(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】エンドツーエンド軌道上サービス提供
(51)【国際特許分類】
B64G 1/10 20060101AFI20221215BHJP
B64G 1/64 20060101ALI20221215BHJP
B64G 1/24 20060101ALI20221215BHJP
B64G 1/26 20060101ALI20221215BHJP
B64G 3/00 20060101ALI20221215BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B64G1/10 500
B64G1/64 600
B64G1/24 400
B64G1/26 B
B64G1/24 200
B64G3/00
G06N3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523010
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 IB2020059821
(87)【国際公開番号】W WO2021074910
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019000019322
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517411438
【氏名又は名称】タレス・アレーニア・スペース・イタリア・エッセ・ピ・ア・コン・ウニコ・ソシオ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ・ファサーノ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ・ガイア
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・フェルローニ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ペッサナ
(57)【要約】
軌道上サービス提供宇宙船(1)はシステム(6)を形成するよう飛行体(5)に係合するシステム(4)と、姿勢変位を制御するよう宇宙船(1)をロール・ヨー・ピッチ軸周りに回転させるシステム(7)を備える。システム(7)は物理量を感知または計算するシステム(8)と、推進装置(9)と、システム(8)からデータを受信し、宇宙船(1)の姿勢を制御するコンピュータ(10)を備える。コンピュータ(10)は、システム(4)と装置(9)が飛行体(5)に係合するようコンピュータ(10)に制御されるステップと、装置(9)がコンピュータ(10)によって制御されるステップを含む任務を宇宙船(1)に実行させるようプログラムされる。各ステップは、システム(6)の姿勢が最適化基準で安定化させられる下位ステップ(FS)と、下位ステップが終了するとき開始する定常動作下位ステップ(FR)を含む。各ステップでコンピュータ(10)は要件に応じて装置(9)の構成を最適化するようさらにプログラムされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙システム(6)を形成するように、サービス提供されるかまたは引かれる宇宙飛行体または物体(5)に係合するための係合システム(4)と、
宇宙船(1)に所与の操縦を実行させるために、所与の軌道に沿って前記宇宙船(1)の姿勢および変位を制御するように、前記宇宙船(1)をロール軸、ヨー軸、およびピッチ軸の周りに回転させるための電子反応制御システム(7)と
を備える軌道上サービス提供宇宙船(1)であって、
前記電子反応制御システム(7)は、
物理量を直接的に感知させるための、または、位置、姿勢、角速度、利用可能燃料、形状特徴、および搭載システム状態のうちの1つまたは複数を含む感知された物理量に基づいて物理量を間接的に計算させるための感覚システム(8)と、
それ自体の位置および配向を調整可能とさせるように搭載される姿勢制御推進装置(9)と、
前記感覚システム(8)および前記姿勢制御推進装置(9)と通信しており、前記感覚システム(8)からデータを受信するようにプログラムされ、前記宇宙船(1)の姿勢および位置を制御するように、受信した前記データ、位置、配向、および前記姿勢制御推進装置(9)の動作状態に基づいて制御するようにプログラムされる姿勢制御コンピュータ(10)と
を備え
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記係合システム(4)および前記姿勢制御推進装置(9)が、サービス提供されるかまたは引かれる宇宙飛行体または物体(5)に係合するように前記姿勢制御コンピュータ(10)によって制御される係合ステップと、各々において、前記勢制御推進装置(9)が、1つまたは複数の動作ステップであって、前記1つまたは複数の動作ステップのために確立されている1つまたは複数の要件を満たすために前記姿勢制御コンピュータ(10)によって制御される1つまたは複数の動作ステップとを含む所与の任務を前記宇宙船(1)に実行させるようにプログラムされ、
各々の動作ステップは、前記宇宙システム(6)の姿勢が、前記動作ステップの前記要件に応じて所与の最適化基準で安定化させられる少なくとも1つの安定化下位ステップ(FS)を含んでもよく、
各々の安定化下位ステップ(FS)に続いて、前記宇宙システム(6)の姿勢の前記安定化下位ステップ(FS)が終了するときに開始する定常動作下位ステップ(FR)があることにおいて特徴付けられ、
各々の動作ステップにおいて、前記姿勢制御コンピュータ(10)が、前記姿勢制御推進装置(9)の構成の最適化の繰り返し処理を実施することで、前記動作ステップの前記要件に応じて前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成を最適化するようにさらにプログラムされることであって、前記繰り返し処理は、
1. 動作1であって、
1.1 前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準を取得/更新すること、
1.2 前記宇宙システム(6)の基準システムにおける前記宇宙システム(6)の位置、配向、および角速度によって定められる前記宇宙システム(6)の現在の状態を取得/更新すること、
1.3 前記宇宙システム(6)の形状構成を決定させるように、係合された前記宇宙飛行体または物体(5)の前記宇宙船(1)に対する位置および配向を決定すること、ならびに、
1.4 前記姿勢制御推進装置(9)の現在の位置および配向を決定すること
を含む動作1と、
2. 前記宇宙システム(6)の前記現在の状態および形状構成と、ステップ1.4において決定された前記姿勢制御推進装置(9)の前記現在の位置および配向とに基づいて、前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準に従って、前記宇宙システム(6)の姿勢を安定化させることを含む動作2と、
3. 動作3であって、
3.1 前記定常動作ステップ(FR)の十分に拡張されたサンプリング期間の間に、前記宇宙システム(6)に作用する姿勢制御力および姿勢制御トルクを決定すること、ならびに、
3.2 前記姿勢制御推進装置(9)の許容可能な位置変域および配向変域と、前記姿勢制御推進装置(9)の利用可能性とを決定すること
を含む動作3と、
4. 前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を、ステップ3.2において決定された関連する前記許容可能な変域の中で変化し得るシステム変数と見なし、前記最適化基準に基づいて、利用可能な前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を最適化することを含む動作4と、
5. 前記姿勢制御推進装置(9)に、ステップ4において計算された最適化された前記位置および前記配向を取らせるように、前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を修正させることを含む動作5と
を含む、プログラムされることにおいて特徴付けられる軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項2】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、
