が使用される、方法が特に好ましい。
【0033】
本発明はまた、式(Ia)
【化22】
の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法であって、式(Ib)
【化23】
の化合物が、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、光の照射によって式(I)
【化24】
のラセミ化合物に変換され、このラセミ化合物が、式(III)
【化25】
のキラル酒石酸エステルを用いた、スピリッツ/水混合物中での光学分割によって、まずジアステレオマー塩(IVa)
【化26】
に変換され、次いでこのジアステレオマー塩(IVa)が塩基で処理されて、溶媒が除去されることを特徴とする、方法に関する。
【0034】
光学分割によって間違ったエナンチオマー(Ib)も得られることがあり、光学分割は、以下に記載するように行われ得る。
これまでに未公開の方法では、本発明に従って使用される照射の代わりに、酒石酸エステルが使用される。この方法を、ここで以下のように記載する:工業規模での操作のため、(I)の光学分割のために(+)-ジベンゾイル酒石酸(III)が使用される;無水形態および水和物の両方が使用され得る。
【化27】
【0035】
本明細書に記載の、これまでに未公開の方法における式(IV)による化合物は、本発明の化合物(IVa)と同一である。光学分割は、好ましくは、スピリッツ/水混合物中で行われる。この場合、間違ったエナンチオマー(Ib)は母液中に残り、再利用のために単離され得る。
【0036】
フィネレノン(Ia、粗)のその後の放出
【化28】
は、好ましくは、塩基としてリン酸ナトリウムを使用してスピリッツ/水混合物中で行われる。再処理が必要な場合、(+)-ジベンゾイル酒石酸(III)の割合が0.1%超であれば、
【化29】
再処理は、好ましくは、塩基としてリン酸ナトリウムを使用してスピリッツ/水混合物中で行われる。純粋なフィネレノン(Ia)を得るための最終的な結晶化は、好ましくは、溶媒としてスピリッツを使用して行われる。
【0037】
室温でリン酸ナトリウム水溶液を加えて、合わせた母液と洗浄液とをpH=7.5に調整することによって、母液から間違ったエナンチオマー(Ib)を単離する。減圧下(85~65mbar、内部温度38℃~20℃)で、次いでスピリッツを実質的に留去し、混合物を規定の最終体積まで減少させる。混合物を室温まで冷却し、沈殿した懸濁液を20℃~22℃で撹拌する。懸濁液を濾別し、水で2回洗浄した。湿った生成物を、50℃で一晩(約16時間)、減圧下(100mbar未満)で乾燥させた。(Ib)の収率は、使用されるラセミ体(I)に基づいて、一般に理論値の80%超である。
【0038】
経済的理由から、式(Ib)のこのエナンチオマーを破壊する必要はなかったが、上記のように、式(Ib)の化合物をSMBによる別のエナンチオマー分離に供するために、または例えば(+)-ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割に供するために、式(Ib)の化合物の式(I)のラセミ混合物への変換を可能にする方法を発明する必要があった。
【0039】
酒石酸エステルを使用するこのラセミ化とは対照的に、本発明による本方法では照射が行われる。驚くべきことに、これは、溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、また酸素の存在下で、間違ったエナンチオマー(Ib)に光を照射することによって達成されることが今般分かった。
【化30】
【0040】
これは、フィネレノン(Ia)を変換することによっても成功する。
【化31】
【0041】
例えば、化合物(Ib)を強塩基または強酸で処理することによって式(Ib)の化合物を直接ラセミ化しようとする試みは、成功しなかった。遷移金属錯体、例えばパラジウム触媒やイリジウム触媒との反応も、所望の結果をもたらさなかった。
【0042】
先行技術(国際公開第2017032678号パンフレット)には、電気化学的2段階法が記載されており、この方法では、最初にピリジンへの化学的または電気化学的酸化(ジヒドロピリジンの芳香族化)が行われ、次いで電気化学的還元が行われる。この電気化学的方法の欠点は、上記方法を3段階で実施しなければならないことである。したがって、間違ったエナンチオマー(Ib)の(化学的または電気化学的)直接酸化により、(アトロプ異性に起因して)光学的に濃縮されたピリジン誘導体(II)が得られ、
【化32】
これは、第2のステップにおいて、熱処理によってラセミ体へと平衡化され、次いで、第3のステップにおいて、ラセミ体(I)に還元される。
【0043】
ジヒドロピリジン誘導体の光化学に関する広範な文献があり、例えば、H Freytag、W.Neudert、J.Prakt.Chem.1932、135、15;H.Freytag、F.Hlucka、J.Prakt.Chem.1932、135、288;H.Freytag、J.Prakt.Chem.1934、139、44;J.Joussot-Dubien、J.Houdard、Tetrahedron Let.1967、44、4389~4391;Koizumi、Bull.Chem.SOC.Jap.1966、39、1221;Koizumi、Bull.Chem.SOC.Jap.1967、40、2486;Koizumi、Bull.Chem.SOC.Jap.1968、41、1056;D.G.Whitten、Y.J.Lee、J.Am.Chem.Soc.1971、93、961~966;T.J.van Bergen、R.M.Kellogg、J.Am.Chem.Soc 1972、94、8451~8471;R.Leuschner、J.K.Dohrmann、Journal of Photochemistry 1986、33、321~331;D.G.Whitte、Y.J.Lee、J.Am.Chem.Soc 1971、93、961~966;T.J.van Bergen、R.M.Kellogg、J.Am.Chem.Soc 1972、94、8451~8471;T.J.van Bergen、R.M.Kellogg、J.Am.Chem.Soc 1972、94、8451~8471;R.Leuschner、J.K.Dohrmann、Journal of Photochemistry 1986、33、321~331;T.J.van Bergen、R.M.Kellogg、J.Am.Chem.Soc 1972、94、8451~8471;Jacques Joussot-Dubien、Josette Houdard、Tetrahedron Letters、第8巻、44号、1967、S.4389~4391;Journal of Magnetic Resonance(1969)、第27巻、3号、1977年9月、371~384頁;Tetrahedron、第28巻、24号、1972、5911~5921頁;R.Leuschner、K.Dohrmann、Journal of Photochemistry、第33巻、3号、1986年6月、321~331頁;Junko Shibuya、Mami Nabeshima、Hajime Nagano、およびKoko Maeda、J.Chem.Soc.、Perkin Trans.2、1988、1607~1612;Zhong-Li Liu、Chem.Commun.、1998、2451~2452;Al-Jalal、Molecules、2016年6月30日;21(7);T.J.Van BergenおよびRichard M.Kellogg、Journal of the American Chemical Society 1972 94 (24)、8451~8471;Tetrahedron Letters、第10巻、59号、1969、5211~5214頁;Molecules 2016、21、866;Hindawi Publishing Corporation International Journal of Photochemistry 第2014巻、Article ID 176989、4頁、http://dx.doi.org/10.1155/2014/176989;Photochemistry and Photobiology、2007、83、722~729;J.Org.Chem.、2006、71 (5)、2037~2045頁;Monatshefte fur Chemie 2002、133、661;International Journal of Photoenergy 2015、Article ID 454895が挙げられる。
【0044】
光照射による直接ラセミ化は、本発明による方法において新規であり、キラルなジヒドロピリジン誘導体についてはこれまでに知られていない。
【0045】
したがって、(電気化学法の場合のような)3つの処理ステップに代わって、穏やかな条件下(光)で間違ったエナンチオマー(Ib)のラセミ化、したがってラセミ体(I)へのラセミ化を直接もたらす単純化された方法を達成することが強く要求された。これは、本発明の新規な方法によって達成される。
【0046】
間違ったエナンチオマー(Ib)およびフィネレノン(Ia)を強塩基との反応によって異性化することができない、すなわちラセミ化が不可能であることは、当業者にとって驚くべきことであった。驚くべきことに、本発明による方法において分かった通り、これは、酸素の存在下での塩基と、光の照射と、適切な溶媒の選択との組み合わせによってのみ成功する。
【化33】
【0047】
有機塩基が、特に適切であることが示されており、ここで特に言及するに値するのは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼンである。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、および1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが特に好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンおよび1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンが極めて特に好ましい。
