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特表2022-553327燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/90 20060101AFI20221215BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20221215BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20221215BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221215BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20221215BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20221215BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01M4/90 M
H01M4/86 M
H01M4/92
H01M4/88 K
H01M8/10 101
B01J37/04 101
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J37/16
B01J37/18
B01J23/89 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523535
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2020018964
(87)【国際公開番号】W WO2021137514
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0178837
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンホ
【テーマコード(参考)】
4G169
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA12
4G169BA08B
4G169BA27C
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB08C
4G169BB09C
4G169BB10C
4G169BB12C
4G169BB16C
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC54A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD02C
4G169BD12C
4G169BD14C
4G169BE08C
4G169CC32
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EA08
4G169EB19
4G169EC25
4G169EC29
4G169ED05
4G169FB05
4G169FB07
4G169FB30
4G169FB44
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC08
5H018AA06
5H018BB06
5H018BB12
5H018DD05
5H018EE03
5H018EE05
5H018EE07
5H018EE08
5H018EE10
5H018EE11
5H018HH05
5H018HH08
5H018HH10
5H126BB06
(57)【要約】
性能及び耐久性のいずれにも優れている燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリーが開示される。本発明の燃料電池用触媒は、担体(support);及び、該担体上に担持されているPtCo合金粒子を含み、該PtCo合金粒子は、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属で改質された遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed surface)、又は前記遷移金属を含む遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed internal region)を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体(support);及び
前記担体上に担持されているPtCo合金粒子を含み、
前記PtCo合金粒子は、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属で改質された遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed surface)、又は前記遷移金属を含む遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed internal region)を含む、燃料電池用触媒。
【請求項2】
前記PtCo合金粒子は、前記遷移金属が存在しない遷移金属-フリー表面(transition metal-free surface)又は遷移金属-フリー内部領域(transition metal-free internal region)をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
【請求項3】
