(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット
(51)【国際特許分類】
A01K 61/85 20170101AFI20221216BHJP
【FI】
A01K61/85
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020567566
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020014687
(87)【国際公開番号】W WO2021085971
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0134489
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520470198
【氏名又は名称】デーイル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コン ギョンソク
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA01
2B104CF11
2B104CF21
(57)【要約】
本発明は飼料保存タンクから投入ホッパーを通してスクリューフィーダーの内部に投入された飼料をスクリューフィーダーの移送スクリューによってスクリューケーシングに沿って養殖水槽に供給するようにした養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットに関するもので、より詳しくは投入ホッパーの直前方に相当するスクリューケーシングの内周面上側部に所定の長さだけ下方に突出する遮断板を設けるか、投入ホッパーの前方にスクリューケーシングに沿って位置する前方側移送スクリューのスクリューピッチを投入ホッパーの下部側に位置する後方側移送スクリューのスクリューピッチより大きくするか、前記前方側移送スクリューのピッチがスクリューケーシングの長手方向に沿って次第に増加するようにするか、投入ホッパーの直前方に相当する部分を除いた残りのスクリューケーシング部分の内径が移送スクリューのスクリュー羽の直径より大きくなるようにすることにより、移送スクリューの軸回転によって飼料保存タンクの投入ホッパーからスクリューケーシングを通して供給される飼料が移送スクリューとスクリューケーシングとの間で過度に圧搾されず、移送スクリューによってスムーズに押し出されるようにし、これにより移送スクリューの過度な圧搾力で飼料の粒子が崩壊されることによって飼料の機能を正常に果たすことができない現象と、飼料の圧搾によるスクリューモーターの過負荷及びスクリューフィーダーの故障や誤作動を事前に防止するようにした養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットに関するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側部に漏斗形投入ホッパー(2)が提供された飼料保存タンク(1)と、前記投入ホッパー(2)の下端出口側に連結された状態で所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダー(3)とを含んでなり、前記スクリューフィーダー(3)は、先端部が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシング(4)と、前記スクリューケーシング(4)の内部に挿設され、スクリューモーター(7)の動力によって軸回転する移送スクリュー(5)とを含んでなる養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット(10)であって、
前記投入ホッパー(2)の直前方に相当するスクリューケーシング(4)の内周面上側部には、飼料(8)の移送量を制限する遮断板(9)が所定の長さだけ下方に突設され、
前記移送スクリュー(5)の軸回転の際、遮断板(9)がかかるスクリュー部分は一定のピッチだけが切除された形態を有するか、当該スクリュー部分に遮断板(9)の通過溝が切開されて形成されることを特徴とする、養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項2】
前記遮断板(9)は、スクリューケーシング(4)の直径の1/15~2/5に相当する長さに突設されることを特徴とする、請求項1に記載の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項3】
下側部に漏斗形投入ホッパー(2)が提供された飼料保存タンク(1)と、前記投入ホッパー(2)の下端出口側に連結されるとともに所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダー(3)とを含んでなり、前記スクリューフィーダー(3)は、先端部が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシング(4)と、前記スクリューケーシング(4)の内部に挿設され、スクリューモーター(7)の動力によって軸回転する移送スクリュー(5)とを含んでなる養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット(10)であって、
