IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特表2022-553445再生ポリエステル長繊維及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】再生ポリエステル長繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/22 20060101AFI20221215BHJP
   D01D 5/253 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
D02J1/22 Q
D02J1/22 P
D01D5/253
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540692
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020095729
(87)【国際公開番号】W WO2021135085
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201911410774.0
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】范 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
【テーマコード(参考)】
4L036
4L045
【Fターム(参考)】
4L036MA05
4L036MA20
4L036MA33
4L036PA12
4L036PA28
4L036PA33
4L036PA49
4L036RA04
4L036UA25
4L045BA03
4L045BA14
4L045BA36
4L045BA43
4L045BA45
4L045BA46
4L045CB10
4L045CB12
4L045CB13
4L045DA21
4L045DB07
4L045DC03
(57)【要約】
FDY工程に従って再生ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)により繊維を製造する過程において、環状吹きによる冷却を用い、紡糸口金上の吐出孔の配置が一定の条件を満たし、延伸糸(Fully Drawn Yarn,FDY)製造後、弛緩熱処理を行い再生ポリエステル長繊維を得る再生ポリエステル長繊維の製造方法であって、吐出孔はC形の吐出孔及び円形の吐出孔であり、C形吐出孔の断面は外側の弧線M、内側の弧線N及び両線に囲まれた部分からなり、外側の弧線Mの両端をそれぞれA及びBとする。全ての吐出孔が同心円を成すように位置し、C形吐出孔は再外円上に位置し、異なる角度で回転状にランダムに分布する。当該再生ポリエステル長繊維は、立体捲縮形態を有し、単糸の捲縮方向は、ランダムに分布する。当該方法は、簡単な方法で、立体捲縮形態を有する再生ポリエステル長繊維を得ることができ、立体捲縮繊維により製造される編物における「不規則帯状むら」が生じ易いという問題を解決する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FDY工程に従って再生ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)により繊維を製造する過程において、環状吹きによる冷却を用い、紡糸口金上の吐出孔の配置が一定の条件を満たし、延伸糸(Fully Drawn Yarn,FDY)製造後、弛緩熱処理を行い再生ポリエステル長繊維を得ることを特徴とする再生ポリエステル長繊維の製造方法であって、
前記吐出孔はC形の吐出孔及び円形の吐出孔であり、C形吐出孔の断面は外側の弧線M、内側の弧線N及び両線に囲まれた部分からなり、Mの両端をそれぞれA及びBとすると、線分ABの長さは0.1mmより大きく、
前記一定の条件は、全ての吐出孔が同心円を成すように位置し、C形吐出孔は再外円上に位置し、任意の一つのC形吐出孔の断面上のAB点を結ぶ直線を基準線として、その他の全てのC形吐出孔の断面上のAB点を結ぶ直線は、いずれも基準線と一定の角を成し、前記一定の角は0~360°の範囲でランダムに分布する、
ことを特徴とする再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項2】
弧線Mの中心角は180~330°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項3】
C形吐出孔と円形吐出孔との数量比は70:30~80:20である、
ことを特徴とする請求項2に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項4】
再生ポリエステル溶融体の固有粘度は0.60~0.70dL/gである、
ことを特徴とする請求項3に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項5】
前記FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270~275℃、冷却温度は20~25℃、冷却風速は1.80~2.30m/s、第1ローラ速度は1800~2000m/min、第1ローラ温度は85~95℃、第2ローラ速度は3100~3300m/min、第2ローラ温度は150~160℃、巻取速度は3030~3210m/minである、
ことを特徴とする請求項4に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項6】
弛緩熱処理温度は90~120℃、処理時間は20~30minである
ことを特徴とする請求項5に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の再生ポリエステル長繊維の製造方法により製造された再生ポリエステル長繊維であって、
主に、断面がC形を成す複数の再生ポリエステル単糸と、断面が円形を成す複数の再生ポリエステル単糸とから構成され、断面がC形を成す同一の再生ポリエステル単糸の断面上の応力は非対称であり、断面がC形を成す各再生ポリエステル単糸の断面上の応力が非対称な位置は、完全には一致せず、
前記再生ポリエステル長繊維は立体捲縮形態を有し、単糸の捲縮方向は、ランダムに分布する、
ことを特徴とする再生ポリエステル長繊維。
【請求項8】
捲縮収縮率が28~33%、捲縮安定度が78~82%、捲縮伸長率が65~72%、捲縮弾性回復率が75~80%である、
ことを特徴とする請求項7に記載の再生ポリエステル長繊維。
【請求項9】
破断強度が2.6cN/dtex以上、破断伸長率が55.0±5.0%、総繊度が100~150dtexである、