動作3が完了させられたとき、前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクのセットによって定められる、ならびに/または、1つまたは複数の姿勢制御推進装置(9)の前記利用可能性によって、もしくは前記利用可能性のないことによって定められる前記宇宙システム(6)の動作シナリオの、前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成の最適化の前記繰り返し処理における動作3の実行の前の前記動作シナリオと比較しての変化をもたらした、またはその変化をもたらし損ねた動作3の実行によって定められる第1の動作条件の発生を確認する(150)ように、
前記第1の動作条件が発生したと決定されるとき、動作4を実行する(130)ように、
前記第1の動作条件が発生していないと決定されるとき、所与の時間期間(160)が経過した後、動作1を繰り返すように
さらにプログラムされる、請求項1に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項3】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、
動作4が完了させられたとき、前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成の最適化の前記繰り返し処理における動作4の以前の実行と比較して、前記最適化基準に基づいて決定された、向上をもたらした、または向上をもたらし損ねた動作4の実行によって定められる第2の動作条件の発生を確認する(170)ように、
前記第2の動作条件が発生したと決定されるとき、動作5を実行する(140)ように、
前記第2の動作条件が発生していないと決定されるとき、所与の時間期間(160)が経過した後、動作1を繰り返すように
さらにプログラムされる、請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項4】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、地上において事前に訓練された同じニューラルネットワークまたは異なるニューラルネットワークのいずれかを用いて、前記安定化下位ステップ(FS)、動作1におけるステップ1.1による更新の必要性の決定、動作2、および動作3におけるステップ3.2のうちの1つまたは複数を実施するようにさらにプログラムされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項5】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記感覚システム(8)によって出力されるデータに基づいて、前記宇宙船(1)と、動作1におけるステップ1.3による前記宇宙システム(6)の前記形状構成とに対して、サービス提供されるかまたは引かれる前記宇宙飛行体または物体(5)の位置および配向を決定するようにさらにプログラムされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項6】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)が前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準を満たすとき、動作3を実行するようにさらにプログラムされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項7】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)に適用され、前記定常動作ステップ(FR)の間に行われた制御ステップの間に前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクを表す姿勢制御力および姿勢制御トルクの下位セットを抽出することで、動作3におけるステップ3.1を実行するようにさらにプログラムされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項8】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)に適用され、前記定常動作下位ステップ(FR)の間に行われた重要な姿勢制御ステップの間に前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルク、ならびに/または、前記定常動作下位ステップ(FR)の間に前記宇宙システム(6)により頻繁に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクを含む姿勢制御の力およびトルクの下位セットを抽出するようにさらにプログラムされる、請求項7に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項9】
前記電子反応制御システム(7)は、前記姿勢制御推進装置(9)を移動させるように動作可能であり、
1つまたは異なる姿勢制御推進装置(9)の配向を調整可能とさせるように、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記姿勢制御推進装置(9)を少なくとも2つの直交する回転軸(A、B)の周りに回転させるために、前記姿勢制御推進装置(9)を支持するように設計される電子的に制御可能な配向構造(12)と、
1つまたは異なる配向構造(12)の位置を調整可能とさせるように、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記配向構造(12)を変位方向に沿って並進させるために、前記配向構造(12)を支持するように設計される電子的に制御可能な位置決め構造(13)と、
各々の位置決め構造(13)について、前記位置決め構造(13)を前記宇宙船(1)に連結するように、および、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記位置決め構造(13)が前記宇宙船(1)に近い非展開構成と、前記位置決め構造(13)が前記宇宙船(1)から離れるように移動させられ、サービス提供されるかまたは引かれる前記宇宙飛行体または物体(5)に近い位置へと持って行かれる展開構成とを取るように設計される電子的に制御可能な展開構造(14)と
を備える電子的に制御可能な移動システム(11)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)の前記電子反応制御システム(7)の前記姿勢制御コンピュータ(10)に読み込み可能であり、実行されたとき、前記姿勢制御コンピュータ(10)を、請求項1から9のいずれか一項で請求されているような構成にさせるように設計されるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この特許出願は、2019年10月18日に出願されたイタリア特許出願第102019000019322号への優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、エンドツーエンド軌道上サービス提供に関し、具体的には、宇宙船の軌道上での検査および/または保守のための、ならびに、宇宙飛行体または他の宇宙物体を引くための軌道上サービス提供宇宙船に関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、宇宙環境において、エンドツーエンド軌道上サービス提供サービスは、宇宙輸送、および宇宙が利用される方法に革命を起こしている。
【0004】
大まかに言って、エンドツーエンド軌道上サービス提供サービスは、2つの広いカテゴリー、すなわち、宇宙船の検査および/または保守のサービスと、宇宙飛行体、または例えば宇宙デブリといった他の性質の宇宙物体を引くための引くサービスとに分類できる。
【0005】
宇宙船の検査および/または保守のサービスはさらに、宇宙船検査サービスと、燃料補給、宇宙船再配置サービスを含む宇宙船耐用期間拡張サービスと、耐用期間を通じて宇宙船の任務に適応するための宇宙船更新サービスとに細かく分けることができる。
【0006】
宇宙船を引くサービスはさらに、宇宙船の送り届けを含む静止軌道宇宙船を引くサービスと、衛星コンステレーション展開を含む低地球周回軌道(LEO)宇宙船を引くサービスとに細かく分けることができる。これらは、例えば、打ち上げの不具合により、それらの動作の軌道に到達するのが失敗した衛星に供給される。
【0007】
一方で、引くサービス、さらに言えば宇宙物体除去サービスは、宇宙デブリを能動的に除去することに向けられた清掃サービスから本質的に成る。
【0008】
