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特表2022-553536有機溶媒中で行われるヒアルロン酸ナトリウム塩の精製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】有機溶媒中で行われるヒアルロン酸ナトリウム塩の精製方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20221216BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20221216BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
C08B37/08 Z
A61P27/02
A61K31/728
A61Q19/00
A61K8/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523356
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2020079319
(87)【国際公開番号】W WO2021078669
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019000019724
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522118252
【氏名又は名称】ビーエムジー ファーマ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】BMG PHARMA S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ストゥッチ、 ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ピコッティ、 フェブリジオ
(72)【発明者】
【氏名】セチ、 アレッサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ジアンニ、 リタ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4C083AD33
4C083EE01
4C083EE03
4C083FF01
4C086AA04
4C086EA25
4C086MA16
4C086MA58
4C086MA66
4C086NA07
4C086ZA33
4C086ZA89
4C090AA03
4C090AA09
4C090BA67
4C090BD41
4C090CA02
4C090CA18
4C090DA23
(57)【要約】
【課題】
有機媒体中での単純なプロセスによる分解等を伴わない医薬用品グレードのヒアルロン酸またはその塩の精製方法の提供。
【解決手段】
医薬品用等のグレードのヒアルロン酸またはその塩の精製方法であって、以下の工程:
a)ヒアルロン酸またはその塩を、有機溶媒に50~100℃の温度で溶かし、その温度で1時間~48時間攪拌する工程、
b)温度を室温に下げ、溶液を撹拌下で1時間~48時間保持する工程、
c)C-Cアルキルアルコール等を添加してヒアルロン酸またはその塩を沈殿させる工程、および
d)C-Cアルキルアルコール等と水との混合物中での引続いての洗浄による不純物等を除去する工程、
を含む精製方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩の製造方法であって、以下の工程:
a)ヒアルロン酸またはその塩を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびホルムアミドから選ばれる溶媒に50~100℃の温度で溶かし、その温度で1時間~48時間攪拌する工程、
b)温度を室温に下げ、溶液を撹拌下で1時間~48時間保持する工程、
c)(C1-C4)アルキルアルコール、例えばメタノールまたはイソプロパノール、またはアセトンから選択される溶媒を添加することによるヒアルロン酸またはその塩を沈殿させる工程、および
d)(C1~C4)アルキルアルコール、例えばメタノールまたはイソプロパノール、またはアセトンから選択される溶媒と水との混合物中での引続いての洗浄による不純物および副生成物を除去する工程、
を含む製造方法。
【請求項2】
医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩が、最高10CFU/gおよび0.5EU/mg未満のエンドトキシン含量を有するヒアルロン酸またはその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)の温度が80℃~100℃の範囲である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)で使用される溶媒がホルムアミドである先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
沈殿のための工程c)で使用される溶媒がアセトンである先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程c)で得られた沈殿物を、イソプロパノールおよびメタノールから選択される溶媒で洗浄し、濾過する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)で得られた沈殿生成物をメタノールで洗浄し、濾過する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)、b)、c)およびd)が少なくとも1回繰り返される、先行する各々の請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧品若しくは医薬品分野または医療デバイスにおいて使用するための、医薬品用、注射用若しくは眼科グレードのヒアルロン酸またはその塩の調製方法であって、有機溶媒中でのヒアルロン酸またはその塩の溶解、熱サイクル、並びに有機溶媒中での沈殿および引き続く洗浄による生成物の回収を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は驚くべきことに、細菌およびエンドトキシンの両方、すなわち、インビボ炎症応答の原因であるグラム陰性細菌の外膜に存在するリポ多糖を除去し、多糖鎖の加水分解誘導分解から天然ヒアルロン酸を保護する、有機媒体中での熱処理によるヒアルロン酸(HA)またはその塩の精製方法を開示する。前記方法によって調製されたヒアルロン酸は、医薬用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸と適合する微生物学的プロフィールを有する。この方法は、非水性有機溶媒中で行われるので、加水分解を防止することによって、化学的および生物学的観点で利点を提供する。この方法はまた、既存の手法に特有な大量の容量を必要とせず、再使用のための溶媒の完全な回収を可能にするので、環境的および経済的な影響が小さい。最後に、高価な濾過、ダイアフィルトレーションまたはイオン交換技術を伴わないプロセスの極端な単純さは、そのコストに非常に有利な効果を有し、したがって、高純度のヒアルロン酸ナトリウムの可能な経済的に持続可能な適用を拡大し、したがって、一般にヒトでの使用を意図される、前記多糖を含有する生成物の安全性を増大させる。
【0003】
ヒアルロン酸はグルクロン酸とN-アセチルグルコサミンの繰り返し単位からなるグリコサミノグリカンであり、グリコシド結合β1→4とβ1→3を介して結合している。結合組織の必須要素であり、滑液、硝子体液、臍帯にも存在する。
