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特表2022-553272電子レンジ対応食品パッケージに使用するための狭いギャップを有するRFIDタグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電子レンジ対応食品パッケージに使用するための狭いギャップを有するRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20221215BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20221215BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20221215BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G06K19/077 280
H01Q9/16
H01Q1/50
B65D81/34 U
G06K19/077 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523284
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2020059849
(87)【国際公開番号】W WO2021079266
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1951189-8
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522156726
【氏名又は名称】デジタル タグス フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】イリ-ペルトラ イルッカ
(72)【発明者】
【氏名】フフタサロ ラウリ
(72)【発明者】
【氏名】レスケラ アンッティ
【テーマコード(参考)】
3E013
5J046
【Fターム(参考)】
3E013BA18
3E013BA19
3E013BB04
3E013BC01
3E013BE01
5J046AA14
5J046AA17
5J046AB07
5J046TA03
(57)【要約】
RFID(無線自動識別)タグ(100)用のアンテナ(1)は、アンテナの対向する端部領域に配置された2つのアンテナ部分(11a,11b)と、アンテナ部分の間にブリッジを形成する少なくとも1つの中間部分(12)とを備える。少なくとも1つの中間部分の1つは、集積回路(3)に接続される給電領域(13a;13b)を備える。さらに、第1のギャップ(14;14b)が、少なくとも1つの中間部分の1つに配置され、80μm未満のギャップ長を有し、それは、マイクロ波周波数での電流の低インピーダンス経路を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID(無線自動識別)タグ(100)のための、およびマイクロ波周波数で使用するための、アンテナ(1)であって、
前記アンテナの対向する端部領域に配置される2つのアンテナ部分(11a,11b)と、
少なくとも1つの中間部分(12)であって、前記アンテナ部分間のブリッジを形成し、前記少なくとも1つの中間部分のうちの1つは、集積回路(3)に接続される給電領域(13a;13b)を備える、少なくとも1つの中間部分(12)と、
前記少なくとも1つの中間部分のうちの1つに配置される第1のギャップ(14;14b)であって、前記第1のギャップは、80μm未満のギャップ長を有する、第1のギャップ(14;14b)と、
を備えるアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナであって、前記ギャップ長は、50μm未満、好ましくは30μm未満、最も好ましくは25μm未満である、アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンテナであって、第1のギャップ(14;14b)の幅は、前記ギャップ長を超え、好ましくは前記ギャップ長の2倍より大きく、より好ましくは前記ギャップ長の3倍より大きく、最も好ましくは前記ギャップ長の5倍より大きい、アンテナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナであって、第1のギャップ(14;14b)の幅は、150μmを超え、好ましくは200μmを超え、最も好ましくは250μmを超える、アンテナ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナであって、第1のギャップ(14;14b)は、2GHzを超える周波数を有する電波のための低インピーダンス経路を形成するように配置される、アンテナ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナであって、第1のギャップ(14)は、前記給電領域(13a;13b)間に提供される、アンテナ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナであって、第2のギャップ(14a)は、前記給電領域(13a;13b)間に提供され、第1のギャップ(14b)は、前記給電領域(13a;13b)から距離を置いて配置されたバイパス接続部(17)に配置される、アンテナ。
【請求項8】
請求項6に記載のアンテナであって、第2のギャップ(14a)は、第1のギャップ(14b)よりも大きなギャップ長を有する、アンテナ。
【請求項9】
請求項6または7に記載のアンテナであって、第2のギャップ(14a)は、100-200μmの範囲のギャップ長を有する、アンテナ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のアンテナであって、前記アンテナ(1)は、UHF周波数帯域で動作するように構成される、アンテナ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のアンテナであって、前記アンテナ(1)は、860-960MHzの範囲内の周波数で動作するように構成される、アンテナ。
