(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステムであって及び方法
(51)【国際特許分類】
C13B 20/14 20110101AFI20221215BHJP
C12M 1/32 20060101ALI20221215BHJP
C12P 19/02 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
C13B20/14
C12M1/32
C12P19/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524000
(86)(22)【出願日】2021-02-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2021075695
(87)【国際公開番号】W WO2021160053
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202010087317.9
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 升▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲諸▼葛 ▲ジュン▼
(72)【発明者】
【氏名】程 雨晴
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 新峰
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 家星
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029HA05
4B064AF02
4B064CE11
(57)【要約】
本発明はブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステムに関し、このシステムは、異性化と1回目の脱色を経た後に得られたF42ブドウ糖果糖液糖に順にカチオンとアニオン除去を行うカチオン交換カラム及びアニオン交換カラムと、イオン交換後のF42ブドウ糖果糖液糖に順に濃縮、クロマトグラフィー分離、ブレンド及び2回目の脱色を経た後に得られたF55ブドウ糖果糖液糖に熱交換及び温度低減を行う熱交換器と、熱交換後のF55ブドウ糖果糖液糖に浄化処理を行う混合ベッドカラムと、混合ベッドで処理済みのF55ブドウ糖果糖液糖に濃縮処理を行う蒸発タンクとを含む。本発明は、ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法をさらに開示する。本発明は、イオン交換、混合ベッドの運転モード及びパラメータを最適化させることで、ブドウ糖果糖液糖製品の品質を確保した上で、ブドウ糖果糖液糖製品中のHMFの含有量を低減させ、ブドウ糖果糖液糖製品の品質を向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異性化と1回目の脱色を経た後に得られたF42ブドウ糖果糖液糖に順にカチオンとアニオン除去を行うカチオン交換カラム及びアニオン交換カラムと、イオン交換後のF42ブドウ糖果糖液糖に順に濃縮、クロマトグラフィー分離、ブレンド及び2回目の脱色を経た後に得られたF55ブドウ糖果糖液糖に熱交換及び温度低減を行う熱交換器と、熱交換後のF55ブドウ糖果糖液糖に浄化処理を行う混合ベッドカラムと、混合ベッドで処理済みのF55ブドウ糖果糖液糖に濃縮処理を行う蒸発タンクとを含む、ことを特徴とするブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム。
【請求項2】
前記熱交換器は、互いに直列接続される第1熱交換器と第2熱交換器を含み、前記第1熱交換器と第2熱交換器は、それぞれ、第1入口と第2入口、及び第1出口と第2出口を備え、F55ブドウ糖果糖液糖は、第1熱交換器の第1入口から第1熱交換器に入って第1出口から排出され、第2熱交換器の第1入口から第2熱交換器に入って第1出口から排出された後、送液管路を経由して混合ベッドカラムの入液口に入り、混合ベッドカラムで浄化されたF55ブドウ糖果糖液糖は、混合ベッドカラムの出口から第1熱交換器の第2入口に入り、第1熱交換器の第2出口から排出された後、蒸発タンクの入液口に入り、第2熱交換器の第2入口は、給水管路を介して冷却水と連通し、熱交換後の冷却水は第2熱交換器の第2出口から排出される、ことを特徴とする請求項1に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム。
【請求項3】
前記給水管路には調節弁が設置され、前記送液管路には温度計が設置され、前記調節弁と温度計とは、互いに連携される、ことを特徴とする請求項2に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム。
【請求項4】
澱粉を液化し、糖化し、精製してグルコースシロップを得るステップ1と、
ステップ1でのグルコースシロップをステップ6でのラフィネートと混合し、濃縮してグルコースシロップ溶液を得るステップ2と、
ステップ2でのグルコースシロップ溶液を異性化カラムに入れ、F42ブドウ糖果糖液糖を得るステップ3と、
ステップ3でのF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れてアニオンとカチオンを除去し、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得るステップ4と、
ステップ4で精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮して、F42ブドウ糖果糖液糖完成品を得るステップ5と、
ステップ5でのF42ブドウ糖果糖液糖完成品の42~50%ほどをクロマトグラフィーに入れて分離させ、フルクトースF90ブドウ糖果糖液糖抽出液とラフィネートを得、ラフィネートをステップ2に戻して再利用するステップ6と、
ステップ6でのF90ブドウ糖果糖液糖抽出液をステップ5での一部のF42ブドウ糖果糖液糖完成品とブレンドして、F55ブドウ糖果糖液糖を得るステップ7と、