前記PtCo合金粒子は、前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域及び遷移金属-フリー内部領域を含み、
前記遷移金属-フリー内部領域は、前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域に比べて、前記PtCo合金粒子の露出面から相対的に遠く離れている、請求項2に記載の燃料電池用触媒。
【請求項4】
前記PtCo合金粒子において、Ptに対するCoのモル比は、0.05~0.4であり、Ptに対する前記遷移金属のモル比は、0.03~0.15である、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
【請求項5】
前記遷移金属は、Cuである、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
【請求項6】
担体及び該担体上に担持されているPtCo合金粒子を含む第1触媒を準備する段階;
V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属の前駆体を前記第1触媒と混合して混合物を得る段階;及び
前記混合物を熱処理する段階を含む燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項7】
前記第1触媒の前記PtCo合金粒子において、Ptに対するCoのモル比は、0.05~0.4である、請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項8】
前記遷移金属はCuであり、
前記前駆体は、CuCl、CuSO、CuO、Cu(COCH、CuS、Cu(NO、Cu(ClO、CuCO、又はこれらの2以上の混合物である、請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項9】
前記混合物は、(i)前記前駆体を含有する溶液又は分散液に前記第1触媒を分散させる、(ii)前記前駆体を含有する溶液又は分散液を、前記第1触媒を含有する分散液と混合する、或いは(iii)固体状態の前記前駆体を固体状態の前記第1触媒と直接混合する、ことによって得られる、請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項10】
前記混合物は、(i)前記前駆体を含有する溶液又は分散液に前記第1触媒を分散させる、或いは(ii)前記前駆体を含有する溶液又は分散液を、前記第1触媒を含有する分散液と混合する、ことによって得られ、
前記燃料電池用触媒の製造方法は、前記熱処理段階前に前記混合物を乾燥させる段階をさらに含む、請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項11】
前記熱処理段階は、還元性ガス(reductive gas)の雰囲気又は不活性ガス(inactive gas)と還元性ガスとを含む混合ガス(mixed gas)の雰囲気で100~300℃で10~60分間行われる、請求項6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項12】
前記熱処理段階は、前記還元性ガスの雰囲気で行われ、前記還元性ガスは、NHガスである、請求項11に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われ、前記混合ガスは、5~15vol.%の前記還元性ガスを含む、請求項11に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項14】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われ、前記混合ガスは、前記還元性ガスとしてHガスを含み、前記不活性ガスとしてN又はArガスを含む、請求項11に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項15】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われ、前記混合ガスは前記還元性ガスとしてNHガスを含み、前記不活性ガスとしてN又はArガスを含む、請求項11に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
【請求項16】
アノード;
カソード;及び
前記アノードと前記カソードとの間の高分子電解質膜を含み、
前記アノードと前記カソードの少なくとも一方は、請求項1の触媒を含む膜-電極アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリーに関し、より具体的には、性能及び耐久性のいずれにも優れている燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
膜-電極アセンブリー(Membrane-Electrode Assembly:MEA)とセパレーター(separator)[‘バイポーラプレート(bipolar plate)’ともいう。]とからなる単位セル(unit cell)の積層構造を用いて電気を発生させる高分子電解質膜燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)は、高いエネルギー効率性と環境にやさしい特徴から、化石エネルギーを代替できる次世代エネルギー源として注目されている。
【0003】
前記膜-電極アセンブリーは、一般に、アノード(anode)(‘燃料極’ともいう。)、カソード(cathode)(‘空気極’ともいう。)、及びそれらの間における高分子電解質膜(polymer electrolyte membrane)を含む。