ことを特徴とする請求項7に記載の再生ポリエステル長繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種の再生ポリエステル長繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、以下ポリエステルと略称する)は、広く応用される高分子材料の一つとして、ポリオレフィンに次ぐ4千万トンを超える世界生産量(2015年)を持ち、化学繊維と食品包装資材に用いる主要原料(80%以上)になっている。しかしながら、分解しにくい石油系合成高分子素材としてのポリエステル廃棄物は、社会蓄積量も大変膨大である。特に、成分が複雑で含量も高い雑り物を含むポリエステルテキスタイル廃棄物は、百万トンに達する年間増加量に対して、回収率はまだ3%未満であり、それによる石油資源浪費と固体廃棄物汚染などの問題もますます厳しくなっている。よって、廃棄物、特にテキスタイル廃棄物の効率化・高品質化の再生技術は、ポリエステル産業の持続可能な発展に重要な意義を有する。昨今、ポリエステルの再生技術は日々進化し続けており、そのうち、占める割合が大きいものの一つは再生ポリエステル繊維である。
【0003】
しかしながら、捲縮形態を有し、保温性などの特性を備え、様々な充填材または布団などの防寒用品に適用できる再生ポリエステル繊維はまだ珍しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来の技術問題を克服し、一種の捲縮形態を備える再生ポリエステル長繊維及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため本発明は、FDY工程に従って再生ポリエチレンテレフタレート(再生ポリエステル)により繊維を製造する過程において、環状吹きによる冷却を用い、紡糸口金上の吐出孔の配置が一定の条件を満たし、延伸糸(Fully Drawn Yarn,FDY)製造後、弛緩熱処理を行い再生ポリエステル長繊維を得る再生ポリエステル長繊維の製造方法であって、
吐出孔はC形の吐出孔及び円形の吐出孔であり、C形吐出孔の断面は外側の弧線M、内側の弧線N及び両線に囲まれた部分からなり、Mの両端をそれぞれA及びBとすると、線分ABの長さは0.1mmより大きく、
前記一定の条件は、全ての吐出孔が同心円を成すように位置し、C形吐出孔は再外円上に位置し、任意の一つのC形吐出孔の断面上のAB点を結ぶ直線を基準線として、その他の全てのC形吐出孔の断面上のAB点を結ぶ直線は、いずれも基準線と一定の角を成し、前記一定の角は0~360°の範囲でランダムに分布する。
溶融体をC形吐出孔から圧出した後、各位置の冷却速度は一致しないため、冷却が速い部分は、のちの工程において、容易に延伸され、細くなり、応力が集中する。従って、繊維の断面上の応力及び太さは非対称であり、このような断面上の応力及び太さが非対称な繊維は、熱処理または延伸工程において立体捲縮能を示し、且つ捲縮が良好で、繊維弾性回復率が大きい。本発明はC形吐出孔を用いて再生ポリエステル長繊維を製造し、再生ポリエステル長繊維に立体捲縮形態を持たせている。
【0006】
また、一般に、立体捲縮繊維の単糸の捲縮方向は同一であり、それを編物に応用すると、「不規則な帯状むら」が生じ得る。C形繊維の断面上の応力と太さが非対称であるため、繊維の立体捲縮形態に大きな影響を及ぼす。本発明では、C形吐出孔の配置が一定の条件を満たすように制御した結果、各C形吐出孔から圧出される繊維の断面上の応力及び太さの非対称性が完全に同一ではない。さらに、各C形吐出孔から圧出された繊維の捲縮状況は完全に同一ではなく、単糸の捲縮方向も完全に同一ではないため、一束の繊維を破壊して、整った左右のらせん形状を形成し、C形再生ポリエステル繊維により得られた編物に存在する「不規則な帯状むら」の問題を解決する。
【0007】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0008】
前記再生ポリエステル長繊維の製造方法において、弧線Mの中心角は180~330°である。
【0009】
前記再生ポリエステル長繊維の製造方法において、C形吐出孔と円形吐出孔との数量比は70:30~80:20である。
【0010】
前記再生ポリエステル長繊維の製造方法において、再生ポリエステル溶融体の固有粘度は0.60~0.70dL/gである。
【0011】
前記再生ポリエステル長繊維の製造方法において、FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270~275℃、冷却温度は20~25℃、冷却風速は1.80~2.30m/s、第1ローラ速度は1800~2000m/min、第1ローラ温度は85~95℃、第2ローラ速度は3100~3300m/min、第2ローラ温度は150~160℃、巻取速度は3030~3210m/minである。
【0012】
前記再生ポリエステル長繊維の製造方法において、弛緩熱処理温度は90~120℃、処理時間は20~30minである。
【0013】
本発明は、前記好適態様のいずれか一項に記載する方法で製造する再生ポリエステル長繊維も提供する。この長繊維は、主に、断面がC形を成す複数の再生ポリエステル単糸と、断面が円形を成す複数の再生ポリエステル単糸とから構成され、断面がC形を成す同一の再生ポリエステル単糸の断面上の応力は非対称であり、断面がC形を成す各再生ポリエステル単糸の断面上の応力が非対称な位置は、完全には一致せず、前記再生ポリエステル長繊維は立体捲縮形態を有し、単糸の捲縮方向は、ランダムに分布する。
【0014】
好ましくは、前記再生ポリエステル長繊維について、
その捲縮収縮率が28~33%、捲縮安定度が78~82%、捲縮伸長率が65~72%、捲縮弾性回復率が75~80%であり、
その破断強度が2.6cN/dtex以上、破断伸長率が55.0±5.0%、総繊度が100~150dtexである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した方法において、C形吐出孔によって捲縮形態を有する再生ポリエステル長繊維を製造する。
(2)本発明に提出した方法において、紡糸口金に位置する吐出孔の配列方式の設計によって、再生ポリエステル捲縮繊維の編物の不規則な帯状むら問題を克服する。
(3)本発明に提出した再生ポリエステル長繊維は優れた総合性能がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内に入る。なお、実施例における種々の物性および特性の測定方法は下記のとおりである。
本発明における捲縮収縮率と捲縮安定度は中国国家標準規格GB6506-2001の「合成繊維変形糸捲縮性能の試験方法」によって測定する。
