(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】周波数バンドまたはチャネルを識別するための回路構成および方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3822 20150101AFI20221215BHJP
H04B 17/30 20150101ALI20221215BHJP
【FI】
H04B1/3822
H04B17/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523274
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2020087059
(87)【国際公開番号】W WO2021123193
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019220166.0
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522156302
【氏名又は名称】モレックス シーブイエス ダベンドルフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ナスト
(72)【発明者】
【氏名】アハメド サイード
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA27
5K011EA01
5K011GA02
5K011JA01
5K011KA12
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの端末機(2)と少なくとも1つのアンテナ(5)との間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成であって、回路構成(1)は、デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号を提供するための少なくとも1つの信号カプラ(9)を含み、回路構成(1)は、周波数が設定可能な基準信号を提供するための少なくとも1つの装置(15)を含み、回路構成(1)は、デカップリングされた信号と基準信号とを混合するための少なくとも1つのミキサ(14)と、混合された信号をローパスフィルタリングまたはバンドパスフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタ装置(16)とを含み、回路構成(1)は、フィルタリングされた信号を評価するための少なくとも1つの評価装置(7)を含み、基準信号の設定された周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはチャネル(K1~K6)が識別可能である、回路構成、ならびに周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはチャネル(K1~K6)を識別するための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの端末機(2)と少なくとも1つのアンテナ(5)との間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成(1)であり、デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号を提供するための少なくとも1つの信号カプラ(9)を含む回路構成(1)であって、
該回路構成(1)は、周波数が設定可能な基準信号を提供するための少なくとも1つの装置(15)を含み、前記回路構成(1)は、デカップリングされた信号と前記基準信号とを混合するための少なくとも1つのミキサ(14)と、混合された信号をローパスフィルタリングまたはバンドパスフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタ装置(16)とを含み、前記回路構成(1)は、フィルタリングされた信号を評価するための少なくとも1つの評価装置(7)を含み、前記基準信号の設定された周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つの周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が識別可能であることを特徴とする回路構成。
【請求項2】
前記回路構成(1)は、フィルタリングされた信号の信号電力を特定するための装置(17)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の回路構成。
【請求項3】
前記フィルタ装置(16)のカットオフ周波数は設定可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路構成。
【請求項4】
前記基準信号を提供するための前記装置(15)は、位相制御ループとして形成されているか、またはそのようなものを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項5】
前記回路構成(1)は、前記基準信号の周波数を設定するための、および/または前記フィルタ装置(16)のカットオフ周波数を設定するための少なくとも1つの制御装置(7)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項6】
前記回路構成(1)は、信号伝送検出のための少なくとも1つの装置を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項7】
前記回路構成(1)は、少なくとも1つのスイッチング素子(10)を含み、該スイッチング素子(10)の第1のスイッチ状態では、前記信号カプラ(9)の第1の端子(9a)が前記ミキサ(14)に、前記スイッチング素子(10)の別のスイッチ状態では前記信号カプラ(9)の別の端子(9b)が前記ミキサ(14)に接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項8】
前記回路構成(1)はバイパス装置(11)を含み、信号は前記信号カプラ(9)と前記ミキサ(14)との間で、前記バイパス装置(11)を介して伝送されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項9】
設定された周波数および少なくとも1つの信号特性に応じて、前記伝送信号が伝送される少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が付加的に識別可能であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項10】
前記チャネル(K1~K6)は、付加的にフィルタ装置(16)の設定されたカットオフ周波数に応じて識別可能であることを特徴とする、請求項9に記載の回路構成。
【請求項11】
識別されたチャネルのチャネルバンド幅は、付加的に特定可能であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の回路構成。
【請求項12】
アップリンク信号またはダウンリンク信号が伝送される周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはチャネル(K1~K6)を識別するための方法であって、
・デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号が提供され、
・所定の周波数を持つ少なくとも1つの基準信号が提供され、
・デカップリングされた信号および前記基準信号が混合され、
・混合された信号がフィルタリングされ、
・フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性が特定され、
・前記基準信号の周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つの周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が識別される、方法。
【請求項13】
さまざまな周波数を持つ、周波数固有の基準信号が生成され、周波数固有の基準信号はそれぞれ、デカップリングされた信号と混合され、周波数固有の混合された信号はフィルタリングされ、周波数固有の混合された信号の少なくとも1つの信号特性が特定され、前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)は、周波数固有の信号特性に応じて特定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
フィルタ(16)の少なくとも1つのカットオフ周波数は、フィルタリングされた信号を提供するために変更されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)が識別され、続いて前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)のチャネル(K1~K6)が識別されることを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネル(K1~K6)のチャネルバンド幅が識別されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
伝送信号の周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または前記チャネル(K1~K6)の識別後に、少なくとも1つの信号特性の監視および/またはさらなる周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはさらなるチャネル(K1~K6)の識別が開始されることを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
さらなる周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはさらなるチャネル(K1~K6)の監視と識別は、順次または同時に実行されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの端末機と少なくとも1つのアンテナとの間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成、および周波数バンドまたはチャネルを識別するための方法に関する。
【0002】
独国特許出願公開第102017209209号は、信号結合装置ならびに信号結合装置の作動方法を開示している。この信号結合装置は、送信作動検出のための装置を含む。この装置によって、送信バンド固有の送信作動検出を実行することができる。言い替えると、アクティブな送信バンドを識別することができ、このアクティブな送信バンドで送信信号が伝送される。
【0003】
アップリンク信号またはダウンリンク信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルを識別することが望まれる。この識別は、所望の信号処理、特に所望の信号増幅を信号伝送のための回路構成によって行うため、および/または回路構成の所望の信号経路を確立するために利用することができる。したがって、例えば、該当する周波数バンドまたは該当するチャネルで伝送される信号を増幅するために用いられる回路構成の増幅装置だけを作動することが望ましい場合がある。この場合、他の増幅装置は非作動にすることができ、これにより回路構成のエネルギー消費が低減される。
【0004】
送信作動検出のための公知の装置は、通常、多数のフィルタ装置、例えばバンドパスフィルタを含み、これらのフィルタ装置は、周波数バンド専用の信号をフィルタリングするために用いられる。したがってフィルタ装置の使用は、製造コストを生じさせ、大きな取付けスペースを必要とする。
【0005】
さらに公知の装置は、多数の増幅器、スイッチング素子、ならびに広帯域検出器を含む。これは、回路構成の複雑な構造を誘発する。
【0006】
技術的課題は、少なくとも1つの端末機と少なくとも1つのアンテナとの間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成、および周波数バンドまたはチャネルを識別するための方法を、正確で信頼性が高く、時間的に迅速に周波数バンドまたはチャネルを識別することができるように創出することであり、その際、回路構成の製造コストおよび複雑性が低減されるようにする。