【0004】
ヒアルロン酸は、1934年にカール・マイヤー(Karl Meyer)およびジョン・パーマー(John Palmer)によって単離され、多くの局所的使用、インプラント(皮下または関節内)における注射での使用、および眼科分野における使用を有する。許容可能なバイオバーデンはヒアルロン酸の最終用途に依存し:局所適用または外部粘膜への適用については、細菌コロニーおよび酵母の数(グラム当たり10コロニー形成単位、すなわち10CFU/gまでで)について、総好気性微生物数(TAMC)および総酵母およびカビ数(TYMC)として定義される限界の下で「化粧品グレード」が使用され、一方、エンドトキシン単位限界は定義されておらず;より侵襲性の適用については、「医薬品用」、「眼科用」または「注射用」グレードが使用され、細菌数についてのより厳しいバイオバーデン限界および非経口適用については0.5EU/mg未満のエンドトキシン含有量であり、関節内または眼内適用については0.05EU/mgである。眼科分野におけるヒアルロン酸の多くの用途、および皮下または関節注射剤としてのヒアルロン酸の多くの用途を考慮すると、ヒアルロン酸を精製する簡単で信頼性のある安価な方法への研究の重要性は明らかである。
【0005】
WO2013/132506は、ベントナイトでの処理および活性炭での濾過によるエンドトキシンからの精製方法を開示し;WO00/44925がタンジェンシャル濾過法、続いての滅菌濾過を報告し、一方、US2018/014041は高度希釈溶液でのダイアフィルトレーション技術を使用し;CA02225866は負に帯電した樹脂を配列しての使用を開示する。全てのこれら方法は非常に複雑であり、非常に高価な計装および装置(限外濾過ユニット、イオン交換カラムおよび凍結乾燥機)を使用し、これは、非常に高価な工業的方法以外のものに適用することを困難にする。希薄溶液(US2018/014041)の場合、必要な量はまた、大きな環境負担を有する。
【0006】
欧州特許第2865395号は、水中での加熱サイクルとそれに続く滅菌濾過を開示している。記載されたプロセス時間は1~6日の範囲であり、温度依存性加水分解に対するヒアルロン酸の感受性を考慮すると、プロセスの可能性を制限している。
【0007】
EP2039777は、有機溶媒中での抽出プロセスを使用する。それは、膨潤しているにもかかわらず、ヒアルロン酸からなる非晶質固体中に捕捉された微生物不純物を完全に排除することが困難であるという点から、有効ではないという高い危険性を伴う不均質相プロセスからなる。
【0008】
最後に、US5,079,236はパラベン防腐剤の存在下で水に適当な濃度に溶解することにより、すでに微生物学的に純粋となっているヒアルロン酸から出発して、注射用の製剤の調製を開示している。この場合に記載される方法は実際の精製を含まないが、特に注射可能な医療装置の場合には、安全性の点で禁忌を有し得る成分を使用する保存方法である。
【0009】
一般に、全ての公知の方法はそれらの技術的な複雑さおよびそれらの高いコストの両方のために、工業的な方法に導入することが困難な機械の使用を含む。さらに、前記方法は大量の水性および有機溶媒を使用し、処分および回収コストならびに環境への負担を伴う。
【0010】
さらに、全ての前記方法は、水中または水性および有機混合物中で行われ、室温を超える長い処理時間および温度を必要とするので、加水分解によるヒアルロン酸の分子量に悪影響を及ぼす。
【0011】
最後に、化粧品グレードのヒアルロン酸またはその塩を使用し、その微生物学的純度を医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸と適合するレベルまで増加させることを含む方法は、記載されていない。
【発明の概要】
【0012】
より低い(化粧用)グレードの微生物純度を有する製品から出発して、医薬用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸と適合する微生物プロフィールを有する製品を生じる、ヒアルロン酸またはその塩を調製する方法が、現在見出された。
【0013】
本発明による方法は、有機溶媒中の均一相で行われるので、既存のプロセスの複雑性を排除する。この方法の効率は使用される溶媒の体積を制限し、好ましい経済的および環境的効果を有する。非水系の使用は、標準的なプロセスに悪影響を及ぼす典型的な加水分解を防止する。より低い(化粧用)グレードの微生物純度を有するヒアルロン酸またはその塩から出発して、より高いグレードの微生物純度を得る可能性は発酵プロセスに関連しないので、プロセスの汎用性を指数関数的に増加させ、低環境影響を有する費用効果的なプロセスの手段によって出発基質の価値を増加させ、同じ出発材料から異なるレベルの微生物純度を得ることを可能にし、したがって、効率、安全性および費用の点で明らかな影響を伴って、異なるレベルの侵襲性の適用分野でのその使用を可能にする。
【0014】
本発明の目的は、以下の工程を含む、医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩の調製方法である:
a)ヒアルロン酸またはその塩を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびホルムアミドから選ばれる溶媒に50~100℃の温度で溶かし、その温度で1時間~48時間攪拌しながら保持する工程、
b)温度を室温に下げ、溶液を撹拌下で1時間~48時間維持する工程、
c)(C1~C4)アルキルアルコール、例えばメタノールまたはイソプロパノール、またはアセトンから選択される溶媒を添加することによって、ヒアルロン酸またはその塩を沈殿させる工程、および
d)水と(C1-C4)アルキルアルコール(メタノール、イソプロパノール、アセトンなど)から選択される溶媒との混合物中での引続いての洗浄による不純物および副生成物を除去する工程。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「医薬品用、注射用または眼科用グレード」とは、ヒアルロン酸またはその塩であって、対応する純度について薬局方に規定されている要件を満たすような微生物学的プロファイルを有するものを意味する。
【0016】
本発明の方法によって調製される医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩は、好ましくは10CFU/gの最高値および0.5EU/mg未満のエンドトキシン含量を有する。
【0017】
ヒアルロン酸塩は医薬用または化粧用に、またはナトリウム、カリウム、リチウムまたは第四級アンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウム、好ましくはナトリウム塩のような医療装置において許容される塩である。
【0018】
工程a)は、好ましくは80℃~100℃の範囲の温度で行われる。
【0019】
工程a)で使用される溶媒は、好ましくはホルムアミドである。
【0020】
工程c)における沈殿に使用される溶媒は、好ましくはアセトンである。
【0021】
工程c)で得られた沈殿物は好ましくはイソプロパノールおよびメタノールから選ばれる溶媒、好ましくはメタノールで洗浄し、濾過する。
【0022】
本方法で使用されるヒアルロン酸またはその塩は、好ましくは10~10ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。
【0023】
本発明による方法はより低い微生物学的純度(例えば、化粧品グレード)を有する生成物から出発して、ヒアルロン酸またはその塩を生成し、注射可能な(中胚葉、皮下または関節内)、医薬または眼科用途に適合する生成物を生じる。
【0024】
