(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】リチウム金属アノードおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/1395 20100101AFI20221216BHJP
H01M 4/40 20060101ALI20221216BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20221216BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01M4/1395
H01M4/40
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523306
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 US2020057468
(87)【国際公開番号】W WO2021086820
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522156449
【氏名又は名称】チョ,ソンジン
(71)【出願人】
【識別番号】522157310
【氏名又は名称】チョ,ジョンス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ジョンス
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC03
5H017EE07
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA16
5H050CA08
5H050CB12
5H050DA09
5H050EA01
5H050EA23
5H050GA03
5H050GA22
5H050HA05
5H050HA10
(57)【要約】
リチウム金属アノードは、リチウム金属(または合金)の層に積層された集電体箔を有し、その中に、粒子状物質が少なくとも部分的に埋め込まれており、樹枝状結晶の形成を低減し、したがって、アノードの性能およびサイクル寿命を改善する。リチウムアノードは、ローラプレスプロセスを使用して簡便に生産される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用のリチウム金属アノードを形成する方法であって、
少なくともリチウム金属の部分を提供することと、
固体状態プロセスを介して、前記リチウム金属の部分の少なくとも一部上に、1つ以上の粒子状物質を添加することと、
前記リチウム金属の部分上または前記リチウム金属の部分の中に前記1つ以上の粒子状物質を接着または埋め込むように、前記リチウム金属の部分と前記1つ以上の粒子状物質とをプレスすることと、含み、
前記1つ以上の粒子状物質が、樹枝状結晶の形成を阻止または排除する、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の粒子状物質を添加するステップが、フィーダデバイスを介して前記リチウム金属の前記部分上に前記1つ以上の粒子状物質を直接添加すること、またはフィーダデバイスを介して前記リチウム金属の前記部分上に前記1つ以上の粒子状物質を間接的に添加すること、から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の粒子状物質を間接的に添加することが、前記1つ以上の粒子状物質をフィルム層の上に添加し、前記フィルム層を前記リチウム金属の部分に貼り付けることと、固体状態プロセスを介して前記1つ以上の粒子状物質を前記フィルム層から前記リチウム金属の部分に転写することと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リチウム金属の部分を、上部プレスローラと下部プレスローラとの間に形成されたニップを通過させ、1つ以上の粒子状物質がアノード全体に分散かつ埋め込まれているアノードを得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リチウム金属の部分が、リチウム複合物、リチウム合金、またはポリマー基板によって支持されるリチウム金属から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の粒子状物質が、(a)前記1つ以上の粒子状物質が、液体および固体電解質を含む非水電解質に少なくとも部分的に可溶性である、(b)前記粒子状物質が、活性化後に電解質の粘度の変化を引き起こす、(c)前記粒子状物質が、活性化後にイオン伝導率の変化を引き起こす、(d)前記粒子状物質が、活性化後にリチウム拡散係数の変化を引き起こす、(e)前記粒子状物質が、活性化後に前記リチウム金属層の表面上に表面トポグラフィの変化を引き起こす、の特性のうちの少なくとも1つを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の粒子状物質が、(a)前記1つ以上の粒子状物質が、液体および固体電解質を含む非水電解質に不溶性かつ分散性である、(b)前記粒子状物質が、活性化後に電解質の粘度の変化を引き起こす、(c)前記粒子状物質が、活性化後