ステップ7でのF55ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、ステップ9での蒸発タンクの供給温度を上げるために、F55ブドウ糖果糖液糖を混合ベッドカラムに入れる前、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから冷却水と熱交換する二段熱交換方式を用い、2段目の熱交換器の冷却水給水管路には調節弁が設置され、2段目の熱交換器の、混合ベッドカラムと連通する排出管路には温度計が設置され、調節弁と出口温度計とは、連携され、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得るステップ8と、
ステップ8で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、F55ブドウ糖果糖液糖完成品を得るステップ9とを含む、ことを特徴とするブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項5】
ステップ4において、得られた精製されたF42ブドウ糖果糖液糖のフルクトースの含有量は42~45%である、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項6】
ステップ4において、得られた精製されたF42ブドウ糖果糖液糖の排出pHは3.5~8.0、導電率は30μs/cm以下である、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項7】
ステップ5において、得られたF42ブドウ糖果糖液糖完成品の屈折率は58~60%である、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項8】
ステップ7において、F55ブドウ糖果糖液糖のフルクトースの含有量は55~57%である、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項9】
ステップ8において、2段目の熱交換器の排出温度を35~38℃、排出pHを4.0~7.0、導電率を20μs/cm以下、IUを10以下に制御する、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【請求項10】
ステップ9において、F55ブドウ糖果糖液糖完成品における固形物は77%以上である、ことを特徴とする請求項4に記載のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ糖果糖液糖製造の技術分野に属し、特にブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブドウ糖果糖液糖は、主にコーンスターチを原料として生産される重要な甘味剤であり、主にフルクトースとグルコースからなる。従来の生産プロセスは、澱粉を液化、糖化によりグルコースに変換され、グルコースの一部をフルクトースに異性化してF42ブドウ糖果糖液糖に変え、F42ブドウ糖果糖液糖を脱色、イオン交換、濃縮した後、一部をクロマトグラフィーで分離してF90ブドウ糖果糖液糖を得、F42ブドウ糖果糖液糖とF90ブドウ糖果糖液糖をブレンドしてF55ブドウ糖果糖液糖を得、F55ブドウ糖果糖液糖を脱色し、混合ベッドでイオン交換し、濃縮して、質量濃度77%のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得る。
【0003】
ブドウ糖果糖液糖の生産では、グルコースとフルクトースを脱水すると、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を生成し、該物質は、人体骨格筋と内臓に有害であり、該化合物は安定性が低く、ブドウ糖果糖液糖の貯蔵では、重合反応が発生し、特に高温条件において、反応しやすく、製品が黄色くなり、製品の貯蔵寿命に影響を及ぼし、従って、完成品中のHMF含有量が低いほどよい。GB/T 20882-2007では、HMF含有量を要求しないが、ブドウ糖果糖液糖を購入する個々企業のうち、製品中のHMF含有量が75ppm以下であることを要求している企業がある。
【0004】
現在、ブドウ糖果糖液糖におけるHMFを低減させる方法は、主に半製品から除去する方法を用い、最後に完成品に濃縮する。公開番号がCN102326728Aの特許に開示されているブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの除去方法に記載されるように、ブドウ糖果糖液糖半製品に原料液前処理(色度を30RBU以下に制御)を行い、アニオン交換樹脂により吸着し、HMF含有量を5mg/kg未満にし、アニオンとカチオン交換により導電率を5μs/cm、pH値を3~8に制御し、最終的に脱色により、色度を5RBU未満、光透過率を99%より大きく制御し、最終的に濃縮して、質量濃度が75~78%のブドウ糖果糖液糖完成品を得る。しかし、該方法は、製造されたブドウ糖果糖液糖を再処理するため、工程が増え、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム及び方法を提供することであり、ブドウ糖果糖液糖の製造生産では、5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量(HMF)の含有量を指標とし、イオン交換、混合ベッドの運転モード及びパラメータを最適化させることによって、ブドウ糖果糖液糖の製品品質を確保した上で、ブドウ糖果糖液糖製品中のHMFの含有量を低減させ、ブドウ糖果糖液糖製品の品質を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のように実現される。ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステムを提供し、このシステムは、異性化と1回目の脱色を経た後に得られたF42ブドウ糖果糖液糖に順にカチオンとアニオン除去を行うカチオン交換カラム及びアニオン交換カラムと、イオン交換後のF42ブドウ糖果糖液糖に順に濃縮、クロマトグラフィー分離、ブレンド及び2回目の脱色を経た後に得られたF55ブドウ糖果糖液糖に熱交換及び温度低減を行う熱交換器と、熱交換後のF55ブドウ糖果糖液糖に浄化処理を行う混合ベッドカラムと、混合ベッドで処理済みのF55ブドウ糖果糖液糖に濃縮処理を行う蒸発タンクとを含む。
【0007】
