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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】吸収性血管フィルタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/221 20060101AFI20221215BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20221215BHJP
【FI】
A61B17/221
A61F2/95
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523616
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 US2020056359
(87)【国際公開番号】W WO2021080923
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】16/659,536
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513249035
【氏名又は名称】アディエント メディカル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】エッガース, ミッチェル ドン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
4C160MM37
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB11
4C267BB20
4C267CC08
4C267DD10
4C267HH08
(57)【要約】
体液を一時的にろ過するために血管内に配置するための吸収性血管フィルタが開示される。一実施形態は、下大静脈(IVC)内にこのような吸収性血管フィルタを配置して、肺塞栓症(PE)を予防するために限定された持続時間にわたって塞栓をろ過するように構成される。PEからの保護が完了すると、フィルタは、フィルタ成分の吸収特性によって決定される計画されたスケジュールに従って生分解される。したがって、一時的吸収性血管フィルタは、金属の回収可能なIVCフィルタでは必要な除去が不要でありながら、深部静脈血栓症の増加、フィルタ破損による隣接臓器の穿刺及び塞栓形成などの永続的IVCフィルタの長期合併症を回避する。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性フィルタであって、
前記フィルタを血管に取り付ける又は固定するための吸収性環状要素と、
前記環状要素に取り付けられ、血管内を流れる物質を限定された持続時間にわたって捕捉又は抑制するための複数の吸収性捕捉要素と、
を備え、前記環状要素及び前記捕捉要素の両方が、吸収性材料の略円形の管から切り抜かれている、吸収性フィルタ。
【請求項2】
少なくとも2つの吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するために吸収性フィラメントで固定することができる、遠位端に位置する環を有する、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項3】
少なくとも2つの吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するためにエンドプレート内の相補的な細片受部に固定することができる細片構造体を遠位端に含む、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項4】
前記吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するためにエンドプレート内の嵌合シャフトに固定することができる環を遠位端に含む、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項5】
前記吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するためにエンドプレート内の孔に挿通することができる逆棘構造体を遠位端に含む、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項6】
前記吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するためにエンドプレート内の嵌合シャフトに固定することができる環を遠位端に含む、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項7】
前記吸収性捕捉要素の一部が、前記血管内における捕捉要素の将来的な同時大量剥離を回避するために、経時的に分解するように選択されている、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項8】
前記略円形の管が、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボナート、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、ポリL乳酸、ポリグレカプロン、ポリグリトン及びポリラクチコグリコール酸からなる群から選択された吸収性材料から製造されている、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項9】
前記環状要素が、血管に取り付けるためのアンカー要素又は逆棘を備える、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項10】
前記環状要素及び/又は前記捕捉要素が、抗凝固のための生物活性表面を有する、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項11】
吸収性フィルタであって、
前記フィルタを血管に取り付ける又は固定するための吸収性環状要素と、
前記環状要素に取り付けられ、血管内を流れる物質を限定された持続時間にわたって捕捉又は抑制するための複数の吸収性捕捉要素と、
を備え、前記環状要素が、吸収性材料の略円形の管から切り抜かれている、吸収性フィルタ。
【請求項12】
前記複数の吸収性捕捉要素が、吸収性フィラメント又は縫合糸から製造されている、請求項11に記載の吸収性フィルタ。
【請求項13】
前記複数の吸収性捕捉要素が、捕捉バスケットを確立するために、隣接する吸収性捕捉要素と結び付けられている、請求項12に記載の吸収性フィルタ。
【請求項14】
前記複数の吸収性捕捉要素が、略円錐形の捕捉バスケットを形成するためにエンドプレートに振り向けられている、請求項13に記載の吸収性フィルタ。
【請求項15】
前記略円形の管及び前記吸収性捕捉要素が、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボナート、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、ポリL乳酸、ポリグレカプロン、ポリグリトン及びポリラクチコグリコール酸からなる群から選択された吸収性材料から製造されている、請求項11に記載の吸収性フィルタ。
【請求項16】
前記環状要素が、血管に取り付けるためのアンカー要素又は逆棘を備える、請求項11に記載の吸収性フィルタ。
【請求項17】
前記環状要素及び/又は前記捕捉要素が、抗凝固のための生物活性表面を有する、請求項1に記載の吸収性フィルタ。
【請求項18】
送達カテーテルを用いて請求項1及び11に記載の吸収性フィルタを送達するための方法であって、前記送達が、
送達カテーテル内の、圧縮された形態の前記フィルタを血管内の所望の位置に挿入するステップと、
血管内の前記所望の位置に、拡張された形態で前記フィルタを配置するステップと、
その後、送達カテーテルを前記血管から取り除くステップと、
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2011年2月28日に電子出願された「Absorbable Vascular Filter」と題するMitchell Eggersへの米国特許出願番号第13/036,351号の一部の継続である2011年4月28日に電子出願された「Vascular Filter Stent」と題するMitchell Eggersへの米国特許出願番号第13/096,049号の一部の継続である2012年2月23日に電子出願された「Absorbable Vascular Filter」と題するMitchell Eggersへの米国特許出願番号第13/403,790号の一部の継続である2019年10月21日に出願された一部継続特許出願第16/659,536号の優先権を主張し、これらのすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み入れられる。
【0002】
[0002]本発明は、血管フィルタに関し、より具体的には、体液の一時的なろ過のために血管内に配置される吸収性血管フィルタに関する。一実施形態は、フィルタの吸収特性によって決定される特定の持続時間にわたって肺塞栓症を防止するために下大静脈(IVC)内にこのような吸収性血管フィルタを配置するように構成される。
【背景技術】
【0003】
[0003]毎年10万人~30万人の米国人が肺塞栓症(PE)で死亡しており(乳癌とAIDSを合わせた数より多い)、米国で3番目に多い死因である[1-5]。欧州においてもPEの同様の発生率が見られ、年間約37万人が死亡している[6]。さらに、PEは、最初の24時間生存する外傷患者において3番目に多い死因である。全入院患者の推定25%が何らかの形態の深部静脈血栓症(DVT)を有しており、これはPEが発症しなければ臨床的に明らかでないことが多い[7]。平均して、DVTの33%が症候性PEに進行し、そのうち10%が致死的である[6]。
