IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図1
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図2
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図3
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図4
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図5
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図6
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図7
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図8
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図9
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図10
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図11
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図12
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図13
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図14
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図15
  • 特表-歯のホワイトニングシステム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】歯のホワイトニングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/06 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61C19/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523410
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020079412
(87)【国際公開番号】W WO2021078696
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,203
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティエンイー
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052AA20
4C052MM02
4C052NN15
(57)【要約】
本発明は、光源30、光検知器40、及び処理ユニット50を備える歯のホワイトニングシステム10に関するものである。光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。検知器は、光源からの放射光を検知するように構成される。処理ユニットは、光源を制御して、光源からの放射光の波長を調節し、波長が調節されたときの光源からの放射光の、検知された吸収光の測定値を判定するように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、吸収が最大になる波長で動作させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光検知器と、
処理ユニットと
を備える歯のホワイトニングシステムであって、
前記光源が、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるようにされており、
前記光検知器が、前記光源からの放射光を検知し、
前記処理ユニットが、前記光源を制御して前記放射光の波長を調節したり、種々異なる波長の検知された放射光を基に、前記種々異なる波長の吸収の測定値を判定し、
前記処理ユニットが、前記判定された吸収の測定値を利用して、吸収が最大になる波長で前記光源を動作させる、
歯のホワイトニングシステム。
【請求項2】
前記処理ユニットが、前記光源を制御して、前記光源からの前記放射光の波長を少なくとも400~495nmの波長の動作範囲にわたって調節する、請求項1に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項3】
前記ホワイトニングシステムが少なくとも1つのさらなる光源を備え、前記処理ユニットが、前記吸収の測定値を基に、前記少なくとも1つのさらなる光源を、前記吸収が最大になる波長で動作させる、請求項1又は2に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットが、判定された吸収の測定値における最大値に関連した波長の走査位置で動作する、請求項3に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記吸収が最大になる波長で動作し、前記光源からの前記放射光の前記種々異なる波長に対する前記吸収の測定値を、汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項6】
前記光源が、ある範囲の光放射パワーにわたって動作し、前記処理ユニットが、前記判定された吸収の測定値を基に、前記光源を制御して、実効的な光パワーで動作させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットが、前記光源を制御して、吸収される光の強さが、必要な吸収強度に等しくなるような前記実効的な光パワーで動作させる、請求項6に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項8】
本体がユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、前記光源と前記光検知器とが、前記ユーザの歯のうちの前記少なくとも1つの歯の反対側に位置するように、前記光源及び前記光検知器が前記本体に収容されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項9】
前記本体が前記ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、前記光源と前記光検知器とが、前記ユーザの歯のうちの前記少なくとも1つの歯と同一の側に位置するように、前記光源及び前記光検知器が前記本体に収容されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項10】
複数の光源と、
複数の光検知器と、
処理ユニットと
を備える歯のホワイトニングシステムであって、
各光源が検知器と対になっており、
各光源が、前記放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるようにされており、
各光検知器が、対となる光源からの放射光を検知し、
前記処理ユニットが、前記光源と前記光検知器との各対に対して、各光源を制御して前記放射光の前記波長を調節したり、前記種々異なる波長の前記検知された光を基に、種々異なる波長の吸収の測定値を判定し、
前記処理ユニットが、前記判定された吸収の測定値を利用して、前記光源と前記光検知器との各対の前記光源を、吸収が最大になる波長で動作させる、歯のホワイトニングシステム。
【請求項11】
前記処理ユニットが、各光源を制御して、他の光源の動作波長とも無関係な波長で動作させる、請求項10に記載の歯のホワイトニングシステム。
【請求項12】
光源、光検知器、及び処理ユニットを備える歯のホワイトニングシステムを制御する方法であって、前記光源が放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節でき、前記光検知器が前記光源からの放射光を検知する、方法において、
a)前記処理ユニットによって前記光源を制御して、前記放射光の前記波長を制御するステップと、
b)前記処理ユニットによって、種々異なる波長の検知された光を基に、前記種々異なる波長に関する吸収の測定値を判定するステップと、
