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特表2022-553518二次電池及び該二次電池を備える装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】二次電池及び該二次電池を備える装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20221216BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221216BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20221216BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20221216BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20221216BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221216BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0569
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/58
H01M50/449
H01M50/463 Z
H01M50/491
H01M10/0568
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M4/36 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521985
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2019127971
(87)【国際公開番号】W WO2021127996
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】李▲麗▼▲葉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲則▼利
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼昌隆
(72)【発明者】
【氏名】付成▲華▼
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021CC04
5H021HH02
5H021HH03
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM07
5H029DJ04
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ10
5H029HJ20
5H050AA05
5H050AA06
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA10
5H050AA12
5H050BA16
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA19
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA10
5H050HA17
(57)【要約】
本願は、二次電池及び該二次電池を備える装置を提供し、前記二次電池は、負極活性材料を有する負極シートと、基材、及び基材の少なくとも一つの表面に配置される被覆層を備えるセパレータと、有機溶媒を含有する電解液と、を含み、負極活性材料は、ケイ素系材料及び炭素材料を含み、セパレータの基材は、厚さが7μm~12μmであり、有機溶媒は、エチレンカーボネートを含み、有機溶媒におけるエチレンカーボネートの重量占有率は、20%以下である。本願の二次電池及び該二次電池を備える装置は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能、及び低い低温直流インピーダンスも両立できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池であって、
負極集電体、及び負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムを備える負極シートと、
基材、及び基材の少なくとも一つの表面に配置される被覆層を備えるセパレータと、
有機溶媒を含有する電解液と、
を含み、
前記負極活性材料は、ケイ素系材料及び炭素材料を含み、
前記セパレータの基材は、厚さが7μm~12μmであり、
前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率は、20%以下である、
二次電池。
【請求項2】
前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率は、15%以下であり、
好ましくは、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が、10%以下である、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記セパレータの基材は、厚さが7μm~10μmである、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記セパレータの気孔率は、25%~50%であり、好ましくは、前記セパレータの気孔率が、30%~48%である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率は、60%~95%であり、
好ましくは、前記有機溶媒における前記エチルメチルカーボネート(EMC)の重量占有率が、75%~95%である、
請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記有機溶媒における前記ジエチルカーボネート(DEC)の重量占有率は、30%以下であり、
好ましくは、前記有機溶媒における前記ジエチルカーボネート(DEC)の重量占有率が、20%以下である、
請求項5又は6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記有機溶媒における前記ジメチルカーボネート(DMC)の重量占有率は、15%以下であり、
好ましくは、前記有機溶媒における前記ジメチルカーボネート(DMC)の重量占有率が、10%以下である、
請求項5又は6に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解液は、電解質塩をさらに含み、前記電解質塩は、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、
前記電解液における前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.8mol/L~1.3mol/Lであり、前記電解液における前記ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.4mol/Lである、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液における前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.9mol/L~1.2mol/Lであり、前記電解液における前記ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.3mol/Lである、
請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記電解液の25℃での導電率は、6.5mS/cm~9.5mS/cmであり、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率が、7mS/cm~9mS/cmであり、及び/又は、