【0004】
[0004]米国公衆衛生局長官はこの憂慮すべき統計を認識しており、DVT及びPEを予防するための公式な行動喚起を2008年に発した[1]。残念なことに、DVT/PEは、1つには治療後の長期の身体活動不足のために、高齢者に偏って発症する。発生率は50歳未満では比較的低く(10万分の1)、その後、指数関数的に加速して85歳までに1000/10万に達する[8]。その結果、米国公衆衛生局長官は、より良い予防が存在しなければ、高齢化する米国人口に伴うDVT/PE症例数の増加が人口増加を上回る可能性があると宣言した[1]。
【0005】
[0005]DVTから生じるPEの危険因子は、Virchowの3要因[9]、すなわち、(i)内皮の損傷、(ii)凝固性亢進及び(iii)血行動態の変化(うっ滞又は乱流)に続いて生じる。したがって、特定の危険因子には、股関節及び膝関節形成術、腹部、骨盤及び四肢の手術、骨盤及び長管骨の骨折、長期の入院及び飛行機での移動などの長期の不動、麻痺、高齢、以前のDVT、癌、肥満、COPD、糖尿病並びにCHFが含まれる。予防的治療が行われない場合には、整形外科医の患者は、膝及び股関節手術後にDVT及びPEになる40%~80%のリスクを有するので、整形外科医は特に懸念している[10-12]。
【0006】
[0006]米国整形外科学会(AAOS)は、PE予防のためのガイドラインを発行している。基本的に、標準的なリスクを有する患者には、手術中及び/又は手術直後の機械的予防に加えて、アスピリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、合成五糖類又はワルファリンなどの化学的予防剤が検討されるべきである[13]。
【0007】
[0007]アスピリンは、症候性DVTの相対リスクを29%低下させ、致死性PEの相対リスクを58%低下させる[14]。LMWHは、DVTのリスクを30%低下させ、股関節及び膝関節形成術などの高リスク群において未分画ヘパリンよりも有効であることが証明されている[7]。3ヶ月間の二次血栓予防として2~3の国際標準化比(INR)結果を達成することを目標として、ヘパリンを開始してから24~48時間以内に開始されたワルファリンは、プラセボと比較して再発性静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを90%低下させる[15,16]。空気嚢で脚を繰り返し圧縮する空気圧式圧縮装置からなる機械的予防も、PEの発生を低下させるために抗凝固剤と共に利用される。
【0008】
[0008]予防の継続期間は、潜在的なDVTの原因に依存する。予防のための現在の推奨は、中リスクから高リスクの手術については最低7~10日間、多くの整形外科手術については最長28~35日間からなる。具体的には、整形外科的外傷の場合、DVT予防は、患者が動けるようになるまで(32%)、入院患者が退院するまで(19%)、術後3週間まで(16%)、術後6週間まで(27%)、まれな状況では6週間を超えるまで(7%)継続される[17]。研究は、凝固性亢進が外傷患者の80%において傷害後少なくとも1ヶ月間持続することを示す[18]。膝関節及び股関節全形成術並びに癌手術に関しては、35日間の予防的治療が推奨されている[12,19]。総じて、発生し得るVTEに対する予防的治療は、外傷又は大きな手術後最長6週間必要とされることが多い。
【0009】
[0009]化学的予防に対する禁忌には、活動性出血、出血性素因、出血性卒中、神経手術、過度の外傷、血胸、頭蓋内出血を伴う骨盤又は下肢の骨折、抗凝固中断、及び手術を受けている最近のDVT/PE患者が含まれる。
【0010】
[0010]上述の抗凝固予防が禁忌である患者又は抗凝固療法が奏功しなかった患者については、AAOS、米国内科学会及び英国血液学標準化委員会はすべて、下大静脈(IVC)フィルタの使用を推奨している[13,20,21]。肺に到達してPEをもたらす前に、DVTから生じる塞栓を実質的に捕捉するために、これらの血管内金属フィルタは、カテーテルを介してIVC内に配置される。さらに、英国血液学標準化委員会は、抗凝固に対して禁忌であり、分娩直前(2週間以内)に広範なVTEを発症する妊娠患者におけるIVCフィルタの配置を推奨している。
【0011】
[0011]東部外傷手術学界(Eastern Association for Surgery of Trauma)は、出血及び長期不動化のリスクが増加した外傷患者に配置される予防的IVCフィルタをさらに推奨している[22]。このような予防の推奨は、IVC配置を受けた重度の多発性外傷を有する患者におけるPEの割合が低いことを実証する研究に基づく[23~25]。実際、1999年の49,000から2007年には167,000に達し、2012年には259,000ユニットになると予測されているIVCフィルタ全体の使用のなかで最も急成長する兆しがあるのは、回収可能なIVCフィルタを利用する予防市場である[26,27]。
【0012】
[0012]主としてIVC配置用の血管フィルタの例は、米国特許第4,425,908号明細書;米国特許第4,655,771号明細書;米国特許第4,817,600号明細書;米国特許第5,626,605号明細書;米国特許第6,146,404号明細書;米国特許第6,217,600号明細書;米国特許第6,258,026号明細書;米国特許第6,497,709号明細書;米国特許第6,506,205号明細書;米国特許第6,517,559号明細書;米国特許第6,620,183号明細書;米国特許出願公開第2003/0176888号明細書;米国特許出願公開第2004/0193209号明細書;米国特許出願公開第2005/0267512号明細書;米国特許出願公開第2005/0267515号明細書;米国特許出願公開第2006/0206138号明細書;米国特許出願公開第2007/0112372号明細書;米国特許出願公開第2008/0027481号明細書;米国特許出願公開第2009/0192543号;米国特許出願公開第2009/0299403号明細書;米国特許出願公開第2010/0016881号明細書;米国特許出願公開第2010/0042135号明細書;及び米国特許出願公開第2010/0174310号明細書に開示されている。
【0013】
[0013]IVCフィルタの有効性は、いくつかのクラスI及びIIのエビデンス研究において実証されている[22,28-30]。7~10日以内に内皮化が起こり、ほとんどのモデルは、生命を脅かす出血、IVCの解離及び血栓症に至る不可逆的な血管損傷を伴わずに除去することができなくなるので、設置された初期のフィルタのほとんどは、永続的な定置物であることが期待された。これらの永続的なフィルタはPEを予防したが、実際には、時間が経過するにつれて再発性DVTのリスクを増加させることが示されている。
【0014】
[0014]具体的には、PEを予防するためのIVCフィルタの使用に関するCochraneによる総説[31]は、Decoususら[32]によるレベルI無作為化前向き臨床試験を引用しており、同臨床試験では、IVCフィルタコホートでのDVTの発生率はほぼ2倍増加した、すなわち、(i)2年でのフィルタコホートにおける再発性DVTの発生率21%に対して非フィルタLMWHコホートにおける12%(p=0.02)、及び(ii)8年でのフィルタコホートにおける再発性DVTの発生率36%に対して非フィルタ群における15%(p=0.042)であった[33]。しかしながら、これらのフィルタは、PEの発生を確かに低下させ、フィルタコホートは1%のPEしか経験しなかったのに対して、非フィルタコホートは最初の12日間で5%のPEを呈した(p=0.03)。調査したいずれの時間枠においても、死亡率の統計学的に有意な差は見られなかった。死亡率に差はなく、明らかに、永続的なIVCフィルタによるPEの低下という初期の有益性は、DVTの増加によって相殺される。
【0015】
[0015]長期のIVCフィルタ配置のためのDVTの発生率の増加に加えて、フィルタ閉塞が6%~30%で発生する他、フィルタ移動(3%~69%)、静脈不全(5%~59%)及び血栓後症候群(13%~41%)が報告されている[34~36]。血腫、感染、気胸、声帯麻痺、卒中、空気塞栓症、誤配置、傾斜した動静脈瘻及び不注意な頸動脈穿刺を含む挿入による合併症の発生率は4%~11%である[37]。
【0016】
[0016]より最近では、PEのリスクが低下したら除去することを意図して一時的な又は回収可能なIVCフィルタが市販されており、これにより、永続的なフィルタの有害な合併症の多くを回避する。回収可能なフィルタは、回収を容易にするために、可撓性のフック、畳める部材、及び非拘束の脚を特徴とする。残念なことに、これらの同じ特徴は、望ましくないフィルタ移動、疲労破損、IVC貫通、肝静脈及び肺動脈への断片移動、フィルタ傾斜並びに金属塞栓をもたらした[38~43]。2005年以来、328例の装置の移動、146例の装置の剥離(金属塞栓)、70例のIVCの貫通及び56例のフィルタ破損を含む921例の有害フィルタ事象がFDAに報告されている[44]。50ヶ月にわたって25%が破損し、末端器官を塞栓したBard Recoveryフィルタなど、一部の回収可能な製品は、警戒すべき故障率を報告している。心臓を塞栓した破損の71%は、生命を脅かす心室頻拍、タンポナーデを引き起こし、一部の事例では突然死を引き起こした。別の回収可能なモデルであるBard G2は、24ヶ月にわたって12%の破損を生じた[45]。装置破損のこのような発生は、留置時間に方向的に比例すると仮定される。
【0017】