軌道上サービス提供サービスは軌道上サービス提供宇宙船を通じて提供され、軌道上サービス提供宇宙船は、検査および/または保守のサービスを宇宙船に提供するために設計されるときの検査および/または保守の宇宙船と、宇宙飛行体/物体を引くサービスを提供するために設計されるときの宇宙引船とに区別される。
【0009】
宇宙物体を引くサービスは、サービスを提供しているときに協調的でない宇宙物体に提供されることもあり、宇宙船の検査および/または保守のサービスならびに宇宙船を引くサービスは、サービスを提供している間に協調的である可能性もあるしない可能性もある宇宙船に提供される。
【0010】
宇宙引船は、宇宙船を引くサービスを提供するために使用されるとき、引かれる宇宙船と一緒に打ち上げられるように、打ち上げ装置へと直接的に、打ち上げられる前に引かれる宇宙船に結合されてもよい、または、引かれる宇宙船とは別に、いわゆるランデブー軌道(LEOまたはNRHO-ほぼ直線的なハロー軌道)へと打ち上げられてもよく、宇宙引船の後にランデブー軌道へと打ち上げられる引かれる宇宙船を待つ。
【0011】
宇宙引船は、別に打ち上げられた宇宙船を引くために使用されるとき、通常はロボットアームの形態である適切なドッキングシステムを介して、宇宙船に自律的に接近およびドッキングするように、および、宇宙船が動作できる、または、保守/燃料補給、修理、または他の動作が実施できる所望の軌道に到達するまで、ドッキングされた宇宙船を可及的に推進するように、制御される。
【0012】
宇宙引船は、宇宙物体を引くために使用されるとき、自律的に宇宙物体に接近し、網、銛、または他のシステムなどの適切な捕獲システムを用いて宇宙物体を捕獲するように、および、捕獲された宇宙物体の軌道を逸らすまたは引き上げて、捕獲された宇宙物体が動作する衛星にとってもはや危険となりえない場所へ捕獲された宇宙物体を持って行くために、捕獲された宇宙物体の軌道を単に変えるように、制御される。
【0013】
特許文献1は、本体と、制御装置と、ドッキングユニットとを有するサービス衛星を開示している。ドッキングユニットは、衛星本体に枢動可能に搭載される少なくとも2つの折り畳み可能で調整可能な把持アームを備える。各々の把持アームは、衛星本体に対して枢動可能であり、把持アームの各々の自由端に把持端を備える。把持端は、軌道を回る衛星の目標部分を捕獲して把持するように適応および構成される。各々の把持アームは制御装置によって独立して制御可能であり、制御装置は把持アームの運動を連係させる。サービス衛星は、サービス衛星本体の天底端に隣接して搭載される第1の推進装置と、第1の推進装置から離間され、第1の推進装置と異なる方向を向くバランス推進装置と、推進装置およびバランス推進装置のための推進剤とを備える推進ユニットをさらに備える。サービス衛星は、推進ベクトルがサービス衛星とサービス提供された衛星との結合重心を通るように、推進装置を位置合わせするための手段をさらに備える。
【0014】
特許文献2は、遠隔動作モード、自動モード、および自律モードで動作させることができる「衛生の検査、回復、および拡張」(「SIRE: Satellite Inspection Recovery and Extension」)宇宙船の動作を通じて、目標衛星の検査、回復、および耐用期間拡張など、衛星近接動作を実施するための装置および方法を開示している。SIREの概念はさらに、限定されることはないが、集合的に「目標衛星」と定められた衛星、宇宙船、宇宙システム、宇宙プラットフォーム、他の飛行体、および宇宙における物体を含む、検査、サービス提供、回復、および耐用期間拡張を含む、特定の軌道上の動作を実施するために使用されるそれらの方法および技術から成る。SIRE近接任務の3つの基本的な種類は、「耐用期間拡張」、「回復」、および「有用性」として定められる。遠隔コクピットシステムが、近接動作の間のSIRE宇宙船の人による制御を許可するために提供される。
【0015】
非特許文献1(James Jillian:「Adaptive control for post-dock manoeuvres with an unknown semi cooperative object」、2016 IEEE Aerospace Conference、IEEE、5 March 2016 (2016-03-05)、1~10ページ)は、将来の宇宙飛行の実験を介した制御装置の検証のために経路の図表を作るという目的で、限られた物理パラメータ情報を伴う物体と宇宙船が結合するとき、適応制御装置が姿勢制御の権限を維持することができるトレード空間を検討している。比較が、基本姿勢および位置の比例-積分-微分(PID)制御システムと適応PID手法との間で行われる。結合された宇宙船の慣性、質量、および、質量の中心の場所が、これらの制御装置の制限、性能、およびロバスト性を評価するために変えられる。
【0016】
特許文献3は、プラットフォームにおける複数の推進装置を推進装置制御システムで動作させることと、推定の飛行体反応を形成するために、複数の推進装置の動作から生じる飛行体の反応を推定することと、目的の機能の誤りを発現させるために、推定の飛行体反応を所望の飛行体反応と比較することとを含む、プラットフォームにおける複数の推進装置を管理するための方法および機器を開示している。
【0017】
特許文献4は、近接アルゴリズムに基づく組み合わせ宇宙船データ駆動制御方法を開示している。その方法は、以下のステップ、すなわち、組み合わせ宇宙船運動モデルを確立するステップと、近接アルゴリズムに基づいてデータ駆動姿勢制御装置を設計するステップと、制御装置パラメータを初期化し、データベースを確立するステップと、数式を使用することでシステムの予測値を計算し、数式を使用することでシステムの予測出力を計算するステップと、制御装置に計算させるステップと、データベースにおけるデータを更新するステップと、制御装置出力を調整するために繰り返し適用するステップとを含む。
【0018】
特許文献5は、深層強化学習に基づく空間非協働目標捕獲方法を開示している。方法は2つのステップを含む。相互作用が方法によって達成され得る。方法は、1つ目に、サービス空中飛行体および目標空中飛行体のための三次元の視覚化された環境が、三次元視覚化ソフトウェアを用いて構築され、視覚化された環境の入力が、サービス空中飛行体の制御力および制御モーメントであり、出力が、サービス空中飛行体および目標空中飛行体の状態である、ステップと、2つ目に、畳み込みニューラルネットワークモデルが構築され、インテリジェント自律空間非協働目標捕獲トレーニングが、三次元の視覚化された環境においてサービス空中飛行体に実施される、ステップとを含む。サービス空中飛行体および目標空中飛行体の状態は、畳み込みニューラルネットワークモデルの入力として取られ、畳み込みニューラルネットワークモデルの重量パラメータは、サービス空中飛行体を制御するために必要とされる制御の力および運動量を出力するために使用され、制御の力および運動量は視覚化された環境へと送られ、2つの空中飛行体の状態は、一定の深層強化トレーニングを実施するためにニューラルネットワークに連続的に入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/148197号明細書
【特許文献2】米国特許第6017000号明細書
【特許文献3】米国特許第9115662号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第110110342号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第109625333号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】James Jillian:「Adaptive control for post-dock manoeuvres with an unknown semi cooperative object」、2016 IEEE Aerospace Conference、IEEE、5 March 2016 (2016-03-05)、1~10ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本出願人は、サービス提供宇宙船が、クライアント宇宙船、具体的には衛星に、サービス提供サービスを提供するときに直面しなければならない重要な技術的問題のうちの1つは、集合した宇宙船の質量の中心が2つの宇宙船の間の中間位置(先験的に概して分かっていない)に配置される状況で、特には、クライアント衛星にドッキングされるとき、適切な姿勢を保証するための燃料消費を最適化すること、つまり低減することであるということを経験した。
