(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20221216BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20221216BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20221216BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
A24F40/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560253
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2020118484
(87)【国際公開番号】W WO2022061911
(87)【国際公開日】2022-03-31
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呉俊
(72)【発明者】
【氏名】李廷華
(72)【発明者】
【氏名】李寿波
(72)【発明者】
【氏名】朱東来
(72)【発明者】
【氏名】張霞
(72)【発明者】
【氏名】鞏効偉
(72)【発明者】
【氏名】韓▲い▼
(72)【発明者】
【氏名】趙偉
(72)【発明者】
【氏名】洪▲りゅう▼
(72)【発明者】
【氏名】尤俊衡
(72)【発明者】
【氏名】廖暁祥
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置に関し、加熱式タバコの喫煙具の分野に属する。この発煙装置は、タバコ導入管(1)、誘導コイル(3)、加熱カップ(5)、発熱素子(6)、及び磁気伝導密封部材(7)を備え、タバコ導入管(1)は、発煙装置の上端に配置され、中空管構造であり、内部の空洞が空気混合室(1D)であり、空気混合室(1D)の直径が加熱カップ(5)の内部空洞の直径よりも大きく、タバコ導入管(1)の内壁と加熱カップ(5)の上端との間には、給気通路(1A)である隙間が設けられる。この発煙装置は、喫煙具の加熱部の軸方向の長さを短くするように、従来の「加熱体+タバコ」の構造に対して、空間の軸方向の長さを短くする空間の折り返しを行う。この発煙装置における発熱素子(6)が折り返し形状の空気流路内に配置されるので、空気流路の長さが長くなり、発煙装置の軸方向の長さが短くなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置であって、
タバコ導入管(1)、誘導コイル(3)、加熱カップ(5)、発熱素子、(6)及び磁気伝導密封部材(7)を備え、
前記タバコ導入管(1)は、前記発煙装置の上端に配置され、中空管構造であり、内部の空洞が空気混合室(1D)であり、前記タバコ導入管(1)の上端部の中心が第1の導入孔(1B)であり、下端部の中心が第2の導入孔(1E)であり、前記第1の導入孔(1B)の外周に複数の空気案内溝(1C)が設けられ、前記空気混合室(1D)の直径が前記第1の導入孔(1B)の直径よりも大きく、前記第2の導入孔(1E)と第1の導入孔(1B)が同じ直径を有し、同軸であり、前記タバコ導入管(1)の下端に少なくとも1つの給気通路(1A)を有し、
前記加熱カップ(5)は、前記タバコ導入管(1)の下方に配置され、全体が中空カップ状構造であり、内部がタバコ収容室(8)であり、底部に少なくとも1つの給気孔(9)を有し、
前記磁気伝導密封部材(7)は、前記加熱カップ(5)の外周を取り囲み、全体が中空カップ状構造であり、底部が相対的に密封され、前記磁気伝導密封部材(7)の内壁と前記加熱カップ(5)の外壁との間に空気流路を有し、
前記発熱素子(6)は、前記空気流路内に配置され、強磁性金属からなり、空気が通過可能な構造を有し、
前記誘導コイル(3)は、前記磁気伝導密封部材(7)の外周に設けられ、電源に接続され、
前記空気案内溝(1C)と、前記空気混合室(1D)と、前記給気通路(1A)と、前記空気流路と、前記給気孔(9)と、前記タバコ収容室(8)との間が気流連通している、
ことを特徴とする、発煙装置。
【請求項2】
前記発熱素子(6)が、強磁性金属繊維束、強磁性金属繊維複合ウェブ、または強磁性多孔質発泡金属体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発煙装置。
