(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】がんの処置のための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/25 20060101AFI20221215BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221215BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221215BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/664 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20221215BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20221215BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/185 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20221215BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K31/25
A61K45/00
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K31/704
A61K31/664
A61K31/513
A61K33/24
A61K31/365
A61K31/185
A61K31/7068
A61K31/138
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524928
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 IB2020060104
(87)【国際公開番号】W WO2021084441
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516343099
【氏名又は名称】エンジーケム ライフサイエンシーズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ENZYCHEM LIFESCIENCES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ソン,キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ファ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ソン ヨン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA14
4C085BB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086CA01
4C086DA38
4C086EA10
4C086EA17
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB04
4C206DB06
4C206DB07
4C206DB48
4C206FA05
4C206JA52
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
(57)【要約】
一態様では、固形腫瘍などの新生物を処置するための方法および組成物であって、該方法および組成物は、a)チェックポイント阻害剤またはドキソルビシンおよび/もしくはシクロフォサミドなどの1つまたは複数の化学療法剤、ならびにb)1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロール(PLAG)などのモノアセチルジアシルグリセロール化合物を含む、方法および組成物が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんに罹患している対象を処置するための方法であって、前記対象に、
a)1つまたは複数の化学療法剤、および
b)式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物:
【化1】
式中、R1およびR2は、独立して、14~20個の炭素原子を含む脂肪酸基であり、前記式(I)の化合物は、前記a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、
を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤が免疫チェックポイント阻害剤因子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤因子が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤がドキソルビシンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤がシクロホスファミドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤がAC-レジメンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤が、5-FU、シスプラチン、エトポシド、イホスファミド、メスナ、ゲムシタビンおよび/またはタモキシフェンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モノアセチルジアシルグリセロール化合物が式IIの化合物:
【化2】
である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)式(I)の化合物が実質的に同時に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)式(I)の化合物が順次に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が乳がんに罹患している、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が固形腫瘍を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
乳がんに罹患している対象を処置するための方法であって、前記対象に、
a)ドキソルビシンおよび/またはシクロフォサミド、ならびに
b)式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物:
【化3】
式中、R1およびR2は、独立して、14~20個の炭素原子を含む脂肪酸基であり、前記式(I)の化合物は、前記1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、
を投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記対象がAC-レジメンを投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モノアセチルジアシルグリセロール化合物が、式IIの化合物:
【化4】
である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記a)ドキソルビシンおよび/またはシクロフォサミドならびにb)式(I)の化合物が実質的に同時に投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記a)ドキソルビシンおよび/またはシクロフォサミドならびにb)式(I)の化合物が順次に投与される投与される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が腫瘍細胞の数の減少(decreased)をもたらす、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象がヒトである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象がまた、放射線、追加の化学療法、手術、治療抗体、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、汎DAC阻害剤、H-DAC阻害剤、チェックポイント阻害剤、CAR TおよびNK細胞療法を含む養子細胞療法ならびに/またはワクチンで処置される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
がんの処置のためのキットであって、
a)1つまたは複数の化学療法剤;および
b)式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物:
【化5】
式中、R1およびR2は、独立して、14~20個の炭素原子を含む脂肪酸基であり、前記式(I)の化合物は、前記a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、
を含む、キット。
【請求項23】
前記a)1つまたは複数の化学療法剤が免疫チェックポイント阻害剤因子を含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤因子が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤を含む、請求項23または24に記載のキット。
【請求項26】
がんの処置のためのキットであって、
a)ドキソルビシンおよび/またはシクロフォサミド、および
b)式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物:
【化6】
式中、R1およびR2は、独立して、14~20個の炭素原子を含む脂肪酸基であり、前記式(I)の化合物は、前記a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、キット。
【請求項27】
がんの処置のための指示書をさらに備える、請求項22~26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記指示書が、書面の製品挿入物または製品ラベルである、請求項27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記指示書が乳がんの処置のためのものである、請求項27または28に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様では、腫瘍などの新生物を処置するための方法および組成物が提供され、該方法および組成物は、a)AC-レジメンなどの1つまたは複数の化学療法剤およびb)1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロール(PLAG)などのモノアセチルジアシルグリセロール化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
