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特表2022-553236マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード
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  • 特表-マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード 図1
  • 特表-マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード 図2
  • 特表-マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード 図3
  • 特表-マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】マグネシウム原子でPドープされたAlNに基づく半導体及びドープされたダイヤモンドの層を含む発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/40 20100101AFI20221215BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20221215BHJP
   H01L 33/08 20100101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L33/40
H01L33/32
H01L33/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523002
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 FR2020051809
(87)【国際公開番号】W WO2021074519
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】1911616
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】516065504
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ-マダリーナ・シラディ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・ドーダン
(72)【発明者】
【氏名】グウェノレ・ジャコパン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ペルノ
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA57
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA73
5F241CA82
5F241CA88
5F241FF16
(57)【要約】
第1のnドープ半導体部分(104)と、第2のpドープ半導体部分(108)と、前記第1及び第2の部分の間に配置され、少なくとも1つの発光半導体部分を含む活性領域(106)と、導電性であり、前記発光部分から放出されるように構成されるUV範囲の少なくとも1つの波長に対して光学的に透過的な層(120)であって、前記第2の部分が前記層と前記活性領域との間に配置される層と、を少なくとも備える発光ダイオードであって、前記第1の部分及び前記発光部分の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、前記第2の部分の半導体、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウムの原子濃度が、1017原子/cmを超え、前記導電層(120)が、ドープされたダイヤモンドを含む、発光ダイオード(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のnドープ半導体部分(104)と、
第2のpドープ半導体部分(108)と、
前記第1及び第2の部分(104、108)の間に配置され、少なくとも1つの発光半導体部分を含む活性領域(106)と、
導電性であり、前記発光部分から放出されるように構成されるUV範囲の少なくとも1つの波長に対して光学的に透過的な層(120)であって、前記第2の部分(108)が前記層(120)と前記活性領域(106)との間に配置される層(120)と、
を少なくとも備える発光ダイオード(100)であって、
前記第1の部分(104)及び前記発光部分の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、
前記第2の部分(108)の半導体が、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウムの原子濃度が、1017原子/cmを超え、
前記導電層(120)が、ドープされたダイヤモンドを含む、発光ダイオード(100)。
【請求項2】
Y2が、0<Y2≦0.01であり、及び/又は、
前記第2の部分(108)の半導体中のマグネシウムの原子濃度が、1020原子/cmから1021原子/cmに含まれる、請求項1に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項3】
前記導電層(120)と前記第2の部分(108)との間に配置されたnドープ半導体の第3の部分をさらに含み、前記第3の部分の半導体が、AlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nを含み、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1である、請求項1又は2に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項4】
前記第1の部分(104)の半導体が、0.7≦X1≦0.8のAlX1Ga(1-X1)Nを含む、請求項1から3の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項5】
前記発光部分の半導体が、X4≦0.9×X1であるAlX4Ga(1-X4)Nを含む、請求項1から4の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項6】
前記第1の部分(104)と前記活性領域(106)との間に配置される、意図的にドープされていないAlGaNの一部、及び/又は、
前記活性領域(106)と前記第2の部分(108)との間に配置される、意図的にドープされていないAlGaInNの一部をさらに含む、請求項1から5の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項7】