にイオン伝導率の変化を引き起こす、(d)前記粒子状物質が、活性化後にリチウム拡散係数の変化を引き起こす、(e)前記粒子状物質が、活性化後に前記リチウム金属層の表面上に表面トポグラフィの変化を引き起こす、の特性のうちの少なくとも1つを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の粒子状物質が、ポリマー、電解質中で使用され、かつ炭酸塩溶媒および非炭酸塩溶媒中に溶解する有機材料、ならびに金属および非金属リチウム親和性(lithiophilic)材料、ならびにそれらの組み合わせから本質的になる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の粒子状物質が、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフタレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、セルロース、リグニン、およびポリテトラフルオロエチレン、ならびにそれらの組み合わせから選択される、ポリマーとして画定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の粒子状物質が、溶媒中に溶解されているか否かに関わらず、分極性および非分極性リチウム塩の両方を含む、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、ヘキサフルオロアルセン酸リチウム(LiAsF
6)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF
4)、過塩素酸リチウム(LiClO
4)、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(LiBOB)、およびリチウム(ジフルオロオキサラト)ホウ酸塩(LiDFOB)、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、無機化合物として画定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の粒子状物質が、アルミニウム、銀、金、亜鉛、マグネシウム、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、インジウム、ホウ素、MnO
2、CO3O4、SnO2、SiO2、ZnO、Al
2O
3、Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3、Li
1.5Al
0.5Ge
1.5(PO
4)
3、Li
7La
3Zr
2O
12、Li
0.33La
0.557TiO
3、Li
2O-SiO
2-TiO
2-P
2O
5、ならびに非構造化炭素材料、グラフェン、還元グラフェン、N-ドープグラフェン、および表面改質グラフェンを含むリチウム親和性(lithiophilic)炭素質材料、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の粒子状物質が、NaNO
3、CsNO
3、RbNO
3、KNO
3、AgNO
3、NH
4NO
3、Ba(NO
3)
2、Sr(NO
3)
2、Mg(NO
3)
2、Ca(NO
3)
2、Ni(NO
3)
2、Co(NO
3)
2、Mn(NO
3)
2、Al(NO
3)
3、Ce(NO
3)
3、および/またはLiNO
3、のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の粒子状物質が、溶媒中の0.01M~10Mの硝酸リチウム(LiNO
3)として画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくともリチウム金属の部分および1つ以上の粒子状物質を含む電池用のリチウム金属アノードであって、前記1つ以上の粒子状物質が、前記リチウム金属の部分上または前記リチウム金属の中に接着または埋め込まれ、前記1つ以上の粒子状物質が、樹枝状結晶の形成を阻止または排除する、リチウム金属アノード。
【請求項15】
前記1つ以上の粒子状物質が、100ミクロン以下のサイズを画定する、請求項14に記載のリチウム金属アノード。
【請求項16】
前記1つ以上の粒子状物質が、前記リチウム金属の部分全体に分散かつ埋め込まれている、請求項14に記載のリチウム金属アノード。
【請求項17】
前記リチウム金属の部分が、リチウム複合物、リチウム合金、またはポリマー基板によって支持されるリチウム金属から選択される、請求項14に記載のリチウム金属アノード。
【請求項18】
前記1つ以上の粒子状物質が、(a)前記1つ以上の粒子状物質が、液体および固体電解質を含む非水電解質に少なくとも部分的に可溶性である、(b)前記粒子状物質が、活性化後に電解質の粘度の変化を引き起こす、(c)前記粒子状物質が、活性化後にイオン伝導率の変化を引き起こす、(d)前記粒子状物質が、活性化後にリチウム拡散係数の変化を引き起こす、(e)前記粒子状物質が、活性化後に前記リチウム金属層の表面上に表面トポグラフィの変化を引き起こす、の特性のうちの少なくとも1つを画定する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の粒子状物質が、ポリマー、電解質中で使用され、かつ炭酸塩溶媒および非炭酸塩溶媒中に溶解する有機材料、ならびに金属および非金属リチウム親和性(lithiophilic)材料、ならびにそれらの組み合わせから本質的になる群から選択される、請求項14に記載のリチウム金属アノード。
