(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】神経再生複方製剤、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20221215BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221215BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221215BHJP
A61K 36/076 20060101ALI20221215BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221215BHJP
A61K 36/80 20060101ALI20221215BHJP
A61K 36/725 20060101ALI20221215BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20221215BHJP
A61K 36/286 20060101ALI20221215BHJP
A61K 35/583 20150101ALI20221215BHJP
A61K 36/815 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K36/185
A61P43/00 121
A61P25/00
A61K36/076
A61K9/16
A61K36/80
A61K36/725
A61K36/232
A61K36/286
A61K35/583
A61K36/815
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523397
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 CN2021070266
(87)【国際公開番号】W WO2022016827
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010697245.X
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511128206
【氏名又は名称】南通大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】顧 暁松
(72)【発明者】
【氏名】湯 淳康
(72)【発明者】
【氏名】丁 斐
(72)【発明者】
【氏名】楊 暁明
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲チョン▼
(72)【発明者】
【氏名】孫 華林
(72)【発明者】
【氏名】徐 来
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076FF39
4C076GG05
4C076GG12
4C076GG41
4C076GG43
4C087AA01
4C087AA02
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4C087CA03
4C087MA02
4C087MA16
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4C087MA52
4C087NA05
4C087ZA01
4C087ZC75
4C088AA02
4C088AB12
4C088AB26
4C088AB37
4C088AB40
4C088AB48
4C088BA06
4C088MA07
4C088MA16
4C088MA35
4C088MA41
4C088MA52
4C088NA05
4C088ZA01
4C088ZC75
(57)【要約】
神経再生複方製剤、その製造方法及び使用を提供し、前記神経再生複方製剤において、各原料生薬が、ショウオウギ10~20重量部、ジュクジオウ10~20重量部、カイゴシツ10~20重量部、タイソウ6~15重量部、クコシ6~15重量部、ソウサンソウニン6~15重量部、トウキ6~12重量部、コウカ3~9重量部、ブクリョウ6~15重量部、ソウビャクジュツ6~15重量部、及びウショウダ10~20重量部である。前記複方製剤は、神経損傷疾患を治療する医薬品の製造用として有用であり、経口液、顆粒剤、沖剤、錠剤にすることができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経再生複方製であって、各原料生薬が、ショウオウギ10~20重量部、ジュクジオウ10~20重量部、カイゴシツ10~20重量部、タイソウ6~15重量部、クコシ6~15重量部、ソウサンソウニン6~15重量部、トウキ6~12重量部、コウカ3~9重量部、ブクリョウ6~15重量部、ソウビャクジュツ6~15重量部、及びウショウダ10~20重量部である、ことを特徴とする神経再生複方製。
【請求項2】
各原料生薬が、ショウオウギ15重量部、ジュクジオウ15重量部、カイゴシツ15重量部、タイソウ10重量部、クコシ10重量部、ソウサンソウニン10重量部、トウキ6重量部、コウカ3重量部、ブクリョウ10重量部、ソウビャクジュツ10重量部、及びウショウダ15重量部である、ことを特徴とする請求項1に記載の神経再生複方製剤。
【請求項3】
有効量の前記複方製剤の配合成分と、薬学的に許容可能な補助材料とをさらに含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の神経再生複方製剤。
【請求項4】
経口液、顆粒剤、沖剤及び錠剤の剤形を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の神経再生複方製剤。
