(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】組換えノイラミニダーゼ及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/44 20060101AFI20221215BHJP
C07K 14/11 20060101ALI20221215BHJP
C12N 7/04 20060101ALI20221215BHJP
C12N 9/24 20060101ALI20221215BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20221215BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221215BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221215BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221215BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221215BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221215BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221215BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221215BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221215BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221215BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20221215BHJP
A61K 39/295 20060101ALI20221215BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20221215BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20221215BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20221215BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20221215BHJP
C07K 14/115 20060101ALN20221215BHJP
C12N 15/45 20060101ALN20221215BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
C12N15/44
C07K14/11 ZNA
C12N7/04
C12N9/24
C12N7/01
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P31/16
A61K39/295
A61K39/145
A61K39/39
A61K47/64
C12N15/09 Z
C07K14/115
C12N15/45
C12P21/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523621
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 US2020056703
(87)【国際公開番号】W WO2021081120
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513321467
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディシン アット マウント サイナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ピーター パレセ
(72)【発明者】
【氏名】アドルフォ ガルシア‐サストレ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン クラムメル
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD01
4B050LL01
4B064AG32
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA45
4C076AA12
4C076BB15
4C076CC06
4C076CC35
4C076CC41
4C076DD23
4C076DD23D
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C085AA03
4C085AA04
4C085AA38
4C085BA55
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF24
4C085GG03
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
一態様において、本明細書に提供されるのは、より安定な四量体インフルエンザウイルスノイラミニダーゼを作製するためのストークドメイン中のシステインのアミノ酸置換又は挿入を有するインフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。別の態様において、本明細書に提供されるのは、そのような組換えノイラミニダーゼ又はその組成物を用いて、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであって、該組換えノイラミニダーゼが、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠き、かつ該四量体化ドメインがパラミクソウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項2】
前記パラミクソウイルスホスホタンパク質が、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質である、請求項1記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項3】
前記四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、請求項1記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項4】
前記麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項3記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項5】
前記センダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインが配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項3記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項6】
前記組換えノイラミニダーゼが切断部位をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項7】
前記切断部位が配列番号51又は63のアミノ酸配列を含む、請求項6記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項8】
前記組換えノイラミニダーゼがシグナルペプチドをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項9】
前記組換えノイラミニダーゼが精製タグをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項10】
前記精製タグがヒスチジンタグ又はflagタグである、請求項9記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項11】
前記ノイラミニダーゼ球状ヘッドが、亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、もしくはN9亜型の球状ヘッド又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドである、請求項1~10のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項12】
配列番号56、58、27、60、又は62に示されるアミノ酸配列を含む、組換えノイラミニダーゼ。
【請求項13】
突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼであって、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48及び50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48及び50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項14】
突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼであって、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項15】
前記突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む、請求項14記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項16】
前記インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインが亜型N1又はN2のものである、請求項13~15のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項17】
前記インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインが、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである、請求項13~15のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項18】
前記組換えノイラミニダーゼがインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む、請求項13~17のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項19】
前記組換えノイラミニダーゼが四量体化ドメインをさらに含む、請求項13~17のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項20】
前記四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、請求項19記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項21】
突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインと四量体化ドメインとを含む、組換えノイラミニダーゼであって、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項22】
前記四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、請求項21記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項23】
突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼであって、該突然変異したエクトドメインがN2亜型のアミノ酸残基52における又はインフルエンザウイルスA/香港/4801/2014のアミノ酸残基52に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインがA型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来のものである、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項24】
突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼであって、該突然変異したエクトドメインがN2亜型のアミノ酸残基54における又はA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインが、A型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来のものである、前記組換えノイラミニダーゼ。
【請求項25】
前記突然変異したエクトドメインがN2亜型のアミノ酸残基54における又はA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む、請求項23記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項26】
前記ノイラミニダーゼがインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む、請求項23~25のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項27】
前記ノイラミニダーゼが四量体化ドメインをさらに含む、請求項23~25のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項28】
前記四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、請求項27記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項29】
前記組換えノイラミニダーゼがシグナルペプチドを含む、請求項13~28のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項30】
前記組換えノイラミニダーゼが、ヒスチジンタグ、Flagタグ、又は他の精製タグをさらに含む、請求項13~29のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼ。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列。
【請求項32】
配列番号55、57、59、又は61のヌクレオチド配列を含む核酸配列。
【請求項33】
請求項31又は32の核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項34】
請求項31又は32の核酸配列を発現することができる宿主細胞。
【請求項35】
請求項13~30のいずれか一項記載のノイラミニダーゼを含む、組換えインフルエンザウイルス。
【請求項36】
ゲノムを含む、組換えインフルエンザウイルスであって、該ゲノムが請求項13~30のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該組換えノイラミニダーゼが組換えインフルエンザウイルスに感染した細胞によって発現される、前記組換えインフルエンザウイルス。
【請求項37】
ノイラミニダーゼを含む、組換えインフルエンザウイルスであって、該ノイラミニダーゼが突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、前記組換えインフルエンザウイルス。
【請求項38】
ゲノムを含む、組換えインフルエンザウイルスであって、該ゲノムがノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該ノイラミニダーゼが感染細胞によって発現され、ここで、該ノイラミニダーゼが突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、前記組換えインフルエンザウイルス。
【請求項39】
請求項1~12のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼを含む、組換えインフルエンザウイルス。
【請求項40】
ゲノムを含む、組換えインフルエンザウイルスであって、該ゲノムが請求項1~12のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該組換えノイラミニダーゼが該組換えインフルエンザウイルスに感染した細胞によって発現される、前記組換えインフルエンザウイルス。
【請求項41】
前記組換えインフルエンザウイルスが不活化されている、請求項35、37、又は39記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項42】
前記組換えインフルエンザウイルスが分離されている、請求項35、37、又は39記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項43】
前記組換えインフルエンザウイルスが組換えA型インフルエンザウイルスである、請求項35~42のいずれか一項記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項44】
前記組換えインフルエンザウイルスが弱毒化生インフルエンザウイルスである、請求項35~40のいずれか一項記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項45】
前記組換えA型インフルエンザウイルスがH1又はH3亜型である、請求項43記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項46】
請求項1~30のいずれか一項記載の組換えノイラミニダーゼを含む、免疫原性組成物。
【請求項47】
前記組成物が、三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)、四価不活化インフルエンザウイルスワクチン(QIV)、又は組換えインフルエンザウイルスワクチンをさらに含む、請求項46記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
請求項35~45のいずれか一項記載の組換えインフルエンザウイルスを含む、免疫原性組成物。
【請求項49】
前記組成物がアジュバントをさらに含む、請求項46~48のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法であって、対象に、ある用量の請求項46~49のいずれか一項記載の免疫原性組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項51】
インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、ある用量の請求項46~49のいずれか一項記載の免疫原性組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項52】
インフルエンザウイルス疾患を予防する方法であって、対象に、ある用量の請求項46~49のいずれか一項記載の免疫原性組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項53】
前記対象がさらなる用量の免疫原性組成物を追加免疫として投与される、請求項46~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
前記対象がヒトである、請求項50~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記免疫原性組成物が前記対象に筋肉内投与される、請求項50~54のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、2019年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/924,511号の恩典を出張する。
【0002】
(連邦政府支援研究に関する声明)
本発明は、米国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された契約HHSN272201400008C、AI097092-07、R01AI145870-01、及び75N93019C00051の下で米国政府による支援を受けて行われた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
(配列表)
本出願は、2020年10月21日に作成され、サイズが226,341バイトである、「06923-305-228_SEQ_LISTING.txt」という表題のテキストファイルとして本出願とともに提出された配列表を引用により完全に組み込んでいる。
【0004】
(1.序論)
一態様において、本明細書に提供されるのは、より安定な四量体インフルエンザウイルスノイラミニダーゼを作製するためのストークドメイン中のシステインのアミノ酸置換又は挿入を有するインフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。別の態様において、本明細書に提供されるのは、そのような組換えノイラミニダーゼ又はその組成物を用いて、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法である。
【背景技術】
【0005】
(2.背景)
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)のファミリーに属するエンベロープ型のRNAウイルスである(Palese及びShawの文献、2007, オルトミクソウイルス科:ウイルス及びその複製(Orthomyxoviridae: The Viruses and Their Replication)、第5版、フィールズのウイルス学(Fields' Virology)、B.N. Fields、D. M. Knipe、及びP.M. Howley. Wolters Kluwer Health/Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, USA, p1647-1689)。A型インフルエンザウイルスの自然宿主は主に鳥類であるが、A型インフルエンザウイルス(鳥類起源のものを含む)は、ヒト及び他の動物宿主(コウモリ、イヌ、ブタ、ウマ、海洋哺乳動物、及びイタチ類)に感染し、疾病を引き起こすこともできる。例えば、アジアで広がっているH5N1 A型鳥インフルエンザウイルスは、中国及びインドネシアのブタで発見されており、その宿主範囲を広げて、一般にはA型インフルエンザに感受性であると考えられていなかったネコ、ヒョウ、及びトラを含むようになってもいる(CIDRAP-鳥インフルエンザ:農業及び野生生物での注意事項(Avian Influenza: Agricultural and Wildlife Considerations))。動物におけるインフルエンザウイルス感染の出現は、ヒトパンデミックインフルエンザ株を発生させる可能性がある。
【0006】
A型及びB型インフルエンザウイルスは、主要なヒト病原体であり、不顕性感染から死をもたらすこともある原発性ウイルス性肺炎まで重症度が異なる呼吸器疾患を引き起こす。感染の臨床的効果は、インフルエンザ株の病原性、並びに宿主の曝露、病歴、年齢、及び免疫状態によって様々である。季節性インフルエンザに起因する累積罹患率及び死亡率は、比較的高い発病率のためにかなり高い。通常の季節では、インフルエンザは、全世界で300万~500万症例の重症疾患及び最大500,000人の死亡を引き起こすことができる(世界保健機構(2003)、インフルエンザ:概説(Influenza: Overview); 2003年3月)。米国では、インフルエンザウイルスは、人口のおよそ10~15%に感染し(Glezen及びCouch RBの文献(1978)、1974~76年のヒューストン地区のパンデミック間期インフルエンザ(Interpandemic influenza in the Houston area, 1974-76). N Engl J Med 298:587-592; Foxらの文献(1982)、1975~1979年のシアトルの家族におけるインフルエンザウイルス感染。II.病気に侵された家庭における感染パターン、並びに年齢及び事前抗体と感染及び関連疾病の発生との関係(Influenza virus infections in Seattle families, 1975-1979. II. Pattern of infection in invaded households and relation of age and prior antibody to occurrence of infection and related illness). Am J Epidemiol 116:228-242)、毎年約30,000人の死亡と関連する(Thompson WWらの文献(2003)、米国におけるインフルエンザ及び呼吸器合胞体ウイルスと関連する死亡(Mortality Associated with Influenza and Respiratory Syncytial Virus in the United States). JAMA 289:179-186; Belsheの文献(2007)、ワクチンに関するトランスレーショナルリサーチ:インフルエンザを一例として(Translational research on vaccines: influenza as an example). Clin Pharmacol Ther 82:745-749)。
【0007】
毎年の流行に加えて、インフルエンザウイルスは、稀に起こるパンデミックの原因である。例えば、A型インフルエンザウイルスは、1918年、1957年、1968年、及び2009年に起きたパンデミックなどのパンデミックを引き起こすことができる。主要なウイルス抗原である血球凝集素(HA)に対する事前に形成される免疫がないため、パンデミックインフルエンザは、1年で人口の50%超に影響を及ぼすことができ、多くの場合、流行性インフルエンザよりも重篤な疾患を引き起こす。過酷な例は、推定5000万人~1億人が死亡した1918年のパンデミックである(Johnson及びMuellerの文献(2002)、報告の更新: 1918~1920年の「スペイン」インフルエンザパンデミックの全世界死亡者数(Updating the Accounts: Global Mortality of the 1918-1920 “Spanish” Influenza Pandemic)、Bulletin of the History of Medicine 76: 105-115)。1990年代後半の高病原性鳥H5N1インフルエンザウイルスの出現以来(Claasらの文献(1998)、高病原性鳥インフルエンザウイルスと関連したヒトA型インフルエンザH5N1ウイルス(Human influenza A H5N1 virus related to a highly pathogenic avian influenza virus). Lancet 351: 472-7)、これが次のパンデミックウイルスとなり得るという懸念が存在している。
【0008】
季節性ワクチン接種は、現在、インフルエンザに対する最も有効な介入であるが(Grossらの文献、Ann Intern Med, 1995, 123(7): p. 518-27; Ogburnらの文献、J Reprod Med, 2007, 52(9): p. 753-6; Jeffersonらの文献、Lancet, 2005. 366(9492): p. 1165-74; Beyerらの文献、Vaccine, 2013, 31(50): p. 6030-3; Nicholらの文献、N Engl J Med, 1995. 333(14): p. 889-93; Jeffersonらの文献、Lancet, 2005. 365(9461): p. 773-80)、全体的なワクチン有効性は、最近の2017~2018年の季節でわずか36%であった(Flanneryらの文献、MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2018. 67(6): p. 180-185)。しかしながら、現在のワクチン接種手法は、循環している株とワクチン製剤に含まれる分離株との間で良好な一致が得られることを当てにしている。そのような一致は、因子の組合せのために得るのが困難であることが多い。第一に、インフルエンザウイルスは絶えず変化を遂げており: 3~5年毎に、A型インフルエンザウイルスの優勢株は、既存の抗体応答から逃れるのに十分な抗原連続変異(antigenic drift)を経た変異体に取って代わられる。そのため、ワクチン製剤に含まれるべき分離株は、世界保健機関(WHO)の共同研究センターの集中的な監視努力に基づいて、毎年選択されなければならない。第二に、ワクチンの製造及び流通に十分な時間を与えるために、株は、インフルエンザシーズンの開始の約6カ月前に選択されなければならない。ワクチン株選択委員会の予測が不正確で、ワクチン接種の有効性が大幅に低下することも多い。
【0009】
インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)は、ホモ四量体のII型膜貫通タンパク質である(Fields S, Winter G, Brownlee GGの文献. 1981. ヒトインフルエンザウイルスA/PR/8/34のノイラミニダーゼ遺伝子の構造(Structure of the neuraminidase gene in human influenza virus A/PR/8/34). Nature 290:213-7; Ward CW, Elleman TC, Azad AAの文献. 1982. インフルエンザウイルスのアジア株A/東京/3/67由来のノイラミニダーゼ亜型N2のプロナーゼ関連ヘッドのアミノ酸配列(Amino acid sequence of the Pronase-released heads of neuraminidase subtype N2 from the Asian strain A/Tokyo/3/67 of influenza virus). Biochem J 207:91-5)。四量体形態のNAは、粘液からシアル酸を除去する酵素機能を有しており、この機能は、呼吸器におけるウイルスの固定化を妨げるために及び感染細胞からウイルス子孫を放出するために重要である(Palese P, Tobita K, Ueda M, Compans RWの文献. 1974. ノイラミニダーゼに欠損がある温度感受性インフルエンザウイルス突然変異体の特徴解析(Characterization of temperature sensitive influenza virus mutants defective in neuraminidase). Virology 61:397-410)。各々約470アミノ酸の4つの同一の単量体ポリペプチドが集合して、四量体NAを形成する(McAuleyらの文献、2019, Frontiers in Microbiology 10: 39)。4つの単量体は、各々、4つの異なる構造ドメイン:細胞質テール、膜貫通領域、ストーク、及び触媒ヘッド(同上)を有する。NAのエクトドメインは、NAの球状ヘッドドメイン及びストークドメインから構成される。
【0010】
NAの酵素機能を標的とする抗ウイルス薬は、ウイルス量を低下させることが示されている(Moscona Aの文献. 2005.インフルエンザのノイラミニダーゼ阻害剤(Neuraminidase inhibitors for influenza). N Engl J Med 353:1363-73; Gubareva LV, Kaiser L, Hayden FGの文献. 2000.インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤(Influenza virus neuraminidase inhibitors). Lancet 355:827-35)。インフルエンザウイルスNAは、NAが保存されたエピトープを保有するとき、優れた免疫標的でもある(Chen YQ, Wohlbold TJ, Zheng NY, Huang M, Huang Y, Neu KE, Lee J, Wan H, Rojas KT, Kirkpatrick E, Henry C, Palm AE, Stamper CT, Lan LY, Topham DJ, Treanor J, Wrammert J, Ahmed R, Eichelberger MC, Georgiou G, Krammer F, Wilson PCの文献. 2018.ヒトにおけるインフルエンザ感染は広範な交差反応性及び防御性を有するノイラミニダーゼ反応性抗体を誘導する(Influenza Infection in Humans Induces Broadly Cross-Reactive and Protective Neuraminidase-Reactive Antibodies). Cell 173:417-429.e10; Wohlbold TJ, Podolsky KA, Chromikova V, Kirkpatrick E, Falconieri V, Meade P, Amanat F, Tan J, tenOever BR, Tan GS, Subramaniam S, Palese P, Krammer Fの文献. 2017. B型インフルエンザウイルスに対する広範な防御性を有するマウスモノクローナル抗体は、高度に保存されたノイラミニダーゼエピトープを標的とする(Broadly protective murine monoclonal antibodies against influenza B virus target highly conserved neuraminidase epitopes). Nat Microbiol 2:1415-1424)。それゆえ、ノイラミニダーゼ活性を阻害し、かつタンパク質に結合する抗体であれば、防御的である可能性が高いであろう。実際、いくつかの研究により、ノイラミニダーゼ阻害性(NAI)であるNA特異的抗体は、動物とヒトの両方におけるインフルエンザウイルスからの防御と相関することが示されている(Jacobsen H, Rajendran M, Choi A, Sjursen H, Brokstad KA, Cox RJ, Palese P, Krammer F, Nachbagauer Rの文献. 2017.ヒト血清中のインフルエンザウイルス血球凝集素ストーク特異的抗体は血清転移マウス投与モデルにおけるインビボ防御の代用マーカーである(Influenza Virus Hemagglutinin Stalk-Specific Antibodies in Human Serum are a Surrogate Marker for In Vivo Protection in a Serum Transfer Mouse Challenge Model). MBio 8; Monto AS, Petrie JG, Cross RT, Johnson E, Liu M, Zhong W, Levine M, Katz JM, Ohmit SEの文献. 2015.インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する抗体:防御の独立相関因子(Antibody to Influenza Virus Neuraminidase: An Independent Correlate of Protection). J Infect Dis 212:1191-9; Kilbourne ED, Johansson BE, Grajower Bの文献. 1990. A型インフルエンザウイルス血球凝集素及びノイラミニダーゼ糖タンパク質の性質における独立のかつ異なる進化(Independent and disparate evolution in nature of influenza A virus hemagglutinin and neuraminidase glycoproteins). Proc Natl Acad Sci U S A 87:786-90; Couch RB, Atmar RL, Franco LM, Quarles JM, Wells J, Arden N, Nino D, Belmont JWの文献. 2013.ヒトにおける自然発生インフルエンザに対する免疫の抗体相関因子及び予測因子並びにノイラミニダーゼに対する抗体の重要性(Antibody correlates and predictors of immunity to naturally occurring influenza in humans and the importance of antibody to the neuraminidase). J Infect Dis 207:974-81; Walz L, Kays SK, Zimmer G, von Messling Vの文献. 2018.ノイラミニダーゼ阻害抗体力価は同じノイラミニダーゼ亜型の異種インフルエンザウイルス株からの防御と相関する(Neuraminidase-Inhibiting Antibody Titers Correlate with Protection from Heterologous Influenza Virus Strains of the Same Neuraminidase Subtype). J Virol 92)。NAに対する抗体は、感染した個体(Maier HE, Nachbagauer R, Kuan G, Ng S, Lopez R, Sanchez N, Stadlbauer D, Gresh L, Schiller A, Rajabhathor A, Ojeda S, Guglia AF, Amanat F, Balmaseda A, Krammer F, Gordon Aの文献. 2019.既存の抗ノイラミニダーゼ抗体は自然に感染した成人におけるA型インフルエンザ(H1N1)pdmウイルス排出及び病気の持続期間の短縮と関連する(Pre-existing anti-neuraminidase antibodies are associated with shortened duration of influenza A (H1N1)pdm virus shedding and illness in naturally infected adults). Clin Infect Dis.)及びモルモット(McMahon M, Kirkpatrick E, Stadlbauer D, Strohmeier S, Bouvier NM, Krammer Fの文献. 2019.ノイラミニダーゼに対する粘膜免疫はモルモットにおけるB型インフルエンザウイルス伝染を予防する(Mucosal Immunity against Neuraminidase Prevents Influenza B Virus Transmission in Guinea Pigs). MBio 10)におけるウイルス排出を低下させることが示されている。しかしながら、現在の不活化インフルエンザウイルスワクチン(IIV)が限定されたNA特異的抗体応答を誘導する一方、免疫応答の大部分は、HAに対するものである。これは、IIVとの関連におけるHAの免疫原性と比較したより低いNAの免疫原性及びワクチン産生時のNA含有量の標準化の欠如によるものである可能性が高い(Wohlbold TJ, Nachbagauer R, Xu H, Tan GS, Hirsh A, Brokstad KA, Cox RJ, Palese P, Krammer Fの文献. 2015.アジュバント添加された組換えノイラミニダーゼのワクチン接種はマウスのインフルエンザウイルス感染に対する異種ではあるが、異種亜型ではない広範な交差防御を誘導する(Vaccination with Adjuvanted Recombinant Neuraminidase Induces Broad Heterologous, but Not Heterosubtypic, Cross-Protection against Influenza Virus Infection in Mice). MBio 6; Krammer F, Fouchier RAM, Eichelberger MC, Webby RJ, Shaw-Saliba K, Wan H, Wilson PC, Compans RW, Skountzou I, Monto ASの文献. 2018. NAction! ノイラミニダーゼに基づく免疫はいかにしてより良好なインフルエンザウイルスワクチンに寄与することができるか?(NAction! How Can Neuraminidase-Based Immunity Contribute to Better Influenza Virus Vaccines?) MBio 9)。不正確にフォールディングした単量体NAが防御的抗体応答を誘発することができるかどうかは不明であった。しかし、抗N1又はN2力価がワクチン中の酵素活性形態のNAと相関することが観察されているので、正確にフォールディングした四量体NAが必要とされると推測される(Krammer F, Fouchier RAM, Eichelberger MC, Webby RJ, Shaw-Saliba K, Wan H, Wilson PC, Compans RW, Skountzou I, Monto ASの文献. 2018. NAction! ノイラミニダーゼに基づく免疫はいかにしてより良好なインフルエンザウイルスワクチンに寄与することができるか?(NAction! How Can Neuraminidase-Based Immunity Contribute to Better Influenza Virus Vaccines?) MBio 9; Marcelin G, Sandbulte MR, Webby RJの文献. 2012.ノイラミニダーゼに対する抗体産生のインフルエンザワクチンによって生じた防御への寄与(Contribution of antibody production against neuraminidase to the protection afforded by influenza vaccines). Rev Med Virol 22:267-79).