がんは、異常で、制御されない細胞増殖を特徴とする。がんは体内の任意の組織を巻き込むことができ、原発組織の外側に広がり得る。
【0003】
制御されない増殖およびその他の細胞異常は、がん性腫瘍の形成をもたらし得る。腫瘍は、腫瘍の起源となる組織の機能を破壊し、腫瘍の起源となる組織を破壊することができ、がん細胞が転移すると、二次性腫瘍が一次成長の部位の近くまたは遠くに発生し得る。がんの原因は、様々な化学物質、ウイルス、細菌および環境曝露に関連している。
【0004】
したがって、改善されたがん治療法を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様では、本発明者らは、がんに罹患している患者の処置および予防のための新しい治療法をここに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、患者中の腫瘍増殖を減少または抑制するための方法および組成物であって、式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物の投与とともに1つまたは複数の化学療法剤を投与することを含み、式(I)の化合物は、前記1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、方法および組成物が提供される。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の化学療法剤の協調(coordinated)投与が、腫瘍サイズ/負荷を減少させる上で相乗効果をもたらし得ることを見出した。例えば、以下の実施例1および3の結果を参照されたい。
【0008】
一態様では、本方法は、腫瘍または他の新生物を有するヒトなどの対象に、治療有効量の、
a)1つまたは複数の化学療法剤、および
b)式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物:
【化1】
式中、R1およびR2は、独立して、14~20個の炭素原子を含む脂肪酸基である、
を投与することを含む。b)式(I)の化合物は、a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる。a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)式(I)の化合物は、組み合わせてまたはその他の協調的な様式で患者に適切に投与される。
【0009】
好ましい態様では、b)モノアセチルジアシルグリセロールは、式IIの化合物:
【化2】
である。
式(II)の化合物は、本明細書において、PLAG(1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロール)、PLAGまたはEC-18とも呼ばれる。
【0010】
好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤は、PLAGに加えて、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤化合物または因子を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体またはその断片を含む抗体またはその断片である。
【0011】
本組成物および方法において使用するための好ましいチェックポイント阻害剤因子としては、ペンブロリズマブ(Keytruda)、ニボルマブ(Opdivo)およびセミプリマブ(Libtayo)などのPD-1阻害剤が挙げられる。本組成物および方法において使用するためのさらなる好ましいチェックポイント阻害剤因子としては、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)およびデュルバルマブ(Imfinzi)などのPD-L1阻害剤が挙げられる。本組成物および方法において使用するためのさらなる好ましいチェックポイント阻害剤因子としては、イピリムマブ(Yervoy)などのCTLA-4阻害剤が挙げられる。
【0012】
特定の好ましい態様では、チェックポイント阻害剤はPD-L1阻害剤である。本発明者らは、驚くべきことに、式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数のチェックポイント阻害剤因子の協調投与が、減少した腫瘍サイズ/負荷を含む、がん処置効果における相乗効果をもたらし得ることを見出した。以下の実施例3を参照されたい。
【0013】
特定の好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤はドキソルビシンを含む。
【0014】
さらなる好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤はシクロホスファミドを含む。
【0015】
特定の態様では、1つまたは複数の化学療法剤は、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドの両方を含み、これらの因子は、少なくとも実質的に同時にまたは順次に投与され得る。
【0016】
さらなる好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤は、5-FU(5-フルオロウラシル)および/またはシスプラチンを含む。
【0017】
特に好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤は、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)などのドキソルビシンおよびシクロホスファミドを含むACレジメンを含む。
【0018】
特に好ましい態様では、1つまたは複数の化学療法剤は、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)などのドキソルビシンおよびシクロホスファミドを含み、パクリタキセル(タキソール)による処置が続くAC-TまたはAC-タキソールレジメンを含む。
【0019】
本方法に従って対象に投与され得る他の化学療法剤としては、例えば、シクロホスファミド、エトポシド、イホスファミド、メスナ、ゲムシタビンおよび/もしくはタモキシフェン、または1つもしくは複数の他の化学療法剤が挙げられる。
【0020】
特定の実施形態では、本発明の処置アプローチはまた、以下の治療法のいずれとも組み合わされ得る:放射線、化学療法、手術、治療抗体、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、汎DAC(pan-DAC)阻害剤、H-DAC阻害剤、チェックポイント阻害剤、CAR TおよびNK細胞療法を含む養子細胞療法ならびにワクチン。
【0021】
本発明の特定の態様では、a)1つまたは複数の化学療法剤は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を含まない。特定の態様では、対象は、本明細書に開示される方法、組成物もしくはキットの一部として、または本明細書に開示される方法、組成物もしくはキットとともに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与されない。ある特定の態様では、対象は、a)1つもしくは複数の化学療法剤およびb)本明細書で開示される式(I)の化合物で処置される前に、少なくとも0.5、1、2、3、4、6、8週間もしくはそれを超えて顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与されておらず、ならびに/または対象は、a)1つもしくは複数の化学療法剤およびb)本明細書で開示される式(I)の化合物で処置された後に、少なくとも0.5、1、2、3、4、6、8週間もしくはそれを超えて顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与されていない。
【0022】
さらなる態様では、a)ドキソルビシンおよび/または1つもしくは複数のチェックポイント阻害剤化合物などの1つまたは複数の化学療法剤、ならびにb)a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、PLAG(1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロール)などのモノアセチルジアシルグリセロール化合物を含む薬学的組成物が提供される。
【0023】
なおさらなる態様では、固形腫瘍を含む新生物を処置または予防するために使用するためのキットが提供される。本発明のキットは、適切には、a)1つまたは複数の化学療法剤、およびb)a)1つまたは複数の化学療法剤とは異なる、PLAG(1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロール)などのモノアセチルジアシルグリセロール化合物を含み得る。好ましくは、キットは、a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)PLAGなどのモノアセチルジアシルグリセロール化合物の各々の治療有効量を含む。好ましいキットはまた、乳がんを含む固形腫瘍などの新生物を処置するための、a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)PLAGなどのモノアセチルジアシルグリセロール化合物の使用のための説明書を備え得る。説明書は、適切には、製品ラベルを含む、書面形式であり得る。
【0024】
本発明の方法、組成物およびキットは、様々なタイプの新生物およびがんに罹患している対象を処置するために使用され得る。特定の態様では、方法、組成物およびキットは、乳がんに罹患している対象を処置するために使用され得る。
【0025】
特定の態様では、本発明の方法は、固形腫瘍または乳がんなどの新生物に罹患している対象を同定および選択すること、次いで、選択された対象に、a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)PLAGなどのモノアセチルジアシルグリセロール化合物を投与することを含む。
【0026】
論述されるとおり、特定の態様では、本明細書に開示される組成物およびキットは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を含まない。
【0027】
本発明の他の態様は、以下に開示されている。
【0028】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。(1つまたは複数の)カラー図面を伴う本特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、PLAGおよびAC-レジメンの同時処置を使用して腫瘍の治療的有効性に対する相乗効果を調べるための例示的な実験デザインを示す。
【
図2】
図2A~2Jは、PLAGおよびACレジメンを同時投与することの相乗効果を示す。陽性対照と比較して:*P<0.05、***P<0.001(各実験n=5)。 レジメン処置群と比較して:#P<0.05、##P<0.01(各実験n=5)。N.S.、有意でない)