【請求項12】
RFID(無線自動識別)タグ(100)のためのアンテナ(1)であって、
前記アンテナの対向する端部領域に配置される2つのアンテナ部分(11a,11b)と、
少なくとも1つの中間部分(12)であって、前記アンテナ部分間のブリッジを形成し、前記少なくとも1つの中間部分のうちの1つは、集積回路(3)に接続される給電領域(13a;13b)を備え、前記給電領域は、ICギャップによって分離される、少なくとも1つの中間部分(12)と、
バイパスギャップ(14b)であって、前記給電領域(13a;13b)から距離を置いて配置されたバイパス接続部(17)に配置され、前記バイパスギャップは、マイクロ波周波数で低インピーダンスバイパス経路を提供するように配置される、バイパスギャップ(14b)と、
を備えるアンテナ。
【請求項13】
請求項12に記載のアンテナであって、前記バイパスギャップのギャップは、蛇行延長部を有する、アンテナ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のアンテナであって、ギャップは、10mmを超えるギャップ幅、好ましくは20mmを超えるギャップ幅、より好ましくは30mmを超えるギャップ幅を、有する、アンテナ。
【請求項15】
RFIDタグ(100)であって、
請求項1から14のいずれか1項に記載のアンテナ(1)と、
前記アンテナ(1)の給電部分(13a;13b)に接続される集積回路(3)と、
前記アンテナが配置される誘電体基板(2)と、
を備えるRFIDタグ。
【請求項16】
請求項15に記載のRFIDタグであって、前記誘電体基板(2)は、紙、板、ポリマーフィルム、織物、および不織布材料、のうちの少なくとも1つから作られる、RFIDタグ。
【請求項17】
エンクロージャと、
前記エンクロージャに固定された請求項15または16に記載のRFIDタグと、
を備える、電子レンジ対応食品用のパッケージ(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別のためのアンテナ、RFID、タグ、および対応するRFIDタグに関する。RFIDタグは、電子レンジで使用できるように配置され、例えば、電子レンジ対応食品パッケージまたは食品に、配置され得る、または組み込まれ得る。本発明は、さらに、そのようなRFIDタグを備える電子レンジ対応食品用のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグは、今日、ますます頻繁に使用されており、スマートラベル/タグなどの多種多様な用途に使用されている。RFIDタグは、従来、例えば、従来の印刷コードラベルの下に配置された、平らに構成されたトランスポンダとして配置され、チップおよびアンテナを含む。ラベル/タグは、紙、布地またはプラスチックで作られることが多く、通常、例えば、特別に設計されたプリンタユニットで使用するために、キャリアとラベル媒体との間に積層されたRFIDインレーを用いて準備される。スマートラベルは、従来のバーコードラベルに比べて、より高いデータ容量、直接の見通し線外での読み取りおよび/または書き込みの可能性、および複数のラベルまたはタグを一度に読み取る能力などの、利点を提供する。
【0003】
いわゆるインテリジェントパッケージ製品を形成するために、パッケージ材料に直接RFIDラベルを組み込むことも知られている。
【0004】
ますます興味深くなっているRFIDタグの1つの用途は、電子レンジにおけるマイクロ波加熱を目的とした食品等を含むパッケージである。これにより、RFIDタグは、例えば、物流追跡目的などのために使用することができる。しかしながら、典型的には電子マイクロ波加熱用の食品等は、食品容器パッケージを取り外すことなく電子レンジ内で調理または加熱される。パッケージは、さらに調理プロセスの一部であってよい。
【0005】
電子レンジでの加熱または調理の間、RFID機能はもはや必要でなくて使用されず、RFIDタグは、電子レンジへの配置の前に取り外され得る。しかしながら、RFIDタグの取り外しは、煩雑および困難であり、容易に忘れられ得る。
【0006】
しかしながら、電子レンジ内でのRFIDタグのマイクロ波への暴露は、集中加熱につながり、それは、安全上のリスクにつながる可能性がある。RFIDタグは、RFIDチップが配置されるギャップ(gap)を有する。従来のリーダ装置からRFIDタグによって受け取られる電力は、一般に低く、数マイクロワットのオーダーであるが、一方、電子レンジは、典型的には、800ワットを超える電力レベルで作動し、それは、ギャップにわたって非常に高い電圧を発生し得る。さらに、RFIDアンテナは、例えば、約860MHzから930MHzの範囲のUHF周波数で動作するように一般に設計され、アンテナは、RFIDリーダから入射電力を受け取り、RFIDチップの両端の電圧に変換して、それが動作することを可能にする。一方、電子レンジは、より高い周波数、典型的には、約2,450MHzのオーダーで、典型的に動作する。電子レンジ内でマイクロ波にさらされると、マイクロ波は、RFIDタグのアンテナにも入射する。これらのマイクロ波の非常に高い電力レベルおよび周波数は、アンテナ上、特にRFIDチップによってブリッジされたギャップにわたって、高電圧を発生するであろう。このギャップは、必然的に比較的小さく、典型的には100-200μmの範囲であるからである。この高電圧は、破壊を引き起こし、アークを発生させることがあり、パッケージの変形、スパーク、閃光につながることがあり、パッケージが発火することさえある。これは安全上のリスクであり、電子レンジを損傷することもある。
【0007】
特許文献1は、この問題に対する解決策を提案している。ここでは、遮蔽層が、設けられ、ギャップを横切ってアンテナに電気的に結合され、RFIDチップを覆って、アンテナが電子レンジからのマイクロ波に曝されたときにギャップを横切る電圧を制限する。しかしながら、これは上述の安全性の問題を軽減するが、それは、RFIDタグの製造を、複雑にし、煩雑にし、費用がかかるようにする。
【0008】
