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特表2022-553480プレミックスおよび組成物ならびにそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】プレミックスおよび組成物ならびにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20221216BHJP
   A61K 8/368 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221216BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/368
A61K8/41
A61K8/46
A61K8/34
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022508535
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020075435
(87)【国際公開番号】W WO2021052877
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/106212
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19206801.3
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンロン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,リアンソン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC091
4C083AC111
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC551
4C083AC791
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD131
4C083AD352
4C083BB34
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE21
4C083EE23
4C083FF04
(57)【要約】
【要約】
ピロントンオラミン;サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラ-アミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択される共溶媒;および水を含むプレミックスであって、共溶媒対水の重量比が1:20~1:1であるプレミックス、該プレミックスを含むヘアケア組成物、ならびに該プレミックスおよびヘアケア組成物を調整する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
(a) ピロクトンオラミン;
(b) サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択される共溶媒、および
(c) 水;
を含むプレミックスであって、共溶媒対水(b:c)の重量比が1:20~1:1の範囲である、前記プレミックス。
【請求項2】
前記共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物、好ましくはサリチル酸ナトリウム、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物である、請求項1に記載のプレミックス。
【請求項3】
前記共溶媒がサリチル酸ナトリウムとフェノキシエタノールとの混合物である、請求項1または2に記載のプレミックス。
【請求項4】
前記共溶媒対水の重量比が、1:10~1:1、好ましくは1:6~1:1、より好ましくは1:5~1:3の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項5】
前記水が、プレミックスの10重量%~90重量%、好ましくは20重量%~80重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項6】
前記共溶媒が、プレミックスの3~70重量%、好ましくは7~50重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項7】
前記ピロクトンオラミンが、プレミックスの0.01~70重量%、好ましくは0.1~50重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプレミックスを含むヘアケア組成物。
【請求項9】
前記ピロクトンオラミンが組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.01~6重量%の量で存在する、請求項8に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記共溶媒が組成物の0.01~4重量%、好ましくは0.1~2重量%の量で存在する、請求項8または9に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
組成物が、カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性セルロース、カチオン性グアーまたはそれらの混合物をさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記カチオン性グアーが塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムである、請求項11に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプレミックスを調製する方法であって、以下の工程:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程、および
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程、
を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物を調製する方法であって、以下の工程:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程;
(iii) 工程(ii)のプレミックスを他の成分と混合してヘアケア組成物を形成する工程、
を含む、前記方法。
【請求項15】
請求項8~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物を個体の毛髪および/または頭皮に適用する工程を含む、フケを治療および/または予防する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロクトンオラミン、共溶媒および水を含むプレミックスに関する。さらに、本発明はまた、該プレミックスを含むヘアケア組成物、ならびに該プレミックスおよびヘアケア組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フケの防止は、毛髪の洗浄およびケアの重要な側面である。フケ防止効果は、シャンプーおよびヘアコンディショナーを含むヘアケア組成物によって提供されてきた。フケは、世界中の多くの人々に影響を及ぼす問題である。この状態は、頭皮からの死んだ皮膚細胞の凝集塊の脱落によって明らかになる。これらは白色であり、美的に不快な外観を提供する。フケに寄与する因子は、マラセジア酵母のある種のメンバーである。これらに対抗するために、ヘアケア製品は、種々の抗フケ剤、例えばピロクトンオラミン(オクトピロックス(登録商標))を含めて開発されてきた。