【0022】
最良の知識に基づいて、本出願人は、上記の技術的問題に対処するために現在のところ使用または提案されている技術が、通常は格納または非展開の位置と展開位置とである2つ以上の所定の別々の位置において、適切な機構を用いて移動される姿勢制御推進装置の提供に本質的に基づかれることを見出し、本出願人が最も良く知る限り、展開位置は、サービス提供宇宙船と集合した宇宙船とが実施しなければならない先験的に予測可能なすべての可能な任務において、集合した宇宙船の質量の中心によって仮定され得る位置の推定に基づく根拠において計算される。
【0023】
その結果、本出願人は、先に指示された技術が、多くの局面において満足できるものであるが、特には地球からの距離のため、地上からサービス提供宇宙船と相互作用するのが難しい場合、サービス提供宇宙船の耐用期間全体の間のサービス提供宇宙船の燃料消費の最適化の効率の観点と、サービス提供宇宙船の耐用期間全体の間のサービス提供宇宙船および集合した宇宙船の姿勢を制御するために必要な姿勢制御推進装置の数の観点、結果的には全体の質量の観点との両方において、向上のための相当の余地を有することを立証した。
【0024】
そのため、本発明は、必要な冗長性も考慮して、燃料消費の最適化の効率の観点と、サービス提供宇宙船および集合した宇宙船の姿勢を制御するために必要な姿勢制御推進装置の数の観点との両方において向上を得ることができる技術を提供するという目的を有する。
【0025】
本発明によれば、添付の請求項で請求されているように、軌道上サービス提供宇宙船が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】サービス提供されるかまたは引かれる宇宙船にドッキングされた
図1の軌道上サービス提供宇宙船によって形成された宇宙システムの図である。
【
図3】
図1の軌道上サービス提供宇宙船の姿勢制御推進装置の位置決めおよび配向システムの図である。
【
図4】
図1の軌道上サービス提供宇宙船の電子反応制御システムのブロック図である。
【
図5】
図4の電子反応制御システムの姿勢制御コンピュータによって実施される動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本発明は、当業者に本発明を実施および使用させるために、添付の図を参照して詳細に説明される。記載された実施形態への様々な変更が当業者にすぐに明らかとなり、記載されている大まかな原理は、添付の請求項に定められているように、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用されてもよい。そのため、本発明は、記載および図示されている実施形態に限定されると見なされるべきではなく、記載および請求された特徴と一致した保護の最も広い範囲が認められるべきである。
【0028】
他に定められていない場合、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的な用語は、本発明に関する分野における通常の知識の人間によって一般的に使用されているのと同じ意味を有する。何らかの矛盾がある場合、提供されている定義を含め、本記載が義務を負うことになる。さらに、例が、図示の目的のためだけに提供されており、そのため限定として解釈されるべきではない。
【0029】
具体的には、添付の図に含まれ、以下に記載されているブロック図は、構造上の特徴の描写として、つまり、構造的な限定として意図されておらず、本発明の機能性(機能することの可能性)を保護するために、機能的な特徴の描写として、つまり、機能的な限度であり、異なる方法で実施できる、得られる効果によって定められる装置の本質的な特性として解釈されなければならない。
【0030】
本明細書に記載されている実施形態の理解を容易にするために、いくつかの特定の実施形態が参照され、特定の言葉がその説明のために使用されている。本明細書で使用されている用語は、具体的な実施形態だけを説明する目的を有し、本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【0031】
さらに、説明の利便性のために、以下の記載は、一般性を失うことなく、宇宙引船の形態での軌道上サービス提供宇宙船が衛星の形態での宇宙船をドッキングしなければならず(必ずしも協調的でない)、そのため、しっかりと互いに係合させられた宇宙引船および衛星から成るしっかりとした宇宙システムを形成するという任務を参照する。
【0032】
大まかに言って、本発明に内在する考えは、宇宙引船が衛星に係合するとき、または、衛星からさらに分離されるときの両方で、宇宙引船の感覚システムによって提供される情報に基づいて、宇宙引船の姿勢制御推進装置の位置決め、配向、および動作に関する最良の解を出力することができる人工知能(AI)に基づく姿勢制御を本質的に提供することである。
【0033】
人工知能に基づく姿勢制御は、例えば、宇宙システムにおける段階的な燃料消費のため、宇宙システムの質量の中心の位置の変位など、時間に伴って変化するように適合するようにも設計される。
【0034】
この方法では、一方で、燃料消費を減らすことが可能であり、他方で、必要な姿勢制御推進装置の全体の数(冗長性を含む)を減らすことが可能であり、その結果、姿勢制御システムの重量を減らす一方で、姿勢制御推進装置の不首尾を受け入れ、宇宙システムの操縦の柔軟性を増加させるより大きな能力を提供もする。
【0035】
図1、
図2、および
図3は、全体として符号1で参照されている本発明による宇宙引船を示している。
【0036】
宇宙引船1は、
- 本体、構造、またはプラットフォーム2と、
- 本体2によって担持される搭載機器であって、数ある中でも、
・ 搭載電機システムに電力供給するためのソーラーパネル3、
・ 引かれる衛星5をドッキング/捕獲し、それによって一緒に宇宙システム6を形成するための、知られている種類のものであり、したがって詳細には説明されず、先行技術による係合機構(図示されていないが)が固定されるリングの形態での例を用いて図示されている電気的に制御可能な係合システム4、および、
・ 所与の軌道に沿っての宇宙引船1の姿勢および変位を制御して、宇宙船同士の間でのランデブーおよびドッキング操縦(目標への接近の速度を制御するために、および、ドッキング位置と一列になるために、変位制御を用いる)、ならびに軌道変化操縦などの所与の操縦を宇宙船1に実行させるために、宇宙引船1をロール軸、ヨー軸、およびピッチ軸の周りに回転させるための電子反応制御システム(RCS)7(
図4)
を備える搭載機器と
を備える。
【0037】
図4のブロック図に示されているように、電子反応制御システム7は、
- 知られている種類のものであり、したがって詳細には説明されず、物理量を直接的に感知させるための、または、位置、姿勢、角速度、利用可能燃料、形状特徴、および搭載システム状態などの感知された物理量に基づいて物理量を間接的に計算させるための感覚システム8と、
- それ自体の位置および配向を調整可能とさせるように搭載された姿勢制御推進装置9の形態での電子的に制御可能なアクチュエータ/モータと、
- 感覚システム8および姿勢制御推進装置9と通信しており、感覚システム8からデータを受信するようにプログラムされ、宇宙引船1の姿勢および位置を制御するように、受信したデータ、位置、配向、および姿勢制御推進装置9の動作状態に基づいて制御するようにプログラムされる姿勢制御コンピュータ10と
を備える。
【0038】
再び
図1、
図2、および
図3を参照すると、位置および姿勢を調整可能とさせるために、姿勢制御推進装置9は、姿勢制御推進装置9の位置および配向を姿勢制御コンピュータ10からの電気的命令に応答して調整可能とさせるように設計された電子的に制御可能な展開可能移動システム11を介して、宇宙引船1の本体2に搭載されている。
【0039】
非限定的な例を用いて
図2においてより詳細に示されているように、移動システム11は、簡潔性のために以後においてRCS群9と称される、配向が個別に調整される各々の個別の姿勢制御推進装置9について、または、配向が集合的に調整される姿勢制御推進装置9の各々のグループについて、姿勢制御コンピュータ10からの電気的命令に応答して、少なくとも2つの直交する回転軸A、Bの周りにRCS群9を回転させて、RCS群9の配向を宇宙引船1において望まれるように調整可能とさせるようにRCS群9を支持するように設計された電子的に制御可能な配向構造12を備える。
【0040】
