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特表2022-553373不動産ソリューションを予測するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】不動産ソリューションを予測するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523850
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 US2020056672
(87)【国際公開番号】W WO2021081100
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,846
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.JAVA
3.FIREWIRE
4.AWS
(71)【出願人】
【識別番号】522162233
【氏名又は名称】シービーアールイー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オムーア,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】フー,ルーキ
(72)【発明者】
【氏名】ブロン,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】チャンラーベラット,デレック
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
不動産ソリューションの予想のために過去の事業データと事業目的とを解析するコンピュータ実装システム及び方法を提供する。方法は、サーバコンピューティングデバイスが事業体に関連するユーザデータセットを受信するステップを含む。サーバは、過去の人員に基づいて、将来の異なる時点の予測された人員の集合を決定し、予測された人員と商業目的データセットとに基づいて、事業体に関連する複数の想定例を策定し、それぞれの想定例に対応するそれぞれの不動産ソリューションを含むオプションツリーを構築してもよい。ニューラルネットワークシステムは、それぞれの想定例に対するストレステストを実行して、それぞれの不動産ソリューションを評価してそれぞれの不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定するように構成されてもよい。コンピューティングデバイスは、最小化されたコストと、コストを最小にするために事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューションを決定してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
将来の不動産ソリューションを最適化するコンピュータ実装方法であって、
プロセッサと、コンピュータ実行可能指示を記憶する不揮発メモリとを備えるサーバコンピューティングデバイスが、ユーザコンピューティングデバイスからネットワークを介して事業体に関連するユーザデータセットを受信するステップであって、前記ユーザデータセットは前記事業体に関連する過去の人員と、事業目的データセットとを備える、ステップと、
前記事業体に関連する前記過去の人員に基づいて、将来の期間の異なる時点の予測された人員の集合を決定するステップと、
予測された人員の前記集合と前記事業目的データセットとに基づいて、前記事業体に関連する複数の想定例を策定するステップと、
それぞれの想定例に対応するそれぞれの個別の不動産ソリューションを含む個別のオプションツリーを構築するステップと、
ニューラルネットワークシステムを通じて、前記予測された人員にそれぞれ対応する前記複数の想定例に対して複数のストレステストを実行して、それぞれの個別の不動産ソリューションを評価してそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定するステップと、
それぞれの個別の不動産ソリューションに関連する前記決定されたそれぞれのコスト及び行動に基づいて、最小化されたコストと、前記コストを最小にするために前記事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューションを特定するステップと、
前記事業体の最適な不動産ソリューションを特定する視覚表現を前記ユーザコンピューティングデバイスのディスプレイに表示させるための情報を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
フレキシブルなオフィス空間のソリューションを用いる価値を生成するステップと、
従来のリースオプションと前記フレキシブルなオフィス空間のソリューションとを組み合せたオプションを前記事業体に提供するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークシステムは第1のネットワークと第2のネットワークとを備え、前記第1のネットワークと前記第2のネットワークとは収束するまで交互に訓練される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ニューラルネットワークシステムは順伝播型ニューラルネットワークである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
オプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって前記不動産ソリューションの将来のコストを予想するように前記第1のネットワークを繰り返し訓練するステップと、
前記第1のネットワークによって予想された前記コストに対して最良のコスト最小化ソリューションを選択するように前記第2のネットワークを訓練するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記オプティマイザは、訓練データに基づいてネットワークの重みを繰り返し更新するように構成されるアダプティブ・モーメント・エスティメーション(ADAM)最適化アルゴリズムである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のネットワークと前記第1のネットワークとは選択の時点の前記事業体に関連する価値の集合を用いて訓練される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記価値の前記集合は規模、残り期間、前記事業体の商品の種類を含み、前記選択の前記時点は前記事業体に関連する通告日、空間の縮小の効力発生日、賃貸借契約の満了日、及び賃貸借契約満了の効力発生日を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
予測された人員の各々は人員値の範囲によって表わされ、前記複数の想定例の各々は空間類型と、前記事業体に関連するそれぞれの資本コストとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記事業に関連する前記事業目的データセットは前記事業体に必要な賃貸空間、賃貸期間及び賃貸構成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ実行可能指示を記憶する不揮発メモリと、
前記メモリに接続され、前記指示を実行するときに、
事業体に関連する過去の人員と、事業目的データセットとを備える、前記事業体に関連するユーザデータセットをユーザコンピューティングデバイスからネットワークを介して受信し、
前記事業体に関連する前記過去の人員に基づいて、将来の期間の異なる時点の予測された人員の集合を決定し、
予測された人員の前記集合と前記事業目的データセットとに基づいて、前記事業体に関連する複数の想定例を策定し、
それぞれの想定例に対応するそれぞれの個別の不動産ソリューションを含む個別のオプションツリーを構築し、
ニューラルネットワークシステムを通じて、前記予測された人員にそれぞれ対応する前記複数の想定例に対して複数のストレステストを実行して、それぞれの個別の不動産ソリューションを評価してそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定し、
それぞれの個別の不動産ソリューションに関連する前記決定されたそれぞれのコスト及び行動に基づいて、最小化されたコストと、前記コストを最小にするために前記事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューションを特定し、
最適な不動産ソリューションを特定する視覚表現を前記ユーザコンピューティングデバイスのディスプレイに表示させる情報を提供する
ように構成されるプロセッサと
を備える、コンピューティングシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、
フレキシブルなオフィス空間のソリューションを用いる価値を生成し、
従来のリースオプションと前記フレキシブルなオフィス空間のソリューションとを組み合せたオプションを前記事業体に提供する
ようにさらに構成される、請求項11に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記ニューラルネットワークシステムは第1のネットワークと第2のネットワークとを備え、前記第1のネットワークと前記第2のネットワークとは収束するまで交互に訓練される、請求項11に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記ニューラルネットワークシステムは順伝播型ニューラルネットワークである、請求項13に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
オプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって前記不動産ソリューションの将来のコストを予想するように前記第1のネットワークを繰り返し訓練し、
前記第1のネットワークによって生成された前記コストに対して最良のコスト最小化ソリューションを選択するように前記第2のネットワークを訓練する