[0017]これら及びその他の不具合のため、FDAは、2010年8月に、「FDAは、PEからの保護がもはや不要になったら直ちに、回収可能なIVCフィルタを有する患者の継続的なケアを担当する移植内科医及び臨床医はフィルタを除去することを検討することを推奨する」と述べる公式な通告を発した[44]。これらの種類の回収可能なフィルタは数か月で除去されることが意図されているが、いくつかの研究は、回収可能なIVCフィルタを有する患者の約70%~81%はフィルタ除去のために病院を再び訪れることはなく、それによって数十万人の患者が回収可能なIVCフィルタの長期配置の生命を脅かす有害事象に曝されていることを示している[41,44,46-48]。これらの患者は、経過観察を行えないか、又は合併症が存在しなければフィルタの除去を拒絶する。
【発明の概要】
【0018】
[0018]本発明は、液体をろ過するためのシステム及び方法を含む。特定の実施形態は、身体の血管内の塞栓を捕捉し、拘束することによって肺塞栓症を一時的に予防する新規な吸収性血管フィルタを含む。本発明の特定の態様による吸収性血管フィルタは、永続的、一時的及び任意的IVCフィルタを含むすべての従来の血管フィルタを超える様々な利点を有する。最も重要なことに、本明細書に開示される吸収性血管フィルタは、フィルタ除去の必要性をなくす吸収性フィルタ材料の選択によって設計された計画されたスケジュールに従って血管内でゆっくりと生分解される。さらに、吸収性血管フィルタ要素は、移動してしばしば断片化される従来の金属IVCフィルタによって示されるような悪影響を慎重に計画された分解の際に末端器官に対して及ぼさない非金属合成ポリマーから製造される。また、吸収性血管フィルタの留置時間は比較的短い(月単位)ために、従来の長期IVCフィルタで見られる逆説的なDVTの増加は回避される可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1aは、吸収性捕捉要素の段階的逐次生分解を含む吸収性血管フィルタの一実施形態の切欠き等角図であり、図1bは、図1aの捕捉要素を詳細に描いており、図1cは、捕捉要素の近位部分が生体吸収/生分解された、より後の時点での図1bの捕捉要素を描いており、図1dは、捕捉要素の近位区画及び中間区画が生体吸収/生分解されて遠位区画のみが残存する、さらに後の時点での図1cの捕捉要素を描いており、図1eは、最も遠い時点での図1bの捕捉要素の完全な生体吸収/生分解を表している。
図2図2aは、同じく吸収性捕捉要素の段階的逐次生分解を特徴とする吸収性血管フィルタの別の実施形態の断面概略図であり、図2bは、図2aに図示される吸収性フィルタの吸収性捕捉要素の拡大端面図であり、図2cは、血管内にフィルタを設置したときの図2bの捕捉要素を図示しており、図2dは、内側捕捉リング要素が生体吸収/生分解された、より後の時点での図2cの捕捉要素を図示しており、図2eは、周方向に取り付けられた捕捉要素が生体吸収/生分解された、より後の時点での図2dの捕捉要素を図示しており、図2fは、周方向に取り付けられた2つの捕捉要素が生体吸収/生分解された、より後の時点での図2eの捕捉要素を図示しており、図2gは、生体吸収/生分解後に、周方向に取り付けられた1つの捕捉要素のみが残存する、より後の時点での図2fの捕捉要素を図示しており、図2hは、最も遠い時点で完全に生体吸収/生分解された図2bの捕捉要素を図示している。
図3図3aは、塞栓などの物質をろ過するためにステントに取り付けられた複数の捕捉要素を含む血管フィルタの一実施形態の切欠き等角図であり、図3bは、図3aの捕捉要素を詳細に描いている。
図4図4aは、捕捉要素の様々な直径及び消滅期限に基づく逐次的分解を特徴とする、クモの巣状パターンのポリジオキサノン縫合糸サイズ3~0、2~0、0及び1から構築された吸収性血管フィルタであり、図4bは、サイズ2-0のみが使用されることを除いて、図4aのクモの巣状設計と同様の設計のポリジオキサノン縫合糸から構築された吸収性血管フィルタであり、図4cは、従来のIVCフィルタに典型的な放射状パターンのポリジオキサノン縫合糸サイズ2~0から構築された吸収性血管フィルタであり、図4dは、捕捉要素の様々な直径に基づく逐次的分解を特徴とする、放射状パターンのポリジオキサノン縫合糸サイズ3~0、2~0、0及び1から構築された吸収性血管フィルタである。
図5図5は、13週目から始まり22週目までに最終的な崩壊に達する週あたり1~2個の捕捉要素を緩めるフィルタの逐次的分解を明らかにするために、0、7、13~22週目でのインビトロ試験中の図4aに示される吸収性フィルタの写真を示す。
図6図6は、インビトロ試験中のポリジオキサノン捕捉要素の平均破断荷重(kg/ストランド)対時間のグラフである。
図7図7は、当初強度の百分率対時間としての、ポリジオキサノン捕捉要素の強度保持のグラフである。
図8図8は、インビトロ試験中のポリジオキサノン捕捉要素のヤング率対時間のグラフである。
図9図9aは、フィルタが圧縮された状態で、カテーテルをベースとするシステムを使用して吸収性血管フィルタを設置するための方法を明らかにする断面概略図であり、図9bは、完全に開いた状態でフィルタを配置するために外側シースをスライドさせながら、カテーテルをベースとするシステムを使用した吸収性血管フィルタの配置を詳細に示す断面概略図であり、図9cは、カテーテルをベースとする設置システムの外側シースを取り外しながら、吸収性血管フィルタを安定させるために使用される中央安定化ロッド又はピストンを取り外すことを詳細に示す断面概略図であり、図9dは、血管内に塞栓が存在する場合の吸収性血管フィルタの動作を示しており、図9eは、吸収性血管フィルタの完全な生分解/生体吸収後の血管を表している。
図10図10aは、捕捉バスケットと一体化した編まれた又は織られたステントから構成された吸収性血管フィルタの一実施形態を表しており、図10bは、図10aに示される吸収性血管フィルタの関連する上面図である。
図11図11は、吸収性血管フィルタのステント部分を備える吸収性要素の編み物又は織物の拡大図である。
図12図12は、一体型吸収性血管フィルタのためのステント部分と捕捉バスケットの両方を備える吸収性要素の編み物又は織物の拡大図である。
図13図13aは、単一の合成フィラメントで編まれた一体型吸収性IVCフィルタの写真であり、図13bは、図13aに示される一体型吸収性IVCフィルタの端面写真である。
図14図14aは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの一実施形態の等角図であり、フィルタ先端は、捕捉要素をフィラメントで固定することによって形成されており、図14bは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの実施形態の対応する等角図であり、フィルタ先端は、捕捉要素をフィラメントで固定することによって形成されている。
図15図15aは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの一実施形態の等角図であり、フィルタ先端は、細片を有するエンドプレートで捕捉要素を固定することによって形成されており、図15bは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの実施形態の対応する等角図であり、フィルタ先端は、細片を有するエンドプレートで捕捉要素を固定することによって形成されている。
図16図16aは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの一実施形態の等角図であり、フィルタ先端は、嵌合接続シャフトを有するエンドプレートで捕捉要素を固定することによって形成されており、図16bは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの実施形態の対応する等角図であり、フィルタ先端は、嵌合接続シャフトを有するエンドプレートで捕捉要素を固定することによって形成されている。
図17図17aは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの一実施形態の等角図であり、フィルタ先端は、捕捉要素をエンドプレートで固定することによって形成されており、図17bは、略管状の材料から切断された吸収性血管フィルタの実施形態の対応する等角図であり、フィルタ先端は、捕捉要素をエンドプレートで固定することによって形成されている。
図18図18aは、環状要素が略管状の材料から切断され、フィルタバスケットが、結び合わされエンドプレートで先端において固定されている吸収性フィラメント捕捉要素から形成される吸収性血管フィルタの一実施形態の等角図であり、図18bは、環状要素が略管状の材料から切断され、フィルタバスケットが、結び合わされエンドプレートで先端において固定されている吸収性フィラメント捕捉要素から形成される吸収性血管フィルタの実施形態の対応する等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0063]ここで、当業者が本発明を実施できるように例示的な例として提供される図面及び写真を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。注目すべきことに、以下の図面及び例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、記載又は図示された要素の一部又は全部を置き換えることによって他の実施形態が可能である。便宜上、同一又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。これらの実施形態の特定の要素を公知の構成要素を使用して部分的に又は完全に実施することができる場合、本発明の理解に必要であるこのような公知の構成要素の一部のみが記載され、このような公知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明が不明瞭にならないようにするために省略される。本明細書において、単一の構成要素を示す実施形態は限定とみなされるべきではなく、むしろ本発明は、複数の同一の構成要素を含む他の実施形態を包含することが意図され、本明細書に明示的に別段の記載がある場合を除き、逆もまた同じである。さらに、出願人は、本明細書又は特許請求の範囲のいずれの用語も、そのように明示的に記載されていない限り、一般的でない又は特別な意味とみなされることを意図しない。さらに、本発明は、例示として本明細書で言及される構成要素に対する現在及び将来の既知の均等物を包含する。