【0048】
1~20当量、好ましくは2~15当量、特に好ましくは5~12当量の有機塩基が使用される。
【0049】
光化学反応に適した溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物、例えばアセトン/メタノール、アセトン/テトラヒドロフランである。アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシドが特に好ましい。アセトンおよびアセトニトリルが極めて特に好ましい。操作は、溶媒に応じて0.05%~10%の濃度範囲で行う。ここで、例えば0.05%の濃度範囲に言及する場合、これは、0.05gが100mLに溶解していることを意味する。
【0050】
照射は、溶媒に応じて0℃~100℃で行われる。しかしながら、好ましい温度範囲は30℃~70℃である。40℃~60℃が好ましい。
【0051】
照射時間は1時間~40時間であり、また、使用される溶媒および塩基に大きく依存する。
【0052】
場合によっては、選択される溶媒に応じて、任意に光増感剤を加えることが有利であり得る。この目的のために、アントラセン、ローズベンガル、エオシンY、DMPA、ベンゾキノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、フルオレン、キサントン、ベンゼン、N-ブロモスクシンイミド、Ru(bpy)3、またはRu-ポルフィリンが使用され得る。
【0053】
放射線源としてHgランプや、LEDをも使用することができる。UVフィルターの使用が有利であることが証明されており、特に282nmからのDuran(登録商標)フィルター(カットオフ300nm未満)UVフィルターが有効であることが証明されている。
【0054】
バッチサイズによっては、反応は、バッチ形式で、またはフロー処理としても行うことができる。
【0055】
光化学ラセミ化はワンポット反応として進行し、ここで、照射の第1段階では、合成空気が0.5時間~5時間の範囲で混合物に通される。あるいは、最初は照射なしで合成空気を導入してもよい。照射なしで空気を導入する場合、照射は、その後0.5時間~5時間行われる。ワンポット反応の第2の構成ステップのために、その後、不活性条件下(窒素またはアルゴンの導入による微量の酸素の置換)で再度照射が行われる。反応は、試料の除去およびそれぞれの光学純度を調べることによってモニタリングされ得る。
【0056】
反応の終わりに、所望のラセミ体(I)の後処理および単離を以下のように行う。まず、溶媒を標準圧力または減圧下で一定体積まで留去し、一定量の水を加える(量比については実施例を参照)。量比は、使用される溶媒または溶媒混合物に応じて変動する。この場合、ラセミ体(I)が沈殿し、次いでフィルターでの濾過または遠心分離によって単離され、次いで乾燥される。乾燥は、40℃~80℃の温度で減圧下で行うことが好ましい。品質によっては、得られた生成物を直接さらに処理してもよい(SMB分離またはジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割が行われる)。しかし、目的とする精製のための最終的な結晶化を再度行ってもよい。この目的に適した溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランであり、それぞれ水と組み合わせてもよい。
【0057】
間違ったエナンチオマー(Ib)から出発して、達成されるラセミ体(I)の収率は、理論値の50%~75%である。化学純度は非常に高く、最大99.1%(HPLC、面積)の純度を得ることが可能である。エナンチオマー過剰率は、1%未満~2%である。このようにして得られたラセミ体(I)は、SMBであっても、ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割であっても、その後のラセミ体分割法でうまく使用することができ、純度およびエナンチオマー過剰率に関して求められる仕様の要求に対応する。
【0058】
上記の方法、すなわち、ワンポット法における(Ib)から(I)への直接変換に加えて、驚くべきことに、ラセミ化合物または光学的に濃縮された化合物から出発する化学的または電気化学的酸化(国際公開第2017032678号パンフレット参照)によって得られる、対応するピリジン化合物(II)の、適切な溶媒または溶媒混合物中での、塩基の存在下での光照射による光化学的還元によって、ラセミ形態の化合物(I)が得られることが見出された。
【化34】
【0059】
本発明はまた、式(I)
【化35】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式(II)
【化36】
のピリジンから、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、光の照射によって調製する新規な方法に関する。
【0060】
本発明との関連において、式(I)
【化37】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式II
【化38】
のピリジンから、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびホスファゼンを含む群から選択される塩基の存在下で、0℃~100℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、1~20当量の有機塩基が使用される、方法が好ましい。
【0061】
本発明との関連において、式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式IIのピリジンから、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを含む群から選択される塩基の存在下で、30℃~70℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、2~15当量の有機塩基が使用される、方法が好ましい。
【0062】
本発明との関連において、式(I)
【化39】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式(II)
【化40】
のピリジンから、アセトン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンの存在下で、40℃~60℃の温度での光の照射によって調製する方法であって、ここで、5~12当量の有機塩基が使用される、方法が特に好ましい。
【0063】
有機塩基が、特に適切であることが示されており、ここで特に言及するに値するのは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼンである。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、および1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが特に好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンおよび1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンが極めて特に好ましい。
【0064】
1~20当量、好ましくは2~15当量、特に好ましくは5~12当量の有機塩基が使用される。
【0065】
光化学反応に適した溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物、例えばアセトン/メタノール、アセトン/テトラヒドロフランである。アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシドが特に好ましい。アセトンおよびアセトニトリルが極めて特に好ましい。操作は、溶媒に応じて0.05%~10%の濃度範囲で行う。
【0066】
照射は、溶媒に応じて0℃~100℃で行われる。しかしながら、好ましい温度範囲は30℃~70℃である。
【0067】
照射時間は1時間~40時間であり、また、使用される溶媒および塩基に大きく依存し、好ましくは10時間~20時間である。一実施形態において、照射は6~40時間行われる。一実施形態において、照射時間は6~35時間である。一実施形態において、照射時間は6~20時間である。一実施形態において、照射時間は6~15時間である。一実施形態において、照射時間は6~10時間である。一実施形態において、照射時間は6~9時間である。一実施形態において、照射時間は8~20時間である。一実施形態において、照射時間は6~34時間である。
【0068】
場合によっては、選択される溶媒に応じて、任意に光増感剤を加えることが有利であり得る。この目的のために、アントラセン、ローズベンガル、エオシンY、DMPA、ベンゾキノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、フルオレン、キサントン、ベンゼン、N-ブロモスクシンイミド、Ru(bpy)3、またはRu-ポルフィリンが使用され得る。
【0069】
放射線源として水銀ランプや、LEDをも使用することができる。UVフィルターの利用が有利であるとして使用されており、特に282nmからのDuranフィルター(カットオフ300nm未満)UVフィルターが有効であることが証明されている。
【0070】
バッチサイズによっては、反応は、バッチ形式で、またはフロー処理としても行うことができる。
【0071】