【請求項20】
前記1つ以上の粒子状物質が、溶媒中の0.01M~10Mの硝酸リチウム(LiNO
3)として画定される、請求項14に記載のリチウム金属アノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Multifunctional Lithium Metal Anode and Its Prepararion」と題された、2020年7月7日に出願された仮米国特許出願第63/048,921号、「Prepararion Method of Lithium Metal Anode」と題された、2020年8月26日に出願された仮米国特許出願第63/070,656号、および「Method of Preparing Lithium Composite Anode」と題された、2019年10月28日に出願された、仮米国特許出願第62/927,082号の利益を主張し、前述の出願の各々を参照により本明細書にそれらのそれぞれ全体を組み込む。
【0002】
本明細書における本発明は、概して、エネルギー貯蔵デバイスにおける金属アノードに関するものであり、より具体的には、電池などの電気化学貯蔵デバイスおよび樹枝状結晶の形成に耐性のある他の用途での使用に適したリチウム金属アノードに関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術の説明および本発明の目的
リチウム金属は高い容量を有し、容易に設計される。リチウム金属は、黒鉛よりもほぼ10倍高い3860mAh/gの比容量、および-3.04Vの最低酸化還元電気化学電位(対標準水素電極)のために、次世代電子デバイスならびに電気自動車にとって最も有望な高エネルギーおよび電力アノード材料のうちの1つである。これらの特性は、リチウム金属を次世代電池のアノードとして使用するための有望で魅力的な材料にしている。しかしながら、従来の電池技術に関連して使用されるリチウムの一般的な問題は、それが樹枝状結晶を形成しやすいことである。樹枝状結晶は、電極の表面に形成されるリチウム金属の小さなひげである。樹枝状結晶の形成は、電池性能の低下、クーロン効率の低下、サイクル寿命の低下、電気化学的および熱的不安定性、ならびに短絡につながる可能性があり、これは次いで、電池の過熱および燃焼(すなわち、火災)にさえつながる可能性がある。
【0004】
任意の特定の理論に結びつける意図がなくても、樹枝状結晶形成のこれらの欠点は、固体リチウム金属の反応性の高い性質および電極と電解質との間の好ましくない相互作用に起因すると考えられている。特に、先行技術に従ってリチウム金属アノードを形成する1つのプロセスは、リチウム金属を固体電解質中間相(「SEI」)フィルム上にめっきすることを含む。これはSEIフィルムに亀裂を生じさせると考えられている。追加のリチウム金属がめっきされると、リチウム樹枝状結晶が、空間、空隙、または亀裂内に形成される。次に、めっきされたSEIフィルムは、めっきされたSEIフィルムからリチウム樹枝状結晶を剥離するプロセスを経る。同時に、めっきされたSEIフィルムは、収縮または縮小し、さらなる断裂をもたらす。アノードが循環されると、単離されたリチウム樹枝状結晶が蓄積し、めっきされたSEIフィルムの表面上に「死んだ」リチウムの層を形成し、SEIフィルムの厚い層および多孔質電極をもたらす。これらの特性は、効率の低下、短絡、および容量の衰えをもたらす。
【発明の概要】
【0005】
樹枝状結晶の形成を軽減する試みが先行技術で行われてきたが、それらのどれも、リチウム金属アノードに多機能特性を有する固体状態粒子を施すための実用的で費用対効果の高い解決策を提供しなかった。したがって、樹枝状結晶の形成が低減された、より均一な表面トポグラフィを有するリチウム金属アノードを提供することが、本発明の目的である。
【0006】
多機能特性を有する固体状態粒子をリチウム金属アノードに直接または間接的に付与することによって、リチウム金属アノードを製造するための堅牢で実用的かつ費用対効果の高いプロセスを提供することがさらなる目的である。
【0007】
リチウム樹枝状結晶の成長を軽減するために、1つ以上の粒子が、リチウム金属の表面または部分全体に付着された、添加された、または他の方法で埋め込まれた固体リチウム金属アノードを提供することが、本発明の追加の目的である。
【0008】
多機能特性を有する1つ以上の粒子群で直接的または間接的に処理された銅箔を備えた積層体を画定するリチウム金属アノードを提供することが、本発明の別の目的であり、粒子群は以下から選択される:(1)ポリマー、(2)任意の電解質材料に使用することができる有機材料、(3)溶媒、分極性リチウム塩、非分極性リチウム塩、およびそれらの組み合わせに溶解することができる無機材料、ならびに(4)金属および非金属リチウム親和性(lithiophilic)材料、ならびにそれらの混合物。
【0009】
