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特表2022-553304リセスによって開口された分析流体の濃度測定のための膜を備えたセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】リセスによって開口された分析流体の濃度測定のための膜を備えたセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/18 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01N27/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523401
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020076282
(87)【国際公開番号】W WO2021078449
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019216129.4
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,レナーテ
(72)【発明者】
【氏名】グルチェック,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ゼーリンガー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB02
2G060AB03
2G060AB05
2G060AB09
2G060AE19
2G060AF07
2G060BA05
2G060BB02
2G060BC05
2G060HB06
2G060HC06
2G060JA01
2G060KA01
(57)【要約】
分析流体を加熱するための、測定膜(8)上に配置された少なくとも1つの分析発熱素子(14)を備え、少なくとも1種類の基準ガスを加熱するための、基準膜(6)上に配置された基準発熱素子(12)を備えた、熱伝導率の原理に基づいて分析流体の濃度を測定するためのセンサ(1)が開示されており、測定膜(8)および基準膜(6)は、互いに隣接して、センサ基板(16)とカバー基板(18)との間に配置されており、測定膜(8)は測定体積(4)内に、および基準膜(6)は基準体積(2)内に配置されており、測定膜(8)および基準膜(6)はそれぞれ少なくとも1つのコーティング(28)を有しており、測定膜(8)は少なくとも1つのリセス(30)によって開口されている。さらにセンサの製造方法が開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析流体を加熱するための、測定膜(8)上に配置された少なくとも1つの分析発熱素子(14)を備え、少なくとも1種類の基準流体を加熱するための、基準膜(6)上に配置された基準発熱素子(12)を備えた、熱伝導率の原理に基づいて前記分析流体の濃度を測定するためのセンサ(1)であって、前記測定膜(8)および前記基準膜(6)が、互いに隣接して、センサ基板(16)とカバー基板(18)との間に配置されており、前記測定膜(8)が測定体積(4)内に、および前記基準膜(6)が基準体積(2)内に配置されている、センサ(1)であって、前記測定膜(8)および前記基準膜(6)がそれぞれ少なくとも1つのコーティング(28)を有しており、前記測定膜(8)内に少なくとも1つのリセス(30)が配置されていることを特徴とする、センサ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの分析発熱素子(14)および前記少なくとも1つの基準発熱素子(12)が、前記基準発熱素子(12)の電気抵抗に対する、前記分析流体によって引き起こされた前記分析発熱素子(14)の抵抗変化を測定するための、センサ外またはセンサ内の評価電子機器(44)と接続可能である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記コーティング(28)が、片側または両側のコーティングとして形成されている、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記(2)基準体積が表側および/もしくは裏側で開口されており、または前記基準体積(2)が閉鎖的な体積として作製されており、前記基準膜(6)が閉鎖的なまたはリセス(30)を有する膜として成形されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記測定体積(4)が、表側、裏側、および/または横に接続された少なくとも1つの流体路(23、24)を有しており、前記流体路(23、24)が、カバー基板(18)、ベース基板(20)、および/または前記センサ基板(16)内に施されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記コーティング(28)が、少なくとも1種類の窒化物、シリコン、酸化物、プラスチック、および/またはセラミクスを有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記測定体積(4)および前記測定膜(8)ならびに/または前記基準体積(2)および前記基準膜(6)が、長方形、正方形、オーバル形、または円形の断面を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記測定体積(4)と前記基準体積(2)が同じ大きさにまたは異なる大きさに寸法決定されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサ(1)が、少なくとも2つの分析発熱素子(14、R1、R4)および少なくとも2つの基準発熱素子(12、R2、R3)を有しており、前記分析発熱素子(14)および前記基準発熱素子(12)が、発熱素子および/または抵抗変化のための測定素子として使用可能である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項10】
前記閉鎖的な基準膜(6)が、前記カバー基板(18)内に施された第1の基準体積(2)を、前記センサ基板(16)内に施された第2の基準体積(3)から分離させており、前記第1の基準体積(2)と前記第2の基準体積(3)が同じ流体でまたは異なる流体で満たされている、請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のセンサ(1)の製造方法であって、
- ウエハ状のセンサ層(34)が提供され、
- 前記センサ層(34)上に膜層(36)が堆積され、
- 分析発熱素子(14)および基準発熱素子(12)が、導電性構造(10)の形態で前記膜層(36)上に施され、
- 少なくとも1つのコーティング(28)が、前記導電性構造(10)の保護として堆積され、
- 材料除去により、前記膜層(36)内にリセス(30)が施され、
- 前記膜層(36)上にまたは前記膜層(36)の前記コーティング(32)上に、閉鎖的なまたは開口部(22、23)を有するカバー層(38)が配置され、
- 基準体積(2)および測定体積(4)を形成するため、前記センサ層(34)の材料除去により、前記膜層(36)が露出され、
- 前記センサ層(34)上に、閉鎖的なまたは少なくとも部分的に開口されたベース層(40)が配置され、
- 分離工程が、多数のセンサ(1)を形成しながら実施される、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析流体を加熱するための、測定膜上に配置された少なくとも1つの分析発熱素子を備え、少なくとも1種類の基準ガスを加熱するための、基準膜上に配置された基準発熱素子を備えた、熱伝導率の原理に基づいて分析流体の濃度を測定するためのセンサに関する。本発明はさらにこのようなセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗を用いた測定原理に基づいて働くガスセンサの場合、測定すべきガスまたはガス混合物が、ガス感受性センサ素子の伝導率に直接的に影響を及ぼす。この抵抗変化が、ガスまたはガス混合物の濃度のための測定量として用いられる。この場合のガス感受性センサ素子は、センサ層または発熱素子であり得る。例えば、白金ヒータの形態での1つまたは複数の発熱素子が、膜上に配置され得る。この場合、発熱素子およびまたはセンサ素子の加熱は、周囲のガスまたはガス混合物の熱伝導率に依存する。この発熱素子は、一定の電流または一定の出力で動作させることができ、かつ周囲温度より熱いことが可能である。
【0003】
例えば水素濃度の測定には、空気の熱伝導率260μW/cmKより良い1810μW/cmKの水素の熱伝導率が活用され得る。発熱素子の周囲に水素が存在する場合、水素のより高い熱伝導率、およびそれに伴う大きな熱放散に基づいて発熱素子の温度が下がり、それにより発熱素子の抵抗が低下する。この抵抗変化、または発熱素子を一定の温度に保つために調達しなければならない追加的な熱出力は、水素の濃度に比例している。熱伝導率は周囲温度に依存するので、例えばさらなる温度センサを使って周囲温度が測定され得る。
【0004】
しかしながらこのようなセンサの使用は、分析ガスの比較的高い圧力、例えば500mbarを超える正圧の場合に、測定膜が変形および破損し得るので問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる課題は、空気中の湿度が高い場合および高圧の場合に確実に動作可能なセンサを提案することに見いだされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項のそれぞれの対象によって解決される。本発明の有利な形態は、それぞれの従属請求項の対象である。
【0007】
本発明の一態様により、熱伝導率の原理に基づいて分析流体の濃度を測定するためのセンサが提供される。このセンサは、分析流体を加熱するための、測定膜上に配置された少なくとも1つの分析発熱素子と、少なくとも1種類の基準ガスを加熱するための、基準膜上に配置された少なくとも1つの基準発熱素子とを有する。