c)前記処理ユニットによって、前記判定された吸収の測定値を利用して、前記光源を、吸収が最大になるように動作させるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記システムが少なくとも1つのさらなる光源を備え、前記方法が、前記処理ユニットによって、前記吸収の測定値を基に、前記少なくとも1つのさらなる光源を、前記吸収が最大になる波長において動作させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処理ユニットによって、判定された吸収の測定値における最大値に関連した波長の走査位置で動作させるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか一項に記載の歯のホワイトニングシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、プロセッサによって実行されたとき、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法を実行するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯のホワイトニングシステム、歯のホワイトニングシステムを制御する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
歯のホワイトニングを促進するために、ブルーライトが、歯の内部の汚れ分子によって吸収される過酸化水素(H)と共に使用され得る。
【0003】
歯の色は、主に、人生を通じて歯構造の全体にわたって蓄積される汚れ分子から生じる。一般的には、歯の色は、下記の表に示されるように、内因的に、外因的に又は内在的に分類される。
【0004】
【表1】
【0005】
歯の内部の汚れ分子によって吸収されたブルーライトが過酸化水素(H)と汚れ分子との反応を促進することにより、ホワイトニングの結果を改善する。歯のホワイトニングのためのシステムでは、本体とも称されるマウスピースが歯のまわりに置かれて、約460nmの波長及び25~100mW/cmの放射照度の均質な照明が、LED配列を使用する直接照明又は導波管照明によって歯に向けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歯の内部の汚れ分子によってブルーライト(400~495nm)が吸収され得、過酸化水素(H)と汚れ分子との反応を促進することによってホワイトニングの結果を改善するが、様々なユーザが、歯に関する様々な汚れプロファイルを有し、歯のホワイトニングの結果が一貫せず、最適化され得ないことが認められている。
【0007】
これらの問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
歯のホワイトニングの改善された手段を得るのが有利である。本発明の目的は独立請求項の主題を用いて解決され、さらなる実施形態は従属請求項に包含される。以下で説明される本発明の態様及び例は、歯のホワイトニングシステム、歯のホワイトニングシステムを制御する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適合することに留意されたい。
【0009】
第1の態様では、
- 光源と、
- 光検知器と、
- 処理ユニットと
を備える、歯のホワイトニングシステムが提供される。
【0010】
光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。検知器は、光源からの放射光を検知するように構成される。処理ユニットは、光源を制御して放射光の波長を調節したり、種々異なる波長の検知された光を基に、種々異なる波長の吸収の測定値を判定したりするように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、吸収が最大になる波長で動作させるように構成される。
【0011】
言い換えれば、ホワイトニングのより大きい効果及び一貫性のために、歯の内部の汚れ分子のタイプのフィードバックに基づいて、波長を調節可能な入射光が歯に供給される。
【0012】
言い方を変えれば、処理ユニットは、波長範囲にわたって放射光の波長を走査するように光源を制御して、光源によって放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたとき、関連する吸収の測定値を判定し、次いで、吸収の測定値を基に、吸収が最大になる波長において、歯のホワイトニングモードで動作するように構成される。
【0013】
このように、例えば過酸化水素と共に光を使用する歯のホワイトニングシステムは、システムが動作している波長を知る必要もなく、特定のユーザに存在する汚れに対する正確な波長で自動的に動作することができる。また、システムが一旦使用されて、特定の汚れに対して歯がホワイトニングされると、次に優勢な汚れを自動的に対象として、システムがさらに利用される。
【0014】
したがって、システムは、光源からの放射光の波長を知ることなく、波長を走査して、次いで、最大の吸収に関連した走査位置において、最も優勢な汚れを自動的に対象として動作することができる。
【0015】
一例では、処理ユニットは、光源を制御して、光源からの放射光の波長を少なくとも400~495nmの波長の動作範囲にわたって調節するように構成される。
【0016】
このように、カロチン、タンニン(コーヒー、茶)、ポルフィリン、及びフッ化物の汚れなどの重要な歯汚れが対象とされ得る。
【0017】
一例では、システムは、少なくとも1つのさらなる光源を備える。処理ユニットは、吸収の測定値を基に、少なくとも1つのさらなる光源を、吸収が最大になる波長において動作させるように構成される。
【0018】
言い換えれば、システムは、第1の光源からの放射光の波長を知ることなく、波長を走査して、次いで、最大の吸収に関連した走査位置において、最も優勢な汚れを自動的に対象として第1の光源を動作させることができる。しかしながら、最大の吸収に関連した走査位置の情報は、さらなる光源を、これも波長を知ることなく、同一の波長で動作させるために使用され得る。例えば、すべての光源が同一の形式であれば、特定のやり方で駆動されたときには同一の波長を放射することが分かっている。したがって、他の光源は、動作特性を第1の光源と一致させてから、第1の光源と同一の波長で、人の歯に存在する最も優勢な汚れを対象として動作するのみでよい。したがって、さらなる光源(複数可)が本体のまわりの別の場所に配置されて、第1の光源が対象とする歯とは別の歯を対象にする。第1の光源の隣にさらなる光源のうちの1つを配置して、1つの光源を用いて吸収が最大になる波長を判定し、次いで、複数の光源をその波長で動作させることにより、光源が1つの場合よりも大きいパワーで動作させる簡単なやり方が提供される。1つだけの光源から得られるパワーよりも大きいパワーで特定の歯を対象とするために、明らかに、本体のまわりの各位置に複数の光源が存在する。
【0019】
一例では、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した波長の走査位置で動作するように構成される。
【0020】
一例では、処理ユニットは、吸収が最大になる波長で動作するように構成され、光源からの放射光の種々異なる波長に対する吸収の測定値を、汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することを含む。
【0021】
言い換えれば、汚れタイプ又は汚れタイプの組合せ(複数の汚れタイプがある場合には各汚れタイプの割合)を判定するために、判定された吸収プロファイルが、種々の分子の既知の吸収スペクトルと比較され得、システムの最適波長での動作を助長する。
【0022】
一例では、光源は、ある範囲の光放射パワーにわたって動作するように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して、実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0023】
したがって、放射光のパワーは、効果的な歯のホワイトニングをもたらすように最適化され得る。
【0024】
一例では、処理ユニットは、光源を制御して、吸収される光の強さが、必要な吸収強度に等しくなるような実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0025】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯の反対側に位置するように、光源及び検知器は本体に収容される。
【0026】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの同じ側に位置するように、光源及び検知器は本体に収容される。