【0007】
この技術的課題は、独立請求項の特徴を備える対象によって解決される。本発明のさらなる有利な構成は、従属請求項から得られる。
【0008】
少なくとも1つの端末機と少なくとも1つのアンテナとの間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成が提案される。この回路構成により、このアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送する際の損失、例えば信号転送構成部品の損失を補償することができる。
【0009】
端末機は、携帯端末機、例えばユーザーにより携帯可能な端末機とすることができる。このような端末機は、例えば携帯電話またはタブレットPCであってよい。しかしさらに、端末機は、モデムまたは制御機器、特に車両の制御機器、例えばテレマティクス制御機器とすることもできる。したがって端末機は、固定的に組み込まれた端末機、例えば車両に固定的に組み込まれた端末機でもよい。
【0010】
この回路構成によって、複数のアップリンク信号を伝送することができる。好適にアップリンク信号は、互いに異なるアップリンク周波数バンドから成る周波数により伝送可能であってよく、1つのアップリンク周波数バンドで伝送されるアップリンク信号は、この周波数バンドの周波数を有する。これは、バンド間キャリアアグリゲーションとも称することができる。複数のアップリンク信号が1つの周波数バンドの異なるチャネルで伝送される場合、これはバンド内キャリアアグリゲーションと称することができる。
【0011】
互いに異なるアップリンク周波数バンドは、1つの無線規格または種々の無線規格に従ってアップリンク信号を伝送するために用いることができる。このような規格は、例えばGSM規格、UMTS規格、LTE規格、WIFI、または5G新無線規格であってよい。
【0012】
アップリンク周波数バンドは、ちょうど1つの規格に割り当てることも、複数の規格に割り当てることもできる。したがって、アップリンク信号を、種々の規格に従って同じアップリンク周波数バンドで伝送することが可能である。アップリンク信号の周波数が識別/検出されれば、そのような場合には規格を付加的な信号分析だけで特定することができる。
【0013】
例えば、1つのアップリンク周波数バンドで、GSMおよび/またはLTEおよび/またはUMTSおよび/または別の規格に従って信号を伝送することができる。
【0014】
この回路構成によって、複数のダウンリンク信号を伝送することもできる。したがって、ダウンリンク信号の伝送の際にも、バンド間またはバンド内キャリアアグリゲーションが可能である。好適には、ダウンリンク信号は、互いに異なるダウンリンク周波数バンドから成る周波数により伝送可能とすることができ、1つのダウンリンク周波数バンドで伝送されるダウンリンク信号は、この周波数バンドの周波数を有する。互いに異なるダウンリンク周波数バンドを、特に、言及した種々の規格に従ってダウンリンク信号を伝送するために用いることができる。この場合、ダウンリンク周波数バンドは、ちょうど1つの規格に割り当てることも、複数の規格に割り当てることもできる。したがって、ダウンリンク信号を、種々の規格に従って同じダウンリンク周波数バンドで伝送することが可能である。ダウンリンク信号の周波数が識別/検出されれば、そのような場合には規格を付加的な信号分析だけで特定することができる。
【0015】
さらに、アップリンク信号およびダウンリンク信号を、TDD方式(Time Division Duplex方式)とも呼ばれる時分割複信方式で、またはFDD方式(Frequency Division Duplex方式)とも呼ばれる周波数分割複信方式で伝送することができる。本発明は言及した無線規格または複信方式に限定されるものではなく、したがって本発明はすでに当業者には公知である無線規格および複信方式にも、また将来の無線規格および複信方式にも関するものである。
【0016】
この回路構成は、端末機側のインターフェースを含むことができる。このインターフェースは、回路構成と端末機との間に信号技術的接続を確立することのできるインターフェースを意味してよい。ここでは、端末機側のインターフェースが、信号の双方向伝送を可能にする。例えば、端末機側のインターフェースは、いわゆるワイヤレスカプラを含むことができる。
【0017】
さらに、この回路構成は、ちょうど1つのアンテナ側インターフェースまたは複数のアンテナ側インターフェースを含むことができる。このインターフェースは、回路構成と1つ以上のアンテナとの間に信号技術的接続を確立することのできるインターフェースを意味してよい。アンテナは、端末機外部のアンテナであってよい。しかし、アンテナが回路構成の一部であることも可能である。アンテナは、特に、基地局から送信される信号を受信するために用いることができる。さらにアンテナは、基地局または別の設備に伝送する信号を送信するために用いることができる。ここでは、アンテナ側のインターフェースが、信号の双方向伝送を可能にする。
【0018】
この構成は、車両、特に自動車に配置することができる。ここでは、端末機外部のアンテナを、特に車両アンテナとすることができる。さらに、この回路構成は、特に移動無線増幅装置の一部であってもよく、あるいは移動無線増幅装置を含む、もしくは形成していてもよい。
【0019】
本発明の意味で、接続とは信号技術的接続を示すことができる。これは、特にガルバニック接続および/または誘電性接続および/または容量性接続であってよい。好適には、接続はガルバニック接続である。回路構成の構成部品は、好適にはガルバニック接続および誘導性接続によって接続することができる。しかし、回路構成と端末機との接続は、誘導性接続または容量性接続であってよい。
【0020】
ここでは、アップリンク経路が、アップリンク信号を端末機側のインターフェースからアンテナ側のインターフェースに伝送することのできる信号経路を意味してよい。アップリンク信号は、特に、端末機により生成され、端末機側のインターフェースに伝送される信号を意味してよい。
【0021】
ここでは、ダウンリンク経路が、ダウンリンク信号をアンテナ側のインターフェースから端末機側のインターフェースに伝送することのできる信号経路を意味してよい。ダウンリンク信号は、特に、端末機側のアンテナにより受信された信号であって、例えば基地局から送信された信号であってよい。
【0022】
アップリンク経路および/またはダウンリンク経路には信号処理手段を配置することができる。このことは、これら信号経路のいずれかを介する信号の伝送を、能動型および/または受動型信号処理手段によって行えることを意味し得る。例えば、信号伝送は、少なくとも1つの増幅装置および/または少なくとも1つの減衰装置および/または少なくとも1つの信号フィルタリング装置および/または少なくとも1つの信号切替え装置を介して行うことができる。
【0023】
回路構成は、デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号を提供するための少なくとも1つの信号カプラを含む。この信号カプラは、例えばアップリンク経路を介して伝送されたアップリンク信号を、このアップリンク経路からデカップリングすることができる。同じように、この信号カプラは、ダウンリンク経路を介して伝送されたダウンリンク信号を、このダウンリンク経路からデカップリングすることができる。
【0024】
特に、この信号カプラは、前に説明した端末機側のインターフェースに印加される信号がデカップリングされるように配置および/または構成されていてよい。この場合、適切な信号カプラの構成は、当業者には周知である。特に、この信号カプラによって、電力のより小さいデカップリングされた信号を、伝送されたアップリンクまたはダウンリンク信号として提供することができるが、そうでない場合はこのデカップリングされた信号が、伝送されたアップリンクまたはダウンリンク信号と同じ信号特性を有する。
【0025】
本発明によれば、回路構成は、周波数が設定可能な基準信号を提供するための少なくとも1つの手段を含む。すなわち、この手段によって所望の周波数を持つ信号を提供することができる。この場合、周波数は、例えば回路構成の制御装置によって設定することができる。ここでは、制御装置が、制御および評価装置によって形成されていてよい。この場合の制御装置または制御および評価装置は、マイクロコントローラまたは集積回路として構成されているか、あるいはそのような装置を含むことができる。
【0026】
さらに、回路構成は、デカップリングされた信号と基準信号とを混合するための少なくとも1つのミキサと、混合された信号をローパスまたはバンドパスフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタ装置とを含む。出力信号はミキサによって形成することができ、この出力信号には、基準信号の周波数成分、デカップリングされた信号の周波数成分、基準信号の周波数とデカップリングされた信号の周波数、特に搬送波周波数との差の絶対値に相当する周波数成分、基準信号の周波数とデカップリングされた信号の周波数、特に搬送波周波数との和に相当する周波数成分、およびこれら成分の整数倍が含まれる。
【0027】
したがって、特に、ミキサの出力信号は、基準信号の周波数とデカップリングされた信号の搬送波周波数との差の絶対値に等しいさらなる周波数を持つ差成分を含んでいる。さらに、出力信号は、特にいわゆる周波数混合成分であるさらなる周波数を持つさらなる信号成分を含むことも可能である。
【0028】
フィルタ装置は、特にローパスフィルタまたはバンドパスフィルタであってよい。以下にさらに詳しく説明するように、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタのカットオフ周波数は設定可能とすることができる。例えば、カットオフ周波数は、説明した制御装置によって設定することができる。カットオフ周波数の設定によって、特に、説明した差成分をミキサの出力信号からフィルタリングして取り除き、後続の分析のために使用することが可能になる。
【0029】
フィルタ装置は、特にプログラミング可能なフィルタ装置であってよい。特に、フィルタ装置は、デジタルフィルタ装置、例えばデジタルローパスフィルタまたはデジタルバンドパスフィルタとすることができる。
【0030】
さらに、回路構成は、フィルタリングされた信号を評価するための少なくとも1つの評価装置を含む。評価装置は、前に説明した制御および評価装置によって形成されていてよい。制御装置の構成に対応して、評価装置も、マイクロコントローラまたは集積回路として形成されているか、あるいはそのような装置を含むことができる。
【0031】
この評価装置によって、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性を評価することができる。ここでは、この少なくとも1つの信号特性を評価装置によって特定することが可能である。少なくとも1つの信号特性は、特に信号電力であってよい。信号電力は、特に信号レベルによって表すことができる。信号特性は、所定の時間、例えば50μsの間に特定することができる。この場合、所定の時間は、検査する周波数バンドの数に応じて、また周波数バンドないしチャネルの望ましい識別を行うことのできる信号バースト時間に応じて異なっていてよい。この時間は、10μsから100μsの範囲、好適には20μsから50μsの範囲とすることができる。しかし、用途に応じて、この時間は最大数ms、例えば最大10msとすることができる。
【0032】
例えば、信号特性を所定の閾値と比較することが可能である。しかしもちろん、他の形式の評価も考えられる。
【0033】
さらに、特に評価装置によって、基準信号の設定された周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つの周波数バンドまたは少なくとも1つのチャネルが識別可能である。ここでは、ちょうど1つ周波数バンドまたはちょうど1つチャネルが識別されることが考えられる。しかしながら、それぞれ1つの信号が伝送される複数の周波数バンドまたは複数のチャネルを識別することも可能である。
【0034】
ここでは、1つの周波数バンドが複数のチャネルを含んでいてもよい。この場合、チャネルは、周波数バンドの周波数の一部だけを含む周波数バンドのサブバンドを意味している。1つの周波数バンドの種々のチャネルを介して、複数の信号を同時に伝送することが可能なため、このことはバンド内キャリアアグリゲーションとも呼ぶことができる。