【0008】
測定膜および基準膜は、互いに隣接して、センサ基板とカバー基板の間に配置されており、測定膜は測定体積内に、および基準膜は基準体積内に配置されている。
【0009】
測定膜および基準膜はそれぞれ少なくとも1つのコーティングを有しており、測定膜は少なくとも1つのリセス(aussparungen:窪み)によって開口されている。コーティングが膜を少なくとも部分的に被覆し、それにより保護し得ることが好ましい。コーティングは、とりわけ、例えば膜上に配置された発熱素子および/または測定素子のような送電線を覆い隠すことができ、それにより導電性蒸着部を腐食、酸化、および老朽化プロセスから保護し得る。
【0010】
センサは、例えば、3つの互いに積み重なった、かつガラスフリットまたはその代わりに陽極接合または選択的に接着によって結合されたウエハ状の層から成ることができる。ウエハ状の層は、カバー基板、センサ基板、およびベース基板を含み得る。それだけでなくセンサがさらなる層を有してもよく、この場合にはカバー基板またはウエハ状のカバー層は任意である。センサ内では、基準空洞または基準体積および測定空洞または測定体積が形成されている。センサを製造する際には、このようなセンサ区間が数多く製造され、分離ステップによって多数のセンサに小分けされ得る。
【0011】
測定膜が測定体積内に、および基準膜が基準体積内に配置されることが好ましい。各膜には、濃度測定を実施するために発熱素子が組み込まれている。
【0012】
測定体積と基準体積が、互いから分離されており、したがって流体または湿気の交換が阻止されていることが好ましい。これによりセンサが同時に、望ましくない媒体に対するバリアとして機能し得る。このような望ましくない媒体は、例えば燃料電池車両の排ガスからの湿った空気であり得る。
【0013】
例えば分析発熱素子の熱流が、供給された分析流体によって変化すると、分析発熱素子と基準発熱素子との間で差動信号が確定され得る。分析流体は、ガス状または液状の形態で存在し得る。コーティングにより、分析発熱素子および基準発熱素子を分析流体の直接的な接触から保護することができ、これによりセンサの寿命を長くすることができる。
【0014】
測定膜が少なくとも1つのリセスを有しているので、この測定膜は開放的に作製されている。この措置により、測定量に対する感度の上昇または妨害的影響に対する抵抗力の上昇がもたらされ得る。リセスにより、とりわけ、周囲圧力とは異なる圧力が外部から加えられた場合の測定膜の変形の問題が取り除かれ得る。このような周囲圧力は、例えば排ガス管のマフラー内での500mbarであり得る。さらに、開放的に形成された測定膜に基づき、2bar超の比較的高圧の新たな適用分野がセンサに提供され得る。これによりセンサが、燃料電池車両内で、例えば比較的高圧のアノード経路内でも用いられ得る。さらにセンサは、例えば、燃料電池車両の、またはセルスタック内のアノードおよびカソードのすぐ近くでの、湿った排ガスまたは排ガス中のH2を検査するために使用され得る。したがって、開放的でコーティングされた測定膜の使用は、高い圧力安定性と、湿ったまたは腐食性の流体の検査とを可能にする。
【0015】
開口された膜とは、膜内に少なくとも1つの穴、リセス、およびその類似物が配置されており、それにより両方の膜面の間での流体交換が可能であることを意味している。これに相応して、開口された体積の場合には、周囲とのまたは任意のタンクとの流体交換が行われ得る。
【0016】
測定膜の表側および/または裏側で、薄い、例えば窒化物の保護層を用いることにより、高い湿度による膜の損傷を防止でき、または埋め込まれた発熱素子/発熱抵抗体がその上にある層中の湿気を吸蔵することで変化もしくは老朽化することを防止できる。コーティングは、後続の製造プロセス中に、ガラスフリット接合のために除去され得るか、または薄い酸化物層を備えられ得る。濃度測定のための分析発熱素子および基準発熱素子は、発熱素子/センサ素子の複合体として作製され得る。その代わりに、分析発熱素子の隣に分析測定素子が、および基準発熱素子の隣に基準測定素子が設けられてもよい。
【0017】
測定膜および/または基準膜の開口部またはリセスは、例えばウェットエッチング法またはプラズマエッチング法による1つまたは複数の穴によって製造され得る。この場合、分析流体に対する感度の上昇は、分析流体が測定膜の両側を流れることに起因し得る。それだけでなく測定膜内のリセスは、測定膜を周囲圧力から切り離すことに役立つ。センサの形態に応じて、測定体積を基準体積から分離するためにカバー基板が測定体積を閉鎖し得る。
【0018】
1つの例示的実施形態によれば、少なくとも1つの分析発熱素子および少なくとも1つの基準発熱素子は、基準発熱素子の電気抵抗に対する、分析流体によって引き起こされた分析発熱素子の抵抗変化を測定するための、センサ外またはセンサ内の評価電子機器と接続可能である。この措置により、センサ上の導電路および発熱素子の数が最少化され得る。とりわけ、センサ上での導体路交差点が回避または最少化され得る。必要な導体路交差点は、それに必要な平面を通常は内包している評価回路または評価電子機器内で実施され得る。