ようにさらに構成される、請求項13に記載のコンピューティングシステム。
【請求項16】
前記オプティマイザは、ネットワークの重みを繰り返し更新するように構成されるアダプティブ・モーメント・エスティメーション(ADAM)最適化アルゴリズムである、請求項15に記載のコンピューティングシステム。
【請求項17】
前記第2のネットワークと前記第1のネットワークとは選択の時点の前記事業体に関連する価値の集合を用いて訓練される、請求項15に記載のコンピューティングシステム。
【請求項18】
前記価値の前記集合は規模、残り期間、前記事業体の商品の種類を含み、前記選択の前記時点は前記事業体に関連する通告日、空間の縮小の効力発生日、賃貸借契約の満了日、及び賃貸借契約満了の効力発生日を含む、請求項17に記載のコンピューティングシステム。
【請求項19】
予測された人員の各々は人員値の範囲によって表わされ、前記複数の想定例の各々は空間類型と、前記事業体に関連するそれぞれの資本コストとを含む、請求項11に記載のコンピューティングシステム。
【請求項20】
前記事業に関連する前記事業目的データセットは前記事業体に必要な賃貸空間、賃貸期間及び賃貸構成を含む、請求項11に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年10月23日に出願され、名称が「System and Method for Predicting Business Solutions」である米国仮特許出願第62/924,846号の利益を主張する。本仮出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は不動産ソリューションの予測に関し、特に、不動産ソリューションの予想及び最適化に対して、事業データを解析する将来にわたって有効な方式を適用するものに関する。
【背景技術】
【0003】
事業においてそれぞれの事業の不動産を評価する場合、各事業に影響を及ぼす最大のコストはその事業の不動産の空間占有の規模に関係するといえる。事業には事業及び不動産の目的に見合った適正な空間が必要であるといえる。一般的に、予測時には事業が時間とともに発展していく様子を予見することができないので、事業に将来必要な不動産空間を予測することは困難である。事業は、その事業空間の従業員の数量及び質並びにその事業の業界に影響を及ぼし得る市場原理の変数の影響を受けるといえる。
【0004】
既存の方式では、事業においてその事業の将来の空間需要について事業から情報を得てリースオプションを設ける不動産の専門家に依存することが多く、これでは不正確な推定に至るおそれが高い。将来における事業の商業的要件及び商業的必要性を理解して、長期的に不動産が事業に必要になることに備えて最適な不動産ソリューションを準備するために様々な変数を検討する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態に係れば、不動産ソリューションの予想及び最適化を行なうコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、プロセッサと、コンピュータ実行可能指示を記憶する不揮発メモリとを備えるサーバコンピューティングデバイスが、ユーザコンピューティングデバイスからネットワークを介して事業体に関連するユーザデータセットを受信するステップであって、ユーザデータセットは事業体に関連する過去の人員と、事業目的のデータセットとを備える、ステップを含む。本方法は、事業体に関連する過去の人員に基づいて、将来の期間の異なる時点の予測された人員の集合を決定するステップと、予測された人員の集合と事業目的データセットとに基づいて、事業体に関連する複数の想定例を策定するステップも含む。本方法は、サーバコンピューティングデバイスが、それぞれの想定例に対応するそれぞれの個別の不動産ソリューションを含む個別のオプションツリー(option tree)を構築するステップと、サーバコンピューティングデバイスがニューラルネットワークシステムを通じて、予測された人員に対する複数の想定例に対して複数のストレステストを実行して、それぞれの個別の不動産ソリューションを評価してそれぞれのコスト及び行動を含むそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定するステップとをさらに含む。本方法は、サーバコンピューティングデバイスが、決定されたそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動に基づいて、最小化されたコストと、コストを最小にするために事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューションを特定するステップと、サーバコンピューティングデバイスが、事業体の最適な不動産ソリューションを特定する視覚表現をユーザコンピューティングデバイスのディスプレイに表示させるための情報を提供するステップとをまたさらに含む。
【0007】
本開示の態様に係れば、本方法は、フレキシブルなオフィス空間のソリューションを用いる価値を生成するステップと、従来のリースオプションとフレキシブルなオフィス空間のソリューションとを組み合せたオプションを事業体に提供するステップとを含む。
【0008】
本開示のさらに別の態様に係れば、ニューラルネットワークシステムは第1のネットワークと第2のネットワークとを備え、第1のネットワークと第2のネットワークとは収束するまで交互に訓練される。
【0009】
本開示のまたさらに別の態様に係れば、本方法は、オプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって不動産ソリューションの将来のコストを予想するように第1のネットワークを繰り返し訓練するステップと、第1のネットワークによって生成されたコストに対して最良のコスト最小化ソリューションを選択するように第2のネットワークを訓練するステップとを含む。
【0010】
本開示の態様に係れば、事業に関連する事業目的データセットは事業に必要な賃貸空間、賃貸期間及び賃貸構成を含む。
【0011】
さらに、いくつかの実施形態に係れば、不動産ソリューションの予想及び最適化を行なうコンピューティングシステムが提供され、コンピューティングシステムは、コンピュータ実行可能指示を記憶する不揮発メモリと、メモリに接続されるプロセッサとを備える。プロセッサは、指示を実行するときに、事業体に関連する過去の人員と、事業目的データセットとを備える、事業体に関連するユーザデータセットをユーザコンピューティングシステムからネットワークを介して受信し、事業体に関連する過去の人員に基づいて、将来の期間の異なる時点の予測された人員の集合を決定するように構成される。プロセッサは、指示を実行するときに、予測された人員の集合と事業目的データセットとに基づいて、事業体に関連する複数の想定例を策定し、それぞれの想定例に対応するそれぞれの個別の不動産ソリューションを含む個別のオプションツリーを構築するようにさらに構成される。プロセッサは、指示を実行するときに、ニューラルネットワークシステムを通じて、予測された人員に対する複数の想定例に対して複数のストレステストを実行して、それぞれの個別の不動産ソリューションを評価してそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定し、決定されたそれぞれの個別の不動産ソリューションに基づいて、最小化されたコストと、コストを最小にするために事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューションを特定し、事業体の最適な不動産ソリューションを特定する視覚表現をユーザコンピューティングデバイスのディスプレイに表示させるための情報を提供するようにまたさらに構成される。
【0012】
本開示の態様に係れば、プロセッサは、指示を実行するときに、フレキシブルなオフィス空間のソリューションを用いる価値を生成し、従来のリースオプションとフレキシブルなオフィス空間のソリューションとを組み合せたオプションを事業体に提供するようにさらに構成される。
【0013】
本開示のさらに別の態様に係れば、ニューラルネットワークシステムは第1のネットワークと第2のネットワークとを備え、第1のネットワークと第2のネットワークとは収束するまで交互に訓練される。
【0014】
本開示のまたさらに別の態様に係れば、プロセッサは、指示を実行するときに、オプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって不動産ソリューションの将来のコストを予想するように第1のネットワークを繰り返し訓練し、第1のネットワークによって生成されたコストに対して最良のコスト最小化ソリューションを選択するように第2のネットワークを訓練するようにさらに構成される。
【0015】
本開示の態様に係れば、事業に関連する事業目的データセットは事業に必要な賃貸空間、賃貸期間及び賃貸構成を含む。
【0016】
以下の説明で示されたり図面に図示されたりしている構成の詳細及び配置に本開示を適用する際に本開示が限定されないことが分かる。本開示については説明されている実施形態以外の実施形態が可能であり、本開示を様々な仕方で実施し実現することができる。また、本明細書で用いられ、要約書でも用いられている語法及び用語は説明のためのものであり、当然限定とはみなされないことが分かる。
【0017】
上記の概要の説明と以下の詳細な説明は説明上のものであり、主張されている保護対象を限定するものではないことが分かる。
【0018】
添付の図面は本明細書に組み込まれているものであり、本明細書の一部を構成し、説明とともに様々な実施形態の原理を示し説明するのに用いられる。さらに、作用及び効果を特に示す図が例示のためだけに設けられていることが当然分かる。開示されている方法及びシステムの各々は、これを、示されている方法以外の方法で利用され得るように十分に高い自由度を持ち、変形容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る不動産ソリューションの予想を実現するコンピューティングシステム例100を示す。
【0020】
