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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】薬物組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/27 20060101AFI20221215BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221215BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K31/27
A61P25/28
A61K9/08
A61K9/19
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/02
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522992
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2020120983
(87)【国際公開番号】W WO2021073548
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】201910984428.7
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010721215.8
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515014990
【氏名又は名称】サンシャイン・レイク・ファーマ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNSHINE LAKE PHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Northern Industrial Area,Songshan Lake,Dongguan,Guangdong 523000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】郭 彬彬
(72)【発明者】
【氏名】李 娟
(72)【発明者】
【氏名】宋 平
(72)【発明者】
【氏名】郭 嘉俊
(72)【発明者】
【氏名】▲塗▼ 柳▲曉▼
(72)【発明者】
【氏名】田 ▲發▼▲銀▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲歩▼文
(72)【発明者】
【氏名】游 ▲勁▼松
(72)【発明者】
【氏名】黄 芳芳
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA29
4C076BB11
4C076CC01
4C076DD22Z
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD41Z
4C076DD42Z
4C076DD43Z
4C076DD59Q
4C076DD63Q
4C076EE16F
4C076EE23F
4C076EE23Q
4C076EE30F
4C076EE32F
4C076EE38F
4C076EE42F
4C076FF16
4C076FF31
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA21
4C206KA09
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA64
4C206MA86
4C206NA12
4C206ZA16
(57)【要約】
本発明は、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤を提供する。上記製剤は、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル、懸濁剤、安定剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、及び溶媒を含有する。上記製剤は、即時使用可能な液体注射剤であってもよく、凍結乾燥粉末注射剤であってもよい。上記製剤は、注射後の徐放効果が明らかであり、薬物作用時間を延長し、投与回数を減らし、患者のコンプライアンスを向上させ、生物学的利用能を向上させることができる。本発明は、上記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法をさらに提供し、当該方法は、簡単で経済的であり、工業化生産に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50が1.0μm~20.0μmである、ことを特徴とする((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル製剤。
【請求項2】
安定剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記安定剤の濃度範囲は5.0mg/mL~48.0mg/mLである、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記安定剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、スパン20、レシチン、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407及びポリオキシル15ヒドロキシステアレートから選択される少なくとも1種を含む、請求項2又は3に記載の製剤。
【請求項5】
懸濁剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記懸濁剤の濃度範囲は0.35mg/mL~125.0mg/mLである、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記懸濁剤は、デキストラン、ゼラチン、ヒプロメロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール6000、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種を含む、請求項5又は6に記載の製剤。
【請求項8】
pH調整剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記pH調整剤は、塩酸、水酸化ナトリウム、酢酸、リン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、炭酸及びその塩、クエン酸及びその塩から選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
(a)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)担体と、任意に、
(c)注射用水と、を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
(a)濃度範囲が105.0mg/mL~300.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)担体と、任意に、
(c)注射用水と、を含み、
少なくとも1週間の期間にメマンチンを持続放出する、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
(a)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、及びポリソルベート80とスパン20との混合物から選択される安定剤と、及び/又は
(c)ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択される懸濁剤と、を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
(a)濃度範囲が105.0mg/mL~300.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、及びポリソルベート80とスパン20との混合物から選択され、濃度範囲が5.0mg/mL~48.0mg/mLである安定剤と、及び/又は
(c)ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択され、濃度範囲が0.35mg/mL~125.0mg/mLである懸濁剤と、を含み、
任意に、pH調整剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
(a)濃度範囲が125.0mg/mL~250.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度範囲が5.0mg/mL~25.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と、及び/又は
(c)濃度範囲が50.0mg/mL~120.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、を含み、
任意に、pH調整剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度は125.0mg/mLである、請求項1~14に記載の製剤。
【請求項16】
(a)濃度が125.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度が8.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と、
(c)濃度が100.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は105.0mg/mL~300.0mg/mLである、請求項1~12のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、ポリソルベート20とスパン20との混合物、及びポリソルベート80とスパン20との混合物から選択される安定剤を含む、請求項1~11又は15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択される懸濁剤を含む、請求項1~11又は15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項20】
pH範囲は6.0~9.0である、請求項1~19のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項21】
注射後、少なくとも1週間の期間にメマンチンを持続放出する、請求項1~20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
即時使用可能な液体注射剤又は凍結乾燥製剤である、請求項1~21のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項23】
(a)安定剤を水と混合し、任意に、懸濁剤を添加するステップと、
(b)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを添加して、懸濁液を得るステップと、
(c)任意に、pH調整剤で調整して、定容するステップと、
(d)前記懸濁液を粉砕して、最終懸濁液を得るステップと、を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の製剤の調製方法。
【請求項24】
凍結乾燥製剤を調製するステップをさらに含み、前記ステップは、前記最終懸濁液を凍結乾燥させるステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
