(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】インデックス可能インサートの製造方法および切削工具
(51)【国際特許分類】
B23P 15/28 20060101AFI20221215BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20221215BHJP
B23B 27/22 20060101ALI20221215BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20221215BHJP
B22F 7/00 20060101ALI20221215BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20221215BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20221215BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20221215BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221215BHJP
【FI】
B23P15/28 Z
B23B27/14 B
B23B27/22
B22F10/00
B22F7/00 F
B22F7/00 J
B22F10/66
B22F10/64
B33Y70/00
B33Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524001
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 DE2020100901
(87)【国際公開番号】W WO2021078331
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019130940.9
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019128929.7
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521509136
【氏名又は名称】グーリング ケージー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アニャ クレーン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス バイス
【テーマコード(参考)】
3C046
4K018
【Fターム(参考)】
3C046EE01
3C046FF25
3C046FF32
3C046FF35
3C046JJ06
4K018AD14
4K018AD17
4K018CA44
4K018FA05
4K018FA06
4K018FA08
4K018FA21
4K018HA01
4K018KA15
(57)【要約】
本発明は、インデックス可能インサートを製造する方法であって、a)複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程と、b)インデックス可能インサートの形状で材料の各材料層を結合する工程とを含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インデックス可能インサートを製造する方法であって、
a)複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程と、
b)材料の各材料層を結合してインデックス可能インサートの形状にする工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程は、粉末形状のまたは溶融した材料を用意することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程は、担体材料中に材料を用意することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程は、超硬合金、固体超硬合金、多結晶立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶ダイヤモンド(PCD)またはそれらの組み合わせの群から材料を用意することを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複数の材料層における焼結ベースおよび/または溶融ベースの付加製造方法で使用するための1つの材料層における材料が結合されてインデックス可能インサートの形状にされる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
付加製造方法で使用するための材料の用意が、複数の材料層において行われる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各材料層が、インデックス可能インサートの形状で用意される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
異なる形状の少なくとも2つの材料層が用意される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記材料層は、チップブレーカが形成されるように配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記チップブレーカは、内側および外側に延びる部分を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのコーナーが少なくとも1つの凹部を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記材料層は、前記インデックス可能インサートが上側または下側に輪郭部分を含むように配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記材料層は、インデックス可能インサートの縁部の領域において、0.01mm~0.1mmの範囲の高さおよび幅で適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程は、少なくとも2つの異なる材料を用意することを含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
各材料層を結合するために、材料を所定の温度に加熱して、材料を凝固させる、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記材料の各材料層を結合するために接着剤が使用される、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