【0011】
したがって、インフルエンザウイルス感染及びインフルエンザウイルス疾患を予防及び治療するための療法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
(3.概要)
一態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、エクトドメインのストークドメインに見られる1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48もしくは50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48もしくは50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48及び50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48及び50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N1又はN2のものである。他の実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメインをさらに含む。具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。
【0013】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。いくつかの実施態様において、該突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N1又はN2のものである。他の実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメインをさらに含む。具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。
【0014】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。ある実施態様において、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N1又はN2のものである。他の実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである。
【0015】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基52における又はインフルエンザウイルスA/香港/4801/2014のアミノ酸残基52に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインは、A型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来ものである。ある実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基54における又はインフルエンザウイルスA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基54における又はインフルエンザウイルスA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインは、A型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来ものである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメインをさらに含む。具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。
【0016】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークの全て又は一部(例えば、インフルエンザノイラミニダーゼストークの25、30、35、40、45、50、55、60個、もしくはそれより多くのアミノ酸残基、又はインフルエンザノイラミニダーゼストークの25~50、30~50、40~50、30~60、40~60、もしくは50~60個のアミノ酸残基)、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。一実施態様において、該四量体化ドメインは、パラミクソウイルスタンパク質四量体化ドメインを含む。具体的な実施態様において、該パラミクソウイルスタンパク質四量体化ドメインは、パラミクソウイルスホスホタンパク質(例えば、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質)の四量体化ドメインである。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークの全て又は一部(例えば、インフルエンザノイラミニダーゼストークの25、30、35、40、45、50、55、60個、もしくはアミノ酸残基、又はインフルエンザノイラミニダーゼストークの25~50、30~50、40~50、30~60、40~60、もしくは50~60個のアミノ酸残基)、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠き、かつここで、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N1又はN2のものである。他の実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである。
【0017】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。一実施態様において、該四量体化ドメインは、パラミクソウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとパラミクソウイルスタンパク質四量体化ドメイン(例えば、パラミクソウイルスタンパク質四量体化ドメイン)とを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。具体的な実施態様において、該パラミクソウイルスホスホタンパク質は、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠き、かつここで、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N1又はN2のものである。他の実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインは、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである。
【0018】
ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、ヒスチジンタグ、Flagタグ、又は他の精製タグを含む。ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、切断部位、例えば、下の第6節に記載されているものなどを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、切断部位、例えば、下の第6節に記載されているものなど、及びヒスチジンタグ、Flagタグ、又は他の精製タグを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは単離されている。
【0019】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号27、56、58、60、又は62のアミノ酸配列を含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼは、配列番号27、56、又は58のアミノ酸配列を含む。
【0020】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列である。具体的な実施態様において、該核酸配列は単離されている。
【0021】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55、57、59、又は61のヌクレオチド配列を含む核酸配列である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される核酸配列は、配列番号55又は57のヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む。
【0022】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む発現ベクターである。具体的な実施態様において、該発現ベクターは、好適な基質中での組換えノイラミニダーゼの発現を促進する。
【0023】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、核酸配列を含む発現ベクターであり、ここで、該核酸配列は、配列番号55、57、59、又は61のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、核酸配列を含む発現ベクターであり、ここで、該核酸配列は、配列番号55又は57のヌクレオチド配列を含む。
【0024】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を発現することができる宿主細胞である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を発現する宿主細胞である。
【0025】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む組換えインフルエンザウイルスである。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ゲノムを含む組換えインフルエンザウイルスであり、ここで、該ゲノムは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該組換えノイラミニダーゼは、該組換えインフルエンザウイルスに感染した細胞によって発現される。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ノイラミニダーゼを含む組換えインフルエンザウイルスであり、ここで、該ノイラミニダーゼは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。別の態様において、本明細書に提供されるのは、ゲノムを含む組換えインフルエンザウイルスであり、ここで、該ゲノムは、ノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該ノイラミニダーゼは、感染細胞によって発現され、ここで、該ノイラミニダーゼは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは不活化されている。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは分離されている。他の実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは、弱毒化生インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは、組換えA型インフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは、H1又はH3亜型である。他の実施態様において、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは、B型インフルエンザウイルスである。
【0026】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるノイラミニダーゼを含む免疫原性組成物である。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)、四価不活化インフルエンザウイルスワクチン(QIV)、又は組換えインフルエンザウイルスワクチンをさらに含む。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0027】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む免疫原性組成物である。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0028】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物である。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0029】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法であって、対象に、ある用量の本明細書に記載される免疫原性組成物を投与することを含む、方法である。別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、ある用量の本明細書に記載される免疫原性組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、対象は、さらなる用量の免疫原性組成物を追加免疫として投与される。具体的な実施態様において、対象はヒトである。別の具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、対象に筋肉内投与される。
【0030】
(3.1 専門用語)
本明細書で使用されるように、「核酸」という用語は、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えば、mRNA)並びにヌクレオチド類似体を用いて作製されるDNA又はRNAの類似体を含むことが意図される。核酸は、一本鎖又は二本鎖であることができる。具体的な実施態様において、核酸は、自己複製RNAであってもよい。
【0031】
本明細書で使用されるように、天然源、例えば、細胞から得られるポリペプチド(抗体を含む)との関連で使用される場合の「精製された」及び「単離された」という用語は、天然源由来の夾雑物質、例えば、鉱物、環境由来の化学物質、並びに/又は天然源由来の細胞性物質、例えば、限定されないが、細胞破片、細胞壁物質、膜、オルガネラ、細胞内に存在する核酸、炭水化物、タンパク質、及び/もしくは脂質の大部分を実質的に含まないポリペプチドを指す。したがって、単離されているポリペプチドには、細胞性物質及び/又は夾雑物質の(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%、2%又は1%未満を有するポリペプチド調製物が含まれる。本明細書で使用されるように、化学合成されているポリペプチド(抗体を含む)との関連で使用される場合の「精製された」及び「単離された」という用語は、ポリペプチドの合成に関与する化学的前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まないポリペプチドを指す。具体的な実施態様において、組換えインフルエンザウイルスNAは化学合成されている。別の具体的な実施態様において、組換えインフルエンザウイルスNAは単離されている。
【0032】
本明細書で使用されるように、「対象」又は「患者」という用語は、動物(例えば、鳥類、爬虫類、及び哺乳動物)を指すために互換的に使用される。具体的な実施態様において、対象は鳥である。別の実施態様において、対象は、非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)並びに霊長類(例えば、サル、チンパンジー、及びヒト)を含む哺乳動物である。ある実施態様において、対象は非ヒト動物である。いくつかの実施態様において、対象は家畜又はペットである。別の実施態様において、対象はヒトである。別の実施態様において、対象はヒト乳児である。別の実施態様において、対象はヒト小児である。別の実施態様において、対象はヒト成人である。別の実施態様において、対象はヒト高齢者である。別の実施態様において、対象はヒト早産児である。
【0033】
本明細書で使用されるように、「ヒト早産児」という用語は、妊娠37週未満で生まれたヒト新生児を指す。
【0034】
本明細書で使用されるように、「季節性インフルエンザウイルス株」という用語は、対象集団が季節毎に曝露されるインフルエンザウイルスの株を指す。具体的な実施態様において、季節性インフルエンザウイルス株という用語は、A型インフルエンザウイルスの株を指す。具体的な実施態様において、季節性インフルエンザウイルス株という用語は、H1又はH3亜型、すなわち、ヒト対象集団において現在存続している2つの亜型に属するインフルエンザウイルスの株を指す。他の実施態様において、季節性インフルエンザウイルス株という用語は、B型インフルエンザウイルスの株を指す。
【0035】
「三次構造」及び「四次構造」という用語は、当業者によって理解される意味を有する。三次構造は、単一のポリペプチド鎖の三次元構造を指す。四次構造は、複数のポリペプチド鎖を有するポリペプチドの三次元構造を指す。
【0036】
本明細書で使用されるように、いくつかの実施態様において、ウイルスポリペプチドとの関連における「野生型」という語句は、天然に見出され、かつ天然のウイルスと関連しているウイルスポリペプチドを指す。
【0037】
本明細書で使用されるように、いくつかの実施態様において、ウイルスとの関連における「野生型」という語句は、広く行き渡っており、自然に循環しており、かつ疾患の典型的な発生をもたらしているウイルスの型を指す。他の実施態様において、ウイルスとの関連における「野生型」という用語は、親ウイルスを指す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
(4.図面の簡単な説明)
【
図1】
図1A~1C。N1に融合した麻疹ウイルスホスホタンパク質(MPP-N1)又はセンダイウイルスホスホタンパク質(SPP-N1)四量体化ドメイン及びN1に融合したアラビドプシス(Arabidopsis)由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子の四量体化ドメイン(SMDTF-N1)の還元(
図1A)、非還元(
図1B)、及び架橋(
図1C) SDS-PAGE。VASP-N1は、陽性対照としての役割を果たす。MPP-N1、SPP-N1、及びVASP-N1は、架橋されたとき、四量体として維持される。
【0039】
【
図2】
図2。N1に融合した麻疹ウイルスホスホタンパク質(MPP-N1)又はセンダイウイルスホスホタンパク質(SPP-N1)四量体化ドメインを有するコンストラクトのNA活性。VASP-N1は、陽性対照かつ無関係なものとしての役割を果たす。
【0040】
【
図3】
図3。汎NA mAb 1G01を含むヒトNI活性抗体は、Ni-NTAプレート上のELISAでMPP-1を認識する。
【0041】
【
図4】
図4。マウスモデルにおけるワクチンとしてのN1に融合した麻疹ウイルスホスホタンパク質(MPP-N1)又はセンダイウイルスホスホタンパク質(SPP-N1)四量体化ドメインの防御効果。VASP-N1は、陽性対照としての役割を果たし、無関係なタンパク質は、陰性対照としての役割を果たした。括弧内の%は、生存を示す。
【0042】
【
図5】
図5。NA-Starアッセイにおける様々なNA-ストークシステイン突然変異体のNA活性。曲線下面積は、活性の定量として示されている。
【0043】
【
図6】
図6A~6B。精製された不活化PR8 H1N1ウイルスのNA含有量。(
図6A)WT、I48C、N50C、I48C_N50C、W61insertC、又はV62insertC NAを発現する精製された不活化ウイルスのNA含有量をウェスタンブロットにより調べた。(
図6B)I48CとW61insertCとの組合せにより、他の突然変異体よりも多いNAの四量体含有量及び他の突然変異体よりも少ないNAの三量体含有量が得られる。WT、I48C、I48C_N50C、I48C_W61insert C NAを発現する精製された不活化ウイルスのNA含有量をウェスタンブロットにより調べた。A及びBのウイルスタンパク質を10%SDS-PAGEで分離した。NR:非還元; R:還元。
【0044】
【
図7】
図7。HK14 N2におけるシステイン置換のための対応する残基を同定するためのPR8 N1及びHK14 N2(N1、aa 1~102(配列番号53); N2、aa 1~117(配列番号54))のアミノ酸配列アラインメント。N1(C49)及びN2(C53)中の天然のシステインが囲まれている。
【0045】
【
図8】
図8A~8B。精製された不活化HK14 H3N2ウイルスのNA含有量及びNA活性。(
図8A)WT、L52C、及びL52C_E54CウイルスのNA含有量をウェスタンブロットにより調べた。ウイルスタンパク質を8%-16%SDS-PAGEで分離した。(
図8B)ウイルス調製物のNA活性。NA-fluorノイラミニダーゼ活性アッセイを用いて、5ngの各々のウイルス由来の潜在的NA活性を測定した。
【0046】
【
図9】
図9A~9D。以下のインフルエンザウイルスA/PR/8/34(N1 PR8;配列番号:29)、A/ミシガン/45/15(N1_Mich15;配列番号:30)、A/WSN/33(N1_WSN;配列番号:31)、A/香港/4801/14(N2_HK14;配列番号:32)、A/ニワトリ/バングラディッシュ/19870/13(N2_ck;配列番号:33)、A/ブタ/ミズーリ/4296424/06A(N3_sw;配列番号:34)、A/ミカヅキシマアジ/グアテマラ/CIP049H113-74/13(N3_bwt;配列番号:35)、A/カモ/江西省/22676/13(N3_カモ;配列番号:36)、A/カモ/北海道/222/14(N4_カモ;配列番号:37)、A/キョウジョシギ/デラウェア/AI03-378/03(N4_rt;配列番号:38)、A/アメリカヒドリ/カリフォルニア/HS007B/15(N5_aw;配列番号:39)、A/渡りガモ/江西省/6847/03(N5_md;配列番号:40)、A/深セン/1/16(N6_Sz;配列番号:41)、A/カスピカイアザラシ/ロシア/T1/12(N6_cs;配列番号:42)、A/ニワトリ/ネーデルラント/1/03(N7_cN;配列番号:43)、A/ニワトリ/ドイツ/R28/03(N7_cG;配列番号:44)、A/ニワトリ/ネーデルラント/14015531/14(N8_cN;配列番号:45)、A/ニワトリ/ラオス/A0573/07(N8_cL;配列番号:46)、A/安徽省/2/13(N9_AH13;配列番号:47)、A/ニワトリ/東莞/1143/14(N9_ck;配列番号:48)、及びB/マレーシア/2506/04(B_Mal;配列番号:49)のノイラミニダーゼのアラインメント。N1_PR8について、C49が太字で示され、下線が付されている。
【0047】
【
図10】
図10。この図は、6~8週齢の雌BALB/cマウスに施された免疫付与プロトコルを示している。特に、組換えN1-MPP(配列番号27)をマウスモデルにおけるワクチンとして試験した。図中の表は、様々な群についての投与された抗原を掲載している。第1群は、筋肉内に3週間の間隔で2回、3μgの用量の組換えN1-MPPを受容した。第2群は、同じであるが、アジュバントAddaVaxと混合した抗原を受容した(マウスを用いた図中の描写を参照されたい)。第3群は、1μgの用量(H1 HAをベースにした)の現在の季節性四価インフルエンザウイルスワクチン(QIV、商標: Flucelvax)に混合した組換えN1-MPPを2回受容した。第4群は、NAとQIVを混合すると、NAが免疫亜優性になり得るという仮定に基づいて、1つの脚に組換えN1-MPPを受容し、第二の脚にQIVを受容した。第5群は、QIVを2回受容し、第6群は、無関係な組換えタンパク質を陰性対照として受容した。初回免疫後及び追加免疫後に、動物から採血した。追加免疫から4週間後、動物に、25×又は400×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)を投与した。
【0048】
【
図11】
図11A~11C。
図11Aは、第1群~第6群について
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清のインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/15 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む組換えN1-VASPに対する結合を測定するELISAの結果を示している。
図11Bは、第1群~第6群について
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えH1に対する結合を測定するELISAの結果を示している。
図11Cは、機能的ノイラミニダーゼ阻害アッセイの結果を示している。特に、第1群~第6群について
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清が一致したN1 NA(インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/15 NA)、H7 HA、及びPR8配列を含むH7N1再集合体ウイルスのノイラミニダーゼ機能を阻害する能力。
【0049】
【
図12】
図12A~12B。
図12Aは、
図10の説明文に記載されているように免疫付与され、かつ
図10の説明文に記載されているように25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)が投与された第1群~第6群のマウスの体重減少を示している。
図12Bは、
図10の説明文に記載されているように免疫付与され、かつ
図10の説明文に記載されているように25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)が投与された第1群~第6群のマウスの生存を示している。
【0050】
【
図13】
図13A~13B。
図13Aは、
図10の説明文に記載されているように免疫付与され、かつ
図10の説明文に記載されているように400×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)が投与された第2群、第4群、第5群、及び第6群のマウスの体重減少を示している。
図12Bは、
図10の説明文に記載されているように免疫付与され、かつ
図10の説明文に記載されているように400×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)が投与された第2群、第4群、第5群、及び第6群のマウスの生存を示している。
【0051】
【
図14】
図14A~14E。組換えN2-MPP(MPP四量体化ドメインとインフルエンザウイルスA/カンザス/14/2017(H3N2) N2の球状ヘッドドメインとを含む;配列番号:60)及び組換えB-MPP(MPP四量体化ドメインとインフルエンザウイルスB/コロラド/06/2017 NAの球状ヘッドドメインとを含む;配列番号62)。
図14Aは、組換えB-MPPに対する広い反応性の抗B型インフルエンザウイルスNAモノクローナル抗体の反応性を示している。
図14Bは、組換えN2-MPPに対する広い反応性の抗A型インフルエンザウイルスN2 NAモノクローナル抗体の反応性を示している。
図14Cは、NA-starアッセイにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)のNA活性を示している。
図14Dは、還元SDS-PAGEにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)を示している。
図14Eは、架橋SDS-PAGEにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)を示している。
【0052】
【
図15】
図15。この図は、組換えN1-MPP、組換えN2-MPP、又は組換えB-MPPを用いてマウスに免疫を付与するために使用された免疫付与レジメンを提供している。3つの組換えNAタンパク質(組換えN1-MPP、組換えN2-MPP、及び組換えB-MPP)の各々の試験に関して、3つのマウスの群に免疫を付与した。第1群及び第2群のマウスに、3μgの組換えNAタンパク質(表示されている組換えN1-MPP、組換えN2-MPP、又は組換えB-MPP)を、3週間の間隔で2回、筋肉内にワクチン接種した。1つの群について、組換えNAを常にアジュバント添加なしで投与し、第二の群については、AddaVaxをアジュバント添加した。第三の群は、無関係な組換えタンパク質を陰性対照として受容した。追加免疫から3週間後、動物に、25×LD
50の指定のチャレンジウイルスを投与した。
【0053】
【
図16】
図16A~16D。
図16Aは、
図15の説明文に記載されているようにN1-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)を投与されたマウスの体重減少を示している。
図16Bは、
図15の説明文に記載されているようにN1-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)を投与されたマウスの生存を示している。
図16Cは、第1群~第3群について
図15及び
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えN1-VASP(インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/15 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。
図16Dは、機能的ノイラミニダーゼ阻害アッセイの結果を示している。特に、
図15の説明文に記載されているようにN1-MPPをワクチン接種されたマウス由来の血清が一致したN1 NAを含むH7N1再集合体ウイルスのノイラミニダーゼ機能を阻害する能力を評価した。
【0054】
【
図17】
図17A~17C。
図17Aは、
図15の説明文に記載されているようにN2-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のA/スイス/9715293/2013(H3N2、マウスに適応したもの)を投与されたマウスの体重減少を示している。
図17Bは、
図15の説明文に記載されているようにN2-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のA/スイス/9715293/2013(H3N2、マウスに適応したもの)を投与されたマウスの生存を示している。
図17Cは、第1群~第3群について
図15及び
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えN2-VASP(インフルエンザウイルスA/カンザス/14/2017 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。
【0055】
【
図18】
図18A~18C。
図18Aは、
図15の説明文に記載されているようにB-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のB/ニューヨーク/PV01181/2018を投与されたマウスの体重減少を示している。
図18Bは、
図15の説明文に記載されているようにB-MPPをワクチン接種され、かつ
図15の説明文に記載されているように25×LD
50のB/ニューヨーク/PV01181/2018を投与されたマウスの生存を示している。
図18Cは、第1群~第3群について
図15及び
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えB-VASP(インフルエンザウイルスB/コロラド/06/2017 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0056】
(5.詳細な説明)
一態様において、本明細書に提供されるのは、安定な四量体を形成し、かつ免疫原性である組換えノイラミニダーゼである。該組換えノイラミニダーゼを用いて、インフルエンザウイルスに対する免疫を対象に付与することができる。
【0057】
(5.1 組換えインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ)
本明細書に提供されるのは、免疫原として使用し得る組換えインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)である。具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼは、下の第6.1節又は第6.2節に記載されるノイラミニダーゼのアミノ酸配列を有する。別の具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼは、以下のもの:シグナル配列、ヒスチジンタグ、又は切断部位のうちの1つ、2つ、又はそれより多くを有さない、下の第6.1節に記載されるノイラミニダーゼのアミノ酸配列を有する。
【0058】
ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの機能のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多く、又は全てを保持する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、シアル酸を切断する。当業者に公知のアッセイを利用して、シアル酸を切断する組換えノイラミニダーゼの能力を評価することができる。
【0059】
本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、本明細書に記載される技術を含む、当業者に知られ、かつ当業者に適しているとみなされる任意の技術に従って調製することができることが当業者によって理解されるであろう。ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、単離されている。
【0060】
(5.1.1 突然変異したエクトドメインを有する組換えインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ)
具体的な態様において、本明細書に提供されるのは、エクトドメインのストークドメイン中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するインフルエンザノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとストークドメイン中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するストークドメインとを含む組換えノイラミニダーゼである。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインの第一のシステインとインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通の間の領域中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するストークドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。これらのアミノ酸残基は、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の1つ、2つ、もしくはそれより多く、又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の1つ、2つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基を含み得る。或いは、これらのアミノ酸残基は、N2亜型のアミノ酸残基52及び54のうちの一方もしくは両方又はインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014のアミノ酸残基52及び54のうちの一方もしくは両方に対応するアミノ酸残基を含み得る。任意の理論に束縛されるものではないが、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメイン中の1以上の追加のシステインを結果として生じる1以上のアミノ酸置換は、該タンパク質の安定性を増大させるジスルフィド結合の形成を結果として生じる。
【0061】
当業者は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのドメインの描写を、例えば、結晶構造から、及び/又は構造予測ソフトウェア(例えば、生物学的配列解析センター(Center for Biological Sequence Analysis)、デンマーク工科大学(Technical University of Denmark DTU)のウェブサイト、又はPymol)をタンパク質アラインメントと併用することにより決定することができることを認識しているであろう。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインの第一のシステインは、
図9A~9D中の太字かつ下線付きのアステリスクによって示されたアミノ酸残基に対応する。
【0062】
別のインフルエンザウイルスNA中の特定のアミノ酸残基(例えば、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び/もしくは81、又はインフルエンザウイルスA/香港//4801/2014のアミノ酸残基52及び/もしくは54)に対応するインフルエンザウイルスNAのストークドメイン中のアミノ酸残基は、当業者に公知の技術を用いて同定することができる。具体的な実施態様において、特定のアミノ酸残基(例えば、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び/もしくは81、又はインフルエンザウイルスA/香港//4801/2014のアミノ酸残基52及び/もしくは54)に対応するインフルエンザウイルスNAのストークドメイン中のアミノ酸残基は、インフルエンザウイルスNAのアミノ酸配列及び/又は構造情報(例えば、結晶構造)を比較することにより同定することができる。特定の実施態様において、インフルエンザウイルスのNAのアミノ酸配列のアラインメント(例えば、ClustalOmegaを使用)及び構造類似性についてのNAの評価によって、当業者は、ストークドメイン中の特定のアミノ酸残基(例えば、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び/もしくは81、又はインフルエンザウイルスA/香港//4801/2014のアミノ酸残基52及び/もしくは54)に対応するインフルエンザウイルスNA中のアミノ酸残基を選択することができる。例えば、
図9A~9D中の配列アラインメントを参照されたい。ある実施態様において、そのようなアミノ酸置換はNAのフォールディングに影響を及ぼし得るので、NAの構造に影響を及ぼすインフルエンザウイルスNAストークドメイン中のアミノ酸残基をシステインと置換することを控えてもよい。他の実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメイン中の任意のアミノ酸残基をシステインと置換してもよい。
【0063】