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る不動産ソリューションを実現する概念システム図の例である。
【0021】
図3A】本開示のいくつかの実施形態に係る、事業体に関連する人員需要を予測するように構成されているプロセス例を示すフローチャート図である。
【0022】
図3B】本開示のいくつかの実施形態に係る、将来の異なる時点の予測された人員を視覚化したスクリーンショットの一例である。
【0023】
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る、事業体に関連する予測された人員需要に基づいて策定された想定例を視覚化したスクリーンショットの一例を示す。
【0024】
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る、実際に適用される不動産ソリューションを最適化するように構成されているプロセス例を示すフローチャート図である。
【0025】
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る、策定された想定例に対してストレステストを実行した結果のスクリーンショットの一例を示す。
【0026】
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る、不動産ソリューションの想定例の比較の結果のスクリーンショットの一例を示す。
【0027】
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る、従来の賃貸とハイブリッドコワーキングソリューションとの比較の結果のスクリーンショットの一例を示す。
【0028】
図9】本開示のいくつかの実施形態に係る、不動産ソリューションの例の結果のスクリーンショットの一例を示す。
【0029】
図10】本開示のいくつかの実施形態に係る、従来の転貸とコワーキング譲渡との比較についての不動産ソリューションのスクリーンショットの一例を示す。
【0030】
図11】本開示のいくつかの実施形態に係るコンピューティングデバイス例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の実施形態では、不動産ソリューションの予想及び最適化のために過去の事業データ及び事業目的を処理するのにニューラルネットワークを用いる将来にわたって有効なシステム及び方法を説明する。本明細書で説明されている実施形態は、事業及び経済の激動の渦の中で途切れることなく転換する能力を維持しつつ、事業の不動産をその事業目的にそぐわせることができる将来にわたって有効な不動産ソリューションに対するアジャイル戦略を構築するシステム及び方法を対象とする。
【0032】
本出願で提供されている実施形態を用いて、過去の事業不動産データを解析して、将来の様々な期間内の将来の不動産ソリューションを予測する将来にわたって有効な解析ツールを提供するコンピューティングシステム及び方法を説明する。さらに、本システム及び方法では、長期的に不動産が事業に必要になるのに応じて最適なソリューションを決定する点において事業を支援するのにディープラーニング技術を利用してもよい。たとえば、所定期間の事業の不動産支出を最小にし、事業の過去の発展実態、事業目的、市場動向などに基づいて事業毎に個別化して推奨情報を提供するのに適する不動産空間の規模と、賃貸オプションの組合せとを予測するのを補助するように、本システムを作成してもよい。
【0033】
本開示の実施形態では、事業体に関連する事業データを解析する様々な機械学習モデルを有するディープラーニングニューラルネットワークシステムを含むコンピューティングシステムを説明する。本システムは、事業又はその業界及びボラティリティの履歴に基づいて人員需要を予測する動作と、予測された人員に基づいて不動産及び占有の想定例を想定する動作と、人員予測の範囲に対する不動産及び占有の想定例に対してストレステストを実行する動作と、最適な不動産ソリューションを決定する動作とを含む様々な動作を実行するように実施されてもよい。この革新的なプロセスに加えて、システムは事業に対するその事業の不動産賃貸オプションの視覚的な報告を行ない、従来のリースオプションとフレキシブルな賃貸オプションとを組み合せたオプションを提供する革新的な特徴を含んでもよい。
【0034】
本明細書で説明されている実施形態では、将来の人員需要を予測するコンピュータを中心に生じる課題とインターネットを中心に生じる課題とを克服し、さらに、最適な不動産ソリューションを事業体に提供する。さらに、本明細書で説明されている実施形態では、事業不動産情報解析とディープラーニングニューラルネットワークシステムとを組み合せることによって個々の事業体の不動産ソリューションを予想するために技術に基づく改善を行なうことができる。ディープラーニングニューラルネットワークシステムについては、事業体の事業データを処理して不動産ソリューションを最適化する、1つ以上のコンピューティングデバイス上の1つ以上のコンピュータプログラムや複数のアプリケーションソフトウェアとして実施してもよい。本明細書で説明されている実施形態で示されているような本開示の改善により、事業の将来の需要とその様々な構成要素とを深く理解して定量化することによって不動産空間の適正な規模を提供するものと、賃貸借期間のずらし調整(lease staggering)、賃貸の選択性(lease optionality)、コワーキング、及び/又はフレキシブルワークスペースプログラムの適正な組合せを提供して、事業体に必要な俊敏性を創出するものと、事業体に設けられるフレキシブル性の利益とコスト増加との均衡を図るものと、事業体の占有期間であるライフサイクルの間のコストを最小にして、高成長想定例及び縮小想定例に関連するリスクを抑えるものとを含む最適な財務的ソリューションを各事業体に提供する自動処理システムを形成することができる。
【0035】
図1はいくつかの実施形態に係る不動産ソリューションを提供するコンピューティングシステム例100を示す。図示されているように、システム100はアプリケーションサーバ120(たとえばサーバコンピューティングデバイス)と複数のユーザ/クライアントデバイス130(たとえばユーザ/クライアントコンピューティングデバイス)とを含んでもよい。アプリケーションサーバ120はネットワーク110を介してクラウドベースの環境内やクラウドホスティング型の環境内にある複数のクライアントデバイス130と通信してもよい。アプリケーションサーバ120はプロセッサ121と、メモリ122と、ネットワーク110を用いて通信を可能にする通信インタフェイスとを含んでもよい。
【0036】
アプリケーションサーバ120は、メモリ122に記憶され、プロセッサ121によって実行され、1つ以上のオンラインサービスを提供し、また、特定のサービスを含み、ユーザが訪れるウェブサイトを提供する1つ以上のオンラインアプリケーション123を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アプリケーションサーバ120は予測モデル124、想定例生成部125、ニューラルネットワークシステム126、ユーザデータベース127、インタフェイス129などを含んでもよい。ディープニューラルネットワークシステム126は将来の不動産ソリューションを予測するために事業ユーザデータセットを処理するように構成されてもよい。ディープニューラルネットワークシステム126はアプリケーション123の構成要素の1つであってもよい。アプリケーション123は不動産ソリューションの提供者によって提供されるオンラインソフトサービスを提供するウェブアプリケーションを含んでもよい。オンラインソフトサービスはブラウザアプリケーション133を介してクライアントデバイス130によってアクセスされてもよい。さらに、メモリ122はアプリケーション123と、ニューラルネットワークシステム126と、コンピュータ実行可能指示をベースとして実施され、アプリケーションサーバ120によって実行されるその他プログラムモジュールとを記憶してもよい。
【0037】
クライアントデバイス130はプロセッサ131、メモリ132、ブラウザアプリケーション133及びユーザインタフェイス134を含んでもよい。ブラウザアプリケーション133はアプリケーションサーバ120とのユーザインタラクションを容易にすることができ、ネットワーク110を介して、アプリケーションサーバ120に情報を送信し、アプリケーションサーバ120から情報を受信するように構成されてもよい。ユーザインタフェイス134はネットワーク110を介してデータを受信するように構成されてもよい。クライアントデバイス130はユーザインタフェイスを提示して、ユーザインタフェイスに対する入力を受け付けるように構成されるいかなるデバイスであってもよい。たとえば、クライアントデバイス130はスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や、ブラウザアプリケーション133が設けられた任意のコンピューティングシステムであってもよく、これは、アプリケーションサーバ120で動作するオンラインアプリケーションプロダクトとユーザとがネットワーク110を用いてやり取りすることを可能にするのに便利なインタフェイスを提供するのに用いられてもよい。ネットワーク110はインターネット及び/又はその他公衆ネットワーク又はプライベートネットワーク又はこれらの組合せであってもよい。
【0038】
アプリケーションサーバ120は説明を容易にするために1つのデバイスとして示されているが、アプリケーションサーバ120が異なる実現例では異なる形態で実施されてもよいことを当業者であれば理解する。一例では、アプリケーションサーバ120はネットワーク110を通じて互いに通信する複数のサーバを含んでもよい。これの代わりに、アプリケーションサーバ120によって実行される動作を1つのサーバで実行してもよい。別の例では、アプリケーションサーバ120と複数のクライアントデバイス130が通信してもよい。1人のユーザが複数のクライアントデバイス130を保有してもよいし、かつ/又は複数のユーザが存在して、各自が自分のクライアントデバイス130を保有してもよい。
【0039】