反応の終わりに、所望のラセミ体(I)の後処理および単離を以下のように行う。溶媒を標準圧力または減圧下で一定体積まで留去し、一定量の水を加える(量比については実施例を参照)。量比は、使用される溶媒または溶媒混合物に応じて変動する。この場合、生成物が沈殿し、次いでフィルターでの濾過または遠心分離によって単離されてもよく、次いで乾燥される。乾燥は、30℃~80℃の温度で減圧下で行うことが好ましい。好ましくは40℃~60℃で行われる。品質によっては、得られた生成物を直接さらに処理してもよい(SMB分離またはジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割が行われる)。しかし、目的とする精製のための最終的な結晶化を再度行ってもよい。この目的に適した溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランであり、それぞれ水と組み合わせてもよい。
【0072】
ピリジン誘導体(II)から出発して、理論値の60%~90%のラセミ体(I)の収率が達成される。化学純度は非常に高く、最大95%超(HPLC、面積)の純度を得ることが可能である。エナンチオマー過剰率は、1%未満~2%である。このようにして得られた材料は、SMBであっても、ジベンゾイル酒石酸を用いた光学分割であっても、その後のラセミ体分割法でうまく使用することができ、純度およびエナンチオマー過剰率に関して求められる仕様の要求に対応する。
【0073】
しかし、ピリジン誘導体(II)から出発するこの新規な方法に加えて、(Ib)から出発するワンポット法が特に好ましい。
【0074】
本発明による新規な方法は、収率および化学純度に関して高い効率を特徴とする。実質的な「試薬」として光が使用されるため、この方法は環境に優しい。フロー処理における光反応器は産業界で長い間使用されてきたため、この方法は工業規模まで拡張可能であり、すなわち、電気化学法とは対照的に特別な装置は必要ない。したがって、この新規な本発明の方法は、先行技術と比較して莫大な経済的利点を示す。
【0075】
段落1.~9.
以下の段落1.~9.に、本発明のさらなる実施形態を記載する。
【0076】
1.式(I)
【化41】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化42】
から、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、光の照射によって調製する方法。
【0077】
2.式(I)
【化43】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化44】
から、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびホスファゼンを含む群から選択される塩基の存在下で、0℃~100℃の温度での光の照射によって調製する段落1に記載の方法であって、ここで、1~20当量の有機塩基が使用される、方法。
【0078】
3.式(I)のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIbから、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを含む群から選択される塩基の存在下で、30℃~70℃の温度での光の照射によって調製する段落1または2に記載の方法であって、ここで、2~15当量の有機塩基が使用される、方法。
【0079】
4.式(I)
【化45】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、エナンチオマーIaまたはIb
【化46】
から、アセトン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンの存在下で、40℃~60℃の温度での光の照射によって調製する段落1、2、または3に記載の方法であって、ここで、5~12当量の有機塩基が使用される、方法。
【0080】
5.(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ia)
【化47】
を調製する方法であって、式(Ib)
【化48】
の化合物が、適切な溶媒または溶媒混合物中で、0℃~100℃の温度で、塩基の存在下で、光の照射によって式(I)
【化49】
のラセミ化合物に変換され、このラセミ化合物が、式(III)
【化50】
のキラル酒石酸エステルを用いた、スピリッツ/水混合物中での光学分割によって、まずジアステレオマー塩(IVa)
【化51】
に変換され、次いでこのジアステレオマー塩(IVa)が塩基で処理されて、溶媒が除去されることを特徴とする、方法。
【0081】
6.式(Ia)
【化52】
の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する段落5に記載の方法であって、式(Ib)
【化53】
の化合物が、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物を含む群から選択される適切な溶媒または溶媒混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを含む群から選択される塩基の存在下で、30℃~70℃の温度での光の照射によって式(I)
【化54】
のラセミ化合物に変換され、ここで、2~15当量の有機塩基が使用され、
このラセミ化合物が、式(III)
【化55】
のキラル酒石酸エステルを用いたスピリッツ/水混合物中での光学分割によって、まずジアステレオマー塩(IVa)
【化56】
に変換され、次いでこのジアステレオマー塩(IVa)がリン酸ナトリウムで処理されて、溶媒が除去されることを特徴とする、方法。
【0082】
7.(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ia)
【化57】
を調製する段落5または6に記載の方法であって、式(Ib)
【化58】
の化合物が、アセトン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンの存在下で、40℃~60℃の温度での光の照射によって式(I)
【化59】
のラセミ化合物に変換され、ここで、5~12当量の有機塩基が使用され、
このラセミ化合物が、式(III)
【化60】
のキラル酒石酸エステルを用いたスピリッツ/水混合物中での光学分割によって、まずジアステレオマー塩(IVa)
【化61】
に変換され、次いでこのジアステレオマー塩(IVa)がリン酸ナトリウムで処理されて、溶媒が除去されることを特徴とする、方法。
【0083】
8.式(I)
【化62】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式(II)
【化63】
のピリジンから、適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、光の照射によって調製する方法。
【0084】
9.式(I)
【化64】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、式(II)
【化65】
のピリジンから、アセトン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、0.05%~10%の濃度範囲で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エンの存在下で、40℃~60℃の温度での光の照射によって調製する段落8に記載の方法であって、ここで、5~12当量の有機塩基が使用される、方法。
【0085】
段落(1)~(42)
以下の段落(1)~(42)に、本発明のさらなる実施形態を記載する。
【0086】
(1)式(I)
【化66】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、
式(Ia)および/または(Ib)
【化67】
のエナンチオマーから調製する方法であって、
ステップ(i):
(i)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ia)および/または(Ib)の上記エナンチオマーに光を照射するステップ
を含み、ステップ(i)における上記照射は、場合により0℃~100℃の温度で行われる、方法。
【0087】
(2)ステップ(i)における光の上記照射が、30℃~70℃の温度で行われる、段落(1)に記載の方法。
【0088】
(3)ステップ(i)における光の上記照射が、40℃~60℃の温度で行われる、段落(1)または(2)に記載の方法。
【0089】
(4)ステップ(i)における上記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(1)から(3)のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
(5)ステップ(i)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(1)から(4)のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
(6)ステップ(i)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(1)から(5)のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
(7)ステップ(i)で上記溶媒または溶媒混合物中で使用される上記エナンチオマーの濃度範囲が、上記溶媒または溶媒混合物の体積に基づいて0.05%~10%(m/v)である、段落(1)から(6)のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
(8)ステップ(i)における上記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(1)から(7)のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
(9)ステップ(i)で1~20当量の有機塩基が使用される、段落(1)から(8)のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