【0021】
[0064]図1a~図1eに図示されている実施形態を参照すると、吸収性血管フィルタ1は、複数の吸収性フィルタ捕捉要素(30~32,40~41)を支持するための外側の、環状要素2を備える。捕捉要素は、予期せぬ塞栓を引き起こすフィルタ全体の同時剥離を回避するために逐次的様式で生物学的に吸収及び/又は分解されるように意図的に設計されている。逐次的分解は、異なる吸収プロファイル、直径及び/又は消滅期限を有する吸収性ポリマーを選択することによって制御することができる。さらに、吸収中に脱離点として機能するように、吸収性結合を組み入れ得る。逐次的な生体吸収/生分解が図1b~図1eに図解されており、分解は近位の捕捉要素30から開始して、中間部の捕捉要素31に進行し、図1eに図示されているように最後に完全な生体吸収/生分解に進む。
【0022】
[0065]捕捉要素のこのような設計された逐次的生体吸収/生分解は、多数の合成材料を用いて達成することができる。目標は、所望のフィルタ留置時間に合致するように吸収性フィルタ材料を選択することである。前述の背景の節のとおり、外傷後又は大きな手術と併せてPEを予防するためのIVCフィルタには、6週間のフィルタ留置時間が適しているであろう。捕捉要素を形成するために使用することができる合成材料には、以下のものが含まれる:
【0023】
[0066]ポリジオキサノン(PDO、PDS)-複数の反復するエーテル-エステル単位の無色の結晶性生分解性合成ポリマー。縫合糸形態では、PDS II(Ethicon、Somerville、NJ)サイズ4/0以下は、2、4及び6週において、それぞれその引張強度の60%、40%及び35%を維持する。PDS IIサイズ3/0以上では、2、4及び6週において、それぞれその引張強度の80%、70%及び60%を保持する。6週間創傷を支持することに加えて、PDS II縫合糸は、加水分解を介して183~238日間で完全に吸収されるため、IVCフィルタ用途の強力な候補となる。基本的に、吸収は最初の90日間は最小であり、6ヶ月で本質的に完了する。最後に、PDSは微生物に対して親和性が低く、組織反応は最小限である。
【0024】
[0067]ポリトリメチレンカーボナート(Maxon)-吸収プロファイルはPDSと類似するが、破断強度がわずかに高い。Maxon(Covidien,Mansfield,MA)は、2、4及び6週において、それぞれその引張強度の81%、59%及び30%を維持し、180~210日間で完全に加水分解される。
【0025】
[0068]ポリグラクチン910(Vicryl)-ラクチドとグリコリドのコポリマー(ポリグラクチン370)で被覆された編まれたマルチフィラメント。縫合糸形態では、Vicryl(Ethicon)サイズ6/0以上は、2、3及び4週において、それぞれその引張強度の75%、50%及び25%を維持し、56~70日で完全に吸収される。
【0026】
[0069]ポリグリコール酸(Dexon)-ポリグラクチンと同様、ポリグリコール酸から作製され、ポリカプロラートで被覆されている。Dexonは、ポリグラクチンと同様の引張強度及び吸収プロファイルを有する。
【0027】
[0070]ポリグレカプロン25(Monocryl)-グリコリドとe-カプロラクトンの合成コポリマー。Monocryl(Ethicon)は、1及び2週において、それぞれその引張強度の50%~70%及び20%~40%を維持し、91~119日間で完全に吸収される。
【0028】
[0071]モノマーグリコール酸と乳酸のポリラクチコグリコール酸(PLGA)コポリマー。重合のためのラクチドとグリコリドの比を制御することによって、形態及び特性が異なるPLGAを作製することができる。他の合成吸収性材料と同様に、PLGAは、モノマー比に依存する吸収プロファイルで加水分解によって分解し、グリコリドの含有量が高いほど、分解がより速くなる。しかしながら、50:50コポリマーが、2ヶ月における最も速い分解を示す。ポリマーは体内で分解して、いずれも通常の生理的物質である乳酸とグリコール酸を生成するので、PLGAは最小限の全身毒性をもたらす。
【0029】
[0072]ポリL-乳酸(PLA)も乳酸から作製されるポリマーであるが、かなりの寿命を有する。軟組織の癒合において、PLAは28週間無傷の状態を保ち、52週間以内に完全に吸収される。
【0030】
[0073]PE保護期間後に逐次に分解するように捕捉要素を設計する例として、近位の捕捉要素30、41は、PDS IIサイズ4/0(直径0.15mm)で製造することができ、中間の捕捉要素31、40は、サイズ2/0(直径0.3mm)で製造することができ、最後に、遠位の捕捉要素32は、サイズ2(0.5mm)のPDS II縫合糸で製造することができる。
【0031】
[0074]複数の捕捉要素を組み立てる代わりに、血管フィルタは、吸収性又は非吸収性の複合メッシュで製造することができる。メッシュ捕捉システムの候補としては、C-QUR(Atrium Medical Corp.Hudson NH)などのポリプロピレン、PROCEED(Ethicon、Somerville、NJ)のようにポリジオキサノンによって被包されたポリプロピレン、Bard Sepramesh IP Composite(Davol,Inc.、Warwick、RI)のようにポリグリコール酸繊維と共に編まれたポリプロピレン、Parietiex Composite(Covidien、Mansfield、MA)のようなポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephathalate)及びDUALAMESH(W.Gore&Assoc.Inc.、Flagstaff、AZ)において使用されるePTFEが挙げられる。
【0032】
[0075]吸収性血管フィルタの捕捉要素を支え、カテーテルから広がる際に血管内でのフィルタの位置を保持する役割を果たす図1図2及び図3中の環状要素2に関しては、上述のような吸収性材料又は非吸収性材料のいずれかを使用することができる。非吸収性材料は、本質的に、吸収性捕捉要素の寿命をはるかに超えて持続する永続的なステントとして機能する。これは、血管が開存性を維持する上で補助を必要とする事例において重要な選択肢となり得る。両タイプの環状要素2は、配置時にフィルタの位置を保持するために逆棘79(図2を参照)を組み込み得る。環状要素を構築するための妥当な非吸収材料には、Nitinol、Elgiloy、Phynox、316ステンレス鋼、MP35N合金、チタン合金、白金合金、ニオブ合金、コバルト合金及びタンタルワイヤが含まれる。
【0033】
[0076]図2a~図2hは、任意に設けられる逆棘79によって血管壁70に対して固定された単純な環状要素2に、吸収性捕捉要素60~64が取り付けられている、吸収性血管フィルタの別の実施形態を例示する。ここでも同様に、環状要素2は、上述したような吸収性又は非吸収性材料で製造することができる。捕捉要素アセンブリ65の拡大断面図を図2bに示す。捕捉要素の逐次的分解は、選択された吸収性材料の直径を変化させることによって達成されることに留意されたい。例えば、内側捕捉要素60は、時間tにおいて図2dに示されるように最も速い吸収をもたらすPDS II4/0(直径0.15mm)であり得、続いて捕捉要素61の分解は、図2eにおける時間tでのPDS II3/0(直径0.20mm)であり、続いて捕捉要素62の分解は、図2fにおける時間tでのPDS II2/0(直径0.30mm)であり、続いて捕捉要素63の分解は、図2gにおける時間tでのPDS II 0(直径0.35mm)であり、最後に、図2hにおける時間tでのPDS II 1(直径0.40mm)で構成された最後の捕捉要素64の分解が続く。これらの寸法は具体的な例を表しているが、約0.1mm~0.7mmの中の直径であればいずれも十分である。全体として、外傷及び大きな手術用途に対しては6週間の予防期間後に、分解が徐々に進行するように意図的に設計されている。
【0034】
[0077]図3a及び図3bに図示される実施形態を参照すると、血管フィルタ1は、複数の畳むことが可能なフィルタ捕捉要素(60~64)を支え、血管の開存性を維持するための外側環状ステント2を備える。捕捉要素は、カテーテルを用いた設置のため及び末端器官の損傷を回避するために、畳むことが可能であるように意図的に設計されている。支持ステント2は、波状支持構造3によって支えられた人工の移植血管として製造されることが示されている。吸収性又は非吸収性フィルタ捕捉要素から構成することができるこの血管フィルタは、永続的、一時的及び任意的なIVCフィルタを含むすべての従来の血管フィルタを超える様々な利点を有する。最も重要なことに、血管フィルタは、血管の開存性を与えることに加えて捕捉要素のための環状設置具として機能し、逆棘付き支柱を有する金属フィルタに特徴的な内皮化を回避するステントを用いて作られている。したがって、金属IVCフィルタを用いた場合に、金属支柱による固有の血管損傷に起因して観察されるDVTの発生率の増加は、回避される可能性が高い。
【0035】