図2Aは、AC-レジメン処置(2/20)およびPLAG同時処置中の異種移植マウスにおける毎週記録された腫瘍量の変化を示す。
図2Bは、屠殺日に測定された
図2Aからの各群の腫瘍重量の分析を示す。
図2Cは、
図2Aに示されているAC-レジメン(2/20)およびPLAG同時処置中の異種移植マウスにおける腫瘍量を示す。
図2Dは、
図2AのAC-レジメン処置(2/20)およびPLAG同時処置後の屠殺されたマウスにおける腫瘍組織の染色およびアポトーシス関連タンパク質発現を示す。
図2Eは、
図2Aに示されているAC-レジメン(2/20)およびPLAG同時処置後の屠殺時の腫瘍組織におけるアポトーシス関連タンパク質発現レベルの変化を示す。
図2Fは、AC-レジメン処置(5/50)およびPLAG同時処置中の異種移植マウスにおける毎週記録された腫瘍量の変化を示す。
図2Gは、屠殺日に測定された
図2Fからの各群の腫瘍重量の分析を示す。
図2Hは、
図2Fに示されているAC-レジメン(5/50)およびPLAG同時処置中の異種移植マウスにおける腫瘍量を示す。
図2Iは、
図2FのAC-レジメン処置(5/50)およびPLAG同時処置後の屠殺されたマウスにおける腫瘍組織の染色およびアポトーシス関連タンパク質発現を示す。
図2Jは、
図2Fに示されているAC-レジメン(5/50)およびPLAG同時処置後の屠殺時の腫瘍組織におけるアポトーシス関連タンパク質発現レベルの変化を示す。##P<0.01(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
【
図3】
図3A~3Dは、PLAGおよびAC-レジメンを同時投与している間の好中球走化性の抑制または阻害を示す。
図3Aは、抗体を用いる免疫組織化学を使用した腫瘍浸潤好中球の検証を示す。抗Ly6C+/Ly6G+抗体および抗Ly6G+のみの抗体を使用した。
図3Bは、腫瘍浸潤好中球の評価を示す。陰性対照と比較して:*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。AC-レジメン群と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
図3Cは、血中好中球走化性に関連する分泌ケモカインの評価を示す:*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。AC-レジメン対照群と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
図3Dは、血中好中球の評価を示す:*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。AC-レジメン対照群と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
【
図4】
図4A~
図4Gは、PLAG処置によるがんの増殖阻害を示す。
図4Aは、異種移植マウス中の腫瘍量に対するPLAGの効果を示す。
図4Bは、屠殺日における異種移植マウス中の腫瘍重量の検証を示す。陽性対照と比較して:*P<0.05、***P<0.001(各実験n=5)。
図4Cは、PLAG処置された異種移植マウス中の毎週計数された腫瘍量の変化を示す。
図4Dは、免疫組織化学を用いた腫瘍浸潤好中球の検証を示す。陽性対照と比較して:*P<0.05、**P<0.01(各実験n=5)。
図4Eは、血中好中球走化性に関連する分泌ケモカインの評価を示す:陰性対照と比較して;*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。陽性対照と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
図4Fは、免疫組織化学を使用する腫瘍中での好中球走化性関連ケモカイン発現の検証を示す。
図4Gは、免疫組織化学を使用する腫瘍中での腫瘍細胞周期誘導因子発現の検証を示す。
【
図5】
図5A~5Dは、PLAG処置によるがん増殖および好中球浸潤の阻害を示す。
図5Aは、異種移植マウス中の腫瘍量に対するPLAG効果を示す。
図5Bは、屠殺日における異種移植マウス中の腫瘍重量の検証を示す。陽性対照と比較して:*P<0.05、**P<0.01(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
図5Cは、PLAG処置された異種移植マウス中の毎週計数された腫瘍量の変化を示す。
図5Dは、免疫組織化学を用いた腫瘍浸潤好中球の検証を示す。
【
図6】
図6A~6Bは、増強されたPAR2分解によるがん増殖の阻害を示す。
図6Aは、好中球で活性化されたMDA-MB-231乳がん細胞における、用量依存的様式での、PLAG処置による細胞増殖の阻害を示す。各週の陰性対照と比較して:*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。各週の好中球で刺激されたのみの群と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001(各実験n=5)。N.S.、有意でない。
図6Bは、好中球で活性化されたがん細胞における細胞周期活性に対するPLAGの阻害効果を示す。
図6Cは、好中球およびPLAGで処理された細胞において、PCRおよびウエスタンブロッティングによって、細胞周期関連遺伝子およびタンパク質の発現レベルが評価されたことを示す。
図6Dは、ウエスタンブロット分析による、PLAGおよび好中球で共処理された活性化されたがん細胞におけるPAR2分解と関連するタンパク質発現およびリン酸化の検証を示す。
図6Eは、免疫沈降アッセイを用いたPAR2結合タンパク質の同定を示す。
図6Fは、抗PAR2抗体を用いたユビキチン化アッセイによって、PAR2の分解が、PLAGおよび好中球で共処理されたがん細胞中のユビキチン活性を用いて検証されたことを示す。
【
図7】
図7は、実施例3のMB49膀胱がんモデルにおけるPD-L1免疫チェックポイント薬物療法に対するPLAGの相乗効果を調べるための例示的な実験デザインを示す。
【
図8A】
図8Aは、概ね3日間隔での各群における腫瘍サイズ変化の分析を示す。
【
図8B】
図8Bは、屠殺の日におけるマウスの形態および腫瘍サイズの変化を示す。
【
図8C】
図8Cは、屠殺された日に評価されたPLAGまたはaPD-L1共処置マウスにおける腫瘍重量分析を示す。
図8A~8Cにおいて:陽性対照と比較して:#P<0.05、###P<0.001;aPD-L1のみの処置群と比較して:$P<0.05、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD
【
図9A】
図9Aは、全血球計算(CBC)分析を介して、好中球数を調節するPLAGを示す。
【
図9B】
図9Bは、PLAGおよびaPD-L1処理による血液Ly6GおよびCD11b陽性細胞選別結果の分析を示す。
【
図9C】
図9Cは、PLAGおよびaPD-L1処理による組織浸潤Ly6GおよびCD11b陽性細胞選別結果の分析を示す。
【
図9E】
図9Eは、IHC染色を通じた腫瘍組織におけるPLAG処置による好中球浸潤調節効果の分析を示す。(Ly6G:好中球集団;好中球エラスターゼ:活性な好中球)。
図9A~9Eにおいて:陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照との比較:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-L1のみの処置群と比較して、:$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=3)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図10】
図10Aは、全血球計算(CBC)分析を介して、リンパ球数を調節するPLAGを示す。
図10Bは、PLAG処置による血中NLRレベルの定量分析を示す。
図10C~10Dは、PLAGおよびaPD-L1処置による血液CD4およびCD8陽性細胞選別結果の分析を示す。
図10Eおよび10Fは、PLAGおよびaPD-L1処置による腫瘍組織浸潤CD4およびCD8陽性細胞選別結果の分析を示す。
図10Gは、IHC染色を通じた、腫瘍組織におけるPLAG処置によるリンパ球浸潤効果の分析を示す。
図10A~10Fにおいて:陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照との比較:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-L1のみの処置群と比較して、:$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=3)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図11】
図11A~11Bは、ケモカインおよび成長因子分泌の変化が好中球の浸潤および活性に関与したことを示す。
図11C~11Dは、ケモカインおよびサイトカイン分泌の変化がT細胞極性に関与したことを示す。
図11Eは、サイトカイン分泌の変化がリンパ球の形成および活性に関与したことを示す。
図11A~11Eにおいて:陰性対照と比較して:*P<0.05 P<0.01***P<0.001;陽性対照との比較:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-L1のみの処置群と比較して、:$P<0.05、$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図12】
図12は、実施例4のLLC-1モデルにおけるPD-L1免疫チェックポイント阻害剤処置に対するPLAGの相乗効果を調べるための例示的な実験デザインを示す。
【
図13A】
図13Aは、概ね3日間隔での各群における腫瘍サイズ変化の分析を示す。
【
図13B】
図13Bは、屠殺の日におけるマウスの形態および腫瘍サイズの変化を示す。
【
図13C】
図13Cは、屠殺された日に評価されたPLAGまたはaPD-1共処置マウスにおける腫瘍重量分析を示す。
図13A~13Cにおいて:陽性対照と比較して:###P<0001;aPD-1のみの処置群と比較して:$P<0.05、$$P<0.05、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図14A】
図14Aは、全血球計算(CBC)分析を介して、免疫細胞数を調節するPLAGを示す。
【
図14B】
図14Bは、PLAGおよびaPD-1処置による血液/腫瘍CD4またはCD8陽性細胞選別結果の分析を示す。
【
図14C】
図14Cは、PLAGおよびaPD-1処置による血液/組織浸潤Ly6G陽性細胞選別結果の分析を示す。
【
図14D】
図14Dは、IHC染色を通じた腫瘍組織におけるPLAG処置による好中球浸潤調節効果の分析を示す。
図14Aにおいて:陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-1のみの処置群と比較して:$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD.