捲縮伸長率(変形糸の弾性と捲縮程度を示すことで、変形糸に標準初荷重を与えるときの糸長と、さらに(より高い)伸長荷重を与えるときの糸長の差の、標準初荷重下の糸長に対する百分率である)及び捲縮弾性回復率の測定方法としては、
まず約50cmの繊維サンプルを100℃の水で30minかけて熱処理して自然乾燥し、次に約30Cmの部分を切り取って、一端を固定して、そこから20cmの位置を表記して、他の端に0.0018cN/dtexの標準初荷重を与えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を初期長l1と記録し、さらに荷重を0.09cN/dtexと変換して、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を荷重長l2と記録し、最後に荷重を除いて、2minの回復を経た後、0.0018cN/dtexの標準初荷重を再び加えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を回復長l3と記録し、そして以下の式
CE = (l2-l1)/l1
SR = (l2-l3)/(l2-l1)
で捲縮伸長率CEと捲縮弾性回復率SRを計算する。
【0017】
実施例1
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.6dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.11mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が70:30であり、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ20°、75°、15°、22°、3°、170°、40°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270℃、冷却温度は20℃、冷却風速は1.80m/s、第1ローラ速度は1800m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は3100m/min、第2ローラ温度は150℃、巻取速度は3030m/minであり;
弛緩熱処理温度は90℃、処理時間は30minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸も断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が28%、捲縮安定度が78%、捲縮伸長率が65%、捲縮弾性回復率が75%であり、
その破断強度が2.6cN/dtex、破断伸長率が60%、総繊度が100dtexである。
【0018】
実施例2
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.6dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.11mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が80:20として、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ30°、75°、65°、20°、3°、170°、40°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270℃、冷却温度は20℃、冷却風速は2.2m/s、第1ローラ速度は1807m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は3168m/min、第2ローラ温度は150℃、巻取速度は3086m/minであり;
弛緩熱処理温度は90℃、処理時間は30minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が28%、捲縮安定度が78%、捲縮伸長率が66%、捲縮弾性回復率が75%であり、
その破断強度が2.6cN/dtex、破断伸長率が59.1%、総繊度が104dtexである。
【0019】
実施例3
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.69dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.11mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が80:20として、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ30°、75°、18°、22°、13°、170°、56°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は272℃、冷却温度は24℃、冷却風速は2m/s、第1ローラ速度は1814m/min、第1ローラ温度は89℃、第2ローラ速度は3178m/min、第2ローラ温度は153℃、巻取速度は3139m/minであり;
弛緩熱処理温度は93℃、処理時間は30minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が29%、捲縮安定度が79%、捲縮伸長率が67%、捲縮弾性回復率が75%であり、
その破断強度が2.6cN/dtex、破断伸長率が59%、総繊度が117dtexである。
【0020】
実施例4
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.6dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.13mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が80:20として、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ30°、75°、15°、22°、3°、170°、12°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、80°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は273℃、冷却温度は22℃、冷却風速は1.8m/s、第1ローラ速度は1822m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は3203m/min、第2ローラ温度は154℃、巻取速度は3163m/minであり;
弛緩熱処理温度は106℃、処理時間は29minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が29%、捲縮安定度が79%、捲縮伸長率が68%、捲縮弾性回復率が76%であり、