前述のリチウム金属アノードを製造するための1つ以上の方法を提供することがさらなる目的である。
【0010】
これらおよび他の目的は、図面および添付の特許請求の範囲を参照して本明細書をさらに読むと明らかになるであろう。
【0011】
本発明は、多機能性粒子状物質の1つ以上の群がアノード上またはアノード内に添加または埋め込まれ、リチウム金属複合アノードを形成する、リチウム金属アノードに関する。一実施形態では、粒子状物質は、(1)ポリマー、(2)任意の電解質材料に使用することができる有機材料、(3)溶媒、分極性リチウム塩、非分極性リチウム塩、およびそれらの組み合わせに溶解することができる無機材料、ならびに(4)金属および非金属リチウム親和性(lithiophilic)材料、ならびにそれらの混合物から選択される。粒子状物質は、以下の基準のうちの少なくとも1つを満たす必要がある。(a)液体および固体電解質を含む非水電解質に少なくとも部分的に可溶性である、(b)活性化後に電解質の粘度の変化を引き起こす、(c)活性化後にイオン伝導率の変化を引き起こす、(d)活性化後にリチウム拡散係数の変化を引き起こす、ならびに/または(e)活性化後に表面トポグラフィの低減を引き起こす。代替的に、粒子状物質は、不溶性であってもよいが、液体および固体電解質を含む非水電解質中で分散性であってもよい。本発明の複合リチウム金属アノードは、好ましくは、粒子状物質をリチウム金属の部分に直接、またはポリマー基板を介して間接的に分布させ、リチウム金属もしくはポリマー基板の部分を粒子の上に添加して積層体を形成し、プレスの2つのローラ間に形成されたニップ内に積層体を導入して、粒子状物質をリチウム金属の部分内に少なくとも部分的に添加、プレス、および/または埋め込むことによって調製される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるリチウム金属アノードの第1の実施形態の概略図であり、具体的には、リチウム金属フィルム層の表面上に埋め込まれた粒子状物質を図示する。
【
図2】本発明によるリチウム金属アノードの代替の実施形態の概略図であり、具体的には、リチウム金属フィルムの2つの層の間に埋め込まれた粒子状物質の層を図示する。
【
図3】本発明によるリチウム金属アノードの代替の実施形態の概略図であり、特に、リチウム金属フィルム全体に埋め込まれ、分散された粒子状物質を図示する。
【
図4】本発明のリチウム金属アノードを作製するためのプロセスの概略図である。
【
図5】本発明のリチウム金属アノードを作製するための代替プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態および動作の詳細な説明
図1~
図3を参照すると、本発明の1つ以上のアノードは、少なくともリチウム金属の部分および1つ以上の粒子状物質を含む。
図1に示される実施形態では、リチウムアノード10は、銅箔12のような集電体の層と、銅箔の層12の上にあるリチウム金属の層14とを有するが、本発明の実施形態は、集電体の層なしでも十分であることが理解されるべきである。複数の1つ以上の粒子状物質16が、リチウム部分14の表面18に添加されるか、またはリチウム金属部分14全体に埋め込まれる。
図2の実施形態では、アノード100は、銅箔の層112、銅箔の層112の上にあるリチウム金属の第1の層114、および好ましくは積層体を形成する、リチウム金属の第1の層114の上にあるリチウム金属の第2の層116を有する。複数の1つ以上の粒子状物質118が、リチウム金属の第1の層114とリチウム金属の第2の層116との間に添加および/または埋め込まれる。
図3の実施形態では、アノード200は、銅箔の層212と、銅箔の層212の上にあるリチウム金属の層214とを含む。複数の1つ以上の粒子状物質216が、ランダムにまたは意図的に、リチウム金属の層214全体に、およびリチウム層214の表面216上に、分散されている。
【0014】
本発明のリチウム金属アノードを作製する1つの好ましいプロセスは、概して、複数の1つ以上の粒子状物質が材料の層の表面上に分布、添加、または堆積され、次いで、2つのプレスローラの間に形成されたニップに導入されて、粒子状物質を材料の層に少なくとも部分的にプレスまたは埋め込むロールコーティングプロセスとして説明される。先行技術では、リチウム金属がローラに粘着するのを防ぐための潤滑剤の使用を教示しているが、潤滑剤は汚染物質と見なされ、最終的なリチウム金属アノードの特性に悪影響を及ぼすことがあるため、そのような使用は好ましくない。
図4を特に参照すると、プロセスは、(1)第1の層300を提供するステップと、(2)粒子状物質310の1つ以上の群を、第1の層300の表面上に添加、堆積、またはそれ以外の方法で分布させるステップと、(3)第1の層300と第2のフィルム層320との間に粒子状物質310を「挟み込む」、または積層するために、第2のフィルム層320を、粒子状物質310と接触させるように提供するステップであって、層のうちの少なくとも1つがリチウム金属またはリチウム金属合金から構成されるステップと、(4)フィルム層300および第2のフィルム層320を、その間に積層された粒子状物質310の1つ以上の群とともに、上部プレスローラ340と下部プレスローラ350との間に形成されたニップ330を通過させて、粒子状物質310の1つ以上の群をリチウム金属またはリチウム金属合金に少なくとも部分的に付着、プレス、または埋め込むステップと、を含み得る。多機能性粒子状物質(この文脈での「多機能性とは、リチウム金属の接着係数を低下させてローラに粘着しないようにする目的を超えた、リチウム金属への添加剤を意味する)の固体状態塗布プロセスは、リチウム金属の部分上に直接発生するという点で、固体状態塗布のこのプロセスは、「直接」塗布プロセスと見なされ得る。