【0019】
評価電子機器は、複雑な回路技術、例えばASICまたはμコントローラとして作製され得る。これにより、測定チップ上またはセンサ上の導体路を対称的に形作ることが可能であり、それにより製造誤差が減少する。それだけでなく、センサ上の導体路の数の減少により、センサ上での露光マスクおよびプロセスステップが節減され得る。
【0020】
さらなる一実施形態によれば、コーティングが、片側または両側のコーティングとして形成されている。したがってコーティングは測定膜全体を包み込み得る。コーティングは、とりわけ測定膜内に施された少なくとも1つのリセスも囲むことができ、その結果、測定膜が全体的に保護される。これにより、高い湿度による測定膜の損傷を防止でき、または埋め込まれた発熱素子もしくは発熱抵抗体がその上にある層中の湿気を吸蔵することで変化もしくは老朽化することを防止できる。
【0021】
さらなる1つの例示的実施形態によれば、基準体積が表側および/もしくは裏側で開口されており、または基準体積が閉鎖的な体積として作製されている。好ましいのは、基準膜が閉鎖的な膜として、または開放的なもしくは1つもしくは複数のリセスを有する膜として成形されることである。この措置により、基準膜が様々な適用分野に適合され得る。
【0022】
さらなる一実施形態によれば、測定体積が、表側、裏側、および/または横に接続された少なくとも1つの流体路を有しており、この流体路が、カバー基板、ベース基板、および/またはセンサ基板内に施されている。これにより分析流体は、様々な進路で流体路を通って測定体積内に案内され得る。流体路は、とりわけセンサの特に速いまたは費用効率の良い製造が可能にされるよう成形され得る。
【0023】
さらなる1つの例示的実施形態によれば、コーティングが、少なくとも1種類の窒化物、シリコン、酸化物、プラスチック、および/またはセラミクスを有している。測定膜は、例えば酸化物-窒化物-酸化物膜として作製することができ、その代わりにまたはそれに加えて測定膜が酸化物膜として形成されてもよい。この場合、リストアップした物質は単独でまたは組み合わせて用いられ得る。コーティングとしてさらに、薄いシリコン層、酸化物層、窒化物層、または混合層が使用可能である。コーティングのためのさらなる代替的または追加的な材料として、薄いプラスチックフィルムまたはプラスチックコーティングまたはセラミクス材料も可能である。
【0024】
さらなる一実施形態によれば、測定体積および測定膜ならびに/または基準体積および基準膜が、長方形、正方形、または円形の断面を有している。この措置により、測定体積および基準体積が様々な製造方法によって形成され得る。とりわけ、基準体積および測定体積の形状の、センサの外寸への適合が行われ得る。この場合、測定膜は、測定体積の断面に対応した形状を有し得る。基準膜も、基準体積の断面に対応した形状を有し得る。
【0025】
さらなる1つの例示的実施形態によれば、測定体積と基準体積が同じ大きさにまたは異なる大きさに寸法決定されている。基準体積が測定体積とは違うガスまたは圧力で満たされる場合、高い精度のために熱伝導率が適応され得ることが有利である。例えば、基準体積と測定体積が互いに対して、測定体積がH2含有量0%の場合に基準体積と同じ熱伝導率を有するように寸法決定され得る。これにより、ブリッジ電圧差または測定信号は実質的に0Vまたは別の規定されたオフセットであり、よって評価電子機器は、有意なH2含有量の場合に初めて信号を検出する。測定体積および基準体積の寸法は、それぞれの体積の高さによっておよび/または異なる大きさの空洞サイズによって調整され得る。
【0026】
さらなる一実施形態によれば、センサが、少なくとも2つの分析発熱素子および少なくとも2つの基準発熱素子を有しており、この場合、分析発熱素子および基準発熱素子は、発熱素子および/または抵抗変化のための測定素子として使用可能である。基準膜および測定膜上にそれぞれ少なくとも2つの抵抗体が配置され得ることが好ましい。これらの抵抗体は、ホイートストンブリッジ回路の形態で相互に接続されている。この場合、2つの基準発熱素子および2つの分析発熱素子は、同時に測温抵抗体として機能し得る。ブリッジ回路のために、第1および第4の測温抵抗体が測定膜上に、ならびに第2および第3の測温抵抗体が基準膜上に配置され得る。第1と第3の測温抵抗体との間の、または第2と第4の測温抵抗体との間の中間電圧タップオフの領域で、抵抗値の変化の特に敏感な測定が可能である。これらの位置で測定信号が提供され得る。測温抵抗体は、発熱素子としても測定素子としても用いられ得る。発熱素子と測定素子が別々である実施形態も可能である。
【0027】