[0078]図3aにおける環状ステント要素2は、血管の開存性を維持すること、及び拡張時に血管内でのフィルタの固定位置を維持することに加えて、血管フィルタの捕捉要素を支える役割を果たす。胸部内プロテーゼとして従来から使用されている数多くのタイプのステントを利用することができる。このようなステントには、Gore TAG、Medtronic Talent and Valiant Systems及びCook Zenith TX2 Systemが含まれる。特に、Gore TAGは、Nitinol支持構造と組み合わせたフルオロポリマー(延伸ポリテトラフルオロエチレンPTFE及びフッ素化エチレンプロピレン又はFEP)で製造された人工の移植血管から構成される。あるいは、血管フィルタのステント構成要素は、ニッケル-チタン合金(Nitinol)、コバルト-クロム-ニッケル合金(Elgiloy)、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン合金(Phynox)、316ステンレス鋼、MP35N合金、チタン合金、白金合金、ニオブ合金、コバルト合金及びタンタルワイヤを用いる支持構造のみ(人工の移植血管なし)で製造することができる。
【0036】
[0079]逐次的分解を伴う吸収性血管フィルタの特定の実施形態が、各種のポリジオキサノン縫合糸(サイズ3-0、2-0、0及び1)を用いて構築、試験、評価され、図4aに示されている。フィルタは、より小さな塞栓を捕捉するために、図2bに示されているよりさらに高密度のクモの巣形状を特徴とした。創傷癒合用途において証明された張力保持及び吸収特性に基づいて、ポリジオキサノンが候補ポリマーであった。IVCと類似の25.4mmの内径を有するTygon long flex lifetimeチューブ(Saint-Gobain Performance Plastics、Akron、OH)を血管壁に利用し、ポリジオキサノンを図示された様々なフィルタパターンに加工した。
【0037】
[0080]図4aは、吸収中にフィルタ全体が同時に剥離するのを回避するために、逐次的又は段階的に吸収されるように意図的に設計されたクモの巣状捕捉要素を示す。ここでは、消滅期限を変えることに加えて、吸収完了までの時間を変えるために、ポリジオキサノン(サイズ3-0、2-0、0及び1)の様々な直径のストランドを使用した。吸収性ポリマーは吸収中に最初に応力点で破断するので、クモの巣状フィルタは、長さD/2で8片、及びD/4のサイズで8片に崩壊するように設計され、ここでDは血管の内径である。目的は、循環中のポリマーフィルタ捕捉要素の浮遊性曝露を最小限に抑えるために、少しずつ段階的又は逐次的に崩壊させることである。図4bは、同じクモの巣状設計であるが、比較のために、均一なサイズのポリジオキサノン縫合糸を用いている。図4cは、従来の金属IVCフィルタと同様の放射状のフィルタ設計であるが、逐次的吸収のために様々な直径の縫合糸を表示する。最後に、図4dは、ポリジオキサノンサイズ2-0のみで構築された放射状設計である。
【0038】
[0081]血管フィルタ用途に関して吸収性ポリマーを評価するための主要評価項目は、時間の関数としての破断荷重であった。図4に描かれている吸収性フィルタに加えて、毎週の破壊的引張試験のための様々な吸収性ポリマー候補を用いていくつかの試験セルを作製した。ポリマーの特性評価は、MTEST Quattroソフトウェア(Norwood,MA)を備えたADMET eXpert 7601引張試験機を使用して1週間間隔で行い、主要評価項目である破断荷重並びにいくつかの二次的評価項目、すなわち(i)最大応力(引張強度)、(ii)最大歪み(破断時伸び%)、(iii)破断時エネルギー及び(iv)ヤング弾性率に加えて、応力対歪みグラフを得た。ADMET機は3cm/分のクロスヘッド速度で操作し、高解像度100lbロードセル及び2KN空気圧グリッパを装備した。
【0039】
[0082]試験セル中に縫い付けられた候補吸収性ポリマー(捕捉要素に相当する)を、ヒトの心臓生理学を模倣するように設計された閉鎖循環系内に埋め込んだ。1週間間隔で、系を停止して、破壊的引張試験を行うために各サイズ及び種類の縫合糸を抽出した。対照として、37℃に保たれた静止した緩衝液槽(StableTemp digital utility bath、Cole-Parmer、Vernon Hill、IL)中に同一の吸収性縫合糸を浸漬し、同じく毎週試験した。循環系の熱力学の増加は、捕捉要素の吸収速度及び引張強度の喪失の両方を加速するという仮説である。
【0040】
[0083]閉鎖循環系は、IVCを模倣した内径が25.4mmの可撓性のTygon管の内側にぴったりとはめ込まれた26.7mmの外径を有する薄壁の3/4インチPVCを用いて構築された。系の心臓は、心臓の心室作用を模倣したHarvard Apparatus大型動物拍動血液ポンプ(Holliston、MA)であった。軽微な予防的保守管理を伴いながら、22週間ほぼ継続的にHarvard Apparatus血液ポンプを作動させた(913KLの拍出)。
【0041】
[0084]心拍数を60bpmに調整し、一回拍出量は60ml~70ml、収縮期/拡張期持続時間比は35%/65%であり、収縮期血圧は120mmHg(動脈フィルタが脳及び全身性塞栓症を予防する条件を模倣)~5mmHg(IVCフィルタがPEを予防する条件を模倣)を変動した。
【0042】
[0085]上流及び下流のセンサマニホールドから、リアルタイムの測定値が得られた。試験が行われている吸収性フィルタの上流にあるセンサは、デジタル温度、流速(L/分)、総流量(L)及び圧力(mmHg)を含んでいた。下流の機器は、%酸素、全蒸発残留物(pptでのTDS)及びpHのリアルタイム測定を含んでいた。下流の80ミクロンインラインフィルタは、フィルタ及び試験セルからの縫合糸の断片を捕捉するが、サイズが20ミクロン未満の吸収副生成物を評価するためにTDSモニタリングを含めた。
【0043】
[0086]図4に提示されている4つの候補吸収性血管フィルタは、上流の管に沿って直列に設置されたのに対して、毎週行われる破壊試験のための吸収性縫合糸を含有する5つの試験セルは、インビトロ心臓試験系の下流区画に沿って直列に設置された。サーモスタットを備えた288W加熱テープを利用して、閉鎖循環系内を37℃に保った。最後に、循環する液体は、ヒトの血液と類似の電解質プロファイルを有するpH7.4のリン酸緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA)であった。安定なpHを維持するために、緩衝液は毎週交換した。
【0044】
[0087]循環系及び対照槽の両方で強度低下が競合するまで、選択したポリマーの吸収特性及び引張特性を時間の関数として決定した。各週の間にpHが7.4から平均6.6に低下するにつれて、循環系中のリン酸緩衝液を毎週変更した。静止した環境ではpHの安定性はより良好であったため、対照槽では、緩衝液は月1回だけ交換した。平均流量は4.7L/分であり、酸素は平均30%及びTDSは8.8pptであった。
【0045】
[0088]クモの巣状吸収性フィルタ設計の段階的又は逐次的吸収が、図5のコラージュに示されている。フィルタは13週目の間に崩壊し始め、22週間で完全に崩壊するまで、その後、1週間に1つ又は2つの捕捉要素のみを失いながら、段階的に継続することに注目されたい。13週目に検出された最初の破損は、捕捉要素内の高応力点に位置していた。環状支持体に取り付けられた捕捉要素の先端は、捕捉要素の基部と比較して2倍の応力を受けるため、最初の破断は先端において起こるであろう。血管壁からフィルタの中心に伸びるループを形成した捕捉要素は、消滅期限が2012年1月のポリジオキサノンサイズ1及び0で作られ、直径の4分の1伸びるより短い捕捉要素は、消滅期限が2015年1月のサイズ3-0のポリジオキサノン縫合糸で作られた。より大きな直径の縫合糸は13週目に破損したのに対して、より小さな直径の縫合糸は17週目に破損したので、吸収速度において、消滅期限は縫合糸の直径より大きな役割を果たすことが観察された。クモの巣状フィルタの長さD/2の8つの要素と長さD/4の8つの要素を計画的に崩壊させることにより、実際に、分裂及び断片化によってより小さな脆い断片が生じた。実際、下流の80umフィルタによってクモの巣状設計から捕捉された最大のフィルタ要素は、5mm×0.3mmの最大サイズの断片であることが明らかとなった。
【0046】
[0089]おそらく、吸収性血管フィルタにおける使用に関して検討されている最も重要な特徴は、インビトロ循環系中のポリジオキサノンについて図6に図示されている吸収性ポリマーの強度保持プロファイルである。図示されているように、ポリジオキサノンは、当初、最初の5~6週間については1週間あたり約5%未満という穏やかな強度低下を示し、その後は1週間あたり20%に近づく急速な低下を示す。循環中での最初の5週間は概ね変化が乏しかったため、ポリジオキサノンサイズ1は約10kgの強度を維持し、サイズ0は6kgを維持し、サイズ2-0は4kgを維持し、サイズ4-0は1.5kgを維持した。最初の5週間について、緩衝液槽対照から同様の結果が得られた。しかしながら、サイズ0については5週目(p<0.014)、サイズ2-0及び1については6週目(p<0.021)、サイズ4-0については7週目(p<0.011)に、統計的な差が達成された。
【0047】
[0090]提案されるフィルタ設計は、捕捉要素として機能する複数のストランドを使用しているので、塞栓荷重はN本の鎖にわたって分散される。したがって、等しい分布を仮定すると、フィルタが受け入れることができる正味塞栓荷重は、ストランドあたり破断荷重のN倍である。その結果、環状支持体に固定された8つの捕捉要素を有するポリジオキサノンサイズ2-0フィルタは、32kgの正味塞栓荷重を受け入れる。
【0048】