【0015】
代替的な実施形態において、
図5を特に参照すると、プロセスは、(1)第1のフィルム層400を提供するステップと、(2)第1の層400の表面上に粒子状物質410の1つ以上の群を堆積させるステップと、(3)すべての溶媒、および任意の他の水分を第1の層400から蒸発させて、その中に粒子状物質410の1つ以上の群を残すステップと(本明細書では、純粋なリチウムの高い反応性を考えると、ほとんどまたはすべての液体の除去のために「固体状態」塗布プロセスと見なされる)、(4)第1のフィルム層400と第2の層420との間に粒子状物質410を「挟み込む」、または積層するために、第2の層420を、粒子状物質410と接触させるように提供するステップであって、層のうちの少なくとも1つが、リチウム金属またはリチウム金属合金から構成されるステップと、(5)フィルム層400および第2の層420を、その間に積層された粒子状物質410の1つ以上の群とともに、上部プレスローラ440と下部プレスローラ450との間に形成されたニップ430を通過させて、粒子状物質10の1つ以上の群をリチウム金属またはリチウム金属合金に少なくとも部分的に付着、プレス、または埋め込むステップと、を含み得る。これらの図には示されていないが、特にリチウム金属の粘着または汚染を防止するために、裸の担体層をさらに含むことが望ましい場合がある。多機能性粒子状物質の固体状態塗布プロセスが、最初にフィルム層上で、次いでローラを介してリチウム金属の部分上で発生するという点で、固体状態塗布のこのプロセスは、「間接」塗布プロセスと見なされ得る。
【0016】
第1のリチウム金属層、第2のフィルム層、および粒子状物質をニップに通過させた後、第2のフィルム層を剥離して、
図1に図示するように、その露出した外部表面上に粒子状物質の1つ以上の群が少なくとも部分的に添加および/または埋め込まれたリチウム層を残し得る。第2のフィルム層が所定の場所に残されている場合、得られたアノードは、
図2に図示するように、第1のフィルム層と第2のフィルム層との界面に粒子状物質の1つ以上の群を有することになる。加えて、または代替的に、得られるアノードは、第1のリチウム金属層の幅に埋め込まれた粒子状物質の1つ以上の群を有し得る。
図3に図示されるようなアノード200の実施形態を達成するためには、第2のフィルム層を剥離することができ、粒子状物質を有する第1のリチウム層自体を折り畳んでから、再びニップを1回以上通過させて、得られるアノード幅全体にわたって粒子状物質をランダムまたは意図的に分布させることができる。加えて、または代替的に、結果として得られるアノード200は、ニップを通したプレスのために、リチウム金属層およびフィルム層自体を折り畳む必要なしに、第1のリチウム金属層の幅に粒子状物質の1つ以上の群を埋め込ませることができる。所望のアノード構造が得られると、リチウム層は、集電体として使用するのに好適な銅箔または他の材料に積層され得る。代替的に、得られるアノード構造は、転写層に取り付けられ得、所望され得る場合、集電体を含む必要はない。
【0017】
本プロセスでは、第1のリチウム金属層300は、リチウム金属の層、リチウム合金の層、ポリマー基板によって支持されるリチウム金属の層、またはポリマー基板であってもよい。同様に、第2のフィルム層320は、リチウム金属の層、リチウム金属合金の層、ポリマー基板によって支持されるリチウム金属の層、またはポリマー基板の層であってもよい。フィルム層のうちの少なくとも1つが、粒子状物質310の1つ以上の群と密接に接触している純粋なリチウム金属を含むことが、本発明の要素として好ましい。この文脈で使用される場合、「純粋な」リチウムは、リチウム金属の99.9%以上と見なされるリチウムのみから実質的になる場合、許容可能と見なされる。
【0018】
第1のリチウム金属層300の表面上に粒子状物質320の1つ以上の群を堆積、添加、またはそれ以外の方法で分布させるステップは、粒子状物質310の1つ以上の群を含むフィーダデバイス360の下に第1のリチウム金属層300を通過させることによって達成され得る。フィーダデバイス360は、粒子状物質310が乾燥形態で塗布される(すなわち、固体状態塗布プロセス)か、またはスプレーとして塗布されるかに応じて、乾燥粉末フィーダデバイス、スプレーデバイス、または当該技術分野において知られているような他の様態の分配装置であり得る。あるいは、粒子状物質310は、転写層として作用する第1のフィルム層上に堆積され得る。この実施形態では、第1のフィルム層は、例えば(限定するものではないが)、転写層として作用するポリマー基板であり得、第2の層は、リチウム金属またはリチウム金属合金の層を含み得る。フィルム層がニップを通過するにつれて、粒子状物質の1つ以上の群は、第1のフィルム層の表面からリチウム金属または金属合金の外部表面層上に転写される。