(10)ステップ(i)で2~15当量の有機塩基が使用される、段落(1)から(9)のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
(11)ステップ(i)で5~12当量の有機塩基が使用される、段落(1)から(10)のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
(12)ステップ(i)における上記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、段落(1)から(11)のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
(13)ステップ(i)における上記照射が、10時間~20時間の期間にわたって行われる、段落(1)から(12)のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
(14)式(Ia)
【化68】
の(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを調製する方法であって、
ステップ(ii)、(iii)、および(iv):
(ii)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(Ib)
【化69】
の化合物に光を照射するステップであって、式(Ib)の上記化合物は、式(I)
【化70】
のラセミ化合物に変換される、ステップ、
(iii)式(III)
【化71】
のキラル酒石酸エステルを用いた、ステップ(ii)からのこのラセミ化合物(I)のスピリッツ/水混合物中での光学分割ステップであって、ジアステレオマー塩(IVa)
【化72】
が形成される、ステップ、および
(iv)ステップ(iii)からの上記ジアステレオマー塩(IVa)を塩基で処理するステップであって、式(Ia)の上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法。
【0100】
(15)ステップ(v):
(v)上記溶媒または上記溶媒混合物の除去ステップ
をさらに含む、段落(14)に記載の方法。
【0101】
(16)ステップ(ii)における上記照射が、0℃~100℃の範囲の温度で行われる、段落(14)または(15)に記載の方法。
【0102】
(17)ステップ(ii)における光の上記照射が、30℃~70℃の温度で行われる、段落(14)から(16)のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
(18)ステップ(ii)における光の上記照射が、40℃~60℃の温度で行われる、段落(14)から(17)のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
(19)ステップ(ii)における上記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(14)から(18)のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
(20)ステップ(ii)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(14)から(19)のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
(21)ステップ(ii)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(14)から(20)のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
(22)ステップ(ii)で上記溶媒または溶媒混合物中で使用される上記エナンチオマーの濃度範囲が、上記溶媒または溶媒混合物の体積に基づいて0.05%~10%(m/v)である、段落(14)から(21)のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
(23)ステップ(ii)における上記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(14)から(22)のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
(24)ステップ(ii)で1~20当量の有機塩基が使用される、段落(14)から(23)のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
(25)ステップ(ii)で2~15当量の有機塩基が使用される、段落(14)から(24)のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
(26)ステップ(ii)で5~12当量の有機塩基が使用される、段落(14)から(25)のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
(27)ステップ(ii)における上記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、段落(14)から(26)のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
(28)ステップ(ii)における上記照射が、6時間~35時間の期間にわたって行われる、段落(14)から(27)のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
(29)式(I)
【化73】
のラセミ体の(4R,4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを、
式(II)
【化74】
のピリジンから調製する方法であって、
ステップ(vi):
(vi)適切な溶媒または溶媒混合物中で、塩基の存在下で、式(II)の上記化合物に光を照射するステップであって、式(I)による上記化合物が形成される、ステップ
を含む、方法。
【0115】
(30)ステップ(vi)における上記照射が、0℃~100℃の温度で行われる、段落(29)に記載の方法。
【0116】
(31)ステップ(vi)における光の上記照射が、30℃~70℃の温度で行われる、段落(29)または(30)に記載の方法。
【0117】
(32)ステップ(vi)における光の上記照射が、40℃~60℃の温度で行われる、段落(29)から(31)のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
(33)ステップ(vi)における上記溶媒または溶媒混合物が、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、4-メチル-2-ペンタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(29)から(32)のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
(34)ステップ(vi)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(29)から(33)のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
(35)ステップ(vi)における上記溶媒または溶媒混合物が、アセトン、アセトニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(29)から(34)のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
(36)ステップ(vi)で上記溶媒または溶媒混合物中で使用される上記エナンチオマーの濃度範囲が、上記溶媒または溶媒混合物の体積に基づいて0.05%~10%(m/v)である、段落(29)から(35)のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
(37)ステップ(vi)における上記塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、TBD、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、テトラメチルグアニジン、N,N,N,N-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン、ルチジン、ピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ホスファゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、段落(29)から(36)のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
(38)ステップ(vi)で1~20当量の有機塩基が使用される、段落(29)から(37)のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
(39)ステップ(vi)で2~15当量の有機塩基が使用される、段落(29)から(38)のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
(40)ステップ(vi)で5~12当量の有機塩基が使用される、段落(29)から(39)のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
(41)ステップ(vi)における上記照射が、1時間~40時間の期間にわたって行われる、段落(29)から(40)のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
(42)ステップ(vi)における上記照射が、10時間~20時間の期間にわたって行われる、段落(29)から(41)のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0128】