【請求項3】
前記誘導コイル(3)の外周に配置される中空管状構造の電磁遮蔽リング(2)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の発煙装置。
【請求項4】
前記磁気伝導密封部材(7)の外周に被覆される絶縁断熱層(7A)と、
前記誘導コイル(3)の外周に被覆され、前記電磁遮蔽リング(2)の内壁との間に隙間がある絶縁耐高温被覆層(7B)とをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の発煙装置。
【請求項5】
前記発熱素子(6)の内部に埋設される第1の温度測定素子(4)と、前記加熱カップ(5)の底部と前記磁気伝導密封部材(7)の底部との間に形成される均熱室(11)内に配置され、前記給気孔(9)に正対向する第2の温度測定素子(12)とをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の発煙装置。
【請求項6】
断熱管(10)、断熱基部(13)、及びベース(14)をさらに備え、
前記断熱管(10)は、前記電磁遮蔽リング(2)の外周に設けられ、前記タバコ導入管(1)とベース(14)との間に係合され、
前記電磁遮蔽リング(2)は、前記タバコ導入管(1)と前記断熱基部(13)との間に係合され、
前記断熱基部(13)が前記磁気伝導密封部材(7)の下方に配置され、前記ベース(14)が前記断熱基部(13)の下方に配置される、ことを特徴とする、請求項3に記載の発煙装置。
【請求項7】
前記給気孔(9)が前記加熱カップ(5)の底部に環状に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発煙装置。
【請求項8】
前記第1の導入孔(1B)及び第2の導入孔(1E)の直径が、タバコの公称直径よりもやや小さく、前記タバコ収容室(8)の直径以下であることを特徴とする、請求項1に記載の発煙装置。
【請求項9】
前記タバコ導入管(1)の下端は、径方向内側に突出する内側ボスと、軸方向下方に突出する下側ボスとを有し、前記少なくとも1つの給気通路(1A)が前記下側ボスを貫通して、前記下側ボスに環状に配置され、
前記加熱カップ(5)の上端部が、前記内側ボスの下面に当接するとともに、前記下側ボスの内側に位置し、前記磁気伝導密封部材(7)の上端部が前記下側ボスの外側に位置する、ことを特徴とする、請求項1に記載の発煙装置。
【請求項10】
前記空気混合室(1D)の内部に貼り付けられる電磁遮蔽層と、前記断熱基部(13)の上部または下部に貼り付けられる電磁遮蔽層とを含む、電磁遮蔽層が内部に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の発煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な喫煙具の分野に属し、具体的には、折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の健康意識の向上に伴い、非燃焼加熱式タバコは、従来の燃焼式タバコよりも害が少ないので、喫煙者にますます好まれている。 現在、非燃焼加熱式タバコの加熱方法には、接触式電気加熱、非接触式電気加熱、炭素加熱などが含まれる。
【0003】
接触式電気加熱とは、タバコと直接接触して加熱することにより煙を発生させることを指し、通電により加熱する管、ピンまたは板などの様々な加熱部材をタバコスティック又はタバコ葉と直接接触させ、タバコの燃焼点よりも低い温度でタバコスティック又はタバコ葉を直接加熱することで、タバコの香気成分及び発煙成分が揮発し、喫煙者の喫煙ニーズを満たす。
【0004】
上記のタバコスティックまたはタバコ葉の加熱方法には以下の問題点がある。
一、タバコスティックまたはタバコ葉の直接接触する部分は十分に加熱されるが、発熱体から離れた部分は十分に加熱されず、タバコの円周断面で加熱効果が不均一になる。
二、加熱部材自体の体積が小さく、熱容量が高くないので、喫煙者の吸引前に所定の加熱待機時間が必要である。発熱体がタバコと直接接触するので、発熱体から離れた部分の加熱効果を確保するために、通常、発熱体の表面温度を最適加熱温度よりも10~20度高くすることで、十分な加熱を確保する。然しながら、発熱体と接触する部分が数回加熱された後、発熱体に付着することがあるため、次の喫煙時に、臭いの発生や加熱の困難という問題をもたらす。