前記電解液の25℃での粘度は、3.5mPa・s~5.5mPa・sであり、好ましくは、前記電解液の25℃での粘度が、4mPa・s~5mPa・sである、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素化合物、ケイ素窒素化合物のうちの1種類又は複数種類を含み、好ましくは、前記ケイ素系材料がケイ素酸素化合物を含み、及び/又は、
前記炭素材料は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンのうちの1種類又は複数種類を含み、好ましくは、前記炭素材料が黒鉛を含み、前記黒鉛が人造黒鉛、天然黒鉛のうちの1種類又は複数種類から選択される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項13】
前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率は、50%以下であり、好ましくは、15%~30%である、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記セパレータの厚さは、11μm~16μmであり、好ましくは、前記セパレータの厚さが、12μm~14μmである、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項15】
前記二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体、及び正極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ正極活性材料を含有する正極フィルムを備え、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含み、
好ましくは、前記正極活性材料は、LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が配置されるLiNiCoM’のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は2種類であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clから選択される1種類又は複数種類である、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の二次電池を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、二次電池及び該二次電池を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石資源の大規模な消費により資源枯渇がますます厳しくなり、同時に化石資源の使用過程での深刻な環境問題も、清潔で環境に優しい新エネルギーの開発をさらに緊急にしている。従来の新エネルギーにおける風力エネルギー、水力エネルギー、太陽エネルギーなどは、様々な程度の開発及び応用が行われているが、季節、地域などの要因により持続的且つ安定的に供給することができず、電気エネルギーを貯蔵し放出するためには、適切なエネルギー貯蔵装置が必要である。二次電池は、原材料の入手が相対的容易であり且つ環境に優しいなどの利点を有するため、迅速な発展をもたらし、新エネルギー業界において広く応用されている。
【0003】
しかしながら、現在の商業用二次電池は実際の使用要件を満たすことが難しい場合が多いため、高いエネルギー密度と良好な電気化学的性能を両立できる二次電池の開発が急務となってる。
【発明の概要】
【0004】
背景技術に存在する問題に鑑み、本願は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能、及び低い低温直流インピーダンスを両立できる二次電池及び該二次電池を備える装置を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本願の第1の態様は、二次電池を提供し、前記二次電池は、負極集電体、及び負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムを備える負極シートと、基材、及び基材の少なくとも一つの表面に配置される被覆層を備えるセパレータと、有機溶媒を含有する電解液と、を含み、前記負極活性材料は、ケイ素系材料及び炭素材料を含み、前記セパレータの基材は、厚さが7μm~12μmであり、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率は、20%以下である。
【0006】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に係る二次電池を備える装置を提供する。
【0007】
本願は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
本願の二次電池は、特定の活性材料を含有する負極、特定の厚さのセパレータの基材、及び特定の有機溶媒を含有する電解液を含み、その相乗作用により、本願の二次電池は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能、及び低い低温直流インピーダンスを両立できる。本願の第2の態様に係る装置は、本願の第1の態様に係る二次電池を備えるため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の実施例に係る二次電池の概略図である。
図2】本願の実施例に係る電池モジュールの概略図である。
図3】本願の実施例に係る電池パックの概略図である。
図4図3の分解図である。
図5】本願の実施例に係る装置の概略図である。
【0009】
ここで、図面の符号の説明は、以下の通りである。
1 電池パック、
2 上部筐体、
3 下部筐体、
4 電池モジュール、
5 二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願に係る二次電池及び該二次電池を備える装置を詳細に説明する。
【0011】
まず、本願の第1の態様に係る二次電池を説明する。
【0012】
本願の第1の態様に係る二次電池は、負極シート、セパレータ及び電解液を含む。前記負極シートは、負極集電体、及び負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムを備える。前記セパレータは、基材、及び基材の少なくとも一つの表面に配置される被覆層を含む。前記電解液は、有機溶媒を含有する。ここで、前記負極活性材料は、ケイ素系材料及び炭素材料を含み、前記セパレータの基材は、厚さが7μm~12μmであり、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率は、20%以下である。
【0013】
本願に係る二次電池において、ケイ素系材料は大きい理論比容量を有し、二次電池の負極活性材料として用いられる場合、二次電池の容量を顕著に増大できるが、ケイ素系材料は充放電過程で体積が深刻に膨張し、さらに二次電池性能へ影響を及ぼす。なお、負極活性材料としてケイ素系材料と炭素材料を併用する場合、一方で、二次電池の容量を増大させる作用を果たすことができ、他方で、炭素材料の添加はある程度でケイ素基材料の体積膨張による二次電池性能発揮への影響を緩和することができる。それとともに、本願の二次電池において、電解液中の有機溶媒がエチレンカーボネート(EC)を含み、且つ前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が20%以下であるため、電池ガス発生のリスクを効果的に低減させることができる。同時に、本発明者は、研究により、特定の含有量のエチレンカーボネート(EC)と特定の厚さのセパレータの基材を併用する場合、電解液をセパレータへよく浸潤させることができるため、電池の電力性能及びサイクル性能を効果的に改善できることを見出した。
【0014】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記セパレータの基材は、厚さが7μm~10μmである。
