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特表2022-553305縦型電界効果トランジスタとその形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】縦型電界効果トランジスタとその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20221215BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221215BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L29/78 652E
H01L29/78 301B
H01L29/78 301H
H01L29/78 301V
H01L21/265 Z
H01L21/265 V
H01L21/265 R
H01L29/78 653C
H01L29/78 652C
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 658A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523405
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020076286
(87)【国際公開番号】W WO2021078450
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019216142.1
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】バリングハウス,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クレープス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ショルテン,ディック
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AB06
5F140AC23
5F140BA02
5F140BA06
5F140BB04
5F140BB06
5F140BB11
5F140BC07
5F140BC09
5F140BF43
5F140BF54
(57)【要約】
第1の導電型を有するドリフト領域(204)と、ドリフト領域(204)上またはその上方にある半導体フィン(206)と、半導体フィン(206)上またはその上方にあるソース/ドレイン電極(214、216)とを備える縦型電界効果トランジスタ(200)であって、半導体フィン(206)が、ソース/ドレイン電極(214、216)をドリフト領域(204)に導通可能に接続する導通可能領域(208)と、導通可能領域(208)の横方向の隣に構成され、ソース/ドレイン電極(214、216)からドリフト領域(204)に向かって延びる閉じ込め構造(210)とを備え、閉じ込め構造(210)が、半導体フィン(206)内の縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、導通可能領域(208)の領域に閉じ込めするように設計される、縦型電界効果トランジスタ(200)が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有するドリフト領域(204)と、
前記ドリフト領域(204)上またはその上方にある半導体フィン(206)と、
前記半導体フィン(206)上またはその上方にあるソース/ドレイン電極(214、216)と
を備える縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)であって、
前記半導体フィン(206)が、前記ソース/ドレイン電極(214、216)を前記ドリフト領域(204)に導通可能に接続する導通可能領域(208)と、導通可能領域(208)の横方向の隣に構成され、前記ソース/ドレイン電極(214、216)から前記ドリフト領域(204)に向かって延びる閉じ込め構造(210)とを備え、前記閉じ込め構造(210)が、前記半導体フィン(206)内の前記縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、前記導通可能領域(208)の領域に閉じ込めるように設計される、
縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項2】
前記閉じ込め構造(210)が、前記ドリフト領域(204)内まで延びる、請求項1に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項3】
前記閉じ込め構造(210)が、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する、請求項1または2に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項4】
前記閉じ込め構造(210)が非導電性である、請求項1から3のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項5】
