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特表2022-553403ワークピースを研削かつ旋削する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ワークピースを研削かつ旋削する方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/04 20060101AFI20221215BHJP
   B24B 5/06 20060101ALI20221215BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20221215BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20221215BHJP
   B23B 5/00 20060101ALI20221215BHJP
   B23B 25/06 20060101ALI20221215BHJP
   F16C 33/64 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B24B5/04
B24B5/06
B24B41/06 J
B24B49/10
B23B5/00 Z
B23B25/06
F16C33/64
B24B41/06 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524093
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020056273
(87)【国際公開番号】W WO2021080902
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/925,285
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522163850
【氏名又は名称】ファイブズ・ランディス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ハイクス,ティモシー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】メッツラー,ジョエル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ニーダム,ジョセフ・ロバート
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C045
3J701
【Fターム(参考)】
3C034AA01
3C034AA05
3C034AA13
3C034BB73
3C034BB91
3C034CA04
3C034CA13
3C034CB01
3C034CB14
3C034DD07
3C043AA01
3C043AA11
3C043AB09
3C043CC03
3C043DD05
3C043DD06
3C045CA12
3C045DA18
3C045EA14
3C045HA05
3J701AA01
3J701AA62
3J701BA53
3J701BA54
3J701DA11
3J701DA20
3J701FA44
(57)【要約】
軸受ワークピースなどのワークピースを研削または旋削する方法は、いくつかのステップを伴う。1つのステップは、軸受ワークピースをチャック上に配置することであり、チャックの回転軸が軸受ワークピースの軸に対して偏心して位置決めされた状態で、軸受ワークピースをチャック上に配置することを含む。もう1つのステップは、チャックの回転軸と軸受ワークピースの軸との間の偏心した位置に基づいて、チャックの回転軸と軸受ワークピースの軸との間のオフセットを決めることを含む。さらもう1つのステップは、チャックの回転軸と軸受ワークピースの軸との間の予め決められたオフセットに基づいて、軸受ワークピースに対する研削砥石の係合経路を決めることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの環状部分を有する金属ワークピースを研削する方法であって、
前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップであり、前記少なくとも1つの環状部分において前記チャックの回転軸が前記ワークピースの軸に対して偏心して位置決めされた状態で、前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップと、
前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の中心を外れた位置の結果として、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間のオフセットを決めるステップと、