基板(102)をさらに備え、前記第1の部分(104)が前記基板(102)と前記活性領域(106)との間に配置されるようになる、請求項1から6の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項8】
前記基板(102)と前記第1の部分との間に配置されたnドープGaNの少なくとも一部をさらに含む、請求項7に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項9】
前記ダイオード(100)が、前記ダイオード(100)の様々な部分を形成する層のスタック、又は、並んで配置されて前記ダイオード(100)の様々な部分を共に形成するいくつかのナノワイヤ(109)を含む、請求項1から8の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項10】
前記ダイオード(100)が、並んで共に配置され、前記ダイオード(100)の様々な部分を形成するいくつかのナノワイヤ(109)を含むとき、前記第2の部分(108)を形成する前記ナノワイヤ(109)の部分(116)の横方向の寸法が、それらが前記ナノワイヤ(109)の上部に半導体層を形成するようなものである、請求項9に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項11】
前記活性領域が、各々が2つのバリア層の間に配置される発光層によって形成された量子ドットの1つ又は複数の層を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項12】
第1のnドープ半導体部分(104)を生成する段階と、
前記第1の部分(104)に、少なくとも1つの半導体発光部分を含む活性領域(106)を生成する段階と、
前記活性領域(106)に第2のpドープ半導体部分(108)を生成する段階と、
前記第2の部分(108)に、導電性であり、少なくとも前記発光部分から放出されるように構成されるUV範囲の波長に対して光学的に透過的な層(120)を生成する段階と、
を少なくとも含み、
前記第1の部分(104)及び前記発光層の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、
前記第2の部分(108)の半導体が、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウム原子の原子濃度が1017原子/cmを超え、
前記導電層(120)が、ドープされたダイヤモンドを含む、発光ダイオード(100)を製造する方法。
【請求項13】
前記第2の部分(108)を生成する段階が、有機金属化学蒸着及び/又は分子線エピタキシーの実施を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の部分(108)を生成した後、前記第2の部分(108)にnドープ半導体の第3の部分を生成する段階をさらに含み、前記第3の部分の半導体が、AlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nであり、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1であり、前記導電層(120)が前記第3の部分に生成される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の部分(108)を生成した後、前記第2の部分(108)の熱アニーリング及び/又は電子ビーム照射を含む、前記第2の部分(108)の半導体のドーパントを活性化するステップをさらに含む、請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(すなわち、発光ダイオード)の分野に関する。有利には、本発明は、紫外線(UV)範囲の光を放出するLEDの製造に適用される。
【背景技術】
【0002】
UV範囲で発光する半導体ヘテロ構造に基づくLEDは、様々な組成のAlGaNを含む層のスタックで構成されている。図1は、そのようなLED10の構造の概略図である。LED10は、nドープAlGaNを含む第1の層12とpドープAlGaNを含む第2の層14によって形成されるp-n接合を含む。LED10はまた、層12と層14との間に、LED10の発光領域、すなわち、光子の放出を生成する電子と正孔の組み合わせが生じる領域を形成する活性領域16を含む。活性領域16は、意図的にドープされていないAlGaNを含む。LED10はまた、第2の層14に、GaNの強くpドープされた層18、並びに、層18に配置され、例えば、Ni-Auの二層スタックを含む導電層20を含む。
【0003】
活性領域16の半導体の組成は、発光される波長の関数として選択される。UV範囲で発光するために、活性領域16は、0≦X≦1であるようなXを有するAlGa(1-X)Nを含む。第1の層12は、nドープされたAlY1Ga(1-Y1)Nを含み、第2の層14は、pドープされたAlY2Ga(1-Y2)Nを含み、Y>X、Y>Xである。
【0004】
理想的には、AlNで層12及び層14を形成する(すなわち、Y=1及びY=1となるように形成される)ことにより、LED10の製造を単純化することが可能になる。しかしながら、AlNでpドープされる第2の層14を形成することは、LED10の適切な動作に十分かつ必要な電気伝導を保証するために十分に高いp型ドーピングのレベルを有するAlNを得ることができる技術的解決策がないため、問題を提起する。したがって、層12及び層14は、現在、Y1<1及びY2<1となるように製造されている。
【0005】
LED10の層14側から実行されなければならない電流の注入は、別の重要な制限である。この問題は、現在、強くpドープされたGaNの層18の存在によって解決される。しかしながら、その層18による活性領域16から放出されたUV放射の吸収は、LED10の効率を制限する。さらに、電流の流線の適切な横方向の広がりを確保し、電流の注入を最適化するために必要な層20の堆積は、この層20が、活性領域16から放出されるUV光の一部を吸収するという事実のために、LEDの発光効率をさらに低下させることに寄与する。
【0006】
文献(“GaN/AlGaN Nanocolumn Ultraviolet Light-Emitting Diode Using Double-Layer Graphene as Substrate and Transparent Electrode” by Ida Marie Hoiaas et al., Nano Lett. 2019, 19, 3, pp. 1649-1658)においては、グラフェンは、LEDのnドープ部分の下の基板として使用されている。構造の上部に強くpドープされたGaNが使用されているため、上記と同じ欠点がある。
