(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】縦型電界効果トランジスタおよびその形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20221215BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221215BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 301B
H01L29/78 301P
H01L29/78 301X
H01L29/78 301V
H01L29/78 653C
H01L29/78 658A
H01L29/78 652T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523325
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2020076293
(87)【国際公開番号】W WO2021078451
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019216138.3
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】バリングハウス,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クレープス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ショルテン,ディック
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AC23
5F140BA02
5F140BA06
5F140BB04
5F140BC15
5F140BF42
5F140BF43
5F140BH05
5F140BH13
5F140BH30
5F140BH47
(57)【要約】
第1の導電型を有するドリフト領域(212)と、ドリフト領域(212)上またはドリフト領域(212)の上方にある半導体フィン(302)と、ドリフト領域(212)上またはドリフト領域(212)の上方にあるソース/ドレイン電極(202)と、ドリフト領域(212)内で、半導体フィン(302)の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造(214)とを備える縦型電界効果トランジスタ(200)であって、遮蔽構造(214)が、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、半導体フィン(302)が、ソース/ドレイン電極(202)と導電接続されている、縦型電界効果トランジスタ(200)が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有するドリフト領域(212)と、
前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方にある半導体フィン(302)と、
前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方にあるソース/ドレイン電極(202)と、
前記ドリフト領域(212)内で、前記半導体フィン(302)の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造(214)とを備える縦型電界効果トランジスタ(200)であって、前記遮蔽構造(214)が、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、前記半導体フィン(302)が、前記ソース/ドレイン電極(202)と導電接続されている、
縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項2】
前記ソース/ドレイン電極(202)が、前記半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って形成され、前記遮蔽構造(214)と導電接続されている、請求項1に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項3】
前記半導体フィン(302)の前記少なくとも1つの側壁に隣り合って形成されたゲート電極(210)をさらに備える、請求項1または2に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項4】
前記ドリフト領域(212)がn型であり、前記遮蔽構造(214)が少なくとも1つのp型区域を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項5】
前記遮蔽構造(214)が、前記ドリフト領域(212)に配置された区域を有し、前記区域が、横方向で前記半導体フィン(302)の方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項6】
前記遮蔽構造(214)が、前記ドリフト領域(212)によって完全に囲まれている、請求項1から5のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項7】
前記遮蔽構造(214)が、前記ドリフト領域(212)のない少なくとも1つの領域を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項8】
前記遮蔽構造(214)が、直接隣接する少なくとも1つの第1の遮蔽構造(214)と第2の遮蔽構造(214)とを有し、さらに、少なくとも1つの第2の半導体フィン(302)が、前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方で前記半導体フィン(302)に横方向で隣り合って形成され、前記半導体フィン(302)および前記少なくとも1つの第2の半導体フィン(302)が、横方向で前記第1の遮蔽構造(214)と前記第2の遮蔽構造(214)との間に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項9】