【0004】
水素ガスのような燃料がアノードに供給されると、アノードでは水素の酸化反応によって水素イオン(H)と電子(e)が生成される。生成された水素イオンは、高分子電解質膜を通じてカソードに伝達され、生成された電子は、外部回路を通じてカソードに伝達される。カソードに供給される酸素が前記水素イオン及び前記電子と結合して還元されることによって水が生成される。
【0005】
膜-電極アセンブリー(MEA)の電極の形成のための金属触媒(metal catalyst)としては、高い触媒活性及び高い耐腐食性を有する白金又はその他貴金属が使用されている。
【0006】
触媒の活性表面積を増加させるための努力の一環として、電気伝導性を有する担体(support)(例えば、炭素、金属酸化物、Cなど)の表面上に金属触媒粒子を分散させて形成した触媒が開発されている。
【0007】
燃料電池の商用化を促進するためには、高価の白金/貴金属の使用量を減らすとともに金属触媒の触媒活性をより向上させる必要がある。このような目的で、白金などの貴金属を含む種々の合金が提案されている。例えば、PtCo合金は、白金使用量を減少させることができる他、白金以上の触媒活性も有することが知られている。また、前記PtCo合金をさらに改良するために、第3の遷移金属をPt及びCoと共に合金化させることによって得られる3元合金(ternary alloy)に対する研究も活発に行われている。
【0008】
しかしながら、近年、PtCo触媒の燃料電池反応において活性点(active site)でのCoの溶出による耐久性の減少が報告されており、そのため、耐久性の強化が要求されている趨勢である。
【0009】
また、相対的に低コストで製造可能ながらも満足すべき性能及び耐久性を有する金属触媒又は合金触媒は未だ開発されずにいる実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、上のような関連技術の制限及び欠点に起因する問題点を防止できる燃料電池用触媒、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリーに関する。
【0011】
本発明の一観点は、性能及び耐久性のいずれにも優れている燃料電池用触媒を提供することである。
【0012】
本発明の他の観点は、性能及び耐久性のいずれにも優れている燃料電池用触媒を製造する方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の観点は、性能及び耐久性のいずれにも優れている膜-電極アセンブリーを提供することである。
【0014】
上に言及された本発明の観点の他にも、本発明の別の特徴及び利点が以下に説明されるか、そのような説明から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上のような本発明の一観点によって、担体(support);及び、前記担体上に担持されているPtCo合金粒子を含み、前記PtCo合金粒子は、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属で改質された遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed surface)、又は前記遷移金属を含む遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed internal region)を含む、燃料電池用触媒が提供される。
【0016】
前記PtCo合金粒子は、前記遷移金属が存在しない遷移金属-フリー表面(transition metal-free surface)又は遷移金属-フリー内部領域(transition metal-free internal region)をさらに含むことができる。
【0017】
前記PtCo合金粒子は、前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域及び遷移金属-フリー内部領域を含むことができ、前記遷移金属-フリー内部領域は、前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域に比べて、前記PtCo合金粒子の露出面から相対的に遠く離れていてよい。
【0018】
前記PtCo合金粒子において、Ptに対するCoのモル比は、0.05~0.4であってよく、Ptに対する前記遷移金属のモル比は、0.03~0.15であってよい。
【0019】
前記遷移金属は、Cuであってよい。
【0020】
本発明の他の観点によって、担体及び該担体上に担持されているPtCo合金粒子を含む第1触媒を準備する段階;V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属の前駆体を前記第1触媒と混合して混合物を得る段階;及び、前記混合物を熱処理する段階を含む、燃料電池用触媒の製造方法が提供される。
【0021】
前記第1触媒の前記PtCo合金粒子においてPtに対するCoのモル比は、0.05~0.4であってよい。
【0022】
前記遷移金属はCuであってよく、前記前駆体は、CuCl、CuSO、CuO、Cu(COCH、CuS、Cu(NO、Cu(ClO、CuCO、又はこれらの2以上の混合物であってよい。
【0023】
前記混合物は、(i)前記前駆体を含有する溶液又は分散液に前記第1触媒を分散させる、(ii)前記前駆体を含有する溶液又は分散液を、前記第1触媒を含有する分散液と混合する、或いは(iii)固体状態の前記前駆体を固体状態の前記第1触媒と直接混合する、ことによって得られてよい。