システム100はユーザデータベース127を含んでもよく、ユーザデータベース127はネットワーク110を介して、アプリケーションサーバ120に接続されたりアプリケーションサーバ120と通信したりしてもよい。ユーザデータベース127は共有リモートデータベース、クラウドデータベースやオンサイト中央データベースであってもよい。ユーザデータベース127はネットワーク110を介して、アプリケーションサーバ120から指示やデータを受信し、アプリケーションサーバ120にデータを送信してもよい。データベース127は複数の事業体の事業ユーザプロファイル128を記憶してもよい。各事業に対して、事業情報を含むユーザアカウントを作成してもよく、事業情報をユーザプロファイル128としてユーザデータベース127に記憶してもよい。各事業ユーザや各代理人はアプリケーションサーバ120で提供される特定のプロダクトやサービスにユーザアカウントを用いてアクセスしてもよい。
【0040】
図2は事業体向けに不動産ソリューション予想を実行するシステム例200の概念図である。システム200を、1つ以上のコンピュータで実行されるコンピュータプログラム(たとえばソフトウェア)として構成してもよく、システム200中で、後述されているシステム、モデル構成要素、プロセス及び実施形態をアプリケーションサーバ120及びその他コンピューティングデバイスによって実施し、実行することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、システム200は予測モデル124、想定例生成部125やニューラルネットワークシステム126などの様々な機能モジュールを含んでもよい。動作であるこれらのモデルの各々の骨子がさらに詳細に後述されている。
【0042】
アプリケーションサーバ120はインタフェイス129を介してユーザコンピューティングデバイス130から、事業体に関連するユーザプロファイル128を読み込んだり入力を受け付けたりしてもよい。各事業体のユーザプロファイル128を事業ユーザデータセット210(たとえばユーザデータセット)として構築したり表現したりしてもよい。ユーザデータセット210は複数の事業属性、過去の事業データ及び将来の事業目的を含んでもよい。たとえば、事業体に関連するユーザデータセット210は不動産情報、財務情報、事業及び従業員の情報、占有率及び職場データなどを含んでもよい。事業体に関連するユーザデータセット210は事業履歴データセット202と事業目的データセット204とを含んでもよい。たとえば、事業履歴データセット202は事業名称、事業識別子(ID)、過去の人員データやその他一切の過去の事業情報を含んでもよい。事業体の事業目的データセット204は事業に必要な空間の規模(たとえば賃貸空間)、不動産賃貸期間の長さ(たとえば賃貸期間)や、事業について検討されている不動産賃貸の構成(たとえば賃貸構成)などを含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、予測モデル124をアプリケーションサーバ120によって機能させて人員需要を予測してもよい。想定例生成部125をアプリケーションサーバ120によって動作させて予測された人員に基づいて不動産及び占有の想定例を想定してもよい。訓練されたニューラルネットワークシステムをアプリケーションサーバ120によって実行して人員予測の範囲に対する不動産及び占有の想定例に対してストレステストを実行してもよい。コンピューティングシステムは最適な不動産ソリューションを決定するように構成されている。
【0044】
人員予測
【0045】
図3Aは事業に関連する人員需要を予測するように構成されているプロセス例300を示すフローチャート図である。プロセス300は上記で説明されているシステム中のハードウェア、ソフトウェア又は組合せを含む1つ以上のコンピュータによって実行されることが可能である一連の動作を表わすように説明されているといえる。したがって、説明されている動作は、コンピュータ実行可能指示が1つ以上のプロセッサの制御を受けることで実行されてもよい。動作の説明に用いられている順序は限定として解釈されることを意図するものではなく、プロセスを実施するために説明されている動作のうちの任意の個数を任意の順序で組み合せかつ/又は並行状態で組み合せてもよい。
【0046】
ユーザプロファイル128から取得される過去の事業人員を評価して将来の事業の人員を予測するのに統計予測モデル124をアプリケーションサーバ120で利用してもよい。たとえば、事業についてその事業の15年不動産賃貸のオプションを評価している場合に、まず、15年が経過する間に人員がどうなると予想されるのかを事業について理解することを要してもよく、これにより、15年賃貸のパラメータを最適化することができる。予測モデル124は、将来の期間(たとえば、将来の1~15年間)の事業の人員を予測する高度な統計予測方法を実行するように構成される統計モデルであってもよい。予測モデル124は事業に関連する過去の人員、競合の成長及びボラティリティの情報に基づく統計需要予測に基づいて実施されてもよい。
【0047】
ステップ302で、ユーザデータベース127に記憶されているユーザプロファイル128を読み込むことによって、事業体に関連する過去の人員をアプリケーションサーバ120が受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク110を用いてユーザコンピュータを介してユーザ/クライアント(たとえば事業体)によって入力されるユーザ入力を受け付けることによって過去の事業人員をアプリケーションサーバ120が取得してもよい。
【0048】
ステップ304で、事業体に関連する過去の人員又は人員履歴を評価するように構成されている予測モデル124をアプリケーションサーバ120が利用してもよい。たとえば、過去の人員を処理して、「過去のノイズ」の結果であるといえる人員中のなんらかの変動を除去するのに予測モデル124をアプリケーションサーバ120が利用してもよい。過去のノイズは、突発的に人員の需要を増減させることによって過去の人員に影響を及ぼしたと考えられる合併買収、会社更生や季節需要の影響を受けた人員を含んでもよい。その後、人員に将来影響を及ぼすおそれがある将来の障害になり得るものをアプリケーションサーバ120が決定してもよい。将来の障害は、将来の人員需要に対して自動化が及ぼし得る効果を含む。アプリケーションサーバで、事業の業種(たとえば専門サービス業など)を評価するのに予測モデル124を利用し、研究を主体とする様々な技術を用いて徹底的に深く入り込んで、将来の障害になり得るものを決定してもよい。予測モデル124は、事業の人員に自動化がどのように影響を及ぼし得るのかや、事業の人員にソフトウェア解析がどのように影響を及ぼし得るのかを含む、事業がどのように変革され得るのかを予想する多数の標準的な規則を取り入れるように構成されてもよい。予測モデル124は過去の人員の成長の効果、傾向及びボラティリティ、事業の障害、技術及び経済的事象の影響、並びに建造物占有部分(footprint)の範囲の規模及びフレキシブル性の必要性を考慮するように構成されてもよい。アプリケーションサーバ120は予測モデル124を実行して人員の利用の仕方のなんらかの変更を決定してもよい。
【0049】
ステップ306で、処理された過去の人員と上記の影響とに基づいて、アプリケーションサーバ120が予測モデル124を実行して、事業体に関連する人員がどのように時間の経過とともに発達するのかを捕らえたり解析したりし、将来の異なる時点の予測された人員を示す値の集合を生成してもよい。たとえば、将来の障害がシステムに適用された後、アプリケーションサーバ120で予測モデル124を実行して、対応する人員予測を生成してもよい。いくつかの実施形態では、人員予測プロセスで基盤となる計算アルゴリズムとしてモンテカルロ法を適用してもよい。処理された過去のデータとそのデータの上記の影響とに基づいて、様々な人員増加/減少の想定例をシミュレートするための無作為抽出物を生成する元となるものとして確率変数の集合を定めてもよい。これは、従来のモデルにおいて決定論的入力(deterministic input)として広く扱われている。たとえば、過去の成長及びボラティリティを、成長パターンと無作為性とを反映する正規分布や指数分布に変換してもよく、同時に、将来の障害を、障害事象が起こる特定の確率を表わす離散ベルヌーイ分布として規定してもよい。
【0050】
図3Bは将来の異なる時点の予測された人員を視覚化したスクリーンショットの一例を示す。予測された人員は、不動産ソリューションによって提供され、クライアントが妥当であると考えていたといえる業界の構造、経済的変化、自動化やその他一切の将来の障害を示すといえる。図3Bに図示されているように、予測された人員は異なる将来の期間の事業の建造物占有部分の範囲の規模とフレキシブル性の必要性とを表わすといえる。
【0051】
想定例の設計
【0052】
事業体について決定された予測人員に基づいて、アプリケーションサーバ120で想定例生成部125を動作させて、市場でのオプションとフレキシブル性の有効な方式とを評価して、様々な不動産及び占有の想定例を策定すなわち想定してもよい。図4は事業体に関連する予測された人員需要に基づいて策定された想定例を視覚化したスクリーンショットの一例を示す。策定された想定例は、従来の賃貸、フレキシブルな賃貸や、基幹とフレキシブルなコワーキングプランとの組合せなどの異なるオプションを含んでもよい。図4に示されているように、フレキシブルな賃貸は借主としての賃貸(client lease)と賃貸拡大のオプションとを含んでもよい。基幹とフレキシブルなコワーキングの想定例との組合せは長期賃貸と企業向けコワーキングによる占有とを含んでもよい。これらの想定例は各事業に適応可能であってもよく、事業に特有の情報とその事業の必要性とに基づいて策定されてもよい。これらの想定例を策定するために、事業ユーザから事業目的データセット204をアプリケーションサーバ120が取得してもよい。事業目的データセット204は、事業について検討されている空間の規模と、不動産賃貸期間の長さと、事業について検討されている不動産賃貸の構成とに関する初期情報を含んでもよい。
【0053】