前記遮蔽構造(214)が、少なくとも1つの第1の遮蔽構造(214)および第2の遮蔽構造(214)を有し、前記第1の遮蔽構造(214)が、前記半導体フィン(302)に対して垂直方向で前記ドリフト領域(212)内にさらに延びる、または垂直方向で前記第2の遮蔽構造(214)よりも前記半導体フィン(302)からさらに離れている、請求項1から7のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項10】
前記第1の導電型を有し、前記遮蔽構造(214)に横方向で隣り合って形成されている少なくとも1つの追加の区域(312)をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項11】
第1の導電型を有するドリフト領域(212)と、
前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方にある第1の半導体フィン(302)、および前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方にある、前記第1の半導体フィン(302)に横方向で隣り合って配置された第2の半導体フィン(302)であって、
前記第1の半導体フィン(302)の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域(212)上またはドリフト領域(212)の上方にソース/ドレイン電極(202)が形成された、第1の半導体フィン(302)および第2の半導体フィン(302)と、
前記第1の半導体フィン(302)の前記少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って形成された遮蔽構造(214)とを備える縦型電界効果トランジスタ(200)であって、前記遮蔽構造(214)が、前記第2の半導体フィン(302)に配置され、前記遮蔽構造(214)が、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、前記半導体フィン(302)が、前記ソース/ドレイン電極(202)と導電接続されている、
縦型電界効果トランジスタ(200)。
【請求項12】
縦型電界効果トランジスタ(200)を形成するための方法(400)であって、
第1の導電型を有するドリフト領域を形成するステップ(410)と、
前記ドリフト領域上または前記ドリフト領域の上方に半導体フィン(302)を形成するステップ(420)であって、前記半導体フィン(302)の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、前記ドリフト領域(212)上または前記ドリフト領域(212)の上方にソース/ドレイン電極(202)が形成される、ステップ(420)と、
前記ドリフト領域(212)内の前記半導体フィン(302)の前記少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造(214)を形成するステップ(430)とを有し、前記遮蔽構造(214)が、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、前記半導体フィン(302)が前記ソース/ドレイン電極(202)と導電接続される、
方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型電界効果トランジスタおよびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトランジスタ(例えばMOSFETまたはMISFET)では、能動スイッチング素子が、反転チャネルによって、例えばnpn接合のp型区域によって提供され、そこではゲート電圧を印加することによって電子経路が形成される。パワーエレクトロニクスにおけるバンドギャップが大きい半導体(例えば炭化ケイ素(SiC)または窒化ガリウム(GaN))の用途では、いわゆるパワーFinFET(Fin=フィン、FET=電界効果トランジスタ)の使用が有利になり得る。従来のパワーFinFET100の構造が
図1に示されている。さらに、この構造の600Vのドレイン電圧でのドーピングプロファイル120および電界140が
図1に示されており、横方向および縦方向の寸法は150μmまたは160μmである。従来のパワーFinFET100は、n型ドーピング114を有するドリフト領域110、ドレイン電極112、ソース電極102、ゲート電極108、半導体フィン104、および絶縁体106を備える。半導体フィン104は、n+型ドーピング116によってソース電極102に接続されている。パワーFinFET100では、スイッチング素子は細い半導体フィン104からなり、半導体フィン104は、その幾何形状およびゲート金属化108の適切な選択によってスイッチング可能である。パワーFinFET100のチャネル抵抗は、SiCまたはGaNベースの従来のMOSFETまたはMISFETのチャネル抵抗よりも大幅に低い。これにより結果として、構成部品全体のオン抵抗がより低くなる。従来のパワーFinFET100は、特に逆方向動作で生じるような電界に対するチャネル区域の遮蔽を備えていない。したがって、達成可能な降伏電圧は制限されており、特にプロセス変動(例えばエッチング深さ)に大きく依存する。