【0007】
文献(“InGaN/GaN Core-Shell Single Nanowire Light Emitting Diodes with Graphene-Based P-Contact” by M. Tchernycheva et al., Nano Lett. 2014, 14, 5, pp. 2456-2465)においては、単線(シングルワイヤ)で形成されたLEDの接触にグラフェンを使用することが提案されている。この解決法は、その文献で説明されているLEDの構造によく適合しているが、特にグラフェンの脆弱性とワイヤの高さの変動のために、様々な構造のLEDに実装することは困難である。さらに、グラフェンはエピタキシーによって堆積されず、その移動は複雑になる可能性がある。さらに、シート抵抗は依然として高い(文献(“Graphene as Transparent Electrodes: Fabrication and New Emerging Applications”, by Y.Xu and J. Liun Small 2016, 12, No. 11, 1400-1419)によると、~500Ω/スクエア)。
【0008】
別の解決策は、発光が裏面から(nドープ半導体層側から)、LEDの様々な層が形成されるサファイア基板を通して起こるように、LEDを生成することからなる。サファイア基板は、放出された紫外線に対して透過的である。ただし、これによりLEDの設計の可能性が制限される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】GaN/AlGaN Nanocolumn Ultraviolet Light-Emitting Diode Using Double-Layer Graphene as Substrate and Transparent Electrode” by Ida Marie Hoiaas et al., Nano Lett. 2019, 19, 3, pp. 1649-1658
【非特許文献2】InGaN/GaN Core-Shell Single Nanowire Light Emitting Diodes with Graphene-Based P-Contact” by M. Tchernycheva et al., Nano Lett. 2014, 14, 5, pp. 2456-2465
【非特許文献3】Graphene as Transparent Electrodes: Fabrication and New Emerging Applications”, by Y.Xu and J. Liun Small 2016, 12, No. 11, 1400-1419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の欠点を有しない、すなわち、LEDのpドープ側に強くpドープされたGaN層の存在を必要とせず、設計の可能性が、LEDの背面から発光を生成するという要件によって制限されない、発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、
第1のnドープ半導体部分と、
第2のpドープ半導体部分と、
第1及び第2の部分の間に配置され、少なくとも1つの発光半導体部分を含む活性領域と、
を少なくとも備える発光ダイオードであって、
第1の部分及び発光部分の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、
第2の部分の半導体が、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウムの原子濃度が、1017原子/cmを超える、発光ダイオードが提供される。
【0012】
したがって、第2の部分のこの半導体が電流の十分な注入及び電流の流線の広がりを得ることを可能にすることを考えると、マグネシウム原子でpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含む第2の部分の半導体のおかげで、強くpドープされたGaN層がLEDのpドープ側に要求されないLEDが提供される。
【0013】
さらに、第2の部分の半導体は、UV放射を吸収しない。したがって、提供されるLEDは、UV放射を達成するように十分に適合されており、LEDの第2のpドープ半導体部分を介してこの発光を達成することが可能である。
【0014】
高度にpドープされたGaN層がないことも、LEDの製造を簡素化したことを表す。
【0015】
第2の部分(AlGaInNを含む)の半導体中にインジウムが存在することにより、インジウムを含まない同じ半導体(すなわち、AlGaN)と比較して、得られたマグネシウムの原子濃度が半導体に存在するインジウムの量に比例するという事実により、マグネシウムのより多くのドーピング原子を組み込むことが可能になる。したがって、第2の部分の半導体で得ることができるp型ドーピングのレベルはより大きく、電流の十分な注入及び電流の流線の広がりを得ることが可能になる。AlN又はAlGaNにインジウムが存在すると、AlN又はAlGaNへのマグネシウムの限られた溶解度を、例えば10倍に増やすことができ、この半導体で得られるドーピングレベルが上がる。
【0016】
半導体がインジウムを含む場合に、より多くのマグネシウム原子を組み込む可能性は予想外である。それは、これらの2種類の原子がAlNに別々に追加されると、圧縮応力が発生するためである。したがって、インジウムの添加がマグネシウムの添加によって誘発される弾性応力の緩和に寄与しないため、それらの同時添加が蓄積された塑性エネルギーの点で有利であると期待する理由はない。
【0017】
さらに、本発明によれば、このLEDは、導電性であり、LEDによって放出されるUV放射に対して光学的に透過性であり、ドープされたダイヤモンドを含む層をその上部に含む。第2の部分は、活性領域とその導電層との間に配置される。透明電極を形成するためのpドープされたダイヤモンドの使用は、「拡散」を促進することを可能にし、すなわち、第2の部分によって形成されるLEDの注入層の表面全体に電流の流線の均一な分布を得ることができ、これは、LEDの発光性能の最適化に有利である。LEDの上部に導電層を生成するためのドープされたダイヤモンドの選択は、特にUV-C範囲のダイヤモンドの透過性を考慮して導電性透明酸化物などの他の透明導電性材料で得られるものよりもかなり優れた性能を得ることができることを考えると、さらに特に賢明な選択である。
【0018】
この導電層を形成するために使用されるダイヤモンドは、例えば、多結晶ダイヤモンドなどのナノ結晶ダイヤモンドであり得る。
【0019】