【0019】
ポリマー基板フィルム層として使用するのに好適な材料は、任意の好適なフィルム層のものであり得、ポリオレフィンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンポリマーが特に好ましい。本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含む。本発明で使用されるポリマー基板フィルム層は、非配向であってもよく、または、機械方向、交差方向、もしくは二軸配向フィルム層のいずれかに配向されていてもよい。同様に、フィルム層は、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三層フィルムなどの単層材料または積層フィルム層であってもよい。
【0020】
上述のような好ましいリチウムアノードの1つ以上の形成に使用される粒子状物質は、好ましくは、100ミクロン以下のサイズを画定する、より好ましくは10ミクロン以下のサイズを画定する、最も好ましくは1ミクロン以下のサイズを画定する、ミクロンまたはサブミクロンサイズの粒子である。粒子状物質は、好ましくは、以下の群のうちの1つ以上から選択される。
群1:ポリマー、
群2:任意の電解質に使用することができ、かつ炭酸塩および非炭酸塩溶媒に溶解する有機材料、
群3:溶媒、分極性リチウム塩、非分極性リチウム塩、およびこれらの組み合わせに溶解することができる無機材料、ならびに
群4:金属および非金属のリチウム親和性(lithiophilic)材料。
【0021】
好ましい粒子状物質はまた、以下の基準のうちの少なくとも1つ以上を満たさなければならない。
(a)液体および固体電解質を含む非水電解質に少なくとも部分的に可溶性である、
(b)活性化後に電解質の粘度の変化を引き起こす、
(c)活性化後にイオン伝導率の変化を引き起こす、
(d)活性化後にリチウム拡散係数の変化を引き起こす、または、
(e)活性化後により均一な表面トポグラフィを引き起こす。
【0022】
代替的に、選択された粒子状物質は、不溶性であってもよいが、液体および固体電解質を含む非水電解質中で分散性であってもよい。
【0023】
群1の好ましい粒子状物質の例としては、ポリオレフィン系材料、ポリアクリロニトリルなどのポリマーおよび/またはコポリマーフィルム、フッ化ポリビニリデン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、セルロース、リグニン、それらの組み合わせ、ならびにPP/PE/PPなどのブレンド、などが挙げられる(が、これらに限定されない)。群2の好ましい材料の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカロボネート(EMC)、r-ブチロラクトン、エーテル系材料、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、プロパンスルホン、モノ分子およびジシアノ分子を含むシアノ分子、ならびにカーボネートおよび非カーボネート溶媒に溶解することができる任意の他のもの、ならびにこれらの組み合わせ、などの電解質としての使用に好適な有機材料が挙げられる(が、これらに限定されない)。群3からの粒子状物質のいくつかの例としては、溶媒および/またはリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ヘキサフルオロアルセン酸リチウム(LiAsF6)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩、リチウム(ジフルオロオキサラト)ホウ酸塩、NaNO3、CsNO3、RbNO3、KNO3、AgNO3、NH4NO3、Ba(NO3)2、Sr(NO3)2、Mg(NO3)2、Ca(NO3)2、Ni(NO3)2、Co(NO3)2、Mn(NO3)2、Al(NO3)3、Ce(NO3)3、硝酸リチウム(LiNO3)およびこれらの組み合わせ、などの分極性および非分極性リチウム塩のいずれかまたは両方に溶解し得る無機材料が挙げられる(が、これらに限定されない)。群4からの好ましい粒子状物質としては、アルミニウム、銀、金、亜鉛、マグネシウム、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、インジウム、バリウム、ビスマス、ホウ素、カルシウム、カドミウム、イリジウム、パラジウム、プラチナ、ロジウム、アンチモン、セレン、ストロンチウム、テルル、MnO2、CO3O4、SnO2、SiO2(SiOx)、ZnO、Al2O3、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、Li7La3Zr2O12、Li0.33La0.557TiO3、Li2O-SiO2-TiO2-P2O5、および還元グラフェン、N-ドープグラフェン、表面改質グラフェンを含んだ任意のナノ構造炭素材料などのリチウム親和性(lithiophilic)炭素質材料、が挙げられる(が、これらに限定されない)。
【0024】