図1の右図では、従来のFinFET100について600Vのドレイン電圧が印加されたときの、逆方向動作での電界140のシミュレーションが示されている。最高の電界ストレス142は、ゲート電極108の下の絶縁体106で見いすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、より高い耐圧および信頼性を備えた縦型電界効果トランジスタを提供する、縦型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、本発明の一態様によれば、縦型電界効果トランジスタによって解決される。この縦型電界効果トランジスタは、第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方にある半導体フィンであって、半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方にソース/ドレイン電極が形成された、半導体フィンと、ドリフト領域内で、半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造とを備え、遮蔽構造が、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。半導体フィンは、ソース/ドレイン電極と導電接続されている。
【0005】
ドリフト領域内の遮蔽構造は、電界分布を変化させる。電界は、縦型電界効果トランジスタのpn接合部で増加され、したがってゲート金属の下の絶縁体では減少する。遮蔽構造により、特に逆方向動作で絶縁体において電界を低減させ、ドリフト領域内にシフトすることができる。これにより、到達される最大電界ピークを低減することができる。その結果、より高い耐圧および信頼性を備えた電界効果トランジスタを提供することができる。
【0006】
上記課題は、本発明のさらなる一態様によれば、縦型電界効果トランジスタによって解決される。この縦型電界効果トランジスタは、第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方にある第1の半導体フィン、およびドリフト領域上またはドリフト領域の上方にある、第1の半導体フィンに横方向で隣り合って配置された第2の半導体フィンであって、第1の半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方にソース/ドレイン電極が形成された、第1の半導体フィンおよび第2の半導体フィンと、第1の半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って形成された遮蔽構造とを備え、遮蔽構造が、第2の半導体フィンに配置され、遮蔽構造が、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、半導体フィンが、ソース/ドレイン電極と導電接続されている。
【0007】
本発明のさらなる一態様によれば、上記課題は、縦型電界効果トランジスタを形成するための方法によって解決される。この方法は、第1の導電型を有するドリフト領域を形成するステップと、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方に半導体フィンを形成するステップであって、半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方にソース/ドレイン電極が形成される、ステップと、ドリフト領域内の半導体フィンの少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造を形成するステップとを有し、遮蔽構造が、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、半導体フィンがソース/ドレイン電極と導電接続される。
【0008】
これらの態様の発展形態は、従属請求項および本明細書に記載される。本発明の実施形態を図面に示し、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】関連技術のトランジスタ構造の断面図である。
【
図2A】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図2B】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3A】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3B】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3C】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3D】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3E】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3F】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3G】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3H】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3I】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3J】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図3K】一実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【