【0027】
第2の態様では、
- 複数の光源と、
- 複数の光検知器と、
- 処理ユニットと
を備える、歯のホワイトニングシステムが提供される。
【0028】
各光源は検知器と対になっている。各光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。各検知器は、これと対になった光源からの放射光を検知するように構成される。処理ユニットは、光源と検知器との各対に対して、各光源を制御して放射光の波長を調節したり、種々異なる波長の検知された光を基に、種々異なる波長の吸収の測定値を判定したりするように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源と検知器との各対となる光源を、吸収が最大になる波長で動作させるように構成される。
【0029】
このように、すべての歯が効果的にホワイトニングされることを保証するようなカスタムメイドのやり方で、種々の汚れを有する種々の歯が処置され得る。
【0030】
言い方を変えれば、処理ユニットは、光源と検知器との各対となる光源を、波長範囲にわたって放射光の波長を走査させるように制御して、光源によって放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたとき、関連する吸収の測定値を判定し、光源によって放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を基に、吸収が最大になる波長において、その光源と検知器との各対に関する歯のホワイトニングモードで動作するように構成される。したがって、歯のホワイトニングのための光源は最適な波長で動作する。
【0031】
一例では、処理ユニットは、各光源を制御して、他の何れの光源の動作波長とも無関係な波長で動作させるように構成される。
【0032】
第3の態様では、歯のホワイトニングシステムを制御する方法が提供される。歯のホワイトニングシステムは光源、光検知器、及び処理ユニットを備える。光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。検知器は、光源からの放射光を検知するように構成される。この方法は、
a)処理ユニットによって光源を制御して、放射光の波長を制御するステップと、
b)処理ユニットによって、種々異なる波長の検知された光を基に、種々異なる波長に関する吸収の測定値を判定するステップと、
c)処理ユニットによって、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、吸収が最大になる波長で動作させるステップと
を含む。
【0033】
一例では、システムが少なくとも1つのさらなる光源を備え、この方法は、処理ユニットによって、吸収の測定値を基に少なくとも1つのさらなる光源を制御して、吸収が最大になる波長で動作させるステップを含む。
【0034】
一例では、この方法は、処理ユニットによって、判定された吸収の測定値における最大値に関連した波長の走査位置で動作させるステップを含む。
【0035】
別の態様によれば、以前に説明されたシステムのうちの1つ又は複数を制御するコンピュータプログラム要素が提供され、システムは、処理ユニットによってコンピュータプログラム要素が実行されるとき、以前に説明された方法のうちの1つ又は複数を行うように適合される。
【0036】
別の態様によれば、以前に説明されたコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0037】
コンピュータプログラム要素は、例えばソフトウェアプログラムであり得るが、FPGA、PLD又は任意の他の適切なデジタル手段でもあり得る。
【0038】
一例では、コンピュータプログラム要素は、1回の処置当たりの進渉(例えば歯の濃淡変化)を任意選択で表示することができるスマートフォンアプリケーションによって制御可能である。
【0039】
有利には、上記の態様のうちのいずれかによってもたらされる利益は、すべての他の態様に同様に適用され、逆の場合も同じである。
【0040】
上記の態様及び例は、以下で説明される実施形態を参照しながら解明され、明らかになる。
【0041】
例示の実施形態が、以下の図面を参照しながら下記で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図2】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図3】歯のホワイトニングシステムを制御する方法を示す図である。
図4】カロチン、タンニン、ポルフィリン、及びフッ化物の汚れを含む、歯において見つかった一般的な汚れの吸収スペクトル及び透過スペクトルを示すグラフである。
図5】牛の門歯及び人間の小臼歯の一般的な散乱係数を示すグラフである。
図6】透過測定の概略図である。歯の吸収係数は、表面の反射及び散乱の影響を差し引いた後にランベルト-ベールの法則に基づいて導出され得る。
図7】拡散反射率測定の概略図である。種々異なる波長における歯の吸収係数の比は、クベルカ-ムンク(K-M)モデルを基に導出され得る。
図8】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図9】歯のホワイトニングシステムの一例のレイアウトを示す図である。
図10】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図11】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図12】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図13】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図14】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図15】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
図16】歯のホワイトニングシステムの一例の概略の機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、光源30、光検知器40、及び処理ユニット50を備える歯のホワイトニングシステム10を示す。光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。検知器は、光源からの放射光を検知するように構成される。処理ユニットは、光源を制御して放射光の波長を複数の別々の波長へと調節したり、種々異なる波長の検知された光を基に種々異なる波長の吸収の測定値を判定したりするように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、吸収が最大になる波長で動作させるように構成される。
【0044】
光源及び検知器は本体に収容され得、本体は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されるように構成され得る。
【0045】
したがって、光源は光を放射するように構成され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0046】
したがって、検知器は、光源からの光を検知するように構成され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0047】
したがって、処理ユニットは、光源を制御し、光源からの放射光の波長を調節して、波長が種々異なる波長に調節されたとき、光源から放射され、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって透過され、反射され、且つ/又は散乱された検知された光を基に、ユーザ歯のうちの少なくとも1つの、種々異なる波長に関する吸収の測定値を判定するように構成され得る。
【0048】
次いで、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの吸収が最大になる波長において、歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0049】
一例では、光源と検知器とは、間に一定且つ既知の距離を伴って本体に収容される。
【0050】
一例では、光源(複数可)は調整可能なレーザである。
【0051】
一例では、光源(複数可)は調整可能なLEDである。
【0052】
一例では、波長を変化させるために、光源に対して調整可能な帯域通過フィルタが関連付けられる。