アルツハイマー病を治療するための薬物の調製における請求項1~22のいずれか1項に記載の製剤の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の分野に関し、特に((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer、ADと略称する)は、高齢者によく見られる病気の一つであり、記憶力低下と認知機能障害などを主な臨床的特徴とする慢性神経変性疾患である。人口の高齢化が加速するとともに、当該病気の発生率は増加し続けている。80歳以上の人々のうち、約20%がアルツハイマー病を患っている。認知機能及び身体機能の臨床的悪化の程度に応じて、第一段階(1~3年、軽度認知症)、第二段階(2~10年、中等度認知症)、第三段階(8~12年、重度認知症)という三つの段階に分けられる。重度認知症の患者は、他人に完全に依存し、重度の記憶喪失があり、日常生活に自分の世話をできず、排便・排尿障害があり、沈黙し、四肢が硬直し、身体検査を行うと錐体路徴候が陽性であり、握り、手探り及び吸啜などの原始反射があり、最終的には昏睡して、感染症など引き起こして死亡する可能性がある。患者は、記憶力、判断力、思考力に問題があるため、生活セルフケア能力が低下し、かつ精神的に大きな痛みに苦しむ。また、当該病気の罹患期間が長いため、社会及び家庭の負担を大幅に増加させる。
【0003】
メマンチンは、中等度から重度のアルツハイマー型認知症の治療に使用される興奮性アミノ酸受容体拮抗薬である。現在、経口投与されるメマンチン塩酸塩錠、メマンチン塩酸塩溶液及びメマンチン塩酸塩徐放性カプセルが国内外で販売されている。これらの剤形は、薬物血中濃度の維持時間が短く、頻繁に投与する必要があり、患者のノンコンプライアンス及び副作用を増加させ、かつ患者の認知障害及び他の症状の影響により、積極的に投薬する能力が低下し、しばしば治療の失敗につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、メマンチン(化学名:1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチルアミン、その構造が下記式Cで表されるとおりである)及びその塩又はエステルの持続性注射剤は市販されておらず、従来技術には、メマンチン及びその塩の非経腸投与製剤に関する研究は欠けている。((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルは、その構造が下記式Aで表されるとおりであり、メマンチンをエステル化修飾したプロドラッグであり、メマンチン塩酸塩(化学名:1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチルアミン塩酸塩、その構造が下記式Bで表されるとおりである)と比べて、当該化合物は、溶解度が著しく低下し、水にほとんど溶解しない。組織部位への薬物の緩やかな溶出により、薬物が血液循環に入る速度が遅くなり、体内で徐放効果が達成されて、持続的な治療の目的が達成される。
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤を提供する。本発明に係る製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルは、濃度が高く、粒径が制御可能であり、限られた注射体積で高い投与量を得て、持続的な薬物放出の効果を達成することができる。上記製剤は、懸濁液の形態でプレフィルドシリンジに保存されてもよく、凍結乾燥粉末の形態でバイアル瓶に保存されてもよく、前者は直接使用でき、後者は、おそろいの無菌注射用水と混合されて懸濁液を調製して、筋肉内注射又は皮下注射によって使用される。メマンチン経口錠剤と比べて、本発明に係る製剤は、以下の利点を含む:
(1)懸濁液中のAPI(医薬品有効成分)は、不溶性粒子として存在し、溶解度が低く、薬物注射後の徐放効果が明らかであり、投与回数を大幅に減らし、薬物作用時間を延長し、患者のコンプライアンスを向上させることができ、
(2)上記製剤は、薬物積載量が高く、少なくとも1週間以上の投与量を得ることができ、
(3)懸濁液中のAPIは、粒度が制御可能であり、高い注射可能性を有し、
(4)懸濁液は、凍結乾燥された後、安定性が高く、貯蔵及び輸送に役立ち、
(5)上記製剤は、薬物放出が安定し、服用漏れによる臨床指標の変動を避けることができる。
【0006】
本発明の第2の態様は、本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法を提供する。本発明に係る調製方法は、簡単で実行しやすく、安定性及び安全性が高く、工業化生産に適する。上記調製方法では、凍結乾燥ステップをさらに追加して、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの凍結乾燥製剤を調製することができる。
【0007】
本発明の第3の態様は、アルツハイマー病を治療するための薬物の調製における((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の用途を提供する。
用語の定義
【0008】
本発明は、すべての代替、修正及び同等物をカバーすることを意図し、それらはいずれも特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内に含まれる。当業者は、本明細書に記載されたものに類似又は同等の種々の方法及び材料がいずれも本発明を実施するために使用され得ることを認識すべきである。本発明は、本明細書に記載の方法及び材料に限定されない。参照される文献、特許や類似資料の1つ又は複数が本願と異なるか又は矛盾する場合(定義されている用語、用語使用、説明された技術などを含むが、これらに限定されない)、本願を基準にする。
【0009】
なお、明瞭にするために、複数の独立した実施形態において本発明のいくつかの特徴を説明するが、単一の実施例において組み合わせとして提供してもよい。これに対して、便宜上、単一の実施形態において本発明の各種の特徴を説明するが、単独に又は任意の適切なサブ組合せとして提供してもよい。
【0010】
特に断らない限り、本発明に使用されるすべての科学用語は、当業者の一般的な理解と同じ意味を有する。本発明に係るすべての特許及び公開出版物は引用により全体として本発明に組み込まれている。
【0011】
用語「含有する」又は「含む」は、開放式表現であり、つまり、本発明で明記された内容を含むが、その他の内容を除外するものではない。
【0012】
本発明の文脈において、本明細書に開示されているすべての数は、「約」又は「おおよそ」という単語が使用されているか否かにかかわらず、近似値である。開示された数値に基づいて、各数の値は、±1%、±2%、±3%、±4%又は±5%などの±10%以内又は当業者によって考慮されるとき合理的な差だけ変動する場合がある。
【0013】
用語「D[4,3]」は、Malvern Mastersizer 3000レーザー粒度測定器で測定された体積加重平均値を指す。
【0014】
用語「Dv10」は、1つのサンプルの粒度体積分布の累積百分率が10%に達するときに対応する粒径を指し、用語「Dv50」は、1つのサンプルの粒度体積分布の累積百分率が50%に達するときに対応する粒径を指し、用語「Dv90」は、1つのサンプルの粒度体積分布の累積百分率が90%に達するときに対応する粒径を指す。
【0015】
LC/MS/MSは、液体クロマトグラフィー質量分析を指す。
【0016】
「持続放出」は、LC/MS/MS分析機器でサンプルを検出し、その検出限界に応じて、メマンチン(1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチルアミン)の薬物血中濃度を検出できることを指す。
【0017】
濃度「mg/mL」は、ミリグラム/ミリリットルを指し、重量/体積であり、上記体積は、凍結乾燥前の懸濁液又は凍結乾燥後に再溶解された後の懸濁液を含む懸濁液の体積である。
【0018】
μmはマイクロメートル、μLはマイクロリットル、Lはリットル、mmはミリメートル、mLはミリリットル、nmはナノメートル、ngはナノグラム、kgはキログラム、minは分、dは日、Hzはヘルツ、gはグラム、q.s.は適量、mbarはミリバール、Vはボルト、℃は摂氏度を指す。
発明の詳細な説明
【0019】
従来技術の不足に対して、鋭意検討し研究した後、本発明は、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを含む注射製剤を提供する。本発明に係る製剤は、懸濁液の形態であってもよく、凍結乾燥粉末の形態であってもよく、前者は直接使用でき、後者は、おそろいの無菌注射用水と混合されて懸濁液を調製することにより使用され、筋肉内注射又は皮下注射によって使用される。メマンチン経口錠剤と比べて、本発明に係る製剤は、薬物積載量が高く、注射後に薬物を徐々に持続放出することができ、少なくとも1週間以上に持続放出することができ、投与回数を大幅に減らし、ピークトラフ変動を回避することにより、患者の治療コンプライアンス及び安全性を向上させることができる。本発明に係る注射製剤は、安定性が高く、貯蔵及び輸送に役立つ。そして、上記製剤が懸濁液の形態である場合、懸濁液中の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルは、粒度が制御可能であり、高い注射可能性を有し、その生物学的利用能の向上に有利となる。
【0020】
本発明に係る((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲が1.0μm~20.0μmであってもよい。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、1.0μm~15.0μm又は1.0μm~10.0μm又は1.0μm~5.0μm又は1.0μm~2.0μm又は1.0μm~3.0μm又は1.0μm~4.0μm又は1.0μm~6.0μm又は1.0μm~7.0μm又は1.0μm~8.0μm又は2.0μm~5.0μm又は2.0μm~8.0μm又は5.0μm~8.0μm又は8.0μm~15.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、5.0μm~10.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、5.0μm~15.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、5.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、10.0μm~15.0μmである。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、10.0μm~20.0μmである。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、15.0μm~20.0μmである。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲は、3.0μm~7.0μmである。
【0021】
前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、0.1μm~5.0μmであってもよい。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、1.0μm~3.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、1.0μm~2.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、1.0μm~3.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、1.0μm~5.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、2.0μm~3.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、2.0μm~5.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv10範囲は、3.0μm~5.0μmである。