【請求項5】
前記複方製剤の剤形が経口液である場合、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、及びウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、100℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
缶に詰めて密閉させ、殺菌して、前記経口液を得るステップ(5)とを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の神経再生複方製剤の製造方法。
【請求項6】
前記複方製剤の剤形が顆粒剤であり、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、ウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、l00℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
乾燥させて造粒し、パッケージして滅菌し、前記顆粒剤を得るステップ(5)とを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の神経再生複方製剤の製造方法。
【請求項7】
神経損傷疾患を治療する医薬品における請求項1~4のいずれか一項に記載の神経再生複方製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漢方薬製剤の技術分野に属し、特に、神経再生複方製剤、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
神経損傷は感覚と運動機能の一部や全部の喪失を招くことがあり、障害率が高く、臨床所見は、筋弛緩、筋無力、皮膚麻痺、人体軟弱、肢体麻痺、深刻な場合は麻痺であり、中医学の弁証法によれば、「痿症」、「痺症」などに属する。現代の交通、労働事故、地震災害、戦争や腫瘍手術による神経損傷などのため、神経損傷の発生率は年々上昇し、患者の生活の質に深刻な影響を与え、また社会や家庭に経済的に大きな負担をかける。百年来、どのように損傷した神経の修復や再生を促進するかはずっと薬学、神経科学及び医学の分野における重大な課題と焦点である。
【0003】
現在、臨床的には、神経損傷に対する医薬品は極めて少なく、中枢神経損傷には神経成長因子が一定の治療効果を有するが、神経成長因子(NGF)は神経膠腫細胞培養液から抽出されたので、NGFの臨床試用は腫瘍を誘発する潜在的なリスクが存在しており、末梢神経損傷の場合、臨床的にはビタミンB6が使用され、メコバラミン(メチコバール)はビタミン誘導体で、一定の治療効果がある。数十年来の臨床実践によると、「1疾患-1医薬品-1ターゲット」のような医薬品を用いた治療手段は、極めて大きな制限があり、臨床の治療効果は不十分である。
【0004】
そのため、安全で有効な神経再生促進漢方薬の検討や開発は患者によって期待され、社会によって求められており、また、人間の神経科学、薬学や医学の革新的な需要でもある。
【0005】
上記の技術的課題をどのように解決するかは、本発明が直面する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、以上の課題に対して、神経再生複方製剤、その製造方法及び使用を提供することであり、この複方製剤は、明らかな神経成長促進、再生神経の髄鞘形成促進、除神経された標的筋の再神経支配促進及び神経損傷後の保護作用を有し、漢方薬による損傷後の神経再生促進に科学的根拠を提供し、この処方剤の臨床応用に堅固な基礎を提供した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の発明目的を達成させるために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。神経再生複方製であって、各原料生薬が、ショウオウギ10~20重量部、ジュクジオウ10~20重量部、カイゴシツ10~20重量部、タイソウ6~15重量部、クコシ6~15重量部、ソウサンソウニン6~15重量部、トウキ6~12重量部、コウカ3~9重量部、ブクリョウ6~15重量部、ソウビャクジュツ6~15重量部、及びウショウダ10~20重量部である。
【0008】
さらに、前記複方製剤において、各原料生薬は、ショウオウギ15重量部、ジュクジオウ15重量部、カイゴシツ15重量部、タイソウ10重量部、クコシ10重量部、ソウサンソウニン10重量部、トウキ6重量部、コウカ3重量部、ブクリョウ10重量部、ソウビャクジュツ10重量部、及びウショウダ15重量部である。
【0009】
さらに、前記複方製剤は、有効量の前記複方製剤の配合成分と、薬学的に許容可能な補助材料とをさらに含む。
【0010】
さらに、前記神経再生複方製剤の剤形は、経口液、顆粒剤、沖剤、及び錠剤を含む。
【0011】
上記の発明目的をよりよく達成させるために、本発明はまた、神経再生複方製剤の製造方法を提供し、前記複方製剤の剤形が経口液である場合、この製造方法は、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、及びウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、100℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
缶に詰めて密閉させ、滅菌して、前記経口液を得るステップ(5)と、を含む。
【0012】