前記移送スクリュー(5)は、投入ホッパー(2)の出口の下側に位置するスクリューのピッチを基準として投入ホッパー(2)の前方に位置する残りのスクリューのピッチが10~50%の比率だけ大きく形成されることを特徴とする、養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項4】
下側部に漏斗形投入ホッパー(2)が提供された飼料保存タンク(1)と、前記投入ホッパー(2)の下端出口側に連結されるとともに所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダー(3)とを含んでなり、前記スクリューフィーダー(3)は、先端部が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシング(4)と、前記スクリューケーシング(4)の内部に挿設され、スクリューモーター(7)の動力によって軸回転する移送スクリュー(5)とを含んでなる養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット(10)であって、
前記移送スクリュー(5)は、投入ホッパー(2)の出口の下側に位置するスクリューのピッチを基準として投入ホッパー(2)の前方に位置する残りのスクリューのピッチがスクリューケーシング(4)の長手方向に行くにつれて5~20%の比率だけ次第に大きく形成されることを特徴とする、養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項5】
前記投入ホッパー(2)の直前方に相当するスクリューケーシング(4)の内周面上側部には飼料(8)の移送量を制限する遮断板(9)が所定の長さだけ下方に突設され、
前記移送スクリュー(5)の軸回転の際、遮断板(9)がかかるスクリュー部分は一定のピッチだけが切除された形態を有するか、当該スクリュー部分に遮断板(9)の通過溝が切開されて形成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項6】
下側部に漏斗形投入ホッパー(2)が提供された飼料保存タンク(1)と、前記投入ホッパー(2)の下端出口側に連結されるとともに所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダー(3)とを含んでなり、前記スクリューフィーダー(3)は、先端部が開口したパイプ形状のスクリューケーシング(4)と、前記スクリューケーシング(4)の内部に挿設され、スクリューモーター(7)の動力によって軸回転する移送スクリュー(5)とを含んでなる養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット(10)であって、
前記投入ホッパー(2)の直前方に相当するスクリューケーシング(4)部分は移送スクリュー(5)のスクリュー羽の縁端と密着する押出ケーシング(4a)となり、前記押出ケーシング(4a)部分を除いた残りのスクリューケーシング(4)部分は移送スクリュー(5)のスクリュー羽の直径より所定の長さ(d)だけ大きい内径を有する拡張ケーシング(4b)となることを特徴とする、養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項7】
前記移送スクリュー(5)は拡張ケーシング(4b)の底面上に置かれるように設けられることを特徴とする、請求項6に記載の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項8】
前記押出ケーシング(4a)部分は移送スクリュー(5)のスクリューピッチ(P)と同じ長さを有するように形成されるか、当該スクリューピッチ(P)の2倍~4倍の長さを有するように形成され、
前記拡張ケーシング(4b)部分は、移送スクリュー(5)のスクリュー羽の直径を基準として当該直径の1.2倍~2倍の内径を有するように形成されることを特徴とする、請求項6に記載の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【請求項9】
前記投入ホッパー(2)の出口の下側部に位置する移送スクリュー(5)部分は、当該部位を成す全体スクリューの一部のスクリューが切除された形態を有することを特徴とする、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飼料保存タンクから投入ホッパーを通してスクリューフィーダー(Screw feeder)の内部に投入された飼料をスクリューフィーダーの移送スクリューによってスクリューケーシングに沿って養殖水槽に供給するようにした養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットに関するもので、移送スクリューの軸回転によって飼料保存タンクの投入ホッパーからスクリューケーシングを通して供給される飼料が移送スクリューとスクリューケーシングとの間で過度に圧搾されず、移送スクリューによってスムーズに押し出されるようにした養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の室内に養殖水槽を設置して各種の魚類を高密度に養殖する陸上の養殖場施設だけでなく、湖、貯水池又は沿岸海域などの水域に囲い網を足場構造物とともに係留式で設置して各種の魚類を高密度に養殖する囲い網養殖場施設では魚類の成長に必要な餌、すなわち飼料を要求する時間に合わせて周期的に供給することが養殖場の管理側面で一番重要な部分を占める。