この導電層のドープされたダイヤモンドは、「ダイヤモンドライクカーボン」(DLC)ではない。DLCは、特定の特性がダイヤモンドに似ている可能性のある様々なアモルファスカーボンベースの材料に由来する名前である(例えば、文献(“Diamond-like carbon: state of the art” by A. Grill, Diamond and Related Materials Volume 8, Issues 2-5, March 1999, pages 428-434)を参照)。様々な製造方法(及び水素化の割合)によると、この材料のバンドギャップエネルギーは、1.0から4.0eVである可能性があり、それは、赤外線及び可視範囲で使用されるコーティングとしての使用が制限される(上記文献を参照)が、少なくともUV範囲の波長で光学的に透過的の層を生成するのには適していない。さらに、その抵抗率は変調される可能性があるが(10-1016Ω/cm-1)、それでも高い。このため、DLCは、導電性材料として使用されるのではなく、絶縁材料として使用される(前述の文献を参照)。
【0020】
導電性であり、UV範囲の波長で透過的な層を生成するためのダイヤモンドの使用は、当業者には明らかではない。第一に、導電層を形成するためにダイヤモンドを強くドーピングする可能性はよく知られていない。さらに、当業者は、ダイヤモンドを低コストの材料とは見なさず、その成長条件(温度、圧力、サンプルサイズ)が、LEDに対して透過的で導電性である層の製造と適合性がある材料とは見なさない。
【0021】
ドープされたダイヤモンドの層は、ダイヤモンドの優れた熱伝導特性により、熱を放散することも可能にする。ドープされたダイヤモンドのそのような層はまた、生物医学的用途(例えば、光遺伝学、蛍光など)に対して生体適合性であるという利点を有する。
【0022】
第2の部分の半導体中のマグネシウムの原子濃度は、1020原子/cmを超える可能性がある。そのようなマグネシウムの原子濃度は、例えば、マグネシウムの原子濃度とインジウムの原子濃度との比が1から20、又は1から50、又は場合によっては1から100、好ましくは10のオーダーである。
【0023】
第1の部分及び発光部分の半導体は、GaN、又はAlN、又はAlGaN、又はInGaN、又はAlGaInNを含み得る。
【0024】
LEDは次のようになり得る:
Y2が、0<Y2≦0.01であり、及び/又は、
第2の部分の半導体中のマグネシウムの原子濃度が、1020原子/cmから1021原子/cmに含まれる。
【0025】
上記の構成により、第2の部分の半導体の良好なレベルのp型ドーピングを、そのようなドーピングレベルでのマグネシウムの有効イオン化エネルギーのかなりの低下のおかげで得ることが可能になり、したがって、金属電極の電気伝導に近いか類似している第2の部分の電気伝導のおかげでLEDへの良好な電流注入を得ることが可能になる。
【0026】
LEDは、
第2の部分が第3の部分と活性領域との間に配置され、前記第3の部分の半導体がAlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nを含み、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1であるような第3のnドープ半導体の部分、及び/又は、
導電性であり、発光部分から発光されるように構成される少なくとも1つの波長に対して光学的に透過的な層であって、前記層が、前記第2の部分が前記層と活性領域との間に配置されるようなものである層
をさらに含み得る。
【0027】
LEDはさらに、導電層と第2の部分との間に配置された第3のnドープ半導体部分を含み得、第3の部分の半導体は、AlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nを含み、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1である。
【0028】
上記のそのような第3の部分及び/又は層は、LEDの構造上に透明電極を形成し、これにより、特にこの波長がUV範囲にある場合に、放出された波長に対して透明を維持しながら接触の確立を容易にすることが可能になる。第3の部分と同じ化学的性質である第2の部分の半導体のおかげで、第3の部分の製造が可能である。第3の部分は、LEDのトンネル効果による電流の注入を実現することを可能にする。さらに、第3の部分及び/又は前記層は、「拡散」を促進することを可能にし、すなわち、LEDの注入層の表面全体にわたって電流の流線の均一な分布を得ることを可能にし、これは、LEDを最適化するのに有利である。さらに、LEDが、第3の部分と、導電性であり、光学的に透過的な層とを同時に含む場合、第3の部分は、第2の部分と、前記導電性であり、光学的に透過的な層との間に配置され得る。
【0029】
導電性であり、発光部分から発光されるように構成される少なくとも1つの波長に対して光学的に透過的な層は、例えば、150nm未満、好ましくは60nmのオーダーの厚さのダイヤモンド層を含む。このダイヤモンドは、ドーパントの濃度が例えば2.7×1019原子/cmに等しいか、より一般的には1×1015から2×1021原子/cmに含まれるドープされた多結晶ダイヤモンドを含み得、例えば、1.5×10-8Ω-1-1と75.1Ω-1-1との間に含まれる電子伝導度を得ることが可能になる。例えば、使用されるドーパントは、ホウ素原子を含む。発光部分から発光される1つ又は複数の波長に関して得られる光吸収は、この場合、例えば、約60nmに等しい厚さのドープされたダイヤモンドの層を考慮して、約25%未満であり、吸収係数は、310nmの波長の場合に1×10cm-1から5×10cm-1で変化する。
【0030】
一般的に、導電性で光学的に透過的な層は、発光部分から発光される1つ又は複数の波長に関して、約25%未満の光吸収を有する。
【0031】
導電層は、ダイヤモンドを含み得る。
【0032】
第1の部分の半導体は、0≦X1≦1、好ましくは、0.7≦X1≦0.9のAlX1Ga(1-X1)Nを含む。この場合のバンドギャップ値は、活性領域のバンドギャップ値よりも大きい。
【0033】
第1及び第2の部分の半導体は、X2=X1であるようなものであり得る。
【0034】
発光部分の半導体は、X≦0.9×XであるAlX4Ga(1-X4)Nを含み得る。したがって、発光部分の半導体は、LEDによって放出される光が、UV範囲、特に210nmから340nm、又は210nmから400nm、より具体的にはUV-C範囲、すなわち、210nmから280nmに属するようになっている。例えば、LEDは、LEDによって放出されるこの光が殺菌特性を有するために、260nmから270nmに含まれる波長の光を放出することができ、LEDは、例えば、空気及び/又は水浄化用途に使用することが可能である。別の例によれば、発光部分の半導体は、LEDの活性領域から放出される光の波長が315nmに等しく、LEDを、例えば乾癬の治療などの医療用途に適したものにすることができる。さらに、このLEDの構造により、例えば210nmに等しい、非常に短い波長を実現できる。