【0053】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は5nm未満である。
【0054】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は5nmである。
【0055】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は10nmである。
【0056】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は15nmである。
【0057】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は20nmである。
【0058】
一例では、光源(複数可)の帯域幅は30nmである。
【0059】
一例によれば、処理ユニットは、光源を制御して、光源からの放射光の波長を少なくとも400~495nmの動作波長範囲にわたって調節するように構成される。
【0060】
一例によれば、システムは、少なくとも1つのさらなる光源を備える。処理ユニットは、吸収の測定値を基に、少なくとも1つのさらなる光源を、吸収が最大になる波長において動作させるように構成される。
【0061】
したがって、処理ユニットは、吸収の測定値を基に、少なくとも1つのさらなる光源を、吸収が最大になる波長において、歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0062】
一例によれば、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した波長の走査位置において、歯のホワイトニングモードで動作するように構成される。
【0063】
したがって、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した走査位置において、歯のホワイトニングモードで動作することができる。
【0064】
一例によれば、処理ユニットは、吸収が最大になる波長で動作するように構成され、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を、汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することを含む。
【0065】
したがって、処理ユニットは、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を、歯の汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することにより、吸収が最大になる波長において歯のホワイトニングモードで動作することができる。
【0066】
一例によれば、光源は、ある範囲の光放射パワーにわたって動作するように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0067】
したがって、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して、実効的な光パワーにおいて歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0068】
一例によれば、処理ユニットは、光源を制御して、吸収される光の強さが必要な吸収強度に等しくなるような実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0069】
したがって、処理ユニットは、光源を制御して、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって吸収される光の強さが、必要な吸収強度と等しくなるように、実効的な光パワーで動作させることができる。
【0070】
一例では、必要な吸収強度は較正歯を利用して判定される。
【0071】
一例によれば、本体がユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯の反対側に位置するように、光源及び検知器は本体に収容される。
【0072】
一例によれば、本体がユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの同じ側に位置するように、光源及び検知器は本体に収容される。
【0073】
図2は、複数の光源120、複数の光検知器130、及び処理ユニット140を備える歯のホワイトニングシステム100の一例を示す。各光源は検知器と対になっている。各光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。各検知器は、これと対になった光源からの放射光を検知するように構成される。処理ユニットは、光源と検知器との各対に対して、各光源を制御してその放射光の波長を複数の別々の波長へと調節したり、種々異なる波長の検知された光を基に吸収の測定値を判定したりするように構成される。処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源と検知器との各対となる光源を、吸収が最大になる波長で動作させるように構成される。
【0074】
複数の光源及び複数の検知器は本体110に収容され得、本体110はユーザの複数の歯に隣接して配置するように構成される。
【0075】
各光源は光を放射するように使用され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0076】
したがって、各検知器は、これと対になった光源からの光を検知するように使用され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0077】
したがって、処理ユニットは、光源と検知器との各対に対して、各光源を制御し、光源からの放射光の波長を調節して、波長が種々異なる波長に調節されたとき、光源から放射され、ユーザの複数の歯のうちの1つ又は複数によって透過され、反射され、且つ/又は散乱された検知された光を基に、ユーザの複数の歯のうちの1つ又は複数の、種々異なる波長に関する吸収の測定値を判定するように使用され得る。
【0078】
したがって、処理ユニットは、光源と検知器との各対に対して、判定された吸収の測定値を利用して、光源と検知器との各対のうちの光源を、ユーザの複数の歯のうちの1つ又は複数における吸収が最大になる波長において歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0079】
一例によれば、処理ユニットは、各光源を制御して、他の何れの光源の動作波長とも無関係な波長で動作させるように構成される。
【0080】
したがって、処理ユニットは、各光源を制御して、他の何れの光源の動作波長とも無関係な波長において歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0081】
一例では、処理ユニットは、各光源を制御して、光源からの放射光の波長を少なくとも400~495nmの動作波長範囲にわたって調節するように構成される。
【0082】
一例では、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した走査位置で動作するように構成される。
【0083】
したがって、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した走査位置において歯のホワイトニングモードで動作することができる。
【0084】
一例では、処理ユニットは、吸収が最大になる波長で動作するように構成され、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することを含む。
【0085】
したがって、処理ユニットは、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を、汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することにより、吸収が最大になる波長においてのホワイトニングモードで動作することができる。
【0086】
一例では、検知器と光源との各対のうちの光源は、ある範囲の光放射パワーにわたって動作するように構成され、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0087】
したがって、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して、実効的な光パワーにおいて、歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0088】