【0003】
既存には、養殖場管理人が現場に直接投入され、飼料保存タンクに保存された飼料をひさごなどで汲み取り、養殖水槽や囲い網の内部に飼料をばらまく方式の手作業が行われているが、1日に3~4回の給餌時間に合わせて管理人が船舶で移動しなければならない海上の囲い網養殖場はもちろんのこと、管理人が常住することができる陸上の養殖場でも専門人力の採用による人件費によって養殖場の管理に相当な経済的負担を引き起こしており、劣悪で大変な勤務環境のため管理人の求人も難しいだけでなく、既存の管理人の高齢化などによって非常に深刻な人力不足に苦しんでいる実情である。
【0004】
特に、海上の囲い網養殖場においては、海に位置している環境的な与件上、飼料の給餌作業を最大限に早く終了しなければならないので、管理者が囲い網の周辺の足場で囲い網の中央部にいっぺんに多量の飼料をばらまくから、養殖魚類が飼料を充分に取る前に囲い網の下部や側部を通して約20~30%の飼料が抜けて損失される問題点があり、サイズが大きくて元気な養殖魚類は旺盛な摂餌活動力で十分な飼料の摂取が可能であるが、相対的に小さくて弱い養殖魚類は大きな魚に押しのけられて飼料を十分に取ることができない成長不均衡までもたらしている。
【0005】
これにより、最近に入り、現場の管理人の代わりに飼料自動供給装置が普及されている趨勢であり、このような飼料自動供給装置は、飼料の供給時間とその投入量をコントローラーに予め設定しておいた状態で周期的な飼料供給を行うようにし、一日に5~10回にかけて少量の飼料を少しずつ随時投入する方式を適用することにより、大きな魚が一次に飼料を先に取った後、小さな魚も引き継いで飼料を充分に取ることができるようにすることにより、養殖魚類間の飼料摂取不均衡を解消して養殖魚類の大部分が均等に成長することができる与件を造成するとともに、飼料の不必要な浪費も防止して養殖漁民の所得増大に寄与することができるようにした。
【0006】
前記のような飼料自動供給装置の代表的な例としては、ホッパー(Hopper)形態に製作された飼料保存タンクの下端出口にロータリーバルブを取り付けて飼料の排出及び遮断の作業を遂行するようにした状態で養殖水槽や囲い網に飼料を投入するにはブロア(Blower)を使う送風式飼料供給装置と、飼料保存タンクの下端出口にスクリューコンベヤーとしてのスクリューフィーダー(Screw feeder)を直接連結して飼料の排出、供給(移送)及び投入を兼ねるようにしたスクリュー式飼料供給装置とを挙げることができる。
【0007】
前記のようなスクリュー式飼料供給装置の基本単位を成す飼料供給ユニット10は、
図1及び
図2にそれぞれ示すように、下側部に漏斗形投入ホッパー2が提供された飼料保存タンク1と、前記投入ホッパー2の下端出口側に連結されるとともに所定の長さだけ前方側(図面で右側)に延設されるスクリューフィーダー3とを含んでなり、前記スクリューフィーダー3は、先端部が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシング4と、前記スクリューケーシング4の内部に挿設され、スクリューモーター7の動力によって軸回転する移送スクリュー5とを含んでなる。
【0008】
しかし、前記のような従来の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニット10は、スクリューフィーダー3の移送スクリュー5が投入ホッパー2の直下部に相当する後方側からスクリューケーシング4の先端出口に至るまで一定のスクリューピッチPを有することにより、飼料保存タンク1の投入ホッパー2を通してスクリューフィーダー3の内部に投入された飼料8が移送スクリュー5の軸回転によってスクリューケーシング4に沿って前方に移送及び供給されるとき、スクリューケーシング4と移送スクリュー5との間で飼料8が押し出される途中にスクリューケーシング4と移送スクリュー5との間で飼料8が強い力で圧搾される問題点が発生した。
【0009】