一態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基50又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基76における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基76に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸残基置換の他に、野生型インフルエンザウイルスエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0064】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の2つ、3つ、もしくはそれより多くにおける又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えインフルエンザウイルスであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48及び50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48及び50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸残基置換の他に、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0065】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基50における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基76における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基76に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基81における又はインフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼのアミノ酸残基81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸残基置換の他に、野生型インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/2015ノイラミニダーゼエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0066】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基52もしくは54における又はインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014のアミノ酸残基52もしくは54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、A/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61、76、78、及び/又は81に対応するインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014ノイラミニダーゼのアミノ酸残基の1つ、2つ、又はそれより多くにおけるアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基52における又はインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014のアミノ酸残基52に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基54における又はインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N2亜型のアミノ酸残基52及び54における又はインフルエンザウイルスA/香港/5738/2014のアミノ酸残基52及び54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸残基置換の他に、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0067】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、エクトドメインのストークドメイン中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインの挿入を有するインフルエンザノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとストークドメイン中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインの挿入を有するストークドメインとを含む組換えノイラミニダーゼである。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインの第一のシステインとインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通の間の領域中の1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するストークドメインとを含む組換えノイラミニダーゼである。これらの挿入は、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81において、又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の1つ、2つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基において生じ得る。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載される1以上のシステインの挿入の他に、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0068】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を含む。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、N1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載される1以上のシステインの挿入の他に、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0069】
インフルエンザウイルスNAのストークドメイン中のシステインを挿入すべき位置は、当業者に公知の技術を用いて同定することができる。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスNAのストークドメイン中のシステインを挿入すべき位置は、インフルエンザウイルスNAのアミノ酸配列及び/又は構造情報(例えば、結晶構造)を比較することにより同定される。特定の実施態様において、インフルエンザウイルスのNAのアミノ酸配列のアラインメント(例えば、ClustalOmegaを使用)及び構造類似性についてのNAの評価によって、当業者は、システインを挿入すべき位置を選択することができる。
【0070】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、エクトドメインのストークドメイン中の特定のアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインの挿入及びエクトドメインのストークドメイン中の特定のアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するインフルエンザノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとストークドメイン中の特定のアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインの挿入及びエクトドメインのストークドメイン中の特定のアミノ酸残基における1つ、2つ、又はそれより多くのシステインへのアミノ酸置換を有するストークドメインとを含む組換えノイラミニダーゼである。これらの挿入、アミノ酸置換、又はその両方は、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81において又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81の1つ、2つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基において生じ得る。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該突然変異したエクトドメインは、(1)N1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入;及び(2)N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、該突然変異したエクトドメインは、本明細書に記載される1以上のシステイン及び本明細書に記載されるアミノ酸残基置換の挿入の他に、野生型インフルエンザウイルスエクトドメインに対応するアミノ酸残基を含む。
【0071】
具体的な実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11エクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。ある実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインとの70%、75%、80%、又は85%の同一性を有するA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインとの90%、95%、又は98%の同一性を有するA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。他の実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。ある実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインとの70%、75%、80%、又は85%の同一性を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインは、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのエクトドメインとの90%、95%、又は98%の同一性を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。当業者に公知の技術を用いて、2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性を決定することができる。通常、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、これらの配列を最適比較目的で整列させる(例えば、第二のアミノ酸又は核酸配列との最適アラインメントのために、第一のアミノ酸又は核酸配列の配列中にギャップを導入することができる)。その後、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第一の配列中の位置が第二の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められている場合、この分子はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、これらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の重複位置の数/位置の総数×100%)。一実施態様において、2つの配列は同じ長さである。ある実施態様において、パーセント同一性は、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の全長にわたって決定される。2つの配列(例えば、アミノ酸配列又は核酸配列)間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することもできる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin及びAltschulの文献、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:5873 5877に見られるように改変された、Karlin及びAltschulの文献、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2264 2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulらの文献、1990, J. Mol. Biol. 215:403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載される核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、例えば、スコア=100、ワード長=12例えば、スコア=100、ワード長=12に設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施することができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載されるタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、例えば、スコア=50、ワード長=3に設定されたXBLASTプログラムパラメータを用いて実施することができる。比較目的のためのギャップ付きアラインメントを得るために、ギャップBLASTを、Altschulらの文献、1997, Nucleic Acids Res. 25:3389 3402に記載されている通りに利用することができる。或いは、PSI BLASTを用いて、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる(同上)。BLAST、ギャップBLAST、及びPSI Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトパラメータを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブ、ncbi.nlm.nih.govのNational Center for Biotechnology Information(NCBI)を参照)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers及びMillerの文献、1988, CABIOS 4: 11 17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用することができる。2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップを許容する又は許容しない、上記の技術と同様の技術を用いて決定することができる。パーセント同一性を計算する際、通常、正確な一致のみをカウントする。
【0072】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、本明細書に記載される突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメイン及びインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方を含む。ある実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型などの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。ある実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方との70%、75%、80%、又は85%の同一性を有するA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方との90%、95%、又は98%の同一性を有するA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。他の実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。いくつかの実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方との70%、75%、80%、又は85%の同一性を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。ある実施態様において、該膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方は、本明細書に記載される又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方との70%、75%、80%、又は85%の同一性を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、突然変異したエクトドメインと同じインフルエンザウイルスノイラミニダーゼに基づくか、それに由来するか、又はそれから得られるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。別の実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、突然変異したエクトドメインと同じインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型に基づくか、それに由来するか、又はそれから得られるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。
【0073】
ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、可溶性である。他の実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、可溶性ではない。
【0074】
ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメインを含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、本明細書に記載される突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインと四量体化ドメインとを含む。いくつかの実施態様において、該四量体化ドメインは、GCN4ロイシンジッパー由来の四量体化ドメイン、細菌テトラブラキオン四量体化ドメイン、又はヒト血管拡張刺激ホスホタンパク質(VASP)四量体化ドメインを含む。ある実施態様において、該四量体化ドメインは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子(SMDTF)由来の四量体化ドメイン、キサントモナス・カンペストリス(Xhantomonas campestris)由来のPiLZ構造、又は牛肺虫(Dictyocaulus viviparus)ACE四量体化ドメインを含む。他の実施態様において、該四量体化ドメインは、パラミクソウイルスホスホタンパク質(例えば、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質)由来の四量体化ドメインを含む。具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン由来の四量体化である。別の具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、配列番号1、2、3、4、又は5のアミノ酸配列を含む。
【0075】
ある実施態様において、使用される四量体化は改変されている。例えば、四量体化ドメイン、例えば、上記のものは、例えば、N-結合型グリカンをエピトープ(例えば、免疫優性エピトープ)に付加することにより、免疫抑制されている。四量体化ドメインのエピトープ(例えば、免疫優性エピトープ)、例えば、上記のものは、N-結合型グリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr(ここで、Xaaは任意のアミノ酸である)又はAsn-Xaa-Ser/Thr(ここで、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である)を該ドメインに付加することにより抑制することができる。ある実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの非天然グリコシル化部位が四量体化ドメインに導入される。非天然グリコシル化部位の位置は、該部位が四量体化ドメインの免疫優性エピトープを被覆するように選択することができる。N-結合型グリカンの存在によって、被覆されたエピトープが免疫学的に不活性になることができる。
【0076】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、もしくはそれより多くにおける又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、N1亜型のアミノ酸残基48及び50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48及び50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA亜型と同じであるインフルエンザウイルスNA亜型由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0077】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、又は81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、又はそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA系統と同じであるインフルエンザウイルスNA系統由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0078】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/香港/5738/2014ノイラミニダーゼのアミノ酸残基52又は54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/香港/5738/2014ノイラミニダーゼのアミノ酸残基52及び54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA亜型と同じであるインフルエンザウイルスNA亜型由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0079】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/香港/5738/2014ノイラミニダーゼのアミノ酸残基52又は54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/香港/5738/2014ノイラミニダーゼのアミノ酸残基52及び54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA系統と同じであるインフルエンザウイルスNA系統由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0080】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、もしくはそれより多くにおける又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA亜型と同じであるインフルエンザウイルスNA亜型由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0081】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの2つ、3つ、又はそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA系統と同じであるインフルエンザウイルスNA系統由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0082】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入、及び(2)N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、もしくは81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多くにおける又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入;並びに(2)N1亜型のアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多くにおける又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)N1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入、及び(2)N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有する、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型エクトドメインなどの、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA亜型と同じであるインフルエンザウイルスNA亜型由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0083】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、又は81に対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入、及び(2)インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、又は81に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くに対応するアミノ酸残基におけるシステインの挿入、並びに(2)インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934ノイラミニダーゼのアミノ酸残基48、50、61、76、78、及び81のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多くに対応するアミノ酸残基のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くにおけるシステインへのアミノ酸置換を有するB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む突然変異したインフルエンザウイルスエクトドメインを含む組換えノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスエクトドメインのNA系統と同じであるインフルエンザウイルスNA系統由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、エクトドメインと同じB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はその両方をさらに含む。他の実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、四量体化ドメイン、例えば、本明細書に記載されているものをさらに含む。
【0084】
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、アザラシインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。アザラシインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。具体的なA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例としては、本明細書に記載されるA型インフルエンザウイルス株のノイラミニダーゼが挙げられる。具体的な実施態様において、該A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザA/カンザス/14/2017(H3N2)様ウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルスノイラミニダーゼ、又はインフルエンザA/南オーストラリア/34/2019(H3N2)様ウイルスノイラミニダーゼである。
【0085】
ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ヒトB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ヒトB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、アザラシB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。アザラシB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。具体的なB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例としては、インフルエンザB/山形/16/88系統ウイルス又はインフルエンザウイルスB/ビクトリア/2/87系統ウイルスのノイラミニダーゼが挙げられる。具体的な実施態様において、該B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザB/コロラド/06/2017様ウイルス(B/ビクトリア/2/87系統)ノイラミニダーゼ、インフルエンザB/プーケット/3073/2013様ウイルス(B/山形/16/88系統)ノイラミニダーゼ、インフルエンザB/ワシントン/02/2019様(B/ビクトリア系統)ウイルスノイラミニダーゼ、又はインフルエンザB/プーケット/3073/2013-like(B/山形系統)ウイルスノイラミニダーゼである。
【0086】
GenBank(商標)アクセッション番号AAA43397.1は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号ABG23658.1(GI: 108946273)、GenBank(商標)アクセッション番号NP_040981.1(GI: 8486128)、GenBank(商標)アクセッション番号AAA43412.1(GI: 324508)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97720.1(GI: 93008579)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97719.1(GI: 93008577)、及びGenBank(商標)アクセッション番号ABE97718.1(GI: 93008575)は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号CRI06477.1は、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AAQ90293.1は、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AEX30531.1(GI: 371449652)、GenBank(商標)アクセッション番号AEX30532.1(GI: 371449654)、GenBank(商標)アクセッション番号AIA62041.1(GI: 641454926)、GenBank(商標)アクセッション番号AII30325.1(GI: 670605039)、GenBank(商標)アクセッション番号AGO18161.1(GI: 513130855)、及びGenBank(商標)アクセッション番号AAS89005.1(GI: 46360357)は、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。インフルエンザウイルス遺伝子の配列は、インフルエンザ研究データベース(Influenza Research Database)で見出すこともできる。例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ配列は、インフルエンザ研究データベース(Influenza Research Database)で、アクセッション番号FJ66084及びアクセッション番号KF90392の下に見出すことができる。
【0087】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、配列番号7、8、9、10、11、13、又は14のアミノ酸配列を有する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、配列番号16、17、18、19、20、21、22、又は23のアミノ酸配列を有する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、以下のもの:シグナルペプチド、ヘキサ-ヒスチジンタグ、及びトロンビン切断部位のうちの1つ、2つ、又は全てを有さない、配列番号16、17、18、19、20、21、22、又は23のアミノ酸配列を有する。
【0088】
ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、1以上のポリペプチドドメインをさらに含む。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を促進するドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ(His-His-His-His-His-His)(配列番号: 50)、FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるノイラミニダーゼポリペプチドの精製を促進することができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)n(ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれを上回る)を有する。切断部位を用いて、ポリペプチドの部分の切断、例えば、精製タグの切断を促進することができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
【化1】
を有するものが挙げられる。具体的な実施態様において、該切断部位は、
【化2】
のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
【化3】
)である。
【0089】
ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、以下の形態:単量体、二量体、三量体、又は四量体のうちの1つ、2つ、3つ、又は全てとして存在する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、当技術分野で公知又は本明細書に記載される技術によって評価したとき、四量体である。
【0090】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、天然のインフルエンザノイラミニダーゼの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、組換えノイラミニダーゼと、天然のインフルエンザノイラミニダーゼを認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199-204、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87:9290-9300、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100:567-574、Doyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229、及びWohlboldらの文献、2017, Nat.. Microbiol. 2(10): 1415-1424に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、ノイラミニダーゼの三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
【0091】
組換えノイラミニダーゼを設計する場合、得られるタンパク質の安定性を維持するように注意を払うべきである。これに関して、ジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基はノイラミニダーゼタンパク質の安定性に寄与するので、該残基を維持することが推奨される。ジスルフィド結合を形成することができるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼシステイン残基の非限定的な例については、例えば、Baslerらの文献、1999, Journal of Virology, 73(10):8095-8103を参照されたい。本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼの安定性は、例えば、Baker及びGandhiの文献、1976, Archives of Virology, 52:7-18に記載されている、Ca2+に対するノイラミニダーゼ分子の感受性などの、当技術分野で公知の技術を用いて評価することができる。組換えノイラミニダーゼの安定性は、本明細書に(例えば、下の第6節に)記載される任意の方法によって評価することができる。
【0092】
(5.1.2 四量体化ドメインを有する組換えノイラミニダーゼ)
一態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを欠く。具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、任意の膜貫通ドメインを有さない。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、球状ヘッドドメインと同じインフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメイン又はその断片を含む。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメインの断片は、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメインの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、又は50個のアミノ酸残基からなるか、又は該アミノ酸残基を含み得る。或いは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメインの断片は、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメインの2~5、5~10、5~15、10~15、5~20、10~20、15~20、20~30、20~40、25~30、25~40、25~45、25~50、30~40、又は40~50個のアミノ酸残基からなるか、又は該アミノ酸残基を含み得る。具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのストークドメインを含まない。
【0093】
当業者は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのドメインの描写を、例えば、結晶構造から、及び/又は構造予測ソフトウェア(例えば、生物学的配列解析センター(Center for Biological Sequence Analysis)、デンマーク工科大学(Technical University of Denmark DTU)のウェブサイト、又はPymol)をタンパク質アラインメントと併用することにより決定することができることを認識しているであろう。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインの第一のシステインは、
図9A~9D中の太字かつ下線付きのアステリスクによって示されたアミノ酸残基に対応する。