ブドウ糖果糖液糖の生産製造では、グルコースとフルクトース、特にフルクトースは、低pHおよび高温条件下でHMFに変換されやすい。カチオン交換カラムにおいてブドウ糖果糖液糖におけるカチオンがH+イオンと交換した後、材料のpHは2~3であり、酸性であり、温度は55~58℃であり、フルクトースは、該条件において、より多くのHMFに変換され、また、HMFは高温条件で着色物質になり、混合ベッド樹脂によるHMFなどへの吸着に影響を与える。本発明は、ブドウ糖果糖液糖におけるHMFの含有量を低減させるために、各生産工程を分析し、イオン交換、混合ベッド工程がそれに有意な影響を与えることを決定する。イオン交換の排出液の指標が合格した場合、イオン交換を、カチオンカラム-アニオンカラム-カチオンカラム-アニオンカラムの2セットの運転モードから、カチオンカラム-アニオンカラムの1セットの運転モードに変更し、ブドウ糖果糖液糖原料液のカチオンカラムでの運転時間を半分減少させ、HMFの生成を効果的に減らすことができる。熱交換工程を追加し、混合ベッドカラムの供給温度を低減させることによって、ブドウ糖果糖液糖におけるHMFが高温によって着色物質に変わるのを防ぎ、混合ベッド樹脂によるHMFへの吸着を改善し、ブドウ糖果糖液糖におけるHMFの含有量を更に低減させる。
【0008】
本発明は、以下のように実現される。ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法を提供し、この方法は、
澱粉を液化し、糖化し、精製してグルコースシロップを得るステップ1と、
ステップ1でのグルコースシロップをステップ6でのラフィネートと混合し、濃縮してグルコースシロップ溶液を得るステップ2と、
ステップ2でのグルコースシロップ溶液の温度を56~58℃、pHを7.7~7.9に調整し、異性化カラムに入れ、F42ブドウ糖果糖液糖を得るステップ3と、
ステップ3でのF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れてアニオンとカチオンを除去し、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得るステップ4と、
ステップ4で精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮して、F42ブドウ糖果糖液糖完成品を得るステップ5と、
ステップ5でのF42ブドウ糖果糖液糖完成品の42~50%ほどをクロマトグラフィーに入れて分離させ、フルクトースの含有量が90%のF90ブドウ糖果糖液糖抽出液とグルコースの含有量が80~85%のラフィネートを得、ラフィネートをステップ2に戻して再利用するステップ6と、
ステップ6でのF90ブドウ糖果糖液糖抽出液をステップ5での一部のF42ブドウ糖果糖液糖完成品とブレンドして、F55ブドウ糖果糖液糖を得るステップ7と、
ステップ7でのF55ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、ステップ9での蒸発タンクの供給温度を上げるために、F55ブドウ糖果糖液糖を混合ベッドカラムに入れる前、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから冷却水と熱交換する二段熱交換方式を用い、2段目の熱交換器の冷却水給水管路には調節弁が設置され、2段目の熱交換器の、混合ベッドカラムと連通する排出管路には温度計が設置され、調節弁と出口温度計とは、連携され、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得るステップ8と、
ステップ8で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、F55ブドウ糖果糖液糖完成品を得るステップ9とを含む。
【発明の効果】
【0009】
従来技術に比べて、本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステム及び方法は、以下の特徴を有する。
【0010】
1.イオン交換カラムの運転圧力を0.2MPa低減させ、樹脂破損率を低減させる。
2.混合ベッドカラム供給温度を38度以下に低減させ、HMFを効果的に制御し、交換量を15~25%向上させる。
3.酸やアルカリの消費、精製水の消費、汚水処理コストなどを全体的に2~6%低減させる。
4.設備を増やさず、生産性に影響を与えない。
5.ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を35~45%低下させ、ブドウ糖果糖液糖製品の品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステムの構造原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が解決しようとする技術課題、技術的解決手段および有益な効果をより明確にするために、以下は、添付の図面および実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。ここに記載の特定の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0013】
図1に示すように、本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させるシステムの好ましい実施形態は、異性化と1回目の脱色を経た後に得られたF42ブドウ糖果糖液糖に順にカチオンとアニオン除去を行うカチオン交換カラム1及びアニオン交換カラム2と、イオン交換後のF42ブドウ糖果糖液糖に順に濃縮、クロマトグラフィー分離、ブレンド及び2回目の脱色を経た後に得られたF55ブドウ糖果糖液糖に熱交換及び温度低減を行う熱交換器3と、熱交換後のF55ブドウ糖果糖液糖に浄化処理を行う混合ベッドカラム(混床式イオン交換塔)4と、混合ベッドで処理済みのF55ブドウ糖果糖液糖に濃縮処理を行う蒸発タンク5とを含む。蒸発タンク5の底部には、F55ブドウ糖果糖液糖完成品出口が設けられる。
【0014】
前記熱交換器3は、互いに直列接続される第1熱交換器6と第2熱交換器7とを含む。前記第1熱交換器6と第2熱交換器7は、それぞれ、第1入口と第2入口、及び第1出口と第2出口を含む。
【0015】