前記半導体フィン(206)の少なくとも1つの側壁の隣に構成されたゲート電極(212)をさらに備え、
前記閉じ込め構造(210)が、前記ドリフト領域(204)に配置され、横方向において前記ゲート電極(212)の方向に延びる領域を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項6】
前記閉じ込め構造(210)が、前記ゲート電極(212)の横方向の隣に配置された第1の区域(404)において、第2の区域におけるものよりも大きい横方向の広がりを有し、それにより、前記導通可能領域は、前記閉じ込め構造(210)の前記第1の区域(404)に対応する前記半導体フィン(206)の領域において狭窄部分(402)を有する、
請求項3に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項7】
前記ドリフト領域(204)がn型であり、前記閉じ込め構造(210)が少なくとも1つのp型領域を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項8】
前記閉じ込め構造(210)が、前記導通可能領域(208)によって横方向において完全に囲まれている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項9】
前記閉じ込め構造(210)と前記導通可能領域とが同軸形状に形成される、
請求項1から8のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項10】
前記閉じ込め構造(210)が、前記半導体フィン(206)の少なくとも1つの側壁に形成される、請求項1から9のいずれか1項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200、300、400、500、600、700)。
【請求項11】
縦型電界効果トランジスタを形成するための方法であって、
第1の導電型を有するドリフト領域(204)を形成するステップと、
前記ドリフト領域(204)上またはその上方に半導体フィン(206)を形成するステップと、
前記半導体フィン(206)上またはその上方にソース/ドレイン電極(214、216)を形成するステップと
を含み、
前記半導体フィン(206)が、前記ソース/ドレイン電極(214、216)を前記ドリフト領域(204)に導通可能に接続する導通可能領域(208)と、導通可能領域(208)の横方向の隣に構成され、前記ソース/ドレイン電極(214、216)から前記ドリフト領域(204)に向かって延びる閉じ込め構造(210)とを備え、前記閉じ込め構造(210)が、前記半導体フィン(206)内の前記縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、前記導通可能領域(208)の領域に閉じ込めるように設計される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型電界効果トランジスタおよびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトランジスタ(例えばMOSFETやMISFETなど)では、能動スイッチング素子が、反転チャネルによって、例えばnpn接合のp型領域によって提供され、ゲート電圧を印加することによって電子経路が形成される。パワーエレクトロニクスにおけるバンドギャップが大きい半導体(例えば、炭化ケイ素(SiC)または窒化ガリウム(GaN))の用途では、いわゆるパワーFinFET(Fin=フィン、FET=電界効果トランジスタ)の使用が有利になり得る。従来のパワーFinFET100の構造が図1に示されている。従来のパワーFinFET100は、基板102上に、n型ドーピングを有するドリフト領域104、ドレイン電極106、ソース電極108、ゲート電極110、半導体フィン112、ゲート誘電体114、および絶縁体116を備える。半導体フィン112は、n+型ドーピング118によってソース電極108に接続される。パワーFinFET100では、スイッチング素子は狭い半導体フィン112からなり、半導体フィン112は、その幾何形状およびゲート金属化110の適切な選択によってスイッチング可能である。パワーFinFET100のチャネル抵抗は、SiCまたはGaNベースの従来のMOSFETもしくはMISFETのチャネル抵抗よりも大幅に低い。これにより、構成部品全体のオン抵抗がより低くなる。従来の形態でのパワーFinFET100は、狭い半導体フィンの提供を必要とし、半導体フィンの横方向の幅がトランジスタのオン電圧を決定する。特に安全関連の用途で通常必要とされる正のオン電圧(閾値電圧)を実現するために(いわゆるノーマリーオフトランジスタ)、数百nm~100nm未満の半導体フィンの幅が必要となる。半導体フィンの幅は、特に半導体フィンに使用される半導体材料と、ゲート金属の仕事関数とに依存する。