移動システム11は、位置が個別に調整可能となるように望まれる各々の個別の配向構造12について、または、位置が集合的に調整可能となるように望まれる配向構造12のグループについて、配向構造12または配向構造12のグループを直線または曲線の変位方向に沿って変位させて、配向構造12または配向構造12のグループの位置を宇宙引船1において調整可能とさせるように、配向構造12または配向構造12のグループを支持するように設計された電子的に制御可能な位置決め構造13をさらに備える。
【0041】
図1、
図2、および
図3は、例を用いて、案内スライド式の位置決め構造13を示しており、位置決め構造13では、配向構造12が、姿勢制御コンピュータ10からの電気的命令に応答して直線方向Cに沿って変位し、それによって、配向構造12によって担持されたRCS群9の位置を調整可能とさせるように、直線的な案内部においてスライド可能に搭載されたスライド部に係留される。
【0042】
結局のところ、移動システム11は、各々の位置決め構造13について、位置決め構造13を宇宙引船1の本体2に連結し、姿勢制御コンピュータ10からの電気的命令に応答して、位置決め構造13が本体2の近くで保持される非展開構成と、位置決め構造13が本体2から離れるように移動させられ、衛星5に近い位置へと持って行かれる、本体2に対する展開構成とを取るように設計された電子的に制御可能な展開構造14をさらに備える。
【0043】
図1、
図2、および
図3は、例を用いて、本体2と、位置決め構造13の直線的な案内部との間にレバーがヒンジ留めされている種類の展開構造14を示している。
【0044】
図1、
図2、および
図3に示されている例では、移動システム11は、2つの姿勢制御推進装置9を伴うRCS群9を担持する配向構造12と、単一の配向構造12を担持する位置決め構造13と、位置決め構造13と宇宙引船1の本体2との間の展開構造14とによって各々形成されている、同一のアーキテクチャを伴う2つの移動サブシステムによって、形成されている。
【0045】
2つの移動サブシステムは、宇宙システムの質量の中心に対して中立の挙動を保つように、および、姿勢制御推進装置9の位置および方向を、結果的に生じる推進の効率を最大限にするために完全に管理させるように、本体2において対称的に径方向に配置されている。
【0046】
図5は、姿勢制御推進装置9の位置、配向、および動作状態を制御して、宇宙引船1の姿勢を調整および維持するために、および、宇宙引船1の軌道を変化させるために、姿勢制御コンピュータ10によって実施される動作の流れ図を示している。
【0047】
この目的のために、先験的に分かっている宇宙引船1の任務は、引かれる衛星5をドッキングするという準備的なステップを含む動作ステップと、それに続く、特定の任務に応じて、軌道移転のステップおよび姿勢安定化のステップによって可及的に分散される、任務の目的を遂行するための1つまたは複数の動作ステップとに概念的に分割可能であり、任務の目的は、例えば、衛星5のあらかじめ指定されたポインティングの維持である。
【0048】
軌道移転ステップが、特定の任務に応じて先験的に確立されている基準、または、例えば、地上で適切に訓練された1つまたは異なる専用のニューラルネットワークを用いて、任務の間に確立された基準に基づいて最適化されることを仮定して、姿勢制御コンピュータ10は、宇宙引船1に指定された任務を実施するためと、中期間から長期間の動作ステップを最適化するためとの両方を実施するようにプログラムされている。
【0049】
より複雑なシナリオへの拡張が即時であるため、簡潔性のために、以下の記載は、宇宙引船1の任務が、衛星5をドッキング/捕獲の準備的なステップと、準備的なステップに続く単一の動作ステップとからだけで成るという仮定に基づかれている。宇宙引船1が衛星5をドッキングまたは捕獲するとすぐに、それによって形成された宇宙システム6は、剛体のように振る舞い、それによって、宇宙システム6と一体の先験的に分かっている基準システムを、宇宙システム6の制御のために検討させることができることも、仮定されている。
【0050】
動作ステップは、まず第一に、例えばポインティングなど、任務の要件に従って、および、例えば燃料消費の最小化、ポインティングの誤差など、選択された最適化基準に従って、宇宙システム6の姿勢を安定化させることを含む。説明の利便性のために、本明細書では、頭文字FSが、姿勢安定化下位ステップに言及するために使用され、頭文字FRが、姿勢安定化下位ステップが終了するとき、つまり、宇宙システム6の安定化に達せられたときに始まり、知られている種類のため詳細には記載されない姿勢制御ステップを実行することで下位ステップFRの全期間にわたって姿勢制御コンピュータ10によって維持される定常動作下位ステップに言及するために使用される。
【0051】
本発明の態様によれば、下位ステップFSの実施は、地上で事前に訓練されたニューラルネットワークに基づく姿勢制御コンピュータ10によって制御される。この目的のために、宇宙システム6の安定化を考慮している、例えばCN109625333Aに記載されているものといったすでに利用可能な技術を、燃料消費を最小限にすることなどのさらなる目的を検討することなく、採用することが可能である。下位ステップFSにおいて、姿勢制御推進装置9は、先験的に確立されたデフォルト構成に応じて位置決めおよび配向される。
【0052】
検討されているシナリオでは、ニューラルネットワークの利用は、宇宙システム6の質量の中心と、相対的な慣性モーメントとの両方が先験的に分かっていないため、従来の制御方法の代替として特に有利であり得る。
【0053】
下位ステップFSの間、ニューラルネットワークは、以下のように数学的に記載できる標準的な制御の問題を効率的に解くように設計されている。
【0054】
【0055】
ここで、式(1)は、例えば燃料消費の最小化、ポインティングの誤差など、最適化の目標であり、ベクトル式(2)は、時間fの各々の瞬間におけるその時間導関数
【0056】
【0057】
の関数(宇宙システム6の角速度および加速度)として見なされる宇宙システム6の動的状態x(t)(指定された基準システムの位置および角速度)と、任意の瞬間の時間tにおいて宇宙システム6に全体で発揮される力およびトルクによって形成される制御ベクトルu(t)とを表している。
【0058】
式(3)および(4)は、状態/制御変数と、時間t0およびtfにおける宇宙システム6の初期状態および最終状態(必要な場合)とにおける制約をそれぞれ定めている。
【0059】
ニューラルネットワークによって出力される式(1)~(4)によって定められる問題の解は、姿勢制御推進装置9の指定された(デフォルトの)構成に対して最適化される。しかしながら、本発明によれば、姿勢制御推進装置9の構成が調整可能であるため、宇宙システム6のパラメータ、つまり、姿勢制御推進装置9の位置および配向は、(時間非依存ではあるが)追加の制御変数の観点からさらに検討される。この方法では、解の範囲は拡張させられ、以下のような新たな最適化の問題を生じさせる。
【0060】
【0061】
ここで、ベクトルPおよびγ(定式化(1)~(4)における陰関数)は、姿勢制御推進装置9の位置および配向をそれぞれ表している(もはや定数とは見なされず、条件(7)によって表される対応する変域の状況において定められ得る宇宙システム6の構造パラメータと見なされる)。(1)~(4)によって定められる最適化の問題は、「縮小最適化問題」(PR)として本明細書において後で指示されているが、(5)~(8)によって定められる最適化の問題は、「拡張最適化問題」(PE)として指示されている。
【0062】
拡張最適化問題PEの最適な解は、概して、選択された特定の目標の機能に拘わらず、縮小最適化問題PRの最適な解より良好である。
【0063】
【0064】
宇宙船1には、姿勢制御推進装置9を移動させるために移動システム11が搭載されているため、姿勢制御コンピュータ10は、各々の姿勢制御推進装置9について、ドッキングの後、許容可能な位置および配向(拡張最適化問題PEにおけるPおよびγの変域)を計算するようにプログラムされている
【0065】
拡張最適化問題PEの単なる解が、縮小最適化問題PRの単なる解より相当に複雑であることも、留意する価値がある。したがって、宇宙システム6の安定化と姿勢制御推進装置9の構成との両方を同時に最適化することは非現実的であり、この理由のため、姿勢制御推進装置9を再構成(RC)する下位ステップが導入され、
図5の流れ図に示されている姿勢制御推進装置9の構成を最適化するための繰り返しの処理が、以下において提案および記載されている。
【0066】
図5に示されているように、姿勢制御推進装置9の構成を最適化するための処理は、後で詳細に説明されている以下の動作、すなわち、
1. 動作ステップのために入力を取得/更新することと(ブロック100)、
2. 宇宙システム6を安定化させることと(ブロック110)、
