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特表2022-553381自動車両の座席用のフレーム、および関連する車両の座席
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  • 特表-自動車両の座席用のフレーム、および関連する車両の座席 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】自動車両の座席用のフレーム、および関連する車両の座席
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B60N2/427
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523919
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020078170
(87)【国際公開番号】W WO2021078521
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】FR1911958
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュシェーヌ, リュドビク
(72)【発明者】
【氏名】エラウ, ジレ
(72)【発明者】
【氏名】ルクロワジー, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ, バプティスト
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD03
3B087DB04
3B087DB07
(57)【要約】
本発明は、座面構造(5)および背凭れ構造(8)を備える、自動車両の座席用のフレームであって、背凭れ構造が、該背凭れ構造を座面構造の後部に固定するように設計された少なくとも1つのガセット板(50)を備え、前記ガセット板が、該ガセット板の後縁部に第1の開口(53)を備える、フレームに関する。本発明によれば、前記ガセット板が、第1の開口に隣接する少なくとも1つの第2の開口(54)をさらに備え、前記第1の開口および前記第2の開口が、それぞれ、実質的に平行な第1の方向(A1)と第2の方向(A2)とに細長くなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面構造(5)および背凭れ構造(8)を備える、自動車両の座席のフレーム(1)であって、前記背凭れ構造(8)が、該背凭れ構造(8)を前記座面構造(5)の後部に固定するように設計された少なくとも1つのガセット板(50、60)を備え、前記ガセット板(50、60)が、該ガセット板の後縁部(51C)側に第1の開口(53)を備える、フレーム(1)において、前記ガセット板(50、60)が、前記第1の開口(53)に隣接する少なくとも1つの第2の開口(54)をさらに備え、前記第1の開口(53)および前記第2の開口(54)が、それぞれ、実質的に平行な第1の方向(A1)と第2の方向(A2)とに細長い形状を有することを特徴とするフレーム(1)。
【請求項2】
前記ガセット板(50、60)が、前記後縁部(51C)に沿う位置で少なくとも1つの面(51D)が折り曲げられている板によって形成され、折り曲げられた面(51D)が、前記第1の開口(53)および前記第2の開口(54)のための端縁部を形成する、請求項1に記載の座席フレーム(1)。
【請求項3】
前記折り曲げられた面(51D)が、前記第2の開口(54)の前記端縁部に沿って平坦な形態を有し、前記第1の開口(53)の前記端縁部に沿って屈曲した形態を有する、請求項2に記載の座席フレーム(1)。
【請求項4】
前記第1の開口(53)の前記端縁部に沿う前記折り曲げられた面(51D)によって形成された屈曲部が、140~160度の角度(α)を有する、請求項3に記載の座席フレーム(1)。
【請求項5】
前記第1の開口(53)の前記端縁部が、5~10ミリメートルの長さに亘って延在する、請求項2から4のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)。
【請求項6】
前記第2の開口(54)が、全体的に三角形を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)。
【請求項7】
前記第1の開口(53)が、前記後縁部とは反対側の端部で、局部的に幅が狭くなっている、請求項1から6のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)。
【請求項8】
前記第1の開口(53)と前記第2の開口(54)との間隔(e)が、6~10ミリメートルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)。
【請求項9】