【0003】
ピロクトンオラミンは、標準温度および標準圧力で固体である。それは、通常、ヘアケア組成物に含まれるクレンジング相の界面活性剤に可溶性である。毛髪製品の伝統的な製造プロセスにおいて、ピロクトンオラミンに関連する問題は、それが主タンクの内壁に付着する傾向があり、洗浄および腐食の懸念を引き起こすので、界面活性剤を含有する主タンクに直接投与することができないことである。
【0004】
この問題に対処するための努力がなされてきた。1つのアプローチはピロクトンオラミンを、主タンクに添加する前に、香料などの油を含有するプレミックスに溶解することである。しかしながら、高剪断ミキサーおよび冷却ジャケットは、このようなプレミックス中のピロクトンオラミンの効率的な溶解を確実にするために必須である。したがって、それは、当業界によって好まれるアプローチではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、今回、水と共溶媒とを含むプレミックスにピロクトンオラミンを効率的に溶解させることができることを見出した。予想外にも、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミドまたはカルバメートのような共溶媒は、溶解速度および溶解量に関して水中のピロクトンオラミンの溶解を大幅に改善することができることが見出された。ピロクトンオラミンの溶解速度および溶解量の増加は、抗フケ効果を高め、毛髪製品の製造プロセスの効率を高め、コストを節約するのに役立つ。
【0006】
第1の態様では、本発明が以下を含むプレミックスに関する:
(a) ピロクトンオラミン;
(b) サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択される共溶媒;および
(c) 水;
但し、共溶媒対水(b:c)の重量比は、1:20~1:1の範囲である。
【0007】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のいずれかの実施形態のプレミックスを含むヘアケア組成物を対象とする。
【0008】
第3の態様では、本発明が以下の工程を含む、本発明の第1の態様のいずれかの実施形態のプレミックスを調製する方法を対象とする:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;および
(ii) 工程(i)の溶液中にピロクトンオラミンを添加して、プレミックスを得る工程。
【0009】
第4の態様では、本発明が以下の工程を含む、本発明の第2の態様のいずれかの実施形態のヘアケア組成物を調製する方法を対象とする:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程;
(iii) 工程(ii)のプレミックスを他の成分と混合してヘアケア組成物を形成する工程。
【0010】
第5の態様では、本発明が本発明の第2の態様のいずれかの実施形態のヘアケア組成物を個体の毛髪および/または頭皮に適用する工程を含む、フケを治療および/または予防する方法に関する。この方法は、好ましくは非治療的である。
【0011】
本発明の他の全ての態様は以下の発明を実施するための形態および実施例を考慮することにより、より容易に明らかになるのであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例または明示的に別段に示される場合を除いて、材料の量または反応条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書中のすべての数字は、任意選択で、「約」という語によって修飾されると理解され得る。
【0013】
全ての量は特に明記しない限り、最終ヘアケア組成物の重量による。いかなる数値範囲を指定する際でも、あらゆる特定の上限値をあらゆる特定の下限値に関連付けることができることに留意されたい。
【0014】
疑義を避けるために、「含む」という単語は「包含する」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる」または「構成される」ことを意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は、網羅的である必要はない。
【0015】
本明細書で見出される本発明の開示は、請求項が複数の依存性または冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、請求項で見出されるすべての実施形態を、互いに複数の依存性を有するものとして網羅すると考えられるべきである。
【0016】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示される場合、そのような開示は必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0017】
本明細書で使用される「プレミックス」は、最終組成物の製剤化の前に別途形成された混合物を指す。
【0018】
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」は、哺乳動物、特にヒトの毛髪および/または頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味する。このような組成物は一般に、リーブオンまたはリンスオフとして分類することができ、外観、クレンジング、臭気制御または一般的な美観も改善するために人体に適用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、またはバーの形態であり得る。このような組成物の非限定的な例としては、リーブオンヘアローション、クリーム、およびリンスオフシャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、またはトイレットバーが挙げられる。本発明の組成物は好ましくはリンスオフ組成物であり、特に好ましくはシャンプーまたはコンディショナーであり、最も好ましくはシャンプーである。
【0019】
ピロクトンオラミンはOctopirox(登録商標)およびピロクトンエタノールアミンとしても知られており、ヒドロキサム酸誘導体ピロクトンのエタノールアミン塩である。ピロクトンオラミンは、式(I)で定義される構造を有する:
【化1】
【0020】
ピロクトンオラミンは、真菌感染症の治療に使用される抗フケ活性物質である。フケの原因となっている真菌感染症を破壊するのを助け、新しいフケの形成抑制に働く。
【0021】
典型的には、ピロクトンオラミンがプレミックスの総重量に基づいて、プレミックスの0.01~70重量%、より好ましくは0.1~50重量%、最も好ましくは1~30重量%の量で存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0022】
本発明のプレミックスに使用するのに適した共溶媒は、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソオクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択される。共溶媒はサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物であることが好ましく、より好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物である。特に好ましい実施形態では、共溶媒がサリチル酸ナトリウムとフェノキシエタノールとの混合物である。