そのような狭い半導体フィンは、パワートランジスタの大量生産で典型的に使用されているような従来のフォトリソグラフィでは製造することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの課題は、より幅広の半導体フィンでも正のオン電圧を有する縦型電界効果トランジスタを実現可能にする、縦型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明の一態様によれば、縦型電界効果トランジスタによって解決される。縦型電界効果トランジスタは、第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上またはその上方にある半導体フィンと、半導体フィン上またはその上方にあるソース/ドレイン電極とを備え、半導体フィンが、ソース/ドレイン電極をドリフト領域に導通可能に接続する導通可能領域と、導通可能領域の横方向の隣に構成され、ソース/ドレイン電極からドリフト領域に向かって延びる閉じ込め構造とを備え、閉じ込め構造が、半導体フィン内の縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、導通可能領域の領域に閉じ込めるように設計される。これにより、正のオン電圧(閾値電圧)を有する構造的に幅広の半導体フィンを備えた縦型電界効果トランジスタが実現可能になる。正の閾値電圧は、比較的狭い導通可能な半導体フィンによって実現される。この場合、決定的に重要なのは半導体フィンの構造的な幅ではなく、半導体フィンの導通可能領域の幅である。したがって、半導体フィンの幅の一部が非導電性または導通不能であるとき、より幅広の半導体フィンでも閾値電圧の上昇を達成することができる。例えば、閉じ込め構造は、半導体フィンの一部にp型ドープ領域の形で形成することができ、ここで、p型ドープ領域は、トランジスタの動作時にフィン内で導通不能な領域として機能する。閾値電圧を決定する半導体フィンの幅は、半導体フィンの依然として導電性の領域の幅によって与えられる。
【0005】
この課題は、本発明のさらなる態様によれば、縦型電界効果トランジスタを形成するための方法によって解決される。この方法は、第1の導電型を有するドリフト領域を形成するステップと、ドリフト領域上またはその上方に半導体フィンを形成するステップと、半導体フィン上またはその上方にソース/ドレイン電極を形成するステップとを含み、半導体フィンが、ソース/ドレイン電極をドリフト領域に導通可能に接続する導通可能領域と、導通可能領域の横方向の隣に構成され、ソース/ドレイン電極からドリフト領域に向かって延びる閉じ込め構造とを備え、閉じ込め構造が、半導体フィン内の縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、導通可能領域の領域に閉じ込めるように設計される。これにより、半導体フィンの構造化または構造的な幅に関するリソグラフィ要件を低減することができる。
【0006】
この態様のさらなる発展形態については、従属請求項および本明細書に記載する。本発明の実施形態を図面に示し、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】関連技法のトランジスタ構造の概略断面図である。
図2】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図3】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図4】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図5】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図6】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略図である。
図7】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略図である。
図8】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図9】実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図10】実施形態による縦型電界効果トランジスタを形成するための方法のフローチャートである。
図11】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図12】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13A】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13B】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13C】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13D】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13E】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