複数の材料層における材料の用意の後、用意された各材料層に応じて工程b)が実行される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記インデックス可能インサートを研削する工程を含む、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記インデックス可能インサートの縁部を最小半径で丸める工程を含む、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記インデックス可能インサートの縁部をピーニングする工程を含む、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記インデックス可能インサートを熱処理する工程を含む、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記インデックス可能インサートを、硬質材料、特に摩擦硬質材料でコーティングする工程を含む、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1ないし22のいずれか1項に記載の方法によって製造されたインデックス可能インサートを有する切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ独立請求項に記載のインデックス可能インサートを製造する方法および切削工具に関する。
本発明は、インデックス可能インサートの技術分野に関する。インデックス可能インサートは、例えば、金属または木材を切削するために使用される。
【背景技術】
【0002】
インデックス可能インサート(インデキサブルインサート、割出し可能なインサート、切削工具用交換式刃先(切刃)、転回切削プレート)は、フライスのような工具ホルダに取り付けることができる。インデックス可能インサートは、特定の用途に適合するように、様々な形状およびサイズで用意される。例えば、フライスの場合、インデックス可能インサートがしっかりと取り付けられているフライスヘッドは、切削加工のために回転させられ、回転する切刃縁は、加工されるワークピースと接触させられる。
【0003】
いくつかの切刃を有するインデックス可能インサートを使用する利点は、切刃縁が摩耗して使用不能になるとすぐに、クランプ装置を緩めた後、切削プレートを回転または逆回転させることができ、その結果、新しい切刃を使用することができることである。回転されたインデックス可能インサートは、数回再使用することができる。インデックス可能インサートは、しばしば、3つまたは4つの切刃を有し、その結果、それらは、それらが交換される前に、2回または3回回転され得る。
【0004】
広範囲の可能な用途およびそれに伴う幾何学的形状に関する関連する特定の要件のために、多数の異なるインデックス可能インサートが必要とされている。これは、予備部品の保管に関して特に問題であり、その理由は、対応する多数の異なるインデックス可能インサートを市場で迅速に入手できるようにするためには、それらのインデックス可能インサートの準備が整っていなければならないからである。
【0005】
特許文献1も従来技術から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016108507(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、特に、広範囲のインデックス可能インサートを予備部品として経済的に有利な様式で迅速に保証する、焼結ベースおよび/または溶融ベースの付加製造のための材料で作られたインデックス可能インサートおよびインデックス可能インサートを製造する方法を用意することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、それぞれの独立請求項による、焼結ベースおよび/または溶融ベースの付加製造のための材料で作られたインデックス可能インサートおよびインデックス可能インサートを製造する方法によって達成される。従属請求項の主題は、有利な構成に関する。
【0009】
本発明は、インデックス可能インサートを製造する方法を含み、この方法は、
a)複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意する工程と、
b)材料の各材料層を結合してインデックス可能インサートの形状にする工程と、
を含む。
【0010】
付加製造のための材料を用意すること、および材料層を結合してインデックス可能インサートを形成することにより、特に、予備部品として、広範囲のインデックス可能インサートを用意することが、経済的に有利な様式で保証されるという利点がある。
【0011】
1つの有利な態様によれば、複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意することは、粉末形状のまたは溶融した材料を用意することを含む。粉末形状の材料は、別の工程で固化させることができる。溶融した材料は、冷却するだけで結合させることができる。
【0012】
好ましくは、複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意することは、担体材料中に材料を用意することを含む。担体材料は、有利には、後で除去することができる。
【0013】
さらに好ましくは、複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料を用意することは、超硬合金、固体超硬合金、多結晶立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶ダイヤモンド(PCD)またはそれらの組み合わせの群から材料を用意することを含む。
【0014】
有利には、複数の材料層における焼結ベースおよび/または溶融ベースの付加製造方法で使用するための1つの材料層における材料が結合されてインデックス可能インサートの形状にされる。材料層同士は、同一または異なる形状を有することができる。以下の付加製造方法が特に適している:レーザー焼結(SLS)、ステレオリソグラフィー(SLA)、ポリグラフィー、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザー溶融(SLM)および3D印刷(3DP)。原則として、これらの方法は、インデックス可能インサートの分野における付加製造の利点を適用するのに適している。
【0015】
さらに有利には、付加製造方法で使用するための材料の用意が、複数の材料層において行われる。
【0016】
各材料層が、インデックス可能インサートの形状で用意される場合、特に好ましい。
特に有利には、少なくとも2つの材料層が、異なる形状で用意される。異なる形状はまた、個々の材料層の異なる厚さを含む。
【0017】
また、有利には、チップ(切屑)の移動に影響を及ぼすことができるチップブレーカが形成されるように、材料層を配置する。チップブレーカの形態は変えることができる。
【0018】