前記のように、スクリューケーシング4と移送スクリュー5との間で飼料8が強い力で圧搾される場合、通常1~10mmのサイズ(直径)の粒子形態に製造された飼料8がその移送及び供給過程でとても易しく割れるか壊れてパウダー状に崩壊される問題点があり、このようにパウダー状に崩壊された飼料は養殖魚類が正常に取ることができないだけでなく、飼料が海水中に早く溶け込んで飼料の損失及び水質汚染を引き起こすなど、飼料8の実質的な機能を果たすことができない問題点があり、スクリューケーシング4の内周面と飼料粒子8との間に移送スクリュー5の円滑な軸回転に差し支えをもたらす相当な摩擦抵抗が作用することによってスクリューモーター7の過負荷及びスクリューフィーダー3の故障や誤作動がよく発生する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国実用新案登録出願第20-1993-0027317号公報
【特許文献2】韓国実用新案登録第20-0450955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような従来の問題点を解決するために案出されたものであり、投入ホッパーの直前方に相当するスクリューケーシングの内周面上側部に所定の長さだけ下方に突出する遮断板を設けるか、投入ホッパーの前方にスクリューケーシングに沿って位置する前方側移送スクリューのスクリューピッチを投入ホッパーの下部側に位置する後方側移送スクリューのスクリューピッチより大きくするか、前記前方側移送スクリューのピッチがスクリューケーシングの長手方向に沿って次第に増加するようにするか、投入ホッパーの直前方に相当する部分を除いた残りのスクリューケーシング部分の内径が移送スクリューのスクリュー羽の直径より大きくすることにより、移送スクリューの軸回転によって飼料保存タンクの投入ホッパーからスクリューケーシングを通して供給される飼料が移送スクリューとスクリューケーシングとの間で過度に圧搾されず、移送スクリューによってスムーズに押し出されるようにした養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを提供することをその技術的な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の技術的課題を解決するための手段としての本発明は、下側部に漏斗形投入ホッパーが提供された飼料保存タンクと、前記投入ホッパーの下端出口側に連結された状態で所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダーとを含んでなり、前記スクリューフィーダーは、先端部が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシングと、前記スクリューケーシングの内部に挿設され、スクリューモーターの動力によって軸回転する移送スクリューとを含んでなる養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットであって、前記投入ホッパーの直前方に相当するスクリューケーシングの内周面上側部には、飼料の移送量を制限する遮断板が所定の長さだけ下方に突設され、前記移送スクリューの軸回転の際、遮断板がかかるスクリュー部分は一定のピッチだけが切除された形態を有するか、当該スクリュー部分に遮断板の通過溝が切開されて形成されることを特徴とし、前記遮断板は、スクリューケーシングの直径の1/15~2/5に相当する長さに突設されることを特徴とする。
【0013】
他の実施例として、前記移送スクリューは、投入ホッパーの出口の下側に位置するスクリューのピッチを基準として投入ホッパーの前方に位置する残りのスクリューのピッチが10~50%の比率だけ大きく形成されるか、投入ホッパーの出口の下側に位置するスクリューのピッチを基準として投入ホッパーの前方に位置する残りのスクリューのピッチがスクリューケーシングの長手方向に行くにつれて5~20%の比率だけ次第に大きく形成されることを特徴とし、さらに他の実施例として、前記投入ホッパーの直前方に相当するスクリューケーシング部分は移送スクリューのスクリュー羽の縁端と密着する押出ケーシングとなり、前記押出ケーシング部分を除いた残りのスクリューケーシング部分は移送スクリューのスクリュー羽の直径より所定の長さだけ大きい内径を有する拡張ケーシングとなることを特徴とし、前記投入ホッパーの出口の下側部に位置する移送スクリュー部分は当該部位を成す全体スクリューの一部のスクリューが切除された形態を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記のような本発明によれば、移送スクリューの軸回転によって飼料保存タンクの投入ホッパーからスクリューケーシングを通して供給される飼料が移送スクリューとスクリューケーシングとの間で過度に圧搾されず、移送スクリューによってスムーズに押し出されるようにすることにより、移送スクリューの過度な圧搾力で飼料の粒子がパウダー状に崩壊されることによって飼料の機能を正常に果たすことができない現象と、飼料の圧搾によるスクリューケーシングとの過度な摩擦抵抗のため大容量のスクリューモーターを使うことによる電力の浪費と、スクリューモーターの過負荷による損傷及びスクリューフィーダーの故障や誤作動を事前に防止することができる効果を提供し、これにより養殖場の飼料供給作業をより効率的に遂行することができる効果を提供する。
【0015】