前記背凭れ構造(8)が、2つの開口を有する第2のガセット板(60)を備え、前記ガセット板(50)の前記開口と前記第2のガセット板(60)の前記開口とが、前記ガセット板(50、60)の対称面(P)に対して対称に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の座席フレーム(1)と、前記座席フレーム(1)に付装された内張りとを備える、自動車両の座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、座席フレームに関し、特に自動車両の座席フレームに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、座面構造および背凭れ構造を備える、自動車両の座席フレームに関し、背凭れ構造は、該背凭れ構造を座面構造の後部に固定するように設計された少なくとも1つのガセット板を備え、該ガセット板は、後縁側に第1の開口を備える。
【0003】
本発明は、特に有利には、手動調節機構を有する自動車両の座席に適用できる。
【0004】
本発明は、また、そのような座席フレームを備える座席に関する。
【背景技術】
【0005】
自動車両製造業者は、現在、高速の追突衝撃(50km/hおよび90km/hの速度に対して行われる衝突試験)に、破損や断裂せずに持ちこたえるように設計された可撓性の座席フレームを開発し製造している。
【0006】
特に、米国特許第10266087号によって知られているのは、背凭れ構造が、底部後方部分に細長い開口を備える座席フレームである。この場合、この開口が、車両に追突衝撃が生じた場合に、背凭れ構造の両側垂直部の後方変形を可能にする。
【0007】
しかし、このタイプの座席フレームは、低速(16km/hおよび24km/hの速度に対して行われる衝突試験)では、衝撃によって伝わるエネルギーを、座席の占有者に伝えることなしに吸収するのに十分な可撓性はない。その場合、座席の占有者の身体に反動が生じ得、様々な傷害、特に頸部障害(すなわち「鞭打ち症」)を生じる危険性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、低速の追突衝撃によって伝わるエネルギーを、座席の占有者に伝えることなく、吸収することを可能にするように座席フレームを改善することを提案する。
【0009】
より詳細には、本発明は、序論で明示された座席フレームを提案し、ガセット板が、第1の開口に隣接する少なくとも1つの第2の開口をさらに備え、前記第1の開口および前記第2の開口が、それぞれ、実質的に平行な第1の方向と第2の方向とに細長い形状を有する。
【0010】
すなわち、ガセット板に2つの隣接する開口が存在することによって、特にそれら開口の形状および配置が寄与して、追突衝撃時に座席フレームが確実に望ましく変形することが可能になる。第2の開口が存在すると、そのような衝撃の場合に座席フレームの構造をより著しく脆弱化することにより、衝撃によって伝わるエネルギーの影響下で弾性変形が見られる(そして衝撃によって伝わるエネルギーを座席の占有者に再伝達して関連傷害の危険性を伴う)かわりに、フレームを変形させることが可能になる。
【0011】
本発明によるこのガセット板構造は、他のタイプの衝撃の場合にも確実に望ましく変形することをさらに可能にし、座席の占有者への障害の危険性をやはり回避するので、さらに有利である。
【0012】
本発明による座席フレームの他の利点および非限定的特徴は、個々にまたは技術的に可能なあらゆる組合せによって得られ、以下の通りである。すなわち、
- ガセット板が、後縁部に沿う位置で少なくとも1つの面が折り曲げられている板によって形成され、前記折り曲げられた面が、第1の開口および第2の開口のための端縁部を形成し、
- 前記折り曲げられた面が、第2の開口の端縁部に沿って平坦な形態を有し、第1の開口の端縁部に沿って屈曲した形態を有し、
- 第1の開口の端縁部に沿う前記折り曲げられた面によって形成された屈曲部が、140~160度の角度(α)を有し、
- 第1の開口の端縁部が、5~10ミリメートルの長さに亘って延在し、
- 第2の開口が、全体的に三角形を有し、
- 第1の開口が、後縁部とは反対側の端部で、局部的に幅が狭くなっており、
- 第1の開口と第2の開口との間隔が、6~10ミリメートルであり、かつ
- 背凭れ構造が、2つの開口を有する第2のガセット板を備え、前記ガセット板の開口と前記第2のガセット板の開口とが、両ガセット板の対称面に対して対称に配置される。
【0013】
本発明は、また、上記に提示された座席フレームと、フレームに付装された内張りとを備える車両用座席を提案する。
【0014】
明らかに、本発明の様々な特徴、変形、および実施形態は、互いに矛盾しまたは排他的でない限り、様々な組合せによって相互に結合することができる。
【0015】