前述の有利な態様によれば、チップブレーカは、内側および外側に延びる部分を備える。好ましくは、チップブレーカは、インデックス可能インサートの側面の一部または全部にわたって延在する(湾曲した)凹状輪郭の様式で設計することができる。
【0019】
さらなる有利な態様によれば、インデックス可能インサートは、上側または下側に輪郭部分を含むことができる。頂部で隣接するこのような輪郭部分は、例えば、インデックス可能インサートの中心に向かって下方に傾斜する防波堤(チップブレーカ)のように設計することができ、特に皿穴を含むことができる。
【0020】
有利には、前記材料層は、インデックス可能インサートの縁部の領域において、0.01mm~0.1mmの範囲の高さおよび幅で適用される。
【0021】
少なくとも1つのコーナー(角(かど)、隅)が凹部を含むことが特に好ましい。凹部は、好ましくは、(PCD、CBNで作られた)角張った(三角形または四角形の)切削要素がその中に収容されることができるような形状である。本方法によれば、切削要素は、別々にはんだ付けされるか、または、付加製造方法で(一緒に)製造される。
【0022】
別の有利な態様によれば、複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料の用意は、少なくとも2つの異なる材料の用意を含む。異なる材料は、部分的にまたは交互に交換することができる。
【0023】
有利な態様によれば、各材料層を結合するために、材料を所定の温度に加熱して、材料を凝固させる。所定の温度は、材料の内部構造または相状態を変化させるように選択することができる。
【0024】
材料の各材料層を結合するために接着剤を使用することも好ましい。接着剤は、いくつかの成分を含むことができる。
【0025】
有利には、複数の材料層における材料の用意の後、用意された各材料層に応じて工程b)が実行される。
【0026】
また、本方法が、インデックス可能インサートを研削する工程を含む場合も有利である。研削は、切刃縁の再研削または多段階研削であってもよい。
【0027】
本方法が、インデックス可能インサートの縁部を最小半径で丸める工程を含むことが好ましい。丸みを付けることによって、切刃(主切刃)の寿命を延ばすことができる。
【0028】
有利には、本方法は、縁部をピーニングする工程を含み、それによって、縁部の硬度および強度を改善することができ、および/または、バリ取りを実施することができる。
【0029】
本方法が、インデックス可能インサートを熱処理する工程を含む場合も有利である。熱処理は、材料を硬化させる(材料の内部構造を変化させる)ために使用することができる。
【0030】
本方法が、インデックス可能インサートを、硬質材料、特に摩擦硬質材料でコーティングする工程を含む場合も有利である。
【0031】
本発明の別の態様は、上記の方法によって製造されたインデックス可能インサートを有する切削工具に関する。切削工具の一例はドリルである。
以下、図面に示す例を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態によるインデックス可能インサートを製造する方法のブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態によるチップブレーカを有するインデックス可能インサートの上面図である。
【
図3】
図2のインデックス可能インサートの断面図である。
【
図4】凹部およびそこに配置された切削要素を有するインデックス可能インサートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、インデックス可能インサートを製造する方法が一例として示されている。
本発明による方法において、材料が、インデックス可能インサートを形成するための焼結ベースおよび/または溶融ベースの付加製造において用意され、その結果、広範囲のインデックス可能インサートを経済的に有利な様式で用意することができる。
【0034】
第1の工程では、複数の材料層における付加製造方法で使用するための材料が用意される(工程a)。
【0035】
変形例では、この工程(工程a)で、材料は、粉末形状で用意されてもよく、または溶融されて用意されてもよい。担体材料中に材料を用意することも可能である。材料は、超硬合金、固体超硬合金、多結晶立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶ダイヤモンド(PCD)、またはそれらの組み合わせの群からのものであり得る。
【0036】
例えば、1つのインデックス可能インサートの形状の材料の各材料層、または、異なる形状の少なくとも2つの材料層が、用意され得る。
【0037】
さらに、少なくとも2つの異なる材料を用意することができる。
次の工程では、材料の各材料層が結合されてインデックス可能インサートの形状にされる(工程b)。
【0038】
一変形例では、材料を所定の温度に加熱して、材料を凝固させる。
さらなる変形例では、材料の各材料層を結合するために接着剤が使用される。
複数の材料層における材料の用意の後、用意された各材料層に応じて工程b)が実行されることが可能である。これを何度も繰り返すことができる。
【0039】
一変形例では、本方法は、さらに、インデックス可能インサートを研削する工程を含む(工程c1)。
【0040】
一変形例では、本方法は、さらに、インデックス可能インサートの縁部を丸める工程を含む(工程c2)。
【0041】
一変形例では、本方法は、さらに、インデックス可能インサートの縁部をピーニングする工程を含む(工程c3)。
【0042】
一変形例では、本方法は、さらに、インデックス可能インサートを熱処理する工程を含む(工程c4)。
【0043】
さらなる変形例では、本方法は、さらに、インデックス可能インサートを、硬質材料、特に摩擦硬質材料でコーティングする工程を含む(工程c5)。
【0044】
図2には、インデックス可能インサート1の実施形態が平面図で示されている。インデックス可能インサート1は、外側輪郭に沿ってチップブレーカ2を備え、それに沿って、除去されたチップが案内され、破壊される。この目的のために、チップブレーカ2は湾曲しているか、または凹状である。
【0045】
図3には、
図1のインデックス可能インサート1の断面図が示されている。有利な例によれば、側壁に沿ったチップブレーカ2の湾曲は、ここでは、インデックス可能インサート1の側面全体にわたって形成されている。
【0046】
図4には、チップブレーカのように上側に輪郭部分5を有するインデックス可能インサート1の別の例が示されている。この場合、上側は、周囲の隆起した輪郭部分5を含み、その中心は、結果として生じるチップ(切屑)を防波堤のように案内してそれによって破壊するために、下げられている。
【0047】
図示された例では、インデックス可能インサート1は、各コーナーおよび頂部および底部に、三角形の凹部4を有する。凹部4には、三角形の切削要素(PCD、CBN)が収容されるように配置されている。この方法によれば、インデックス可能インサートは、別々にはんだ付けされるか、または、相応の工程において付加製造方法で形成される。
【国際調査報告】