想定例で検討される必要があるなんらかの制限事項及びオプションが存在するか否かをアプリケーションサーバ120が判断してもよい。たとえば、事業についてその事業の不動産空間の拡大を検討しているが、拡大に使用することができる空間がない場合に、アプリケーションサーバ120がまず空間を制限事項として特定し、拡大を含まない想定例を想定してもよい。同様に、事業についてその事業の空間に隣接する不動産空間に対する優先権がある場合、アプリケーションサーバ120がまずその権利を認識し、優先権を含む想定例を策定してもよい。これに加えて、事業会社が、第三者であるフレキシブルな空間の提供者と賃貸借契約を締結している場合、事業会社が当該フレキシブルな空間の満期の繰り返し権(rolling right of termination)を保有している場合がある。これらの想定例の各々はこれに関連する様々な営業費及び資本コストを含んでおり、想定例毎にこれらのコストをアプリケーションサーバ120が評価してもよい。事業に関連する事業目的データセット204に基づいて多数の不動産及び占有の想定例をアプリケーションサーバ120が策定してもよい。
【0054】
ストレステスト
【0055】
事業体に関連する人員予測の範囲に対して策定された想定例に対してストレステストをアプリケーションサーバ120によって実行してもよい。いくつかの実施形態では、人員予測の範囲に対して策定された想定例に対してストレステストを実行するのにニューラルネットワークシステム126を利用することによって不動産ソリューションをアプリケーションサーバ120が最適化してもよい。
【0056】
策定された想定例に対してストレステストを実行するコンピュータ実装プロセスを、1つ以上のコンピュータで実行されるコンピュータプログラム(たとえばソフトウェア)として構成することができる深層強化学習アルゴリズムを用いて開発してもよく、本プロセス中で、後述されているシステム、モデル構成要素、プロセス及び実施形態を実施することができる。
【0057】
図2を参照して、事業体に関連して策定された想定例に対してストレステストを実行するために、ニューラルネットワークシステム126は方策ネットワーク220と価値ネットワーク230とを含んでもよく、これらは無作為に重み付けされた方策関数(方策ネットワーク220)と、無作為に重み付けされた価値関数(価値ネットワーク230)とを用いるアルゴリズムでそれぞれ構成されてもよい。方策ネットワーク220及び価値ネットワーク230の上記のアルゴリズムには、人員予測の範囲に対して策定された想定例に対してストレステストを実行するのに人工知能とニューラルネットワークとを利用してもよい。
【0058】
アプリケーションサーバはアダプティブ・モーメント・エスティメーション(adaptive moment estimation,ADAM)などのオプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって不動産の期待される将来のコストを正確に予想するように価値ネットワーク230を訓練するように構成されてもよい。ADAM最適化は計算上効率的である確率的最適化法であり、確率的目的関数の1次勾配に基づく最適化である。大まかにいえば、確率的最適化法は、目的(すなわち、本例では不動産コスト最小化)を達成する変数の最良の組合せを見つけるまで、定められた制約条件の集合の範囲内で変数を調節するのに利用されるものであるといえる。探索過程が複雑であり、データの集合が大規模になるので、高度なアルゴリズムを用いて効率を改善し、計算能力を削減してもよい。ADAM最適化はこのような高度なアルゴリズムの1つである。訓練データに基づいてネットワークの重みを繰り返し更新するのに従来の確率的勾配降下法の代わりにADAM最適化アルゴリズムを用いてもよい。価値ネットワークによって生成された価値に対して実現可能な最良のコスト最小化ソリューションを選択するように方策ネットワーク220をアプリケーションサーバやその他コンピューティングデバイスが訓練してもよい。価値ネットワーク230と方策ネットワーク220とで同じ価値がもたらされれば、将来の予測に応じて事業の最適な不動産ソリューションを決定することができる。最小コストと判断規則の集合とを含む将来の不動産ソリューションを生成するように方策ネットワーク220と価値ネットワーク230とを収束するまで交互に訓練してもよい。
【0059】
無作為に重み付けされた方策関数を用いて価値ネットワーク230を初期化してもよい。価値ネットワーク230に入力される入力はランダムな値であってもよく、選択の時点の不動産の値(規模、残り期間、商品の種類)であってもよく、選択の時点の注目すべき(observable)状態変数(人員、市場賃貸料)の値であってもよく、選択の時点に行使することができる正当な選択権であってもよい。選択の時点は、現実のソリューションによって不動産賃貸オプションを行使したり不動産賃貸事象を発現させたりするべきであるか否かを判断する時点になり得る重要な時刻/日付を示してもよい。たとえば、選択の時点は、空間の拡大/縮小の通告日や効力発生日、賃貸借契約の満了日、賃貸借契約満了/更新オプションの通告日や効力発生日などであってもよい。価値ネットワーク230の出力は、不動産の期待される将来のコストを最小化するためにユーザ/クライアントがとり得る予測された次の行動であってもよい。たとえば、一階層についての拡大オプション付き5年目の賃貸借契約について、価値ネットワーク230に対する入力は賃貸の規模、残り期間、5年目の人員や拡大オプションの規模であってもよい。価値ネットワーク230の出力が1又はゼロであってもよく、それぞれ、選択を行なう、選択を行なわないことを表わす。入力の値を出力に変換するために、まず入力のベクトルを正規化し、その後、重みのベクトルを掛けることができ、これを繰り返し実行することができ(標準的な順伝播型ニューラルネットワークを用いて実行)、得られるベクトルを許容値に押し込むことができる。
【0060】
価値ネットワーク230を無作為に重み付けされた価値関数を用いて初期化してもよい。価値関数は方策関数と同様のニューラルネットワークである。価値関数は方策関数と同じ入力を受け取り、方策関数の予想動作(predicted action)も行なってもよい。価値関数は、ユーザ/クライアントが期待される行動をとる場合の期待される将来の不動産コストの推定値を出力してもよい。
【0061】
方策ネットワーク220及び価値ネットワーク230はノード(関係者や事象)間や、事業体と、事業体に関連する想定例との間の相互依存性及びつながりを検討する解析的技法の集合体である。相互依存性及びつながりは、2つの有力なノード(関係者や事象)がどのように相関しているのかを反映するように定量化される。無作為に重み付けされた方策ネットワーク220又は価値ネットワーク230をテストし、定められた最適化目標を仮定して人工知能アルゴリズムを利用してネットワークの重みを洗練することによって、ノード(関係者や事象)がどのように互いにつながれ、影響し合っているのかを最もよく表現するように既存のネットワークを「訓練」してもよい。ニューラルネットワークシステム126を後述されている抽出プロセスにしたがって所定のコンピューティングデバイスやアプリケーションサーバ120が訓練してもよい。以下に示されているプロセスは一例であり、限定として解釈されることを意図するものではない。ニューラルネットワークを訓練するのに公知の他の同様のプロセスを用いてもよい。
1)人員予想モデルを用いて人員の想定例を策定する。
2)策定された想定例を参照し、各判断時点で、方策関数によって予想されているように将来の不動産のコストを最小にする行動を選択する。
3)各想定例に続いて、判断時点、関数入力及び結果を配列に付加する。
4)まず、初期化期間中にステップ1,2及び3を何回か(たとえば1000回)繰り返す。
5)判断時点、入力及び行動のバッチを抽出する。
6)ADAMオプティマイザを用いて予想の誤りを最小にすることによって不動産の期待される将来のコストを正確に予想するように価値ネットワーク230を訓練する。
7)収束するまで(すなわち、ネットワークの重みの変化が止まるまで)ステップ1,2,3,5及び6を何回か繰り返す。
8)推定された将来の不動産コストの現行の価値を価値ネットワーク230から得られた予想価値に置き換えることによって実現可能な最良のコスト最小化方策を選択するように方策ネットワーク220を訓練する。
9)収束するまで(すなわち、方策ネットワーク220及び価値ネットワーク230の変化が止まるまで)ステップ1~6を繰り返す。
【0062】
たとえば、人員の想定例の策定からアプリケーションサーバの動作を開始してもよい。当該人員の想定例は判断期間中に所望の頻度で抽出する将来の人員量の例であってもよい。たとえば、人員想定例は同じ所在地にある2つの事業部門の今後10年間の年間人員の例であってもよい。あるいは、二箇所での今後5年間の月間人員の例であってもよい。これらのソリューションは訓練プロセス全体の調整を担う「エージェント」に送られる。その後、このエージェントは初期状態を(最初の人員状態がどうであろうとも)行動ネットワークに送ってもよい。行動ネットワークはとり得る行動のうち、とるべき次善の行動を予想してもよい。たとえば、賃貸の開始時、検討するべき多くの行動が存在することはないが、ユーザ/クライアントは空間を転貸したり、別の空間の賃貸借契約を締結したり、短期のフレキシブルな空間の賃貸借契約を締結したりすることができる。行動ネットワークは評価の時点で行動の予想された最良の組合せを返すが、一切行動しないということもできる。開始時、とることが可能な行動をエージェントが効率的に検討することを確実とするために、行動ネットワークが返すものを優先的にランダムなものにしてもよい。その後、エージェントは行動を受け取り、現在の状態と行動とを評価環境に送る。様々な不動産オプションのコストを検討する評価環境も存在する。この評価環境は現在の状態と行動とを取り入れてコストを返す。たとえば、新たな賃貸借契約を開始するには拡大のための資本が必要であり、ユーザ/クライアントが賃貸料の支払いを開始する場合がある。評価環境には当地の不動産コストと空間の有用性とに関するデータが必要である。その後、評価環境は当該期間中のコストを返す。評価環境は新たな状態も返すが、これはランダムであることが可能である。たとえば、ユーザ/クライアントが新たな賃貸の最初の月で何もしないことを選択した場合、評価環境は2ヶ月目のときでも同じ賃貸を返してもよい。エージェントは上記のような変数、コスト、行動、状態及び次の状態をメモリに保存してもよい。まず初期化のためにこのプロセスは、メモリの経験数がある程度の数に到達し終わるまで何回か繰り返されてもよい。