さらなる1つの例示的実施形態によれば、閉鎖的な基準膜が、カバー基板内に施された第1の基準体積を、センサ基板内に施された第2の基準体積から分離されており、この第1の基準体積と第2の基準体積は同じ流体でまたは異なる流体で満たされている。この措置により、相互に混合不能の異なる流体が、複数の基準体積の形態で、基準膜と結合され得る。これにより、例えば可変フィールド(Variablenfeld)の減少が、例えばカバー側の体積中のH2ガスおよびセンサ基板側またはベース側の体積中のO2ガスによって実現され得る。それだけでなく基準体積が2つより多い体積に分割されてもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様によりセンサの製造方法が提供される。1つのステップでウエハ状のセンサ層が提供される。続いてセンサ層上に膜層が堆積される。ここでは、膜層とセンサ層との間の結合品質を向上させるおよび/または熱伝導を低下させるための、ならびに発熱素子のために機械的に安定した支持構造を提供するための、さらなる中間層が可能である。
【0029】
さらなる1つのステップでは、材料除去により、膜層内にリセスが施される。さらに分析発熱素子および基準発熱素子が、金属コーティングの形態で膜層上に施され、かつ適切な手法によって構造化される。続いて分析発熱素子および基準発熱素子および膜層を保護するための少なくとも1つのコーティングが施される。両側にコーティングが施される場合、膜層を適用する前に、中間ステップにおいてベース側のコーティングが堆積され得る。
【0030】
続いて膜層上にまたは膜層のコーティング上に、閉鎖的なまたは開口部を有するカバー層が配置される。基準体積および測定体積を形成するため、センサ層の材料除去により、膜層が露出される。このステップが裏側またはベース側で実施され得ることが好ましい。
【0031】
さらなる1つのステップでは、センサ層の裏側に、閉鎖的なまたは少なくとも部分的に開口されたベース層が配置される。ベース層は、センサ層との結合ステップの後で開口され得るかまたは部分的に露出され得る。このステップにより、多数の相互に結合したセンサを備えたウエハ構成が形成される。分離工程によって多数の個々のセンサが製造され得る。
【0032】
以下では、非常に簡略化した概略図に基づいて本発明の好ましい例示的実施形態をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】開口された基準体積を有する第1の実施形態に基づくセンサの概略的な断面図である。
図2】閉鎖的な基準体積を有する第2の実施形態に基づくセンサの概略的な断面図である。
図3】2つの互いに分離された基準体積を有する第3の実施形態に基づくセンサの概略的な断面図である。
図4】横に走る流体路を備えた第4の実施形態に基づくセンサの概略的な断面図である。
図5】2つの側で開口された測定体積を有する第5の実施形態に基づくセンサの概略的な断面図である。
図6】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図7】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図8】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図9】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図10】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図11】センサの製造方法を図解するための概略的なフローを示す図である。
図12】第1の例示的実施形態に基づくセンサの電気導体路の平面図である。
図13】評価電子機器が接続された第2の例示的実施形態に基づくセンサの電気導体路の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、開口された基準体積2を有する第1の実施形態に基づくセンサ1の概略的な断面図を示している。センサ1は、基準体積2の隣に測定体積4を有している。基準体積2内には基準膜6が配置されている。測定体積4は測定膜8を有している。とりわけ、基準体積2および測定体積4は、基準膜6および測定膜8によりならびにカバー基板18およびベース基板20により、部分的に分割されている。
【0035】
基準膜6および測定膜8上には導電性構造10が取り付けられており、導電性構造10は、電気接続部11またはボンディングパッドによって電気的に接触され得る。導電性構造10はここでは、少なくとも1種類の基準流体を加熱するための基準発熱素子12として、および分析流体を加熱するための分析発熱素子14として形成されており、これらの発熱素子は図12および図13に示されている。基準発熱素子12および分析発熱素子14は、同時に加熱のためおよび抵抗変化または抵抗差の測定のために用いられる。
【0036】
基準体積2および測定体積4は、センサ基板16内に空洞の形態で施されており、かつカバー基板18内にまで広がっている。センサ基板16のカバー基板18とは逆の側ではベース基板20が配置されている。カバー基板18は鉛直方向Vにおいて、膜6、8によりセンサ基板16から離隔されている。
【0037】