【
図15】
図15A~
図15Bは、PLAGおよびaPD-1処置による血液/腫瘍Th17細胞集団選別結果の分析を示す。
図15Bにおいて、陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照と比較して:###P<0.001;aPD-1のみの処置群と比較して:$P<0.01(各実験n=3)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図16A】
図16Aは、毎週の屠殺におけるマウスの形態および腫瘍サイズの変化を示す。
【
図16B】
図16Bは、全血球計算(CBC)分析を介して、免疫細胞数を調節する化合物を示す。
【
図16C】
図16Cは、化合物処置による血液/組織浸潤Ly6G陽性細胞選別結果の分析を示す。
【
図16D】
図16Dは、PLAGおよびaPD-1処置による血液/腫瘍Th17細胞集団選別結果の分析を示す。
図16A~16Dにおいて:各実験n=6。ナバリキシン:CXCR2アンタゴニスト;aLy6G:抗Ly6G抗体処置。陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-1のみの処置群と比較して:$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【
図17A】
図17Aは、PLAGおよびaPD-1処置による屠殺日における血漿中のアデノシン濃度の分析を示す。
【
図17B】
図17Bは、化合物処置によって屠殺した毎週の血漿中のアデノシン濃度の分析を示す。ナバリキシン:CXCR2アンタゴニスト;aLy6G:抗Ly6G抗体処置。陰性対照と比較して:***P<0.001;陽性対照と比較して:#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;aPD-1のみの処置群と比較して:$$P<0.01、$$$P<0.001(各実験n=6)。N.S.、有意でない。平均±SD。
【発明を実施するための形態】
【0030】
PLAG、EC-18および1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチルグリセロールという用語は、本明細書では互換的に使用され、本明細書では同一の化合物を指す。
【0031】
定義
本明細書で使用される略語は、化学および生物学の分野における従来の意味を有する。本明細書に記載されている化学構造および式は、化学分野で知られている化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0032】
本明細書に開示される特定の化合物は互変異性形態で存在し得、化合物のそのような互変異性形態はすべて本発明の範囲内であることが当業者には明らかであろう。
【0033】
本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つまたは複数を意味する。例えば、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に反対の意味を示さなければ、複数形も含むものとする。「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、領域、整数、工程、過程、動作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、領域、整数、工程、過程、動作、要素、構成要素および/またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0034】
「薬学的に許容され得る賦形剤」および「薬学的に許容され得る担体」は、対象への活性因子の投与および対象による吸収を補助し、患者に対して有意な有害毒性作用を引き起こさずに本発明の組成物中に含めることができる物質を指す。薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の生理食塩水溶液、乳酸加リンガー液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味剤、塩溶液(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジンおよび着色剤などが挙げられる。そのような調製物は、滅菌することができ、所望であれば、本発明の化合物と有害に反応しない、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤および/または芳香族物質などの補助剤と混合することができる。当業者は、その他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0035】
本明細書で使用される「処置する(treating)」および「処置(treatment)」は、予防的処置を含む。処置方法は、治療有効量の活性因子を対象に投与することを含む。投与工程は、単回投与からなってもよく、または一連の投与を含んでもよい。処置期間の長さは、症状の重症度、患者の年齢、活性因子の濃度、処置に使用される組成物の活性またはこれらの組み合わせなどの様々な要因に依存する。処置または予防のために使用される因子の有効投与量は、特定の処置または予防計画の経過にわたって増加または減少し得ることも理解されよう。投与量の変化は、当技術分野で公知の標準的な診断アッセイによって生じ、明らかになり得る。場合によっては、長期投与が必要とされ得る。例えば、組成物は、患者を処置するのに十分な量および期間で対象に投与される。「処置する」という用語およびその活用形は、傷害、病状、症状または疾患の予防を含み得る。複数の実施形態では、処置することは予防することである。複数の実施形態では、処置することは予防することを含まない。
【0036】
「予防する」という用語は、患者における疾患症状の発生の減少を指す。上記のように、予防は完全であり得(例えば、検出可能な症状が存在しない)、または処置なしの場合に起こるであろう症状より症状が少ないことが認められるように部分的であり得る。
【0037】
「患者」、「対象」、「それを必要とする患者」、および「それを必要とする対象」は、本明細書では互換的に使用され、本明細書で提供される薬学的組成物の投与によって処置することができる疾患または病態に罹患しているか、またはその傾向がある生物を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカおよび他の非哺乳動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0038】
「有効量」または「治療有効量」とは、ある化合物が、その化合物の不存在と比較して、定められた目的(例えば、そのために化合物が投与される効果を達成する、疾患を処置する、酵素活性を低下させる、酵素活性を増加させる、異化酵素活性を低下させる、または疾患もしくは病態の1つもしくは複数の症状を軽減する)を達成するのに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の1つまたは複数の症状の処置、予防または軽減に寄与するのに十分な量であり、「治療有効量」とも呼ばれ得る。1つまたは複数の症状(およびこの句の文法的等価物)の「軽減」は、1つまたは複数の症状の重症度もしくは頻度の減少、または1つもしくは複数の症状の除去を意味する。薬物の「予防有効量」は、対象に投与された場合に、意図された予防効果を有する、例えば、傷害、疾患、病理もしくは病態の発症(または再発)を予防しもしくは遅延させる、または傷害、疾患、病理もしくは病態、もしくはこれらの症状の発症(または再発)の可能性を低下させる薬物の量である。完全な予防効果は、必ずしも1用量の投与によって生じるわけではなく、一連の用量の投与後にのみ生じ得る。したがって、予防有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。本明細書で使用される「活性減少量」は、アンタゴニストの不存在と比較して酵素の活性を減少させるために必要とされるアンタゴニストの量を指す。本明細書で使用される「機能破壊量」は、アンタゴニストの不存在と比較して、酵素またはタンパク質の機能を破壊するために必要とされるアンタゴニストの量を指す。正確な量は、処置の目的に依存し、公知の技術を用いて当業者によって確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vol.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations(1999);およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.Lippincott,Williams&Wilkinsを参照)。
【0039】