【0035】
ここでは、1つの周波数バンドまたは1つのチャネルに、それぞれちょうど1つの搬送波周波数、例えば周波数バンド/チャネルの中心周波数を割り当てることができる。1つの周波数バンドまたは1つのチャネルに1つの搬送波周波数と複数のサブ搬送波周波数を割り当てることもできる。
【0036】
例えばフィルタリングされた信号の信号電力が、所定の閾値よりも大きい場合、その信号は、基準信号の周波数を含む周波数バンドまたはチャネルで伝送されることが識別でき、あるいはその周波数、特にその搬送波周波数は、所定量よりも多くこの周波数から逸脱しない周波数バンドまたはチャネルで伝送されることが識別できる。
【0037】
ローパスフィルタのカットオフ周波数またはバンドパスフィルタの帯域幅を決定するバンドパスフィルタのカットオフ周波数は、特に、周波数が所定量よりも高い混合信号の成分は低減されるように選択することができる。
【0038】
特に、カットオフ周波数は、前に説明した和成分が特に望ましい減衰度で減衰されように選択することができる。言い替えると、このようにして、和成分を混合信号からフィルタリングして取り除くことができる。
【0039】
さらにカットオフ周波数は、所定量よりも高い周波数を持つ差成分の信号成分が、特に望ましい減衰度で減衰されるように選択することができる。
【0040】
これにより、基準信号の周波数とデカップリングされた信号の(搬送波)周波数との差の絶対値が所定量よりも大きい場合に、差成分を減衰することが可能になる。基準信号の周波数とデカップリングされた信号の(搬送波)周波数との差の絶対値が所定量以下である場合、差成分はフィルタ装置により減衰されないか、または所定量を超えて減衰されない。これにより特に、差成分の信号電力は、基準信号の周波数が、伝送される信号の周波数、特に搬送波周波数に相当する場合、または伝送される信号の周波数から所定量を超えて逸脱しない場合にだけ、所定の閾値よりも大きくなるようにすることができる。
【0041】
言い替えると、このようにして減衰されない出力信号または僅かに減衰された出力信号は、基準信号の周波数とデカップリングされた信号の(搬送波)周波数との間の偏差が所定量よりも小さい場合にだけ、フィルタ装置から提供される。
【0042】
例えば、識別する種々の周波数バンドまたはチャネルには、基準信号の設定可能なちょうど1つの、または複数の周波数を割り当てることが可能である。この設定可能な周波数またはこれら設定可能な周波数の1つについて、信号特性が特定の基準を満たしていること、例えば信号電力が所定の閾値よりも大きいことが検出される場合、この設定可能な周波数に割り当てられた周波数バンドが、伝送信号を伝送する周波数バンドとして識別されるか、またはこの設定可能な周波数に割り当てられたチャネルが、伝送信号を伝送するチャネルとして識別される。
【0043】
もちろん、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルが識別された後に、さらなる信号が伝送されるさらなる周波数バンドまたはさらなるチャネルの識別が新たに開始されることも考えられる。これによって有利には、バンド間キャリアアグリゲーションの際に使用される種々の周波数バンドを識別することができる。
【0044】
基準信号を提供するための装置、ミキサ、フィルタ装置、ならびに評価装置の全体は汎用検出器とも称することができる。この汎用検出器は、直接変換受信機の原理による方式を実行する。この方式によって、基準信号とデカップリングされた信号とが「ゼロ混合」され、混合生成物として2つの信号の差が使用される。ゼロ混合された信号は、特に、基準信号とデカップリングされた信号のキャリア成分(キャリア周波数を備える成分)とが同じ周波数を有する場合に形成される。この場合、VCO信号とキャリア成分との周波数混合は、周波数ゼロの出力信号を生み出す。側波帯、特にデカップリングされた信号の上側波帯が、混合によってベースバンドに変換される。この場合、デカップリングされる信号は、キャリア成分、ベースバンド、および高次のさらなる側波帯を備える変調信号である。
【0045】
ミキサの出力信号には、通常、例えば基準信号とデカップリングされる信号の和周波数、2つの信号の高調波、および高次の差周波数および和周波数など、多数の混合生成物が含まれている。次に、フィルタ装置によって、デカップリングされた信号のベースバンドの周波数を出力信号のさらなる成分から簡単に分離することができる。そのために、好適には、一次の差周波数またはデカップリングされた信号のベースバンドの最高周波数がフィルタ装置のカットオフ周波数として使用され、それにより、全ての比較的高い周波数成分を有する、ミキサ出力信号の言及したさらなる成分を、出力信号からフィルタリングして取り除くことができる。
【0046】
以下にさらに詳細に説明するように、カットオフ周波数がプログラミング可能であれば、適用上ではこのカットオフ周波数を、伝送される信号のチャネルバンド幅が移動無線周波数バンド内で特定可能なように選択することができる。伝送される複数の信号およびそれらのチャネルバンド幅を、周波数バンド内(バンド内)で特定することも可能である。複数の信号のこのような検出は、特にアップリンクおよびダウンリンク周波数領域でのキャリアアグリゲーションの際に望ましいことである。
【0047】
提案された方法により、有利には、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルの確実で時間的に迅速な識別がもたらされる。この情報は、例えば、周波数バンド固有の、またはチャネル固有の増幅装置を作動するために利用することができる。この情報は、端末機側のインターフェースとアンテナ側のインターフェースとの間で信号経路を確立するための切替え装置を制御するために、特に望ましい伝送用信号経路を設定するために用いることもできる。
【0048】
さらに有利には、TDD方式による信号もFDD方式による信号も同時に伝送されるシナリオにおいては、信号の識別が改善される。なぜなら、この方式により伝送される信号は、同時に同じ周波数バンドで伝送できるからである。この場合、有利には、チャネルの正確な識別によって、信号形式の正確な識別が可能になる。
【0049】
さらに有利には、バンド内キャリアアグリゲーションでは、信号が伝送されるそれぞれ個別のチャネルにおいて信号電力を特定できるようになり、これによって、一方ではチャネルの正確な識別が可能になり、また以下でさらに詳細に説明するように、チャネルの後からの監視も可能になる。さらに、特に言及したバンド内キャリアアグリゲーションでは、個別の周波数バンドの種々のチャネルで伝送される信号電力を確実に特定することもできる。このことは、周波数バンドの信号の1つが遠方の基地局に伝送され、同じ周波数バンドの別の信号がそれほど遠くない基地局に伝送される場合に特に有利であり、これにより電力は異なる大きさであってよい。
【0050】
さらに有利には、回路構成を、さまざまな国で使用される規格に簡単に適合することができる。そのために、国別に設定されている基準信号周波数とフィルタ装置のカットオフ周波数を制御および評価装置によって簡単に設定することができる。これらの周波数は、例えば、制御および評価装置の記憶装置や制御および評価装置に接続された/接続可能な記憶装置などに記憶させることができる。
【0051】
さらに有利には、回路構成を適応型に設計することができる。例えば回路構成の作動時に、信号伝送のための特定の周波数バンドまたはチャネルから、周波数バンド使用頻度またはチャネル使用頻度を特定することができる。この場合、周波数バンド識別またはチャネル識別の開始時に、まず最も頻繁に使用される周波数バンドまたはチャネルの伝送信号が検査される。これによって、例えば回路構成の動作を特定の端末機に適合させることができ、これにより、望ましい信号伝送品質を確立するための時間が短縮される。
【0052】
さらに有利には、信号特性を特定するための検出器は、所定のバンド範囲での動作に対してのみ設計されていればよく、したがって広いバンド範囲、特にバンド範囲全体にわたって設計する必要がなくなる。このことは有利には、回路構成の製造時のコストを低減する。
【0053】
さらなる実施形態では、回路構成が、フィルタリングされた信号の信号電力を特定するための装置を含む。この装置は、パワー検出器と称することもできる。この場合、信号電力は、評価する信号特性または評価する信号特性の1つであってよく、特に信号レベルにより表わされていてよい。信号電力を特定するための装置は、特に整流器、または整流器および比較器を含むことができる。
【0054】
この装置によって、出力信号、特に電圧信号を生成することが可能となり、その振幅は信号電力/信号レベルを表している。このことは、特に特性曲線に基づいて行うことができ、装置は、装置固有の入力電力-出力電圧特性曲線を有する。アナログ出力信号は、もちろんA/D変換機などによってデジタル化することができる。これによって有利には、高い信頼性によって信号特性が簡単に特定されるため、周波数バンドの簡単で信頼性のある識別が達成される。
【0055】
さらなる実施形態では、フィルタ装置のカットオフ周波数は、特に前に説明した制御装置によって設定可能である。フィルタ装置がバンドパスフィルタである場合、特に下側と上側のカットオフ周波数、ひいてはバンドパスのバンド幅と中心周波数を設定可能にすることができる。例えば、バンドパスフィルタのバンド幅、すなわち下側と上側のカットオフ周波数の間の周波数領域は10MHzであってよい。特に、バンドパスフィルタのカットオフ周波数は、前に説明した差成分を含むが、ミキサの出力信号のさらなる成分は含まない周波数領域を有するように選択することができる。バンドパスフィルタの中心周波数とバンド幅が設定されれば、所望の差成分がミキサの出力信号からフィルタリングによって取り除かれるように、基準周波数を選択することができる。
【0056】
カットオフ周波数を設定することにより、有利には、デカップリングされた信号の(搬送波)周波数の特定精度を調節することができる。カットオフ周波数が小さければ小さいほど、基準周波数の設定周波数とデカップリングされた信号の(搬送波)周波数との間の偏差もより小さくできることにより、所定の閾値よりもレベルの高い差成分がフィルタ装置により提供される。言い替えると、差成分、すなわちフィルタリングされた信号が所定の閾値よりも高いレベルを有する場合には、説明した周波数の差をどれくらいにできるかがカットオフ周波数によって決定される。
【0057】
したがって、特に、周波数バンドの識別が異なる感度で可能になる。この場合、例えば、引き続き周波数バンド内のチャネルを識別するために、(搬送波)周波数のより正確な特定が望まれる場合、フィルタ装置のカットオフ周波数を、例えば所定の値まで低減することができる。
【0058】
信号が伝送されるチャネルを識別することが望まれる場合、(搬送波)周波数の特定精度を高めることが必要なことがあり、これはフィルタ装置のカットオフ周波数の低減によって行うことができる。例えば、周波数バンド識別ステップで、フィルタ装置のカットオフ周波数を第1の値に設定することができる。第1の値は、特に、最大のバンド幅を有する、識別したい周波数バンドのバンド幅に、カットオフ周波数が一致するように選択することができる。
【0059】
さらに周波数バンド識別ステップで、基準信号の種々の周波数、例えば信号を伝送できる周波数バンドの中心周波数などを設定することができる。このような中心周波数は、識別したい周波数バンドに割り当てられた周波数であってよい。この設定周波数の1つについて、フィルタリングされた信号の信号電力が所定の閾値よりも大きいことが検出されると、現在設定されている基準信号の周波数が割り当てられた周波数バンドを、信号が伝送される周波数バンドとして識別することができる。さらにチャネル識別ステップにおいて、フィルタ装置のカットオフ周波数を、第1の値よりも小さい、特に識別された周波数バンドのバンド幅よりも小さい第2の値に設定することができる。さらにチャネル識別ステップでは、基準信号の種々の周波数を設定することもでき、これらの周波数は識別された周波数バンド内にある。例えば、1つの周波数バンド内の各チャネルにちょうど1つの周波数、例えば中心周波数が割り当てられていたり、複数の周波数が割り当てられていたりすることも考えられる。この場合、チャネル識別ステップにおいて、これらの周波数を設定するか、またはその中から1つ選択したものを設定することができる。この設定周波数の1つについて、フィルタリングされた信号の信号電力が所定の閾値より大きいことが検出されると、現在設定されている基準信号の周波数が割り当てられたチャネルを、信号が伝送されるチャネルとして識別することができる。