図の矢印に示すように、F55ブドウ糖果糖液糖は、第1熱交換器6の第1入口61から第1熱交換器6に入って第1出口62から排出され、そして、第2熱交換器7の第1入口71から第2熱交換器7に入って、第1出口72から排出された後、送液管路8を経由して混合ベッドカラム4の入液口41に入る。
【0016】
混合ベッドカラム4で浄化されたF55ブドウ糖果糖液糖は、混合ベッドカラム4の出口42から第1熱交換器6の第2入口63に入り、そして、第1熱交換器6の第2出口64から排出された後、蒸発タンク5の入液口51に入る。第2熱交換器7の第2入口73は、給水管路9を介して冷却水と連通し、熱交換後の冷却水は第2熱交換器7の第2出口74から排出される。
【0017】
前記給水管路9には調節弁10が設置され、前記送液管路8には温度計11が設置される。前記調節弁10と温度計11とは、互いに連携され、前記調節弁10は、温度計11の温度に応じて、弁の開度を自動調整する。
【0018】
本発明は、ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法をさらに開示し、ステップ1~ステップ9を含む。
【0019】
ステップ1において、澱粉を液化し、糖化し、精製してグルコースの含有量が95.5~96.5%のグルコースシロップを得る。
【0020】
ステップ2において、ステップ1でのグルコースシロップをステップ6でのラフィネートと混合し、濃縮して屈折率が42~45%のグルコースシロップ溶液を得る。
【0021】
ステップ3において、ステップ2でのグルコースシロップ溶液の温度を56~58℃、pHを7.7~7.9に調整し、異性化カラムに入れ、フルクトースの含有量が42~45%のF42ブドウ糖果糖液糖を得る。
【0022】
ステップ4において、ステップ3でのF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、図の矢印に示すように、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れてアニオンとカチオンを除去し、排出pHが3.5~8.0、導電率が30μs/cm以下の精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得る。
【0023】
ステップ5において、ステップ4で精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮して、屈折率が58~60%のF42ブドウ糖果糖液糖完成品を得る。
【0024】
ステップ6において、ステップ5でのF42ブドウ糖果糖液糖完成品の42~50%ほどクロマトグラフィーに入れて分離させ、フルクトースの含有量が90%のF90ブドウ糖果糖液糖抽出液とグルコースの含有量が80~85%のラフィネートを得、ラフィネートをステップ2に戻して再利用する。
【0025】
ステップ7において、ステップ6でのF90ブドウ糖果糖液糖抽出液をステップ5での一部のF42ブドウ糖果糖液糖完成品とブレンドして、フルクトースの含有量が55~57%のF55ブドウ糖果糖液糖を得る。
【0026】
ステップ8において、ステップ7でのF55ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、混合ベッドカラムに入れる。ステップ9での蒸発タンクの供給温度を上げるために、F55ブドウ糖果糖液糖を混合ベッドカラムに入れる前、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから冷却水と熱交換する二段熱交換方式を用い、2段目の熱交換器の冷却水給水管路には調節弁が設置され、2段目の熱交換器の、混合ベッドカラムと連通する排出管路には温度計が設置され、調節弁と出口温度計とは、連携され、2段目の熱交換器の排出温度を35~38℃、排出pHを4.0~7.0、導電率を20μs/cm以下、IUを10以下に制御し、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得る。
【0027】
ステップ9において、ステップ8で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、固形物が77%以上のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得る。
【0028】
本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法については、特定の実施例と併せて以下にさらに説明する。
【0029】
(実施例1)
本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法の実施例1は、ステップ(11)~(14)を含む。
【0030】
(11)グルコースシロップを異性化した後、温度が57~58℃、フルクトースの含有量が44~44.5%、HMF含有量が14ppmのF42ブドウ糖果糖液糖を得た。
【0031】
(12)ステップ(11)のF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れ、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得、F42ブドウ糖果糖液糖のカチオン交換カラムでの運転時間は約10min、イオン交換後の排出pHは3.5、導電率は25μs/cm、HMF含有量は25ppmであった。
【0032】
(13)ステップ(12)の精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮し、クロマトグラフィーで分離させ、ブレンドして、活性炭で脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得た。混合ベッドカラムに入れる前に、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから、冷却水と熱交換し、ブドウ糖果糖液糖が混合ベッドカラムに入る温度は35~36℃、混合ベッドカラムの排出pHは4.0~4.5、導電率は2μs/cm以下であり、IU=2.0、HMF含有量は14ppmであった。
【0033】