【0022】
前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、5.0μm~60.0μmであってもよい。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、5.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、5.0μm~10.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、5.0μm~30.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、10.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、10.0μm~30.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、10.0μm~60.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、20.0μm~30.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、20.0μm~60.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv90範囲は、30.0μm~60.0μmである。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明に係る((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤では、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルは、Dv50範囲が1.0μm~20.0μmであり、Dv10範囲が0.1μm~5.0μmであり、Dv90範囲が5.0μm~60.0μmである。
【0024】
前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、1.0μm~30.0μmであってもよい。いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、3.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、1.0μm~5.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、1.0μm~10.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、1.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、5.0μm~10.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、5.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、5.0μm~30.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、10.0μm~20.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、10.0μm~30.0μmである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのD[4,3]範囲は、20.0μm~30.0μmである。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明に係る((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤では、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルは、Dv50範囲が1.0μm~20.0μmであり、Dv10範囲が0.1μm~5.0μmであり、Dv90範囲が5.0μm~60.0μmであり、D[4,3]範囲が1.0μm~30.0μmである。
【0026】
本発明に係る((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと担体とを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明に係る((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)担体と、
(c)注射用水と、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度範囲が105.0mg/mL~300.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)担体と、任意に、
(c)注射用水と、を含み、
前記製剤は、少なくとも1週間の期間にメマンチンを持続放出する。
【0029】
前記担体は、安定剤、懸濁剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、凍結乾燥保護剤から選択される少なくとも1種を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記担体は、安定剤及び/又は懸濁剤及び/又は浸透圧調整剤及び/又は凍結乾燥保護剤及び/又はpH調整剤を含む。
【0031】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤を含んでもよい。
【0032】
前記安定剤の濃度範囲は、5.0mg/mL~48.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施形態において、前記安定剤の濃度は、10.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、6.0mg/mL~10.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、6.0mg/mL~15.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、6.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、6.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、6.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、10.0mg/mL~15.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、10.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、10.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、10.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、10.0mg/mL~48.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、15.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、15.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、15.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、15.0mg/mL~48.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、20.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、20.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、20.0mg/mL~48.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、30.0mg/mL~35.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、30.0mg/mL~48.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、35.0mg/mL~48.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度範囲は、5.0mg/mL~25.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記安定剤の濃度は、7.9mg/mL、14.5mg/mL、15.0mg/mL、17.0mg/mL、20.0mg/mL、30.0mg/mL又は35.0mg/mLである。
【0033】
前記安定剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、スパン20、レシチン、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407及びポリオキシル15ヒドロキシステアレートから選択される少なくとも1種を含む。いくつかの実施例において、前記安定剤は、ポリソルベート80である。いくつかの実施例において、前記安定剤は、ポリソルベート80とスパン20との混合物である。いくつかの実施例において、前記安定剤は、ポリソルベート20とスパン20との混合物である。いくつかの実施例において、前記安定剤は、ポロキサマー338である。いくつかの実施例において、前記安定剤は、ポロキサマー188である。
【0034】
前記ポリソルベート80の濃度範囲は、2.0mg/mL~30.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施形態において、前記ポリソルベート80の濃度は、5.0mg/mL~30.0mg/mL又は5.0mg/mL~15.0mg/mL又は10.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、5.0mg/mL~10.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、5.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、10.0mg/mL~15.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、10.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、15.0mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、15.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度範囲は、20.0mg/mL~30.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80の濃度は、5.5mg/mL、10.0mg/mL、15.0mg/mL、20.0mg/mL又は30.0mg/mLである。
【0035】