【0005】
従来の炭素加熱式タバコは、タバコの先端に付加された炭素棒に点火することで、炭素棒を流れる空気を急速加熱する。加熱空気が喫煙者の吸引による負圧作用でタバコ内のタバコ葉を流れる際に、タバコ葉を加熱することで、タバコ葉の非燃焼加熱を実現する。この加熱方法は、タバコの香りを得ることができ、燃焼により大量に発生するタールやニコチンなどの有害物質を抑制できる。この炭素加熱式タバコは、従来の紙巻きタバコよりも害が少ないという特徴があるが、タバコの先端に炭素棒が付加されているため、タバコの製造が困難になり、生産効率に影響を与えるだけでなく、炭素棒の点火に時間がかかり、点火しにくく、炭素棒に点火した後、臭いが発生するか、又は、喫煙環境の換気不良により一酸化炭素が発生し、ひいては安全リスクが発生するなどの欠点がある。同様に、炭素棒に点火した後は制御が難しくなり、非吸引時にもタバコ葉の加熱は行われている。そして、炭素棒の基端がタバコ葉と直接接触するか又は相対的に近いので、燃焼した炭素棒の基端でも少量残存したタバコ葉が直接加熱されひいては臨界で燃えてしまう問題がある。
【0006】
従来の非接触式電気加熱方法は、導入された空気を電気加熱する喫煙具を用い、環状金属発熱体、平坦状金属発熱体、又は組み合わせ式平坦状金属発熱体による直接通電加熱方式で、その表面を流れる空気を加熱した後にタバコに導入して「オーブン式」全方位加熱を行う。
【0007】
然しながら、上記の非接触式電気加熱方法には以下の問題点がある。
一、発熱体の隣接する表面は、通電のため、短絡を防止するように互いに絶縁するための十分なスペースが必要となるので、発熱体の表面を流れる空気のみが十分に加熱される。
二、発熱体の温度の測定や制御が難しい。温度センサーは、スペースが必要な発熱体に直接取り付けることができず、空気流路に取り付けられるので、取り付けや配線が難しいだけでなく、吸引時と非吸引時の空気の流れと停滞における相対温度差が大きすぎ、制御が難しくなる。
【0008】
従来の加熱式タバコは、煙草部とフィルタの2つの部分からなり、フィルタのほとんどは、煙草部に近い支持部、中間の降温部、及び喫煙者の唇に接触する基端の唇側端部の3つの部分からなる。タバコを加熱する従来の喫煙具に加熱式タバコを挿入する場合に、タバコの煙草部のほとんどがわずか10~15mmで、長くても20mm以下で短いため、ほとんどの喫煙具は、煙草部及び(または)フィルタの支持部を喫煙具の加熱室に挿入する必要がある。また、喫煙者が特定の種類(またはブランド)以外のタバコ用として製造された汎用型喫煙具を使用する場合、発熱体の先端からタバコフィルタの支持部までの距離が2mm未満になり、さらには、発熱体の先端がフィルタの支持部の端部に到達することもある。上記の場合に、タバコを加熱して吸引すると、支持部の材料が加熱体の高温に耐えられず、熱収縮や熱崩壊が発生する可能性が高い。タバコの後半部の吸引に影響を与えるだけでなく(支持部の熱収縮または熱崩壊により、タバコが変形しまたは柔らかくなるため)、タバコの喫味にも直接影響を与える。
【0009】
上記問題点を解消するために、本発明を提出する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、タバコ導入管1、誘導コイル3、加熱カップ5、発熱素子6及び磁気伝導密封部材7を備える、折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置を提供し、
タバコ導入管1は、発煙装置の上端に配置され、中空管構造であり、内部の空洞が空気混合室1Dであり、タバコ導入管1の上端部の中心が第1の導入孔1Bであり、下端部の中心が第2の導入孔1Eであり、第1の導入孔1Bの外周に複数の空気案内溝1Cが設けられ、空気混合室1Dの直径が第1の導入孔1Bの直径よりも大きく、第2の導入孔1Eと第1の導入孔1Bが同じ直径を有し、同軸であり、タバコ導入管1の下端に少なくとも1つの給気通路1Aを有する。
第1の導入孔1Bと第2の導入孔1Eは、同軸であり、直径が同じでタバコの公称直径よりもやや小さいため、挿入されたタバコを挟むことで、吸引の際にタバコが唇により取り出されるのを防止する。第1の導入孔1Bと第2の導入孔1Eは、好ましくは、タバコの挿入方向に、タバコの挿入を容易にするための面取りを有する。