【0035】
LEDは、
第1の部分と活性領域との間に配置される、意図的にドープされていないAlGaNの一部、及び/又は、
活性領域と第2の部分との間に配置される、意図的にドープされていないAlGaInNの一部
をさらに含み得る。
【0036】
この構成により、電荷キャリア再結合領域をより適切に空間的に画定できる。さらに、活性領域と第2の部分との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaInNの部分は、pドープ領域における過剰な電子を回避するための電子遮断層(EBL)として機能する。
【0037】
意図的にドープされていない、またはnidである半導体は、ドーピング原子が半導体に導入されるドーピングステップを経ていない半導体を含む。
【0038】
LEDはさらに、第1の部分が基板と活性領域との間に配置されるように基板をさらに備える。
【0039】
さらに、LEDは、基板と第1の部分との間に配置されたnドープGaNの少なくとも一部をさらに含み得る。この場合のnドープGaN部分は、AlGaNの一部の堆積前にナノワイヤの成長を開始することを可能にする。特に、半導体、アモルファス、金属など、あらゆるタイプの基板を使用することができる。
【0040】
ダイオードは、ダイオードの様々な部分を形成する層のスタック、又は、並んで配置されてダイオードの様々な部分を共に形成するいくつかのナノワイヤを含み得る。
【0041】
ダイオードが、並んで共に配置され、ダイオードの様々な部分を形成するいくつかのナノワイヤを含むとき、第2の部分を形成するナノワイヤの部分の横方向の寸法が、それらがナノワイヤの上部に半導体層を形成するようなものである。この場合、ナノワイヤの上部は、より大きな横方向寸法を有し、これらの上部を互いに接触させて半導体層を形成する。この半導体層は、第3のnドープ半導体部分及び導電性で光学的に透過的な層を生成するためのベースを有利に形成することができる。ナノワイヤの横方向寸法は、その長さに実質的に垂直なナノワイヤの寸法であり、その長さは、それらの最大寸法である。変形例として、導電性で光学的に透過的な層を生成するためのこのベース、及び、任意選択で第3のnドープ半導体部分は、例えば、光吸収性ではない絶縁材料でナノワイヤ間の空間を満たすことによって、別の方法で形成することができる。
【0042】
活性領域は、各々が2つのバリア層の間に配置される発光層によって形成された量子ドットの1つ又は複数の層を含む。
【0043】
第1のnドープ半導体部分を生成する段階と、
第1の部分に、少なくとも1つの半導体発光部分を含む活性領域を生成する段階と、
活性領域に第2のpドープ半導体部分を生成する段階と、
を少なくとも含み、
第1の部分及び発光層の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、
第2の部分の半導体が、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウム原子の原子濃度が1017原子/cmを超える、発光ダイオードを製造する方法も提供される。
【0044】
第1のnドープ半導体部分を生成する段階と、
第1の部分に、少なくとも1つの半導体発光部分を含む活性領域を生成する段階と、
活性領域に第2のpドープ半導体部分を生成する段階と、
第2の部分に、導電性であり、少なくとも発光部分から発光されるように構成されるUV範囲の波長に対して光学的に透過的な層を生成する段階と、
を少なくとも含み、
第1の部分及び発光層の半導体が、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含み、
第2の部分の半導体が、マグネシウム原子がpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1であり、マグネシウム原子の原子濃度が1017原子/cmを超え、
導電層が、ドープされたダイヤモンドを含む、発光ダイオードを製造する方法も提供される。
【0045】
この層の成長は、例えば、化学蒸着(すなわち、CVD)によって実行され得る。次に、多結晶ダイヤモンドの連続層は、表面に成長したダイヤモンドナノ結晶の合体によって得られる。
【0046】
第2の部分の生成は、有機金属化学蒸着(MOCVD)及び/又は分子線エピタキシー(MBE)の実施を含み得る。
【0047】
この方法は、第2の部分を生成した後、
第2の部分に第3のnドープ半導体の部分を生成する段階であって、第3の部分の半導体が、AlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nであり、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1である段階、及び/又は、
導電性であり、少なくとも発光部分から発光されるように構成される波長で光学的に透過的な層を第2の部分に生成する段階をさらに含み得る。
【0048】
第3の部分及び導電層が生成される場合、第3の部分は、導電層の前に生成され得、後者は、第3の部分の次に生成される。
【0049】
この方法は、第2の部分を生成した後、第2の部分の熱アニーリング及び/又は電子ビーム照射を含む、第2の部分の半導体のドーパントを活性化するステップをさらに含み得る。
【0050】
本発明は、添付の図面を参照して、純粋に指示として与えられ、決して限定するものではない例示的な実施形態の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】従来技術によるLEDを示す。
図2】第1の実施形態による本発明のLEDを示す。
図3】第2の実施形態による本発明のLEDを示す。
図4】第3の実施形態による本発明のLEDを示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に説明する様々な図面と同一、類似又は同等の部品には、ある図面から別の図面への移行を識別するために同じ参照符号が付けられている。
【0053】
図面に示されている様々な部分は、図面を読み易くするために、必ずしも均一な縮尺である必要はない。
【0054】
様々な可能性(変形例及び実施形態)は、互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができることを理解しなければならない。
【0055】
第1の実施形態によるLED100は、図2に関連して以下に説明される。この第1の実施形態では、LED100を形成する材料の様々な部分は、互いに積み重ねられた層の形態で生成され、エピタキシーステップの連続的な実施によって生成される。
【0056】
LED100は、基板102を備える。この第1の実施形態では、基板102は、例えば、サファイアを含む。例えば半導体材料を含む、他のタイプの基板を使用することができる。
【0057】