特に、本発明の第1実施例による場合は、陸上の室内養殖場や海上の囲い網養殖場に既に設置されたスクリュー式飼料供給ユニットの構造を変更せず、スクリューケーシングの上側部に遮断板を挿入及び固定し、遮断板の挿入のために切開して形成したスクリューケーシング部分にニッパーやグラインダーなどを挿入し、遮断板にかかる移送スクリューのスクリュー羽部を切断する簡単な作業のみでも飼料を円滑に供給することができるスクリュー式飼料供給ユニットを提供することができる効果を有し、投入ホッパーの出口の下側部に位置する移送スクリュー部分からスクリューの一部を切除した場合には、移送スクリューの軸回転による飼料の供給初期にも過度な圧搾現象が発生しないようにして一層円滑な飼料供給作業を遂行することができるなどの非常に有用な効果を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを示す側断面図である。
【
図3】本発明の第1実施例による養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを示す要部拡大側断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は遮断板の他の適用例を示す要部断面図である。
【
図6】本発明の第2実施例による養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを示す要部拡大側断面図である。
【
図7】本発明の第3実施例による養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを示す要部拡大側断面図である。
【
図8】本発明の第4実施例による養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットを示す側断面図である。
【
図9】(A)及び(B)は
図8のB-B線についての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、前記の目的を達成するための本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明の第1実施例による養殖場用スクリュー式飼料供給ユニットの場合にも、
図3及び
図4に示すように、下側部に漏斗形投入ホッパー2が提供された飼料保存タンク1と、前記投入ホッパー2の下端出口側に連結されるとともに所定の長さだけ前方に延設されるスクリューフィーダーと3を含んでなり、前記スクリューフィーダー3は、先端部(図面で右側端部)が開口した円筒パイプ形のスクリューケーシング4と、前記スクリューケーシング4の内部に挿設され、スクリューモーター7の動力によって軸回転する移送スクリュー5とを含んでなるものである。
【0019】
図面で、前記スクリューモーター7がスクリューケーシング4の後端部(図面で左側端部)で移送スクリュー5のスクリュー軸6と直接連結されたものとして示されているが、移送スクリュー5のスクリュー軸6の後端部がスクリューケーシング4の後方壁体部を貫通するとともにスクリューモーター7の駆動軸と公知の伝動手段、例えばギアやチェーンなどを介して連結されることもでき、前記スクリューケーシング4の先端部を開口部に形成する代わりに、スクリューケーシング4の先端側底面上に飼料8の排出口又は排出通路を形成することもできることは言うまでもない。
【0020】
本発明の実質的な要部の構成要素としては、前記投入ホッパー2の直前方に相当するスクリューケーシング4の内周面上側部に所定の長さだけ下方に突出する遮断板9をスクリューケーシング4と一体に連結しておいたものであり、前記遮断板9は
図3でスクリューケーシング4に沿って水平方向に延びる仮想線の高さに相当する水準に合わせて飼料8の移送量を制限する機能をするものである。
【0021】
言い替えれば、移送スクリュー5の軸回転によって飼料保存タンク1の投入ホッパー2からスクリューケーシング4を通して飼料8が供給されるとき、飼料8の実質的な供給通路となるスクリューケーシング4の通路空間の一部を前記遮断板9が遮断することにより、遮断板9の前方に相当するスクリューケーシング4の通路空間の全体にわたって飼料8が過度に充填及び圧搾されず、スクリューケーシング4の内周面と飼料8との間に一定の余裕空間が提供されるようにするものであり、これにより移送スクリュー5とスクリューケーシング4との間で飼料8が過度に圧搾されず、移送スクリュー5によってスムーズに押し出されることができる。
【0022】
前記遮断板9がスクリューケーシング4の内周面上端側から下方に突出する長さはスクリューケーシング4の直径の1/15~2/5程度にすることが好ましい。その理由は、遮断板9の突出長がスクリューケーシング4の直径の1/15未満になれば、スクリューケーシング4の内部で発生する飼料8の過度な充填及び圧搾現象を減らす側面で大きな効果を期待しにくく、遮断板9の突出長がスクリューケーシング4の直径の2/5を超えれば、スクリューフィーダー3による飼料の時間当たり移送量が不必要に減少する欠点があるからである。
【0023】
さらに、前記遮断板9は