第2の導入孔1Eは、タバコフィルタの案内及び固定を補助するタバコ案内孔である。
加熱カップ5は、タバコ導入管1の下方に配置され、全体が中空カップ状構造であり、内部がタバコ収容室8であり、底部に少なくとも1つの給気孔9を有する。
磁気伝導密封部材7は、加熱カップ5の外周を取り囲み、全体が中空カップ状構造であり、底部が相対的に密封され(磁気伝導密封部材7の下方から挿通する必要がある温度測定素子12の2つの接続ピンのみがある)、磁気伝導密封部材7の内壁と加熱カップ5の外壁との間に空気流路を有する。
発熱素子6は、空気流路内に配置され、強磁性金属からなり、空気が通過可能な構造を有する。
例えば、発熱素子6は、束状強磁性金属ワイヤー、束状強磁性金属ウェブ、又は強磁性多孔質金属であり、内部及び/又は表面に複数の高密度の空気流路を有する/が形成される。
誘導コイル3は、磁気伝導密封部材7の外周に設けられ、電源に接続される。
空気案内溝1C、空気混合室1D、給気通路1A、空気流路、給気孔9、タバコ収容室8の間が気流連通する。
発熱素子6の内部及び/又は表面に有する/形成される複数の高密度の空気流路と、上記の空気流路との間が気流連通する。
磁気伝導密封部材7は、結晶化ガラス又はセラミックなどの磁気透過性耐高温材料からなる。
【0011】
空気混合室1Dの動作原理は、吸引すべきタバコを挿入すると、タバコの煙草部がタバコ収容室8に挿入され、タバコフィルタがタバコ導入管1に挿入される。外部からの空気が空気案内溝1Cから空気混合室1Dに入り、この室において、タバコフィルタを取り囲む常温空気が、伝導及び放射によって加熱された相対的高温のタバコ導入管1とタバコフィルタとを仕切ることで、タバコフィルタと大面積で接触する従来のタバコ導入管1が、第1の導入孔1Bの一部の孔壁及び第2の導入孔1Eの短円筒状内孔壁のみと接触するようになる。2つの孔の孔壁の軸方向の長さが短いので、2つの孔とタバコフィルタとの接触面積が小さくなる。
【0012】
好ましくは、第2の導入孔1Eの上端部に面取りをさらに有することで、タバコの導入が容易になり、タバコフィルタとの接触面積がさらに小さくなる。第2の導入孔1Eの孔壁とタバコフィルタとの接触部分の軸方向の長さが好ましくは0.3~0.8mmであり、実質的に線接触状態になる。これにより、発熱部の影響によりタバコ導入管1の温度が非常に高くても、タバコフィルタにおける支持部の材料の熱収縮や臭いが発生しにくい。そして、タバコ導入管1の空気混合室1Dの内周壁、及び中央に挿入されたタバコフィルタの降温部の相対的高温により、吸い込まれた常温空気が適当に予熱されるため、喫煙具の電力の消費が少なくなり、熱効率が向上される。
【0013】
喫煙具の作動時に、誘導コイル3に高出力の中、高周波電流が印加されることで、強磁性材料からなる発熱素子6を電磁誘導加熱することができる。
【0014】
好ましくは、誘導コイル3は磁気伝導密封部材7の外周に設けられる。
【0015】
好ましくは、発熱素子6は、強磁性金属繊維束、強磁性金属繊維複合ウェブ、または強磁性多孔質発泡金属体などを含む。
【0016】
好ましくは、発煙装置は、誘導コイル3の外周に配置される中空管状構造の電磁遮蔽リング2をさらに備える。誘導コイル3は高温絶縁層を有する。
【0017】
好ましくは、発煙装置は、
磁気伝導密封部材7の外周に被覆される絶縁断熱層7Aと、
誘導コイル3の外周に被覆され、電磁遮蔽リング2の内壁との間にさらなる断熱のための隙間がある絶縁耐高温被覆層7Bとをさらに備える。
【0018】
本明細書において、耐高温とは、当該材料が300℃で明らかな変形がないことである。
【0019】
絶縁断熱層7Aは、耐高温材料からなり、絶縁断熱層に巻回された誘導コイル3の表面の絶縁層を磁気伝導密封部材7の高温による焼損から保護するためである。これにより、誘導コイル3に中高周波電流が流れると、発熱素子6の内部に作用する高周波変動磁場が、強磁性材料からなる発熱素子6の内部で多くの小範囲の誘導渦電流を発生させることで、発熱素子6が急速に昇温する。
【0020】
絶縁耐高温被覆層7Bは、誘導コイル3を高温から保護するとともに補助固定するために誘導コイル3の外側に追加された耐高温性絶縁保護被覆層であり、誘導コイル3を保護するとともに磁気伝導密封部材7の外側に固定するために用いられる。
【0021】