【0015】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記セパレータの気孔率は、25%~50%である。前記セパレータの気孔率が低すぎる場合、リチウムイオンがセパレータを通過する経路が長くなり、二次電池の動力学的性能へ影響を及ぼす。前記セパレータの気孔率が高すぎる場合、セパレータの機械的強度が悪くなり、さらに二次電池の安全性が低下する。さらに好ましくは、前記セパレータの気孔率は、30%~48%である。
【0016】
本願の第1の態様に係る前記二次電池において、前記セパレータにおいて、前記基材は、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、ポリフッ化ビニリデン膜及びそれらの多層複合膜のうちの1種類又は複数種類から選択できる。
【0017】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記セパレータにおいて、前記基材の少なくとも一つの表面に配置される被覆層は、無機粒子被覆層又はポリマー被覆層のうちの1種類又は複数種類を含んでもよく、前記無機粒子被覆層及び前記ポリマー被覆層の種類は、特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記無機粒子被覆層は、アルミナ粒子、ジルコニア粒子のうちの1種類又は複数種類を含んでもよく、前記ポリマー被覆層は、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー、ポリイミド系ポリマーのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。
【0018】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記セパレータの厚さ(即ち、セパレータにおける基材の厚さと被覆層の厚さの合計)は、10μm~16μmであり、さらに好ましくは、前記セパレータの厚さが、12μm~14μmである。
【0019】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が、15%以下であり、さらに好ましくは、前記有機溶媒における前記エチレンカーボネート(EC)の重量占有率が、10%以下である。
【0020】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含む。
【0021】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒がEMCをさらに含む場合、好ましくは、前記有機溶媒における前記EMCの重量占有率が60%~95%であり、さらに好ましくは、前記有機溶媒における前記EMCの重量占有率が75%~95%である。
【0022】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒がDECをさらに含む場合、好ましくは、前記有機溶媒における前記DECの重量占有率が30%以下であり、さらに好ましくは、前記有機溶媒における前記DECの重量占有率が20%以下である。
【0023】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒がさらにDMCを含む場合、好ましくは、前記有機溶媒の総重量における前記DMCの含有量の重量占有率が15%以下であり、さらに好ましくは、前記有機溶媒の総重量における前記DMCの含有量の重量占有率が10%以下である。
【0024】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒は、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、イソプロピオン酸エチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸ブチル、イソ酪酸ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸プロピル、及び上記化合物が1種類又は複数種類のハロゲン原子で完全又は部分的に置換された化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含む。
【0025】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液は、電解質塩をさらに含み、前記電解質塩は、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)のうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。好ましくは、前記電解質塩が、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、前記電解液における前記ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度が、0.8mol/L~1.3mol/Lであり、且つ、前記電解液における前記ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度が、0.15mol/L~0.4mol/Lである。
【0026】
ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の含有量が上記範囲内にある場合、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の正極での酸化を緩解させ、電池のサイクル性能を改善させ、電池の低温電力性能を効果的に改善させることができる。
【0027】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに好ましくは、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度が、0.9mol/L~1.2mol/Lである。
【0028】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに好ましくは、前記電解液における前記ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度が、0.15mol/L~0.3mol/Lである。
【0029】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液の25℃での導電率は、6.5mS/cm~9.5mS/cmであり、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率が、7mS/cm~9mS/cmである。
【0030】
本願に係る二次電池において、前記電解液の25℃での粘度は、3.5mPa・s~5.5mPa・sであり、好ましくは、前記電解液の25℃での粘度が、4mPa・s~5mPa・sである。
【0031】
前記電解液の25℃での導電率は、本分野で周知の方法で測定することができ、用いられる測定装置は、雷磁(LEICI)導電率測定装置であってもよい。
【0032】
前記電解液の25℃での粘度は、本分野で周知の方法で測定することができ、用いられる測定装置は、粘度計であってもよい。
【0033】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液は、添加剤をさらに含み、前記添加剤は、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロパンジスルホン酸無水物(PDSA)、硫酸ビニル、無水コハク酸(SA)、トリス(トリメチルシラン)リン酸エステル(TMSP)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物、アジポニトリルのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。