【0094】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く。具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、膜貫通を含まない。ある実施態様において、四量体化ドメインは、シロイヌナズナ由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子(SMDTF)由来の四量体化ドメイン、キサントモナス・カンペストリス由来のPiLZ構造、又は牛肺虫ACE四量体化ドメインを含む。他の実施態様において、該四量体化ドメインは、パラミクソウイルスホスホタンパク質(例えば、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質)由来の四量体化ドメインを含む。ある実施態様において、該四量体化ドメインは、GCN4ロイシンジッパー、細菌テトラブラキオン四量体化ドメイン、又はヒト血管拡張刺激ホスホタンパク質(VASP)四量体化ドメインではない。具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン由来の四量体化である。別の具体的な実施態様において、該四量体化ドメインは、配列番号1、2、3、4、又は5のアミノ酸配列を含む。
【0095】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインと四量体化ドメインとを含む組換えノイラミニダーゼであり、ここで、該組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠き、かつここで、該四量体化ドメインは、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号24、25、26、27、もしくは28のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナル配列、ヒスチジンタグ、又はその両方を有さない、配列番号24、25、26、27、もしくは28のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。
【0096】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号27、56、58、60、もしくは62のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナル配列、ヒスチジンタグ、又はその両方を有さない、配列番号27、56、58、60、もしくは62のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号27、56、もしくは58のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、以下のもの:シグナル配列、ヒスチジンタグ、又はトロンビン切断部位のうちの1つ、2つ、又は全てを有さない、配列番号27のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる組換えノイラミニダーゼである。ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、配列番号55、57、59、もしくは61によって示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる。
【0097】
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、アザラシインフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。アザラシインフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。
【0098】
いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型である。具体的なA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例としては、本明細書に記載されるA型インフルエンザウイルス株のノイラミニダーゼが挙げられる。具体的な実施態様において、該A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザA/カンザス/14/2017(H3N2)様ウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルスノイラミニダーゼ、又はインフルエンザA/南オーストラリア/34/2019(H3N2)様ウイルスノイラミニダーゼである。
【0099】
いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、ヒトB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ヒトB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、アザラシB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。アザラシB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、当技術分野で公知である。具体的なB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例としては、インフルエンザB/山形/16/88系統ウイルス、又はインフルエンザウイルスB/ビクトリア/2/87系統ウイルスのノイラミニダーゼが挙げられる。具体的な実施態様において、該B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザB/コロラド/06/2017様ウイルス(B/ビクトリア/2/87系統)ノイラミニダーゼ、インフルエンザB/プーケット/3073/2013様ウイルス(B/山形/16/88系統)ノイラミニダーゼ、インフルエンザB/ワシントン/02/2019様(B/ビクトリア系統)ウイルスノイラミニダーゼ、又はインフルエンザB/プーケット/3073/2013様(B/山形系統)ウイルスノイラミニダーゼである。
【0100】
GenBank(商標)アクセッション番号AAA43397.1は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号ABG23658.1(GI: 108946273)、GenBank(商標)アクセッション番号NP_040981.1(GI: 8486128)、GenBank(商標)アクセッション番号AAA43412.1(GI: 324508)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97720.1(GI: 93008579)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97719.1(GI: 93008577)、及びGenBank(商標)アクセッション番号ABE97718.1(GI: 93008575)は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号CRI06477.1は、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AAQ90293.1は、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AEX30531.1(GI: 371449652)、GenBank(商標)アクセッション番号AEX30532.1(GI: 371449654)、GenBank(商標)アクセッション番号AIA62041.1(GI: 641454926)、GenBank(商標)アクセッション番号AII30325.1(GI: 670605039)、GenBank(商標)アクセッション番号AGO18161.1(GI: 513130855)、及びGenBank(商標)アクセッション番号AAS89005.1(GI: 46360357)は、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。インフルエンザウイルス遺伝子の配列は、インフルエンザ研究データベース(Influenza Research Database)で見出すこともできる。例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ配列は、インフルエンザ研究データベース(Influenza Research Database)で、アクセッション番号FJ66084及びアクセッション番号KF90392の下に見出すことができる。
【0101】
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインは、本明細書に記載される(例えば、配列番号64もしくは66)又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインとの70%、75%、80%、又は85%の同一性を有する。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインは、本明細書に記載される(例えば、配列番号64もしくは66)又は当技術分野で公知のA型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインとの90%、95%、又は98%の同一性を有する。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインは、本明細書に提供される(例えば、配列番号65)又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインとの70%、75%、80%、又は85%の同一性を有する。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインは、本明細書に提供される(例えば、配列番号65)又は当技術分野で公知のB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインとの90%、95%、又は98%の同一性を有する。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインは、配列番号64、65、もしくは66のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる。
【0102】
ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、1以上のポリペプチドドメインをさらに含む。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を促進するドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ(His-His-His-His-His-His)(SEQ ID NO: 50)、FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるノイラミニダーゼポリペプチドの精製を促進することができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)n(ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれを上回る)を有する。切断部位を用いて、ポリペプチドの部分の切断、例えば、精製タグの切断を促進することができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
【化4】
を有するものが挙げられる。具体的な実施態様において、該切断部位は、
【化5】
のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
【化6】
)である。ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、切断部位を含まない。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、シグナルペプチド及びタグ(例えば、ヒスチジンタグ)を含む。ある実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、シグナルペプチド、タグ(例えば、ヒスチジンタグ)、及び切断部位(例えば、本明細書に記載される切断部位)を含む。
【0103】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、順に、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ又は他の精製タグ、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、切断部位(例えば、配列番号63又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の切断部位)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインを含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、順に、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ又は他の精製タグ、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインを含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、順に、シグナルペプチド、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインを含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、下の第6節に記載されている順に、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ又は他の精製タグ、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、切断部位(例えば、配列番号63又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の切断部位)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインの構成要素を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、下の第6節に記載されている順に、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ又は他の精製タグ、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインを含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼは、下の第6節に記載されている順に、シグナルペプチド、四量体化ドメイン(例えば、MPP又は本明細書に記載されるもしくは当業者に公知の別の四量体化ドメイン)、及びインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインの構成要素を含む。
【0104】
本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、以下の形態:単量体、二量体、三量体、又は四量体のうちの1つ、2つ、3つ、又は全てとして存在する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、当技術分野で公知又は本明細書に記載される技術によって評価したとき、四量体である。
【0105】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される組換えノイラミニダーゼは、天然のインフルエンザノイラミニダーゼの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、組換えノイラミニダーゼと、天然のインフルエンザノイラミニダーゼを認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199-204、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87:9290-9300、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100:567-574、Doyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229、及びWohlboldらの文献、2017, Nat.. Microbiol. 2(10): 1415-1424に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、ノイラミニダーゼの三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
【0106】
組換えノイラミニダーゼを設計する場合、得られるタンパク質の安定性を維持するように注意を払うべきである。これに関して、ジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基はノイラミニダーゼタンパク質の安定性に寄与するので、該残基を維持することが推奨される。ジスルフィド結合を形成することができるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼシステイン残基の非限定的な例については、例えば、Baslerらの文献、1999, Journal of Virology, 73(10):8095-8103を参照されたい。本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼの安定性は、例えば、Baker及びGandhiの文献、1976, Archives of Virology, 52:7-18に記載されている、Ca2+に対するノイラミニダーゼ分子の感受性などの、当技術分野で公知の技術を用いて評価することができる。組換えノイラミニダーゼの安定性は、本明細書に(例えば、下の第6節に)記載される任意の方法によって評価することができる。
【0107】
(5.2 核酸配列)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列である。遺伝暗号の縮重のために、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする任意の核酸配列が本明細書で包含される。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(シグナルペプチドあり又はなし)である。ある実施態様において、該組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチド(例えば、組換えノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたインフルエンザウイルスと同じインフルエンザウイルスのNA由来のシグナルペプチド/膜アンカー)をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施態様において、該核酸配列は、インフルエンザウイルスNAの5'非コード領域及び3'非コード領域(例えば、組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されたインフルエンザウイルスと同じインフルエンザウイルスのNA由来の5'非コード領域及び3'非コード領域)をさらに含む。ある実施態様において、該核酸配列は、インフルエンザウイルスNA遺伝子セグメントのパッケージングシグナルをさらに含む。ある実施態様において、該核酸配列は、例えば、その各々が本明細書中に完全に組み込まれる、国際特許出願公開WO 2011/014645号; Gao及びPaleseの文献、2009, PNAS 106:15891-15896;米国特許第8,828,406号に記載されているような、インフルエンザウイルスNA遺伝子セグメント以外のインフルエンザウイルス遺伝子セグメントのパッケージングシグナルをさらに含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される核酸配列は、コドン最適化されている。
【0108】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55、57、59、又は61に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55又は57に示されるヌクレオチド配列を含む核酸配列である。
【0109】
また本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸にハイブリダイズすることができる核酸配列である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55、57、60、又は61に示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる核酸配列である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列の断片にハイブリダイズすることができる核酸配列である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55、57、60、又は61の断片(例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、もしくはそれより多くのヌクレオチド、又は300~600、400~600、もしくは500~700のヌクレオチドを含むか又は該ヌクレオチドからなる)にハイブリダイズすることができる核酸配列である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列の全長にハイブリダイズすることができる核酸配列である。核酸のハイブリダイゼーション条件の一般的なパラメータは、Sambrookらの文献、分子クローニング-実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)(第2版)、第1巻~第3巻、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York(1989)、及びAusubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第2巻、Current Protocols Publishing, New York(1994)に記載されている。ハイブリダイゼーションは、高いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、又は低いストリンジェンシー条件の下で実施することができる。当業者は、低いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、及び高いストリンジェンシー条件が、その全てが相互作用する複数の因子に左右され、また、当該核酸によっても決まることを理解しているであろう。例えば、高いストリンジェンシー条件は、核酸の融点の5℃以内の温度、低い塩濃度(例えば、250mM未満)、及び高い共溶媒濃度(例えば、1~20%の共溶媒、例えば、DMSO)を含むことができる。他方、低いストリンジェンシー条件は、核酸の融点より10℃を超えて低い温度、高い塩濃度(例えば、1000mM超)、及び共溶媒の欠如を含むことができる。
【0110】
いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列は単離されている。ある実施態様において、「単離された」核酸配列は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。つまり、単離された核酸配列は、天然ではそれに関連していない異種核酸を含むことができる。他の実施態様において、「単離された」核酸配列、例えば、cDNA又はRNA配列は、組換え技術によって産生されたとき、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成されたとき、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。「細胞物質を実質的に含まない」という用語には、それが単離されるか又は組換え産生される細胞の細胞成分から核酸配列が分離されている核酸配列の調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まない核酸配列には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の他の核酸を有する核酸配列の調製物が含まれる。「培養培地を実質的に含まない」という用語には、培養培地が調製物の容量の約50%、20%、10%、又は5%未満である核酸配列の調製物が含まれる。「化学物質前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」という用語には、核酸配列の合成に関与する化学物質前駆体又は他の化学物質から核酸配列が分離されている調製物が含まれる。具体的な実施態様において、そのような核酸配列の調製物は、(乾燥重量で)約50%、30%、20%、10%、5%未満の化学物質前駆体又は対象となる核酸配列以外の化合物を有する。
【0111】
(5.3 組換えノイラミニダーゼの発現)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ(NA)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含有する、発現ベクターを含む、ベクターである。具体的な実施態様において、該ベクターは、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列の発現を導くことができる発現ベクターである。発現ベクターの非限定的な例として、プラスミド及びウイルスベクター、例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ワクシニア(例えば、改変ワクシニア・アンカラウイルス)、アデノ随伴ウイルス、及びバキュロウイルスが挙げられるが、これら限定されない。当業者に公知の技術を用いて、そのようなウイルスベクターを改変し、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させることができる。発現ベクターとしては、限定されないが、トランスジェニック動物及び非哺乳動物細胞/生物、例えば、哺乳動物のN-結合型グリコシル化を行うように改変されている非哺乳動物細胞/生物を挙げることもできる。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼの成分(例えば、ストークドメイン及び球状ヘッドドメイン、又はどちらかのドメインの部分)をコードする発現ベクターである。そのようなベクターを用いて、1以上の宿主細胞で該成分を発現させることができ、該成分を、当業者に公知の技術を用いて、単離し、リンカーとコンジュゲートさせることができる。
【0113】
発現ベクターは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードし、かつ宿主細胞内での該核酸配列の発現に好適な形態にあるヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む。具体的な実施態様において、発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される、発現されることになる核酸配列に機能的に連結された1以上の調節配列を含む。発現ベクターにおいて、「機能的に連結された」とは、対象となる核酸配列が(例えば、インビトロ転写/翻訳系での又はベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞での)核酸配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味するものとする。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞で核酸配列の構成的発現を導くもの、特定の宿主細胞でのみ核酸配列の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)、及び特定の薬剤による刺激によって核酸の発現を導くもの(例えば、誘導可能な調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、タンパク質の所望の発現レベルのような因子によって決まり得ることが当業者には理解されるであろう。「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換又はトランスフェクトされる特定の対象細胞、及びそのような細胞の子孫又は可能性のある子孫を含むものとする。そのような細胞の子孫は、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸の組込みのために、核酸配列で形質転換又はトランスフェクトされる親細胞と同一でなくてもよい。具体的な実施態様において、宿主細胞は、細胞株である。核酸配列を発現させるために使用し得る宿主細胞(例えば、酵母、鳥類、昆虫、植物、及び/又は哺乳動物)の例は、本明細書に提供されている。
【0114】
発現ベクターは、原核生物細胞(例えば、大腸菌(E.coli))又は真核生物細胞(例えば、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用、例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Treanorらの文献、2007, JAMA, 297(14):1577-1582)を参照)、酵母細胞、植物細胞、藻類、鳥類、もしくは哺乳動物細胞)を用いた本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼの発現のために設計することができる。酵母宿主細胞の例としては、分裂酵母(S. pombe)及び出芽酵母(S. cerevisiae)並びに下記の実施例が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類細胞の例としては、EB66細胞が挙げられるが、これに限定されない。哺乳動物宿主細胞の例としては、A549細胞、Crucell Per.C6細胞、Vero細胞、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、又はWI38細胞が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、宿主細胞は、骨髄腫細胞、例えば、NS0細胞、45.6 TG1.7細胞、AF-2クローン9B5細胞、AF-2クローン9B5細胞、J558L細胞、MOPC 315細胞、MPC-11細胞、NCI-H929細胞、NP細胞、NS0/1細胞、P3 NS1 Ag4細胞、P3/NS1/1-Ag4-1細胞、P3U1細胞、P3X63Ag8細胞、P3X63Ag8.653細胞、P3X63Ag8U.1細胞、RPMI 8226細胞、Sp20-Ag14細胞、U266B1細胞、X63AG8.653細胞、Y3.Ag.1.2.3細胞、及びYO細胞である。昆虫細胞の非限定的な例としては、Sf9、Sf21、キンウワバ(Trichoplusia ni)、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)、及びカイコガ(Bombyx mori)が挙げられる。特定の実施態様において、哺乳動物細胞培養系(例えば、チャイニーズハムスター卵巣又はベビーハムスター腎臓細胞)が、組換えノイラミニダーゼの発現に使用される。別の実施態様において、植物細胞培養系が、組換えノイラミニダーゼの発現に使用される。植物細胞培養系を利用するタンパク質の産生のための植物細胞及び方法については、例えば、米国特許第7,504,560号;第6,770,799号;第6,551,820号;第6,136,320号;第6,034,298号;第5,914,935号;第5,612,487号;及び第5,484,719号、並びに米国特許出願公開第2009/0208477号、第2009/0082548号、第2009/0053762号、第2008/0038232号、第2007/0275014号、及び第2006/0204487号を参照されたい。具体的な実施態様において、植物細胞培養系は、組換えノイラミニダーゼの発現に使用されない。本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む宿主細胞は、単離されたものであり得る、すなわち、細胞は、対象の体外にある。ある実施態様において、該細胞は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を発現するように改変されている。特定の実施態様において、該細胞は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されている。具体的な実施態様において、宿主細胞は、細胞株由来の細胞である。
【0115】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む宿主細胞である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されている宿主細胞である。宿主細胞としては、細胞株を含む、本明細書に記載される細胞が挙げられる。
【0116】
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術によって宿主細胞に導入することができる。そのような技術としては、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrookらの文献、1989、分子クローニング-実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Press, New York、及び他の実験マニュアルに見出すことができる。ある実施態様において、宿主細胞は、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む発現ベクターで一過性にトランスフェクトされる。他の実施態様において、宿主細胞は、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。
【0117】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用される発現ベクター及びトランスフェクション技術によっては、細胞のごく一部だけが外来性DNAをそのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組込み体を同定及び選択するために、(例えば、抗生物質耐性のための)選択マーカーをコードする核酸が、通常、対象となる核酸と一緒に宿主細胞に導入される。選択マーカーの例としては、薬剤、例えば、G418、ハイグロマイシン、及びメトトレキセートに対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸配列で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0118】
宿主細胞を用いた組換えノイラミニダーゼの組換え発現の代替法として、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写及び翻訳することができる。具体的な実施態様において、共役転写/翻訳系、例えば、Promega TNT(登録商標)、又は転写及び翻訳に必要な成分を含む細胞溶解物もしくは細胞抽出物を用いて、組換えノイラミニダーゼを産生することができる。
【0119】
組換えノイラミニダーゼが産生されると、それは、タンパク質の単離又は精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、特定の抗原に対する親和性、プロテインAによるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解性、又はタンパク質の単離もしくは精製のための任意の他の標準的な技術によって単離又は精製することができる。
【0120】
したがって、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼを産生する方法である。一実施態様において、本方法は、組換えノイラミニダーゼが産生されるように、組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む宿主細胞を好適な培地中で培養することを含む。いくつかの実施態様において、本方法は、組換えノイラミニダーゼを培地又は宿主細胞から単離することをさらに含む。
【0121】
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載され組換えノイラミニダーゼを含むウイルス(例えば、インフルエンザウイルス(下の第5.4節を参照)又は非インフルエンザウイルスベクター(例えば、バキュロウイルス)を産生する方法であって、該ウイルスが本明細書に記載される方法によるその使用を許容する力価まで該ウイルスを成長させる任意の基体中で増殖させることを含む、方法である。一実施態様において、該基体は、該ウイルスが対応する野生型ウイルスについて決定された力価と同程度の力価にまで成長するのを可能にする。具体的な実施態様において、該ウイルスを、発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。具体的な実施態様において、該ウイルスを、8日齢、9日齢、8~10日齢、10日齢、11日齢、10~12日齢、又は12日齢の発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。いくつかの実施態様において、該ウイルスを、インターフェロン(IFN)欠損性である発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。いくつかの実施態様において、該ウイルスを、インターフェロン(IFN)発現が障害されている発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。ある実施態様において、該ウイルスを、MDCK細胞、Vero細胞、293T細胞、又は当技術分野で公知の他の細胞株で増殖させる。例えば、細胞株の例については、上の第5.3節を参照されたい。ある実施態様において、該ウイルスを、発育卵に由来する細胞で増殖させる。ある実施態様において、該ウイルスを、孵化卵(例えば、鶏卵)中で、その後、MDCK細胞、Vero細胞、293T細胞、又は当技術分野で公知の他の細胞株で増殖させる。
【0122】
(5.4 インフルエンザウイルス)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ(NA)を含むインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスは、組換え産生される。具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。インフルエンザウイルスは、免疫細胞などの特定の細胞型にウイルスをターゲッティングする部分にコンジュゲートさせることができる。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスのビリオンは、組換えノイラミニダーゼに加えて、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいるか、又は異種ポリペプチドを発現する。異種ポリペプチドは、免疫増強活性を有するか、又は特定の細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原に結合する抗体、又は特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。
【0123】
組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、ビリオンの産生時に、組換えノイラミニダーゼをトランスで供給することによって産生することができる。或いは、ウイルスに感染しやすい細胞で組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されたゲノムを含む親インフルエンザウイルスの複製。ある実施態様において、ノイラミニダーゼ機能は、子孫インフルエンザウイルスを産生するために、トランスで提供される。