【0024】
前記混合物は、(i)前記前駆体を含有する溶液又は分散液に前記第1触媒を分散させる、或いは(ii)前記前駆体を含有する溶液又は分散液を、前記第1触媒を含有する分散液と混合する、ことによって得られてよく、前記触媒製造方法は、前記熱処理段階前に前記混合物を乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0025】
前記熱処理段階は、還元性ガス(reductive gas)の雰囲気又は不活性ガス(inactive gas)と還元性ガスとを含む混合ガス(mixed gas)の雰囲気で100~300℃で10~60分間行われてよい。
【0026】
前記熱処理段階は、前記還元性ガスの雰囲気で行われてよく、前記還元性ガスは、NHガスであってよい。
【0027】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われてよく、前記混合ガスは、5~15vol.%の前記還元性ガスを含むことができる。
【0028】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われてよく、前記混合ガスは、前記還元性ガスとしてHガスを、前記不活性ガスとしてN又はArガスを含むことができる。
【0029】
前記熱処理段階は、前記混合ガスの雰囲気で行われてよく、前記混合ガスは、NHガス及びNガスを含むことができる。
【0030】
本発明のさらに他の観点によって、アノード;カソード;及び、前記アノードと前記カソードとの間の高分子電解質膜を含み、前記アノードと前記カソードの少なくとも一方は、上述の触媒を含む、膜-電極アセンブリーが提供される。
【0031】
上のような本発明に関する一般的な叙述は、本発明を例示又は説明するためのもので、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、PtCo触媒、具体的にはPtCo合金粒子を遷移金属でドーピング及び/又は部分合金することにより、触媒の性能及び耐久性の両方を顕著に向上させることができる。その結果、本発明の触媒を用いて製造された膜-電極アセンブリー及びそれを含む燃料電池は、優れた性能及び耐久性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
添付の図面は、本発明の理解を助け、本明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施例を例示し、発明の詳細な説明と一緒に本発明の原理を説明する。
【0034】
図1】PtCo触媒を遷移金属でドーピング又は部分合金することによって製造される本発明の触媒を概略的に示す図である
【0035】
図2】(a)及び(b)は、実施例1の触媒の透過電子顕微鏡(TEM)写真及び高解像度-透過電子顕微鏡(HR-TEM)写真である。
【0036】
図3】(a)及び(b)は、実施例2の触媒の透過電子顕微鏡(TEM)写真及び高解像度-透過電子顕微鏡(HR-TEM)写真である。
【0037】
図4】比較例1の触媒の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【0038】
図5】比較例2の触媒の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【0039】
図6】実施例及び比較例の触媒のXRD分析結果を示すグラフである。
【0040】
図7】実施例及び比較例の触媒でそれぞれ形成された電極に対するCV(Cyclic Voltammetry)テスト結果をそれぞれ示すグラフである。
【0041】
図8】実施例及び比較例の触媒でそれぞれ形成された電極に対するLSV(Linear Sweep Voltammetry)テスト結果をそれぞれ示すグラフである。
【0042】
図9】実施例及び比較例の触媒を用いてそれぞれ製造された膜-電極アセンブリーの高湿運転条件(100%RH/100%RH)下での性能をそれぞれ示すグラフである。
【0043】
図10】実施例及び比較例の触媒を用いてそれぞれ製造された膜-電極アセンブリーの低湿運転条件(50%RH/50%RH)下での性能をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下に説明される実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的で提示されるだけで、本発明の範囲を制限しない。
【0045】
図1には、通常のPtCo触媒(以下、‘第1触媒’と称する)10を遷移金属でドーピング及び/又は部分合金することによって製造される本発明の触媒100を概略的に示す。
【0046】
図1に例示するように、前記第1触媒10は、担体11及び該担体11上に担持されているPtCo合金粒子12を含む、商業的に販売される触媒又は既に製造された触媒である。
【0047】
前記担体11は、(i)炭素系担体、(ii)ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びセリアのような多孔性無機酸化物担体、又は(iii)ゼオライト担体であってよい。
【0048】