前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記決められたオフセットに基づいて前記ワークピースに対する研削砥石の係合経路を決めるステップと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースは軸受ワークピースである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記軸受ワークピースの外径、前記軸受ワークピースの内径、前記軸受ワークピースの軌道、前記軸受ワークピースのリブ、前記軸受ワークピースの面取部、または前記軸受ワークピースの溝で、前記軸受ワークピースを前記研削砥石に係合するステップをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップは、前記ワークピースを少なくとも1つの中心合わせV字部材に係合するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップは、シューが関与しない、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記チャックは磁気チャックである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記オフセットを決めるステップは、極座標系を使用して前記オフセットを決めるステップを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記オフセットを決めるステップは、接触または非接触センサを介して前記オフセットを決めるステップを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記オフセットを決めるステップは、前記ワークピースの直径を測定するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記オフセットを決めるステップは、軸受ワークピースの軸を決めるステップを含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記ワークピースの前記軸を決めるステップは、最小二乗適合アプローチを介して前記ワークピースの前記軸を決めるステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースに対する前記研削砥石の前記決められた係合経路は、単に、前記ワークピースへ向かう、および前記ワークピースから離れる前記研削砥石の往復係合経路である、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースに対する前記研削砥石の前記決められた係合経路は、前記ワークピースへ向かう、および前記ワークピースから離れる前記研削砥石の水平な係合経路である、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記ワークピースに対する前記研削砥石の前記決められた係合経路は、前記ワークピースの非環状部分の係合であり、前記係合経路は、前記少なくとも1つの環状部分に対する前記非環状部分の基準位置に基づいて決められる、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記チャックに対する前記ワークピースの望ましくない動きを排除するために、ある閾値力未満の、前記ワークピースへ垂直に向けられた研削力を維持するステップをさらに含む方法。
【請求項16】
少なくとも1つの環状部分を有するワークピースを旋削する方法であって、
前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップであり、前記少なくとも1つの環状部分において前記チャックの回転軸が前記ワークピースの軸に対して偏心して位置決めされた状態で、前記ワークピースを前記チャック上に配置するステップと、
前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の中心を外れた位置の結果として、前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間のオフセットを決めるステップと、
前記チャックの前記回転軸と前記ワークピースの前記軸との間の前記決められたオフセットに基づいて前記ワークピースに対する旋削工具の係合経路を決めるステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
[001]本願は2019年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/925,285号の優先権を主張する特許協力条約国際特許出願であり、その内容全体は参照することによりここに含まれる。
【0002】
[002]本開示は、一般に、金属ワークピースの製造に関し、より詳細には、金属軸受ワークピースおよび環状部分を有する他の金属ワークピースを研削かつ旋削する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]軸受は、部品間の相対運動、ほとんどの場合、回転運動を伴う2つの部品間の摩擦を低減するために使用される機械装置である。種類に応じて、軸受部品は、内部軸受リングおよび外部軸受リングを含むことができる。軸受リングおよび他の部品を研削かつ仕上げする製造作業に起因する表面品質および緊密な寸法精度は、軸受の寿命を確保するための鍵となる。研削は典型的に、軸受リングの内径および外径、ならびに軌道、リブ、面取部および溝に対して必要に応じて行われる。研削は、典型的に、環状部分を有する他の金属ワークピースに対しても行われる。
【0004】