基板16、18、20は、平面的に広がっており、かつ基準体積2および測定体積4を少なくとも部分的に包囲している。基準体積2は、ベース側でベース基板20によって閉鎖されている。測定体積4は、カバー側でカバー基板18によって閉鎖されている。
【0038】
ベース基板20内には、測定体積4内への分析流体の供給に用いられる流体路24が施されている。矢印26は分析流体の流入を図解している。
【0039】
測定膜8および基準膜6はコーティング28を有しており、コーティング28は、導電性構造10をカバー側で被覆しており、それにより導電性構造10を保護している。コーティング28は、例えば窒化物から成り得る。さらに各膜6、8はそれぞれ少なくとも1つのリセス30を有しており、このリセス30により、流体が機械的負荷なく膜6、8を通過し得る。
【0040】
図示した例示的実施形態では、測定体積4がカバー基板18の領域内で閉鎖されている。この場合の基準体積2は開口部22を有しており、この開口部22により、基準体積2は周囲Uとガス交換を実行し得る。
【0041】
カバー側で閉鎖された測定体積4により、分析ガス、例えばH2は、流体路24を通って測定体積4内に流れ込み、そこで少なくとも一時的に留まり得る。分析ガスは、水蒸気、または湿気を含む空気も含み得る。その代わりに分析流体が液状の形態で存在するかまたは液体から成ることができる。あらゆるその他の熱伝導性ガス、例えばO2、CO2、He、湿った空気、およびその類似物の濃度も測定され得る。基準体積2は、不図示のハウジングまたは電子機器に対して開口されており、かつ周囲からの影響に曝されている。
【0042】
図2では、閉鎖的な基準体積2を有する第2の実施形態に基づくセンサ1の概略的な断面図が示されている。第1の例示的実施形態とは異なり、基準体積2は、周囲Uと交換されない基準ガスで満たされている。
【0043】
閉鎖的な基準体積2により、周囲空気中の変動、例えば湿度変化または周囲からの干渉ガスによる影響が回避され得る。基準体積2は、前もって、例えばベース基板20またはカバー基板18を付加する際に、例えばガラスフリット32による接合の際に、適切な基準流体を注入され得る。基準流体は、例えば合成空気、N2、O2、CO2、メタン、およびその類似物であり得る。
【0044】
高い圧力および/または圧力変動のある分野に対するセンサ1の適用分野の拡張と並ぶさらなる利点が、製造中の簡略化された取扱いにある。典型的な半導体プロセスでは、膜6、8上に、例えばウエハ構成の塗料剥離の際の灰から、洗浄溶液から、または切断の際のスラリーから成る沈積物または残留物が形成され得る。閉鎖的なカバー基板18は、このような沈積物を防止し得る。
【0045】
図3は、2つの互いに分離された基準体積2、3を有する第3の実施形態に基づくセンサ1の概略的な断面図を示している。これについて基準膜6は、閉鎖的であるかまたはリセス30なしで形成されており、それにより、鉛直方向Vでの基準膜6の上と下に異なる流体が入れられ得る。
【0046】
例えば、相互に混合不能であり、かつ可変フィールドの減少を可能にする異なるガスが、基準体積2、3に入れられ得る。例えば第1のカバー側の基準体積2にHガスが、および第2のベース側の基準体積3にOガスが導入され得る。ガスで満たされたさらなる基準空洞の設置も可能である。
【0047】
図4では、横に走る流体路24を備えた第4の実施形態に基づくセンサ1の概略的な断面図が示されている。この場合、流体路は、ベース基板20を通って鉛直方向Vに延びるのではなく、横にまたは鉛直方向Vを横切って、ベース基板20とセンサ基板16との間の境界に沿って測定体積4まで延びている。
【0048】
図5は、2つの側で開口された測定体積4を有する第5の実施形態に基づくセンサ1の概略的な断面図を示している。この場合、分析流体の供給は、カバー側およびベース側から可能である。カバー基板18を通って測定体積4内まで延びている流体路23が設けられている。ベース側でも流体路24がベース基板20内に配置されており、流体路24を通って分析流体が測定体積4内に達し得る。このような構成により、分析流体は測定体積4を通り抜けて連続的に流れ得る。
【0049】
図6図11では、センサ1の製造方法を図解するための概略的なフローが示されている。図6図11は、最後のステップで複数のセンサ1へと分離されるウエハ状の構成からの一部分を示している。分離ステップは、ここでより詳しくは説明または図示しない。
【0050】
図6では、ウエハ状のセンサ層34が提供されるステップが図示されている。センサ層34は、例えば誘電体36によってコーティングされ得る。誘電体は、第1の膜層として形成され得る。
【0051】
図7に示したさらなるステップでは、誘電体36の上に導電性構造10が施される。このステップは、例えば白金または別の金属のスパッタリングによって行われ得る。その後、リソグラフィ法とエッチング法との組合せによる構造化が実施され得る。
【0052】
導電性構造10の適用により、膜層36上に分析発熱素子14および基準発熱素子12が金属コーティングの形態で施され得る。