前記担体11が炭素系担体である場合に、前記第1触媒10はPtCo/C触媒と表現されてよい。前記炭素系担体は、黒鉛、スーパーP(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、デンカブラック(Denka black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube,CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素(active carbon)、カーボンナノワイヤー(carbon nanowire)、カーボンナノボール(carbon nanoball)、カーボンナノホーン(carbon nanohorn)、カーボンナノケージ(carbon nanocage)、カーボンナノリング(carbon nanoring)、規則性ナノ多孔性炭素(ordered nano-/meso-porous carbon)、カーボンエアロゲル(carbon aerogel)、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)、グラフェン(graphene)、安定化カーボン(stabilized carbon)、又はそれらの2以上の組合せであってよい。
【0049】
図1に例示するように、前記PtCo合金粒子12は、PtとCoの2元合金(binary alloy)で形成された粒子であり、したがって、PtとCoのそれぞれが前記粒子の内部に均一に分布している。本発明の一実施例によれば、前記PtCo合金粒子12においてPtに対するCoのモル比は、0.05~0.4でよい。
【0050】
本発明によれば、前記第1触媒10が、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属でドーピング及び/又は部分合金される。
【0051】
前記ドーピング及び/又は部分合金工程は、前記遷移金属の前駆体を前記第1触媒10と混合して混合物を得る段階、及び前記混合物を熱処理する段階を含む。
【0052】
例えば、前記遷移金属はCuであってよく、前記遷移金属の前駆体は、CuCl、CuSO、CuO、Cu(COCH、CuS、Cu(NO、Cu(ClO、CuCO、又はこれらの2以上の混合物であってよい。
【0053】
前記混合物は、(i)前記前駆体を含有する溶液又は分散液に前記第1触媒を分散させる第1方法、(ii)前記前駆体を含有する溶液又は分散液を、前記第1触媒を含有する分散液と混合する第2方法、又は(iii)固体状態の前記前駆体を固体状態の前記第1触媒と直接混合する第3方法、によって得られてよい。
【0054】
ただし、前記第3方法によって得られる固体状態の混合物よりは前記第1又は第2方法によって得られる液体状態の混合物の方がより均質になり得、よって、前記第1触媒の均一なドーピング及び/又は部分合金に相対的に有利であり得る。
【0055】
前記混合物が前記第1又は第2方法によって得られる場合に、前記熱処理段階の前に前記混合物を乾燥させる段階がさらに行われてよい。
【0056】
前記混合物熱処理段階は、還元性ガスの雰囲気又は不活性ガスと還元性ガスとを含む混合ガスの雰囲気で100~300℃で10~60分間行われてよい。例えば、前記混合物熱処理段階は、チューブ型電気炉(Tube Furnace)で行われてよい。
【0057】
前記混合物熱処理段階が還元性ガスの雰囲気で行われる場合に、前記還元性ガスは、NHガスであってよい。
【0058】
前記混合物熱処理段階が不活性ガスと還元性ガスとを含む混合ガスの雰囲気で行われる場合に、前記不活性ガスはN又はArガスであってよく、前記還元性ガスはHガス、NHガス、又はそれらの組合せであってよい。前記混合ガスは、5~15vol.%の還元性ガス及び85~95vol.%の不活性ガスを含むことができる。
【0059】
前記混合ガス雰囲気で行われる熱処理は、前記混合物を電気炉(furnace)に入れ、不活性ガス(例えば、N又はArガス)下で昇温させ、前記電気炉の温度がターゲット温度に達すると還元性ガス(例えば、NHガス)を前記電気炉に供給することによって行われてもよい。
【0060】
このような前記混合物の熱処理によってPtCo触媒10の遷移金属ドーピング及び/又は部分合金が行われ、本発明の触媒100が得られてよい。
【0061】
図1に例示するように、本発明の燃料電池用触媒100は、担体110及び該担体110上に担持されているPtCo合金粒子120を含み、前記PtCo合金粒子120は、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、W、及びMoからなる群から選ばれる少なくとも一つの遷移金属でドーピング及び/又は部分合金されている。
【0062】
前記担体110は、前記触媒100の製造に用いられた第1触媒10の担体11と同一である。すなわち、前記担体110も同様、(i)炭素系担体、(ii)ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びセリアのような多孔性無機酸化物担体、又は(iii)ゼオライト担体であってよい。前記炭素系担体は、黒鉛、スーパーP(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、デンカブラック(Denka black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube,CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素(active carbon)、カーボンナノワイヤー(carbon nanowire)、カーボンナノボール(carbon nanoball)、カーボンナノホーン(carbon nanohorn)、カーボンナノケージ(carbon nanocage)、カーボンナノリング(carbon nanoring)、規則性ナノ多孔性炭素(ordered nano-/meso-porous carbon)、カーボンエアロゲル(carbon aerogel)、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)、グラフェン(graphene)、安定化カーボン(stabilized carbon)、又はそれらの2以上の組合せであってよい。