図4のように四角板形に形成されることもでき、スクリューケーシング4の内周面上端側全体をカバーするアーチ(Arch:弧形)板形に形成されることもでき、飼料8の移送作業がよりスムーズで円滑に遂行されることができるように、
図5の(A)及び(B)のように、所定の角度、好ましくはスクリューケーシング4に対して45~60度の角度をなして前方に傾くように取り付けることもできる。
【0024】
そして、移送スクリュー5の軸回転動作の際、スクリューケーシング4の内部に突出した前記遮断板9の部分は移送スクリュー5を成すスクリュー羽部に不可避にかかることになる。このように移送スクリュー5のスクリュー羽部が遮断板9によってかかる場合、移送スクリュー5の軸回転動作自体が不可能になるので、移送スクリュー5の軸回転の際に遮断板9がかかるスクリュー羽部を、
図3に示すように、一定のピッチだけ切除するか、当該スクリュー羽部に遮断板9の通過溝(図示せず)を切開形成することにより、移送スクリュー5の軸回転動作が遮断板9によって干渉されないようにすることが要求される。
【0025】
本発明の第2実施例による飼料供給ユニット10は、
図6に示すように、投入ホッパー2の出口の下側に位置するスクリューのピッチPを基準として投入ホッパー2の前方に位置する残りのスクリューのピッチP’が10~50%の比率だけ大きく形成された移送スクリュー5をスクリューケーシング4の内部に挿設したものであり、このような場合にも、スクリューケーシング4に沿って水平方向に延びる
図6の仮想線の高さに合わせて飼料8の移送量を制限することが可能である。
【0026】
言い替えれば、投入ホッパー2の出口の下側に相当する移送スクリュー5部分のスクリューピッチPよりその前方に位置する移送スクリュー5部分のスクリューピッチP’を大きくすることにより、移送スクリュー5の軸回転の際、投入ホッパー2の出口の下側に位置するスクリューからその前方側のスクリューを飼料8が越える即時、より広くなるスクリューの間の空間によって当該空間で飼料8が過度に充填及び圧搾されず、スクリューケーシング4の内周面と飼料8との間に一定の余裕空間が提供される。
【0027】
前記のような方式により、移送スクリュー5とスクリューケーシング4との間で飼料8が過度に圧搾されず、移送スクリュー5によってスムーズに押し出されることができるものであり、投入ホッパー2の前方に配置される移送スクリュー5部分のスクリューピッチP’を投入ホッパー2の出口の下側に配置される移送スクリュー5部分のスクリューピッチPより10~50%の比率だけ大きく形成する理由は、前記第1実施例で説明した遮断板9の突出長の範囲を限定する理由と一脈相通ずるものである。
【0028】
本発明の第3実施例による飼料供給ユニット10は、
図7に示すように、投入ホッパー2の出口の下側に位置するスクリューのピッチPを基準として投入ホッパー2の前方に位置する残りのスクリューのピッチP1、P2、P3、P4がスクリューケーシング4の長手方向に行くにつれて5~20%の比率だけ次第に大きく形成(P<P1<P2<P3<P4)された移送スクリュー5をスクリューケーシング4の内部に挿設したものである。このような場合にも、
図7でスクリューケーシング4に沿って下方に傾いて延びる仮想線の高さに相当する水準に合わせて飼料8の移送量を制限することが可能となる。
【0029】
言い替えれば、投入ホッパー2の出口の下側に相当する移送スクリュー5部分のスクリューピッチPよりその前方に位置する移送スクリュー5部分のスクリューピッチP1、P2、P3、P4をスクリューケーシング4の長手方向に次第に大きく形成することにより、移送スクリュー5の軸回転の際、投入ホッパー2の出口の下側に位置するスクリューからその前方側のスクリューを飼料8が順次に越える過程で、次第に広くなるスクリュー間の空間によって飼料8が過度に充填及び圧搾されず、スクリューケーシング4の内周面と飼料8との間に適切な余裕空間が提供される。
【0030】
前記のような方式により、移送スクリュー5とスクリューケーシング4との間で飼料8が過度に圧搾されず、移送スクリュー5によってスムーズに押し出されることができ、投入ホッパー2の出口の下側に配置されるスクリューのピッチPを基準として投入ホッパー2の前方に位置する残りのスクリューのピッチP1、P2、P3、P4をスクリューケーシング4の長手方向に行くにつれて5~20%の比率だけ次第に大きく形成する理由も前記第1実施例で説明した遮断板9の突出長範囲を限定する理由と一脈相通ずるものである。
【0031】
本発明の第4実施例による飼料供給ユニット10は、
図8及び
図9に示すように、前記投入ホッパー2の直前方に相当するスクリューケーシング4部分は移送スクリュー5のスクリュー羽の縁端と密着する押出ケーシング4aとなるようにし、前記押出ケーシング4a部分を除いた残りのスクリューケーシング4部分は移送スクリュー5のスクリュー羽の直径より所定の長さdだけ大きい内径を有する拡張ケーシング4bとなるように形成したものである。
【0032】