[004]シューセンターレスアプローチとして知られる軸受リングを研削する従来のアプローチは、磁気チャック上の中心から外れた位置で軸受リングを保持することを含む。軸受リングはシューによって所定の位置に保持される。十分ではあるが、このアプローチには欠点がないわけではない。研削効果は、研削砥石とワークピースとの接触角度とシューとワークピースとの接触角度との関係に非常に影響を受ける。また、研削砥石は時間とともに摩耗する傾向があるので、良好な研削条件を維持することがますます困難となる。これらの関係には、高度に熟練したオペレータによる厳密かつ時間のかかる設定工程が必要である。設定工程が煩雑であるため、シューセンターレスアプローチは、生産量が多い製造作業には最も理想的であり、生産量が少ない製造作業および切り替えと柔軟性の向上を必要とする作業にはあまり適していない。
【0005】
[005]軸受リングを研削または旋削するためのもう1つの既知のアプローチは、金槌で軸受リングに手動でねじを切るか、またはコンピュータで数値制御(CNC)された押出装置で軸受リングを動かすことによって、軸受リングを磁気チャックの中心に合わせて置くことを含む。ここでも、このアプローチは欠点を有する。これも厳密かつ時間のかかる設定工程を必要とする。このアプローチは、生産量が少ない製造作業に採用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006]ワークピースを研削または旋削する方法の実施は、いくつかのステップを伴い得る。ワークピースは、1つまたは複数の環状部分を有する。1つのステップは、ワークピースをチャック上に配置することであり、前記環状部分においてチャックの回転軸がワークピースの軸に対して偏心して位置決めされた状態で、ワークピースをチャック上に配置することを含み得る。もう1つのステップは、チャックの回転軸とワークピースの軸との間の偏心した位置に基づいて、チャックの回転軸とワークピースの軸との間のオフセットを決めることを含み得る。さらにもう1つのステップは、チャックの回転軸とワークピースの軸との間の予め決められたオフセットに基づいて、ワークピースに対する研削砥石の係合経路を決めることを含み得る。
【0007】
[007]ワークピースを旋削する方法のもう1つの実施は、いくつかのステップを伴い得る。ワークピースは、1つまたは複数の環状部分を有する。1つのステップは、ワークピースをチャック上に配置することであり、少なくとも1つの環状部分においてチャックの回転軸がワークピースの軸に対して偏心して位置決めされたチャックの回転軸でワークピースをチャック上に配置することを含んでもよい。もう1つのステップは、チャックの回転軸とワークピースの軸との間の中心を外れた位置の結果として、チャックの回転軸とワークピースの軸との間のオフセットを決めることを含んでもよい。そして、もう1つのステップは、チャックの回転軸とワークピースの軸との間の決められたオフセットに基づいてワークピースに対する旋削工具の係合経路を決めることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[008]軸受ワークピースを研削する方法における1つのステップの実施形態の概略図である。
図2】[009]軸受ワークピースを研削する方法の上記ステップの概略図である。
図3】[0010]軸受ワークピースを研削する方法のもう1つのステップの概略図である。
図4】[0011]軸受ワークピースを研削する方法のさらにもう1つのステップの概略図である。
図5】[0012]軸受ワークピースを研削する方法のさらにもう1つのステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]ここで図を参照すると、軸受ワークピースを研削かつ旋削する方法の実施形態が概略的に図示され、本明細書に説明される。これまでのアプローチと比較して、本明細書で述べる方法は、1~1000個の部品を生産するような、より少ない生産量の製造作業に、より適しているが、より生産量の多い製造作業にも適している。軸受ワークピースを研削かつ旋削する方法は、これまでのアプローチよりも設定工程が迅速であり、いかなる程度の軸受ワークピースの手動操作も必要とせず、軸受ワークピースを所定の位置に保持するためにシューを完全に使用しなくてもよい。したがって、切り替えの増加と製造作業の柔軟性の向上が達成される。軸受ワークピースを研削かつ旋削する方法は、これまでのアプローチよりも効率的かつ効果的である。この方法は、様々な実施形態において、および本明細書に説明されるものよりも、場合によっては研削または旋削作業の対象となる精密な軸受ワークピースに応じて、より多く、より少ない、および/または異なるステップを有することができる。
【0010】
[0014]図1および2は、本方法における第1のステップの実施形態を示す。第1のステップは、軸受ワークピース10をチャック12上に位置決めすることを含む。軸受ワークピース10は、内部軸受リング、外部軸受リング、または何らかの他の金属環状軸受部品であり得る。チャック12は本実施形態では磁気チャックであるが、チャック12は機械式チャックなどの別種のチャックであってもよい。磁気チャックの1つの利点は、シューなしで採用された場合、軸受ワークピース10の領域は、シュー、固定具、または他の保持物体で研削することが物理的に妨げられないということである。また、いくつかの実施形態では、シュー、固定具、または他の保持物体を、本明細書に詳述される方法で使用することができる。軸受ワークピース10は、ロボット工学、統合ローダ、またはオペレータによる手作業などの自動または手動技術を介して、チャック12の裏板14上の定位置に最初に直接、設置することができる。この段階では、軸受ワークピース10は、軸受ワークピース10が機械加工かつ硬化され、その平坦な面が円盤によって研削された、いわゆる黒色状態であり得る。一旦所定の位置に設置されると、チャック12は、配置するステップのために軸受ワークピース10を最初に軽く保持することができる。