一例では、実効的な光パワーは較正歯の利用を含めて判定される。
【0089】
一例では、処理ユニットは、光源を制御して、吸収される光の強さが、較正された吸収強度に等しくなるような実効的な光パワーで動作させるように構成される。
【0090】
したがって、処理ユニットは、光源を制御して、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって吸収される光の強さが、較正された吸収強度と等しくなるように、実効的な光パワーで動作させることができる。
【0091】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、それぞれの光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯の反対側に位置するように、それぞれの光源及び検知器が本体に収容される。
【0092】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの同じ側に位置するように、それぞれの光源及び検知器が本体に収容される。
【0093】
図3は、歯のホワイトニングシステムを制御する方法200を示す。歯のホワイトニングシステムは光源、光検知器、及び処理ユニットを備える。光源は、放射光の波長を動作波長範囲にわたって調節できるように構成される。検知器は、光源からの放射光を検知するように構成される。方法200は、
処理ユニットによって光源を制御して、光源からの放射光の波長を複数の別々の波長へと調節させる、ステップa)とも称される制御するステップ210と、
処理ユニットによって、種々異なる波長の光を基に、種々異なる波長の吸収の測定値を判定する、ステップb)とも称される判定するステップ220と、
処理ユニットによって、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、吸収が最大になる波長で動作させる、ステップc)とも称される利用するステップ230と
を含む。
【0094】
光源及び検知器は本体に収容され得、本体は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されるように構成され得る。
【0095】
したがって、光源は光を放射するように構成され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0096】
したがって、検知器は、光源からの光を検知するように構成され得、この光は、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって、透過され得、反射され得、且つ/又は散乱され得る。
【0097】
したがって、処理ユニットは、光源を制御し、光源からの放射光の波長を調節して、波長が種々異なる波長に調節されたとき、光源から放射され、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって透過され、反射され、且つ/又は散乱された検知された光を基に、ユーザ歯のうちの少なくとも1つの、種々異なる波長に関する吸収の測定値を判定するように構成され得る。
【0098】
次いで、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を利用して、光源を、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの吸収が最大になる波長において、歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0099】
一例では、処理ユニットは、光源を制御して、光源からの放射光の波長を少なくとも400~495nmの波長の動作範囲にわたって調節するように構成される。
【0100】
一例によれば、システムが少なくとも1つのさらなる光源を備え、この方法は、処理ユニットによって、吸収の測定値を基に少なくとも1つのさらなる光源を制御して、吸収が最大になる波長で動作させるステップを含む。
【0101】
したがって、この方法では、処理ユニットは、吸収の測定値を基に、少なくとも1つのさらなる光源を、吸収が最大になる波長において歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0102】
一例によれば、ステップc)は、処理ユニットによって、判定された吸収の測定値における最大値に関連した走査位置で動作させるステップを含む。
【0103】
したがって、この方法では、処理ユニットは、判定された吸収の測定値における最大値に関連した走査位置において歯のホワイトニングモードで動作することができる。
【0104】
一例では、処理ユニットによって、吸収が最大になる波長で動作させるステップは、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を、汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較するステップを含む。
【0105】
したがって、処理ユニットは、光源からの放射光の波長が波長範囲にわたって走査されたときの吸収の測定値を、歯の汚れ分子の1つ又は複数の既知の吸収プロファイルと比較することにより、吸収が最大になる波長において歯のホワイトニングモードで動作することができる。
【0106】
一例では、光源は、ある範囲の光放射パワーにわたって動作するように構成され、この方法は、処理ユニットによって、判定された吸収の測定値を基に光源を制御して、実効的な光パワーで動作させるステップを含む。
【0107】
したがって、処理ユニットは、判定された吸収の測定値を基に、光源を制御して、実効的な光パワーにおいて歯のホワイトニングモードで動作させることができる。
【0108】
一例では、この方法は、処理ユニットによって、光源を制御して、吸収される光の強さが、較正された吸収強度に等しくなるような実効的な光パワーで動作させるステップを含む。
【0109】
したがって、処理ユニットは、光源を制御して、ユーザの歯のうちの少なくとも1つによって吸収される光の強さが、必要な吸収強度と等しくなるように、実効的な光パワーで動作させることができる。
【0110】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯の反対側に位置するように、光源及び検知器は本体に収容される。
【0111】
一例では、本体が、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの歯に隣接して配置されたとき、光源と検知器とが、ユーザの歯のうちの少なくとも1つの同じ側に位置するように、光源及び検知器が本体に収容される。
【0112】
前述のように、歯のホワイトニングのための個人仕様の自動解法が提供される。汚れ分子の吸収のフィードバックに基づいて、歯に入射する光の波長を自動的に調節し、必要に応じて放射照度をも自動的に調節するシステム及び方法が開発され、歯のホワイトニングのための現在の照明概念よりもかなり高いホワイトニング効果及び結果としての色合いの統一性をもたらす。これは、汚れ分子の吸収に関する情報を判定することを可能にするデータを取り出すために使用されるセンサ又は検知器によって達成される。この情報に基づいて光源のパラメータが判定される。そのゆえに、歯のホワイトニングプロシージャは、ユーザの歯に基づいて、歯のホワイトニングの個人仕様の自動解法を提供するように適合される。
【0113】
次に、歯のホワイトニングシステム及び歯のホワイトニングシステムを制御する方法が、特定の詳細な実施形態を参照しながらより詳細に説明され、図4図16が参照される。
【0114】
図4は、歯において見つかった、カロチン、タンニン(コーヒー、茶)、ポルフィリン及びフッ化物(CaF)の汚れを含む一般的な汚れの吸収スペクトル及び透過スペクトルを示す。ポルフィリン及びタンニンの吸収は約400nmで最大になり、カロチンの吸収は約450nmで最大になることが理解される。特にCaFであるフッ化物汚れの吸収は、400~500nmで一定であることも観測される。上記の汚れ分子の吸収が最大になる波長及び対応する吸収係数が計算され、以下の表に概説されている。
【0115】
【表2】
【0116】