【0023】
共溶媒は、水中のピロクトンオラミンの溶解を改善するためにプレミックス中で使用される。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは共溶媒がピロクトンオラミンと反応して水溶性分子間錯体を形成するハイドロトロピック剤として挙動し得ると考える。したがって、共溶媒は、ピロクトンオラミンの水への溶解度を劇的に増加させて、均一な溶液を形成することができる。
【0024】
共溶媒は好ましくはプレミックスの3~70重量%、より好ましくは7~50重量%、最も好ましくは10~30重量%の量で、プレミックスの総重量に基づいて存在し、そこに包含される全ての範囲を含む。
【0025】
水は、プレミックスに使用される溶媒である。好ましくは、プレミックスがプレミックスの総重量を基準にして、プレミックスの10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、最も好ましくは30~70重量%の量の水を含み、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0026】
プレミックスは1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、さらに好ましくは1:6~1:1、最も好ましくは1:5~1:3の重量比で共溶媒および水を含み、その中に包含されるすべての比を含む。
【0027】
上記のようなプレミックスを含むヘアケア組成物もまた、本発明に含まれる。
【0028】
本発明のヘアケア組成物は、プレミックスに含まれるもの以外にはピロクトンオラミンおよび/または共溶媒を含まないことが好ましい。プレミックスがヘアケア組成物に使用される場合、ピロクトンオラミンは典型的にはヘアケア組成物の総重量を基準にして、組成物の0.01~10重量%、より好ましくは0.01~6重量%、さらにより好ましくは0.05~2重量%、最も好ましくは0.05~1.5重量%の量で存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。共溶媒は好ましくはヘアケア組成物の総重量を基準にして、組成物の0.01~4重量%、より好ましくは0.1~2%、最も好ましくは0.1~1%の量で存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0029】
ヘアケア組成物は、カチオン性ポリマーをさらに含み得る。適切なカチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、または2つ以上のタイプのモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般に5,000~10,000,000g/mol、典型的には少なくとも10,000g/mol、好ましくは100,000~2,000,000g/molである。ポリマーはカチオン性窒素含有基(例えば、第四級アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物)を有する。カチオン性窒素含有基は一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の任意の画分上に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、スペーサー非カチオン性モノマー単位を含有することができる。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。
【0030】
適切なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能性を有するビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~C3アルキル基を有する。他の適当なスペーサーモノマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、マレイン酸無水物、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0031】
好ましくは、カチオン性ポリマーはカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーである。適切には、このようなカチオン性多糖ポリマーが100,000g/mol~2,300,000g/mol、より好ましくは150,000g/mol~2,000,000g/molの分子量を有する。このようなカチオン性多糖ポリマーは、好ましくは0.1~4meq/gのカチオン電荷密度を有する。
【0032】
本発明の組成物に使用するのに適したカチオン性多糖ポリマーには、以下の一般式で表されるものが含まれる:
【化2】
[式中、Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、またはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの組合せである。R、RおよびRは独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、またはアルコキシアリール基を表し、それぞれの基は約18個までの炭素原子を含む。それぞれのカチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R、RおよびR中の炭素原子の合計)は好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。]。
【0033】
カチオン性セルロースはAmerchol Corp(Edison、NJ、USA)から、それらのポリマーJR(商標)およびLR(商標)シリーズのポリマーとして、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として(当業界(CTFA)ではポリクォータニウム10と呼ばれる)入手可能である。別のタイプのカチオン性セルロースには、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四アンモニウム塩が含まれ、これは当業界(CTFA)ではポリクォータニウム24と呼ばれている。これらの材料は、Amerchol Corp(Edison、NJ、USA)からPolymer LM-200の商品名で入手可能である。
【0034】
他の適切なカチオン性多糖ポリマーには、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載されているような)およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載されているような)が含まれる。
【0035】
本発明の組成物に使用することができるカチオン性多糖ポリマーの特に好ましいタイプは塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウム(例えば、SolvayからJaguar商標シリーズで、またはAshlandからN-Hance商標シリーズで市販されている)などのカチオン性グアーガム誘導体である。そのような材料の例は、Jaguar(登録商標)C-13S、Jaguar(登録商標)C-14S、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)Excel、Jaguar(登録商標)C-162、Jaguar(登録商標)C-500、Jaguar(登録商標)Optima、Jaguar(登録商標)LS、N-Hance(商標)BF17、N-Hance(商標)BF13およびN-Hance(商標)CCG45である。