【0011】
[0015]軸受ワークピース10をチャック12上に配置することは、おおよそ大まかに、軸受ワークピース10をチャック12の中心に合わせて置くことである。いくつかの実施形態では、例えば、チャック12の回転軸16は、結果として、おおよそ1.0ミリメートル(mm)またはおおよそ50マイクロメートル(μm)以内の最適な同心度だけ、軸受ワークピース10の軸18に対して、偏心して、中心から外れて片寄る位置に設けられる。チャック12は、使用時、その回転軸16を中心として回転し、軸受ワークピース10の軸18は、その円形の中心軸である。中心から外れて(偏心して)位置決めしたため、軸18は、チャック12が回転すると、偏心経路を移動する。大まかに中心に合わせて置くことは、この実施形態では、一対の中心合わせV字部材、すなわち、一体になり(図2)軸受ワークピース10に係合し軸受ワークピース10をチャック12に対しておおよその中心位置に導く第1の中心合わせV字部材20および第2の中心合わせV字部材22を介して行われる。第1および第2の中心合わせV字部材20、22は、その後、後戻りする。おおよその中心位置では、チャック12の回転軸16と軸受ワークピース10の軸18とはわずかにずれて互いに対して片寄る。また、軸受ワークピース10をチャック12上に配置して大まかに中心に合わせて置くための他の種類の手順が可能であり、例えば、配置して大まかに中心に合わせて置くことは、シュー要素中心合わせ機構および/または接触部材を介して行うことができる。配置して大まかに中心に合わせて置くための、どのような種類の手順が採用されても、一旦チャック12が締められると、軸受ワークピース10に対する保持力が強まる。磁気チャックの例では、磁気設定を大きくして、おおよそ1平方センチメートル当たり100~150ニュートン(N/cm)の範囲にすることができる保持運動を行うが、当然、他の保持力の大きさも可能である。
【0012】
[0016]図3および4は、軸受ワークピース10を研削かつ旋削する方法におけるもう1つのステップの実施形態を示す。このステップは、チャック12の回転軸16と軸受ワークピース10の軸18との間のオフセット24を決めることを含む。オフセット24は、前のステップの、配置して大まかに中心に合わせて置く手順の結果である。オフセット24を決めるこのステップは、異なる実施形態における様々な技術を含むことができる。一実施形態では、プローブ26が採用されて軸受ワークピース10の外径28の測定値をとる。外径28を測定することは、外径上で研削または旋削作業を行うための準備であり、軸受ワークピース10の内径を研削または旋削するために、別の例として、内径が測定の対象となり得る。プローブ26は、接触ベースまたは非接触ベースの測定装置であり得る。例えば、プローブ26は、いくつか例を挙げると、線状可変差動変圧器(LVDT)ゲージ、渦電流プローブ、エンコーダプローブ、誘導センサ、レーザ三角測量センサ、または共焦点センサであり得る。図4は、軸受ワークピース10の例の外径28のプローブ26により取られた複数の測定値30を概略的に示したものである。本実施例におけるプローブ26は誘導プローブ型であった。測定値30は、軸受ワークピース10がチャック12を介して回転するように駆動されると、取られ、測定装置が静止したままである場合、または、代替として、測定装置自体が軸受ワークピース10の周りを回転することができるが、正確な測定技術は、使用される測定装置によって決まる可能性がある。この実施形態では、コンピュータ数値制御(CNC)の制御装置などの制御装置32(図3)は、測定値30を受信し、極形式のデータ表を介して極座標系(θ、r)を生成する。次いで、計算は、軸受ワークピース10の軸18の位置および配置を決めるために、制御装置32で行うことができる。正確な計算は、オフセット24の予想される大きさによって決められてもよい。すなわち、例えば、測定値30に基づく最小二乗適合アプローチが、軸受ワークピースの軸18を決めるために利用することができ、または別の同様のアルゴリズムを使用することができる。また、オフセット24の、より小さく予想された大きさのために、測定値30の平均値が、オフセット24のベクトル長およびオフセット24の角度の最小/最大の位置を決めるために利用することができる。軸受ワークピース10の軸18が一旦決められると、その位置はチャック12の回転軸16の位置と比較される。チャック12の回転軸16は、使用するために選択された特定のチャックおよびそのワークヘッドの中心に基づいて既知の値を有することができる。
【0013】