その破断強度が2.6cN/dtex、破断伸長率が58.5%、総繊度が120dtexである。
【0021】
実施例5
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.7dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.12mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が80:20として、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ30°、75°、15°、20°、3°、170°、40°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は274℃、冷却温度は21℃、冷却風速は2.2m/s、第1ローラ速度は1852m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は3227m/min、第2ローラ温度は154℃、巻取速度は3180m/minであり;
弛緩熱処理温度は114℃、処理時間は28minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が31%、捲縮安定度が79%、捲縮伸長率が71%、捲縮弾性回復率が76%であり、
その破断強度が2.8cN/dtex、破断伸長率が57.8%、総繊度が135dtexである。
【0022】
実施例6
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.6dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.11mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が70:30であり、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が24であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ30°、75°、15°、22°、3°、170°、31°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は275℃、冷却温度は22℃、冷却風速は1.9m/s、第1ローラ速度は1911m/min、第1ローラ温度は92℃、第2ローラ速度は3265m/min、第2ローラ温度は158℃、巻取速度は3185m/minであり;
弛緩熱処理温度は115℃、処理時間は25minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が32%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が71%、捲縮弾性回復率が76%であり、
その破断強度が2.8cN/dtex、破断伸長率が57.6%、総繊度が132dtexである。
【0023】
実施例7
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.63dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.11mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が70:30であり、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が12として、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ3°、170°、40°、90°、1°、45°、30°、10°、10°、60°、2°とし;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は275℃、冷却温度は24℃、冷却風速は2.3m/s、第1ローラ速度は1981m/min、第1ローラ温度は93℃、第2ローラ速度は3284m/min、第2ローラ温度は159℃、巻取速度は3202m/minであり;
弛緩熱処理温度は116℃、処理時間は22minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が33%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が71%、捲縮弾性回復率が80%であり、
その破断強度が2.9cN/dtex、破断伸長率が56.9%、総繊度が146dtexである。
【0024】
実施例8
再生ポリエステル長繊維の製造方法は、固有粘度の0.7dL/gの再生ポリエステルを、ある方式によって配列した吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらにそれを弛緩熱処理する。そのうち、
吐出孔は「C」形及び円形とし、特に、「C」形は、二つの線分で結ぶ内側の弧線Nと、A、Bを端点としてさらに弦長(即ちAとBの距離)が0.14mmである外側の弧線Mとにより構成される;
C形吐出孔と円形吐出孔とは、数量比が70:30であり、全て同心円を成すように位置し、特に、C形吐出孔は、数量が12であり、等間隔で最外円に位置し、さらに、それらのC形吐出孔のAとBを通る直線のなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ15°、22°、3°、45°、30°、10°、10°、60°、2°、98°、106°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は275℃、冷却温度は25℃、冷却風速は2.3m/s、第1ローラ速度は2000m/min、第1ローラ温度は95℃、第2ローラ速度は3300m/min、第2ローラ温度は160℃、巻取速度は3210m/minであり;
弛緩熱処理温度は120℃、処理時間は20minである。
そして得られた再生ポリエステル長繊維は、
多数の「C」形断面単糸と多数の円形断面単糸との混繊糸であり、そのうち、どの「C」形断面単糸でも断面内応力が不均一であり、さらに、すべての「C」形断面単糸の断面内応力不均一性が互いに異なるため、捲縮方向がランダムな捲縮形態であり;
その捲縮収縮率が33%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が72%、捲縮弾性回復率が80%であり、
その破断強度が2.9cN/dtex、破断伸長率が50%、総繊度が150dtexである。
【国際調査報告】