実験
【0129】
【表1】
【0130】
以下の表は、HPLCで回収した化合物の構造を示す。HPLCにおける保持時間の割り当てを以下に示す。
【0131】
【表2A】
【表2B】
【0132】
1)ジベンゾイル酒石酸の段階での不純物の含有量およびエナンチオマー純度を確認するための分析方法
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
2)ジアステレオマー塩の段階での不純物の含有量およびエナンチオマー純度を確認するための分析方法
【0136】
【表5】
【0137】
【表6】
【0138】
3)粗フィネレノン(Ia)の段階での不純物の含有量およびエナンチオマー純度を確認するための分析方法
【0139】
【表7】
【0140】
【表8】
【0141】
エナンチオマー純度
方法B
RT(分) RRT
フィネレノン(Ia) 5.7 1.00
エナンチオマー(Ib) 6.8 1.19
機器/検出器:温度制御されたカラムオーブン、UV検出器、およびデータ評価システムを備えた高速液体クロマトグラフ
測定波長:252nm
オーブン温度:40℃
カラム:Chiralpak IC
長さ:150mm、内径:4.6mm、粒径:3μm
移動相:
A:50%緩衝液 20mM NH4OAc酢酸塩 pH9
B:50%アセトニトリル
流量:1ml/分
溶出時間:8分
平衡化:不要、アイソクラティック
試料溶媒:溶離液
試料溶液:試料溶媒に溶解した約0.5mg/mlの物質のラセミ体
比較溶液:試料溶液と類似した比較溶液を調製する。
注入体積:10μl
【0142】
エナンチオマー決定のための以下の実施例に記載の測定値は、すべて方法Bによって決定した。いくつかの値、特にパイロットプラントで調製されたバッチの値を比較のために方法Aで再分析し、同等の結果を得た。
【0143】
最終生成物である純粋なフィネレノン(Ia)の純度および含有量に関して以下の実施例に示すHPLC分析データは、0.05%超の量で生成物中に存在する不純物のみに関する。これは、本質的に不純物Eである。先に列挙した表に示す他のすべての不純物は、一般に0.05%未満である。このような不純物の構造は、濃縮された母液からの単離によって決定した。
以下の機器を実施例で使用した。
【0144】
酸素測定装置
「pyro science sensor technology」からの酸素測定装置を使用した。この装置は、光ファイバーおよび場合によりロギングを使用して酸素含有量を測定し保存する「Firesting O2」モデルであった。
【0145】
反応装置
スクリーニング試験(最大1000mlの反応体積)のために、反応器と付属品とを備えたPeschl Ultraviolett製の小型の自己構築システムを最初に使用した。同様に、さまざまな製造業者からの部品を備えた、やはり特にPeschl Ultraviolett製の自己構築システムで、より大規模な初期アプローチ(1000ml~2500mlの反応体積)を行った。その後、Peschl Ultraviolett製のコンパクト反応プラントでスクリーニングおよび大型バッチを行った。
【0146】
個々のバッチを実施するために、バッチ反応器またはサイドループ反応器のいずれかと、流下薄膜反応器とを使用した。
【0147】
UVランプ
個々のバッチには、Peschl Ultraviolett製の低圧水銀ランプおよびLEDランプを使用した。詳細には、これらのランプは、TQ 150(出力150W)、TQ 1000(1000W)、およびTQ 2000(2000W)、ならびに波長365nmおよび405nmのLEDランプ(出力40W)であった。低圧水銀ランプ(TQ XXX HG)は、260~600nmのスペクトル範囲の光を生成した。
【0148】
ランプ用の「フィルター」およびガラスホルダー
それぞれのUVランプは、透明石英またはDuranガラスからなるガラスホルダーに取り付けられた。Duranガラスは310nm未満をフィルタリングする。
【0149】
合成空気
20%酸素/80%窒素、および30%酸素/70%窒素の合成空気を使用した。
【0150】
さらに低い酸素含有量の場合、合成空気を窒素で希釈した。
【0151】
光化学的再利用プロセスで使用される間違ったエナンチオマー(Ib)は、一方ではキラル固定相(アセトニトリル/メタノール溶離液混合物、例えば70:30、および例えばPhase Chiralpak AS-V、20μmを使用)でのSMB分離による光学分割(国際公開第2016/016287号パンフレット参照)によって得られてもよく、他方では(+)-O,O-ジベンゾイル-D-酒石酸を用いた光学分割によって調製されてもよい。
【0152】
対掌体(Ia)と(Ib)とはそれらの光化学的性質が異ならないので、場合によっては両方の化合物を使用した。これは、結果が転換可能であるためである。したがって、対応する間違ったエナンチオマー(Ib)を大規模にラセミ化することを目的としながらも、両方の対掌体を使用して光化学的再利用を進展させた。
【0153】
実施例1
無水(+)-O,O-ジベンゾイル-D-酒石酸(III)を使用した実験室バッチ
【0154】
実施例1a
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ia)の酒石酸塩(IVa)の調製
ラセミ体(I)(rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド)250g(660.616mmol)を、最初に、トルエン/水=75:25(v/v)で変性したエタノールからなる混合物3500mlに、室温(約23℃)で加えた。(+)-O,O-ジベンゾイル-D-酒石酸(III)130.2g(363.339mmol)を、固体用漏斗を用いて加え、その後エタノール(トルエンで変性)/水=75:25(v/v)からなる混合物250mlですすいだ。得られた懸濁液を0.75時間かけて内部温度75℃まで加熱し、次いで、この温度で3.0時間撹拌した。その後、冷却勾配を用いて、混合物を5.0時間かけて23℃まで冷却し、次いで、この温度で一晩(約16時間)撹拌した。懸濁液をフリットで濾別し、エタノール(トルエンで変性)/水=75:25(v/v)からなる混合物250mlで1回すすいだ。湿収量:334.7g。次いで、湿った生成物を50℃で一晩(約16時間)、減圧下(100mbar未満)で乾燥させた。収量:無色結晶性粉末250.2g(理論値の100.08%)。
分析結果:
【0155】
【表9】
【0156】
MS (Method 1C):m/z = 379 [M]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ = 1.05 (t, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.99-4.07 (m, 2H), 5.39 (s, 1H), 5,89 (s, 2H), 6.60-6.84 (m (broad signal), 2H), 7.14 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7,61 (t, 4H), 7.69 (s, 1H), 7,75 (t, 2H), 8,04 (d, 4H), 12,50-15,40 (very broad signal, 2H) and signal from DMSO solvent and elevated water signal:δ = 2.5-2.6, and small peaks at δ = 3.40 -3.50 (q) and δ = 1.05- 1.10 (t), superimposed signal from residual ethanol solvent.
【0157】
実施例1b
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの粗生成物(Ia)の調製
室温で、実施例1aで調製した化合物(IVa)248gを、エタノール(トルエンで変性)/水=20:80(v/v)からなる混合物2480mlに懸濁させた(pHはpH=4と測定された)。その後、リン酸ナトリウム水溶液(水1000mlに溶解したリン酸ナトリウム100g)819.6gを60分かけて滴下し、pH=7.2に調整した。混合物を23℃でさらに50分間撹拌した(pH=7.1)。その後、リン酸ナトリウム水溶液(水1000mlに溶解したリン酸ナトリウム100g)98.3gを10分かけて滴下し、pH=7.5に調整した。1時間かけて、この混合物を内部温度50℃まで加熱し、この温度で3.0時間撹拌した。混合物を1時間かけて22℃まで冷却し、この温度でもう1時間撹拌した。結晶をフリットで濾別し、エタノール(トルエンで変性)/水=20:80(v/v)からなる混合物200mlで1回、100mlで1回、水200gで2回洗浄する。湿収量:263.4g。次いで、湿った生成物を50℃で週末にわたって(48時間超)、減圧下(100mbar未満)で乾燥させた。収量:無色結晶性粉末116.9g(理論値の93.52%)。
分析結果:
【0158】
【表10】
【0159】
MS (Method 1C):m/z = 379 [M]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ = 1.05 (t, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.99-4.07 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 6.60-6.84 (m (broad signal), 2H), 7.14 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.69 (s, 1H) and signal from DMSO solvent and significantly enhanced water signal:δ = 2.5-2.6, and a very small peak at δ = 3.38 (not assignable).