[0091]ポリマーの強度保持を把握するための別の方法は、図7に示されているように、時間の関数として強度保持百分率を図式化することである。ここで、すべてのポリジオキサノンサイズは、最初の5週間はゆっくりと強度を失い、次いで10週目までにごくわずかな強度にまで急速に吸収された。具体的には、インビトロ循環系内のポリジオキサノンは、サイズ2-0以上では、2週間で88%、4週間で85%、6週間で68%の平均強度を保持したのに対して、Ethiconの製品文献によると、Ethiconのインビボ動物組織癒合用途では、2週間で80%、4週間で70%、6週間で60%であった。
【0049】
[0092]ヤング弾性率は、吸収性フィルタ要素について図8に示されるように、ポリジオキサノンについては1.0~2.3GPaの範囲であった。ヤング率は、緩衝液に供されたために、当初減少し(ポリマーはより弾性的になった)、6週目に最小値に達し、次いで初期値の約2倍に増加したことに注目されたい。ポリジオキサノンのヤング率のこの増加は、ゼロの最終強度に到達する際の脆性の増加を示しており、崩壊の間にさらに観察された。この特性は、吸収性フィルタ用途にとっておそらく非常に有利である。例えば、ポリジオキサノンは、ゼロの終末強度に到達して崩壊するにつれて、分裂してより小さく脆い断片に砕け、これにより、下流器官への有害性が低下する可能性がある。インビボでの最終断片の正確なサイズを決定し、肺の微小梗塞の可能性を評価するために、さらなる研究が必要とされる。
【0050】
[0093]インビトロ吸収性フィルタ研究から得られた結論として、ポリジオキサノンは、少なくとも6週間塞栓を捕捉し、次いで二酸化炭素及び水への加水分解を介して次の16週間にわたって急速に吸収するのに十分な強度保持を有する吸収性血管フィルタの有力な候補であると思われる。具体的には、ポリジオキサノンサイズ2-0は、控え目に見て、循環中において5週間を通じてストランドあたり4kgの破断荷重を維持することが示された。
【0051】
[0094]したがって、8つの捕捉要素を組み込んだフィルタは、32kgの塞栓荷重を捕捉する。すなわち、フィルタを突破するために、塞栓症は1600kgmmのエネルギーを供給しなければならないが、IVC内の圧力がわずか5mmHg(約0.1psi)であることを考えると、これは極めて可能性が低い。さらに、様々な直径の捕捉要素と消滅期限を有するクモの巣状フィルタの形状は、逐次的又は段階的に崩壊して、14週~22週目まで循環中で毎週1つ又は2つの小さな脆いフィルタ断片(それぞれ5mm×0.3mm未満)を放出することが示された。ポリジオキサノンがFDAによって承認されていること、及び非アレルギー性かつ非発熱性であることが証明されていることを考え合わせれば、カテーテルに配置されるポリジオキサノン吸収性血管フィルタは、肺塞栓症を予防するための効率的かつ効果的な装置である可能性が高い。
【0052】
[0095]図9a~図9eに示されるように、吸収性血管フィルタの設置は、局所麻酔薬のみを必要とするカテーテルによる静脈内挿入を介して行われる。ここで、フィルタは、図9aに示されるように、外側シース71及び中央ロッド上の内部アプリケータ又は安定化ピストン73から構成される送達カテーテル内で畳まれて、圧縮される。IVCフィルタを配置するために、送達カテーテルは、大腿静脈又は内頸静脈などの都合のよい位置の患者の血管系内に挿入される。その後、送達カテーテルは、所望の配置位置、多くの場合、腎静脈よりも下に達するまで、典型的にはガイドワイヤ上を、血管系を通して供給される。次に、安定化ロッド及びピストン72を遠位方向に同時に押しながら、外側シース71を近位方向にスライドさせると、圧縮されたフィルタ50を広げることができる(図9bを参照)。外側シース71がフィルタから引き抜かれると、図9cに図示されるように、安定化ピストン73も引き抜くことができる。その結果、血栓症が発生して塞栓80が放出されると、塞栓は血管フィルタによって捕捉され、心臓及び肺に移動することが防止され、それによって致死的となり得るPEを防止する(図9dを参照)。フィルタ利用に関して望まれる予防のための時間枠(多くの用途において約6週間)を過ぎると、フィルタは生物学的に吸収され、図9eに示されるように、血管内には異物が全く存在しなくなる。
【0053】
[0096]吸収性血管フィルタ1の別の実施形態が、一体化された環状支持体102及び捕捉バスケット101と共に図10aに描かれている。ここでは、環状支持体102及び捕捉バスケット101は、配置前に上述したようにカテーテル内で圧縮させることができる放射状に広がることが可能なステントとほぼ同様に、編まれているか、又は織られている。図10bは、捕捉バスケット101の織物又は編み物を表示する吸収性血管フィルタの上面図である。この織物は、カテーテルの配置中にガイドワイヤを挿入できるようにするための開放性中心104を保持することが示されている。この特定の実施形態の魅力は、以下に記載されるようにフィルタの移動を防止するように設計された半径方向力を有する単一のフィラメントから、吸収性血管フィルタ全体(環状支持体及び捕捉要素から構成される捕捉バスケット)を製造することができることである。
【0054】
[0097]図10a及びbに示される一体型吸収性血管フィルタは、選択された材料、織物の交差要素の角度ファイ(φ)及び使用される寸法に対する直径の量に依存する規模の半径方向力を示す直径方向に拡張可能かつ圧縮可能な管状フィルタを与える。具体的には、半径方向力を確立するために重要な角度は、図11ではφとして示されている。角度φが180°に近づくにつれて大きくなるほど、織物によって付与される半径方向力の量は大きくなる。典型的には、φは、90°~180°の間で選択される鈍角である。
【0055】
[0098]説明するために、長手方向に切断され、湾曲ピン110及び編み込みフィラメント103を示す面上に平置きされた、単一の円筒状に編まれた織物(L=7、P=4)を図11に示す。織物を周期Pτ(図11中の織物の太く表示された部分を参照)の一連の正弦波形(Pは正弦曲線の一周期の間に横切った湾曲ピンの数であり、τはピンとピンとの間隔である)と考えると、血管フィルタの意図される直径の円周に等間隔で広がる所与の組の平行な湾曲ピンLに関して、各ピンが一度湾曲され、及び最後の湾曲部が起点で終わることを保証するためのアルゴリズムを導出することができる。
【0056】
[0099]周方向のループ(L)の任意の所望の数に関してL、P及び角度φの間の関係を表すために表1に示した表によりアルゴリズムを可視化することができる。L/Pは円周あたりに横切る正弦波の分数を表し、Nは円筒の円周周りの総巻き数を表す。本質的に、織物は、最後のループが達成されるまで一定の増分で位相がずれた正弦波を生成し、最後の正弦波は最初の正弦波と同相であることが望ましい。同相条件は、積Nx(L/P)が整数であることを要求する。さらに、すべてのピンが湾曲部分を形成することを保証するために、積Nx(L/P)によって生成される最初の整数は、N=Pの場合に生じなければならない。
【表1】
【0057】
[0100]例えば、L=7及びP=4の場合、表1のP=4に対応する行に現れる最初の整数は、N=4の場合であるため、L、P及びNのこの組み合わせによって、すべてのピンが利用され(上部を横切る7つ、下部を横切る7つ)、最終的な織り込みが起点において終結する適切な編み込みが得られる。編み込みが成功するためには、Lは奇数の整数でなければならないことを実証することができる。角度φは、φ=2tan-1(Pπr/Ll)(r及びlは、所望のフィルタ環状支持体102の半径及び長さである。)として表すことができることをさらに示すことができる。表1においてφを算出するために用いたr及びlの値は、それぞれ0.625及び1.5インチであった。また、τは、Lτ=2πr又はτ=2πr/Lという関係から容易に計算することができる。
【0058】
[0101]図12は、L=7及びP=6である別の編み込みの組み合わせを示す。表1においてP=6の列に現れる最初の整数はN=6に対応するため、編み込みは起点において首尾よく終結し、L個のピンすべてが1回輪を形成したことに注目されたい。さらに、図12は、環状支持体102を越えてフィラメントを単純に連続して伸ばしたものとして捕捉バスケット101を形成する方法を図解している。環状支持体の上部を横切る交互に存在する湾曲点において示されるように、円錐形捕捉バスケット101は、隣接するループ105からのループを順次かみ合わせ、ループを先端106まで伸ばすことによって織られる。各伸長部106からの先端ループは、一緒に接合することができ、開放性中心先端104を有する、図10bに示されるような円錐形捕捉バスケットになる。明らかに、所望のサイズの塞栓を捕捉するのに十分なパターン解像度を得るために、他の編み込みパターンを使用することができる。
【0059】
[0102]上記の図解では簡略化するために7つの湾曲ピン一組のみを検討したが、IVC用の吸収性血管フィルタに有用である可能性がより高い数は、おそらくφ>100°で17又は19である。具体的には、図13a及びbに示されるように、単一の10フィートの合成フィラメント(直径0.5mm)を用い、L=17、P=16、φ=102°、l=1.5インチ、r=0.625インチ及びτ=0.23インチとして、環状支持体及び捕捉バスケットが一体化された吸収性IVCフィルタを製造した。自己拡張可能なIVCフィルタは、鈍角の織り角、(1インチのIVC直径に適合させるために)25%過剰サイズの直径及び幅広い直径のフィラメント(0.5mm)を選択することによってIVC内での配置を維持するのに十分な半径方向力を与える。あるいは、上記一体型吸収性血管フィルタは、複数の結合されたフィラメントで構築することができるが、単一の連続したフィラメントを使用し得る。
【0060】