[0017]軸受ワークピース10を研削かつ旋削する方法におけるもう1つのステップが図5に示されている。このステップは、軸受ワークピース10に対する研削砥石36の係合経路34を決めることを含む。この決定は、チャックの回転軸16と軸受ワークピースの軸18との間の予め決められたオフセット24に基づく。係合経路34は、研削作業時に軸受ワークピース10から材料を除去するために軸受ワークピース10に係合するように研削砥石36が移動する移動線である。係合経路34は研削砥石36を導いて、軸受ワークピース10の外径28または軸受ワークピース10の内径、ならびに軸受ワークピース10の軌道、リブ、面取部および溝に、必要に応じて研削を行う。オフセット24により、軸受ワークピース10は、チャック12が使用中に回転するにつれて偏心経路を中心として回転する。研削砥石36は、軸受ワークピース10との接触点を維持するために、回転する軸受ワークピース10の偏心経路を収容するように、その決められた係合経路34に沿って移動する。したがって、研削砥石36と軸受ワークピース10との間の接触点は、軸受ワークピース10の全周にわたって維持される。係合経路34は、制御装置32で決められる。研削砥石36の移動は、1つまたは複数のサーボモータ、または研削砥石36と作業可能に相互作用する何らかの他の種類の機構を介して行うことができる。本実施形態では、係合経路34は線状経路であり、単に、軸受ワークピース10へ向かう、および軸受ワークピースから離れる研削砥石36の往復経路である。言い換えると、研削砥石36は、前後に移動するだけである。その前後移動は、図5に示されているように水平であるが、非水平経路を含む軸受ワークピース10に対して法線方向に配置された任意の線状経路に沿っている可能性がある。
【0014】
[0018]オフセット24に加えて、係合経路34を決めることは、係合経路34の決定、および研削砥石36と軸受ワークピース10との間の接触点を維持することに影響を及ぼす他の要因を考慮に入れることができる計算である。異なる実施形態では、いくつかの実例において、本方法で採用される精密チャック12に応じて、係合経路34の決定は、砥石スピンドルの中心線高さ誤差などの特定の幾何学的誤差に対する補正係数、研削砥石36の直径の補償、および/または、他の可能な要因の中で、回転軸16のチャック12や、より大きなチャック機の固有の不正確さおよび公差に基づく補正係数を含むことができる。さらに、シューのない実施形態では、軸受ワークピース10の真円度の精度を確保するために、チャック12はサブミクロンの回転精度を示すように選択されてもよい。静水圧ワークスピンドルまたは研削砥石スピンドルは、いくつかの実施形態では、必要とされてもよい。特定の実施形態ではまた、スクラバーが、研削砥石36の清浄度を補うために採用することができる。
【0015】
[0019]また、本方法の他の実施形態は、追加的および/または異なるステップを伴い得る。例えば、実施形態では、本方法は、作業中およびチャック12に対する裏板14上での軸受ワークピース10の望ましくない動きを排除するために、ある閾値力を下回る研削力GF(図5)を維持することを含むことができる。この研削力GFは、図5に示すように、軸受ワークピース10へ垂直に向けられる。閾値力は、磁気チャックの選択肢が使用されるとき、および軸受ワークピース10を保持するためにシューを使用しないときに、磁気チャックの保持行使を克服するものであり得る。さらに、本方法の実施形態では、本方法は、軸受ワークピース10を、従来のように異なる部位で個別かつ離散チャック機設定に導入しなければならないというよりもむしろ、単一のチャック12で、より微細な研磨剤の研削砥石を用いて繰り返し再実行されることができる。
【0016】
[0020]説明したように、本方法およびその様々なステップは、軸受ワークピース10を研削するため、または軸受ワークピース10を旋削するために採用することができる。旋削作業のためには、研削砥石36に代えて、切削工具が、軸受ワークピース10に係合し、ワークピースから材料を除去するために使用されてもよい。旋削は、軸受ワークピース10の外径28または軸受ワークピース10の内径に対して、ならびに軸受ワークピース10の軌道、リブ、面取部や溝に対して、必要に応じて行うことができる。
【0017】
[0021]また、さらに、研削および旋削するための方法および方法の様々なステップは軸受ワークピースを参照して記載されてきたが、本方法は、より広い適用範囲を有し、環状部分を有する非軸受金属ワークピースに対して実施することができる。さらに、本方法は、航空宇宙用途に見られるような特定の軸受ワークピース上の非環状プロファイル部分に対して実施することができる。この実施例用途では、軸受ワークピースの環状プロファイル部分は、非環状プロファイル部分の研削または旋削の基準位置として機能する。前述のステップでは、最初のステップは記載されたとおりに行われ、すなわち、軸受ワークピースは、その環状プロファイル部分を介してチャック上に配置される。次のステップは、記載したように、環状プロファイル部分の測定を行うことによって、チャックの回転軸と軸受ワークピースの軸との間のオフセットを決めることを含むであろう。その後のステップでは、先に記載されていないが、非環状プロファイル部分に対する環状プロファイル部分の基準位置は、研削砥石または切削工具の係合経路を決めるステップへ組み込まれることになる。実施例では、非環状プロファイル部分に対する環状プロファイル部分の基準位置は、2つの部分の間の軸方向の変位および/または2つの部分の間の径方向の変位、または軸受ワークピースから材料を除去するために係合経路上で砥石/工具を動かす前の研削砥石または切削工具の何らかの他の変位であり得る。
【0018】
[0022]以上、方法を説明したが、様々な修正および変更が当業者であれば考え付き、その修正および変更は添付の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】