非限定的例として示される添付図面を参照する以下の説明は、本発明が何から構成され、本発明をどのように実施することができるかに関して、優れた理解を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による座席フレームの側方透視図である。
図2】座席フレームに設けられたガセット板を非変形状態で示す、図1の領域IIの詳細図である。
図3】座席フレームに設けられたガセット板の変形状態における別の詳細図である。
図4】座席フレームのガセット板に設けられた開口の前視平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、自動車両(自動車、客車、トラックなど)の客室に設置し、その自動車両の床に固定するように設計された座席のフレーム1を示す。
【0018】
この場合、この自動車両は、ハンドルに向かう位置を占める少なくとも1つの運転席と、運転席に並ぶ位置を占める助手席とを備える自動車であると想定されたい。
【0019】
この場合、2つの座席は実質的に同一である。したがって、運転席のみが説明されることになり、その運転席は、自動車両の客室の左側に位置するものと想定する。
【0020】
ここで説明される座席は、一人だけを座らせるように設計された肘掛け椅子の形態を取る。
【0021】
以降の説明では、用語「前方」および「後方」は自動車両に対して使用され、要素の前方部分とは、その要素の、自動車両のボンネット側に位置する部分を意味し、後方部分とは、その要素の、反対側に位置する部分を意味する。
【0022】
用語「下側」および「上側」は同様に使用され、要素の下側部分とは、その要素の、自動車両の床の方に位置する部分を意味し、上側部分とは、その要素の、自動車両の天井の方に位置する部分を意味する。
【0023】
用語「右」および「左」は、自動車両の座席の基準方向に対して定義される。
【0024】
形容詞「長手の」は、自動車両の前方から後方へ配向され、ハンドルが中立位置のときの自動車両の移動方向に平行な物体、方向、または軸に適用される。図1では、参照符号Xの矢印が、長手方向を示す。
【0025】
座席フレーム1は、主として、支承構造、座面構造5、および背凭れ構造8を備える。すなわち、従来、座席は、座面構造5および背凭れ構造8それぞれをそれぞれが備える座面および背凭れ、ならびに座席フレーム1に付装された内張り(図示せず)を具備する。この内張りは、たとえば、所望の形に引き伸ばされ、カバーによって覆われる1枚の内張りの形態を取る。この場合、座席フレーム1は金属製である。
【0026】
この場合、支承構造は、車両の床の2つの横断部材に固定されるように設計され、それら横断部材は、ここでは、四角形の4隅に配置された4つの架橋板2の形態で示されている。
【0027】
図1が示すように、支承構造は、長手方向Xと整列し、車両の床に固定するための固定手段(ここではねじ止めによる)が設けられた2つの滑走部30を備える。座面構造5は、それら滑走部30に係合するレール34、35をさらに備え、それによって、座席が、自動車両の床に対して長手方向に、長手方向Xで摺動することが可能になる。
【0028】
座面構造5は、ここでは4つのリンクロッドを使用して、支承構造上に搭載される。変形形態として、座面構造は、直接滑走部上に(リンクロッドなしに)搭載することができる。この場合、垂直上昇移動はできなくなる。
【0029】
座面構造5は、自動車両の床に全体的に水平に固定されるように設計される。したがって、座面構造は、前端部10と後端部12との間に延在する。
【0030】
より詳細には、図1に示されるように、座面構造5は、後方管状要素26および前方横断部材要素27を用いて一体に固定される2つの側方フランジ20、21を特に備える。
【0031】
各フランジ20、21は、プレス加工された金属壁の形態を取り、縦には長手方向X、幅では垂直方向Zに延在する。実際には、各フランジ20、21は、固定手段を受け入れるように設計された孔40、42を備える。これら固定手段は、たとえば、背凭れ構造8を座面構造5に固定することを可能にする。
【0032】
図1が示すように、背凭れ構造8は、それ自体、下側端部16と上側端部18との間で全体的に垂直方向Zに延在する。背凭れ構造は、左側フランジ19Aおよび右側フランジ19Bと呼ばれる2つの側面に引き出された袖を備え、それら袖はそれぞれの両端部で、下側横断部材19Cおよび上側横断部材19D要素によって、一体に連結される。
【0033】
実際には、この背凭れ構造8は、その下側端部16によって座面構造5の後端部12に蝶着され、それによって、背凭れ構造が、垂直方向Zに対して傾斜を変化させることが可能になる。この傾斜は、たとえば、手動機械機構(本明細書では説明しない)を用いて調節される。
【0034】
ここでの焦点は、より詳細には、背凭れ構造8であり、さらにより具体的には、背凭れ構造8と座面構造5とを連結させる要素である。
【0035】