従って、安全上のリスクおよび前述の他の課題を伴わずにレンジ加熱することができる改良されたRFIDタグが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0189623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、上述の問題の少なくとも一部を軽減し、上述の必要性のうちの1つ以上に少なくとも部分的に対処する、RFIDタグ用のアンテナ、ならびに対応するRFIDタグ、およびそのようなRFIDタグを備える電子レンジ対応食品のためのパッケージを、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、添付の「特許請求の範囲」によるアンテナ、RFIDタグ、およびパッケージによって達成される。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、以下を備えるRFID(無線自動識別)タグ用のアンテナが提供される。
アンテナの対向する端部領域に配置される2つのアンテナ部分;
少なくとも1つの中間部分であって、前記のアンテナ部分間のブリッジを形成し、前記の少なくとも1つの中間部分のうちの1つは、集積回路に接続される給電領域を備える、少なくとも1つの中間部分;および
前記の少なくとも1つの中間部分のうちの1つに配置される第1のギャップであって、前記の第1のギャップは、80μm未満のギャップ長を有する、第1のギャップ。
【0013】
本発明は、給電領域間のギャップ、すなわちRFIDチップの下のギャップとして、または、この近傍のバイパス経路において、非常に狭いギャップを設けることによって、電子レンジにおけるマイクロ波による電圧上昇を大幅に低減することができるという認識に基づいている。このギャップを形成する側面が極端に密接しているため、結果として生じる静電容量は高く、それは、約2.45GHzなどの電子レンジで使用される周波数に対して、低いインピーダンス経路を効果的に形成する。同時に、UHF帯域内の周波数、すなわちほぼ860-960MHzの範囲内の周波数などの、RFIDタグの動作に使用される周波数は、そのような周波数でのRF電流の流れが、ギャップを横切る低インピーダンス経路を提供されず、短絡されず、ギャップ伝搬を依然として停止される。従って、そのような非常に狭いギャップを使用することによって、UHF周波数でのRFIDタグの通常動作は、全く影響を受けず、同時に、電子レンジ周波数での電圧上昇の問題は、大幅に軽減される。
【0014】
いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、ICギャップおよびアンテナ、特にアンテナの中央にある導体ループなどのアンテナの整合部は、LC共振器回路を形成すると考えられる。そのような整合部および従来のICギャップを含むUHFアンテナの典型的な寸法は、2.45GHzなどのマイクロ波帯域に近い共振周波数を有する。共振効果は、ギャップにわたる電圧上昇およびループ内のRF電流を増幅する。狭いギャップは、マイクロ波電流のための低インピーダンス経路を提供し、マイクロ波帯域から離れて、回路の共振周波数をより低い周波数に移動させる。これにより、電圧上昇および電流振幅が効果的に低減される。
【0015】
80μm未満のギャップ長を有する前記の少なくとも1つの中間部のうちの1つに配置された第1のギャップを提供することによって、電子レンジ周波数での電圧上昇の問題が大幅に低減されることが見出された。この電圧上昇は、さらに小さなギャップ長が提供される場合、さらに低減される。従って、一実施形態では、ギャップ長は、50μm未満、好ましくは30μm未満、最も好ましくは25μm未満である。一実施形態では、約20μmのギャップ長が提供される。
【0016】
第1のギャップの幅が比較的大きいことがさらに好ましく、電子レンジ周波数でのギャップにわたる電圧上昇がさらに低減される。一実施形態では、第1のギャップの幅は、ギャップ長を超え、好ましくはギャップ長の2倍より大きく、より好ましくはギャップ長の3倍より大きく、最も好ましくはギャップ長の5倍より大きい。一実施形態では、第1のギャップの幅は、150μmを超え、好ましくは200μmを超え、最も好ましくは250μmを超える。
【0017】
第1のギャップは、好ましくは、電子レンジに従来使用されている周波数に対応する約2.45GHzの周波数など、2GHzを超える周波数を有する電波のための低インピーダンス経路を形成するように配置される。
【0018】
アンテナは、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、またはスロットアンテナなど、多くの異なる種類のものであってよい。
【0019】
一実施形態では、アンテナは、対向する端部領域に配置された2つのダイポールアンテナ部分を有するダイポールアンテナであってよい。アンテナの対向する端部領域に配置される2つのダイポールアンテナ部分は、当技術分野において公知であるように、種々の形状および寸法を有してよい。例えば、部分は、ほぼ直線方向に延在してよく、または蛇行形状などの非直線状に延在してよい。部分は、折り畳まれても湾曲してもよく、それによって2つ以上の方向に延在する。一実施形態では、ダイポールアンテナ部分は、少なくともいくつかの位置で、拡大幅を有し得る端部で終端してよい。端部は、例えば、ほぼ円形またはほぼ矩形形状を有してよい。
【0020】
少なくとも1つの中間部分は、アンテナ部分間のブリッジを形成する。前記の少なくとも1つの中間部分の少なくとも1つは、集積回路に接続される給電領域を備える。給電領域は、好ましくは、上述の狭い第1のギャップ、または追加のギャップであってよい、ギャップによって分離される。
【0021】
中間部分は、好ましくは、アンテナ部分に直流的に(galvanically)接続される。しかしながら、接続は、非ガルバニックであってもよく、結合は、誘導結合などによって、電磁界結合を通じて得られてよい。
【0022】
給電領域は、集積回路、RFIDチップに電気的に結合されるように配置され、それによって給電領域間のギャップがブリッジされる。従って、各給電領域は、RFIDチップのコネクタとアンテナ部分のうちの1つとの間で電流を伝達するように配置される。
【0023】
一つの一連の実施形態では、狭い第1のギャップが、給電領域間に提供される。
これにより、狭い第1のギャップは、2つの目的に役立つ:
1)RFIDチップによってブリッジされるICギャップを提供すること、および2)高周波での電圧上昇を低減すること。この一連の実施形態では、アンテナの製造が容易になり、これにより、アンテナは、製造するのにより費用効果が高くなる。
【0024】
別の一連の実施形態では、第2のギャップは、給電領域間に提供され、狭い第1のギャップは、給電領域から距離を置いて配置されたバイパス接続部に配置される。そのような実施形態では、第2のギャップは、100-200μmの範囲のギャップ長など、狭い第1のギャップよりも大きなギャップ長を有し得る。しかしながら、代替的に、第2のギャップは、上述の方法で、高周波数での電圧上昇を低減するように寸法決めされてもよい。
【0025】
この一連の実施形態では、アンテナは、いくらか複雑になり、製造コストが高くなる。一方、RFIDチップのアンテナへの配置および取り付けは、このタイプの実施形態では、しばしばより簡単であり、それにより、RFIDタグの全体的な製造コストを下げ得る。
【0026】
アンテナは、好ましくは、860-960MHzの範囲内の1つまたはいくつかの周波数でなど、UHF周波数帯域で動作するように構成される。
【0027】
本発明の別の態様によれば、以下を備えるRFID(無線自動識別)タグ用のアンテナが提供される。
アンテナの対向する端部領域に配置される2つのアンテナ部分;
少なくとも1つの中間部分であって、前記のアンテナ部分間のブリッジを形成し、前記の少なくとも1つの中間部分のうちの1つは、集積回路に接続される給電領域を備え、給電領域は、ICギャップによって分離される、少なくとも1つの中間部分;および
バイパスギャップであって、前記の給電領域から距離を置いて配置されたバイパス接続部に配置され、前記のバイパスギャップは、マイクロ波周波数で低インピーダンスバイパス経路を提供するように配置される、バイパスギャップ。
【0028】
バイパスギャップは、給電領域を備える同じ中間部分内に配置されてよく、あるいは別個の中間部分に配置されてよい。
【0029】
バイパスギャップは、様々な方法においてマイクロ波周波数で低インピーダンスバイパス経路を提供するように配置されてよい。一つの代替として、ギャップ長は、前述のように非常に短くてよく、好ましくは80μm未満である。しかしながら、別の代替として、例えばギャップ長を大きく超える非常に広いギャップ幅と共に、より長いギャップ長を使用してよい。
【0030】
非常に広いギャップ幅を得るために、バイパスギャップのギャップは蛇行延長部を有してよい。これにより、非常に広いギャップ幅が、アンテナの2つの中間部分の間など、比較的限られた領域内で得られ得る。
【0031】
そのような広いギャップは、例えば、10mmを超えるギャップ幅、好ましくは20mmを超えるギャップ幅、より好ましくは、40mmを超えるギャップ幅、または50mmを超えるギャップ幅などの、30mmを超えるギャップ幅を、有し得る。一つの例示的実施形態では、ギャップは、約60mmの幅を有する。そのような実施形態では、ギャップ長は、100-750μmの範囲内、好ましくは200-600μmの範囲内などの、80μmよりもはるかに大きくすることができ、約2.45GHzなどのマイクロ波周波数での効率的な低インピーダンスバイパス経路を提供することができる。
【0032】
本発明の別の態様によれば、前述のアンテナと、アンテナの給電部分に接続される集積回路と、アンテナが配置される誘電体基板と、を備えるRFIDタグが提供される。
【0033】
誘電体基板は、本質的に、任意の非導電性材料であってよい。一実施形態では、誘電性基板材料は、紙、板(board)、ポリマーフィルム、織物、および不織布材料、のうちの少なくとも1つから作られる。特に、基板は、紙で作ることができる。
【0034】
RFIDタグは、受動的、すなわち、リーダの電磁界によって電力供給されるか、または能動的、すなわち、搭載バッテリによって電力供給されるか、のいずれかであってよい。
【0035】
アンテナは、材料が導電性である限り、任意の材料で作られてよい。例えば、アンテナは、アルミニウムによって形成されてよいが、銀などの他の金属、および合金も、使用されてよい。基板上へのアンテナの形成は、銀インクなどの導電性インクで印刷すること、最初に基板上に導電層を提供すること、続いて、例えば研削、切断、エッチングなどによって、この導電層を除去または所望のアンテナ形状に形成することなどの、当技術分野でそれ自体が知られている様々な方法で行うことができる。
【0036】
本発明のさらに別の態様によれば、エンクロージャと、上述のRFIDタグと、を備える電子レンジ対応食品用のパッケージが提供される。RFIDタグは、例えば接着剤によって、エンクロージャに取り付けられ得るが、代替的に、エンクロージャの一体化された部分として形成され得る。その場合、RFIDタグの誘電体基板は、例えば、パッケージを形成するエンクロージャの材料によって形成され得る。従って、例えば、インテリジェントパッケージ製品の製造のために、RFIDタグのアンテナは、例えば、シートまたはウェブの形態で、パッケージ材料上に直接提供されてよい。
【0037】
本発明の第1の態様の上述の詳細な構造および利点は、本発明のさらなる態様にも適用されることが理解されるであろう。
【0038】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0039】
例示の目的のために、本発明は、添付の図面に示されるその実施形態を参照して、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1の実施形態によるアンテナの概略上面図である。
図2図1のアンテナを使用するRFIDタグの概略上面図である。
図3】第2の実施形態によるアンテナおよびこのアンテナを使用するRFIDタグの概略上面図である。
図4】一実施形態によるアンテナに形成された狭いギャップのより詳細な概略上面図である。
図5】別の実施形態によるアンテナに形成された狭いギャップのより詳細な概略上面図である。
図6】一実施形態による取り付けられたRFIDタグを含む、電子レンジ対応食品パッケージの概略斜視図である。
図7】別の実施形態による、パッケージ材料に一体化されたRFIDタグを含む、電子レンジ対応食品パッケージの概略斜視図である。