【0053】
続いて、導電性構造10および膜層36内にリセス30が施され得る。さらなるステップで、導電性構造10のための保護として役立つコーティング28の堆積が行われる。その代わりにまたはそれに加えて、導電性構造10内へのリセス30の施しは、コーティング28を施した後でまたはコーティング28を貫通して行われてもよい。
【0054】
例えば、コーティング28は酸化物または窒化物または両方から成り得る。さらなるステップで圧力調整開口部またはリセス30が形成され得る。リセス30は、膜層36、コーティング28、および導電性構造10内に、例えば気相エッチングプロセスまたはプラズマエッチングプロセスによって施され得る。
【0055】
図8はさらなるステップを示しており、このステップでは膜層36のコーティング28上に、閉鎖的なまたは開口部22、23を有するカバー層38が配置される。ガラスフリット32の適用により、カバー層38とコーティング28との付着が可能にされ得る。カバー層38は、電気接続部11、基準体積2、および測定体積4の形成に必要な空洞を既に有していてよい。
【0056】
続いてセンサ基板34上にさらに、ベース基板40の接合プロセスを改善するため、付着促進層35が施される。この付着促進層35は、例えば酸化物から成ることができ、かつ/または酸化物、窒化物、もしくは金属酸化物からの組合せから成り得る。センサ1の形態に応じて、この付着促進層35も構造化され得る。
【0057】
図9では、センサ1を製造するためのさらなるステップが示されている。基準体積2および測定体積4を形成するため、センサ層の材料除去により、膜層36が露出される。この場合、材料除去は1つまたは複数のステップによって行われ得る。材料除去は、例えば研削もしくは全面的な薄化によっておよび/またはエッチング法によって行われ得る。膜層36のベース側の露出は、例えばトレンチエッチング法によって行われ得る。
【0058】
続いてセンサ層34上に、閉鎖的なまたは少なくとも部分的に開口されたベース層40が配置される。このステップは図10で図解されている。ベース層40内への流体路24の施しは図11で示しており、このときにカバー層38およびベース層40が最終寸法へと研削される。
【0059】
分離工程によって多数のセンサ1が形成される。
ベース層40内に流体路24を施す代わりにまたはそれに加えて、カバー層38内に開口部22、23を形成することもできる。さらに、リセス30による、カバー層38内の開口部22、23の施しが可能である。
【0060】
この方法により、すべての空洞または体積2、4の深さが、マイクロメートル範囲でコントロール可能である。したがってカバー基板18またはセンサ基板16内の狙い通りに平たいまたは特に深い空洞により、および体積2、4の形状により、熱伝達が制御され得る。例えば体積2、4の形状が対称的または非対称的に形成され得る。例えば深さが6μm~600μmの範囲内で生成され得る。
【0061】
図12は、センサ1の電気導体路として作製された導電性構造10の平面図を示している。この導電性構造10は、センサ1上に導体路交差点42を1つしか有していないので、費用効率の良い配線形態を形成している。
【0062】
基準発熱素子12および分析発熱素子14は、同時に加熱のためおよび抵抗変化または抵抗差の測定のために用いられる。
【0063】
基準膜6および測定膜8上では、導電性構造10によってそれぞれ2つの抵抗体R1~R4が成形されている。これらの抵抗R1~R4は、ホイートストンブリッジ回路の形態で相互に接続されている。ここでは、抵抗体R1およびR4が測定膜8上にあり、抵抗体R2およびR3が基準膜6上にある。
【0064】
抵抗体R1とR3との間の、またはR2とR4との間の中間電圧タップオフの差は、抵抗値の変化に敏感であり、したがって測定信号として利用され得る。
抵抗体R1~R4は、発熱素子としても測定素子としても用いられる。発熱素子と測定素子が別々である実施形態も可能である。
【0065】
図12に示した実施形態では、膜6、8または相応の体積2、4が同じ大きさで作製されており、かつ正方形の断面を有している。
【0066】
図13は、評価電子機器44が接続された第2の例示的実施形態に基づくセンサ1の導電性構造10の平面図を示している。図12で示した例示的実施形態とは異なり、ここでは導体路交差点42がセンサ1上には設けられていない。ホイートストンブリッジ回路を実現するための導体路交差点42の形成は、評価電子機器44上に移されている。この場合、ボンディングパッドまたは電気接続部11をセンサ1の別の辺縁に付けることができる。例えば、センサのその後の取り付けを簡略化または最適化するために、電気接続部11を90°回転させることができる。
【0067】
さらに、基準体積2が測定体積4より大きく形成されている。これは、測定膜8より大きく作製された基準膜6によって明らかにされている。
【0068】