【0034】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素化合物、ケイ素窒素化合物のうちの1種類又は複数種類を含み、さらに好ましくは、前記ケイ素系材料がケイ素酸素化合物を含む。
【0035】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の質量占有率が、50%以下であり、さらに好ましくは、15%~30%である。
【0036】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記炭素材料が、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンのうちの1種類又は複数種類を含み、さらに好ましくは、前記炭素材料が黒鉛を含み、前記黒鉛が人造黒鉛、天然黒鉛のうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0037】
本願の第1の態様に係る二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体、及び正極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ正極活性材料を含有する正極フィルムを備え、前記正極フィルムは、正極集電体の一面に配置されてもよく、正極集電体の両面に同時に配置されてもよく、前記負極フィルムは、負極集電体の一面に配置されてもよく、負極集電体の両面に同時に配置されてもよい。
【0038】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含む。チウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物は、二次電池の正極活性材料として、比容量が高く、サイクル寿命が長いなどの利点を有し、ケイ素系材料を含有する負極活性材料と組み合わせて使用すると、電池の電気化学的性能をさらに改善させる。
【0039】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、一般式 LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が配置されるLiNiCoM’の材料のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は複数種類であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clのうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0040】
上記正極活性材料表面の被覆層は、炭素層、酸化物層、無機塩層又は導電性高分子層であってもよい。正極活性材料表面を被覆改質することにより、二次電池のサイクル性能をさらに改善することができる。
【0041】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに、前記正極活性材料は、リチウムニッケル酸化物(例えばニッケル酸リチウム)、リチウムマンガン酸化物(例えば、スピネル型マンガン酸リチウム、層状構造マンガン酸リチウム)、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、コバルト酸リチウム及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含んでもよい。
【0042】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記正極集電体の種類は、特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記正極集電体は、金属箔、例えばアルミニウム箔から選択することができる。
【0043】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記負極集電体の種類は、特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記負極集電体は、金属箔、例えば銅箔から選択することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、二次電池は、正極シート、負極シート及び電解液を封入するのに用いられる外装を含んでもよい。一例として、正極シート、負極シート及びセパレータを積層又は巻回して積層構造の電池アセンブリ又は巻回構造の電池アセンブリを形成し、電池アセンブリは、外装内に封止され、電解液は、電池アセンブリ内に浸潤される。二次電池における電池アセンブリの個数は、一つ又は複数であってもよく、必要に応じて調整することができる。
【0045】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、ソフトパッケージであってもよく、例えば袋状ソフトパッケージである。ソフトパッケージの材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレン PP、ポリブチレンテレフタレート PBT、ポリブチレンサクシネート PBSなどのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。二次電池の外装は、ハードケースであってもよく、例えばアルミニウムケースなどであってもよい。
【0046】
本願は、二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、角形又は他の任意の形状であってもよい。図1は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0047】
いくつかの実施例において、二次電池は、電池モジュールとして組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の個数は複数であってもよく、具体的な個数は、電池モジュールの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0048】
図2は、一例としての電池モジュール4である。図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長さ方向に沿って順次に配列されてもよい。当然のことながら、他の任意の方式で配列されてもよい。この複数の二次電池5は、さらに締結具によって固定されてもよい。
【0049】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含み、複数の二次電池5は、該収容空間に収容される。
【0050】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールはさらに電池パックとして組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの個数は、電池パックの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0051】
図3及び図4は、一例としての電池パック1である。図3及び図4を参照すると、電池パック1は、電池ボックスと、電池ボックス内に配置される複数の電池モジュール4と、を含んでもよい。電池ボックスは、上部筐体2及び下部筐体3を備え、上部筐体2は、下部筐体3を覆うように配置されて、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、電池ケース内に任意に配置されてもよい。
【0052】
次に、本願の第2の態様に係る装置を説明する。
【0053】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に係る二次電池を備える装置を提供し、前記二次電池は、前記装置の電源として用いられてもよく、前記装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電気自動車(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含むが、これらに限定されない。