図13F】実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では添付図面を参照する。添付図面は、本明細書の一部を成し、例示のために、本発明を実施することができる特定の例示的実施形態を示す。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の例示的実施形態を使用し、構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。本明細書で述べる様々な例示的実施形態の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。図中、適切である限り、同一または類似の要素には同一の参照符号が付されている。
【0009】
図2図9は、種々の実施形態による縦型電界効果トランジスタの概略図を示す。種々の実施形態において、縦型電界効果トランジスタ200、300、400、500、600、700は、半導体基板202上にあるドリフト領域204と、ドリフト領域204上またはその上方にある半導体フィン206(その長手方向は図面の紙面に垂直に延びる)と、閉じ込め構造210と、第1のソース/ドレイン電極(例えばソース電極214)と、第2のソース/ドレイン電極(例えばドレイン電極216)とを備える。以下では、例として、第1のソース/ドレイン電極214がソース電極であり、第2のソース/ドレイン電極216がドレイン電極であると仮定する。縦型電界効果トランジスタ200は、半導体フィン206の少なくとも1つの側壁の隣にゲート電極212をさらに備え、ゲート電極212は、絶縁体218によってソース電極214から電気的に絶縁される。ゲート電極212と半導体フィン206との間にゲート誘電体222が配置される。高濃度にドープされた接続領域220が、半導体フィン206をソース電極214に導通可能に接続することができる。さらに、ドリフト領域204上またはその上方に、半導体フィン206の少なくとも1つの側壁の横方向の隣に、ソース電極214を形成することができる。半導体フィン206は、導通可能領域208の隣に閉じ込め構造210を備える。閉じ込め構造210は、横方向において、導通可能領域208の電気的および構造的な広がりを制約する。導通可能領域208は、第1の導電型を有し、閉じ込め構造210は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。言い換えると、縦型電界効果トランジスタ200、300、400、500、600、700は、第1の導電型を有するドリフト領域204と、ドリフト領域204上またはその上方にある半導体フィン206と、半導体フィン206上またはその上方にあるソース電極214またはドレイン電極216とを備えることができる。半導体フィン206は、ソース電極214およびドレイン電極216をドリフト領域204に導通可能に接続する導通可能領域208を備え、さらに閉じ込め構造210を備え、閉じ込め構造210は、導通可能領域208の横方向の隣に形成され、ソース電極214またはドレイン電極216からドリフト領域204へ延びる。閉じ込め構造210は、半導体フィン206内の縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを導通可能領域208の領域に閉じ込めるように設計される。閉じ込め構造によって、半導体フィン内の導通可能領域の横方向の広がりを狭めることができる。導通可能領域がより強く空乏化され、縦型電界効果トランジスタの閾値電圧が高められる。さらに、様々な実施形態において、閉じ込め構造は、半導体フィン、特にゲート酸化物を電界スパイクから遮蔽するように設計することもできる。これにより、縦型電界効果トランジスタの逆方向抵抗および信頼性を高めることができる。
【0010】
半導体基板202は、例えばGaN基板202またはSiC基板202でよい。半導体基板202上に、弱いn型の半導体ドリフト領域204(ドリフトゾーン204とも呼ぶ)、例えばGaNドリフト領域204またはSiCドリフト領域204を形成(例えば堆積)することができる。ドリフト領域204の上に、半導体フィン206の形態、例えばGaNまたはSiCフィン206の形態でのn型半導体領域を形成することができる。半導体フィン206上またはフィン206の上側部分領域に、n+型接続領域220を形成することができ、n+型接続領域220によって、ソース電極214が半導体フィン206と接触される。ソース電極214は、閉じ込め構造210にも半導体フィン206にも接触することができる。基板202の裏側に、ドレイン電極216を設けることができる。閉じ込め構造210の領域とドリフト領域204との間に、動作中、空間電荷ゾーンを形成することができる。そのため、電流が流れることができる領域を減少させることができ、それにより抵抗を高めることができる。閉じ込め構造210の導入により、閉じ込め構造のない形態(図1)と比較して、電界効果トランジスタ200、300、400、500、600、700の全抵抗が高められる。逆方向時のドレイン電極216の電位は、閉じ込め構造210がない場合(図1を参照)のように半導体フィン206の底部付近ではなく、閉じ込め構造210のすぐ下で最大値を有する電界を生じる。これは、例えば、電界効果トランジスタの早期の電気的破壊を妨げる、またはドレイン電極216に印加された電圧がゲート電極212に達するのを妨げる。半導体フィン208は、ゲート電極212に隣接する領域で空乏化されている。ゲート電圧を印加しない場合、半導体フィン206の下の電子ガスがドリフト領域で枯渇する可能性があるので、電界効果トランジスタは自己遮断状態になることがある。ゲート電極210に正の電圧を印加することによって、ゲート電極212に隣接する半導体フィン208の領域に電子を蓄積することができる。電子は、ソース電極214から半導体フィン206を通って半導体フィン206の底部に流れ、そこからドリフト領域204を通り、基板202を通ってドレイン電極216に達することができる。