前記スパン20の濃度範囲は、0mg/mL~15.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施形態において、前記スパン20の濃度は、2.5mg/mL~10.0mg/mL又は5.0mg/mL~12.5mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、1.0mg/mL~2.5mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、1.0mg/mL~5.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、1.0mg/mL~10.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、1.0mg/mL~12.5mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、2.5mg/mL~5.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、2.5mg/mL~12.5mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、2.5mg/mL~18.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、5.0mg/mL~10.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、5.0mg/mL~18.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、10.0mg/mL~12.5mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度範囲は、10.0mg/mL~18.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記スパン20の濃度は、2.5mg/mL又は5.0mg/mLである。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記安定剤は、ポリソルベート80とスパン20との混合物であり、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合範囲は、1:1~6:1である。いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は2:1であり、いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は2.4:1であり、いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は3:1であり、いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は4:1であり、いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は4.8:1であり、いくつかの実施例において、前記ポリソルベート80とスパン20との濃度の割合は6:1である。
【0037】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、懸濁剤をさらに含んでもよい。
【0038】
前記懸濁剤の濃度範囲は、0.35mg/mL~125.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施形態において、前記懸濁剤の濃度範囲は、40.0mg/mL~100.0mg/mL又は50.0mg/mL~120.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、40.0mg/mL~60.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、40.0mg/mL~80.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、40.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、60.0mg/mL~80.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、60.0mg/mL~100.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、60.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、80.0mg/mL~100.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、80.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、100.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、0.35mg/mL~2.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、0.35mg/mL~5.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度範囲は、0.35mg/mL~20.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤の濃度は、10.0mg/mL、40.0mg/mL、60.0mg/mL、80.0mg/mL又は100.0mg/mLである。
【0039】
前記懸濁剤は、デキストラン、ゼラチン、ヒプロメロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種を含む。いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、ポリエチレングリコール4000であり、いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、ポリエチレングリコール3350であり、いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、ポリエチレングリコール6000であり、いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、ポリビニルピロリドンK12であり、いくつかの実施例において、前記懸濁剤は、ポリビニルピロリドンK30である。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、35.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、50.0mg/mL~120.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、40.0mg/mL~60.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、40.0mg/mL~80.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、40.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、60.0mg/mL~80.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、60.0mg/mL~100.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、60.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、80.0mg/mL~100.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、80.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度範囲は、100.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、懸濁剤としてのポリエチレングリコール4000の濃度は、40.0mg/mL、60.0mg/mL、80.0mg/mL又は100.0mg/mLである。
【0041】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、pH調整剤をさらに含んでもよい。
【0042】
前記pH調整剤は、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、炭酸及びその塩から選択される少なくとも1種を含む。いくつかの実施例において、前記pH調整剤は、水酸化ナトリウムであり、いくつかの実施例において、前記pH調整剤は、リン酸及びその塩であり、いくつかの実施例において、前記pH調整剤は、クエン酸及びその塩である。
【0043】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤及び懸濁剤を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、懸濁剤及びpH調整剤を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤及びpH調整剤を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤及びpH調整剤を含む。
【0047】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、浸透圧調整剤を含んでもよい。
【0048】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、凍結乾燥保護剤を含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤及び/又は懸濁剤及び/又は浸透圧調整剤及び/又は凍結乾燥保護剤及び/又はpH調整剤を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤及び/又は懸濁剤を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤、pH調整剤及び浸透圧調整剤を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤、浸透圧調整剤及び凍結乾燥保護剤を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤及びpH調整剤を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤及び浸透圧調整剤を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤及び浸透圧調整剤を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、安定剤、懸濁剤及び凍結乾燥保護剤を含む。
【0057】
前記浸透圧調整剤は、無水リン酸水素二ナトリウム、クエン酸一水和物、塩化ナトリウム、グルコース、グリセリン及びクエン酸から選択される少なくとも1種を含む。
【0058】
前記凍結乾燥保護剤は、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、マンニトール、ソルビトール、グルコース、スクロース、ラクトース、デキストラン、トレハロース及びグリシンから選択される少なくとも1種を含む。いくつかの例において、前記凍結乾燥保護剤は、ポリエチレングリコール3350である。いくつかの例において、前記凍結乾燥保護剤は、ポリエチレングリコール4000である。