図8】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、200μmのギャップ長を有する比較例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図9】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、200μmのギャップ長を有する比較例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図10】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、200μmのギャップ長を有する比較例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図11】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、20μmのギャップ長を有する本発明の実施例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図12】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、20μmのギャップ長を有する本発明の実施例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図13】本発明の実施形態によるアンテナ上で行われたシミュレーションによるフィールドプロット、および比較例であり、20μmのギャップ長を有する本発明の実施例のフィールドプロットを示し、温度、表面電流、および電界強度を示す。
図14】一実施形態による別のアンテナの概略上面図であり、図1のアンテナ設計に類似しているが、より滑らかな角部および移行部が設けられている。
図15】蛇行ギャップを有する、さらに別の実施形態による別のアンテナの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかしながら、異なる実施形態の特徴は、実施形態間で交換可能であり、他の何かが特に示されていない限り、異なる方法で組み合わせられ得ることを理解されたい。明瞭化のために、図面に図示されている特定の構成要素の寸法は、種々の層の厚さ、ギャップ長およびギャップ幅の相対寸法等などの、本発明の現実の実施形態における対応する寸法とは異なる場合があることにも留意されたい。以下で論じる実施形態がダイポールアンテナを備えるとしても、アンテナは、モノポール、ループまたはスロットアンテナなどの他の種類のものでもあり得る。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態によるアンテナ1を示す。アンテナは、RFIDタグに使用されるように構成されたダイポールアンテナであり、好ましくは、UHF帯域で動作するように構成される。
【0043】
アンテナ1は、アンテナの対向する端部の領域に配置された2つのダイポールアンテナ部分11aおよび11bを備える。ダイポールアンテナ部分は、それらの端部のうちの1つにあり、その端部は、互いに最も近接しており、給電配置に接続される。ここで、給電配置は、ダイポールアンテナ部分間にブリッジを形成する中間部分12の形態で設けられ、2つの給電領域13aおよび13bが設けられ、ギャップ14によって隔てられている。第1の給電領域13aは第1ダイポールアンテナ部分11aに接続され、第2の給電領域13bは第2ダイポールアンテナ部分11bに接続される。
【0044】
給電領域は、以下でより詳細に説明するように、集積回路、RFIDチップのコネクタに接続され、その結果、ギャップ14の上に配置され、ブリッジすることになる。
【0045】
給電領域に接続されていない、ダイポールアンテナ部分の他端には、端部15aおよび15bが設けられてよい。端部は、好ましくは、滑らかで丸みを帯びた角部を備え、例えば、ほぼ円形の領域として配置されてよい。鋭利な端部を避けることで、電圧上昇を防ぐ。
【0046】
2つのダイポールアンテナ部分11aおよび11bは、大きさおよび形状がほぼ等しいことが好ましく、互いに対称であることが好ましい。
【0047】
ダイポールアンテナ部分11aおよび11bは、図示の実施形態では、細長い導電線として成形されている。しかしながら、他の形状も実現可能である。例えば、部分は、少なくとも一部にわたって、蛇行形状に延在してよい。部分はまた、全体的に折り畳まれたまたは湾曲した形状を有してよい。それ自体が公知であるように、多くの他の形状も実現可能である。
【0048】
さらに、アンテナは非対称であってもよく、例えば、アンテナ部分11aおよび11bは、対称である必要や等しいサイズや形状である必要はない。
【0049】
さらに、端部15aおよび15bは、ダイポールアンテナ部分の残りの部分と同じ幅を有してよい。しかしながら、好ましくは、端部は、いくらか拡大され、少なくとも部分的により大きな幅を有する。端部15aおよび15bは、図示の例では円形として示されているが、長方形などの他の形状も実現可能である。
【0050】
例示的な例では、ダイポールアンテナ部分は、インピーダンス整合のために、さらなる中間部分16を通じてさらに接続される。しかしながら、他のアンテナ設計では、そのような追加の中間部分は、他の形状をとってよく、または省略さえされてよい。
【0051】
典型的には2.45GHzなどのUHF帯域の周波数よりもはるかに大きい周波数を有する電子レンジでマイクロ波に曝されたときにギャップ14にわたる電力上昇(power build-up)を回避するために、ギャップ14は、非常に短いギャップ長さgにわたって延在する。ギャップ長gは、少なくとも80μm未満であるが、好ましくはさらに小さく、50μm未満、好ましくは30μm未満、、最も好ましくは25μm未満などである。一実施形態では、約20μmのギャップ長gが提供される。
【0052】
ギャップ長gが非常に短いため、結果として生じる静電容量は高く、それは、約2.45GHzなどの電子レンジで使用される周波数でRF電流が流れるための低インピーダンス経路を効果的に形成する。同時に、UHF帯域内の周波数、すなわちほぼ860-960MHzの範囲内の周波数などの、RFIDタグの動作に使用される周波数は、そのような周波数でのRF電流の流れが、低インピーダンス経路を提供されず、短絡されず、ギャップ伝搬を依然として停止される。