【0160】
実施例1c
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの純粋な生成物(Ia)の調製
実施例1bで調製した粗生成物(Ia)116.0gをエタノール(トルエンで変性)2330mlに懸濁させ、次いで加熱還流した。加熱すると、生成物は溶解した。この温度で1時間撹拌を続けた。溶液を加熱した加圧フィルター(T=75℃)で濾別し、次いで加圧フィルターをエタノール(トルエンで変性)30mlですすいだ。次いで、最終体積が約4倍(使用した物質に基づく:116g×4 約484ml)になるまで溶媒を留去した(約1920mlを留去した)。次いで、混合物を内部温度23℃まで(約1.5~2時間かけて)冷却した。次いで、混合物を内部温度3℃で2時間撹拌した。生成物を濾別し、エタノール(トルエンで変性)100mlで1回すすいだ。湿収量:124g。湿った生成物を、50℃で週末にわたって(48時間超)、減圧下(100mbar未満)で乾燥させた。収量:無色結晶性粉末(微細針状結晶)112.6g(理論値の97.07%)。
分析結果:
【0161】
【表11】
【0162】
MS (Method 1C):m/z = 379 [M]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ = 1.05 (t, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.99-4.07 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 6.60-6.84 (m (broad signal), 2H), 7.14 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.69 (s, 1H) and small signals from DMSO solvent and water at δ = 2.5-2.6 and a very small peak at δ = 3.38 (not assignable)
変形例:Mod A(国際公開第2016/016287号パンフレットに定義される通り)
【0163】
実施例1d
(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの母液からの間違ったエナンチオマー(Ib)の単離
室温で、実施例1aからの合わせた母液と洗浄液と(約3750mlの黄色がかった溶液、pH=4.5)を、リン酸ナトリウム水溶液(水1lに溶解した100g)101.1gを加えることによってpH=7.5に調整した。減圧下(85~65mbar、内部温度38℃~20℃)で、次いでスピリッツを実質的に留去し、混合物を約0.85lの最終体積まで減少させた。混合物を室温まで冷却し、沈殿した懸濁液を週末にわたって(48時間超)撹拌し、次いで、22℃でさらに2時間撹拌した。懸濁液を吸引により濾別し、各回200mlの水で2回洗浄した。湿収量:139.1g。湿った生成物を、50℃で一晩(約16時間)、減圧下(100mbar未満)で乾燥させた。収量:103.1g(実施例1aで使用したラセミ体(I)に基づいて理論値の82.48%)。
【0164】
【表12】
【0165】
実施例2
光化学に関する立ち上げ実験
溶媒の影響(最適な溶媒を選択するためのスクリーニング実験)
S-フィネレノン(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(99%e.e.超)を溶媒または溶媒混合物(表参照)中でLEDにより365nmで10分間照射した。2当量のDBUを使用した。濃度は約1.5%であった。結果を以下の表に示す。
開始時に、驚くほど大量のピリジン化合物(II)が見つかった。
【0166】
【表13】
【0167】
【表14】
【0168】
実施例3
光化学に関する立ち上げ実験
塩基の影響(最適な塩基を選択するためのスクリーニング実験)
S-フィネレノン(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(99%e.e.超)をアセトン中でLEDにより365nmで10分間照射した。2当量の塩基を使用した。濃度は約1.5%であった。結果を以下の表に示す。
【0169】
【表15】
【0170】
実施例4
溶媒:アセトニトリル
【0171】
実施例4a
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のためのフィネレノン(Ia) (4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
装置:光ループ反応器FT03、UVランプQ1023、70rpmでのWatson-Marlow 620s蠕動ポンプ(一体化したGORE(登録商標)STA-PURE(登録商標)ポンプチューブつき)、反応器およびレシーバー用の2つの50℃のサーモスタット、レシーバーおよびランプにN2を通す。
S-フィネレノン (4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(99%e.e.超)21.16gを2.5Lのアセトニトリル(1949.99g)に溶解し、DBU 51.30g(6当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、最初に合成空気(30%酸素)で30分間ガス供給し、その後一定の窒素流下に置いた。5時間後、合成空気(30%O2)をさらに1時間導入し、次いで再び一定の窒素流に調整した。総照射時間:16時間。反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:12%e.e.、純度:87%、含有量:81%。
【0172】
次いで、反応溶液を後処理した。
【0173】
反応溶液を150mLまで濃縮した。次いで、500mLの水を撹拌しながら3時間かけて滴下した。200mLを滴下した後、乳白色の沈殿物が観察された。300mLの後、溶液は濁った。混合物を室温(約20℃)で24時間撹拌した。懸濁液を濾過し、生成物を100mLの水で洗浄した。生成物を45℃、60mbarで72時間かけて乾燥させた。
収量:無色結晶性粉末(I rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド)16.02g(理論値の76%)
分析:
固形分:97.3%
エナンチオマー過剰率:0.9%
純度:98.30面積%(HPLC)
【0174】
実施例4b
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(ステージ1)、Duranガラスチューブ、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド2.13gを250mLのアセトニトリル(196.69g)に溶解し、4.95gのDBU(6当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、溶液を合成空気で30分間満たした。次いで、反応物を一定の窒素流下に置いた。総照射時間:8.5時間。反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:9%e.e.、純度:91%、含有量:91%。
【0175】
実施例4c
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(ステージ1)、Duranガラスチューブ、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド2.11gを250mLのアセトニトリル(195g)に溶解し、2.55gのDBU(3当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、溶液を合成空気で30分間満たした。次いで、反応物を一定の窒素流下に置いた。総照射時間:13時間。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:10.7%e.e.、純度:95.93%、含有量:97%。
【0176】
実施例4d
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(ステージ1)、Duranガラスチューブ、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド2.15gを250mLのアセトニトリル(195g)に溶解し、5.13gのDBU(6当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、溶液を合成空気で30分間満たした。次いで、反応物を一定の窒素流下に置いた。総照射時間:7時間45分。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:15%e.e.、純度:95.4%、含有量:97%。
【0177】
実施例4e