電磁遮蔽リング2は、銅またはアルミニウム合金などの非強磁性金属からなり、電磁遮蔽リング2の内壁と、誘導コイル3に被覆された絶縁耐高温被覆層7Bとの間の距離が0.1~1mm以上であるため、発煙装置の径方向外側への熱伝達が最小限に抑制されるだけでなく、電磁信号の発煙装置の径方向外側への放射が防止され、発煙装置の周囲の良好な外部電磁環境が確保され、無駄な方向への電磁力の伝播も減少された。
【0022】
好ましくは、発煙装置は、発熱素子6の内部に埋設される第1の温度測定素子4と、加熱カップ5の底部と磁気伝導密封部材7の底部との間に形成される均熱室11内に配置され、給気孔9に正対向する第2の温度測定素子12とをさらに備える。
【0023】
第1の温度測定素子4、第2の温度測定素子12の動作は以下の通りである。発煙装置に制御回路が設けられ、第1の温度測定素子4が発熱素子6の温度を測定して制御回路に送信することで、誘導コイル3にロードされた電気的パラメータを適時制御する。
【0024】
空気混合室1Dから吸い込まれた空気が発熱素子6の細孔を通過する際に、発熱素子6の熱と、入った空気とが熱交換され、均熱室11に吸い込まれて均一に混合され、中央に第2の温度測定素子12を有する加熱カップ5の底部の給気孔9からタバコに吸い込まれ、タバコの煙草部を加熱する。このとき、第2の温度測定素子12が均熱室11内の空気の温度を測定し、情報を制御回路に送信することで、発熱素子6の加熱電力、速度などのパラメータに対するフィードバック制御を実現する。
【0025】
好ましくは、発煙装置は、断熱管10、断熱基部13及びベース14をさらに備え、
断熱管10は、電磁遮蔽リング2の外周に設けられ、タバコ導入管1とベース14との間に係合され、
電磁遮蔽リング2は、タバコ導入管1と断熱基部13との間に係合され、
断熱基部13が磁気伝導密封部材7の下方に配置され、ベース14が断熱基部13の下方に配置される。
【0026】
断熱管10は真空二重保温管である。断熱基部13の材質は耐熱シリカゲルである。ベース14の材質はPEEKプラスチック等の耐高温材料である。
【0027】
誘導コイル3は接続導線15を介して電源に接続され、接続導線15は断熱基部13及びベース14を貫通する。
【0028】
好ましくは、発煙装置の内部には、空気混合室1Dの内部に貼り付けられる電磁遮蔽層と、断熱基部13の上部または下部に貼り付けられる電磁遮蔽層とを含む電磁遮蔽層が設けられる。具体的には、電磁遮蔽のために発煙装置の軸方向両端で最大限の密封が必要となる場合、軸方向の上部では、空気混合室1Dの内周壁及び上下の内壁に約0.01~0.1mm厚さのアルミ箔を貼り付けることができ、タバコ導入管1の下端には、径方向内側に突出する内側ボス(内側ボスの内部が第2の導入孔1Eを形成する)を有し、内側ボスの下端面に0.01~0.1mm厚さのアルミ箔を貼り付ける必要がある。同様に、発煙装置の軸方向の下部では、断熱基部13の上部または下部に0.01~0.1mm厚さのアルミガスケットを接着することで、軸方向の下部における電磁干渉の発生を防止できる。もちろん、アルミガスケット及び断熱基部13における2本の接続導線15のリードピンの位置に、短絡を防止するための適切なサイズの孔を設ける必要がある。アルミガスケットのタバコ収容室8に向かう表面は、好ましくは、銀メッキされるか、又は研磨されることで、均熱室11から放射された熱の反射、発煙装置の内部の保温に有利である。
【0029】
好ましくは、給気孔9が加熱カップ5の底部に環状に配置される。
【0030】
好ましくは、第1の導入孔1B及び第2の導入孔1Eの直径が、吸引すべきタバコの公称直径よりもやや小さく、タバコ収容室8の直径以下である。
【0031】
好ましくは、タバコ導入管1の下端には、径方向内側に突出する内側ボスと、軸方向下方に突出する下側ボスとを有し、少なくとも1つの給気通路1Aが下側ボスを貫通して環状に配置され、
加熱カップ5の上端部が、内側ボスの下面に当接するとともに、下側ボスの内側に位置し、磁気伝導密封部材7の上端部が下側ボスの外側に位置する。
【0032】
上記の技術的手段は、矛盾しないことを前提として自由に組み合わせてもよい。
【0033】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