実際には、図1~3が示すように、背凭れ構造8は、この場合、背凭れ構造8を座面構造5の後部に固定するように設計された少なくとも1つのガセット板50、60を備える。ここで、背凭れ構造は、2つのガセット板、左側ガセット板50および右側ガセット板60を備え、それらガセット板は、それぞれ、背凭れ構造8の左側端部および右側端部を座面構造5に固定することを可能にする。
【0036】
各ガセット板50、60は引抜加工された金属板の形態を取る。
【0037】
各ガセット板50、60は、背凭れ構造8の関節機構17に機械的に溶接されることによって背凭れ構造8の一体部分を形成し、関節機構17は、右側および左側フランジ19A、19Bに対して枢動可能に装着され、それによって、背凭れを回動させることが可能になる。
【0038】
座面構造5への連結は、たとえば座面構造5のフランジ20、21の孔40、42を通してねじ止めすることによって、ガセット板50、60の下側部分において行われる。ここで、2つのスクリューが、各ガセット板50、60を座面構造5の対応するフランジ20、21に固定するために使用される。
【0039】
図1が示すように、この場合、座席フレーム1は、2つのガセット板50、60、すなわち左側ガセット板50および右側ガセット板60を備え、それらガセット板は、それぞれ、背凭れ構造8の左側端部および右側端部を座面構造5に固定することを可能にする。
【0040】
2つのガセット板50、60は、形態および配置において、横断部材要素の中心を通る対称面P(図1)に対して対称である。したがって、以降、1つだけのガセット板50、60の特徴を、ガセット板50、60を個別に互いに区別することなく説明する(それら特徴の固有の配置は、対称面Pに対する対称性によって導出することができる)。
【0041】
図1~3に示されるように、各ガセット板50、60の金属板は、全体的に平坦な中央部分51Aを備え、その中央部分が、背凭れ構造8を座面構造5に固定することを可能にする、フランジ20、21の孔40、42を相補する孔を特に備える。中央部分51Aは、背凭れ構造8の傾斜機構(本明細書では説明しない)を受け入れるようになされた中央開口52をさらに備える。
【0042】
図2および3がより詳細に示すように、ガセット板50、60を形成する金属板は、ここで、座席フレーム1の内部に向かって折り曲げられた面51Dをその金属板の後縁部51C側に有する。この場合その金属板は、座席フレーム1の内部に向かって折り曲げられた別の面をその金属板の前縁部51B側にさらに有する(図に明示されていない)。したがって、各ガセット板50、60は全体としてU形状を有し、中央部分51AがUの底に対応し、前縁部および後縁部の折り曲げられた面が、Uの両腕に対応する。
【0043】
ここで、各ガセット板50、60は、後縁部51C側に第1の開口53を備える。この第1の開口53は、この場合長手方向Xに実質的に平行な第1の方向A1に細長い形状を有する(図2および4)。この記述では、2つの方向は、それら方向を定義する軸の関係が、たとえば20度未満、好ましくは10度未満の小さい角度で傾いているとき、実質的に平行であると見なす。
【0044】
低速(たとえば30km/h未満)での自動車両への追突衝撃の場合、この第1の開口53は、低速追突衝撃の場合に座席フレーム1を脆化させ、次いで座席フレーム1を変形させ、それによって、衝撃により受けるエネルギーを(そのエネルギーを座席の占有者に伝えるのではなく)消散させる要素として作用する。
【0045】
しかし、そのような衝撃時には、第1の開口のみを有するガセット板が設けられた座席フレームは、衝撃によって伝わるエネルギーを塑性変形または破損をせずに吸収し、一旦衝撃が通り過ぎると元の位置に戻り、それによって、貯められたエネルギーを座席の占有者に伝える(そして様々な傷害を生じる危険に晒す)という重大な危険性が存在する。
【0046】
座席のフレーム1のこの弾性変形、および追突衝撃によって座席の占有者に伝わるエネルギーの伝達を抑制するために、有利には、各ガセット板50、60は、第1の開口53に隣接する少なくとも1つの第2の開口54をさらに備える(図1、2および4)。
【0047】
第1の開口53と第2の開口54とは、それら開口が縁部を並べて位置していれば、隣接していると見なされ、第1の開口53と第2の開口54との相対する縁部間の距離は、ガセット板の特徴的な寸法(たとえば後縁部51Cの長さ)に比べて小さい。すなわち、第1の開口53と第2の開口54とは、互いにすぐ近くに配置される。
【0048】
実際には、第1の開口53と第2の開口54との間隔eは、この場合、6~10ミリメートル(mm)である。この間隔eは、第1の開口53と第2の開口54との隣接する縁部(すなわち向かい合う縁部)の間隔として定義される(図2)。
【0049】
図2および4に示されるように、この第2の開口54も、この場合第2の方向A2の、長手方向Xにやはり実質的に平行な細長い形状を有する。この第2の方向A2は、第1の開口53の細長い形状を形成する第1の方向A1に実質的に平行である。
【0050】
第1の開口53および第2の開口54は、ここでは、10~15mmの長さに亘って延在する。