前記のように、スクリューケーシング4を押出ケーシング4aと拡張ケーシング4bとに区分すれば、移送スクリュー5の軸回転動作の際、飼料8に圧搾力が加わる部分を押出ケーシング4a部分に制限するともに、押出ケーシング4aから拡張ケーシング4bの内部に飼料8が排出される即時、拡張ケーシング4bの内周面と移送スクリュー5のスクリュー羽との間に提供される余裕空間によって飼料8が過度に充填及び圧搾されず、スムーズに押し出されることができ、
図9の(A)及び(B)のように、前記拡張ケーシング4bは断面円形又は楕円形のパイプにすることが好ましいが、その他にもさまざまな形態の断面を有するパイプを適用することができる。
【0033】
前記押出ケーシング4a部分は、飼料8の定量移送及び供給が可能となるように、移送スクリュー5を成す少なくとも1個のスクリューピッチPが含まれる長さを有するようにし、飼料8の過度な圧搾及び摩擦抵抗を最小化することができるように、押出ケーシング4aの最大長はスクリューピッチPの4倍を超えないようにすることが好ましく、前記拡張ケーシング4b部分は移送スクリュー5のスクリュー羽の直径を基準として当該直径の1.2倍~2倍の内径を有するように形成することが好ましい。その理由は前記第1実施例で遮断板9の突出長の範囲を限定する内容と一脈相通ずるものである。
【0034】
さらに、前記押出ケーシング4aの内部で発生する飼料8の圧搾現象をより小さくする目的で、前記押出ケーシング4aの内周面が移送スクリュー5のスクリュー羽の外周面から微細な間隙を置いて離隔するようにすることもできるというのは言うまでもない。前記拡張ケーシング4bの場合、その内部に位置する移送スクリュー5部分が当該ケーシングの底面上に置かれるようにすることにより、押出ケーシング4aから拡張ケーシング4bに投入された飼料8がその自重によって移送スクリュー5側に全量が誘導されるようにするとともに、拡張ケーシング4bの内周面と移送スクリュー5のスクリュー羽との間に飼料8の粒子が挟まれないようにして、飼料8の損傷なしに円滑な給餌動作ができるようにすることが好ましい。
【0035】
さらなる事項として、
図3、
図6及び
図7にそれぞれ示すように、前記移送スクリュー5のうち、投入ホッパー2の出口の下側部に位置する移送スクリュー5部分を成す全体スクリューの一部を切除した形態の移送スクリュー5を使えば、投入ホッパー2の出口の下側の位置、つまり移送スクリュー5の軸回転による飼料8の供給初期にも飼料8の過度な圧搾現象が発生しないようにすることができ、これにより一層円滑な飼料供給作業を行うことができるので、より有利な利点を提供することができる。
【0036】
図3、
図6及び
図7では投入ホッパー2の出口の下側に配置される3個のスクリューの中で中間に相当するスクリューを1/2ピッチだけ切除したものを代表的な一例としたが、投入ホッパー2の出口面積(長さ)に合わせて1個又は2個以上のピッチだけスクリューを切除することもでき、2個以上のピッチだけスクリューを切除する場合には、切除されたそれぞれのスクリュー部分が互いに連結されず、一定のピッチ間隔で離れるようにすることが好ましく、本発明の第2実施例及び第3実施例でも第1実施例の遮断板9をさらに適用することができるというのは言うまでもない。
【0037】
前記のような構成を有する本発明によれば、移送スクリュー5の軸回転によって飼料保存タンク1の投入ホッパー2からスクリューケーシング4を通して供給される飼料8が移送スクリュー5とスクリューケーシング4との間で過度に圧搾されず、移送スクリュー5によってスムーズに押し出されるようにすることにより、移送スクリュー5の過度な圧搾力で飼料8の粒子がパウダー状に崩壊されることによって飼料8の機能を正常に果たすことができない現象と、飼料8の圧搾によるスクリューケーシング4との過度な摩擦抵抗のため大容量のスクリューモーター7を使うことによる電力の浪費と、スクリューモーター7の過負荷による損傷及びスクリューフィーダー3の故障や誤作動を事前に防止することができ、これにより養殖場の飼料供給作業をより効率的に遂行することができる。
【0038】
特に、本発明の第1実施例の場合は、陸上の室内養殖場や海上の囲い網養殖場に既に設置されたスクリュー式飼料供給ユニット10の構造を変更せずにスクリューケーシング4の上側部に遮断板9を挿入及び固定し、遮断板9の挿入のために切開して形成したスクリューケーシング4部分にニッパーやグラインダーなどを挿入し、遮断板9にかかる移送スクリュー5のスクリュー羽部を切断させる簡単な作業のみでも飼料8を円滑に供給することができるスクリュー式飼料供給ユニット10を提供することができ、投入ホッパー2の出口の下側部に位置する移送スクリュー5部分からスクリューの一部を切除した場合には、移送スクリュー5の軸回転による飼料8の供給初期にも過度な圧搾現象が発生しないようにして一層円滑な飼料供給作業を遂行することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 飼料保存タンク
2 投入ホッパー
3 スクリューフィーダー
4 スクリューケーシング
4a 押出ケーシング
4b 拡張ケーシング
5 移送スクリュー
6 スクリュー軸
7 スクリューモーター
8 飼料
9 遮断板
10 飼料供給ユニット
P、P’、P1、P2、P3、P4 ピッチ
【国際調査報告】