【0054】
前記装置は、その使用の必要に応じて、二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0055】
図5は、一例としての装置である。当該装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。二次電池の高電力及び高エネルギー密度に対する当該装置の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを使用してもよい。
【0056】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコンなどであってもよい。当該装置は、一般的に軽量化及び薄型化を必要とし、電源として二次電池を用いることができる。
【0057】
以下、実施例と組み合わせて、本願をさらに説明する。理解すべきことは、これらの実施例は本願を説明するためのものであって本願の範囲を限定するものではない。
【0058】
実施例1~19及び比較例1~6の二次電池は、いずれも以下の方法で製造される。
(1)正極シートの製造
【0059】
正極活性材料 LiNi0.8Co0.1Mn0.1、結着剤 ポリフッ化ビニリデン、及び導電剤 導電性カーボンブラックを、重量比 97:1:2で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空撹拌機で系が均一な透明状になるまで撹拌して、正極スラリーを得る。アルミニウム箔を室温で乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、正極シートを得る。
(2)負極シートの製造
【0060】
負極活性材料 一酸化ケイ素と人造黒鉛を、質量比 2:8で混合した後、それと導電剤 Super P、増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、結着剤 スチレンブタジエンゴム(SBR)を、質量比 92:2:2:4で混合し、脱イオン水を添加し、真空撹拌機で撹拌して均一に分散された負極スラリーを得る。銅箔を室温で乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、負極シートを得る。
(3)電解液の調製
【0061】
高純度窒素ガス雰囲気のグローブボックス内で、有機溶媒を混合して混合溶媒を取得し、次に十分に乾燥後の電解質塩を混合溶媒で溶解させた後、混合溶媒に添加剤を添加し、均一に混合して、電解液を取得する。添加剤の組成は、8% FEC+0.5% SA+0.5% TMSPである。各添加剤成分の含有量は、電解液の総重量に基づいて算出された重量百分率である。当然のことながら、当業者であれば他の組成の添加剤で差し替えてもよく、本願の全体的な性能測定結果に影響を及ばない。電解液に用いられる電解質塩の種類及び濃度、有機溶媒の具体的な種類及び含有量は、表1に示す通りである。各有機溶媒の含有量は、有機溶媒の総重量に基づいて算出された重量百分率であり、各電解質塩の濃度は、電解液における体積モル濃度である。
(4)セパレータの製造
【0062】
セパレータにおける基材、及び基材の厚さの具体的な設定は、表1に示す通りである。
(5)二次電池の製造
【0063】
セパレータが正極シートと負極シートの間に位置して隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順次に積層した後、巻回により電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装内に配置し、上記調製された電解液を乾燥後の電池に注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得る。
【0064】
【表1】
【0065】
次に、二次電池の測定手順を説明する。
(1)高温サイクル性能測定
【0066】
45℃で、二次電池を1Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、5min静置し、さらに1Cの定電流で2.5Vまで放電し、これが二次電池の初回充放電サイクルであり、今回の放電容量を二次電池の初回サイクルの放電容量と記し、上記方法に応じて、二次電池に対して、800回の充放電サイクルを行って、二次電池の800回サイクル後の放電容量を得る。
二次電池の45℃で800回サイクル後の容量維持率(%)=(二次電池の800回サイクル後の放電容量/二次電池の初回サイクルの放電容量)×100%。
(2)高温貯蔵性能測定
【0067】
25℃で、二次電池を0.5Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、排水法でこの時の二次電池の体積を測定して、Vと記す。その後、二次電池を60℃の恒温箱に入れ、30日間貯蔵した後に取り出し、この時の二次電池の体積を測定して、Vと記す。
二次電池の60℃で30日間貯蔵後の体積膨張率(%)=[(V-V)/V]×100%。
(3)低温直流インピーダンス測定
【0068】
-20℃で、二次電池を1Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で0.05Cまで充電し、5min静置し、次に1C(I)の定電流で30min放電し、放電後の二次電池の電圧を測定して、Uと記す。温度を-20℃に調整し、2h静置し、次に0.36C(I)の定電流で30s放電し、放電後の二次電池の電圧を測定して、Uと記す。
二次電池の低温直流インピーダンス DCR=(U-U)/(I-I)。
【0069】
【表2】
【0070】
表2の測定結果から分かるように、本願の実施例の二次電池は、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能、及び低い低温直流インピーダンスを両立できる。
【0071】
実施例1~14において、二次電池におけるエチレンカーボネート(EC)の含有量、セパレータの基材の厚さはいずれも本願の所定の範囲内にあり、二次電池は、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能及び、低い低温直流インピーダンスを両立できる。実施例15~19において、二次電池の電解質塩にビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を同時に含有し、電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度が0.8mol/L~1.3mol/Lであり、電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度が0.15mol/L~0.4mol/Lである場合、二次電池の性能がさらに改善され、特に二次電池の高温サイクル性能及び低温直流インピーダンスがさらに改善される。
【0072】
比較例1~6は、実施例1~19に比べて、二次電池の高温サイクル性能がいずれも相対的に悪化している。比較例1~2の二次電池において、エチレンカーボネート(EC)の含有量が20%を超え、二次電池の高温サイクル及び高温貯蔵性能が悪化している。比較例3~6の二次電池のセパレータの基材の厚さは12μmを超えるか又は7μm未満であり、二次電池の高温サイクル性能が悪化し、高温貯蔵性能及び/又は低温直流インピーダンス部分が悪化している。
【0073】
上記を纏めると、本願は、従来技術における様々な欠点を効果的に克服し、高い産業利用価値を有する。
【0074】
上記実施例は、本願の原理及びその効果を例示的に説明するだけであり、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願の要旨及び範囲から逸脱することなく、上記実施例を修飾するか又は変更することができる。したがって、当業者が本願に開示の要旨及び技術的思想から逸脱せずに完成したすべての同等の修正又は変更は、依然として本願の特許請求の範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】