【0124】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現される組換えノイラミニダーゼをコードするように改変される。別の具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、発現されて、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる組換えノイラミニダーゼをコードするように改変される。したがって、親インフルエンザウイルスの複製によって生じる子孫インフルエンザウイルスは、組換えノイラミニダーゼを含む。具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザウイルスである。他の具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスは、B型インフルエンザウイルスである。
【0125】
いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルスのビリオンは、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいる。ある実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現される異種ポリペプチド及び組換えノイラミニダーゼをコードするように改変される。具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼ、異種ポリペプチド、又はその両方が、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。
【0126】
A型及びB型インフルエンザウイルスのゲノムは8つ(8)の1本鎖のマイナスセンスセグメントからなるので、親インフルエンザウイルスのゲノムは、組換えセグメント、並びに当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、組換えノイラミニダーゼ(及び任意の他のポリペプチド、例えば、異種ポリペプチド)を発現するように改変することができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼ、並びにvRNAの適切な複製、転写、及びパッケージングに必要とされる3'及び5'組込みシグナルをコードする核酸配列を含む、組換えセグメントである(どちらも引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Fujiiらの文献、2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:2002-2007; Zhengらの文献、1996, Virology 217:242-251、国際公開WO 2011/014645号)。具体的な実施態様において、該組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスと異なる又は同じ型、亜型/系統、又は株に由来するインフルエンザウイルスのセグメントの3'及び5'非コード及び/又は非翻訳配列を使用する。いくつかの実施態様において、該組換えセグメントは、インフルエンザウイルスNAの3'非コード領域、インフルエンザウイルスNAの非翻訳領域、及びインフルエンザウイルスNAの5'非コード領域を含む。具体的な実施態様において、具体的な実施態様において、該組換えセグメントは、インフルエンザウイルス骨格と同じ型、系統、又は株由来の、インフルエンザウイルスのNAセグメントの5'及び3'非コード領域などの、パッケージングシグナルを含む。例えば、組換えノイラミニダーゼがA型インフルエンザウイルスから発現されるように改変される場合、組換えノイラミニダーゼ(NA)をコードするヌクレオチド配列は、A型インフルエンザウイルスのNAセグメントの5'及び3'非コード領域を含む。ある実施態様において、組換えノイラミニダーゼをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNAセグメントに取って代わることができる。
【0127】
いくつかの実施態様において、NA遺伝子セグメントは、組換えノイラミニダーゼをコードする。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスNA遺伝子セグメント及び少なくとも1つの他のインフルエンザウイルス遺伝子セグメントは、該インフルエンザウイルスNA遺伝子セグメント及び該少なくとも1つの他の遺伝子セグメントを組換えインフルエンザウイルスの複製時に一緒に分離することを可能にするパッケージングシグナルを含む(その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Gao及びPaleseの文献、2009, PNAS 106:15891-15896;米国特許第8,828,406号;及び国際出願公開WO11/014645号を参照)。
【0128】
いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、二シストロン性である組換えセグメントを用いて、組換えノイラミニダーゼを発現するように改変することができる。二シストロン性技術は、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列の使用により、複数のタンパク質のコード配列の単一mRNAへの改変を可能にする。IRES配列は、RNA分子へのリボソームの内部動員を導き、キャップ非依存的に下流の翻訳を可能にする。簡潔に述べると、1つのタンパク質のコード領域が、第二のタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)に挿入される。挿入は、IRES並びに適切な発現及び/又は機能に必要な任意の非翻訳シグナル配列に連なる。挿入は、第二のタンパク質のORF、ポリアデニル化、又は転写プロモーターを妨害してはならない(例えば、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Garcia-Sastreらの文献、1994, J. Virol. 68:6254-6261及びGarcia-Sastreらの文献、1994 Dev. Biol. Stand. 82:237-246を参照)。例えば、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、米国特許第6,887,699号、米国特許第6,001,634号、米国特許第5,854,037号、及び米国特許第5,820,871号も参照されたい。当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意のIRESを本発明に従って使用することができる(例えば、BiP遺伝子のIRES、GenBankデータベースエントリーHUMGRP78のヌクレオチド372~592;又は脳心筋炎ウイルス(EMCV)のIRES、GenBankデータベースエントリーCQ867238のヌクレオチド1430-2115)。したがって、ある実施態様において、親インフルエンザウイルスは、組換えノイラミニダーゼと別のポリペプチド、例えば、親インフルエンザウイルスによって発現される遺伝子とを発現する二シストロン性RNAセグメントを含むように改変される。いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルス遺伝子は、NA遺伝子である。
【0129】
当業者に公知の技術を用いて、組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルス及び組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。例えば、リバースジェネティクス技術を用いて、そのようなインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、リバースジェネティクス技術は、一般に、ウイルスポリメラーゼによる認識及び成熟ビリオンの生成に必要なパッケージングシグナルに必須である、マイナス鎖ウイルスRNAの非コード領域を含む合成組換えウイルスRNAの調製を含む。組換えRNAは、組換えDNA鋳型から合成され、精製されたウイルスポリメラーゼ複合体によってインビトロで再構成されて、細胞をトランスフェクトするために使用することができる組換えリボ核タンパク質(RNP)を形成する。インビトロ又はインビボでの合成RNAの転写の間にウイルスポリメラーゼタンパク質が存在する場合、より効率的なトランスフェクションが達成される。合成組換えRNPは、感染性ウイルス粒子中にレスキューすることができる。前述の技術は、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、1992年11月24日に出願された米国特許第5,166,057号; 1998年12月29日に出願された米国特許第5,854,037号; 1996年2月20日に公開された欧州特許公開EP 0702085A1号;米国特許出願第09/152,845号; 1997年4月3日に公開された国際特許公開PCT WO 97/12032号; 1996年11月7日に公開されたWO 96/34625号;欧州特許公開EP A780475号; 1999年1月21日に公開されたWO 99/02657号; 1998年11月26日に公開されたWO 98/53078号; 1998年1月22日に公開されたWO 98/02530号; 1999年4月1日に公開されたWO 99/15672号; 1998年4月2日に公開されたWO 98/13501号; 1997年2月20日に公開されたWO 97/06270号;及び1997年6月25日に公開されたEPO 780 475A1号に記載されている。
【0130】
或いは、ヘルパーフリープラスミド技術を用いて、組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルス及び組換えノイラミニダーゼを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、プラスミドベクターへのPCR産物の挿入を可能にする独特の制限部位を含むプライマーによるPCRを用いて、ウイルスセグメントの全長cDNAを増幅させる(Flandorferらの文献、2003, J. Virol. 77:9116-9123; Nakayaらの文献、2001, J. Virol. 75:11868-11873;これらは両方とも、引用により本明細書中に完全に組み込まれている)。プラスミドベクターは、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物が発現されるように設計される。例えば、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物がポリメラーゼIプロモーターから産生されるように、プラスミドベクターは、切断されたヒトRNAポリメラーゼIプロモーターとデルタ型肝炎ウイルスリボザイム配列の間にPCR産物を配置するように設計することができる。各ウイルスセグメントを含む別個のプラスミドベクター並びに必要なウイルスタンパク質を含む発現ベクターを細胞にトランスフェクトして、組換えウイルス粒子の産生をもたらすことができる。別の実施例では、必要なウイルスタンパク質をコードするウイルスのゲノムRNAとmRNAの両方が発現されるプラスミドベクターを使用することができる。ヘルパーフリープラスミド技術の詳細な説明については、例えば、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 01/04333号;米国特許第6,951,754号、第7,384,774号、第6,649,372号、及び第7,312,064号; Fodorらの文献、1999, J. Virol. 73:9679-9682; Quinlivanらの文献、2005, J. Virol. 79:8431-8439; Hoffmannらの文献、2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6108-6113;並びにNeumannらの文献、1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:9345-9350を参照されたい。具体的な実施態様において、第6節に記載されている方法と類似した方法を用いて、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを構築する。具体的な実施態様において、第6節に記載されている方法と類似した方法を用いて、組換えノイラミニダーゼを含有及び発現するインフルエンザウイルスを構築する。具体的な実施態様において、第6節に記載されている方法と類似した方法を用いて、組換えノイラミニダーゼを構築し、増殖させる。
【0131】
いくつかの実施態様において、組換えインフルエンザウイルスは、哺乳動物細胞株、例えば、HEK293T細胞において、インフルエンザウイルスの他の7つの遺伝子のプラスミドと共トランスフェクトされる、組換えノイラミニダーゼを発現するDNAプラスミドを用いる、リバースジェネティクスによって産生される。具体的な実施態様において、該組換えインフルエンザウイルスは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを有さないインフルエンザウイルスよりも明白に不利な点を伴うことなく、発育鶏卵中で複製される。例えば、本明細書に記載される組換えインフルエンザウイルスは、特定の細胞株において対応する野生型インフルエンザウイルスと同程度の力価まで複製する。
【0132】
本明細書に記載されるインフルエンザウイルスは、本明細書に記載される方法に従うその使用を可能にする力価までウイルスを成長させる任意の基体中で増殖させることができる。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるウイルスを産生する方法であって、該ウイルスを基体中で増殖させることを含む、方法である。一実施態様において、基体は、対応する野生株ウイルスについて測定される力価と同等の力価までウイルスを成長させる。ある実施態様において、基体は、インフルエンザウイルスにとって生物学的に適するものである。具体的な実施態様において、例えば、NS1遺伝子中の突然変異による弱毒化インフルエンザウイルスは、IFN欠損基体中で増殖させることができる。例えば、好適なIFN欠損基体は、インターフェロンを産生するかもしくはそれに応答するその能力に欠陥がある基体であってもよく、又はIFN欠損基体をインターフェロン欠損成長環境を必要とし得る任意の数のウイルスの成長のために使用することができる基体である。例えば、その各々の内容全体が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、2003年6月3日に出願された米国特許第6,573,079号、2005年2月8日に出願された第6,852,522号、及び2009年2月24日に出願された第7,494,808号を参照されたい。具体的な実施態様において、ウイルスを発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。具体的な実施態様において、ウイルスを8日齢、9日齢、8~10日齢、10日齢、11日齢、10~12日齢、又は12日齢の発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。いくつかの実施態様において、ウイルスをIFN欠損性である発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。ある実施態様において、ウイルスをMDCK細胞、Vero細胞、293T細胞、又は当技術分野で公知の他の細胞株で増殖させる。細胞株の例については、例えば、上の第5.3節を参照されたい。ある実施態様において、ウイルスを発育卵に由来する細胞で増殖させる。
【0133】
本明細書に記載されるインフルエンザウイルスは、当業者に公知の任意の方法によって単離及び精製することができる。一実施態様において、ウイルスは、一般に、周知の清澄化手順、例えば、密度勾配遠心分離及びカラムクロマトグラフィーによって細胞培養物から取り出され、細胞成分から分離され、望ましい場合、当業者に周知の手順、例えば、プラークアッセイを用いて、さらに精製することができる。
【0134】
ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、A型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のA型インフルエンザウイルスの亜型/系統もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18亜型のインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスは、H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18亜型のインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスは、H1又はH3亜型のインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスは、H5、H7、H9、又はH10亜型のインフルエンザウイルスである。
【0135】
A型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、亜型H10N4、亜型H10N5、亜型H10N8、亜型H14N5、亜型H10N7、亜型H10N8、亜型H10N9、亜型H11N1、亜型H11N13、亜型H11N2、亜型H11N4、亜型H11N6、亜型H11N8、亜型H11N9、亜型H12N1、亜型H12N4、亜型H12N5、亜型H12N8、亜型H13N2、亜型H13N3、亜型H13N6、亜型H13N7、亜型H14N5、亜型H14N6、亜型H15N8、亜型H15N9、亜型H16N3、亜型H1N1、亜型H1N2、亜型H1N3、亜型H1N6、亜型H1N9、亜型H2N1、亜型H2N2、亜型H2N3、亜型H2N5、亜型H2N7、亜型H2N8、亜型H2N9、亜型H3N1、亜型H3N2、亜型H3N3、亜型H3N4、亜型H3N5、亜型H3N6、亜型H3N8、亜型H3N9、亜型H4N1、亜型H4N2、亜型H4N3、亜型H4N4、亜型H4N5、亜型H4N6、亜型H4N8、亜型H4N9、亜型H5N1、亜型H5N2、亜型H5N3、亜型H5N4、亜型H5N6、亜型H5N7、亜型H5N8、亜型H5N9、亜型H6N1、亜型H6N2、亜型H6N3、亜型H6N4、亜型H6N5、亜型H6N6、亜型H6N7、亜型H6N8、亜型H6N9、亜型H7N1、亜型H7N2、亜型H7N3、亜型H7N4、亜型H7N5、亜型H7N7、亜型H7N8、亜型H7N9、亜型H8N4、亜型H8N5、亜型H9N1、亜型H9N2、亜型H9N3、亜型H9N5、亜型H9N6、亜型H9N7、亜型H9N8、及び亜型H9N9が挙げられる。
【0136】
A型インフルエンザウイルスの株の具体的な例としては、A/ビクトリア/361/2011(H3N2); A/カリフォルニア/4/2009(H1N1); A/カリフォルニア/7/2009(H1N1); A/パース/16/2009(H3N2); A/ブリスベン/59/2007(H1N1); A/ブリスベン/10/2007((H3N2); A/sw/アイオワ/15/30(H1N1); A/WSN/33(H1N1); A/eq/プラハ/1/56(H7N7); A/PR/8/34; A/マガモ/ポツダム/178-4/83(H2N2); A/セグロカモメ/DE/712/88(H16N3); A/sw/香港/168/1993(H1N1); A/マガモ/アルバータ/211/98(H1N1); A/水鳥/デラウェア/168/06(H16N3); A/sw/オランダ/25/80(H1N1); A/sw/ドイツ/2/81(H1N1); A/sw/ハノーバー/1/81(H1N1); A/sw/ポツダム/1/81(H1N1); A/sw/ポツダム/15/81(H1N1); A/sw/ポツダム/268/81(H1N1); A/sw/フィニステール/2899/82(H1N1); A/sw/ポツダム/35/82(H3N2); A/sw/コートダルモール/3633/84(H3N2); A/sw/ヘント/1/84(H3N2); A/sw/オランダ/12/85(H1N1); A/sw/カレンツァイン(Karrenzien)/2/87(H3N2); A/sw/シュウェリン/103/89(H1N1); A/七面鳥/ドイツ/3/91(H1N1); A/sw/ドイツ/8533/91(H1N1); A/sw/ベルギー/220/92(H3N2); A/sw/ヘント/V230/92(H1N1); A/sw/ライプチヒ/145/92(H3N2); A/sw/Re220/92hp(H3N2); A/sw/バークム/909/93(H3N2); A/sw/シュレースヴィヒ-ホルシュタイン/1/93(H1N1); A/sw/スコットランド/419440/94(H1N2); A/sw/バークム/5/95(H1N1); A/sw/ベスト(Best)/5C/96(H1N1); A/sw/イングランド/17394/96(H1N2); A/sw/イエナ/5/96(H3N2); A/sw/ウーデンローデ/7C/96(H3N2); A/sw/ローネ/1/97(H3N2); A/sw/コートダルモール/790/97(H1N2); A/sw/バークム/1362/98(H3N2); A/sw/イタリア/1521/98(H1N2); A/sw/イタリア/1553-2/98(H3N2); A/sw/イタリア/1566/98(H1N1); A/sw/イタリア/1589/98(H1N1); A/sw/バークム/8602/99(H3N2); A/sw/コートダルモール/604/99(H1N2); A/sw/コートダルモール/1482/99(H1N1); A/sw/ヘント/7625/99(H1N2); A/香港/1774/99(H3N2); A/sw/香港/5190/99(H3N2); A/sw/香港/5200/99(H3N2); A/sw/香港/5212/99(H3N2); A/sw/イル・エ・ヴィレーヌ/1455/99(H1N1); A/sw/イタリア/1654-1/99(H1N2); A/sw/イタリア/2034/99(H1N1); A/sw/イタリア/2064/99(H1N2); A/sw/ベルリン/1578/00(H3N2); A/sw/バークム/1832/00(H1N2); A/sw/バークム/1833/00(H1N2); A/sw/コートダルモール/800/00(H1N2); A/sw/香港/7982/00(H3N2); A/sw/イタリア/1081/00(H1N2); A/sw/ベルチヒ/2/01(H1N1); A/sw/ベルチヒ/54/01(H3N2); A/sw/香港/9296/01(H3N2); A/sw/香港/9745/01(H3N2); A/sw/スペイン/33601/01(H3N2); A/sw/香港/1144/02(H3N2); A/sw/香港/1197/02(H3N2); A/sw/スペイン/39139/02(H3N2); A/sw/スペイン/42386/02(H3N2); A/スイス/8808/2002(H1N1); A/sw/バークム/1769/03(H3N2); A/sw/ビッセンドルフ/IDT1864/03(H3N2); A/sw/エーレン(Ehren)/IDT2570/03(H1N2); A/sw/ゲッシャー/IDT2702/03(H1N2); A/sw/ハーゼリュンネ/2617/03hp(H1N1); A/sw/レーニンゲン/IDT2530/03(H1N2); A/sw/IVD/IDT2674/03(H1N2); A/sw/ノルドキルヒェン/IDT1993/03(H3N2); A/sw/ノルドヴァルデ/IDT2197/03(H1N2); A/sw/ノルデン/IDT2308/03(H1N2); A/sw/スペイン/50047/03(H1N1); A/sw/スペイン/51915/03(H1N1); A/sw/フェヒタ/2623/03(H1N1); A/sw/ヴィズベク/IDT2869/03(H1N2); A/sw/ヴァルタースドルフ/IDT2527/03(H1N2); A/sw/ダム(Damme)/IDT2890/04(H3N2); A/sw/ゲルダーン/IDT2888/04(H1N1); A/sw/グランステット(Granstedt)/IDT3475/04(H1N2); A/sw/グレーフェン/IDT2889/04(H1N1); A/sw/グーテンスベルク/IDT2930/04(H1N2); A/sw/グーテンスベルク/IDT2931/04(H1N2); A/sw/ローネ/IDT3357/04(H3N2); A/sw/ノルトルップ/IDT3685/04(H1N2); A/sw/ゼーセン/IDT3055/04(H3N2); A/sw/スペイン/53207/04(H1N1); A/sw/スペイン/54008/04(H3N2); A/sw/シュトルツェナウ/IDT3296/04(H1N2); A/sw/ヴェーデル/IDT2965/04(H1N1); A/sw/バートグリースバッハ/IDT4191/05(H3N2); A/sw/クロッペンブルク/IDT4777/05(H1N2); A/sw/デートリンゲン/IDT3780/05(H1N2); A/sw/デートリンゲン/IDT4735/05(H1N2); A/sw/エックルハム/IDT5250/05(H3N2); A/sw/ハーケンブレック(Harkenblek)/IDT4097/05(H3N2); A/sw/ヘルツェン(Hertzen)/IDT4317/05(H3N2); A/sw/クローゲル(Krogel)/IDT4192/05(H1N1); A/sw/ラエル/IDT3893/05(H1N1); A/sw/ラエル/IDT4126/05(H3N2); A/sw/メルツェン/IDT4114/05(H3N2); A/sw/ミュスラリンゲン(Muesleringen)-S./IDT4263/05(H3N2); A/sw/オスターホーフェン/IDT4004/05(H3N2); A/sw/シュプレンゲ(Sprenge)/IDT3805/05(H1N2); A/sw/シュタットローン/IDT3853/05(H1N2); A/sw/フォーグラルン(Voglarn)/IDT4096/05(H1N1); A/sw/ヴォーラーシュト(Wohlerst)/IDT4093/05(H1N1); A/sw/バートグリースバッハ/IDT5604/06(H1N1); A/sw/ヘルツラケ/IDT5335/06(H3N2); A/sw/ヘルツラケ/IDT5336/06(H3N2); A/sw/ヘルツラケ/IDT5337/06(H3N2);及びA/イノシシ/ドイツ/R169/2006(H3N2)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスは、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルス、インフルエンザA/カンザス/14/2017(H3N2)様ウイルス、インフルエンザA/ブリスベン/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルス、又はインフルエンザA/南オーストラリア/34/2019(H3N2)様ウイルスである。
【0137】
A型インフルエンザウイルスの株の他の具体的な例としては、A/トロント/3141/2009(H1N1); A/レーゲンスブルク/D6/2009(H1N1); A/バイエルン/62/2009(H1N1); A/バイエルン/62/2009(H1N1); A/ブランデンブルク/19/2009(H1N1); A/ブランデンブルク/20/2009(H1N1); A/連邦直轄区(Distrito Federal)/2611/2009(H1N1); A/マトグロッソ/2329/2009(H1N1); A/サンパウロ/1454/2009(H1N1); A/サンパウロ/2233/2009(H1N1); A/ストックホルム/37/2009(H1N1); A/ストックホルム/41/2009(H1N1); A/ストックホルム/45/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-1/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-14/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-2/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-21/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-22/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-23/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-24/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-25/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-3/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-7/2009(H1N1); A/北京/502/2009(H1N1); A/フィレンツェ/10/2009(H1N1); A/香港/2369/2009(H1N1); A/イタリア/85/2009(H1N1); A/サントドミンゴ/572N/2009(H1N1); A/カタロニア/385/2009(H1N1); A/カタロニア/386/2009(H1N1); A/カタロニア/387/2009(H1N1); A/カタロニア/390/2009(H1N1); A/カタロニア/394/2009(H1N1); A/カタロニア/397/2009(H1N1); A/カタロニア/398/2009(H1N1); A/カタロニア/399/2009(H1N1); A/サンパウロ/2303/2009(H1N1); A/秋田/1/2009(H1N1); A/カストロ/JXP/2009(H1N1); A/福島/1/2009(H1N1); A/イスラエル/276/2009(H1N1); A/イスラエル/277/2009(H1N1); A/イスラエル/70/2009(H1N1); A/岩手/1/2009(H1N1); A/岩手/2/2009(H1N1); A/鹿児島/1/2009(H1N1); A/大阪/180/2009(H1N1); A/プエルトモント/Bio87/2009(H1N1); A/サンパウロ/2303/2009(H1N1); A/札幌/1/2009(H1N1); A/ストックホルム/30/2009(H1N1); A/ストックホルム/31/2009(H1N1); A/ストックホルム/32/2009(H1N1); A/ストックホルム/33/2009(H1N1); A/ストックホルム/34/2009(H1N1); A/ストックホルム/35/2009(H1N1); A/ストックホルム/36/2009(H1N1); A/ストックホルム/38/2009(H1N1); A/ストックホルム/39/2009(H1N1); A/ストックホルム/40/2009(H1N1;)A/ストックホルム/42/2009(H1N1); A/ストックホルム/43/2009(H1N1); A/ストックホルム/44/2009(H1N1); A/宇都宮/2/2009(H1N1); A/WRAIR/0573N/2009(H1N1);及びA/浙江/DTID-ZJU01/2009(H1N1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、B型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のB型インフルエンザウイルスの亜型/系統もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。
【0139】
B型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、愛知/5/88株、B/ブリスベン/60/2008株;秋田/27/2001、秋田/5/2001株、アラスカ/16/2000株、アラスカ/1777/2005株、アルゼンチン/69/2001株、アリゾナ/146/2005株、アリゾナ/148/2005株、バンコク/163/90株、バンコク/34/99株、バンコク/460/03株、バンコク/54/99株、バルセロナ/215/03株、北京/15/84株、北京/184/93株、北京/243/97株、北京/43/75株、北京/5/76株、北京/76/98株、ベルギー/WV106/2002株、ベルギー/WV107/2002株、ベルギー/WV109/2002株、ベルギー/WV114/2002株、ベルギー/WV122/2002株、ボン/43株、ブラジル/952/2001株、ブカレスト/795/03株、ブエノスアイレス/161/00株)、ブエノスアイレス/9/95株、ブエノスアイレス/SW16/97株、ブエノスアイレス/VL518/99株、カナダ/464/2001株、カナダ/464/2002株、チャコ/366/00株、チャコ/R113/00株、済州/303/03株、千葉/447/98株、重慶/3/2000株、SA1タイ/2002臨床分離株、SA10タイ/2002臨床分離株、SA100フィリピン/2002臨床分離株、SA101フィリピン/2002臨床分離株、SA110フィリピン/2002臨床分離株)、SA112フィリピン/2002臨床分離株、SA113フィリピン/2002臨床分離株、SA114フィリピン/2002臨床分離株、SA2タイ/2002臨床分離株、SA20タイ/2002臨床分離株、SA38フィリピン/2002臨床分離株、SA39タイ/2002臨床分離株、SA99フィリピン/2002臨床分離株、CNIC/27/2001株、コロラド/2597/2004株、コルドバ/VA418/99株、チェコスロバキア/16/89株、チェコスロバキア/69/90株、ダエク/10/97株、ダエク/45/97株、ダエク/47/97株、ダエク/9/97株、B/Du/4/78株、B/ダーバン/39/98株、ダーバン/43/98株、ダーバン/44/98株、B/ダーバン/52/98株、ダーバン/55/98株、ダーバン/56/98株、イングランド/1716/2005株、イングランド/2054/2005株)、イングランド/23/04株、フィンランド/154/2002株、フィンランド/159/2002株、フィンランド/160/2002株、フィンランド/161/2002株、フィンランド/162/03株、フィンランド/162/2002株、フィンランド/162/91株、フィンランド/164/2003株、フィンランド/172/91株、フィンランド/173/2003株、フィンランド/176/2003株、フィンランド/184/91株、フィンランド/188/2003株、フィンランド/190/2003株、フィンランド/220/2003株、フィンランド/WV5/2002株、福建/36/82株、ジュネーブ/5079/03株、ジェノバ/11/02株、ジェノバ/2/02株、ジェノバ/21/02株、ジェノバ/54/02株、ジェノバ/55/02株、広東/05/94株、広東/08/93株、広東/5/94株、広東/55/89株、広東/8/93株、広州/7/97株、広州/86/92株、広州/87/92株、京幾/592/2005株、ハノーバー/2/90株、ハルビン/07/94株、ハワイ/10/2001株、ハワイ/1990/2004株、ハワイ/38/2001株、ハワイ/9/2001株、河北/19/94株、河北/3/94株)、河南/22/97株、広島/23/2001株、香港/110/99株、香港/1115/2002株、香港/112/2001株、香港/123/2001株、香港/1351/2002株、香港/1434/2002株、香港/147/99株、香港/156/99株、香港/157/99株、香港/22/2001株、香港/22/89株、香港/336/2001株、香港/666/2001株、香港/9/89株、ヒューストン/1/91株、ヒューストン/1/96株、ヒューストン/2/96株、湖南/4/72株、茨城/2/85株、仁川(ncheon)/297/2005株、インド/3/89株、インド/77276/2001株、イスラエル/95/03株、イスラエル/WV187/2002株、日本/1224/2005株、江蘇/10/03株、ヨハネスブルク/1/99株、ヨハネスブルク/96/01株、門真/1076/99株、門真/122/99株、鹿児島/15/94株、カンザス/22992/99株、ハズコフ(Khazkov)/224/91株、神戸/1/2002株、高知/193/99株、ラツィオ/1/02株、リー/40株、レニングラード/129/91株、リスボン/2/90株)、ロサンゼルス/1/02株、ルサカ/270/99株、リヨン/1271/96株、マレーシア/83077/2001株、マプト/1/99株、マルデルプラタ/595/99株、メリーランド/1/01株、メンフィス/1/01株、メンフィス/12/97-MA株、ミシガン/22572/99株、三重/1/93株、ミラノ/1/01株、ミンスク/318/90株、モスクワ/3/03株、名古屋/20/99株、南昌/1/00株、ナッシュビル/107/93株、ナッシュビル/45/91株、ネブラスカ/2/01株、オランダ/801/90株、オランダ/429/98株、ニューヨーク/1/2002株、NIB/48/90株、寧夏/45/83株、ノルウェー/1/84株、オマーン/16299/2001株、大阪/1059/97株、大阪/983/97-V2株、オスロ/1329/2002株、オスロ/1846/2002株、パナマ/45/90株、パリ/329/90株、パルマ/23/02株、パース/211/2001株、ペルー/1364/2004株、フィリピン/5072/2001株、釜山/270/99株、ケベック/173/98株、ケベック/465/98株、ケベック/7/01株、ローマ/1/03株、佐賀/S172/99株、ソウル/13/95株、ソウル/37/91株、山東/7/97株、上海/361/2002株)、滋賀/T30/98株、四川/379/99株、シンガポール/222/79株、スペイン/WV27/2002株、ストックホルム/10/90株、スイス/5441/90株、台湾/0409/00株、台湾/0722/02株、台湾/97271/2001株、テヘラン/80/02株、東京/6/98株、トリエステ/28/02株、ウランウデ/4/02株、イギリス/34304/99株、USSR/100/83株、ビクトリア/103/89株、ウィーン/1/99株、武漢/356/2000株、WV194/2002株、玄武/23/82株、山形/1311/2003株、山形/K500/2001株、アラスカ/12/96株、GA/86株、長崎/1/87株、東京/942/96株、B/ウィスコンシン/1/2010株;及びロチェスター/02/2001株が挙げられる。B型インフルエンザウイルスは、インフルエンザB/コロラド/06/2017様ウイルス(B/ビクトリア/2/87系統)、インフルエンザB/プーケット/3073/2013様ウイルス(B/山形/16/88系統)、インフルエンザB/ワシントン/02/2019様(B/ビクトリア系統)ウイルス、又はインフルエンザB/プーケット/3073/2013様(B/山形系統)ウイルスである。
【0140】
インフルエンザウイルスの他の例は、本出願中の別の場所、例えば、例えば、下の第6節に見出すことができる。具体的な実施態様において、季節性インフルエンザウイルス株を使用してもよい。
【0141】
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスは、弱毒化表現型を有する。具体的な実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザウイルスに基づく。具体的な実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、組換えノイラミニダーゼを含むか、それをコードするか、又はその両方であり、かつA型インフルエンザウイルスの骨格を有する。いくつかの実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、B型インフルエンザウイルスに基づく。具体的な実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、組換えノイラミニダーゼを含むか、それをコードするか、又はその両方であり、かつB型インフルエンザウイルスの骨格を有する。
【0142】