[0103]図14a及び図14bに図示される実施形態を参照すると、吸収性血管フィルタ1は、(例えば、上記の捕捉要素と類似及び/又は同一の)複数のフィルタ捕捉要素110を支え、血管内で位置を維持するための(上述の環状要素2と類似及び/又は同一の)外側環状要素120を備える。捕捉要素110は、血管内を流れる物質を限定された持続時間にわたって捕捉又は抑制するように構成され得る。ここで、環状要素120及び捕捉要素110はいずれも、吸収性ポリマーの略円形の管からレーザ切断されている。これは、環状要素120及び捕捉要素110が、環状要素120と捕捉要素110との間に接合部、継ぎ目及び/又はその他の付着点がない一体品を形成することを意味する。一体品は、接合部、継ぎ目及び/又はその他の付着点によって引き起こされ得る突出がない滑らかな表面を有する実質的に連続した構造であり得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110及び環状要素120は、単一のストランド若しくは繊維から編まれ得る、又は材料のシートから切断され得る。例えば、フィルタは、吸収性ポリマーフィルムのシートから切り出され、次いで、筒状の形状に形成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110及び環状要素120は、吸収性血管フィルタ1を形成するために別個の部品として互いに結合され得る。
【0061】
[0104]環状要素のパターンは、大静脈の付着を確実にするために、有限要素解析によって及び/又は他の方法を使用して、配置時に所与の1つの直径(又は複数の直径)に対して所望の量の半径方向力(又は所与の量の半径方向力)を生成するように設計することができる。環状要素120の近位端119は、(例えば、上述のように編むことによって形成された波状構造と類似及び/又は同一の)波状構造体121を含むのに対して、遠位端122は捕捉要素110で終結する。いくつかの実施形態では、環状要素は、捕捉要素110の格子間隔より小さい(例えば、個々の捕捉要素110の間の空間より環状要素120の部材117の間の空間が少ない)格子間隔(例えば、環状要素120の部材117間に空間を作出する格子設計)を有する。いくつかの実施形態では、環状要素120の格子間隔は、フィルタ1が上述のような所望の量の半径方向力を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、捕捉要素110の格子間隔は、血管を通る全体的な液体の流れを止めることなく、塞栓又は目標サイズの他の粒状物がフィルタによって捕捉されるように構成される。いくつかの実施形態では、環状要素120及び/又は捕捉要素110の部材117は、略長方形の断面、並びに/又はフィルタ1の半径方向力及び/若しくは捕捉特性に寄与するその他の断面を有し得る。いくつかの実施形態では、環状要素120及び/又は捕捉要素110の部材117は、フィルタ1を通る液体の流れを促進するために、湾曲した、面取りされた、及び/又はその他の形状をした縁部を有し得る。
【0062】
[0105]いくつかの実施形態では、捕捉要素は、フィルタ1の遠位端141にフィルタ先端を形成するために吸収性連結具(例えば、フィラメントなど)130で固定することができる環113を遠位端111に備える。いくつかの実施形態では、個々の環113は、対応する捕捉要素110の長手方向軸に沿って形成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110あたり1つの環113が存在し得る。環113は、環113の開口領域115がフィルタ1の管腔に面するように形成され得る。環113及び/又は開口領域115は、略円形の形状及び/又はフィルタ1の遠位端141の閉鎖を容易にする他の形状(例えば、以下に記載されるような)を有し得る。
【0063】
[0106]この例では、吸収性連結フィラメント130は、縫合糸及び/又はその他のフィラメントであり得る。いくつかの実施形態では、吸収性連結フィラメント130は、フィルタが移植される(又は移植のためにカテーテル中に装填される)前に、予め穴に通され得る、及び/又は環113を通してその他輪状にすることができる。吸収性連結フィラメント130は、開いた形態130aと閉じた形態130bとの間を移行するように構成され得る。開いた形態130aでは、吸収性連結フィラメント130は、捕捉要素110が血管中の塞栓を捕捉しない(又は極めて大きな塞栓のみを捕捉する)開いた形態(図14a)を保つことが可能なように構成される。閉じた形態130bでは、吸収性連結フィラメント130は、捕捉要素110の遠位端111を互いに向かって引っ張り、フィルタを形成するように構成される。いくつかの実施形態では、吸収性連結フィラメント130は、フィラメント130の端部129に加えられる引張力に応答して、開いた形態130aから閉じた形態に移行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フィラメント130は、フィラメント130の開口端135のサイズを小さくする(例えば、それによって端部111を互いに向かって移動させる)結び目127及び/又はその他の締め付け機構を含み得る。例えば、端部129を引っ張ると、引き結び目127が締まり、開口端135を閉じ得る。他の締め付け機構が想定される。
【0064】
[0107]図15a及び図15bに図示される実施形態を参照すると(同じ参照数字は、上記の他の図面における参照数字に対応する。)、吸収性血管フィルタ1は、複数のフィルタ捕捉要素110を支え、血管内で位置を維持するための外側環状要素120を備える。この例示的な実施形態では、捕捉要素110は、フィルタ先端を形成するために吸収性連結具(例えば、エンドプレートなど)130内の相補的な細片受部131aに固定及び/又はその他連結することができる細片構造体151を遠位端111に備える。いくつかの実施形態では、細片構造体151は、成形された遠位端111を備える。フィルタ1が配置され及び/又は稼働しているときに、細片構造体151が受部131aから外れないように、遠位端の形状は、対応する細片受部131aと連結するように構成され得る。
【0065】
[0108]この例では、細片構造体151は、略台形形状を有する。台形形状は、所与の捕捉要素110の幅155から円周方向に伸びる対応する縁部153を有し得る。これにより、遠位端111は捕捉要素110の本体157より広くなる。また、これにより、スパイン構造体151の遠位先端159は、捕捉要素110から延伸し始める細片構造体151の部分より広くなる。
【0066】
[0109]この例では、対応する細片受部131aは、(例えば、ピースがパズルのように嵌り合うように)細片構造体151を受容するように構成された台形形状の溝を備える。溝が連結具130の近位側165に狭い端部163を有し、連結具130の遠位側167まで連結具130の外面161に沿って軸方向に延びるように、受部131aは、吸収性連結具130の外面161の周りに配置され得る。いくつかの実施形態では、溝が遠位側167に又はその付近に広い端部169を有するように、溝が外面161に沿って伸びるにつれて、溝は(例えば、細片構造体151の形状に合致するために)より広くなる。いくつかの実施形態では、溝が連結具130の中心に向かって広い面を有するように、溝が連結具130の中心に向かって伸びるにつれて、溝は(例えば、細片構造体151の形状に合致するために)より広くなる。これらの形状は、フィルタ1の配置及び/又は稼働中に細片構造体151及び受部131aの分離を防止するように構成され得る。これらの形状は限定を意図するものではない。細片構造体151及び/又は受部131は、それらが本明細書で記載されるように機能することを可能にする任意の形状及び/又はサイズを有し得る。
【0067】
[0110]いくつかの実施形態では、エンドプレート130は、(例えば、円筒形の)放射線不透過性マーカ及び/又はガイドワイヤを収容するための中心孔132を含み得る。中心孔132は、図示されるように円形であり得、又は他の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、中心孔132は、吸収性連結具130の中心若しくはその付近に、及び/又は他の位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、中心孔132は、放射線不透過性マーカが挿入されると、放射線不透過性マーカが孔132を広げて、放射線不透過性マーカに対して圧縮力を加えるような大きさにし得る。いくつかの実施形態では、中心孔132は、ガイドワイヤを通過させる大きさにし得る。
【0068】
[0111]いくつかの実施形態では、細片構造体151がフィルタ1の軸方向中心線又はその付近を通過し、(孔132を封鎖することなく)連結具130の反対側の受部131aに連結されるように、捕捉要素110は屈曲するように構成され得る。個々の捕捉要素がこのように連結具130に連結されると、(例えば、管を真っ直ぐにする向きから切断されたままの状態に戻ろうとする)個々の捕捉要素からの力が、連結具130の周りに実質的に均一に作用し(例えば、各々が連結具130をフィルタの中心に向かって押す)、個々の細片構造体がそのそれぞれの溝から外れないようにし得る。
【0069】
[0112]いくつかの実施形態では、最終的な配置のためにフィルタがカテーテル上に組み立てられるときに、及び/又は移植処置より前のその他の時点で、製造中にエンドプレートを捕捉要素に取り付け得る。
【0070】
[0113]図16a及び図16bに図示される実施形態を参照すると(同じ参照数字は、上記の他の図面における参照数字に対応する。)、吸収性血管フィルタ1は、複数のフィルタ捕捉要素110を支え、血管内で位置を維持するための外側環状要素120を備える。捕捉要素は、フィルタ先端を形成するために連結具(例えば、エンドプレートなど)130の陥凹部131b内の嵌合接続シャフト133に固定することができる環171を遠位端111に含む。