【0063】
図1に例示するように、前記PtCo合金粒子120は、(i)前記遷移金属で改質された遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed surface)を含む、(ii)前記遷移金属を含む遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域(transition metal-doped or transition metal-partially alloyed internal region)を含む、或いは(iii)前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面及び前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域の両方を含む、ことができる。
【0064】
本発明の前記PtCo合金粒子120は、基本的にPtとCoの2元合金(binary alloy)であるので、前記遷移金属が存在しない遷移金属-フリー表面(transition metal-free surface)及び/又は遷移金属-フリー内部領域(transition metal-free internal region)をさらに含む。前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面及び前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域にはPt、Co、及びCuが混在しているのに対し、前記遷移金属-フリー表面及び前記遷移金属-フリー内部領域にはPt及びCoが含まれているが、Cuは含まれていない。
【0065】
本発明のPtCo合金粒子120は、基本的にPtとCoの2元合金で形成された粒子であり、単に部分的にのみ前記遷移金属でドーピング及び/又は部分合金されているという点(すなわち、遷移金属-フリー表面及び/又は遷移金属-フリー内部領域を含むという点)で、前記遷移金属をPt及びCoと共に合金化させることによって得られる3元合金の粒子(すなわち、前記遷移金属が粒子全体においてPt及びCoと共に均一に混在している粒子)と異なる。
【0066】
図1に例示するように、本発明の前記PtCo合金粒子120は、(i)遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面及び遷移金属-フリー内部領域(粒子の内部全体に該当)を含む第1構造を有する、(ii)遷移金属-フリー表面、遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域、及び遷移金属-フリー内部領域を含む第2構造を有する、或いは(iii)遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金表面、遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域、及び遷移金属-フリー内部領域を含む第3構造を有する、ことができる。前記第1及び第3構造のそれぞれにおいて、遷移金属-フリー表面をさらに有してもよい。
【0067】
前記PtCo合金粒子120が前記第2又は第3構造を有する場合に、前記遷移金属-フリー内部領域は、前記遷移金属-ドーピング又は遷移金属-部分合金内部領域に比べて前記PtCo合金粒子の露出面から相対的に遠く離れていてよい。
【0068】
本発明の一実施例によれば、前記PtCo合金粒子120においてPtに対するCoのモル比は、0.05~0.4でよく、Ptに対する前記遷移金属のモル比は、0.03~0.15でよい。
【0069】
PtCo触媒10のPtCo合金粒子12が遷移金属(Me)でドーピング及び/又は部分合金されることによって製造される本発明の燃料電池用触媒100は、Me-PtCo触媒と表現され、Pt及びCoと共に遷移金属(Me)からなる3元合金であるPtCoMe触媒と区別可能である。
【0070】
例えば、本発明の触媒100は、Cuでドーピング及び/又は部分合金されたPtCo合金粒子120を含むCu-PtCo触媒であってよく、これは、Pt、Co、及びCuの3元合金で形成された粒子を含むPtCoCu触媒と区別される。
【0071】
また、前記担体110が炭素系担体であり、前記PtCo合金粒子120にドーピング及び/又は部分合金されている遷移金属がCuである場合に、本発明の触媒100はCu-PtCo/C触媒と表現されてよく、これは、Pt、Co、及びCuの3元合金が粒子状に炭素系担体上に分散されているPtCoCu/C触媒と区別される。
【0072】
電極スラリーを得るために、本発明の触媒100をイオノマーと共に分散媒に分散し、前記電極スラリーを用いて、デカル転写(decal transfer)又は直接コーティング(direct coating)によって高分子電解質膜(PEM)の両面にアノード及びカソードをそれぞれ形成することで、本発明の膜-電極アセンブリー(MEA)を製造することができる。
【0073】
代案として、本発明の膜-電極アセンブリー(MEA)は、アノード、カソード、及びそれらの間における高分子電解質膜(PEM)を含み、前記アノードとカソードのいずれか一方のみが本発明の触媒100を含み、他方は、本発明の触媒100に代えて通常の白金又は白金系合金触媒(例えば、Pt/C触媒、PtCo/C触媒、PtCoCu/C触媒、PtCoNi/C触媒など)を含んでもよい。