具体的な実施態様において、ウイルスが少なくとも部分的に感染性を保持し、インビボで複製することができるが、非病原性である不顕性レベルの感染をもたらす低い力価を生じさせることしかできないような、インフルエンザウイルスの弱毒化が望ましい。そのような弱毒化ウイルスは、ウイルス又はその免疫原性組成物が免疫応答を誘発するために対象に投与される、本明細書に記載される実施態様に特に好適である。インフルエンザウイルスの弱毒化は、例えば、化学的突然変異誘発によって作製されるウイルス突然変異体を選択すること、遺伝子操作によるゲノムの突然変異、弱毒化された機能(例えば、NS1タンパク質の切断(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Haiらの文献、2008, Journal of Virology 82(21):10580-10590を参照)もしくはNS1欠失(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Wressniggらの文献、2009, Vaccine 27:2851-2857を参照))を有するセグメントを含む再集合体ウイルスを選択すること、又は条件的ウイルス突然変異体(例えば、低温適応ウイルス、例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Alexandrovaらの文献、1990, Vaccine, 8:61-64を参照)を選択することなどの、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。或いは、天然に存在する弱毒化インフルエンザウイルスを、インフルエンザウイルスベクターのためのインフルエンザウイルス骨格として使用することができる。
【0143】
具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/34株は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるための骨格として使用される。別の具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/34株のビリオンは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。別の具体的な実施態様において、A型インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/34株は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるために使用され、A/プエルトリコ/8/34株のビリオンは、組換えノイラミニダーゼを含む。
【0144】
具体的な実施態様において、NS1タンパク質を欠くA型インフルエンザウイルス(例えば、delNS1ウイルス、例えば、米国特許第6,468,544号; Garcia-Sastreらの文献、1998, Virology 252: 324;又はMosslerらの文献、2013, Vaccine 31: 6194に記載されているものなど)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるための骨格として使用される。別の具体的な実施態様において、NS1タンパク質を欠くインフルエンザウイルス(例えば、delNS1ウイルス、例えば、米国特許第6,468,544号; Garcia-Sastreらの文献、1998, Virology 252: 324;又はMosslerらの文献、2013, Vaccine 31: 6194に記載されているものなど)のビリオンは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。別の具体的な実施態様において、NS1タンパク質を欠くインフルエンザウイルス(例えば、delNS1ウイルス、例えば、米国特許第6,468,544号; Garcia-Sastreらの文献、1998, Virology 252: 324;又はMosslerらの文献、2013, Vaccine 31: 6194に記載されているものなど)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるために使用され、そのようなウイルスのビリオンは、組換えノイラミニダーゼを含む。
【0145】
具体的な実施態様において、低温に適応したA型インフルエンザウイルス株は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるための骨格として使用される。別の具体的な実施態様において、低温に適応した株のビリオンは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。別の具体的な実施態様において、低温に適応したA型インフルエンザウイルスは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるために使用され、低温に適応したインフルエンザウイルスのビリオンは、組換えノイラミニダーゼを含む。一実施態様において、低温に適応したA型インフルエンザウイルスは、A/アナーバー/6/60である。別の実施態様において、低温に適応したA型インフルエンザウイルスは、A/レニングラード/134/17/57である。別の実施態様において、季節性インフルエンザウイルス株は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを発現させるための骨格として使用される。
【0146】
ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスは、野生型インフルエンザウイルスNAを含むインフルエンザウイルスの機能のうちの1つ、2つ、又はそれより多くを有する。野生型インフルエンザウイルスNAの機能の非限定的な例としては、シアル酸の切断が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスは、シアル酸を切断する。当業者に公知のアッセイを利用して、シアル酸を切断する組換えノイラミニダーゼの能力を評価することができる。
【0147】
(5.5 組成物)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む組成物である。本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスは、組成物に組み込むことができる。特定の実施態様において、本明細書に(例えば、第5.4節又は第6節に)記載されるインフルエンザウイルスは、組成物に組み込まれる。具体的な実施態様において、組成物は、医薬組成物、例えば、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)である。本明細書に提供される医薬組成物は、該組成物を対象に投与することができる任意の形態であることができる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、獣医学的投与及び/又はヒトへの投与に好適である。該組成物は、インフルエンザウイルス疾患を予防する方法で使用することができる。該組成物は、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法で使用することができる。該組成物は、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法で使用することができる。
【0148】
具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、アジュバント(例えば、本明細書に記載されるアジュバント)及び本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。
【0149】
具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又は本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター)及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又は本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター)を含む。具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、アジュバント(例えば、本明細書に記載されるアジュバント)及び本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又は本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター)を含む。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物は、脂質粒子、ナノ粒子、もしくはリポソーム粒子中に含まれるか、又はこれらと関連した本明細書に記載される核酸配列又はベクターを含む。
【0150】
具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルス及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスを含む。具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、アジュバント(例えば、本明細書に記載されるアジュバント)及び本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスを含む。
【0151】
別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、インフルエンザウイルス(例えば、季節性インフルエンザウイルス株)及び本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、アジュバント(例えば、本明細書に記載されるアジュバント)、インフルエンザウイルス(例えば、季節性インフルエンザウイルス株)、及び本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む。該インフルエンザウイルスは、生の弱毒化されたものであっても、不活化されたものであってもよい。さらに、該組成物は、生の弱毒化された又は不活化された複数のインフルエンザウイルス、及び複数の本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むことができる。該インフルエンザウイルス組成物は、三価又は四価であってもよい。いくつかの実施態様において、該組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0152】
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼが補充された三価不活化インフルエンザウイルスワクチンである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼが補充された四価不活化インフルエンザウイルスワクチンである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼが補充された弱毒化生インフルエンザウイルスワクチンである。いくつかの実施態様において、該組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0153】
具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む生ウイルス(例えば、弱毒化生ウイルス)及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む不活化ウイルス及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列及び任意に、アジュバントを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター及び任意に、アジュバントを含む。
【0154】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ又はインフルエンザウイルスを用いて作製された、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに結合する抗体を含む組成物である。
【0155】
ある実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを利用する療法に加えて1以上の他の療法を含むことができる。いくつかの実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザウイルスを利用する療法に加えて1以上の他の療法を含むことができる。ある実施態様において、医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又は本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクターを利用する療法に加えて1以上の他の療法を含むことができる。
【0156】
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、医薬組成物がそれとともに投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は媒体を指す。食塩水溶液及び水性デキストロース溶液及びグリセロール溶液を、特に注射用溶液のための液体担体として利用することもできる。好適な賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martin著「レミントンの医薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。製剤は、投与様式に適するべきである。
【0157】
具体的な実施態様において、医薬組成物は、対象への意図された投与経路に好適であるように製剤化される。例えば、医薬組成物は、非経口、経口、皮内、経皮、結腸直腸、腹腔内、及び直腸投与に適するように製剤化することができる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、静脈内、経口、腹腔内、鼻腔内、気管内、皮下、筋肉内、局所、皮内、経皮、又は肺投与用に製剤化することができる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、筋肉内投与用に製剤化することができる。別の具体的な実施態様において、医薬組成物は、皮下投与用に製剤化することができる。別の具体的な実施態様において、医薬組成物は、鼻腔内投与用に製剤化することができる。
【0158】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、一価製剤である。他の実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、多価製剤である。1つの例において、多価製剤は、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む複数のインフルエンザウイルスを含む。
【0159】
ある実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、本明細書に記載される複数の組換えノイラミニダーゼを含む。例えば、免疫原性組成物は、本明細書に記載される2つ、3つ、又は4つの組換えノイラミニダーゼ(例えば、組換えN1及び組換えB型インフルエンザウイルスNA)を含むことができる。
【0160】
本明細書に記載される免疫原性組成物を用いて、対象に、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与することができる。本明細書に記載される免疫原性組成物を用いて、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防することもできる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、本明細書に記載される方法で使用することができる。
【0161】
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、ウイルスを不活化するために使用される1以上の成分、例えば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒド、又は界面活性剤、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、オクトキシノール9(TritonX-100)、及びオクトキシノール10をさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、ウイルスを不活化するために使用されるいかなる成分も含まない。
【0162】
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、1以上のバッファー、例えば、リン酸バッファー及びリン酸グルタミン酸スクロースバッファーをさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、バッファーを含まない。
【0163】
本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、投与のための説明書と一緒に、容器、パック、又はディスペンサーに含めることができる。
【0164】
本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、使用前に保存することができ、例えば、該医薬組成物は、冷凍して(例えば、約-20℃もしくは約-70℃で)保存するか;冷蔵条件で(例えば、約4℃で)保存するか;又は室温で保存することができる(インフルエンザワクチンを含む組成物を冷蔵しないで保存する方法については、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 07/110776号として公開された国際出願PCT/IB2007/001149号を参照)。
【0165】
具体的な実施態様において、免疫原性組成物は、アジュバント(例えば、下の第5.5.3節に記載されているアジュバント)及び組換えノイラミニダーゼ(NA)を含む不活化ワクチンである。不活化ワクチンは、全ウイルス不活化ワクチン又はスプリットビリオンワクチンであってもよい。そのようなワクチンを産生するための技術は、当業者に公知である。具体的な実施態様において、免疫原性組成物は、筋肉内経路を経由したワクチン接種用のホルマリン不活化全ウイルス粒子を含む。
【0166】
(5.5.1 生ウイルスワクチン)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、該組成物が投与された対象で産生される子孫ウイルスによって発現される本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするように改変されている生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、膜結合性である。他の具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、膜結合性ではない、すなわち、それは、可溶性である。特定の実施態様において、生ウイルスは、例えば、第5.4節に記載されているインフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、生ウイルスは、弱毒化されている。具体的な実施態様において、生ウイルスは、弱毒化生インフルエンザウイルスである。
【0167】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵中で増殖させる。別の具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵中で増殖させない。別の具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させる。
【0168】
対象でのウイルスの増殖は、自然感染で起こるものと同様の種類及び大きさの長期刺激をもたらし、そのため、かなりの長期持続性免疫を付与することができるので、対象への投与用の生ウイルスを含む免疫原性組成物が好ましい場合がある。
【0169】
(5.5.2 不活化ウイルスワクチン)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、組換えノイラミニダーゼを含む不活化ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。具体的な実施態様において、該組換えノイラミニダーゼは、膜結合性である。特定の実施態様において、該不活化ウイルスは、例えば、第5.4節又は第6節に記載されているインフルエンザウイルスである。ある実施態様において、該不活化ウイルス免疫原性組成物は、1以上のアジュバントを含む。
【0170】
当業者に公知の技術を用いて、組換えノイラミニダーゼを含むウイルスを不活化することができる。一般的な方法は、不活化のためにホルマリン、熱、又は界面活性剤を使用する。例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、米国特許第6,635,246号を参照されたい。他の方法としては、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、米国特許第5,891,705号;第5,106,619号及び第4,693,981号に記載されているものが挙げられる。
【0171】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、スプリットワクチンである。スプリットウイルスワクチンを産生するための技術は当業者に公知である。非限定的な例として、インフルエンザウイルススプリットワクチンは、界面活性剤で破壊された不活化粒子を用いて調製することができる。本明細書に記載される方法による使用に適合させることができるスプリットウイルスワクチンの一例は、筋肉内使用のためのfluzone(登録商標)インフルエンザウイルスワクチン(ゾーン精製、サブビリオン)であり、それを、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスから調製される滅菌懸濁剤として製剤化する。ウイルス含有液を回収し、ホルムアルデヒドで不活化する。インフルエンザウイルスを、連続フロー遠心分離機を用いて、線形スクロース密度勾配溶液中で濃縮し、精製する。次に、ウイルスを、非イオン性界面活性剤、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100-Union Carbide社の登録商標)を用いて化学的に破壊し、「スプリットウイルス」を生じさせる。次に、このスプリットウイルスを、化学手段によってさらに精製し、リン酸ナトリウム緩衝生理食塩液に懸濁させる。
【0172】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵中で増殖させた。別の具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵中で増殖させなかった。別の具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、哺乳動物、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により本明細書中に完全に組み込まれる、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させた。
【0173】
(5.5.3 アジュバント)
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、アジュバントを含むか、又はアジュバントと組み合わせて投与される。本明細書に記載される組成物と組み合わせた投与のためのアジュバントは、該組成物の投与前、それと同時、又はその後に投与されてもよい。いくつかの実施態様において、アジュバントは、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を増強又は強化し、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかの機構によって、免疫応答を増強することができる。
【0174】
ある実施態様において、アジュバントは、応答の定性的形態に影響を及ぼすポリペプチドの立体構造変化を引き起こすことなく、組換えノイラミニダーゼに対する固有の応答を強化する。アジュバントの具体的な例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3脱-O-アシル化モノホスホリル脂質A(MPL)(GB 2220211号を参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO 2007/109812号として公開された国際出願PCT/US2007/064857号を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO 2007/109813号として公開された国際出願PCT/US2007/064858号を参照)、及びサポニン、例えば、QS21(Kensilらの文献、ワクチンの設計:サブユニット及びアジュバント手法(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)(Powell及びNewman編、Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、任意に免疫賦活剤、例えば、モノホスホリル脂質Aと組み合わせた、水中油エマルジョン(例えば、スクアレン又は落花生油)である(Stouteらの文献、N. Engl. J. Med. 336, 86-91(1997)を参照)。別のアジュバントは、CpGである(Bioworld Today、1998年11月15日)。そのようなアジュバントは、他の特異的免疫刺激剤、例えば、MPLもしくは3-DMP、QS21、重合体もしくは単量体のアミノ酸、例えば、ポリグルタミン酸もしくはポリリジン、又は他の免疫賦活剤とともに、或いはこれらなしで使用することができる。アジュバントは、AddaVaxであってもよい。別のアジュバントは、下の第6.1節又は第6.2節に記載されているものである。
【0175】
(5.6 予防的及び治療的使用)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ又はその組成物を用いて、対象で免疫応答を誘導する方法である。具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。
【0176】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又はその組成物を利用して、対象で免疫応答を誘導する方法である。具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む組成物の有効量を投与することを含む。別の具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクターを含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0177】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又は本明細書に記載される組成物を利用して、対象で免疫応答を誘導する方法である。具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。
【0178】
具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様において、該生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。
【0179】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ又はその組成物を利用して、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法である。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。
【0180】
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列又はその組成物を利用して、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法である。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を含む組成物の有効量を投与することを含む。別の具体的な実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター)を含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0181】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又は本明細書に記載される組成物を利用して、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法である。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。
【0182】
具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様において、該生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様において、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。
【0183】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法であって、対象に本明細書に(例えば、上の第5.5節に)記載される免疫原性組成物を投与すること及び対象に本明細書に記載されるアジュバントを投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法であって、該対象に本明細書に(例えば、上の第5.5節に)記載される免疫原性組成物を本明細書に記載されるアジュバントと組み合わせて投与することを含む、方法である。該免疫原性組成物は、本明細書に記載されるアジュバントの投与と同時に、該投与の前(例えば、5分未満、10分未満、15分未満、30分未満、45分未満、60分未満、1.5時間未満、もしくは2時間未満前)に、又は該投与の後(例えば、5分未満、10分未満、15分未満、30分未満、45分未満、60分未満、1.5時間未満、もしくは2時間未満後)に、対象に投与することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物及びアジュバントは、同じ投与経路を介して投与される。他の実施態様において、該免疫原性組成物及びアジュバントは、異なる投与経路を介して投与される。具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、本明細書に記載される組換えNAを含む不活化インフルエンザウイルスを含む。別の具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、スプリットインフルエンザウイルスを含み、ここで、該スプリットインフルエンザウイルスは、本明細書に記載される組換えNAを含む。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、アジュバントを含まない。
【0184】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)による第一の免疫付与(例えば、初回免疫)と、その後の免疫原性組成物(例えば、ワクチン)による1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与(例えば、追加免疫)を伴う免疫付与レジメンである。一実施態様において、免疫原性レジメンは、本明細書に記載される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)による第一の免疫付与(例えば、初回免疫)と、その後の免疫原性組成物(例えば、ワクチン)による1回の追加の免疫付与(例えば、追加免疫)を伴う。具体的な実施態様において、第一の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される同じタイプの免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。例えば、第一の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与に使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、同じタイプのワクチン製剤、すなわち、不活化インフルエンザウイルスワクチンであることができる。他の具体的な実施態様において、第一の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)のタイプと異なる。例えば、第一の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が生インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、別のタイプのワクチン製剤、例えば、不活化インフルエンザウイルスである。別の例において、第一の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、別のタイプのワクチン製剤、例えば、不活化インフルエンザウイルスである。ある実施態様において、追加の免疫付与で使用されるワクチン製剤は変化する。例えば、弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン製剤が1回の追加の免疫付与に使用される場合、1回以上の追加の免疫付与は、異なるワクチン製剤、例えば、不活化ワクチン製剤を使用することができる。特定の実施態様において、生インフルエンザウイルスワクチン製剤が対象に投与され、その後、不活化ワクチン製剤(例えば、スプリットウイルスワクチン又はサブユニットワクチン)が投与される。具体的な実施態様において、免疫原性レジメンは、下の第6節(例えば、下の実施例1又は3)に記載されているレジメンと類似している。
【0185】
本明細書に記載される方法による具体的な実施態様において、対象に、1、2、又はそれより多くの用量の本明細書に記載される免疫原性組成物を投与することができる。
【0186】
具体的な実施態様において、対象は、インフルエンザシーズンの前に、その間に、又はその両方に、本明細書に記載される方法に従って免疫を付与される。具体的な実施態様において、米国のインフルエンザシーズンは、ある年の9月又は10月から翌年の3月又は4月までであり得る。
【0187】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、A型インフルエンザウイルスの1つ、2つ、又はそれより多くの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防するのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの株によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、あるNA群には属するが、別のNA群には属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防するのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、A型インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1以上の株によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、A型インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの株によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防するのに有効である。
【0188】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に起因する症状の数を減少させるのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に起因する1以上の症状の期間を短縮するのに有効である。インフルエンザウイルス疾患/感染の症状としては、体の痛み(特に、関節及び咽喉)、発熱、吐き気、頭痛、ひりひり痛む目、疲労、咽喉炎、赤くなった目又は皮膚、並びに腹痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院を減少させるのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院期間を短縮するのに有効である。
【0190】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、NA特異的抗体(例えば、IgG)を誘導する。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、当業者に公知又は本明細書に記載される技術によって評価されるADCC活性を有する抗体を誘導する。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、当業者に公知又は本明細書に記載される技術によって評価されるノイラミニダーゼ阻害活性を有する抗体を誘導する。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される免疫応答は、(1)当業者に公知の技術によって評価されるADCC活性;及び(2)当業者に公知又は本明細書に記載される技術によって評価されるノイラミニダーゼ阻害活性を有する抗体を誘導する。
【0191】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される免疫原性組成物を利用して、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法である。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを投与することを含む。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列、又は組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクターを投与することを含む。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチン、不活化ウイルスワクチン、又はスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様において、該生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される免疫原性組成物を投与することを含む。
【0192】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防するか又はインフルエンザウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス疾患を治療する方法であって、対象に、抗インフルエンザウイルスNA抗体(複数可)を投与することを含む、方法であり、ここで、該抗インフルエンザウイルスNA抗体(複数可)は、本明細書に記載される免疫原性組成物を利用して作製された。例えば、本明細書に記載される免疫原性組成物を非ヒト対象(例えば、ヒト抗体を発現する又は発現することができる非ヒト対象)に投与して、抗インフルエンザウイルスNA抗体(複数化)を作製することができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒト対象のインフルエンザウイルス疾患を予防する方法であって、該対象に、ヒト又はヒト化抗インフルエンザウイルスNA抗体(複数化)を投与することを含む、方法であり、ここで、該インフルエンザウイルスNA抗体(複数化)は、本明細書に記載される免疫原性組成物を利用して作製された。
【0193】