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(ステージ1)、Duranガラスチューブ、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド2.12gを250mLのアセトニトリル(195g)に溶解し、5.12gのDBU(6当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、溶液を合成空気で15分間満たした。次いで、反応物を一定の窒素流下に置いた。総照射時間:8時間7分。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:12.6%e.e.、純度:95.4%、含有量:97.4%。
【0178】
実施例4f
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器FT03、スリット幅1.0mm、UVランプQ1023、Ismatec MCP-Zギアポンプ、2.4L/mの流量、反応器およびレシーバー用の2つの50℃のサーモスタット、レシーバーおよびランプに窒素を通す。窒素流レシーバー:約360mL/分、合成空気の制御により0.5%の規定酸素含有量に調整。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド10.62gを2.5Lのアセトニトリル(1946.32g)に溶解し、25.23gのDBU(6当量)を加えた。反応混合物に窒素/酸素流で絶えずガス供給し、ここでは酸素含有量を0.5%に制御した。ランプのスイッチを入れて反応を開始した。6時間後、照射を停止し、溶液を窒素/酸素下、RTで一晩保存した。続き:8時間後、照射を停止し、溶液を窒素/酸素下、RTで一晩保存した。続き:2時間後、酸素制御のスイッチを切った。5時間後に停止し、バッチを完了した。総照射時間:19.5時間。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:8.22%e.e.、純度:91.47%。
【0179】
実施例4g
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器FT03、スリット幅1.0mm、UVランプQ1023、Watson-Marlow蠕動ポンプ、4L/分の流量、反応器およびレシーバー用の2つの45℃のサーモスタット、レシーバーおよびランプに窒素を通す。窒素流レシーバー:約500mL/分、合成空気の制御により18.0%の規定酸素含有量に調整。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド7.52gを2.5Lのアセトニトリル(1952.7g)に溶解し、18.1gのDBU(6当量)を加えた。反応混合物に最初に合成空気流で絶えず30分間ガス供給し、ここでは酸素含有量を18.6%に制御した。
30分後、これを純窒素に切り替えたところ、酸素含有量は約75分以内に0%に低下した。ランプのスイッチを入れて反応を開始した。8.5時間後、照射を停止した。総照射時間:8.5時間。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:8.41%e.e.、純度:89.66%。
【0180】
実施例4h
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器FT03、スリット幅1.0mm、UVランプQ1023、Watson-Marlow蠕動ポンプ、4L/分の流量、反応器およびレシーバー用の2つの45℃のサーモスタット、レシーバーおよびランプに窒素を通す。窒素流レシーバー:約500mL/分、合成空気の制御により17.0%の規定酸素含有量に調整。開始から30分まで:酸素含有量16.7%。30分から8時間:酸素含有量0%。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド7.50gを2.5Lのアセトニトリル(1951g)に溶解し、17.4gのDBU(6当量)を加えた。反応混合物に最初に合成空気流で絶えず30分間ガス供給し、ここでは酸素含有量を16.7%に制御した。30分後、これを純窒素に切り替えたところ、酸素含有量は約40分以内に0%に低下した。ランプのスイッチを入れて反応を開始した。8時間後、照射を停止した。総照射時間:8時間。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:4.08%e.e.、純度:87.55%。
【0181】
実施例4i
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:流下薄膜光反応器FORA 01、UVランプTLED 100/365nm、反応器およびレシーバー用の45℃のサーモスタット、レシーバーおよび反応器に窒素および酸素を通す。窒素流レシーバー:約300mL/分、合成空気の制御により18.0%または0%の規定酸素含有量に調整。
間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド3.41gを450mLのACN(350g)に溶解し、8.2gのDBU(6当量)を加えた。反応混合物に最初に合成空気流で絶えず30分間ガス供給し、ここでは酸素含有量を18.4%に制御した。30分後、これを純窒素に切り替えたところ、酸素含有量は約30分以内に0.4%に低下した。60分後、酸素含有量は0.0%であった。照射を8時間後に停止し、反応混合物をレシーバー容器中で窒素下20℃で一晩保存した。総照射時間:8時間。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:9.45%e.e.、純度:83.02%。
【0182】
実施例5
溶媒:DMF ジメチルホルムアミド
【0183】
実施例5a
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマー(Ib)を照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:流下薄膜反応器を備えたEVO光反応器FoRA 02、およびTLED 365ランプで8時間、TQ 2000ランプで2時間(いずれの場合も石英シェルチューブ)
35.0gの(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ib)および(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドを2500mLのDMF(2350g)に溶解し、84.5gのDBU(6当量)を加えた。反応混合物を反応器に移し、サーモスタットを45℃に設定した。合成空気を供給したところ、反応器内の酸素含有量は18.2%であった。循環ポンプのスイッチを入れ、流量制御を約90g/分に制御した。レシーバーの温度を45℃に調整し、反応器の温度を44℃に設定した。酸素含有量を決定するためにサンプリングを開始した。
100%の出力でランプを点灯したt=0分で、酸素含有量は18%であった。
t=30分で、窒素注入に切り替える。
t=120分で、酸素サンプルを測定する。結果:酸素=0.0%
t=240分で、酸素サンプルを測定する。結果:酸素=0.0%
t=420分で、酸素サンプルを測定する。結果:酸素=0.0%
【0184】
次いで、ランプおよびサーモスタット、ならびにポンプのスイッチを切った。窒素供給を一晩行った。次いで、さらなる照射を行うためにTQ 2000ランプをリセットした。
再開後、再び酸素サンプルを測定したところ、酸素の結果=0.0%であった。
次いで、ランプおよびポンプのスイッチを切り、実験を終了した。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:3.45%e.e.、純度:94.54%。
【0185】
実施例5b
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
【0186】
反応速度を調べた。
装置:大型光ループ反応器、UVランプQ1023、100%出力(U=150V、I=6.8)、石英シェルチューブ、Duran浸漬フィンガー、2つの50℃のサーモスタット、70rpmでのWatson-Marlow 620s蠕動ポンプ(一体化したGORE STA-PUREポンプチューブつき)、反応器内壁はバッチの前に確認し、洗浄する。ランプおよびレシーバーに窒素を通す。
(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド40.54gをDMF 2.0L(1881.52g)に加え、次いでこれに95.84mL(6当量、95.91g)のDBUを加え、次いで混合物を超音波浴で10分間脱気した。次いで、この反応混合物を(窒素下で)貯蔵容器に移し、0.7LのDMF(696.95g)ですすいだ。次いで、反応混合物を窒素下、流速120L/hで15分間平衡化した。UVランプのスイッチを入れて反応を開始した。週末にわたって反応溶液に放電し、400mLのDMF(372.19g)ですすいだ。その後、反応を続けた。総照射時間:34時間。以下の表は、34時間にわたるラセミ化の結果を示す。
【0187】
【表16】
【0188】
実施例6
溶媒混合物:アセトニトリル/アセトン=19:1
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ib)の照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(ステージ1)、Duran、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。