【0063】
この時点で、エージェントはネットワークを訓練し得るプロセスの新たな段階に移行してもよい。これは、メモリから経験を抽出することから始まる。当該抽出された経験は対象の行動ネットワークに送られるが、これは凍結形態(それほど頻繁には更新されない)の行動ネットワークである。対象の行動ネットワークは次の状態を評価して次の行動を返してもよい。次の状態と次の行動とを、価値ネットワークの凍結複製物である対象の価値ネットワークに転送してもよく、次の期間で次の状態になって次の行動をとるために推定された価値を返してもよい。エージェントが経験した報酬の合計に、次の期間の割り引かれた推定価値を加えたものが、この状態にあることの価値になる。この期間中のことであること、及び行動をとることの推定価値を取得するために、この期間の状態とこの期間にとられる行動とが価値ネットワークに送られる。推定された損失は期待された価値及び現行の価値のなんらかの関数である。その後、価値ネットワークの重みを最適化エンジンによって更新して損失関数を最小にする。その後、更新された価値関数を用いて行動ネットワークによって定められた行動をとることの価値を評価し、行動ネットワークのパラメータをオプティマイザによって価値ネットワークの勾配の方向に更新する。その後、対象のネットワークを現在の価値ネットワーク及び行動ネットワークの方向に更新する。このプロセスを収束するまで繰り返す。
【0064】
図5は実際に適用される不動産ソリューションを最適化するように構成されているプロセス例を示すフローチャート図である。プロセス500は上記で説明されているシステム中のハードウェア、ソフトウェア又は組合せを含む1つ以上のコンピュータによって実行されることが可能である一連の動作を表わすように説明されているといえる。したがって、説明されている動作は、コンピュータ実行可能指示が1つ以上のプロセッサの制御を受けることで実行されてもよい。動作の説明に用いられている順序は限定として解釈されることを意図するものではなく、プロセスを実施するために説明されている動作のうちの任意の個数を任意の順序で組み合せかつ/又は並行状態で組み合せてもよい。
【0065】
ステップ502で、事業体に関連するユーザデータセット210をネットワーク110を介してアプリケーションサーバ120が受信してもよい。一実施態様では、データベース127に記憶されているユーザプロファイル128からユーザデータセット210を読み込んでもよい。事業体に関連するユーザデータセット210は事業体の過去の人員を含む事業履歴データセット202と事業目的データセット204とを含んでもよい。ユーザの計算を通じてユーザ/クライアントによって入力されたユーザ入力から過去の事業人員をネットワーク110を用いてアプリケーションサーバ120が受信してもよい。
【0066】
ステップ504で、事業体の過去の人員に基づいて、予測モデルを実行して将来の異なる時点の予測された人員の集合をアプリケーションサーバ120が決定してもよい。上記で説明されているように、最適化プロセスの前に、予測モデル124(たとえば統計モデル)を、事業の人員が時間の経過とともにどのように発達するのかを捕らえるように作成したり構成したりしてもよい。事業の人員は、不動産ソリューションの提供者とクライアントとが妥当であると考えていた業界の構造、経済的変化、自動化及び/又はその他一切の将来の障害を示すといえる。
【0067】
ステップ506で、予測された人員の集合と事業目的データセット204とに基づいて、アプリケーションサーバ120が想定例生成部125を実行して事業体に関連する複数の想定例を策定してもよい。図4で説明されているように、策定された想定例は事業体に提供される不動産ソリューションの異なるオプションを含んでもよい。
【0068】
ステップ508で、それぞれの想定例に対応するそれぞれの個別の不動産ソリューションを含む個別のオプションツリーをアプリケーションサーバ120が構築してもよい。いくつかの実施形態では、オプションツリーを、解析の寿命にわたって事業体に有用な不動産及び賃貸の判断と、当該オプション間の相互依存性とを表わすように構築してもよい。たとえば、第三者であるフレキシブルな空間の提供者との企業向け賃貸借契約が満期の繰り返し権を含む際、隣接する空間に対する優先権は特定の日付を含む拡大オプションである。当該オプションの各々にはいくつかの他の判断が組み込まれており、これは個別のものか継続するものかのいずれかであってもよい。拡大が、階層の数を変更可能なものについての拡大であってもよく、さらに、取決めの期間の長さが判断結果であってもよい。このオプションツリーは賃貸規模、賃貸期間、賃貸構成のような取決め項目の最初の判断から始まり、いずれも定められた終了日まで完全に消化されたり、永続的に継続したりしてもよい。
【0069】
これらのオプションの各々には、市場の知識、以前の取引、また、場合によっては、賃貸料市場の発展の別の確率モデルに由来する関連コスト(資本コストと営業費との両方)がともなってもよい。
【0070】
ステップ510で、アプリケーションサーバ120が訓練されたニューラルネットワークシステムを実行して、予測された人員とオプションツリーとに対する複数の想定例に対して複数のストレステストを実行して、それぞれの個別の不動産ソリューションを評価してそれぞれの個別の不動産ソリューションに関連するそれぞれのコスト及び行動を決定してもよい。
【0071】
事業に関連して策定された想定例のストレステストの際、様々な状況と、当該状況の各々についての関連コストとをアプリケーションサーバ120が生成してもよい。訓練されたニューラルネットワークシステムは様々な不動産及び占有の想定例に対して何回も(たとえば1000回)ストレステストを実行してもよい。判断時点、入力及び行動のバッチをシステムが抽出してもよい。
【0072】
与えられた状況に対して、関連する行動と、その行動についてのコストの事業における用途とをアプリケーションサーバ120が評価してもよい。この情報は少なくともアプリケーションサーバ120を含むコンピューティングシステム内のデータベースに入力されてもよい。より多くのこの情報がシステムに入力されるようになると、システムは事業の正確な推定を行なう上でよりインテリジェントになる。たとえば、システムによって現在の事業と、現在の人員に必要であった不動産空間とを分析してもよい。時間が経過するにつれて、システムによってますます多くの上記の情報が捕らえられると考えられ、特定の状況に関してよりインテリジェントになり、その時点でとられた行動や、当該時点での当該行動に関連するコストなどを捕らえる。システムが上記の情報を備えた後、システムによって方策関数を機能させて、当該状況でのあり得る最小のコストを決定してもよい。方策関数は規模、残り期間、商品の種類、人員、市場賃貸料や、将来の解析時点で行使することができるオプションを評価してもよい。この解析から、不動産の期待される将来のコストを最小にするために事業についてとり得る行動をアプリケーションサーバ120が決定してもよい。たとえば、一階層についての拡大オプション付き5年目の賃貸借契約について、入力が賃貸の規模、残り期間、5年目の人員や拡大オプションの規模になり、出力が、選択を行なう、選択を行なわないを表わす1又はゼロであってもよい。このプロセスに順伝播型ニューラルネットワークを利用してもよい。
【0073】
図6は人員予測の範囲に対する想定例に対してストレステストを実行した結果の例のスクリーンショットを示す。結果の例は空間需要に対する成長/縮小の影響の経時変化を示すといえ、結果の例を、財務的な影響を解析して高成長/縮小の際のリスクプロファイルを評価するのに用いてもよい。
【0074】
ステップ512で、決定されたそれぞれの個別の不動産ソリューションに基づいて、最小化されたコストと、コストを最小にするために事業体がとる対応する行動とを用いる最適な不動産ソリューション240の決定及び特定をアプリケーションサーバ120が行なってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、アプリケーションサーバ120が訓練された方策ネットワーク220と訓練された価値ネットワーク230を利用して、異なる規模の最初の賃貸についての個別の不動産ソリューション、すなわち、フレキシブルな空間の使用の異なる拡大又は縮小オプションを表わすいくつかの個別のオプションツリーを評価してもよい。評価の際、アプリケーションサーバ120が多数の想定例に対して移動平均(mean running)を行なって、将来の不動産ソリューションの平均コスト、最小コスト、最大コスト、及び正味現在価値の分布全体を抽出してもよい。したがって、各不動産ソリューションの一形態を取得することができ、ソリューションは最小コストと、これをユーザ/クライアントが実現するのに用いることができる将来の判断規則の集合とを含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、最適化プロセスでは、財務業績と不動産戦略のリスクとを比較することで、建造物占有部分、規模、及びフレキシブル性とコワーキングとの組合せについての最適なソリューションを取得してもよい。図7はいくつかの実施形態に係る、従来の賃貸、フレキシブルな賃貸及び基幹+フレックス(コワーキング)オプションからなるアジャイルな選択肢の比較の結果のスクリーンショットの一例を示す。図示の通り、従来の賃貸は、必要とされる空間を事業について推定することによって従来の長期賃貸借契約の締結、占有及び運用が行なわれる、典型的な基準となる想定例になっているといえる。フレキシブルな賃貸は従来の賃貸になり得るが、人員予測とストレステストとを考慮した上で最初の空間の適正な広さと、特定の時点でのリースオプションと、規模とを含むように最適化されて設計される。基幹+フレックス(コワーキング)は従来の賃貸借契約と、コワーキングの提供者との使用許諾契約との両方を含むハイブリッド不動産構成といえ、この構造は人員予測とストレステストとを考慮した上で最適化されて設計される。上記に加えて、図7に示されているように、正味現在価値(NPV)コストの内訳は、占有コスト(事業によって利用されている部分の総不動産コスト)、空きコスト(空きになっていたり事業によってまったく活用されていなかったりする部分の総不動産コスト)及び資本コスト(空間の拡大、備品の購入などに必要な総資本コスト)であり、一般的なものとなっている。財務的コストを報告するこの具体的な方法により、不動産のフレキシブル性(資本の支出と空きコストとを最小にし得るもの)及び従来のリースオプションの制限の価値についての見解をクライアントに提供することができる。従来のリースオプションでは、コワーキング空間(フレキシブルな空間)と比較して資本の支出はより一層大きい。また、コワーキング空間(フレキシブルな空間)、すなわちSpace As A Service(SAAS)として構築し得る全空間の割合(ポートフォリオ)をモデルによって決定してもよい。たとえば、最適化されたソリューションは29%がSAASであるコワーキング空間(フレキシブルな空間)を有するように示されているといえる。