1、本発明は、折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置を初めて設計し、加熱原理は誘導加熱であり、発熱体の内部及び/又は表面に複数の空気流路を有する/が形成されるため、表面及び内部を流れる空気を急速かつ十分に加熱することができ、加熱された空気でタバコを加熱することにより、従来の電気加熱式タバコは、加熱ムラが発生し、炭素加熱式タバコは、燃えやすく、制御が困難であり、香気成分が不足であり、喫煙感が悪いという問題を効果的に解決することができる。従来の接触式電気加熱、非接触式電気加熱、炭素加熱と比べて、本発明の発煙装置は、タバコの加熱がより均一かつ十分であり、接触式電気加熱における加熱後の煙草物質の付着や、喫煙具における煙草部の滞留などの問題がない。
2、従来の「加熱体+タバコ」という簡単な直列式のものは、タバコの加熱部の軸方向の長さが長くなり、発煙装置の長さも長くなる。この欠点を克服し、誘導加熱の優位性を発揮するために、本発明は、喫煙具の加熱部の軸方向の長さを短くするように、従来の「加熱体+タバコ」の構造に対して、空間の軸方向の長さを短くする空間の折り返しを行う。本発明における発熱素子6が折り返し形状の空気流路内に配置されるので、空気流路の長さが長くなり、発煙装置の軸方向の長さが短くなる。
3、最も重要なことは、本発明におけるタバコ導入管1の内部の空気混合室1Dやその上の空気案内溝1Cなどの設計により、タバコフィルタにおける支持部の材料の熱収縮を防止するようにタバコフィルタとの接触面積が減少され、吸い込まれた空気が予熱されることである。
4、本発煙装置の加熱カップ5の底部と磁気伝導密封部材7の底部との間に均熱室11が形成される。均熱室11の役割は、喫煙者の吸引により均熱室11内に圧力差が形成され、圧力差の作用で、均熱室11内に複数領域の小さな流れが形成され、熱及び圧力が均一化され、給気孔9に入り、吸引による負圧を受けた後、相対的に均一化されかつある程度降温された空気が、タバコ収容室8内に挿入されたタバコに吸い込まれ、均一化された高温空気でタバコ内の煙草部が加熱される。
5、好ましい技術的手段において、給気孔9が加熱カップ5の底部に環状に配置されるため、均熱室11内の空気がタバコ収容室88に入る時、分散度が高くなるので、タバコの加熱効果がより均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施例1における折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置の縦断面の概略図である。
【
図2】実施例1における発煙装置にタバコを挿入した場合の縦断面の概略図である。
【
図3】実施例2における折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置の縦断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、具体的な実施形態により本発明の内容を詳細に説明する。
【0036】
実施例1
図1に示すように、折り返し形状の空気流路で誘導加熱する発煙装置は、タバコ導入管1、電磁遮蔽リング2、誘導コイル3、第1の温度測定素子4、加熱カップ5、発熱素子6、磁気伝導密封部材7、絶縁断熱層7A、絶縁耐高温被覆層7B、タバコ収容室8、給気孔9、断熱管10、均熱室11、第2の温度測定素子12、断熱基部13、ベース14、接続導線15を備える。
【0037】
タバコ導入管1は、発煙装置の上端に配置され、中空管構造であり、内部の空洞が空気混合室1Dであり、タバコ導入管1の上端部の中心が第1の導入孔1Bであり、下端部の中心が第2の導入孔1Eであり、第1の導入孔1Bの外周に複数の空気案内溝1Cが設けられ、空気混合室1Dの直径が第1の導入孔1Bの直径よりも大きく、第2の導入孔1Eと第1の導入孔1Bが同じ直径を有し、同軸であり、タバコ導入管1の下端に少なくとも1つの給気通路1Aを有する。
【0038】
第1の導入孔1Bと第2の導入孔1Eの直径が同じであり、いずれもタバコ収容室8の直径よりもやや小さく、挿入されるタバコの外径よりもやや小さいか又は等しい。
【0039】
タバコ導入管1の外部は、下方の電磁隔離リング2、加熱カップ5、磁気伝導密封部材7、断熱管10を係合により固定するために多段の階段状構造に設計される。具体的には、