本明細書で使用される場合、対象への治療の投与の文脈における「組み合わせて」という用語は、治療上の利益のための2つ以上の治療の使用を指す。投与の文脈における「組み合わせて」という用語は、少なくとも1つの追加の治療とともに使用される場合の、対象への治療の予防的使用を指すこともできる。用語「組み合わせて」の使用は、治療(例えば、第1および第2の治療)が対象に投与される順序を制限しない。第1の治療(例えば、i)1つもしくは複数の化学療法剤またはii)PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物のいずれかの投与)は、第2の治療の投与(例えば、i)PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物またはii))1つもしくは複数の化学療法剤のいずれかの投与)の前に(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間または最長約1週間前)、投与と同時に、または投与の後に(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間または最長約1週間後)、固形腫瘍と診断された対象などの、がんを有していた、がんを有する、またはがんにかかりやすい対象に投与することができる。治療は、治療が一緒に作用することができるような、順序でおよび時間間隔内で対象に投与される。特定の実施形態では、治療は、他の様式で治療が投与された場合よりも高い利益を提供するような、順序でおよび時間間隔内で対象に投与される。任意のさらなる治療を、他のさらなる治療とともに任意の順序で投与することができる。
【0040】
「増殖性障害」および「増殖性疾患」という用語は、がんなどの異常な細胞増殖に関連する障害を指す。
【0041】
本明細書で使用される「腫瘍」および「新生物」または同様の用語は、前がん性病変を含む良性または悪性のいずれかの、過剰な細胞成長または増殖から生じる組織の任意の塊を指す。
【0042】
「新生物」によって、過剰な増殖または低下したアポトーシスによって特徴付けられる疾患または障害が意味される。本発明を使用することができる例示的な新生物には、固形腫瘍を含むがんが含まれるが、これらに限定されない。それに対して本発明を使用することができるさらなる例示的な新生物には、膀胱がん、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病ならびに肉腫およびがん腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸(colon)がん腫、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、胃および食道がん、頭部および頸部がん、直腸がん、扁平上皮細胞がん腫、基底細胞がん腫、腺がん、汗腺がん腫、皮脂腺がん腫、乳頭がん腫、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん腫、気管支原性肺がん腫、腎細胞がん腫、肝細胞腫、胆管がん腫、絨毛がん腫、精上皮腫、胚性がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺がん腫、小細胞肺がん腫、膀胱がん腫、上皮がん腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、新生物は、多発性骨髄腫、β細胞リンパ腫、尿路上皮/膀胱がん腫または黒色腫である。
【0043】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(商標)、Millennium Pharm.)、フルベストラント(FASLODEX(商標)、Astrazeneca)、スーテント(SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(商標)、Novartis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin(商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(商標)、Wyeth)、ラパチニブ(GSK572016、GlaxoSmithKline)、ロナファルニブ(SCH66336)、ソラフェニブ(BAY43-9006、Bayer Labs.)およびゲフィチニブ(IRESS(商標)、Astrazeneca)、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、チオテパおよびCYTOXAN(商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホナート;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロメラミン(trimethylomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドレゼシン(adozcicsin)、カルゼレシン(carzcicsin)およびビゼレシン(bizcicsin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロフォスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1およびカリケアマイシンω1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183-186);ダインマイシンAを含むダインマイシン(dynemicin);クロドロナートなどのビスホスホナート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナリン;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(商標)多糖複合体(JHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’、2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(商標)パクリタキセル、ABRAXANE(商標)クレモフォール非含有、パクリタキセルのアルブミン操作されたナノ粒子製剤、およびTAXOTERE(商標)ドキセタキセル;クロランブシル;GEMZAR(商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩または酸が挙げられる。
【0044】
また、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEXを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびFARESTON(商標)(トレミフェン)を含む抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)など;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(商標)(エキセメスタン)、フォルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(商標)(ボロゾール)、FEMARA(商標)(レトロゾール)およびARIMIDEX(商標)(アナストロゾール);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;およびトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)アロマターゼ阻害剤;(v)プロテインキナーゼ阻害剤;(vi)脂質キナーゼ阻害剤;(vii)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、RalfおよびH-Rasなど;(viii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(商標)(リボザイム))およびHER2発現阻害剤などのリボザイム;(ix)遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(商標)ワクチン、LEUVECTIN(商標)ワクチン、およびVAXID(商標)ワクチンなどのワクチン;PROLEUKIN(商標)rIL-2;LURTOTECAN(商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(商標)rmRH;(x)ベバシズマブ(AVASTIN(商標))などの抗血管新生剤;ならびに(xi)上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩または酸も、「化学療法剤」のこの定義に含まれる。
【0045】