【0036】
上記カチオン性ポリマーのいずれかの混合物を使用することができる。カチオン性ポリマーは、好ましくはカチオン性セルロース、カチオン性グアーまたはそれらの混合物を含む。塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムが特に好ましい。
【0037】
使用される場合、カチオン性ポリマーは一般に、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、ヘアケア組成物の0.001~1重量%、より好ましくは0.01~0.5%、最も好ましくは0.03~0.3%の量で本発明のヘアケア組成物中に存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0038】
組成物のpHは好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.0~7.0の範囲である。
【0039】
ヘアケア組成物はまた、コンディショニング効果を提供するためにコンディショニング剤を含むことが好ましい。好ましくは、ヘアケア組成物が15ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満の平均液滴径(D3,2)を有する水不溶性コンディショニング剤の離散分散液滴を含む。水不溶性コンディショニング剤の平均液滴径(D3,2)は例えば、マルバーンインスツルメンツ社の2600Dパーティクルサイザーを使用して、レーザー光散乱技術の手段によって測定することができる。水不溶性コンディショニング剤は、炭化水素油、脂肪エステルおよびそれらの混合物などの非シリコーン油性または脂肪性物質を含む非シリコーンコンディショニング剤を含んでもよい。好ましくは、水不溶性コンディショニング剤は乳化シリコーンオイルである。
【0040】
適切なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、ジメチコンというCTFA名称を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)における使用に適しているのは、CTFA名称ジメチコノールを有するヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンである。また、本発明の組成物における使用に適しているのは、例えばWO96/31188に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムである。好ましくは、シリコーンオイルがジメチコン、ジメチコノールまたはそれらの混合物を含む。
【0041】
本発明のヘアケア組成物に使用するのに適した乳化シリコーンはダウコーニング社およびGEシリコーン社などのシリコーンの供給業者から、予め形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。このような予め形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、処理の容易さおよびシリコーン粒子サイズの制御のために好ましい。このような予め形成されたシリコーンエマルジョンは典型的には適切な乳化剤をさらに含み、そして化学乳化プロセス(例えば、エマルジョン重合)によって、または高剪断ミキサーを使用する機械的乳化によって調製され得る。適切な予め形成されたシリコーンエマルジョンの例としては、DC1785、DC1788、DC7128が挙げられ、これらはすべてダウコーニング社から入手可能である。これらは、ジメチコノール/ジメチコンのエマルジョンである。
【0042】
使用することができる別の種類のシリコーンはアミノ官能性シリコーンなどの官能化シリコーンであり、これは、少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基、または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。適切なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが含まれる。
【0043】
コンディショニング剤は一般に、本発明のヘアケア組成物中に、ヘアケア組成物の総重量を基準にして、0.05~15%、好ましくは0.1~10%、より好ましくは0.5~8%、最も好ましくは1~5%の量で存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0044】
好ましい実施形態では、ヘアケア組成物はシャンプーである。したがって、好ましい実施形態では、組成物が洗浄界面活性剤を含む。適切なアニオン性洗浄界面活性剤の非限定的な例は、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリルスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、N-アルキルサルコシネート、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、およびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ、ジおよびトリエタノールアミン塩である。アルキル基およびアシル基は一般に8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルリン酸塩およびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有することができる。本発明の組成物に使用するための典型的なアニオン性洗浄界面活性剤にはオレイルスクシネートナトリウム、ラウリルスルホクシネートアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホクシネートナトリウム、ラウリルスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホネートナトリウム、ドデシルベンゼンスルホネートトリエタノールアミン、ココイルイセチオネートナトリウム、ラウリルイセチオネートナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、N-ラウリルサルコシネートナトリウムまたはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいアニオン性洗浄界面活性剤は、アルキル硫酸塩およびアルキルエーテル硫酸塩である。好ましいアルキル硫酸塩はC8-18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12-18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化陽イオンとの塩の形態である。例は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。アニオン性洗浄界面活性剤はアルキルエーテル硫酸塩であることが特に好ましい。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は次式を有するものである:RO(CHCHO)SOM;ここで、Rは8~18(好ましくは12~18)の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり;nが少なくとも0.5より大きく、好ましくは1~3の間、より好ましくは2~3の間の平均値を有する数であり;MはNa、K、アンモニア、または置換アンモンのような可溶化カチオンである。例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、0.5~3、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均エトキシル化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