【0071】
[0114]いくつかの実施形態では、環171は、上述の環113と類似し得、及び/又は同一であり得る。いくつかの実施形態では、個々の環171は、対応する捕捉要素110の長手方向軸に沿って形成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110あたり1つの環171が存在し得、又は1つおきの捕捉要素110上に環を有するなど、捕捉要素110あたり1つ未満の環が存在し得る。環171は、環171の開口領域173がフィルタ1の管腔に面するように形成され得る。環171及び/又は開口領域173は、略円形の形状及び/又はシャフト133と連結するように構成された他の形状(例えば、以下に記載されるような)を有し得る。
【0072】
[0115]いくつかの実施形態では、シャフト133は円筒形状であり、(図16aに示されるように)円形断面形状を有し得る、及び/又はシャフト133は他の形状を有し得る(開口領域173の形状はシャフト133の形状に対応する)。いくつかの実施形態では、環171とシャフト133が連結されたときに環171がシャフト133に対して摩擦嵌合を形成するように、シャフト133の直径(及び/又はその他のサイズ)は、対応する開口領域173の直径(及び/又はその他のサイズ)と同一か又はそれより若干大きくすることができる。陥凹部131bの当接面183からはシャフト133が延出している。当接面183は、環171の対応する表面を受容するように構成されている。
【0073】
[0116]陥凹部131bは、連結具130の外面161から陥凹し得る。いくつかの実施形態では、陥凹部131bは、捕捉要素110の厚さ(例えば、フィルタ1がそこから切断された管の壁の厚さ)に対応する深さ(例えば、外面161から当接面183まで)を有し得る。いくつかの実施形態では、陥凹部131bは、環171とシャフト133との間での連結を容易にするように構成された開襟領域181を有し得る。開襟領域181は、例えば、捕捉要素110の幅155に対応する幅を有し得る。開襟領域181は、捕捉要素110と連結具130との間で同一平面若しくはほぼ同一平面の連結を容易にし得る、及び/又はその他の目的を有し得る。
【0074】
[0117]いくつかの実施形態では、環171がフィルタ1の軸方向中心線又はその付近を通過し、(孔132を封鎖することなく)連結具130の反対側のシャフト133に連結されるように、捕捉要素110は屈曲するように構成され得る。個々の捕捉要素がこのように連結具130に連結されると、(例えば、管を真っ直ぐにする向きから切断されたままの状態に戻ろうとする)個々の捕捉要素からの力が、連結具130の周りに実質的に均一に作用し(例えば、各々が連結具130をフィルタの中心に向かって押す)、個々の環がそのそれぞれのシャフトから外れないようにし得る(例えば、図16b参照)。
【0075】
[0118]図17a及び図17bに図示される実施形態を参照すると(同じ参照数字は、上記の他の図面における参照数字に対応する。)、吸収性血管フィルタ1は、複数のフィルタ捕捉要素110を支え、血管内で位置を維持するための外側環状要素120を備える。いくつかの実施形態では、捕捉要素110は、フィルタ先端を形成するために連結具(例えば、エンドプレートなど)130の孔131c挿通することができる捕捉要素110の遠位端111又はその付近の逆棘付き構造体190を含む。いくつかの実施形態では、孔131cは円筒形の貫通孔を含む。いくつかの実施形態では、貫通孔131cの軸線は、連結具130、孔132及び/又はフィルタ1の他の構造体の軸線と合わせられている。いくつかの実施形態では、孔131cは、円錐断面及び/若しくはその他の断面を有し得、並びに/又は(例えば、孔131cが孔131cを通る遠位端111に対して抵抗を与え、及び/又は孔131cから遠位端111が引き抜かれないように)連結具130の軸線、孔132及び/又はフィルタ1の他の構造体の軸線と合わせられていない軸線に沿って配向され得る。
【0076】
[0119]いくつかの実施形態では、個々の捕捉要素110は、1つの逆棘付き構造体190、2つの逆棘付き構造体190、3つの逆棘付き構造体190及び/又はその他の数の逆棘付き構造体を有し得る。図17a及び図17bの例は、それぞれの個々の捕捉要素110上の2つの逆棘付き構造体190を示しているが、これに限定する意図はない。いくつかの実施形態では、逆棘付き構造体190は、捕捉要素110の本体157からの突出部191、195を備える。突出部191、195は、例えば、尖った若しくはほぼ尖った先端及び/又は他の次元形状を備え得る。いくつかの実施形態では、突出部191、195は同じ量だけ突出し得る。いくつかの実施形態では、所与の捕捉要素110上の異なる突出部191、195は、異なる量だけ突出し得る。いくつかの実施形態では、突出部191、195は、異なる個々の捕捉要素110上において、異なる量だけ突出し得る。
【0077】
[0120]突出部191は、半径方向に(例えば、フィルタ1の円周周りに)及び/又は他の方向に本体157から突出し得る。いくつかの実施形態では、異なる捕捉要素上の突出部191は、同じ半径方向にそれぞれの本体157から突出し得る。いくつかの実施形態では、異なる捕捉要素上の突出部191は、1つおきの半径方向で及び/又はその他の構成でそれぞれの本体157から突出し得る。突出部195は、軸線方向に(例えば、フィルタ1の長軸に沿って)及び/又は他の方向に本体157から突出し得る。これは、例えば、遠位端111の孔131cへの挿入を容易にし得、及び/又は他の目的を有し得る。
【0078】
[0121]いくつかの実施形態では、逆棘付き構造体190は、突出部191の間に溝193を含み得る。溝193は、例えば、連結具130及び/又は他の連結構造体との連結を容易にする幅及び/又は深さを有し得る。例えば、溝193は、連結具130の厚さに対応する幅を有し得、及び/又は他の寸法を有し得る。溝193及び/又は突出部191は、図17a及び図17bに示されるとおり、所与の捕捉要素110上の第1の突出部191が対応する孔131cを通過するが、第2の突出部191は通過しないように、突出部191間の溝193が(例えば、図17bに示されるように)孔131c内に正しく配置されるように構成され得る。
【0079】
[0122]図18a及び図18bに図示される実施形態を参照すると(同じ参照数字は、上記の他の図面における参照数字に対応する。)、吸収性血管フィルタ1は、複数のフィルタ捕捉要素110を支え、血管内で位置を維持するための(本明細書に記載される環状要素2及び/又は120と類似又は同一の)外側環状要素200を備える。環状要素の近位端は、(本明細書に記載の波状構造体121と類似の及び/又は同一の)波状構造体210を含むのに対して、遠位端220は、環221及び/又は吸収性捕捉要素110の近位端の固定を容易にするように構成された他の構造体で終結する。
【0080】
[0123]いくつかの実施形態では、図18aに示されるように、捕捉要素110は、捕捉フィラメントであり得、及び/又は捕捉フィラメントを含み得る。捕捉フィラメントは、互いに結び付けられた複数の個々のフィラメントを含み得、及び/又は捕捉フィラメントは、材料の連続するストランドによって形成され得る。複数の吸収性捕捉要素は、(例えば、上述の捕捉バスケット101と類似及び/又は同一の)捕捉バスケット100を確立するために、隣接する吸収性捕捉要素と結び付けられる。捕捉要素は、交差し得、互いに巻き付けられ得、一緒に編み込まれ得、及び/又は他の様式で連結され得る。フィルタ1の先端は、エンドプレート300(図18b、例えば、上述のエンドプレート130と類似及び/又は同一の)中の孔310を通して捕捉要素をループ状にすることによって形成される。フィルタ1(プレート300なし)の端面141図231図18aに示す。図231に示されるように、捕捉フィラメントの交差及び編み込みは、血管を通って流れる塞栓及び/又は他の微粒子を捕捉するように構成された花弁構造を形成し得る。花弁構造は、例えば、血管の中心に近いほどより密に、血管の外側に向かうほど疎に、血管の管腔をカバーし得る。
【0081】
[0124]いくつかの実施形態では、捕捉フィラメントは、フィルタの先端を形成するためにエンドプレート300の周囲孔310を通して編まれるが、他の実施形態では、捕捉フィラメントの近位端を周囲孔位置310において固定することができる。いくつかの実施形態では、エンドプレートは、円筒形の放射線不透過性マーカ及び/若しくはガイドワイヤを収容するための並びに/又はその他の目的のための中心孔132を含む。
【0082】
[0125]特定の例示的な実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えるべきである。
【0083】
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図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
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図2h
図3a
図3b
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図5
図6
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図8
図9a-9e】
図10a
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図11
図12
図13a
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【国際調査報告】