【0060】
もちろん、信号が伝送されるチャネルが識別された後に、さらなる信号が伝送されるさらなる周波数バンドまたはさらなるチャネルの識別が新たに開始されることも考えられる。これによって有利には、バンド内またはバンド間キャリアアグリゲーションの際に使用される種々のチャネルまたは周波数バンドを識別することができる。
【0061】
識別のために基準信号の種々の周波数が設定される場合、これら周波数を、所定の時間、例えば50μsの間設定してから、後続の周波数を設定することができる。この所定の時間は、前述のように信号特性を特定するための時間に基づいて設定することができる。
【0062】
カットオフ周波数の設定可能性によって、有利には、周波数バンドまたはチャネルの識別を設定可能な精度で行うことができるようになる。
【0063】
さらなる実施形態では、基準信号を提供するための手段が、位相制御ループを含むか、またはそのようなものとして形成されている。この位相制御ループは、外部基準信号と発振器またはそこから導出された信号との間の位相偏差ができるだけ一定であるように、閉制御回路を介して可変発振器の位相位置およびこれに関連する周波数に影響を与える電子的回路構成を意味することができる。位相制御ループの構造は、当業者には公知である。特に位相制御ループは、位相比較器、ループフィルタ、および制御可能な発振器を含むことができる。さらに位相制御ループは、1つ以上の分周器を含むことができる。位相制御ループの入力信号は、特に、所定の周波数を持つ正弦波信号、または分周器により所定の分周係数で分周された正弦波信号であってよい。この場合、正弦波信号は、該当する生成装置、例えば発振器、特に水晶発振器により生成することができる。例えば、制御装置にこのような生成装置が含まれていてもよい。
【0064】
さらに、分周器の分周係数も、正弦波信号のために制御装置によって設定することができる。さらに、分周器の分周係数も、制御可能な発振器のフィードバック出力信号のために制御装置によって設定することができる。したがって、特に分周係数の設定によって、制御可能な発振器の出力信号に一致する基準信号の望ましい周波数を設定することができる。
【0065】
これによって有利には、簡単に実現可能で信頼性があり、かつ正確である基準信号の生成が可能になる。
【0066】
さらなる実施形態では、回路構成が、基準信号の周波数を設定するための、および/またはフィルタ装置のカットオフ周波数を設定するための少なくとも1つの制御装置を含む。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0067】
さらなる実施形態では、回路構成が、信号伝送検出のための少なくとも1つの装置を含む。信号伝送検出のための装置によって、1つ以上のアップリンク信号またはダウンリンク信号が回路構成を介して伝送されるかどうかを検出することができる。信号伝送検出のための装置は、特に回路構成のさらなる信号カプラを介して、アップリンク信号および/またはダウンリンク信号を伝送するための信号経路と信号技術的に結合されていてよい。しかし代替として、信号経路と信号伝送検出のための装置との間にガルバニック接続を準備することも可能である。
【0068】
信号伝送検出のための装置は、特に信号伝送のバンド不特定検出を実行することができる。言い替えると、回路構成を介して信号が伝送されるかどうかを検出することはできるが、周波数バンドはこの伝送で考慮されない。
【0069】
信号伝送検出のための装置によって、信号が回路構成を介して伝送されることが検出されると、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルの識別を開始することができる。特に、信号伝送検出のための装置は、この識別を開始するための開始信号を生成することができる。信号伝送検出のための装置は、少なくとも部分的に評価装置によって形成されていてよい。さらにこの装置は、少なくとも1つの整流器または1つの整流器、ならびに少なくとも1つの比較器を含むことができる。
【0070】
これによって有利には、実際に信号が回路構成を介して伝送される場合にだけ識別が行われるようになる。このことから、回路構成のエネルギー消費および提供される計算能力を低減することができる。
【0071】
さらなる実施形態では、回路構成が、少なくとも1つのスイッチング素子を含む。このスイッチング素子は、スイッチとして、例えばSPDT(単極双投)スイッチング素子として形成されていてよい。スイッチング素子の第1のスイッチ状態では、信号カプラの第1の端子がミキサに、スイッチング素子の別のスイッチ状態では信号カプラの別の端子がミキサに、特にミキサの入力端子に接続されている。これによって有利には、簡単かつ確実に、アップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが回路構成を介して伝送されるのかを特定することができる。
【0072】
信号カプラの種々の端子を互いに、所定量を超えて絶縁することが可能である。例えばアップリンク信号が回路構成の信号経路を介して伝送され、信号カプラによりこれからデカップリングされる場合、信号カプラの第1の端子に提供されてデカップリングされる信号の信号電力は、別の端子に提供される信号の信号電力よりも大きくすることができる。ダウンリンク信号が信号経路を介して伝送される場合、同様に、別の端子に提供される信号の信号電力は、第1の端子に提供される信号の信号電力よりも大きくすることができる。
【0073】
例えば、スイッチ状態を変化させることによって、アップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが伝送されるかを検出することができる。例えば、フィルタリングされた信号の、所定の閾値よりも大きい信号電力が検出される場合、スイッチング素子のスイッチ状態を変更することができる。次に、出力スイッチ状態に応じて、フィルタリングされた信号の信号電力が上昇または低下する場合は、アップリンク信号が検出される。フィルタリングされた信号の信号電力が低下または上昇する場合は、ダウンリンク信号が検出される。この検出は、時間的にバンド識別ステップより前に、しかしまたバンド識別ステップ中にも実行することができる。
【0074】
さらに、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルの(さらなる)識別を、アップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが伝送されるのかという情報に基づいて実行することもできる。例えば、アップリンク信号が検出された場合、バンド識別ステップまたはチャネル識別ステップにおいて、アップリンク信号を伝送するための周波数バンドまたはチャネルに割り当てられている周波数に基準信号の周波数を設定することができる。同様に、ダウンリンク信号が検出された場合、バンド識別ステップまたはチャネル識別ステップにおいて、ダウンリンク信号を伝送するための周波数バンドまたはチャネルに割り当てられている周波数に基準信号の周波数を設定することができる。
【0075】
これにより有利には、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルの時間的に迅速な識別が可能になる。
【0076】
さらなる実施形態では、回路構成がバイパス装置を含み、信号は信号カプラとミキサとの間で、このバイパス装置を介して伝送される。バイパス装置は、例えばスイッチとして形成されていてよいバイパススイッチング素子を含むことができる。このスイッチング素子の第1のスイッチ状態では、信号を減衰または増幅せずに伝送することができる。別のスイッチ状態では、特に設定も可能な所定の増幅度または減衰度で信号を伝送することができる。この場合、バイパス装置は、該当する増幅または減衰装置を含むことができる。
【0077】
これによって有利には、特にデカップリングされた弱い信号を増幅することによって、識別の信頼性を向上させることができる。有利には、特に過度にデカップリングされた信号を減衰することによって、識別時の動作安全性を向上させることもできる。特に、バイパス装置の増幅または減衰装置による増幅は、フィルタリングされた信号の信号電力を特定するための説明した装置の電圧-電力特性の拡張に用いられる。このような拡張は、特に送信信号の動的特性ため、種々のレベル範囲を確実に処理できるようにするために必要なことがある。
【0078】
さらなる実施形態では、設定された周波数および少なくとも1つの信号特性に応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つのチャネルが付加的に識別可能である。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0079】
さらなる実施形態では、チャネルが、設定されたカットオフ周波数に応じて付加的に識別可能である。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0080】
さらなる実施形態では、チャネルのチャネルバンド幅が、複数の設定周波数および少なくとも1つの信号特性に応じて特定可能である。
【0081】
このこと、および対応する利点は、後でさらに詳細に説明する。
【0082】
さらに、アップリンク信号またはダウンリンク信号が伝送される周波数バンドを識別する方法が提案され、ここではデカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号が提供されるか、あるいは対応する信号がデカップリングされる。この場合、特に回路構成の信号経路からこの信号をデカップリングすることができる。さらに、所定の周波数の少なくとも1つの基準信号が、特に基準信号を提供するための装置によって提供される。さらに、デカップリングされた信号と基準信号とは、特にミキサによって混合される。次に、混合された信号は、特にフィルタ装置によってフィルタリングされる。続いて、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性が、特に評価装置または信号特性を特定するための装置によって特定される。特に、フィルタリングされた信号のレベルを特定することができる。さらに、基準信号の周波数、およびフィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性に応じて、伝送信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルが識別される。
【0083】
ここでは、この方法が、本開示に示された実施形態の1つによる装置を用いて実施可能である。したがって、この装置は、特に、本開示に記載された実施形態の1つによる方法がこの装置により実施可能であるように構成されている。
【0084】
例えば、フィルタリングされた信号の信号電力を特定することができ、基準信号の設定周波数が割り当てられている周波数バンドを、信号が伝送される周波数バンドとして識別することができる。
【0085】
本方法では、特に基準信号を生成するための装置を相応に作動/制御することにより、基準信号の種々の周波数を時間的に連続して設定することが可能である。この場合、特に、基準信号の種々の周波数を、これら周波数が、互いに所定の最小量を常に上回って異なるか、またはちょうど所定量だけ異なるように設定することができ、この最小量は例えば200kHzとすることができる。次に、この設定された各周波数について、フィルタリングされた信号の信号電力を特定することができ、周波数バンドに割り当てられた基準信号の設定周波数に対する信号特性が所定の基準を満たす場合にだけ、例えばこの周波数バンドに割り当てられた基準信号の設定周波数に対する信号電力が所定の閾値よりも大きい場合にだけ、信号が伝送される周波数バンドを識別する。もちろん、それぞれ信号が伝送される複数の周波数バンドを識別することも考えられる。このために、例えば、周波数バンドの識別後に本方法を新たに開始することができるが、次に、基準信号の別の周波数が設定される。
【0086】