【0051】
第1の開口53および第2の開口54は、ガセット板50、60の後縁部51Cの折り曲げられた面51Dに達する。言い換えれば、これら第1および第2の開口53、54は、これら開口の後端部側では、ガセット板50、60の後縁部51Cの折り曲げられた面51Dによって画定される。すなわち、この折り曲げられた面51Dが、第1の開口53および第2の開口54のための端縁部を形成する。
【0052】
折り曲げられた面51Dの、第2の開口54の後端縁部を形成する部分は、平坦な形態を有する。
【0053】
他方、折り曲げられた面51Dの、第1の開口53の後端縁部を形成する部分は、屈曲した形態を有する。図4が示すように、この屈曲部は、たとえば140~160度(変形しない状態で)の角度αを相互に形成する2つの腕を有する。すなわち、角度αは、折り曲げられた面51Dの、第1の開口53の部分の変形(この場合は前方への)に対応する。第1の開口53の端縁部は、この場合5~10mmの長さに亘って(すなわち垂直方向Zに実質的に平行な方向に)延在する。
【0054】
実際には、折り曲げられた面51Dの、第1の開口53の後端縁部を形成する部分は、折り曲げられた舌の形態を取る。この折り曲げられた舌の幅は、この場合、たとえば3~5mmである。
【0055】
有利には、この屈曲形態は、低速での自動車両の追突衝撃の場合、第1の開口53を変形させることを可能にする。
【0056】
第2の開口54は、この場合、全体的に二等辺三角形の形状を有する。折り曲げられた面51Dの、第2の開口54の後端縁部を形成する部分は、この2等辺3角形の基底を形成する。この部分は、この場合、5~10mmの長さに亘って延在する。
【0057】
実際には、折り曲げられた面51Dの、第2の開口54の後端縁部を形成する部分は、平坦な舌の形態を取る。この平坦な舌の幅は、たとえばこの場合3~6mmである。
【0058】
図2で分かるように、第1の開口53は、後端縁部とは反対側の部分で局部的に幅が狭まっている。より具体的には、第1の開口53の前端部53Aは幅Hを有する。長手方向Xにおいて、第1の開口53の幅は、この幅Hから最小幅hになるまで局部的に減少する。第1の開口53の幅は、その後再び後端縁部に向かって増加する。
【0059】
有利には、この局部的に幅を狭めることにより、第1の開口53の前端部53Aにボタン穴形態を生じさせる。その結果、このボタン穴形態が、低速追突衝撃の場合のガセット板の脆弱性を増加させることを可能にし、それによって、座席フレーム1を変形させて、衝撃に伴い座席フレーム1によって蓄えられたエネルギーを消散させる。
【0060】
自動車両が低速追突衝撃(たとえば16および24km/h程度の速度での)を受けたとき、衝撃エネルギーが、座席フレーム1に伝えられる。このエネルギーが、第1の開口53での変形を生じ、そのとき、第1の開口の上端部が、衝撃によって伝えられたエネルギーの結果として、座席フレーム1の外側に向かって折り曲げられる(図3)。第1の開口53の変形は、第1の開口53の端縁部51Dの屈曲舌の存在によって引き起こされる。
【0061】
低速の追突衝撃によって伝えられるエネルギーは、第2の開口54を直接損壊させるには不十分なので、したがって、ガセット板を損壊させ、次いで座席フレーム1を弱体化する(その結果、低速追突衝撃によって伝えられたエネルギーを消散することにより座席フレームの変形を生じさせ、座席の占有者に直接衝撃を与えない)ことを可能にするのは、第1の開口53の存在によって生じる脆弱性である。さらに、座席フレーム1の2つのガセット板50、60が対称面Pに対して対称なので、変形が、座席フレーム1の両側で同時かつ実質的に全く同様に行われ、したがって、座席フレーム1の捩じれ現象が抑えられる。
【0062】
自動車両が、高速追突衝撃(たとえば50および90km/h程度の速度での)を受けたとき、衝撃エネルギーが、座席フレーム1に伝えられる。図3が示すように、折り曲げられることによって、2つの開口53および54は、ガセット板を変形させ、完全に損壊させる。第2の開口54が存在することによって、左側ガセット板と右側ガセット板を同時に損壊することが可能になり、それによって、座席フレーム1の捩じれ現象が抑えられる。
【0063】
座席フレーム1の2つのガセット板50、60が対称面Pに対して対称なので、変形が、座席フレーム1の両側で同時かつ実質的に全く同様に行われる。したがって、座席フレーム1の両側間で損壊が不均衡でなくなる。
【0064】
本出願人は、本発明によって提案される低速追突衝撃の場合の解決策が、他の状況に遭遇しても(たとえば高速衝撃の場合に)自動車両の性能を低下させないことを確認している。
【0065】
本発明は、説明され示された実施形態に決して限定されることはなく、当業者は、本発明に適合するいかなる変形形態をも実施形態に加えることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】