タバコ導入管1の第1の案内孔1Bの下方には、第1の案内孔1Bの軸方向に下方に延びるとともに径方向に収縮する3段の階段状の円筒体を有し、1段目の円筒体は、外径が最も大きく、内部に空気混合室1Dが設けられ、外部が断熱管10と内接し、2段目の円筒体は、内側に収縮し、電磁遮蔽リング2と外接するとともに、断熱管10の内壁と0.3mm以上の空間を有し、下端面が誘導コイル3の上縁と当接するかまたは面一であり、3段目の円筒体は、直径がさらに小さくなり、外周が磁気伝導密封部材7の内壁と内接し、下端面に空気混合室1Dと連通する給気通路1Aの開口が複数配置されるとともに、下端面が発熱素子6の上縁と当接し、内周が加熱カップ5の外壁と内接する。
【0040】
加熱カップ5は、タバコ導入管1の下方に配置され、全体が中空カップ状構造であり、内部がタバコ収容室8であり、タバコ収容室8の直径が第1の導入孔1Bの直径よりもやや大きいか又は等しく、挿入されるタバコの外径よりもやや大きいか又は等しく、底部の中心に1つ又は複数の給気孔9を有する。
【0041】
磁気伝導密封部材7は、加熱カップ5の外周を取り囲み、全体が中空カップ状構造であり、底部が密封され、磁気伝導密封部材7の内壁と加熱カップ5の外壁との間に空気流路を有する。
【0042】
発熱素子6は、磁気伝導密封部材7と加熱カップ5との間の空気流路内に配置される。発熱素子6は、中心線の径方向に環状に配列された強磁性金属繊維束であり、内部に複数の空気流路が形成される。
【0043】
誘導コイル3は、磁気伝導密封部材7の外周に設けられ、電源に接続され、強磁性材料からなる発熱素子6を誘導加熱することができる。
【0044】
流れる順序で、吸い込まれた空気は、空気案内溝1C、空気混合室1D、給気通路1A、空気流路、給気孔9、タバコ収容室8を順次通過する。
【0045】
タバコ導入管1の材質は、熱伝導率が相対的に低い耐高温PEEK合成材料である。加熱カップ5の材質は、結晶化ガラス又はセラミックから選ばれる。磁気伝導密封部材7の材質は結晶化ガラスである。
【0046】
電磁遮蔽リング2は、中空管状構造であり、誘導コイル3の外周に配置される。電磁遮蔽リング2は、銅またはアルミニウム合金などの非強磁性金属からなる。
【0047】
絶縁耐高温被覆層7Bは、誘導コイル3を高温から保護するとともに補助固定するために誘導コイル3の外側に追加された耐高温性絶縁保護被覆層であり、誘導コイル3を保護するとともに加熱カップ5の外側に固定するために用いられる。電磁遮蔽リング2の内壁と、誘導コイル3に被覆された絶縁耐高温被覆層7Bとの間の距離が0.1~1mm以上であるため、発煙装置の径方向外側への熱伝達が最小限に抑制されるだけでなく、電磁の発煙装置の径方向外側への伝達が防止され、発煙装置の周囲の良好な外部電磁環境が確保され、無駄な方向への電磁力の伝播も減少された。
【0048】
絶縁断熱層7Aは、磁気伝導密封部材7の外周に被覆され、耐高温材料からなり、絶縁断熱層に巻回された誘導コイル3の表面の絶縁層を磁気伝導密封部材7の高温による焼損から保護するためである。誘導コイル3に中高周波電流が流れると、発熱素子6の内部に作用する高周波変動磁場が、強磁性材料からなる発熱素子6の内部で多くの小範囲の誘導渦電流を発生させることで、発熱素子6が急速に昇温する。
【0049】
第1の温度測定素子4は、発熱素子6の内部に配置され、第2の温度測定素子12は、加熱カップ5の底部と磁気伝導密封部材7の底部との間に形成される均熱室11内に配置され、中央の給気孔9に正対向する。発煙装置に制御回路(図示せず)が設けられる。
【0050】
制御回路の動作は以下の通りである。
第1の温度測定素子4が発熱素子6の温度を測定して制御回路に送信することで、誘導コイル3にロードされた電気的パラメータを適時制御する。空気混合室1Dから吸い込まれた空気が発熱素子6の細孔を通過する際に、発熱素子6の熱と、入った空気とが熱交換され、加熱カップ5の底部と磁気伝導密封部材7の底部との間に形成される均熱室11内に吸い込まれて均一に混合され、温度がより均一になり、中央に第2の温度測定素子12を有する加熱カップ5の底部の給気孔9からタバコに吸い込まれ、タバコの煙草部を加熱する。このとき、第2の温度測定素子12が均熱室11内の空気の温度を測定し、情報を制御回路に送信することで、発熱素子6の加熱電力、速度などのパラメータに対するフィードバック制御を実現する。
【0051】