【0059】
前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、50.0mg/mL~150.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、80.0mg/mL~125.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、50.0mg/mL~80.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、50.0mg/mL~100.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、50.0mg/mL~125.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、80.0mg/mL~100.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、80.0mg/mL~150.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、100.0mg/mL~125.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、100.0mg/mL~150.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度範囲は、125.0mg/mL~150.0mg/mLである。いくつかの例において、前記凍結乾燥保護剤の濃度は、80.0mg/mL、90.0mg/mL、100.0mg/mL又は125.0mg/mLである。
【0060】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、薬物積載量が高く、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、105.0mg/mL~300.0mg/mLであってもよい。いくつかの実施例において、前記注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、125.0mg/mL~250.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、105.0mg/mL~150.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、105.0mg/mL~200.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、105.0mg/mL~250.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、150.0mg/mL~200.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、150.0mg/mL~250.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、150.0mg/mL~300.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、200.0mg/mL~250.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、200.0mg/mL~300.0mg/mLであり、いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲は、250.0mg/mL~300.0mg/mLである。いくつかの実施例において、前記注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度は、100mg/mL、125mg/mL、150.0mg/mL、200.0mg/mL、250.0mg/mL又は300.0mg/mLである。いくつかの実施形態において、前記注射製剤では、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度は、125.0mg/mLであり、生物学的利用能の高い製剤を得ることに有利となる。
【0061】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤のpH範囲は、6.0~9.0であってもよい。いくつかの実施例において、前記製剤のpH範囲は、6.5~7.5又は6.5~8.0又は7.0~8.0又は6.0~7.0である。いくつかの実施例において、前記製剤のpH範囲は、7.0~7.5である。いくつかの実施例において、前記製剤のpH範囲は、6.5~7.0である。
【0062】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、注射後に、少なくとも1週間の期間にメマンチンを持続放出する。
【0063】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、懸濁液の形態であってもよく、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルのDv50範囲が、1.0μm~20.0μmであり、前記製剤は、少なくとも2週間、最大4週間以上、例えば最大6週間の期間にメマンチンを持続放出する。
【0064】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、懸濁液の形態であってもよく、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度範囲が、105.0mg/mL~300.0mg/mLであり、前記製剤は、少なくとも2週間、最大4週間以上、例えば最大6週間の期間にメマンチンを持続放出する。
【0065】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、即時使用可能な液体注射剤又は凍結乾燥製剤であってもよく、前記凍結乾燥製剤は、使用前に注射用水で再溶解される必要がある。いくつかの実施例において、即時使用可能な液体注射剤であり、いくつかの実施例において、凍結乾燥粉末注射剤である。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、ケーキの形態である凍結乾燥製剤である。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル凍結乾燥製剤のpH範囲は、6.0~9.0であってもよい。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル凍結乾燥製剤のpH範囲は、6.5~7.5又は6.5~8.0又は7.0~8.0又は6.0~7.0である。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル凍結乾燥製剤のpH範囲は、7.0~7.5である。いくつかの実施例において、前記((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル凍結乾燥製剤のpH範囲は、6.5~7.0である。
【0068】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、及びポリソルベート80とスパン20との混合物から選択される安定剤と、及び/又は
(c)ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択される懸濁剤と、を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度範囲が105.0mg/mL~300.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、及びポリソルベート80とスパン20との混合物から選択され、濃度範囲が5.0mg/mL~48.0mg/mLである安定剤と、及び/又は
(c)ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンから選択され、濃度範囲が0.35mg/mL~125.0mg/mLである懸濁剤と、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度範囲が105.0mg/mL~300.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度範囲が6.0mg/mL~48.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と、及び/又は
(c)濃度範囲が35.0mg/mL~125.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、を含み、
任意に、pH調整剤を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度範囲が125.0mg/mL~250.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度範囲が50.0mg/mL~120.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、及び/又は
(c)濃度範囲が5.0mg/mL~25.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と、を含み、
任意に、pH調整剤を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度が125.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度が8.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と
(c)濃度が100.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、
(a)濃度が250.0mg/mLである((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルと、
(b)濃度が25.0mg/mLであるポリソルベート80とスパン20との混合物と、
(c)濃度が120.0mg/mLであるポリエチレングリコール4000と、を含む。
【0074】
別の態様では、本発明は、上記いずれかの((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法を提供する。
【0075】
((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法は、
(a)安定剤を水と混合して、任意に、懸濁剤を添加するステップと、
(b)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを添加して、懸濁液を得るステップと、
(c)任意に、pH調整剤で調整して、定容するステップと、
(d)上記懸濁液を粉砕して、最終懸濁液を得るステップと、を含む。
【0076】
いくつかの実施例において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法は、
(a)安定剤及び懸濁剤を水と混合して、任意に、pH調整剤及び浸透圧調整剤を添加するステップと、
(b)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを添加して、懸濁液を得るステップと、
(c)任意に、pH調整剤でpHを6.0~9.0に調整して、定容するステップと、
(d)上記懸濁液を粉砕して、最終懸濁液を得るステップと、を含む。
【0077】
いくつかの実施例において、上記懸濁液は、ボールミルで粉砕される。