図4】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを形成するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では添付図面を参照する。添付図面は本明細書の一部を成し、添付図面には、本発明を実施することができる特定の例示的実施形態が例示の目的で示されている。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の例示的実施形態を利用することもでき、構造的または論理的な変更を行うこともできることを理解されたい。本明細書で述べる様々な例示的実施形態の特徴は、特に別段の指示がない限り、互いに組み合わせることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。図中、同一または同様の要素には適宜、同一の参照記号が付される。
【0011】
図2A、
図2Bおよび
図3A~
図3Kは、様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタ200の図を示す。
図2Aは、ドリフト領域212内の1つまたは各半導体フィン302の側壁に横方向で隣り合ってp型ドープ遮蔽構造214が形成されている一実施形態を示す。
【0012】
様々な実施形態において、縦型電界効果トランジスタ200は、半導体基板216上のドリフト領域212と、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方にある半導体フィン302(その長手方向は紙面の平面に垂直に延びている)と、遮蔽構造214と、第1のソース/ドレイン電極(例えばソース電極202)と、第2のソース/ドレイン電極(例えばドレイン電極218)とを備える。以下では、例として、第1のソース/ドレイン電極202がソース電極であり、第2のソース/ドレイン電極218がドレイン電極であると仮定する。縦型電界効果トランジスタ200は、半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に隣り合ってゲート電極210をさらに備え、ゲート電極210は、絶縁体206によってソース電極202から電気的に絶縁されている。ゲート電極210と半導体フィン302との間にゲート誘電体208が配置されている。高濃度にドープされた接続区域204が、半導体フィン302をソース電極202に導電接続することができる。ソース電極202は、さらに、半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方に形成されていてもよい。遮蔽構造214は、ドリフト領域212内の半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置されている。遮蔽構造214は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。
【0013】
半導体基板216は、例えばGaN基板216またはSiC基板216でもよい。半導体基板216上に、弱いn型の半導体ドリフト領域212(ドリフトゾーン212とも呼ぶ)、例えばGaNまたはSiCドリフト領域212を形成(例えば堆積)していてもよい。ドリフト領域212の上に、半導体フィン302の形態で、例えばGaNまたはSiCフィン302の形態でのn型半導体区域を形成していてもよい。半導体フィン302上またはフィン302の上部領域に、それによってソース電極202が接触されているn+型接続区域204を形成していてもよい。ソース電極202は、遮蔽構造214にも半導体フィン302にも接触できる。ドレイン電極218は、基板216の背面に設けることができる。
【0014】
ドリフト領域212に、例えば高濃度にドープされたp-GaNまたはp-SiC区域の形態で遮蔽構造214を導入することによって、半導体フィン302の底部(半導体フィン302とドリフト領域212との間の領域)を遮蔽することを可能とする。動作中、遮蔽構造214の区域とドリフト領域212との間に空間電荷ゾーンを形成することができる。したがって、電流が流れることができる領域を減少させることができ、それにより抵抗を高めることができる。遮蔽構造214の導入により、
図2Bに示されるように、遮蔽構造のない形態(
図1)と比較して、電界効果トランジスタ200の全抵抗が高められる。
図2Bは、この構造200の600Vのドレイン電圧でのドーピングプロファイル242および電界244を示しており、横方向および縦方向の寸法は250μmまたは260μmである。
図2Bでの右
図244に、600Vのドレイン電圧を印加したときの逆方向動作での電界140のシミュレーションが示されている。ゲート電極210の下の電界ストレスは、遮蔽構造214によって低減される。逆方向動作時にドレイン電極218に印加する電位は、遮蔽構造214がない場合(
図1を参照)のように半導体フィン302の底部付近ではなく、遮蔽構造214の真下で最大値を有する電界を生じる。これは、例えば、電界効果トランジスタ200の早期の電気的破壊を妨げる、またはドレイン電極218に印加された電圧がゲート電極210に進入するのを妨げる。半導体フィン302は、ゲート電極210に隣接する領域で空乏化される。ゲート電圧を印加しない場合、半導体フィン302の下の電子ガスがドリフト領域で枯渇している可能性があり、そのため電界効果トランジスタ200は自己遮断状態になり得る。ゲート電極210に正の電圧を印加することによって、ゲート電極210に隣接する半導体フィン302の領域に電子を蓄積することができる。電子は、ソース電極202から半導体フィン302を通って半導体フィン302の底部に流れ、そこからドリフト領域212に、さらにドリフト領域212および基板216を通ってドレイン電極218に達し得る。
【0015】
図3A~
図3Kには、
図2に示される縦型電界効果トランジスタ200のさらなる実施形態が示されており、ここでは、ドリフト領域212の上のさらなる層または構造は示されていない。
【0016】
遮蔽構造212の横方向および垂直方向広がり、ならびにそのドーピングレベルは、用途に応じて、半導体フィン302の底部の下にある空間電荷ゾーンの遮蔽の程度に依存する。ここでは、ゲート電極210は、従来のFin-FET(