ある実施態様において、本明細書に提供される対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)のインフルエンザウイルス疾患を予防するか又はインフルエンザウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス疾患を治療する方法は、当業者に公知及び本明細書に記載されるインビボ及びインビトロアッセイにより測定したとき、対象でのインフルエンザウイルスの複製の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスの複製は、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1~3log、1~5log、1~8log、1~9log、2~10log、2~5log、2~7log、2log~8log、2~9log、2~10log、3~5log、3~7log、3~8log、3~9log、4~6log、4~8log、4~9log、5~6log、5~7log、5~8log、5~9log、6~7log、6~8log、6~9log、7~8log、7~9log、又は8~9log低下する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)のインフルエンザウイルス疾患を予防するか又はインフルエンザウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、対象で検出されるインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防するか又はインフルエンザウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス疾患を予防もしくは治療する方法は、以下のこと:(1)感染/疾患の症状の回数を低下させること、(2)感染/疾患の症状の重症度を低下させること、(3)感染/疾患の長さを低下させること、(4)感染/疾患に起因する入院又は合併症を軽減すること、(5)対象の入院の長さを低下させること、(6)インフルエンザウイルス感染/疾患と関連する臓器不全を軽減すること、及び(7)対象の生存を増大させることのうちの1つ、2つ、又はそれより多くをもたらす。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防するか又はインフルエンザウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス疾患を予防もしくは治療する方法は、インフルエンザウイルス疾患又はその1以上の症状の発症又は開始を阻害する。
【0194】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗体を作製する方法であって、対象(例えば、非ヒト対象)に投与され得る、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又は本明細書に記載される組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルス、又は本明細書に記載される組成物を対象(例えば、非ヒト対象)に投与することができ、かつ抗体を単離することができる。単離された抗体をクローン化することができる。該抗体をヒト化及び/又は最適化することができる。いくつかの実施態様において、関心のある特定の抗体を産生するハイブリドーマが産生される。ある実施態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ又は本明細書に記載される組成物を投与される非ヒト対象は、ヒト抗体を産生することができる。ハイブリドーマを単離し、クローン化し、ヒト化し、最適化し、及び作製する技術は、当業者に公知である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法によって作製される抗体を、アッセイ(例えば、本明細書に記載されるアッセイ)で及び対象(例えば、ヒト対象)の受動免疫で利用することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、ある実施態様において、インフルエンザウイルス感染を治療するか又はインフルエンザウイルス疾患を予防する方法であって、本明細書に記載される方法によって作製される抗体を投与することを含む、方法である。
【0195】
別の態様において、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する抗体をイムノアッセイなどのアッセイで評価することができる。
【0196】
(5.6.1 組合せ療法)
様々な実施態様において、(1)本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ、(2)本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列、(3)組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター、又は(4)本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、それを発現するように改変されているか、もしくはその両方であるインフルエンザウイルスは、1以上の他の療法(例えば、抗ウイルス、抗菌、又は免疫調節療法)と組み合わせて、対象に投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、1以上の療法(例えば、抗ウイルス、抗菌、又は免疫調節療法)と組み合わせて、対象に投与することができる。1以上の他の療法は、インフルエンザウイルス疾患の予防に有益であることができるか、又はインフルエンザウイルス疾患と関連する症状もしくは状態を改善することができる。いくつかの実施態様において、1以上の他の療法は、鎮痛剤、解熱薬、又は呼吸を楽にするかもしくは助ける療法である。ある実施態様において、療法は、5分未満の間隔、30分未満の間隔、1時間の間隔、約1時間の間隔、約1~約2時間の間隔、約2時間~約3時間の間隔、約3時間~約4時間の間隔、約4時間~約5時間の間隔、約5時間~約6時間の間隔、約6時間~約7時間の間隔、約7時間~約8時間の間隔、約8時間~約9時間の間隔、約9時間~約10時間の間隔、約10時間~約11時間の間隔、約11時間~約12時間の間隔、約12時間~18時間の間隔、18時間~24時間の間隔、24時間~36時間の間隔、36時間~48時間の間隔、48時間~52時間の間隔、52時間~60時間の間隔、60時間~72時間の間隔、72時間~84時間の間隔、84時間~96時間の間隔、又は96時間~120時間の間隔で投与される。具体的な実施態様において、2種以上の療法が、同じ患者診察時に投与される。
【0197】
(5.6.2 患者集団)
ある実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、未感作の対象、すなわち、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患を有していないか、又はインフルエンザウイルス感染症に感染したことがなく、かつ現在それに感染していない対象に投与することができる。一実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、インフルエンザウイルス感染を獲得する危険のある未感作の対象に投与される。
【0198】
別の実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、組換えノイラミニダーゼが免疫応答を誘導する特定のインフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患を有していないか、又は該特定のインフルエンザウイルスに感染したことがなく、かつそれに感染していない対象に投与される。
【0199】
別の実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、組換えノイラミニダーゼが免疫応答を誘導するインフルエンザウイルス又は該インフルエンザウイルスの別の型、亜型/系統、もしくは株に感染している、感染したことがある、又は感染しており、かつ感染したことがある対象に投与することもできる。
【0200】
ある実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、インフルエンザウイルス感染と診断された患者に投与される。いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、症状が現われるか又は症状が重くなる前に(例えば、患者が入院を必要とする前に)、インフルエンザウイルス感染患者に投与される。
【0201】
いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与される対象は、動物である。ある実施態様において、動物は鳥である。ある実施態様において、動物はイヌである。ある実施態様において、動物はネコである。ある実施態様において、動物はウマである。ある実施態様において、動物はウシである。ある実施態様において、動物は、哺乳動物、例えば、ウマ、ブタ、マウス、又は霊長類、好ましくは、ヒトである。
【0202】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与される対象は、ヒト乳児である。本明細書で使用されるように、「ヒト乳児」という用語は、新生児から1歳までのヒトを指す。
【0203】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与される対象は、ヒト小児である。本明細書で使用されるように、「ヒト小児」という用語は、1歳から18歳までのヒトを指す。
【0204】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与される対象は、ヒト成人である。本明細書で使用されるように、「ヒト成人」という用語は、18歳以上のヒトを指す。
【0205】
具体的な実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与される対象は、ヒト高齢者である。本明細書で使用されるように、「ヒト高齢者」という用語は、65歳以上のヒトを指す。
【0206】
いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与されることになるヒト対象は、インフルエンザウイルス感染に起因するインフルエンザウイルス感染又は疾患の危険性が高い任意の個体(例えば、免疫低下又は免疫不全個体)である。
【0207】
いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与されることになるヒト対象は、インフルエンザウイルス感染に起因するインフルエンザウイルス感染又は疾患の危険性が高い個体(例えば、免疫低下又は免疫抑制個体)と濃厚接触している任意の個体である。
【0208】
いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物が投与されることになるヒト対象は、インフルエンザウイルス感染もしくは合併症又はインフルエンザウイルス感染に起因する疾患への易罹患性を増大させる任意の疾病に影響を受けた個体である。他の実施態様において、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、インフルエンザウイルス感染は、個体が影響を受けるか又は個体が危険に曝されている別の疾病の合併症を増大させる可能性を有する対象に投与される。
【0209】
(5.6.3 送達の経路)
組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター;本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物は、種々の経路によって対象に送達することができる。これらには、鼻腔内、肺、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、結膜内、及び皮下経路、並びに本明細書に記載される他の経路が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、組成物は、局所投与用に、例えば、皮膚への塗布用に製剤化される。具体的な実施態様において、投与経路は、例えば、鼻スプレーの一部として、鼻腔内へのものである。ある実施態様において、組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。いくつかの実施態様において、組成物は、皮下投与用に製剤化される。生ウイルスワクチンの具体的な実施態様において、ワクチンは、注射以外の経路による投与用に製剤化される。
【0210】
一実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルスワクチンは、鼻腔内投与される。別の実施態様において、不活化インフルエンザウイルスワクチン(例えば、不活化全ウイルスワクチン又はスプリットインフルエンザウイルスワクチン)は、筋肉内投与される。
【0211】
(5.6.4 投薬量)
インフルエンザウイルス疾患の予防において有効である、組換えノイラミニダーゼ;組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列;組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター);本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含むか、もしくはそれを発現するように改変されているか、又はその両方であるインフルエンザウイルス;或いは本明細書に記載される組成物の量は、疾患の性質によって決まり、かつ標準的な臨床技術によって決定することができる。
【0212】
製剤で利用すべき正確な用量は、投与経路、及び感染又はそれに起因する疾患の重篤度によっても決まり、臨床医の判断及び各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒトであるか動物であるかということ、投与される他の医薬品、及び治療が予防的であるか治療的であるかということによって異なってもよい。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために最適に調節される。
【0213】
本明細書で使用されるように、対象への療法の投与との関連における「有効量」という用語は、予防効果、治療効果、又は予防効果と治療効果の両方を有し得る療法の量を指す。ある実施態様において、対象への療法の投与との関連における「有効量」は、以下の効果のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くを達成するのに十分である療法の量を指す:(i)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の重症度を軽減もしくは改善する;(ii)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の持続期間を短縮する;(iii)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の進行を予防する;(iv)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の退行をもたらす;(v)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の発症もしくは開始を予防する;(vi)インフルエンザウイルス感染、それと関連する疾患もしくは症状の再発を予防する;(vii)ある細胞から別の細胞、ある組織から別の組織、もしくはある器官から別の器官へのインフルエンザウイルスの拡散を低下させもしくは予防する;(viii)ある対象から別の対象へのインフルエンザウイルスの拡散を予防しもしくは低下させる;(ix)インフルエンザウイルス感染と関連する器官不全を軽減する;(x)対象の入院を減少させる;(xi)入院期間を短縮する;(xii)インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患を有する対象の生存を増加させる;(xiii)インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患を消失させる;(xiv)インフルエンザウイルスの複製を阻害しもしくは低下させる;(xv)宿主細胞へのインフルエンザウイルスの侵入を阻害しもしくは低下させる;(xvi)インフルエンザウイルスゲノムの複製を阻害しもしくは低下させる;(xvii)インフルエンザウイルスタンパク質の合成を阻害しもしくは低下させる;(xviii)インフルエンザウイルス粒子の会合を阻害しもしくは低下させる;(xix)宿主細胞からのインフルエンザウイルス粒子の放出を阻害しもしくは低下させる;(xx)インフルエンザウイルス力価を低下させる;及び/又は(xxi)別の療法の予防もしくは治療効果を増強もしくは改善する。
【0214】
ある実施態様において、有効量は、インフルエンザウイルス疾患からの完全な防御をもたらすのではなく、インフルエンザウイルス感染を有する未処置の対象と比較してより低い力価又は少ない数のインフルエンザウイルスをもたらす。ある実施態様において、有効量は、インフルエンザウイルス感染を有する未処置の対象と比べて、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれより大きいインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、有効量は、インフルエンザウイルス感染を有する未処置の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1~3log、1~5log、1~8log、1~9log、2~10log、2~5log、2~7log、2log~8log、2~9log、2~10log、3~5log、3~7log、3~8log、3~9log、4~6log、4~8log、4~9log、5~6log、5~7log、5~8log、5~9log、6~7log、6~8log、6~9log、7~8log、7~9log、又は8~9logのインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。インフルエンザウイルスの力価、数、又は総負荷量の低下の利益としては、重症度がより低い感染症状、より少ない感染症状、及び感染と関連する疾患の長さの短縮が挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
ある実施態様において、療法(例えば、その組成物)の有効量は、免疫付与前の対象由来の血液試料中の抗インフルエンザウイルスNA力価と比べて、該有効量が投与された対象由来の血液試料中の抗インフルエンザウイルスNA力価を、免疫付与後に0.5倍~10倍、0.5倍~4倍、0.5倍~3倍、0.5倍~2倍、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍大きくする。ある実施態様において、療法(例えば、その組成物)の有効量は、免疫付与前の対象由来の血液試料中の抗インフルエンザウイルスNAストーク力価と比べて、該有効量が投与された対象由来の血液試料中の抗インフルエンザウイルスNAストーク力価を、免疫付与後に0.5倍~10倍、0.5倍~4倍、0.5倍~3倍、0.5倍~2倍、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍大きくする。
【0216】
ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスの用量は、104プラーク形成単位(PFU)~108PFUであることができる。いくつかの実施態様において、組換えノイラミニダーゼの用量は、5~15μgの本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含有することができる。ある実施態様において、不活化ワクチンは、それが本明細書に記載される5~15μgの血球凝集素(HA)ポリペプチドを含有するように製剤化される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される核酸配列又はベクターの用量は、25マイクログラム~1ミリグラムの核酸配列又はベクターを含有することができる。
【0217】
(5.7 生物学的アッセイ)
また本明細書に提供されるのは、組換えNA、及びそのような突然変異したインフルエンザウイルスNAポリペプチドを含むか、発現するか、又はその両方であるウイルスを特徴付けるために使用し得る生物学的アッセイである。第6節も参照されたい。具体的な実施態様において、第6節に記載されているアッセイは、組換えNA、又はそのような組換えNAを含むか、発現するか、もしくはその両方であるウイルスを特徴付けるために使用される。別の具体的な実施態様において、第6節に記載されているアッセイは、本明細書に記載される免疫原性組成物によって誘導される抗体のノイラミニダーゼ阻害活性を特徴付けるために使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物の免疫原性又は有効性は、第6節に記載されている1つ、2つ、又はそれより多くのアッセイを用いて評価される。
【0218】
(5.7.1 組換えノイラミニダーゼの活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に開示される組換えノイラミニダーゼの発現を試験するためのアッセイを当技術分野で公知の任意のアッセイを用いて実施することができる。例えば、ウェスタンブロットなどのイムノアッセイを用いて、組換えノイラミニダーゼの発現を評価することができる。組換えノイラミニダーゼのウイルスベクターへの組込みのためのアッセイは、本明細書に記載されるウイルスを増殖させること、スクロースクッションに通す遠心分離によってウイルス粒子を精製すること、及び当技術分野で周知の方法を用いたイムノアッセイ、例えば、ウェスタンブロッティングによる組換えノイラミニダーゼ発現についてのその後の解析を含むことができる。
【0219】
別の実施態様において、本明細書に開示される組換えノイラミニダーゼは、例えば、NMR、X線結晶学的方法、又は二次構造予測法、例えば、円二色性などの当技術分野で任意の公知の方法を用いた、組換えノイラミニダーゼの構造又は立体構造の決定によって、適切なフォールディングについてアッセイされる。
【0220】
別の実施態様において、本明細書に開示される組換えノイラミニダーゼは、当技術分野で公知又は本明細書に(例えば、下の第6節に)記載される技術を用いて、四量体を形成する能力についてアッセイされる。別の実施態様において、本明細書に開示される組換えノイラミニダーゼ又は本明細書に開示される組換えノイラミニダーゼを含有もしくは発現するウイルスは、当業者に公知又は本明細書に(例えば、下の第6節に)記載される技術を用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ活性について評価される。
【0221】
(5.8 キット)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、本明細書に記載される免疫原性組成物)、例えば、インフルエンザウイルス(例えば、弱毒化生インフルエンザウイルスもしくは不活化ウイルス)、又は組換えノイラミニダーゼ、又は組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列、又は組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクターの1以上の成分を充填した1以上の容器を含む、対象でインフルエンザウイルスに対する免疫を付与するための医薬パック又はキットである。医薬又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する行政機関により規定された形式での通知を、そのような容器に任意で関連付けることができ、その通知は、この機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の承認を示している。
【0222】
本明細書に包含されるキットを本明細書に記載される方法に従って使用することができる。一実施態様において、キットは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ(例えば、上の第5.1節又は第6節に記載されているもの)を1以上の容器中に含む。別の実施態様において、キットは、組換えノイラミニダーゼ(例えば、上の5.4節又は第6節に記載されているもの)を含む本明細書に記載されるインフルエンザウイルスを1以上の容器中に含む。別の実施態様において、キットは、組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列を1以上の容器中に含む。別の実施態様において、キットは、組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含むベクターを1以上の容器中に含む。別の実施態様において、キットは、本明細書に記載される1以上の免疫原性組成物を1以上の容器中に含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、不活化インフルエンザウイルスワクチン又は生インフルエンザウイルスワクチンを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼ及び任意に、本明細書に(例えば、第5.5.3節又は第6節に)記載されるアジュバントを含む。
【0223】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは:(a)本明細書に記載される(例えば、第5.5節又は第6節に記載される)免疫原性組成物を含む第一の容器;及び(b)本明細書に(例えば、第5.5.3節に)記載されるアジュバントを含む第二の容器を含む。具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、不活化全ウイルスワクチンである。具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、スプリットウイルスワクチンである。具体的な実施態様において、該免疫原性組成物は、弱毒化生ウイルスワクチンである。
【0224】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは:(a)本明細書に記載される組換えノイラミニダーゼを含む免疫原性組成物を含む第一の容器;及び(b)不活化三価インフルエンザウイルスワクチン、不活化四価インフルエンザウイルスワクチン、又は弱毒化生インフルエンザウイルスワクチンを含む第二の容器を含む。いくつかの実施態様において、該免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【実施例】
【0225】
(6.実施例1:四量体組換えノイラミニダーゼベースのワクチン候補を産生するための天然の四量体化ドメイン及びシステイン突然変異体の使用)
(6.1.1 序論)
三価及び四価不活化インフルエンザウイルスワクチン(TIV、QIV)は、ウイルス血球凝集素(HA)の免疫優性ヘッドドメインを標的とする狭い種特異的免疫応答を誘導する。現在のワクチンは、インフルエンザウイルスNAに対する免疫応答を誘導するのに有効ではない(1,2)。TIV及びQIVにおけるNA免疫原性の欠如の理由は、完全には理解されていないが、3つの主な要因: 1)ワクチン中の低/非標準化量のNA(1)、2)ワクチン産生プロセスにおける変性によって、TIV及びQIV中のNAが保存された立体構造エピトープを正確に示さない可能性があること、並びに3)特に(例えば、疎水性HA及びNA膜貫通ドメインを介して)HAに物理的に結合するとき、NAがHAに対して免疫亜優性であること(3,4)が寄与している可能性がある。この問題に対する潜在的な解決策は、現在のTIV又はQIV(又は組換えインフルエンザワクチン-RIV4)を、正確にフォールディングした安定な四量体組換えタンパク質で補完することである(参考文献(5)の
図5を参照)。組換えNAを産生するための2つの方法: i)全長NAの組換え発現と、その後の膜抽出及びii)可溶性バージョンのNAの発現と、その後の細胞上清からの精製が存在する。細胞内での全長NAの組換え発現と、その後の膜抽出(6)は、残念ながら、比較的低い収率をもたらし、NAの超可変ストークが時間とともに不安定になる可能性がある。ヘッドドメイン(防御的エピトープを内蔵する)のみの発現は、優れた代替案である。しかしながら、NAヘッドのみを発現させた場合、四量体は形成されず、得られる抗原は防御的ではない。安定で、機能的で、かつ正確にフォールディングする四量体を形成させるためには、四量体化ドメインをNAヘッドドメインに結合させる必要がある。これは過去に試みられており、成功は様々であった。今日まで、GCN4ロイシンジッパー、細菌テトラブラキオン四量体化ドメイン、及びヒト血管拡張刺激ホスホタンパク質(VASP)四量体化ドメインが使用され、最後のものは、ワクチン試験で優れた結果をもたらしている(1)。しかしながら、GNC4ロイシンジッパーコンストラクトは、十分に発現せず、ヒトタンパク質に対する相同性を有し、VASPドメインは、自己免疫への懸念を起こすヒトタンパク質に由来する。したがって、これらのコンストラクトは、GMP製造及びヒト臨床試験と不適合である可能性がある。
【0226】
本実施例は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの球状ヘッドドメインと四量体化とを含む安定な免疫原性組換えノイラミニダーゼの産生を記載している。本実施例は、そのような安定な免疫原性組換えノイラミニダーゼのワクチン接種が厳しいストリンジェントな10×LD50投与に対する完全な防御を付与することを示している。
【0227】
さらに、本実施例は、四量体化ドメインを有さない天然の三量体を形成させるためのシステイン突然変異体の構築を記載している。NAがそのストークドメインを伴って発現されると、それは、2つの単量体間のジスルフィド架橋によって、二量体を形成する。NAが自然に脂質膜中に固定されると、その後、これにより、四量体形成がもたらされる(12)。しかしながら、これは、NAが(膜貫通ドメインなしの)組換えタンパク質として発現された場合には当てはまらない。この場合、二量体のみが形成される。さらなるシステインに突然変異を生じさせることにより、さらなるジスルフィド結合を形成させることができ、その後、このジスルフィド結合が2つの二量体を接続させて、四量体を形成することができる。
【0228】
(6.1.2 材料及び方法)
(組換えノイラミニダーゼコンストラクトの設計及び作製)
【0229】
それぞれのコドン最適化四量体化ドメインをpFastBacDual発現ベクターにクローニングすることにより、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン(MPP)(7)、センダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン(SPP)(8)、シロイヌナズナ由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子(SMDTF)由来の四量体化ドメイン(9)、キサントモナス・カンペストリス由来のPiLZ構造(10)、及び牛肺虫ACE四量体化ドメイン(11)N1融合タンパク質を作製した。このベクターは、N-末端シグナルペプチド配列、ヘキサ-ヒスチジン精製タグ、及びトロンビン切断部位を含む。その後、A/ミシガン/45/15 N1の球状ヘッドドメインを四量体化ドメインの後ろに直接挿入した。
【0230】
以下の配列を使用した:
イタリック体かつ太字:シグナルペプチド及びhisタグ
下線かつ太字:それぞれの四量体化ドメイン
太字: N1 NA
二重下線かつ太字:トロンビン切断部位+2アミノ酸残基
【化7】
【0231】
N1ストークドメイン中の異なる位置にシステインを含むN1システイン突然変異体を、四量体化ドメインなしで、発現ベクターpFastBacDualにクローニングした。しかしながら、このベクターは、依然として、N-末端シグナルペプチド、ヘキサ-ヒスチジン精製タグ、及びトロンビン切断部位を含む。コンストラクトN1.2は、安定な二量体/四量体の形成に必要不可欠であることが知られている位置49の重要なシステイン(C49、N1付番)を含むストークドメインの一部を含む。コンストラクトN1.3は、システインをアラニンに取り換えて、単量体タンパク質を生じさせるC49における突然変異を有する。コンストラクトN1.4(T48C)、N1.5(N50C)、N1.6(T48C+N50C)、N1.7(A76C)、N1.8(Q78C)、N1.9(V81C)、及びN1.11(W61C)は、C49に加えて、N1ストークドメイン中の異なる位置にシステイン結合を含む。コンストラクトN1.10は、VASP四量体化ドメインを含むので、四量体対照としての役割を果たす(1)。
【0232】
以下の配列を使用した:
下線:シグナルペプチド、ヘキサ-ヒスチジンタグ、及びトロンビン切断部位
イタリック体: NAストーク
太字:導入された突然変異
【化8】
【0233】
pFastBacDual発現ベクターにクローニングした後、コンストラクトをコンピテント大腸菌DH10 bacsに入れて形質転換し、単離されたDNAを用いて、確立されているプロトコルに従って、Sf9(ツマジロクサヨトウ)昆虫細胞をトランスフェクトした(13)。その後、得られたバキュロウイルスを、3%TNM-FH培地(Gemini Bioproducts; 3%胎仔ウシ血清(Gibco))を用いて、より高い力価に達するようにSf9細胞で継代した。ウイルスを3回継代した後、組換えノイラミニダーゼを発現させるために、得られたストック溶液を用いて、HighFive細胞を感染させた。該細胞を、10%L-グルタミン(Gibco)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)が補充されたExpressFive培地(Gibco)を用いて、CO2なしで、27℃で3日間感染させた。その後、それぞれの可溶性ノイラミニダーゼを含む細胞上清を遠心分離によって細胞から分離し、確立されているプロトコル使用することにより、タンパク質を精製した(13,14)。タンパク質をさらなる使用まで-80℃で保存した。
【0234】
(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE))
【0235】
還元SDS-PAGEを実施するために、1ugの組換えタンパク質を、10%β-メルカプトエタノール(BME)を含む4×Laemmli試料バッファー(Biorad)と混合した。試料を98℃で10分間加熱し、その後、SDS勾配ゲル(4-20%Mini-PROTEAN(登録商標) TGX(商標) Precast Protein Gels, Biorad)に充填した。ゲルを200Vで30分間泳動させ、その後、RTで振盪させながら、クマシーブルー急速染色溶液で1時間染色した。染色溶液を除去し、蒸留水を使用することにより、ゲルを脱染した。
【0236】
非還元SDS-Pageを実施するために、試料を4×Laemmli試料バッファーと混合し、その後、上記と同様に処理した。組換えタンパク質を架橋するために、BS3クロスリンカー(Sigma-Aldrich)を使用した(13)。このために、タンパク質を製造元のマニュアルに記載されているように架橋試薬と混合した。その後、試料を上記と同様に処理した。
【0237】
(NA-starアッセイ)
【0238】
様々な組換えN1コンストラクトの潜在的なノイラミニダーゼ活性を決定するために、NA-starアッセイ(Thermo Fisher)を行った。組換えタンパク質を提供されているアッセイバッファーに10μgの出発濃度まで希釈し、その後、1:2連続希釈した。プレートを室温で15分間インキュベートした。基質を添加し、プレートを暗所37℃で30分間保持した。その後、提供されているエンハンサー溶液をウェルに添加し、Synergy Hybrid Reader(BioTek)を用いて、発光活性に基づいて、プレートをすぐに読み取った。
【0239】
(酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))
【0240】
ヒトノイラミニダーゼ抗体のパネルに対する組換えN1コンストラクトの結合活性を決定するために、ELISAを行った。タンパク質の正確なフォールディング及びそれぞれのエピトープの完全な接近可能性を保証するために、Ni-NTAプレート(Qiagen)を用いて、アッセイを行った。それゆえ、プレートを、50μl/ウェルのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に希釈した2μg/ml組換えタンパク質で、4℃で一晩コーティングした。翌日、コーティング溶液を除去し、プレートを、100μl/ウェルの3%ミルク/PBS-0.01%Tween(PBST)で、RTで1時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を除去し、一次抗体希釈液を1%ミルク/PBST中に30ug/mlの出発濃度で調製した。1:3連続希釈を行い、抗体を、プレート上で、RTで2時間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで3回洗浄し、その後、抗ヒトIgG二次HRP標識抗体(1%ミルク/PBST中、1:3000)とともにRTで1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μl/ウェルのo-フェニレンジアミン(OPD)発色溶液をRTで10分間添加した。50/ウェルの3M HCL溶液を添加することにより、反応を停止させ、プレートを、Synergy Hybrid Reader(BioTek)を用いて、490nmのODで読み取った。
【0241】
(マウスワクチン接種及び投与試験)
【0242】
組換えノイラミニダーゼワクチン候補の防御効力を6~8週齢の雌BALB/cマウス(群当たりn=5)で試験した。マウスの筋肉に、1:1でAddaVax(InvivoGen)がアジュバント添加された3ugのそれぞれの組換えタンパク質(50μl PBS中)をワクチン接種した。無関係な血球凝集素タンパク質(B/マレーシア/2506/04由来)を陰性対照として群の1つに投与し、インビボ投与試験で防御的であることが示されている、VASP四量体化ドメインを含むN1タンパク質陽性を対照として含めた。マウスに3週間の間隔で2回ワクチン接種した。2回目のワクチン接種から4週間後、マウスに25×mLD50(マウス致死用量50%)のA/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)を投与した。生存及び体重減少を14日にわたってモニタリングした。その初期体重の25%超を失ったマウスを人道的に安楽死させた。
【0243】
(6.1.3 結果)
(新規の四量体化ドメイン)
【0244】
最初に、3つのコンストラクト+陽性対照(VASP-N1)を発現させ、精製した。MPP-N1及びSMDTF-N1(例えば、シロイヌナズナ由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子由来のロイシンジッパーを有するN1(9))は、還元及び非還元SDS-PAGEで解析したときに分解を示さなかったが、SPP-N1は、わずかな分解を示した(
図1A及び1B)。次に、コンストラクトを四量体の形成について試験した。これをMPP-N1及びSPP-N1(及び陽性対照)について観察し、MPP-N1は、この場合も、架橋し、SDS-PAGEで泳動させたとき、分解も副次的なバンドも示さなかった(
図1C)。MPP-N1は、このアッセイでVASP-N1と全く同じく挙動した。さらに、良好なコンストラクトは、既知のかつ機能的な四量体化ドメインを有するN1四量体(対照としてのVASP-N1)と同様のNA活性を有さなければならない。SPP-N1コンストラクトとMPP-N1コンストラクトはどちらも、同様のNA活性を示した。MPP-N1のNA活性はSPP-N1及びVASP-N1のNA活性よりもわずかに低かったが、それでも強力であった(
図2)。
【0245】
最後に、MPP-N1をヒトノイラミニダーゼ阻害活性のあるN1モノクローナル抗体による認識について試験し、実際、MPP-N1は、この抗体によって認識された(
図3)。その後、SPP-N1とMPP-N1の両方を動物での有効性試験へと進めた。
【0246】
単純な初回免疫-追加免疫レジメンにおいて、3μgのNAを、マウスに2回、3週間間隔で筋肉内投与した(AddaVaxをアジュバントとして用いた)。動物に10 50%致死用量の相同ウイルスを投与したとき、どちらのコンストラクトも、VASP-N1コンストラクトと同程度の体重減少及び死亡率に対する完全な防御をもたらした(
図4)。マウス1匹当たり3μg用量の合理的な根拠は、不活化ワクチンをマウスで使用するときの通常用量の1μgのHAに基づいている。ヒトにおいて、RIV4中の組換えHAの用量は、QIV中のものよりも3倍大きく、それゆえ、3倍大きい用量の組換えNAを選択した。
【0247】
(システイン突然変異体)
【0248】