(14)ステップ(13)で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、固形物が77%以上、HMF含有量が23ppm、IUが3.2、pHが3.8。のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得た。
【0034】
(実施例2)
本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法の実施例2は、ステップ(21)~(24)を含む。
【0035】
(21)グルコースシロップを異性化した後、温度が56~57℃、フルクトースの含有量が42~42.5%、HMF含有量が13ppmのF42ブドウ糖果糖液糖を得た。
【0036】
(22)ステップ(21)のF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れ、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得、F42ブドウ糖果糖液糖のカチオン交換カラムでの運転時間は約10min、イオン交換後の排出pHは8.0、導電率は30μs/cm、HMF含有量は20ppmであった。
【0037】
(23)ステップ(22)の精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮し、クロマトグラフィーで分離させ、ブレンドして、活性炭で脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得た。混合ベッドカラムに入れる前に、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから、冷却水と熱交換し、ブドウ糖果糖液糖が混合ベッドカラムに入る温度は36~37℃、混合ベッドカラムの排出pHは6.5~7.0、導電率は12μs/cm以下であり、IU=5.0、HMF含有量は13ppmであった。
【0038】
(24)ステップ(23)で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、固形物が77%以上、HMF含有量が22ppm、IUが5.2、pHが6.3のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得た。
【0039】
(実施例3)
本発明のブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を低減させる方法の実施例3は、ステップ(31)~(34)を含む。
【0040】
(31)グルコースシロップを異性化した後、温度が57~58℃、フルクトースの含有量が43~43.5%、HMF含有量が14ppmのF42ブドウ糖果糖液糖を得た。
【0041】
(32)ステップ(31)のF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れ、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得、F42ブドウ糖果糖液糖のカチオン交換カラムでの運転時間は約10min、イオン交換後の排出pHは6.5、導電率は20μs/cm、HMF含有量は24ppmであった。
【0042】
(33)ステップ(32)の精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮し、クロマトグラフィーで分離させ、ブレンドして、活性炭で脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得た。混合ベッドカラムに入れる前に、混合ベッドカラムの排出と熱交換してから、冷却水と熱交換し、ブドウ糖果糖液糖が混合ベッドカラムに入る温度は37~38℃、混合ベッドカラムの排出pHは5.5~6.0、導電率は以下15μs/cmであり、IU=10.0、HMF含有量は16ppmであった。
【0043】
(34)ステップ(33)で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を蒸発濃縮して、固形物が77%以上、HMF含有量が23ppm、IUが3.2、pHが3.8のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得た。
【0044】
(比較例)
本発明の比較例1は、ステップ(41)~(44)を含む。
【0045】
(41)グルコースシロップを異性化した後、温度が57~58℃、フルクトースの含有量が44~44.5%、HMF含有量が14ppmのF42ブドウ糖果糖液糖を得た。
【0046】
(42)ステップ(41)のF42ブドウ糖果糖液糖を脱色した後、順にカチオン交換カラム、アニオン交換カラム、カチオン交換カラム、アニオン交換カラムに入れ、精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を得、F42ブドウ糖果糖液糖のカチオン交換カラムでの運転時間は20min、イオン交換後の排出pHは3.6、導電率は25μs/cm、HMF含有量は49ppmであった。
【0047】
(43)ステップ(42)の精製されたF42ブドウ糖果糖液糖を濃縮し、クロマトグラフィーで分離させ、ブレンドして、活性炭で脱色した後、混合ベッドカラムに入れ、精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を得た。混合ベッドカラムに入れる温度は58℃、混合ベッドカラムの排出pHは4.2~4.5、導電率は2μs/cm以下であり、IU=2.5、HMF含有量は35ppmであった。
【0048】
(44)ステップ(43)で精製されたF55ブドウ糖果糖液糖を濃縮して、固形物が77%以上、HMF含有量が56ppm、IUが4.0、pHが3.9のF55ブドウ糖果糖液糖完成品を得た。
【0049】
上記の比較例から、本発明の方法を用いてブドウ糖果糖液糖を製造する生産過程において、ブドウ糖果糖液糖における5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量を効果的に低減することができ、その効果が明らかであることが分かった。
【0050】
以下の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則内で行われたいかなる修正、同等置換や改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】