この場合、基準信号の設定可能な周波数と周波数バンドとの間には、識別に使用する割り当て、特に所定の割り当てが存在してもよい。基準信号の設定可能な周波数と周波数バンドのチャネルとの間にも割り当てが存在してもよく、この割り当ては、以下にさらに詳細に説明するように、チャネルの識別に利用することができる。信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルが識別された場合、相応に設定された基準信号の周波数と、必要に応じて検出された信号電力とを、例えば記憶装置に記憶させることができる。ここで記憶装置は、制御および評価装置の記憶装置とすることができる。これによって、引き続き信号が周波数バンドまたはチャネルで伝送されるかどうかを後で検査または監視するために、適切に記憶された基準信号の周波数を簡単に呼び出して、設定することが可能になる。
【0087】
さらなる実施形態では、さまざまな周波数を持つ周波数領域固有またはチャネル固有の基準信号を生成し、基準信号をそれぞれデカップリングされた信号と混合し、混合した信号をフィルタリングし、混合した信号の少なくとも1つの信号特性を特定する。ここで、周波数バンドまたはチャネルは、周波数領域固有またはチャネル固有の信号特性に応じて特定される。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0088】
さらなる実施形態では、フィルタ装置の少なくとも1つのカットオフ周波数が変更される。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0089】
例えば、基準信号の周波数とカットオフ周波数の両方を変更することが可能である。例えば、カットオフ周波数を周波数バンド固有のカットオフ周波数に設定できるのは、この周波数バンドに割り当てられている基準信号の周波数が設定される場合である。そのために、周波数バンドとカットオフ周波数との間に既知の割り当てが存在してよい。
【0090】
特に、周波数バンドが識別され、続いて識別された周波数バンドのチャネルのチャネル識別が行われ、このとき識別された周波数バンドが複数のチャネルを含んでいる場合は、カットオフ周波数を変更し、さらに特に低下させることができる。チャネル識別の際にも、基準信号の所定の周波数、特にチャネル固有の周波数を設定することができる。さらに、所定のカットオフ周波数、例えばチャネル固有のカットオフ周波数を設定することもできる。例えば、信号が伝送される周波数バンドを識別した場合は、次にチャネル識別のためにこの周波数バンドの周波数にだけ基準信号の周波数を設定することができる。前に説明したように、チャネル識別のために設定されたこれらの周波数は、互いに所定の最小量だけ異なるか、またはこの所定の最小量を上回って異なっていてもよい。
【0091】
さらに、チャネル識別のために本方法の複数のサイクルを実行することも考えられ、このとき、連続するサイクルでは前に説明した最小量が軽減される、および/またはカットオフ周波数が低減される。
【0092】
1つのサイクルにおいて設定する基準信号の周波数の大きさも、先行するサイクルで使用されたカットオフ周波数に応じて特定することができる。例えば、1つのチャネル識別サイクルにおける周波数は、先行するサイクルで設定され、かつ送信信号が検出された基準信号周波数を中心周波数として含むバンド範囲からのみ設定することができ、このバンド範囲のハンド幅は、先行するサイクルにおけるカットオフ周波数に相当するか、またはそれに応じて特定される。
【0093】
しかし全体として、信号が伝送される1つ以上の周波数バンドおよび/または1つ以上のチャネルを望ましい形で識別するために、基準信号の周波数を設定し、フィルタ装置のカットオフ周波数を設定するための種々の戦略が考えられる。
【0094】
さらなる実施形態では、周波数バンドが識別され、続いてこの周波数バンドのチャネルが識別される。このこと、および該当する利点は、すでに前で説明した。
【0095】
特に、信号が伝送される周波数バンドを識別するために、バンド識別周波数および必要に応じてフィルタ装置のバンド識別カットオフ周波数を設定することができる。バンド識別カットオフ周波数は、例えば60MHzにすることができる。ここでは、周波数バンドが、あらかじめ決められた固定ハンド幅を有することを前提にできる。しかしもちろん、例えば移動無線の周波数バンド表から借用できるバンド幅に応じて、他のカットオフ周波数を設定することもできる。
【0096】
チャネル識別のために、適切な形でチャネル識別周波数および必要に応じてフィルタ装置のチャネル識別カットオフ周波数を設定することができる。チャネル識別カットオフ周波数は、例えば200kHzにすることができる。ここでは、チャネルが、例えば1.4MHz、5MHzまたは10MHzなど、種々のバンド幅を有してもよいことを前提にできる。しかしもちろん、例えば移動無線の周波数チャネル表から借用できるバンド幅に応じて、他のカットオフ周波数を設定することもできる。
【0097】
この場合、チャネル識別周波数と、必要に応じてチャネル識別カットオフ周波数も、周波数バンド固有にすることができる。このことは、信号が伝送される種々の周波数バンドに対して、それぞれ固有の、あらかじめ決定されたチャネル識別周波数および必要に応じて種々のチャネル識別カットオフ周波数が設定されることを意味してよい。
【0098】
さらなる実施形態では、チャネルのチャネルバンド幅が識別される。
【0099】
例えば周波数バンドが識別されると、識別された周波数バンドからのセグメント周波数群の全てのセグメント周波数と、セグメントカットオフ周波数とを順に設定し、次に、設定された各セグメント周波数について、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性を特定することによって、チャネルおよび/またはチャネルバンド幅を識別することができる。ここでは、フィルタ装置のセグメントカットオフ周波数が、セグメントのハンド幅を決定する。言い替えると、周波数バンドはセグメントに分割することができ、次にこれらセグメントは個別に信号伝送について検査される。したがって、セグメント化された、または量子化された周波数バンドが検査される。この検査は、グリッドパターン検査と称することもできる。
【0100】
特にセグメント周波数は、バンド幅開始周波数から始まってバンド終了周波数まで、例えば所定の周波数ステップ幅で段階的に増加させることができ、各ステップではフィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性が、該当するセグメントについて決定される。所定の周波数ステップ幅は、例えば200kHzとすることができる。好適には、セグメントカットオフ周波数が周波数ステップ幅に相当する。
【0101】
信号特性が所定の基準を満たす場合、例えば信号電力が所定の閾値よりも大きい場合、該当するセグメントは、信号が伝送されるセグメントとして識別されてよい。単一のセグメントに対してのみ基準が満たされ、隣接するセグメントについては満たされない場合、チャネルはこのセグメントとして識別され、チャネルバンド幅はセグメントバンド幅として識別されてよい。
【0102】
信号特性が、複数の隣接するセグメントに対して所定の基準を満たす場合、チャネルはセグメントの全体として識別され、チャネルバンド幅はこれらの隣接するセグメントの全てのセグメントバンド幅の和として識別することができる。
【0103】
したがって、例えばバンド内キャリアアグリゲーションの場合、周波数バンド内の複数のチャネルと、該当する複数のチャネルバンド幅とが識別されることも可能である。
【0104】
言い替えると、ローパスフィルタ装置のセグメントカットオフ周波数、またはバンドパスフィルタ装置のバンド幅と中心周波数とを設定することにより、デカップリングされる信号のバンド幅を量子化することができ、すなわちセグメントに分割することができる。セグメントカットオフ周波数が小さければ小さいほど、チャネルのバンド幅をより精密に特定することができる。すなわち、最小に設定可能なセグメントカットオフ周波数(例えば200kHzであってよい)により、チャネルのバンド幅の最も精密な特定が可能になる。200kHzのセグメントカットオフ周波数の場合は、移動無線のチャネルラスタ内を移動する。その他の、特に大きなセグメントカットオフ周波数では別の量子化が生じるため、精度も異なってくる。
【0105】
これにより有利には、チャネルおよび/またはチャネルバンド幅の簡単で時間的に迅速な識別が得られる。
【0106】
さらなる実施形態では、信号が伝送される周波数バンドまたはチャネルの識別後に、伝送される信号の少なくとも1つの信号特性の監視が実行される。この監視は、モニタリングとも呼ばれる。この信号特性は、例えば相応にフィルタリングされた信号の信号電力を意味していてよい。例えば、連続的または所定の時間間隔で、特に周期的に、監視する周波数バンドが検出された周波数を基準信号の周波数として設定することができる。さらに、フィルタリングされた信号の信号電力を特定することもでき、信号電力が所定の閾値またはさらなる所定の閾値よりも大きい場合、信号の継続的な伝送が検出される。さらに、信号電力が所定の閾値またはさらなる所定の閾値よりも小さい場合、信号伝送の終了または中断を検出することができる。例えば、信号伝送の終了または中断が検出されると、回路構成の増幅装置などを相応に制御する、例えば非作動にすることができる。信号の伝送に用いられる信号経路を遮断することもできる。この監視は、監視モードと称することもできる。監視によって、有利には、回路構成の動作が改善される。なぜなら、特に、増幅装置などの動作および/または伝送のための信号経路の確立を、現在の伝送状態に適合させることができるからである。
【0107】
代替的または累積的に、さらなる周波数バンドまたはチャネルまたはさらなるチャネルの識別が開始される。これは、スキャニングモードとも呼ばれる。
【0108】
さらなる周波数バンドまたはさらなるチャネルを識別することにより、有利には、回路構成の動作の改善、すなわち複数の信号の伝送に適合した動作が可能になる。チャネルを識別することにより、有利には、信号が伝送される周波数領域がより正確に特定されるため、これに適合した回路構成の動作も得られる。
【0109】
さらなる実施形態では、さらなる周波数バンドまたは(さらなる)チャネルの監視と識別が、順次または同時に実行される。言い替えると、この回路構成は、監視モードと識別モードとで交互に動作することができる。これにより有利には、現在の伝送状態への動作の適合を改善することができる。
【0110】
しかしながら、監視および識別を同時に実行するために、回路構成が適切な手段を含んでいる場合、例えば以下にさらに詳細に説明するように、監視および検出部分を含んでいる場合は、さらなる周波数バンドまたは(さらなる)チャネルの監視と識別を同時に実行することもできる。これによって有利には、時間的に迅速な識別が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
本発明を、実施例に基づき詳細に説明する。
【0112】
【
図1】本発明の回路構成の概略的ブロック回路図である。
【
図2】さらなる実施形態における本発明の回路構成の概略的ブロック回路図である。
【
図3】さらなる実施形態における本発明の回路構成の概略的ブロック回路図である。
【
図3a】さらなる実施形態における本発明の回路構成の概略的ブロック回路図である。
【
図4】基準信号を生成するための装置の概略的ブロック回路図である。
【
図6】複数のチャネルを備える周波数領域の概略図である。
【
図8】さらなる実施形態における本発明の方法の概略的フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下、同じ参照符号は同一または類似の技術的特徴を有する要素を示す。
【0114】
図1は、本発明の回路構成1の概略的ブロック回路図である。図に示されている端末機2は、例えば携帯電話であってよい。回路構成1は、端末機側のインターフェース3を含み、端末機側のインターフェース3によって信号を端末機2と回路構成1との間で伝送することができる。端末機側のインターフェース3は、ここでは無線カプラを含むか、または形成することができる。回路構成1は、さらにアンテナ側のインターフェース4を含み、このアンテナ側のインターフェース4によって信号をアンテナ5と回路構成1との間で伝送することができる。
【0115】