有利には、LED100は、基板103に形成されたnドープGaNの一部を含む。
【0058】
LED100はまた、部分103に(又はLED100が部分103を含まない場合は基板102に直接)配置されたnドープ半導体の第1の部分104を含む。第1の部分104の半導体は、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含む。第1の部分104の半導体は、0≦X1≦1であり、好ましくは0.7≦X1≦0.8である、AlX1Ga(1-X1)Nを含む。第1の部分104の半導体はまた、インジウム原子を含み得、この場合、第1の部分104の化合物は、AlGaInN又はInGaNを含むことが可能である。
【0059】
例示的な実施形態によれば、第1の部分104の半導体のn型ドーピングは、その半導体の成長の時に第1の部分104の半導体にシリコン原子を組み込むことによって得られる。第1の部分104の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、1017原子/cmから1019原子/cmに含まれる。
【0060】
第1の部分104の厚さは、例えば、1μmに等しく、より一般的には、0.5から5μmに含まれる。
【0061】
LED100はまた、第1の部分104に配置された活性領域106を含む。この活性領域106は、光が放出されるように構成される少なくとも1つの半導体発光部分を含む。発光部分の半導体は、アルミニウム及び/又はガリウムの原子並びに窒素原子を含む化合物を含む。例えば、発光部分の半導体は、X4<X1、好ましくはX4≦0.1×X1である、AlX4Ga(1-X4)Nを含む。この半導体は、意図的にドープされていない、すなわち、LED100の製造中に、半導体にドーピング原子を導入するステップに掛けられていない。
【0062】
活性領域106の厚さは、例えば、100nmに等しく、より一般的には、約100nmから300nmに含まれる。
【0063】
有利には、X4の値は、活性領域106の発光部分から放出される光の波長がUV範囲、特に約210nmから340nm、より具体的にはUV-C範囲(すなわち、210nmから280nm)に属するように選択され、これは、0.7<X4<1となるX4に対応する。
【0064】
変形実施形態によれば、LED100は、第1の部分104と活性領域106との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaNの部分を含み得、その厚さは、例えば、20nmに等しい。AlGaNのこの部分は、図2には示されていない。
【0065】
LED100はまた、活性領域106上に配置されたpドープ半導体の第2の部分108を含む。第2の部分108の半導体は、マグネシウム原子によってpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1である。有利には、第2の部分108の半導体は、X2=X1のようなものである。さらに、0<Y2≦0.01、好ましくはY2=0.001であることが有利である。
【0066】
第2の部分108の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、約1018原子/cmから1021原子/cmに含まれる。
【0067】
第2の部分108の厚さは、例えば、1μmに等しく、より一般的には、約0.2μmから1μmである。
【0068】
第2の部分108は、MOCVD又はMBEによって生成され得る。
【0069】
MBEによる成長では、半導体の様々な化学元素の流れが成長表面に送られる。第2の部分108の半導体の成長のために、アルミニウム、活性窒素、インジウム、及び任意選択でガリウムの流れは、活性領域106の上面を含む成長表面に送られる。製造された半導体にマグネシウム原子をpドープするために、マグネシウムの流れも送られる。これらの流れの値、すなわち、これらの各化学元素から送信される原子の量は、第2の部分108の半導体に望まれる組成に従って、特にインジウムの原子濃度が0から1%、好ましくは0.1%に等しくなるように選択される。これがインジウムである場合、第2の部分108の半導体中のマグネシウムの原子濃度は、その半導体に組み込まれたインジウムの量に比例し、例えば、1017原子/cmから1021原子/cmに含まれ、有利には、1020原子/cmから1021原子/cmに含まれ、すなわち、0.1%から1%の間に含まれるマグネシウムの原子濃度である。
【0070】
MOCVDによる成長の際、半導体の成長に使用される成分は、有機金属前駆体、例えば、アルミニウムの供給源として機能するトリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウム、窒素の供給源として機能するアンモニア、インジウムの供給源として機能するトリメチルインジウム又はトリエチルインジウム、及び、任意選択でガリウムの供給源として機能するトリメチルガリウム又はトリエチルガリウムである。マグネシウム原子は、適切な前駆体、例えばマグネソセン又はMg(Cp)の溶液によって得られる。MOCVDで得られるインジウム及びマグネシウムの濃度は、MBEで得られる濃度と同様であってもよい。
【0071】
変形実施形態によれば、LED100は、活性領域106と第2の部分108との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaInNの部分を含み得、その厚さは、例えば、20nmに等しい。AlGaInNのこの部分は、図2には示されていない。意図的にドープされていないAlGaInNの部分は、電子ブロッキング層であり、pドープ領域での過剰な電子を回避し、活性領域での電荷キャリアの再結合を促進することができる。
【0072】
この第1の実施形態では、LED100の異なる部分は、エピタキシーのいくつかの連続するステップを実施することによって生成され得る。
【0073】
第2の部分108を生成した後、第2の部分108の半導体に存在するp型ドーパント(すなわち、マグネシウム原子)を活性化するステップが実施される。この活性化ステップは、第2の部分108の電子ビームによる熱アニーリング及び/又は照射の実施を含み得る。熱アニーリングは、例えば、100℃から1000℃、好ましくは700℃に等しい温度で実施される。電子ビーム照射は、第2の部分108によって形成されたLED100の上面を介して、LED100に1つ又は複数の電子ビームを送ることからなり、電子のエネルギーは、電子が第2の部分108の下に位置する材料に到達しないようにするために、第2の部分108の半導体へのそれらの浸透を制限するように選択される。電子のこのエネルギーは、例えば3keVに等しいか、又はより一般的には約2keVから30keVに含まれ、特に第2の部分108の厚さに応じて選択される。線量は、電子ビームの流れの値によって設定され、1mA/cmから20mA/cmで変化する可能性があり、7mA/cmに等しいことが好ましい。この電子照射は、例えば10分間に等しい期間行われる。