出発ヒアルロン酸は、通常、化粧品グレードである。
【0025】
生成物の精製度を高めるために、本発明による方法の工程a)、b)、c)およびd)を少なくとも1回繰り返すことができる。
【0026】
本発明による方法によって得られるヒアルロン酸またはその塩は、医薬または皮膚化粧用製剤または医療用デバイスにおける使用に適合する微生物学的プロフィールを有する。
【0027】
本発明による方法によって得られるヒアルロン酸は医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその許容される塩を含む医薬または皮膚化粧用製剤において、皮膚化粧品または医薬品の分野、医療デバイスにおいて、またはサプリメントとして、単独で、または医薬または皮膚化粧品の使用に許容される少なくとも1つの賦形剤および/または担体とともに、または医療デバイスとして使用するために使用することができる。
【実施例
【0028】
方法
エンドトキシン量の測定(LAL試験)
エンドトキシンを、USP 41 NF 36 2018 paras. 85-161に対応するEU PHARMA法0172018.20614で定量した。
【0029】
以下の実験試験に使用される化粧品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩は、前記方法によって評価されるエンドトキシンレベル0.82EU/mgを有する。
【0030】
実施例1:医薬グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW1500kDaの調製:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:19時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて1500kDaの分子量を有する10gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で19時間撹拌下に維持した。
【0031】
次に、注射用水14mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0032】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0033】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.36EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0034】
実施例2:医薬グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW300kDa調製:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:19時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて300kDaの分子量を有する10gの化粧品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で19時間撹拌下に維持した。
【0035】
次に、注射用水14mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0036】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中で、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0037】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.27EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0038】
実施例3:医薬品用グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW25kDaの調製:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:19時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて、25kDaの分子量を有する20gの化粧品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で19時間撹拌下に維持した。
【0039】
次に、注射用水20mlに塩化ナトリウム4gを溶解したものを加え、約1時間攪拌しながら放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0040】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0041】
LAL試験に供された生成物の5gサンプルは、0.38EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0042】
実施例4:医薬品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW1500kDaの調製:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:43時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて1500kDaの分子量を有する5gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で43時間撹拌下に維持した。
【0043】
次に、注射用水28mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0044】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0045】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.15EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0046】
実施例5:医薬グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW300kDaの調整:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:43時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて300kDaの分子量を有する10gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で43時間撹拌下に維持した。
【0047】
次に、注射用水28mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0048】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0049】
LAL試験に供された生成物の5gサンプルは、0.14EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0050】
実施例6:医薬品用グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW25kDaの調製:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:43時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて、25kDaの分子量を有する20gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で43時間撹拌下に維持した。