特に、いわゆるアップリンク信号を、端末機2から回路構成1を介してアンテナ5に伝送することが可能である。この伝送は、端末機2自体によって開始されるか、または基地局から呼び出すことができる。さらに、いわゆるダウンリンク信号をアンテナ5により受信し、次に回路構成1を介して端末機2に伝送することができる。
【0116】
さらに、この回路構成は減衰装置6を含む。この装置は、好適には設定可能な減衰係数を備える減衰装置6とすることができる。さらに、回路構成1には、例えばマイクロコントローラとして形成されているか、またはそれを有していてよい制御および評価装置7が含まれている。
【0117】
概略図には、回路構成1の信号線路および処理部分8が示されている。この部分8は、回路構成1を介して伝送される信号を増幅するための装置、アップリンク信号またはダウンリンク信号を伝送する信号経路を確立するための切替え装置、および特にマルチプレクサの形式のフィルタ装置を含むことができる。もちろん、部分8にはさらなる装置が含まれていてもよい。
【0118】
さらに、回路構成1は信号カプラ9を含み、これによって信号を、端末機側のインターフェース3と減衰装置6との間の信号経路からデカップリングすることができる。もちろん、信号カプラ9を回路構成1の別の場所に配置し、それに応じてアップリンク信号またはダウンリンク信号をデカップリングすることも可能である。
【0119】
信号カプラ9は、第1のアンテナ側の端子9aと、第2の端末機側の端子9bとを有する。信号カプラ9は、特に方向感知性の信号カプラとすることができる。方向感知性の理由から、信号カプラの第1の端子、例えばアンテナ側の端子でデカップリングされる信号の電力は、信号カプラの第1の端子、例えばアンテナ側の端子でデカップリングされる、同じ信号強度を持つ信号の電力よりも大きくてよい。
【0120】
さらに、回路構成1は、スイッチとして形成できるスイッチング素子10を含む。スイッチング素子10は、異なるスイッチ状態をとることができる。この場合、信号カプラ9の端子9a、9bは、スイッチング素子10の異なる入力端子と接続されている。スイッチング素子10の出力端子は、回路構成1のバイパス装置11の入力端子と接続されている。バイパス装置11は、分離スイッチング素子12と増幅装置13とを含み、分離スイッチング素子12と増幅装置13とは並列に接続されている。分離スイッチング素子12が閉状態をとると、信号は、増幅されずにバイパス装置11の入力端子からバイパス装置11の出力端子に伝送される。分離スイッチング素子12が開状態をとると、バイパス装置11の端子間で伝送される信号は、増幅装置13によって増幅される。分離スイッチング素子12は、閉状態または遮断状態をとることのできる単極スイッチとして構成することができる。
【0121】
代替として、バイパス装置11が2つの切替え素子を含むことも考えられ、ここでは、バイパス装置11の出力端子は、第1の切替え素子を介して増幅装置13の出力端子と接続され、バイパス装置11の入力端子は、さらなる切替え素子を介して増幅装置13の入力端子と接続される。2つの切替え素子の第1のスイッチ状態が設定されると、信号は増幅されずにバイパス装置11の入力端子からバイパス装置11の出力端子に、すなわち増幅装置13に対して平行に配置された信号経路を介して伝送される。2つの切替え素子の第1のスイッチ状態が設定されると、信号は、増幅装置13を介してバイパス装置11の入力端子からバイパス装置11の出力端子に伝送される。
【0122】
さらに回路構成1はミキサ14を含み、ミキサ14の第1の入力端子はバイパス装置11の出力端子と接続され、ミキサ14のさらなる入力端子は基準信号を生成するための装置15と接続されている。この装置15は、以下で特に
図4に示された実施形態に関連して説明されているように、位相制御ループを含むか、または形成することができる。
【0123】
この場合、基準信号は、設定可能な周波数を備える、特に高調波信号、特に正弦波信号である。ここでは、回路構成1が、基準信号を生成するためにこの装置15を含んでいる。
【0124】
ミキサ14の出力端子は、ミキサ14の出力端子に印加される混合信号をローパスフィルタリングするためのフィルタ装置16に接続されている。ここでのフィルタ装置16は、設定可能なカットオフ周波数を備えるフィルタ装置である。
【0125】
さらに、回路構成1が、フィルタリングされた信号の信号電力を特定するための装置17を含む場合、この信号はフィルタ装置16から提供される。装置17の出力信号をデジタル化することのできるA/D変換器は図示されていないが、A/D変換器は制御および評価装置7の一部とすることができる。
【0126】
さらに、制御および評価装置7が、スイッチング素子10、特にそのスイッチ状態を設定することが示されている。同様に、制御および評価装置7は、バイパス装置11の動作、特に状態を制御することが示されている。さらに制御および評価装置7によって、フィルタ装置16のカットオフ周波数を設定することができる。同様に、制御および評価装置7によって基準信号を生成するための装置15を制御して、この基準信号の望ましい周波数が設定されるようにすることもできる。
【0127】
さらに制御および評価装置7によって、フィルタリングされた信号の信号電力を評価することができ、特に所定の閾値と比較することができる。
【0128】
このようにして、後でさらに詳細に説明するように、基準信号の所定の周波数が設定される。さらにこの基準信号は、デカップリングされた信号と混合される。混合された信号は、次にフィルタリングされ、このときフィルタリングされた信号のレベルが決定される。さらに基準信号の設定周波数および信号電力に応じて、アップリンク信号またはダウンリンク信号が伝送される周波数バンドFB1、FB2、FB3(
図5参照)が識別される。
【0129】
さらに、回路構成1を介してアップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが伝送されるのかを識別することもできる。例えば、フィルタリングされた信号の信号電力が、所定の閾値よりも大きい場合、スイッチング素子10のスイッチ状態を変更することができる。例えば、スイッチング素子10のアンテナ側の入力端子ではなく、端末機側の入力端子がスイッチング素子10の出力端子と接続されるようにスイッチ状態が変更され、フィルタリングされた信号の信号電力が上昇すると、アップリンク信号が伝送されていることを識別することができる。信号電力が低下すると、ダウンリンク信号が伝送されていることを識別することができる。例えば、スイッチング素子10の端末機側の入力端子ではなく、アンテナ側の入力端子がスイッチング素子10の出力端子と接続されるようにスイッチ状態が変更され、フィルタリングされた信号の信号電力が上昇すると、ダウンリンク信号が伝送されていることを識別することができる。信号電力が低下すると、アップリンク信号が伝送されていることを識別することができる。
【0130】
分離スイッチング素子12の開状態で過度に大きな信号電力が検出される場合、特に、過度に大きな信号電力による構成部品の負荷と、好ましくない高周波の形成につながるおそれのある増幅装置の過制御とを回避するため、分離スイッチング素子12を閉状態に設定することができる。
【0131】
さらに、制御および評価装置7が部分8の動作、特に状態を、例えば増幅装置の作動/非作動、および部分8のスイッチング素子のスイッチ状態の設定によって制御することが示されている。部分8の動作の制御は、例えば識別された周波数バンドFB1、FB2、FB3に応じて行うことができる。
【0132】
図2は、さらなる実施形態における本発明の回路構成1の概略的ブロック回路図である。
図2に示された回路構成1は、ここでは実質的に
図1に示された回路構成1と同様に形成されており、したがって該当する説明が参照される。
図1に示された回路構成1に対する相違点は、
図2に示された実施形態が信号伝送検出のための装置を含むことである。この装置は、さらなる信号カプラ18を含み、これによって、端末機側のインターフェース3と減衰装置6との間の信号経路から信号をデカップリングすることができる。この信号カプラ18は、方向性結合器として形成されていてよく、信号の信号電力の(小さな)部分を信号経路からデカップリングする。このさらなる信号カプラ18の第1の出力端子は、ここではマッチング抵抗を形成し、所定の抵抗値、例えば50Ωを有することができる抵抗素子19を介して基準電位、特にアース電位と接続されている。さらなる信号カプラ18のさらなる出力端子は、例えば図示されていない増幅装置を介して検出装置21と接続されている。この検出装置21は、特に、振幅が信号電力に比例する電圧信号を生成することによって信号電力を特定する。次に、信号電力を表す出力信号は、比較装置22に伝送される。比較装置22の比較閾値である基準電圧Vrefは、検出装置21のノイズ電力が比較装置22による検出信号の生成につながらないように選択される。信号伝送検出の感度は、基準電圧Vrefの高さに依存する。ノイズ電力を表し、かつ検出装置21により生成された電圧に基準電圧Vrefが近ければ近いほど、弱い信号を検出することができる。信号電力を表し、かつ検出装置21により生成された出力信号が基準信号Vref以上であれば、比較装置22は検出信号を生成し、これを評価装置7に伝送する。
【0133】
このような検出信号が制御および評価装置7によって検出されると、信号伝送が回路構成1を介して検出される。したがって特に、信号が回路構成1を介して伝送されるかどうかが検出され、この検出は、周波数バンドFB1、FB2、FB3(
図5参照)とは無関係に行われる。言い替えると、周波数バンドに無関係な信号伝送検出が実行される。信号が伝送されていることが検出されると、制御および評価装置7によって、周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6の識別を、特に基準信号の生成によって開始することができる。
【0134】
この回路構成は、さらなる比較装置(図示されていない)を含むことができ、この比較装置により、検出装置21の出力信号を所定の保護信号レベルと比較することができる。この保護信号レベルは、さらなる基準電圧(図示されていない)の形で提供することができ、さらなる比較装置は、出力信号のレベルを保護信号レベルと比較する。ここでは、信号電力が所定の保護信号電力よりも大きい場合、保護信号が生成される。保護信号は、減衰装置6を制御するために用いることができ、そのために評価装置7に伝送される。特に、保護信号が生成された場合には、減衰装置6の減衰係数を高めることができる。これによって、過度に大きな信号電力による回路構成1の負荷を阻止することができる。所定の保護信号電力は、開始信号電力よりも大きくてよい。
【0135】
図3は、さらなる実施形態における本発明の回路構成1の概略的ブロック回路図を示す。
図3に示された回路構成1は、ここでは実質的に
図2に示された回路構成1と同様に構成されており、したがって該当する説明が参照される。
図2に示された回路構成1との相違点は、
図3に示された実施形態が、信号カプラ9とバイパス装置11とを接続するためのスイッチング素子10を含まないことである。
【0136】
図2に示された実施形態とは異なり、回路構成1は、同様に方向性結合器として形成することのできるさらなる信号カプラ9a、さらなるバイパス装置11a、さらなるミキサ14a、さらなるフィルタ装置16a、信号電力を特定するためのさらなる装置17a、およびさらなる基準信号を生成するためのさらなる装置15aを含む。
【0137】
この場合、信号カプラ9、バイパス装置11、ミキサ14、フィルタ装置16、信号電力を特定するための装置17、および基準信号を生成するための装置15からなる全体は、回路構成1の検出部分を形成する。
【0138】
さらなる信号カプラ9a、さらなるバイパス装置、さらなるミキサ14a、さらなるフィルタ装置16a、信号電力を特定するためのさらなる装置17a、および基準信号を生成するためのさらなる装置15aからなる全体は、回路構成1の監視部分を形成する。
【0139】
この場合、検出部分は、回路技術的に監視部分と同じに形成されている。ただし、前に説明した信号カプラ9の種々の端子の絶縁特性は、アンテナ側の端子と端末機側の端子に関して、さらなる信号カプラ9aの絶縁特性とは異なっていてもよく、特に逆であってもよい。言い替えると、信号カプラ9、9aの方向感知性は、互いに異なっている。
【0140】