群1、群2、および群4では、第1のサイクルの後、粒子状物質は既存の電解質に溶解され得、電解質の粘度、リチウムイオン伝導率、リチウム拡散係数を変化させることに寄与し得、最終的にリチウム金属表面の屈曲度に影響を及ぼす。加えて、粒子状物質が出た後の活性空隙部位は、リチウムイオン転写のための新しい拠点を提供し、リチウムイオン流束を増加させることができるため、以前よりも動力学的にリチウムイオン転写が速くなる。粒子状物質の実施形態は、イオン的に干渉しないことがあり、したがって、好ましい用途に基づいて容易に選択することができる。例えば、粒子は、従来の電解質に溶解されたポリマー材料であってもよく、電解質の粘度を増加させることにつながる。サイクル後に電解質がより粘性になる場合、死んだリチウムは従来の液体電解質の場合と同じように成長しなくなる。したがって、好ましい粒子状物質は、死んだリチウム成長の動態速度を制御し、最終的に、当該技術分野において既知の任意の他のリチウム金属アノードと比較して、電池のサイクル寿命を改善することができるものである。
【0025】
群#3では、好ましい粒子状物質は、硝酸イオンが任意の他の炭酸塩電解質と比較して高い分解電位(およそ1.7V対Li+)を有するため、硝酸リチウム(LiNO3)として画定される。しかしながら、硝酸塩は、ドナー数が少ないため、任意の炭酸塩溶液中ではるかに低い溶解度を有する。硝酸塩添加剤を用いたポリマー電解質などの溶解度制限を改善するために、多くのアプローチが試みられている。しかしながら、先行技術は、電解質に硝酸塩を添加するプロセスに複数のステップを必要とし、任意のリチウムイオン電池に対する用途を制限した。ここで提供される直接的、より好ましくは、間接的なプロセスは、電池動作にわたって硝酸リチウムの溶解度を改善するための最良の方法であり、リチウム金属アノード性能を大幅に向上させるための最も費用対効果の高いプロセスである。
【0026】
いくつかの実施形態では、粒子状物質はまた、0.1m2/gを超える表面積および100S/cmを超える電気伝導率を有するものとして特徴付けられ得る。
【0027】
一実施形態では、粒子状物質は、電解質に溶解し、かつ活性化(すなわち、サイクリング)後に電解質の粘度の増加を引き起こすポリマーである。電解質がより粘性になるにつれて、死んだリチウム層が成長する速度が低下し、改善されたサイクル寿命を有する電池をもたらす。
【実施例】
【0028】
セルは、0.5ppm未満の水分レベルおよび0.1ppm未満の酸素レベルを有するアルゴン充填グローブボックス内に構築された。エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(1:2体積比)の混合溶媒中の1M LiPF6を電解質として使用し、Celgard2320セパレータ(三層、PP/PE/PP)を使用してコインセルを構築した。
【0029】
実施例#1 2個の対称電池セルが調製され、一方のセルは従来のリチウムアノードを備え、他方は本発明のリチウム金属アノードを備えた。セルは、1mA/cm2でサイクル当たり1時間行われる連続的な剥離/めっきサイクルにかけられた。試験は、1M LiPF6中のエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)[1:2、v:v]の電解質溶液中で行われた。各セルの電圧は、繰り返される剥離およびめっきサイクル中に測定された。結果は、以下のグラフにプロットされている。
【0030】
【0031】
グラフに見ることができるように、コントロールセル(「Li-Li」ラインによって示されている)は、リチウム堆積および溶解中により大きな電圧ヒステリシスを示し、70時間(35サイクルの剥離およびめっき)後に著しく増加した過電位を示した。対照的に、本発明のリチウム複合アノードで構成されたセル(「LiX-LiX」と表記されたラインによって示されている)は、約130時間まで、非常に安定かつ最小限の過電位を示した。
【0032】
実施例#2 Li金属アノードを、本発明のプロセスおよび本発明の結果として生じる組成物を通して製造した。45ミクロンの厚さを画定するLi金属電極を、ディスク形状(直径16mm)に打ち抜いた。Li-Li対称セルを、各々2つのLi金属電極を有するCR2032コインセルで組み立てた。Li-Li対称セルの電気化学的剥離/めっき試験は、(1)第1のサイクルの剥離/めっき中の各30分間は0.1mA/cm2、(2)第2のサイクルの30分間は0.25mA/cm2、(3)第3のサイクルの30分間は0.5mA/cm2、(4)第4のサイクルから試験終了までの1時間は1mA/cm2(空中容量:1mAh/cm2)、で行われた。Li-Li対称セルの寿命は、過電位が0.2Vまで増加する時間として決定された。
【0033】
実施例#3 試験されたコインセルは、本発明に従ったリチウム金属電極、有機液体電解質、およびNCA正極を使用して製造された。正極を調製するために、結合剤としてのポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)をN-メチルピロリドンに溶解し、次に導電性炭素としてのSuper-Pと活物質としてのLiNi0.8Co0.15Al0.05O2(NCA)とを一緒に混合した。正極活物質、導電性材料、および結合剤は、94:3:3の重量比を有した。完全に混合したスラリー溶液をアルミ箔にコーティングし、真空条件でカソード電極を乾燥させた後、ロールプレスを使用してカレンダ処理を実行した。NCA-Liフルセルのサイクル性能は、1C充電/1C放電条件下で3.0~4.4Vの電圧範囲で評価された。次のチャートは、LiX[この場合、「X」は、上記の群のうちの1つからのAgとして画定される]金属アノードおよび直接X埋め込みプロセスを介したコントロールアノード(比較基準)としての裸Li金属上で1mAh/cm2(各剥離およびめっきについて1時間で1mA/cm2)でサイクルさせた、Li-Li対称セルのガルバノスタットサイクリング電圧プロファイルを示す。