【0011】
閉じ込め構造210は、ドリフト領域204内まで延びることができる。言い換えると、閉じ込め構造210は、例えば図2に示されるように、ドリフト領域204に配置されて、横方向においてゲート電極212の方向に延びる領域を有することができる。閉じ込め構造210は、ドリフト領域において遮蔽構造として機能することができて、例えば遮蔽構造のない電界効果トランジスタと比較して、電界の電界ピークをゲート電極212の下またはゲート電極212付近で低減する、またはドリフト領域204にシフトさせる。
【0012】
閉じ込め構造210は、横方向において、導通可能領域208によって完全に囲まれ得る。閉じ込め構造210および導通可能領域は、例えば図3に示されるように、同軸形状に形成され得る。代替として、閉じ込め構造210は、図2図6、および図7に示されるように、半導体フィン206の少なくとも1つの側壁に形成され得る。
【0013】
閉じ込め構造210は、ゲート電極212の横方向の隣に配置された第1の部分404において、第2の部分におけるよりも大きい横方向の広がりを有することができ、それにより、導通可能領域は、例えば図4に示されるように、閉じ込め構造210の第1の部分404に対応する半導体フィン206の領域において狭窄部分402を有する。
【0014】
第1と第2の導電型は、逆の導電型にすることができる。例えば、ドリフト領域204はn型でよく、閉じ込め構造210は、少なくとも1つのp型領域を備えることができる。代替としてまたは追加として、閉じ込め構造210は、例えば図5に示されるように第2の導通不能な閉じ込め構造502を備えることができる。
【0015】
種々の実施形態において、半導体フィン内の電流の流れは、図8および図9に示されるように、部分的に水平方向にも生じ得る。このために、電流の流れを空間的に制約する、第1または第2の導電型のさらなる層または構造を提供することができる。例えば、フィン206に第1の導電型の導通可能領域804、806、808を提供することができ、閉じ込め構造は、領域210に加えて、電流の流れを制限するさらなる層または構造802を備えることができる。電流は、例えば、ソース電極214から領域806、804、808を通り、ドリフト領域204および基板202を通ってドレイン電極216まで流れる。電流経路の垂直方向の制約は、第2の導電型の領域802によって行われる。この実施形態は、例えばフィンの上側にある追加の閉じ込め構造502を示す図9に示されるように、前述の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0016】
さらに、種々の実施形態において、閉じ込め構造210は、ソース電極に接続されたpn接合にわたってボディダイオードを提供するように設計することができる。例えば、種々の実施形態において、半導体フィン206の導電性領域208はn型ドープされ、閉じ込め構造210はp型ドープされる、または非導電性である。例えば逆ドーピングまたは不活性イオン種(例えばアルゴン)の導入によって、非導電性の閉じ込め構造210を形成することができる。非導電性の閉じ込め構造を有する実施形態では、閉じ込め構造が導通不能であるので、ボディダイオードは実現されない。
【0017】
図10は、種々の実施形態による縦型電界効果トランジスタを形成するための方法のフローチャートを示す。方法1000は、第1の導電型を有するドリフト領域204を形成するステップ1010と、ドリフト領域204上またはその上方に半導体フィン206を形成するステップ1020と、半導体フィン206上またはその上方にソース/ドレイン電極214、216を形成するステップ1030とを含む。半導体フィン206は、ソース/ドレイン電極214、216をドリフト領域204に導通可能に接続する導通可能領域208と、導通可能領域208の横方向の隣に構成され、ソース/ドレイン電極214、216からドリフト領域204に向かって延びる閉じ込め構造210とを備える。閉じ込め構造210が、半導体フィン206内の縦型電界効果トランジスタの導電性チャネルを、導通可能領域208の領域に閉じ込めるように設計される。
【0018】
図示されるすべての実施形態を、非導電性の閉じ込め構造210によっても実現することができる。
【0019】