【0053】
電力上昇の可能性のある点を回避するために、アンテナの鋭い縁部および角部を避けることが一般的に好ましい。従って、アンテナは、好ましくは、全体的に滑らかな設計が提供され、丸みを帯びたまたは面取りした(beveled)角部および異なる部分間の移行部を有する。そのような滑らかなアンテナ設計の例を図14に示す。このアンテナ設計は、図1のアンテナ設計に似ているが、すべての角部および移行部が滑らかになっている。
【0054】
図2では、図1のアンテナを使用するRFIDタグが示されている。ここで、RFIDタグ100は、基板2上に配置された上述のアンテナ1と、集積回路と、を備え、RFIDチップ3は、アンテナ上に配置され、給電領域13aおよび13bに接続され、RFIDチップがギャップ14をブリッジするようになっている。
【0055】
誘電体基板は、紙、板(board)、ポリマーフィルム、織物、および不織布材料などの、任意の非導電性材料であることができる。特に、基板は、紙で作ることができる。
【0056】
アンテナは、材料が導電性である限り、任意の材料で作られてよい。例えば、アンテナは、アルミニウムによって形成されてよいが、銀などの他の金属、および合金も、使用されてよい。例えば、錫およびビスマスを含む合金などの、比較的低い溶融温度を有する合金を使用することが実現可能である。基板上へのアンテナの形成は、銀インクなどの導電性インクで印刷すること、最初に基板上に導電層を提供すること、続いて、例えば研削、切断、エッチングなどによって、この導電層を除去または所望のアンテナ形状に形成することなどの、当技術分野でそれ自体が知られている様々な方法で行うことができる。
【0057】
狭いギャップは、ギャップから導電性材料を除去することによって、例えば、レーザまたは他の詳細な切断技術によって、形成されてよい。
【0058】
RFIDチップ3は、いくつかの可能な構成要素のうちのいずれかを含んで、いくつかの可能な機能のうちのいずれかを実行するように構成される、いくつかの形態(当業者によって一般に「チップ」または「ストラップ」と称されるタイプのものを含む)のうちのいずれかをとり得る。好ましくは、RFIDチップは、RF通信およびRFIDタグの他の機能を制御するための集積回路を含む。
【0059】
図1および図2に関連して説明した実施形態では、狭いギャップは、いわゆるICギャップ、すなわちRFIDチップによってブリッジされるギャップも形成する。従って、この実施形態では、1つのおよび同じギャップは、ICギャップと、高周波数での電圧上昇を低減するためのギャップと、の両方として機能する。
【0060】
しかしながら、ICギャップおよび電圧上昇を回避するためのギャップを、2つの別々のギャップとして提供することも実現可能である。そのような実施形態について、図3に関連してより詳細に説明する。
【0061】
図3の実施形態では、中間部分は、最初に論じた実施形態とは異なる。ダイポールアンテナ部分などのアンテナの残りの部分は、最初に論じた実施形態と同じまたは類似しており、これ以上詳細には論じない。以下に説明される特定の詳細とは別に、第1の実施形態に関連して説明される詳細および変形は、この第2の実施形態にも適用可能である。
【0062】
図3の実施形態では、バイパス経路または接続部17は、ICギャップ14a、および給電領域13aおよび13b、および給電領域に接続されるRFIDチップ3、の近傍に形成される。バイパス経路/接続部17は、中間部分12からの短い延長部として形成されてよく、あるいは、別個の中間部分として配置されてよい。
【0063】
バイパス経路/接続部17には、前述の説明と同様に、高周波数での電圧上昇を回避するよう寸法決めされた狭いギャップ14bが設けられる。従って、バイパス経路/接続部17のこの狭いギャップ14bは、少なくとも80μm未満であるが、すでに論じたように、好ましくはさらに小さい、ギャップ長gを有する。高周波数でギャップ14bにわたって得られた上述の低インピーダンス経路により、バイパス経路/接続部は、約2.45GHzなどの通常の電子レンジ周波数などの高周波数で電流を導くが、UHF帯域でのアンテナの動作周波数などの、より低い周波数での電流の伝達を妨げるであろう。
【0064】
ギャップ14bは、例示的な例のように、バイパス経路/接続部17の中央に設けられてよいが、代替的に、側部の一方に向かって非中央に配置されてもよい。
【0065】
給電領域13aおよび13b間に配置されるICギャップ14aも、そのような実施形態では狭くてよく、このギャップも、高周波数で低インピーダンス経路を提供するようになっている。従って、ICギャップ14aは、バイパス経路/接続部17のギャップ14bと同じオーダーのギャップ長gを有し得る。しかしながら、高周波数での電力上昇は、バイパス経路/接続部17によってすでに大幅に低減されており、ICギャップ14aは、代替的に、例えば、100-200pmの範囲など通常のRFIDタグにおけるのと同じ寸法であり得る、より大きなギャップ長Gを有してよい。
【0066】
第2の実施形態のアンテナは、第1の実施形態と同様に、破線で示された基板2上に配置されてよく、同じく破線で示されたRFIDチップ3が給電領域に取り付けられて、RFIDタグ100’を形成する。
【0067】
狭いギャップ長gがICギャップに、すなわち給電領域間に設けられているか、または別個のギャップとしてバイパス経路/接続部に設けられているかにかかわらず、ギャップ幅wが比較的長いことが好ましい。好ましくは、狭いギャップの幅wは、ギャップ長gを超え、すなわちw>gであり、好ましくはギャップ長の2倍よりも大きく、すなわちw>2*gであり、より好ましくはギャップ長さの3倍よりも大きく、すなわちw>3*gであり、最も好ましくはギャップ長さの5倍よりも大きく、すなわちw>5*gである。一実施形態では、第1のギャップの幅は、150μmを超え、好ましくは200μmを超え、最も好ましくは250μmを超える。
【0068】
そのような幅wは、中間部分に比較的広い導電性経路を設けることによって提供されてよい。少なくとも、図3に示すように、バイパス経路/接続部17は、比較的大きな幅を備えてよい。