【0034】
【0035】
Li-Ag金属アノードおよび裸Li金属の寿命は、それぞれ103時間および77時間であるため、Li-Agの寿命は、約34%改善されている。さらに、NCA-Li-AgおよびNCA-裸Liセルの1Cサイクル性能を次のチャートに示す。
【0036】
【0037】
NCA-LiX(Ag)セルは、50サイクル後に95.7%の容量保持比率(以下、CRR)を示している。対照的に、NCA-裸LiのCRRは、50サイクル後で91.7%であり、これは、Li-Agが、裸Li(基準)材料と比較して4%ポイント高いCRR値を有することを意味する。
【0038】
実施例#4 Li-X[この場合、「X」は、上記の群からのPAN(以下、「P」)およびLiPF6(以下、「F」)として画定される]金属アノードおよび直接X(すなわち、PおよびF)埋め込みプロセスを介した裸Li金属でサイクルさせた、上記のLi-Li対称セルのうちの1つ以上のガルバノスタットサイクリング電圧プロファイルであって、次のチャートに示す。
【0039】
【0040】
本明細書において、Li(P)およびLi(F)金属アノードならびに裸Li金属の寿命は、87時間、101時間、および77時間であるため、Li(P)およびLi(F)の寿命は、裸Liと比較して約13%、31%改善されている。NCA-LiX(P)、NCA-LiX(F)、およびNCA-裸Liセルの1Cサイクル性能を次のチャートに示す。
【0041】
【0042】
NCA-LiX(P)、NCA-LiX(F)およびNCA-裸Liセルは、50サイクル後に94.5%、95.4%、91.7%のCRRを示している。NCA-Li(P)およびLi(F)セルは、裸Liと比較して、CRRに関して2.8および3.7%改善されている。
【0043】
実施例#5 Li-X[この場合、「X」は、上記の群のうちの1つからのLiNO3(以下「N」)として画定される]金属アノードおよび直接X埋め込みプロセスを介した裸Li金属上でサイクルさせた、上記のLi-Li対称セルのガルバノスタットサイクリング電圧プロファイルであって、次のチャートに示す。
【0044】
【0045】
本明細書において、「ND10」は、「LiNO3」-「直接X埋め込みプロセス」-「Li金属剥離中の10%LiNO3」の略を意味する。Li(ND10)およびLi(ND5)金属アノード、ならびに裸Li金属の寿命は、それぞれ、209時間、184時間、および77時間である。したがって、Li-(P)およびLi(F)の寿命は、裸Liと比較して、約170%、140%改善されている。次のチャートに示すように、NCA-Li(ND10)、NCA-Li(ND5)、およびNCA-裸Liセルの1Cサイクル性能。
【0046】
【0047】
セルは、50サイクル後に100%(ND10)、98.6%(ND5)、91.7%(裸Li-基準)のCRRを示している。NCA-Li(ND10)およびLi(ND5)セルのCRRは、それぞれ裸Liと比較して、8.3および6.9%改善されている。
【0048】
実施例#6 Li-X[この場合、「X」は、上記の群のうちの1つからのLiNO3(以下、「N」)として画定される]金属アノードおよび間接X埋め込みプロセスを介した裸Li金属アノード上でサイクルさせた、上記のLi-Li対称セルのガルバノスタットサイクリング電圧プロファイルであって、次のチャート。
【0049】
【0050】
例えば、「NS-2M」は、「LiNO3」-「間接(スプレー)X埋め込みプロセス」-「溶媒(エタノール)中の2モルLiNO3」の略である。LiX(NS-1M)およびLiX(NS-2M)金属アノードならびに裸Li金属の寿命は、それぞれ、143時間、157時間、および77時間である。したがって、LiX(P)およびLiX(F)の寿命は、裸Liと比較して、約86%、104%改善されている。次のグラフに示されるのは、NCA-LiX(NS-1M)、NCA-LiX(NS-2M)、NCA-LiX(NS-4M)、およびNCA-裸Liセルの1Cサイクル性能である。
【0051】
【0052】
セルは、50サイクル後に、99.8%(NS-1M)、99.0%(NS-2M)、96.3%(NS-4M)、91.7%(裸Li-基準)のCRRを示している。NCA-Li(NS-1M)、NCA-Li(NS-2M)、NCA-Li(NS-4M)セルのCRRは、裸Liと比較して、それぞれ、8.1および7.3および4.6%ポイント改善されている。
【0053】
前述の説明で示され、説明されている実施形態は、例示および説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲における本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】