図11図12、および図13A図13Fは、種々の実施形態による形成中の縦型電界効果トランジスタの概略断面図を示す。閉じ込め構造210は、半導体フィン幾何形状を作った後、イオン注入によって形成することができる。この場合、例えば注入されるイオンの強い入射角によって、図11に示される断面を達成することができる。ここで、ドリフト領域204および半導体フィン208の表面にマスク1120が形成され、半導体フィン208の一部が露出する。半導体フィン208の露出部分は、閉じ込め構造210を形成するためにイオンビーム1110で照射される。例えば図12に示されるように、注入中の基板202の回転により、半導体フィン206の異なる側を例えばp型ドープして、閉じ込め構造210を形成することができる。代替として、半導体フィンの形成前にイオンの注入を行うこともできる。この場合、例えばp型注入後に、p型ドープ領域の一部が再び除去されることによって半導体フィンが形成され得る。代替実施形態は、閉じ込め構造210、例えばp型ドープ閉じ込め構造210の形状に関する。すなわち、閉じ込め構造210を半導体フィンの中央に形成することもできる(図4参照)。これにより、技術的に製造が難しい狭いウェブをなくすことができる。閉じ込め構造210の下端部は、半導体フィンの底部より高くても、低くても、または半導体フィンの底部と同じ高さでもよい。さらに、閉じ込め構造210は、図4および図13A図13Fに示されるように、深さにわたって異なる幅で作ることができる。閉じ込め構造210の幅が異なることにより、閉じ込め構造210と半導体フィン側壁との間の距離が大きい領域では順方向抵抗を低下させることができ、(ゲート誘電体に平行な)距離が小さい領域ではより強い空乏化が達成される。図13A~13Fには、図4に示される構造を形成するための方法に関する一実施形態が示されている。この方法は、n型ドープドリフト領域204での半導体フィン208の構造化を含む(図13A)。閉じ込め構造210の形成は、図4に示される狭窄領域402を形成するために、第1のp型ドーピング領域(図13B)のイオン注入と第2のp型ドーピング領域(図13C)のイオン注入とを含む。この方法は、ソース電極214用のn+型接続領域220のイオン注入をさらに含むことができる。この方法は、ゲート誘電体、ゲート電極212、および絶縁体218の堆積および構造化をさらに含む。さらに、この方法は、ソース電極214およびドレイン電極216の堆積および構造化を含むことができる。これは、半導体フィン208の幅の限界寸法が、例えば、エピタキシまたは注入によってより正確に制御することができるn型ドープ層208の垂直方向の広がりによって定義されるという利点を有する。半導体フィンの導通可能領域は、ドリフト領域204と同様にドープすることができるが、必ずしもそうである必要はない。言い換えると、フィンの導通可能領域は、ドリフト領域と同じドーピング濃度を有することも、異なるドーピング濃度を有することもできる。閉じ込め構造210は、ソース電極214を介して、またはスーパーセル(図示せず)を介して接触可能である。任意選択で、電流拡散のために、より高濃度にn型ドープされた領域808を提供することができる(図8および図9参照)。一実施形態では、フィンの半導体材料(例えばSiC)とゲート誘電体(例えばゲート酸化物)との界面は、例えば、半導体材料(例えばSiC)のn型ドーピングを部分的になくすことによって中和される。これは、例えば逆極性イオン注入(Gegenimplantation)によって、または代替として、電気的に不活性のイオン種(例えばアルゴン)を用いた不活性イオン注入(Totimplantation)によって実現することができる。この注入によって、導電性チャネルは、半導体/誘電体界面から、中和された半導体/中和されていない半導体の界面(例えば中性SiC/n-SiC界面)になる。この界面が低い欠陥密度を有する場合、それによりチャネル移動度が高められる。中性領域が注入によって生成される場合、半導体フィンの形成前に注入を行うことができる。この場合、後続のプロセスで、中性領域を部分的に除去して、半導体フィン208を形成することができる。導通可能領域と閉じ込め構造との横方向の距離およびドーピング比は、半導体フィンの導通可能領域の形状を決定することができる。したがって、適切な選択によって、導電性チャネルの形成を、ドリフト領域204の界面からゲート誘電体へ、半導体フィンの内部にずらすことができ、したがって、より高いチャネル移動度をもたらすことができる。代替形態として、中性領域502は、p型ドープ領域210の生成と同様に、半導体フィン幾何形状を作った後に行うことができる。さらなる実施形態では、半導体フィンの代わりに、横方向両側で制限された構造が形成される。例えば、正方形または六角形の構造である。閉じ込め構造としてのp型ドープ領域は、例えば指向性注入によって、1つまたは複数の界面に作ることができる(図6および図7も参照)。
【0020】
本明細書で述べて図面に示した実施形態は、例としてのみ選択されている。異なる実施形態は、完全に、または個々の特徴に関して、互いに組み合わせることができる。また、1つの実施形態を、さらなる実施形態の特徴によって補完することもできる。さらに、本明細書で述べる方法ステップを繰り返すことができ、記載されている順序とは異なる順序で実施することもできる。特に、本発明は、提示した方法に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
【国際調査報告】