【0069】
しかしながら、代替的に、ギャップの近傍にのみ比較的大きな幅を提供することも実現可能である。そのような実施形態は、図4および図5に概略的に示されている。図4は、ギャップを形成する端部に比較的広い矩形領域が形成されている例を示す。ギャップがICギャップとして設けられている場合、矩形領域は、図4に破線で概略的に示すように、RFIDチップ3に接続される給電領域13aおよび13bとしても機能する。しかしながら、狭いギャップがバイパス経路/接続部に設けられている場合でも、同様の矩形領域を用いてもよい。しかしながら、拡大された端部領域は、台形または半円形の形状を有するなど、他の形状をとってもよい。図5に示す1つのそのような代替形態では、拡大された端部領域は三角形の形態であり、基部は互いに向き合ってギャップを形成する。
【0070】
マイクロ波周波数に対して低インピーダンスバイパス経路も提供する別のアンテナ設計が、図15に示されている。この場合、図3に関連して議論された実施形態と同様に、中間部分12の給電領域間にICギャップ14aと、給電領域から離れたところに配置されたバイパス接続部に配置された追加のバイパスギャップ14bと、が存在する。
【0071】
バイパスギャップは、2.45GHzなどのマイクロ波周波数で低インピーダンスバイパス経路を提供するように配置される。しかしながら、前述の実施形態とは異なり、非常に短いギャップ長を使用することによっては得られない。代わりに、この効果は、この場合、非常に広いギャップ幅、例えば、ギャップ長を大幅に超えるギャップ幅と共に、より長いギャップ長によって得られる。
【0072】
この実施形態では、非常に広いギャップ14bが、中間部分12と16との間に形成されたループ内に配置されている。しかしながら、当然に他の場所にも設けられることができる。
【0073】
バイパスギャップをコンパクトにするために、ギャップは、この場合、蛇行形状に配置され、ギャップが、蛇行延長経路に延在するようになっている。そのような蛇行形状は、インターリーブアーム14b1および14b2を設けることによって得られてよく、各々が自由端を有し、各々がアンテナ部分に接続された端部を有し、接続された端部がアンテナの異なる側部に交互に接続される。アームの長さおよびアームの数に応じて、それらの間に形成される蛇行ギャップは、非常に大きな幅を有してよい。例示的な例では、幅は、この場合、約60mmであってよい。非常に大きな幅を有することにより、いくぶん長いギャップ長を使用することが可能となり、依然として、マイクロ波周波数でギャップにわたって形成される低インピーダンス経路の所望の効果を得ることが可能となる。例示的な例では、ギャップ長は、約500μmであってよい。ギャップの蛇行形状により、ギャップは、非常にコンパクトになり、依然としてアンテナの同じ全体寸法で実現され得る。
【0074】
蛇行ギャップは、先に論じた実施形態よりも製造が複雑に見えるかもしれないが、実際には、コスト効率的に、またはよりコスト効率的に製造され得る。より多くの部分を備えているにもかかわらず、許容可能な公差がより高く、アンテナパターンを、結果的に、より迅速に、より低い精度で製造することができるからである。RFIDは、電子レンジ食品用のパッケージに使用するのに特に適している。RFIDタグ100または100’は、例えば図6に概略的に示されるように、パッケージ4を形成するエンクロージャに、例えば接着剤によって取り付けられてよい。あるいは、RFIDタグ100または100’は、エンクロージャの一体化された部分として形成されてよく、その場合、RFIDタグの誘電体基板は、例えば図7に概略的に示されるように、パッケージを形成するエンクロージャの材料によって形成されてよい。従って、例えばインテリジェントパッケージ製品の製造のために、RFIDタグのアンテナは、例えばシートまたはウェブの形態で、パッケージ材料に直接提供されてもよい。
【0075】
パッケージのエンクロージャは、例えば、紙またはプラスチック材料の箱の形態であってよい。さらに、RFIDタグは、本明細書では、電子レンジ対応食品のパッケージに組み込まれるものとして説明されているが、本開示によるRFIDタグは、特に、RFIDタグのアンテナが動作することが意図される周波数よりも著しく高い周波数に曝され得ることが企図される場合に、いくつかの可能な用途のうちの任意のものにおいて有用であり得ることを、理解されたい。
【0076】
新しい概念を評価するために、多くの実験的試験およびシミュレーションを行った。
【0077】
第1の一連の試験では、アルミニウム製であり、図1に関連して論じた一般的なタイプであるが、ICギャップが160μmである、RFIDタグが、従来の電子レンジ対応食品の紙製の側面に取り付けられた。食品を、移動回転テーブルを有するSamsung MS23K3523AKタイプの電子レンジ内でマイクロ波に曝露した。電子レンジは、全出力800Wで60秒作動した。
【0078】
マイクロ波に曝された後、紙は著しく暗くなり、アンテナのICギャップに近い領域で燃えるようになったことが、認められた。
【0079】
同じ試験を、本発明によるRFIDタグでも行った。この試験では、RFIDタグおよびアンテナは、第1の試験のRFIDタグおよびアンテナと同一であったが、ICギャップでギャップ長が短くなっていた。この第2の試験では、ギャップ長は20μmであった。同じタイプのマイクロ波曝露の後、パッケージエンクロージャの紙に暗色化または変色が現れないことが見出された。
【0080】
概念的タグアンテナシミュレーションも行った。これらのシミュレーションのために、図1に関連して開示されたタイプのアンテナが使用されたが、ICギャップにわたってギャップ長が変化する。シミュレーションには、比較例として200μmのギャップ長を使用し、次に、本発明の例として20μmのギャップ長を使用した。シミュレーションでは、2.45GHzのマイクロ波への曝露をシミュレートし、60秒の持続時間で1000Wで動作する電子レンジにおける放射に相当する電力と時間周期で行った。
【0081】
これらのシミュレーションのフィールドプロットを図8-13に示す。図8図10は、ギャップ長200μmを有する比較例のフィールドプロットを示し、それぞれ、温度、表面電流および電界強度を示す。図11-13は、ギャップ長20μmを有する本発明の例のフィールドプロットを示し、それぞれ、温度、表面電流および電界強度も示す。