3. 姿勢制御推進装置9の配置の最適化のために入力を取得/更新することと(ブロック120)、
4. 姿勢制御推進装置9の位置および配向を最適化することと(ブロック130)、
5. 姿勢制御推進装置9の位置および配向を(物理的に)調整することと(ブロック140)と
を本質的に含む。
【0067】
動作1~5は、宇宙システム6の動作ステップにおいて実施されるだけであり、したがって、流れ図において破線で示されているように、動作ステップからの宇宙システム6の終了は、実施されたその瞬間において、ステップの実行の即時の中断をもたらす(一般的な停止の規則)。
【0068】
動作1
動作ステップのために入力を取得/更新すること
動作1は、動作ステップにおいて、宇宙システム6の動作シナリオを取得すること、または、最適化処理の間に更新することを目的としている。
【0069】
動作1は、以下のステップ、すなわち、
1.1 例えば、衛星5の搭載光学系の所与のポインティング角度の維持、および、例えば燃料消費最小化といった最適化基準の維持など、動作ステップの要件を取得/更新することと、
1.2 宇宙システム6と一体の基準システムにおける宇宙システム6の位置、配向、および角速度など、宇宙システム6の初期/現在の状態の(利用可能な)データを取得/更新することと、
1.3 宇宙システム6の形状構成を決定させるように、衛星5の宇宙引船1に対する位置および配向を決定することと、
1.4 姿勢制御推進装置9の現在の位置および配向(最適化処理の最初のステップにおいては、設計上の名目/デフォルトの位置および配向)を取得することと
を実施することを含む。
【0070】
ステップ1.1については、動作ステップの要件および最適化基準は、最適化処理が開始されるときに分かっている。動作ステップの要件および最適化基準は、例えば、感覚システム8によって感知された状態における変化のため、または、他の予測しない条件の発生のためといった、更新の必要性が確認された場合に、後で変化してもよい。
【0071】
動作ステップのための更新を定めること、つまり、動作2および3を実行するために(または、必要な場合、再び実行するために)更新データを取得することが、地上において事前に訓練された専用ニューラルネットワークによって、都合よく実行される。
【0072】
ステップ1.3は、必要な場合、ドッキングの後に、例えば光学センサ、画像取り込み、および認識センサなどの形態で、感覚システムを用いて実行される。これは、例えば、捕獲された衛星に搭載された光学器具のポインティング機能が修復される場合である。
【0073】
動作1は、後で記載されている条件1が起こる場合のみ、最適化処理の始まりとその後とに実施される。ステップ1.1、1.2、1.3、および1.4は、動作2を初期化すること(または、必要な場合には再初期化すること)、および/または、入力を動作3に向けて伝達することの目的を有する。
【0074】
動作2
宇宙システム安定化
動作2は、下位ステップFSを実行すること、つまり、動作ステップの要件に従って、ならびに、選択された最適化基準に従って、つまり、姿勢制御推進装置9の現在の配向および位置が一定と見なされる縮小最適化問題PRの解に従って、宇宙システム6の姿勢の安定化を実行することを目的としている。
【0075】
動作2は、地上において事前に訓練されたニューラルネットワークを用いて都合よく実行される。
【0076】
ニューラルネットワークは、ステップ1.1、1.2、1.3、および1.4を通じて、動作1から得られる情報を取り込むことで動作させられる。
【0077】
次に、宇宙システム6が、動作ステップの要件と、例えば燃料消費の最小化といった選択された最適化基準とを満たすことができるとき、動作3が実行される。
【0078】
動作3
姿勢制御推進装置の配置の最適化のために入力を取得/更新すること
動作3は、下位ステップRCを実行するために、つまり、姿勢制御推進装置9の位置および配向を最適化するために必要な最適化処理の間に更新され得る入力データを準備することを目的としている。
【0079】
動作3は、以下のステップ、すなわち、
3.1 定常動作ステップFRの制御ステップの間に宇宙システム6に適用する姿勢制御力および姿勢制御トルクの下位セットを抽出することと、
3.2 姿勢制御推進装置9の許容可能な位置変域および配向変域と、任意の更新とを決定することと
を実施することを含む。
【0080】
ステップ3.1の実行に必要な姿勢制御力および姿勢制御トルクの下位セットは、下位ステップFRの間の十分に延ばされたサンプリング期間の間、つまり、宇宙システム6の定常動作の間に宇宙システム6に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクの適切な統計学的サンプリングに続いて得られる。
【0081】
この目的のために、姿勢制御コンピュータ10は、下位ステップFRの間の十分に延ばされたサンプリング期間の間に、姿勢制御の間、宇宙システムに作用する結果生じた力およびトルクの所定の大きさの下位セットを抽出するようにプログラムされている。
【0082】
都合のよいことに、姿勢制御コンピュータ10は、例えば、姿勢制御力および姿勢制御トルクのモジュールの最大値および最小値、最大の必要な消費などに対応する下位ステップFRの最も重要な姿勢制御ステップの間に、宇宙システム6に作用する姿勢制御力および姿勢制御トルクを抽出するように、ならびに、下位ステップFRの間に宇宙システム6に最も頻繁に作用する姿勢制御力および姿勢制御トルクを抽出するように、プログラムされ得る。
【0083】
抽出された姿勢制御力および姿勢制御トルクの下位セットが、下位ステップFRの間に起こる姿勢制御ステップの間に宇宙システム6に実際に作用する姿勢制御力および姿勢制御トルクをできるだけ代表するものであることを確実にするために、姿勢制御コンピュータ10は、姿勢制御力および姿勢制御トルクなどの「全体の差異」を最大化する姿勢制御ステップを選択するように都合よくプログラムされ得る。この目的のために、例えば、選択された重量で、力およびモーメントの標準的な逸脱、L1、L2のノルムを用いて表される対応する距離の合計を最大化することで、異なる定式化が用いられ得る。「k平均法」など、有用な技術およびアルゴリズムがこの目的のために利用可能である。
【0084】
ステップ3.2は、拡張最適化問題PEにおけるベクトルPおよびγの変域を定める各々の姿勢制御推進装置9の許容可能な位置および配向を特定することを主な目的としている。この情報が先験的に分かっていないため、衛星5の位置および配向が宇宙引船1に対して正確にどうなのかを予測不可能であり、各々の姿勢制御推進装置9についての許容可能な位置および配向は、画像認識技術を通じて都合よく特定される。
【0085】
ステップ3.2は、姿勢制御推進装置9の利用可能性における任意の更新を特定するというさらなる目的を有し、その情報は動作4の実行に必要である。実際、例えば、姿勢制御推進装置9があり得る不具合の信号を送ることが起こる可能性があり、この場合、姿勢制御推進装置9は、より信頼できる条件で動作する1つまたは異なる姿勢制御推進装置9によって適切に置き換えられるべきである。さらなる例は、姿勢制御推進装置9の一部を過負荷にすることを回避するために、姿勢制御推進装置9の使用を再分配する必要性に関し得る。ステップ3.2は、地上において事前に訓練されたニューラルネットワークを用いても都合よく実施される。
【0086】
ステップ3.1において選択された姿勢制御力および姿勢制御トルク、利用可能な姿勢制御推進装置9の特定、ならびに、ステップ3.2において計算された対応する位置および配向の変域の定義は、動作4において後で記載されている下位ステップRCで使用される拡張最適化問題PEの離散化された(小さい大きさとされた)定式化のための基本的な要素である。
【0087】
動作3の実行の終わりにおいて、姿勢制御コンピュータ10は、流れ図において条件1の用語で指示されている動作条件の発生を確認するようにプログラムされている(ブロック150)、その動作条件は、動作3の実行が、宇宙システム6の動作シナリオが変化させられた結果をもたらしたかどうかによって定められ、具体的には、最適化処理における動作3の実行の前に存在するものと比較して、姿勢制御力および姿勢制御トルクの異なる下位セット、または、1つもしくは複数の姿勢制御推進装置9の排除を特定したかどうかによって定められる。
【0088】
条件1が起こると決定される場合、姿勢制御コンピュータ10は、以下に記載されている動作4を実行するようにプログラムされており、そうでない場合、所与の時間期間が経過した後に動作1を繰り返すように設計されている(ブロック160)。
【0089】