検出部分と監視部分が存在することにより、有利には、例えば基準信号の種々の周波数とフィルタ装置16のカットオフ周波数を設定することによって、信号が伝送される周波数バンドFB1、FB2、FB3、または周波数バンドFB1、FB2、FB3のチャネルK1~K6を同時に識別することができる。同時に、すでに識別された周波数バンドFB1、FB2、FB3またはすでに識別されたチャネルK1~K6は、例えばこの識別された周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6で伝送される信号の信号電力を連続的または周期的に特定することによって、引き続き監視可能である。
【0141】
特に、回路構成1の部分8を、監視結果に応じて制御することも可能である。例えば、さらなる装置17aの出力信号が所定の閾値よりも低下していることが検出された場合、該当する周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6においては信号伝送がもはや行われていないことが検出できる。従って、例えば相応に作動している部分8の増幅装置を非作動にすることができる。
【0142】
さらに、
図3に示した回路構成でも、アップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが伝送されたのかを回路構成1を介して識別することができる。例えば制御および評価装置7によって、検出部分の装置17により特定された電力が監視部分の装置17aにより特定された電力よりも小さいことが検出されると、アップリンク信号が伝送されていると識別できる。例えば制御および評価装置7によって、検出部分の装置17により特定された電力が監視部分の装置17aにより特定された電力よりも大きいことが検出されると、ダウンリンク信号が伝送されていると識別できる。そのために、装置15、15aにより生成される基準信号の周波数を同じ周波数に設定することが必要な場合がある。
【0143】
図3aは、さらなる実施形態における本発明の回路構成1の概略的ブロック回路図である。
図3aに示された回路構成1は、ここでは
図3に示された回路構成1とほぼ同様に形成されており、したがって該当する説明が参照される。
図3に示された回路構成1とは異なり、
図3aに示された実施形態では、さらなる基準信号を生成するためのさらなる装置15aが含まれていない。むしろ、基準信号を生成するための装置15により生成された基準信号は、ミキサ14にも、さらなるミキサ14aにも伝送される。
【0144】
この実施形態では、ミキサ14、14aに供給される基準信号の周波数は、互いに無関係に設定することができない。したがって、
図3に示された実施形態のように、そこに示された監視部分で実行される監視のための周波数設定を、そこに示された検出部分で実行される検出のための周波数設定と無関係に行うこともできない。しかしながら、
図3aに示した実施形態により、
図3に示した実施形態に関連してすでに説明したように、回路構成1を介してアップリンク信号またはダウンリンク信号のどちらが伝送されるのかを識別することはできる。このことは、TDDモードに従って伝送される信号に対しては特に有利である。なぜならそのようなモードでは、アップリンク信号とダウンリンク信号とが同じ周波数を有していてよいからである。さらなる信号カプラ9a、さらなるバイパス装置11a、さらなるミキサ14a、さらなるフィルタ装置16a、および信号電力を特定するためのさらなる装置17aを含む回路構成1の部分により、ここでは、さらなる信号カプラ9によって確実にデカップリングされるアップリンク信号の信頼性の高い分析を行うことができ、これらのアップリンク信号は、強すぎるダウンリンク信号により混信されることはない。同様に、信号カプラ9、バイパス装置11、ミキサ14、フィルタ装置16、および信号電力を特定するための装置17を含む回路構成1の部分により、信号カプラ9によって確実にデカップリングされるダウンリンク信号の信頼性の高い分析を行うことができ、これらのダウンリンク信号は、強すぎるアップリンク信号により混信されることはない。
【0145】
図4は、基準信号を生成するための装置15、15aの概略的ブロック回路図を示す。ここで装置15、15aは、位相制御ループとして形成されている。これは、基準信号を出力信号として生成する制御可能な発振器25を含む。この発振器25の出力信号は、分周器26に供給される。この分周器26の分周係数nは、制御および評価装置7により設定することができる。この分周器26の出力信号は、位相比較器27に供給される。この位相比較器27のさらなる入力信号は、さらなる分周器28により提供され、このさらなる分周器28の分周係数mも同様に制御および評価装置7により設定することができる。このさらなる分周器28の入力信号は、ここでは発振信号、特に正弦波信号であり、該当する信号源、特に水晶振動子あるいは水晶発振器23により生成することができる。信号源は、ここでは制御および評価装置7の一部であってよく、またはこれとは別個に形成されていてもよい。位相比較器27の出力信号はループフィルタ29に供給され、その出力信号はさらに、制御可能な発振器25、特にキャパシタダイオードの容量を設定する。
【0146】
分周器26、28の分周係数は、制御および評価装置7によって、各(移動)無線周波数が1つの周波数ラスタ内で生成可能であるように設定することができ、ラスタステップ幅は、例えば200kHzとすることができる。したがって隣接する周波数は200kHzの周波数間隔を互いに有している。
【0147】
信号伝送のために使用可能な周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6(
図5と6を参照)の周波数は、有効バンドまたは有効チャネルと称することもでき、あるいはこのバンドまたはチャネルに割り当てられた周波数は、制御および評価装置7に記憶させておくことができる。したがって、これらの周波数は、分周係数の設定によって設定可能である。
【0148】
この使用可能な周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6は、地域固有のバンドまたはチャネルであってよい。すなわち、さまざまな地域または国について、使用可能な周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6の互いに異なる周波数を記憶させておくことが可能である。地域は、例えば北米、中国、南米、ヨーロッパなどであってよい。したがって、提案された装置はさまざまな地域で使用することができ、特定の地域での使用のために、信号伝送に使用される地域固有の周波数バンドまたはチャネルの周波数を、特に適切なインターフェース、例えばCANバスインターフェースを介して制御および評価装置7に記憶させておくことができる。原則的に、周波数の任意の組み合わせを制御および評価装置7に記憶させることが可能である。したがってCANバスを介して、信号伝送に使用される地域固有の周波数バンドまたはチャネルの周波数は、制御および評価装置7でプログラミングすることができる。この地域の外に出た場合、該当するやり方で再プログラミングを行うことができる。
【0149】
図5は、回路構成1を介して信号を伝送することのできる複数の周波数バンドFB1、FB2、FB3についての概略図である。図には、この周波数バンドFB1、FB2、FB3のそれぞれの下側カットオフ周波数fmin1、fmin2、fmin3と、上側カットオフ周波数fmax1、fmax2、fmax3とが示されている。個々の周波数バンドFB1、FB2、FB3は、バンド固有の上側カットオフ周波数fmax1、fmax2、fmax3とバンド固有の下側カットオフ周波数fmin1、fmin2、fmin3との間の差として生じる。さらに、個々の周波数バンドFB1、FB2、FB3の中心周波数fc1、fc2、fc3が示されている。これらは、バンド固有の下側カットオフ周波数fmin1、fmin2、fmin3と、説明したバンド幅の半分との和として生じる。
【0150】
信号がこれらバンドFB1、FB2、FB3の1つで伝送されるかどうかを識別するために、バンド識別ステップで基準信号の周波数を第1の周波数バンドFB1の中心周波数fc1に設定することができる。また、フィルタ装置16のカットオフ周波数を、例えば第1の周波数バンドFB1のバンド幅の半分の値に設定することができる。次に、装置17(例えば
図1を参照)から提供される信号の信号電力が所定の閾値以上であることが検出されると、信号はこの第1の周波数バンドFB1で伝送されることが識別される。
【0151】
しかしまた、代替として、バンド識別ステップで基準信号の周波数を最低周波数、すなわち第1の周波数バンドFB1のバンド開始周波数に設定することもできる。また、フィルタ装置16のカットオフ周波数を、例えば第1の周波数バンドFB1のバンド幅の値に設定することができる。次に、装置17から提供される信号の信号電力が所定の閾値以上であることが識別されると、信号はこの第1の周波数バンドFB1で伝送されることが識別される。
【0152】
信号電力は所定の閾値未満であることが識別されると、この第1の周波数バンドFB1で伝送される信号は識別されない。この場合、さらなるバンド識別ステップで、基準信号の周波数を第2の周波数バンドFB2の中心周波数fc2に設定し、フィルタ装置16のカットオフ周波数を第2の周波数バンドFB2のバンド幅の半分または第2の周波数バンドFB2のバンド開始周波数と第2の周波数バンドFB2のバンド幅に設定することができる。次に、装置17(例えば
図1を参照)から提供される信号の信号電力が所定の閾値以上であることが検出されると、この信号はこの第2の周波数バンドFB2で伝送されることが識別される。
【0153】
信号電力が所定の閾値未満であることが識別されると、この第2の周波数バンドFB2で伝送される信号は識別されない。この場合、さらなるバンド識別ステップで、基準信号の周波数を第3の周波数バンドFB3の中心周波数fc3に設定し、フィルタ装置16のカットオフ周波数を第3の周波数バンドFB3のバンド幅の半分または第3の周波数バンドFB3のバンド開始周波数と第3の周波数バンドFB3のバンド幅に設定することができる。次に、装置17(例えば
図1を参照)から提供される信号の信号電力が所定の閾値以上であることが識別されると、この信号はこの第3の周波数バンドFB3で伝送されることが識別される。信号電力は所定の閾値未満であることが検出されると、識別を相応に続行することができる。
【0154】
図6は、6つのチャネルK1、K2、K3、K4、K5、K6を有する第1の周波数バンドFB1の概略図である。同様に、これらチャネルK1~K6の中心周波数fk1、fk2、fk3、fk4、fk5、fk6が示されている。さらに、チャネルK1~K6のバンド幅BBKが示されており、
図6ではチャネルK1~K6は、互いに異なるバンド幅BBKを有する。もちろん、種々のチャネルK1~K6が同じバンド幅を有することも考えられる。
【0155】
例えばバンド識別ステップで、第1の周波数バンドFB1で信号の伝送が識別された場合、以下に
図7に関連してさらに詳細に説明するチャネル識別ステップにおいて、K1~K6のどのチャネルで、または第1の周波数バンドFB1のK1~K6のどのチャネルで一種以上の信号が伝送されるかを検査することができる。そのために前に説明したグリッドパターン検査を実行することができる。
【0156】
例えば、周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6で信号の伝送が識別された場合、基準信号の設定周波数を、カットオフ周波数のように、例えば制御および評価装置7によって記憶させることができる。次に、識別を終了するか、あるいはさらなるバンド識別ステップまたはさらなるチャネル識別ステップを実行することで、例えば、さらなる信号が回路構成1を介して特に同時に伝送される周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6を識別することができる。後の時点で、記憶された周波数を呼び出すことによって、時間的に迅速に該当する周波数バンドFB1、FB2、FB3または該当するチャネルK1~K6で伝送される/伝送された信号のレベルを再度特定することができる。このことは例えば、該当する周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6の監視のために実行することができる。記憶された周波数を、
図3に示した監視部分により、該当する周波数バンドFB1、FB2、FB3または該当するチャネルK1~K6を監視するために利用することもできる。
【0157】