論述されているとおり、特定の態様では、好ましい化学療法剤には免疫チェックポイント阻害剤因子が含まれる。例えば、本発明の方法および組成物において使用するための適切かつ好ましいチェックポイント阻害剤には、プログラム死リガンド1(B7-H1、CD274としても知られるPD-L1)、プログラム死1(PD-1)、CTLA-4、PD-L2(B7-DC、CD273)、LAG3、TIM3、2B4、A2aR、B7H1、B7H3、B7H4、BTLA、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD70、CD80、CD86、CD137、CD160、CD226、CD276、DR3、GAL9、GITR、HAVCR2、HVEM、IDO1、IDO2、ICOS(誘導性T細胞共刺激因子)、KIR、LAIR1、LIGHT、MARCO(コラーゲン構造を有するマクロファージ受容体)、PS(ホスファチジルセリン)、OX-40、SLAM、TIGHT、VISTA、VTCN1の阻害剤、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、IDO1、CTLA4、PD-1、LAG3、PD-L1、TIM3の阻害剤またはこれらの組み合わせである。
【0046】
特定の好ましい組成物および方法において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1の阻害剤である。特定の好ましい組成物および方法のいくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1の阻害剤である。特定の好ましい組成物および方法において、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4の阻害剤である。特定の好ましい組成物および方法において、免疫チェックポイント阻害剤はLAG3の阻害剤である。特定の好ましい組成物および方法において、免疫チェックポイント阻害剤はTIM3の阻害剤である。特定の好ましい組成物および方法において、免疫チェックポイント阻害剤はIDO1の阻害剤である。
【0047】
本方法および組成物は、患者、例えば、a)1つまたは複数の化学療法剤およびb)PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物の治療を受けるがん患者において、腫瘍増殖を効果的に低減または抑制することができる。PLAGおよび1つまたは複数の異なる化学療法剤による同時処置は、腫瘍体積の5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%またはそれを超える低下をもたらし得る。
【0048】
多種多様なタイプのがんが、本発明の方法および組成物に従って処置され得る。例えば、処置されるべきがんは固形腫瘍であり得る。それに対して本発明を使用することができる例示的ながんには、乳がん、白血病(例えば、ケミア(kemia)、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病ならびに肉腫およびがん腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸(colon)がん腫、膵臓がん、卵巣がん、前立腺がん、胃および食道がん、頭部および頸部がん、直腸がん、扁平上皮細胞がん腫、基底細胞がん腫、腺がん、汗腺がん腫、皮脂腺がん腫、乳頭がん腫、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん腫、気管支原性肺がん腫、腎細胞がん腫、肝細胞腫、胆管がん腫、絨毛がん腫、精上皮腫、胚性がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺がん腫、小細胞肺がん腫、膀胱がん腫、上皮がん腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物を調製するための化学合成方法は、例えば、韓国登録特許第10-0789323号および第10-1278874号に示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、PLAGは、グリセロールのヒドロキシ基をアセチル、パルミトイルおよびリノレオイル官能基でアシル化することによって合成することができる。
【0050】
PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の異なる化学療法剤の治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。標的濃度は、本明細書に記載の方法または当技術分野で公知の方法を使用して測定される、本明細書に記載の方法を達成することができる活性化合物の濃度である。PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の異なる化学療法剤の処置量も以前に報告されている。
【0051】
当技術分野で周知のように、ヒトで使用するための治療有効量は、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であることが分かっている濃度を達成するように調合することができる。ヒトにおける投与量は、上記のように、化合物の有効性をモニタリングし、投与量を上方または下方に調整することによって調整することができる。上記の方法およびその他の方法に基づいてヒトにおいて最大の有効性を達成するために用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0052】
投与量は、患者および使用されている化合物の要件に応じて変えることができる。本発明の文脈において、患者に投与される用量は、時間とともに患者において有益な治療応答をもたらすのに十分であるべきである。用量の大きさは、有害な副作用の存在、性質および程度によっても決定される。特定の状況に対する適切な投与量の決定は、医療専門家(practitioner)の技能の範囲内である。一般に、処置は、化合物の最適用量未満のより少ない投与量で開始される。その後、状況下で最適な効果に達するまで、投与量を少しずつ増加させる。投与量および投与間隔は、処置されている特定の臨床適応症に対して有効な投与される化合物のレベルを提供するために個別に調整することができる。これにより、個体の疾患状態の重症度に見合った治療レジメンが提供される。
【0053】
本明細書で提供される教示を利用して、実質的な毒性を引き起こさないが、特定の患者によって呈される臨床症状を処置するのに有効である有効な予防的または治療的処置レジメンを計画することができる。この計画には、化合物の効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の存在および重症度、好ましい投与様式および選択された因子の毒性プロファイルなどの要因を考慮することによる活性化合物の慎重な選択が含まれるべきである。
【0054】
哺乳動物に投与される投与量および頻度(単回または複数回投与)は、様々な要因、例えば、その哺乳動物が別の疾患に罹患しているかどうか、およびその投与の経路;レシピエントの大きさ、年齢、性別、健康状態、体重、肥満度指数および食事;処置されている疾患症状の性質および程度、併用処置の種類、処置されている疾患からの合併症または他の健康関連の問題に応じて変化し得る。他の治療レジメンまたは因子を、本出願人の発明の方法および化合物とともに使用することができる。確立された投与量(例えば、周波数および持続時間)の調整および操作は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0055】
本発明の組成物の投与頻度は特に限定されないが、1日1回または分割された投与量で1日数回投与され得る。
【0056】
式(I)または式(II)の化合物(すなわち、EC-18)の処置を必要とするヒトなどの患者のための例示的な1日投与量は、0.0001mg/kg~4mg/kg体重、または0.01mg/kg~4mg/kg体重、例えば、最大または約0.001、0.003、0.005、0.01.0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3または4mg/それを必要とするヒト患者などの対象のkg体重を含む。例えば、いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物の有効週用量は、0.1μg/kg体重~400μg/それを必要とするヒト患者などのkg体重であり得る。好ましい態様では、250~1000mg、例えば500mgの式(I)または式(II)の化合物を含有する錠剤またはカプセル(例えば、軟ゼラチンカプセル)などの経口製剤が利用される。最適な投与量はまた、特定の患者または患者の特定された群に対して経験的に決定することができる。
【0057】