図1)とは異なり、完全に2つの半導体フィン302の間に形成されているのではなく、例えばそれぞれ半導体フィン302の各側壁にのみ形成されている必要がある。これにより、ゲート電極210とドレイン電極218との間の静電容量の低減が可能である。代替として、p型ドープ遮蔽構造は、1つおき、2つおきなどの半導体フィン302の後に形成されていてもよい。
図3Aには、遮蔽構造214が、1つおきの半導体フィン302の後、すなわち2つごとの半導体フィン302の後に形成されている一実施形態が示されている。
図3Bには、それぞれ4つの半導体フィン302の間に遮蔽構造214を有する一実施形態が示されている。
【0017】
様々な実施形態において、遮蔽構造214は、半導体フィン302の各側に形成されている。この場合、遮蔽構造214は2つの半導体フィン302の間に(
図3D)、および/または複数の半導体フィンを2つの隣接する遮蔽構造214の間に形成されていてもよい(
図3B)。
【0018】
遮蔽構造214は、ドリフト領域212によって完全に囲まれていてもよい(例えば
図3Cを参照)。代替として(例えば
図3Bを参照)または追加として(例えば
図3Eを参照)、遮蔽構造214は、ドリフト領域212がない少なくとも1つの領域を有することができる。言い換えると、様々な実施形態において、埋設された遮蔽構造214、および/またはドリフト領域212の表面に配置された遮蔽構造214が企図されてもよい。埋設された遮蔽構造214の位置は、半導体フィン302間のトレンチに限定されない。代替としてまたは追加として、埋設された遮蔽構造214は、垂直方向で半導体フィン302の底部の下に配置されていてもよい(例えば
図3F参照)。様々な実施形態において、遮蔽効果をさらに高めるために、追加の遮蔽構造を形成していてもよい。例えば、半導体フィン302の底部からの遮蔽構造の垂直方向距離、および/または遮蔽構造の横方向広がりは、異なる実施形態ごとに異なることがある(例えば
図3A~
図3Fを参照)。言い換えると、様々な実施形態において、遮蔽構造214は、少なくとも1つの第1の遮蔽構造214および第2の遮蔽構造214を有する。第1の遮蔽構造214は、半導体フィン302に対して垂直方向にドリフト領域212内にさらに延びていてもよく、または垂直方向で第2の遮蔽構造214よりも半導体フィン302からさらに離れていてもよい。これにより、用途に応じた、電界に対する半導体フィン302の底部の遮蔽が可能になる。
【0019】
様々な実施形態において、遮蔽構造214は、縦型電界効果トランジスタとして機能しない隣接する半導体フィン302に形成されていてもよい(例えば
図3G~
図3Iを参照)。言い換えると、様々な実施形態において、縦型電界効果トランジスタ200は、第1の導電型を有するドリフト領域212と、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方にある第1の半導体フィン302と、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方にある、第1の半導体フィン302に横方向で隣り合って配置された第2の半導体フィン302とを備える。第1の半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方にソース/ドレイン電極202が形成されている。遮蔽構造214は、第1の半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って形成され、遮蔽構造214は、第2の半導体フィン302に配置されている。遮蔽構造214は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。半導体フィン302は、ソース/ドレイン電極202に導電接続されている。明らかに、追加の半導体フィン302が設けられていてもよく、この追加の半導体フィン302は、上記半導体フィン302に対して平面内でずらされ、遮蔽構造214が追加の半導体フィン302内に配置されている。
【0020】
図3Gには、例えばp型ドープ領域の形態での遮蔽構造214が2つおきの半導体フィン302に形成されている縦型電界効果トランジスタの一実施形態が示されている。代替として、遮蔽構造214は、1つおき、3つおきなどの半導体フィン302に形成していてもよい。遮蔽構造214を有する1つの半導体フィン302間の距離Aと、遮蔽構造214を有さない2つの半導体フィン302間の距離Bは、用途に応じて、例えば同一になるようにまたは異なるように選択することができる。例えば、距離Aが距離Bよりも大きく選択されることも、または距離Bが距離Aよりも大きく選択されることもある。
図3Gの紙面の平面における、および/または半導体フィン302の底部の方向での半導体フィン302内の遮蔽構造214の空間的広がりは、様々な実施形態において、用途に応じて選択することができる。遮蔽構造214は、任意選択で、半導体フィン302全体に形成されていてもよい。代替としておよび/または追加として、遮蔽構造214は、半導体フィン302の底部を越えてドリフト領域212内に延びることができる(例えば
図3Hにおける右側の遮蔽構造214を参照)。様々な実施形態において、半導体フィン302の底部の効果的な遮蔽は、半導体フィン302の底部の方向にまたは底部の下まで遮蔽構造214が延びることによって実現される。遮蔽構造は、半導体フィン302の全幅(紙面の平面内)にわたって形成されていてもよい。言い換えると、遮蔽構造214は、半導体フィン302の全幅を占める、または埋め尽くすことができる。代替としてまたは追加として(例えば半導体フィン302の他の領域で)、遮蔽構造214は、半導体フィン302の幅よりも小さい横方向広がりを有することができる。遮蔽構造214は、横方向でソース/ドレイン電極202と同じ広がりを有するように設計されていてもよく、または代替として、横方向でソース/ドレイン電極202の広がりよりも小さい広がりを有するように設計されていてもよい(例えば