本発明者は、歯における別々の汚れ分子は別々の波長において吸収するというこの情報が、問題を引き起こすのではなく、新規の歯のホワイトニング技術に利用され得ることに気が付いた。汚れ分子の吸収スペクトルが最大になるように光の波長を調節すれば、過酸化水素と対応する汚れ分子との間の反応が最も強くなるのを助長し、吸収効率が最高になり、その結果、処置時間が最短になることが分かった。加えて、汚れ分子の吸収が最大になるように波長を調節すれば、光源の消費電力並びに熱緩和が最小化される。これを実現したことにより、汚れ分子の吸収のフィードバックに基づいて、歯に入射する光の波長を自動的に調節し、必要に応じて放射照度を自動的に調節する、ここで説明された新規の技術が開発され、現在のシステムよりもかなり高いホワイトニング効果及び結果としての色合いの統一性をもたらす。この技術は、特定のユーザの最も優勢な汚れを自動的に対象とし、真にカスタムメイドの、より効率的な歯のホワイトニング技術を提供するものであり、実効的な歯のホワイトニングモードで使用される光の(吸収が最大になると判定される)実際の波長が既知である必要がないという簡単さにおいて革新的である。この新規の技術が現在使用中のマウスピースに適合することも分かった。
【0117】
本質的には、新規の技術は、ブルーライトの範囲内(400~495nm)でユーザの歯の吸収が最も強くなる波長を識別して波長を自動的に調節し、必要に応じて放射照度をも自動的に調節することを包含しており、最適且つ一貫したホワイトニング効果を提供するものである。歯の散乱係数がブルーライトの範囲にわたって一定である(牛の門歯及び人間の小臼歯の一般的な散乱係数を示す図5を参照されたい。スペクトル依存性はすべてのサンプルについて類似しており、散乱係数は400~495nmの範囲にわたって一定と見なされる)ため、透過率測定又は拡散反射率測定を使用して歯の吸収の測定値を導出し、実質的に歯の吸収係数を判定することが、実現可能であると理解された。歯の散乱係数が一定であり、吸収と比較して優勢であるため、ブルーライトの範囲内の光の透過深度は比較的一定であることも分かり、これによって、この全体のブルーライト範囲にわたって作用する簡単な解決策を開発することができた。
【0118】
図6には透過測定のための新規の技術が概略的に示されている。ランベルト-ベールの法則(式1)を基に、減衰係数及び吸収係数が導出され得る。
【数1】
ここでI(λ)は透過光であり、I0(λ)は入射光であり、μ=μ’+μは減衰係数であり、μ’は既知の低減された散乱係数であり、μは未知の吸収係数であり、xは歯の既知の厚さである。したがって、歯の吸収係数は、表面の反射及び散乱からの影響を差し引いた後に、ランベルト-ベールの法則に基づいて導出され得る。
【0119】
拡散反射率測定について、概念は図7に示されており、歯に入る放射は、「B」及び「C」に示されるように、検知器から遠ざかる方向に散乱され得るが、いくらの放射は、検知器に向かう「A」の経路に沿って、拡散的に反射され得る。吸収係数は、クベルカ-ムンク(K-M)モデルに基づいて、測定された拡散反射率及び既知の散乱係数から導出され得る(式2)。
【数2】
ここで、Rは検知された拡散反射率であり、μはブルーの波長範囲における既知の一定の散乱係数であって、μは未知の吸収係数である。したがって、種々異なる波長における歯の吸収係数の比が導出され得る。
【0120】
特定の実施形態では、より大きい歯のホワイトニング効果及び一貫性の目標を達成するために、以下の2つの手法のうちの一方(a)、他方(b)、又は実際に両方(c)が採用され得る。
(a)(放射照度を一定に保ったまま)波長を、吸収が最大になるように(すなわち、測定された吸収係数が最大になるように)調節する。透過率測定又は拡散反射率測定のいずれかが利用され得る。最適な波長(すなわち歯汚れによる吸収が最大になる波長)に調節されたとき、最短の処置時間又は最小の消費電力/熱緩和が達成され得る。最短の処置時間のためには、光源は連続モードで動作し得る。最小の消費電力/熱緩和のためには、光源はパルスモードで動作し得る。
【0121】
例:
入力光パワーはIにおいて一定であり、波長は400nmから495nmまで調整可能である。
i)透過率測定について:波長λ(400≦x≦495)において、検知された透過光パワーが最小(Imin)になったと想定すると、400~495nmでは歯の散乱係数が一定であるという事実に基づき、式1を使用して、波長λは吸収を最大化する最適な波長であると判定される。
ii)拡散反射率測定について:測定された拡散反射率(R)を基に、式2を使用して計算される、歯の吸収係数と歯の散乱係数との比(μ/μ)が、波長λ(400≦x≦495)において最大になったと想定すると、400~495nmでは歯の散乱係数が一定であるという事実に基づき、波長λは吸収を最大化する最適な波長であると判定される。
【0122】
(b)吸収される光パワーが最も一般的なシェード(例えば12.5)における較正歯のものに等しくなることを保証するように、(波長を一定に保ったまま)放射照度を調節する。透過率測定又は拡散反射率測定のいずれかが利用され得る。減衰した光パワーが較正歯のものに等しくなれば、400~495nmでは歯の散乱係数が一定であるという事実に基づき、吸収された光パワーは較正歯のものに等しくなる。
【0123】
(c)(a)と(b)とを組み合わせて波長及び放射照度を調節する。
例:
光源の波長は460nmにおいて一定であり、入力光パワーはI0xに調整可能であり、較正歯からの減衰した光パワーの合計はIt0において一定である。
i)透過率測定について:入力光パワーI0xにおいて、透過光パワーIが検知され、It0に等しい減衰した光パワーの合計Itx=I0x-Iが検知されたと想定すると、400~495nmでは歯の散乱係数が一定であるという事実に基づき、較正歯のものに等しい吸収光パワーをもたらすためには入力光パワーI0xが最適であると判定される。
ii)拡散反射率測定について:入力光パワーI0xにおいて、既知の歯の散乱係数(μ)及び測定された拡散反射率(R)を基に、式2を使用して計算された歯の吸収係数がμであると想定する。ここで、μ=μs’+μのとき、減衰した光パワーの合計Itx=I0x-I0xe-μがIt0であれば、400~495nmでは歯の散乱係数が一定であるという事実に基づき、較正歯のものに等しい吸収光パワーをもたらすためには入力光パワーI0xが最適であると判定される。
【0124】
次に、上記で説明された手法(a)に関して4つの特定の実施形態を説明する。
【0125】
手法(a)の実施形態1:これは透過率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源が頬側になって検知器が舌側になる。これは図8図9に示されており、図8は実施形態1の機構の概略図を示し、図9は実施形態1のレイアウトを示す。図8に示されるように、光は、歯の頬側から舌側へと透過されることにより、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。
【0126】
本体すなわちマウスピースが図9に示されており、波長を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)と対応する検知器とが、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。1つ又は複数の検知器(例えば光ダイオード、熱出力センサ、焦電センサ)が、ブルーライトの範囲で平坦な応答を得るように較正され得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、波長最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な波長で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。波長を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(波長最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。光源及び検知器の位置は固定され得、光源とその対の検知器との間の距離は既知である。
【0127】
照明の最適化は、光源/検知器の対を使用して、ブルーの波長範囲(400~495nm)において歯の吸収が最大になるように波長を調節することによって達成され得る。図6は、実施形態1の機構の概略図を示す。図7は、実施形態1のレイアウトを示す。
【0128】