【0045】
アニオン性洗浄界面活性剤は典型的には本発明のヘアケア組成物中に、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.5~45%、より好ましくは1.5~35%、最も好ましくは5~20%の濃度で存在し、そこに包含される全ての範囲を含む。
【0046】
本発明による組成物は必要に応じて、そして好ましくは、組成物にマイルドさを与えるために、両性および双性イオン界面活性剤のような共界面活性剤を追加的に含む。好適な例としては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられ、ここでアルキル基は8~19個の炭素原子を有する。好ましくは、共界面活性剤はベタイン界面活性剤である。コカミドプロピルベタイン(CAPB)が特に好ましい。
【0047】
使用される場合、共界面活性剤はヘアケア組成物の総重量に基づいて、ヘアケア組成物の0.1~15重量%、より好ましくは0.5~8重量%、最も好ましくは0.5~4重量%を構成し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0048】
好ましくは、本発明の組成物が懸濁剤をさらに含む。適切な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、疎水性モノマーとのアクリル酸のコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムまたは結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくはエチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、またはそれらの混合物から選択される。ジステアリン酸エチレングリコールおよびジステアリン酸ポリエチレングリコール3は、これらが組成に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用することができ;それらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーおよびアクリル酸エステルの適切なコポリマーの例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrich社から入手可能である。
【0049】
アクリル酸およびアクリレートエステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、例えばKelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0050】
上記の懸濁化剤のいずれかの混合物を使用することができる。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0051】
懸濁剤は一般に、ヘアケア組成物の総重量を基準にして、0.1~10%、より好ましくは0.2~6%、最も好ましくは0.3~4%の量で、本発明のヘアケア組成物中に存在し、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0052】
防腐剤はまた、潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明のヘアケア組成物に組み込まれてもよい。組成物に含まれる共溶媒以外の好適な伝統的防腐剤は、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および種々の第四級アンモニウム化合物を含む。本発明において使用され得る防腐剤のタイプの例示的であるが非限定的な例としては、例えば、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、カプリルグリコール、EDTA二ナトリウムまたはそれらの混合物が挙げられる。防腐剤は、好ましくはヘアケア組成物の0.01~2重量%の範囲の量で使用される。
【0053】
本発明のヘアケア組成物は物理的特性および性能を高めるために、当技術分野で一般的な他の成分を含有してもよい。適切な成分としては芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、増粘剤、ならびに植物、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の組成物は主として、使用者の毛髪および/または頭皮の少なくとも一部に、リンスオフまたはリーブオン組成物、好ましくはシャンプーのようなリンスオフ組成物のいずれかで局所適用することを意図する。
【0055】
プレミックスおよびヘアケア組成物の調製方法
本発明は、以下の工程を含むプレミックスの調製方法に関する:
(i) 共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;および
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程。
【0056】
好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択され、より好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物であり、最も好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物である。
【0057】
工程(i)における水は、好ましくは20~80℃、より好ましくは40~80℃、最も好ましくは50~80℃の範囲に予熱される。
【0058】
工程(i)の持続時間は、好ましくは1秒~30分、より好ましくは5秒~10分、最も好ましくは30秒~5分である。
【0059】
本発明はまた、以下の工程を含む、ヘアケア組成物を調製する方法に関する:
(i) 共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程;
(iii) 工程(ii)のプレミックスを他の成分と混合してヘアケア組成物を形成する工程。
【0060】
好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、カルバミド、アセトアミド、カルバメートまたはそれらの混合物から選択され、より好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物であり、最も好ましくは共溶媒がサリチル酸ナトリウム、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物である。
【0061】
工程(i)の水は、好ましくは20~80℃、より好ましくは40~80℃、最も好ましくは50~80℃の範囲に予熱される。
【0062】
工程(i)の持続時間は、好ましくは1秒~30分、より好ましくは5秒~10分、最も好ましくは30秒~5分である。
【0063】
本発明はまた、前記ヘアケア組成物を調製する方法によって得られるおよび/または得られたヘアケア組成物に関する。
【0064】
本発明はさらに、個体の毛髪および/または頭皮に前記ヘアケア組成物を適用する工程を含む、フケを治療および/または予防する方法に関する。この方法は、好ましくは非治療的である。