【0051】
次に、注射用水35mlに溶解した塩化ナトリウム4gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0052】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0053】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.15EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0054】
実施例7:医薬品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW300kDaの調製:(工程a)95℃:43時間;工程b)25℃:1時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて300kDaの分子量を有する10gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、撹拌下に一定温度で43時間維持した。次いで、温度を25℃に下げ、注射用水28mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、混合物を撹拌下、同じ温度で1時間放置した。
【0055】
生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0056】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0057】
LAL試験に供された生成物の5gサンプルは、<0.05EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0058】
実施例8:医薬品グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW25kDaの調整:(工程a)95℃:1時間;工程b)25℃:43時間)
300mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて、25kDaの分子量を有する6gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で1時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に低下させ、混合物を、同じ温度で43時間撹拌下に維持した。
【0059】
次に、注射用水15mlに塩化ナトリウム3gを溶解したものを加え、約1時間攪拌しながら放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0060】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0061】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.12EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0062】
実施例9:医薬品用グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW300kDaの調製:(工程a)95℃:17時間;工程b)25℃:1時間)
200mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて300kDaの分子量を有する20gの化粧品グレードヒアルロン酸ナトリウム塩を導入した。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で17時間撹拌し続けた。次に、温度を25℃に下げた。
【0063】
次に、注射用水28mlに溶解した塩化ナトリウム2.6gを加え、攪拌下、約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0064】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0065】
LAL試験に供した生成物の5gサンプルは、0.20EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【0066】
実施例10:医薬品用グレードのヒアルロン酸ナトリウム塩MW300kDaの調整:生成プロセスの繰り返し(工程a)95℃:17時間;工程b)25℃:1時間)
100mlのホルムアミドを500mlの三つ口フラスコに導入し、続いて実施例9で得たヒアルロン酸10gを加えた。混合物を95℃に温度調節し、一定温度で17時間撹拌し続けた。次いで、温度を25℃に下げ、注射用水14mlに溶解した塩化ナトリウム1.3gを加え、撹拌下で約1時間放置した。生成物をアセトン中での沈殿およびその後の濾過によって単離した。
【0067】
生成物をメタノールで数回洗浄し、各回低圧濾過した。沈殿物を、層流フード中、室温で約16時間、低圧で乾燥させた。
【0068】
LAL試験に供された生成物の5gサンプルは、0.09EU/mgのエンドトキシン含量を有することが判明した。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩の製造方法であって、以下の工程:
a)ヒアルロン酸またはその塩を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびホルムアミドから選ばれる溶媒に50~100℃の温度で溶かし、その温度で1時間~48時間攪拌する工程、
b)温度を室温に下げ、溶液を撹拌下で1時間~48時間保持する工程、
c)(C1-C4)アルキルアルコールまたはアセトンから選択される溶媒を添加することによるヒアルロン酸またはその塩を沈殿させる工程、および
d)(C1~C4)アルキルアルコールまたはアセトンから選択される溶媒と水との混合物中での引続いての洗浄による不純物および副生成物を除去する工程、
を含む製造方法。
【請求項2】
医薬品用、注射用または眼科用グレードのヒアルロン酸またはその塩が、最高10CFU/gおよび0.5EU/mg未満のエンドトキシン含量を有するヒアルロン酸またはその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)の温度が80℃~100℃の範囲である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)で使用される溶媒がホルムアミドである請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
沈殿のための工程c)で使用される溶媒がアセトンである請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程c)で得られた沈殿物を、イソプロパノールおよびメタノールから選択される溶媒で洗浄し、濾過する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)で得られた沈殿生成物をメタノールで洗浄し、濾過する、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)、b)、c)およびd)が少なくとも1回繰り返される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】