(1つまたは複数の)異なる化学療法剤の例示的な有効1日用量もまた変化し得、特定の患者または患者の特定された群に対して経験的に決定することができる。薬剤が抗がん治療法のために臨床的に使用されている場合、一態様では、薬剤は、その薬剤がEC-18なしで以前に使用されていたのと同じまたは類似の投与量で使用することができる。特定の態様では、(1つまたは複数の)異なる化学療法剤の例示的な1日用量は、例えば、0.1μg/kg~100μg/kg体重、例えば、0.1、0.3、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または99μg/kg体重であり得る。
【0058】
PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の化学療法剤は、局所接触、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、鼻腔内もしくは皮下投与、または徐放装置、例えば小型浸透圧ポンプの対象への埋め込みなどの多数の経路のいずれによっても対象に投与することができる。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内および頭蓋内が含まれる。
【0059】
薬学的組成物は、PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の化学療法剤の一方または両方が治療有効量、すなわちその意図する目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を含み得る。特定の用途に有効な実際の量は、とりわけ、処置されている症状に依存する。疾患を処置するための方法において投与される場合、そのような組成物は、所望の結果、例えば標的分子の活性を調節すること、および/または疾患症状の進行を軽減、除去もしくは遅延させることを達成するのに有効な量の活性成分を含有する。
【0060】
薬学的組成物は、各製剤のための追加の薬学的に許容され得る担体を用いて製造され得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」という用語は、生物を刺激せず、注射された化合物の生物学的活性および特徴を阻害しない担体または希釈剤を指し得る。本発明において使用することができる担体の種類は特に限定されず、産業の分野において慣用されており、薬学的に許容され得る任意の担体が使用され得る。
【0061】
食塩水、滅菌水、IV流体、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールは、使用可能な担体の非限定的な例である。これらの担体は、単独で使用され得、または2種もしくはそれを超える組み合わせで使用され得る。担体には、天然に存在しない担体が含まれ得る。必要であれば、酸化防止剤、緩衝剤および/または静菌剤などの従来使用されているその他の添加剤を添加および使用し得る。担体は、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、水溶液のような注射溶液、懸濁液、エマルジョンおよび丸剤、カプセル、粒剤または錠剤などを作製するための潤滑剤とともに調合され得る。
【0062】
非経口適用が必要とされまたは所望される場合、薬学的組成物中に含まれる化合物のための特に適切な混合物は、注射可能な滅菌溶液、油性または水溶液、ならびに坐剤を含む懸濁液、エマルジョンまたはインプラントであり得る。特に、非経口投与用の担体としては、デキストロースの水溶液、生理食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、落花生油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロックポリマーなどが挙げられる。アンプルは便利な単位投与量である。本明細書に提示される薬学的組成物中での使用に適した薬学的混合物には、例えば、Pharmaceutical Sciences(17th Ed.,Mack Pub.Co.,Easton,PA)および国際公開第96/05309号に記載されているものが含まれ得、これらの両教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
論述されたとおり、キットも提供される。例えば、この態様では、PLAGなどの式(I)のモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の化学療法剤は、それぞれ、指定された処置に関してラベルが付された適切な容器の中に適切に包装することができる。容器は、PLAG化合物または組成物と、1つまたは複数の化学療法剤と、意図する用途に適した適切な安定剤、担体分子などの1つまたは複数を含むことができる。他の実施形態では、キットは、意図された処置のための1つまたは複数の治療試薬、例えば、1つまたは複数のさらなる化学療法剤をさらに含む。製品は、PLAG化合物もしくは組成物および/または1つもしくは複数の化学療法剤を含有する容器(例えば、バイアル、ジャー、瓶、袋など)を含むことができる。さらに、製造品またはキットは、例えば、予防または処置が必要とされる症状を処置または監視するための、包装材料、使用説明書、シリンジ、送達装置をさらに含んでもよい。
【0064】
製品は、説明文(例えば、製品の使用を記載する印刷されたラベルまたは挿入物またはその他の媒体(例えば、オーディオテープまたはビデオテープ))も含み得る。説明文は、容器と関連付けることができ(例えば、容器に貼り付けられる)、容器中の組成物が投与されるべき様式(例えば、投与の頻度および経路)、その適応症およびその他の用途を説明することができる。組成物は、直ちに投与することができ(例えば、用量が適切な単位で存在する)、1つもしくは複数の追加の薬学的に許容され得るアジュバント、担体もしくはその他の希釈剤および/または追加の治療薬を含み得る。あるいは、組成物は、例えば、希釈剤および希釈のための説明書とともに濃縮形態で提供することができる。
【0065】
論述されるとおり、PLAGなどのモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の異なる化学療法剤は、適切には、協調的様式で、例えば同時にまたは順次に投与される。例えば、PLAGなどのモノアセチルジアシルグリセロール化合物および1つまたは複数の異なる化学療法剤は、実質的に同時に対象に投与されてもよく、または代わりに因子は、異なる時間に、適切には数時間以内に対象に投与され得るが、別個の投与の間のより長い期間も適切であり得る。
【実施例】
【0066】
前述のセクションは、理解を明確にするために例示および例としてある程度詳細に説明されているが、ある小さな変更および修正が上記の教示に照らして実施されることは当業者には明らかである。したがって、説明および実施例は、本明細書に記載の任意の発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0067】
特許出願および刊行物を含む本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
実施例1:異種移植マウスモデルにおけるAC-レジメンと組み合わせたPLAGの抗がん効果
MDA-MB-231乳がん異種移植モデルを使用した。AC-レジメン単独およびPLAGで同時処置された動物において腫瘍増殖を評価した。AC-レジメンは2/20および5/50mph(ドキソルビシン/シクロホスファミド)の用量で週に2回、IP注射によって送達し、PLAGは100および250mpkで毎日投与した。腫瘍増殖を3日間隔で計算した。好中球走化性関連ケモカイン、CXCL1/2/8および循環好中球もまた、2週間の内部(internal)で評価した。腫瘍病変におけるアポトーシス分子マーカー、Bax/Bakおよび腫瘍浸潤好中球(TIN)の発現を免疫組織化学(IHC)によって分析した。
【0069】
PLAGは、PLAGおよびAC-レジメン共レジメン共処置異種移植マウスにおいて腫瘍負荷を減少させる相乗効果を有する。2/20または5/50mpk処置群を用いたAC-レジメンでは、腫瘍サイズを計算することによって腫瘍増殖の遅延が観察され、処理されたアポトーシスは、AC-レジメンでの退行した腫瘍負荷におけるTUNELおよびアポトーシス関連タンパク質発現によって証明された。腫瘍量に依存して、腫瘍負荷からの調節されたケモカイン発現およびその後の好中球動員も検出された。PLAG同時処置群では、AC-レジメン単独のものより小さい腫瘍負荷が屠殺まで一貫して観察された。また、5/50ACレジメンでPLAGと同時処置された群の腫瘍負荷は、AC-レジメン単独(along)群と比較して濃度依存的に有意に減少したことも確認された(p<0.05)。特に、250mpk PLAG共処置群では、屠殺日の試験マウスにおいて腫瘍組織は見られなかった。PLAG追加群における著しく低下したケモカイン発現およびTINが、IHCおよびケモカイン分析によって証明された。さらに、腫瘍増殖の中断、ならびに低下したケモカイン発現およびTINが、PLAG単独処置群において観察された。要約すると、PLAGは、AC-レジメンで同時処置された対象における腫瘍負荷の退行に対して相乗効果を有する。IHCによる腫瘍組織の分析により、PLAG共処置群においてTINが劇的に低下したことが明らかになった。結果は、