【0077】
いくつかの実施形態では、様々な不動産及び占有のモデルをアプリケーションサーバ120が生成したり含んだりしてもよい。様々なソリューションに対してストレステストをアプリケーションサーバ120が実行してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、クライアントの人員の将来の状態と不動産モデルとを占有の総コストに結びつける需要供給モデルを構築してもよく、これはその時点での占有ソリューションのコストと、空間の不足により失われる生産性との両方とを含む。需要供給モデルは人員予測(たとえば人数)を座席需要(たとえば、座席共有プログラム、ホットデスキング/ホテリング、在宅勤務方策、会議室座席数と人数との比率などの職場戦略の集合に基づいた、必要な座席及び専用設備の数量)に変換し、最終的には、必要な総面積(平方フィート)(プライベートオフィス、ワークステーション、会議室などについての1つあたりの面積(平方フィート)などの職場設計基準に基づく)に変換するプロセスであってもよい。不動産モデルは経済的要因を含む不動産取引構成を示してもよい。不動産取引構成は主要な基となる建造物占有部分の規模、時間、及び変更があった場合の拡大/縮小オプションの規模、並びに空間の供給に影響を及ぼし得る空間賃貸借契約又は使用許諾契約のあらゆる事項を含んでもよい。経済的要因は財務モデルの基礎となり、賃貸料、営業費、税金、資本要件(capital requirement)、家主引当金(landlord allowance)などに関連してもよい。
【0079】
事業に対する視覚的報告
【0080】
図1に戻り、事業に必要な不動産空間を予測する革新的なプロセスに加えて、事業に対する視覚的報告の革新的な特徴をアプリケーションサーバ120がインタフェイス129を介して提供してもよい。たとえば、アプリケーションサーバ120は事業のための様々なオプションを特定する視覚的インタフェイスを含んでもよい(事業の未占有賃貸空間が様々なプランではどのように見え得るのかを含む)。
【0081】
図8はいくつかの実施形態に係る、従来の賃貸とハイブリッドコワーキングソリューションとの比較の結果の例を示す。図8に示されているように、ハイブリッドソリューションを、最適化された不動産ソリューションとして特定することができる。従来の長期賃貸では、平均として、事業上賃貸された空間の18%が未占有のままにされることになり得ることを事業について視覚的インタフェイス129によって示しているといえる。これは、賃貸された空間を利用することができないのに事業について支出するおそれがあるコストである。これとは異なり、従来の賃貸空間とフレキシブルな作業空間との両方を取り入れることができる最適なソリューションでは、平均として、事業上賃貸された空間の2%が未占有のままにされることになり得るだけであることを事業について示しているといえる。図示されている視覚的報告は数例の典型的な人員想定例を想定した各占有プランの財務的比較も示しており、これにより、様々な将来の成長の想定例で起こり得ることのまとまった見解が事業に与えられる。視覚表現により、事業についてその事業の必要性に最適なソリューションを迅速に特定するのを支援することができる。
【0082】
フレキシブルな空間の使い方の価値の生成
【0083】
いくつかの実施形態では、フレキシブルな不動産空間の使い方の価値を、説明されているコンピューティングシステムによって提供してもよい。システムによって実行される広範囲のストレステストの結果として、フレキシブルなオフィス空間を含む想定例をシステムによって特定してもよい。これにともない、従来の賃貸とフレキシブルなオフィス空間のソリューションとの両方同士を組み合せたソリューションを事業向けにシステムによって提供してもよい。従来の長期賃貸にフレキシブルなオフィス空間のオプションを加えて組み合せるシステムの能力により、事業に有用な事業不動産の将来性の幅が大幅に広がり、事業の必要性に応じて最も取得容易な最適なソリューションが事業向けに発見される確実性が高まる。
【0084】
図9はいくつかの実施形態に係る、従来の賃貸とハイブリッドコワーキングソリューションとの比較の結果のスクリーンショットの一例を示す。図9に示されているように、ハイブリッドコワーキングソリューションは従来の賃貸ソリューションと比較して最適化された不動産ソリューションとして特定されるものといえる。たとえば、標準的な報告にはシミュレーションをまとめたものとして、人員値の平均値及び範囲(50パーセンタイル及び95パーセンタイル)を示す人員予測チャートが含まれてもよい。次の項目では、報告には、規模、空間類型(所有空間、従来の賃貸、様々なコワーキング空間型(企業向けコワーキング、共有コワーキング、設備完備型個室(private suite)など))、及び各想定例で用いることができるオプションを含む詳細な空間構成を説明する空間/建物の積層図が表示されているといえる。最後の項目では、潜在的リスクの全容をクライアントに示すために、各想定例が平均的状況、低成長(5パーセンタイル)の状況及び高成長(95パーセンタイル)の状況に対してどのように働くのかを比較してNPV業績が表わされているといえる。
【0085】
図10はいくつかの実施形態に係る、従来の転貸とコワーキング譲渡との比較についての不動産ソリューションのスクリーンショットの一例を示す。図10に示されているように、従来の転貸ソリューション及び最適に転貸を行なうソリューションと比較して、コワーキング譲渡ソリューションが、最適化された不動産ソリューションとして特定されているといえる。従来の転貸では、平均として、事業上賃貸された空間の30%が未占有のままにされることになり得ることを事業について視覚的インタフェイス129によって示しているといえる。これは、転貸された空間を利用することができないのに事業について支出するおそれがあるコストである。これとは異なり、従来の賃貸空間とフレキシブルなコワーキング空間との両方を取り入れることができる最適なソリューションでは、平均として、事業上賃貸された空間の6%が未占有のままにされることになり得るだけであることを事業について示しているといえる。
【0086】
長期的に不動産が事業に必要になるのに応じて最適なソリューションを決定する点において事業を支援するために、所定期間の事業の不動産支出を最小にし得る不動産空間の規模と、賃貸オプションの組合せとを予測するのを補助するように、コンピューティングシステムを提供してもよい。システムにより、事業の空間需要について統計的理解を得ることができ、事業に長期に必要なものに応じて事業プランを策定するのを支援することができる。統計的解析と統計的傾向とに基づいて適切にプランを策定することで、事業のために巨額の資金を留保し、リスクを抑え、起こりつつある事業の混乱を最小にすることができる。コンピューティングシステムによって実施される統計的解析を用いて、事業について長期の空間利用及びその他事業目的の最適な計画を予測するのを支援することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムによって実施される、説明されている将来にわたって有効な戦略により、事業の不動産需要と事業の将来性の幅との縮図を提供することができる。従来のリースオプション、賃貸拡大オプション又は賃貸縮小オプション、及びコワーキングオプションの最適な組合せをシステムによって提供することができる。
【0088】
コンピューティングシステムによって実施される、説明されている将来にわたって有効な戦略を、将来の不動産需要を予測してコストを最小にするのに事業により用いることに加えて、長期不動産プラン策定の必要がある別の状況で用いてもよい。たとえば、システムは都市部又は地方のホテルの部屋需要全体のプランを策定するのに用いられてもよいし、フレキシブルな空間の提供者によって長期賃貸の棚卸資産のプランを策定するのに用いられてもよい。
【0089】
図11は本明細書で説明されている様々な特徴及び機能動作を含むプロセスを実施する実施形態を実行するように利用することができるコンピューティングデバイス例1100のブロック図である。たとえば、コンピューティングデバイス1100はいくつかの実施形態のアプリケーションサーバ120、ユーザ/クライアントデバイス130又はこれらの一部又はこれらの組合せとして機能することができる。プログラム指示に由来するソフトウェアアプリケーションを実行するようにコンピューティングデバイス1100をあらゆる電子デバイスで実施することができ、コンピューティングデバイス1100はパーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、メディアプレーヤ、電子タブレット、ゲーム機、Eメールデバイスなどを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実現例では、コンピューティングデバイス1100は1つ以上のプロセッサ1102、1つ以上の入力デバイス1104、1つ以上の表示又は出力デバイス1106、1つ以上の通信インタフェイス1108及びメモリ1110を含んでもよい。これらの構成要素の各々をバス1118によって接続してもよいし、分散型コンピュータシステムの場合には、これらの構成要素の1つ以上を離して配置してネットワークを介してアクセスしてもよい。
【0090】