図3Hを参照)。遮蔽構造214の横方向広がりの変化は、遮蔽に関して(横方向広がりが大きくなるにつれてより良くすることができる)または順方向抵抗に関して(横方向広がりが小さくなるにつれてより小さくなる)、構成部品を最適化する可能性を提供する。
【0021】
様々な実施形態において遮蔽構造214を含むトレンチ構造(2つの隣接する半導体フィン302間の領域)は、個々の半導体フィン302間のトレンチよりも大きい横方向広がりを有することができる。さらなる一実施形態では、遮蔽構造214はドリフト領域212内に深く埋め込まれていてもよく、例えばドリフト領域212によって完全に囲まれ、半導体フィン302の底部から離されていてもよい。埋設された遮蔽構造214は、縦型電界効果トランジスタの他の位置でソース/ドレイン電極202に電気的に接続されていてもよい。縦型電界効果トランジスタの接続は、例えばスーパーセル構造(図示せず)で構成される。
【0022】
様々な実施形態において、遮蔽構造214は、横方向で半導体フィン302の方向に延びる、ドリフト領域212に配置された区域を有する。様々な実施形態において、遮蔽構造214は、半導体フィン302の底部と近接する、例えば接することができる(図示せず)。
【0023】
遮蔽構造214は、半導体フィン302およびドリフト領域212と導電接続されていてもよい。様々な実施形態において、遮蔽構造214は、ソース/ドレイン電極202と導電接続されている(例えば
図3Bを参照)。代替としてまたは追加として、ソース/ドレイン電極202と(直接)導電接続されていない遮蔽構造を設けていてもよい(例えば
図3Aを参照)。この場合、遮蔽構造214は浮遊電位(フローティング電位)にある。この場合、遮蔽構造214の遮蔽効果は維持されたままである。しかし、浮遊型の遮蔽構造を備える構造は、ボディダイオードとして逆電流動作のために使用できなくなる。様々な実施形態において、上に示したすべての遮蔽構造214は、この浮遊形態で構成されていてもよい。
【0024】
複数の半導体フィン302を備える様々な実施形態では、半導体フィンは異なる幅を有することができる。例として、埋設された遮蔽構造214を有する(第2の)半導体フィンは、遮蔽構造を有さない(第1の)半導体フィンよりも広く形成され得る。
【0025】
様々な実施形態において、第2の導電型の埋設された遮蔽構造214は、第1の導電型の追加の区域312と組み合わせることができる(例えば
図3Kを参照)。それにより、遮蔽構造の埋設されたp型区域間の空乏化、したがってドリフト領域212での電流の広がりを調整することができる。それに対応して、この領域内の電流密度を制御または調整することが可能である。他のすべての実施形態においても第2の区域312を設けていてもよい。
【0026】
様々な実施形態において、半導体フィンは、例えばすべての空間方向で空間的に制限されて、柱状に形成されていてもよい。言い換えると、半導体フィンは、様々な実施形態において半導体ピラーであってもよい。半導体ピラーは、正方形、長方形、円形、または六角形のピラー断面を有することができる。
【0027】
様々な実施形態において、半導体フィンは、例えば円錐形または角錐形などの非矩形の側壁を有するように形成されていてもよい。同様にこれらの構造変形形態にも、上に示した遮蔽構造を適用可能である。埋設された遮蔽構造は、半導体フィンに対して平行にも、垂直にも、任意の角度でも相対的に横方向に形成されていてもよい。
【0028】
図4は、様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを形成するための方法の流れ図を示す。様々な実施形態において、縦型電界効果トランジスタ200を形成するための方法400は、第1の導電型を有するドリフト領域を形成するステップ410と、ドリフト領域上またはドリフト領域の上方に半導体フィン302を形成するステップ420であって、半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って、ドリフト領域212上またはドリフト領域212の上方にソース/ドレイン電極が形成される、ステップ420と、ドリフト領域212内の半導体フィン302の少なくとも1つの側壁に横方向で隣り合って配置された遮蔽構造214を形成するステップ430とを有し、遮蔽構造214が、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、遮蔽構造214が、半導体フィン302およびドリフト領域212と導電接続されている。
【0029】
遮蔽構造214は、例えばイオン注入によって形成されてもよく、例えば、SiC半導体フィンもしくはSiCドリフト領域の場合にはアルミニウムイオン注入によって、またはGaN半導体フィンもしくはGaNドリフト領域の場合にはMgイオンを用いて形成されてもよい。高エネルギーイオン注入なしにドリフト領域内に深く埋め込まれた遮蔽構造を提供するために、追加のトレンチ310を設けることができ、このトレンチ310の底部で注入が行われる(例えば
図3Jを参照)。
【0030】
様々な実施形態において、遮蔽構造は、いわゆるTotインプランテーション(Tot-implantation)によって形成されてもよい。この際、遮蔽構造は、SiCまたはGaNドリフト領域にドーピングを引き起こさないイオン種、例えばアルゴンイオンの注入によって形成される。これらの遮蔽構造は、導電性ではなくなる。したがって、それらの遮蔽効果は維持されたままであるが、ボディダイオードとして逆電流動作のために使用することはできなくなる。ソース電極へのそのような非導電性遮蔽構造の接続は任意選択である。
【0031】
上述し、図面に示した実施形態は、例としてのみ選択されている。異なる実施形態は、完全に、または個々の特徴に関して、互いに組み合わせることができる。一実施形態を、さらなる一実施形態の特徴によって補完することもできる。さらに、上記の方法ステップを繰り返すこともでき、上記の順序とは異なる順序で実施することもできる。特に、本発明は上述した方法に限定されない。
【国際調査報告】