手法(a)の実施形態2:これは透過率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源が舌側になって検知器が頬側になる。図10は実施形態2の機構の概略図を示し、レイアウトは、光源の位置と検知器の位置とが逆になっている点を除けば、図9に示されたものに類似である。図10に示されるように、光は、歯の舌側から頬側へと透過されることにより、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。繰り返しになるが、波長を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)と対応する検知器とが、波長最適化のためのセンサとして働くように、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。選択された最適な波長で照明を供給するために、波長を調節可能な追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。照明の最適化は、光源/検知器の対を使用して、ブルーの波長範囲(400~495nm)において歯の吸収が最大になるように波長を調節することによって達成され得る。繰り返しになるが、例えば光ダイオードである検知器(複数可)が、ブルーライトの範囲で平坦な応答を得るように較正され得、光源及び検知器の位置は固定され得て、光源とその対の検知器との間の距離は既知である。この実施形態では、歯の前面のホワイトニングを達成するためには歯の頬側の追加光源が必要になることに留意されたい。
【0129】
手法(a)の実施形態3:これは拡散反射率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源と検知器との両方が頬側になる。図11は実施形態3の機構の概略図を示すものであり、図9に示されたレイアウトを注視すれば、このとき、マウスピース/本体が、歯の外側すなわち頬側に配置された検知器及び光源を有することが明らかである。図11に示されるように、光は頬側に入り、拡散的に反射されて頬側の検知器に戻され、その際、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、やはり過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。繰り返しになるが、波長を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)と対応する検知器とが、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。波長を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)が、波長最適化のためのセンサとして働くように、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、波長最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な波長で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。波長を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(波長最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。照明の最適化は、光源/検知器の対を使用して、ブルーの波長範囲(400~495nm)において歯の吸収が最大になるように波長を調節することによって達成され得る。繰り返しになるが、例えば光ダイオードである検知器(複数可)が、ブルーライトの範囲で平坦な応答を得るように較正され得、光源及び検知器の位置は固定され得て、光源とその対の検知器との間の距離は既知である。
【0130】
手法(a)の実施形態4:これは拡散反射率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源と検知器との両方が舌側になる。図12は実施形態4の機構の概略図を示すものであり、図9に示されたレイアウトを注視すれば、このとき、マウスピース/本体が、歯の内側すなわち舌側に配置された検知器及び光源を有することが明らかである。図12に示されるように、光は舌側に入り、拡散的に反射されて舌側の検知器に戻され、その際、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、やはり過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。波長を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)が、波長最適化のためのセンサとして働くように、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、波長最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な波長で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。波長を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(波長最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。照明の最適化は、光源/検知器の対を使用して、ブルーの波長範囲(400~495nm)において歯の吸収が最大になるように波長を調節することによって達成され得る。繰り返しになるが、例えば光ダイオードである検知器(複数可)が、ブルーライトの範囲で平坦な応答を得るように較正され得、光源及び検知器の位置は固定され得て、光源とその対の検知器との間の距離は既知である。
【0131】
次に、上記で説明された手法(b)に関して4つの特定の実施形態を説明する。
【0132】
手法(b)の実施形態1:これは透過率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源が頬側になって検知器が舌側になる。図13は実施形態1の機構の概略図を示すものであり、レイアウトは図8に示されたものに類似である。図13に示されるように、光は、歯の頬側から舌側へと透過されることにより、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。一定波長(例えば405/420/440/460nm)において(光源の出力を調節することにより)歯に対する放射照度を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)及び対応する検知器が、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、放射照度最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な放射照度で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。放射照度を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(放射照度最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。歯における放射照度を、吸収される光パワーが最も一般的なシェード(例えば12.5)において較正歯と等しくなるように調節することにより、照明最適化が達成され得る。
【0133】
手法(b)の実施形態2:これは透過率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源が舌側になって検知器が頬側になる。図14は実施形態1の機構の概略図を示し、レイアウトは、光源の位置と検知器の位置とが逆になっている点を除けば、図13に関連して説明されたものに類似である。図14に示されるように、光は、歯の舌側から頬側へと透過されることにより、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。一定波長(例えば405/420/440/460nm)において(光源の出力の調節することにより)歯に対する放射照度を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)及び対応する検知器が、マウスピース/本体における種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、放射照度最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な放射照度で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。放射照度を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(放射照度最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。歯における放射照度を、吸収される光パワーが最も一般的なシェード(例えば12.5)において較正歯と等しくなるように調節することにより、照明最適化が達成され得る。この実施形態では、歯の前面のホワイトニングを達成するためには歯の頬側の追加光源が必要になることに留意されたい。