【0078】
いくつかの実施例において、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法は、
(a)ポリソルベート80及びスパン20を水と混合して、任意に、pH調整剤及び浸透圧調整剤を添加するステップと、
(b)ポリエチレングリコール4000を添加するステップと、
(c)((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを添加して、懸濁液を得て、pH値を6.5~7.5に調整して、定容するステップと、
(d)上記懸濁液を遊星型ボールミルで粉砕して、最終懸濁液を得るステップと、を含む。
【0079】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法では、湿式粉砕技術が使用でき、粉砕ビーズの材質は、相溶性の高いジルコニアである。
【0080】
本発明に記載の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の調製方法は、凍結乾燥製剤を調製するステップをさらに含んでもよく、前記凍結乾燥製剤を調製するステップは、前記最終懸濁液を凍結乾燥させるステップを含む。いくつかの実施例において、前記凍結乾燥は、前記最終懸濁液を-30℃以下に冷却し、かつ前記冷却された最終懸濁液を0℃未満で乾燥させることを含む。いくつかの実施例において、前記最終懸濁液の凍結乾燥は、
(1)最終懸濁液を-45℃で冷却することを含む予備凍結段階と、
(2)冷却された最終懸濁液を0℃未満で乾燥させる初期乾燥段階と、
(3)冷却された最終懸濁液を0℃を超える温度で乾燥させて((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル凍結乾燥製剤を得る二次乾燥段階と、を含む。
【0081】
本発明は、アルツハイマー病を治療するための薬物の調製における前述の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の用途をさらに提供する。
【0082】
アルツハイマー病を治療するための薬物の調製における((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤の用途では、前記薬物は、筋肉内注射又は皮下注射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明の実施例13の製剤(実施例13の01、02バッチのサンプル)をラットに注射した後の、メマンチンの平均血漿濃度と時間との関係を説明するグラフである。
図2】実施例13のサンプルのインビトロ溶解プロファイルである。
図3】本発明の実施例14のサンプル(実施例14の第01~05号のサンプル)をラットに注射した後の、メマンチンの平均血漿濃度と時間との関係を説明するグラフである。
図4】本発明の実施例14のサンプル(実施例14の第06~10号のサンプル)を犬に注射した後の、メマンチンの平均血漿濃度と時間との関係を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本発明の実施例の一般的な方法は、以下の1~6のとおりである。
【0085】
1、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液の粒度測定機器のパラメータ:
機器:Malvern Mastersizer 3000粒度測定器、サンプラ:Hydro 3000SM(A)、粒子屈折率:1.436、分散剤屈折率:1.33、分散剤:精製水、バックグラウンド測定時間:12S、サンプル測定時間:10S、遮光度:10%~20%、撹拌速度:2000回転/分、分析モデル:汎用、測定範囲:0.005~2000μm、粒子吸収率:0.1、測定を3回繰り返して、平均値を作成した。
【0086】
2、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液のゼータ電位測定:マルバーンナノ粒度電位測定器を用いて、サンプルを精製水で300倍に希釈し、測定を3回繰り返して、平均値を作成した。
【0087】
3、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液の粘度測定機器のパラメータ:
サンプラ:モジュラーレオメータ、サンプル測定時間:4min、撹拌速度:2000回転/分、プレートとサンプルの間の間隔:0.2mm、測定治具:PP-50、分析モデル:汎用、測定範囲:0~100001/s。
【0088】
4、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの含有量及び関連物質法:
機器:高速液体クロマトグラフ(Agilent HPLC-DAD)、カラムクロマトグラフィー:Waters Symmetry(商標)C8、4.6×100mm、3.5μm、検出器:UV検出器、検出波長210nm、流速:1.0mL/min、移動相A:1Lの超純水を量り取り、1mLのリン酸を添加して、均一に混合すれば得られ、移動相B:アセトニトリル、希釈剤:水:アセトニトリル=30:70、カラム温度:25℃。
【0089】
含有量/関連物質の勾配溶出条件は以下のとおりであり、実行時間は70min、注入量は20μlである。
【表1】
【0090】
5、安定性を検討し、加速条件は、温度が40℃であり、相対湿度が75%である。
【0091】
6、凍結乾燥プロセスパラメータを表1に示す。
【0092】
表1:凍結乾燥プロセスパラメータ
【表2】
【0093】
実施例1:粒径の異なる((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液の検討
表1-1:処方表
【表3】
【0094】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解させるまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、水酸化ナトリウムでpH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0095】
各バッチのサンプルの粒子の粒度を表1-2に示し、ゼータ電位及び粘度を表1-3に示し、加速条件下で15日間放置された後の粒子の粒径を表1-4に示し、加速条件下で15日間放置された後の関連物質を表1-5に示す。
【0096】
表1-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表4】
【0097】
表1-3:各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表5】
【0098】
表1-2及び1-3の結果によると、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度が異なる各バッチのサンプルは、いずれも流動性が高く、かつ注射性が高い懸濁液を形成できる。1μm未満の薬物粒子は、バースト放出のリスクがある可能性があり、そして、20μmを超える懸濁液粒子は、注射中の注射針通過性に関わる問題がある。実験結果によると、調製された懸濁液粒子の粒径(D50)の範囲が1~20μmである場合、特性が良好な懸濁液を調製することができる。
【0099】
表1-4:加速条件下で15日間放置された、01~04バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度の検討(単位:μm)
【表6】
【0100】
表1-5:加速条件下で15日間放置された、01~04バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの関連物質の検討
【表7】
【0101】
表1-4及び表1-5の結果によると、01~04バッチのサンプルを加速条件下で15日間放置した後、懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度及び関連物質には明らかな変化はなく、安定性が高い。
【0102】
実施例2:濃度の異なる((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液の検討
表2-1:処方表
【表8】
【0103】
調製プロセス:
(1)ポリソルベート80とスパン20を、総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物を添加し、完全に溶解させるまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕し、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0104】
実験結果を表2-2及び表2-3に示す。
【0105】
表2-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表9】
【0106】
表2-3:各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表10】
【0107】
結果によると、01-07バッチにより、いずれも特性が良好な懸濁液を得ることができる。メマンチン経口錠剤の1日最大投与量が20mgであり、かつ筋肉内注射の最大体積が4mLであることを考えると、筋肉内注射の場合に2週間以上維持される理論上の最小投与量は280mgである。現在販売されている持続性筋肉内注射剤の注射体積がいずれも4mL未満であるため、2週間以上維持される理論上の投与量を得るために懸濁液の含有量が70mg/mLを超える必要があるため、01バッチを廃棄した。
【0108】
実施例3:安定剤の異なる懸濁液の検討
表3-1:処方表
【表11】
【0109】
調製プロセス:
(1)ポリソルベート80、ポロキサマー407及びポリオキシル15ヒドロキシステアレートを、それぞれ総調製量の約60%の精製水に分散し、完全に分散するまで撹拌し、
(2)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(3)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0110】
結果を表3-2及び表3-3に示す。
【0111】
表3-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの粒子粒度(単位:μm)
【表12】
【0112】
表3-3:粉砕後の各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表13】
【0113】
結果によると、ポリソルベート80、ポロキサマー407及びポリオキシル15ヒドロキシステアレートをそれぞれ安定剤として用いると、いずれも特性が良好な懸濁液を調製することができる。
【0114】
実施例4:安定剤の異なる懸濁液の検討
表4-1:処方表
【表14】
【0115】
調製プロセス:
(1)ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油RH40、ポリオキシルヒマシ油EL35、及びポリソルベート80とスパン20との混合物を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に分散し、完全に溶解するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定し、かつ加速条件下で放置して、安定性を検討した。
【0116】
結果によると、02バッチ及び03バッチのサンプルは、粉砕された後、粘度が高く、大量の気泡があり、流動する懸濁液を形成できず、注射可能性がないため、廃棄された。残りのバッチのサンプルの結果を表4-2、表4-3及び表4-4に示す。
【0117】
表4-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表15】