【0065】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定するために提供されるものではない。
【実施例
【0066】
実施例1
この実施例は、共溶媒が水中のピロクトンオラミンの溶解速度に影響を及ぼし得ることを実証した。全ての成分は、全製剤の量および活性成分の濃度で表される。
【0067】
【表1】
【0068】
製剤プロセス
まずビーカーに水を加え、4枚羽根撹拌機で500rpmで撹拌した後、サリチル酸ナトリウムを加え、サリチル酸ナトリウムが完全に溶解するまで1~2分間混合した。サンプルがフェノキシエタノールを含む場合、次にフェノキシエタノールをビーカーに添加し、1分間撹拌した。その後、ピロクトンオラミンまたはクリンバゾールをビーカーに添加し、混合物を撹拌し続けた。この方法を25Cまたは60Cで実施し、ピロクトンオラミンまたはクリンバゾールの溶解を観察し、記録した。
【0069】
結果
ピロクトンオラミンまたはクリンバゾールの溶解を、裸眼および光学顕微鏡OLYMPUS BX51により10倍の倍率で観察した。混合物の外観が透明であり、肉眼で粒子が観察されず、光学顕微鏡下で粒子または結晶が観察されなかった場合、ピロクトンオラミンまたはクリンバゾールが完全に溶解したことを示した。結果を表2に記載する。
【表2】
【0070】
この結果から、共溶媒の添加は、ピロクトンオラミンの溶解速度を大幅に加速させたことが分かる。サリチル酸ナトリウムとフェノキシエタノールとの組み合わせを含むサンプル4は、最も高いピロクトンオラミン溶解速度を示した。
【0071】
実施例2
この実施例は、水に対する共溶媒の重量比が水中のピロクトンオラミンの溶解に影響を及ぼし得ることを実証した。全ての成分は、全製剤の量および活性成分の濃度で表される。
【表3】
【0072】
実施例1に記載したのと同じ方法を用いてサンプルを調製した。ピロクトンオラミン溶解結果を表4に記載する。
【表4】
【0073】
結果は、ピロクトンオラミンの溶解が共溶媒対水の重量比によって影響され得ることを示した。ピロクトンオラミンはサンプル7に完全には溶解しなかった。サンプル8および9についてはピロクトンオラミンは完全に溶解したが、サンプルは相分離した。サンプル10中のピロクトンオラミンは完全に溶解したが、サンプルは濁った溶液であることが判明した。サンプル11および12はピロクトンオラミンの完全な溶解を示し、透明で均一な溶液を生じた。
【0074】
実施例3
この実施例は、共溶媒が水中のピロクトンオラミンの溶解速度に影響を及ぼし得ることを実証した。全ての成分は、全製剤の量および活性成分の濃度で表される。
【表5】
【0075】
実施例1に記載したのと同じ方法を用いてサンプルを調製した。ピロクトンオラミン溶解結果を表6に記載する。
【表6】
【0076】
この結果から、共溶媒の添加は、ピロクトンオラミンの溶解速度を大幅に加速させたことが分かる。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
(a) ピロクトンオラミン;
(b) サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、イソ-オクタノール、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールたはそれらの混合物から選択される共溶媒、および
(c) 水;
を含むプレミックスであって、共溶媒対水(b:c)の重量比が1:20~1:1の範囲である、前記プレミックス。
【請求項2】
前記共溶媒がサリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘキサンジオール、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物、好ましくはサリチル酸ナトリウム、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物である、請求項1に記載のプレミックス。
【請求項3】
前記共溶媒がサリチル酸ナトリウムとフェノキシエタノールとの混合物である、請求項1または2に記載のプレミックス。
【請求項4】
前記共溶媒対水の重量比が、1:10~1:1、好ましくは1:6~1:1、より好ましくは1:5~1:3の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項5】
前記水が、プレミックスの10重量%~90重量%、好ましくは20重量%~80重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項6】
前記共溶媒が、プレミックスの3~70重量%、好ましくは7~50重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項7】
前記ピロクトンオラミンが、プレミックスの0.01~70重量%、好ましくは0.1~50重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載のプレミックス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプレミックスを含むヘアケア組成物であって、前記共溶媒が該組成物の0.01~4重量%の量で存在し、該組成物が以下の工程:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程;
(iii) 工程(ii)のプレミックスを他の成分と混合してヘアケア組成物を形成する工程、
を含む方法により調製されることを特徴とする、前記ヘアケア組成物
【請求項9】
前記ピロクトンオラミンが組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.01~6重量%の量で存在する、請求項8に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記共溶媒が組成物の.1~2重量%の量で存在する、請求項8または9に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
組成物が、カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性セルロース、カチオン性グアーまたはそれらの混合物をさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記カチオン性グアーが塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムである、請求項11に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプレミックスを調製する方法であって、以下の工程:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程、および
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程、
を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物を調製する方法であって、以下の工程:
(i) 前記共溶媒を水に溶解して溶液を生成する工程;
(ii) 工程(i)の溶液にピロクトンオラミンを添加してプレミックスを得る工程;
(iii) 工程(ii)のプレミックスを他の成分と混合してヘアケア組成物を形成する工程、
を含む、前記方法。
【請求項15】
請求項8~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物を個体の毛髪および/または頭皮に適用する工程を含む、フケを治療および/または予防する方法。
【国際調査報告】