【0134】
手法(b)の実施形態3:これは拡散反射率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源と検知器との両方が頬側になる。図15は実施形態3の機構の概略図を示すものであり、上記の議論から、このとき、マウスピース/本体が、歯の外側すなわち頬側に配置された検知器及び光源を有することが明らかである。図15に示されるように、光は頬側に入り、拡散的に反射されて頬側の検知器に戻され、その際、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、やはり過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。一定波長(例えば405/420/440/460nm)において(光源の出力の調節することにより)歯に対する放射照度を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)及び対応する検知器が、マウスピースにおける種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、放射照度最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な放射照度で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。放射照度を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(放射照度最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。歯における放射照度を、吸収される光パワーが最も一般的なシェード(例えば12.5)において較正歯と等しくなるように調節することにより、照明最適化が達成され得る。
【0135】
手法(b)の実施形態4:これは拡散反射率測定を利用するものであり、光源及び検知器は本体すなわちマウスピースの内部にあって、本体/マウスピースが歯のまわりに配置されたとき、光源と検知器との両方が舌側になる。図16は実施形態4の機構の概略図を示すものであり、上記の議論から、このとき、マウスピース/本体が、歯の内側すなわち舌側に配置された検知器及び光源を有することが明らかである。図16に示されるように、光は舌側に入り、拡散的に反射されて舌側の検知器に戻され、その際、歯のエナメル及び象牙質と相互作用し、さらには歯髄とも相互作用する。過酸化水素と、汚れ分子の吸収が最大になる光吸収とを併用することにより、やはり過酸化水素と汚れ分子との間の反応が促進されて増加し、汚れ除去の有効性が向上する。一定波長(例えば405/420/440/460nm)において(光源の出力の調節することにより)歯に対する放射照度を調節可能な1つ又は複数の光源(例えばLED、レーザ)及び対応する検知器が、マウスピースにおける種々の位置に取り付けられ得る。利用される光源/検知器の対が1つしかない場合には、そのような対は、放射照度最適化のためのセンサとして働くように、前歯のうちの1つに取り付けられ得る。選択された最適な放射照度で照明を供給するために、追加の光源(複数可)及び導波管が頬側から利用され得る。放射照度を調節可能な複数の光源及び対応する検知器が利用される場合には、それぞれの光源/検知器の対が、2つの役割(放射照度最適化のためのセンサ及び照射源(歯に対して適切な放射照度を供給する光源))を果たす。光源の寸法及びギャップは、歯の表面に対して個別化された照明を供給するように、(利用される光源(複数可)に応じて)最適化され得る。歯における放射照度を、吸収される光パワーが最も一般的なシェード(例えば12.5)において較正歯と等しくなるように調節することにより、照明最適化が達成され得る。
【0136】
別の例示的実施形態では、適切なシステム上で、以前の実施形態のうちの1つによる方法のステップを実行するように構成されていることによって特徴付けられるコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0137】
したがって、コンピュータプログラム要素は、これも一実施形態の一部であるコンピュータユニット上に記憶される。このコンピュータユニットは、上記で説明された方法のステップを行うか又は実行を誘起するように構成される。さらに、このコンピュータユニットは前述のシステムの構成要素を動作させるように構成される。このコンピュータユニットは、ユーザの指令を実行し、且つ/又は自動的に動作するように構成され得る。コンピュータプログラムはデータプロセッサの作業メモリにロードされる。したがって、データプロセッサは、以前の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備される。
【0138】
本発明のこの例示的実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、既存プログラムを更新して本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を対象として含む。
【0139】
さらに、コンピュータプログラム要素は、前述の方法の例示的実施形態のプロシージャを遂行するために必要なすべてのステップをもたらすことができる。
【0140】
本発明のさらなる例示的実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック等のコンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ可読媒体には、上記の段落で説明されたコンピュータプログラム要素が記憶されている。
【0141】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に供給される、又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶され、且つ/又は分散されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線の通信システムを介してなど、他の形態で分散されることもある。
【0142】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上に提供されることもあり、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリへとダウンロードされ得る。本発明のさらなる例示的実施形態によれば、以前に説明された本発明の実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されたコンピュータプログラム要素をダウンロードするために使用可能な媒体が提供される。
【0143】
本発明の実施形態は種々の主題を参照しながら説明されていることに注意する必要がある。詳細には、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項を参照しながら説明されており、他の実施形態は装置タイプの請求項を参照しながら説明されている。しかしながら、当業者なら、上記及び下記の説明から、特に通知のない限り、1つのタイプの主題に属する特徴のあらゆる組合せに加えて、別の主題に関連する特徴の間のあらゆる組合せも、本出願に伴って開示されたものと見なされると推論するはずである。しかしながら、すべての特徴が組み合わされ得、特徴の単純な総和以上の相乗効果をもたらす。
【0144】
本発明が、先の図面に示され、先の説明において詳細に記述されているが、そのような図及び説明は例証又は例示であって限定するものではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、当業者によって、特許請求された発明を実施する際に、図面、開示、及び従属請求項を研究することから理解され得、達成され得る。
【0145】
特許請求の範囲において、「備える」という単語は他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形は複数を除外しない。シングルプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲において列挙されたいくつかの品目の機能を遂行する。特定の方策が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組合せが有利に使用され得ないことを指示するわけではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】