(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ib)2.12gを237.5mL(190.08g)のアセトニトリルおよび12.5mL(9.48g)のアセトンに溶解し、4.89gのDBU(6当量)を加えた。ランプのスイッチを入れて反応を開始し、開始時に一定の窒素流下に置いた。6時間40分の反応時間の後、回収容器に10分間通気した。7時間15分の後から8時間まで、および9時間30分から13時間10分までの反応時間に、窒素流を中断した。これらの相の間および後に、一定の窒素流下で反応を行った。総照射時間は16時間10分であった。
反応が完了した後、反応溶液のサンプル測定値を測定した:9%e.e.、純度:90%、含有量:90%。
【0189】
実施例7
溶媒:アセトン
rac (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(I)の調製のための間違ったエナンチオマー(Ib) (4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの照射
同様に、実施例4aに記載したように、間違ったエナンチオマーを照射し、反応が完了した後に評価した。
装置:
大型光ループ反応器、UVランプQ1023、100%出力(U=150V、I=6.8)、石英シェルチューブ、Duran浸漬フィンガー、2つの50℃のサーモスタット、70rpmでのWatson-Marlow 620s蠕動ポンプ(一体化したGORE STA-PUREポンプチューブつき)、反応器内壁はバッチの前に確認し、洗浄する。反応器およびレシーバーに窒素を通す。
間違ったエナンチオマー(4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ib)20.50gをアセトン2.0L(1564.06g)に加え、次いでこれに48.28mL(6当量、47.75g)のDBUを加えた。混合物を超音波浴で10分間脱気した。次いで、この反応混合物を(窒素下で)貯蔵容器に移し、0.6Lのアセトン(591.01g)ですすいだ。次いで、反応混合物を窒素下、流速120L/hで15分間平衡化した。UVランプのスイッチを入れて反応を開始した。総照射時間は12時間であった。
【0190】
以下の表は、12時間にわたるラセミ化の結果を示す。
【0191】
【表17】
【0192】
実施例8
ピリジン誘導体(II)からのrac (I) (4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミドの調製
装置:光ループ反応器、UVランプTQ 150(新たなランプ)、M282シェルチューブ、循環ポンプ、サーモスタット(50℃)、5mmの層厚。試験前にランプを確認した。ガス調整器によってアルゴンを最小限に抑える。UV/VIS反応モニタリング:ポンプ出口と反応器への入口との間に設置された1mmのフロースルーキュベット。OceanOptics FLAME分光計、重水素/ハロゲン光源。
ピリジン誘導体(II)3.75gを250mLのアセトンに溶解し、超音波浴で15分間脱気した。反応混合物は透明な黄色溶液である。次いで、貯蔵容器内の反応器に入れ、アルゴン下に保った。(流速500ml/分)。
【0193】
次いで、反応混合物を50℃まで加熱し、アルゴン下で30分間平衡化した。次いで、9mL(9.18g、6当量)のDBUをアルゴン下で加えた(DBUは窒素下で保存した)。反応混合物は透明な黄色がかった溶液である。次いで、照射を開始した。5時間34分後、UVでプラトーが表示された後、ランプのスイッチを切った。次いで、2当量のDBU(3mL)を加え、反応を続けた。総照射時間は6時間であった。
結果:
Rac-(I) rac-(4S,4R)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド:純度:91.4%(HPLC)
ピリジン誘導体(II):1.5%
【0194】
実施例9
照射バッチの再現性
同様に、実施例4aに記載したように、量が異なり溶媒が異なる(アセトンおよびアセトニトリル)、いくつかのバッチを使用した。濃度は約1%であり、それぞれの場合に6当量のDBUを使用した。
【0195】
水沈殿後に得られた生成物を乾燥させ、次いで、スピリッツ(すなわち、エタノール)から再結晶化した。結晶化は以下のように行った:実例:
後処理(反応溶液の濃縮、水沈殿、単離および乾燥)後に得られたラセミ体(I)30gをスピリッツ600mlに加え、次いで懸濁液を加熱して穏やかに還流した(T内部=75℃)。約57℃の内部温度から黄色溶液が形成された。混合物をこの温度で30分間さらに撹拌した。次いで、混合物を、(50mlのスピリッツに浸した)珪藻土で覆われたP4フリットで濾過することによって清浄化し、50mlで洗浄した。
【0196】
スピリッツを減圧下で留去したところ、体積が約5分の1に減少した。蒸留の終わりに向かって結晶化が始まり、容易に撹拌可能な淡黄色の懸濁液が得られた。混合物を放置して23℃まで冷却した。混合物を内部温度23℃で一晩さらに撹拌した。次いで、混合物を内部温度2℃まで冷却し、この温度でさらに2時間撹拌した。結晶を45mmのP3フリットで単離し、45mlのスピリッツで冷やして1回洗浄した。
【0197】
これを真空乾燥キャビネット内で窒素供給空気下、50℃で約100mbarで乾燥させた。結果を以下の表にまとめる。
【0198】
【表18】
【0199】
実施例10
実施例4aからの再利用されたrac生成物(I)からのフィネレノン(Ia)の調製
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド
【0200】
実施例10a
(+)O,O-ジベンゾイル酒石酸塩(IVa) (4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ia)の調製
実施例4aからの標題化合物(I)14.3gを最初にスピリッツ127.1gに加え、水53.7gを加えた。その後、7.4gの(+)-O,O-ジベンゾイル-D-酒石酸を加えた。やや黄色がかった色の懸濁液を内部温度75℃まで1時間かけて加熱し(浴温度は82~85℃である)、次いで、この温度で3時間撹拌した。油浴のスイッチを切り、内部温度を約5時間で22℃まで冷却し、混合物をこの温度で一晩さらに撹拌した(もし撹拌機のスイッチを切った場合、結晶はかなり急速に沈降した)。懸濁液をP4フリット(50ml)で単離し、スピリッツ15.5gと水6.5gとの混合物で1回洗浄した:湿収量:23.2g。乾燥は、真空乾燥キャビネット内で、窒素下で50℃、100mbar未満で一晩行った。
収率:(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド(Ia)の酒石酸塩(IVa)14.0g
分析:
純度 98%超(HPLC)
エナンチオマー過剰率:96.42%e.e.
【0201】
実施例10b
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド、粗(Ia)
実施例10aからの標題化合物13.00gを水104.0gに懸濁させ、次いでトルエン変性エタノール(スピリッツ)20.5gを加えた。pHはpH=4.0であった。1時間かけて内部温度50℃まで加熱し、浴温度60~62℃まで加熱した。約30分かけて、リン酸ナトリウム溶液(100gのNa3PO4/1Lの水)で懸濁液をpH=7.3に調整した。次いで、懸濁液を内部温度50℃で60分間撹拌し、リン酸ナトリウム溶液(100gのNa3PO4/1Lの水)でpH=7.5に再調整した。次いで、混合物を内部温度50℃で180分間撹拌した。油浴のスイッチを切り、放置して冷却した。混合物を内部温度23℃で一晩さらに撹拌した。結晶を50mmのP3フリットで単離し、4.0gのエタノールと20.4gの水との混合物で1回、次いで各回21gの水で2回洗浄した。
湿収量:7.6g。これを真空乾燥キャビネット内で窒素供給空気下、50℃で一晩乾燥させた。
収量:標題化合物6.3g。
分析:
純度 99.21%超(HPLC)
エナンチオマー過剰率:97.21%e.e.
【0202】
実施例10c
(4S)-4-(4-シアノ-2-メトキシフェニル)-5-エトキシ-2,8-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド、純粋な(Ia)
実施例10bからの標題化合物5.0gを、トルエン変性エタノール(=スピリッツ)100ml(20倍)に加えた。懸濁液を加熱して穏やかに還流した。内部温度は75℃であり、浴温度は約90~92℃であった。内部温度約70℃から、溶液は完全に溶解した。この温度で1時間撹拌を続けた。次いで、溶媒をわずかに減圧下(40℃の浴温度)で留去し、約5倍(約25ml)まで濃縮した。これを室温で一晩撹拌し、次いで、内部温度1~2℃まで冷却し、この温度で約2時間さらに撹拌した。結晶を30mmのP4フリットで単離し、次いで、各回5mlのトルエン変性冷エタノールで2回洗浄した。
湿収量:5.2g
乾燥は、真空乾燥キャビネット内で80℃、窒素/空気供給下で100mbar未満で一晩行った。
収量:標題化合物4.4g
分析:
純度 99.62%超(HPLC)
エナンチオマー過剰率:99.45%e.e.
【国際調査報告】