【0118】
表4-3:粉砕後の各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表16】
【0119】
表4-4:加速条件下で15日間放置された01バッチ及び04バッチのサンプル粒子の粒度の検討(単位:μm)
【表17】
【0120】
結果によると、ポリソルベート80又はポリソルベート80とスパン20との混合物を安定剤として使用すると、特性が良好な懸濁液を調製することができ、そして、加速条件下で15日間放置された後、粒径は基本的に変化しなかった。
【0121】
実施例5:安定剤の投与量の異なる懸濁液の検討
表5-1:処方表
【表18】
【0122】
調製プロセス:
(1)濃度の異なるポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)処方量のポリエチレングリコール4000を添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、水酸化ナトリウムでpH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布を測定した。
【0123】
実験中、05バッチのサンプルは、粉砕された後、懸濁液がペースト状であり、流動する懸濁液を形成できず、注射可能性がないことが発見したため、廃棄された。他のバッチの結果を表5-2に示す。
表5-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表19】
【0124】
結果によると、01~04バッチのサンプルは、いずれも流動性が高く、かつ注射性が高い懸濁液を形成できる。人体に注射する場合の安全性の問題を考慮すると、安定剤の投与量は多すぎてはならない。そして、安定剤の投与量が多すぎると、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルに対して可溶化効果があり、人体内に注射するとバースト放出をもたらす可能性がある。したがって、本発明は、安定剤の濃度範囲を5mg/mL~48mg/mLに設定する。
【0125】
実施例6:安定剤の投与量の異なる懸濁液の検討
表6-1:処方表
【表20】
【0126】
調製プロセス:
(1)濃度の異なるポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物を添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定し、関連物質を検出し、かつ加速条件下で放置して、15日間及び30日間の安定性を検討した。
【0127】
各バッチのサンプルの粒子粒度を表6-2に示し、ゼータ電位及び粘度を表6-3に示し、加速条件下で15日間放置された後の粒子の粒径を表6-4に示し、加速条件下で30日間放置された後の粒子の粒径を表6-5に示す。
【0128】
表6-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表21】
【0129】
表6-3:各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表22】
【0130】
表6-2及び表6-3の結果によると、01~07バッチのサンプルは、いずれも流動性が高く、かつ注射性が高い懸濁液を形成できる。
【0131】
表6-4:加速条件下で15日間放置された、いくつかのバッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度の検討(単位:μm)
【表23】
【0132】
表6-5:加速条件下で30日間放置された、いくつかのバッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度の検討(単位:μm)
【表24】
【0133】
表6-4及び6-5の結果によると、いくつかのバッチのサンプルを加速条件下で15日間又は30日間放置した後、懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度には明らかな変化はなく、安定性が高い。
【0134】
実施例7:懸濁剤の異なる懸濁液の検討
表7-1:処方表
【表25】
【0135】
調製プロセス:
(1)ポリソルベート80とスパン20を、総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)処方量のポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール3350、ポリビニルピロリドンK12、カルボキシメチルセルロースナトリウム7L2P、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0136】
実験中、04バッチのサンプルは、粉砕された後、気泡が多く、流動性が低く、注射可能性がないことが発見したため、廃棄された。残りのバッチのサンプルの結果を表7-2及び表7-3に示す。
【0137】
表7-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-6安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表26】
【0138】
表7-3:各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表27】
【0139】
結果によると、適量のポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、ポリビニルピロリドンK30又はカルボキシメチルセルロースナトリウム7L2Pをそれぞれ懸濁剤として使用すると、いずれも特性が良好な懸濁液を調製することができる。
【0140】
実施例8:ポリエチレングリコール4000の投与量の異なる懸濁液の検討
表8-1:処方表
【表28】
【0141】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定し、関連物質を検出し、かつ加速条件下で放置して、安定性を検討した。
【0142】
各バッチのサンプルの結果を表8-2、表8-3、表8-4及び表8-5に示す。
【0143】
表8-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表29】
【0144】
表8-3:各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表30】
【0145】
表8-2及び表8-3の結果によると、01~05バッチのサンプルは、いずれも流動性が高く、かつ注射性が高い懸濁液を形成できる。
【0146】
表8-4:加速条件下で15日間放置された、02~05バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度の検討(単位:μm)
【表31】
【0147】
結果によると、加速条件下で15日間放置された後、ポリエチレングリコール4000の濃度が20mg/mLである02バッチの懸濁液に凝集物が生じ、02~05バッチの懸濁液の粒度には明らかな変化はなかった。
【0148】
表8-5:加速条件下で15日間放置された後の02~05バッチの関連物質の結果
【表32】
【0149】
結果によると、加速条件下で15日間放置された後、02~05バッチの懸濁液の関連物質には明らかな変化はなかった。
【0150】
実施例9:pH調整剤の異なる懸濁液の検討
表9-1:処方表
【表33】
【0151】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0152】
実験結果を表9-2及び表9-3に示す。
【0153】
表9-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表34】
【0154】
表9-3:粉砕後の各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表35】
【0155】
表9-2及び表9-3の結果によると、01~03バッチのサンプルは、いずれも流動性が高く、かつ注射性が高い懸濁液を形成できる。
【0156】
実施例10:pH調整剤の投与量の異なる懸濁液の検討
表10-1:処方表
【表36】
【0157】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定した。
【0158】
実験結果を表10-2及び表10-3に示す。
【0159】
表10-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表37】
【0160】
表10-3:粉砕後の各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度
【表38】
【0161】
実施例11:凍結乾燥保護剤の異なる凍結乾燥粉末の検討
表11-1:処方表
【表39】
【0162】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のマンニトール、ソルビトール、グルコース、スクロース、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、水酸化ナトリウムでpH値を7.0~7.5に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布を測定し、
(5)粉砕された懸濁液を10mLのバイアル瓶に充填し、充填量を5.6mLにし、凍結乾燥させ、凍結乾燥させた後に再溶解させた懸濁液の粒径、ゼータ電位及び粘度を測定し、そして、凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して、凍結乾燥製剤を再溶解させた懸濁液の粒径及び関連物質を検討した。
【0163】
実験結果を表11-2、表11-3、表11-4、表11-5及び表11-6に示す。
【0164】
表11-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表40】
【0165】
表11-3:凍結乾燥後に再溶解された懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表41】
【0166】
表11-4:凍結乾燥後に再溶解された懸濁液のゼータ電位及び粘度の結果
【表42】
【0167】
結果によると、2つのバッチのサンプルの凍結乾燥前後の粒径には明らかな変化はなかった。
【0168】
表11-5:凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して再溶解させた懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表43】
【0169】
表11-6:凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して再溶解させた懸濁液の関連物質の結果
【表44】
【0170】
結果によると、ポリエチレングリコール3350又はポリエチレングリコール4000を凍結乾燥保護剤として用いると、懸濁液は、粉砕された後、いずれもプロセス不純物が導入されず、そして、加速条件下で30日間放置された後、再溶解された懸濁液の粒度及び関連物質には明らかな変化はなかった。
【0171】
実施例12:凍結乾燥保護剤の投与量の異なる凍結乾燥製剤の検討
表12-1:処方表
【表45】
【0172】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、水酸化ナトリウムでpH値を7.0~8.0に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布、ゼータ電位及び粘度を測定し、