1つ以上のプロセッサ1102には、グラフィックスプロセッサとマルチコアプロセッサとを含む(ただしこれらに限定されない)あらゆる公知のプロセッサ技術を用いてもよい。指示のプログラムの実行に好適なプロセッサは、例として、あらゆる種類のコンピュータの、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサとの両方、及び単一プロセッサ、又は複数のプロセッサ若しくはコアのうちの1つのプロセッサ若しくはコアを含んでもよい。通常、プロセッサは読出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又は両者から指示及びデータを受け取ってもよい。コンピュータの必須の要素が、指示を実行するプロセッサと、指示及びデータを記憶する1つ以上のメモリとを含んでもよい。通常、コンピュータはデータファイルを記憶する1つ以上の大容量記憶デバイスも含んだり、当該デバイスと通信するように接続されて機能したりしてもよく、このようなデバイスは内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、光ディスクとを含む。コンピュータプログラム指示及びデータを具体化して実体化するのに好適な記憶デバイスは例として、EPROM、EEPROMやフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスを含む不揮発メモリの全形態と、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROM及びDVD-ROMディスクとを含んでもよい。プロセッサ及びメモリをASIC(特定用途向け集積回路)で補完したり、ASICに組み込んだりしてもよい。
【0091】
入力デバイス1104はキーボード(仮想キーボードを含む)、マウス、トラックボール及びタッチ感応パッド又はタッチ感応ディスプレイを含む(ただしこれらに限定されない)あらゆる公知の入力デバイス技術であってもよい。ユーザとのやり取りを実現するために、情報をユーザに表示するCRT(ブラウン管)やLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどの表示デバイス1306と、ユーザによるコンピュータに対する入力の実現を可能にするのに用いられるキーボード、及びマウスやトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータで、開示されている実施形態で説明されている特徴と機能動作とを実施してもよい。表示デバイス1106は液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)技術を用いている表示デバイスを含む(ただしこれらに限定されない)あらゆる公知のディスプレイ技術であってもよい。
【0092】
通信インタフェイス1108は、コンピューティングデバイス1100が有線接続、無線接続や、有線接続と無線接続との組合せを介するなどネットワークをまたいで相手側の別のコンピューティングデバイスやネットワークデバイスと通信するのを可能にするように構成されてもよい。たとえば、通信インタフェイス1108はEthernetインタフェイス、光インタフェイス、同軸インタフェイス、赤外線インタフェイス、高周波(RF)インタフェイス、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェイス、Wi-Fiインタフェイス、セルラーネットワークインタフェイスなどを含んでもよい。
【0093】
メモリ1110は、コンピュータプログラム指示及びデータを実行のためにプロセッサ1102に提供することに関与し、不揮発記憶媒体(たとえば、光ディスク、磁気ディスク、フラッシュドライブなど)又は揮発記憶媒体(たとえば、SDRAM、ROMなど)を含む(ただしこれらに限定されない)あらゆるコンピュータ可読媒体であってもよい。メモリ1110は、オペレーティングシステム1112(たとえば、Mac OS(登録商標)、Windows(登録商標)、Linux)、ネットワーク通信1114や、1つ以上のアプリケーション及び複数のプログラムモジュール1116などを実施するための様々な非一時的なコンピュータ可読指示を含んでもよい。オペレーティングシステムはマルチユーザシステム、マルチプロセシングシステム、マルチタスクシステム、マルチスレッドシステム、リアルタイムシステムなどであってもよい。オペレーティングシステムは、入力デバイス1104からの入力を認識するタスクと、出力を表示デバイス1106に送るタスクと、メモリ1110上のファイル及びディレクトリの経過を追うタスクと、直接制御されたり入出力コントローラを通じて制御されたりすることが可能な周辺デバイス(たとえば、ディスクドライブ、プリンタなど)を制御するタスクと、バス1118のトラフィックを管理するタスクとを含む(ただしこれらに限定されない)基本的なタスクを実行してもよい。バス1118はISA、EISA、PCI、PCI Express、NuBus、USB、シリアルATAやFireWireを含む(ただしこれらに限定されない)あらゆる公知の内部バス技術又は外部バス技術であってもよい。
【0094】
ネットワーク通信1114の指示によってネットワーク接続の確立及び維持を行なってもよい(たとえば、TCP/IP、HTTP、Ethernet、電話方式などの通信プロトコルを実施するためのソフトウェアアプリケーション)。
【0095】
1つ以上のアプリケーション及び複数のプログラムモジュール1116は、プロセッサ1102によって実行されて、本明細書で説明されているプロセス及び/又はその他プロセスを実施する1つ以上のソフトウェアアプリケーション及び別の複数の機能プログラムモジュールを含んでもよい。プログラムモジュールは、特定のタスクを実行したり特定のデータ型を実施したりするように構成されるソフトウェアプログラム、プログラム、コンポネント、データ構造を含んでもよいが、これらに限定されない。本明細書で説明されているプロセスをオペレーティングシステム1112でも実施してもよい。
【0096】
様々なネットワークとコンピューティングデバイスとの通信を1つ以上のアプリケーションプログラミングインタフェイス(API)によって容易にしてもよい。APIはプロプラエタリであってもよいしかつ/又はAmazon(登録商標)Web Services(AWS)のAPIなど、当業者が入手可能なものであってもよい。APIは、API仕様書で定められている呼出し(call)規約に基づいてパラメータリスト又はその他構造を通じて1つ以上のパラメータの受け渡しを行なうプログラムコード中の1つ以上の呼出しとして実施されてもよい。パラメータは定数、キー、データ構造、オブジェクト、オブジェクトクラス、変数、データ型、ポインタ、配列、リストや、当該呼出しとは別の呼出しであってもよい。
【0097】
開示されている実施形態で説明されている特徴及び機能動作を1つ以上のコンピュータプログラムで実施してもよく、1つ以上のコンピュータプログラムは、データ記憶システムからデータ及び指示を受け取り、データ及び指示をデータ記憶システムに送るように接続される少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサと、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスとを含むプログラム可能なシステムで実行可能なものであってもよい。コンピュータプログラムは、特定の作業を実行したり特定の結果をもたらしたりするのにコンピュータで直接的に用いたり間接的に用いたりすることができる指示の集合である。コンピュータプログラムを、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含むあらゆる形式のプログラミング言語(Objective-C、Javaなど)で記述してもよく、また、スタンドアロンプログラムとしてのものや、モジュール、コンポネント、サブルーチンや、コンピューティング環境での使用に適したその他単位としてのものを含むあらゆる形式でデプロイしてもよい。
【0098】
開示されている実施形態で説明されている特徴及び機能動作を、データサーバなどのバックエンドコンポネントを含んだり、アプリケーションサーバやインターネットサーバなどのミドルウェアコンポネントを含んだり、グラフィカルユーザインタフェイスやインターネットブラウザ、又はこれらのあらゆる組合せを有するユーザコンピュータなどのフロントエンドコンポネントを含んだりするコンピュータシステムで実施してもよい。システムの構成要素を通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形式によって接続したり、このようなデジタルデータ通信の任意の媒体によって接続したりしてもよい。通信ネットワークの例には、たとえば、電話網、LAN、WAN並びにインターネットを形成するコンピュータ及びネットワークが含まれる。
【0099】
コンピュータシステムはユーザコンピューティングデバイスとアプリケーションサーバとを含んでもよい。ユーザコンピューティングデバイス又はクライアントコンピューティングデバイスとサーバとは通常は互いに遠隔に位置してもよく、典型的にはネットワークを通じてやり取りしてもよい。クライアントコンピューティングデバイスとサーバとの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータで動作し、互いにクライアントとサーバとの関係を持つことによって形成される。
【0100】
用語「少なくとも1つ」は、明細書、請求項及び図面で用いられる場合があることが多いが、「a」、「an」、「the」、「said」などの用語は、明細書、請求項及び図面において「少なくとも1つ」や「前記少なくとも1つ」を意味する。
【0101】
上記で説明されている様々な実施形態は例として設けられているものにすぎず、開示の範囲を限定するものとしては当然解釈されない。本開示の精神及び範囲から逸脱しない限りにおいて、本出願で説明されている原理に対して、本明細書で示され説明されている実施形態及び適用例からずらす様々な修正及び変形を行なってもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】