方法の節に記載されている様々なシステイン突然変異体を発現させ、試験した。NA-Starアッセイにおけるノイラミニダーゼ活性を四量体形成の代理として使用した。単量体(N1.3)、二量体(N1.2)、及びVASP安定化四量体(N1.10)を対照として使用した。1つのコンストラクトN1.6(T48C+N50C)は、四量体と同程度の活性を示した(
図5)。
【0249】
(6.1.4 考察)
全てA/ミシガン/45/15 N1(H1N1)のヘッドドメインに融合されている、麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン(MPP)(7)、センダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン(SPP)(8)、シロイヌナズナ由来のSEPPALLATA様MADSドメイン転写因子(SMDTF)由来の四量体化ドメイン(9)、キサントモナス・カンペストリス由来のPiLZ構造(10)、及び牛肺虫ACE四量体化ドメイン(11)を含む、天然の四量体化ドメインをスクリーニングした。これらのコンストラクトを、発現、四量体化、安定性、及び免疫原性に基づいて特徴付けた。
【0250】
結論として、機能的なNA四量体の形成を支持する麻疹及びセンダイウイルスホスホタンパク質由来の四量体化ドメインを有する2つの新規コンストラクトが同定された。これらのコンストラクトは、インフルエンザウイルス投与マウスモデルにおいて、ワクチンとしての防御ももたらす。マウスモデルにおけるMPP四量体化ドメインコンストラクトのワクチン接種は、ストリンジェントな10×mLD50投与に対して完全な防御を付与した。
【0251】
さらに、VASP四量体化ドメインで安定化された対応する組換えNAと同程度のNA活性を有するノイラミニダーゼストークシステイン二重突然変異体が同定された。この突然変異体の強い活性は、それが四量体を形成し、インビボでワクチンとしての防御ももたらし得ることを示している。
【0252】
両方のタイプのコンストラクトを、精製を助けるためのヘキサ-ヒスチジンタグとともに発現させるが、このタグのないバージョンのコンストラクトを発現させてもよい。タグのないタンパク質は、精製がより困難であるが、ヒト臨床試験により好適である。
(6.1.5 実施例1及び背景で引用された参考文献)
【表2】
【0253】
(6.2 実施例2: NAのストークドメインへのさらなるシステインの導入によるA型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)四量体の安定化)
本実施例は、さらなるジスルフィド結合がシステイン置換又は挿入によってウイルスNAのストーク領域に導入された組換えノイラミニダーゼを発現するように改変された組換えインフルエンザウイルスの産生を示している。本実施例は、ウイルスタンパク質がSDS-PAGEで分離されるときの条件下で、システインの導入が精製された不活化A/プエルトリコ/08/1934(PR8) H1N1ウイルスの四量体ノイラミニダーゼを安定化するように見えることを示している。この観察は、より臨床的に意義のあるA/香港/4801/2014(HK14) H3N2株にも当てはまる。
【0254】
(6.2.1 材料及び方法)
(プラスミド)
【0255】
さらなるシステインをNAのストーク領域に導入するために、A/プエルトリコ/08/1934用のpDZ N1プラスミド又はA/香港/4801/2014株用のpDZ N2プラスミドを鋳型として用いるPCR突然変異誘発によって、アミノ酸置換又は挿入を行った。改変されたNA遺伝子セグメントを、pDZアンビセンスプラスミドのSapI制限酵素(New England Biolabs社)消化によって作製された線状化ベクターにクローニングした(1)。In-Fusionクローニング(Takara Bio, Kusatsu, Shiga Prefecture, Japan)を行った。組換え産物を大腸菌DH5αコンピテント細胞(Thermo Fisher Scientific)に形質転換し、QIAprepスピンミニプレップキット(Qiagen)を用いて、プラスミドを精製した。組換えインフルエンザウイルスをレスキューするのに使用されるpRS PR8 6セグメントプラスミドは、以前に記載されているpRS PR8 7セグメントプラスミドからNAカセットを欠失させることにより作製した(2)。簡潔に説明すると、pRS PR8 7セグメントをNotI(New England Biolabs社)を用いて消化して、NAカセットを特異的に除去し、線状化プラスミドをT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs社)を用いて再度ライゲーションし、製造元のプロトコルに従って、MAX Efficiency Stbl2コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換した。プラスミドを、QIAprepスピンミニプレップキット(Qiagen)を用いて、その後のコロニーから精製した。
【0256】
(配列)
【0257】
野生型(WT)及び突然変異体PR8 N1又はHK14 N2のアミノ酸配列が下に示されている。これらの配列は、シグナルペプチドを含む。アミノ酸置換は、太字でかつ下線が付されている。アミノ酸挿入は、太字、イタリック体で、かつ下線が付されている。PR8 N1中のC49及びHK14 N2中のC53は、二重下線付きのイタリック体である。
【化9】
【0258】
(細胞)
【0259】
ヒト胎児腎臓293T(HEK 293T)細胞を、10%(vol/vol)胎仔ウシ血清(FBS)及び100ユニット/mLのペニシリン/ストレプトマイシン(PS; Gibco)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM; Gibco)中、37℃、5%CO2で維持した。Madin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞を、10%(vol/vol) FBS、2mMのL-グルタミン(Gibco)、0.15%(w/vol)の炭酸水素ナトリウム(Corning)、20mMの2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸(HEPES、Gibco)、及び100ユニット/mLのPSが補充された最小必須培地(MEM; Gibco)中、37℃、5%CO2で増殖させた。
【0260】
(組換えインフルエンザウイルスのレスキュー)
【0261】
ポリ-Dリジン(Sigma-Aldrich)コーティングされた6-ウェルプレートのHEK 293T細胞の各々のウェルに、TransIT LT1トランスフェクション試薬(Mirus Bio)を用いて、2.1μgのpRS PR8 6セグメント、0.7μgのpDZ HA、及び0.7μgの改変されたpDZ NAをトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37℃でインキュベートした。トランスフェクションから48時間後、剥離した細胞とともに上清を回収し、数回のシリンジストロークによって、短時間ホモジナイズした。200マイクロリットルの細胞及び上清混合物を8日齢の発育鶏卵(Charles River)の尿膜腔に注入した。注入を受けた卵を33℃で3日間インキュベートし、その後、4℃で一晩冷却した。その後、尿膜液を回収し、低速遠心分離によって清澄化した。0.5%七面鳥赤血球を用いてHAアッセイを行い、清澄化された尿膜腔液由来のレスキューされたウイルスの存在を調べた。HA陽性尿膜腔液試料を用いて、MDCK細胞上のウイルスをプラーク精製した。MDCK細胞上で成長したプラークを採取し、PBSに再懸濁させ、さらに、10日齢の発育鶏卵中で再び増幅させた。RNAを、QIAamp Viral RNAミニキット(Qiagen)を用いて、プラーク精製されたウイルスを含む尿膜腔液から抽出した。SuperScript(商標) III One-Step RT-PCRシステムをPlatinum(商標) Taq DNAポリメラーゼ(Thermo Fisher Scientific)及びNA特異的プライマーとともに用いて、One-step RT-PCRを行って、NAセグメントのDNAを増幅させた。DNAをゲル精製し、サンガーシークエンシング(Genewiz)によって配列を決定した。全てのH3N2ウイルスをPR8骨格(HA及びNAを除く6つのセグメントがPR8由来である)でもレスキューした。
【0262】
(インフルエンザウイルスの不活化及び精製)
【0263】
インフルエンザウイルスを、10日齢の発育鶏卵中、37℃で2日間成長させ、その後、4℃で一晩冷却した。尿膜液を回収し、低速遠心分離によって清澄化した。清澄化された尿膜腔液中のウイルスを、揺動させながら、0.03%メタノール非含有ホルムアルデヒドで、4℃で72時間不活化した。その後、ウイルスを、NTEバッファー(100mM NaCl、10mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH 7.4)中の30%スクロースクッションに通して、Beckman SW28ローター(Beckman Coulter, Brea, CA, USA)を用いる、Beckman L7-65超遠心機での25,000rpm、4℃で2時間の遠心分離によりペレット化した。ペレットをPBS(pH 7.4)中で回収し、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を用いて、タンパク質含有量を定量した。
【0264】
(ウェスタンブロット)
【0265】
2×Novex(商標)トリス-グリシンSDS試料バッファー(Thermo Fisher Scientific)と混合することにより、不活化された精製ウイルス調製物を溶解させた。還元条件については、10×NuPAGE(商標)試料還元剤(Thermo Fisher Scientific)を含めた。10μlの総容量中の2マイクログラムの還元又は非還元ウイルス調製物を5分間煮沸して、タンパク質を変性させ、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下の変性条件下、10%又は8%-16%ポリアクリルアミドゲル(Bio-rad Laboratories)上で分離した。Novex(商標) Sharpプレステインドタンパク質標準(3.5~260kDa、Thermo Fisher Scientific)又はColorプレステインドタンパク質標準、広範囲標準(10~250kDa、New England Biolabs社)をタンパク質サイズマーカーとして使用した。その後、分離されたウイルスタンパク質を二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜に転写した。5%(wt/vol)乾燥ミルク粉末を含むPBSを用いて、膜を1時間ブロッキングし、0.01%(vol/vol) Tween 20を含むPBS(PBST)で3回洗浄した。一次抗体は、マウス抗N1モノクローナル抗体4A5(3)(1ml当たり1μg)又はモルモットで作製された抗N2ポリクローナル血清(施設内で作製したもの; 1:2,000希釈)であった。一次抗体を、1%(wt/vol)ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSに希釈し、膜上で、4℃で一晩インキュベートした。膜をPBSTで3回洗浄し、製造元の推奨に従って、1%(wt/vol) BSAを含むPBSに1:3,000希釈した二次西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗体(抗マウス[GE Healthcare]又は抗モルモット[Thermofisher Fisher])とともに1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、発色溶液(Pierce ECLウェスタンブロッティング基質; Thermo Fisher Scientific)を膜に添加し、その後、これをChemiDoc MPイメージングシステム(Bio-Rad Laboratories)で発色させた。
【0266】
(NA-fluorインフルエンザノイラミニダーゼアッセイ)
【0267】
様々な突然変異体ウイルスの潜在的なノイラミニダーゼ活性を測定するために、蛍光に基づくNA活性アッセイを行った。ウイルスを2ng/μlまでPBSに希釈して、25μl PBS中に5ngを得た。25マイクロリットルのアッセイバッファー(33.3mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)及び4mM CaCl2、pH 6.5)を黒色96-ウェルプレートの各々のウェルに添加した。25μlのPBS中の5ナノグラムのウイルスを各々のウェルに3連で添加した。2'-(4-メチルウンベリフェリル)-α-D-N-アセチルノイラミン酸(MUNANA)(Sigma-Aldrich)基質をアッセイバッファー中に200uMの濃度で調製した。50マイクロリットルの基質を各々のウェルに添加し、暗所37℃で1時間インキュベートした。100μlの停止溶液(20%エタノール中0.1グリシン、pH 10.7)を添加することにより、反応を停止させた。プレートを励起波長365nm及び放出波長465nmで読み取って、Synergy Hybrid Reader(BioTek)を用いて、蛍光シグナルを測定した。
【0268】
(6.2.2 結果)
(ストーク領域へのさらなるシステインのN1ノイラミニダーゼの導入)
【0269】
ストーク領域中の天然のシステインは、インフルエンザウイルスNAタンパク質の二量体及び四量体形成並びにそれらの酵素活性に寄与することが以前に記載された(4,5)。IIVの製造プロセスは、場合により、厳しい物理的及び化学的処理を伴い(6)、これは、NAの構造に潜在的に有害である可能性がある。NA四量体をさらに安定化するために、さらなるシステイン(ジスルフィド結合)をアミノ酸置換又は挿入によってストーク領域に導入したが、それは、そのような手法が、NAを哺乳動物で過剰発現させたとき、NAの四量体形成に役立つことが示されたからである(5)。原理証明試験として、PR8 N1における突然変異誘発を最初に行った。これには、I48C、N50C、及びI48C_N50Cアミノ酸置換、並びに本発明者らのトランスポゾン突然変異誘発試験(未発表データ)に基づくW61及びV62の後ろへのシステインの挿入が含まれた。組換えPR8システイン突然変異体ウイルスをレスキューし、発育鶏卵中で増幅させた。0.03%ホルムアルデヒドを用いて、ウイルスを不活化し、30%スクロースクッションに通して精製した。ウイルス調製物中のNA含有量を可視化するために、2μgの各々のウイルスを非還元(NR)又は還元(R)条件下のSDS-PAGEで分離した。N1特異的マウスモノクローナル抗体4A5(3)を用いて、ウェスタンブロットを行った(
図6A)。突然変異体I48C、N50C、及びI48C_N50Cウイルスは、非還元条件下、タンパク質のサイズに従って、より多くの三量体及び四量体形態のNAを示した。突然変異体W61insertC及びV62insertCウイルスは、その大部分が二量体であるWTウイルスと同様のオリゴマー化パターンを示した。三量体形態のNAをさらに避けるために、I48CをW61insertCと組み合わせて、I48C_W61insertC突然変異体を作製した。I48C_W61insertC突然変異体は、より安定なNA四量体を有していたが、NA三量体はより少なかったように思われる(
図6B)。
【0270】
(N2ノイラミニダーゼのストーク領域へのさらなるシステインの導入)
【0271】
別のインフルエンザウイルス亜型に対して及びPR8よりも臨床的に意義のある株に対して同じ手法を適用するために、PR8 N1とHK14 N2タンパク質とのアミノ酸配列アラインメントを行った(
図7)。HK14 N2は、PR8 N1のI49Cに対応する天然のシステイン(C53)も有する。同様の突然変異誘発を行って、N1 I48C及びI48C_N50Cと同等であるN2突然変異体を作製した。これらの突然変異体をアミノ酸配列アラインメントによってL52C及びL52C_E54Cと定義した(
図7)。
【0272】
WT及び突然変異体H3N2ウイルスをPR8骨格(HA及びNAを除く6つのセグメントがPR8由来である)でレスキューした。これらのウイルスを不活化し、PR8について記載されている同じ手法を用いて精製した。この場合も、ウイルス調製物を非還元(NR)及び還元(R)SDS-PAGEで分離し、その後、HK14 N2組換えタンパク質に対して作製されたモルモット抗血清を用いて、ウェスタンブロットを行い、NA含有量を検出した(
図8A)。L52CとL52C_E54Cはどちらも、WTウイルスよりも多くの四量体含有量を示した。
【0273】
H3N2突然変異体ウイルスの潜在的なNA活性を測定するために、蛍光に基づくNA活性アッセイを使用した。使用されるプレートリーダーは蛍光シグナルの飽和限度を有するので、ウイルスを2ng/μlまでPBSに希釈し、NA活性について試験される5ngのウイルスが得られた。L52C_E54C突然変異体ではなく、L52C突然変異体は、WTウイルスよりも高い蛍光シグナルを示した(
図8B)。しかしながら、これは、必ずしもNA四量体破壊の条件ではない、ホルムアルデヒド不活化及び30%スクロースによる精製という状況でのみ見られることである。ウイルス調製物は、最終IIV産物において最大の酵素活性を有するH1N1及びH3N2システイン突然変異体を同定する工業用製造手順にできるだけ近い形で処理されることになる。
【0274】
(6.2.3 考察)
ホルムアルデヒド不活化精製ウイルス調製物においてN1とN2の両方の四量体形態を安定化したNAストーク領域における突然変異が同定された。これらの突然変異体としては、N1 I48C、N1 N50C、N1 I48C_N50C、及びN1 I48C_W61insertC; N2 L52C及びN2 L52_E54Cが挙げられる。H3N2 L52C NA突然変異体は、蛍光に基づくNA活性アッセイでより高いNA活性を示すように思われる。
(6.2.4 実施例2で引用された参考文献)
【表3】
【0275】
(6.3 実施例3:組換えノイラミニダーゼに基づくコンストラクト)
本実施例は、インフルエンザウイルス投与に対して防御的であるマウスモデルで免疫応答を誘導するインフルエンザウイルスNAの球状ヘッドドメインと麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインとを含む組換えNAタンパク質の能力を示している。
【0276】
(組換えNAタンパク質)
N1-MPPは、実施例1に記載されている。インフルエンザウイルスA/カンザス/14/2017の球状ヘッドドメインとMPP四量体化ドメインとを含む組換えN2-MPPタンパク質を、改変されたpFastBacDual発現ベクターを用いて発現させた。同様に、インフルエンザウイルスB/コロラド/06/2017の球状ヘッドドメインとMPP四量体化ドメインとを含む組換えB-MPPタンパク質を、pFastBacDual発現ベクターを用いて発現させた。組換えN2-MPP及びB-MPPタンパク質のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、下に提供されている。N1-MPPのアミノ酸配列は、配列番号27に提供されている。
【表4】
【0277】
(マウスワクチン接種及び投与試験)
組換えノイラミニダーゼタンパク質の防御効力を6~8週齢の雌BALB/cマウス又はDBA2マウス(群当たりn=5)で試験した。BALB/cマウスをH1N1及びB型インフルエンザウイルス実験に使用し、DBA2マウスをH3N2実験に使用した。マウスの筋肉に、3μgの指定された組換えNAタンパク質(50μl PBS中)をワクチン接種した。AddaVax(InvivoGen)がアジュバント添加された組換えNAタンパク質をワクチン接種したマウスについては、1:1の比の組換えNAタンパク質とAddaVaxを使用した。無関係なタンパク質を陰性対照として群の1つに投与し、陽性対照を使用するときはいつでも、VASP四量体化ドメインと指定された組換えNAタンパク質と一致するNAの球状ヘッドとを含むNAタンパク質を陽性対照として含めた。マウスに3週間の間隔で2回ワクチン接種した。2回目のワクチン接種から3又は4週間後、マウスに、表示された用量の指定されたウイルスを投与した。生存及び体重減少を数日にわたってモニタリングした。その初期体重の25%超を失ったマウスを人道的に安楽死させた。
【0278】
(SDS-PAGE)
SDS-PAGEは、通常、実施例1に記載されている通りに行った。
【0279】
(ELISA)
ELISAは、通常、指定された組換えタンパク質を用いて、実施例1に記載されている通りに行った。
【0280】
(NA-Starアッセイ)
NA-Starアッセイは、通常、実施例1に記載されている通りに行った。
【0281】
(NA阻害アッセイ)
NIアッセイについては、マイクロタイター96-ウェルプレート(Immulon 4 HBX; Thermo Fisher Scientific)を、NAアッセイに利用される方法と同様の方法を用いてコーティングした。翌日、RDE処理したヒト血清試料を、1:10の出発濃度で、別々の96-ウェルプレート中で1:2に連続希釈した。全ウェル中の希釈した血清試料の最終容量は、75μlであった。ウイルスストックを所定のEC90濃度までPBSに希釈した。ウイルス(75μl/ウェル)を血清プレートに添加した後、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。フェチュインコーティングされたプレートをブロッキングし、その後、NAアッセイに使用された条件と同様の条件下で洗浄した。100μl容量のウイルス/血清混合物を洗浄されたフェチュインコーティングされたプレートに移し、その後、これを37℃で2時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで4回洗浄し、5μg/mlまでPBS(100μl/ウェル)に希釈したPNA-HRP(Sigma)を添加した。残りのNIアッセイ工程については、NAアッセイプロトコルに従った。バックグラウンド吸光度値をヒト血清試料の未加工の吸光度値から引くことにより、ヒト血清試料反応性を決定した。得られた値をウイルスのみの対照ウェルから得た平均値で除し、その後、倍数100を乗じて、NA活性を計算した。NA活性を100%から引くことにより、パーセントNIを決定した。GraphPad Prism 7を用いて、パーセントNIを非線形回帰にフィッティングして、血清試料の50%阻害濃度(IC50)を決定した。ウェブサイトmbio.asm.org/content/8/2/e02281-16.longを参照されたい。
【0282】
図11Aは、第1群~第6群について
図10及び
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えN1-VASPに対する結合を測定するELISAの結果を示している。組換えN1-MPPタンパク質は、アジュバントなし、アジュバントあり、又はQIVのいずれかで、ただし、異なる脚に投与された場合に、NAに対する良好な免疫応答を誘導した。QIVで同じ脚に投与された場合、抗NA免疫応答は抑制されるように思われる。QIV中のH1に対する応答に関しては当てはまらない。
図11Bは、第1群~第6群について
図10及び
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えH1に対する結合を測定するELISAの結果を示している。N1-MPPをワクチン接種されたマウス由来の血清は、組換えH1に結合しなかった。
図11Cは、第1群~第6群について
図10及び
図10の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清が、一致したN1 NAを含むH7N1再集合体ウイルスのノイラミニダーゼ機能を阻害する能力を評価したことを示している。組換えN1-MPPは、ノイラミニダーゼ活性を阻害することができる抗体を誘発する。
【0283】
図12A及び
図12Bは、それぞれ、N1-MPPで免疫を付与された全てのマウスが、25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)の投与後、体重減少から防御され、生存が増加したことを示している。
【0284】
図13A及び
図13Bは、それぞれ、N1-MPPで免疫を付与された全てのマウスが、400×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)の投与後、重度の体重減少から防御され、生存が増加したことを示している。
【0285】
図14Aは、組換えB-MPPに対する広い反応性の抗B型インフルエンザウイルスNAモノクローナル抗体の反応性を示している。
図14Bは、組換えN2-MPPに対する広い反応性の抗A型インフルエンザウイルスN2 NAモノクローナル抗体の反応性を示している。
図14Cは、NA-starアッセイにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)のNA活性を示している。組換えNAタンパク質のNA活性は、タンパク質が正確にフォールディングしていることを示す。
図14Dは、還元SDS-PAGEにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)を示している。
図14Eは、四量体形成を示す架橋SDS-PAGEにおける組換えN1-MPP(配列番号27)、組換えN2-MPP(配列番号60)、及び組換えB-MPP(配列番号62)を示している。
【0286】
図16A及び
図16Bは、それぞれ、N1-MPPで免疫を付与された全てのマウスが、25×LD
50のA/シンガポール/GP1908/2015 IVR-180(H1N1)の投与後、体重減少から防御され、生存が増加したことを示している。
【0287】
図16Cは、第1群~第3群について
図15及び
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えN1-VASP(インフルエンザウイルスA/ミシガン/45/15 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。N1-MPPをワクチン接種されたマウス由来の血清は、N1-VASPに結合することができる。
【0288】
図16Dは、機能的ノイラミニダーゼ阻害アッセイの結果を示している。
図15及び
図15の説明文に記載されているようにN1-MPPをワクチン接種されたマウス由来の血清が一致したN1 NAを含むH7N1再集合体ウイルスのノイラミニダーゼ機能を阻害する能力を評価した。
【0289】
図17A及び
図17Bは、それぞれ、N2-MPPで免疫を付与された全てのマウスが、25×LD
50のA/スイス/9715293/2013(H3N2、マウスに適応したもの)の投与後、体重減少から防御され、生存の増加を示すことを示している。
【0290】
図17Cは、第1群~第3群について
図15及び
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えN2-VASP(インフルエンザウイルスA/カンザス/14/2017 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。
【0291】
図18A及び
図18Bは、それぞれ、B-MPPで免疫を付与された全てのマウスが、25×LD
50のB/ニューヨーク/PV01181/2018の投与後、体重減少から防御され、生存の増加を示すことを示している。
【0292】
図18Cは、第1群~第3群について
図15の説明文に提供されているプロトコルに従って免疫を付与されたマウス由来の血清の組換えB-VASP(インフルエンザウイルスB/コロラド/06/2017 NAの球状ヘッドドメインとヒトVASP四量体化ドメインとを含む)に対する結合を測定したELISAの結果を示している。
【0293】
本実施例に記載されている結果は、組換えN1-MPPタンパク質、組換えN2-MPP、及び組換えB-MPPが立体構造的に正しく、同じ亜型のウイルスの投与に対してマウスモデルで防御的である免疫応答を誘導することを示している。
(7.実施態様)
1.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48及び50における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48及び50に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼ。
2.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基61における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基61に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼ。
3.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む、実施態様2の組換えノイラミニダーゼ。
4.インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインが亜型N1又はN2のものである、実施態様1~3のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
5.インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインが、亜型N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型のものである、実施態様1~3のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
6.組換えノイラミニダーゼがインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む、実施態様1~5のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
7.組換えノイラミニダーゼが四量体化ドメインをさらに含む、実施態様1~5のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
8.四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、実施態様7の組換えノイラミニダーゼ。
9.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインと四量体化ドメインとを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインが、N1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/08/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含む、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えノイラミニダーゼ。
10.四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、実施態様9の組換えノイラミニダーゼ。
11.インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインとパラミクソウイルスタンパク質の四量体化ドメインとを含み、ここで、組換えノイラミニダーゼがインフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを欠く、組換えノイラミニダーゼ。
12.四量体化ドメインがパラミクソウイルスホスホタンパク質の四量体化ドメインである、実施態様11の組換えノイラミニダーゼ。
13.パラミクソウイルスホスホタンパク質が、ニパウイルスホスホタンパク質、ヘンドラウイルスホスホタンパク質、呼吸器合胞体ウイルスホスホタンパク質、ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)ホスホタンパク質、ウシパラインフルエンザウイルスホスホタンパク質、流行性耳下腺炎ウイルスホスホタンパク質、シーダーウイルスホスホタンパク質、ガーナウイルスホスホタンパク質、ニューカッスル病ウイルスホスホタンパク質、イヌジステンパーウイルスホスホタンパク質、又は小反芻獣疫ウイルス(PPRV)ホスホタンパク質である、実施態様12の組換えノイラミニダーゼ。
14.四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインである、実施態様12の組換えノイラミニダーゼ。
15.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインが、N2亜型のアミノ酸残基52における又はインフルエンザウイルスA/香港/4801/2014のアミノ酸残基52に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインがA型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来のものである、組換えノイラミニダーゼ。
16.突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN2亜型のアミノ酸残基54における又はA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該エクトドメインがA型インフルエンザウイルスN2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9亜型由来のものである、組換えノイラミニダーゼ。
17.突然変異したエクトドメインがN2亜型のアミノ酸残基54における又はA/香港/4801/2014のアミノ酸残基54に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換をさらに含む、実施態様15の組換えノイラミニダーゼ。
18.ノイラミニダーゼがインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む、実施態様15~17のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
19.ノイラミニダーゼが四量体化ドメインをさらに含む、実施態様15~17のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
20.四量体化ドメインが麻疹ウイルスホスホタンパク質四量体化ドメイン又はセンダイウイルスホスホタンパク質四量体化ドメインを含む、実施態様19の組換えノイラミニダーゼ。
21.組換えノイラミニダーゼがシグナルペプチドを含む、実施態様1~20のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
22.組換えノイラミニダーゼが、ヒスチジンタグ、Flagタグ、又は他の精製タグをさらに含む、実施態様1~21のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼ。
23.配列番号27、56、58、60、又は62に示されるアミノ酸配列を含む、組換えノイラミニダーゼ。
24.実施態様1~23のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列。
25.配列番号55、57、59、又は61のヌクレオチド配列を含む、核酸配列。
26.実施態様24又は25の核酸配列を含む、発現ベクター。
27.実施態様24又は25の核酸配列を発現することができる宿主細胞。
28.実施態様1~8又は15~20のいずれか1つのノイラミニダーゼを含む、組換えインフルエンザウイルス。
29.ゲノムを含み、ここで、該ゲノムが実施態様1~8又は15~20のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該組換えノイラミニダーゼが組換えインフルエンザウイルスに感染した細胞によって発現される、組換えインフルエンザウイルス。
30.ノイラミニダーゼを含み、ここで、該ノイラミニダーゼが突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えインフルエンザウイルス。
31.ゲノムを含み、ここで、該ゲノムがノイラミニダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該ノイラミニダーゼが感染細胞によって発現され、ここで、該ノイラミニダーゼが突然変異したインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含み、ここで、該突然変異したエクトドメインがN1亜型のアミノ酸残基48における又はインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934のアミノ酸残基48に対応するアミノ酸残基におけるシステインへのアミノ酸置換を含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエクトドメインを含む、組換えインフルエンザウイルス。
32.実施態様9~14のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼを含む、組換えインフルエンザウイルス。
33.ゲノムを含み、ここで、該ゲノムが実施態様9~14のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼをコードする核酸配列を含む遺伝子セグメントを含み、その結果、該組換えノイラミニダーゼが組換えインフルエンザウイルスに感染した細胞によって発現される、組換えインフルエンザウイルス。
34.組換えインフルエンザウイルスが不活化されている、実施態様28、30、又は32の組換えインフルエンザウイルス。
35.組換えインフルエンザウイルスが分割されている、実施態様28、30、又は32の組換えインフルエンザウイルス。
36.組換えインフルエンザウイルスが組換えA型インフルエンザウイルスである、実施態様28~35のいずれか1つの組換えインフルエンザウイルス。
37.組換えインフルエンザウイルスが弱毒化生インフルエンザウイルスである、実施態様28~33のいずれか1つの組換えインフルエンザウイルス。
38.組換えA型インフルエンザウイルスがH1又はH3亜型である、実施態様37の組換えインフルエンザウイルス。
39.実施態様1~23のいずれか1つの組換えノイラミニダーゼを含む、免疫原性組成物。
40.組成物が、三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)、四価不活化インフルエンザウイルスワクチン(QIV)、又は組換えインフルエンザウイルスワクチンをさらに含む、実施態様39の免疫原性組成物。
41.実施態様28~38のいずれか1つの組換えインフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物。
42.組成物がアジュバントをさらに含む、実施態様39~41のいずれか1つの免疫原性組成物
43.インフルエンザウイルスに対する免疫を付与する方法であって、対象に、ある用量の実施態様39~42のいずれか1つの免疫原性組成物を投与することを含む、方法。
44.インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、ある用量の実施態様39~42のいずれか1つの免疫原性組成物を投与することを含む、方法。
45.インフルエンザウイルス疾患を予防する方法であって、対象に、ある用量の実施態様39~42のいずれか1つの免疫原性組成物を投与することを含む、方法。
46.対象がさらなる用量の免疫原性組成物を追加免疫として投与される、実施態様43~45のいずれか1つの方法。
47.対象がヒトである、実施態様43~46のいずれか1つの方法。
48.免疫原性組成物が対象に筋肉内投与される、実施態様43~47のいずれか1つの方法。
【0294】
上述のものは、本明細書に記載される具体的な実施態様によって範囲が限定されるべきない。実際、本明細書に記載されているものに加え、本明細書に提供される抗体及び方法並びにこれらの等価物の様々な改変が、上述の説明及び添付された図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような改変は、付随する特許請求の範囲の範囲内のものであることが意図される。
【0295】
本明細書で引用されている全ての参考文献は、各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願があらゆる目的のために引用により完全に組み込まれることが具体的にかつ個別に示されている場合と同じ程度まで、完全にかつあらゆる目的のために引用により本明細書中に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】