【0074】
前記触媒100と共に前記分散媒に分散されるイオノマーは、陽イオン伝達のためのものであり、前記触媒100と高分子電解質膜(PEM)間の接着力の向上のためのバインダーとしての機能も有する。
【0075】
前記イオノマーは、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、及びスルホン酸フルオリド基からなる群から選ばれる一つ以上のイオン伝導性基を有してよい。
【0076】
例えば、前記イオノマーは、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)、ポリ(ペルフルオロカルボン酸)などのようなフッ素系イオノマーであってよい。
【0077】
代案として、前記イオノマーは、スルホン化したポリイミド(sulfonated polyimide:S-PI)、スルホン化したポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone:S-PAES)、スルホン化したポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone:SPEEK)、スルホン化したポリベンズイミダゾール(sulfonated polybenzimidazole:SPBI)、スルホン化したポリスルホン(sulfonated polysulfone:S-PSU)、スルホン化したポリスチレン(sulfonated polystyrene:S-PS)、スルホン化したポリホスファゼン(sulfonated polyphosphazene)、スルホン化したポリキノキサリン(sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化したポリケトン(sulfonated polyketone)、スルホン化したポリフェニレンオキシド(sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化したポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone)、スルホン化したポリエーテルケトン(sulfonated polyether ketone)、スルホン化したポリフェニレンスルホン(sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化したポリフェニレンスルフィド(sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化したポリフェニレンスルフィドスルホン(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化したポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化したポリアリーレンエーテル(sulfonated polyarylene ether)、スルホン化したポリアリーレンエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化したポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、ポリアリーレンエーテルスルホンケトン(sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)などのような炭化水素系イオノマーであってよい。
【0078】
前記触媒100と前記イオノマーが分散される電極スラリーの分散媒は、水、親水性溶媒、有機溶媒、又はこれらの2以上の混合物であってよい。
【0079】
前記親水性溶媒は、炭素数1~12の線形又は分枝形の飽和又は不飽和炭化水素を主鎖として含み、アルコール、イソプロピルアルコール、ケトン、アルデヒド、カーボネート、カルボキシレート、カルボン酸、エーテル及びアミドからなる群から選ばれる一つ以上の官能基を有する化合物であってよい。
【0080】
前記有機溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)又はこれらの2以上の混合物であってよいが、これらに制限されない。
【0081】
以下、具体的な実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、これによって本発明の権利範囲が制限されてはならない。
【0082】
実施例1
【0083】
1gのPtCo/C触媒(すなわち、第1触媒)を水に分散させて分散液を得た。また、1.3gのCuClを水に溶かしてCu前駆体溶液を得た。前記分散液と前記Cu前駆体溶液を均質に混合して混合液を得た後、前記混合液から水を除去するための乾燥工程を行うことで、前記PtCo/C触媒と前記Cu前駆体との混合物である固形物を得た。前記固形物をチューブ型電気炉に入れ、HとNの混合ガス雰囲気で250℃で30分間熱処理を行うことで、Cu-PtCo/C触媒(以下、Cu-PtCo/C_H触媒)を得た。
【0084】
実施例2
【0085】
前記熱処理をNHガス雰囲気で行った以外は、前記実施例1と同じ方法でCu-PtCo/C触媒(以下、Cu-PtCo/C_NH触媒)を得た。
【0086】
比較例1
【0087】
前記実施例1で第1触媒として使用されたPtCo/C触媒と同じ種類のPtCo/C触媒を準備した。
【0088】
比較例2
【0089】