(5)粉砕された懸濁液を10mLのバイアル瓶に充填し、充填量を5.6mLにし、凍結乾燥させ、凍結乾燥させた後に再溶解させた懸濁液の粒径を測定し、そして、凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して、凍結乾燥製剤を再溶解させた懸濁液の粒径及び関連物質を検討した。
【0173】
実験結果を表12-2、表12-3、表12-4、表12-5及び表12-6に示す。
【0174】
表12-2:粉砕後の各バッチの懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表46】
【0175】
表12-3:粉砕後の各バッチの懸濁液のゼータ電位及び粘度の結果
【表47】
【0176】
表12-4:凍結乾燥後に再溶解された懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表48】
【0177】
結果によると、01-05バッチのサンプルの凍結乾燥前後の粒径には明らかな変化はなかった。
【0178】
表12-5:凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して再溶解させた懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表49】
【0179】
表12-6:凍結乾燥製剤を加速条件下で30日間放置して再溶解させた懸濁液の関連物質の結果
【表50】
【0180】
結果によると、02-05バッチの懸濁液は、粉砕された後に、いずれもプロセス不純物が導入されず、そして、加速条件下で30日間放置された後、再溶解された懸濁液の粒度及び関連物質には明らかな変化はなかった。
【0181】
実施例13:ラット体内における((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射剤の薬物動態学的研究
表13-1:処方表
【表51】
【0182】
調製プロセス:
(1)各バッチのポリソルベート80とスパン20を、それぞれ総調製量の約60%の精製水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、
(2)さらに処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物をそれぞれ添加し、完全に溶解するまで撹拌し、
(3)撹拌条件下で、処方量の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て、pH値を7.0~8.0に調整して、定容し、
(4)上記懸濁液を粉砕した後、粉砕後の懸濁液の粒度分布を測定し、
(5)粉砕された懸濁液を10mLのバイアル瓶に充填し、充填量を5.6mLにし、凍結乾燥させ、凍結乾燥製剤を再溶解させた懸濁液の粒径を測定した。
【0183】
実験結果を表13-2及び表13-3に示す。
【0184】
表13-2:凍結乾燥前の懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表52】
【0185】
表13-3:凍結乾燥後に再溶解された懸濁液中の((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル粒子の粒度(単位:μm)
【表53】
【0186】
結果によると、凍結乾燥前の懸濁液と凍結乾燥後に再溶解された懸濁液との粒径は非常に近い。
【0187】
01及び02バッチのサンプルを用いてラット体内において薬物動態学的研究を行う:((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル水性懸濁液を75mg/kg筋肉内注射により投与し、投与前及び投与後0.25h、1h、2h、5h、7h、24h、48h、72h、96h、120h、140h及び170hに全血を採取し、全血を12000回転/分で2分間遠心分離して血漿を分離し、LC/MS/MS分析を行うまで血漿を-20℃又は-70℃で保存した。
【0188】
LC/MS/MS分析パラメータは以下のとおりである:
表13-4:
【表54】
【0189】
分析は、Waters Xbridge C18、2.1×50mm、2.7μMカラムを用いて、20μLのサンプルを注入することにより行われた。分析条件:移動相は、2mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸(A)及びメタノール+2mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸(B)である。流速は0.4mL/minである。
【0190】
移動相勾配を表13-5に示す。
表13-5:
【表55】
【0191】
表13~6は、ラット体内における実施例13の製剤の薬物動態学的データを示す。本発明の化合物は、優れた薬物動態学的特性を有する。筋肉内注射した後のラット体内の平均薬物時間曲線を図1に示す。
【0192】
図1に示すように、((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液群は、投与後、薬物を持続的に徐放し、かつ特定の濃度範囲内に維持することができる。本発明で調製された((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液は、1週間又は少なくとも1週間以内に明らかな持続放出効果を有する。
【0193】
表13-6:ラット体内の薬物動態学的データ
【表56】
【0194】
実施例14:ラット及び犬体内における((((1R,3R,5S,7R)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射剤の薬物動態学的研究
表14-1:処方表
【表57】
【0195】
調製方法:ポリソルベート80とスパン20を、総調製量の約60%の注射用水に溶解させ、完全に分散するまで撹拌し、処方量のポリエチレングリコール4000、無水リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸一水和物を添加し、完全に溶解するまで撹拌し、撹拌条件下で、処方量の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルを徐々に添加して、((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル懸濁液を得て定容し、上記懸濁液を粉砕し、10mLのバイアル瓶に充填し、充填量を5.6mLにし、凍結乾燥させた。
【0196】
得られた凍結乾燥粉末を水で再溶解させた後に粒径を測定し、粒径結果は、Dv10が1.516μm、Dv50が4.731μm、Dv90が11.953μm、Dv99が33.017μm、Dv4,3が6.290μmであり、含有量が115%である。
【0197】
実施例14で得られた凍結乾燥粉末を2.4gの水で再溶解させてからインビトロ溶解実験を行い、溶解方法はパドル法であり、溶解媒体は0.5%のドデシル硫酸ナトリウム溶液であり、回転速度は50rpmであり、温度は30℃である。インビトロ溶解プロファイルを図2に示す。
【0198】
実施例14で得られた凍結乾燥製剤を2.4gの注射用水で再溶解させて((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチルの濃度が200mg/mLの懸濁液を得て、当該懸濁液を用いてラット及び犬体内の薬物動態学的研究を行った。メマンチン塩酸塩と注射用水を用いて2.0mg/mL及び4.0mg/mLの溶液に調製し、強制経口投与したものを対照群とした。ラットと犬の投与量群をそれぞれ表14-2と表14-3に示す。ラット各群に雌雄各4匹、合計8匹を用いて、犬各群に雌雄各5匹、合計10匹を用いた。
【0199】
表14-2:ラット投与量設計表
【表58】
【0200】
表14-3:犬投与量設計表
【表59】
【0201】
血液サンプル採取時点:
実施例14-01/14-02/14-06/14-07:投与前及び投与後0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24h、
実施例14-03/14-04/14-05/14-08/14-09/14-10:投与前及び投与後1h、4h、8h、24h、48h、72h、96h、120h、144h、192h、264h、312h。
【0202】
血液サンプル検出方法:
全血1mLあたりに100μLのProtease Inhibitor Cocktail (プロテアーゼ阻害剤カクテル)(20×)を添加し、上下反転して均一に混合し、全血サンプルを遠心分離前に氷浴に入れ、1時間以内に1800×gの遠心力で4℃で10分間遠心分離し、氷浴条件下で血漿を分離した。各時点での血液サンプル中の活性化合物1-アミノ-3,5--ジメチルアダマンチルアミンの濃度をLC-MS/MS法で検出した。分析用LC/MS/MSシステムは、LC-30超高速液体クロマトグラフとQtrap-5500イオントラップ質量分析計を含み、乾燥機温度は550℃、乾燥ガス流速は9L/min、噴霧器圧力は40psi、キャピラリー電圧は3500Vである。定量分析は、MRMモードで行われ、MRM変換のパラメータを表14-4に示し、Waters Xbridge C18、2.1×50mm、2.7μMカラムを使用して、1μLのサンプルを注入することにより分析を行った。分析条件:移動相は、0.1%ギ酸(A)とメタノール(B)である。流速は0.45mL/minである。移動相勾配を表14-5に示す。
【0203】
表14-4:質量分析MRMのパラメータ
【表60】
【0204】
表14-5:移動相勾配
【表61】
【0205】
投与後のラットの薬物血中濃度-時間曲線を図3に示し、薬物動態学的データを表14-6に示し、投与後の犬の薬物血中濃度-時間曲線を図4に示し、薬物動態学的データを表14-7に示す。
【0206】
表14-6:単回投与後のラット体内におけるメマンチンの薬物動態学的データ
【表62】
【0207】
表14-7:単回投与後の犬体内におけるメマンチンの薬物動態学的データ
【表63】
【0208】
ラットと犬の上記薬物動態学的データによると、経口投与は、筋肉内注射よりも投与量がはるかに少ないが、そのCmaxが依然として筋肉内注射後のCmaxよりもはるかに大きく、経口投与後に薬物血中濃度は、迅速に最高血中濃度に到達した後に迅速に低下するのに対し、本発明の((((1r,3R,5S,7r)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)カルバモイル)オキシ)-安息香酸メチル注射製剤は、薬物血中濃度が経口投与後のトラフ濃度以上にあるように少なくとも2週間維持することができ、持続性筋肉内注射剤が薬物血中濃度の「ピークートラフ」現象を回避し、かつ投与頻度を2週間ごとに1回まで減らすことができることを示す。
【0209】
本発明の明細書の説明において、用語「いくつかの実施例」、「いくつかの実施形態」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などを参照した説明は、該実施例又は例を参照して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を意味するわけではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ以上の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない限り、当業者は、本明細書に説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0210】
以上、本発明の実施例を示し、説明したが、上記実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものと理解すべきではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、置換、変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】