図1、2(
図2A~2Jを含む)および3(
図3A~3Dを含む)にも記載されている。
【0070】
実施例2:PLAGの抗がん効果
図4(
図4A~4Gを含む)、
図5(
図5A~5Dを含む)および
図6(
図6A~6Bを含む)は、PLAGによるがんの処置を示す。これらの結果は、PLAGによる処置が、がん組織における好中球走化性ケモカインの発現を効果的に調節して、好中球の過剰な浸潤を制御することができることを示している。これらの結果は、単独で(追加の化学療法剤なしで)投与されたPLAGが、がん組織の細胞周期を阻害することによって過剰増殖を調節し得ることを示す。これらの結果はまた、PLAGの投与が、がん組織におけるPAR2分解を誘導することによって細胞周期およびケモカイン発現を阻害し得ることを示す。
【0071】
実施例3:MB49膀胱がん同系モデルにおけるPD-L1免疫チェックポイント薬物療法に対するPLAGの効果
第4世代抗がん薬である免疫チェックポイント薬の開発は、抗がん研究における重要なブレークスルーである。免疫チェックポイント薬を用いたがん治療は依然として拡大している。免疫チェックポイント薬の有効性を改善するために、腫瘍微小環境の調節が本質的に必要とされる。本実験において、本発明者らは、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤処置と組み合わせた、腫瘍中での腫瘍浸潤好中球(TIN)を減弱させることが実証されている1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチル-rac-グリセロール(PLAG)の抗がん効果の上昇を調べた。
【0072】
方法
同系モデルを使用して(n=6)、PLAGの添加によるPD-L1抗体の抗腫瘍効果の増強を調べた。MB49マウス膀胱がん細胞をC57BL/6マウス中に皮下移植し、5週間飼育した。腫瘍移植から1週間後、5mpkPD-L1抗体(10F.9G2)ありまたはなしで、異なる投与量(50/100mpk)のPLAGをさらに4週間毎日経口投与した。PD-L1抗体を週に1回IP注射によって送達した。(
図7、表1)
【表1】
【0073】
結果
PLAG処置群は、腫瘍負荷が濃度依存的に減少したことを実証した。PLAG処置マウスの50および100mpkにおいて、腫瘍負荷は陽性対照と比較して有意な値まで減少した(p<0.05)。PD-L1抗体のみで処置された群では、約2週間まで腫瘍の成長増殖が低下した。PLAGおよびPD-L1抗体で同時に処置された群では、PD-L1抗体のみで処置された群と比較して腫瘍の増殖が有意に低下した。PLAG処置による、腫瘍進行に対するaPD-L1の増大した阻害効果を
図8A~8Cに示す。
【0074】
PLAG処置による好中球集団および腫瘍浸潤の制御は
図9A~9Eで実証され、PLAG処置によるリンパ球集団および腫瘍浸潤の制御は
図10A~10Gで実証される。2週間毎に好中球およびリンパ球を算出した結果、PLAGおよびPD-L1で処置された群での好中球対リンパ球比(NLR)レベルは、PD-L1抗体のみで処置された群と比較して有意に減少した。さらに、TINの数が、PLAG処置単独によって効果的に低下した。
【0075】
PLAG処置による免疫細胞集団に関与するサイトカインおよびケモカイン分泌の検証が、
図11A~11Eにおいて実証される。腫瘍増殖の中断および低下したケモカイン分泌も、PLAG処置群において観察された。要約すると、本発明者らのデータは、TINの数を低下させることによって、PLAGが、同系マウスモデルにおける腫瘍負荷の退行に対するPD-L1抗体効果の増強をもたらすことを示唆する。
【0076】
結論
PLAGは、破壊的な腫瘍微小環境における腫瘍負荷を低減させることに対するPD-L1抗体の有効性を改善するために利用され得る。PLAGは、aPD-L1の抗腫瘍効果をより効果的に増大させるだけでなく、それ自体で腫瘍進行を抑制することができる。特に、腫瘍進行を増加させる腫瘍浸潤好中球(TIN)は、PLAGによって効果的に低下される。PLAGによってTINの数を効果的に低下させることを通じて、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による抗腫瘍効果がさらに増加する。
【0077】
実施例4:LLC-1同系モデルにおけるPD-1免疫チェックポイント阻害剤処置に対するPLAGの相乗的抗がん効果
背景
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法の使用は様々な適応症について増加しているが、様々な種類のがんの一部の患者はICIに反応しないことが示された。ICI奏効率を改善するために、腫瘍微小環境を調節することによって腫瘍免疫回避を防ぐための追加の機構を標的とする併用療法が必要となり得る。
【0078】
方法
1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-アセチル-rac-グリセロール(PLAG)の添加による抗PD-1抗体(aPD-1の増強された抗腫瘍効果を調べるために、同系モデルを使用し(n=6/群)、LLC-1肺がん腫をC57BL/6マウス中に皮下移植した。aPD-1(RMP1-14)ありまたはなしで4週間、PLAGを毎日投与した。aPD-1は、週に1回、IP注射を介して送達した。屠殺日の腫瘍および血液中の浸潤リンパ球集団および好中球の程度を分析した(
図12、表2)。
【表2】
【0079】
結果
PLAGで処置された50および100mpkマウス群では、腫瘍負荷は、陽性対照と比較して有意に低下したp005。aPD-1単独で処置された群では、腫瘍増殖は、陽性対照と比較して約65減少した。しかしながら、PLAGで同時処置されたマウスでは、腫瘍はaPD-1単独と比較して有意に18低下した。PLAGの抗PD1抗体(aPD-1)との相乗的な抗腫瘍効果は、
図13A~13Dに実証されている。
【0080】
PLAGで同時処置された群における好中球対リンパ球比レベルは、aPD-1単独と比較して著しく減少した。特に、腫瘍における好中球浸潤の程度は、PLAG処置時に効果的に低下した。PLAGおよびaPD1処置による免疫細胞集団および腫瘍浸潤に対する効果が
図14A~14Dにおいて実証され、PLAGおよびaPD-1処置によるTh17集団および腫瘍浸潤の調節に対する効果が
図15A~15Bにおいて実証される。
図16A~16Dに示されるように、PLAGは、好中球浸潤および遊走の阻害剤ではなく、調節物質として作用し得る。さらに、
図17A~17Bに示されるように、PLAGは、DAMPの迅速な除去を通じて、腫瘍進行によるDAMPの増加を防止し得る。
【0081】
腫瘍における細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性および浸潤は、aPD-1単独と比較して、PLAGで同時処置された群で効果的に増加した。このような改善は、腫瘍中に大量の好中球浸潤を誘導したTh17の集団が陽性対照と比較して有意に低下したことによって引き起こされた。
【0082】
結論
PLAGは、CTLを増加させながら腫瘍浸潤好中球およびTh17集団を減少させることによって腫瘍負荷の退行に対するaPD-1の抗がん効果を相乗的に増強した。したがって、aPD-1を優れた安全性プロフィールを有するPLAGと組み合わせることは、ICIの用量を低下させることによって免疫関連毒性を低下させながら、aPD-1の抗腫瘍応答を増強させることに寄与し得る。
【0083】
PLAGは、aPD-1との腫瘍進行に対する相乗的な抗腫瘍効果を有するだけでなく、それ自体で腫瘍進行を抑制する。PLAGは、腫瘍に由来するDAMP(アデノシン)の迅速な除去を介して腫瘍浸潤好中球(TIN)を低下させた。PLAGによる当初DAMP(アデノシム)の除去によって、腫瘍領域への好中球の大規模な浸潤は起こらない。PLAGは、腫瘍部位中への過剰な好中球浸潤に関与するTh17集団および腫瘍浸潤Th17細胞を低下させた。
【0084】
したがって、aPD-1とPLAGの組み合わせは、抑制性腫瘍微小環境(TME)を処置することを介して抗腫瘍免疫応答を増強させることに寄与して、aPD-1単独と比較して、aPD-1の処置転帰を改善し得る。おそらく、PLAG処置は、TME中への好中球動員の阻害およびT細胞の抗腫瘍免疫の増強を介して、免疫抑制性TMEを免疫増強性TMEへと変換し得る。
【0085】
本明細書に記載されている実施例および実施形態は例示のみを目的としていること、これらの実施例および実施形態に照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中で引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】