上記の発明目的をよりよく達成させるために、本発明はまた、神経再生複方製剤の製造方法を提供し、複方製剤の剤形が顆粒剤である場合、この製造方法は、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、ウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、100℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
乾燥させて造粒し、パッケージして滅菌し、前記顆粒剤を得るステップ(5)とを含む。
【0013】
さらに、神経損傷疾患を治療する医薬品における前記神経再生複方製剤の使用である。
【0014】
さらに、前記複方製剤では、君薬は、ショウオウギ、ジュクジオウ、カイゴシツ、タイソウ、クコシ、ソウサンソウニンであり、臣薬は、トウキ、コウカであり、佐薬は、ブクリョウ、ソウビャクジュツであり、使薬はウショウダである。
【0015】
さらに、前記複方製剤は、気や血を増やし、臓器の働きをよくし、神経成長を促進し、髄鞘形成を促進し、経絡の流れをよくする働きを有し、神経損傷により気や血が不足し、経絡の流れが悪くなり、筋力が低下し、皮膚のしびれが感じられ、手足が弱いなどの症状に適している。
【0016】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明で提供される神経再生複方製剤は、毒性が低く、安全であるという利点があり、また、「複数の有効な成分を使用して、複数のレベルで、マルチターゲットに対してバランスよく全体的に機能を果たす」という特有の利点もあり、このため、従来の経験による処方剤を基に、現代の神経再生理論を組み合わせて、革新的な漢方薬の処方を作成した。
(2)本医薬品の効果の進歩性としては、神経損傷の主な病理学機構に対して、気や血の不足の状態を解消し、肝や腎臓などの臓器の働きをよくする。「不足すれば、補強する」という中医理論に基づき、処方にはオウギを用いて、元気がなく疲れやすい、虚弱体質などの気虚症状を解消し、気を増やして腎臓を丈夫にし、肝の働きをよくして精神を鎮め、ジュクジオウを用いて陰をよくして血を増やし、精気や髓を補充するタイソウと、肝の働きをよくして視力を改善し、腎臓へ栄養を与えて肺の乾燥状態を取り除くクコシと、精気や髓を補充するゴシツと、ソウサンソウニンなどとを併用することで、気、血、陰、陽を十分にし、臓器の弱い状態を改善し、このため、確実な効果が得られる。
(3)神経が損傷すると、四肢麻痺が生じて、血が流れなくなり、気や血の流れが悪くなり、血や気の詰まりなどに対して、本処方では、トウキ、コウカが使用される。ブクリョウは湿邪を取り除き排尿を促進し、脾の機能を向上させて胃を和らげ、ソウビャクジュツは脾臓を丈夫にして胃の働きをよくし、痰湿を発散させて体質を整え、これに加えて、ウショウダは風邪を追い出して経絡の流れを良くする役割を果たし、本処方剤は、神経損傷後の機能回復に有効である。
(4)本処方剤について、薬理学的な検討を行った結果、明らかな神経成長促進、再生神経の髄鞘形成促進、除神経された標的筋の再神経支配促進及び神経損傷後の保護作用を有し、漢方薬による損傷後の神経再生促進に科学的根拠を提供し、この処方剤の臨床応用に堅固な基礎を提供した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明で提供される神経再生複方製剤は、明らかな神経成長促進、再生神経の髄鞘形成促進、除神経された標的筋の再神経支配促進及び神経損傷後の保護作用を有し、漢方薬による損傷後の神経再生促進に科学的根拠を提供し、この処方剤の臨床応用に堅固な基礎を提供した。
【0018】
本発明は以下の技術的解決手段を採用する。神経再生複方製剤であって、各原料生薬が、ショウオウギ10~20重量部、ジュクジオウ10~20重量部、カイゴシツ10~20重量部、タイソウ6~15重量部、クコシ6~15重量部、ソウサンソウニン6~15重量部、トウキ6~12重量部、コウカ3~9重量部、ブクリョウ6~15重量部、ソウビャクジュツ6~15重量部、及びウショウダ10~20重量部である。
【0019】
具体的には、前記複方製剤において、各原料生薬は、ショウオウギ15重量部、ジュクジオウ15重量部、カイゴシツ15重量部、タイソウ10重量部、クコシ10重量部、ソウサンソウニン10重量部、トウキ6重量部、コウカ3重量部、ブクリョウ10重量部、ソウビャクジュツ10重量部、及びウショウダ15重量部である。
【0020】
具体的には、前記複方製剤は、有効量の前記複方製剤の配合成分と、薬学的に許容可能な補助材料とをさらに含む。
【0021】
具体的には、前記神経再生複方製剤の剤形は、経口液、顆粒剤、沖剤、及び錠剤を含む。
【0022】
本発明の目的をよりよく達成させるために、本発明はまた、神経再生複方製剤の製造方法を提供し、前記複方製剤の剤形が経口液である場合、その製造方法は、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、及びウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、100℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
缶に詰めて密閉し、滅菌して、前記経口液を得るステップ(5)とを含む。
【0023】
本発明の目的をよりよく達成させるために、本発明はまた、神経再生複方製剤の製造方法を提供し、複方製剤の剤形が顆粒剤である場合、その製造方法は、
前記原料の重量部の割合で、ショウオウギ15部、タイソウ10部、ジュクジオウ15部、クコシ10部、カイゴシツ15部、ソウサンソウニン10部、トウキ6部、コウカ3部、ブクリョウ10部、ソウビャクジュツ10部、ウショウダ15部を準備し、生薬を水で洗浄して、異物を除去するステップ(1)と、
脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬するステップ(2)と、
水抽出を行い、100℃で20分間煎じるステップ(3)と、
4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップ(4)と、
乾燥させて造粒し、パッケージして滅菌し、前記顆粒剤を得るステップ(5)と、を含む。
【0024】
具体的には、神経損傷疾患を治療する医薬品における前記神経再生複方製剤の使用である。
【0025】
具体的には、前記複方製剤では、君薬は、ショウオウギ、ジュクジオウ、カイゴシツ、タイソウ、クコシ、ソウサンソウニンであり、臣薬は、トウキ、コウカであり、佐薬は、ブクリョウ、ソウビャクジュツであり、使薬はウショウダである。
【0026】
具体的には、前記複方製剤は、気や血を増やし、臓器の働きをよくし、神経成長を促進し、髄鞘形成を促進し、経絡の流れをよくする働きを有し、神経損傷により気や血が不足し、経絡の流れが悪くなり、筋力が低下し、皮膚のしびれが感じられ、手足が弱いなどの症状に適している。
【0027】
実施例1:経口液である神経再生複方製剤
本発明の経口液の製造に際しては、ショウオウギ150部、ジュクジオウ150部、カイゴシツ150部、タイソウ100部、クコシ100部、ソウサンソウニン100部、トウキ60部、コウカ30部、ブクリョウ100部、ソウビャクジュツ100部、及びウショウダ150部を準備した。
その製造方法及びステップは、以下のとおりである。
(1)前記重量部の生薬を水で洗浄し、異物を除去した。
(2)1190体積部とし、脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬した。
(3)水抽出を行い、100℃で20分間煎じた。
(4)4℃、無菌の条件下で煎じ液を12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加した。
(5)缶に詰めて密閉させ、滅菌して、経口液製剤を得た。
【0028】
実施例2:顆粒剤である神経再生複方製剤
本発明の顆粒剤の製造に際しては、ショウオウギ150部、ジュクジオウ150部、カイゴシツ150部、タイソウ100部、クコシ100部、ソウサンソウニン100部、トウキ60部、コウカ30部、ブクリョウ100部、ソウビャクジュツ100部、及びウショウダ150部を準備した。
その製造方法及びステップは以下のとおりである。
(1)生薬を水で洗浄して、異物を除去した。
(2)1190体積部とし、脱イオン水を用いて25℃で120分間浸漬した。
(3)水抽出を行い、100℃で20分間煎じた。
(4)4℃、無菌の条件下で12時間静置し、ろ過して濃縮させ、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加した。
(5)乾燥させて造粒し、パッケージして滅菌し、顆粒剤を得た。
【0029】
実施例3:神経再生複方製剤によるラット坐骨神経再生促進の実験検討
材料と方法:SDラット50匹を無作為に5群に分け、神経再生複方製剤経口液の低、中、高用量群に、それぞれ生薬0.9g/kg、1.8g/kg、3.6g/kgを投与し、メチコバール群には、625μg/kgを投与し、対照群には等体積の二重蒸留水を投与した。
Smith GMらが発表した論文に記載の方法を参照して、ラット坐骨神経損傷モデルを作成し、坐骨神経機能指数(SFI)を測定し、組織学的検査、データ統計学的処理を行った。
結果:坐骨神経機能指数(SFI)については、漢方薬群とメチコバール群は対照群より明らかに優れ、統計学的に分析したところ、P<0.05であり、有意差が認められた。組織学的検査では、本発明の神経再生複方製剤を用いた漢方薬群は再生神経繊維が密で、髄鞘が厚く、明らかに空白対照群より優れ、統計学的に分析したところ、P<0.05であり、有意差が認められた。
結果:本発明の神経再生複方製剤は、損傷後のラットの坐骨神経再生、髄鞘形成、機能回復を促進することが明らかになった。
【0030】
実施例4:ラット虚血性脳損傷に対する神経再生複方製剤の保護効果の検討
材料と方法:SDラット60匹を、神経再生複方製剤経口液の低、中、高用量群、華佗再造丸群(陽性対照)、虚血群(陰性対照)の5群に無作為に分けた。漢方薬の低、中、高用量群にそれぞれ0.9g/kg、1.8g/kg、3.6g/kgで投与し、華佗再造丸群には1.44g/kgを投与し、虚血対照群には等体積の二重蒸留水を投与した。神経機能採点基準(現代薬理試験方法学(下冊))(注:採点基準、11点満点、高得点ほど動物行動障害が深刻)に従って、血清SOD活性及びMDA含有量測定、梗塞体積測定、病理組織観察、超微細構造観察、データ統計学的処理を行った。
結果:(1)漢方薬高用量群と華佗再造丸群において、24h、48h、72hのラットの神経機能スコアは明らかに低下した(P<0.05及び0.01)。
(2)漢方薬中用量、高用量群は、華佗再造丸群や虚血群と比較して、梗塞体積が明らかに低下した(P<0.05及び0.01)。
(3)漢方薬中用量、高用量群及び華佗再造丸群は、虚血群と比較して、SOD活性が明らかに増加し、MDA含有量が明らかに低下した(P<0.05及び0.01)。
その結果、本発明の神経再生複方製剤経口液は、ラットの脳虚血の場合の神経機能回復を改善でき、用量-効果関係を呈し、また、SOD活性とMDAレベルを明らかに高めることができ、良好な神経損傷保護作用を有した。
【0031】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、これに基づいて、ここでの処方及びプロセスの一部に対する変更は、全て本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】