【0074】
図2には示されていないが、LED100は、導電性であり、少なくともLED100の発光部分から発光されるように構成されたUV範囲の波長において光学的に透過的な層を含み得る。この場合、第2の部分108は、その導電層と活性領域106との間に配置される。この導電層は、ドープされたダイヤモンドを含み得る。
【0075】
第2の実施形態によるLED100は、図3に関連して以下に説明される。この第2の実施形態では、LED100の材料の様々な部分は、基板102に並べて配置されたナノワイヤ109によって形成される。各ナノワイヤ109は、例えばエピタキシーによって連続的に生成され、様々な組成の材料を含み、LED100の材料の様々な部分を形成するいくつかの部分を含む。以下の説明において、ナノワイヤ109の各部分の「長さ」という用語は、ナノワイヤ109が形成される表面に垂直であり、図3に示されるz軸に平行である、ナノワイヤ109のその部分の寸法である。ナノワイヤの様々な部分の長さは、LED100の様々な部分の厚さに一致する。
【0076】
第1の実施形態のように、LED100は、基板102を備える。この第2の実施形態では、基板102は、例えば、nドープシリコンなどの導電性材料である。
【0077】
LED100のナノワイヤ109は、ここでは、基板102の前面からの成長によって生成され、すなわち、自発的な核形成によって生成され、又は好ましくは、マスキングによって事前に画定された基板102の部分上で生成される。LED100のナノワイヤ109は、例えば、MBEによって生成される。
【0078】
各ナノワイヤ109は、基板102に形成され、nドープGaNを含む第1の部分110を含む。これらの第1の部分110は共に、nドープGaNの部分103を形成する。例えば、各第1の部分110は、100nmから500nmの長さを有する。
【0079】
各ナノワイヤ109はまた、第1の部分110に形成された第2の部分112を含む。これらの第2の部分112は共に、nドープ半導体の第1の部分104を形成する。ナノワイヤ109の1つである第2の部分112の半導体は、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含む。第2の部分112の半導体は、0≦X1≦1であり、好ましくは0.7≦X1≦0.8である、AlX1Ga(1-X1)Nを含む。
【0080】
例示的な実施形態によれば、ナノワイヤ109の第2の部分112の半導体のn型ドーピングは、それらの成長中にこれらの第2の部分112の半導体にシリコン原子を組み込むことによって得られる。ナノワイヤ109の第2の部分112の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、1017原子/cmから1018原子/cm、より一般的には1016原子/cmから1020原子/cmに含まれる。
【0081】
例えば、各第2の部分112は、100nmから500nmの長さを有する。
【0082】
変形実施形態によれば、ナノワイヤ109は、第1の部分110を含まない。この場合、基板102に対して形成されたナノワイヤ109の材料は、第2の部分112の材料と一致する。
【0083】
各ナノワイヤ109はまた、第2の部分112に形成された第3の部分114を含む。ナノワイヤ109の第3の部分114は共に、LED100の活性領域106を形成し、特に、光が放出されるように構成される活性領域106の半導体発光部分を形成する。発光部分の半導体は、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子を含む化合物を含む。例えば、発光部分の半導体は、X4<X1、好ましくはX4≦0.1×X1である、AlX4Ga(1-X4)Nを含む。この半導体は、意図的にドープされておらず、すなわち、LED100の製造中に、半導体にドーピング原子を導入するステップに掛けられていない。
【0084】
例えば、各第3の部分114は、100nmに等しい長さを有する。
【0085】
変形実施形態によれば、各ナノワイヤ109は、第2の部分112と第3の部分114との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaNの一部を含み得、その厚さは、例えば、20nmに等しい。AlGaNのこの部分は、図3には示されていない。
【0086】
各ナノワイヤ109はまた、第3の部分114に形成された第4の部分116を含む。ナノワイヤ109の第4の部分116は共に、活性領域106に配置されたpドープ半導体の第2の部分108を形成する。第4の部分116の半導体は、マグネシウム原子によってpドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nを含み、X2>0、Y2>0、X2+Y2≦1である。有利には、第4の部分116の半導体は、X2=X1であるようなものである。さらに、0<Y2≦0.01、好ましくはY2=0.001であることが有利である。
【0087】
第2の部分108の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、約1018原子/cmから1021原子/cmに含まれる。
【0088】
例えば、各第4の部分116は、100nmから500nmに含まれる長さを有する。
【0089】
変形実施形態によれば、各ナノワイヤ109は、第3の部分114と第4の部分116との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaInNの一部を含み得、その厚さは、例えば、20nmに等しい。AlGaInNのこの部分は、図3には示されていない。
【0090】
有利なことに、ナノワイヤ109の第4の部分116は、それらの上部で、これらの第4の部分116が増加する横方向の寸法(平面(X、Y)内の寸法)を有し、それらが互いに物理的に接触するように製造される。この構成は、ナノワイヤ109の上部で、ナノワイヤ109の第4の部分116の材料を含む層118を形成することを可能にする。この構成は、例えば、MBEによってナノワイヤ109を成長させる際に、金属流(アルミニウム及びインジウムの流れ、場合によってはガリウムの流れを構成する)と窒素の流れとの間の比率を変更することによって得られる。例えば、金属流を50%増加させて層118を得ることが可能である。これにより、LED100の底部との電気的短絡のリスクを最小限に抑えながら、ナノワイヤ109の側面にp型ドープ材料を堆積させることが可能になる。この層118は、例えば、2つのナノワイヤ109間の間隔が、ナノワイヤ109のうちの1つの直径の約2倍未満である場合に得られる。
【0091】