【0082】
図8は、ギャップ長が200μmのアンテナ(比較例)の温度のフィールドプロットを示す。非常に高い温度の領域がICギャップの周りの広い円内に存在することが分かる。この円の中心、すなわちICギャップの下に生じる最高温度は、セ氏1600度を超えるが、一方、最低温度は、ICギャップから離れたところで、周囲室温と同じ、約セ氏20度である。
【0083】
図9は、図8と同じアンテナの導電性表面上の表面電流(A/m)のフィールドプロットを示し、長さが200μmのICギャップを有している(比較例)。フィールドプロットから、5A/mを超える非常に高い表面電流が中間部分全体に存在し、ICギャップの近くで最大16.3A/mを有することが分かる。
【0084】
図10は、図8および9と同じアンテナの導電性部分での電界強度(V/m)のフィールドプロットを示し、長さが200μmのICギャップを有している(比較例)。このフィールドプロットから、非常に高い電界強度がICギャップの近傍に存在し、最大約100kV/mであることが注目される。
【0085】
図11は、ギャップ長が20μmのアンテナ(本発明の例)の温度のフィールドプロットを示す。アンテナ全体にわたって温度が低く、ICギャップの近傍でごく限られた温度上昇しか生じていないことが分かる。ICギャップの近くで生じる最高温度は、セ氏50度以下であり、最低温度よりわずかに高いだけであり、最低温度は、ICギャップから離れたところで、周囲室温と同じ、約セ氏20度である。
【0086】
図12は、図11と同じアンテナの導電性表面上の表面電流(A/m)のフィールドプロットを示し、長さが20μmのICギャップを有している(本発明の例)。フィールドプロットから、2A/m未満の非常に限られた表面電流が、中間部分の大部分に存在し、ICギャップの近くで最大3.9A/mを有することが分かる。
【0087】
図13は、図11および図12と同じアンテナの導電性部分での電界強度(V/m)のフィールドプロットを示し、長さが20μmのICギャップを有している(本発明の例)。このフィールドプロットから、非常に限られた電界強度が、ICギャップの近傍を含む全ての場所に存在し、最大約3-7kV/mであることが注目される。
【0088】
さらなるシミュレーションでは、他のギャップ長も同様に解析されている。ICギャップでまたはその近傍で得られる最大温度は、ギャップ長に大きく依存することが分かっている。以下の表は、フィールドプロットで示された上述の例と同じ条件下で、多くの異なるギャップ長について得られる最大温度を示す。
【表1】
【0089】
このことから、多くの観察を行うことができる。
・例えば、非常に高い最大温度が、ICギャップについて従来使用されているギャップ長の範囲内、すなわち100から200μmの間で得られることに注目することができる。
・発火温度、すなわち、何かがそれ自体で発火および燃焼する温度は、当然、材料によって異なる。通常の紙は、約セ氏233度の発火温度を有する。しかしながら、電子レンジ対応食品等のパッケージに使用される多くの材料は、より高い発火温度を有しているにもかかわらず、100-200μmのギャップ長範囲に見られる最大温度は、ほとんどの従来のパッケージ材料の発火温度を十分に上回っている。
・上述のシミュレーションは、RFIDタグに比較的近い単純なマイクロ波源を仮定した場合の相対的な温度差を示す。当然、実際の電子レンジ内の環境は、はるかに複雑であり、絶対温度レベルは、シミュレートされたケースとある程度異なることがある。しかしながら、シミュレーションは、それにもかかわらず、狭いギャップの提供によって得られる温度の劇的な低下を明確に示す。
・少なくとも500μmを超え、好ましくは1mmを超える、非常に長いギャップ長では、最大温度は、安全上の危険等を与えないように十分に低い。
しかしながら、そのような非常に長いギャップ長の使用は、通常、実際的には実現可能ではない。
・100μmのギャップ長未満では、最大温度は、劇的に低下し、50μmではセ氏110度と低い。これは、全ての、または少なくともほとんどの、使用可能なパッケージ材料の発火温度よりもはるかに低い。
・電圧上昇を適切に防止し、いかなる安全リスクも顕著に低減するように、温度が十分に低下するギャップ長が、50μmから100μmの間のどこかで生じると結論づけることができ、最大温度のステップ降下を考慮すると、これは、約80μmのギャップ長で生じると結論づけることが公平である。
・上述のギャップ長は、シミュレーションで使用されるアンテナ設計に最適である。
しかしながら、他のアンテナ設計の場合、最適なギャップ長は多少異なることがあり、例えば、20μmなど、50μm未満であり得る。
【0090】
さらに安全性を向上させるために、誘電体基板は、不燃性材料であってよい。少なくともRFIDタグに隣接する部分で、エンクロージャ/パッケージを不燃性材料で作ることも実現可能である。
【0091】
当業者は、本発明が上述の実施形態に限定されないことを理解する。例えば、一般的なアンテナ設計は、当技術分野でそれ自体が周知であるように、多くの方法で変更されてよい。アンテナは、さらに、異なる動作周波数に適合されてよい。狭いギャップは、上述のように、ICギャップ内に、または別個のバイパス経路/接続部内に配置されてよく、その場合、バイパス経路/接続部は、多数の異なる方法で提供されてよい。
【0092】
そのようなおよび他の明らかな修正は、添付の「特許請求の範囲」によって定義されるように、本発明の範囲内にあると見なされなければならない。上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の「特許請求の範囲」から逸脱することなく、多くの代替実施形態を設計することができることに、留意されたい。請求項において、括弧の間に付された参照記号は、請求項を限定するものと解釈されるべきでない。「備える(comprising)」という語は、請求項に列挙されたもの以外の他の要素またはステップの存在を排除するものではない。要素に先行する「a」または「an」という語は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】