動作3の最初の実行の間、条件1は常に起こるように決定されるが、続く繰り返しでは条件1は起こらないこともあり、その場合、すでに検討されている動作シナリオになることで、考えられている循環を発生させるため、動作4を再実行する理由がない。そのため、動作4は、条件1が起こる場合のみ作動させられる。
【0090】
動作4
姿勢制御推進装置の位置および配向の最適化
動作4は、動作3において特定された利用可能な姿勢制御推進装置9の位置および配向、つまり、下位ステップRCの計算の局面を最適化させることを目的としており、一方で下位ステップRCの出力、つまり、姿勢制御推進装置9の移動が、後で記載されている動作5において実施される。
【0091】
動作4では、拡張最適化問題PEが解かれ、各々の姿勢制御推進装置9の位置および配向を指示するベクトルPおよびγは、もはや定数とは見なされず、動作3において特定された関連する変域内で変化し得るシステムパラメータ(時間非依存)と見なされる。
【0092】
用いられた最適化のモデル/アルゴリズムには、姿勢制御力および姿勢制御トルクの代表的な下位セット、利用可能な姿勢制御推進装置9、利用可能な姿勢制御推進装置9の各々についての推進の制約に加え、使用の時間における制約、または、提供される推進、および/または追加の条件が、(動作3から)入力される。
【0093】
姿勢制御力および姿勢制御トルクの代表的な下位セットが、拡張最適化問題PEのサイズ(延いては、困難性)を相当に低減するために、実際にサンプリングされたすべての制御ステップの姿勢制御力および姿勢制御トルクを含むものの代わりに都合よく用いられることは、留意する価値がある。
【0094】
(選択された力およびトルクの下位セットに応じて離散化された)拡張最適化問題PEは、非線形での数学的プログラミング、または、混合整数計画法(MIP)モデルの観点で定式化でき、大域的最適化(GO)またはMIPで解くことができる。代替で、拡張最適化問題PEは、(専用のモデル、アルゴリズム、およびオプティマイザを用いて)地上で事前に訓練された専用のニューラルネットワークを介して解くことができる。この場合、動作3および4は、地上で事前に訓練された専用のニューラルネットワークによって実行される単一の動作へと融合させることができる。
【0095】
動作4が完了したとき、姿勢制御コンピュータ10は、流れ図において条件2の用語で指示されている動作条件の発生を確認するようにプログラムされており(ブロック170)、その動作条件は、動作4において特定された解が、検討されている最適化基準に基づいて、姿勢制御推進装置9の構成の最適化処理の以前の繰り返しにおいて同じ動作4において特定された解より良好と見なされるかどうかによって定められる。
【0096】
例えば、最適化基準が燃料消費最小化である場合、条件2は、姿勢制御推進装置9の構成の最適化処理の以前の繰り返しにおいて、同じ動作4で特定された姿勢制御推進装置9の構成と比較して、燃料節約を得ることができる動作4で特定される姿勢制御推進装置9の構成によって定められる。
【0097】
条件1が起こると決定される場合、姿勢制御コンピュータ10は、以下に記載されている動作5を実行するようにプログラムされており、そうでない場合、所定の時間期間が経過した後に動作1を繰り返すように設計されている(ブロック160)。
【0098】
動作5
姿勢制御推進装置の位置および配向を(物理的に)修正すること
動作5は、動作4の出力に基づいて姿勢制御推進装置9の位置および配向を修正することを目的としている。
【0099】
この目的のために、姿勢制御コンピュータ10は、動作4において計算された位置および配向を姿勢制御推進装置9に取らせるように、移動システム11を制御するようにプログラムされている。
【0100】
先に記載されていることに基づいて、本発明が達成することができる利点を理解することが可能である。
【0101】
具体的には、本発明は、軌道上サービス提供宇宙船の燃料消費の最適化の効率の観点と、軌道上サービス提供宇宙船の姿勢、ならびに、軌道上サービス提供宇宙船、およびドッキングまたは捕獲された宇宙飛行体または物体によって形成された宇宙システムの姿勢を制御するために必要とされる姿勢制御推進装置の数の観点との両方において、向上を得ることができる電子反応制御システムを提供することができる。
【0102】
電子反応制御システムは、例えば、使用の異なるステップの間の燃料消費を最適化するために、または、姿勢制御推進装置のうちの1つまたは複数の不首尾の場合に姿勢制御推進装置の構成を最適に再定義するために、衛星などの単一の宇宙船に使用されてもよい。
【0103】
さらに、使用されるニューラルネットワークは、その応答能力を時間に伴って向上させることで、自己学習することが可能であり得る。現在の技術の状況では、搭載されての使用の間に感知されるデータを用いて地上からここでも再び訓練され、アップリンク接続を通じて再更新され得ることが、取られる。
【符号の説明】
【0104】
1 宇宙引船
2 本体、構造、プラットフォーム
3 ソーラーパネル
4 係合システム
5 衛星
6 宇宙システム
7 電子反応制御システム(RCS)
8 感覚システム
9 姿勢制御推進装置、RCS群
10 姿勢制御コンピュータ
11 展開移動システム
12 電子的に制御可能な配向構造
13 電子的に制御可能な位置決め構造
14 電子的に制御可能な展開構造
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙システム(6)を形成するように、サービス提供されるかまたは引かれる宇宙飛行体または物体(5)に係合するための係合システム(4)と、
宇宙船(1)に所与の操縦を実行させるために、所与の軌道に沿って前記宇宙船(1)の姿勢および変位を制御するように、前記宇宙船(1)をロール軸、ヨー軸、およびピッチ軸の周りに回転させるための電子反応制御システム(7)と
を備える軌道上サービス提供宇宙船(1)であって、
前記電子反応制御システム(7)は、
物理量を直接的に感知させるための、または、位置、姿勢、角速度、利用可能燃料、形状特徴、および搭載システム状態のうちの1つまたは複数を含む感知された物理量に基づいて物理量を間接的に計算させるための感覚システム(8)と、
それ自体の位置および配向を調整可能とさせるように搭載される姿勢制御推進装置(9)と、
前記感覚システム(8)および前記姿勢制御推進装置(9)と通信しており、前記感覚システム(8)からデータを受信するようにプログラムされ、前記宇宙船(1)の姿勢および位置を制御するように、受信した前記データ、位置、配向、および前記姿勢制御推進装置(9)の動作状態に基づいて制御するようにプログラムされる姿勢制御コンピュータ(10)と
を備え
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記係合システム(4)および前記姿勢制御推進装置(9)が、サービス提供されるかまたは引かれる宇宙飛行体または物体(5)に係合するように前記姿勢制御コンピュータ(10)によって制御される係合ステップと、各々において、前記勢制御推進装置(9)が、1つまたは複数の動作ステップであって、前記1つまたは複数の動作ステップのために確立されている1つまたは複数の要件を満たすために前記姿勢制御コンピュータ(10)によって制御される1つまたは複数の動作ステップとを含む所与の任務を前記宇宙船(1)に実行させるようにプログラムされ、
各々の動作ステップは、前記宇宙システム(6)の姿勢が、前記動作ステップの前記要件に応じて所与の最適化基準で安定化させられる少なくとも1つの安定化下位ステップ(FS)を含んでもよく、
各々の安定化下位ステップ(FS)に続いて、前記宇宙システム(6)の姿勢の前記安定化下位ステップ(FS)が終了するときに開始する定常動作下位ステップ(FR)があることにおいて特徴付けられ、
各々の動作ステップにおいて、前記姿勢制御コンピュータ(10)が、前記姿勢制御推進装置(9)の構成の最適化の繰り返し処理を実施することで、前記動作ステップの前記要件に応じて前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成を最適化するようにさらにプログラムされることであって、前記繰り返し処理は、
1. 動作1であって、
1.1 前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準を取得/更新すること、
1.2 前記宇宙システム(6)の基準システムにおける前記宇宙システム(6)の位置、配向、および角速度によって定められる前記宇宙システム(6)の現在の状態を取得/更新すること、
1.3 前記宇宙システム(6)の形状構成を決定させるように、係合された前記宇宙飛行体または物体(5)の前記宇宙船(1)に対する位置および配向を決定すること、ならびに、