水に担体を分散させて分散液を得た。次に、Pt前駆体(HPtCl)、Co前駆体(CoCl)、及びCu前駆体(CuCl)を前記分散液と混合した後、ポリオール還元法による還元反応を行うことで、3元合金触媒であるPtCoCu/C触媒を得た。
【0090】
[触媒の透過電子顕微鏡(TEM)分析]
【0091】
図2の(a)及び(b)は、実施例1のCu-PtCo/C_H触媒の透過電子顕微鏡(TEM)写真及び高解像度-透過電子顕微鏡(HR-TEM)写真であり、図3の(a)及び(b)は、実施例2のCu-PtCo/C_NH触媒のTEM写真及びHR-TEM写真であり、図4は、比較例1のPtCo/C触媒のTEM写真であり、図5は、比較例2のPtCoCu/C触媒のTEM写真である。
【0092】
図2図5から、実施例の触媒は、粒子サイズがわずかに増加した以外は、粒子の分布及び状態面において比較例の触媒と殆ど差異がないことが分かる。
【0093】
Cu-PtCo/C_H触媒のHR-TEM写真[図2の(b)]及びCu-PtCo/C_NH触媒のHR-TEM[図3の(b)]に示すように、実施例1のCu-PtCo/C_H触媒は、実施例2のCu-PtCo/C_NH触媒に比べて粒子サイズがやや大きい以外は、別に差異が見られなかった。すなわち、熱処理時に供給された還元性ガスの種類による差異は大きくないことが分かる。
【0094】
[触媒のXRD分析]
【0095】
図6は、実施例及び比較例の触媒のXRD分析結果を示すグラフである。TEM分析結果と同様に、実施例の触媒は、粒子サイズがわずかに増加した以外は、比較例の触媒と殆ど差異がないことを、図6から確認できる。
【0096】
[CVテスト、LSVテスト、及び電圧サイクリングテスト]
【0097】
イソプロピルアルコールと水が7:3の体積比で混合された混合液に触媒を超音波分散によって分散させ、電極スラリーを製造した。前記電極スラリーを回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode:RDE)にキャスティング後に乾燥させることで、電極を製造した。電気化学測定装置を用いて前記電極に対してCV(Cyclic Voltammetry)テスト(温度:常温、電解質溶液:Nで飽和した0.1MのHClO水溶液)を行い、前記触媒の電気化学的活性面積(Electro-Chemical Surface Area:ECSA)を測定した。
【0098】
図7は、実施例及び比較例の触媒でそれぞれ形成された電極に対するCV(Cyclic Voltammetry)テスト結果をそれぞれ示すグラフである。実施例の触媒、特に実施例1のCu-PtCo/C_H触媒が、増加した電気化学的活性面積(ECSA)を示した。
【0099】
次に、前記電解質溶液をOで飽和させた後にLSV(Linear Sweep Voltammetry)テストを行い、前記触媒のORR(oxidation reduction reaction)活性を評価した。
【0100】
図8は、実施例及び比較例の触媒でそれぞれ形成された電極に対するLSV(Linear Sweep Voltammetry)テスト結果をそれぞれ示すグラフである。実施例の触媒、特に実施例1のCu-PtCo/C_H触媒が、より良好なORR活性を示した。
【0101】
また、前記触媒の電気化学的耐久性を評価するために、Oで飽和した前記電解質溶液において0.6~1.0Vの電圧サイクリングテスト(30,000サイクル)を行った。前記電圧サイクリングテスト前後の電気化学的活性面積(ECSA)をそれぞれ測定し、それらの測定値に基づいてECSA減少率を算出し、その結果を下表1に示した。
【0102】
【表1】
【0103】
上の表1から分かるように、実施例の触媒、特に実施例1のCu-PtCo/C_H触媒が、比較例の触媒に比べて格段に低いECSA減少率を示したが、これは、PtCo合金粒子がCuでドーピング及び/又は部分合金されることによって製造された本発明のCu-PtCo/C触媒が、比較例1のPtCo/C触媒は勿論のこと、比較例2のPtCoCu/C触媒に比べても高い耐久性を有することを意味する。
【0104】
[MEA性能テスト]
【0105】
イソプロピルアルコールと水が7:3の体積比で混合された混合液に触媒を超音波分散によって分散させ、電極スラリーを製造した。前記電極スラリーを第1及び第2離型フィルム上に25cmの面積でそれぞれ塗布した後、90℃オーブンで8時間乾燥させることで、正方形のアノード及びカソードをそれぞれ形成した。次に、前記アノード及びカソードが、ペルフルオロスルホン酸で形成された高分子電解質膜の第1及び第2面の上にそれぞれ接触するように、前記第1離型フィルム、前記高分子電解質膜、及び前記第2離型フィルムを積層及び熱圧着した後、前記第1及び第2離型フィルムを除去することで、膜-電極アセンブリーを完成した。前記膜-電極アセンブリーを燃料電池単位セル評価装置に締め付け、活性化を経た後に、65℃、常圧状態で高湿運転条件(100%RH/100%RH)及び低湿運転条件(50%RH/50%RH)のそれぞれにおいて出力性能を測定した。
【0106】
図9及び図10は、実施例及び比較例の触媒を用いてそれぞれ製造された膜-電極アセンブリーの高湿運転条件及び低湿運転条件下での性能をそれぞれ示すグラフである。図9及び図10のグラフは、実施例のCu-PtCo/C触媒でそれぞれ製造された膜-電極アセンブリーが、高湿運転条件及び低湿運転条件のいずれにおいても、比較例のPtCo/C触媒及びPtCoCu/C触媒でそれぞれ製造された膜-電極アセンブリーに比べて改善された性能を有していることを示す。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】