断熱管10は、電磁遮蔽リング2の外周に設けられ、タバコ導入管1とベース14との間に係合され、電磁遮蔽リング2は、タバコ導入管1と断熱基部13との間に係合され、耐熱シリカゲルからなる断熱基部13は、磁気伝導密封部材7の下方に配置され、耐高温PEEKプラスチックからなるベース14は、断熱基部13の下方に配置される。
【0052】
断熱管10は真空二重保温管である。断熱基部13及びベース14は、上記の部品とともに発煙装置全体の軸方向の位置決めを実現する。誘導コイル3の接続導線15は断熱基部13及びベース14を貫通する。
【0053】
電磁遮蔽のために発煙装置の軸方向両端で最大限の密封が必要となる場合、軸方向の上部では、空気混合室1Dの内周壁及び上下の内壁に約0.01~0.1mm厚さのアルミ箔(
図1に図示せず)を貼り付けることができる。同様に、発煙装置の軸方向の下部では、断熱基部13の上部または下部に約0.01~0.1mm厚さのアルミガスケット(
図1に図示せず)を接着することで、軸方向の下部における電磁干渉の発生を防止できる。もちろん、アルミガスケット及び断熱基部13における2本の接続導線15のリードピンの位置に、短絡を防止するための適切なサイズの孔を設ける必要がある。
【0054】
実施例1における発煙装置にタバコを挿入した場合の概略図は
図2である。
図2では、タバコの各部の位置、吸い込まれた空気、及び空気の流れ方向を示した。
【0055】
Iは、タバコの煙草部であり、長さが加熱カップ5の挿入可能な高さよりも長い。IIは、タバコのフィルタであり、空気混合室1Dに挿入されたフィルタの支持部III、空気に露出される煙降温部IV及び唇側端濾過部Vの3つの部分からなる。
【0056】
外部からの空気が空気案内溝1Cから空気混合室1Dに入り、この室において、タバコフィルタを取り囲む常温空気が、高温のタバコ導入管1を仕切り、タバコフィルタIIは、第1の導入孔1Bの一部の孔壁及び第2の導入孔1Eの一部の孔壁のみと接触する。これにより、間接的に加熱された第2の導入孔1Eの孔壁は、タバコの煙草部のみと線接触し、タバコフィルタと直接接触しないため、タバコフィルタの熱収縮による変形を効果的に防止できる。発熱部の影響により吸引後のタバコ導入管1の温度が高くなっても、タバコフィルタにおける支持部IIIの材料の熱収縮が発生しにくい。そして、タバコ導入管1の空気混合室1Dの内壁の高温は、吸い込まれた空気の温度を適切に高めることができるので、熱効率が向上される。
【0057】
発煙装置内の空気の流れは、外部からの空気が第1の導入孔1B及び空気案内溝1Cから空気混合室1Dに入って混合され、空気混合室1Dの内壁により予熱された後、給気通路1Aから空気流路に入り、加熱素子6によって加熱された後、均熱室11に入って熱と圧力が均一化され、給気孔9からタバコ収容室8内のタバコに入り、タバコの煙草部を加熱してエアロゾルを生成し、エアロゾルと混合されて煙を形成し、喫煙者によってタバコから吸引される。
【0058】
実施例2
本実施例と実施例1との相違点は、加熱カップ5の底部に、環状に配置された複数の給気孔9を有する点であり、発煙装置の縦断面の概略図は
図3である。第2の温度測定素子12は、加熱カップ5の底部と磁気伝導密封部材7の底部との間に形成される均熱室11内に配置され、任意の給気孔9(図中、最も右側の給気孔9で示した)に正対向するか又はずれる。この場合、空気流路において、加熱された空気が、環状に配置された複数の給気孔9を通過して均熱室11からタバコ収容室8に入ることで、空気の分散度が高くなるので、タバコの加熱効果がより均一になる。
【0059】
以上は本発明の具体的な実施形態のみであるが、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者が本発明に開示された技術的範囲内で容易に想到できる任意の変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0060】
1:タバコ導入管
1A:給気通路
1B:第1の導入孔
1C:空気案内溝
1D:空気混合室
1E:第2の導入孔
2:電磁遮蔽リング
3:誘導コイル
4:第1の温度測定素子
5:加熱カップ
6:発熱素子
7:磁気伝導密封部材
7A:絶縁断熱層
7B:絶縁耐高温被覆層
8:タバコ収容室
9:給気孔
10:断熱管
11:均熱室
12:第2の温度測定素子
13:断熱基部
14:ベース
15:接続導線
【国際調査報告】