その代わりに、さらに追加的な測温抵抗体または発熱抵抗体が、例えば周囲温度を測定するために、またはセンサ1を熱的に均一にもしくは一定にコンディショニングするために設けられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析流体を加熱するための、測定膜(8)上に配置された少なくとも1つの分析発熱素子(14)を備え、少なくとも1種類の基準流体を加熱するための、基準膜(6)上に配置された基準発熱素子(12)を備えた、熱伝導率の原理に基づいて前記分析流体の濃度を測定するためのセンサ(1)であって、前記測定膜(8)および前記基準膜(6)が、互いに隣接して、センサ基板(16)とカバー基板(18)との間に配置されており、前記測定膜(8)が測定体積(4)内に、および前記基準膜(6)が基準体積(2)内に配置されている、センサ(1)であって、前記測定膜(8)および前記基準膜(6)が、膜層(36)の形態で、前記センサ基板(16)と前記カバー基板(18)との間に配置されており、かつそれぞれ少なくとも1つのコーティング(28)を有しており、前記測定膜(8)内に少なくとも1つのリセス(30)が配置されていることを特徴とする、センサ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの分析発熱素子(14)および前記少なくとも1つの基準発熱素子(12)が、前記基準発熱素子(12)の電気抵抗に対する、前記分析流体によって引き起こされた前記分析発熱素子(14)の抵抗変化を測定するための、センサ外またはセンサ内の評価電子機器(44)と接続可能である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記コーティング(28)が、片側または両側のコーティングとして形成されている、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記基準体積(2)が表側および/もしくは裏側で開口されており、または前記基準体積(2)が閉鎖的な体積として作製されており、前記基準膜(6)が閉鎖的なまたはリセス(30)を有する膜として成形されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記測定体積(4)が、表側、裏側、および/または横に接続された少なくとも1つの流体路(23、24)を有しており、前記流体路(23、24)が、カバー基板(18)、ベース基板(20)、および/または前記センサ基板(16)内に施されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記コーティング(28)が、少なくとも1種類の窒化物、シリコン、酸化物、プラスチック、および/またはセラミクスを有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記測定体積(4)および前記測定膜(8)ならびに/または前記基準体積(2)および前記基準膜(6)が、長方形、正方形、オーバル形、または円形の断面を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記測定体積(4)と前記基準体積(2)が同じ大きさにまたは異なる大きさに寸法決定されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサ(1)が、少なくとも2つの分析発熱素子(14、R1、R4)および少なくとも2つの基準発熱素子(12、R2、R3)を有しており、前記分析発熱素子(14)および前記基準発熱素子(12)が、発熱素子および/または抵抗変化のための測定素子として使用可能である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項10】
閉鎖的な前記基準膜(6)が、前記カバー基板(18)内に施された第1の基準体積(2)を、前記センサ基板(16)内に施された第2の基準体積(3)から分離させており、前記第1の基準体積(2)と前記第2の基準体積(3)が同じ流体でまたは異なる流体で満たされている、請求項4から9のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のセンサ(1)の製造方法であって、
- ウエハ状のセンサ層(34)が提供され、
- 前記センサ層(34)上に膜層(36)が堆積され、
- 分析発熱素子(14)および基準発熱素子(12)が、導電性構造(10)の形態で前記膜層(36)上に施され、
- 少なくとも1つのコーティング(28)が、前記導電性構造(10)の保護として堆積され、
- 材料除去により、前記膜層(36)内にリセス(30)が施され、
- 前記膜層(36)上にまたは前記膜層(36)の前記コーティング(28)上に、閉鎖的なまたは開口部(22、23)を有するカバー層(38)が配置され、
- 基準体積(2)および測定体積(4)を形成するため、前記センサ層(34)の材料除去により、前記膜層(36)が露出され、
- 前記センサ層(34)上に、閉鎖的なまたは少なくとも部分的に開口されたベース層(40)が配置され、
- 分離工程が、多数のセンサ(1)を形成しながら実施される、製造方法。
【国際調査報告】