第1の実施形態に関しては、ナノワイヤ109の第4の部分116(及び、場合によっては、そのような層が生成される場合は層118)を生成した後、ナノワイヤ109の第4の部分116の半導体に存在するp型ドーパント(すなわち、マグネシウム原子)を活性化するステップが実行される。この活性化ステップは、第1の実施形態について上で説明したのと同様の方法で、熱アニーリング及び/又は電子ビームによる照射を実施することを含み得る。
【0092】
図3には示されていないが、この第2の実施形態によるLED100は、導電性であり、LED100の発光部分から放出されるように構成されたUV範囲の波長で少なくとも光学的に透過的な層を含み得る。この場合、この導電層は、層118に配置される。この導電層は、ドープされたダイヤモンドを含み得る。
【0093】
第3の実施形態によるLED100は、図4に関連して以下に説明される。
【0094】
第2の実施形態のように、LED100を形成する材料の様々な部分は、基板102に並べて配置されたナノワイヤ109によって形成される。各ナノワイヤ109は、様々な組成の材料を含み、LED100の材料の様々な部分を形成する、いくつかの連続して生成された部分を含む。
【0095】
第3の実施形態によるLED100のナノワイヤ109は、第2の実施形態によるLED100について前述したものと同様であり、部分110、112、114及び116を含み、それらの上部に層118を形成する。
【0096】
この第3の実施形態によるLED100はまた、層118に、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1を有するnドープAlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nの層を含む。この層は、ここではLED100の第3のnドープ半導体部分と呼ばれ、図4には表示されていない。有利には、第3の部分の半導体中のアルミニウムの原子濃度X3は、第1の部分104の半導体中のアルミニウムの原子濃度X1に等しい。例えば、第3の部分の半導体に存在するn型ドーパントは、シリコン又はゲルマニウム原子を含む。第3の部分の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、約1017原子/cmから1020原子/cmに含まれる。第3の部分の厚さは、例えば、100nmに等しく、より一般的には、約50nmから200nmに含まれる。この第3の部分は、LED100におけるトンネル効果による電流の注入を達成することを可能にする。
【0097】
第3の部分の半導体中のアルミニウムの原子濃度X3が、第1の部分104の半導体中のアルミニウムの原子濃度X1よりも小さいことも可能である。これにより、第3の部分の半導体において、LED100がUV範囲で発光するときのLED100の発光波長に関して、この第3の部分の透過性を確保しながら、より高いレベルのドーピングを達成することが可能になる。
【0098】
変形例として、LED100がこの第3の部分を含まないことが可能であり、それは、AlGaInNではなく、導電性であり、LED100によって発光される波長(ここでは、UV範囲の波長)に透過的な他の材料を含む層120を含み得る。例えば、層120は、導電性ダイヤモンド、例えば、厚さが例えば100nmに等しい、ドープされた多結晶ダイヤモンドの層を含み得る。より一般的には、層120の厚さは、30nmから500nmに含まれる。
【0099】
層120の材料が何であれ、この層120は、第1の実施形態によれば、LED100に存在し得る。さらに、LED100がそれらの上部に層118を形成しないナノワイヤ109を含む場合、ナノワイヤ109の各々が、その上部に、nドープAlX3Ga(1-X3-Y3)InY3Nを含み、すでに説明した第3の部分を形成する部分を含むことが可能であり、X3>0、Y3>0、X3+Y3≦1である。
【0100】
この層120は、LED100の構造上に透明電極を形成することを可能にし、これにより、放出された波長で透明を維持しながら、接触形成を容易にすることが可能になる。それはまた、LED100の注入層の表面全体にわたって電流の流線の均一な広がりを得ることさえを促進し、それは、LED100の最適化を促進する。
【0101】
前述の3つの実施形態では、活性領域106は、窒素原子並びにアルミニウム及び/又はガリウムの原子から形成された化合物を含む発光部分を含む。変形例として、LED100の活性領域106は、2つのバリア層の間に配置された発光層から各々が形成された1つ又は複数の量子井戸を含むことが可能である。この場合、発光層又は各発光層の半導体及び各バリア層の半導体は、AlGaNを含むことができるが、発光層の半導体では、バリア層の半導体中の原子濃度より低いアルミニウムの原子濃度、好ましくは、バリア層の半導体中の原子濃度の10%未満の原子濃度を有するAlGaNを含むことができる。
【0102】
変形例として、LED100の活性領域106は、2つのバリア層の間に配置された発光層から各々が形成された1つ又は複数の量子ドットを含むことが可能である。この場合、発光層又は各発光層の半導体及び各バリア層の半導体は、AlGaNを含むことができるが、発光層の半導体では、バリア層の半導体中の原子濃度より低いアルミニウムの原子濃度、好ましくは、バリア層の半導体中の原子濃度のより10%低い原子濃度を有するAlGaNを含むことができる。この場合、発光層又は各発光層は、これらの層の平均合金中のアルミニウムの割合又は組成がバリア層の半導体中のアルミニウムの割合又は組成よりも小さくなるように、好ましくはバリア層の半導体中の割合又は組成の10%より小さくなるように重ね合わされた、GaN及びAlNの単原子層を含み得る。これらの層の「平均合金(average alloy)」の原子元素の割合は、これらの各層におけるその元素の割合を考慮して、これらの濃度を層の厚さで重み付けすることによって計算される。例えば、2mmに等しい厚さのGaNの層と1nmに等しい厚さのAlNの層を含む層のスタックを考えると、この層のスタックは、数回繰り返され、平均合金中のアルミニウムの割合は33%であり、すなわち、平均合金はAl0.33Ga0.67Nである。この場合、このアルミニウムの割合がバリア層の半導体中のアルミニウムの割合の10%未満であることが好ましい場合、バリア層の半導体中のアルミニウムの割合は、33%+3.3%=36.3%である。
【符号の説明】
【0103】
10 発光ダイオード
12 第1の層
14 第2の層
16 活性領域
18 pドープ層
20 導電層
100 発光ダイオード
102 基板
103 基板
104 第1のnドープ半導体部分
106 活性領域
108 第2のpドープ半導体部分
109 ナノワイヤ
110 第1の部分
112 第2の部分
114 第3の部分
116 第4の部分
118 層
120 導電層、光学的に透過的な層
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】