1.4 前記姿勢制御推進装置(9)の現在の位置および配向を決定すること
を含む動作1と、
2. 前記宇宙システム(6)の前記現在の状態および形状構成と、ステップ1.4において決定された前記姿勢制御推進装置(9)の前記現在の位置および配向とに基づいて、前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準に従って、前記宇宙システム(6)の姿勢を安定化させることを含む動作2と、
3. 動作3であって、
3.1 前記定常動作ステップ(FR)の十分に拡張されたサンプリング期間の間に、前記宇宙システム(6)に作用する姿勢制御力および姿勢制御トルクを決定すること、ならびに、
3.2 前記姿勢制御推進装置(9)の許容可能な位置変域および配向変域と、前記姿勢制御推進装置(9)の利用可能性とを決定すること
を含む動作3と、
4. 前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を、ステップ3.2において決定された関連する前記許容可能な変域の中で変化し得るシステム変数と見なし、前記最適化基準に基づいて、利用可能な前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を最適化することを含む動作4と、
5. 前記姿勢制御推進装置(9)に、ステップ4において計算された最適化された前記位置および前記配向を取らせるように、前記姿勢制御推進装置(9)の前記位置および前記配向を修正させることを含む動作5と
を含む、プログラムされることにおいて特徴付けられる軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項2】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、
動作3が完了させられたとき、前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクのセットによって定められる、ならびに/または、1つまたは複数の姿勢制御推進装置(9)の前記利用可能性によって、もしくは前記利用可能性のないことによって定められる前記宇宙システム(6)の動作シナリオの、前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成の最適化の前記繰り返し処理における動作3の実行の前の前記動作シナリオと比較しての変化をもたらした、またはその変化をもたらし損ねた動作3の実行によって定められる第1の動作条件の発生を確認する(150)ように、
前記第1の動作条件が発生したと決定されるとき、動作4を実行する(130)ように、
前記第1の動作条件が発生していないと決定されるとき、所与の時間期間(160)が経過した後、動作1を繰り返すように
さらにプログラムされる、請求項1に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項3】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、
動作4が完了させられたとき、前記姿勢制御推進装置(9)の前記構成の最適化の前記繰り返し処理における動作4の以前の実行と比較して、前記最適化基準に基づいて決定された、向上をもたらした、または向上をもたらし損ねた動作4の実行によって定められる第2の動作条件の発生を確認する(170)ように、
前記第2の動作条件が発生したと決定されるとき、動作5を実行する(140)ように、
前記第2の動作条件が発生していないと決定されるとき、所与の時間期間(160)が経過した後、動作1を繰り返すように
さらにプログラムされる、請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項4】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、地上において事前に訓練された同じニューラルネットワークまたは異なるニューラルネットワークのいずれかを用いて、前記安定化下位ステップ(FS)、動作1におけるステップ1.1による更新の必要性の決定、動作2、および動作3におけるステップ3.2のうちの1つまたは複数を実施するようにさらにプログラムされる、
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項5】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記感覚システム(8)によって出力されるデータに基づいて、前記宇宙船(1)と、動作1におけるステップ1.3による前記宇宙システム(6)の前記形状構成とに対して、サービス提供されるかまたは引かれる前記宇宙飛行体または物体(5)の位置および配向を決定するようにさらにプログラムされる、
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項6】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)が前記動作ステップの前記要件および前記最適化基準を満たすとき、動作3を実行するようにさらにプログラムされる、
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項7】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)に適用され、前記定常動作ステップ(FR)の間に行われた制御ステップの間に前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクを表す姿勢制御力および姿勢制御トルクの下位セットを抽出することで、動作3におけるステップ3.1を実行するようにさらにプログラムされる、
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項8】
前記姿勢制御コンピュータ(10)は、前記宇宙システム(6)に適用され、前記定常動作下位ステップ(FR)の間に行われた重要な姿勢制御ステップの間に前記宇宙システム(6)に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルク、ならびに/または、前記定常動作下位ステップ(FR)の間に前記宇宙システム(6)により頻繁に適用される姿勢制御力および姿勢制御トルクを含む姿勢制御の力およびトルクの下位セットを抽出するようにさらにプログラムされる、請求項7に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項9】
前記電子反応制御システム(7)は、前記姿勢制御推進装置(9)を移動させるように動作可能であり、
1つまたは異なる姿勢制御推進装置(9)の配向を調整可能とさせるように、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記姿勢制御推進装置(9)を少なくとも2つの直交する回転軸(A、B)の周りに回転させるために、前記姿勢制御推進装置(9)を支持するように設計される電子的に制御可能な配向構造(12)と、
1つまたは異なる配向構造(12)の位置を調整可能とさせるように、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記配向構造(12)を変位方向に沿って並進させるために、前記配向構造(12)を支持するように設計される電子的に制御可能な位置決め構造(13)と、
各々の位置決め構造(13)について、前記位置決め構造(13)を前記宇宙船(1)に連結するように、および、前記姿勢制御コンピュータ(10)からの電気的命令に応答して、前記位置決め構造(13)が前記宇宙船(1)に近い非展開構成と、前記位置決め構造(13)が前記宇宙船(1)から離れるように移動させられ、サービス提供されるかまたは引かれる前記宇宙飛行体または物体(5)に近い位置へと持って行かれる展開構成とを取るように設計される電子的に制御可能な展開構造(14)と
を備える電子的に制御可能な移動システム(11)をさらに備える、
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)。
【請求項10】
請求項1または2に記載の軌道上サービス提供宇宙船(1)の前記電子反応制御システム(7)の前記姿勢制御コンピュータ(10)に読み込み可能であり、実行されたとき、前記姿勢制御コンピュータ(10)を、
請求項1または2で請求されているような構成にさせるように設計されるコンピュータプログラム。
【国際調査報告】