図7は、信号が伝送される周波数バンドFB1、FB2、FB3またはチャネルK1~K6を識別するための本発明による方法の概略的フロー図である。第1のステップS1では、デカップリングされた信号が、例えば
図1に示した信号カプラ9によって提供される。第2のステップS2では、所定の周波数を持つ基準信号が、特に基準信号を生成するための装置15によって提供される。
【0158】
これによって例えば、第1の周波数バンドFB1で信号が伝送されるかどうかを検査することができる。そのために、基準信号の周波数を、例えば1920MHzのバンド開始周波数や、例えば1980MHzのバンド終了周波数に設定し、ローパスフィルタとして形成されたフィルタ装置16のカットオフ周波数を、60MHzに設定することができる。
【0159】
第3のステップS3では、基準信号とデカップリングされた信号とが混合され、第4のステップS4で、特にフィルタ装置16によってフィルタリングされる。第5のステップS5では、フィルタリングされた信号の信号電力が特定される。第6のステップS6では、信号電力が所定の閾値(識別閾値)と比較され、基準信号の周波数に応じて、この周波数に割り当てられた周波数バンドFB1、FB2、FB3(
図5を参照)またはこの周波数に割り当てられたチャネルK1~K6が、周波数バンド/チャネルとして、すなわちこのケースでは第1の周波数バンドとして識別され、そこでは、信号電力が所定の閾値以上である場合に、信号が伝送される。
【0160】
信号電力が所定の閾値未満の場合、検査されたバンドまたはチャネルにおいて、周波数バンド/チャネルあるいは信号伝送は識別されない。第1から第6のステップS1~S6のシーケンスは、バンドまたはチャネル識別ステップと称することもできる。前に説明したように、識別の場合も非識別の場合も、さらなるバンドまたはチャネル識別ステップを実行することで、例えば、さらなる信号が伝送される周波数バンド/チャネルを識別したり、識別された周波数バンドFB1、FB2、FB3の信号が伝送されるチャネルを識別したりすることができる。さらなるバンドまたはチャネル識別ステップを実行する際に、基準信号の周波数とフィルタ装置16のカットオフ周波数を変更することができる。例えば、信号が第3の周波数バンドFB3で伝送されかどうかを検査する場合、基準信号の周波数を対応するバンド開始周波数、例えば1710MHZに設定するか、または該当するバンド終了周波数、例えば1785MHzに設定し、フィルタ装置16のカットオフ周波数を対応するバンド幅、例えば75MHzに設定することができる。
【0161】
周波数バンド/チャネルでの信号伝送識別のために信号電力を所定の閾値と比較する代わりに、複数のバンド/チャネルについて、説明したように基準信号の該当する周波数およびフィルタ装置16の該当するカットオフ周波数をそれぞれ設定し、フィルタリングされた信号のバンド固有の信号電力を特定して記憶させることもできる。次に、信号伝送が行われる周波数バンド/チャネルとして、バンド固有の最大信号電力が割り当てられている周波数バンド/チャネルが識別され、および/またはバンド固有の信号電力が割り当てられており、この信号電力が、さらなる周波数バンド/チャネルに割り当てられているバンド固有の信号電力を所定量よりも上回っている周波数バンド/チャネルが識別される。
【0162】
好適には、信号伝送が行われる周波数バンド/チャネルまたは複数の周波数バンド/チャネルの説明した識別は所定の時間内で行われ、例えば10msとすることができる。
【0163】
前に説明したように、信号伝送が行われる周波数バンドが識別された場合、さらに、信号伝送が行われる周波数バンド固有のチャネルまたは識別された周波数バンドの周波数バンド固有の複数のチャネルと、それらのそれぞれのチャネルバンド幅とを識別することが可能である。このことは、いわゆるチャネル識別ステップで行うことができる。
【0164】
そのためにフィルタ装置16のカットオフ周波数を所定のラスタステップ幅、例えば200kHzに設定することができる。したがって、識別された周波数バンドのバンド開始周波数から始まって、基準信号の周波数をインクリメントで、所定のラスタステップ幅だけバンド終了周波数まで増分することができ、このように設定された基準信号の各々について、フィルタリングされた信号の信号電力をセグメント電力として特定し、記憶させることが可能であり、バンド開始周波数についても信号電力が特定される。この増分の際に、設定された各周波数についての基準信号を所定の時間生成することができ、この所定の時間は、基準信号を生成するための装置のセトリング時間、特定のための装置の測定時間、制御および評価装置に必要な評価時間に応じて異なっていてよい。この時間の経過後に、該当する増分を行うことができる。
【0165】
言い替えると、周波数バンドを隙間なくステップスルー(Durchsteppen)し、200kHz幅の周波数バンドセグメントについてそれぞれフィルタリングされた信号電力が特定される。
【0166】
したがって、前に説明したように、記憶されたセグメント電力に応じて、信号伝送が行われる一種以上のチャネルおよび該当するバンド幅を識別することができる。
【0167】
図8は、さらなる実施形態における本発明の方法の概略的フロー図である。ここでは、識別ステップを実行する前に、信号伝送を検出するためのステップS0が行われることが示されており、このステップは、特に
図2に示した信号伝送検出のための装置により実行される。回路構成1による信号の伝送が検出されると、識別ステップが開始される。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの端末機(2)と少なくとも1つのアンテナ(5)との間でアップリンク信号およびダウンリンク信号を伝送するための回路構成(1)であり、デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号を提供するための少なくとも1つの信号カプラ(9)を含む回路構成(1)であって、
該回路構成(1)は、周波数が設定可能な基準信号を提供するための少なくとも1つの装置(15)を含み、前記回路構成(1)は、デカップリングされた信号と前記基準信号とを混合するための少なくとも1つのミキサ(14)と、混合された信号をローパスフィルタリングまたはバンドパスフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタ装置(16)とを含み、前記回路構成(1)は、フィルタリングされた信号を評価するための少なくとも1つの評価装置(7)を含み、前記基準信号の設定された周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つの周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が識別可能であることを特徴とする回路構成。
【請求項2】
前記回路構成(1)は、フィルタリングされた信号の信号電力を特定するための装置(17)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の回路構成。
【請求項3】
前記フィルタ装置(16)のカットオフ周波数は設定可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の回路構成。
【請求項4】
前記基準信号を提供するための前記装置(15)は、位相制御ループとして形成されているか、またはそのようなものを含むことを特徴とする、請求項
3に記載の回路構成。
【請求項5】
前記回路構成(1)は、前記基準信号の周波数を設定するための、および/または前記フィルタ装置(16)のカットオフ周波数を設定するための少なくとも1つの制御装置(7)を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の回路構成。
【請求項6】
前記回路構成(1)は、信号伝送検出のための少なくとも1つの装置を含むことを特徴とする、請求項
5に記載の回路構成。
【請求項7】
前記回路構成(1)は、少なくとも1つのスイッチング素子(10)を含み、該スイッチング素子(10)の第1のスイッチ状態では、前記信号カプラ(9)の第1の端子(9a)が前記ミキサ(14)に、前記スイッチング素子(10)の別のスイッチ状態では前記信号カプラ(9)の別の端子(9b)が前記ミキサ(14)に接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項8】
前記回路構成(1)はバイパス装置(11)を含み、信号は前記信号カプラ(9)と前記ミキサ(14)との間で、前記バイパス装置(11)を介して伝送されることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の回路構成。
【請求項9】
設定された周波数および少なくとも1つの信号特性に応じて、前記伝送信号が伝送される少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が付加的に識別可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の回路構成。
【請求項10】
前記チャネル(K1~K6)は、付加的にフィルタ装置(16)の設定されたカットオフ周波数に応じて識別可能であることを特徴とする、請求項9に記載の回路構成。
【請求項11】
識別されたチャネルのチャネルバンド幅は、付加的に特定可能であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の回路構成。
【請求項12】
アップリンク信号またはダウンリンク信号が伝送される周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはチャネル(K1~K6)を識別するための方法であって、
・デカップリングされたアップリンク信号またはダウンリンク信号が提供され、
・所定の周波数を持つ少なくとも1つの基準信号が提供され、
・デカップリングされた信号および前記基準信号が混合され、
・混合された信号がフィルタリングされ、
・フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性が特定され、
・前記基準信号の周波数と、フィルタリングされた信号の少なくとも1つの信号特性とに応じて、伝送信号が伝送される少なくとも1つの周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または少なくとも1つのチャネル(K1~K6)が識別される、方法。
【請求項13】
さまざまな周波数を持つ、周波数固有の基準信号が生成され、周波数固有の基準信号はそれぞれ、デカップリングされた信号と混合され、周波数固有の混合された信号はフィルタリングされ、周波数固有の混合された信号の少なくとも1つの信号特性が特定され、前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)は、周波数固有の信号特性に応じて特定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
フィルタ(16)の少なくとも1つのカットオフ周波数は、フィルタリングされた信号を提供するために変更されることを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)が識別され、続いて前記周波数バンド(FB1、FB2、FB3)のチャネル(K1~K6)が識別されることを特徴とする、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネル(K1~K6)のチャネルバンド幅が識別されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
伝送信号の周波数バンド(FB1、FB2、FB3)または前記チャネル(K1~K6)の識別後に、少なくとも1つの信号特性の監視および/またはさらなる周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはさらなるチャネル(K1~K6)の識別が開始されることを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
さらなる周波数バンド(FB1、FB2、FB3)またはさらなるチャネル(K1~K6)の監視と識別は、順次または同時に実行されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】